説明

ペレット製造装置

【課題】使用済みのウレタン等の熱硬化性樹脂廃材を効率よく安全に再固化して、固形燃料として再利用できるペレット製造装置を提供する。
【解決手段】フラットダイ12上面において、プレスローラ13の内側に設けられた円周形の内壁16と、プレスローラ13の支基から遠心力方向に水平にアーム27が設けられ、プレスローラ13の外側において、アーム27の先部から垂直下方に設けられた羽板28とを備え、内壁16は、プレスローラ13の転動によって、原料がより内側に逃げない高さ及び位置に形成されており、羽板28の向きは、プレスローラ13の転動によって、プレスローラ13の外側に飛散する原料が内側に向かうように調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、冷蔵庫等に多用されている使用済みのウレタン等の熱硬化性樹脂廃材を効率よく再固化して、固形燃料として再利用できるようにしたペレット製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫等に多用されている使用済みのウレタン等の熱硬化性樹脂廃材は、ゴミとして殆ど、以前の形状を保った状態のままで廃棄されているか、焼却炉等で焼却処分されているのが現状である。熱硬化性樹脂廃材は、加熱しても溶融せず、リサイクルが困難であることが要因に挙げられる。しかしながら、最近では、環境問題やエネルギー資源等の問題が顕著化してきているため、熱硬化性樹脂廃材を有効にリサイクルして再利用する動きが出てきている。
【0003】
熱硬化性樹脂廃材のリサイクル方法として、単独での熱硬化性樹脂としての再利用及び固化が困難であるため、バインダーとして熱可塑性樹脂を添加する方法がある。例えば、特許文献1には、発泡ポリウレタンの粉体を主材に、これを接着するバインダー樹脂の粉体を混合し、加熱成形して成る多気孔体で且つ多数の貫通孔を有する断熱コア材と、前記断熱コア材を真空包装するガスバリアー性フイルムとから成る真空断熱材についての技術が開示されている。
【0004】
また、別の熱硬化性樹脂廃材のリサイクル方法として、特許文献2に開示されているように、超臨界又は亜臨界反応にて低分子から中分子量の化合物に分解し、熱硬化性樹脂の原料とするリサイクル方法が知られている。
【0005】
一方、木質廃材や廃プラスチックについては、破砕・乾燥・造粒の工程を経て、バイオマスペレットやRPFにペレット化されて、主に燃料として再利用されているが、使用済みのウレタン等の熱硬化性樹脂廃材をペレット化して燃料として再利用できるようにするためには、後述するように技術的課題が存在する。
【0006】
この種のペレット製造装置として、従来、図8に示すフラットダイ方式の技術が知られている(例えば、特許文献3を参照。)。従来のペレット製造装置101では、固定された円盤状のフラットダイ102の上をプレスローラ103が回転しながら旋回し、フラットダイ102とプレスローラ103との間に挟まれた原料が、大きな圧力で加圧され、フラットダイ102の成形孔105から下方へ押し出されることによってペレット化されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−97789号公報
【特許文献2】特開2001−151933号公報
【特許文献3】特開2006−272044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のペレット製造装置101は、比較的比重が軽いウレタン等の熱硬化性樹脂廃材を原料とする場合、プレスローラ103によって原料を成形孔105に押し込む際に、プレスローラ103の両側から原料が漏れて圧密性が低いために、何とか高密度化を実現しても、固形燃料として、貯蔵や搬入時に型崩れしない程度の堅さに十分に固化することができないという問題があった。
【0009】
この十分な堅さのペレットが得られないという問題に対して、熱可塑性物質からなるバインダーを混入して溶着すれば、強固に固めることも可能であるが、バインダーを混入すればその分の費用がかかるため、ウレタン等の熱硬化性樹脂廃材を固形燃料として再利用するというリサイクル技術の観点では、バインダーを混入しての溶着はコスト的にメリットが小さい。
【0010】
また、従来のペレット製造装置101は、圧縮によって発熱するウレタン等の熱硬化性樹脂廃材を原料とする場合、フラットダイ102とプレスローラ103との間で原料が圧縮されてフラットダイ102が加熱するところ、このフラットダイ102の加熱は、従来のようにバインダーを混入して溶着する場合には問題とならなかったが、バインダーを混入して溶着しない場合には、ペレットの締まりを悪くする要因となり、連続的に強固なペレットが得られないという問題があった。
【0011】
さらに、従来のペレット製造装置101は、圧縮によって引火性の高い発泡ガス(例えば、シクロペンタン。以下同様。)が発生するウレタン等の熱硬化性樹脂廃材を原料とする場合、発泡ガスの発生による火災や爆発の虞があった。
【0012】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、使用済みのウレタン等の熱硬化性樹脂廃材を効率よく安全に再固化して、固形燃料として再利用できるペレット製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1の発明に係るペレット製造装置は、円筒形のハウジングと、円盤形で該ハウジング内に水平に設けられ上下に貫通する成形孔を有するフラットダイと、該フラットダイ上面を円周方向に転動するプレスローラと、前記フラットダイの下方に配置されたカッターとを備え、前記プレスローラが原料を前記成形孔に押し込み、前記成形孔の下方から押し出された原料を前記カッターで切断してペレットを製造するペレット製造装置であって、前記フラットダイ上面において、前記プレスローラの内側に設けられた円周形の内壁と、前記プレスローラの支基から遠心力方向に水平にアームが設けられ、前記プレスローラの外側において、前記アームの先部から垂直下方に設けられた羽板とを備え、前記内壁は、前記プレスローラの転動によって、原料がより内側に逃げない高さ及び位置に形成されており、前記羽板の向きは、前記プレスローラの転動によって、前記プレスローラの外側に飛散する原料が内側に向かうように調節されていることを特徴としている。
【0014】
請求項1に記載のペレット製造装置によれば、フラットダイ上面に円周形の内壁及び羽板を設けて、原料がプレスローラの通り位置から逃げないようにしているので、原料が低比重物であるウレタン等の熱硬化性樹脂廃材であっても、プレスローラによって原料を成形孔に押し込む際に、プレスローラの両側から原料が漏れることなく、フラットダイとプレスローラとの間で安定的に原料が圧縮・減容される。
【0015】
また、請求項1に記載のペレット製造装置によれば、フラットダイ上面に円周形の内壁及び羽板を設けて、原料がプレスローラの通り位置から逃げないようにしているので、原料が低比重物であるウレタン等の熱硬化性樹脂廃材であっても、圧密性が高くなり、高密度化を実現できるとともに、固形燃料として、貯蔵や搬入時に型崩れしない程度の堅さに十分に固化することができる。
【0016】
請求項2の発明に係るペレット製造装置は、円筒形のハウジングと、円盤形で該ハウジング内に水平に設けられ上下に貫通する成形孔を有するフラットダイと、該フラットダイ上面を円周方向に転動するプレスローラと、前記フラットダイの下方に配置されたカッターとを備え、前記プレスローラが原料を前記成形孔に押し込み、前記成形孔の下方から押し出された原料を前記カッターで切断してペレットを製造するペレット製造装置であって、前記フラットダイ上面に円周形の内壁及び外壁を備え、前記プレスローラは、前記内壁及び外壁と前記フラットダイ上面とによって形成される轍溝上を転動し、前記内壁及び外壁は、前記プレスローラの転動によって、原料が前記轍溝から逃げない高さ及び位置に形成されており、前記成形孔が前記轍溝に位置することを特徴としている。
【0017】
請求項2に記載のペレット製造装置によれば、フラットダイ上面に円周形の内壁及び外壁を設けて轍溝を形成し、原料がその轍溝から逃げないようにしているので、原料が低比重物であるウレタン等の熱硬化性樹脂廃材であっても、プレスローラによって原料を成形孔に押し込む際に、プレスローラの両側から原料が漏れることなく、フラットダイとプレスローラとの間で安定的に原料が圧縮・減容される。
【0018】
また、請求項2に記載のペレット製造装置によれば、フラットダイ上面に円周形の内壁及び外壁を設けて轍溝を形成し、原料がその轍溝から逃げないようにしているので、原料が低比重物であるウレタン等の熱硬化性樹脂廃材であっても、圧密性が高くなり、高密度化を実現できるとともに、固形燃料として、貯蔵や搬入時に型崩れしない程度の堅さに十分に固化することができる。
【0019】
請求項3の発明に係るペレット製造装置は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記フラットダイを空冷又は水冷する冷却手段を備え、前記冷却手段は、圧縮によって発熱し溶融軟化した原料の前記成形孔に接触する表面を冷却安定化させることを特徴としている。
【0020】
請求項3の発明に係るペレット製造装置によれば、請求項1又は請求項2の効果に加えて、フラットダイを空冷又は水冷する冷却手段を備え、冷却手段は、圧縮によって発熱し軟化した原料の成形孔に接触する表面を冷却安定化させるので、ペレットの締まりが良くなり、連続的に強固なペレットを得ることができる。
【0021】
請求項4の発明に係るペレット製造装置は、請求項1乃至請求項3のうち何れか1つに記載の発明において、原料から発生するガスを不活性ガスで置換するガス置換手段を備えることを特徴としている。
【0022】
請求項4の発明に係るペレット製造装置によれば、請求項1乃至請求項3のうち何れか1つの効果に加えて、原料が圧縮によって発泡ガスが発生するウレタン等の熱硬化性樹脂廃材であっても、発泡ガスは不活性ガスで置換されるため、火災や爆発を極力回避することができる。
【0023】
請求項5の発明に係るペレット製造装置は、請求項4に記載の発明において、前記ハウジング内の酸素濃度を測定するための酸素濃度計と、前記ハウジング内の温度を測定するための温度計と、不活性ガスの流量や前記プレスローラの転動速度を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記酸素濃度計及び/又は前記温度計による酸素濃度及び/又は温度の値に応じて、不活性ガスの流量や前記プレスローラの転動速度を制御することを特徴としている。
【0024】
請求項5の発明に係るペレット製造装置によれば、請求項4の効果に加えて、酸素濃度計及び/又は温度計を設けてハウジング内の酸素濃度及び/又は温度を測定し、その測定値に応じて不活性ガスの流量やプレスローラの転動速度が制御されるように構成されていることから、発泡ガスによる火災や爆発を未然に防止するための制御が可能となる。例えば、酸素濃度や温度が高くなったときには、不活性ガスの流量を多くし、プレスローラの転動速度を緩やかにするかプレスローラの転動を停止するように制御することで火災や爆発を未然に防止することができる。
【0025】
請求項6に記載のペレット製造装置は、請求項1乃至請求項5のうち何れか1つに記載の発明において、爆発放散口を備えることを特徴としている。
【0026】
請求項6の発明に係るペレット製造装置によれば、請求項1乃至請求項5のうち何れか1つの効果に加えて、ハウジングに破裂圧力において破裂開口する爆発放散口を備えるので、仮に発泡ガスによる火災や爆発が実際に起きても、爆発から生じる異常な圧力を外部に放出することによって、ハウジング内の破損を未然に防止でき、万全な安全対策となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、使用済みのウレタン等の熱硬化性樹脂廃材を効率よく安全に再固化して、固形燃料として再利用できるペレット製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ペレット製造装置の正面図である。
【図2】ペレット製造装置の側面図である。
【図3】本発明の一実施形態であって、フラットダイ部位の要部拡大図である。
【図4】本発明の一実施形態であって、ペレット製造装置の正面要部拡大図である。
【図5】ペレット製造装置を含む装置全体の構成及び動作のフローを示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態であって、フラットダイ部位の要部拡大図である。
【図7】本発明の他の実施形態であって、ペレット製造装置の正面要部拡大図である。
【図8】従来のペレット製造装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
本発明は、例えば図1及び図2に示すような構成のペレット製造装置1に適用される。ここで、図1は、ペレット製造装置1の正面図であり、図2は、ペレット製造装置1の側面図である。
【0031】
このペレット製造装置1は、円筒形のハウジング11と、このハウジング11内に、フラットダイ12と、プレスローラ13と、カッター14とを主要部として備えている。フラットダイ12は、円盤形であり、接地面に対して水平に設けられており、上下に貫通する多数の成形孔15が形成されている。
【0032】
フラットダイ12の上面において、プレスローラ13の内側には円周形の内壁16が設けられており、円盤の中心に円柱が形成された態様となっている。内壁16の高さ及び内壁16とプレスローラ13との隙間は、原料が内壁16を超えて回転軸方向に飛散しないこと、及び、プレスローラ13の転動を妨げないことを考慮して設定されている。
【0033】
成形孔15は、図3及び図4に示すように、フラットダイ12の上面、すなわち、内壁16によって形成される段差の下段であって、プレスローラ13の転動コースに形成されている。フラットダイ12の中心を主軸18が上下に貫通しており、主軸18のフラットダイ12より上側に、プレスローラ支基19が挿入されている。
【0034】
プレスローラ支基19の側面の3等分(又は4等分)の軸の位置に、3本(又は4本)のプレスローラ軸20が主軸18と直交する向きに取り付けられており、各プレスローラ軸20の先端に、ベアリング21を介してプレスローラ13が回動自在に取り付けられている。なお、プレスローラ軸20のプレスローラ支基19への取り付けは、螺合や、嵌合など、どのような方法でもよい。プレスローラ13はフラットダイ12上面に接地しており、主軸18が回転することによって主軸18の周りを公転しつつ、フラットダイ12上面を転動する。
【0035】
主軸18のフラットダイ12下方部にはリング体22aが固定されており、リング体22aの側面にカッター14が設けられている。また、リング体22aの下方部の主軸18に更にリング体22bが固定されており、リング体22bの側面に円錐形で下方に向かって広がる排出板23が設けられている。主軸18の下端には、モータ24が接続されており、主軸18を回転駆動する。主軸18の回転とともに、カッター14及び排出板23も回転する。ハウジング11の上部には、投入口26が設けられており、投入口26を介して上部から原料を投入する。
【0036】
図3に示すように、3本のプレスローラ軸20のうち夫々の間に、プレスローラ支基19の側面から遠心力方向に水平にアーム27が取り付けられている。プレスローラ13の外側において、図4に示すように、各アーム27の先部から垂直下方に羽板28が設けられている。羽板28の向きは、図3に示すように、プレスローラ13の転動によって、プレスローラ13の外側に飛散する原料が内側に向かうように、例えば、転動方向に対して内側に30°の向きに調節されている。
【0037】
フラットダイ12が位置するハウジング11の部位には、図1及び図2に示すように、フラットダイ12に冷却用空気を供給するための冷却空気供給口29及び冷却空気排気口30が設けられており(8カ所の位置は図示省略)、エアーコンプレッサー又は送風機(図示省略)から供給される冷却用空気が、冷却空気供給口29を介してフラットダイ12の下部に噴射され、フラットダイ12の冷却に供された後、冷却空気排気口30を介して排気されるようになっている。なお、冷却手段は空冷に限られず、例えば水冷でもよい。
【0038】
また、図2に示すように、ハウジング11の上部には、不活性ガス供給口31が設けられており、原料から発生する発泡ガスを不活性ガスで置換するために、不活性ガス供給口31を介して不活性ガスが供給されるようになっている。不活性ガスには、窒素ガスが用いられているが、発泡ガスと反応しないのであればこれに限られない。
【0039】
原料から発生するガスや不活性ガスは、不活性ガス排気口32を介して、大気で希釈された後、図5に示すように、集塵装置33にて環境に放出可能なものに処理される。ハウジング11は、爆発から生じる異常な圧力を外部に放出するための爆発放散口34を備えているが、集塵装置33にも、爆発放散口35が設けられている。
【0040】
さらに、ハウジング11内の酸素濃度を測定するための酸素濃度計36(図示省略)と、ハウジング11内の温度を測定するための温度計37(図示省略)とを設けて、酸素濃度及び/又は温度の値に応じて、不活性ガスの流量やプレスローラ13の転動速度を制御する制御部38(図示省略)を備えるようにしてもよい。
【0041】
次に、上記のように構成したペレット製造装置1によってペレットを製造する際の流れを説明する。先ず、投入口26からハウジング11内に原料(粉砕された廃棄ウレタン)を投入する。そして、モータ24を起動すれば、主軸18の回転に伴いプレスローラ13がフラットダイ12上を転動する。このプレスローラ13が原料を加圧しながら成形孔15に押し込み、成形孔15の下方から棒状に加圧成形された原料が押し出される。このとき、フラットダイ12に冷却用空気が供給されて、フラットダイ12が冷却されているので、圧縮によって発熱し軟化した原料の成形孔15に接触する表面が冷却安定化する。したがって、原料の締まりが良くなり、連続的に強固な原料が押し出される。この原料をカッター14により切断することで、強固なペレットを製造する。
【0042】
そして、製造されたペレットは排出板23上に落下する。排出板23は主軸18とともに回転しているので、ペレットは遠心力により外周側へ飛ばされ、ハウジング11の側面に形成した製品出口39から排出される。ここで、プレスローラ13が成形孔15に原料を押し込む際に、内壁16があることによって、プレスローラ13の内側から原料が漏れることを防ぐことができる。
【0043】
また、各アーム27の先部から垂直下方に設けられた羽板28の向きが、プレスローラ13の転動によって、プレスローラ13の外側に飛散する原料が内側に向かうように調節されているので、プレスローラ13が成形孔15に原料を押し込む際に、プレスローラ13の外側から原料が漏れることを防ぐことができる。
【0044】
これにより、原料が低比重物であるウレタン等の熱硬化性樹脂廃材であっても、プレスローラ13によって原料を成形孔15に押し込む際に、プレスローラ13の両側から原料が漏れることなく、フラットダイとプレスローラとの間で安定的に原料が圧縮・減容されるとともに、圧密性が高くなり、高密度化を実現できるとともに、固形燃料として、貯蔵や搬入時に型崩れしない程度の堅さに十分に固化することができる。
【0045】
また、不活性ガス供給口31から不活性ガスが供給されるので、発泡ガスによる火災・爆発が回避される。爆発から生じる異常な圧力を外部に放出するための爆発放散口34がハウジング11に設けられているので安全性は更に高くなっている。原料から発生するガスや不活性ガスは、不活性ガス排気口32を介して、大気で希釈された後、集塵装置33にて環境に放出可能なものに処理される(図5を参照。)。
【実施例2】
【0046】
本発明は、例えば図6及び図7に示すような構成のペレット製造装置51に適用することもできる。
【0047】
このペレット製造装置51の構成は、ペレット製造装置1の構成と略同じである。異なる点は、ペレット製造装置1では羽板28が設けられており、この羽板28によって、プレスローラ13の外側に飛散する原料が内側に向かうように構成されているのに対して、ペレット製造装置51では、図6及び図7に示すように、羽板28の代わりに外壁52が設けられており、この外壁52によって、プレスローラ13の外側に原料が飛散するのを防止している点である。構成及び作用が上述の通り異なっているが、効果については、何れも、プレスローラ13の外側に原料が飛散しないようになる点で共通している。
【0048】
したがって、ペレット製造装置51のペレット製造装置1と共通する構成や、ペレット製造装置51によってペレットを製造する際の流れについても、ペレット製造装置1のケースと同様となるため、ここでは説明を省略する。
【0049】
なお、本発明は前述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0050】
1,51 ペレット製造装置
11 ハウジング
12 フラットダイ
13 プレスローラ
14 カッター
15 成形孔
16 内壁
18 主軸
19 プレスローラ支基
20 プレスローラ軸
21 ベアリング
22 リング体
23 排出板
24 モータ
26 投入口
27 アーム
28 羽板
29 冷却空気供給口
30 冷却空気排気口
31 不活性ガス供給口
32 不活性ガス排気口
33 集塵装置
34,35 爆発放散口
36 酸素濃度計
37 温度計
38 制御部
39 製品出口
52 外壁
101 従来のペレット製造装置
102 フラットダイ
103 プレスローラ
105 成形孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形のハウジングと、円盤形で該ハウジング内に水平に設けられ上下に貫通する成形孔を有するフラットダイと、該フラットダイ上面を円周方向に転動するプレスローラと、前記フラットダイの下方に配置されたカッターとを備え、前記プレスローラが原料を前記成形孔に押し込み、前記成形孔の下方から押し出された原料を前記カッターで切断してペレットを製造するペレット製造装置であって、
前記フラットダイ上面において、前記プレスローラの内側に設けられた円周形の内壁と、
前記プレスローラの支基から遠心力方向に水平にアームが設けられ、前記プレスローラの外側において、前記アームの先部から垂直下方に設けられた羽板とを備え、
前記内壁は、前記プレスローラの転動によって、原料がより内側に逃げない高さ及び位置に形成されており、
前記羽板の向きは、前記プレスローラの転動によって、前記プレスローラの外側に飛散する原料が内側に向かうように調節されていることを特徴とするペレット製造装置。
【請求項2】
円筒形のハウジングと、円盤形で該ハウジング内に水平に設けられ上下に貫通する成形孔を有するフラットダイと、該フラットダイ上面を円周方向に転動するプレスローラと、前記フラットダイの下方に配置されたカッターとを備え、前記プレスローラが原料を前記成形孔に押し込み、前記成形孔の下方から押し出された原料を前記カッターで切断してペレットを製造するペレット製造装置であって、
前記フラットダイ上面に円周形の内壁及び外壁を備え、
前記プレスローラは、前記内壁及び外壁と前記フラットダイ上面とによって形成される轍溝上を転動し、
前記内壁及び外壁は、前記プレスローラの転動によって、原料が前記轍溝から逃げない高さ及び位置に形成されており、
前記成形孔が前記轍溝に位置することを特徴とするペレット製造装置。
【請求項3】
前記フラットダイを空冷又は水冷する冷却手段を備え、
前記冷却手段は、圧縮によって発熱し溶融軟化した原料の前記成形孔に接触する表面を冷却安定化させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のペレット製造装置。
【請求項4】
原料から発生するガスを不活性ガスで置換するガス置換手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか1つに記載のペレット製造装置。
【請求項5】
前記ハウジング内の酸素濃度を測定するための酸素濃度計と、
前記ハウジング内の温度を測定するための温度計と、
不活性ガスの流量や前記プレスローラの転動速度を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記酸素濃度計及び/又は前記温度計による酸素濃度及び/又は温度の値に応じて、不活性ガスの流量や前記プレスローラの転動速度を制御することを特徴とする請求項4に記載のペレット製造装置。
【請求項6】
爆発放散口を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうち何れか1つに記載のペレット製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−43109(P2013−43109A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181259(P2011−181259)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(592094519)ダイオーエンジニアリング株式会社 (7)
【Fターム(参考)】