説明

ホイール垂直調整装置を備えるスターホイール搬送装置

周縁において実装される複数の把持装置(3)を有するスターホイール(2)と、回転駆動軸(8)と、前記ホイール(2)を前記駆動軸(8)に結合するハブ(10)とを備える物品搬送装置(1)であって、前記スターホイール(2)を前記ハブ(10)に結合する調節可能な係合装置(22)を備え、前記係合装置(22)の各々は、前記ハブ(10)に設けられる孔(26)内に締着されるネジ部(25)を有し、前記ハブ(10)の上面(28)から突出する構造体(24)と、前記ハブ(10)の下面(31)から突出するヘッド部(34)と、中央孔(30)とを有するドリフトボルト(23)と、前記ドリフトボルト(23)の前記ヘッド部(34)および前記ハブ(10)の前記下面(31)間に挿入され、所定の厚さ(T3)を有し、それにより前記スターホイール(2)が前記ハブ(10)に対する所定の間隙(C)を介して前記ドリフトボルト(23)の上面(40)に配置されるよう構成されるワッシャ(36)と、前記孔(30)内に実装され、前記ドリフトボルト(23)から突出し、前記ホイール(2)に設けられる孔(39)内に締着されるネジ部(38)を有し、これにより前記ホイール(2)を前記ハブ(10)に係合するボルト(37)とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品搬送業に関連し、より詳細には容器製造/充填業に関する。
【背景技術】
【0002】
容器製造/充填業においては、容器は第1の動作(例えば成形等)が実行される第1の位置から第2の動作(例えば充填等)が実行される第2の位置まで高い速度率で搬送される場合が多い。
【0003】
例えば特許文献1(Valles)および特許文献2(Humele)に開示されているように、一般的に、容器搬送装置は複数の隣接する搬送装置を備え、当該搬送装置は容器を装填/解放する複数の容器把持部材を備える少なくとも1個の回転スターホイール搬送装置を備える。
【0004】
高い速度率(最高で時間当たり容器数万個)を考慮すると、隣接する搬送装置が相互に対して適切および正確に配置されていることが重要である。でなければ、容器が搬送装置に不適切に装填され、その結果、容器輻輳および装置停止の原因となる。垂直方向の配置は、最重要事項の一つである。
【0005】
従来の搬送装置においては、一般的に装置基盤に対して装置全体を移動することにより搬送装置の垂直方向の配置を調節する。搬送装置1個の重量(最高1トン)を考慮すると、上記のような解決方法は時間および労力を要する。更に、調節では、求められる用途に対して正確性において十分ではない。他の解決方法においては、垂直方向の配置はホイールおよび支持ハブ間において着脱可能な剥離可能なシムを介して実行される。上記のような解決方法によれば、正確な垂直調整が間違いなく可能である。しかしながら、ホイールをハブから分離する必要があり、同様に時間および労力を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5、683、729号
【特許文献2】米国特許第6、520、318号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、垂直方向の配置が容易に調節可能な物品搬送装置を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、垂直方向の配置を迅速に調節可能な物品搬送装置を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、垂直方向の配置を正確に調節可能な物品搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
提案する物品搬送装置は、周縁において実装される複数の把持装置を有するスターホイールと、回転駆動軸と、前記ホイールを前記駆動軸に結合するハブと、前記スターホイールを前記ハブに結合する調節可能な係合装置とを備え、前記係合装置の各々は、前記ハブに設けられる孔内に締着されるネジ部を有し、前記ハブの上面から突出する構造体と、前記ハブの下面から突出するヘッド部と、中央孔とを有するドリフトボルトと、前記ドリフトボルトの前記ヘッド部および前記ハブの前記下面間に挿入され、所定の厚さを有し、それにより前記スターホイールが前記ハブに対する所定の間隙を介して前記ドリフトボルトの上面に配置されるよう構成されるワッシャと、前記孔内に実装され、前記ドリフトボルトから突出し、前記ホイールに設けられる孔内に締着されるネジ部を有し、これにより前記ホイールを前記ハブに係合するボルトとを有する。
【0011】
本発明の上記およびその他の目的、および利点は、好ましい実施の形態の詳細な説明および添付の図面を参照すれば明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明によるスターホイール搬送装置の上面斜視図である。
【図2】図2は、本発明によるスターホイール搬送装置の底面斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すスターホイール搬送装置の正面断面図である。
【図4】図4は、図3に示すスターホイール搬送装置における細部IVの拡大断面図である。
【図5】図5は、図3に示すスターホイール搬送装置の線V−Vに沿った底面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図を参照して、図は液体飲料用ボトル等の容器を、装填位置P1から解放位置P2まで搬送する物品搬送装置1を示す。前記搬送装置1は、例えば成形装置、充填装置およびキャッピング装置等、他の動作装置を備える容器搬送装置の一部をなしていてもよい。前記搬送装置1は、容器を所定の動作装置から他の動作装置へ確実に搬送するため、2個の連続する動作装置間に配置されてもよい。
【0014】
前記搬送装置1はスターホイール2を備え、前記スターホイール2はその周縁に各々が前記ホイール2の円弧に沿って枢動可能に実装される一対のフィンガ4を有する複数の把持装置3を備える。図1および図2においては、簡潔にすることを目的として前記把持装置3のうち数個のみを示す。前記把持装置3の各々はカムフォロワ5を有し、前記カムフォロワ5は1個のフィンガ4に固定され、前記装填位置P1もしくは前記解放位置P2に到達すると、支持アーム7の半径方向の先端間に設けられるカム経路6上を移動するよう構成され、これにより前記フィンガ4を開放し、前記把持装置3が容器1個を保持できる。
【0015】
前記搬送装置1はまた、装置フレームに固定される同軸シリンダ9内に枢動可能に実装される垂直方向の中央回転駆動軸8と、前記ホイール2を前記駆動軸8に結合するハブ10とを備える。これにより、前記駆動軸8は前記スターホイール2の中央回転軸を構成する。
【0016】
前記ハブ10は、溶接等により前記駆動軸8に強固に固定される円筒体11と、厚さT1を有し、前記円筒体11の上端において前記円筒体11から半径方向に突出もしくは前記円筒体11に強固に固定されるリング状フランジ12とを有する。
【0017】
図3および図4に示すように、前記ホイール2は、前記ハブ10に固定される中央下プレート13と、複数の留具15により前記下プレート13に固定される上プレート14とを有し、前記留具15は前記上プレート14に締着され、前記下プレート13の周縁に設けられる円弧形状の細長開口部16に咬合する。前記留具15の各々にはナット17が締着され、これにより前記上プレート14を、前記スターホイール2の前記中央回転軸に対して所定の角度位置で前記下プレート13に係合する。角度調節は、前記装填位置P1および解放位置P2における前記把持装置3の開放および閉鎖を正確に同期する役目を果たす。
【0018】
図4に示すように、前記下プレート13は、前記ハブ10の前記リング状フランジ12を収容する中央円形陥凹18を有する。前記陥凹18の直径および前記リング状フランジ12の直径は(所定の間隙を介して)略同一であるであり、これにより前記ハブ10およびホイール2を同軸に保持する。
【0019】
図4に示すように、前記搬送装置1は、前記ホイール2の前記ハブ10および前記下プレート13にそれぞれ設けられる2個の対向する孔20および21に咬合する少なくとも1個の係合ピン19を備え、これにより前記ハブ10に対する前記ホイール2の角度のずれを防止する。
【0020】
前記搬送装置1は更に、前記スターホイール2を垂直方向において調整を加えつつ前記ハブ10に結合する調節可能な係合装置22を備える。前記係合装置22の各々は、全長Lを有し、前記ハブ10の前記フランジ12に設けられるねじ孔26に締着される上部ネジ部25を有する構造体24を備えるドリフトボルト23を備える。図4に示すように、前記フランジ12に完全に締着されると、前記構造体24は27において前記ハブ10の上面28から突出する。前記構造体24は、直径が前記ネジ部25より大きく、前記フランジ12内において下面31近傍に形成される対応する孔30に収容される非ねじ下部29を有する。前記ネジ部25との接合部において、前記非ねじ下部29はショルダ部32を構成し、前記ショルダ部32は、前記ドリフトボルト23が前記フランジ12に完全に締着されると前記ねじ孔26および前記孔30の結合部に形成される停止面33に隣接してもよい。前記構造体24の非ネジ部29は、前記ドリフトボルト23が前記フランジ12に完全に締着されている場合でも、前記フランジ12の前記下面31から突出する。
【0021】
前記ドリフトボルト23は更に、厚さT2を有し、構造体24の下方端において構造体24の前記非ネジ部29から半径方向に突出するナット形状のヘッド部34を有する。ヘッド部34は、前記フランジ12の前記下面31から突出する。前記ドリフトボルト23は中央貫通孔35を有する。
【0022】
前記係合装置22の各々はまた、所定の厚さT3を有し、前記ドリフトボルト23の前記ヘッド部34および前記フランジ12の前記下面31間に挿入されるワッシャ36を備える。
【0023】
前記係合装置22の各々は更に、前記貫通孔35内に実装されるボルト37を備える。前記ボルト37は、前記ドリフトボルト23の上端において前記ドリフトボルト23から突出し、前記ホイール2の前記下プレート13に設けられる孔39内に締着されるネジ部38を有する。
【0024】
組立てると、前記スターホイール2は、前記陥凹18の底部を構成する前記下プレート13の下面41および前記フランジ12の前記上面28間の所定の間隙Cを介して、前記ドリフトボルト23の上端面40上に前記下プレート13を介して配置される。ワッシャ36は、前記ドリフトボルト23の前記ヘッド部34および前記フランジ12の前記下面31間に強固に締着されるため、間隙Cは以下のように計算する。
【0025】
[数式1]
C=L−T1−T2−T3
【0026】
長さLおよび厚さT1およびT2は一定のため、間隙Cの値は厚さT3の値により決定される。つまり、前記スターホイール2の垂直方向の配置は、選択される前記ワッシャ36に応じて決定される。
【0027】
一方、間隙Cは、前記下プレート13の前記下面41に対して計測される前記ホイール2の高さH1(要設定)および前記ハブ10の前記上面28に対して計測される前記ハブ10の高さH2(固定値)間の差分として計算する。
【0028】
[数式2]
C=H1−H2
【0029】
前記ホイール2およびハブ10は以下のように組立てる。
【0030】
まず第一に、前記ホイール2の前記垂直方向の高さH1を前記装填位置P1および解放位置P2の高さに応じて正確に求める。
【0031】
次に、間隙Cを数式2により計算する。
【0032】
次に、前記ワッシャ36の厚さT3を数式1を用いて以下のように計算する。
【0033】
[数式3]
T3=L−T1−T2−C
【0034】
各種ワッシャからT3に等しい厚さを有するワッシャ36を選択し、前記ドリフトボルト23とともに前記ハブ10に実装する。
【0035】
「等しい」とは、必ずしも厳密に同一であることを意味しない。当然、前記ホイール2が前記ハブ10に対して垂直方向に配置される際の精度によって、厚さT3近傍における例えば1/10mm程度の所定の間隙は許容範囲である。
【0036】
前記ワッシャ36の各々を、ドリフトボルト23の前記非ネジ部29に実装する。
【0037】
前記ドリフトボルト23を、前記フランジ12の下面31から、前記ワッシャ36が前記ドリフトボルト23の前記ヘッド部34および前記フランジ12の前記下面31間で強固に締着されるよう前記フランジ12に締着する。各ドリフトボルト23の締着を容易にするために、前記ヘッド部34は捻転駆動を可能にするナット形状を有する。
【0038】
この時点で、前記ドリフトボルト23の前記突出部27は、前記間隙Cに等しい長さを有する。次に、前記ホイール2を前記ハブ10に実装するが、その際、前記ホイール2が前記ドリフトボルト23の前記上端面40に接触するよう、前記フランジ12を前記陥凹18に配置し、前記係合ピン19を前記2個の対向する孔20および21に咬合する。
【0039】
次に、前記ボルト37を前記ドリフトボルト23の前記孔30に挿入して前記下プレート13に締着し、これにより前記ホイール2を前記ハブ10に係合する。
【0040】
前記スターホイール2の垂直方向の配置は、以下のようにして変更する。
【0041】
間隙Cおよび前記ワッシャ36の厚さT3を、上述した方法により再計算する。
【0042】
前記ボルト37を前記ホイール2から取外し、前記ドリフトボルト23から分離する。前記スターホイール2は分離せずに、前記ドリフトボルト23を前記ハブ10の前記フランジ12から取外し、分離する。元のワッシャ36を各種ワッシャから選択した別のワッシャに変更し、前記ドリフトボルト23を前記ハブ10に締着し直す。前記ドリフトボルト23が前記ねじ孔26の先端に到達すると、前記ドリフトボルト23の前記上端面40が前記下プレート13の前記下面41を押圧し、これにより、前記ワッシャ36が前記ヘッド部34および前記フランジ12の前記下面31で強固に締着されるまで前記スターホイール2を上昇させる。次に、前記ボルト37を前記ドリフトボルト23内に挿入し直し、前記下プレート13に再度締着する。
【0043】
したがって、前記ホイール2の、前記ハブ10に対する垂直方向の配置の調節は、迅速、容易、かつ単純に実行される。前記ホイール2を分離する必要はない。また、適切なワッシャ36が入手可能であれば(つまり、要製造)、前記ホイール2の垂直方向への配置は正確に実行される。
【0044】
更に、異なる厚さのワッシャ36を同一のハブ10に実装して前記ホイール2を回転軸に対してわずかに変位させることにより、前記ホイール2の垂直配置における不足や、前記装填位置P1および解放位置P2の水平配置における不足等を補正することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁において実装される複数の把持装置(3)を有するスターホイール(2)と、回転駆動軸(8)と、前記ホイール(2)を前記駆動軸(8)に結合するハブ(10)とを備える物品搬送装置(1)であって、前記スターホイール(2)を前記ハブ(10)に結合する調節可能な係合装置(22)を備え、前記係合装置(22)の各々は、前記ハブ(10)に設けられる孔(26)内に締着されるネジ部(25)を有し、前記ハブ(10)の上面(28)から突出する構造体(24)と、前記ハブ(10)の下面(31)から突出するヘッド部(34)と、中央孔(30)とを有するドリフトボルト(23)と、前記ドリフトボルト(23)の前記ヘッド部(34)および前記ハブ(10)の前記下面(31)間に挿入され、所定の厚さ(T3)を有し、それにより前記スターホイール(2)が前記ハブ(10)に対する所定の間隙(C)を介して前記ドリフトボルト(23)の上面(40)に配置されるよう構成されるワッシャ(36)と、前記孔(30)内に実装され、前記ドリフトボルト(23)から突出し、前記ホイール(2)に設けられる孔(39)内に締着されるネジ部(38)を有し、これにより前記ホイール(2)を前記ハブ(10)に係合するボルト(37)とを有することを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記ドリフトボルト(23)の前記ヘッド部(34)は捻転駆動を可能にするナット形状からなる、請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記ハブ(10)および前記ホイール(2)にそれぞれ設けられる2個の対向する孔(20、21)に咬合し、前記ホイール(2)の前記ハブ(10)に対する角度のずれを防止する係合ピン(19)を更に備える、請求項1もしくは請求項2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記スターホイール(2)は前記ハブ(10)に固定される下プレート(13)および前記下プレート(13)に固定される上プレート(14)を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記上プレート(14)に締着され、前記下プレート(13)に設けられる円弧形状の細長開口部(16)に咬合する複数の留具(15)と、前記留具(15)の各々に締着され、これにより前記上プレート(14)を所定の角度配置で前記下プレート(13)に係合する複数のナット(17)とを更に備える、請求項4に記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−524804(P2010−524804A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503603(P2010−503603)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002298
【国際公開番号】WO2008/129347
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(508356548)シデル パーティシペイションズ (33)
【Fターム(参考)】