説明

ホスフィン酸化合物によるポリエステルの固相重合方法

金属で触媒されるポリエステルの固相重合(SSP)速度を増加させる方法を開示する。本方法は、第1ステップにおいて、予備縮合物を調製するためのエステル化またはエステル交換をもたらすのに適当な温度および圧力で、ジカルボン酸またはC−Cジカルボン酸ジエステルとジオールを反応させることと、第2ステップにおいて、高分子量のポリエステルを調製するのに適当な温度および圧力で、前記予備縮合物を反応させて重縮合をもたらすことと、第3ステップにおいて、適当な温度および圧力のSSP条件下で、該ポリエステルの分子量および粘度をさらに増加させることとを含み、前記第1ステップ中または前記第2ステップ中で反応触媒として金属触媒を添加し、および前記第1ステップ中、前記第2ステップ中または前記第3ステップの直前でホスフィン酸化合物を添加する。該ポリエステル生成物は、溶融処理ステップ中にアルデヒド形成を若干示し、並びに優れた色を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルの調製において特定のホスフィン酸化合物を使用することを含む、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートの固相重合(SSP)方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルは、工業的に2段階工程で調製される。PET調製の第1段階は、エチレングリコールによるテレフタル酸の直接エステル化、または代わりにエチレングリコールによるC−Cジアルキルテレフタレートのエステル交換によって低分子量の予備縮合物を形成することを含む。第2段階では、該予備縮合物が重縮合されて高分子量のポリエチレンテレフタレートを形成する。両段階は一般的に、触媒による加速を使用する。
【0003】
ポリエステルの最終用途に応じて、所望の粘度および分子量の蓄積に達するようさらなる固相重合(SSP)ステップが使用される。本発明によるポリエステルは固相重合を受ける。
【0004】
エステル化、エステル交換または重縮合の触媒として、多数の化合物が提案されてきた。触媒の選択は、最終生成物の色、強度及び加工特性に影響する。触媒の選択は、例えば、アルデヒドの生成量に影響する。触媒の選択はまた、反応の選択性を支配し、ジエチレングリコール、環状オリゴマーおよびカルボン酸末端基などの形成される不純物の量にも影響する。
【0005】
触媒の選択は、固相重合ステップにおいて所望の粘度または分子量の蓄積を達成するのに要する時間にも影響する。例えば、チタン酸塩で触媒されるポリエステルは、例えばアンチモンで触媒されるポリエステルに比べて比較的遅いSSP速度を示すことが知られている。それにもかかわらず、チタン酸塩触媒は、低濃度で速い重縮合速度をもたらすことができるので、ポリエステル産業に評価されている。該産業における特定の触媒の価値は、その欠点が克服されれば高まるだろう。
【0006】
日本の特開2002−293909は、ポリエステルの製造法を目的としている。
【0007】
米国特許第7205379号は、アルデヒドの生成が少ない安定化したポリエステルの調製方法を開示している。
【0008】
米国特許第5981690号は、有機ケイ酸塩および/またはジルコン酸塩ならびに好ましくは、特定のリン化合物を含む有機チタン酸塩配位子触媒溶液を使用して調製されるポリ(アルキレンアリレート)を教示している。
【0009】
米国特許第5453479号は、ポリエステルおよびポリカーボネート樹脂の改良した混合物の調製に有用な、リン成分およびチタン成分を含む新規ポリエステル化触媒を目的としている。
【0010】
英国特許第1338091号は、芳香族カルボン酸および二価アルコールの高重合ポリエステルの製造を目的としている。
【0011】
米国特許出願公開第2005/0239929号は、重縮合触媒としてアンチモン化合物を実質的に使用することなく製造することができるポリエステルを教示している。
【0012】
特定の金属触媒がポリエステル調製のエステル化もしくはエステル交換または重縮合ステップで使用される場合、特定のホスフィン酸塩化合物の存在が、次のSSPステップ中に、高分子量の蓄積または粘度増加をもたらすことが現在分かっている。すなわち、SSP速度が増加する。得られる高粘度ポリエステルはまた、高い輝度および弱い黄色を有し、溶融処理においてアルデヒド形成をほとんど示さない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1ステップにおいて、予備縮合物を調製するためのエステル化またはエステル交換をもたらすのに適当な温度および圧力で、ジカルボン酸またはC−Cジカルボン酸ジエステルとジオールを反応させることと、
第2ステップにおいて、高分子量のポリエステルを調製するのに適当な温度および圧力で、前記予備縮合物を反応させて重縮合をもたらすことと、
第3ステップにおいて、適当な温度および圧力の固相重合条件下で、ポリエステルの分子量および粘度をさらに増加させることと
を含むポリエステルの調製方法であって、
前記第1ステップの開始前、開始時もしくは前記第1ステップの間の、または前記第2ステップの開始前、開始時もしくは前記第2ステップの間の、1つまたは複数の時点で金属触媒を添加し、
前記第1ステップの開始前、開始時もしくは前記第1ステップの間の、前記第2ステップの前、開始時もしくは前記第2ステップの間の、または前記第2ステップの終了近くの1つまたは複数の時点でホスフィン酸化合物を添加し、
前記ホスフィン酸化合物は式I、IIまたはIIIの化合物であり、
【0014】
【化1】

【0015】
式中、RおよびR’は独立に、
水素;
−C12アリール;
直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の−O−、−NR−、−COO−、−OCO−、−CONR−もしくはC−C12アリレン基で中断された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の−OR、−NRR’、−COOR、−CONRR’もしくはC−C12アリール基で置換された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜6個の前記基により中断および置換の両方がなされた直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキルであり、
前記アリールまたはアリレン基の各々は、置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基で置換されており;
nが1〜100である−(CHCHO)−CHCHOH;
または、RおよびR’はアルカリもしくはアルカリ土類金属であり、
は、
−C18シクロアルキル;
直鎖もしくは分岐鎖C22−C50アルキル;
−C12アリールで置換された直鎖もしくは分岐鎖C22−C50アルキル;
1〜3個の−O−、−NR−、−COO−、−OCO−、−CONR−、C−C12アリレン、C−C18シクロアルキレンもしくはC−C18シクロアルケニレン基で中断された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の−OR、−NRR’、−COOR、−CONRR’基で置換された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜6個の前記基により中断および置換の両方がなされた直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基で置換されたC−C12アリールで置換された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基で置換されたC−C12アリール;
nが1〜100である−(CHCHO)−CHCHOH;または、
置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキル、−ORまたは−COOR基で置換された3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−1−イルであり、
およびR’は独立に、
水素;
−C18シクロアルキル;
−C12アリール;
直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の−O−、−NR−、−COO−、−OCO−、−CONR−、C−C12アリレン、C−C18シクロアルキレンもしくはC−C18シクロアルケニレン基で中断された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の−OR、−NRR’、−COOR、−CONRR’もしくはC−C12アリール基で置換された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜6個の前記基により中断および置換の両方がなされた直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキルであり、
前記アリールまたはアリレン基の各々は、置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基で置換されており;
nが1〜100である−(CHCHO)−CHCHOH;または、
置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキル、−ORまたは−COOR基で置換された3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−1−イルであり、
式I中、RおよびR、もしくはRおよびRは一緒になって、nが3〜7の整数である(−CH−)、または、一緒になって1個もしくは2個のフェニレン基で縮環されている(−CH−)であり、
式IIまたはIII中、RおよびR、もしくはR’およびR’、または、RおよびR、ならびにR’およびR’は一緒になって、nが3〜7の整数である(−CH−)、あるいは、一緒になって1個もしくは2個のフェニレン基で縮環されている(−CH−)であり、
RおよびR’は独立して、水素または直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルであり、
は、
直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキレン;
1〜3個の−OR、−NRR’、−COOR、−CONRR’もしくはC−C12アリール基で置換された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキレン;
1〜3個の−O−、−NR−、−COO−、−OCO−、−CONR−、C−C12アリレン、もしくはC−C18シクロアルキレン基で中断された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキレン;
1〜6個の前記基により中断および置換の両方がなされた直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキレン;
置換されていない、または1〜3個のC−Cアルキル、−OR、−NRR’、−COOR、−CONRR’もしくはC−C12アリール基で置換されたC−C18シクロアルキレン;
1〜3個の−O−、−NR−、−COO−、−OCO−、−CONR−またはC−C12アリレン基で中断されたC−C18シクロアルキレン;
1〜6個の前記基により中断および置換の両方がなされたC−C18シクロアルキレン;
−C50アルキレンシクロアルキレン;あるいは、
−C12アリレンであり、
前記アリールまたはアリレン基の各々は、置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基で置換されており、
mが2〜100である
調製方法が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ジカルボン酸は、8〜14個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸類、4〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸類、8〜12個の炭素原子を有する脂環式ジカルボン酸類およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0017】
−Cジカルボン酸ジエステル類は、上記ジカルボン酸のジアルキルジエステル類である。これらのジエステル類は、例えばジメチルジエステル類である。
【0018】
好ましくは、これらの二酸類は、テレフタル酸、イソフタル酸、O−フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸またはこれらの混合物である。
【0019】
好ましくは、予備縮合物を調製するためにジオールと反応させるこの二酸は、テレフタル酸、イソフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸である。
【0020】
好ましくは、予備縮合物を調製するためにジオールと反応させるこのジカルボン酸エステル類は、テレフタル酸、イソフタル酸、O−フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸またはこれらの混合物のC−Cジアルキルジエステルである。
【0021】
好ましくは、予備縮合物を調製するためにジオールと反応させる該ジカルボン酸ジエステルは、ジメチルテレフタレートである。
【0022】
特に好ましい酸類およびエステル類は、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸である。
【0023】
ジオールまたはグリコール類は、一般式HO−R−OHに由来し、式中Rは2〜18個の炭素原子の脂肪族、脂環式または芳香族部分である。
【0024】
これらのジオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチルペンタン−2,4−ジオール、2−メチルペンタン−1,4−ジオール、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジオール、1,4−ジ(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチルシクロブタン、2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)エタンまたはこれらの混合物である。
【0025】
好ましくは、該ジオールはエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールまたはブタン−1,4−ジオールである。
【0026】
該ポリエステルは、好ましくは、ポリ(エチレンテレフタレート)PETまたはポリ(エチレン−2,6−ナフタレン−ジカルボキシレート)またはポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)であり、最も好ましくは、ポリ(エチレンテレフタレート)である。
【0027】
該ポリエステルは、当技術分野で周知の方法により調製される。これらの方法は、例えば、米国特許出願公開第2003083191号および第2004058805号ならびに米国特許第5744571号、第6013756号、第5453479号および第7205379号に開示されている。これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
第1のエステル化またはエステル交換ステップは、約150〜約300℃の範囲、例えば、約200〜約300℃、約260〜約300℃の温度で、および大気に対して最大60psig〜0.2mmHgの圧力で、1つまたは複数のジカルボン酸類もしくはジカルボン酸ジエステル類を1つまたは複数のジオール類と共に混合することによって行われる。
【0029】
第2ステップでは、過剰のジオール類を除去している間に、温度を上昇させ、圧力を減少させることにより、重縮合がもたらされる。該温度は、例えば、約250〜約300℃、例えば約275℃〜約300℃である。該圧力は、約10トルから約0.1トルに、または約5トルから約0.5トルに減少させる。生成物は、高分子量のポリエステルである。このポリエステルは、例えば、約0.55〜約0.65dL/gのIVを有する。
【0030】
第2ステップの重縮合(重合)工程が完結したとき、得られた溶融物形状のポリエステルは、一般的には濾過され、押し出し成形されてペレットにされる。
【0031】
例えば、該ポリエステル溶融物は、ポリエステル繊維、ペレット、チップまたは他の物品へ押し出し成形されうる(最初の押出ステップ)。好ましくは、該ポリエステル溶融物は、重縮合ステップから出た少し後または直後に押し出し成形され、そうするとすぐに、例えば、水槽または代わりの冷却ユニット中で急冷される。ペレットまたはチップの形状は、貯蔵、輸送および出荷目的に特に便利である。
【0032】
第3の固相重合(SSP)ステップでは、第2ステップから得られた、例えばチップまたはペレットの形状の高分子量のポリエステルが、分子量および粘度のさらなる増加をもたらすために高温度および低圧力にさらされる。
【0033】
固相重合ステップは、例えば、米国特許第6160085号および第7205379号、ならびに米国特許出願公開第2005/272906号に教示されているようなものであるが、それらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
該SSPステップは、例えば、約190〜約230℃、例えば約195℃〜約225℃で行われる。該圧力は、例えば、約0.1トル〜約50トル、例えば約0.5トル〜約10トルまで減少させる。該温度、該圧力および該反応時間は、所望の物理特性を有するポリエステルが形成されるように適当に選択することができる。
【0035】
該SSPステップは、窒素、アルゴンまたは二酸化炭素などの不活性気体の下で行うことができる。
【0036】
現在使用されているプラントは、高さ10〜30メートルの単一または複合の垂直円筒形反応器を使用している。これらのプラントでは、反応器は、約200℃と約230℃との間の温度で、時間当たり1.00〜2.52メートルのポリエステル顆粒移動速度で作動される。これらの範囲の温度、床高および顆粒速度内で、所望のIVを有する生成物を製造するために最も適当なこれらの3つの変数の組み合わせが選択される。前記従来のプラントは、約0.55〜約0.65dL/gのIVを有するPETプレポリマーを使用して、最終用途に応じて、約0.72〜約0.86dL/g、または1.2dL/gまでのIVを有するポリエチレンテレフタレート樹脂を製造することができる。従来のプラントは、約0.12dL/gから約0.25dL/gにポリマーIVを増加させる。
【0037】
所望の分子量の蓄積または粘度増加を達成するための金属で触媒されるポリエステルのSSP速度は、ホスフィン酸化合物の存在によって著しく増加する。SSPステップ後に得られるポリエステルペレット、チップまたは顆粒は、低濃度のアセトアルデヒド形成を示す。これらは、優れた色、すなわち、周知のL、a、b色パラメーターによる、高い輝度および弱い黄色を示す。
【0038】
これらのポリエステルペレット、チップまたは顆粒は、次いで、最終物品を形成するために再溶融および再押し出し成形もしくは射出成形されるが、これらの最終物品は瓶、繊維、シート、成形品などである。押し出し成形および射出成形の条件は、従来のものである。例えば、ポリエステルは、約240〜約315℃の範囲の温度で押し出し成形されうる。この後の溶融処理中のアルデヒド形成は少ない。最終物品も、L、a、b色パラメーターによる優れた色を示す。
【0039】
最初の2つのステップの一方または両方は、金属触媒の存在下で行われる。該金属触媒は、ジカルボン酸もしくはジカルボン酸ジエステルおよびジオールの総重量に対し、約1〜約1500金属重量ppmの濃度で使用される。例えば、本金属触媒は、ジカルボン酸もしくはジカルボン酸ジエステルおよびジオールの総重量に対し、約1〜約1000金属重量ppmまたは約1〜約500金属重量ppmで使用される。例えば、該金属触媒は、二酸もしくはジエステルとジオールの重量に対して、約2〜約250金属重量ppm、例えば、約5〜約300金属重量ppmで使用される。
【0040】
第3のSSPステップは、ホスフィン酸触媒の存在下で行われる。該ホスフィン酸化合物は、ジカルボン酸もしくはジカルボン酸ジエステルおよびジオールの重量に対し、約50重量ppm〜約10000重量ppmの濃度で使用される。例えば、本ホスフィン酸化合物は、二酸もしくはジエステルとジオールの総重量に対して、約100重量ppm〜約5000重量ppmのまたは約500重量ppm〜約2500重量ppmで使用される。
【0041】
例えば、該ホスフィン酸は、第1ステップの開始前、開始時もしくは第1ステップの間の、または第2ステップの開始前、開始時もしくは第2ステップの間の、1つまたは複数の時点で添加される。
【0042】
例えば、該ホスフィン酸化合物は、第1のエステル化もしくはエステル交換ステップの開始前、開始時または第1のエステル化もしくはエステル交換ステップの間の時点で添加される。
【0043】
例えば、該ホスフィン酸化合物は、第2の重縮合ステップの開始前、開始時または第2の重縮合ステップの間の時点で添加される。
【0044】
例えば、該ホスフィン酸は、第2ステップの終了近くで添加される。
【0045】
例えば、該ホスフィン酸化合物は、重縮合ステップの終了近くの時点で添加される。
【0046】
例えば、該ホスフィン酸化合物は、上記添加時点のある組み合わせで添加される。
【0047】
「重縮合ステップの終了近く」とは、以下の条件の1つまたは複数が満たされたとき、もしくはその後、およびポリエステル溶融物の凝固前である:
a)ポリエステル溶融物が、少なくとも0.50dL/gのIVに達する、
b)存在すれば、ポリエステル溶融物にかけられている真空が少なくとも部分的に解除される、
c)ポリエステル溶融物が溶融相重合工程中に存在する場合、ポリエステルポリマーを作るためのホスフィン酸化合物を最終反応器の中に添加、または最終反応器とポリエステル溶融物をカットするためのカッターの前との間、
d)ポリエステル溶融物が溶融相重合工程中に存在する場合、ポリエステル溶融物を重縮合するための時間の少なくとも85%の後、
e)ポリエステル溶融物のIVが、凝固で得られたIVの0.10dL/g内である、あるいは
f)ポリエステル溶融物の凝固の20分以内の時点。
【0048】
該金属触媒は、第1のエステル化もしくはエステル交換ステップの開始前、開始時または第1のエステル化もしくはエステル交換ステップの間の時点で添加される。
【0049】
該金属触媒は、第2の重縮合ステップの開始前、開始時または第2の重縮合ステップの間の時点で添加される。
【0050】
例えば、該金属触媒は、上記添加時点の特定の組み合わせで添加される。
【0051】
該金属触媒は、既知のポリエステル触媒であり、例えば、アンチモン触媒、ゲルマニウム触媒またはチタン触媒である。
【0052】
金属触媒は、例えば、酸化アンチモン(Sb)または酸化ゲルマニウム(GeO)である。
【0053】
アルミニウムおよびコバルト化合物も金属触媒として知られている。
【0054】
チタン触媒は、例えば、有機チタン酸塩またはアルキルチタネートであり、アセチルトリイソプロピルチタネート、チタン(IV)イソプロポキシド、チタングリコレート、チタン(IV)ブトキシド、へキシレングリコールチタネート、テトライソオクチルチタネート、チタンテトラメチレート、チタンテトラプロピレート、チタン(IV)2−エチルヘキソキシド、チタン(IV)(トリエタノールアミネート)−イソプロポキシドまたはテトラエチルヘキシルチタネートを含む。
【0055】
該有機チタン酸塩は、例えば、式Ti(OR)であって、式中、Rは一般的に炭素、酸素、リン、シリコンおよび/または水素からなる配位子基である。一般的に、各々のR配位子基は、少なくとも1つの炭素、好ましくは3つ以上の炭素を含むことができる。ハロゲン化物または他の活性置換基は、触媒反応を妨げる、またはポリマーを汚染する望ましくない副産物を形成しうるので、その配位子基中での存在が一般的に避けられる。異なる配位子基が同一のチタン原子上に存在しうるが、一般的には、チタン酸塩の合成を促進するために配位子基は同一であり得る。いくつかの場合、2以上のRは、チタンを別として、化学結合しあっている共通の化合物からのものであってもよい(すなわち、トリエタノールアミン、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、コハク酸またはエタンジアミンなどの多座配位子)。例えば、Rは1〜12個の炭素原子の直鎖または分岐鎖アルキルである。
【0056】
有機チタン酸塩は、一般的に、アンモニアなどの塩基の存在下で、四塩化チタンおよび選択されたアルコール前駆体を混合してテトラアルキルチタネートを形成することにより調製される。該アルコールは一般的に、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはイソブタノールである。得られるテトラメチルチタネートが反応マス中で不溶であり、その単離を複雑にするので、メタノールは一般的に選択されない。
【0057】
それによって製造されたテトラアルキルチタネートは、まず副産物の塩化アンモニウムを(例えば、濾過により)除去し、次いで反応マスからテトラアルキルチタネートを蒸留することによって回収される。より長鎖のチタン酸塩(例えば、テトラ−2−ヘキシルチタネート)を蒸留するのに必要とされるより高い温度は、いくらかのチタネートの分解を引き起こすので、この方法は一般的に、Cまたはそれより短いアルキル基を有するチタン酸塩の製造に限られる。より長いアルキル基を有するチタン酸塩は、Cまでのアルキル基を有するチタン酸塩とより長鎖のアルコールのエステル交換によって好都合に調製される。炭素数が増加するにつれて、チタン酸塩の溶解度が減少し、製造コストが増加する傾向があるので、実際上は、選択されるテトラアルキルチタネートは、一般的にC12未満のアルキル鎖を有するだろう。
【0058】
代表的な市販の有機チタン酸塩は、例えば、Du Pontから入手可能な商標TYZORまたはJohnson Mattheyから入手可能なVERTECとして販売されている。
【0059】
該ホスフィン酸化合物は、式I、IIまたはIIIのモノ−、ビス−またはポリホスフィン酸化合物である。
【0060】
例えば、本方法で使用されるホスフィン酸化合物は、式Iのモノホスフィン酸化合物である。
【0061】
例えば、該ホスフィン酸化合物は式Iの化合物であり、式中、Rは、
直鎖もしくは分岐鎖C22−C50アルキル;
−C12アリールによって置換された、直鎖もしくは分岐鎖C22−C50アルキル;
1〜3個の−O−、−NR−、−COO−、−OCO−、−CONR−、C−C12アリレン、C−C18シクロアルキレンもしくはC−C18シクロアルケニレン基で中断された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の−OR、−NRR’、−COOR、−CONRR’基で置換された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜6個の前記基により中断および置換の両方がなされた直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキルである。
【0062】
例えば、該ホスフィン酸化合物は式Iの化合物であり、式中、Rは、
1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基によって置換されたC−C12アリールによって置換された、直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基によって置換されたC−C12アリール;または、
は、置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキル、−ORまたは−COOR基によって置換された3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−1−イルである。
【0063】
例えば、該ホスフィン酸は、式IIまたはIIIの化合物である。
【0064】
例えば、該ホスフィン酸は、式IIまたはIIIの化合物であり、RおよびR’は、
−C12アリール;
直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の−O−、−NR−、−COO−、−OCO−、−CONR−、C−C12アリレン、C−C18シクロアルキレンもしくはC−C18シクロアルケニレン基で中断された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の−OR、−NRR’、−COOR、−CONRR’もしくはC−C12アリール基で置換された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜6個の前記基により中断および置換の両方がなされた直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキルであり、
前記アリールまたはアリレン基の各々は、置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基で置換されており;あるいは、
およびR’は、置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキル、−ORまたは−COOR基によって置換された3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−1−イルである。
【0065】
−C12アリールは、例えば、フェニル、ナフチルまたはビフェニルである。
【0066】
1〜3個のC−C12アルキルまたは−OR基で置換されたC−C12アリールは、例えば、トリル、キシリル、o−、p−もしくはm−フェノール、または、
【0067】
【化2】

基である。
【0068】
アリレンは、アリールの二価型である。
【0069】
−C18シクロアルキルは、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルであり、および二環式基または
【0070】
【化3】

などの多環式基も含む。
【0071】
シクロアルキレンは、シクロアルキルの二価型である。シクロアルケニレンは、シクロアルキルの二価の不飽和型である。
【0072】
アルキルは、直鎖または分岐鎖のラジカル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、イコシルまたはドコシルである。
【0073】
アルキレンは、アルキルの二価型である。
【0074】
3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−1−イルまたはフタリドは、
【0075】
【化4】

基である。
【0076】
−C50アルキレンシクロアルキレンは、アルキルおよびシクロアルキルラジカルの各々で終わる二価のアルキルシクロアルキル基、例えば、
【0077】
【化5】

である。
【0078】
アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、例えば、Li、Na、K、Mg、CaまたはBaである。当該金属が二価である場合、2つのホスフィニルオキシ基によって満たされるだろう。
【0079】
式I中、RおよびR、もしくはRおよびRは一緒になって、nが3〜7の整数である(−CH−)、または、一緒になって1個もしくは2個のフェニレン基で縮環されている(−CH−)であるか、あるいは式IIまたはIII中、RおよびR、もしくはR’およびR’、またはRおよびR、ならびにR’およびR’は一緒になって、nが3〜7の整数である(−CH−)、あるいは、一緒になって1個もしくは2個のフェニレン基で縮環されている(−CH−)である場合の例は、
【0080】
【化6】

である。
【0081】
「一緒になって(−CH−)である」という用語は、「メチレン基との環形成」を意味する。
【0082】
式I、IIおよびIIIの新規のホスフィン酸化合物は、本発明のさらなる対象である。該化合物のいくつかは既知であり、除外される。化合物
【0083】
【化7】

は、米国特許第3534127号、第3488368号および第3402196号から既知である。
【0084】
化合物
【0085】
【化8】

は既知である。
【0086】
本発明のさらなる対象は、本ホスフィン酸化合物を含むポリエステル組成物である。したがって、ポリエステルおよび式I、IIまたはIIIのホスフィン酸化合物を含む組成物も開示する。
【0087】
ポリエステル組成物から調製される成形品は、本発明のさらなる対象である。したがって、ポリエステルおよび式I、IIまたはIIIのホスフィン酸化合物を含む組成物を含む成形品も開示する。
【0088】
成形品は、押し出し成形、溶融紡糸、射出成形、ブロー成形などの従来の方法により調製される。成形品は、例えば、フィルム、繊維および瓶などの物品などである。
【実施例】
【0089】
以下の実施例は、本発明をさらに説明する。特に明記しない限り、全ての部分および割合は重量による。
【0090】
合成の実施例
実施例S1:{6−[ヒドロキシ−(3−オクチルオキシ−プロピル)−ホスフィノイル]−ヘキシル}−(3−オクチルオキシ−プロピル)−ホスフィン酸(101)
【0091】
【化9】

【0092】
a)アリルオキシオクタンの調製
【0093】
【化10】

【0094】
乾燥THF60mL中1−オクタノール30g(0.230mol)の混合物をNaH18g(60%、2×50mLのn−ヘプタンで洗浄)と混ぜ合わせ、得られた混合物を1時間還流する。該反応混合物を10℃まで冷却し、臭化アリル50g(0.41mol)を15分にわたって分割添加する。3時間の還流後、該反応混合物を0℃まで冷却し、過剰なNaHを水の添加によって破壊する。この反応混合物をn−ヘプタンで希釈する。有機層を飽和NaCl溶液で洗浄し、乾燥および蒸発させると、37gの粗製油(収率93%)が得られる。H NMRで、アリルオキシオクタンの形成を確認する。
【0095】
b)(3−オクチルオキシ−プロピル)−ホスフィン酸の調製
【0096】
【化11】

【0097】
イソプロピルアルコール100mL中、ステップa)のアリルオキシオクタン(15g、0.0882mol)、50%次亜リン酸(15mL、0.0882mol)およびtert−ブチルペルベンゾアート(1mL)を、100℃で26時間加熱する。反応の完結後、n−ヘプタンと水の200mL混合液(1:1)を添加し、該混合物を30分間攪拌する。有機層を分離し、水で洗浄する。それをNaSOで乾燥し、濃縮すると、16.2gの油状生成物が得られる。Hおよび31P NMRによる該粗製物質の特性評価は、純度63%の生成物の形成を示す。
【0098】
c){6−[ヒドロキシ−(3−オクチルオキシ−プロピル)−ホスフィノイル]−ヘキシル}−(3−オクチルオキシ−プロピル)−ホスフィン酸(101)の調製
1,4−ジオキサン75mL中、ステップb)の粗製生成物22g(0.093mol)、1,5−ヘキサジエン3.8g(0.046mol)および過酸化ジベンソイル5.0g(75%、0.0082mol)を82℃で20時間加熱する。該反応混合物を、ロータリーエバポレーターで1,4−ジオキサンを除去することにより濃縮する。反応完結後、該混合物をn−ヘプタン300mL中に注ぐと、収率18%で白色固体(4.6g)が得られる。この固体の特性を、Hおよび31P NMRにより評価する。
【0099】
実施例S2:{6−[ヒドロキシ−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)−ホスフィノイル]−ヘキシル}−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)−ホスフィン酸(102)
【0100】
【化12】

【0101】
a)(2,4,4−トリメチル−ペンチル)−ホスフィン酸の調製
【0102】
【化13】

【0103】
ジイソブチレン(112g、1mol)および次亜リン酸(30%、230mL)の混合物をt−ブチルペルベンゾアートの存在下で反応させる。水処理(aqueous work up)後、45gの油状生成物が得られる。この生成物を、Hおよび31P NMRにより特性評価すると、Hおよび31P NMRは生成物(純度64%)の形成を示す。
【0104】
b){6−[ヒドロキシ−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)−ホスフィノイル]−ヘキシル}−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)−ホスフィン酸(102)の調製
1,4−ジオキサン中、粗製イソオクチルホスフィン酸26g(0.146mol)および1,5−ヘキサジエン5.8g(0.070mol)を過酸化ジベンゾイル7gの存在下、90℃で24時間反応させる。反応完結後、該混合物を水とn−ヘプタンの1:1混合液中に注ぐ。有機層を分離し、水で洗浄し、NaSOで乾燥して、濃縮する。カラムクロマトグラフィーにより、最終的に純生成物(101)を得る。この生成物の特性を、スペクトルデータにより評価する。2gの固体および8.5gの粘着性物質が得られる。
【0105】
実施例S3:ビス{4−[2−(ヒドロキシ−オクチル−ホスフィノイル)−エチル]−シクロヘキシル}−オクチル−ホスフィン酸(103)
【0106】
【化14】

【0107】
a)n−オクチル−ホスフィン酸の調製
【0108】
【化15】

【0109】
丸底フラスコ中で、1−オクテン1L(715g、6.38mol)および次亜リン酸(50%水溶液)1.3L(12.76mol)、開始剤としてのtert−ブチルペルベンゾアート50mL、ならびに溶媒としての2−プロパノール1.7Lを80℃で7時間攪拌する。完結した反応混合物を、水2.0Lおよびn−ヘプタン2.0Lと混ぜ合わせる。該混合物を分離し、有機相を水1Lでさらに洗浄する。水層をヘプタン1Lでさらに洗浄し、全ヘプタン層を合わせる。この混合液を無水硫酸ナトリウム1kgで処理し、溶媒を蒸発させると、純度85%の1.12kgの粗製n−オクチルホスフィン酸が得られる(31P NMR)。
【0110】
b){4−[2−(ヒドロキシ−オクチル−ホスフィノイル)−エチル]−シクロヘキシル}−オクチル−ホスフィン酸(103)の調製
n−オクチルホスフィン酸25g(0.125mol)、4−ビニル−1−シクロヘキセン6.6g(0.07mol)、過酸化ジベンゾイル7g(純度75%)および1,4−ジオキサン50mLを90℃で攪拌する。8時間後、反応混合物を室温まで冷却し、n−ヘプタンおよび水の混合液へ添加する。有機層を分離し、水で洗浄して、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粘着性の油が得られ、これをカラムクロマトグラフィーにかける。7gの所望の生成物が粘着性の油として単離される。その構造を31P NMRによって確認する。
【0111】
実施例S4:[6−(ヒドロキシ−オクチル−ホスフィノイル)−ヘキシル]−オクチル−ホスフィン酸(104)
【0112】
【化16】

【0113】
n−オクチルホスフィン酸50g(0.238mol)、1,5−ヘキサジエン12.13ml(0.107mol)、過酸化ジベンゾイル15.4g(0.0476)(純度75%)およびトルエン100mlを85℃で24時間攪拌する。該反応混合物を室温で冷却した後、固体を沈殿させ、濾過し、トルエンおよびヘプタンでさらに洗浄して、オーブンで乾燥させる。21.0gの乾燥生成物が収率46%で得られる。Hおよび31P NMRによる固体の特性評価によって所望の生成物の形成を確認する。
【0114】
実施例S5:10−(ヒドロキシ−フェニル−ホスフィノイル)−オクタデカン酸メチルエステル(105)
【0115】
【化17】

【0116】
ファイアーストーンバルブを介してアルゴン注入口に接続した還流冷却器および磁気攪拌棒を備えた100mL丸底フラスコに、オレイン酸メチル4.45g(15mmol)およびフェニルホスフィン酸2.13g(15mmol)を装入する。得られた攪拌懸濁液の中に、ジ−tert−アミルペルオキシド0.16mL(0.75mmol)を添加する。該フラスコにアルゴンを5度通気し、次いでオイルバス温度を140℃まで上げて、140℃に5時間保つ。該フラスコを真空下におき、反応中に形成したtert−アミルアルコールを除去する。透明な薄黄色の粘着性液体が6.36g(理論値の97%)得られる。
【0117】
化合物(106)〜(110)は、化合物(105)と同様の方法で調製する。
【0118】
【表1】

【0119】
実施例S11:ビス−(3−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソベンゾフラン−1−イル)−ホスフィン酸(111)
【0120】
【化18】

【0121】
トルエン220mL中2−カルボキシベンズアルデヒド30.1g(0.2mol)の懸濁液中に、50%水性次亜リン酸10.4mL(0.1mol)を添加する。得られた混合液を加熱還流し、ディーン−スターク受器を使用した共沸蒸留によって水9mLを回収する。該反応混合物を冷却すると同時に、沈殿した白色固体を濾過によって回収し、乾燥すると、30.2g(収率91%)のビス−(3−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソベンゾフラン−1−イル)−ホスフィン酸が融点280〜285℃の白色粉末として得られる。
【0122】
実施例S12:(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−ホスフィン酸ブチルエステル(112)
【0123】
【化19】

【0124】
次亜リン酸ブチル(CAS登録番号18108−09−3)を、ディーン−スターク受器を使用した共沸蒸留によって水を除去し、シクロヘキサン100mL中50%水性次亜リン酸13.2g(0.1mol)および1−ブタノール27mLから調製する。真空中での濃縮後、次亜リン酸ブチルを含む反応混合物をトルエン200mL中、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(ジメチルアミノメチル)フェノール52.69g(0.2mol)と混合する。得られた反応溶液中に、無水酢酸19mLを添加し、該反応溶液を100℃まで5時間加熱する。この反応混合液を真空中で濃縮し、55gの粗製反応マスを得て、それをさらにクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル溶離液)により精製すると、13.2g(収率39%)の黄色固体が得られる。この黄色固体を高温ヘプタン40mLから再結晶させると、10g(収率29%)の(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−ホスフィン酸ブチルエステルが融点85〜87℃の白色固体として得られる。
【0125】
実施例S13:ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−ホスフィン酸ブチルエステル(113)
【0126】
【化20】

【0127】
テトラヒドロフラン10mL中、60%分散水素化ナトリウム1g(25mmol)の0℃に冷却した懸濁液中に、テトラヒドロフラン15mL中の(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−ホスフィン酸ブチルエステル4.26g(12.5mmol)溶液を滴下する。該反応混合液を周囲温度まで温め、ナトリウム塩形成を完結させる。得られた懸濁液を再び5℃まで冷却し、テトラヒドロフラン15mL中の3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルクロリド(CAS登録番号955−01−1)6.4g(25mmol)溶液を添加する。得られた混合液を周囲温度まで温め、2時間攪拌する。2時間後、該反応混合液を氷100mL上に注ぎ、得られた混合物を、100mLのエーテル2部で抽出する。合わせたエーテル層を塩水50mLで洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒の蒸発により、9.72gのオレンジ色の残渣を得て、それをクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル溶離液)により精製し、ペンタンから結晶化させると、2.5g(収率35%)のビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−ホスフィン酸ブチルエステルが融点133〜135℃の白色固体として得られる。
【0128】
実施例S14:(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−フェニル−ホスフィン酸メチルエステル(114)
【0129】
【化21】

【0130】
ジメチルフェニルホスホナイト5g(29mmol)と3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルクロリド(CAS登録番号955−01−1)7.5g(29mmol)の混合物を110℃で1時間加熱し、冷却して、白色固体を得る。得られた固体をヘキサン100mLから結晶化すると、9g(収率83%)の(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−フェニル−ホスフィン酸メチルエステルが融点112〜114℃の白色固体として得られる。
【0131】
実施例S15:(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−フェニル−ホスフィン酸(115)
【0132】
【化22】

【0133】
2.5N水素化ナトリウム溶液100mL中(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−フェニル−ホスフィン酸メチルエステル20.4g(54mmol)の混合液を100℃で2.5時間加熱する。該反応混合液を濃塩酸25mLと氷200mLの混合液上に注ぐ。生成物をクロロホルム500mL中に抽出し、クロロホルム層を200mLの水2部で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒の蒸発により、30gの粘着性黄色油が得られる。この粗製油をヘキサン120mLと混合すると、18.4g(収率94%)の(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−フェニル−ホスフィン酸が融点185〜186℃の白色粉末として得られる。
【0134】
実施例S16:(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−シクロヘキシル−ホスフィン酸メチルエステル(116)
【0135】
【化23】

【0136】
トルエン45mL中ジメチルシクロヘキシルホスホナイト10.47g(59mmol)と3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルクロリド(CAS登録番号955−01−1)15.14g(59mmol)の混合液を2時間還流し、冷却する。得られた沈殿した結晶を濾過によって回収し、トルエン、次いでヘキサンで洗浄し、真空下で乾燥すると、11.5g(収率51%)の(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−シクロヘキシル−ホスフィン酸メチルエステルが融点149〜150℃の白色固体として得られる。
【0137】
実施例S17:(3−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソベンゾフラン−1−イル)−フェニル−ホスフィン酸(117)
【0138】
【化24】

【0139】
トルエン240mL中2−カルボキシベンズアルデヒド30.1g(0.2mol)の懸濁液中に、フェニルホスフィン酸28.4g(0.2mol)を添加する。得られた混合液を加熱還流し、ディーン−スターク受器を使用した共沸蒸留によって水3.8mLを回収する。該反応混合物を冷却すると同時に、沈殿した白色固体を濾過によって回収し、乾燥する。粗製固体をメタノール240mLから再結晶させると、31.8g(収率58%)の(3−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソベンゾフラン−1−イル)−フェニル−ホスフィン酸が融点230〜233℃の白色結晶として得られる。
【0140】
実施例S18:(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−ホスフィン酸(118)
【0141】
【化25】

【0142】
2.5N水素化ナトリウム溶液100mLおよびイソプロパノール10mLの混合液中(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−ホスフィン酸ブチルエステル17g(50mmol)を100℃で1時間加熱する。冷却した反応混合液を濃塩酸25mLと氷200mLの混合液中に注ぐ。生成物をクロロホルム400mL中に抽出し、クロロホルム層を水200mLで洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒の蒸発により、21gのオレンジ色の油が得られる。この粗製油をトルエン20mLと混合すると、10.8g(収率76%)の(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−ホスフィン酸が融点147〜149℃の白色固体として得られる。
【0143】
実施例S19:(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−ホスフィン酸(119)
【0144】
【化26】

【0145】
ジクロロメタン15mL中の三塩化リン8.8mL(100mmol)の冷却溶液中に、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール10.3g(50mmol)およびトリエチルアミン14.0mL(100mmol)のジクロロメタン30mL中溶液を1時間にわたって滴下する。添加が完了した後、該反応混合液を6時間加熱還流し、次いで冷却する。該反応懸濁液を濾過し、濾液を真空中で濃縮する。得られた固体を水200mLとともに3時間加熱し、次いで周囲温度まで冷却する。水を反応マスからデカントし、粗製生成物をクロロホルム100mLに溶解する。このクロロホルム溶液を水50mLで抽出し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥する。硫酸ナトリウムを濾過して取り除いた後、クロロホルムを蒸発させると、9.9gのオフホワイトの固体が得られる。このオフホワイトの固体を高温シクロヘキサン60mLから再結晶させると、5.44g(収率51%)の(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−ホスフィン酸が融点106〜111℃の白色粉末として得られる。
【0146】
実施例S20:2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸(120)
【0147】
【化27】

【0148】
熱電対ウェル、滴下漏斗、オーバーヘッド攪拌機および還流冷却器を備えた2L四つ口フラスコに、次亜リン酸ナトリウム一水和物199g(1.88mol)および2Bエタノール500mLを装入する。得られた攪拌懸濁液中に、滴下漏斗を通じて、濃硫酸52mL(1.87mol)を添加する。添加中、該反応混合液の温度は21℃から27℃まで上昇する。約15分後、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン100mL(0.624mol)を添加し、次いでAIBN粉末10.24g(0.062mol)を添加する。この反応混合液を窒素雰囲気下で20時間加熱還流する。追加のAIBN粉末6.84g(0.042mol)を添加し、該混合液を窒素下でさらに20時間還流する。真空下で溶媒を除去し、残渣をヘプタン400mLと水1Lの間に分配する。ヘプタン層を真空下で濃縮すると、98g(理論値の88%)の2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸が無色の油として得られる。
【0149】
実施例S21:(11−ヒドロキシ−ウンデシル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィン酸(121)
【0150】
【化28】

【0151】
2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸5g(0.028mol)、10−ウンデセン−1−オール4.78g(0.28mol)およびジ−tert−アミルペルオキシド0.3mL(0.0014mol)を50mL一つ口フラスコ中で混合する。該混合液をアルゴンでパージして酸素を除去し、アルゴン下140℃で5時間加熱する。tert−アミルアルコールを蒸留によって除去すると、9.8g(定量的収率)の(11−ヒドロキシ−ウンデシル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィン酸が粘着性油として得られる。
【0152】
化合物(122)および(123)は(121)と同様の方法で調製する。
【0153】
【表2】

【0154】
実施例S24:10−[ヒドロキシ−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)−ホスフィノイル]−オクタデカン酸メチルエステル(異性体の混合物)(124)
【0155】
【化29】

【0156】
2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸10g(0.056mol)、オレイン酸メチル(P&G ChemicalのCE−1897)15.82g(0.056mol)およびジ−tert−アミルペルオキシド0.5mL(0.0023mol)を100mL一つ口フラスコ中で混合する。該混合液をアルゴンでパージして酸素を除去し、アルゴン下140℃で6時間加熱する。tert−アミルアルコールを蒸留によって除去すると、25.8g(定量的収率)の10−[ヒドロキシ−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)−ホスフィノイル]−オクタデカン酸メチルエステルがわずかに黄色の油として得られる。
【0157】
実施例S25:Chevron PhillipsのオレフィンC26−C28および2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸から得られるジアルキルホスフィン酸の混合物(125)
【0158】
【化30】

【0159】
2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸5g(0.028mol)、オレフィンC26−C28(Chevron Phillips)11g(0.028mol)およびジ−tert−アミルペルオキシド0.3mL(0.0014mol)を50mL一つ口フラスコ中で混合する。該混合液をアルゴンでパージして酸素を除去し、アルゴン下140℃で5時間加熱する。tert−アミルアルコールを蒸留によって除去すると、16g(定量的収率)の生成物が融点70〜71℃の固体蝋として得られる。
【0160】
実施例S26:Chevron PhillipsのオレフィンC24−C28および2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸から得られるジアルキルホスフィン酸の混合物(126)
【0161】
【化31】

【0162】
2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸1.5g(0.0084mol)、オレフィンC24−C28(Chevron Phillips)3.3g(0.0084mol)およびジ−tert−アミルペルオキシド0.18mL(0.00084mol)を50mL一つ口フラスコ中で混合する。該混合液をアルゴンでパージして酸素を除去し、アルゴン下140℃で5時間加熱する。tert−アミルアルコールを蒸留によって除去すると、4.8g(定量的収率)の生成物が融点56〜58℃の固体蝋として得られる。
【0163】
実施例S27:10−[ヒドロキシ−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィノイル]−デシル−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィン酸(127)
【0164】
【化32】

【0165】
2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸10g(0.056mol)、1,9−デカジエン3.7g(0.027mol)およびジ−tert−アミルペルオキシド0.5mL(0.0023mol)を50mL一つ口フラスコ中で混合する。該混合液をアルゴンでパージして酸素を除去し、アルゴン下140℃で6時間加熱する。tert−アミルアルコールを蒸留によって除去すると、13g(定量的収率)の10−[ヒドロキシ−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィノイル]−デシル−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィン酸が粘着性油として得られる。
【0166】
実施例S28:(2,4,4−トリメチルペンチル)−3−[オキシ(2,3−ジヒドロキシプロピル)]−プロピル−ホスフィン酸(128)
【0167】
【化33】

【0168】
2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸5g(0.028mol)、アリルグリセロールエーテル3.71g(0.028mol)およびジ−tert−アミルペルオキシド0.3mL(0.0014mol)を50mL一つ口フラスコ中で混合する。該混合液をアルゴンでパージして酸素を除去し、アルゴン下140℃で6時間加熱する。tert−アミルアルコールを蒸留によって除去すると、8.7g(定量的収率)の(2,4,4−トリメチルペンチル)−3−[オキシ(2,3−ジヒドロキシプロピル)]−プロピル−ホスフィン酸が粘着性油として得られる。
【0169】
実施例S29:10−[ヒドロキシ−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)−ホスフィノイル]−オクタデカン酸(異性体の混合物)(129)
【0170】
【化34】

【0171】
2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸6.31g(0.0354mol)、オレイン酸10g(0.0354mol)およびジ−tert−アミルペルオキシド0.25mL(0.0012mol)を50mL一つ口フラスコ中で混合する。該混合液をアルゴンでパージして酸素を除去し、アルゴン下140℃で6時間加熱する。tert−アミルアルコールを蒸留によって除去すると、13.5g(収率83%)の10−[ヒドロキシ−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)−ホスフィノイル]−オクタデカン酸が粘着性油として得られる。
【0172】
実施例S30:{5−[ヒドロキシ−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィノイル]−オクタヒドロ−4,7−メタノ−インデン−2−イル}−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィン酸(異性体の混合物)(130)
【0173】
【化35】

【0174】
2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸5g(0.028mol)、ジシクロペンタジエン1.85g(0.014mol)およびジ−tert−アミルペルオキシド0.3mL(0.0014mol)を50mL一つ口フラスコ中で混合する。該混合液をアルゴンでパージして酸素を除去し、アルゴン下140℃で6時間加熱する。tert−アミルアルコールを蒸留によって除去すると、6.19g(収率90%)の{5−[ヒドロキシ−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィノイル]−オクタヒドロ−4,7−メタノ−インデン−2−イル}−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィン酸が琥珀色のガラスとして得られる。
【0175】
実施例S31:9−{ヒドロキシ−[1−(7−メトキシカルボニル−ヘプチル)−デシル]−ホスフィノイル}−オクタデカン酸メチルエステル(異性体の混合物)(131)
【0176】
【化36】

【0177】
50%水性次亜リン酸3.1mL(0.03mol)およびオレイン酸メチル(P&G ChemicalのCE−1897;ヨウ素価=90)16.92g(0.06mol)を、蒸留ヘッドを備えた100mL一つ口フラスコ中で混合する。該混合液をアルゴンでパージして酸素を除去し、アルゴン下140℃で加熱して水を除去する。水を除去した後、該混合物を冷却し、ジ−tert−アミルペルオキシド0.5mL(0.0023mol)を添加して、その混合液をアルゴンでパージして酸素を除去し、アルゴン下140℃で5時間加熱する。tert−アミルアルコールを蒸留によって除去すると、18.9g(定量的収率)の9−{ヒドロキシ−[1−(7−メトキシカルボニル−ヘプチル)−デシル]−ホスフィノイル}−オクタデカン酸メチルエステル(異性体の混合物)が周囲温度付近で融解する無色の蝋として得られる。
【0178】
実施例S32:[3−(2−ヒドロキシメチル−2−{3−[ヒドロキシ−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィノイル]−プロポキシメチル}−ブトキシ)−プロピル]−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィン酸(132)
【0179】
【化37】

【0180】
2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸10g(0.056mol)、トリメチロールプロパンジアリルエーテル6.01g(0.028mol)およびジ−tert−アミルペルオキシド0.4mL(0.0019mol)を100mL一つ口フラスコ中で混合する。該混合液をアルゴンでパージして酸素を除去し、アルゴン下140℃で6時間加熱する。tert−アミルアルコールを蒸留によって除去すると、16g(定量的収率)の[3−(2−ヒドロキシメチル−2−{3−[ヒドロキシ−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィノイル]−プロポキシメチル}−ブトキシ)−プロピル]−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィン酸が粘着性油として得られる。
【0181】
実施例S33:(3−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソベンゾフラン−1−イル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィン酸(133)
【0182】
【化38】

【0183】
キシレン100mL中2−カルボキシベンズアルデヒド15g(0.1mol)および2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸17.82gの混合物を加熱還流し、ディーン−スターク受器を使用した共沸蒸留によって水1.8mLを回収する。キシレン溶媒を真空中で除去し、残渣を酢酸エチル50mLおよびヘプタン100mLの混合液で結晶化すると、17.2g(収率56%)の(3−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソベンゾフラン−1−イル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィン酸が融点117〜121℃のオフホワイトの粉末として得られる。
【0184】
化合物(134)および(135)は、(133)と同様の方法で調製する。
【0185】
【表3】

【0186】
実施例S36:(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィン酸(136)
【0187】
【化39】

【0188】
ジクロロメタン5mL中の2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸1.78g(0.01mol)およびN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド7.34mL(0.03mol)の溶液を4時間加熱還流し、周囲温度まで冷却する。得られた反応混合液に、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルクロリド(CAS登録番号955−01−1)2.55g(0.01mol)を添加し、該反応混合液をさらに3時間再加熱還流する。この反応混合液を真空中で濃縮し、得られた残渣をメタノール15mLおよび濃塩酸4mLで処理し、中間体のシリルエステルを加水分解する。粗製生成物を、メタノールの蒸発、ジクロロメタンへの溶解および2倍の量の水によるジクロロメタン溶液の洗浄により単離し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒の蒸発により、3.94g(収率99%)の琥珀色の油が得られる。この粗製物質をアセトニトリル10mLから再結晶すると、1.1gの(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィン酸が融点108〜110℃の白色固体として得られる。
【0189】
応用の実施例
分析手順:
固有粘度(I.V.):ポリマー1gをフェノールとテトラクロロエタンの3:2の混合液100gに溶解する。この溶液の粘度を、Viscotek相対粘度計Y501Cを使用して35℃で測定し、固有粘度に再計算する。
【0190】
一般的なポリエステル(PET)合成手順
4L重縮合バッチ反応器用の一般的な重合手順。インペラー式攪拌機を備える加圧・加熱オートクレーブ反応器と、不活性気体注入システムと、エステル化段階中に水を反応物から除去し、エチレングリコールを反応マスに戻す、反応物の水とエチレングリコールを分離する分留カラムと、真空重縮合中に反応共生成物のエチレングリコールおよび水を回収することができる、回収槽および真空システムに接続したサイドアーム移動ラインと、ポリマー生成物の排出および単離のために、反応器の底にある排出弁システムとを備えたバッチ反応器を使用する。種々の工程の位置に、該反応系を監視または制御するために熱電対および圧力トランデューサーが装着される。
【0191】
材料
PTA、精製テレフタル酸(8.933mol、1484g)
PIA、精製イソフタル酸(0.276mol、46g)
EG、エチレングリコール(11.11mol、689g)
(任意で)ジエチレングリコール形成を減らすための抑制剤(例えば)45%メタノリック溶液としての水酸化コリン
三酸化アンチモン240ppm
必要であれば、他の添加剤
【0192】
EG(120mol%)を添加し、攪拌を開始する。DEG(ジエチレングリコール)抑制剤をピペットで添加し、EGで洗浄する。この時点で、任意で液体添加剤をピペットで添加することができる。97mol%PTAと3%PIAの混合物および三酸化アンチモン触媒を反応器へ装入する。この時点で、任意でPTAおよびPIAとともに、固体添加剤を添加することができる。反応器を窒素でパージし、閉じる。
【0193】
エステル化段階で、反応マスを20分間、93〜105℃の温度範囲に調節し、20rpmで攪拌する。ヒーターを275℃に設定し、サイドアームを150℃に設定する。融解温度が200℃を示したら、攪拌を30分にわたって60rpmまで漸次上げる。エステル化ステップは、名目上50psig窒素圧で行い、270℃の最高温度に到達する。エステル化の時間は、回収装置のサイトグラス中に水が観察されるとき(すなわち、分留カラムからの水の滴下が開始するとき)に開始する。反応器の融解温度が名目上260℃に達したとき、ヒーターの設定値を、約270℃の最終エステル化温度を可能にする約243℃の最終設定値まで下方調節する。
【0194】
分留カラムから水回収装置中への水の蒸留の開始までに、バッチの開始(時間ゼロ)から約1時間45分かかる。エステル化が完結する(すなわち、カラムの頂部の温度が下がり、125〜135℃で安定化するとき)のにさらに120分かかる。
【0195】
大気中エステル化(別名、前重縮合)とも呼ばれる工程の次の段階は、反応器の圧力が開放され、大気圧になるときに起こる。大気中エステル化は、270℃で30分間行う。この時点で、添加口上の隔膜および大ゲージ注射器を使用して、任意で添加剤を反応器に添加することができる。当該工程のこの時点での添加剤の添加は、第2ステップの開始より前であるとみなされる。
【0196】
当該工程の次の段階、真空重縮合は、反応器の圧力(すなわち、真空の適用)を、プログラムされた真空逓減プログラムによって、60分にわたって1トル未満まで減少させた時に起こる。最終真空レベルまで達するとすぐに、285〜286℃の最終融解温度標的で約60分間、重縮合が続く。この総重縮合時間の間、ポリマーの分子量(すなわち、溶融粘度)が増加するにつれて、反応器の攪拌速度は漸次減少する。一般的に反応器は、ポリマー排出まで、105分間60rpm、次いで15分間50rpm、10分間40rpm、そして15分間15rpmに保たれる。反応終点は、一般的に反応時間によってではなく、モータのトルク値によって決まるので、重縮合の総時間はわずかに異なり得る。配合中の触媒または共添加剤が改良された場合など、著しく速い反応速度の重縮合は、標準的なポリエステル配合よりも早く終点トルク値に達し得る。所与のモータのトルクレベルに達するとすぐに、該重縮合反応は完結したとみなされる。この時点で、添加口上の隔膜および大ゲージ注射器を使用して、任意で添加剤を反応器に添加することができる。当該工程のこの時点での添加剤の添加は、第2ステップの終了近く、かつ固相重合ステップより前であるとみなされる。この時、バッチを反応器の底から排出し、水槽から引き上げて、チップに変換する。該エステル化時間は105分であり、該重縮合時間は60分である。希釈溶液の粘度値0.63dL/gのポリエステルが製造される。
【0197】
一般的な固相重合(SSP)手順
上記の一般的なポリエステル(PET)手順中に説明されている溶融物における重縮合は、続いて希釈溶液の固有粘度(I.V.)を監視することによって測定される分子量をさらに増加させる固相重合(SSP)を伴う。
【0198】
以下の説明は、一般的な手順を説明するものである:
240ppmの三酸化アンチモン触媒を使用して、一般的なポリエステル(PET)手順に従って調製したポリエチレンテレフタレートペレット1200gを、50トルの真空下、110℃で16時間、乾燥オーブンに入れて、該ペレットを乾燥する。乾燥したペレットを真空回転式乾燥機中に移す。1〜2トルの真空下でポリエチレンテレフタレートを連続回転させている間、温度を2時間にわたって214℃まで上げる。214℃で10時間後、該ポリエチレンテレフタレートペレットを冷却する。希釈溶液の固有粘度値(I.V.)0.68dL/gのポリエステルが製造される。
【0199】
実施例A1
一般的なポリエステル(PET)合成手順によりポリエステルを製造する。さらに、工程(開始ステップ1)の開始時に、757ppmの化合物(104)を反応器に添加する。重合工程の残りは、上記のように行う。希釈溶液の固有粘度値(I.V.)0.62dL/gのポリエステルが製造される。
【0200】
実施例A2
ポリエステルを実施例A1の手順により製造し、216℃で10時間にわたって、一般的な固相重合(SSP)手順に従って、ポリエチレンテレフタレートペレット1200gをさらに反応させる。希釈溶液の固有粘度値(I.V.)0.83dL/gのポリエステルが製造される。
【0201】
実施例A3
エチレングリコールの添加中、240ppmの三酸化アンチモンを添加する代わりに、300ppmのチタン触媒(2チタン重量%)を使用することを除いては、一般的なポリエステル(PET)合成手順により、ポリエステルを製造する。さらに、該工程(開始ステップ1)の開始時に、250ppmの化合物(104)を反応器に添加する。当該重合工程の残りは、上記のように行う。該エステル化時間は96分であり、該重縮合時間は69分である。希釈溶液の固有粘度値0.62dL/gのポリエステルが製造される。
【0202】
実施例A4
実施例A3の手順によりポリエステルを製造し、205℃で10時間にわたって、一般的な固相重合(SSP)手順に従って、ポリエチレンテレフタレートペレット1200gをさらに反応させる。希釈溶液の固有粘度値(I.V.)0.66dL/gのポリエステルが製造される。
【0203】
実施例A5
一般的なポリエステル(PET)合成手順によりポリエステルを製造する。さらに、該工程(開始ステップ1)の開始時に、250ppmの化合物(101)を反応器に添加する。当該重合工程の残りは、上記のように行う。希釈溶液の固有粘度値(I.V.)0.62dL/gのポリエステルが製造される。
【0204】
実施例A6
実施例A5の手順によりポリエステルを製造し、214℃で10時間にわたって、一般的な固相重合(SSP)手順に従って、ポリエチレンテレフタレートペレット1200gをさらに反応させる。希釈溶液の固有粘度値(I.V.)0.71dL/gのポリエステルが製造される。
【0205】
実施例A7〜19
一般的なポリエステル(PET)合成手順によりポリエステルを製造し、特定の温度で10時間にわたって、一般的な固相重合(SSP)手順に従って、ポリエチレンテレフタレートペレット1200gをさらに反応させる。以下の表中に、SSP温度、初期IV(SSP前)、最終IV(10時間後)およびSSP速度(dL/g/hr)を列挙する。ホスフィン酸化合物は最初(開始ステップ1)に添加する。
【0206】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ステップにおいて、予備縮合物を調製するためのエステル化またはエステル交換をもたらすのに適当な温度および圧力で、ジカルボン酸またはC−Cジカルボン酸ジエステルとジオールを反応させることと、
第2ステップにおいて、高分子量のポリエステルを調製するのに適当な温度および圧力で、前記予備縮合物を反応させて重縮合をもたらすことと、
第3ステップにおいて、適当な温度および圧力の固相重合条件下で、前記ポリエステルの分子量および粘度をさらに増加させることと
を含むポリエステルの調製方法であって、
前記第1ステップの開始前、開始時もしくは前記第1ステップの間の、または前記第2ステップの開始前、開始時もしくは前記第2ステップの間の、1つまたは複数の時点で金属触媒を添加し、
前記第1ステップの開始前、開始時もしくは前記第1ステップの間の、前記第2ステップの開始前、開始時もしくは前記第2ステップの間の、または前記第2ステップの終了近くの、1つまたは複数の時点でホスフィン酸化合物を添加し、
前記ホスフィン酸化合物は式I、IIまたはIIIの化合物であり、
【化1】

式中、RおよびR’は独立に、
水素;
−C12アリール;
直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の−O−、−NR−、−COO−、−OCO−、−CONR−もしくはC−C12アリレン基で中断された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の−OR、−NRR’、−COOR、−CONRR’もしくはC−C12アリール基で置換された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜6個の前記基により中断および置換の両方がなされた直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキルであり、
前記アリールまたはアリレン基の各々は、置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基で置換されており;
nが1〜100である−(CHCHO)−CHCHOH;
または、RおよびR’はアルカリもしくはアルカリ土類金属であり、
は、
−C18シクロアルキル;
直鎖もしくは分岐鎖C22−C50アルキル;
−C12アリールで置換された直鎖もしくは分岐鎖C22−C50アルキル;
1〜3個の−O−、−NR−、−COO−、−OCO−、−CONR−、C−C12アリレン、C−C18シクロアルキレンもしくはC−C18シクロアルケニレン基で中断された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の−OR、−NRR’、−COOR、−CONRR’基で置換された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜6個の前記基により中断および置換の両方がなされた直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基で置換されたC−C12アリールで置換された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基で置換されたC−C12アリール;
nが1〜100である−(CHCHO)−CHCHOH;または、
置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキル、−ORまたは−COOR基で置換された3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−1−イルであり、
およびR’は独立に、
水素;
−C18シクロアルキル;
−C12アリール;
直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の−O−、−NR−、−COO−、−OCO−、−CONR−、C−C12アリレン、C−C18シクロアルキレンもしくはC−C18シクロアルケニレン基で中断された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の−OR、−NRR’、−COOR、−CONRR’もしくはC−C12アリール基で置換された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜6個の前記基により中断および置換の両方がなされた直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキルであり、
前記アリールまたはアリレン基の各々は、置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基で置換されており;
nが1〜100である−(CHCHO)−CHCHOH;または、
置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキル、−ORまたは−COOR基で置換された3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−1−イルであり、
または、式I中、RおよびR、もしくはRおよびRは一緒になって、nが3〜7の整数である(−CH−)、または、一緒になって1個もしくは2個のフェニレン基で縮環されている(−CH−)であり、
または、式IIまたはIII中、RおよびR、もしくはR’およびR’、または、RおよびR、ならびにR’およびR’は一緒になって、nが3〜7の整数である(−CH−)、あるいは、一緒になって1個もしくは2個のフェニレン基にで縮環されている(−CH−)であり、
RおよびR’は独立して、水素または直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルであり、
は、
直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキレン;
1〜3個の−OR、−NRR’、−COOR、−CONRR’もしくはC−C12アリール基で置換された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキレン;
1〜3個の−O−、−NR−、−COO−、−OCO−、−CONR−、C−C12アリレン、もしくはC−C18シクロアルキレン基で中断された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキレン;
1〜6個の前記基により中断および置換の両方がなされた直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキレン;
置換されていない、または1〜3個のC−Cアルキル、−OR、−NRR’、−COOR、−CONRR’もしくはC−C12アリール基で置換されたC−C18シクロアルキレン;
1〜3個の−O−、−NR−、−COO−、−OCO−、−CONR−またはC−C12アリレン基で中断されたC−C18シクロアルキレン;
1〜6個の前記基により中断および置換の両方がなされたC−C18シクロアルキレン;
−C50アルキレンシクロアルキレン;あるいは、
−C12アリレンであり、
前記アリールまたはアリレン基の各々は、置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基で置換されており、
mは2〜100である
調製方法。
【請求項2】
前記金属触媒が、アンチモン、ゲルマニウムまたはチタン触媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属触媒が、アセチルトリイソプロピルチタネート、チタン(IV)イソプロポキシド、チタングリコレート、チタン(IV)ブトキシド、へキシレングリコールチタネート、テトライソオクチルチタネート、チタンテトラメチレート、チタンテトラプロピレート、チタン(IV)2−エチルヘキソキシド、チタン(IV)(トリエタノールアミネート)−イソプロポキシドまたはテトラエチルヘキシルチタネートである、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ホスフィン酸化合物が前記式Iの化合物であり、式中、Rが、
1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基で置換されたC−C12アリールで置換された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基で置換されたC−C12アリールであるか、
または、Rが、置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキル、−ORまたは−COOR基で置換された3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−1−イルである、
請求項1〜3に記載の方法。
【請求項5】
前記ホスフィン酸が式IIまたはIIIの化合物であり、RおよびR’が、
−C12アリール;
直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の−O−、−NR−、−COO−、−OCO−、−CONR−、C−C12アリレン、C−C18シクロアルキレンもしくはC−C18シクロアルケニレン基で中断された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜3個の−OR、−NRR’、−COOR、−CONRR’もしくはC−C12アリール基で置換された直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキル;
1〜6個の前記基により中断および置換の両方がなされた直鎖もしくは分岐鎖C−C50アルキルであり、
前記アリールまたはアリレン基の各々は、置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキルまたは−OR基で置換されており;
または、RおよびR’が、置換されていない、あるいは1〜3個の直鎖もしくは分岐鎖C−C12アルキル、−ORまたは−COOR基で置換された3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−1−イルである、
請求項1〜3に記載の方法。
【請求項6】
ジカルボン酸が予備縮合物を調製するためにジオールと反応させられ、前記ジカルボン酸がテレフタル酸、イソフタル酸、O−フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸またはこれらの混合物である、請求項1〜5に記載の方法。
【請求項7】
ジカルボン酸ジエステルが予備縮合物を調製するためにジオールと反応させられ、前記ジカルボン酸ジエステルがテレフタル酸、イソフタル酸、O−フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸またはこれらの混合物のC−Cジアルキルジエステルである、請求項1〜5に記載の方法。
【請求項8】
前記ジオールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチルペンタン−2,4−ジオール、2−メチルペンタン−1,4−ジオール、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジオール、1,4−ジ−(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチルシクロブタン、2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)エタンまたはこれらの混合物である、請求項1〜7に記載の方法。
【請求項9】
前記ホスフィン酸が、前記第1ステップの開始前、開始時もしくは前記第1ステップの間の、または前記第2ステップの開始前、開始時もしくは前記第2ステップの間の、1つまたは複数の時点で添加される、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項10】
前記ホスフィン酸が、前記第2ステップの終了近くで添加される、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項11】
前記金属触媒が、前記ジカルボン酸もしくはジカルボン酸ジエステルおよびジオールの重量に対し、約1金属重量ppm〜約500金属重量ppmで存在する、請求項1〜10に記載の方法。
【請求項12】
前記ホスフィン酸化合物が、前記ジカルボン酸もしくはジカルボン酸ジエステルおよびジオールの重量に対し、約50重量ppm〜約10,000重量ppmで存在する、請求項1〜11に記載の方法。

【公表番号】特表2011−516649(P2011−516649A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502351(P2011−502351)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053607
【国際公開番号】WO2009/121796
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】