説明

ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートの製造方法

本発明は、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートの製造方法、該製造方法により製造されたペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートおよびその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートの製造方法、該製造方法により製造されたペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートおよびその使用に関する。
【0002】
1,5−ペンタンジアミンからのペンタメチレンジイソシアネートの製造自体は公知であり、ホスゲン不含で行うことも(T. Lesiak, K. Seyda, Journal fuer Praktische Chemie(ライプツィヒ)1979年、321(1)、第161〜163頁)、ホスゲンとの反応により行うことも(たとえばDE2625075)可能である。
【0003】
DE1900514(GB1225450に対応)は、カプロラクタムからヒドロキサム酸へ変換し、これを引き続きホスゲン化することによって、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートを2段階で製造することを記載している。
【0004】
この文献に記載されている、カプロラクタムからペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートへの変換に関する収率はわずか約32%である。
【0005】
カプロラクタムは大工業的に、多工程法で、ベンゼンから環水素化によってシクロヘキサンへ変換し、シクロヘキサノンへと酸化し、かつヒドロキシルアミンを用いてベックマン転位を行うか、または1,4−ブタジエンからヒドロシアン化および選択的水素化およびその後の環化によってカプロラクタムとすることによって製造される。いずれの場合でも、その基礎は石油化学からの炭化水素である。
【0006】
従ってこれは、ベンゼンもしくはブタジエンから出発してそのつど5つの段階を経由する石油化学に基づいた製造である。
【0007】
1,5−ペンタンジアミンは、リシンをたとえばリシンデカルボキシラーゼを用いて細胞不含の系中で酵素により脱カルボキシル化することにより(EP1482055A1またはJP2004−222569A)、または熱もしくは触媒による脱カルボキシル化により(G. Gautret de Ia Moriciere, G. Chatelus, Bull. Soc. Chim. France(1969年、12、第4421〜4425頁)、または相応するニトリルの水素化により(たとえばEP161419またはWO2003/99768)製造することが公知である。
【0008】
1,5−ペンタンジアミンはこれまで大工業的に入手することができなかった。
【0009】
WO2006/005603は、オルニチンデカルボキシラーゼを用いてオルニチンから1,4−ブタンジアミンを製造するための生化学的な方法と、ポリアミド製造のための出発化合物としての該化合物の使用を記載している。
【0010】
本発明の課題は、再生可能な原料から製造することができるペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートを製造することであった。
【0011】
前記課題は、
b)リシンを1,5−ペンタンジアミンへと変換し、かつ
c)こうして得られた1,5−ペンタンジアミンをペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートへと変換する
ことによって、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートを製造する方法によって解決された。
【0012】
本発明による方法の利点は、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートを製造する際に、原料ベースとして石油に依存しないことにある。さらに、このようにして製造されたペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートは、慣用の方法で製造されたものよりもわずかな着色を有している。というのも、熱負荷がよりわずかだからである。
【0013】
原料ベースのリシンもしくは再生可能な原料の本発明による選択により、本発明による方法によれば、少なくともほぼ異性体純粋なペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートが得られるが、これに対して従来の方法で製造されたペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートは、異性体のペンタメチレンジイソシアネート、特にペンタメチレン−1,4−ジイソシアネートの割合を含有している。この割合は、その製造に依存して数質量%となりうる。
【0014】
これに対して、本発明により製造されたペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートは、そのつど100ppmより少ない分岐ペンタメチレンジイソシアネート異性体の割合を有する。
【0015】
従って、本発明による方法のもう1つの対象は、少なくとも2つの異なったペンタメチレンジイソシアネート異性体からなり、そのうちの主成分がペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートであり、かつ100ppmを越えない量で少量含有されている異性体が含有されている混合物である(この場合、合計は100質量%である)。
【0016】
本発明による方法のもう1つの対象は、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートとペンタメチレン−1,4−ジイソシアネートとからなり、その際、ペンタメチレン−1,4−ジイソシアネートの割合が、10000ppmを越えない、有利には7500ppm、特に有利には5000ppm、とりわけ有利には2500ppm、殊には1000ppm、特に500ppmおよびそれどころか100ppmを越えることがなく、かつペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートの割合が、100質量%までの残分を形成する混合物である。
【0017】
従って本発明による方法により製造されたペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートは、ほぼ2つの第一級イソシアネート基のみを有し、従ってイソシアネート基の反応において、たとえばポリウレタンの製造において、均一な反応性を示す。これに対して、分岐ペンタメチレンジイソシアネート異性体は、反応性が異なっている第一級イソシアネート基を1つと、第二級イソシアネート基を1つ有している。
【0018】
本発明による方法により得られたペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートの色数は通常、DIN ISO 6271により15APHAを越えない。
【0019】
本発明による工程b)は、1,5−ペンタンジアミンへのリシンの変換からなる。
【0020】
リシンは純粋な形で使用することもできるが、反応の過程で初めて形成されてもよい(以下の工程a)を参照のこと)。さらに、リシンは水溶液、緩衝液の形で、または有利には少なくとも5質量%からそのつどの温度でそのつどの反応混合物中、溶解限度までのリシン含有率を有するリシンを含有する反応混合物として存在していてもよい。通常、この含有率は45質量%まで、有利には40質量%まで、特に有利には35質量%まで、およびとりわけ有利には30質量%までであってもよい。
【0021】
本発明による方法のために使用されるリシン(2,6−ジアミノヘキサン酸)は、有利には生物学的材料に由来し、かつD−エナンチオマーとして、L−エナンチオマーとして、またはこれらのエナンチオマーの任意の混合物として、たとえばラセミ体として、有利にはL−エナンチオマー([(S)−2,6−ジアミノヘキサン酸)の形で存在していてよい。
【0022】
これは遊離の形でも、分子内塩として、そのアニオンの形でカルボン酸塩として、または1もしくは2回プロトン化されてそのモノアンモニウム塩もしくはジアンモニウム塩の形で、たとえば塩化物として使用することもできる。
【0023】
さらにリシンはそのエステルの形で、たとえばメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソ−プロピルエステル、n−ブチルエステル、s−ブチルエステル、イソ−ブチルエステルとして使用することができる。
【0024】
工程b)は、有利には脱カルボキシル化である。
【0025】
脱カルボキシル化の1つの可能性では、リシンを、場合により溶剤中に溶解または懸濁し、80℃を上回る温度で、有利には100℃を上回る温度で、特に有利には120℃を上回り、とりわけ有利には150℃を上回り、かつ殊には180℃を上回る温度で加熱する〔熱による脱カルボキシル化)。
【0026】
この温度は、250℃までであってよく、有利には230℃まで、特に有利には210℃まで、およびとりわけ有利には200℃までであってよい。
【0027】
場合により存在する溶剤を反応混合物中に維持するために、場合により圧力を加えることもできる。
【0028】
溶剤のための例は、芳香族および/または(環式)脂肪族炭化水素、およびこれらの混合物、ハロゲン化された炭化水素、エステル、エーテルおよびアルコールである。
【0029】
有利であるのは芳香族炭化水素、(環式)脂肪族炭化水素、アルカン酸アルキルエステル、アルコキシル化アルカン酸アルキルエステルおよびこれらの混合物である。
【0030】
特に有利であるのは、1回もしくは複数回アルキル化されたベンゼンおよびナフタリン、アルカン酸アルキルエステルおよびアルコキシル化アルカン酸アルキルエステルならびにこれらの混合物である。
【0031】
芳香族炭化水素混合物として、主に芳香族C7〜C14−炭化水素を含み、かつ110〜300℃の沸点範囲を有することができるようなもの、特に有利にトルエン、o−、m−またはp−キシレン、トリメチルベンゼン異性体、テトラメチルベンゼン異性体、エチルベンゼン、クメン、テトラヒドロナフタレンおよびこれらを有する混合物が有利である。
【0032】
このための例は、Exxon Mobil Chemical社のSolvesso(登録商標)、特にSolvesso(登録商標)100(CAS-No. 64742-95-6,主にC9〜C10芳香族化合物、沸点範囲約154〜178℃), 150(沸点範囲約182〜207℃)および200(CAS-No. 64742-94-5)、ならびにShell社のShellsol(登録商標)である。パラフィン、シクロパラフィンおよび芳香族化合物からなる炭化水素混合物は、商品名Kristalloel (たとえばKristalloel 30, 沸点範囲約158〜198℃またはKristalloel 60: CAS-No. 64742-82-1)、石油ベンジン(例えば同様にCAS-No. 64742-82-1)またはソルベントナフサ(軽質:沸点範囲約155〜180℃、重質:沸点範囲約225〜300℃)で市販されている。この種の炭化水素混合物の芳香族化合物含有量は、一般に、90質量%より高く、有利に95質量%より高く、特に有利に98質量%より高く、さらに特に有利に99質量%より高い。特に低いナフタレンの含有量を有する炭化水素混合物を使用するのが有利でありうる。
【0033】
ハロゲン化炭化水素はたとえばクロロベンゼンおよびジクロロベンゼンまたはその異性体混合物である。
【0034】
エステルはたとえばn−ブチルアセテート、エチルアセテート、1−メトキシプロピルアセテート−2、および2−メトキシエチルアセテート、ならびにエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールまたはトリプロピレングリコールのモノアセチルエステルおよびジアセチルエステル、たとえばブチルグリコールアセテートである。その他の例は、カーボネート、たとえば1,2−エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネートまたは1,3−プロピレンカーボネートである。
【0035】
エーテルはたとえばテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ならびにエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールまたはトリプロピレングリコールのジメチルエーテル、−エチルエーテルまたは−n−ブチルエーテルである。
【0036】
(環式)脂肪族炭化水素はたとえばデカリン、アルキル化デカリン、および直鎖状もしくは分枝鎖状のアルカンおよび/またはシクロアルカンの異性体混合物である。
【0037】
アルコールはたとえばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、イソ−ブタノール、ペンタノールの異性体混合物、ヘキサノールの異性体混合物、2−エチルヘキサノールまたはオクタノールである。
【0038】
特に適切であるのは水である。
【0039】
脱カルボキシル化のために、さらに塩基、たとえば有機塩基、有利にはアミン、特に有利には第二級もしくは第三級アミン、または無機塩基、たとえばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩、有利には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、石灰乳または炭酸カリウムを添加することができる(触媒による脱カルボキシル化)。
【0040】
特にリシンをエステル、有利にはメチルエステルの形で使用する場合、いわゆる「クラプコ(Krapcho)」条件下での脱アルコキシカルボニル化としての反応の実施は有利であり、その際、反応混合物に求核剤、有利にはヨウ化物または臭化物、特に有利にはヨウ化物を添加し、この反応条件下で加熱する。
【0041】
しかし特に有利には、酵素を用いて脱カルボキシル化を実施する。
【0042】
リアーゼは有利には(E.C.4.−.−.−)であり、特に有利であるのは炭素−炭素−リアーゼ(E.C.4.1.−.−)であり、かつとりわけ有利であるのは、カルボキシリアーゼ(E.C.4.1.1.−)である。
【0043】
このための例は次のとおりである。
【0044】
EC4.1.1.1ピルビン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.2シュウ酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.3オキサロ酢酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.4アセト酢酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.5アセト酪酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.6アコニット酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.7ベンゾイルギ酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.8オキサリル−CoAデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.9マロニル−CoAデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.11アスパルテート1−デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.12アスパルテート4−デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.14バリンデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.15グルタミン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.16ヒドロキシグルタミン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.17オルニチンデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.18リシンデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.19アルギニンデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.20ジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.21ホスホリボシルアミノイミダゾールカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.21ホスホリンボシルアミノイミダゾールカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.22ヒスチジンデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.23オロチジン−5′−ホスフェートデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.24アミノベンゾエートデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.25チロシンデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.28芳香族−L−アミノ酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.29スルホアラニンデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.30パントテノイルシステインデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.31ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、
EC4.1.1.32ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(GTP)、
EC4.1.1.33ジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ、EC4.1.1.34デヒドロ−L−グロン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.35UDP−グルクロン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.36ホスホパントテノイルシステインデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.37ウロンポルフィリノゲンデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.38ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(ジホスフェート)、EC4.1.1.39リブロースビスホスフェートカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.40ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.41メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.42カルニチンデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.43フェニルピルビン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.44−4カルボキシムコノラクトンデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.45アミノカルボキシムコン酸−セミアルデヒドデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.46o−ピロカテキン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.47タルトロン酸セミアルデヒドシンターゼ、
EC4.1.1.48インドール−3−グリセロール−ホスフェートシンターゼ、
EC4.1.1.49ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(ATP)、
EC4.1.1.50アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.51 3−ヒドロキシ−2−メチルピリジン−4,5−ジカルボキシレート−4−デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.52 6−メチルサリチル酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.53フェニルアラニンデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.54ジヒドロキシフマル酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.55 4,5−ジヒドロキシフタレートデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.56 3−オキソラウリン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.57メチオニンデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.58オルセリン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.59没食子酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.60スチピタチン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.61 4−ヒドロキシ安息香酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.62ゲンチシン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.63プロトカテク酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.64 2,2−ジアルキルグリシンデカルボキシラーゼ(ピルベート)、
EC4.1.1.65ホスファチジルセリンデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.66 ウラシル−5−カルボン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.67UDP−ガラクトウロン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.68 5−オキソペント−3−エン−1,2,5−トリカルボン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.69 3,4−ジヒドロキシフタル酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.70グルタコニル−CoAデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.71 2−オキソグルタル酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.72分枝鎖状2−オキソ酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.73酒石酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.74インドールピルビン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.75 5−グアニジノ−2−オキソペンタン酸デカルボキシラーゼ、 EC4.1.1.76アリールマロン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.77 4−オキサロクロトン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.78 アセチレンジカルボン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.79スルホピルビン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.80 4−ヒドロキシフェニルピルビン酸デカルボキシラーゼ、EC4.1.1.81トレオニン−リン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.82ホスホノピルビン酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.83 4−ヒドロキシフェニル酢酸デカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.84 D−ドーパクロムデカルボキシラーゼ、
EC4.1.1.85 3−デヒドロ−L−グロン酸−6−リン酸デカルボキシラーゼ。
【0045】
特に有利であるのは、リシン−デカルボキシラーゼ(E.C.4.1.1.18、特にCAS番号9024−76−4)の存在下での酵素による脱カルボキシル化である。
【0046】
この場合、まず細胞不含の系中での工程b)の実施と、発酵法による実施とを区別する必要はない。しかし本発明の特に有利な実施態様は、生きている微生物によって適切な基質から発酵法により1,5−ペンタジアミンを製造することができることである。
【0047】
特に有利には、たとえばEP1482055および出願日2007年3月23日の国際特許出願PCT/EP2007/052783(表題「カダベリンの製造方法」)に記載されているように遺伝的に変化された微生物の存在下で脱カルボキシル化を実施するが、ここで両方の文献を引用することにより、その内容はこの開示の内容とする。
【0048】
有利な微生物は、リシンデカルボキシラーゼ活性を有する遺伝子を備えた遺伝的に変化された組み換え微生物であり、有利には大腸菌のcadA遺伝子(京都遺伝子ゲノム百科事典、項目b4131)およびIdcC遺伝子(京都遺伝子ゲノム百科事典、項目JW0181)である。
【0049】
特に有利には該微生物は、コリネバクテリアおよびとりわけ有利にはコリネバクテリア・グルタミクムである。
【0050】
工程b)(リシンから1,5−ペンタンジアミンへの変換)の代わりに、適切な基質から出発する工程a)での1,5−ペンタンジアミンの1工程の合成を実施することは、本発明の特に有利な実施態様である。これは、通常、基質からリシンへの細胞内変換の形での工程b)および引き続きリシンから1,5−ペンタンジアミンへの同様に細胞内での変換を含む。
【0051】
この場合、本発明によれば、リシンを純粋な形で、中間生成物として得られる混合物の形で単離するかどうか、または工程a)の過程で単に中間的に、たとえば細胞内で形成するかどうかは重要ではない。後者の変法ではさらに、実際にリシンが中間体として生じるか、または中間体が単にリシンの基本構造を有するか、およびたとえばカルボキシル基はエステル化されているか、またはアミノ基は置換されているかは重要ではない。
【0052】
1つの理論に束縛されることは望まないが、リシンの生合成において、単糖類は多数の中間体を経由してアスパラギン酸へと変換され、これが4−オキソ−2−アミノ酪酸へと変換された後で、ピルビン酸塩と反応して中間体のジヒドロピコリン−2,6−ジカルボン酸へと反応することが推測される。これはテトラヒドロピコリン−2,6−ジカルボン酸へと変換され、該酸は最終的にジアミノピメリン酸へと反応し、脱カルボキシル化によってリシンへと変換される。
【0053】
工程a)を実施するための有利な方法は、出願日2007年3月23日の国際特許出願のPCT/EP2007/052783(表題「カダベリンの製造方法」)に記載されており、これをここで引用することによってこの開示の内容とする。
【0054】
反応のために適切な基質は、再生可能な原料である。これはRoempp−オンライン、キーワード「再生可能な原料」、記録RD−14−00046、2005年8月現在による定義によれば、農業的および林業的に生産された、食料品の分野以外で使用に供給される製品である。従って、再生可能な原料には、一次原料、たとえば木材でも、第一および第二の加工段階の製品、たとえばセルロース、デンプン、モノマーの炭化水素、キチン、動物性もしくは植物性の脂肪および油であっても、ならびにタンパク質および動物性製品、たとえば羊毛、皮革および獣皮、獣脂、ゼラチンおよびカゼインならびに有機残留物、たとえばワラがあげられる。デンプンはたとえばジャガイモ、キャッサバ、穀物、たとえばコムギ、トウモロコシ、オオムギ、ライ麦、ライコムギまたはコメ、および種々のキビ、たとえばモロコシおよびマイロであってもよい。
【0055】
好適な基質は、単糖類、ペントースおよび/またはヘキソースのオリゴ糖類および多糖類、たとえばマンノース、ガラクトース、ソルボース、キシロース、アラビノース、リボース、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、糖蜜、デンプンまたはセルロース、あるいはまた油脂、たとえば大豆油、ヒマワリ油、落花生油、ココナッツ油またはヒマシ油、または脂肪酸、たとえばパルミチン酸、ステアリン酸およびリノレン酸、またはアルコール、たとえばグリセリンおよびエタノール、または有機酸、たとえば酢酸である。有利な1実施態様では、グルコース、フルクトースまたはスクロースを炭素源として使用する。これらの化合物は、単独で、または混合物として使用することができる。
【0056】
デンプンをリシンへ変換するための有利な方法はたとえばWO05/116228に記載されており、これをここで引用することによりこの開示の内容とする。
【0057】
窒素源として、窒素を含有する有機化合物、たとえばペプトン、酵母抽出物、肉抽出物、麦芽抽出物、大豆粉および尿素、または無機化合物、たとえば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウムまたは前記の化合物の混合物を使用することができる。
【0058】
使用することができるリン源は、リン酸、リン酸二酸水素カリウム、リン酸水素二カリウム、または相応するナトリウム化合物である。
【0059】
培地はさらに成長のために必要とされる金属塩、たとえば硫酸マグネシウムまたは硫酸鉄を含有していてもよい。
【0060】
さらに、必須の成長促進化合物、たとえばアミノ酸またはビタミンを上記の化合物に加えて使用することができる。相応する前駆物質を同様に培地に添加することができる。
【0061】
酵素を用いた脱カルボキシル化は一般に0〜100℃、有利には20〜80℃、特に有利には20〜70℃、とりわけ有利には20〜60℃で行う。
【0062】
培地のpH値は、通常、6.0〜8.5を維持する。
【0063】
反応培地の酵素含有率は使用されるリシンに対して、通常約0.1〜10質量%の範囲である。
【0064】
反応時間は特に温度、酵素触媒または微生物の使用量および活性、および要求される反応率に依存する。有利には、当初リシン中に含有されていた全てのカルボキシ官能基の反応率が少なくとも70%、有利には少なくとも80%、特に有利には少なくとも90%、とりわけ有利には少なくとも95%、殊に少なくとも98%および特に少なくとも99%となるように反応を調整する。このために通常は1〜48時間、および有利には1〜12時間で十分である。
【0065】
反応混合物に酸素を導通することが必要な場合がある。
【0066】
反応は有機溶剤中で、または溶剤混合物中で、または溶剤を添加しないで進行しうる。しかしまた溶剤として水を使用することもできる。
【0067】
有機溶剤の割合は、たとえば0.01〜90質量%である。適切な有機溶剤は、この目的のために公知の、たとえば第三級モノオール、たとえばC3〜C6−アルコール、有利にはt−ブタノール、t−アミルアルコール、ピリジン、ポリ−C1〜C4−アルキレングリコールジ−C1〜C4−アルキルエーテル、有利にはポリエチレングリコールジ−C1〜C4−アルキルエーテル、たとえば1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル500、C1〜C4−アルキレンカーボネート、特にプロピレンカーボネート、C3〜C6−アルキル酢酸エステル、特にt−ブチル−酢酸エステル、THF、トルエン、1,3−ジオキソラン、アセトン、イソ−ブチルメチルケトン、エチルメチルケトン、1,4−ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、ヘキサン、ジメトキシメタン、1,1−ジメトキシエタン、アセトニトリル、ならびにこれらの単相もしくは多相の混合物である。
【0068】
選択的に有機溶剤には水性の溶剤を添加することができるので、有機溶剤に応じて、単相もしくは多相の反応溶液が生じる。水性の溶剤のための例は水ならびに水性の希釈された(たとえば10〜100mMの)緩衝液、問えば約6〜8の範囲のpH値を有する緩衝液、たとえばカリウムホスフェートまたはTRIS−HCl緩衝液である。
【0069】
基質は反応媒体中に溶解しているか、固体として懸濁しているか、またはエマルションとして存在している。有利には反応体の最初の濃度は、約0.1〜20モル/l、特に0.15〜10モル/lまたは0.2〜5モル/lである。
【0070】
反応は連続的に、たとえば管型反応器中で、または攪拌反応器カスケードとして、または不連続的に行うことができる。
【0071】
反応はこのような反応のために適切な全ての反応器中で実施することができる。このような反応器は当業者に公知である。有利には反応を攪拌反応器中で、または固定床反応器中で行う。
【0072】
反応バッチを混合するために、任意の方法を使用することができる。特別な攪拌装置は不要である。反応媒体は単相であっても多相であってもよく、かつ反応体はその中に溶解しているか、懸濁しているか、または乳化しており、場合により装入されていても、かつ反応の開始時に、ならびに場合により反応の過程で1回もしくは複数回酵素調製物を添加してもよい。温度は反応の間に、所望の値に調整され、かつ所望の場合には反応の過程で高めるか、もしくは下げることができる。
【0073】
反応を固定床反応器中で実施する場合、固定床反応器は有利には固定化された酵素が充てんされており、その際、反応混合物は、酵素で充てんされたカラムにポンプ輸送される。反応を流動床中で実施することも可能であり、その際、酵素を担体上に固定化して使用する。反応混合物は連続的に、ポンプでカラムに通過させ、その際、流速によって滞留時間ひいては所望の反応率を制御することができる。反応混合物を循環流としてポンプでカラムに通過させることも可能である。
【0074】
反応が終了した後で、b)もしくはa)から得られた反応混合物を、それ以上精製することなくさらに使用するか、または有利には精製して工程c)で使用することができる。
【0075】
前記の反応工程から得られる反応混合物は通常、1,5−ペンタンジアミンと水以外にさらに未反応の基質、使用された基質の代謝物、ならびに場合により有機溶剤を、およびさらに場合により酵素、損傷されていないか、もしくは溶解された微生物を含有している。
【0076】
通常は使用された酵素を反応混合物から分離し、かつ場合により使用された有機溶剤から反応生成物を分離する。
【0077】
酵素の分離は通常、結晶化、沈殿、クロマトグラフィー、逆浸透圧、電気泳動、電気透析、抽出、蒸留、濾過、吸収、遠心分離またはデカンテーションにより行う。分離された酵素は引き続き、その後の反応のために使用することができる。
【0078】
微生物または溶解産物の分離は通常、抽出、蒸留、濾過、吸収、不連続的もしくは連続的な遠心分離、向流遠心分離またはデカンテーションにより行う。分離された無損傷の微生物は引き続き、その後の反応のために使用することができる。
【0079】
分離の前に、微生物を、所望の場合にはさらに、たとえば剪断によって破壊することができる。
【0080】
有機溶剤からの分離は通常、蒸留、精留により行う。
【0081】
蒸留のために、1〜20の理論段を有する蒸留塔を、反応容器の上に設置し、該塔中で返送流を分離の要求に適合することができる。低沸点有機溶剤の場合、一段階の蒸留は、フラッシュ蒸発器、流下薄膜式蒸発器、薄膜蒸発器、ショートパス蒸発器および/またはワイパー型蒸発器による1工程の蒸留が可能であり、これらは場合により短いカラムが上部に設置されていてもよい。
【0082】
反応混合物からの低沸点成分の分離は、反応条件下で実質的に不活性な気体流を導通することにより(ストリッピング)、たとえば酸素含有率が低減された空気と窒素とからなる混合物(リーン空気)または有利には窒素または二酸化炭素からなる混合物中で促進することができる。
【0083】
次いで水の分離は有利には連続的に、または段階的に自体公知の方法で、たとえば真空、共沸蒸留、吸収、透析蒸発および膜を介した拡散により行う。
【0084】
1,5−ペンタンジアミンを塩に、有利には塩酸塩に変換し、かつ水溶性の有機溶剤、たとえばアルコールまたはアセトンにより沈殿させることも可能である。この場合、沈殿物を洗浄および/または結晶化により精製し、かつ1,5−ジアミンを引き続き塩基の添加により再び遊離することができる。
【0085】
吸収のために有利には分子ふるいまたはゼオライト(たとえば約3〜10オングストロームの範囲の孔径)が適切であるが、代替的に蒸留または適切な半透膜を用いた分離も適切である。
【0086】
こうして得られた1,5−ペンタンジアミンは、必要であれば、再度蒸留することができるので、純度は通常、少なくとも98%、有利には少なくとも99%、特に有利には少なくとも99.5%およびとりわけ有利には少なくとも99.8%である。
【0087】
工程c)はホスゲン不含で、またはホスゲンの存在下で行うことができるが、後者の変法では、ホスゲン化を液相中で、または気相中で行うことができる。
【0088】
イソシアネートを製造するためのホスゲン不含の方法は、たとえばEP18588A1、EP28338A2、EP27952、EP126299および特にEP566925A2から公知である。
【0089】
従来技術において公知のホスゲン不含の方法を、本発明による方法のために適用することができるが、しかし有利には以下に記載するとおりに行う。
【0090】
ウレタンを製造するためには、アミンを尿素と、および少なくとも1の、有利には正確に1のアルコールと、たとえば1:2〜20:5〜40のアミン、尿素およびアルコールのモル比で、50〜300℃および特に180〜220℃の温度で、0.1〜30バール、有利には5〜20バールの加圧下で反応させる。この反応条件で、方法のために数秒分の1〜数分の平均反応時間が生じる。
【0091】
反応は有利にはジアミンに対して0.1〜30モル%、好ましくは1〜10モル%の量のジアルキルカーボネートの存在下に、または有利には1〜20モル%、好ましくは5〜15モル%のカルバミド酸アルキルエステルの存在下に実施することができる。この場合、特にジアルキルカーボネートとカルバミド酸アルキルエステルとからなる混合物を、前記の量比で使用する。ジアルキルカーボネートおよび/またはカルバミド酸エステルとして、有利にはそのアルキル基が、使用されるアルコールのアルキル基に対応するものを使用する。
【0092】
反応は触媒の存在下に行うこともできる。触媒は、アミンの質量に対して、0.001〜20質量%、有利には0.001〜5質量%、特に0.01〜0.1質量%の量で使用する。
【0093】
触媒として、1もしくは複数のカチオン、有利にはHandbook of Chemistry and Physics、第14版、Chemical Rubber Publishing Co出版社、23 Superior Ave. N. E., Cleveland, Ohioにより定義される、元素の周期律表のIA族、IB族、IIA族、IIB族、IIIB族、IVA族、IVB族、VA族、VB族、VIB族、VIIB族、VIIIB族の金属のカチオンを有する無機もしくは有機化合物が適切である。たとえば以下の金属のカチオンがあげられる:リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ガリウム、スズ、鉛、ビスマス、アンチモン、銅、銀、金、亜鉛、水銀、セリウム、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、マンガン、鉄およびコバルト。
【0094】
触媒はさらに、少なくとも1のアニオン、たとえばハロゲン化物イオン、たとえば塩化物イオンおよび臭化物イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、ホウ酸イオン、アルコラート、フェノラート、スルホン酸イオン、酸化物イオン、酸化物水和物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、キレート、炭酸イオンおよびチオカルバミン酸イオンもしくはジチオカルバミン酸イオンを有していてもよい。
【0095】
触媒は認識することができる明らかな欠点を有することなく、その水和物またはアンモニア化合物の形で使用することもできる。
【0096】
典型的な触媒として、たとえば以下の化合物があげられる:リチウムメタノラート、リチウムエタノラート、リチウムプロパノラート、リチウムブタノラート、ナトリウムメタノラート、カリウム−t−ブタノラート、マグネシウムメタノラート、カルシウムメタノラート、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸鉛、リン酸鉛、塩化アンチモン(III)、塩化アンチモン(V)、アセチルアセトン酸アルミニウム、イソブチル酸アルミニウム、三塩化アルミニウム、塩化ビスマス(III)、酢酸銅(II)、硫酸銅(II)、硝酸銅(II)、ビス(トリフェニルホスフィンオキシド)塩化銅(II)、モリブデン酸銅、酢酸銀、酢酸金、酸化亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、アセトニル酢酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、ヘキシル酸亜鉛、安息香酸亜鉛、ウンデシル酸亜鉛、酸化セリウム(IV)、酢酸ウラニル、チタンテトラブタノレート、四塩化チタン、チタンテトラフェノレート、ナフテン酸チタン、塩化バナジウム(III)、アセチルアセトン酸バナジウム、塩化クロム(III)、酸化モリブデン(VI)、アセチルアセトン酸モリブデン、酸化タングステン(VI)、塩化マンガン(II)、酢酸マンガン(II)、酢酸マンガン(III)、酢酸鉄(II)、酢酸鉄(III)、リン酸鉄、シュウ酸鉄、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、酢酸コバルト、塩化コバルト、硫酸コバルト、ナフテン酸コバルト、塩化ニッケル、酢酸ニッケルおよびナフテン酸ニッケルならびにこれらの混合物。
【0097】
有利な触媒としてたとえば以下の化合物があげられる。リチウムブタノラート、アルミニウムアセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、チタンテトラブタノラートおよびジルコニウムテトラブチレート。
【0098】
原料流の混合は有利には、短い混合時間を特徴とする、適切な特別の混合装置中で行うことができる。
【0099】
次いで混合された原料流を、逆混合するか、または管型反応器として、またはこれらの組み合わせとして構成されていてもよい反応装置へ移す。
【0100】
反応混合物は反応器中で平均して10秒〜5時間、有利には20秒〜20分、特に有利には30秒〜10分間、反応させる。温度は一般に、50℃〜300℃、有利には180℃〜220℃である。圧力は通常、0.1バール(絶対)〜30バール(絶対)であり、かつ有利には5〜20バール(絶対)である。
【0101】
滞留時間は、使用されるアミン中のアミノ基に対するウレタン基への反応率は、反応器を離れた後で、少なくとも95%、有利には少なくとも98%、特に有利には少なくとも99%であり、かつ特に有利には少なくとも99.5%であるように選択する。
【0102】
使用されるアミン中のアミノ基に対するウレタン基への反応率が、反応器を離れた後でまだ不完全であり、かつたとえば95%未満である場合、該搬出物を再度、後反応させることができる。
【0103】
アンモニアを分離するために、有利には塔を使用し、有利にはアンモニアを蒸留によって分離する。このことによりアルコールとアンモニアとの間の良好な分離が行われる。通常、分離は0.01〜20バール、有利には0.04〜15バールの圧力範囲で行われる。必要とされる温度は、使用されるアルコールもしくはアルコール混合物に応じて調整する。n−ブタノールに関して、温度はたとえば60〜150℃、有利には80〜140℃である。
【0104】
生じるアンモニアをただちに反応混合物から分離し、最小量でアンモニアと二酸化炭素とから、尿素の分解によって形成されるカルバミン酸アンモニウムによる堆積を回避することができることが有利であることが判明している。
【0105】
この蒸留ユニットは自体公知の構造を有しており、慣用の内部構造物を有する。塔内部構造物として原則的に全ての慣用の内部構造物、例えばトレイ、規則充填物および/または不規則充填物が考慮に値する。トレイの中では、バブルキャップトレイ、シーブトレイ、バルブトレイ、トールマントレイ(Thormannboeden)またはデュアルフロートレイが好ましく、不規則充填物の中では、リング、スパイラル、サドル、ラシヒリング、イントス(Intos-)リングまたはポールリング、バレルサドルまたはインタロクス(Intalox-)サドル、トップパック(Top-Pak)等又は網状物(Geflechten)を有するものが好ましい。有利にはトレーを使用し、特に有利にはバブルキャップトレーを使用する。
【0106】
蒸留塔は有利には10〜20の理論分離段を有している。
【0107】
次いで、得られたアンモニア含有率の低減した反応混合物から、アルコール、ジアルキルカーボネート(これらが形成されるか、または反応混合物中に存在する場合には)、またはカルバミド酸アルキルエステルまたはこれらの成分の少なくとも2つからなる混合物を分離し、かつ有利には反応工程に返送する。
【0108】
成分を分離するために、反応混合物を有利には反応工程の圧力レベルから、1〜500ミリバール、有利には10〜100ミリバールの範囲の圧力へ放圧する。この場合、気体状の蒸気が得られ、該蒸気は大部分アルコールと、0〜30質量%、有利には1〜10質量%のジアルキルカーボネートおよび/または1〜50質量%、有利には1〜20質量%のカルバミド酸アルキルエステルを含有しており、かつ実質的にモノマーのジウレタンからなる液状の搬出物、および場合によりオリゴ尿素−ポリウレタンおよび高沸点のオリゴマーを含有している。
【0109】
得られた蒸気をその後の有利な蒸留による精製工程で、有利には精留により分離し、かつその際に単離される有価生成物であるアルコールおよびカルバミド酸アルキルエステルを、単独で、または混合物として、有利にはモノマーのウレタンを形成するための反応段階へと返送する。
【0110】
アルコールまたはアルコール混合物を蒸留により分離するために、しばしばいわゆるフラッシュが使用される。この装置は、1つの容器であっても、容器と塔との組み合わせ、有利には1つの塔であってもよく、その際、塔頂でアルコールもしくはアルコール混合物を除去し、かつ塔底でウレタンを除去することができる。塔の塔頂には、アルコール以外に、ウレタンよりも沸点の低い物質が含まれていてよい。分離は0.001〜1バール、有利には0.02〜0.5バールの圧力範囲で行われる。
【0111】
蒸気を分離した後に通常塔底搬出物として得られる液状の、モノマーのジウレタンと、場合によりオリゴ尿素−ポリウレタンおよび高沸点のオリゴマーを含有する反応混合物を、完全に次の工程へ移すか、または有利には2つの部分流に分割し、その際、該部分流の質量比は5〜50:95〜50質量部、有利には10〜30:90〜70質量部である。
【0112】
同じ大きさの、または有利にはより小さい部分量を、慣用の蒸留装置、有利には薄層蒸発器を用いて、170〜240℃、有利には180〜230℃の温度、および0.001〜1バール、有利には0.002〜0.01バールの圧力で、ジウレタンと、それよりも沸点の低い副生成物を含有する有価生成物、および蒸留することができない副生成物に分離し、製造プロセスから分離し、かつ通常は、利用することができない残留物として廃棄処理する。有価生成物(蒸留液)は、同一の、または有利にはより大きな量の他方の部分量と一緒に精製し、かつ合されたジウレタンを含有する反応混合物を熱分解に供給する。
【0113】
このプロセス措置により、反応混合物中の蒸留することができない副生成物の割合は、順次進行する部分反応で形成され、かつ返送することによって利用可能な原料として反応循環流中で常に富化され、3〜30質量%、有利には5〜20質量%の含有率となり、これによって高い選択率で障害なく進行する反応が保証される。
【0114】
蒸留装置として、薄層蒸発器またはショートパス蒸発器を使用することができる。ウレタンは、0.001〜1バールの圧力で、有利には0.002〜0.01バールの範囲の圧力で蒸留される。蒸留液は分解に供給される。
【0115】
高沸点成分を含有する塔底流を有利には廃棄処理するか、またはあまり有利ではないが、再ウレタン化に供給する。
【0116】
こうして得られたジウレタン含有反応混合物は、適切な装置中で、有利には溶剤を含有しない液相で触媒の存在下に200〜300℃、有利には220〜280℃の温度で、かつ0.01〜0.6バール、有利には0.02〜0.1バールの範囲の減圧で連続的に熱分解する。熱分解のための装置中でのジイソシアネートに対するジウレタンの反応率は、ほぼ自由に選択することができ、かつ供給される量の有利には10〜98質量%、好ましくは40〜90質量%の範囲である。
【0117】
未反応のジウレタン、オリゴ尿素−ポリウレタン、高沸点のオリゴマーおよびその他の再利用可能な、および利用することができない副生成物を含有する反応混合物の分解されない割合を分離し、連続的に分解装置から排出し、かつ直接に、もしくは場合により再ウレタン化においてアルコールと反応させた後で、反応段階へ返送される。
【0118】
化学的な分解のための触媒として、たとえば前記のウレタン形成を触媒する無機および有機化合物を使用する。
【0119】
特に有利であることが判明しており、従って有利に使用されるのは、ジブチルスズジラウレート、アセチルアセトン酸鉄(III)、アセチルアセトン酸コバルト(II)、アセチルアセトン酸亜鉛、ジルコニウムテトラ−n−ブタノラートおよびジオクタン酸スズ(II)である。
【0120】
分解装置としてたとえば円筒形の分解反応器、たとえば管型炉または有利には蒸発器、たとえば薄層蒸発器またはバルク型蒸発器、たとえばロバート蒸発器、ヘルベルト蒸発器、カドル型蒸発器、プレート型蒸発器、および有利には加熱プラグ型蒸発器が適切である。
【0121】
分解生成物の分離は、通常、イソシアネートが側方で、およびアルコールが塔頂で除去される塔中で行う。
【0122】
粗イソシアネート混合物はその後の蒸留において、組み換え生成物、副生成物および存在する場合には溶剤を除去する。副生成物は有利には熱分解に返送される。一部は排出することもできる。
【0123】
熱分解の際に形成される分解生成物は、特にアルコール、ジイソシアネートおよび部分的に分解されたジウレタンからなっており、その後、有利には1もしくは複数の蒸留塔を用いて、有利には100〜220℃、好ましくは120〜170℃の温度で、および1〜200ミリバール、有利には5〜50ミリバールの圧力で、低沸点成分および特にアルコールおよび85〜99質量%、有利には95〜99質量%のジイソシアネート含有率を有する粗ジイソシアネート混合物へと分離する。蒸留による分離の際に生じる高沸点の副生成物および特に分解されていない、および部分的に分解されたジウレタンを、有利には分解装置および/または再ウレタン化へ供給する。
【0124】
有利に精留により得られた粗イソシアネート混合物を、蒸留により100〜180℃の温度および1〜50ミリバールの圧力で精製し、その際、個々のフラクションを返送するか、または純粋な生成物として単離することができる。すでに記載したように、有利に適用される精留の際に、有利にジイソシアネートからなる塔頂留分を、場合により遊離イソシアネート基をアルコールと反応させた後で、反応段階に返送し、純粋なジイソシアネートからなり、有利には少なくとも98質量%、特に99質量%を上回る純度を有する側方留分を排出し、かつ貯蔵に供給し、かつ実質的な成分として部分的に分解されたジウレタンおよびジイソシアネートを含有する塔底分画を有利には熱分解のための分解装置に返送する。
【0125】
反応搬出物および/または蒸留残留物の反応物は、有利には改めて方法に供給される。この場合、アルコールを用いて、この混合物中に含有されているイソシアネート基および/またはアロファネートおよび/または尿素またはその他の反応性成分をウレタンに変換する。これらの反応を別々の反応器、たとえば混合反応器または流れ管中で実施する可能性も存在する。残留物のアルコール分解のために、100〜250℃、有利には150〜220℃の温度が必要である。この場合、平均滞留時間は数分〜数時間の範囲である。
【0126】
このためにたとえば該流をアルコールと一緒に供給することができ、その際、NCO基もしくはその等価物、つまりたとえばウレタン基対ヒドロキシル基のモル比は、1:100まで、有利には1:20まで、特に有利には1:10までである。
【0127】
この反応混合物を触媒の存在下または不存在下で1〜150分以内に、有利には3〜60分以内に、20〜200℃、有利には50〜170℃の温度で、0.5〜20バール、有利には1〜15バールの圧力で反応させる。
【0128】
反応は連続的なボイラーのカスケードで、または管型反応器中で実施することができる。
【0129】
触媒として、基本的に、NCO基とOH基との反応を促進する全ての化合物が考えられる。たとえばオクタン酸スズ、ジラウリン酸ジブチル、塩化スズ、二塩化亜鉛、ジオクタン酸スズ(II)およびトリエチルアミンがあげられる。
【0130】
液相中でのホスゲン化の実施は、同様に自体公知であり、かつ有利には以下のとおりに実施することができる。
【0131】
工程b)から得られる1,5−ペンタンジアミンは選択的に遊離の形で、または塩酸塩として場合により溶剤中で予め溶解する。
【0132】
工程c)で使用される1,5−ペンタンジアミンの含水率は、工程c)における反応の種類に応じて調整され、かつホスゲン化の場合には有利には200質量ppmを下回り、ホスゲン不含の実施の場合には有利には10質量%を下回り、特に有利には1質量%を下回り、かつとりわけ有利には1000質量ppmを下回るべきである。
【0133】
その際、クロロベンゼン、o−またはp−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロトルエン、クロロキシレン、クロロエチルベンゼン、クロロナフタリン、クロロジフェニル、塩化メチレン、ペルクロロエチレン、トルエン、キシレン、ヘキサン、デカヒドロナフタリン、ジエチルイソフタレート(DEIP)およびその他のカルボン酸エステル、たとえばUS5,136,086、第3欄、第3〜18行目に記載されているもの、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ベンゼンおよびこれらの混合物が有利である。特に有利であるのはクロロベンゼンおよびジクロロベンゼンである。
【0134】
アミンと溶剤との混合物中のアミンの含有率は通常、1〜50質量%、有利には2〜40質量%、特に有利には3〜30質量%である。
【0135】
ホスゲンは、同一の、または異なった不活性溶剤との混合物として、有利には同一の溶剤との混合物として、または純粋な形で使用される。特に有利にはホスゲンとして少なくとも部分的に後処理から回収され、新鮮なホスゲンによって所望の化学量論比になるまで補充された流を使用する。
【0136】
ホスゲンは、本発明による方法では不活性溶剤中で、一般に10〜100質量%の、有利には30〜95質量%の、および特に40〜90質量%の溶液の形で使用することができ、その際、ホスゲンのために有利にはアミンのための溶剤と同じ溶剤を使用する。
【0137】
ホスゲン溶液の温度は、−35℃〜180℃、有利には−30℃〜150℃であるべきである。
【0138】
たとえば混合装置へのアミン供給流の温度は、10〜150℃、有利には15〜120℃、およびとりわけ有利には20〜100℃であってよい。
【0139】
反応に供給されるホスゲンの全体対使用されるアミノ基のモル比は、一般に1.1:1〜30:1、有利には1.3:1〜25:1である。
【0140】
原料流の混合は有利には、短い混合時間を特徴とする、適切な特別の混合装置中で行うことができる。
【0141】
混合後の反応における平均滞留時間は通常、5分〜15時間、有利には10分〜12時間、特に有利には15分〜10時間である。
【0142】
反応における温度は一般に、90℃〜250℃、有利には100℃〜240℃、および特に有利には110〜230℃である。
【0143】
反応における圧力は通常、1.1バール〜80バール(絶対)、有利には1.5〜50バール(絶対)、特に有利には2〜35バール(絶対)、殊に有利には3〜10バール(絶対)およびとりわけ4〜8バール(絶対)である。
【0144】
反応は、逆混合式反応器中で、または管型反応器中で行うことができるが、あるいは逆混合式反応器とその後方に管型反応器が接続されている組み合わせ中で行うこともできる。
【0145】
引き続き反応混合物を蒸留により精製する。
【0146】
これはたとえば蒸留塔であってもよい。この蒸留ユニットは自体公知の構造を有しており、慣用の内部構造物を有する。塔内部構造物として原則的に全ての慣用の内部構造物、例えばトレイ、規則充填物および/または不規則充填物が考慮に値する。トレイの中では、バッブルキャップトレイ、シーブトレイ、バルブトレイ、トールマントレイおよび/またはデュアルフロートレイが好ましく、不規則充填物の中では、リング、スパイラル、サドル、ラシヒリング、イントスリングまたはポールリング、バレルサドルまたはインタロクスサドル、トップパック等または網状物を有するものが好ましい。有利にはトレーを使用し、特に有利にはバブルキャップトレーを使用する。
【0147】
蒸留塔は有利には10〜80の理論分離段を有している。
【0148】
この塔中で、気相は塔の中を下から上へ案内され、かつ液相は上から下へと案内される。
【0149】
塔底での気相の発生は、塔底に設置されていてもよい蒸発器、たとえばロバート蒸発器の運転によって、または外部の蒸発器の循環流中で、たとえば管もしくはプレート型熱交換器を用いて行われる。
【0150】
この場合、循環流は強制式循環流であるか、または自然に生じる循環流である。有利には蒸発は自然に生じる循環流中で行われる。
【0151】
もう1つの本発明による態様は、気体状の、もしくは過熱されたホスゲンおよび/または不活性溶剤および/または不活性ガスを吹き込むことによって塔中で気体流を発生させることである。
【0152】
塔中での平均滞留時間は、10分〜12時間、有利には15分〜11時間、および有利には15分〜10時間である。
【0153】
蒸留塔における塔底温度は一般に、90℃〜250℃、有利には100℃〜240℃、および特に有利には110〜230℃である。蒸留塔の塔頂圧力は通常、1.1バール(絶対)〜80バール(絶対)、有利には1.5〜50バール(絶対)、特に有利には2〜35バール(絶対)、とりわけ有利には3〜10バール(絶対)および殊に4〜8バール(絶対)である。
【0154】
次いで塔の塔底でイソシアネートを生成物として含有する液状の、および/または気体状の流を取り出す。
【0155】
気相中でのホスゲン化は、たとえばEP1275639A1、EP1275640A1、EP1449826A1、DE10359627A1またはドイツ特許出願DE102005042392に記載されているように行うことができる。
【0156】
有利には気相ホスゲン化を以下のとおりに実施する。
【0157】
気相ホスゲン化の際に、定義によれば、反応の過程に現れる化合物、つまり原料(ジアミンおよびホスゲン)、中間生成物(特に中間的に生じるモノおよびジカルバモイルクロリド)、最終生成物(ジイソシアネート)、ならびに場合により供給される不活性化合物が、反応条件下で気相中に残留するように努めるべきである。これらの、もしくはその他の成分が、気相から、たとえば反応器壁またはその他の装置部材に堆積する場合には、これらの堆積物によって、当該部材の熱の移行または貫流は不所望な変化を受けうる。このことは特に、遊離のアミノ基と塩化水素(HCl)とから形成されて生じるアミン塩酸塩に該当する。というのも、生じるアミン塩酸塩は、容易に析出し、かつ再度蒸発させることが困難だからである。
【0158】
原料、または原料の一部のみを、少なくとも1の不活性媒体と一緒に混合室に供給することができる。
【0159】
不活性媒体は、反応温度で反応室中に気体状で存在し、かつ反応の過程で現れる化合物と反応しない媒体である。不活性媒体は一般に、アミンおよび/またはホスゲンとの反応前に混合されるが、しかし原料流とは別個に計量供給することもできる。たとえば窒素、希ガス、たとえばヘリウムまたはアルゴン、または芳香族化合物、たとえばクロロベンゼン、クロロトルエン、o−ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、クロロナフタリン、デカヒドロナフタリン、二酸化炭素または一酸化炭素を使用することができる。有利には窒素および/またはクロロベンゼンを不活性媒体として使用する。
【0160】
一般に不活性媒体は、アミンに対する、もしくはホスゲンに対する不活性媒体の気体体積の比が、0.0001超〜30、有利には0.01超〜15、特に有利には0.1超〜5となるような量で使用する。
【0161】
出発アミンは、本発明による方法の実施前に気化し、かつ200℃〜600℃、有利には300℃〜500℃に加熱され、かつ場合により混合装置によって不活性ガスまたは不活性溶剤の蒸気で希釈して反応器に供給する。
【0162】
ホスゲン化の際に使用されるホスゲンは、本発明による方法の実施前に場合により不活性ガスで、または不活性溶剤の蒸気で希釈して、同様に200℃〜600℃、有利には300℃〜500℃の範囲の温度に加熱する。
【0163】
本発明によれば、ホスゲンをアミノ基に対して過剰で使用する。通常、ホスゲン対アミノ基のモル比は、1.1:1〜20:1、有利には1.2〜5:1である。
【0164】
反応は通常、原料との接触により混合後に直接開始される。
【0165】
混合装置中で原料流は短時間でできる限り完全に混合される。
【0166】
本発明による反応を実施するために、予熱されたアミンもしくはアミン混合物含有流および予熱されたホスゲン含有流を連続的に反応器に、有利には管型反応器に導通する。
【0167】
反応器は一般に、鋼、ガラス、合金鋼またはほうろう加工した鋼からなり、かつ方法条件下でジアミンとホスゲンとの完全な反応が可能となるために十分な長さを有する。
【0168】
一般に従来技術から公知の構造型の反応器を使用することができる。反応器のための例は、EP−B1289840、第3欄、第49行目〜第4欄、第25行目、EP−B1593334、WO2004/026813、第3頁、第24行目〜第6頁、第10行目、WO03/045900、第3頁、第34行目、第6頁、第15行目、EP−A11275639、第4欄、第17行目〜第5欄、第17行目、およびEP−B1570799、第2欄、第1行目〜第3欄、第42行目から公知であり、これらの記載を引用することにより、この開示の範囲に取り入れる。
【0169】
有利には管型反応器を使用する。
【0170】
反応室中でのホスゲンとアミンとの反応は、0.1バール超〜20バール未満、有利には0.5バール〜15バールおよび特に有利には0.7〜10バールの絶対圧力で行う。(環式)脂肪族アミンの反応の場合、絶対圧は殊に有利には0.7バール〜5バール、特に0.8〜3バールおよびとりわけ1〜2バールである。
【0171】
一般に混合装置への供給管中での圧力は、反応器中での前記の圧力よりも高い。混合装置の選択に応じて、この圧力は低下する。有利には供給管中の圧力は、反応室中の圧力よりも、20〜2000ミリバール、特に有利には30〜1000ミリバール高い。
【0172】
本発明による方法によれば、ホスゲンとアミンとの反応は気相中で行う。気相中での反応とは、原料流および中間生成物の、生成物への変換が、気体状の状態で相互に反応し、かつ反応の過程で反応室を通過する間に、少なくとも95%まで、有利には少なくとも98%まで、特に有利には少なくとも99%まで、とりわけ有利には少なくとも99.5%まで、殊には少なくとも99.8%まで、および特に少なくとも99.9%まで気相中で行われることであると理解すべきである。
【0173】
この場合、中間生成物はたとえばジアミンから形成されるモノアミノ−モノカルバモイルクロリド、ジカルバモイルクロリド、モノアミノ−モノイソシアネートおよびモノイソシアナト−モノカルバモイルクロリドならびにアミノ化合物の塩酸塩である。
【0174】
本発明による方法の場合、反応室中の温度は、反応室中で支配的な圧力比に対して、使用されるジアミンの沸点を上回るような温度に選択する。使用されるアミンおよび調整される圧力に応じて、通常、200℃超、有利には260℃超および特に有利には300℃超の有利な温度が反応室中で生じる。通常、この温度は600℃まで、有利には570℃までである。
【0175】
本発明による方法における反応混合物の平均接触時間は一般に、0.001秒〜5秒未満、有利には0.01秒超〜3秒未満、特に有利には0.015秒超〜2秒未満である。平均接触時間は特に有利には0.015〜1.5秒、特に0.015〜0.5秒、特に0.020〜0.1秒およびしばしば0.025〜0.05秒である。
【0176】
有利には気体状の反応混合物は、10〜300メートル/秒、有利に25〜250メートル/秒、特に有利には40〜230メートル/秒、とりわけ有利には50〜200メートル/秒、とりわけ150〜190メートル/秒および殊には160〜180メートル/秒の流速で反応室を貫流する。
【0177】
乱流によって、多くの場合、たとえばEP570799に記載されているような6%未満の低い標準偏差を有する狭い滞留時間および良好な混合が達成される。たとえばEP−A−593334に記載されている、管径を狭くする措置は、さらに閉塞の傾向を生じるため、不要である。
【0178】
反応後に気体状の反応混合物を有利には130℃超の温度で溶剤により洗浄する(クエンチング)。溶剤として有利には炭化水素が適切であり、該炭化水素はハロゲン原子により置換されていてもよく、たとえばヘキサン、ベンゼン、ニトロベンゼン、アニソール、クロロベンゼン、クロロトルエン、o−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジエチルイソフタレート(DEIP)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、キシレン、クロロナフタリン、デカヒドロナフタリンおよびトルエンである。溶剤として特に有利にはモノクロロベンゼンを使用する。溶剤としてイソシアネートを使用することもできる。洗浄の際に、イソシアネートは選択的に洗浄液に移行する。引き続き、残留する気体および得られた洗浄液を有利には精留によって、イソシアネート、溶剤、ホスゲンおよび塩化水素に分離する。
【0179】
反応混合物が反応室中で反応した後で、該反応混合物をクエンチングにより後処理装置へと移す。これは有利にはいわゆる洗浄塔であり、この場合、気体状の混合物から形成されたイソシアネートを不活性溶剤中で凝縮することによって分離し、他方、過剰のホスゲン、塩化水素および場合により不活性媒体を気体状で後処理装置に気体状で貫流させる。この場合、有利には不活性溶剤の温度は、選択されたクエンチング媒体中のアミンに属するカルバミルクロリドの溶液の温度を上回るように維持される。この場合、特に有利には不活性溶剤の温度を、アミンに属するカルバミルクロリドの溶融温度よりも高く維持する。
【0180】
一般に後処理装置中の圧力は、反応室におけるよりも低い。有利には圧力は反応室中におけるよりも50〜500ミリバール、特に有利には80〜150ミリバール低い。
【0181】
この洗浄は、たとえば攪拌容器または別の従来の装置、たとえば塔またはミキサーセトラー装置内で実施することができる。
【0182】
方法技術的には本発明による方法における洗浄のために、自体公知の全ての抽出法および洗浄法および装置、たとえばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、1999年、電子版、Liquid Liquid Extraction Apparatusの章に記載されているような方法および装置を使用することができる。たとえばこれは一段もしくは多段の、有利には一段の抽出、ならびに並流もしくは向流での方法、有利には向流での方法であってよい。
【0183】
適切なクエンチングは、たとえばEP−A11403248、第2欄、第39行目、第3欄、第18行目から公知であり、これらの記載を引用することによってこの開示の内容に取り入れる。
【0184】
このクエンチング帯域で、実質的にイソシアネート、ホスゲンおよび塩化水素からなる反応混合物を、ノズルから供給される液体と強力に混合する。混合は、反応混合物の温度は、200〜570℃から出発して、100〜200℃、有利には140〜180℃に低下し、かつ反応混合物中に含有されているイソシアネートが、凝縮によって完全に、もしくは部分的にノズルから供給される液滴に変換され、他方、ホスゲンおよび塩化水素は実質的に完全に気相中に残留するように行う。
【0185】
この場合、クエンチング帯域で液相に変換され、気体状の反応混合物中に含有されているイソシアネートの割合は反応混合物中に含有されているイソシアネートに対して、有利には20〜100質量%、特に有利には50〜99.5質量%、および特に70〜99質量%である。
【0186】
反応混合物は、クエンチング帯域を有利には上から下へと貫流する。クエンチング帯域の下方には回収容器が配置されており、ここで液相が分離され、回収され、かつ排出部を介して反応室から除去され、かつ引き続き後処理される。残留する気相は、第二の排出部を介して反応室から除去され、かつ同様に後処理される。
【0187】
クエンチングはたとえば、EP1403248A1に、または国際出願WO2005/123665に記載されているように行うことができる。
【0188】
このためには1流体噴霧ノズルまたは2流体噴霧ノズルを用いて、有利には1流体噴霧ノズルを用いて液滴を発生させ、かつそのつどの実施態様に応じて、10〜140°、有利には10〜120°、特に有利には10°〜100°の噴霧角度を生じる。
【0189】
噴霧ノズルを介して供給される液体は、イソシアネートに対して良好な溶解度を示さなくてはならない。有利には有機溶剤を使用する。特に芳香族溶剤を使用し、該溶剤はハロゲン原子により置換されていてもよい。
【0190】
こうして得られたジイソシアネートの後処理は、自体公知の方法で、たとえば上記の液相ホスゲン化に記載したとおりに行うことができる。
【0191】
本発明のもう1つの対象は、14C:12Cの同位体比0.5×10-12〜5×10-12、有利には1.0×10-12〜4×10-12、および特に有利には1.5×10-12〜3×10-12を有する1,5−ペンタメチレンジイソシアネートである。このような1,5−ペンタメチレンジイソシアネートは、生物学的な材料から出発して工程a)もしくはb)を実施する場合に得られる。
【0192】
このような1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの利点は、天然の材料に相応する14C同位体含有率を有することであり、他方、石油化学に基づいて製造される1,5−ペンタメチレンジイソシアネートは、通常、0.3×10-12未満、多くの場合、0.2×10-12および多くの場合、0.1×10-12未満の人工的な含有率を有する。次いでこの本発明による1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを、その同位体含有率に基づいて、たとえば14C試験のためのゾンデとして使用すべき化合物を合成するために使用することができる。
【0193】
本発明のもう1つの対象は、さらに50質量ppmを下回る全塩素含有率および10質量ppmを下回る加水分解可能な塩素の含有率を有する1,5−ペンタメチレンジイソシアネートである。このような1,5−ペンタメチレンジイソシアネートは、工程c)をホスゲン不含で実施する場合に得られる。この方法で、完全に石油化学および塩素化学を断念して製造される1,5−ペンタメチレンジイソシアネートが得られる。
【0194】
本発明により製造される1,5−ペンタメチレンジイソシアネートは、上記のその有利な特性により、主にイソシアヌレート基を有するポリイソシアネート、ウレトジオン基を有するポリイソシアネート、ビウレット基を有するポリイソシアネート、ウレタン基またはアロファネート基を有するポリイソシアネート、オキサジアジントリオン基を有するか、またはイミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネートおよび/またはウレトンイミン変性されたポリイソシアネートを製造するために適切である。
【0195】
このようなポリイソシアネートはたとえば、ポリイソシアネートの重付加法により、ウレタン基、イソシアヌレート基、アミド基および/または尿素基を有するプラスチックを製造するために使用される。このようなポリイソシアネート混合物は特に、耐光性ポリウレタン塗料および被覆を製造するために使用される。
【0196】
こうして得られた、本発明により製造される1,5−ペンタメチレンジイソシアネートをベースとするポリイソシアネートは、通常、塗料産業で使用される。本発明による混合物はたとえば1K(1成分系)または2K(2成分系)ポリウレタン塗料のための被覆剤中で使用することができ、たとえば下塗り、サーフェイサー、ベースコート、顔料着色されていないトップコート、顔料着色されたトップコート、およびクリアコートのために、工業用、特に航空機または大きな自動車の塗装、木材、自動車、特に大量生産ラインまたは自動車の補修用塗装において、または装飾用塗装において使用することができる。特に適切であるのは、特に高い適用安全性、耐候性、外観、耐溶剤性および/または耐薬品性が要求される適用のための被覆剤である。この場合、この被覆剤の硬化は、本発明によれば重要ではない。特に自動車産業ではますます、多層硬化法、たとえばクリアコートとベースコート(いわゆるツー・イン・ワン)、またはサーフェイサー、クリアコートおよびベースコート(いわゆるスリー・イン・ワン)が実施されている。
【0197】
さらに本発明により製造される1,5−ペンタメチレンジイソシアネートは、たとえばKunststoffhandbuch、第7巻、 ,,Polyurethane"、Carl Hanser Verlag Muenchen Wien、第3版、1993年、第455〜466頁に記載されているように、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を製造するために使用することができる。
【0198】
その製造は、ジイソシアネートと、少なくとも2のイソシアネート基と反応性の水素原子を有する化合物、有利には二官能価のアルコールとの反応により行う。
【0199】
イソシアネートに対して反応性の化合物として、分子量500〜8000、有利には600〜6000、特に800〜4000を有し、かつ有利には平均官能価1.8〜2.6、有利には1.9〜2.2、特に2を有する一般に公知のポリヒドロキシ化合物、たとえばポリエステロール、ポリエーテロールおよび/またはポリカーボネートジオールを使用することができる。有利には、ジオールとしてのブタンジオールおよびヘキサンジオールと、ジカルボン酸としてのアジピン酸との反応により得られるポリエステルジオールを使用し、その際、ブタンジオール対ヘキサンジオールの質量比は、有利には2対1である。さらに、分子量750〜2500g/モル、有利には750〜1200g/モルを有するポリテトラヒドロフランは有利である。
【0200】
鎖長延長剤として、一般に公知の化合物、たとえばジアミンおよび/またはアルキレン基中に2〜10個の炭素原子を有するアルカンジオール、特にエチレングリコールおよび/またはブタンジオール−1,4および/またはヘキサンジオールおよび/またはオキシアルキレン基中に3〜8個の炭素原子を有するジオキシアルキレングリコールおよび/またはトリオキシアルキレングリコール、有利には相応するオリゴ−ポリオキシプロピレングリコールを使用することができ、その際、鎖長延長剤の混合物を使用することもできる。鎖長延長剤として、1,4−ビス−(ヒドロキシメチル)−ベンゼン(1,4−BHMB)、1,4−ビス−(ヒドロキシエチル)−ベンゼン(1,4−BHEB)または1,4−ビス−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン(1,4−HQEE)を使用することもできる。有利には鎖長延長剤として、エチレングリコールおよびヘキサンジオール、特に有利にはエチレングリコールを使用する。
【0201】
通常、ジイソシアネートのNCO基と構成成分のヒドロキシル基との間の反応を促進する触媒、たとえば第三アミン、たとえばトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N,N′−ジメチルピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)−エタノール、ジアザビシクロ−(2,2,2)−オクタンなど、ならびに特別な有機金属化合物、たとえばチタン酸エステル、鉄化合物、たとえば鉄(III)−アセチルアセトナート、スズ化合物、たとえば二酢酸スズ、ジラウリン酸スズまたは脂肪族カルボン酸のスズジアルキル塩、例えばジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジラウラートなどを使用する。前記触媒は、通常、ポリヒドロキシル化合物100質量部あたり、0.0001〜0.1質量部の量で使用される。
【0202】
触媒以外に、構成成分には慣用の助剤を添加することもできる。たとえば、界面活性物質、難燃剤、成核剤、滑剤及び離型助剤、染料及び顔料、防止剤、加水分解、光、熱、酸化または変色に対する安定化剤、微生物による分解に対する保護剤、無機および/または有機充填剤、補強材および可塑剤があげられる。
【0203】
TPUの製造は多くの場合、慣用の方法により、たとえばベルト装置または反応押出機により行う。
【0204】
発泡TPUを製造するためには、TPUを有利には発泡可能なマイクロ球と混合し、かつ熱可塑的に所望の成形体へと加工する。これはたとえば射出成形、焼結または押出機により行うことができる。熱可塑的な加工の際の温度によって、発泡可能なマイクロ球の発泡ひいては発泡TPUの形成が生じる。有利には溶融液を型に流し入れ、かつここで硬化させる。
【0205】
発泡TPUはたとえばフィルム、パイプ、異形材、繊維、ケーブル、靴底、その他の靴用部材、イヤーマーク、自動車部材、農業用製品、電気製品、制動部材、肘掛け、プラスチック製家具部材、スキー靴、リバウンドストップ、ローラー、スキー用ゴーグル、パウダースラッシュ表面として使用することができる。
【0206】
本発明による方法によれば、1,5−ペンタンジイソシアネートを初めて大工業的に製造することが可能になったことが利点である。「大工業的に」の概念は、この文献では、少なくとも50トン/年、有利には少なくとも500トン/年、および特に有利には少なくとも1000トン/年の製造であると理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートの製造方法において、
b)リシンを1,5−ペンタンジアミンへと変換し、かつ
c)こうして得られた1,5−ペンタンジアミンを、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートへと変換する
ことを特徴とする、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法により得られたペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート。
【請求項3】
工程b)を酵素の存在下で実施することを特徴とする、請求項1記載の方法および請求項2記載のペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート。
【請求項4】
工程b)でリシンを熱により触媒の不存在下で脱カルボキシル化することを特徴とする、請求項1記載の方法および請求項2記載のペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート。
【請求項5】
工程b)を、酵素とは異なる触媒の存在下で実施することを特徴とする、請求項1記載の方法および請求項2記載のペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート。
【請求項6】
工程a)において、適切な基質から1,5−ペンタンジアミンを製造することを特徴とする、請求項1記載の方法および請求項2記載のペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート。
【請求項7】
適切な基質が、木材、セルロース、デンプン、モノマーの炭水化物、キチン、動物性脂肪、植物性脂肪、動物油、植物油、タンパク質、羊毛、皮革、獣皮、獣脂、ゼラチン、カゼインまたはワラであることを特徴とする、請求項6記載の方法およびペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート。
【請求項8】
適切な基質が、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、油、脂肪、脂肪酸、アルコールまたは有機酸であることを特徴とする、請求項6記載の方法およびペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート。
【請求項9】
適切な基質が、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、糖蜜、デンプンまたはセルロースであることを特徴とする、請求項6記載の方法およびペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート。
【請求項10】
リシンまたはリシンの基本構造が、細胞内で形成されることを特徴とする、請求項6から9までのいずれか1項記載の方法およびペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート。
【請求項11】
工程c)をホスゲン不含で実施することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法およびペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート。
【請求項12】
工程c)を液状のホスゲンの存在下で実施することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法およびペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート。
【請求項13】
工程c)を気体状のホスゲンの存在下で実施することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法およびペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート。
【請求項14】
DIN ISO 6271による色数が、15APHAを超えないことを特徴とする、請求項2から13までのいずれか1項記載のペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート。
【請求項15】
ペンタメチレン−1,4−ジイソシアネートの割合が、10000ppmを越えないことを特徴とする、請求項2から13までのいずれか1項記載のペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート。
【請求項16】
ポリイソシアネートまたは熱可塑性ポリウレタンを製造するための、請求項2から15までのいずれか1項記載のペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートの使用。
【請求項17】
0.5×10-12〜5×10-1214C:12C同位体比を有する、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート。
【請求項18】
50質量ppm未満の全塩素含有率および10質量ppm未満の加水分解可能な塩素の含有率を有する、請求項11または18記載の1,5−ペンタメチレンジイソシアネート。

【公表番号】特表2009−545553(P2009−545553A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522217(P2009−522217)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057646
【国際公開番号】WO2008/015134
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】