説明

ペンタブレット入力装置及びそれを用いた入力方法

【課題】メイン画面に表示される情報の向きを選択し、その選択された向きにタブレットより入力された情報をメイン画面に表示させるペンタブレット入力装置を提供する。
【解決手段】メイン画面を備えたメイン画面表示装置と、タブレットと、前記メイン画面に表示される情報の向きを選択する複数の選択部と、前記タブレットより入力された入力情報を、前記選択部によって選択された向きに応じて前記メイン画面に表示させる表示制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の方向から入力しても所定の方向に情報表示することができるペンタブレット入力装置及びそれを用いた入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペンタブレットを使用することにより、手書き入力することができる。そして、ペンタブレットを使用して、複数の人が複数の方向から入力可能にする入力装置が例えば、特許文献1及び2により公知である。
特許文献1は、例えば、顧客相談端末であり、予め個々に識別番号が設定された複数の電子ペンを有し、窓口オペレータと顧客がタブレットを挟んで向かい合い、電子ペンによってデータが入力されたとき、タブレットは入力データの座標データと識別番号を出力する。すると、制御部はタブレットからの座標データを、識別番号に応じて記憶部に選択記憶し、タブレットと重ねて配置されたディスプレイに、電子ペンによって入力された入力領域に対応する位置に、座標データに基づく入力データを表示する。これにより、一つのタブレットを使用して複数の入力者がデータを入力することができる。
特許文献2は、複数名が異なる方向から入力された場合でも手書き入力することが可能な手書き入力装置であり、一体型表示入力装置はLCDとタブレットが重ねて構成され、LCDによって表示された入力領域に対応して、タブレットより入力された座標データをもとにして情報の入力を行う手書き入力装置である。この特許文献2では更に、入力領域を任意の角度で回転させて向きを変更させることができる。また、回転により変更された向きに応じて、入力される座標値を補正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−89112号公報
【特許文献2】特開平5−73203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1及び2により、向かい合った2人がそれぞれの方向からタブレットに入力することができ、文字を反転することにより正常方向から文字を見ることができる。しかし、ディスプレイの表示情報は入力者の方向に変更されないので、ディスプレイの表示方向と反対方向にいる入力者は、表示情報を反対方向から見なければならない。
【0005】
また、図10(a)に示すように、メイン画面表示装置100とペンタブレット110を備える入力装置において、ペンタブレット110を囲んでA氏とB氏がいるとする。この場合、図10(b)に示すように、ペンタブレット110の正面にいるA氏がペン120を使用して入力すると、メイン画面表示装置100にはA氏の向き、つまり正面方向に文字が表示される。しかし、図10(c)に示すように、ペンタブレット110の右側にいるB氏がペン120を使用して入力すると、メイン画面表示装置100にはB氏の向き、つまり右横向きに文字が表示される。このようにペンタブレット110に入力した文字は、そのままメイン画面表示装置100及びペンタブレット110に表示され、見にくい表示が行なわれてしまう。
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するものであり、メイン画面に表示される情報の向きを選択し、その選択された向きにタブレットより入力された情報をメイン画面に表示させるペンタブレット入力装置を提供することを目的とする。更に本発明はメイン画面の表示情報を、選択された向きに応じてサブ画面に表示させ、使用者が入力しやすいペンタブレット入力装置を提供することを目的とする。また、このようなペンタブレット入力装置を用いて入力する入力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のペンタブレット入力装置は、上記課題を解決するため、メイン画面を備えたメイン画面表示装置と、前記メイン画面に表示させる入力情報を、複数の方向から入力可能なタブレットと、前記タブレットに入力情報を入力する際、入力の向きを選択する複数の選択部と、前記タブレットより入力された入力情報を、前記選択部によって選択された向きに応じて、変換させて前記メイン画面に表示させる表示制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明において、上記メイン画面表示装置は、サブ画面表示装置より大画面を有し、複数の者が同時に表示情報を見ることができるような大きさである。例えば、画面面積が40型以上であり、あるいは壁一面のように大型の表示画面を有する。メイン画面表示装置はこのように大画面を有しているので、ペンタブレット入力装置を使用して情報入力する複数の使用者が同時にメイン画面表示装置に表示されている表示情報を見ることができる。また、メイン画面表示装置の周囲にいる視聴者も同時に表示情報を見ることができる。従って、本発明のペンタブレット入力装置は複数の者が集まる会議、あるいはプレゼンテーションなどに好適に使用できる。
【0009】
本発明において、メイン画面表示装置とサブ画面表示装置は表示座標が関係付けられていると好ましく、メイン画面表示装置の表示情報を、サブ画面表示装置に縮小して表示し、両方に同一の表示情報が表示される。また、本発明では、ペンタブレット入力装置は複数の方向から入力することが可能であり、その入力方向を選択することにより、選択した方向に応じてメイン画面表示装置に情報を表示することができる。同時にメイン画面表示装置に表示している表示情報はサブ画面表示装置にも表示される。従って、入力者はペンを持ち、入力しようとしたとき、入力者の方向にメイン画面の表示情報が表示されるので、表示情報を見ながら表示情報の方向に一致させて入力することができる。そのため、表示情報の方向に合わせて体の向きを変えたり、タブレット入力装置の方向を変えたりする必要がない。また、このようにして選択した方向より入力した入力情報は、表示情報に合成されてメイン画面表示装置に表示されるので、メイン画面表示装置によって多数の者が見ることができる。
【0010】
本発明のタブレット入力装置において、前記複数の選択部は、前記タブレットの周囲に複数箇所備えたセンサーである。例えば、センサーは、タブレットの角部に備えられ、入力者が1つのセンサーを手で覆い隠すことにより、その隠されたセンサーによって入力者のいる方向を判断する。
【0011】
また、本発明のペンタブレット入力装置において、前記選択部は、前記ペンがタブレットに接触した点と、サブ画面表示装置に形成される手の影を検出し、その影の中、ペンの接触点から最も遠い点を結ぶ線によって入力者のいる方向を判断することによって選択される。より具体的には、ペン先の接触点Sを光センサー液晶によって検出する。一方、ペンを持つ手によって形成される影部分を光センサー液晶によって検出し、その影部分の内、ペン先の接触点Sから最も遠い点Tを結ぶ線Rを求める。この線Rの方向が入力者の位置と判断する。通常、線Rは、ペンを右手で持つときは入力者の位置より右外側に傾くので、平均的な外側への傾き角度を補正することにより、入力者の位置を特定することが可能である。左手でペンを持つ場合も同様に補正することが可能である。このようにペンの接触点と手の影部分の内、ペン先の接触点Sから最も遠い点Tを結ぶ線Rを求めて、入力方向を判別する場合は、センサーのような部品を必要としないので、構成を簡単にすることができる。
【0012】
また、本発明のペンタブレット入力装置において、前記複数の選択部は、前記タブレットの複数の辺方向に対応付けられたペン荷より選択される。ペンは予めそれぞれの入力方向が設定されているので、ペンを使用して入力すると同時に入力方向が選択される。これにより、入力と同時に自動的にタブレットの表示画面が入力者の方向に表示される。
【0013】
また、本発明のペンタブレット入力装置において、前記表示制御部は、選択部により選択された入力の向きに応じて、それぞれ異なる色、線幅、線の種類を表示する。これにより、入力者と色、線幅、線の種類自動的に対応させることができるので、入力者を区別することができる。
【0014】
また、本発明のペンタブレット入力装置において、前記表示制御部は、入力方向に応じて、メイン画面とサブ画面のアスペクト比または解像度を制御する。メイン画面表示装置とサブ画面表示装置は、画面サイズ或いは画面アスペクトが異なっても、アスペクト比及び解像度をメイン画面またはサブ画面に対応させて制御するので、入力者は表示情報を見やすくなる。また、メイン画面を見ている多数の人も表示情報が見やすくなる。
【0015】
また、本発明は別の観点によればペンタブレット入力装置の入力方法であり、コンピュータによって、タブレットから情報を入力させる入力ステップと、前記タブレットに入力情報を入力する際、入力の向きを選択する選択ステップと、前記タブレットより入力された入力情報を、前記選択ステップによって選択された向きに応じて、変換させて前記メイン画面に表示させる表示制御ステップとを実行することを特徴とする。
これにより、メイン画面に表示される情報の向きを選択し、その選択された向きにタブレットより入力された情報をメイン画面に表示させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のペンタブレット入力装置は、以上のように構成されるので、メイン画面に表示される情報の向きを選択し、その選択された向きにタブレットより入力された情報をメイン画面に表示される。そのため、メイン画面の表示情報を見やすい方向に選択することができる。また、本発明はメイン画面の表示情報を、選択された向きに応じてサブ画面に表示させ、使用者が入力しやすい表示を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態によるペンタブレット入力装置の使用状態の説明図を示す。
【図2】本発明の第1実施形態によるペンタブレット入力装置のブロック図を示す。
【図3】本発明の第1実施形態によるペンタブレット入力装置のフローチャート図を示す。
【図4】本発明の第2実施形態によるペンタブレット入力装置の使用状態の説明図を示す。
【図5】本発明の第2実施形態によるペンタブレット入力装置のブロック図を示す。
【図6】本発明の第2実施形態によるペンタブレット入力装置のフローチャート図を示す。
【図7】本発明の第3実施形態によるペンタブレット入力装置の使用状態の説明図を示す。
【図8】本発明の第3実施形態によるペンタブレット入力装置のブロック図を示す。
【図9】本発明の第3実施形態によるペンタブレット入力装置のフローチャート図を示す。
【図10】従来のペンタブレット入力装置の使用状態を説明する図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
図1〜図3は本発明の第1実施形態によるペンタブレット入力装置を示し、図1は、その使用状態の説明図、図2はブロック図、図3はフローチャート図を示す。
本発明のペンタブレット入力装置は、図1(a)に示すように、メイン画面表示装置10と、タブレット・表示部30を備える。メイン画面表示装置10は、例えば、画面面積が40型以上であり、あるいは壁一面のように大型の表示画面を有する。メイン画面表示装置10の表示情報は入力者は勿論、入力者以外の視聴者も見ることができるような大きさの画面であり、入力者及び視聴者が見えるように配置される。図1(a)は、入力者A氏、B氏、C氏の前方にメイン画面表示装置10が配置される。
【0019】
タブレット・表示部30は、例えば複数の入力者A、B,Cが囲む机40の上に置かれ、複数の入力者が入力可能である。本発明の場合、タブレット・表示部30は、サブ画面表示部とタブレットが重ね合わせられて一体化されて構成される。このタブレット・表示部30は机40の上に置いたまま、複数の入力者が複数の方向から入力可能である。
【0020】
タブレット・表示部30は、図1(b)に示すように、角部にセンサーBとCを備える。ここでは図1(b)の左上隅と右下隅の2箇所にセンサーがあることを示す。しかし、センサーの数は1つでも、2つ以上でもかまわない。
このタブレット・表示部30を使用する場合、入力者とセンサーの配置を設定する。つまり、B氏がセンサーBを手で覆い隠すことにより、タブレット・表示部30の右側から入力すると設定する。また、C氏がセンサーCを手で覆い隠すことにより、タブレット・表示部30の左側から入力すると設定する。これにより、タブレット・表示部30より入力された情報が、入力者の入力方向に合わせて向きを変えて、メイン画面表装置に表示される。同時に、入力者がペン41を使用してタブレット・表示部30に入力した情報は、タブレット・表示部30に入力者の方向に表示される。
図1(b)の場合は、タブレット・表示部30の右側にいるB氏がセンサーBを手で隠して入力している様子を示す。同様に左側にいるC氏が入力する場合はセンサーCを手で隠して入力する。しかし、正面にいるA氏はセンサーB及びCを隠すことなく入力することができる。この第1実施形態では、A氏は、センサーB及びCを隠すことなく入力することができるが、A氏のためのセンサーを備えていてもかまわない。
【0021】
図2は、第1実施形態のブロック図を示す。
本発明の第1実施形態は、メイン画面表示装置10と、表示制御部20と、タブレット・表示部30を備える。
【0022】
メイン画面表示装置10は、メイン画面表示部11と、駆動部12と、表示制御部13と、バックライト14を備える。
メイン画面表示部11は代表的には液晶表示装置であるが、プラズマ表示装置、有機EL表示装置、LED表示装置、プロジェクタ表示装置などであってもかまわない。メイン画面表示部11は、X方向及びY方向の座標を有する。
駆動部12はメイン画面表示部11をX方向及びY方向から駆動し、メイン画面表示部11に情報表示する。
表示制御部13はメイン画面表示部11に表示させる表示情報を制御する部分である。
バックライト14はメイン画面表示部11が液晶表示装置である場合に必要となる光源である。プラズマ表示装置、有機EL表示装置、LED表示装置、プロジェクタ表示装置の場合、バックライト14は必要でない。
【0023】
表示制御部20は、メイン画面表示装置10及びタブレット・表示部30を制御するために備えられる。表示制御部20はタブレット・表示部30に一体的に備えられるが、メイン画面表示装置10に一体的に備えられてもよいし、メイン画面表示装置10及びタブレット・表示部30とは、別に備えられてもよい。
メイン画面表示装置10、タブレット・表示部30、表示制御部20は、それぞれ信号の交換をするため接続線によって接続される。しかし、有線による接続に限らず赤外線、電波のような無線によって接続してもよい。
【0024】
表示制御部20は、画像処理部21と、記憶部22と、画像回転部23と、座標変換部24を備える。この他に、表示制御部20の全体を制御するプログラムを記憶するプログラム記憶部、このプログラム記憶部に記憶されたプログラムを読み出す読み出し部、読み出したプログラムに従って各部分を制御する制御部(CPU)、一時的なデータ記憶部、入力部、出力部、通信部など、一般的に公知のコンピュータ制御部分を備えるが、ここでは図示しない。
【0025】
画像処理部21は、メイン画面表示部11及びサブ画面表示部31に表示する表示情報を処理する部分である。
記憶部22は、RAMのような一時的な記憶装置によって構成され、回転方向記憶部221、反応センサー保持部222、追記情報保持部223、メイン画面記憶部224、サブ画面記憶部225を備える。これら各部分は、記憶部22を仮想的に分けて描いたものであり、実際には記憶部22を固定長領域によって形成してもよいし、可変長領域に形成してもよい。
【0026】
回転方向記憶部221は、図1(b)に示したセンサーB及びCに対応して、そのセンサーの方向を記憶する。即ち、センサーBが覆い隠されたときは、画像を左90°に回転させる、と記憶する。同様に、センサーCが覆い隠されたときは、画像を右90°に回転させる、と記憶する。センサーB及びCが覆い隠されないときは、画像は回転させないので、回転方向記憶部221は、画像の回転情報を記憶しない。
第1実施形態ではセンサーは2つであり、左90°と、右90°だけを示すが、このような設定は任意であり、左90°あるいは右90°の一方、または3つ以上の角度30°、45°、60°、180°のような固定値または任意値を設定してもよい。
【0027】
反応センサー保持部222は、今センサーBまたはCのどちらのセンサーが反応しているかを記憶する。
追記情報保持部223は、タブレット・表示部30によって新たに入力された追記情報を記憶する。
メイン画面記憶部224は、今メイン画面表示部11に表示している表示情報を記憶する。
サブ画面記憶部225は、今サブ画面表示部31に表示している表示情報を記憶する。
【0028】
画像回転部23は、センサーBまたはCの検出出力に対応して左90°または右90°に画像を回転させる。センサーが3つ以上あるいは90°以外に配置され、左90°または右90°以外に設定されている場合は、その設定に応じて画像を回転させる。更に、各センサーに対応してペンの色、線幅、線の種類を設定し記憶する。例えば、センサーBが反応したときは、赤色、線幅5mm、線の種類は実線とする。センサーCが反応したときは、黒色、線幅3mm、線の種類は点線とする。センサーB及びCが反応しないときは、青色、線幅7mm、線の種類は一点鎖線とする。このような設定は一例であり、任意に設定可能であるので、入力方向に応じて色、線幅、線の種類を変えることができる。
座標変換部24は、メイン画面表示部11とサブ画面表示部31の座標を変換する部分であり、画面サイズ、解像度、アスペクト比または表示情報の回転に応じて座標を変換する。
【0029】
タブレット・表示部30は、サブ画面表示部31と、サブ画面表示部の駆動部32と、タブレット33と、タブレットの駆動部34と、センサーBの検出部35と、センサーCの検出部36と、検出部35と36を制御するセンサー制御部37と、上記各部分を制御する制御部38を備える。
制御部38は、プログラムを記憶し、プログラムを読み出して、プログラムに従って各部分を制御する。
【0030】
上記サブ画面表示部31は、液晶表示装置よりなり、入力者のために画像表示する。液晶表示装置の外にプラズマ表示装置、有機EL表示装置、LED表示装置等を使用することができる。サブ画面表示部31は、X方向及びY方向の座標を有し、メイン画面表示部11のX方向及びY方向座標と関係付けられている。
駆動部32は、サブ画面表示部31をX方向及びY方向から駆動し、サブ画面表示部31に情報表示させる部分である。
タブレット33は、電磁誘導方式によってペン入力位置を検出する。検出方法は、抵抗膜方式、静電方式、光反射方式、光走査方式であってもよい。ペン41は、タブレットの検出方式に対応したものが使用される。例えば、光反射方式の場合は、光反射するようなペンが使用される。
駆動部34は、タブレットをX方向及びY方向から駆動し、タブレットに入力されたペン位置を検出する。
サブ画面表示部31とタブレット33は、重ね合わせられ、一体化される。従って、入力者はサブ画面表示部31の表示情報を見ながら、タブレット33にペン入力することができる。サブ画面表示部31とタブレット33は、サブ画面表示部31が上、タブレット33が下であっても、タブレット33が上、サブ画面表示部31が下であってもかまわない。
センサーBの検出部35と、センサーCの検出部36は、タブレットの左下隅のセンサーBと右上隅のセンサーCの出力を検出し、センサーBまたはCから入力されたことを検出する。センサーBは、メイン画面に表示される情報の向きを右向きに選択し、センサーCは、メイン画面に表示される情報の向きを右向きに選択することができる。また、センサーB及びCを覆い隠さないことによって、メイン画面に表示される情報の向きを正面に選択することができる。
センサー制御部37は、検出部36または37を制御し、センサーBまたはCのどちらから入力されたかを判定する。
【0031】
次に、本発明の第1実施形態の動作を図3のフローチャートを使用して説明する。
まず、ペンタブレット入力装置が動作を開始し、ステップS1では、タブレットの左下隅のセンサーBまたは右上隅のセンサーCの反応があったか否か判断する。もし、センサーB及びCに反応がない場合は、タブレット33の正面にいるA氏の方向からの入力が選択されたと判断する。
センサーBまたはCの反応があった場合は、ステップS2で、反応があったセンサーを特定する。つまり、右下隅のセンサーBが入力者B氏によって覆い隠されると、その検出出力はなくなるので、B氏の方向からの入力が選択されたと判断する。または左上隅のセンサーCが入力者C氏によって覆い隠されると、その検出出力はなくなるので、C氏の方向からの入力が選択されたと判断する。センサーBまたはCのどちらの検出出力がなくなったかは、センサー制御部37によって特定する。次にステップS3では、反応があったセンサーに対応付けられている回転方向を回転方向記憶部221から取得する。ステップS4では、メイン画面表示部11に表示している表示情報をメイン画面記憶部224から取得する。ステップS5では、取得した表示情報を、ステップS3で取得した回転方向に画像回転部23によって回転する。そして、ステップS6で、回転させた表示情報をサブ画面記憶部225に記憶する。
一方、ステップS2において、センサー反応が得られない場合は、ステップS7で、表示情報は回転する必要がないので、「回転なし」を設定する。次に、ステップS8で、メイン画面表示部11に表示している表示情報をメイン画面記憶部224から取得し、ステップS9で表示情報をサブ画面記憶部225に記憶させる。
【0032】
以上のようにして、ステップS6またはステップS9において、表示情報をサブ画面記憶部225に記憶すると、ステップS10では、サブ画面記憶部225に記憶された表示情報を、画像処理部21からタブレット・表示部30の制御部38に送り、サブ画面表示部31の表示を更新する。これにより、入力者の入力方向とサブ画面表示部31の表示方向を一致させることができる。
【0033】
次に、タブレット33に入力があるか否か判断する。入力がなければ、ステップS18に移行する。タブレット33に入力がある場合は、ステップS12で、入力座標を取得する。次に、ステップS13では、取得した入力座標をタブレット・表示部30の制御部38を経て、表示制御部20のサブ画面記憶部225に追加記録する。ステップS12で、入力座標を取得する際、同時にペンの色、線幅、または線の種類も取得し、それをサブ画面記憶部225に記憶してもよい。これにより、入力者とペンの色、線幅、または線の種類が対応し、メイン画面表示部11及びサブ画面表示部31に表示された情報は誰によって入力されたかを判別することができる。しかし、メイン画面記憶部224に、ペンの色、線幅、または線の種類情報は、付加して記憶しない。
【0034】
次に、ステップS14で、取得した入力座標をステップS3で取得した回転方向に従って入力座標を変換する。つまり、B氏の方向からの入力が選択された場合は左90°に回転させ、C氏の方向からの入力が選択された場合は右90°に回転させる。しかし、A氏の場合はステップS7で、回転の必要がないと設定したので、入力座標を回転させない。このようにして入力座標を変換した後の新たな座標を、ステップS15で、メイン画面記憶部224に追加記憶する。
このようにしてメイン画面記憶部224に記憶された表示情報は、ステップS16で、画像処理部21からメイン画面表示装置10の表示制御部13に送られて、メイン画面表示部11の表示情報を更新する。同時にステップS17では、画像処理部21からタブレット・表示部30の制御部38に送られて、サブ画面表示部31の表示情報を更新する。
【0035】
次に、ステップS18では、センサーBまたはCに反応があったか否か判断する。反応がなければ、最初のステップS1に戻る。反応があれば、ステップS19に移行し、反応があったセンサーを特定する。次に、ステップS20で、反応があったセンサーは前のセンサーと同じかどうか判断する。同じセンサーであれば、引き続きペン入力があったので、ステップS11に戻る。しかし、同じセンサーでなければ、ステップS2に戻る。
【0036】
(第2実施形態)
図4〜図6は本発明の第2実施形態によるペンタブレット入力装置を示し、図4は、その使用状態の説明図、図5はブロック図、図6はフローチャート図を示す。
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、第2実施形態ではセンサーB、C使用せずに、ペン先の接触点と、手の影がペン先の接触点から最も遠い点を検出して、この2つの点を結ぶ線によって、メイン画面に表示される情報の向きが選択されたとする点にある。
即ち、図4(a)は、図1(a)と同様に、複数の入力者A、B,Cが机40の上に置かれたタブレット・表示部30を囲み、複数の方向から入力可能である。ここで、第2実施形態は、図4(b)に示すように、ペン先がタブレットに接触する点Sと、ペンをもつ手がタブレット上に影となる部分を検出し、上記点Sから最も遠くになる影の点Tを求め、この点SとT結ぶ線Rを求める。そして、図4(c)に示すように、タブレット上に仮想的に引いた基準線Uと、図4(d)に示すように、ベクトル合成して基準線Uと線Rを比較して、線Rと線Uとが成す角度により入力者の方向を特定する。このように、ペン先の接触点S及び手の影を検出するため、タブレットは光センサー液晶が使用される。通常、線Rは、ペンを右手で持つときは入力者の位置より右外側に傾くので、平均的な外側への傾き角度を補正することにより、入力者の位置を特定することが可能である。左手でペンを持つ場合も同様に補正することが可能である。このようにペンの接触点と手首の接触点により入力方向を判別する場合は、センサーのような部品を必要としないので、構成を簡単にすることができる。
その他、説明のない部分は、第1実施形態と同じである。
【0037】
図5は、第2実施形態のブロック図を示す。
図5は、図2に示した第1実施形態のブロック図とほぼ同じであり、同じ部分には同じ符号を付して説明を省略する。
図5において、メイン画面表示装置10は、図2のメイン画面表示装置10と同じである。
図5において、記憶部22は、回転方向記憶部226、測定角度情報保持部227を備える。回転方向記憶部226は、測定角度aの場合は、左90°回転であり、測定角度bの場合は回転なしであり、測定角度cの場合は右90°回転が設定されている。このような設定は、一例であり、このような角度以外に30°、60°45°のように設定することも可能である。
【0038】
測定角度情報保持部227は、測定角度情報a、b、を記憶する。
タイマーカウンター25は、光センサーがペン先を検知している時間、例えば3秒をカウンターする。もし、3秒以内に同じペン先を検出しつづけるときはタブレットの入力動作を継続する。しかし、3秒以内に再検出したときは、別のペン先が入力されたと判断して、最初の動作に戻る。3秒は、一例であり、任意の時間を設定してもよい。
ベクトル処理部26は、ペン先の接触点Sと、手の影が接触点Sから最も遠くにある部分の点Tを求め、点Sと点Tを結ぶ線Rを求める。更に、ベクトル処理部26は、タブレットに引いた仮想の基準線Uとの角度を求める処理を行なう。この角度情報から、制御部はメイン画面に表示される情報の向きを判断する。
【0039】
タブレット・表示部30は、光センサーを内蔵したサブ画面表示部40によって構成され、このサブ画面表示部40を駆動する駆動部44と、制御部45を備える。サブ画面表示部40は、ペン先の影および手の影を検出する。制御部はペン先の影からペン先の接触点Sを検出する。また、手の影から、接触点Sから最も遠い点Tを検出する。
【0040】
次に、本発明の第2実施形態の動作を図6のフローチャートを使用して説明する。
まず、ペンタブレット入力装置が動作を開始し、ステップS31で、サブ画面表示部40の光センサーを内蔵したサブ画面表示部40は、ペン先がサブ画面表示部に接触した点Sを検知し、駆動部44によってその座標を取得する。次にステップS32で、光センサーを内蔵したサブ画面表示部40によってカラーセンスを開始する。次に、ステップS33で、カラーセンスされた範囲の内、ペン先の接触点Sから最も遠い点Tを検出する。つまり手の影の部分からペン先の接触点Sと手の影が接触点Sから最も遠くにある部分の点Tを求める。そして、その座標を取得する。次のステップS34では、サブ表示部40に予め設定していた基準線Uと、点Sから点Tに至る線Rがなす角度を算出し、入力方向を特定する。この特定方向を、メイン画面に表示させる方向が選択されたとする。
通常、ペンを右手で持つときは、ペン先がサブ画面表示部に接触する点Sと手の影の内、最も遠くになる点Tを結ぶ線Rは、入力者の位置より右外側に傾くので、平均的な外側への傾き角度を補正することにより、入力者の位置を特定することが可能である。左手でペンを持つ場合も同様に補正することが可能である。
【0041】
次に、ステップS35では、別の方向からの入力がないか否か判断する。別方向からの入力がなければ、B氏またはC氏が入力したと判断する。しかし、別方向からの入力がある場合は、A氏が入力したと判断する。
ステップS36では、入力方向別に対応付けられている回転方向を回転方向記憶部226から取得する。ステップS37では、メイン画面表示部11に表示している表示情報をメイン画面記憶部224から取得する。ステップS38で取得した表示情報を、ステップS34で特定した回転方向に画像回転部23によって回転する。そして、ステップS39で、回転させた表示情報をサブ画面記憶部225に記憶させる。
一方、ステップS35において、A氏の入力であると判断した場合は、ステップS40で、表示情報は回転する必要がないので、「回転なし」を設定する。次に、ステップS41で、メイン画面表示部11に表示している表示情報をメイン画面記憶部224から取得し、ステップS42で表示情報をサブ画面記憶部225に記憶させる。
【0042】
以上のようにして、ステップS39またはステップS42において、表示情報をサブ画面記憶部225に記憶させると、ステップS43では、サブ画面記憶部225に記憶された表示情報を、画像処理部21からタブレット・表示部30の制御部38に送り、サブ画面表示部31の表示を更新する。
以下、ステップS44からステップS50は、図3のステップS11からステップS18と同じである。
【0043】
次に、ステップS51では、光センサーがペン先を3秒以内に再検出したかどうか判断する。3秒以内にペン先を再検出する場合は、続けて入力があると判断して、ステップS44に戻る。しかし、3秒以内にペン先を再検出できないときは、別の入力があると判断して、ステップS31に戻る。
【0044】
(第3実施形態)
図7〜図9は本発明の第3実施形態によるペンタブレット入力装置を示し、図7は、その使用状態の説明図、図8はブロック図、図9はフローチャート図を示す。
第3実施形態が第1実施形態及び第2実施形態と異なる点は、第3実施形態では、入力方向と、各ペンをそれぞれ対応させ、どのペンを持つかによって入力方向を特定する点にある。
即ち、図7(a)は、図1(a)と同様に、複数の入力者A、B,Cが机40の上に置かれたタブレット・表示部30を囲み、複数の方向から入力可能である。ここで、第3実施形態は、図7(b)に示すように、ペンAは、A氏のペンであると設定し、正面から入力される。しかし、ペンBは、B氏のペンであると設定し、右側から入力される。また、ペンCは、C氏のペンであると設定し、左側から入力される。従って、特定のペンを持つことにより、そのペンに設定された向きが、メイン画面に表示される情報の向きを選択したとする。
これらペンA、B、Cは、各々定められたペン番号を発信し、タブレット・表示部30と送受信する送受信部を備える。
【0045】
図8は、第3実施形態のブロック図を示す。
図8は、図2に示した第1実施形態のブロック図とほぼ同じであり、同じ部分には同じ符号を付して説明を省略する。
図8において、メイン画面表示装置10は、図2のメイン画面表示装置10と同じである。
また、図8において、記憶部22は、回転方向記憶部228、ペン番号情報記憶部229を備える。回転方向記憶部228は、ペンAの場合は、回転なしであり、ペンBの場合は、左90°回転であり、ペンC場合は右90°回転が設定されている。このような設定は、一例であり、このような角度以外に30°、60°45°のように設定することも可能である。
ペン番号情報記憶部229は、ペン番号A、B、Cを記憶する。
【0046】
タブレット・表示部30は、ペン番号受信部46を備える。
一方、ペンA、B、Cは、ペン番号記憶部481、491と、ペン番号発信部482、492を備え、更に制御部483、493を備える。なお、ペン番号Aは、ペン番号記憶部と、ペン番号発信部を備え、更に制御部を備えていない。
その他の部分は、第1実施形態に示した図2と同じである。
【0047】
次に、本発明の第3実施形態の動作を図9のフローチャートを使用して説明する。
まず、ペンタブレット入力装置が動作を開始し、ステップS61で、ペン番号を受信したか否か判断する。ペン番号を受信したときは、ステップS62で、ペン番号に対応付けられている回転方向を回転方向記憶部22から取得する。
ステップS63からステップS76までは、第1実施形態に示したステップS4からステップS17と同じである。
【0048】
ステップS77において、ペン番号の受信があるか否か判断し、受信がない場合は、ステップS70に戻り、引き続きタブレット入力を行う。しかし、ペン入力が有る場合は、ステップS78で、同じペン番号かどうかを判断する。同じペン番号である場合は、ステップS70に戻り、引き続きタブレット入力を行う。しかし、同じペン番号でない場合は、ステップS62に戻る。
【符号の説明】
【0049】
10 メイン画面表示装置
11 メイン画面表示部
20 表示制御部
21 画像処理部
22 記憶部
23 画像回転部
24 座標変換部
26 ベクトル処理部
221、226 回転方向記憶部
222 反応センサー保持部
223 追記情報記憶部
224 メイン画面記憶部
225 サブ画面記憶部
227 測定角度情報記憶部
30 タブレット・表示部
31 サブ画面表示部
33 タブレット
35 センサーB
36 センサーC
37 センサー制御部
38 制御部
41 ペン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン画面を備えたメイン画面表示装置と、
前記メイン画面に表示させる入力情報を、複数の方向から入力可能なタブレットと、
前記タブレットに入力情報を入力する際、入力の向きを選択する複数の選択部と、
前記タブレットより入力された入力情報を、前記選択部によって選択された向きに応じて、前記メイン画面の所定方向に変換させて前記メイン画面に表示させる表示制御部と
を備えることを特徴とするペンタブレット入力装置。
【請求項2】
更に、サブ画面を備え、前記メイン画面の表示情報を、前記選択部によって選択された入力の向きに応じて前記サブ画面に表示させるサブ画面表示制御部を備える請求項1に記載のペンタブレット入力装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記タブレットの周囲に複数箇所に備えたセンサーである請求項1に記載のペンタブレット入力装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記ペンがタブレットに接触した点と、前記サブ画面表示装置に形成される手の影の中、前記接触点から最も遠い点を結ぶ線によって選択検出される請求項1に記載のペンタブレット入力装置。
【請求項5】
前記選択部は、前記タブレットのに複数の辺方向に対応付けられた備えられたペンにより選択されるである請求項1に記載のペンタブレット入力装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記選択部により選択された入力の向き方向に応じて色、線幅、線の種類を制御する請求項1に記載のペンタブレット入力装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記メイン画面とサブ画面のアスペクト比または解像度を制御する請求項1に記載のペンタブレット入力装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、初期の表示方向に戻して表示する請求項1に記載のペンタブレット入力装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、入力が継続する間、引き続き同方向からの入力を可能にする請求項1に記載のペンタブレット入力装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、予め少なくとも1つの入力方向が設定される請求項1に記載のペンタブレット入力装置。
【請求項11】
コンピュータによって、
タブレットから入力情報を入力する入力ステップと、
前記タブレットに入力情報を入力する際、入力の向きを選択する選択ステップと、
前記タブレットより入力された入力情報を、前記選択ステップによって選択された向きに応じて、メイン画面の所定方向に変換させて前記メイン画面に表示させる表示制御ステップと
を実行することを特徴とするペンタブレット入力方法。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図4】
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【図7】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−113128(P2011−113128A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266439(P2009−266439)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】