説明

ホスフェート界面活性剤

式1
f−A−OP(O)(O-+)(OROH) 式1
(式中、
fは、1、2、もしくは3個のエーテル酸素原子が場合により介在していてもよいC2〜C6の線状もしくは分岐状のペルフルオロアルキルであり、
Aは、(CH2CF2m(CH2n−、(CH2oSO2N(CH3)(CH2p−、O(CF2q(CH2r−、またはOCHFCF2OE−であり、
mは、0〜4であり、n、o、p、およびrは、それぞれ独立して、2〜20であり、qは、2であり、
Eは、酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子が場合により介在していてもよいC2〜C20の線状もしくは分岐状のアルキル基、環状アルキル基、またはC6〜C10アリール基であり、
Mは、Hまたは第I族金属またはアンモニウムカチオン(NHx2y+(ここで、R2はC1〜C4アルキルであり、xは0〜4であり、yは0〜4であり、かつx+yは4である)であり、かつ
Rは、酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子からなる群から選択されるヘテロ原子が場合により介在していてもよいC2〜C60の線状もしくは分岐状のアルキル基、環状アルキル、またはC6〜C10アリールであり、ただし、Rが8個超の炭素であるとき、ヘテロ原子対炭素原子の比は少なくとも1:2である)
で示される化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野は、フルオロケミカル界面活性剤、特定的には、炭化水素ジオール親水性尾部またはポリアルキレングリコール親水性尾部と、フッ素化疎水性尾部と、を含有するホスフェート界面活性剤である。
【背景技術】
【0002】
フルオロケミカル鎖を有する界面活性剤および表面処理剤では、より長いペルフルオロアルキル鎖は、より高いパーセントのフッ素を所与の濃度で含有し、典型的には、より良好な性能を提供する。しかしながら、より長いペルフルオロアルキル鎖から誘導されるフッ素化材料は、より高価である。したがって、同一のもしくはより高い性能を発揮しつつフッ素含有率を減少させることが望ましい。フッ素含有率を減少させればコストは削減されるであろうが、製品性能を維持することが必要である。
【0003】
2007年8月8日出願の米国特許出願第11/890,414号明細書(整理番号CH3195)には、単一の連結基に結合された2個の異なる末端疎水性基を有するフルオロアルキル−アルキル双尾型ホスフェート界面活性剤が開示されている。米国特許第5,643,864号明細書には、乳化剤、洗剤、分散剤、および可溶化剤として有用な、1分子あたり少なくとも2本の疎水性鎖と少なくとも2個の親水性基とを有する陰イオン性界面活性剤が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同一レベルの性能を達成するのにまたは同一レベルのフッ素を用いてより良好な性能をもたせるのにより低比率の高価なフッ素成分が必要とされるように、界面活性剤の性能を改良すること、とくに、水性系で表面張力を低下させること、およびフッ素効率を増大させること、すなわち、界面活性剤の効率または性能を増強することが望ましい。とくに望ましいのは、同一化合物中に疎水性基と親水性基との両方を有するフッ素効率のよい界面活性剤であろう。また、食塩水中ならびに腐食性媒体(酸および塩基)中で安定であると同時に依然として改良された性能を維持する界面活性剤が望ましい。本発明は、そのような界面活性剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式1
f−A−OP(O)(O-+)(OROH) 式1
(式中、
fは、1、2、もしくは3個のエーテル酸素原子が場合により介在していてもよいC2〜C6の線状もしくは分岐状のペルフルオロアルキルであり、
Aは、(CH2CF2m(CH2n−、(CH2oSO2N(CH3)(CH2p−、O(CF2q(CH2r−、またはOCHFCF2OE−であり、
mは、0〜4であり、n、o、p、およびrは、それぞれ独立して、2〜20であり、qは、2であり、
Eは、酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子が場合により介在していてもよいC2〜C20の線状もしくは分岐状のアルキル基、環状アルキル基、またはC6〜C10アリール基であり、
Mは、Hまたは第I族金属またはアンモニウムカチオン(NHx2y+(ここで、R2はC1〜C4アルキルであり、xは0〜4であり、yは0〜4であり、かつx+yは4である)であり、かつ
Rは、酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子からなる群から選択されるヘテロ原子が場合により介在していてもよいC2〜C60の線状もしくは分岐状のアルキル基、環状アルキル、またはC6〜C10アリールであり、ただし、Rが8個超の炭素であるとき、ヘテロ原子対炭素原子の比は少なくとも1:2である)
で示される化合物を包含する。
【0006】
本発明はさらに、以上に定義された式1で示される組成物に媒体を接触させることを含む、水性媒体の表面張力を低下させる方法を包含する。
【0007】
本発明はさらに、以上に定義された式1で示される化合物を基材上への堆積前に塗料ベースに添加することを含む、被覆基材に撥汚性、均展性、および耐ブロッキング性を付与する方法を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
商標は、本明細書中では大文字で示される。
【0009】
本明細書中で用いられる「腐食性媒体」という用語は、約4の最大pHを有する酸性溶液または少なくとも約10のpHを有する塩基性溶液を意味する。
【0010】
本発明は、式1
f−A−OP(O)(O-+)(OROH) 式1
(式中、
fは、1、2、もしくは3個のエーテル酸素原子が場合により介在していてもよいC2〜C6の線状もしくは分岐状のペルフルオロアルキルであり、
Aは、(CH2CF2m(CH2n−、(CH2oSO2N(CH3)(CH2p−、O(CF2q(CH2r−、またはOCHFCF2OE−であり、
mは、0〜4であり、n、o、p、およびrは、それぞれ独立して、2〜20であり、qは、2であり、
Eは、酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子が場合により介在していてもよいC2〜C20の線状もしくは分岐状のアルキル基、環状アルキル基、またはC6〜C10アリール基であり、
Mは、Hまたは第I族金属またはアンモニウムカチオン(NHx2y+(ここで、R2はC1〜C4アルキルであり、xは0〜4であり、yは0〜4であり、かつx+yは4である)であり、かつ
Rは、酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子からなる群から選択されるヘテロ原子が場合により介在していてもよいC2〜C60の線状もしくは分岐状のアルキル基、環状アルキル、またはC6〜C10アリールであり、ただし、Rが8個超の炭素であるとき、ヘテロ原子対炭素原子の比は少なくとも1:2である)
で示される化合物を包含する。
【0011】
好ましいのは、式1(式中、RfはC3〜C6ペルフルオロアルキルである)で示される化合物である。同様に好ましいのは、RfがC3、C4、もしくはC6のペルフルオロアルキルであるものである。同様に好ましいのは、式1(式中、Mは、ナトリウムまたはカリウムまたはアンモニウムカチオン(NHx2y+(ここで、R2はC1〜C4アルキルであり、xは0〜4であり、yは0〜4であり、かつx+yは4である)である)で示される化合物である。より好ましいのは、式1(式中、Mは、アンモニウムカチオン(NHx2y+(ここで、R2はC1〜C4アルキルであり、xは0〜4であり、yは0〜4であり、かつx+yは4である)である)で示される化合物である。同様に好ましいのは、式1(式中、Eは、酸素が場合により介在していてもよいC2〜C20の線状もしくは分岐状のアルキル基である)で示される化合物である。より好ましいのは、式1(式中、Eは、酸素が場合により介在していてもよいC2〜C10の線状もしくは分岐状のアルキル基である)で示される化合物である。
【0012】
式1で示される他の好ましい化合物は、Rが線状もしくは分岐状のC2〜C8アルキル、より好ましくはC3アルキルであるものである。式1で示される他の好ましい化合物は、RがC8〜C60、より好ましくはC8〜C40の線状もしくは分岐状のアルキル基(酸素原子が場合により介在していてもよい)であるものである。Rが8個超の炭素原子であるとき、ヘテロ原子対炭素原子の比は、少なくとも1:2、好ましくは約1:2〜約1:3である。
【0013】
一実施形態では、Rは、約2〜約20個のエーテル酸素原子が介在する約8〜約50個の炭素原子、より好ましくは約8〜40個の炭素原子の線状もしくは分岐状のアルキル基であり、エーテル酸素原子対炭素原子の比は、約1:2〜約1:4、より好ましくは約1:2〜約1:3である。これらの化合物の範囲内では、好ましくは、R基は約200〜約1250の分子量を有する。
【0014】
式1は、疎水性基と親水性基との両方を含有する界面活性剤である。式1で示される化合物は、五酸化リン(P25)またはオキシ塩化リン(POCl3)のいずれかをフッ素化アルコールと反応させてから炭化水素ジオールまたはポリ(グリコール)を添加することにより調製される。典型的には、五酸化リンまたはオキシ塩化リンは、ほぼ等モルパーセントの量でフッ素化アルコールに添加される。たとえば、五酸化リンを使用する場合、P25に対して約0.4〜約1.6モル当量のフッ素化アルコールが添加される。混合物は、約70℃〜約120℃、好ましくは約100℃〜約110℃の温度に加熱され、数時間、好ましくは約3〜約15時間にわたり維持される。次に、ジオールまたはポリ(グリコール)は、約3〜約15時間の追加時間にわたり上記の温度で継続して加熱しながら反応混合物に添加される。ジオールまたはポリ(グリコール)対P25のモル比は、約1.4〜約2.6である。この後、約1重量%〜約3重量%の界面活性剤が場合により添加される。Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOLなどの任意のさまざまな界面活性剤を利用することが可能である。約1〜約2時間後、混合しながらアンモニアを添加してから水を添加すると式1で示されるホスフェートが得られる。
【0015】
式1で示される化合物の合成に有用なジオールは、1もしくは2個の二重結合を場合により有していてもよいC2〜C60の直鎖状および分岐鎖状のアルコールを包含する。例としては、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、好ましくは約4〜約20個の反復ユニット、より好ましくは約5〜約15個の反復ユニットを有するポリ(エチレングリコール)[PEG(OH)2]、ポリ(エチレングリコール)−ポリプロピレングリコール−ポリ(エチレングリコール)トリブロックポリマー[PEG−PPG−PEG−(OH)2]、および好ましくは約200〜約1250の分子量Mwを有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダムコポリマーが挙げられる。ポリ(1.3−プロパンジオール)は、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能である。200〜2000の公称分子量を有するポリエチレングリコールは、Aldrich Chemical Company(St.Louis,MO)から入手可能である。ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとのトリブロックコポリマー(PEG−PPG−PEG)は、BASF(Mount Olive,NJ)から入手可能である。
【0016】
式1で示される化合物の調製で反応剤として使用されるフルオロアルキルアルコールは、種々の実施形態で以下に記載される。
【0017】
本発明の一実施形態は、式1(式中、Aは(CH2CF2m(CH2n−である)で示される化合物であり、本明細書中では、式2
f−(CH2CF2m(CH2n−O−P(O)(O-+`(OROH) 式2
(式中、Rf、R、m、n、およびMは、以上の式1に定義されたとおりである)
として表される。式2で示される好ましい化合物としては、RfがC4もしくはC6のペルフルオロアルキルであり、nが2であり、RがCH2CH2であり、かつmが0、1、または2であるものが挙げられる。
【0018】
式2の種々の実施形態の調製に有用なフッ素化アルコールは、市販品としてまたは合成により入手可能である。フッ素化アルコールC613CH2CH2OHおよびC49CH2CH2OHは、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能である。フッ素化アルコールは、以下のスキーム1:
【0019】
【化1】

【0020】
に従って合成により入手可能である。
【0021】
線状もしくは分岐状のペルフルオロアルキルヨージドを用いたビニリデンフルオリド(VDF)のテロマー化は、周知であり、構造Rf(CH2CF2pI(式中、pは1〜3またはそれ以上であり、かつRfはC1〜C6ペルフルオロアルキル基である)で示される化合物を生成する。たとえば、Balague,et al,“Synthesis of fluorinated telomers,Part 1,Telomerization of vinylidene fluoride with perfluoroalkyl iodides”,J.Flour Chem.(1995),70(2),215−23を参照されたい。スキーム1の特定のテロマーヨージド(V)は、分別蒸留により単離される。米国特許第3,979,469号明細書(Ciba−Geigy、1976年)に記載の手順によりテロマーヨージド(V)をエチレンで処理してテロマーエチレンヨージド(VI)(式中、qは1〜3またはそれ以上である)を得ることが可能である。国際公開第95/11877号パンフレット(Elf Atochem S.A.)に開示された手順に従ってスキーム1のテロマーエチレンヨージド(VI)をオレウムで処理し加水分解して対応するテロマーアルコール(VII)を得ることが可能である。テロマーエチレンヨージド(VI)の高級同族体(q=2、3)は、高圧で過剰のエチレンを用いて入手可能である。J.Fluorine Chemistry,104,2 173−183(2000)に記載の手順に従ってテロマーエチレンヨージド(VI)をさまざまな試薬で処理して対応するチオールを得ることが可能である。一例は、テロマーエチレンヨージド(VI)とナトリウムチオアセテートとの反応、それに続く加水分解である。
【0022】
本発明のさらなる実施形態は、式1(式中、Aは(CH2oSO2N(CH3)(CH2p−である)で示される化合物であり、本明細書中では、式3
f−(CH2oSO2N(CH3)(CH2p−OP(O)(O-+)(OROH) 式3
(式中、Rf、R、o、p、およびMは、以上の式1に定義されたとおりである)
として表される。式3で示される好ましい化合物としては、oおよびpがそれぞれ2であり、RfがC613であり、かつRがCH2CH2であるものが挙げられる。式3で示される化合物の調製に使用されるフルオロアルキルアルコールは、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington DE)から入手可能である。他の選択肢として、フルオロアルキルアルコールRf(CH2oSO2N(CH3)(CH2p−OH、(式中、oおよびpは、以上の式(1)に定義されている)は、水中でのフルオロアルキルエチレンヨージドとチオシアン化カリウムとの反応により調製される。生成物Rf(CH2oSCNは、無色液体として蒸留され、次に、オートクレーブ中、約45〜50℃で数時間にわたる塩素および酢酸との反応により式Rf(CH2oSO2Clを有するフッ素化スルホニルクロリドに変換される。次に、スルホニルクロリドをたとえばN−メチルエタノールアミンなどのアミン化合物と反応させると式Rf(CH2oSO2N(CH3)(CH2p−OHで示されるフッ素化アルコールが得られる。
【0023】
本発明のさらなる実施形態は、式1(式中、AはO(CF2q(CH2)r−である)で示される化合物であり、本明細書中では、式4
f−O(CF2q(CH2r−OP(O)(O-+)(OROH) 式4
(式中、Rf、R、q、r、およびMは、以上の式1に定義されたとおりである)。
として表される。式4で示される好ましい化合物としては、qおよびrがそれぞれ2であり、RfがC37であり、かつRがCH2CH2であるものが挙げられる。
【0024】
式4で示される組成物を製造するための出発材料として使用されるフルオロアルコールは、以下のスキーム2:
【0025】
【化2】

【0026】
で示される一連の反応により入手可能である。
【0027】
スキーム2の式(V)で示される出発物ペルフルオロアルキルエーテルヨージドは、ペルフルオロ−n−プロピルビニルエーテルからの式(V)で示される化合物の調製が開示されている米国特許第5,481,028号明細書の実施例8に記載の手順により製造可能である。
【0028】
スキーム2の第2の反応では、ペルフルオロアルキルエーテルヨージド(V)を高温高圧で過剰のエチレンと反応させる。エチレンの付加は熱的に実施可能であるが、好適な開始剤の使用が好ましい。好ましくは、開始剤は、ベンゾイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、プロピオニルペルオキシド、またはアセチルペルオキシドなどのペルオキシドである。より好ましくは、ペルオキシドはベンゾイルペルオキシドである。反応の温度は、限定されるものではないが、110℃〜130℃の範囲内の温度が好ましい。反応時間は、開始剤および反応条件によって異なりうるが、通常は24時間が適正である。生成物は、最終生成物から未反応出発材料を分離する任意の手段により精製されるが、蒸留が好ましい。ペルフルオロアルキルエーテルヨージド(perfluoalkyl ether iodide)1モルあたり約2.7モルのエチレン、110℃の温度および自生圧力、24時間の反応時間を用いて、かつ蒸留により生成物を精製して、理論量の80%までの満足すべき収率を得た。
【0029】
国際公開第95/11877号パンフレット(Elf Atochem S.A.)に開示された手順に従ってスキーム2のペルフルオロアルキルエーテルエチレンヨージド(VI)をオレウムで処理し加水分解すると対応するアルコール(VII)が得られる。他の選択肢として、ペルフルオロアルキルエーテルエチルヨージドをN−メチルホルムアミドで処理してからエチルアルコール/酸加水分解を行うことが可能である。約130℃〜160℃の温度が好ましい。スキーム2のテロマーエチレンヨージド(VI)の高級同族体(q=2、3)は、高圧で過剰のエチレンを用いて入手可能である。
【0030】
J.Fluorine Chemistry,104,2 173−183(2000)に記載の手順に従ってスキーム2のテロマーエチレンヨージド(VI)をさまざまな試薬で処理すると対応するチオールが得られる。一例は、スキーム2のテロマーエチレンヨージド(VI)とナトリウムチオアセテートとの反応、それに続く加水分解である。また、従来法によりスキーム2のテロマーエチレンヨージド(VI)を処理して対応するチオエタノールまたはチオエチルアミンを得ることも可能である。
【0031】
本発明のさらなる実施形態は、式1(式中、AはOCHFCF2OE−である)で示される化合物であり、本明細書中では、式5
f−OCHFCF2OE−OP(O)(O-+)(OROH) 式5
(式中、Rf、R、E、およびMは、以上の式1に定義されたとおりである)。
として表される。式5で示される好ましい化合物としては、RfがC37でありかつRがCH2CH2であるものが挙げられる。
【0032】
式5で示される組成物を製造するための出発材料として使用されるフルオロアルコールは、アルカリ金属化合物の存在下でジオキサンをジオールと反応させることにより調製される。たとえば、KOHなどのアルカリ金属化合物の存在下で、典型的には約70℃の密封ステンレス鋼反応槽内で約8時間にわたり、式RfOCF=CF2で示されるジオキサンをHO(CH2)OHなどのジオールと反応させる。ジオールは、エーテル1モルあたり約1〜約15モル、好ましくはエーテル1モルあたり約1〜約5モル使用される。好適なアルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ水酸化物、アルカリ水素化物、またはアルカリアミドが挙げられる。好ましいのは、Na、K、もしくはCsなどのアルカリ金属、またはNaHもしくはKHなどのアルカリ水素化物である。反応は、約40℃〜約120℃の温度で行われる。反応は、エーテルやニトリルなどの任意選択の溶媒中で実施可能である。
【0033】
式1で示される本発明に係る化合物は、約18ダイン/cmまたは18mN/m(ミリニュートン/メートル)のきわめて低い表面張力が必要とされる水性配合物で使用するための界面活性剤である。本発明に係る界面活性剤は、「フッ素効率」を提供する。「フッ素効率」という用語は、同一レベルの性能を達成するのにまたは同一レベルのフッ素を用いてより良好な性能をもたせるのにより低比率の高価なフッ素成分が必要されるように、界面活性剤または処理剤の効率を増大させるかまたは性能を改良することを意味する。従来のフッ素化界面活性剤と比較して、本発明に係る界面活性剤のフッ素含有率は、従来のフッ素化界面活性剤よりも約50%〜約70%少ない。
【0034】
式(1)で示される上記の化合物は、非常に低濃度で表面張力を低下させるフッ素化ホスフェート界面活性剤である。媒体中、典型的には液体中のそのような表面張力値は、約0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満の媒体中界面活性剤濃度で、約25ミリニュートン/メートル未満、好ましくは約20ミリニュートン/メートル未満である。界面活性剤は、界面上への選択吸着により表面張力を低濃度で低下させるその効率により特徴付けられ、これは界面活性剤の両親媒性によって決まる。「両親媒性」という用語は、2つの異なる種類の媒体への引力を意味する。界面活性剤は、水溶性親水性部分と水不溶性疎水性部分とを含む。
【0035】
本発明はさらに、以上に記載の式1で示される組成物に媒体を接触させることを含む、水性媒体の表面張力を低下させる方法を包含する。広範にわたるさまざまな媒体はいずれも、本発明に係る方法で使用するのに好適である。典型的には、媒体は液体である。好ましいのは、水系、炭化水素系、およびハロカーボン系である。好適な媒体の例としては、塗料組成物、ラテックス、ポリマー、床仕上げ剤、インク、乳化剤、起泡剤、離型剤、撥剤、流動調整剤、膜蒸発抑制剤、湿潤剤、浸透剤、清浄剤、研削剤、電気メッキ剤、腐食抑制剤、エッチャント溶液、半田剤、分散助剤、微生物剤、パルプ化助剤、濯ぎ助剤、研磨剤、パーソナルケア組成物、乾燥剤、帯電防止剤、床磨き剤、または結合剤が挙げられる。本発明に係る組成物を媒体に添加すると、本発明に係る組成物の界面活性剤の性質により媒体の表面張力が低下する。本発明に係る組成物は、典型的には、単に媒体とブレンドされるかまたは媒体に添加される。表面張力を約22mN/m未満に、好ましくは約20nM/m未満に、より好ましくは約18mN/m未満に低下させるには、約0.1重量%の低濃度の界面活性剤で十分である。
【0036】
本発明はさらに、式1で示される化合物を基材上への堆積前に塗料ベースに添加することを含む、被覆基材に撥汚性、均展性、および耐ブロッキング性を付与する方法を包含する。本明細書中で用いられる「均展性」とは、基材に適用した時の塗料の被覆の均一性を意味する。ストリーキング、表面欠陥、または縁もしくはそれ以外で基材表面からの塗料の離脱を有することは望ましくない。均一な塗料は、基材表面上に優れた乾燥塗膜を提供するであろう。「ブロッキング」とは、塗料が乾燥した後、長期間にわたり押圧一体化させた時または互いに接触した状態で配置した時、2つの被覆表面が望ましくない固着一体化を起こすことである。ブロッキングが起こった場合、表面を分離すると一方もしくは両方の表面上の塗膜が破損する可能性がある。したがって、耐ブロッキング性は、窓枠のように2つの被覆表面を接触させる必要のある多くの状況で有益である。
【0037】
好適な塗料組成物(本明細書中では「塗料ベース」という用語により参照される)は、アルキド塗料、タイプIウレタン塗料、不飽和ポリエステル塗料、または水分散塗料の組成物(典型的には液体配合物)を包含し、基材表面上に耐久性膜を形成する目的で基材に適用される。これらは、従来のペイント、染色液、および類似の塗料組成物である。
【0038】
本明細書中で用いられる「アルキド塗料」という用語は、アルキド樹脂をベースとする従来の液体塗料、典型的には、ペイント、クリア塗料、または染色液を意味する。アルキド樹脂は、不飽和脂肪族酸残基を含有する複雑な分岐状架橋型ポリエステルである。従来のアルキド塗料では、バインダーまたは膜形成成分として硬化性もしくは乾性のアルキド樹脂が利用される。アルキド樹脂塗料は、乾性油から誘導される不飽和脂肪族酸残基を含有する。これらの樹脂は、酸素または空気の存在下で自発重合して固体保護膜を形成する。重合は、「乾燥」または「硬化」と呼ばれ、大気中の酸素による油の脂肪族酸成分中の不飽和炭素−炭素結合の自動酸化の結果として起こる。配合アルキド塗料の薄い液体層として表面に適用した場合、形成される硬化膜は、比較的硬質で、非融解性であり、かつ未酸化のアルキド樹脂または乾性油に対して溶媒または希釈液として作用する多くの有機溶媒に実質的に不溶である。そのような乾性油は、油性塗料用の原料として使用されており、文献に記載されている。
【0039】
これ以降で用いられる「ウレタン塗料」という用語は、タイプIウレタン樹脂をベースとする従来の液体塗料、典型的には、ペイント、クリア塗料、または染色液を意味する。ウレタン塗料は、典型的には、ポリイソシアネート、通常はトルエンジイソシアネートと、乾性油酸の多価アルコールエステルと、の反応生成物を含有する。ウレタン塗料は、ASTM D−1により5つのカテゴリーに分類される。タイプIウレタン塗料は、先に引用したSurface Coatings Vol.Iに記載の予備反応型自動酸化性バインダーを含有する。これらはまた、ウラルキド、ウレタン変性アルキド、油変性ウレタン、ウレタン油、またはウレタンアルキドとしても知られ、ポリウレタン塗料のうちで最大のカテゴリーであり、ペイント、クリア塗料、または染色液を含む。硬化塗膜は、バインダー中の不飽和乾性油残基の空気酸化および重合により形成される。
【0040】
これ以降で用いられる「不飽和ポリエステル塗料」という用語は、モノマー中に溶解されかつ必要に応じて開始剤および触媒を含有する、不飽和ポリエステル樹脂をベースとする従来の液体塗料を意味し、典型的には、ペイント、クリア塗料、またはゲルコート配合物である。不飽和ポリエステル樹脂は、1,2−プロピレングリコールや1,3−ブチレングリコールなどのグリコールと、無水物形のマレイン酸などの不飽和酸(またはマレイン酸および飽和酸たとえばフタル酸)と、の縮合重合から得られた生成物を不飽和プレポリマーとして含有する。不飽和プレポリマーは、鎖中に不飽和を含有する線状ポリマーである。これを好適なモノマー中たとえばスチレン中に溶解させると最終樹脂が得られる。膜は、フリーラジカル機構を利用して線状ポリマーとモノマーとの共重合により生成される。フリーラジカルは、熱により、またはより一般的にはベンゾイルペルオキシドなどのペルオキシド(個別にパッケージ化され使用前に添加される)の添加により、発生可能である。そのような塗料組成物は、「ゲルコート」仕上げ剤と呼ばれることが多い。室温で塗料を硬化させるために、ペルオキシドからフリーラジカルへの分解は、特定の金属イオン、通常はコバルトにより触媒される。ペルオキシドの溶液およびコバルト化合物の溶液は、適用前に個別に混合物に添加され十分に撹拌される。フリーラジカル機構により硬化する不飽和ポリエステル樹脂はまた、たとえば紫外光を用いる照射硬化にも適している。熱が発生しないこの形態の硬化は、木材上または板上の膜にとくに適している。他の線源たとえば電子ビームによる硬化もまた、使用される。
【0041】
本明細書中で用いられる「水分散塗料」という用語は、基材の加飾または保護を目的とし必須分散成分として水を含む塗料、たとえば、水性相中に分散された膜形成材料のエマルジョン、ラテックス、またはサスペンジョンを意味する。「水分散塗料」は、いくつかの配合物を記述し以上に記載の分類に属するものさらには他の分類に属するものを含む大まかな分類である。一般的な水分散塗料は、他の共通の塗料成分を含有する。水分散塗料は、ラテックスペイントなどの顔料着色塗料、ウッドシーラーなどの非顔料着色塗料、染色液、および仕上げ剤、メーソンリー用およびセメント用の塗料、ならびに水系アスファルトエマルジョンにより例示されるが、これらに限定されるものではない。水分散塗料は、場合により、界面活性剤、保護コロイドおよび増粘剤、顔料および体質顔料、保存剤、殺菌類剤、凍結−解凍安定剤、消泡剤、pH調整剤、融合助剤、および他の成分を含有する。ラテックスペイントでは、膜形成材料は、アクリレートアクリル、ビニルアクリル、ビニル、またはそれらの混合物のラテックスポリマーである。そのような水分散塗料組成物は、C.R.Martensにより“Emulsion and Water−Soluble Paints and Coatings”(Reinhold Publishing Corporation,New York,NY,1965)に記載されている。
【0042】
本明細書中で用いられる「乾燥塗膜」という用語は、塗料組成物が乾燥、固化、または硬化した後で得られる最終的な加飾膜および/または保護膜を意味する。そのような最終膜は、たとえば、硬化、融合、重合、相互侵入、放射線硬化、UV硬化、または蒸発により達成可能であるが、これらに限定されるものではない。最終膜はまた、乾式塗布の場合のように乾燥最終状態で適用することも可能である。
【0043】
塗料ベースへの添加剤として使用する場合、以上に定義された式1で示される本発明に係る化合物は、室温または周囲温度で十分に撹拌することにより塗料ベースまたは他の組成物に効果的に導入される。機械的振盪機を使用するかまたは熱もしくは他の方法を提供するなどにより、より念入りな混合を利用することが可能である。そのような方法は必要ではなく、最終組成物を実質的に改良しない。ラテックスペイントへの添加剤として使用する場合、本発明に係る組成物は、一般的には、湿潤ペイント中の本発明に係る組成物が乾燥重量基準で約0.001重量%〜約5重量%になるように添加される。好ましくはおよそ約0.01重量%〜約1重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約0.5重量%が使用される。
【0044】
床ワックス、床磨き剤、または床仕上げ剤(これ以降では「床仕上げ剤」)は、一般的には、水系または溶媒系のポリマーエマルジョンである。本発明に係る式lで示される界面活性剤は、そのような床仕上げ剤で使用するのに好適である。市販の床仕上げ剤組成物は、典型的には、1種以上の有機溶媒、可塑剤、塗布助剤、消泡剤、界面活性剤、ポリマーエマルジョン、金属錯化剤、およびワックスを含む水性エマルジョン系ポリマー組成物である。通常、ポリマーの粒子サイズ範囲および固形分含有率を制御して、生成物粘度、膜硬度、および耐劣化性を制御する。極性基を含有するポリマーは、溶解性を向上させるように機能し、湿潤剤または均展剤としても作用して高い光沢および反射像の鮮明さなどの良好な光学的性質を提供しうる。
【0045】
床仕上げ剤で使用するための好ましいポリマーとしては、アクリルポリマー、環状エーテルから誘導されるポリマー、およびビニル置換型芳香族化合物から誘導されるポリマーが挙げられる。アクリルポリマーとしては、種々のポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)、ヒドロキシル置換型ポリ(アルキルアクリレート)、およびヒドロキシル置換型ポリ(アルキルメタクリレート)が挙げられる。床仕上げ剤で使用される市販のアクリルコポリマーとしては、たとえば、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタクリル酸(MMA/BA/MAA)コポリマー、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/アクリル酸(MMA/BA/AA)コポリマーなどが挙げられる。市販のスチレン−アクリルコポリマーとしては、スチレン/メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタクリル酸(S/MMA/BA/MMA)コポリマー、スチレン/メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/アクリル酸(S/MMA/BA/AA)コポリマーなどが挙げられる。環状エーテルから誘導されるポリマーは、通常は環中に2〜5個の炭素原子を含有し、場合により環上にアルキル基が置換されている。例としては、種々のオキシラン化合物、オキセタン化合物、テトラヒドロフラン化合物、テトラヒドロピラン化合物、ジオキサン化合物、トリオキサン化合物、およびカプロラクトンが挙げられる。ビニル置換型芳香族化合物から誘導されるポリマーとしては、たとえば、スチレン化合物、ピリジン化合物、共役ジエン化合物から製造されるポリマー、およびそれらのコポリマーが挙げられる。ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、およびポリシロキサンもまた、床仕上げ剤で使用される。
【0046】
床仕上げ剤で使用されるワックスまたはワックスの混合物としては、植物起源、動物起源、合成起源、および/または鉱物起源のワックスが挙げられる。代表的なワックスとしては、たとえば、カルナバ、カンデリラ、ラノリン、ステアリン、ビーズワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリエチレンエマルジョン、ポリプロピレン、エチレンとアクリル酸エステルとのコポリマー、水素化ヤシ油または水素化ダイズ油、およびパラフィンやセレシンなどのミネラルワックスが挙げられる。ワックスは、典型的には、仕上げ剤組成物の重量を基準にして0〜約15重量パーセント、好ましくは約2〜約10重量%の範囲内である。
【0047】
床仕上げ剤への添加剤として使用する場合、以上に定義された式1で示される本発明に係る組成物は、室温または周囲温度で十分に撹拌することにより組成物に効果的に導入される。機械的振盪機を使用するかまたは熱もしくは他の方法を提供するなどにより、より念入りな混合を利用することが可能である。床仕上げ剤への添加剤として使用する場合、本発明に係る組成物は、一般的には、湿潤組成物中の本発明に係る組成物が乾燥重量基準で約0.001重量%〜約5重量%になるように添加される。好ましくはおよそ約0.01重量%〜約1重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約0.5重量%が使用される。
【0048】
床ワックスまたは床磨き剤は、水系、溶媒系、およびポリマーである。本発明に係る界面活性剤は、これらのいずれで使用するのにも好適である。水系ワックスおよびポリマーワックスは、バフ研磨を行わないでも乾燥すると高い光沢を生じる。溶媒系ワックスは、強力なバフ研磨を必要とする。水系ワックスは、アスファルト床、ビニル床、ビニルアスベスト床、およびゴムタイル張りの床に推奨され、溶媒系ワックスは、硬質光沢仕上げを施し、木材床、コルク床、およびテラゾ床に最良である。ポリマーや樹脂などの自己研磨性ワックスは、往来の多い場所では黄変または変色して消失するであろうから、3回もしくは4回塗布した後、引き剥がして再適用しなければならない。
【0049】
本発明はさらに、以上に定義された式1で示される化合物に媒体を接触させることを含む、媒体中で起泡を行う方法を包含する。本発明に係る式1で示される化合物は、典型的には、単に媒体とブレンドされるかまたは媒体に添加される。本発明に係る界面活性剤は、水性、食塩水、酸性、および塩基性の媒体中で安定である。起泡を行うための添加剤として使用する場合、式1で示される本発明に係る化合物は、室温または周囲温度で十分に撹拌することにより媒体に効果的に導入される。機械的振盪機、機械的撹拌機を使用するか、または熱もしくは他の方法を提供するなどにより、より念入りな混合を利用することが可能である。より強力な攪拌を行えば、典型的には、より多量の泡を生じるであろう。起泡を行うためには、最小限の約0.01重量%、好ましくは0.02重量%、より好ましくは0.1%の低い媒体中界面活性剤濃度で十分である。
【0050】
本発明に係る方法で使用される界面活性剤は、泡を発生することおよびある時間にわたり水性溶液中で安定な泡を保持することの両方が可能である。起泡の度合いおよび安定な泡が保持される時間は、種々の用途に有用である。起泡は、清浄剤用の添加剤、起泡用の掘削流体添加剤、および油田刺激作業用の流体添加剤として使用されるフルオロ界面活性剤の重要な性質である。清浄溶液では、泡は、多くの場合、表面上への活性清浄成分の付着を促進する。水系または溶媒系の掘削流体は、掘削時に起泡するので、ドリルビットの周りで坑井からの微粉を除去するのに役立つ。フルオロ界面活性剤の添加により掘削流体の起泡性が増強される。これらの微粉が効率的に除去されない場合、ドリルビットヘッドが損傷して時間と費用がかかる可能性がある。フルオロ界面活性剤はまた、油井およびガス井の坑井生産性を回復または増強するために行われる液圧破砕処理や石基処理などの坑井処理時に刺激流体の性質を増強する。本発明に係る式1で示される界面活性剤および起泡を行う方法は、これらの用途に有用である。
【0051】
本発明に係る式1で示される界面活性剤および起泡を行う方法はまた、腐食性(酸性もしくはも塩基性)媒体を必要とする用途に有用である。そのような用途の例としては、電子部品もしくは光起電部品の製造時のまたは腐食性清浄溶液中でのエッチングプロセスが挙げられる。腐食性清浄剤およびエッチング用途では、長時間にわたり持続可能な泡を発生する添加剤を有することは望ましくない。そのような持続する泡は、廃棄処理時に脱泡剤の使用を必要とし、製造プロセス時に厄介な問題を生じる可能性がある。したがって、強酸性および強塩基性の条件で長時間にわたり持続することなく迅速に崩壊する起泡を行うことが望ましい。本発明に係る式1で示される界面活性剤および起泡を行う方法は、腐食性媒体中で迅速に崩壊する泡を提供する。本発明に係る方法により提供された泡は、酸性もしくは塩基性の媒体中で約15分間で、好ましくは約10分間で、より好ましくは約5分間で崩壊する。したがって、本発明に係る式1で示される界面活性剤および起泡を行う方法は、これらの用途に有用である。
【0052】
全体的に見て、本発明に係る式1で示される界面活性剤および方法は、広範にわたるさまざまな最終用途に有用である。本発明に係る界面活性剤は、水中で0.5重量%未満などの低濃度で界面活性剤の作用を有する化合物を提供する。本発明に係る化合物は、より少ないフッ素を含有するか(改良されたフッ素効率)、より低い表面張力を有するか、または従来のフルオロアルキル界面活性剤とほぼ同等である。本発明に係る化合物は、同一レベルの性能を達成するのにより少ないフッ素を用いて、撥性、均展性、および耐ブロッキング性などの表面性を改質するという利点を提供するか、または先行技術の組成物と同一レベルのフッ素を用いてより良好な性能を提供する。したがって、界面活性剤の特性の改良により界面活性剤製品の性能が改良されると同時に全体的製造コストが削減される。本発明に係る界面活性剤はまた、食塩水中および酸や塩基などの腐食性媒体中で安定であるという利点を提供する。この安定性は、ホスフェート官能性界面活性剤では予想外である。この安定性は、界面活性剤がさまざまな用途で表面活性および起泡性を提供するのに有用であることを意味する。
【0053】
材料および試験方法
以下の材料および試験方法を本発明の実施例で使用した。
【0054】
1) Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なC613CH2CH2OH
【0055】
2) C49CH2CF2CH2CH2OH
エチレン(25g)をC49CH2CF2I(217g)およびd−(+)−リモネン(1g)が仕込まれたオートクレーブに導入し、反応器を240℃で12時間加熱した。生成物を真空蒸留により単離してC49CH2CF2CH2CH2Iを得た。発煙硫酸(70mL)を50gのC49CH2CF2CH2CH2Iに徐々に添加し、混合物を60℃で1.5時間撹拌した。氷冷された1.5wt%のNa2SO3水性溶液で反応を停止させ、95℃で0.5時間加熱した。底層を分離し、10wt%の水性ナトリウムアセテートで洗浄し、そして蒸留してC49CH2CF2CH2CH2OH:bp54〜57℃@2mmHg(267パスカル)を得た。
【0056】
3) C37OCF2CF2CH2CH2OH
37OCF2CF2I(100g、0.24mol)およびベンゾイルペルオキシド(3g)を窒素下で槽内に仕込んだ。次に、一連の3回の真空/窒素ガスシーケンスを−50℃で実施し、エチレン(18g、0.64mol)を導入した。槽を110℃で24時間加熱した。オートクレーブを0℃に冷却し、脱ガス後に開放した。次に、生成物を瓶中に捕集した。生成物を蒸留して80%の収率で80gのC37OCF2CF2CH2CH2Iを得た。沸点は、25mmHgの圧力(3325Pa)で56〜60℃であった。
【0057】
37OCF2CF2CH2CH2I(300g、0.68mol)とN−メチル−ホルムアミド(300mL)との混合物を150℃で26時間加熱した。次に、反応系を100℃に冷却し、続いて、水を添加して粗エステルを分離した。エチルアルコール(77mL)およびp−トルエンスルホン酸(2.59g)を粗エステルに添加し、反応系を70℃で15分間撹拌した。次に、エチルホルメートおよびエチルアルコールを留去して粗生成物を得た。粗生成物をエーテル中に溶解させ、水性亜硫酸ナトリウム、水、および食塩水で順次洗浄し、次に、硫酸マグネシウムで脱水した。次に、生成物を蒸留して85%の収率で199gのC37OCF2CF2CH2CH2OHを得た。沸点は、40mmHg(5320Pa)で71〜73℃であった。
【0058】
4) Rohm & Haas,(Philadelphia,PA)から入手可能なRHOPLEX 3829、配合物N−29−1
【0059】
5) MABペイントは、M.A.Bruder and Sons,Inc.(Broomall,PA)から入手可能な85度で84%の光沢のアクリル半光沢樹脂を有するペイントである。
【0060】
6) TERGITOL 15−S−9は、Sigma Aldrich,(St.Louis,MO)から入手可能である。
【0061】
7) 1,3−プロパンジオールおよびポリ(1,3−1,3−プロパンジオール)は、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能である。
【0062】
8) テトラ(エチレン)グリコールおよびポリ(エチレングリコール)は、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能である。
【0063】
試験方法1 − 湿潤性および均展性の試験
サンプルの性能をその湿潤能力および均展能力で試験するために、サンプルを床磨き剤(Rohm & Haas(Philadelphia,PA)から入手可能なRHOPLEX 3829、配合物N−29−1)に添加した。タイルを湿潤させ、粉末状酸素漂白クレンザーを添加し、そして3M Company(St.Paul,MN)から入手可能な緑色SCOTCH−BRITE研磨パッドを用いてスクラブすることにより、Estrie(Sherbrooke,QC Canada)製のInterfuse Vinyl Tileから入手可能な12インチ×12インチ(30.36cm×30.36cm)のビニルタイルを十分に清浄化した。このスクラビング手順を用いてタイル上の既存の塗膜を除去した。最初に、タイルに均一光沢仕上げを施し、均一ダル仕上げが得られたことから塗膜除去が示唆された。次に、タイルを一晩空気乾燥させた。脱イオン水中に希釈することにより試験対象の界面活性剤の1重量%溶液を調製した。樹脂製造業者のプロトコルに従って、RHOPLEX 3829 N−29−1配合物100gを調製し、続いて、0.75gの1重量%界面活性剤溶液を添加して試験用床磨き剤を得た。
【0064】
試験用磨き剤3mLをタイルの中央に配置し、チーズクロスアプリケーターを用いて上端から下端まで展延し、最後に、アプリケーターを用いてタイルを横切って大きい「X」を描くことにより、試験用床磨き剤をタイルに適用した。「X」は、後で、評価工程で均展性の視覚的証拠を提供する。18×36インチ(46×91cm)の二層シートのチーズクロス(VWR(West Chester PA)製)を2回折り畳んで八層パッドの形態にしてアプリケーターを作製した。次に、パッドの1つのコーナーをアプリケーターとして使用した。タイルを30分間乾燥させ、合計5回の塗布(塗膜番号1〜5)の適用および乾燥を行って、それぞれ塗膜が乾燥した後、X試験を行った。各塗布後、タイル表面上の磨き剤の湿潤性および均展性を促進する界面活性剤の能力に関して1〜5の尺度(1が最悪、5が最良である)でタイルを評価した。添加された界面活性剤を含有していない床磨き剤で処理したタイルとの比較に基づいて、以下のタイル評価尺度を用いて等級を決定した。
【0065】
【表1】

【0066】
試験方法2 − 表面張力測定
装置の説明書に基づいてKRUSS K11 Version 2.501テンシオメーター(KRUSS USA(Matthews NC))を用いてWilhelmyプレート法によりAmerican Society for Testing and Materials ASTM # D1331−56に従って表面張力を測定した。既知の外周の鉛直プレートを天秤に取り付けて、湿潤に起因する力を測定した。脱イオン水中の固形分基準の添加剤の重量で試験対象の各実施例を脱イオン水に添加した。他の選択肢として、脱イオン水中2重量%のKCl、脱イオン水中15重量%のHCl、または脱イオン水中15重量%のKOHに、それぞれ脱イオン水中の固形分基準の実施例の重量で試験対象の各実施例を添加した。いくつかの異なる濃度を用意した。各希釈液で10回の反復試験を行い、以下の機械設定値を用いた。
【0067】
方法: プレート法SFT
間隔: 1.0s
湿潤長さ: 40.2mm
読取り限界: 10回
最小標準偏差: 2ダイン/cm
重力加速度: 9.80665m/s2
結果は、1ダイン/cm未満の標準偏差でmN/m(ダイン/cm)単位であった。製造業者の推奨基準に従ってテンシオメーターを使用した。
【0068】
試験方法3 − 接触角
A.W.AdamsonによりThe Physical Chemistry of Surfaces,Fifth Edition,Wiley & Sons,New York,NY,1990に記載された静滴法により接触角を測定した。接触角を測定するための装置および手順に関する追加情報は、R.H.Dettreらにより“Wettability”,Ed.by J.C.Berg,Marcel Dekker,New York,NY,1993に提供されている。
【0069】
静滴法では、Rame−Hart光学ベンチ(Rame−Hart Inc.(43 Bloomfield Ave.,Mountain Lakes,NJ)から入手可能)を用いて基材を水平位置に保持した。同一製造業者製の望遠鏡型ゴニオメーターを用いて規定の温度で接触角を測定した。ペイント中の添加剤が固形分基準で0.018重量%になるように試験対象の各実施例をMABペイントに添加した。1滴の試験液をポリエステルスクラブ試験パネル(Leneta P−121無光沢黒色または同等品、Leneta Company(Mahwah,NJ))上に配置し、液滴と表面との接触点で接線を正確に決定した。液滴のサイズを増加させることにより前進角を決定した。前進接触角としてデータを提示した。
【0070】
有機液体接触角と表面の清浄性および埃保持性との関係は、A.W.Adamsonにより前掲文献に記載されている。一般的には、より大きいヘキサデカン接触角は、表面がより大きな撥埃性および撥汚性ならびにより容易な表面清浄性を有することを示唆する。
【0071】
試験方法4 − 建築用ラテックスペイントの耐ブロッキング性
本明細書中に記載の試験方法は、ASTM D4946−89、建築用ペイントの耐ブロッキング性の標準的試験方法(参照により本明細書に明示的に組み入れられるものとする)の変法である。この試験では試験対象のペイントの面間の耐ブロッキング性を評価した。ブロッキングは、この試験の目的では、長期間にわたり押圧一体化させた時または互いに接触した状態で配置した時の2つの塗装表面の望ましくない固着一体化として定義される。
【0072】
ペイント中の添加剤が固形分基準で0.018重量%になるように試験対象の各実施例をペイントに添加した。使用したペイントは、M.A.Bruder and Sons,Inc.(Broomall,PA)から入手可能なMABペイントであった。アプリケーターブレードを用いて試験対象のペイントをポリエステル試験パネル上にキャストした。グリース、油、指紋、ダストなどのような表面汚染からすべての塗装パネルを保護した。典型的には、ペイントのキャストの24時間後に結果を求めた。以上で参照したASTM試験法に規定される制御された温度および湿度の空調室内で所望時間にわたりパネルを状態調節した後、塗装された試験パネルから6つの正方形(3.8cm×3.8cm)を切り抜いた。試験対象のペイントのそれぞれについて塗装表面が対面するように切抜き部分(3対)を配置した。50℃のオーブン内の大理石トレー上に対面試験片を配置した。短いほうの直径を試験片に接触させてno.8ストッパーを上に配置し、次に、1000gの錘をストッパーの上に配置した。この結果、試験片上に1.8psi(12,400パスカル)の圧力が加わった。試験される各試験片に対して1つの錘およびストッパー
ーを使用した。正確に30分後、ストッパーおよび錘を試験試料から取り除いて、試験試料をオーブンから取り出し、耐ブロッキング性を決定する前に空調室内で30分間冷却させた。
【0073】
冷却後、緩速かつ定常的な力で引き剥がすことにより試験片を分離した。方法の実施者により決定される主観的粘着性評価(塗装された試験片の分離の際に発生する音)または封着(2つの塗装表面の完全な接着)に対応して耐ブロッキング性を0〜10で評価した。粘着の度合いを実際に聞き分けるために、試験片を耳の近くに置いた。等級体系は、以下の耐ブロッキング性の数値等級という表題の表2に記載されている。試験片の外観および接着する塗装表面の割合から封着の度合いを推定した。試験パネル裏張りからのペイントの引裂き分離は、封着の指標であった。数値が大きいほど、耐ブロッキング性が良好であることが示唆された。
【0074】
【表2】

【0075】
試験方法5 − ブレンダー起泡試験
油田用途のフルオロ界面活性剤の起泡を評価するために使用した試験手順は、ブレンダー起泡試験ASTM D3519−88 − 水性媒体中の泡に関する標準的試験方法(ブレンダー試験)の変法である。この試験では、泡を発生させてある時間にわたり水性溶液中で安定な泡を保持するサンプルの能力は評価した。ブレンダー、メスシリンダー、ガラスサンプル瓶、およびストップウォッチが、必要な用具であるにすぎなかった。最初に、試験ベース溶液のストック溶液を作製した。これらの溶液は、硬水、水道水、脱イオン水、または人工海水であった。所望のベース試験溶液中0.1%の活性成分で100mLの試験対象のフルオロ界面活性剤のサンプルを調製し、完全な混合を確保すべく一晩攪拌した。大量の脱イオン水を用いてブレンダーを清浄化した。清浄化後、使用に供すべくブレンダーを組み立てた。100mLの試験流体サンプルをブレンダージャー中に注加した。温度計を用いて試験流体の温度を測定し記録した。次に、ブレンダーを50〜60%のパワーで20秒間動作させた。20秒後、ただちに液体および泡を500mLメスシリンダー中に注加した。初期の液体および泡の高さをmL単位で測定し、タイマーをスタートさせた。これを時間ゼロにおける最大全泡高さと記した。メスシリンダーを非擾乱状態で放置した。ストップウォッチをスタートさせた5分後、10分後、および15分後、さらなる液体および泡の高さ(mL単位)の測定を行った。それに加えて、泡の半減期も記録した。半減期は、液体の半分がメスシリンダーの底に流出した時間であった。この時間の間、緻密もしくは希薄な泡および泡の持続性などのような泡のいかなる観察結果をも記録した。泡の高さ(mL単位)が高いほど、サンプルがより多く起泡することが示唆された。泡の高さ(mL)が一貫して高いことから、持続性の泡であることが実証された。サンプルが生成した泡の量さらにはサンプルがその泡の持続性を示した泡の量の指標としてブレンダー起泡試験を使用した。
【0076】
試験方法6 − 窒素バブリング泡試験
清浄化およびエッチングの用途の酸性および塩基性の溶液中でフルオロ界面活性剤の起泡を評価するために窒素バブリング泡試験手順を用いた。最初に、試験ベース溶液のストック溶液を作製した。これらの溶液は、15%HClおよび15%KOHであった。所望のベース試験溶液中0.1%の活性成分で20mLの試験対象のフルオロ界面活性剤のサンプルを調製し、完全な混合を確保すべく一晩攪拌した。次に、サンプル溶液を100mLメスシリンダー(ガラス)に添加した。次に、窒素を溶液中に通してバブリングし、20〜30秒間でシリンダーを満たす速度で泡を生成させた。窒素を溶液中に通してバブリングするためにフリットガラスチューブを使用した。泡がシリンダーの上端に到達した時、窒素を停止し、タイマーをスタートさせた。30秒後、5分後、10分後、および15分後、mL単位で泡および液体の高さを測定した。泡の質および持続性の観察結果をも記録した。サンプルが生成した泡の量およびその泡の持続性の指標として窒素バブリング泡試験を用いた。
【0077】
試験方法7 − Wickboldトーチ法(フッ素分析用)
フッ素化化合物の定量的鉱化の効率的なプロセスは、Wickboldトーチ燃焼法である。この方法(Angew Chem.66(1954)173に詳細に記載されている)は、フッ素含有化合物では化合物に依存しないことが実証された。このプロセスでは、分析サンプルをセラミックス槽内に配置し、典型的には、強力な酸素流中で外部加熱することによりサンプルを完全燃焼させた。燃焼が完全燃焼になるように、ガス状反応生成物を過剰酸素と共に補助水素/酸素炎中に通した。次に、ガス状流出物を凝縮させ、フッ素化物を水性流中に溶解させ、分析のために捕集した。次に、典型的にはフッ化物イオン選択性電極を用いて、水性フッ素化物は容易に測定された。
【実施例】
【0078】
実施例1
五酸化リン(2.52g、0.018mol)を80℃でC613CH2CH2OH(5g、0.014mol)に添加し、反応系を105℃に6時間加熱した。プロパンジオール(3.14g、0.041mol)を95℃で反応混合物に添加して3.5時間攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(2.11g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(2.49mL、0.04mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(77.5mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0079】
実施例2
五酸化リン(1.51g、0.011mol)を80℃でC613CH2CH2OH(2g、0.0055mol)に添加し、反応系を105℃に6時間加熱した。プロパンジオール(2.09g、0.0275mol)を95℃で反応混合物に添加して3.5時間攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(1.26g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(1.49mL、0.024mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(46.5mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0080】
実施例3
五酸化リン(1.51g、0.011mol)を80℃でC613CH2CH2OH(4g、0.011mol)に添加し、反応系を105℃に12時間加熱した。ポリエチレングリコール(MW200:4.4g、0.022mol)を100℃で反応混合物に添加して12時間攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(1.37g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(1.49mL、0.024mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(46.5mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0081】
実施例4
五酸化リン(1.33g、0.0096mol)を80℃でC613CH2CH2OH(3.5g、0.0096mol)に添加し、反応系を105℃に12時間加熱した。ポリエチレングリコール(MW300:5.77g、0.019mol)を95℃で反応混合物に添加して12時間攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(1.24g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(1.31mL、0.021mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分撹拌した。水(46.7mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。また、試験方法2に従って、2%KCl中、15%HCl中、および15%KOH中の表面張力に関して、生成物を試験した。結果は、表7〜9に列挙されている。それに加えて、試験方法5および6を用いて起泡に関して生成物を試験した。結果は、表10〜12にある。
【0082】
実施例5
五酸化リン(1.26g、0.0092mol)を80℃でC613CH2CH2OH(4g、0.011mol)に添加し、反応系を105℃に12時間加熱した。ポリエチレングリコール(MW400:6.59g、0.016mol)を100℃で反応混合物に添加して12時間攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(1.22g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(1.24mL、0.020mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(38.8mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。また、試験方法2に従って、2%KCl中、15%HCl中、および15%KOH中の表面張力に関して、生成物を試験した。結果は、表7〜9に列挙されている。それに加えて、試験方法5および6を用いて起泡に関して生成物を試験した。結果は、表10〜12にある。
【0083】
実施例6
五酸化リン(1.01g、0.0073mol)を80℃でC613CH2CH2OH(4g、0.011mol)に添加し、反応系を105℃に12時間加熱した。ポリエチレングリコール(MW600:6.59g、0.011mol)を100℃で反応混合物に添加して12時間攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(1.03g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(1.0mL、0.016mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(31mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。また、試験方法2に従って、2%KCl中、15%HCl中、および15%KOH中の表面張力に関して、生成物を試験した。結果は、表7〜9に列挙されている。それに加えて、試験方法5および6を用いて起泡に関して生成物を試験した。結果は、表10〜12にある。
【0084】
実施例7
五酸化リン(1.58g、0.011mol)を80℃でC613CH2CH2OH(5g、0.014mol)に添加し、反応系を105℃に12時間加熱した。ポリプロピレンジオール(MW250:5.15g、0.021mol)を100℃で反応混合物に添加して12時間攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(1.46g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(1.56mL、0.025mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(48.5mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0085】
実施例8
五酸化リン(1.18g、0.0086mol)を80℃でC613CH2CH2OH(5g、0.014mol)に添加し、反応系を105℃に12時間加熱した。ポリプロピレンジオール(MW650:7.82g、0.0086mol)を100℃で反応混合物に添加して12時間攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(1.21g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(1.17mL、0.019mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(36.3mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0086】
実施例9
五酸化リン(1.08g、0.0076mol)を80℃でC49CH2CF2CH2CH2OH(2.5g、0.0076mol)に添加し、反応系を105℃に6時間加熱した。プロパンジオール(1.16g、0.015mol)を95℃で反応混合物に添加して一晩攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(0.90g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(1.04mL、0.017mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(32mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0087】
実施例10
五酸化リン(1.08g、0.0076mol)を80℃でC3F7OC24CH2CH2OH(2.5g、0.0076mol)に添加し、反応系を105℃に6時間加熱した。プロパンジオール(1.15g、0.015mol)を95℃で反応混合物に添加して一晩攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(0.89g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(0.94mL、0.017mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(32mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0088】
実施例11
五酸化リン(0.77g、0.0054mol)を80℃でC49CH2CF2CH2CH2OH(2.5g、0.0076mol)に添加し、反応系を105℃に12時間加熱した。ポリプロピレンジオール(MW250:2.16g、0.0086mol)を100℃で反応混合物に添加して12時間攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(0.69g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(0.73mL、0.012mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(23mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0089】
実施例12
五酸化リン(0.77g、0.0054mol)を80℃でC37OC24CH2CH2OH(2.5g、0.0076mol)に添加し、反応系を105℃に12時間加熱した。ポリプロピレンジオール(MW250:2.16g、0.0086mol)を100℃で反応混合物に添加して12時間攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(0.67g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(0.73mL、0.012mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(23mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0090】
実施例13
五酸化リン(0.72g、0.0051mol)を80℃でC49CH2CF2CH2CH2OH(2.5g、0.0076mol)に添加し、反応系を105℃に12時間加熱した。ポリエチレングリコール(MW600:4.57g、0.0076mol)を95℃で反応混合物に添加して一晩攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(0.71g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(0.69mL、0.011mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(31mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0091】
実施例14
五酸化リン(0.72g、0.005mol)を80℃でC37OC24CH2CH2OH(2.5g、0.0076mol)に添加し、反応系を105℃に12時間加熱した。ポリエチレングリコール(MW600:4.57g、0.0076mol)を95℃で反応混合物に添加して一晩攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(0.70g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(0.69mL、0.011mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(30mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0092】
実施例15
五酸化リン(1.26g、0.0092mol)を80℃でC613CH2CH2OH(2.5g、0.0067mol)に添加し、反応系を105℃に12時間加熱した。テトラ(エチレン)グリコール(3.67g、0.019mol)を100℃で反応混合物に添加して12時間攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(1.06g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(1.17mL、0.019mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(36mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0093】
実施例16
五酸化リン(1.26g、0.0092mol)を80℃でC613CH2CH2OH(2.5g、0.0067mol)に添加し、反応系を105℃に12時間加熱した。テトラ(エチレン)グリコール(4.27g、0.022mol)を100℃で反応混合物に添加して12時間攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(1.12g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(1.24mL、0.2mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(39mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0094】
実施例17
五酸化リン(1.26g、0.0092mol)を80℃でC49CH2CF2CH2CH2OH(2.5g、0.0076mol)に添加し、反応系を105℃に12時間加熱した。テトラ(エチレン)グリコール(4.07g、0.021mol)を100℃で反応混合物に添加して12時間攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(1.17g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(1.29mL、0.021mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(40mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0095】
実施例18
五酸化リン(1.34g、0.0092mol)を80℃でC37OC24CH2CH2OH(2.5g、0.0077mol)に添加し、反応系を105℃に12時間加熱した。テトラ(エチレン)グリコール(4.05g、0.021mol)を100℃で反応混合物に添加して12時間攪拌し、続いて、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なTERGITOL 15−S−9界面活性剤(1.16g)を86℃で添加した。10分後、アンモニア(1.29mL、0.021mol、30%)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水(40mL)を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、式1で示されるホスフェートを得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0096】
比較例A
五酸化リン(1当量)を80℃で式F(CF2aCH2CH2OHで示されるペルフルオロアルキルエチルアルコール混合物(2.3当量)に添加した。典型的な混合物は、次のとおり、すなわち、1.6%のa=4、48.3%のa=6、28.7%のa=8、13.9%のa=10、5.3%のa=12、1.7のa=14、0.4%のa=16、および0.1%のa=18であった。反応系を105℃に24時間加熱した。アンモニア(水中30%溶液、2.6当量)を添加し、反応系を70℃で10分間撹拌した。水を添加して反応系を70℃で1時間撹拌し、ホスフェート生成物を得た。試験方法1〜4を用いて、均展性、表面張力、接触角、および耐ブロッキング性に関して、得られた生成物を試験した。結果は、表3〜6に列挙されている。
【0097】
【表3】

【0098】
脱イオン水の通常の表面張力は、72ダイン/cm(mN/m)であり、表3中では脱イオン水中の界面活性剤の濃度0.000%として示されている。実施例1〜18の本発明に係るホスフェートをそれぞれ指定された濃度で添加した時、各水性溶液の表面張力は有意に低下した。より高レベルではより良好な性能が得られた。試験の結果によれば、本発明に基づいて優れた表面張力低下が見られた。表面張力低下は、実施例がより少ないフッ素を含有するにもかかわらず、比較例Aよりも優れていた。
【0099】
【表4】

【0100】
表4のデータは、実施例1〜18がかなり少ないフッ素含有率を有したにもかかわらず、比較例Aと比較して、優れた耐ブロッキング性が本発明の実施例1〜18から得られたことを実証する。
【0101】
【表5】

【0102】
実施例1〜18のホスフェートは、床仕上げ剤(RHOPLEX)配合物で優れた湿潤能力を呈した。それらは、ビニルタイルで試験した時、より高いフッ素含有率を有するフッ素化ホスフェートを含む比較例Aと同等またはそれよりも良好な性能を示した。
【0103】
【表6】

【0104】
表6のデータは、対照と比較して本発明の実施例1〜18で優れたヘキサデカン接触角の増加を示した。前進ヘキサデカン接触角の増加は、改良された撥汚性と相関した。本発明はまた、かなり低レベルのフッ素で比較例Aと同等またはそれよりも良好な性能を示した。
【0105】
【表7】

【0106】
【表8】

【0107】
【表9】

【0108】
脱イオン水中の2%KCl、15%HCl、および15%KOHのそれぞれの通常の表面張力は、74ダイン/cm(mN/m)である。これは、表7〜9では濃度0.000%として示されている。実施例4〜6をそれぞれ指定された割合で添加した時、各水性溶液の表面張力は有意に低下した。より高レベルではより良好な性能が得られた。試験の結果によれば、本発明に基づいて優れた表面張力低下が見られた。実施例4、5、および6の2%KClでの表面張力の結果は、比較例Aよりも改良された界面活性性能を実証した。比較例Aは、15%KCl中および15%KOH中では安定でなかったので、表面張力測定を行うことができなかった。
【0109】
【表10】

【0110】
【表11】

【0111】
表10および11に示される脱イオン水および10%NaClでのブレンダー起泡の結果は、それぞれ、比較例Aよりも改良された起泡および時間と共により持続可能な泡を実証した。表面上への活性清浄成分の付着を促進するために泡が使用される清浄溶液では、起泡性が望ましい。油田刺激および掘削の用途では、流体の起泡性の増強を助ける界面活性添加剤が望ましい。
【0112】
【表12】

【0113】
【表13】

【0114】
表12および13中の15%HClおよび15%KOHでの窒素バブル起泡の結果は、それぞれ、腐食性(酸および塩基)清浄剤およびエッチング用途に望ましいレベルの起泡および泡の崩壊を実証した。15%HClおよび15%KOHでの実施例4、5、および6の安定性は、比較例Aよりも優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
f−A−OP(O)(O-+)(OROH) 式1
(式中、
fは、1、2、もしくは3個のエーテル酸素原子が場合により介在していてもよいC2〜C6の線状もしくは分岐状のペルフルオロアルキルであり、
Aは、(CH2CF2m(CH2n−、(CH2oSO2N(CH3)(CH2p−、O(CF2q(CH2r−、またはOCHFCF2OE−であり、
mは、0〜4であり、n、o、p、およびrは、それぞれ独立して、2〜20であり、qは、2であり、
Eは、酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子が場合により介在していてもよいC2〜C20の線状もしくは分岐状のアルキル基、環状アルキル基、またはC6〜C10アリール基であり、
Mは、Hまたは第I族金属またはアンモニウムカチオン(NHx2y+(ここで、R2はC1〜C4アルキルであり、xは0〜4であり、yは0〜4であり、かつx+yは4である)であり、かつ
Rは、酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子からなる群から選択されるヘテロ原子が場合により介在していてもよいC2〜C60の線状もしくは分岐状のアルキル基、環状アルキル、またはC6〜C10アリールであり、ただし、Rが8個超の炭素であるとき、ヘテロ原子対炭素原子の比は少なくとも1:2である)
で示される化合物。
【請求項2】
Rが、1)C2〜C8の線状もしくは分岐状のアルキル、または2)約2〜約20個の酸素原子が介在するC8〜C40の線状もしくは分岐状のアルキル(ここで、酸素原子対炭素原子の比は約1:2〜約1:4である)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Mが、H、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウムカチオン(NHx2y+(ここで、R2はC1〜C4アルキルであり、xは0〜4であり、yは0〜4であり、かつx+yは4である)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
1)Aが、(CH2CF2m(CH2n−(m=0、1、または2であり、nは2である)であり、Rfが、C49またはC613であり、かつRが、C3アルキルまたは約2〜約20個の酸素原子が介在するC8〜C40の線状もしくは分岐状のアルキルであるか、2)Aが、(CH2oSO2N(CH3)(CH2p−(oおよびpはそれぞれ2である)であり、Rfが、C49またはC613であり、かつRが、C3アルキルまたは約2〜約20個の酸素原子が介在するC8〜C40の線状もしくは分岐状のアルキルであるか、3)Aが、O(CF2q(CH2r−(qおよびrはそれぞれ2である)であり、Rfが、C25またはC37であり、かつRが、C3アルキルまたは約2〜約20個の酸素原子が介在するC8〜C40の線状もしくは分岐状のアルキルであるか、あるいは4)Aが、OCHFCF2OE−であり、Rfが、C25またはC37であり、かつRが、C3アルキルまたは約2〜約20の酸素原子が介在するC8〜C40の線状もしくは分岐状のアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
水中0.1重量%の濃度で約22mN/m以下の表面張力を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
媒体を請求項1に記載の化合物と接触させることを含む、水性媒体の表面張力を低下させる方法。
【請求項7】
前記媒体が、塗料組成物、ラテックス、ポリマー、床仕上げ剤、インク、乳化剤、起泡剤、離型剤、撥剤、流動調整剤、膜蒸発抑制剤、湿潤剤、浸透剤、清浄剤、研削剤、電気メッキ剤、腐食抑制剤、エッチャント溶液、半田剤、分散助剤、微生物剤、パルプ化助剤、濯ぎ助剤、研磨剤、パーソナルケア組成物、乾燥剤、帯電防止剤、床磨き剤、結合剤、酸、塩基、または食塩水である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記式1で示される化合物が前記媒体との接触前に基材に適用される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
水分散塗料、アルキド塗料、タイプIウレタン塗料、不飽和ポリエステル塗料、または床磨き剤からなる群から選択される塗料ベースに請求項1に記載の化合物を基材上への堆積前に添加することを含む、被覆基材に撥汚性、均展性、および耐ブロッキング性を付与する方法。
【請求項10】
媒体を請求項1に記載の化合物と接触させることを含む、媒体中で起泡を行う方法。
【請求項11】
前記媒体が、1)水性媒体または食塩水媒体、2)清浄溶液あるいは油井もしくはガス井における刺激処理または油井もしくはガス井における掘削用途で使用される媒体、3)腐食性媒体で前記泡が15分間以内に崩壊するもの、あるいは4)エッチング溶液である、請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2012−520897(P2012−520897A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500956(P2012−500956)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/027784
【国際公開番号】WO2010/107985
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】