説明

ペプチドにおける標的特異的部位のノックアウト同定

本発明は、目的の標的に結合する既知親ポリペプチド内の二次構造の一次配列を決定する方法を含めた、ペプチドおよびタンパク質中の標的特異的部位の同定および決定の方法を提供する。本発明の1つの実施態様では、金属イオンに対する結合のために利用可能な窒素原子および硫黄原子を含有する基または擬態は、ペプチドまたはタンパク質の既知一次配列中の隣接残渣中で単独残渣の代わりに徐々に置換されるか、その間に挿入される。生じた配列は、金属イオンで複合され、それにより金属ペプチドを形成する。その後、生じた金属ペプチドは、目的の標的に関連した結合または官能性アッセイで使用され、そして、明らかであるか、または実質的に減少または変化した結合または官能性を生じる金属ペプチドは、このような結合または官能性に関与した一次配列を同定するために決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチドおよびタンパク質内の標的特異的配列の同定および決定の方法;目的の受容体または標的に結合するか、または目的の生物学上の活性を介在するペプチドまたはタンパク質のその部分の特異的配列を決定する方法;およびペプチドおよびタンパク質内の標的特異的折畳部位を決定する方法に関する。
【0002】
本出願は、2003年1月31日に出願された「ペプチドにおける標的特異的部位のノックアウト同定」と題される米国仮特許出願番号60/444,129号の出願の利益を主張し、そしてそれの明細書は、参照してここに組込まれる。
【背景技術】
【0003】
以下の検討は、著者および出版の年による多くの出版物を引用すること、および最近の出版日により、所定の出版物が、本発明に関する先行技術と見なされないことに注意すること。ここでのこのような出版物の検討は、いっそう完全な背景のために示され、そしてこのような出版物は、特許性決定の目的のための先行技術であるという承認として見なされるべきでない。
【0004】
ペプチドおよびタンパク質折畳。官能性三次元構造として特徴づけられうるタンパク質およびペプチドの生物学上等価な構造の決定は、生物学、生化学および製薬学上の困難な問題である。多様な方法のいずれかの使用を通して、等価のペプチドまたはタンパク質の一次構造を確認しうる。すなわち、ペプチドまたはタンパク質を構成するアミノ酸残基の配列を決定することができ、そしてペプチドまたはタンパク質が、目的の標的分子または受容体を結合させること、目的の生物学的活性を介在することなどのような所望の生物学的効果を示すことが知られている。しかし、配位子を形成し、それによって所望の生物学的効果を生じるペプチドまたはタンパク質の特異的部分の三次元構造および同定の両方が、知られていないことが多い。
【0005】
大部分では、個々のアミノ酸残基の高い回転の自由度により、ペプチドおよびタンパク質は、非常に柔軟性がある。さらに、個々のアミノ酸残基の側鎖におけるいくつかの結合も、回転の自由度を示す。アミノ酸残基の間の非結合立体相互作用は、それの自由度に加えてペプチドまたはタンパク質に、ある程度安定な最小自由エネルギー立体配置を強要する。「二次構造」としても知られる局所構造は、ペプチドおよびタンパク質に共通である。これらの構造としては、α−螺旋、β−ベンド、シート、拡張鎖、ループなどが挙げられ、そして最もしばしば、ペプチドおよびタンパク質の結合または受容体特異性に寄与する。
【0006】
実際のターンのアミノ酸残基内のねじれ角に、そして分子内および間の水素結合のパターンにより差がある数種の型の既知α−螺旋がある。二面角のねじれ角Ψ(Ca−C結合について)またはФ(Ca−N結合について)、または両方で異なる、多くの既知の異なるβ−ベンドもある。
【0007】
ペプチドおよびタンパク質折畳は、ペプチドまたはタンパク質の全て、または事実上全ての一次構造の検討に関与する複雑な問題として認識される。従って、所定の分子の遠位部分は、目的の分子の一部の二次構造に明らかに、そして実質的に影響を及ぼしうる。例えば、6個のアミノ酸残基ペプチドは、固有の分子として、大型のペプチドまたはタンパク質の部分と同じ配列であろうよりも実質的に異なる二次および/または三次構造を有しうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
広く多様な数学的、コンピュータ処理された、および他のモデルが、タンパク質の二次構造、およびペプチドの二次および三次構造を推定するために開発されてきたが、最も限定された環境以外の下で十分な応答を示すモデルはない。例えば、ソフトウエアモデルプログラム(例えば、トリポス,インク.(Tripos,Inc.)、ファルマコピア・インク.(Pharmacopeia Inc.)などによって配布されるもののような)は、種々のアルゴリズム、統計学上のツール、群などの間の仮定される関係に依り、そのいずれかまたは全ては、あらゆる所定のタンパク質またはペプチドに有効でない可能性がある。Xencor,Inc.に対する国際特許公開公報第00/23564号、両方ともStructural Bioinformatics,Inc.に対する国際特許公開公報第00/57309号および第01/35316号、Structural Bioinformatics Advanced Technologies A/Sに対する国際特許公開公報第01/50355号、Xencor,Inc.に対する国際特許公開公報第01/59066号、Parekhらに対する米国特許番号第6,278,794号、およびFreireおよびLuqueに対する米国特許出願番号第2001/0000807号で開示されるもののような多数の方法が、当業界で記述される。
【0009】
任意で相同モデル化のようなタンパク質構造決定法と関連して、X線結晶写真またはNMRのような実験法を利用する、構造に基づく活性基の生成が当業界で知られている。しかし、使用すべきこのアプローチのために、活性基を定義する受容体に特異的な配座で配位子からの適切なデータを得ることが可能でなければならない。最もとまではいかないが、多くの場合に、これは、実現可能でない。
【0010】
長さ約5残基から約50またはそれより多くの残基までである特定のペプチドまたはタンパク質配列は、特定の受容体に結合することが決定されうる。しかし、結合に実際に関与する特異的残基、およびこれらの特異的残基を含有する配列の局所二次構造は、知られていない。この知識なしに、ペプチド系の薬、ペプチド擬態薬または小型分子薬を作る組織的な合理的アプローチを考案するのは不可能である。特異的残基および局所二次構造の知識で、受容体について活性基を定義することが可能である。この定義は、例えば、活性基での原子間距離に関して記述されるような、水素結合ドナー体およびアクセプターの三次元構築物での配置、陽性および陰性に荷電された中心、芳香族環中心、疎水性中心などを含みうる。
【0011】
Wellsらに対する米国特許番号第5,834,250号は、親のポリペプチドの推測活性ドメイン内のアミノ酸残基の内の1個に「走査アミノ酸」を置換することによる活性ドメインを特異的に同定することによって、ポリペプチドの構造および機能の組織的分析のための方法を提供する。その後、これらの残基で置換されたポリペプチドを、「標的物質」を使用して分析する。実際に、アラニンのような「走査アミノ酸」を、ポリペプチド中で種々の残基に置換し、そして標的物質に対する置換ポリペプチドの結合を、親ポリペプチドの結合と比較する。同様に、EvansおよびKiniに対する米国特許番号第6,084,066号は、「相互作用部位」の両側に配置する「配座拘束部分」を有する天然に生じるポリペプチドの相同体および類似体を開示する。しかし、この方法は、「相互作用部位」またはアミノ酸配列が知られていることを要求する。その後、「相互作用部位」配列は、プロリン残基で両方の末端に配置され、そしてそれは、相互作用部位を安定化すると強く主張される。
【0012】
従って、目的の受容体に対する結合に関与しているペプチド中の特異的残基を同定する方法を開発し、そして結合に関与する残基の特異的二次構造を同定する意義深くそして実質的な必要性がある。
【0013】
金属ペプチド。線状のペプチドが、既知一次構造を有する小型ペプチドについてさえ、論理的に可能な二次および三次構造が数百万を数えうるような高い回転自由度を示すことが知られている。一般に、環状ペプチドは、より制限され、そして少なくとも小型環状ペプチドは、論理上可能な二次および三次構造がはるかに少ない。しかし、環状ペプチドを用いてさえ、このようなペプチド中に存在する実際の二次構造を正確に推定することは、不可能であることが多い。対照的に、金属ペプチドは、十分に定義され、そして限定された二次構造を示し、そして残基は、金属イオン周辺にターン構造を形成する金属イオン錯体化に関与する。金属イオンの配位球体の一部を形成する原子は、金属イオンの配位幾何学により固定される。これは、残基と側鎖結合の間のペプチド結合と結合し、少なくとも、金属イオン錯体化に関与した残基についての配座で固定されそして推定可能な二次構造を生じる。「ペプチド−金属イオン医薬構築物および用途」と題される米国特許番号第5,891,418号、「構造的に決定された金属構築物および用途」と題される米国特許番号第6,027,711号、および国際特許出願番号第PCT/US99/29743号、「金属ペプチド・組み合わせライブラリーおよび用途」と題される国際特許公報第96/40293号は、各々、金属ペプチドおよびそれの擬態を作製および使用する態様を教示し、そして前述の各々は、参照してここに組込まれる。これらの特許および出願は、受容体特異的金属ペプチド、およびペプチドを作成し、そして種々の金属イオンにペプチドを錯体化させる方法を開示する。
【0014】
ImperialiおよびWalkupに対する米国特許番号第6,083,758号に開示されるような、金属配位特性についてペプチドをスクリーニングする方法がある。しかし、金属配位を検出する蛍光を監視しながら使用するこれらの方法は、目的の受容体または標的に対する金属配位ペプチドの結合に関してなんら情報を提供しない。
【0015】
従って、ペプチドおよびタンパク質内の標的特異的配列を同定する必要性があり、そしてさらに、選択構築物の結合または官能性が減少または変化したことを示すことにより、このような結合または官能性に関与した一次配列を解明するノックアウト法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
1つの実施態様では、本発明は、(a)既知の一次構造を有する目的の標的に結合する既知の親ポリペプチドを供し、このような一次構造は、n残基より構成される;
(b)式R1−Z−R2(式中、
1は、2からnまでの残基を包含し、そのような残基は、親ポリペプチド中の残基と同じかまたは相同体であり、そして親ポリペプチド一次構造中の残基と同じ順序である;
Zは、金属イオン錯体化についてNおよびSの両方を供する残基またはそれの擬態である;
2は、0からn−2残基までを包含し、そのような残基は、親ポリペプチド中の残基と同じかまたは相同体であり、そして親ポリペプチド一次構造中の残基と同じ順序であり、そしてR1と共に、このような一次構造中に2個の隣接残基に対応する2個の隣接残基の間に挿入されるか、またはこのような一次構造中に単独の残基に対応する単独の残基に置換されるかのいずれかであるZを有する親ポリペプチド一次構造中と同じ順序で配列を形成し、そしてR1−Z−R2を包含する残基は、nまたはn+1のいずれかに等しい)
を表す第一のペプチドを構築する;
(c)式R1−Z−R2の第一のペプチドを、金属イオンに錯体化させ、それにより第一のR1−Z−R2金属ペプチドを形成する;
(d)目的の標的に対する結合について第一のR1−Z−R2金属ペプチドをスクリーニングする;
(e)段階(b)から(d)までを繰返し、生じたR1−Z−R2金属ペプチドは、少なくともR1またはR2のいずれかで異なる;そして
(f)目的の標的に対する結合が実質的に減少したことを示すR1−Z−R2金属ペプチドを選択し、それにより、このようなR1−Z−R2金属ペプチドの金属イオンに結合する配列の少なくとも1個の残基は、目的の標的に結合する親ポリペプチドの特異的残基の同定を包含する段階を含むものである、
目的の標的に結合する既知親ポリペプチド内の目的の標的に結合する特異的残基を決定する方法を提供する。
【0017】
この方法では、Zは、L−またはD−3−メルカプトアミノ酸であり得て、そしてそれに限定されないが、L−またはD−システイン、L−またはD−ペニシルアミン、3−メルカプトフェニルアラニン、または前述のいずれかの相同体が挙げられる。金属イオンは、それに限定されないがV、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、As、Se、Y、Mo、Tc、Ru、Rh、Re、Pd、Ag、Cd、In、Sn、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、At、Sm、EuまたはGdのイオンを含めたあらゆる金属イオンでありうる。
【0018】
この方法では、目的の標的は、受容体、抗体、毒素、酵素、ホルモン、核酸、生物学的等価物の細胞内タンパク質ドメイン、または生物学的等価物の細胞外タンパク質ドメインでありうる。目的の標的に対する結合についてのスクリーニングは、目的の標的に対する結合についての既知結合相手を、R1−Z−R2金属ペプチドと競合させることを含みうる。既知結合相手は、親ポリペプチドでありうる。目的の標的に対する結合についてのスクリーニングは、官能性アッセイを含みうる。従って、目的の標的は、信号を伝達する能力のある生物学上の受容体であり得て、そしてスクリーニングは、さらに、R1−Z−R2金属ペプチドが、信号の伝達が減少したことを示すかどうかを決定することを包含しうる。
【0019】
既知ペプチドまたはタンパク質一次配列を組込む一連の金属ペプチドを供し、金属イオン錯体化配列は、1つまたはそれより多くのアミノ酸残基置換または挿入概略図に基づいた位置で変化され、そして生物学的結合または活性の内因性部位の同定は、部分的に、金属イオン錯体化配列または複数の配列の遺伝子座により決定され、そしてそれは、既知一次配列のノックアウトまたは複数のノックアウトを構築し、そしてそれは、生物学上の活性を明らかにまたは実質的に阻害するものであることが、本発明の第一の目的である。
【0020】
本発明の別の目的は、金属ペプチドが、特異的立体配座二次構造モチーフが金属錯体化により得られるように、金属イオン錯体化ドメインを含むものである金属ペプチド配列を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、各金属ペプチドが、配列内の固有で、既知でそして異なる位置に金属イオン錯体化ドメインを包含し、金属ペプチドが、物質に露出される可能性があり、そして1つまたはそれより多くの金属ペプチドが、その物質の特異性および/または親和性が減少したことを示すものである金属ペプチド配列を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、目的の既知標的に対する結合に関与する既知ペプチド内の特異的残基を同定する方法を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、ペプチドが、金属イオン錯体化ドメインの一部を形成する単独の反応性−SH基を含有し、それにより反応性−SH基は、合成の間じゅう保護され、そして金属イオンを有するペプチドを錯体化することによってのみ脱保護されるものであるペプチドを合成する方法を提供することである。
【0024】
本発明の別の目的は、各内因性システイン残基が、別のアミノ酸に置換されるか、または代わりに、各内因性システイン残基が、さらに、このような内因性システインの硫黄が金属イオン錯体化ドメインの一部を形成しないように、S保護基を包含するものである、既知の親ポリペプチド中の活性結合部位についてのモデルとして金属ペプチドを作製する方法を提供することである。
【0025】
本発明の他の目的、利点および新規特性、および適用のさらなる範囲は、付随の図面を参照して、以下の詳細な説明で部分的に説明され、そして一部には、以下の試験により当業者に明らかになるか、または本発明の実施によって習得されうる。本発明の目的および利点は、ここに特に指摘される装置の手段および組合せにより認識され、そして達成されうる。
【0026】
明細書の一部に組込まれ、そして形成する付随の図面は、本発明の1つまたはそれより多くの実施態様を示し、そして説明と一緒に、本発明の原則を説明する役割を果たす。図面は、1つまたはそれより多くの本発明の好ましい実施態様を示す目的のためのみのものであり、本発明を限定するとみなされるべきでない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
明細書および請求項を通して使用される場合の所定の用語は、以下のとおりに定義される。
【0028】
明細書および請求項を通して使用される場合、用語「結合」、「結合する」、「標識」、「標識にする」、「錯体」および「錯体化」は、一般に、全ての種類の物理的および化学的結合、反応、錯体化、誘引、キレート化などを網羅することが意図される。
【0029】
本発明の「ポリペプチド」および「ペプチド」は、a)天然に生じる、b)化学的合成により生成される、c)組換えDNA技術により生成される、d)大型分子の生化学的または酵素的断片化により生成される、e)上に列挙されるaからdまでの方法の組合せから生じる方法によって生成される、またはf)ポリペプチドまたはペプチドを産生させる他のあらゆる手段によって生成されるものでありうる。
【0030】
明細書および請求項を通して使用される場合、用語「ポリペプチド」は、アミノ酸残基の化学的修飾および誘導体を含めた2つまたはそれより多くのアミノ酸残基より構成されるあらゆる構造を包含することが意図される。従って、用語「ポリペプチド」は、2個から約20個までのアミノ酸残基を含有する従来の「ペプチド」、約20個から約50個までのアミノ酸残基を有する従来のポリペプチド、および最小約50個のアミノ酸残基を有する従来の「タンパク質」を包含する。最も多くの部分については、本発明により製造され、そして金属ペプチドとして利用されるポリペプチドは、100個より少ないアミノ酸残基、そして好ましくは、60個より少ないアミノ酸残基を包含し、そして最も好ましくは約5から20個までのアミノ酸残基の範囲に入る。ポリペプチドの全てまたは一部を形成するアミノ酸残基は、天然に生じるアミノ酸残基、このようなアミノ酸残基の立体異性体および修飾物、非タンパク質アミノ酸残基、後翻訳で修飾されたアミノ酸残基、酵素的に修飾されたアミノ酸残基、アミノ酸残基を擬態するように設計された構築物または構造などでありえて、その結果、用語「ポリペプチド」は、非ペプチド性骨格を有する構造を含めた偽ペプチドおよびペプチド擬態を含む。「製造された」ペプチドまたはポリペプチドは、化学的合成、組換えDNA技術、大型分子の生化学的または酵素的断片化、前述の組合せにより作製されるか、または一般に、他のあらゆる方法により作製されるペプチドまたはポリペプチドを包含する。
【0031】
本発明で使用される場合、「アミノ酸残基」、そして明細書および請求項で使用される場合のその用語は、既知の天然に生じるコード化タンパク質アミノ酸残基を含み、そしてそれは、それらの共通の3文字略号および一文字略号の両方に引用される。一般に、「合成ペプチド:使用者指針」、編者GA Grant、W.H.Freeman&Co.ニューヨーク、1992年を参照し、その教示は、11から24頁までで説明される原文および表を含めて参照してここに組込まれる。上に説明されるとおり、用語「アミノ酸残基」は、天然に生じるタンパク質アミノ酸残基の立体異性体および修飾物、非タンパク質アミノ酸残基、後翻訳で修飾されたアミノ酸残基、酵素的に修飾されたアミノ酸残基、誘導されたアミノ酸残基、アミノ酸残基を擬態するように設計された構築物または構造なども含む。修飾および非日常的なアミノ酸残基は、一般に、上に引用される「合成ペプチド:使用者指針」;Hruby VJ、Al−obeidi FおよびKazmierski W;Biochem J268巻:249−262頁、1990年;およびToniolo C:Int J Peptide Protein Res 35巻:287−300頁、1990年で記述され、その全ての教示は、参照してここに組込まれる。単独のアミノ酸残基、またはそれの誘導体は、しばしば、「残基」として、または「アミノ酸」としてここに引用される。さらに、以下の略号は、
Ac− アセチル
Nle− ノルロイシン
D−Phe− D−フェニルアラニン
Pyr− ピログルタミン酸
を示す意味を有する。
【0032】
本発明の構築物は、それに限定されないが、金属および金属様物を含めて金属形態にあるあらゆる元素のイオン形でありうる金属イオンも含む。金属イオンは、必要ないが、放射活性、常磁性または超常磁性でありうる。金属イオンは、酸化状態のバナジウム(V))、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、砒素(As)、セレニウム(Se)、イットリウム(Y)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)、鉛(Pd)、ビスマス(Bi)、ポロニウム(Po)、アスタチン(At)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、およびガドリニウム(Gd)を含めた、いずれかの金属のいずれかの酸化状態のものでありうる。金属イオンは、In、Au、Ag、Hg、Tc、Re、Sn、At、YおよびCuを含めた前述のいずれかの放射性核種でもありうる。4座配位球体を有する好ましい金属イオンは、Reである。スクリーニングに、またはアッセイ系で放射性同位体が望ましい用途については、アルファ、ガンマ、またはベータ線放射核種を使用しうる。
【0033】
1つの実施態様では、本発明の方法は、標的物質を有する親ポリペプチドの結合のような相互作用に関与する親ポリペプチドでの少なくとも1つの活性配列またはドメインを決定するために親ポリペプチドの組織的分析を提供する。ここで使用する場合、「親ポリペプチド」は、結合のような、標的物質に対する相互作用を示すアミノ酸残基のいずれかの配列に該当し、そして従って、それは、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を構築しうる。親ポリペプチドは、一般に、ここに定義されるとおりの約5から約100個までのアミノ酸残基を有するポリペプチドであるが、しかし用語親ポリペプチドは、大型構築物をも含み、一般に、当業界で大型ポリペプチドまたはタンパク質と見なされる。本発明の方法を使用するために、配列と言われる、親ポリペプチドの好ましくは全ての一次構造が、知られるべきである。しかし、本発明の方法を実施するために、親ポリペプチドの二次または三次構造に関するあらゆる情報を有する必要はない。
【0034】
親ポリペプチドは、例えば、細胞、組織、臓器または他の生物学上の材料に見られる受容体に結合することを示すあらゆる配列でありうる。親ポリペプチドの例としては、限定なしに、生物学上活性なペプチド、ホルモン、神経伝達物質、酵素、抗体などが挙げられる。このような親ポリペプチドは、受容体に対する結合の結果として、信号を、直接的に、または間接的に伝達でき、従って、親ポリペプチドは、アゴニスト、アンタゴニスト、または混合アゴニスト−アンタゴニストでありうる。本発明の適切な親ポリペプチドの例としては、メラノコルチン−受容体特異的ペプチド、ウロキナーゼ型組織プラスミノーゲン・アクチベータータンパク質、アミロイドベータ−タンパク質関連ペプチド、プリオン病関連ペプチド、バソプレシンペプチド、オキシトシンペプチド、アンギオテンシンペプチド、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、ブラジキニン、コレシストキニン、ウロテンシン、ボムベシン、ニューロメジンB、ガストリン放出ペプチド、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ソマトスタチン、オピオイドペプチド、ヒト成長ホルモン、ヒトプロラクチン受容体配位子、アルファ−インターフェロンのような種々のインターフェロン、上皮成長因子、腫瘍壊死因子、および種々の低血圧性ペプチド;繊維素溶解ペプチド、走化性ペプチド、成長プロモーターペプチド、分裂促進因子、免疫調節因子などが挙げられる。
【0035】
一般に、本発明を使用するために、目的の受容体に対する本発明の構築物の結合または官能性を決定し、そして好ましくは、目的の受容体に対する親ポリペプチドの結合または官能性をも決定する少なくとも1つのアッセイまたは試験が、知られなければならない。本発明の好ましい実施態様では、競合阻害または類似のアッセイを使用し、それにより本発明の構築物の結合または官能性活性を、親ポリペプチドと直接比較でき、そしてそれにより直接的に相対的結合または官能性活性を決定しうる。他の実施態様では、他のアッセイまたは試験を使用しうる。これらのアッセイは、必要ではないが、官能性アッセイでありうる。アッセイの例としては、多様な競合阻害アッセイ、直接結合アッセイ、官能性アッセイなどのいずれかが挙げられる。例えば、本発明の構築物が、アゴニスト、アンタゴニストまたは混合アゴニスト−アンタゴニストであるかどうか、そして、さらに結合および官能性は、受容体親和性と特異性の両方、並びに官能性活性を独立に決定するために、別個に決定されうるかを決定するアッセイを使用することも、可能であり、そして考慮される。このようなアッセイおよび試験の例は、周知であり、そして当業界で十分に文書で述べられており、そして一般に、1つまたはそれより多くのそのようなアッセイまたは試験は、いずれかの親ポリペプチドに対して知られている。
【0036】
本発明の方法では、親ポリペプチドは、1つまたはそれより多くの、そして好ましくはその後、金属イオンに錯体化される一連のペプチドの発生のためのテンプレートとして使用される。好ましい実施態様では、発生したペプチドは、親ポリペプチドと同じ長さ、または同じ長さ足す1個の残基のものである。発生ペプチドを、金属イオンに錯体化させ、それにより金属ペプチドを形成する。その後、金属ペプチドを、多様な既知または新規アッセイまたは試験のいずれかに使用し、そしてその金属ペプチドの結合または官能、または両方を、親ポリペプチドのものと比較した。
【0037】
親ポリペプチド中の標的特異的部位を、結合または官能が金属イオンに対するこのような残基の錯体化により最も阻害される残基として試験で同定しうる。一般に、一連の残基(例えば、N3S1錯体化システムを形成する一連の3個の残基のような)に対する金属イオンの錯体化は、生じる構造が固定されるように、このような一連のものを、既知で特異的で、そして極度に堅い二次構造に固定する。一般に、種々の共通の金属イオンの配位園は、4座から6座までである。本発明による1つの実施態様では、残基は、ペプチドが、金属と錯体化するための所望の数(ほとんどの場合には4から6まで)の基を含有する3または4個の残基配列を含有するように各々発生されたペプチド内に含まれる。金属との錯体化により、結果として、生じる金属ペプチドは、金属錯体化の部位の周辺に二次構造モチーフを形成する。配位数4、5または6を示し、およびそれぞれ、4、5または6座配位子を形成するアミノ酸配列と錯体化する金属は、配位子を折畳み、そして拘束する。言い換えると、ペプチドのような非常に柔軟な分子を折畳んで、金属イオンとのそれの錯体化により、局所の二次構造モチーフを形成する。この生じたモチーフは、配座の点で、非常に拘束された構造である。
【0038】
非常に拘束された局所の二次構造モチーフは、結合または官能に必要な親ポリペプチド中の対応の生来の構造上の二次モチーフと異なる場合、それにより、結合または官能は阻害される。この阻害は、親ポリペプチドの配列に沿って異なる位置で金属イオン錯体化から生じる非常に拘束された局所の二次構造を形成するために親ポリペプチドを順次修飾することによって、結合または官能のような、生物学上の活性に起因する親ポリペプチド内の特異的配列を同定するために使用されうる。
【0039】
レニウムを用いた金属イオン錯体化は、図5で示されるとおり、ラマチャンドラン・ファイ−プサイ・プロットで識別される特異的ターン構造を生じる。図5のラマチャンドラン・プロットは、図1から4までの構造の金属ペプチドコアのM−1、M−2、M−3−L、およびM−3−D残基の配位、従って対応の構造傾向を示す。従って、L−Cysを有する金属ペプチドは、螺旋の短い右手ターンの擬態を形成する一方で、D−Cysを有する金属ペプチドは、螺旋の短い左手ターンの擬態を形成することが分かりうる。天然の螺旋ターンは、右手のもののみであることは周知である。従って、金属ペプチドアプローチは、右手および左手の両方の構造が構築されうるという利点を供する。これらの構造は、形態学上の位置に、右手螺旋中のiおよびi+4残基の側鎖についてのものと同じ化学的空間に金属ペプチドを含有するL−Cys中のiおよびi+5残基の側鎖を利用されうる。代わりに、金属ペプチドを含有するD−Cysが、推定非天然の左手螺旋のiおよびi+4残基についての形態学上の擬態の創作を可能にする。
【0040】
天然でそして線状のペプチドおよび類似体が、特定の型の二次構造で所定のアミノ酸残基の包含を除外するチョウ−ファスマン型の規則(PY ChouおよびGD Fasman:タンパク質構造の推定、Biochemistry 13巻:222−245頁、1974年)の領域に従う一方で、本発明の方法および構築物は、これらの規則に完全に独立であることも認識されるべきである。本発明は、チョウ−ファスマン規則限定なしに、そしてほとんど他のなんらの限定なしに、構造中のあらゆる天然または合成のアミノ酸残基の組込みを可能にする。
【0041】
図1から4までに示される構造が、天然のタンパク質構造中のものと非常に異なる骨格を有する一方で、本発明の1つの目的は、対応の生来のタンパク質構造でと同じ化学的空間で種々のアミノ酸残基のC−α炭素原子、並びに所定の場合にはC−β炭素原子を位置決めする上での類似性を利用することである。生物学上の活性な親ペプチドに見られる全てまたは実質的に全ての残基を含むこれらの金属ペプチド構造を利用して、親ペプチドに沿って、生物学上重要な遺伝子座で特異的ターンを含む手段によって、金属イオン錯体化、および/または他の結合構成要素での立体的妨害を表し、そして定義する生物学上不活性な分子を、同定できる。従って、重要なアミノ酸残基の同定は、ポリペプチド中の折畳み部位または他の生物学上活性な構造に必然的に関与する残基を解明する。
【0042】
いったん特異的配列が同定されると、同定されたアミノ酸残基のみを、そして都合により、同定されたアミノ酸残基のN末端またはC末端のいずれかの上に1から約3個の残基を包含する小さな配列の金属ペプチドを作製するために、参照してここに組込まれる国際特許公開公報第02/064734号として公開される国際特許出願番号PCT/US01/50075号の方法を使用することが可能である。生じた小型の金属ペプチドは、それらの関係に限定せずに、互いの空間の関係、およびそれらの不斉を含めた重要な拘束アミノ酸残基における情報を提供する。この情報は、その後、コンピュータ処理済み分子モデルのような、さらに最適化のために最小限の構造活性基モデルを定義する分子モデルを生成するのに利用しうる。本発明の実施では、親ポリペプチド中の天然に生じる側鎖のその場で相同のアミノ酸側鎖を置換することによるような所望の生物学上の効果を強調する定義された形態のさらなる修飾によってそれにより同定される構造モチーフを利用することが可能である。相同の側鎖の例としては、それに限定されないが、D−アミノ酸残基をL−アミノ酸残基に置換するか、または例えば、フェニルアラニン残基としては一連のフェニルグリシン、ホモフェニルアラニン、環置換ハロゲン化およびアルキル化またはアリール化フェニルアラニン、アルギニン残基としてはジアミノプロピオン酸、ジアミノ酪酸、オルニチン、リシンおよびホモアルギニンなどのようなアミノ酸の相同体を利用することが挙げられる。
【0043】
PCT/US01/50075号で教示されるとおり、生じる特異的ターン構造が、親ポリペプチド中の生来または内因性ターン構造の擬態である事象では、それにより生じる金属ペプチドは、それ自身、医薬上の剤として使用されうるか、または小型分子をモデル化する形状空間を定義するテンプレートとして使用されうる。その出願で教示されるとおり、親ポリペプチドを、N11残基の挿入または置換により要求されるとおり修飾された小型配列に「分割」し、そして各々の生じた金属ペプチドを試験することが好ましい。従って、例えば、15個の残基長の親ポリペプチドは、一連の金属ペプチドに分割され得て、その各々は、4個の残基長のものである。
【0044】
出願人は、金属ペプチド形成が、金属錯体化部位の位置が一次構造を通して、そして最小の結合を有する金属ペプチドの決定により生物学上の活性に密接に結びつけられる重要な配列の同定と共に、一次構造を通して残基により段階的に変化されるものである「ノックアウト」金属ペプチドを必須に形成することによって、結合または官能のような生物学上の活性に起因する親ポリペプチド内の一部または配列を同定するために使用されうる。金属ペプチド中の活性基は、金属錯体化部位が活性基を分断させたり、または干渉したりしない例で、付随の生物学上の活性と共に保存される。従って、ここに開示される方法は、PCT/US01/50075号に開示されるもののような先行の方法が、生じた金属ペプチドが活性基の擬態であるように好ましい三次元立体配置で活性基を安定化させるために金属錯体化を利用し、そして目的の受容体または標的に結合するものである活性基を排除またはノックアウトさせる金属錯体化の使用に関与する。
【0045】
金属錯体化部位の三次元配座が、結合または官能のような生物学上の活性に起因する親ポリペプチド内の配列の、二次構造と言うベき三次元配座の閉鎖擬態でない本発明に記述されるアプローチが、特に有効であることが十分に分かりうる。例えば、親ポリペプチドでの挿入または置換のためのD−Cysの使用は、挿入または置換のためのL−Cysの使用と比べた場合、生物学的に不活性の金属ペプチドを生じ得て、それにより、部分的に、結合または官能に関係した特異的アミノ酸残基、並びにその側鎖の空間的向きの両方を定義しうる。金属錯体化から生じる三次元配座は、活性基の閉鎖擬態である場合でさえ、生じた金属ペプチドは、それにもかかわらず、金属錯体化から生じる全体的または三次構造効果により、生物学的に不活性であるか、または生物学上の活性が減少したことを示しうることも可能であり、そして予想される。例えば、水素結合ドナー体またはアクセプター、陽性または陰性に荷電された中心、芳香族環中心、疎水性中心またはその他のような1つまたはそれより多くの補助要素が、生物学上の活性に関与しうるが、それにもかかわらず、主要活性基から1つまたはそれより多くの残基まで遠位で、そして金属錯体化の結果として、立体的に利用可能でない可能性がある。従って、これは、立体的障害の形態と見なされうる。実際に、金属錯体化部位の三次元配座が、閉鎖擬態であり、そして生物学上の活性のために要求される他の補助要素の立体障害を生じない場合、それによりPCT/US01/50075号の方法は、十分に使用されうる。しかし、PCT/US01/50075号の方法は、特異的な所望の三次元配座の決定を生じない場合、それにより本出願で開示されるとおりの方法が使用されうる。
【0046】
本発明の1つの好ましい実施態様では、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質のその部分の局所二次構造、そして一般に、アミノ酸残基またはそれの擬態を組込み、目的のあらゆる受容体または標的に結合するあらゆる分子または分子構造は、以降に提供される方法および構築物の手段により定義される。
【0047】
本発明は、金属イオンを、2個またはそれより多くのアミノ酸残基と、そして好ましい実施態様では、3個のアミノ酸残基と錯体化させることによって形成された金属ペプチドの特徴的な構造および特徴に利益をもたらすために使用する。例えば、Re、Tc、Cu、Ni、Au、Ag、SnおよびHgのイオンを含めたほとんどの金属イオンについては、そこに少なくとも1種の利用可能な硫黄原子(S)を含む連続の一連の3個のアミノ酸残基への錯体が好ましい。好ましい実施態様では、継続の一連の3個のアミノ酸残基で1つの利用可能なSがある。すなわち、このようなイオンが、錯体化に適切で、そして望ましい酸化状態にある場合、金属イオンは、錯体化のために利用可能であるSがないトリペプチド配列よりも、好ましくは、錯体化のために利用可能なSを有する残基、および最も好ましくは錯体化のために利用可能なSおよび窒素原子(N)の両方を含む残基を含むトリペプチド配列に錯体化する。
【0048】
例えば、従って、長さn(nは、少なくとも3である)のいずれかのアミノ酸配列で、適切でそして望ましい酸化状態にある金属イオンは、トリペプチド配列A1−A2−Cys(A1およびA2の各々が、独立に、ProまたはCys以外のいずれかのアミノ酸残基であり、そしてさらに、長さnのアミノ酸配列中に存在するCysのみ(または錯体化のために利用可能なSを有する他の残基)が、A1−A2−Cys中のCysである場合)に、優先的に錯体化することが分かりうる。ここで、Cys、並びにA1および/またはA2は、L−またはD−立体配置のものでありうる。金属錯体化反応の原動力は、好ましい生じた金属ペプチドが、4座金属イオンについて、トリペプチド配列A1−A2−Cysから形成されるN31配位子を含むようなものである。1つ以上のCys残基、またはN(窒素)およびS(硫黄)原子の両方を供するCys残基の擬態または変種と共に、生じた金属ペプチドの構造は、推定するのが困難であり、そして金属ペプチドの多様な種は、金属イオンとの錯体化から生じうる。例えば、2個のCys残基を含有する長さnのアミノ酸配列は、内部ジスルフィド架橋などを架橋、二量体化、形成しうる。金属錯体化の点で、その配列の一次構造により、いくつかの分子が、第一部位に、他方が第二部位に、そしてさらに、他方が両方の部位に結合した金属イオンを有するように、金属イオン錯体化の少なくとも2つの異なる部位がありうる。従って、2つまたはそれより多くのCys残基を有する生じた金属ペプチドの構造は、推定され得ず、そして実験で決定されなければならない。同様に、さらに配列の一次構造によって、配列中の1つまたはそれより多くの部位が、N31配位子を提供する一方で、その配列中の少なくとも1つの他の部位は、N22配位子を提供することも可能である。ここでも、生じる金属ペプチドの構造は、推定され得ず、そして実験で決定されなければならない。一般に、以降に検討されるとおり、このような結果は、1つまたはそれより多くの選択Cys残基中のSが、金属イオン錯体化に利用可能でないように適切な保護基を利用することによって、またはこのようなCysを別の残基、好ましくは金属イオン錯体化のためにSを提供しない、以降に定義されるとおりの相同体に置換することによって、1つ以上のCys残基を含むアミノ酸配列で避けられうる。
【0049】
本発明は、少なくとも部分的に、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の領域の二次構造、または一般に、目的のあらゆる受容体または標的に結合する、アミノ酸残基またはそれの擬態を組込むあらゆる分子または分子構造を定義する方法を包含する。これは、Cys残基、または分子に沿って各々利用可能な位置で、金属イオンの配位圏に錯体化のためにNおよびSの両方を供し、そこに金属イオンを錯体化させて、金属ペプチドを形成し、そして生じた金属ペプチドを、目的の受容体または標的に対する結合について試験する他の残基(「N11残基」)、擬態、または相同体の置換または挿入によって達成される。本発明の1つの実施態様では、目的の受容体または標的に結合するペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のような親ポリペプチドの一次構造が知られている。このような親ポリペプチドは、ある程度特定の数の残基より構成され、n残基として引用される。式R1−Z−R2(R1は、親ポリペプチド中の残基と同じであるか、または相同体であり、そして親ポリペプチドと同じ順である2からnまでの残基である)の一連のペプチドを作製する。Zは、あらゆるN11残基であり、そしてそれに限定されないが、L−Cys、D−Cys、L−Pen、D−Penまたは3−メルカプトフェニルアラニンが挙げられる。R2は、親ポリペプチドでと同じ順で、既知の一次構造中の残基と同じか、または相同体である0からn−2までの異なる残基である。さらに、R1およびR2は、一緒に、少なくとも2個の残基を構築し、そして一緒に、Zが2つの隣接残基の間に挿入されるか、または単独の残基に置換するかのいずれかである、親配列でと同じ順で配列を形成する。好ましくは、R1およびR2は、一緒に、挿入の事象でnに等しく、そして置換の事象でn−1に等しい。R1またはR2中のいずれかのCysは、Gly、AlaまたはSer(天然に生じるコード化タンパク質アミノ酸残基の中で)、そして好ましくはGlyまたはAlaに保存的に置換されうる。代わりに、S保護基を有するCys(以降記述されるとおり)を使用しうる。別の実施態様では、アミノイソ酪酸(Aib)、1−アミノ,1−シクロペンタンカルボン酸、またはデヒドロアラニン(ΔAla)のようなあらゆる合成または人工的な比較的小型の中性アミノ酸を使用しうる。Zのすぐ隣接のアミノ末端側での2つの残基中のいずれかのProは、推定金属イオン錯体化トリペプチド配列の一部を形成する位置に配置され、そして同様に保存的に置換される。金属イオンの配位圏に錯体化するPro中で利用可能なNはなく、従ってProは、金属イオン錯体化トリペプチド配列の一部を形成できないので、このような置換が要求される。従って、いずれかのこのようなProは、Gly、AlaまたはSer(天然に生じるコード化タンパク質アミノ酸残基の中で)、そして好ましくはGlyまたはAlaで置換されうる。別の実施態様では、Aib、1−アミノ,1−シクロペンタンカルボン酸、またはΔAlaのようなあらゆる合成または人工的な比較的小型の中性アミノ酸を使用しうる。
【0050】
ここで使用される場合、用語「相同体」としては、上に説明されるとおり置換されるべきCysの場合には、Gly、AlaまたはSer、そして好ましくはGlyまたはAlaでの保存的置換が挙げられる。用語「相同体」は、さらに、S保護基のため、Cys残基中の硫黄は、金属イオンに対する結合にもはや利用可能でない、S保護基を有するCysを含む。用語「相同体」は、さらに、置換されるべきCysの場合には、例えばAib、1−アミノ,1−シクロペンタンカルボン酸、またはΔAlaのようなあらゆる合成または人工的な比較的小型の中性アミノ酸が挙げられる。上に説明されるとおり置換されるべきProの場合には、用語「相同体」としては、Gly、AlaまたはSer、そして好ましくはGlyまたはAlaでの保存的置換が挙げられる。用語「相同体」は、さらに、置換されるべきProの場合には、例えばAib、1−アミノ,1−シクロペンタンカルボン酸、またはΔAlaのようなあらゆる合成または人工的な比較的小型の中性アミノ酸が挙げられる。ZまたはCysのすぐ隣接のアミノ末端側での2つの残基中のPro以外のR1またはR2のいずれかでの残基の場合には、そのような残基の「相同体」は、(a)L−アミノ酸残基に置換されるD−アミノ酸残基、(b)後翻訳で修飾された残基、(c)フェニルアラニン残基については、フェニルグリシン、ホモフェニルアラニン、環置換ハロゲン化、およびアルキル化またはアリール化フェニルアラニン、アルギニンについては、ジアミノプロピオン酸、ジアミノ酪酸、オルニチン、リシンおよびホモアルギニン等のような、このような残基に基づいた非タンパク質アミノ酸または他の修飾アミノ酸残基、および(d)コード化または別の方法によるあらゆるアミノ酸残基、または飽和脂肪族側鎖、官能化脂肪族側鎖、芳香族側鎖または異種芳香族側鎖である点で、類似に荷電された側鎖(中性、陽性または陰性)、好ましくは類似の疎水性または親水性、および好ましくは類似の側鎖を有する、アミノ酸残基を擬態する構築物または構造が挙げられる。
【0051】
1つのノックアウト配列が、同定され、そしてそれは、結合または官能性が減少したことを示し、同定アミノ酸残基のN末端またはC末端のいずれかで、同定アミノ酸残基のみを、そして任意で、1から約3個までの残基を、そして好ましくは2個のみを包含するものである小さな配列金属ペプチドを作成するのに、PCT/US01/50075号の方法を使用することが可能である。簡潔には、金属イオン錯体化に関与したアミノ酸残基、そして任意で1つまたは2つの隣接残基を包含する同定されたノックアウト領域を選択する。その後、それらの配列より構成される金属ペプチドを作成し、D−CysにL−Cysを置換し、さらにその活性基を定義するために側鎖の置換、および他の類似の修飾をすることによって、活性基は、さらに解明されうる。
【0052】
好ましい実施態様では、親ポリペプチドを、単独ユニットとして処理する。例として、15個のアミノ酸残基、すなわち、nは15であるペプチドが、特異的既知受容体に結合することを仮定する。ペプチドは、
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH
と記述されうる。
【0053】
この親ポリペプチドでは、Xは、残基がいずれかの順または配列で、複数回反復しうるいずれかの残基でありうる。従って、位置X1での残基は、位置X2での残基と異なるか、または同じであり得て、そしてそれは、位置X1または位置X3での残基と異なるか、または同じでありうる、等である。ここにも、Cysが、親ポリペプチド中に存在する場合、置換がなされうる。同様に、Proが、以降に供されるN11残基のアミノ末端側にすぐに隣接のR1で2個の残基に入る場合のように、推定金属イオン錯体化トリペプチド配列の一部を包含するProが存在する場合、置換がなされうる。
【0054】
本発明の実施で、L−またはD−システイン、または金属イオンに対する錯体化のためにNおよびSの両方を供する他のあらゆる天然、人工または合成のアミノ酸または擬態のような、金属イオンに対する錯体化のためのNおよびSの両方を供するN11残基を使用する。以下の例については、「Cys」を使用し、あらゆるN11残基が、同様に使用されうること、そしてこの例および続くものが、N11残基としてCysに限定されないことが理解される。以下のペプチドが生じるように、システインが、第二位置(X2)から第16(n+1)位置(X15の次)までの後に挿入される標準ペプチド合成技術を使用して、ペプチドを構築する:
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(親)
NH2−X1−X2−Cys−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(挿入1)
NH2−X1−X2−X3−Cys−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(挿入2)
NH2−X1−X2−X3−X4−Cys−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(挿入3)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−Cys−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(挿入4)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−Cys−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(挿入5)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−Cys−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(挿入6)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−Cys−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(挿入7)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−Cys−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(挿入8)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−Cys−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(挿入9)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−Cys−X12−X13−X14−X15−COOH(挿入10)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−Cys−X13−X14−X15−COOH(挿入11)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−Cys−X14−X15−COOH(挿入12)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−Cys−X15−COOH(挿入13)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−Cys−COOH(挿入14)
【0055】
この場合に、親ポリペプチドに沿った各々の可能な挿入点は、各挿入点での金属イオン安定化二次構造モチーフの作成が、生物学上の活性は減少しているが、しかし境界が明確にされた金属ペプチドを生じるかどうかを決定するために、「走査」される。金属イオン錯体化での生じた金属ペプチド構造は、それぞれ、挿入10については、L−CysおよびD−Cys残基の挿入については図1および2で示される。上に列挙される金属ペプチド構造のいずれかは、同様に描かれうることは、容易に分かりうる。
【0056】
本発明の実施に使用される代替の実施態様では、「Cys」(上に検討されるとおりあらゆるN11残基でありうる)は、連続または段階的形態で、アミノ酸残基に置換される置換略図を使用しうる。従って、例えば、以下は、
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(親)
NH2−X1−X2−Cys−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(置換1)
NH2−X1−X2−X3−Cys−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(置換2)
NH2−X1−X2−X3−X4−Cys−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(置換3)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−Cys−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(置換4)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−Cys−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(置換5)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−Cys−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(置換6)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−Cys−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(置換7)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−Cys−X11−X12−X13−X14−X15−COOH(置換8)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−Cys−X12−X13−X14−X15−COOH(置換9)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−Cys−X13−X14−X15−COOH(置換10)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−Cys−X14−X15−COOH(置換11)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−Cys−X15−COOH(置換12)
NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−Cys−COOH(置換13)
を生じうる。
【0057】
金属イオン錯体化における生じた金属ペプチド構造は、親ペプチドでの残基についての、それぞれ、L−CysおよびD−Cys残基でのX11(置換9)の置換について図3および4で示される。上に列挙される金属ペプチド構造のいずれかが、同様に描かれるであろうことが容易に分かりうる。
【0058】
実施例から分かりうるとおり、多くの例で、金属ペプチドの大半は、結合または親ポリペプチドのものに類似の他の活性を示すが、その1つ、2つまたはそれより多くの金属ペプチドは、実質的で、そして明らかに減少した結合を示しうる。例により、挿入1から8までは、親ポリペプチドにより示されるものの80%と100%の間の結合を示し得て、挿入9は、30%相対的結合を示す可能性があり、挿入10は、15%相対的結合を示す可能性があり、挿入11は、0%相対的結合を示す可能性があり、挿入12は、40%相対的結合を示す可能性があり、そして挿入13および14は、80%と100%の間の相対的結合を示す可能性がある。従って、これは、金属イオン錯体化に関与した挿入11における残基が、結合に必須であること、および金属イオン錯体化は、結合活性をノックアウトしたことを教示する。隣接の金属イオン錯体化部位での結合が減少されることは、結合が減少されることを生じる局所の配座変化を示す。類似の筋書きが、記述される置換略図について十分に仮定されうる。
【0059】
一般に、その方法は、少なくとも約5個のアミノ酸残基、そして好ましくは約8個のアミノ酸残基のいずれかの親ポリペプチドと共に使用されうる。最大数の残基は、ペプチド合成に関連する拘束によってのみ限定される;一般に、その方法は、大きな親ポリペプチドに使用でき、そして約5個と15個の間のアミノ酸残基を有するいずれかの親ポリペプチドについて十分に使用されうるが、約20個までのアミノ酸残基を有するいずれかの親ポリペプチドに十分に適合されうる。
【0060】
合成の間、式R1−Z−R2で表されるZの−SH基は、下に説明されるとおり直交の保護剤を使用して保護されうる。生じた直交で保護されるCys含有ペプチドは、その後脱保護され、そして続いて、レニウムイオンのような金属イオンと錯体化され、それによりレニウムイオンの場合には、Re(O)Cl3(PPh32のような適切な予備形成金属オキソ転移剤を使用して金属ペプチドを形成させる。競合阻害アッセイのような適切なアッセイまたは試験の使用を通して、生じた金属ペプチドの各々の結合を、親ポリペプチドと比較し、そして結合が減少している金属ペプチドのものを、固有の結合部位を「ノックアウト」させる金属イオン錯体周辺に構造を含むと見なす。
【0061】
ここに表される方法および教示の手段により、細胞、組織、臓器および他の生物学上の材料に見られる受容体に対する結合を示す2個またはそれより多くのアミノ酸残基のいずれかの生物学上活性な配列も、同定されうる。用語「受容体」は、アクセプターおよび受容体の両方を含むことが意図される。受容体は、生物学上の受容体でありうる。配列は、信号を、細胞、組織または結合の後に生物学上の受容体と関連した他の材料に伝達させうるが、そのようなものは要求されない。例としては、それに限定されないが、ホルモン受容体、神経伝達物質受容体、細胞表面受容体、酵素受容体および抗体−抗原系に特異的な親ポリペプチド内の配列が挙げられる。親ポリペプチドは、アゴニストまたはアンタゴニストのいずれか、または混合アゴニスト−アンタゴニストでありうる。親ポリペプチドは、転写および他の遺伝子調節タンパク質の擬態として使用されうる配列のような、部位特異的RNAまたはDNA結合についてのあらゆる配位子をも含みうる。一般に、ポリペプチドは、その特異的結合対が、少なくとも2つの異なる分子から作成され、1つの分子は、他の分子の特定の空間的でそして極性組織に特異的に結合する表面上、または空洞中の領域を有するものである「特異的結合対」の構成要素を構築する。頻繁に、特異的結合対の構成要素は、配位子および受容体または抗配位子と呼ばれる。特異的結合対の例としては、抗体−抗原対、ホルモン−受容体対、ペプチド−受容体対、酵素−受容体対、炭化水素−タンパク質対(糖タンパク質)、炭化水素−脂肪対(糖脂質)、レクチン−炭化水素対などが挙げられる。
【0062】
競合阻害アッセイのような適切なスクリーンアッセイの使用を通して、生じた金属ポリペプチドの各々の結合を、親ポリペプチドと比較し、そして減少したか、または排除された結合を有するものは、親ポリペプチドの結合のために必要な配列の周辺に金属イオンで誘導される二次構造モチーフを含むと同定される。このように、このような親ポリペプチドに事実上含まれたペプチドまたはタンパク質折畳配座を考慮して、親ポリペプチドでの生物学上の活性に必要な特異的配列を同定する。いったん、減少するか、または排除された結合を有する1つまたはそれより多くの金属ペプチドを同定すると、アミノまたはカルボニル末端のいずれかの上のアミノ酸残基を加え、引くなどでき、側鎖を修飾し、そして類似の変化を行って、さらに、その配列と、結合のような生物学上の活性に必要な親ポリペプチドの二次構造の両方を解明する金属ペプチドを得ることができる。
【0063】
親ポリペプチドが、1つまたはそれより多くの内因性Cys残基を含有する事象では、非直交の−SH保護剤で固有のCys残基を保護すること、直交の−SH保護剤で導入されたN11残基を保護すること、その後、直交の−SH保護剤を選択的に脱保護すること、その後、金属イオンと脱保護N11残基を錯体化させ、そしてその後、非直交の−SH保護剤でCys残基を脱保護することが可能である。一般の非直交の−SH保護基の例としては、それに限定されないが、トリチル、ベンジル、p−メトキシベンジルおよびtBuが挙げられる。
【0064】
親ポリペプチドの一次構造が知られる一方で、受容体に対する結合に関与する特異的残基も、受容体に対するこのような結合に関与する二次構造も知られていない。従って、活性基の定義は、親ポリペプチドの一次構造の知識からのみでは誘導されない。活性基の知識は、例えば、ペプチド擬態および非ペプチド小型分子を含めた、受容体に結合し、任意でアゴニストまたはアンタゴニストのいずれかとして作用する広範な小型分子のいずれかの設計および構築を可能にしうる。既知親ポリペプチドの一次構造に基づいて、一連の金属ペプチドは、上に説明されるとおり構築される。いったん受容体に対する結合に関与する特異的残基が、ここに説明されるノックアウト手段によって同定されると、二次構造は、多様な手段のいずれかによって解明されうる。1つの実施態様では、二次構造は、PCT/US01/50075号で説明されるとおりに解明される。例えば、3個から6個までの残基のオーダーでより小さな配列が使用されうる。二次構造は、様々のN11残基から生じる様々のターン構造を使用することによって修飾されうる(例えば、L−CysをD−Cysに置換すること)。選択された金属ペプチドは、例えば、式R1−Cys−R2で、R1およびR2は、一緒に、3個未満、そして任意で好ましくは2個の残基のみを構築するような、許容しうる結合を生じる最小の残基を決定することによるように所望の通り、最適化されうる。同様に、選択金属ペプチドを最適化する修飾は、任意で、生じる金属ペプチドが、所望の水素結合ドナー体およびアクセプター、荷電中心、芳香族環中心、疎水性中心などをもち、それによって受容体に対する最適な結合を供するように、側鎖に関して作成されうる。本発明の方法によって決定されるとおり、親ポリペプチドに比較して所望の受容体に対する最適な結合を供する金属ペプチドを選択した場合、それにより、そのように選択された金属ペプチドは、PCT/US01/50075号で説明されるとおりにモデル化されうる。
【0065】
金属イオンの選択は、生じたターン構造の構造を部分的に決定する。例えば、Reイオンの使用は、正方形ピラミッド状の配位形状を生じる。Tc(実質的に類似の配位要求および化学を有し、そして一般にここにあるいずれかの実施例でReに置換されうる)は、同様に、正方形ピラミッド状の配位形状を生じる。Cu、NiまたはZnのような他の金属イオンの使用は、正方形平面状の配位形状を生じる。従って、Reの原子半径は、1.37Å台にあり、そしてCuのものは、1.28Å台の小ささであり、金属配位基の生じた寸法は、主に、配位形状により、そして金属イオンの原子半径によるのみでなく決定される。正方形平面状の配位4座形状をとるCu、NiまたはZnのような金属イオンと共に、金属イオンおよび4つの配位原子(S,NまたはOのような)の各々は、共面である。しかし、ReまたはTc(正方形ピラミッド状の配位4座幾何学を生じる)のような金属イオンを使用する場合、4つの配位原子(S、NまたはOのような)は、共面であるが、しかしReの場合には、金属イオンは、配位原子の平面から約.65Å離れている。
【0066】
本発明では、広範な金属イオンのいずれかが、使用されうるが、しかしReおよびTcが、特に好ましい。両方の金属は、Cys含有ペプチドと類似の錯体を形成し、そして類似の立体ピラミッド状の錯体を生じる。しかし、Re錯体化ペプチドは、対応のTc含有ペプチドよりいっそう化学的に安定である。1つの平面に金属イオン並びに全てのペプチドの4つの配位原子を用いたZnおよびCuの正方形平面状錯体は、金属イオンの原子半径における差にもかかわらず、金属イオンがペプチドの4つの配位原子の平面から上向きに突き出される、TcまたはReで得られたのとほぼ等しい錯体化形状を生じる。総体的結果は、例えばRe、Tc、ZnまたはCuが使用されようとなかろうと、各々が、構造的特徴の類似性を与える金属ペプチドである。しかし、Re錯体化金属ペプチドは、金属ペプチドが、特別または外来の賦形剤または保護剤のあらゆる必要なしに、空気および湿度で安定である点で特徴的である。Re錯体は、固形化合物として日常的に単離され得て、そして広範なpH範囲に渡って固形として、そして溶液中で安定であり、それにより分析的特徴づけおよびさらに重要には、広範な条件に渡ってインビトロおよびインビボ生物学的実験の両方での使用の両方を促進する。Zn錯体およびCu錯体のような他の金属型は、溶液形態で実験で利用される。しかし、Zn錯体およびCu錯体は、形成するのが非常に容易であり、そして基本的に、適切に緩衝された溶液中で1マイクロモルから1ミリモルまでの濃度の金属イオンの存在下で形成される。
【0067】
ReおよびTc錯体は、一般に、金属オキソ錯体であり、そして好ましい実施態様では、酸化状態[V]である。金属ペプチド中の金属オキソコアM=Oは、コア構造中に異性状態を生じうる。金属オキソ基は、キラルアミノ酸側鎖に関してsynまたはantiでありうる。オキソ基の配向が、アミノ酸側鎖により作り出された構造的特徴表面を改変しないので、この異性状態は、金属ペプチドの生物学上の活性にほとんどまたはまったく影響を示さない。すなわち、金属イオンのオキソ基は、配座で拘束されたアミノ酸側鎖提示を立体的に妨害しない。実際に、金属イオンは、ターンが、天然のターン構造中で水素結合によって安定化されるものに立体的に類似な配置に位置づけられる;従って、オキソ基は、天然のターン構造で処理可能でない空間に含まれる。金属ペプチドの個々のsyn−およびanti−異性体のコンピュータ処理モデル化は、これらの2つの構造が、各アミノ酸位置に関して完全に見分けがつかず、そしてオキソ基の配向は唯一の差であるこをと示した。従って、図1から4までが、金属−オキソ基の1つの可能性のある立体配置を描く一方で、金属−オキソ基が異なる立体配置にある場合に、同じ結果が得られる。
【0068】
本発明の実施で、残基の遊離チオールまたはスルフィジル(−SH)基は、金属イオンの錯体化に利用されることが分かりうる。しかし、遊離SH基を有するペプチドおよび他の有機分子は、空気中で、そして溶液中で容易に酸化され、そしてジスルフィド結合二量体をしばしば形成しうる。1つより多い遊離−SH基が分子中に存在する場合、酸化は、錯体重合体に至りうる。さらに、金属イオンがペプチドに錯体化されるときに1つより多くの遊離−SH基を用いて、そのペプチドの1つより多くの部位で金属イオン錯体化を有することが可能である。これは、金属ペプチドの混合種を生じ、それにより目的の標的に対する結合に起因する特異的金属ペプチドの決定、並びに関連のある二次構造の決定を複雑にする。同様に、遊離−SH基を有する様々のペプチドまたは有機分子の混合物を作成する場合、酸化は、一般に、未知組成物の重合体の錯体混合物を導く。これは、1つまたはそれより多くの−SH基は、金属錯体化に使用することが意図される金属ペプチドまたは他の有機分子のライブラリーを作製する上での重大な懸案事項である。
【0069】
−SH基を組込む、本発明の金属ペプチドを構築するために、そして最も特徴的に、ライブラリーを構築するために、S保護誘導体を使用することが望ましい。(a)S保護基を有するペプチドの合成が、溶液および固相ペプチド合成の方法に適合性があり、その結果、S保護基が、合成処置の間じゅう安定であり、そして(b)S保護基が、金属錯体化段階の間じゅう、固相合成の場合に樹脂から切断されることなく、現場で脱保護されうるように、S保護基が選択される。前述の条件に見合うS保護基は、ここで直交S保護基(OSPG)として定義される。多くの先行技術の保護基は、上で特定される2つの条件の内せいぜいただ1つに適合し、従って、ここに定義されるとおりOSPGを構築しない。
【0070】
直交でS保護されたチオール基の使用は、単独容器中の金属化合物の合成を可能にする。各々の化合物がOSPGを含有する化合物の混合物は、金属イオンとの錯体化のために使用され、そしてS保護基が脱保護され、従って、重合および架橋が避けられるのは、金属イオン錯体化の間のみである。従って、この手段は、金属ペプチドの一様なライブラリーを提供する。
【0071】
上で特定される条件に見合い、そして本発明に有益に利用されうる1つのOSPGは、−SH基を保護するのにStBu(S−チオ−ブチルまたはS−t−ブチル)基を使用する。StBu基は、ペプチド合成で特に使用される酸性および塩基性条件の両方の下で安定である。さらに、StBu基は、適切なホスフィン試薬を使用した還元によって切断され得て、そしてその還元段階は、金属イオンをペプチドに錯体化させる直前、または同時に使用されうる。このようなOSPG切断は、樹脂からペプチドを切断しないか、またはそうでなければペプチドの構造を改変したりしない。
【0072】
上で特定される条件に見合い、そして本発明に適切な別のOSPGは、−SH基を保護するためにS−Acm(Sアセトアミドメチル)基を使用する。Acm基は、ペプチド合成の間に通常に使用される酸性および塩基性条件下でも安定である。S−Acm基は、それの水銀または銀イオン錯体化状態でチオールペプチドを遊離しうる酢酸水銀(II)またはテトラフルオロ硼酸銀(I)を用いたS−Acm保護ペプチドまたはペプチド樹脂の処理によって除去されうる。水銀または銀イオン金属ペプチドが望ましい場合には、生じる金属ペプチドは、溶液で保持され、そしてここに記述されるとおりのアッセイで使用されうる。代わりに、水銀または銀イオンとチオール錯体化塩を、ベータ−メルカプトエタノールまたはジチオスレイトールのような過剰のチオール含有試薬を用いて処理することによって、遊離チオール含有ペプチドを回収しうる。その後、生じたペプチドを、ReまたはTcのような金属に対する金属錯体化のために使用する。代わりに、水銀または銀イオンとチオールで錯体化したペプチドを、Re錯体化試薬のような金属イオン錯体化試薬で直接処理して、Re金属ペプチドのような所望の金属ペプチドを形成しうる。
【0073】
金属ペプチドについてのOSPGの他の例としては、4−メトキシトリチル(Mmt)、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル(Npys)およびS−スルホネート(SO3H)が挙げられる。Mmtを、ジクロロメタン中の1%TFAでの処理により選択的に除去する。NpysおよびS−スルホネートは、ベータ−メルカプトエタノールまたはジチオスレイトールのようなチオール含有試薬での、またはトリブチルホスフィンのようなホスフィン試薬での処理により選択的に除去される。Npys基(RG Simmondsら:Int J Peptide Protein Res、43巻:363頁、1994年)は、ペプチド合成についてのBoc化学に適合性があり、そしてS−スルホネート(I Maugrasら:Int J Peptide Protein Res、45巻:152頁、1995年)は、FmocおよびBoc化学の両方に適合性がある。相同の一連のS−アルキル、またはS−アリール、またはS−アラルキルから誘導される類似のOSPGも、本発明に使用されうる。OSPGの第一の特徴づけは、それの使用が、各々チオール含有アミノ酸と保護基からの1つの硫黄原子を利用するジスルフィド(S−S)結合の形成を生じることである。さらに、生じたジスルフィド結合は、多様なジスルフィド切断剤のいずれかの使用により切断され、そしてそれに限定されないが、ホスフィン−およびチオール−含有試薬が挙げられる。
【0074】
tBu保護−SH基、または他のOSPGを使用する方法が、固相または溶解性ライブラリーのいずれかの生成のために使用されうる。固相ライブラリーについては、ペプチドは、従来のFmoc化学の使用により合成されうる。従来のFmoc化学の場合では、Fmoc−L−Cys−(StBu)を、1つまたはそれより多くの中間体アミノ酸残基を介して、適切な樹脂に結合させ、そしてその後、別のアミノ酸残基を、L−Cys−(StBu)残基に結合させ、StBuを、L−またはD−Cysのいずれかと使用でき、そして設計者のまたは人工のアミノ酸残基およびそれの擬態を含めた多様な他のアミノ酸残基のいずれかは、金属イオンに対する錯体化に利用可能な−SH基によって特徴づけられ、そしてそれに限定されないが、3−メルカプトフェニルアラニンおよび3−メルカプトバリン(ペニシルアミン)のような他の関連3−メルカプトアミノ酸残基が挙げられ、その前述の全ては、N11残基を構築する。これら全ての場合には、S保護は、上に記述されるとおりS−But、S−Acm、Mmt、Npys、S−スルホネートおよび関連基によるものである。
【0075】
ペプチドに対する金属イオンの錯体化は、ペプチドを、金属イオンと混合することによって達成される。これは、溶液で従来的に行われ、そして溶液は、適切な緩衝液を含む。1つのアプローチでは、ペプチドまたはペプチド擬態構成要素と混合した場合、金属イオンは、すでに、錯体化のために最も好まれる酸化状態にある。カルシウム(II)、カリウム(I)、インジウム(III)、マンガン(II)、銅(II)、亜鉛(II)および他の金属のようなある種の金属イオンを、それらの最も安定な酸化状態で錯体化する。他の例では、金属は、錯体化されるために低い酸化状態に還元されなければならない。これは、第一鉄、第二鉄、第一スズ、第二スズ、テクネチウムオキソ[V]、ペルテクネテート、レニウムオキソ[V]、ペルレネートおよび他の類似の金属イオンに当てはまる。還元は、同時にその配列と混合するか、またはその配列と混合することを連続して、配列との混合の前に行われうる。当業界で知られる所望の酸化状態への金属イオンの還元のいずれかの手段を使用しうる。
【0076】
ReおよびTcは、特に、生じた金属ペプチドが、精製され、そして凍結乾燥によるように溶液から除去され、そして安定なままでありうるという点で使用するのに好ましい金属イオンである。例えば、Zn、Cu、Ni、Co、FeおよびMnを利用する金属ペプチドとして他の金属ペプチドは、溶液中で安定であるが、しかし、溶液から除去される場合、金属イオンの酸化または損失の傾向がある。従って、これらの金属ペプチドは、溶液中に、最適適切なpHで、そして適切な緩衝液を用いて、アッセイおよび他の試験を行う間を含めた全ての時間保存されなければならない。これは、これらの金属イオンの利用性におけるいくつかの制限を与える;しかし、ReまたはTc以外の金属イオンを利用する金属ペプチドは、ここに検討されるとおりに使用されうる。
【0077】
固相樹脂結合ペプチドまたはペプチド擬態配列は、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセ−7−エン(DBU)のような塩基の存在下で、レニウム転移剤ReOCl3(PPh32を用いた処理によりレニウムイオンで標識されうる。その後、配列は、樹脂から切断されうる。溶液中のペプチドまたはペプチド擬態配列は、トリエチルアミン、ジソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンまたはDBUのような塩基の存在下で、レニウム転移剤ReOCl3(PPh32を用いた処理により類似に標識されうる。塩基としてDBUの存在下での金属錯体化は、周囲の室温で便宜的に達成されうる。
【0078】
金属錯体化の代替的方法で、酢酸ナトリウムのような弱塩基を使用しうる。この場合には、溶液中、または固相と結合してかのいずれかで、チオール含有配列は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン(DCM)、N−メチルピロリジノン(NMP)、メタノール(MeOH)またはそれの混合物のような適切な溶媒中に採取され、そして15分間、酢酸ナトリウムの存在下で、レニウム転移剤ReOCl3(PPh32と共に60−70℃に加熱する。同様に、トリエチルアミン、水酸化アンモニウムなどのような他の塩基が使用されうる。本発明によって、MeOHは、溶液中のS−脱保護ペプチドの場合には、レニウム錯体化のための溶媒の好ましい選択である。固相になお付着したS−脱保護ペプチドについての溶媒選択は、固相の優れた溶媒和(膨張)の配慮によって主に誘導される。DMFおよびNMPを使用しうる。MeOHおよびDCM、CHCl3などとも組み合わせて、これらの溶媒の種々の混合物も、最適化錯体化の結果を生じるために使用されうる。
【0079】
本発明の1つの実施態様では、StBu保護ペプチドを、DBUおよびトリブチルホスフィンの存在下でレニウム転移剤で現場で処理して、1つの容器内でS脱保護およびレニウム錯体化をもたらす。代わりに、レニウムペルレネートの存在下でのStBu保護ペプチドへのレニウムの錯体化は、Sn[II]Cl2での処理によって達成されうる。この試薬は、現場でのS脱保護、並びにReO4状態からReO状態への変換をもたらし、それによりS脱保護ペプチドに対するレニウムの錯体化をもたらす。本発明での好ましい手段は、トリブチルホスフィンを用いた処理によるS脱保護を有するSBut保護ペプチドの使用、そして室温でのDBUの存在下でReOCl3(PPh32を利用する生じたペプチドの金属錯体化である。
【0080】
本発明のペプチドのライブラリーを作製すること、そしてその後、生じたペプチドを、レニウムのような金属イオンに錯体化させて、金属ペプチドを生じることは可能であり、そして予想される。このようなライブラリーは、固相ライブラリーであるか、または溶液相ライブラリーでありうる。ペプチドライブラリーは、最初に、ペプチド合成の周知方法により、上に記述されるとおり、親ポリペプチドに基づいて組立てられる。固相および溶液ライブラリーの両方が、この手段で得られうる。その後、全ライブラリーを、適切な金属錯体化剤と反応させて、類似のクラスの予め決定された構造を包含する対応の金属配位ライブラリーを得る。例えば、レニウムオキソ金属イオンとのペプチドライブラリーを錯体化するために、ペプチドライブラリーを、酢酸ナトリウムの存在下でRe(O)Cl3(PPh32と処理できる。この手段は、ペプチドを用いたReOの定量的錯体化を生じる。Zn、Ni、Co、Mn、FeまたはCuイオンを錯体化するために、ペプチドライブラリーを、これらの金属イオンの塩化物または他の適切な塩で処理して、対応の金属イオンのライブラリーを得る。基本的に、多様な金属イオンは、様々の金属ペプチドライブラリーを構築するために使用されうる。適切な金属イオンの選択における1つの制限因子は、大部分、金属ペプチド錯体結合定数または複数の定数に関連した特定の金属ペプチド錯体の相対的安定性である。ある種の金属−ペプチド構築物が、特定のpHまたは他の特別の条件内でのみ安定であるか、または空気中で容易に酸化されることは、当業界で周知である。ReOを用いたもののような他のペプチド−金属イオン錯体は、純粋形態で安定であり、そして長期間、正常な保存条件下で単離および保存されうる。
【0081】
好ましい実施態様では、固相方法論は、ペプチドが固相である間に、金属イオン錯体化も達成される金属ペプチドの合成のために使用される。Fmoc化学を使用して、線状ペプチドは、StBu保護Cys誘導体を使用するリンクアミド樹脂で十分に組立てられる。ペプチドの合成に続いて、StBu基は、DMF中のBu3Pで処理することによって除去される。生じた遊離−SH含有ペプチド−樹脂を、塩基としてDBUの存在下で、レニウム転移試薬ReO[V]Cl3(PPh32で処理する。完全な金属イオン錯体化は、室温で2時間内に達成される。生じた金属ペプチド樹脂を洗浄し、乾燥させ、そしてその後、TFAで処理して、樹脂から金属ペプチドを切断し、そして全ての側鎖保護基を除去する。金属ペプチドを、HPLCにより精製し、そして質量分光法およびアミノ酸分析によって特徴づける。
【0082】
本発明は、さらに、以下の限定なしの実施例によって示される。
【実施例1】
【0083】
L−Cys挿入を有するアルファ−MSH
表1中の第一の番号なしのペプチドは、親ポリペプチドであり、そしてそれは、メラノコルチン受容体に特異的なアルファ−MSH類似体である。特に、それは、MC1−Rに特異的であり、そしてMC3−RおよびMC4−Rに中程度の親和性で結合する。それは、MC5−Rに非常に弱く結合する。従来の固相合成技術により、ペプチドを合成し、レニウムと錯体化させ、固相から分離し、そしてHPLCによって精製した。当業界で周知であるとおり、Metは、酸化的に安定でなく、そして従って、このペプチドの合成の間に、Metを、それの酸化的に安定な相同体Nleと交換した。金属ペプチド1−1から1−12までは、イタリック体で識別される推定に基づく金属イオン錯体化トリペプチド配列を有する。同様に、イタリック体にされた阻害率数は、阻害率が減少したことによって示されるとおり、親ポリペプチド中の結合に起因する特異的配列の二次構造が推定に基づいて分断された金属ペプチドを表す。
【0084】
競合阻害結合アッセイは、pH7.2で1mM MgCl2、2mM CaCl2、および5mM KClを含有する50mM HEPES緩衝液中の0.4nM125I−NDP−アルファ−MSH(ニュー・イングランド・ニュークレア、米国マサチューセッツ州ボストン)を使用して、hMC3−R、hMC4−R、hMC5−R、およびB−16マウス黒色腫細胞(MC1−Rを含有する)から作製される膜を使用して行われた。アッセイ管は、それの受容体への125I−NDP−アルファ−MSHの結合を阻害する上でそれの効率を決定するために、特に、1μM濃度でレニウム金属イオンに錯体化した本発明の選択濃度の試験ペプチドも含有した。非特異的結合は、1μMアルファ−MSHの存在を用いたアッセイでの125I−NDP−アルファ−MSHの結合の完全な阻害により測定された。インキュベーションは、室温で90分間であり、そしてその後、アッセイ混合液を濾過し、そして膜を、3回、氷冷緩衝液で洗浄した。フィルターを乾燥させ、そして膜に結合した残りの放射活性についてガンマ計数計で計数した。100%特異的結合は、1μMアルファ−MSHの不在および存在下で、細胞膜に結合した放射活性(cpm)での差として定義された。試験化合物の存在下で得られたcpmを、100%特異的結合に関して正常化させて、125I−NDP−アルファ−MSH結合の阻害率を決定した。各アッセイを三重に行い、そして実際の平均値を評価した。
【0085】
【表1】

【0086】
アルファ−MSHでの識別された生物活性配列、またはメッセージセグメントは、逆ターンとして存在するテトラペプチドHis−Phe−Arg−Trp(配列番号:63)である。逆ターン内で、His、Phe、およびTrp残基は、疎水性受容体結合表面を形成すると仮定された。親ペプチドは、MC1−Rに特異的であるので、金属イオンが、His−Phe−Arg−Trp(配列番号:63)配列のいずれかの部分を錯体化するときに、親和性における全般的な減少を関連させることは、金属ペプチド1−4から1−8までについてのMC1−Rデータから観察されうる。さらに、この配列に隣接の金属イオン錯体化部位の置換は、さらに、親和性で少ないがしかし測定可能な減少を生じる。親ペプチドは、MC3−R、MC3−RおよびMC3−Rに対する弱い結合を有するので、金属錯体化部位が、His−Phe−Arg−Trp(配列番号:63)メッセンジャー配列内またはそれに隣接するかのいずれかであるときに見られる活性の完全な損失があった。
【実施例2】
【0087】
D−Cys挿入を有するアルファ−MSH
表2中の第一の番号なしのペプチドは、親ポリペプチドであり、そしてそれは、実施例1のメラノコルチン受容体に特異的なアルファ−MSH類似体である。実施例1で説明される方法およびアッセイを続けた。金属ペプチド2−1から2−12までは、イタリック体で識別される仮定に基づいた金属イオン錯体化トリペプチド配列を有する。同様に、イタリック体の阻害率数は、親ポリペプチドでの関連の二次構造が、仮定に基づいて分断された金属ペプチドを表す。
【0088】
【表2】

【0089】
実施例1のように、親分子は、MC1−Rについて特異的配位子であり、そしてMC3−R、MC4−R、およびMC5−Rに対して中程度から低いまでの結合のみを示す。従って、本研究の効果は、MC1−Rについていっそう言明される。連続の一連の金属ペプチド2−5から2−8までは、親ペプチドのHis−Phe−Arg−Trp(配列番号:63)メッセンジャー配列内の金属イオン錯体化の置換により、仮定に基づいて、MC1−Rに対する結合の明らかな損失を示すことが表2から観察されうる。親ペプチドは、中程度から低いまでの親和性を示すMC3−R、MC4−R、およびMC5−Rに結合するが、受容体結合親和性の類似のノックアウトは、低親和性の測定値の実験上の限界内でMC3−R、MC4−RおよびMC5−Rに関して同じ連続の一連の金属ペプチド2−5から2−8までについて観察されうる。
【実施例3】
【0090】
[Nle3,D−Phe6]−ガンマ−MSH L−Cys挿入
表3中の第一の番号なしのペプチドは、親ポリペプチドであり、そしてそれは、メラノコルチン受容体に特異的なNle3,D−Phe6で置換されたガンマ−MSH類似体である。実施例1で説明される方法およびアッセイを続けた。金属ペプチドは、イタリック体で識別される仮定に基づいた金属イオン錯体化トリペプチド配列を有し、そしてL−Cysが挿入された。同様に、イタリック体の阻害率数は、親ポリペプチドでの関連の二次構造が、仮定に基づいて分断された化合物を表す。
【0091】
【表3】

【0092】
親ペプチドは、高い親和性を示すMC1−R、MC3−R、MC4−RおよびMC5−Rに結合する。連続の金属ペプチド3−5から3−7までの組について、4つの受容体全てに対する結合親和性における全般的な減少があることは、表3での結果から観察されうる。この減少は、シリーズ中(3−8および3−9)で少数の別の金属ペプチドに存続した。これらの場合には、4つの受容体全てについて金属ペプチドの親和性における減少は、His−D−Phe−Arg−Trpメッセンジャー配列内またはそれに隣接の金属イオン錯体化の位置に関連する。
【実施例4】
【0093】
[Nle3]−ガンマ−MSH L−Cys挿入
表4中の第一の番号なしのペプチドは、親ポリペプチドであり、そしてそれは、メラノコルチン受容体に特異的なNle3で置換されたガンマ−MSH類似体である。実施例1で説明される方法およびアッセイを続けた。金属ペプチドは、イタリック体で識別される仮定に基づいた金属イオン錯体化トリペプチド配列を有し、そしてL−Cysが挿入された。同様に、イタリック体の阻害率数は、親ポリペプチドでの関連の二次構造が、仮定に基づいて分断された金属ペプチドを表す。
【0094】
【表4】

【0095】
[Nle3]−ガンマ−MSHは、実施例3に記述される[Nle3,D−Phe6]−ガンマ−MSHと同じくらい強力な種々のメラノコルチン受容体についての配位子ではない。それは、MC1−RおよびMC3−Rについては高い親和性、そしてMC4−RおよびMC5−Rについては中程度の親和性を示す。表4に表されるデータから示されるとおり、Phe−Arg−Cys金属錯体化配列を有する金属ペプチド4−5は、親ポリペプチドの全ての受容体結合を保存した。従って、この金属ペプチドは、PCT/US01/50075号で教示されるとおり、His−Phe−Arg−Trp(配列番号:63)メッセンジャー配列の周辺の生物活性構造が、金属イオン錯体化により全ての受容体について安定化されることを確かに示す。しかし、MC1−R、MC3−RおよびMC4−Rについては、4−5前後の連続金属ペプチドは、強力さが少なく、従って、基本的に、金属イオン錯体化の後の生物学上望ましくない構造により仮定に基づいてノックアウトを表す。従って、金属ペプチド4−5は、親のものより優れた結合を示すことによって、仮定に基づいた活性基を確かに解明する一方で、4−6および4−7のような他の金属ペプチドは、Cys残基の連続配置により誘発される構造的な変化が、結合を減少させたことを生じることを示す。
【実施例5】
【0096】
[Nle3,D−Phe6]−ガンマ−MSH L−Cys置換
表5中の第一の番号なしのペプチドは、親ポリペプチドであり、そしてそれは、メラノコルチン受容体に特異的なガンマ−MSH類似体である。実施例1で説明される方法およびアッセイを続けた。金属ペプチドは、イタリック体で識別される仮定に基づいた金属イオン錯体化トリペプチド配列を有し、そしてL−Cysが挿入された。同様に、イタリック体で印刷された阻害率数は、親ポリペプチドでの関連の二次構造が、仮定に基づいて分断された金属ペプチドを表す。
【0097】
【表5】

【0098】
親ペプチドは、高い親和性を示すMC1−R、MC3−R、MC4−RおよびMC5−Rに結合する。連続の金属ペプチド5−4から5−6までについて、4つの受容体全てとの結合親和性における全般的な減少があることは、表5での結果から観察されうる。これら全ての場合には、4つの受容体全てについて金属ペプチドの親和性における減少は、His−D−Phe−Arg−Trpメッセンジャー配列内で、置換により、金属イオン錯体化の配置に関連する。従って、His−D−Phe−Arg−Trp配列の分断は、結合についての重要な活性基を定義するとおりにこの配列を示す。
【実施例6】
【0099】
L−Cys挿入を有するボンベシン
ここで、そして以下の実施例で、ボンベシンまたはボンベシン様ペプチドを使用した。ノボンベシンペプチドの機能、および強力な親ポリペプチドは、Leban JJら:Proc Natl Acad Sci USA 90巻:1922−1925頁、1993年;Hampton LLら:Proc Natl Acad Sci USA 95巻:3188−3192頁、1998年;およびYamada K、Wada EおよびWada K:Ann Med 32巻:519−529頁、2000年を含めた科学文献で開示され、全ては、参照してここに組込まれる。
【0100】
ラット脳膜を、ボンベシン受容体の源として利用した。競合結合アッセイを、Moody TW、Perk CB、Rivier J、Brown,MR(Proc Natl Acad Sci USA 75巻:5372−5376頁、1985年)によって記述されるとおりの手段を使用して行い、そして96穴フォーマットに適合させた。アッセイ緩衝液(1mg/mL BSAおよび2μg/mLバシトラシンを含有する50mMトリスおよびHCl(pH7.4))中に取込まれた適量の膜を、4℃で、60分間、可変濃度の試験化合物と共に、またはなしに0.01nMの125I−ボンベシンとインキュベートさせた。アッセイ混合液の高速濾過により、インキュベートを終結させ、続いて氷冷緩衝液でフィルターを洗浄した。フィルターを乾燥させ、そして保持された放射性活性についてガンマー計数計で計数した。アッセイ管中に1μMボンベシンを含むことによって、非特異的結合を測定した。アッセイを、三重に行い、そして結果は、試験化合物によりそれの受容体に対する125I−ボンベシン結合の阻害率を決定するために計算された。親ポリペプチドは、表6に示され、そして金属ペプチドは、示されるとおり挿入されたCysを示す。
【0101】
【表6】

【0102】
親ペプチドは、Metが、Nleに置換されものである両生類皮膚(Anastasi Aら;Experinetia 27巻;166−167、1971年)から単離された天然のボンベシン分子である。明らかな減少が、親ポリペプチドのAsn6からHis12までの中の金属イオン錯体化に対応する連続金属ペプチド6−3から6−8まで表6で見られることが分かりうる。従って、このペプチドセグメントは、生物学上の活性に重要である重要なファルマホア要素を含有する。実施例7は、さらに、このセグメント内の所定の重要な特徴の同定を解明する。
【実施例7】
【0103】
L−Cys置換を有するボンベシン
実施例6の親ポリペプチドおよび方法を使用して、第二の一連の金属ペプチドを、表7に示されるとおりL−Cys置換を使用して構築および試験した。このシリーズのものは、Trp8のCys置換で完全な阻害を示し、そして結合に必要な重要なアミノ酸残基を配置させる。
【0104】
【表7】

【0105】
表7からの結果は、重要な構造上の組織部位、並びに分子内、そして特に、実施例6で同定されるAsn6からHis12ペプチドセグメント内の活性に重要な主要アミノ酸の同定でいっそう劇的である。金属ペプチド7−7の完全な不活性は、Trp8残基の周囲の金属イオン錯体化の非常な重要性を示す。金属イオン錯体化でのTrpの存在の点で、金属ペプチド7−5から7−8までの受容体結合データの分析は、生物学上関連基の他の要素に関してTrp残基およびそれの特定の配置の重要性を示す。
【実施例8】
【0106】
L−Cys挿入を有する代替的ボンベシン
実施例6の競合阻害法を使用して、表8の親ポリペプチドは、示されるL−Cys挿入金属ペプチドを構築するために使用された。
【0107】
【表8】

【0108】
親ペプチドは、ボンベシンの強力な9個のアミノ酸ペプチド類似体である(Deschodt−Lanckman M.ら:「ラットの膵臓でのアミラーゼ分泌、カルシウム流出およびアデニルサイクラーゼ活性におけるボンベシン様ペプチドのインビトロ作用」、J.Clin Invest 58巻;891−898頁、1976年)。表8で表されるデータは、金属ペプチド8−6および8−7についての最小の活性を示す。これらの化合物の両方は、金属イオン錯体化配列中にTrpを含む。ここで得られたこれらの結果も、生物学上重要な要素として親ポリペプチドのTrpおよびTrp含有セグメントを同定する。このデータは、実施例7で得られる結果と一致する。
【実施例9】
【0109】
L−Cys置換を有する代替的ボンベシン
実施例8で開示される親ポリペプチド、および実施例6の競合阻害法を使用して、L−Cys置換攻略法を使用した。
【0110】
【表9】

【0111】
表9で表されるデータは、金属ペプチド9−5および9−7についての最小の活性を示す。9−5および9−6金属ペプチドは、金属イオン錯体化配列中にTrpを含む一方で、金属ペプチド9−7は、金属イオン錯体化としてTrpをCysに置換させた。ここで得られたこれらの結果も、生物学上重要な要素として親ポリペプチドのTrpおよびTrp含有セグメントを同定する。このデータは、実施例7および8で得られる結果と一致する。
【実施例10】
【0112】
別のボンベシン評価
表9に開示される金属ペプチド9−4に基づいて、そして実施例6の方法を使用して、Cys、および示されるとおりD変異体で連続的にそれの側面に接する残基を修飾することによって、一連の金属ペプチドを構築して、さらに活性基についての情報を解明した。
【0113】
【表10】

【0114】
表10で示される結果は、金属ペプチド9−4の生物学上重要なTrp−Ala−Val−Cys−His(配列番号:39)セグメント中のアミノ酸残基の間の立体化学的関係の集約的所見を提供する。全ての「L」構築物のみが、正しい立体化学的組合せを可能にすることは、このデータから明らかである。
【実施例11】
【0115】
別のボンベシン評価
表9の9−4金属ペプチド、および実施例6の方法を使用して、表11に示されるとおり、C−およびN−末端の一方または両方で切断を有する金属ペプチド9−4の長さを修飾して、一連の金属ペプチドを構築した。
【0116】
【表11】

【0117】
表11で表される結果は、金属ペプチド9−4で強化された効力のC末端で、末端Leuの切断を示し、それによって、さらに、実施例8および9で同定された重要な金属イオン錯体化部位に対する補助部位で、構造の最適化を示唆する。驚くべきことに、この研究で、金属ペプチド11−3および11−13は、高い陰性の阻害率の結果によって示されるとおり非特異的過剰レベルの放射性配位子を仮定に基づいて示すと見なされた。全ての他の切断は、明らかに低い活性の化合物になる。従って、これらの結果は、このボンベシン類似体の生物学上の活性についての重要なペプチドセグメントGln−Trp−Ala−Val(配列番号:64)に対する補助要素の存在を示す。
【実施例12】
【0118】
別のボンベシン評価
さらに、表9の金属ペプチド9−4、および実施例6の方法を使用して、表12に示されるとおりアミノ酸残基置換および欠失で一連の金属ペプチドを構築した。
【0119】
【表12】

【0120】
表12の金属ペプチドを変えて、親ボンベシン分子(表8および9を参照)中のAla、ValおよびGly残基のいずれかが、活性に重要であるか、またはスペーサーとして機能したかどうかを決定した。データは、明らかに、これらのアミノ酸での置換が、実施例10および11でさらに示されるとおり、Gln−Trp−Ala−Val(配列番号:64)セグメント内の立体化学的配列およびC−およびN−末端残基とのそれの関係を分断することを示唆する。
【0121】
先行する実施例は、包括的に、または特定に記述された反応体を置換すること、および/または先行の実施例で使用されるものについての本発明の条件を操作することによって、同様の出来で繰り返されうる。特に、実施例は、多様なメラノコルチンおよびボンベシン受容体特異的分子を用いた利用性を示す一方で、その方法は、一般的に、あらゆる受容体特異的分子、そして特にここに定義されるとおり「親ポリペプチド」を構築できるあらゆる既知分子とともに使用でき、そしてそのため、少なくとも1つの結合または官能性アッセイまたは試験が知られているか、または開発されうる。従って、親ポリペプチドは、それに限定されないが、前述のいずれかの生物学上活性なペプチド、タンパク質、ホルモン、神経伝達物質、酵素、抗体、フラグメントまたはセグメント等が挙げられる。このような親ポリペプチドは、受容体に対する結合の結果として、直接的に、または間接的に、信号を伝達でき、従って、親ポリペプチドは、アゴニスト、アンタゴニスト、または混合アゴニスト−アンタゴニストでありうる。本発明の適切な親ポリペプチドの例としては、メラノコルチン−受容体特異的ペプチド、ウロキナーゼ型組織プラスミノーゲンアクチベータータンパク質、アミロイド・ベータ−タンパク質関連ペプチド、プリオン病関連ペプチド、バソプレシンペプチド、オキシトシンペプチド、アンギオテンシンペプチド、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、ブラジキニン、コレシストキニン、ウロテンシン、ボンベシン、ニューロメジンB、ガストリン放出ペプチド、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ソマトスタチン、オピオイドペプチド、ヒト成長ホルモン、ヒトプロラクチン受容体配位子、アルファ−インターフェロンのような種々のインターフェロン、上皮成長因子、腫瘍壊死因子、および種々の低血圧性ペプチド、繊維素溶解ペプチド、走化性ペプチド、成長因子ペプチド、成長プロモーターペプチド、幼若化物質、免疫調節剤などが挙げられる。
【0122】
本発明は、これらの好ましい実施態様に特に関連して詳細に記述されたが、他の実施態様は、同じ結果を達成しうる。本発明の変動および修飾は、当業者に自明であり、そして付随の請求項で、全てのそのような修飾および等価物を網羅することが意図される。上に引用される全ての文献、出願、特許および出版物の全開示は、参照してここに組込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】M−1およびM−2は、L−Cys(M−3−L)残基と一緒に金属錯体化に関与した2つのアミノ酸残基であり、そしてL−Cysが、配列NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOHで表される親ペプチドに挿入されるものである、Reに錯体化される概念化L−Cys金属ペプチドの構造を示す。
【図2】M−1およびM−2は、D−Cys(M−3−D)残基と一緒に金属錯体化に関与した2つのアミノ酸残基であり、そしてD−Cysが、配列NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOHで表される親ペプチドに挿入されるものである、Reに錯体化される概念化D−Cys金属ペプチドの構造を示す。
【図3】M−1およびM−2は、L−Cys(M−3−L)残基と一緒に金属錯体化に関与した2つのアミノ酸残基であり、そしてL−Cysが、配列NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOHで表される親ペプチド中で単独のアミノ酸残基X11に置換されるものである、Reに錯体化される概念化L−Cys金属ペプチドの構造を示す。
【図4】M−1およびM−2は、D−Cys(M−3−D)残基と一緒に金属錯体化に関与した2つのアミノ酸残基であり、そしてD−Cysが、配列NH2−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−COOHで表される親ペプチド中で単独のアミノ酸残基X11に置換されるものである、Reに錯体化される概念化D−Cys金属ペプチドの構造を示す。
【図5】M−1、M−2、M−3−LおよびM−3−D残基についての配位(構造傾向)を示す図1から4までの金属ペプチドコア配列のファイ−プサイ(ラマチャンドラン)プロットである。さらに、プロットに含まれるのは、α−螺旋(H)、β−シート(B)、コラーゲン螺旋(C)、ガンマターン(G)、逆のガンマターン(G−i)、1型ベータ・ターン(I)、1’型ベータ・ターン(I’)、II型ベータ−ターン(II)、II’型ベータ−ターン(II’)、III型ベータ−ターン(III)、およびIII’型ベータ−ターン(III’)のような天然のタンパク質構造の領域である。ターン構造のアミノ酸対(i+1およびi+2残基)を定義する破線が、示される。陰性ファイおよびプサイ値を示すHは、天然の右手螺旋についてのものである一方で、他方の陽性ファイ、プサイ値を示すHは、左手螺旋を表す。M−1およびM−2残基は、0°、180°または0°、−180°配位の近くに存在する。両方の位置は、これらの金属ペプチド中のこれらのアミノ酸残基が、天然のタンパク質構造のいずれかと異なる構造を表すことを示す。L−Cys(M−3−L)またはD−Cys(M−3−D)中のファイ角を、それぞれ、およそ−63°および+63°で固定する(2つの実線の垂直線)。Cys残基のプサイ値に基づいて、M−3−LおよびM−3−Dは、これらの2つの垂直線上のどこかにある。しかし、いずれかのCys残基のカルボニル(CO)基の制限配向により、プサイ角は、それぞれ、L−およびD−Cysについて60°から90°まで、または−60°から−90度までの範囲にある。これらの条件下で、Cysでの配座の特徴が、L−Cysについては右手螺旋領域、そしてD−Cysについては左手螺旋領域の近くに入ることは、ラマチャンドラン・プロットから明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)既知の一次構造を有する目的の標的に結合する既知の親ポリペプチドを供し、このような一次構造は、n残基より構成される;
(b)式R1−Z−R2(式中、
1は、2からnまでの残基を包含し、そのような残基は、親ポリペプチド中の残基と同じかまたは相同体であり、そして親ポリペプチド一次構造中の残基と同じ順序である;
Zは、金属イオン錯体化について窒素原子(N)および硫黄原子(S)の両方を供する残基またはそれの擬態である;
2は、0からn−2残基までを包含し、そのような残基は、親ポリペプチド中の残基と同じかまたは相同体であり、そして親ポリペプチド一次構造中の残基と同じ順序であり、そしてR1と共に、このような一次構造中の2個の隣接残基に対応する2個の隣接残基の間に挿入されるか、またはこのような一次構造中の単独の残基に対応する単独の残基に置換するかのいずれかであるZを有する親ポリペプチド一次構造と同じ順序で配列を形成し、そしてR1−Z−R2を包含する残基は、nまたはn+1のいずれかに等しい)
を表す第一のペプチドを構築する;
(c)式R1−Z−R2の第一のペプチドを、金属イオンに錯体化させ、それにより第一のR1−Z−R2金属ペプチドを形成する;
(d)目的の標的に対する結合について第一のR1−Z−R2金属ペプチドをスクリーニングする;
(e)段階(b)から(d)までを繰返し、生じたR1−Z−R2金属ペプチドは、少なくともR1またはR2のいずれかで異なる;そして
(f)目的の標的に対する結合が実質的に減少したことを示すR1−Z−R2金属ペプチドを選択し、それにより、このようなR1−Z−R2金属ペプチドの金属イオンに結合する配列の少なくとも1個の残基は、目的の標的に結合する親ポリペプチドの特異的残基の同定を包含する段階を含むものである、
目的の標的に結合する既知親ポリペプチド内の目的の標的に結合する特異的残基を決定する方法。
【請求項2】
Zは、L−またはD−3−メルカプトアミノ酸である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
L−またはD−3−メルカプトアミノ酸が、L−またはD−システイン、L−またはD−ペニシルアミン、3−メルカプトフェニルアラニン、または前述のいずれかの相同体である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
金属イオンは、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、As、Se、Y、
Mo、Tc、Ru、Rh、Re、Pd、Ag、Cd、In、Sn、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、At、Sm、EuまたはGdのイオンである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
目的の標的は、受容体、抗体、毒素、酵素、ホルモン、核酸、生物学的等価物の細胞内タンパク質ドメイン、または生物学的等価物の細胞外タンパク質ドメインである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
目的の標的に対する結合についてのスクリーニングは、目的の標的に対する結合についての既知結合相手を、R1−Z−R2金属ペプチドと競合させることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
既知結合相手は、親ポリペプチドである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
目的の標的に対する結合についてのスクリーニングは、官能性アッセイを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
目的の標的は、信号を伝達する能力のある生物学上の受容体であり、そしてスクリーニングは、さらに、R1−Z−R2金属ペプチドが、信号の伝達が減少したことを誘導するかどうかを決定することを包含する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(a)シリーズ中の各ペプチドが、親ポリペプチドの既知一次配列、および単独で挿入されたL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基を、N末端からC末端位置に至る第二および第三の残基の間の位置から第一の配列に沿って、各位置で各ペプチドについて挿入された単独L−またはD−3−メルカプトアミノ酸と共に含むものである、一連のペプチドを作製すること;
(b)シリーズ中の各ペプチドを金属イオンと錯体化させて、一連の金属ペプチドを形成すること;および、
(c)目的の標的に対する一連の金属ペプチドの中の各々の金属ペプチドの結合を決定する段階を包含する、目的の標的に結合する既知一次配列親ポリぺプチド内の目的の標的に結合する特異的残基を測定する方法。
【請求項11】
さらに、目的の標的に対する結合が実質的に減少したことを示すそのシリーズ中の金属ペプチドまたは複数の金属ペプチドを選択する段階を包含する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
単独に挿入されたL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基以外の一連のペプチド中のいずれかのL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基は、さらに、硫黄保護基を包含し、それによりそこにある硫黄が、金属イオンを錯体化できない請求項10に記載の方法。
【請求項13】
単独に挿入されたL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基以外の一連のペプチド中のいずれかのL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基は、相同体で置換される請求項10に記載の方法。
【請求項14】
単独で挿入されたL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基のすぐ隣接のN末端側で、2個の残基のいずれかとしてプロリン残基を含有するシリーズ中のいずれかのペプチドについては、プロリン残基は、相同体で置換される請求項10に記載の方法。
【請求項15】
L−またはD−3−メルカプトアミノ酸が、L−またはD−システイン、L−またはD−ペニシルアミン、3−メルカプトフェニルアラニン、または前述のもののいずれかの相同体である請求項10に記載の方法。
【請求項16】
金属イオンは、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、As、Se、Y、
Mo、Tc、Ru、Rh、Re、Pd、Ag、Cd、In、Sn、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、At、Sm、EuまたはGdのイオンである請求項10に記載の方法。
【請求項17】
金属イオンは、テクネチウムまたはレニウムのイオンである請求項16に記載の方法。
【請求項18】
目的の標的は、受容体、抗体、毒素、酵素、ホルモン、核酸、生物学的等価物の細胞内タンパク質ドメイン、または生物学的等価物の細胞外タンパク質ドメインである請求項10に記載の方法。
【請求項19】
目的の標的に対する一連の金属ペプチドの中の各金属ペプチドの結合を決定することは、目的の標的に対する結合についての既知結合相手を、各金属ペプチドと競合させることを含む請求項10に記載の方法。
【請求項20】
目的の標的に対する一連の金属ペプチドの中の各金属ペプチドの結合を決定することが、官能性アッセイを包含する請求項10に記載の方法。
【請求項21】
目的の標的は、信号を伝達する能力のある生物学上の受容体であり、そして目的の標的に対する一連の金属ペプチドの各金属ペプチドの結合を決定することが、各金属ペプチドが信号の伝達が減らされることを誘導するかどうかを決定することを包含する請求項10に記載の方法。
【請求項22】
(a)シリーズの内の各ペプチドが、単独置換を有する親ポリペプチドの既知一次配列を含み、単独置換基が、N末端からC末端残基までの第三の残基から第一の配列に沿って各位置で置換されるL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基より構成されるものである一連のペプチドを作製し;
(b)シリーズ内の各ペプチドを、金属イオンと錯化させて、一連の金属ペプチドを形成させ;そして
(c)目的の標的に対する、一連の金属ペプチドの中の各金属ペプチドの結合を決定する段階を包含する、
目的の標的に結合する既知一次配列親ポリペプチド内の目的の標的に結合する特異的残基を決定する方法。
【請求項23】
さらに、目的の標的に対する結合が実質的に減少したことを示すそのシリーズの金属ペプチドまたは複数の金属ペプチドを選択する段階を包含する請求項22に記載の方法。
【請求項24】
単独に挿入されたL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基以外の一連のペプチド中のいずれかのL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基は、さらに硫黄保護基を包含し、それによりそこにある硫黄が、金属イオンを錯体化できない、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
単独に挿入されたL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基以外の一連のペプチド中のいずれかのL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基は、相同体で置換される請求項22に記載の方法。
【請求項26】
単独に挿入されたL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基のすぐ隣接のN末端側で、2個の残基のいずれかとしてプロリン残基を含有するそのシリーズ中のいずれかのペプチドについては、プロリン残基は、相同体で置換される請求項22に記載の方法。
【請求項27】
L−またはD−3−メルカプトアミノ酸が、L−またはD−システイン、L−またはD−ペニシルアミン、3−メルカプトフェニルアラニン、または前述のもののいずれかの相同体である請求項22に記載の方法。
【請求項28】
金属イオンは、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、As、Se、Y、
Mo、Tc、Ru、Rh、Re、Pd、Ag、Cd、In、Sn、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、At、Sm、EuまたはGdのイオンである請求項22に記載の方法。
【請求項29】
金属イオンは、テクネチウムまたはレニウムのイオンである請求項28に記載の方法。
【請求項30】
目的の標的は、受容体、抗体、毒素、酵素、ホルモン、核酸、生物学的等価物の細胞内タンパク質ドメイン、または生物学的等価物の細胞外タンパク質ドメインである請求項22に記載の方法。
【請求項31】
目的の標的に対する一連の金属ペプチドの各金属ペプチドの結合を決定するのが、目的の標的に対する結合についての既知結合相手を、各金属ペプチドと競合させることを含む請求項22に記載の方法。
【請求項32】
目的の標的に対する一連の金属ペプチドの各金属ペプチドの結合を決定するのが、官能性アッセイを含む請求項22に記載の方法。
【請求項33】
目的の標的は、信号を伝達する能力のある生物学上の受容体であり、そして目的の標的に対する一連の金属ペプチドの各金属ペプチドの結合を決定するのが、金属ペプチドが信号の伝達が減少されることを誘発するかどうかを決定することを包含する請求項22に記載の方法。
【請求項34】
シリーズ内の各金属ペプチドが、親ポリペプチドの既知一次配列、および単独で挿入されたL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基を、N末端からC末端位置に至る第二および第三の残基の間の位置から第一の配列に沿って、各位置で各ペプチドについて挿入された単独L−またはD−3−メルカプトアミノ酸、および単独で挿入されたL−またはD−3−メルカプトアミノ酸、および単独で挿入されたL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基のすぐ隣接のN−末端側に2個の残基を包含する配列に錯体化される金属イオンと共に含むものである一連の金属ペプチド、
単独で挿入されたL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基以外の一連のペプチド内のいずれかのL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基が、さらに硫黄保護基を包含し、それによりそこにある硫黄が、金属イオンを錯体化できないか、または相同体であるかいずれかであり、そしてさらに、単独で挿入されたL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基のすぐ隣接のN末端側に2個の残基の内のいずれかとして、プロリン残基を含有するシリーズ内での金属ペプチドについては、プロリン残基が、相同体に置換されることを包含する、
目的の標的に結合する少なくとも5個のアミノ酸残基の既知一次配列親ポリぺプチド内の目的の標的に結合する特異的残基を決定するための金属ペプチド・ライブラリー。
【請求項35】
挿入されたL−またはD−3−メルカプトアミノ酸が、L−またはD−システイン、L−またはD−ペニシルアミン、3−メルカプトフェニルアラニン、または前述のもののいずれかの相同体である請求項34に記載の金属ペプチド・ライブラリー。
【請求項36】
金属イオンは、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、As、Se、Y、
Mo、Tc、Ru、Rh、Re、Pd、Ag、Cd、In、Sn、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、At、Sm、EuまたはGdのイオンである請求項34に記載の金属ペプチド・ライブラリー。
【請求項37】
金属イオンは、テクネチウムまたはレニウムのイオンである請求項36に記載の金属ペプチド・ライブラリー。
【請求項38】
シリーズ内の各金属ペプチドが、単独置換を有する親ポリペプチドの既知一次配列、N末端からC末端に至る第三の残基から第一の配列に沿って、各位置で、置換されたL−またはD−3−メルカプトアミノ酸より構成される単独置換基、および単独置換基L−またはD−3−メルカプトアミノ酸および単独置換基L−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基のすぐ隣接のN−末端側に2個の残基を包含する配列に錯体化される金属イオンを含むものである一連の金属ペプチド、
単独置換基L−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基以外の一連のペプチド内のいずれかのL−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基が、さらに硫黄保護基を包含し、それによりそこにある硫黄が、金属イオンを錯体化できないか、相同体を包含するかのいずれかであり、そしてさらに、単独置換基L−またはD−3−メルカプトアミノ酸残基のすぐ隣接のN末端側に2個の残基の内のいずれかとして、プロリン残基を含有するシリーズ中の金属ペプチドについては、プロリン残基が、相同体に置換されることを包含する、
目的の標的に結合する少なくとも5個のアミノ酸残基の既知一次配列親ポリぺプチド内の目的の標的に結合する特異的残基を決定するための金属ペプチド・ライブラリー。
【請求項39】
置換基L−またはD−3−メルカプトアミノ酸が、L−またはD−システイン、L−またはD−ペニシルアミン、3−メルカプトフェニルアラニン、または前述のもののいずれかの相同体である請求項38に記載の金属ペプチド・ライブラリー。
【請求項40】
金属イオンは、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、As、Se、Y、
Mo、Tc、Ru、Rh、Re、Pd、Ag、Cd、In、Sn、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、At、Sm、EuまたはGdのイオンである請求項38に記載の金属ペプチド・ライブラリー。
【請求項41】
金属イオンは、テクネチウムまたはレニウムのイオンである請求項40に記載の金属ペプチド・ライブラリー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−525641(P2007−525641A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503255(P2006−503255)
【出願日】平成16年2月2日(2004.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/002933
【国際公開番号】WO2004/075830
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(502050279)パラチン テクノロジーズ インク. (2)
【Fターム(参考)】