説明

ペレット製造装置

【課題】ストランド切れが発生した場合であっても、ペレタイザーなどの切断部にストランドを連続的に供給することができるペレット製造装置を提供する。
【解決手段】吐出口11を有し、溶融した熱可塑性樹脂を吐出口11からストランド状に吐出して供給する供給部10と、水平または搬送方向に向かって下り勾配である搬送面21を有し、ストランド状の熱可塑性樹脂25を搬送する搬送部20と、搬送部20によって搬送されたストランド状の熱可塑性樹脂25をペレット状に切断する切断部30と、を備え、搬送面21は、供給部10側に位置する搬送開始端21a、及び、搬送面21の切断部30側に位置する搬送終了端21bを有するものであり、搬送開始端21aは、吐出口11と同じ高さまたは吐出口11よりも低い位置にあり、搬送終了端21bは、切断部30と同じ高さまたは切断部30よりも高い位置にあるペレット製造装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレット製造装置に関する。更に詳しくは、ストランド切れが発生した場合であっても、ペレタイザーなどの切断部にストランドを連続的に供給することができるペレット製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱可塑性樹脂からなるペレットは、溶融した熱可塑性樹脂を押出機からストランド状に押出し、このストランド状の熱可塑性樹脂を冷却して固化させた後、ペレタイザーなどでペレット状に切断することによって製造する方法などが知られている。
【0003】
そして、熱可塑性樹脂を冷却する方法としては、冷却水浴中に熱可塑性樹脂を通す方法(例えば、特許文献1参照)や、いわゆるメッシュコンベア(なお、「メッシュコンベア」と同じものが、メーカーにより、違った名称(即ち、ネットコンベア)で、呼称、販売されている)を用い、冷却シャワー水によって冷却する方法などが挙げられる。
【0004】
メッシュコンベアを用いる方法としては、具体的には、図2に示すペレット製造装置200を用いる方法が知られている。図2に示すペレット製造装置200は、多数の孔が形成されたオリフィスプレート111を有し、このオリフィスプレート111から溶融した熱可塑性樹脂をストランド状に吐出する押出機110と、昇り勾配に傾斜した搬送面121を有するメッシュコンベア(搬送部)120と、上記メッシュコンベア120から搬出されるストランド状の熱可塑性樹脂125の表面に付着した水分を除去する水分除去部150と、上記水分除去部150で表面の水分が除去された熱可塑性樹脂125を切断してペレット状にする固定刃133及び回転刃132を有する切断部130を備えるペレタイザー131と、ペレット状の熱可塑性樹脂166を、大きさ別に選別する振動篩160と、を備えている。
【0005】
押出機110内の溶融した熱可塑性樹脂は、オリフィスプレート111の孔を通ることによって太さ(直径)数mmの円柱状(ストランド状)に形成されて、ペレタイザー131まで搬送される。振動篩160は、ペレット状の熱可塑性樹脂166から、粗大ペレット、微小ペレットを分別除去して、正常形状のペレットに篩い分けるものである。なお、篩としては、形式を問わず使用可能であり、振動式以外に、例えば、回転式などの篩を使用することができる。
【0006】
【特許文献1】特開平10−315228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のペレット製造装置や図2に示すペレット製造装置200は、押出機110からペレタイザー130までの搬送工程中の一部または全部において、ストランド状の熱可塑性樹脂(以下、「ストランド」と記す場合がある。)が昇り勾配で搬送されることがあった。そして、搬送に際して昇り勾配があると、仮にペレットの製造中に不具合が生じ、上記昇り勾配部分でストランドが切れてしまった場合に、昇り勾配部分にあるストランドが、自重によって後退してしまうことがあった。このような場合、上記不具合を解消したとしても後退してしまったストランドをペレットの製造に使用することは困難であり、廃棄しなければならなかった。
【0008】
ストランド切れが生じるペレット製造中の上記不具合としては、例えば、押出機に不具合が生じることに起因して押し出される熱可塑性樹脂の流れが一定にならないこと、熱可塑性樹脂が押出機の出口付近に目やに状に形成され、この目やに状の熱可塑性樹脂がストランドに付着すること、強化材を含有する熱可塑性樹脂の場合、含有する強化材の分散が十分でないこと、また、強化材が押出機の出口に詰まることなどが挙げられ、これらの不良現象を皆無にすることは困難である。
【0009】
なお、ストランド切れは、ペレット収量の低下、塊状のストランドがペレタイザーに導入されたことに起因する運転トラブルや機器故障の発生、ストランド切れ後の運転再開時に必要な運転作業の増大などの多くのマイナス要因の原因となる。
【0010】
そこで、ストランド切れが発生した場合であっても、ストランドが後退してしまい難く、ペレタイザーなどの切断部にストランドを連続的に供給することができるペレット製造装置の開発が切望されていた。
【0011】
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、ストランド切れが発生した場合であっても、ペレタイザーなどの切断部にストランドを連続的に供給することができるペレット製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明により、以下のペレット製造装置が提供される。
【0013】
[1] 吐出口を有し、溶融した熱可塑性樹脂を前記吐出口からストランド状に吐出して供給する供給部と、水平または搬送方向に向かって下り勾配である搬送面を有し、ストランド状の前記熱可塑性樹脂を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されたストランド状の前記熱可塑性樹脂をペレット状に切断する切断部と、を備え、前記搬送面は、前記供給部側に位置する搬送開始端、及び、前記搬送面の前記切断部側に位置する搬送終了端を有するものであり、前記搬送開始端は、前記吐出口と同じ高さまたは前記吐出口よりも低い位置にあり、前記搬送終了端は、前記切断部と同じ高さまたは前記切断部よりも高い位置にあるペレット製造装置。
【0014】
[2] ペレット状の前記熱可塑性樹脂を上方に搬送する上方搬送部を更に備える前記[1]に記載のペレット製造装置。
【0015】
[3] 前記上方搬送部が、振動型である前記[2]に記載のペレット製造装置。
【0016】
[4] 前記搬送部は、前記搬送面を有する搬送ベルトと、前記搬送面に向って冷却水を噴霧する噴霧器と、を備え、前記搬送ベルトには、噴霧された前記冷却水が排出される複数の貫通孔が形成されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載のペレット製造装置。
【0017】
[5] 前記搬送部と前記切断部の間に、前記搬送部から搬出されるストランド状の前記熱可塑性樹脂の表面に付着した水分を除去する水分除去部を更に備える前記[1]〜[4]のいずれかに記載のペレット製造装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明のペレット製造装置は、ストランド切れが発生した場合であっても、ペレタイザーなどの切断部にストランドを連続的に供給することができるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0020】
[1]ペレット製造装置:
図1は、本発明のペレット製造装置の一の実施形態を示す模式図である。図1に示すように本実施形態のペレット製造装置100は、吐出口11を有し、溶融した熱可塑性樹脂を吐出口11からストランド状に吐出して供給する押出機(供給部)10と、水平または搬送方向に向かって下り勾配である搬送面21を有し、ストランド状の熱可塑性樹脂25(以下、「ストランド」と記す場合がある。)を搬送する搬送部20と、搬送部20によって搬送されたストランド状の熱可塑性樹脂25をペレット状に切断する切断部30を有するペレタイザー31と、を備えている。
【0021】
そして、ペレット製造装置100は、搬送部20とペレタイザー31の間に、搬送部20から搬出されるストランド25の表面に付着した水分を除去する水分除去部50を備え、ペレタイザー31からペレット状の熱可塑性樹脂(以下、「ペレット」と記す場合がある。)66が排出される側には、ペレット66を上方に搬送する上方搬送部40を備え、上方搬送部40の後方には、上方搬送部40から搬出されるペレット66を選別する振動篩60を備え、ペレタイザー31と上方搬送部40との間には、ペレタイザー31から排出されるペレット66を上方搬送部40に受け渡す緩衝部65を備えている。
【0022】
更に、ペレット製造装置100は、上記搬送部20の搬送面21が、供給部10側に位置する搬送開始端21a、及び、搬送面21の切断部30側に位置する搬送終了端21bを有するものであり、搬送開始端21aは、吐出口11と同じ高さまたは吐出口11よりも低い位置にあり、搬送終了端21bは、切断部30と同じ高さまたは切断部30よりも高い位置にあるものである。このようなペレット製造装置100は、ストランド切れが発生した場合であっても、ペレタイザー31の切断部30にストランド25を連続的に供給することができる。
【0023】
[1−1]供給部:
供給部は、吐出口を有し、溶融した熱可塑性樹脂を吐出口からストランド状に吐出して供給するものである。この供給部は、上記条件を満たす限り、従来公知の押出機などを用いることができる。具体的には、原料となる熱可塑性樹脂を投入するためのホッパーと、このホッパーから投入された熱可塑性樹脂を撹拌しながら溶融する、撹拌翼を有する溶融部と、この溶融部に連結され、吐出口を有する射出部と、この射出部から溶融した熱可塑性樹脂を射出するために射出部内を加圧する加圧部と、を備えている。
【0024】
供給部が有する吐出口の数は、特に制限はなく、1つであっても、複数であってもよいが、通常、数〜数十個の吐出口を有している。また、吐出口の開口径は、1〜5mmであることが好ましく、1.5〜4.0mmであることが更に好ましく、2.0〜3.5mmであることが特に好ましい。上記開口径が1mm未満であると、吐出されるストランドが細すぎるため、ストランド切れの原因となるおそれがある。一方、5mm超であると、吐出されるストランドが太すぎるため、搬送部において十分に冷却することが困難になり、所望の品質、形状のペレットを得ることができないおそれがある。また、ペレットを使用する際、例えば、顧客がペレットを使用して製品を成型する際、成型機においてペレットの供給が不安定となるおそれもある。
【0025】
熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶ポリマー樹脂、などを挙げることができる。これらの中でも、ナイロン樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、液晶ポリマー樹脂は、ストランド切れが生じ易いため、これらの樹脂コンパウンドのペレット製品を製造する際、特に、これらの樹脂の強化コンパウンドのペレット製品を製造する際に、本発明のペレット製造装置を用いることが好適である。
【0026】
[1−2]搬送部:
搬送部は、水平または搬送方向に向かって下り勾配である搬送面を有し、ストランド状の熱可塑性樹脂を搬送するものである。また、この搬送部は、搬送面を有する搬送ベルトと、搬送面に向って冷却水を噴霧する噴霧器と、を備え、搬送ベルトには、噴霧された冷却水が排出される複数の貫通孔が形成されていることが好ましい。このように噴霧器を使用すると、霧状の冷却水によってストランドを冷却することができるため、冷却に際してストランド切れが生じ難くなるという利点がある。また、上記搬送ベルトを用いると、搬送面上に冷却水が溜まり難く、即ち、搬送面上の水はけが良く、ストランド表面に付着する水分の量を少なくすることができるという利点がある。
【0027】
搬送部としては、従来公知のコンベアを用いることができるが、例えば、メッシュコンベア、ネットコンベア、ベルトコンベア、振動コンベアなどを挙げることができる。これらの中でも、搬送面上の水はけが良く、ストランド表面に付着する水分の量を少なくすることができるため、メッシュコンベア、ネットコンベア(同じもので、名称が異なるのみ)が好ましい。
【0028】
搬送ベルトとしては、金属製のワイヤネットベルトやメッシュベルト等を用いることができる。製造条件によっては、合成樹脂製のワイヤネットベルトやメッシュベルトを用いることもできる。
【0029】
なお、従来のペレット製造装置として、例えば、RIETER−AUTOMATIK社(ドイツ)製のアンダーウォーター式の「ストランドペレタイザー」等のように、水流中にストランドを重力落下させて、水の流れを使って、ストランドをカッター(切断部)に誘導する装置がある。この装置は、切断後のストランド(ペレット)が、水中に存在するので、ペレットを脱水する装置や、乾燥する装置が必要となる。そのため、ペレット製造装置が大型になることがあった。また、上述した従来のペレット製造装置は、装置が複雑であったり、大型になるので、着色製品生産時の色換え作業や、樹脂の種類を換える作業が、煩雑で、多くの時間を費やすこととなるという問題がある。
【0030】
搬送部出口付近のストランドの温度は、100〜150℃であることが好ましく、110〜145℃であることが更に好ましく、120〜140℃であることが特に好ましい。上記温度の範囲内であると、ストランドに付着した水分が、ペレットの製造工程中で、ストランドが有する熱で蒸発するので、ストランドを乾燥する装置が不要であるという利点がある。上記温度が100℃未満であると、ストランドに付着した水分が、そのまま製品(ペレット)に残ることがあるため、成形時の不良現象を引き起こすおそれがある。一方、150℃超であると、カッター(切断部)のベアリングを傷める等の設備故障の原因となるおそれがある。
【0031】
搬送部の有する搬送面は、水平または搬送方向に向かって下り勾配である。このような構成によると、仮にストランド切れが生じた場合であっても、ストランドは、後退し難く、その場に留まるか、自重によって搬送方向に移動するし、更に、搬送部の力に助けられて、搬送方向に移動することになる。従って、ストランド切れが生じた場合であっても、ストランドが後退しないため、連続的にストランドを切断部に供給することができる。
【0032】
下り勾配としては、具体的には、30%以下であることが好ましく、10%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが特に好ましい。上記下り勾配が30%超であると、ストランドに付着した水分の同伴量が増えるので、十分な品質のペレットが得られないおそれがある。しかも、下り勾配が大きいと、カッターが、床に設置できないことになるおそれがある。即ち、床を掘り下げる必要が生じるおそれがある。なお、本明細書において「下り勾配」とは、水平方向の移動距離に対する、鉛直方向の移動距離の割合を意味し、例えば、下り勾配が30%とは、水平方向に1m移動したとき、30cm下ることをいう。
【0033】
搬送面は、供給部側に位置する搬送開始端、及び、搬送面の切断部側に位置する搬送終了端を有するものであり、搬送開始端と搬送終了端の距離は、具体的には、1〜8mであることが好ましく、1.5〜6mであることが更に好ましく、2〜5mであることが特に好ましい。上記距離が1m未満であると、ストランドの冷却が十分に行われなくなるおそれがある。一方、8m超であると、不必要に長すぎて、運転操作面で不便となるおそれがある。また、搬送機製作上も、搬送面の重量が重くなりすぎて、現実的はでない搬送機となってしまう。なお、もっと長い搬送機が必要であれば、これらの搬送機を複数基直列に設置すれば、可能となる。
【0034】
本発明のペレット製造装置は、搬送面の搬送開始端が、上述した吐出口と同じ高さまたは吐出口よりも低い位置にあるものである。このような構成によって、吐出口から吐出されたストランドが搬送途中で切れた場合であっても、ストランドは、その場に留まるか、自重によって搬送方向に移動することになる。従って、ストランドを切断部に連続的に供給することができる。
【0035】
搬送面の搬送開始端は、吐出口と同じ高さまたは吐出口よりも低い位置にある限り、その位置には特に制限はないが、吐出口よりも低い位置にある場合、吐出口と搬送開始端との鉛直方向の距離は、1〜20cmであることが好ましく、1〜10cmであることが更に好ましく、2〜6cmであることが特に好ましい。
【0036】
[1−3]切断部:
切断部は、搬送部によって搬送されたストランド状の熱可塑性樹脂をペレット状に切断するものである。この切断部としては、従来公知のペレタイザーなどを用いることができる。図1に示すペレット製造装置100は、切断部30を有するペレタイザー31を備えている。そして、切断部30は、円柱状の回転軸32aの外周面上に複数配置され、回転軸32aの径方向に延びる刃32bを有する回転刃32と、この回転刃32の刃32bとともにストランド25を切断する固定刃33と、を備えている。そして、ストランド25を挟持して回転刃32と固定刃33の間に誘導するニップロール35とを備え、切断部30によってペレット状に切断された熱可塑性樹脂は、ペレット排出路36を通って排出される。
【0037】
本発明のペレット製造装置は、搬送面の搬送終了端が、上記切断部と同じ高さまたは切断部よりも高い位置にあるものである。このような構成によって、ストランドが搬送途中で切れた場合であっても、ストランドは、自重によって搬送方向に移動することになる。従って、ストランドを切断部に連続的に供給することができる。
【0038】
搬送面の搬送終了端は、切断部と同じ高さまたは切断部よりも高い位置にある限り、その位置には特に制限はないが、切断部よりも高い位置にある場合、搬送終了端と切断部との鉛直方向の距離は、0〜10cmであることが好ましく、0〜5cmであることが更に好ましく、0〜3cmであることが特に好ましい。
【0039】
[1−4]上方搬送部:
本発明のペレット製造装置は、ペレット状の熱可塑性樹脂を上方に搬送する上方搬送部を更に備えることが好ましい。このような上方搬送部を備えることによって、ペレタイザーから排出されたペレットを振動篩などの選別機に良好に投入することができるという利点がある。
【0040】
即ち、ストランドを切断して得られるペレットは、その大きさにバラつきがある。そのため、同じ大きさのペレットを得るために、振動篩などの選別機によって所定の大きさのペレットを選別する工程が行われている。そして、この振動篩などの選別機は、装置の上方からペレットを投入する必要があり、切断部の位置が低い場合、即ち、ペレットを排出するペレタイザーの排出口の位置が低い場合、ペレタイザーから排出されたペレットをそのまま振動篩などの選別機に投入することが困難であるという問題があった。そのため、例えば、図2に示すペレット製造装置200のように、切断部の位置を高くして、ペレタイザーから排出されたペレットを振動篩などの選別機にそのままを投入できるようにしていた。
【0041】
本発明のペレット製造装置は、ストランドを水平または搬送方向に向かって下り勾配で搬送するため、ストランド切れが発生した場合であっても、ペレタイザーなどの切断部にストランドを連続的に供給することができるものの、切断部の位置が低くなる傾向があり、上記問題が生じるおそれがあった。しかし、上述した上方搬送部を備えることによって、下方に排出されたペレットを上方に搬送することが可能になるため、切断部の位置が低いことに起因する上記問題を解消することができる。
【0042】
上方搬送部としては、振動型、空気輸送型、バケット搬送型などを挙げることができる。これらの中でも、振動型のものであることが好ましい。振動型の上方搬送部であると、非常に安定、かつ、簡単にペレットを上方に搬送することができる。特に、ペレットが上方搬送部に付着してしまうことや、残留してしまうことなどの問題が生じ難く、併せて、振動搬送中に、ペレットを、冷却、乾燥することができため、安定した品質の確保が可能である。そして、後工程での乾燥設備を省略することも可能となる。また、樹脂の種類を換える作業において有利であり、他の搬送方式は作業面で、現実的ではない。
【0043】
振動型の上方搬送部としては、例えば、スパイラルエレベータ、スパイラルコンベア、バイブレーティングコンベアなどを挙げることができる。これらの中でも、設置面積が小さく、清掃が容易であるため、スパイラルエレベータ、スパイラルコンベアが好ましい。図1に示すペレット製造装置100は、上方搬送部としてスパイラルエレベータ40を備える例を示している。
【0044】
[1−5]水分除去部:
本発明のペレット製造装置は、図1に示すペレット製造装置100のように、水分除去部50を更に備えるものであることが好ましい。このような水分除去部50を備えることによって、ストランドに付着した水分を、切断前に除去することができるため、乾燥設備が不要となるという利点がある。
【0045】
水分除去部としては、例えば、空気噴出器、空気吸引器などを挙げることができる。空気噴出器としては、具体的には、図1に示すように、ストランドに圧縮空気を噴射する噴射ノズル51aと、圧縮空気を供給する空気供給ポンプ51cと、これらを連結する供給配管51bと、を備える空気噴出器51を例示することができる。空気吸引器としては、具体的には、図1に示す空気吸引器52のように、多数の吸引孔を有し、半円筒状の空気吸引部52aと、上記吸引孔と連通する吸引配管52bと、吸引配管52bに接続される吸引ポンプ52cと、を備えるものを例示することができる。なお、図1に示すペレット製造装置100は、水分除去部として空気噴出器51と空気吸引器52とを備えているが、いずれか一方を備えるものであってもよい。
【0046】
図1に示すペレット製造装置100の振動篩60は、上方から順に、目の粗い篩61a、目の細かい篩61bを有する篩本体61と、篩本体61の上方に伸びる篩用導入路63と、選別したペレットを排出する排出口と、篩本体61を振動させる振動源62と、を備えている。スパイラルエレベータ40から供給されるペレット66は、篩用導入路63を通り、目の粗い篩61a及び目の細かい篩61bによって所定の大きさに選別され、それぞれの大きさによって異なる排出口から排出される。
【0047】
なお、本発明のペレット製造装置は、振動篩以外に、回転式の篩などを用いることができる。
【0048】
図1に示すペレット製造装置100の緩衝部65は、ペレタイザー31のペレット排出路36から排出されたペレット66をスパイラルエレベータ40に橋渡す緩衝板65aと、この緩衝板65aを振動させる振動源65bと、を備えている。この緩衝部65を備えることによって、ペレット排出路36を通って勢いよく排出されたペレット66を安定してスパイラルエレベータ40に供給することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のペレット製造装置は、熱可塑性樹脂からなるペレットを製造するための装置として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のペレット製造装置の一の実施形態を示す模式図である。
【図2】従来のペレット製造装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0051】
10:供給部、11:吐出口、20,120:搬送部(メッシュコンベア)、21:搬送面、21a:搬送開始端、21b:搬送終了端、25,125:ストランド状の熱可塑性樹脂(ストランド)、30,130:切断部、31,131:ペレタイザー、32,132:回転刃、32a:回転軸、32b:刃、33,133:固定刃、35:ニップロール、36:ペレット排出路、40:スパイラルエレベータ、50,150:水分除去部、51:空気噴出器、51a:噴射ノズル、51b:供給配管、51c:空気供給ポンプ、52:空気吸引器、52a:空気吸引部、52b:吸引配管、52c:吸引ポンプ、60,160:振動篩、61:篩本体、61a:目の粗い篩、61b:目の細かい篩、62,65b:振動源、63:篩用導入路、65:緩衝部、65a:緩衝板、66,166:ペレット状の熱可塑性樹脂(ペレット)、100,200:ペレット製造装置、110:押出機、111:オリフィスプレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口を有し、溶融した熱可塑性樹脂を前記吐出口からストランド状に吐出して供給する供給部と、
水平または搬送方向に向かって下り勾配である搬送面を有し、ストランド状の前記熱可塑性樹脂を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されたストランド状の前記熱可塑性樹脂をペレット状に切断する切断部と、を備え、
前記搬送面は、前記供給部側に位置する搬送開始端、及び、前記搬送面の前記切断部側に位置する搬送終了端を有するものであり、
前記搬送開始端は、前記吐出口と同じ高さまたは前記吐出口よりも低い位置にあり、前記搬送終了端は、前記切断部と同じ高さまたは前記切断部よりも高い位置にあるペレット製造装置。
【請求項2】
ペレット状の前記熱可塑性樹脂を上方に搬送する上方搬送部を更に備える請求項1に記載のペレット製造装置。
【請求項3】
前記上方搬送部が、振動型である請求項2に記載のペレット製造装置。
【請求項4】
前記搬送部は、前記搬送面を有する搬送ベルトと、前記搬送面に向って冷却水を噴霧する噴霧器と、を備え、前記搬送ベルトには、噴霧された前記冷却水が排出される複数の貫通孔が形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のペレット製造装置。
【請求項5】
前記搬送部と前記切断部の間に、前記搬送部から搬出されるストランド状の前記熱可塑性樹脂の表面に付着した水分を除去する水分除去部を更に備える請求項1〜4のいずれか一項に記載のペレット製造装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−58481(P2010−58481A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229486(P2008−229486)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(591258587)日本カラリング株式会社 (36)
【Fターム(参考)】