説明

ペーパーホルダ

【課題】構成部材を少なくすると共に、ペーパーの切断を常に容易に行うことができ、かつ、美感の向上を図ることができるようにしたペーパーホルダを提供する。
【解決手段】ベース片30と、このベース片の一端から起立する軸受片31とからなるホルダ本体3と、軸受片31に回動可能に取り付けられる上部軸部41と、ペーパーロール7が着脱可能に取り付けられる下部軸部42とを有する略U字状の軸部材4と、上部軸部41に回動自在に枢着されると共に、ばね部材6によってペーパーロール7側に向かって弾性力が付勢されるペーパーカッタ5とを具備する。軸受片に、上部軸部を回動可能に嵌挿する軸受け部32と、下部軸部を係脱可能に係合する係合段部33とを設け、ペーパーカッタに、上部軸部を嵌挿する筒状部51と、ペーパーロールの側面に当接すると共に、ペーパー70を切断するカット部52を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は例えばトイレットペーパーのペーパーホルダに関するもので、例えばトイレブース内に設置される可動式手摺に取り付けられるペーパーホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、公共施設や民間施設のトイレブースにおいては、身障者や高齢者の使用に配慮して大多数の使用者が使用できるようにトイレブース内に可動式の補助手摺が設けられている。
【0003】
一般に、トイレで使用される可動式の補助手摺はU字管にて形成されており、オプションとしてペーパーホルダが装着されている。例えば、手摺の下部管に、固定金具を介してペーパーホルダを取り付けると共に、ばね力によって常にトイレットペーパーをペーパーカッタが押さえるように力を加える構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−238806号公報(特許請求の範囲、段落番号0019,0021、図2、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特開2002−238806号公報に記載のペーパーホルダは、固定金具に固定され、ブッシュ及びボルトを介して下部管に固定され、ボルトを通すボルト穴を隠すためのキャップが下部管に取り付けられる構造であるので、部品数が多くなると共に、組み付けに手間がかかるという問題があった。また、ペーパーカッタの回転支点がペーパーロールの中心から離れた位置にあるため、トイレットペーパーが少なくなりペーパーロールの外径が小さくなった際に、ペーパーカッタの先端がペーパーロールの側面から離れてしまうのでペーパーが切りづらくなるという問題があった。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、構成部材を少なくすると共に、ペーパーの切断を常に容易に行うことができ、かつ、美感の向上を図ることができるようにしたペーパーホルダを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明のペーパーホルダは、ベース片と、このベース片の一端から起立する軸受片とからなるホルダ本体と、 上記軸受片に回動可能に取り付けられる上部軸部と、ペーパーロールが着脱可能に取り付けられる下部軸部とを有する略U字状の軸部材と、 上記上部軸部に回動自在に枢着されると共に、ばね部材によって上記ペーパーロール側に向かって弾性力が付勢されるペーパーカッタと、を具備し、 上記軸受片は、上記上部軸部を回動可能に嵌挿する軸受け部と、上記下部軸部を係脱可能に係合する係合段部とを具備し、 上記ペーパーカッタは、上記上部軸部を嵌挿する筒状部と、上記ペーパーロールの側面に当接すると共に、ペーパーを切断するカット部とを具備してなる、ことを特徴とする(請求項1)。
【0007】
このように構成することにより、上部軸部をペーパーカッタを枢着してばね部材を介して軸受け部に回動可能に嵌挿し、下部軸部をペーパーロールを装着して軸受片の係合段部に係合することで、ペーパーカッタをばね部材の弾性力を付勢した状態でペーパーロールの側面に押圧することができると共に、ペーパーロールの側面に当接するカット部によってペーパーを切断可能にすることができる。
【0008】
また、この発明において、上記ばね部材は、ペーパーカッタの筒状部の端部に設けられた拡径開口部に収容されるコイル状ばねにて形成され、一端が軸受け部に係合され、他端が上記筒状部に係合される方が好ましい(請求項2)。
【0009】
このように構成することにより、コイル状ばねを露出することなくペーパーカッタに弾性力を付勢することができる。
【0010】
また、この発明において、上記軸部材の上部軸部は、合成樹脂製のカラー部材を介在して軸受け部に嵌挿される方が好ましい(請求項3)。
【0011】
このように構成することにより、上部軸部と軸受け部との接触部の摩擦力を小さくすることができる。
【0012】
また、この発明において、上記ホルダ本体のベース片を、略U字状の縦可動式手摺の下部水平部における上部水平部と対向する面に取り付けると共に、上記軸受片を、上記手摺の基端側に配置してなる方が好ましい(請求項4)。
【0013】
このように構成することにより、手摺の下部水平部における上部水平部と対向する面にホルダ本体のベース片を取り付けることで、手摺の上部水平部を有効に使用することができる。また、軸受片を手摺の基端側に配置することで、手摺を跳ね上げた際にペーパーロールを支持することができる。
【0014】
また、この発明において、上記ベース片に連結して上記手摺の下部水平部を狭持する狭持部材と、 上記狭持部材に設けられたねじ孔に螺合され、先端が上記下部水平部を押圧する固定ねじを更に具備する方が好ましい(請求項5)。
【0015】
このように構成することにより、手摺の下部水平部をベース片と、ベース片に連結される狭持部材とで狭持すると共に、狭持部材に設けられたねじ孔に固定ねじを螺合して固定ねじの先端を下部水平部の下面に押圧することで、ペーパーホルダを手摺に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明のペーパーホルダは、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0017】
(1)請求項1記載の発明によれば、上部軸部をペーパーカッタを枢着してばね部材を介して軸受け部に回動可能に嵌挿し、下部軸部をペーパーロールを装着して軸受片の係合段部に係合することで、ペーパーカッタをばね部材の弾性力を常に付勢した状態でペーパーロールの側面に押圧することができるので、ペーパーロールの不用意な回転やずれを防止することができる。また、ペーパー量(径)に関係なく、ペーパーカッタに弾性力を付勢することでペーパーロールの側面に当接するカット部によって片手で容易にペーパーを切断することができる。
【0018】
(2)請求項2記載の発明によれば、コイル状ばねを露出することなくペーパーカッタに弾性力を付勢することができるので、上記(1)に加えて、更に、ペーパーホルダへの塵埃等の付着を抑制することができると共に、美感の向上を図ることができる。
【0019】
(3)請求項3記載の発明によれば、上部軸部と軸受け部との間に合成樹脂製のカラー部材を介在することで、上部軸部と軸受け部との接触部の摩擦力を小さくすることができるので、上記(1),(2)に加えて、更に、一般に金属製部材にて形成される上部軸部と軸受け部との金属同士の接触音を解消することができ、上部軸部をスムーズに回動することができる。
【0020】
(4)請求項4記載の発明によれば、手摺の下部水平部における上部水平部と対向する面にホルダ本体のベース片を取り付けることで、手摺の上部水平部を有効に使用することができるので、使用者が手摺につかまりやすくなる。また、軸受片を手摺の基端側に配置することで、手摺を跳ね上げた際にペーパーロールを支持することができるので、上記(1)〜(3)に加えて、更に、ペーパーロールのずれ及び脱落を防止することができる。
【0021】
(5)請求項5記載の発明によれば、手摺の下部水平部をベース片と、ベース片に連結される狭持部材とで狭持すると共に、狭持部材に設けられたねじ孔に固定ねじを螺合して固定ねじの先端を下部水平部の下面に押圧することで、ペーパーホルダを手摺に取り付けることができるので、上記(4)に加えて、更に、ペーパーホルダを既存の手摺に後付けすることができ、かつ、ペーパーホルダの取付位置を容易に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、この発明の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、この発明に係るペーパーホルダをトイレ等に設置される縦可動式手摺に取り付けた場合について説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、この発明に係るペーパーホルダを縦可動式手摺に取り付けた状態を示す概略斜視図、図2は、この発明に係るペーパーホルダを縦可動式手摺に取り付けた場合の手摺の使用状態(水平状態)を示す側面図(a)及び手摺の不使用状態(起立状態)を示す側面図(b)、図3は、この発明に係るペーパーホルダを示す斜視図、図4は、図3のI−I線に沿う拡大断面図、図5は、この発明に係るペーパーホルダの分解斜視図である。
【0024】
上記縦可動式手摺1(以下に手摺1という)は、図1及び図2に示すように、トイレブースの壁面に取り付けられる取付具10と、この取付具10に図示しない回動機構を介して回動可能(起倒可能)に取り付けられる手摺体11とで主に構成されている。
【0025】
上記手摺体11は、上部水平部12と下部水平部13とを有する略U字状のパイプ材にて形成されており、下部水平部13における上部水平部12と対向する面に上記ペーパーホルダ2が装着される。
【0026】
このように構成される手摺1は、水平にした状態で使用することができ、不使用時には上方へ跳ね上げて起立した状態にすることができる。
【0027】
上記ペーパーホルダ2は、図3及び図5に示すように、ベース片30と、このベース片30の一端から起立する軸受片31とからなるホルダ本体3と、軸受片31に回動可能に取り付けられる上部軸部41と、ペーパーロール7が着脱可能に取り付けられる下部軸部42とを有する略U字状の軸部材4と、上部軸部41に回動自在に枢着されると共に、ばね部材6によってペーパーロール7側に向かって弾性力が付勢されるペーパーカッタ5とで主に構成されている。
【0028】
上記ホルダ本体3は、図3及び図5に示すように、ペーパーホルダ2を手摺1に取り付けるためのベース片30と、ベース片30の一端から起立する軸受片31とを有しており、例えばアルミダイキャスト製部材にて形成されている。
【0029】
上記ベース片30は、図2ないし図5に示すように、手摺1の下部水平部13の断面形状に沿うように断面略円弧状に形成されており、貫通する2つの取付孔30aに取付ねじ80を介して下部水平部13に固定される。
【0030】
上記軸受片31は、図3及び図5に示すように、ベース片30の一端から起立した先端側に、軸部材4の上部軸部41を回動可能に嵌挿する軸受け部32が設けられており、略中間部には、軸部材4の下部軸部42を係脱可能に係合する係合段部33が設けられている。
【0031】
この場合、上記軸受け部32には、上部軸部41を嵌挿する軸受け孔32aが設けられており、この軸受け孔32aの周縁に上記ばね部材6の一端が係合可能なばね係合孔32bが設けられている。なお、軸受け部32の側面(この場合軸受片31の上端)には、軸受け孔32aに直交して貫通する係止孔32cが穿設されており、この係止孔32cに螺合される係止ねじ81の先端が上部軸部41の後述する係止溝41aと係合することによって軸受け部32と軸部材4とが回動可能に連結されている(図3及び図5参照)。
【0032】
一方、上記係合段部33は、図3及び図5に示すように、軸受片31の略中間部に軸受片31と平行に突設し、上方に開口する凹溝33aを有し、この凹溝33aを形成する一対の片部33bの一方すなわち軸部材4の下部軸部42を導入する側の片部33bが低く形成されている。また、係合段部33の下方には、手摺1を起立状態にした際にペーパーロール7を支持するための支持片34が延設されている。
【0033】
上記軸部材4は、軸受け孔32aに回動可能に取り付けられると共に、上記ペーパーカッタ5を枢着する上部軸部41と、ペーパーロール7が着脱可能に取り付けられると共に、先端が係合段部33に係脱可能な下部軸部42とで略U字状に形成されている。この軸部材4は、例えばステンレス製部材にて形成されている。また、上部軸部41の先端部には、軸受け部32に設けられた係止孔32cを介して係止ねじ81の先端が係合可能な係止溝41aが周設されている。なお、上部軸部41は先端部に合成樹脂製のカラー部材40を介在して軸受け孔32aに嵌挿される。このように上部軸部41と軸受け孔3aとの間に、合成樹脂製のカラー部材40を介在することにより、軸部材4の回動をスムーズにすると共に、金属部材同士の摩擦音の発生を抑えることができる。
【0034】
上記ペーパーカッタ5は、図3ないし図6に示すように、上部軸部41を嵌挿する筒状部51と、ペーパーロール7の側面に当接すると共に、ペーパー70を切断するカット部52とで形成されている。この場合、ペーパーカッタ5は、例えばアルミニウム合金製の押出形材にて一体に形成されている。
【0035】
上記筒状部51は、図3ないし図6に示すように、内面に複数(この場合3つ)の凸条51aを設け、この複数の凸条51aの先端面が上部軸部41に枢着されている。また、筒状部51の一端すなわちホルダ本体3の軸受片31側には、拡径開口部51bが形成されている。
【0036】
上記カット部52は、筒状部51の側面から延在し、先端が下部軸部42に向かって断面略円弧状に形成されており、ペーパーロール7を装着した際に先端がペーパーロール7の側面に常に当接するように形成されている。
【0037】
上記ばね部材6は、図3ないし図6に示すように、ペーパーカッタ5の筒状部51の端部に設けられた拡径開口部51bに収容されるコイル状ばねにて形成されており、一端が軸受け部32のばね係合孔32bに係合され、他端が筒状部51の凸条51aに係合される。
【0038】
このようにペーパーカッタ5とばね部材6を形成することにより、ペーパーカッタ5の拡径開口部51bにばね部材6を収容した状態で軸受片31に軸部材4を介して取り付けることができるので、ペーパーホルダ2への塵埃等の付着を抑制することができると共に、美感の向上を図ることができる。
【0039】
次に、ペーパーホルダ2の組立手順及びペーパーロール7の装着手順を説明する。
【0040】
まず、手摺1の下部水平部13における上部水平部12と対向する面に、ホルダ本体3のベース片30を軸受片31が手摺1の基端側に位置するように配置して取付ねじ80によって固定する。次に、ばね部材6を捻って弾性力を持たせた状態でばね部材6の一端を軸受け部32のばね係合孔32bに係合し、他端をペーパーカッタ5の筒状部51に形成された凸条51aに係合させてばね部材6のコイル部を拡径開口部51bに収容する。この状態で、ペーパーカッタ5の筒状部51内に軸部材4の上部軸部41を貫通し、上部軸部41の先端をカラー部材40を介して軸受け孔32aに嵌挿する。そして、軸受け部32の側面に設けられた係止孔32cに係止ねじ81を螺合させ、係止ねじ81の先端を上部軸部41の係止溝41aに係合させることで、ペーパーカッタ5に弾性力を付勢した状態でペーパーカッタ5をホルダ本体3に取り付けることができる。
【0041】
次に、ペーパーロール7をペーパーホルダ2に装着するには、まず、ペーパーカッタ5がばね部材6の弾性力によって下部軸部42に当接しているので、弾性力に抗してペーパーカッタ5を下部軸部42から離れた位置に回動させておく。この状態で、ホルダ本体3に回動可能に取り付けられた軸部材4の下部軸部42に、下部軸部42を嵌挿し筒部がペーパーロール7の芯材71の内面に当接する補助軸72を介在してペーパーロール7を装着する。そして、軸部材4を回動させると共に弾性変形させて、下部軸部42の先端を係合段部33の係止溝41a内に係合させることでペーパーロール7をペーパーホルダ2に装着することができる。
【0042】
なお、上記説明においては、ペーパーロール7に芯材71がある場合について説明したが、芯材71のない形状のものもあるので、芯材71がないペーパーロール7を下部軸部42に装着する場合には、補助軸72を用いないで、ペーパーロール7を下部軸部42に装着する。
【0043】
また、上記説明においては、ホルダ本体3を手摺1に取り付けてからペーパーホルダ2を組み立てた場合について説明したが、ペーパーホルダ2を組み立てた後に手摺1に取り付けてもよい。
【0044】
このようにペーパーホルダ2を形成することにより、ペーパーカッタ5をばね部材6の弾性力を常に付勢した状態でペーパーロール7の側面に押圧することができるので、ペーパーロール7の不用意な回転やずれを防止することができると共に、手摺1を起立させた状態においてペーパーの垂れ下がりを防止することができ、かつ、ペーパーロール7の側面に当接するカット部52によって片手で容易にペーパー70を切断することができる。また、ペーパーカッタ5のカット部52をカット部52の先端が下部軸部42に向かった形状に形成することにより、ペーパー70が少なくなりペーパーロール7の外径が小さくなっても、ペーパーカッタ5のカット部52の先端がペーパーロール7の中心に向かって移動しペーパーロール7の側面に当接するので、ペーパーロール7の外径が小さくなってもペーパー70を容易に切断することができる。
【0045】
また、手摺1の下部水平部13における上部水平部12と対向する面にホルダ本体3のベース片30を取り付けることで、手摺1の上部水平部12を有効に使用することができるので、使用者が手摺1につかまりやすくなる。また、軸受片31を手摺1の基端側に配置することで、手摺1を跳ね上げた際にペーパーロール7を支持片34によって支持することができるので、ペーパーロール7のずれ及び脱落を防止することができる。
【0046】
<第2実施形態>
次に、この発明の第2実施形態を、図7を参照して説明する。図7は、この発明に係るペーパーホルダの第2実施形態の使用状態を示す斜視図である。
【0047】
第2実施形態は、ペーパーホルダ2において軸受け部32Aに軸受け筒部35を設け、この軸受け筒部35の端部に、コイル状ばねにて形成されるばね部材6Aの一端を係合し、ばね部材6Aの他端をペーパーカッタ5の端部に取り付けられたキャップ53に係合させた場合である。また、係合段部33Aを軸受片31Aの略中間部に設けられた切欠き36によって形成する場合である。
【0048】
第2実施形態において、軸受片31Aは、図7に示すように、軸受片31Aの先端部に設けられる軸受け部32Aに、軸部材4の上部軸部41が回動可能に嵌挿される筒状に形成された軸受け筒部35を設け、この軸受け筒部35の端部にばね部材6Aの一端を係合可能な係合溝(図示せず)が形成されている。
【0049】
また、軸受片31Aの略中間部には、側辺すなわち軸部材4の下部軸部42を導入する側の辺に開口を有する切欠き36にて形成される係合段部33Aが形成されている。この係合段部33Aは、切欠き36の開口より切欠き36の底部が低い位置に形成されている。このように開口より底部を低い位置に形成することにより、下部軸部42を係脱可能に係合することができる。
【0050】
上記ばね部材6Aは、ペーパーカッタ5の筒状部51内に収容されており、一端が軸受け筒部35の係合溝(図示せず)に係合し、他端がペーパーカッタ5の端部に取り付けられるキャップ53に係合されている。
【0051】
なお、軸受け筒部35の基端部には、軸受け筒部35に直交して貫通する図示しない係止孔が穿設されており、この係止孔(図示せず)に螺合された係止ねじ(図示せず)の先端が上部軸部41の係止溝41aと係合することによって軸受け部32Aと軸部材4とを回動可能に連結することができる。
【0052】
なお、第2実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0053】
<第3実施形態>
次に、この発明の第3実施形態を、図8及び図9を参照して説明する。図8は、この発明に係るペーパーホルダの第3実施形態の使用状態を示す斜視図、図9は、この発明に係るペーパーホルダの第3実施形態の使用状態を示す側面図(a)及び(a)のII−II線に沿う断面図(b)である。
【0054】
第3実施形態は、既設の手摺1にペーパーホルダ2を後付け可能にした場合である。すなわち、ペーパーホルダ2においてホルダ本体3Aのベース片30Aに狭持部材37を連結して、手摺1の下部水平部13をベース片30Aと狭持部材37とで狭持して、ペーパーホルダ2を取り付けるようにした場合である。
【0055】
この場合、上記ベース片30Aは、図8及び図9に示すように、手摺1の下部水平部13の上面を覆うように断面略半円状に形成され、両辺を内方に向かって折曲し対峙する係止受け部38が形成されている。また、ベース片30Aの内面における最頂部には、手摺1の外周に当接可能な断面円弧状の当接部39が形成されている。このように当接部39を形成することにより、手摺1の下部水平部13の断面形状が正円又は楕円であっても確実に当接して狭持することができる。
【0056】
上記狭持部材37は、図8及び図9に示すように、手摺1の下部水平部13の下面を覆う断面略半円状の基部37aと、基部37aの両辺から外方に向かって折曲しベース片30Aの係止受け部38に係合可能な係止爪37bとを具備している。
【0057】
また、上記基部37aの最頂部には複数(この場合3つ)のねじ孔37cが適宜間隔をおいて穿設されており、このねじ孔37cに例えば六角孔ねじ等の固定ねじ82が螺合可能に形成されている。
【0058】
このようにベース片30Aと狭持部材37を形成することにより、手摺1の下部水平部13の上面にベース片30Aを載置させた状態で、下部水平部13の下面に狭持部材37を覆うと共に、狭持部材37の両係止爪37bをベース片30の両係止受け部38に係合させて連結し、そして、ねじ孔37cに固定ねじ82を螺合させ、固定ねじ82の先端で手摺1の下部水平部13の下面を押圧することにより、狭持部材37に連結されたベース片30Aが反力により下部水平部13の上面に押圧されるので、手摺1が狭持されホルダ本体3を手摺1に固定することができる。
【0059】
なお、この場合、ベース片30Aと狭持部材37とは、ベース片30Aを下部水平部13に載置し、ベース片30Aの一方の係止受け部38に、狭持部材37の一方の係止爪37bを係合させた状態で、狭持部材37を下部水平部13の下面を覆うように回転させ、狭持部材37を弾性変形させて狭持部材37の他方の係止爪37bをベース片30Aの内部に圧入すると共に、係止受け部38に係合することで連結することができる。また、ベース片30Aを下部水平部13に載置し、ベース片30Aの両係止受け部38に狭持部材37の両係止爪37bを係合させた状態で、狭持部材37を下部水平部13に沿ってベース片30A内にスライドさせて、ベース片30Aと狭持部材37を連結するようにしてもよい。
【0060】
なお、第3実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0061】
<その他の実施形態>
なお、上記第1、第2及び第3実施形態では、縦可動式手摺1に取り付けられるペーパーホルダ2について説明したが、縦可動式手摺1以外に適用することも可能であり、取り付ける以外に自立したペーパーホルダ2として使用することも可能である。
【0062】
例えば、図10に示すように、壁面に取り付けられるベース片30Bと、このベース片30Bの一端から起立してL字状に形成される軸受片31Bとでホルダ本体3Bを形成することにより、ペーパーホルダ2をトイレブースの壁面に直接取り付けることができる。
【0063】
また、図11に示すように、ホルダ本体3Cのベース片30Cをプレート状に形成することにより、テーブル等の上に自立した状態でペーパーホルダ2を載置式とすることができる。なお、この場合、軸受片31を長く形成してベース片30Cから起立することにより、スタンド式のペーパーホルダとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明に係るペーパーホルダを縦可動式手摺に取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【図2】この発明に係るペーパーホルダを縦可動式手摺に取り付けた場合の手摺の使用状態(水平状態)を示す側面図(a)及び、手摺の不使用状態(起立状態)を示す側面図(b)である。
【図3】この発明に係るペーパーホルダを示す斜視図である。
【図4】図3のI−I線に沿う拡大断面図である。
【図5】この発明に係るペーパーホルダの分解斜視図である。
【図6】この発明におけるペーパーカッタ及び第1実施形態におけるねじ部材を示す斜視図である。
【図7】この発明に係るペーパーホルダの第2実施形態を示す斜視図である。
【図8】この発明に係るペーパーホルダの第3実施形態を示す斜視図である。
【図9】この発明に係るペーパーホルダの第3実施形態を示す側面図(a)、及び(a)のII−II線に沿う断面図(b)である。
【図10】この発明に係るペーパーホルダのその他の実施形態を示す斜視図である。
【図11】この発明に係るペーパーホルダのその他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 縦可動式手摺
3,3A,3B ホルダ本体
4 軸部材
5 ペーパーカッタ
6,6A ばね部材
7 ペーパーロール
12 上部水平部
13 下部水平部
30,30A,30B,30C ベース片
31,31A,31B 軸受片
33,33A 係合段部
37 狭持部材
37c ねじ孔
40 カラー部材
41 上部軸部
42 下部軸部
51 筒状部
51b 拡径開口部
52 カット部
70 ペーパー
82 固定ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース片と、このベース片の一端から起立する軸受片とからなるホルダ本体と、
上記軸受片に回動可能に取り付けられる上部軸部と、ペーパーロールが着脱可能に取り付けられる下部軸部とを有する略U字状の軸部材と、
上記上部軸部に回動自在に枢着されると共に、ばね部材によって上記ペーパーロール側に向かって弾性力が付勢されるペーパーカッタと、を具備し、
上記軸受片は、上記上部軸部を回動可能に嵌挿する軸受け部と、上記下部軸部を係脱可能に係合する係合段部とを具備し、
上記ペーパーカッタは、上記上部軸部を嵌挿する筒状部と、上記ペーパーロールの側面に当接すると共に、ペーパーを切断するカット部とを具備してなる、ことを特徴とするペーパーホルダ。
【請求項2】
請求項1記載のペーパーホルダにおいて、
上記ばね部材は、ペーパーカッタの筒状部の端部に設けられた拡径開口部に収容されるコイル状ばねにて形成され、一端が軸受け部に係合され、他端が上記筒状部に係合される、ことを特徴とするペーパーホルダ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のペーパーホルダにおいて、
上記軸部材の上部軸部は、合成樹脂製のカラー部材を介在して軸受け部に嵌挿される、ことを特徴とするペーパーホルダ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のペーパーホルダにおいて、
上記ホルダ本体のベース片を、略U字状の縦可動式手摺の下部水平部における上部水平部と対向する面に取り付けると共に、上記軸受片を、上記手摺の基端側に配置してなる、ことを特徴とするペーパーホルダ。
【請求項5】
請求項4記載のペーパーホルダにおいて、
上記ベース片に連結して上記手摺の下部水平部を狭持する狭持部材と、
上記狭持部材に設けられたねじ孔に螺合され、先端が上記下部水平部を押圧する固定ねじを更に具備する、ことを特徴とするペーパーホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−173268(P2008−173268A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8780(P2007−8780)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】