説明

ホッパ

【課題】搬送ライン内の粉粒体が、外気の冷却により変質(吸湿や温度変化など)することを抑制できる、ホッパを提供する。
【解決手段】この乾燥ホッパ3によれば、自己循環ライン30は、乾燥側貯留ホッパ13内の粉粒体を吸引する吸引口35と、上下方向に延びる第1部分32とが乾燥側貯留ホッパ13内に配置されている。そのため、自己循環ライン30内の粉粒体を、外気(乾燥側貯留ホッパ13外の空気)による冷却を抑制しながら搬送できる。その結果、自己循環ライン30内の粉粒体が、外気の冷却により変質(吸湿や温度変化など)することを抑制できる。また、粉粒体を乾燥側貯留ホッパ13内において常に流動させることができるので、ブリッジの形成やブロッキングの発生などの粉粒体の流動不良が生じるのを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を一時的に貯留するホッパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック成形などでは、原料となる樹脂ペレットなどの粉粒体材料を、乾燥装置で乾燥してから成形機(射出成形機)に気力輸送により供給することが知られている。
【0003】
このような乾燥装置では、ホッパ内に熱風を導入することにより、ホッパ内の粉粒体材料を乾燥させる。また、ホッパ内への熱風の導入に起因して、粉粒体材料の熱融着、いわゆるブロッキングが生じるのを抑制するために、ホッパの下部から粉粒体材料の一部を抜き出して、その粉粒体材料を気力輸送によりホッパの上部から再び供給し、粉粒体材料を循環させるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−288408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した粉粒体材料の循環方法では、粉粒体材料が乾燥装置のホッパの外部に抜き出されて循環される。そのため、粉粒体材料が、循環される間に、外気により冷却されて温度が低下し、水分を吸着する可能性がある。このような水分を吸着した粉粒体材料が再びホッパ内に導入されると、ホッパ内の粉粒体材料の乾燥の度合いにばらつきが生じ、粉粒体材料を良好に乾燥できないおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、搬送ライン内の粉粒体が、外気の冷却により変質(吸湿や温度変化など)することを抑制できる、ホッパを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、ホッパであって、一方および他方に延び、前記一方から供給された粉粒体を、一時貯留し、前記他方から排出する貯留槽と、前記貯留槽内に貯留されている粉粒体を、前記他方から前記一方へ搬送する搬送ラインと、前記搬送ライン内の空気を吸引して、前記搬送ライン内に前記他方から前記一方へ向かう気流を発生させる気流発生手段とを備え、前記搬送ラインは、前記貯留槽内に配置され、前記貯留槽内の粉粒体を吸引する吸引口と、前記貯留槽内に配置され、前記一方と前記他方とを結ぶ方向に延びる輸送部分とを備えていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、搬送ラインは、貯留槽内の粉粒体を吸引する吸引口と、一方と他方とを結ぶ方向に延びる輸送部分とが貯留槽内に配置されている。
【0009】
そのため、搬送ライン内の粉粒体を、外気(貯留槽外の空気)による冷却を抑制しながら搬送できる。
【0010】
その結果、搬送ライン内の粉粒体が、外気の冷却により変質(吸湿や温度変化など)することを抑制できる。
【0011】
また、搬送ラインにより、貯留槽内に貯留されている粉粒体を他方から一方へ搬送できる。
【0012】
そのため、貯留槽の他方側に貯留されている粉粒体を、搬送ラインを介して一方側へ搬送でき、その分、貯留槽内に貯留されている粉粒体を一方から他方へ流動させることができる。
【0013】
また、搬送ラインの輸送部分は、一方と他方とを結ぶ方向に延びているので、貯留槽内を一方から他方へ向かう粉粒体の流動が、輸送部分において阻害されることを抑制できる。
【0014】
その結果、粉粒体を貯留槽内において常に流動させることができるので、ブリッジの形成やブロッキングの発生などの粉粒体の流動不良が生じることを抑制できる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記貯留槽内の粉粒体を加熱する加熱手段を備えていることを特徴としている。
【0016】
このような構成によれば、加熱手段からの加熱により、貯留槽内の粉粒体を均一に乾燥させることができる。また、貯留槽内に貯留されている粉粒体を常に流動させることができるので、加熱手段の加熱に起因する粉粒体の流動不良(ブロッキング)が生じることを抑制できる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記加熱手段は、前記貯留槽内に熱風を供給する熱風供給ラインを備え、前記熱風供給ラインは、熱風を吹き出す吹出口を備え、前記搬送ラインの前記吸引口は、前記熱風供給ラインの前記吹出口よりも、熱風の吹き出し方向下流側に配置されていることを特徴としている。
【0018】
このような構成によれば、搬送ラインの吸引口が、熱風供給ラインの吹出口よりも、熱風の吹き出し方向下流側に配置されている。
【0019】
そのため、吹出口から吹き出された熱風が、貯留槽内の粉粒体に作用する前に吸引口から吸引されることを防止することができる。
【0020】
その結果、貯留槽内に貯留されている粉粒体を、吹出口から吹き出された熱風により安定して加熱できるので、効率のよい粉粒体の乾燥を実現できる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、前記搬送ラインは、少なくとも一部が前記熱風供給ライン内に配置されていることを特徴としている。
【0022】
このような構成によれば、搬送ラインの少なくとも一部は、熱風供給ライン内に配置されている。
【0023】
そのため、搬送ラインにおいて搬送される粉粒体は、熱風供給ライン内で加熱されながら、他方から一方へ搬送される。
【0024】
その結果、搬送ライン内の粉粒体が搬送途中に水分を吸収することをより低減できながら、粉粒体を搬送することができる。
【0025】
さらに、搬送ラインの少なくとも一部が熱風供給ライン内に配置されているので、その部分において、搬送ラインが貯留槽内の粉粒体の移動を阻害することを防止できる。よって、搬送ラインを設けても、貯留槽内の粉粒体の流動不良が生じることを抑制できる。
【0026】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記一方から前記他方へ投影したときに、前記吸引口は、前記貯留槽の中央に配置されていることを特徴としている。
【0027】
このような構成によれば、吸引口は、貯留槽の中央に配置されている。
【0028】
そのため、貯留槽内の材料を、一方および他方を結ぶ方向と直交する方向において、偏りなく吸引できる。
【0029】
その結果、貯留槽内に貯留されている粉粒体を効率よく流動させることができる。
【0030】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記吸引口は、前記貯留槽の前記他方側端部の近傍に配置されていることを特徴としている。
【0031】
このような構成によれば、吸引口は、貯留槽の他方側端部の近傍に配置されている。
【0032】
貯留槽に貯留されている粉粒体は、その他方側から排出される。そのため、貯留槽の他方側で粉粒体の流動不良が生じると、貯留槽からの粉粒体の排出が不良となるおそれがある。
【0033】
しかし、吸引口が貯留槽の他方側端部の近傍に配置されていれば、貯留槽の他方側端部の近傍に貯留されている粉粒体を吸引して流動させることができるので、貯留槽の他方側端部近傍で粉粒体の流動不良が生じることを抑制できる。
【0034】
その結果、貯留槽から粉粒体を良好に排出できる。
【0035】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明において、前記吸引口は、前記一方と前記他方とを結ぶ方向に沿って変位可能であることを特徴としている。
【0036】
このような構成によれば、例えば、粉粒体の流動性が低い場合には、貯留槽の他方側端部の近傍に吸引口を配置すれば、貯留槽の他方側端部の近傍の粉粒体を効率よく吸引することができる。そのため、貯留槽の他方側端部の近傍におけるブリッジの形成やブロッキングの発生などの粉粒体の流動不良の発生を抑制することができる。
【0037】
また、粉粒体の流動性が高い場合には、吸引口を貯留槽の他方側端部の近傍に近づけることなく、粉粒体を流動させることができる。そのため、吸引口を貯留槽の他方側端部の近傍から他方側へ変位させて、粉粒体を吸引することができ、貯留槽の他方側端部の近傍において、吸引口によって粉粒体の流れが阻害されることを防止することができる。
【0038】
その結果、粉粒体の流動性に応じて、吸引口の位置を変位させて粉粒体を流動させることができ、ブリッジの形成やブロッキングの発生などの粉粒体の流動不良の発生をより抑制できる。
【発明の効果】
【0039】
以上述べたように、請求項1に記載の発明によれば、搬送ライン内の粉粒体が、外気の冷却により変質(吸湿や温度変化など)することを抑制できる。また、粉粒体が貯留槽内において流動不良を生じることを抑制できる。
【0040】
請求項2に記載の発明によれば、加熱手段からの加熱により、貯留槽内の粉粒体を均一に乾燥させることができる。また、貯留槽内に貯留されている粉粒体を常に流動させることができるので、加熱手段の加熱に起因する粉粒体の流動不良(ブロッキング)が生じることを抑制できる。
【0041】
請求項3に記載の発明によれば、貯留槽内に貯留されている粉粒体を、吹出口から吹き出された熱風により安定して加熱できるので、効率のよい粉粒体の乾燥を実現できる。
【0042】
請求項4に記載の発明によれば、搬送ライン内の粉粒体が搬送途中に水分を吸収することをより低減できながら、粉粒体を搬送することができる。また、搬送ラインを設けても、貯留槽内の粉粒体の流動不良が生じることを抑制できる。
【0043】
請求項5に記載の発明によれば、貯留槽内に貯留されている粉粒体を効率よく流動させることができる。
【0044】
請求項6に記載の発明によれば、吸引口が貯留槽の他方側端部の近傍に配置されていることにより、貯留槽の他方側端部の近傍に貯留されている粉粒体を吸引して流動させることができるので、貯留槽の他方側端部近傍で粉粒体の流動不良が生じることを抑制できる。
【0045】
請求項7に記載の発明によれば、粉粒体の流動性に応じて、吸引口の位置を変位させて粉粒体を流動させることができ、ブリッジの形成やブロッキングの発生などの粉粒体の流動不良の発生をより抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明のホッパの第1実施形態(乾燥ホッパ)を含む乾燥システムの概略構成図である。
【図2】図2は、本発明のホッパの第2実施形態(乾燥ホッパ)を示す概略構成図である。
【図3】図3は、本発明のホッパの第3実施形態(乾燥ホッパ)を示す概略構成図であって、(a)は、吸引口が下方側に配置された状態を示し、(b)は、吸引口が上方側に配置された状態を示す。
【図4】図4は、本発明のホッパの第4実施形態(乾燥ホッパ)を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明のホッパの第1実施形態(乾燥ホッパ)を含む乾燥システムの概略構成図である。
【0048】
図1に示すように、乾燥システム1は、樹脂材料からなる粉粒体(ペレット)が貯留されているタンク(図示せず)から供給される粉粒体を乾燥して、乾燥された粉粒体を成形機2へ供給する。なお、この実施形態では、成形機2の処理能力(単位時間当たりに溶融成形される粉粒体の質量)は、例えば、0.1〜100kg/時である。
【0049】
乾燥システム1は、タンク(図示せず)から成形機2への粉粒体の供給方向において、上流側に設けられる乾燥ホッパ3(ホッパの一例)と、乾燥ホッパ3の下流側に設けられる供給ホッパ4とを備えている。
【0050】
乾燥ホッパ3は、成形機2とは別に設置される大型の加熱乾燥機であり、タンク(図示せず)から気力輸送される粉粒体を乾燥する。乾燥ホッパ3は、粉粒体を貯留する乾燥側貯留部11と、乾燥側貯留部11へ熱風を供給する熱風供給部12(加熱手段の一例)と、乾燥側貯留部11へ粉粒体を気力輸送する気力輸送部5(気流発生手段の一例)とを備えている。
【0051】
乾燥側貯留部11は、乾燥側貯留ホッパ13(貯留槽の一例)および乾燥側ローダホッパ14を備えている。
【0052】
乾燥側貯留ホッパ13は、上下方向に延び、略円筒形状の上側部分と、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成されている。また、乾燥側貯留ホッパ13の容積は、成形機2の処理能力を基準に設定され、例えば、0.6〜500Lである。
【0053】
また、乾燥側貯留ホッパ13の上端部には、粉粒体が投入される投入口15が設けられている。また、乾燥側貯留ホッパ13の下端部には、乾燥側貯留ホッパ13から粉粒体を排出する排出口16が設けられている。
【0054】
乾燥側ローダホッパ14は、乾燥側貯留ホッパ13よりも小型のホッパであり、略円筒形状の上側部分と、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成されている。また、乾燥側ローダホッパ14は、下端部において、乾燥側貯留ホッパ13の投入口15に連通されるように、乾燥側貯留ホッパ13の上端部に接続されている。なお、乾燥側ローダホッパ14の上壁内側には、吸引ライン61(後述)の吸引方向上流側端部を囲むようにパンチングメタルプレート17が設けられている。パンチングメタルプレート17には、粉粒体の通過を規制するとともに空気の通過を許容する穴が、複数、貫通形成されている。
【0055】
さらに、乾燥側ローダホッパ14の側面には、粉粒体が流入される流入口18が設けられている。流入口18には、タンク(図示せず)から供給される粉粒体を気力輸送する材料供給ライン19の輸送方向下流側端部が接続されている。
【0056】
熱風供給部12は、熱風供給ライン21、乾燥ブロワ22および還流ライン23を備えている。
【0057】
熱風供給ライン21は、乾燥ブロワ22からの気流を加熱して乾燥側貯留ホッパ13へ供給する配管であり、その供給方向上流側の端部が、乾燥ブロワ22に接続されており、その供給方向下流側が、乾燥側貯留ホッパ13の側壁を貫通して乾燥側貯留ホッパ13内に配置されている。
【0058】
具体的には、熱風供給ライン21の供給方向下流側は、乾燥側貯留ホッパ13の側壁から平面視における乾燥側貯留ホッパ13の中央に向けて延びる水平部21aと、乾燥側貯留ホッパ13の中央において、水平部21aから下方に向けて延びる鉛直部21bとを有する側面視L字状をなしている。そして、熱風供給ライン21の供給方向下流側の端部は、乾燥側貯留ホッパ13の下端部近傍に配置され、乾燥側貯留ホッパ13内に熱風を吹き込むために下方に向けて拡径され、開放されるノズル27(吹出口の一例)を備えている。
【0059】
また、熱風供給ライン21の途中には、乾燥側貯留ホッパ13の外側において、乾燥ブロワ22からの気流を加熱するヒータ24と、ヒータ24に対して供給方向下流側において、加熱された気流の温度を測定する加熱温度センサ28とが設けられている。
【0060】
乾燥ブロワ22は、還流ライン23内を吸引しながら、熱風供給ライン21内へ送風して、還流ライン23から乾燥ブロワ22を介して乾燥側貯留ホッパ13内へ向かう気流を発生させる。
【0061】
還流ライン23は、乾燥側貯留ホッパ13内の空気を乾燥ブロワ22に吸気させる配管であり、その吸気方向上流側の端部が、乾燥側貯留ホッパ13に接続され、その吸気方向下流側の端部が、乾燥ブロワ22に接続されている。また、還流ライン23の途中には、粉塵などを捕集するフィルタ25と、還流ライン23を大気開放させる開放弁26とが設けられている。
【0062】
また、乾燥ホッパ3には、自己循環ライン30(搬送ラインの一例)が設けられている。自己循環ライン30は、乾燥側貯留ホッパ13内の粉粒体を吸引して、乾燥側ローダホッパ14に供給するための配管であり、その吸引方向上流側が乾燥側貯留ホッパ13内に配置され、その吸引方向下流側の端部が、第1切替弁31を介して、材料供給ライン19の途中部に接続されている。
【0063】
より具体的には、自己循環ライン30は、側面視クランク形状に形成されており、上下方向に延びる輸送部分の一例としての第1部分32と、第1部分32の上端部から略水平方向に延びる第2部分33と、第2部分33における第1部分32側と反対側の端部から上方に延び、その上端部が第1切替弁31に接続された第3部分34とを一体的に備えている。
【0064】
第1部分32は、熱風供給ライン21の鉛直部21bの内側に配置されている。第1部分32における吸引方向上流側の端部(下端部)は、熱風供給ライン21の下端部に設けられたノズル27よりもさらに下方に突出し、粉粒体を吸引するために下方に向けて開放される吸引口35を備えている。
【0065】
上述したように、熱風供給ライン21の鉛直部21bは、平面視において乾燥側貯留ホッパ13の中央に配置されており、ノズル27は、乾燥側貯留ホッパ13の下端部近傍に配置されている。したがって、吸引口35は、平面視において乾燥側貯留ホッパ13の中央に配置されるとともに、乾燥側貯留ホッパ13の下端部近傍に配置される。
【0066】
第2部分33は、その吸引方向上流側の端部が熱風供給ライン21の鉛直部21bを貫通して、鉛直部21b内において第1部分32の吸引方向下流側の端部(上端部)に接続され、残余の部分が乾燥側貯留ホッパ13内に配置されている。
【0067】
第3部分34は、その吸引方向上流側の端部(下端部)が第2部分33に接続され、その吸引方向下流側の端部(上端部)が乾燥側貯留ホッパ13の上壁を貫通して、乾燥側貯留ホッパ13外において第1切替弁31に接続されている。
【0068】
すなわち、自己循環ライン30は、その大部分が乾燥側貯留ホッパ13内に配置され、その一部(第3部分34の吸引方向下流側端部)が乾燥側貯留ホッパ13の外部に露出している。
【0069】
なお、第1切替弁31は、タンク側の材料供給ライン19および乾燥側ローダホッパ14側の材料供給ライン19を連通させて自己循環ライン30を閉鎖する第1位置と、自己循環ライン30および乾燥側ローダホッパ14側の材料供給ライン19を連通させてタンク側の材料供給ライン19を閉鎖する第2位置とに選択的に切り替えられる。
【0070】
供給ホッパ4は、成形機2上に設置される小型の一時貯留タンクであり、乾燥ホッパ3からの粉粒体を成形機2に供給される直前において一時的に貯留する。
【0071】
供給ホッパ4は、供給側貯留ホッパ41および供給側ローダホッパ42を備えている。
【0072】
供給側貯留ホッパ41は、略円筒形状の上側部分と、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成されている。また、供給側貯留ホッパ41は、乾燥側貯留ホッパ13よりも小容積に形成されている。供給側貯留ホッパ41の容積は、成形機2の処理能力を基準に設定され、例えば、乾燥側貯留ホッパ13の容積に対して10〜90%であり、具体的には、0.2〜200Lである。
【0073】
また、供給側貯留ホッパ41の上端部には、粉粒体が投入される投入口43が設けられている。また、供給側貯留ホッパ41の下端部には、供給側貯留ホッパ41から粉粒体を排出する排出口44が設けられている。
【0074】
供給側ローダホッパ42は、供給側貯留ホッパ41よりも小型のホッパであり、略円筒形状の上側部分と、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成されている。また、供給側ローダホッパ42は、下端部において、供給側貯留ホッパ41の投入口43に連通されるように、供給側貯留ホッパ41の上端部に接続されている。なお、供給側ローダホッパ42の上壁内側には、吸引ライン61(後述)の吸引方向上流側の端部を囲むようにパンチングメタルプレート45が設けられている。パンチングメタルプレート45には、粉粒体の通過を規制するとともに空気の通過を許容する穴が、複数、貫通形成されている。
【0075】
そして、乾燥ホッパ3と供給ホッパ4とは、輸送ライン51を介して、接続されている。
【0076】
輸送ライン51は、乾燥ホッパ3から供給ホッパ4へ粉粒体を輸送するための配管である。輸送ライン51の輸送方向上流側の端部は、乾燥側貯留ホッパ13の排出口16に接続されている。また、輸送ライン51の輸送方向下流側の端部は、供給側ローダホッパ42の側壁に接続されている。
【0077】
気力輸送部5は、吸引ライン61と、輸送ブロワ62と、送風ライン63とを備えている。
【0078】
吸引ライン61は、輸送ブロワ62が乾燥側ローダホッパ14または供給側ローダホッパ42内の空気を吸引するための配管である。吸引ライン61の吸引方向下流側の端部は、粉塵などを捕集するフィルタ64を介して輸送ブロワ62に接続されている。また、吸引ライン61は、その途中で第2切替弁65を介して2つに分岐されており、一方の吸引方向上流側の端部が、乾燥側ローダホッパ14の上壁に接続されており、他方の吸引方向上流側の端部が、供給側ローダホッパ42の上壁に接続されている。第2切替弁65は、乾燥側ローダホッパ14側および輸送ブロワ62側の吸引ライン61を開放して供給側ローダホッパ42側の吸引ライン61を閉鎖する第1位置と、供給側ローダホッパ42側および輸送ブロワ62側の吸引ライン61を開放して乾燥側ローダホッパ14側の吸引ライン61を閉鎖する第2位置とに選択的に切り替えられる。
【0079】
送風ライン63は、輸送ブロワ62が吸引した空気を送り出すための配管である。送風ライン63の送風方向上流側の端部は、輸送ブロワ62に接続されている。また、送風ライン63は、その途中で第3切替弁66を介して2つに分岐されており、一方の送風方向下流側の端部が大気開放されており、他方の送風方向下流側の端部が乾燥側貯留ホッパ13の上壁に接続されている。第3切替弁66は、大気開放側および輸送ブロワ62側の送風ライン63を開放して乾燥側貯留ホッパ13側の送風ライン63を閉鎖する第1位置と、乾燥側貯留ホッパ13側および輸送ブロワ62側の送風ライン63を開放して大気開放側の送風ライン63を閉鎖する第2位置とに選択的に切り替えられる。
【0080】
輸送ブロワ62は、吸引ライン61を介して、乾燥側ローダホッパ14または供給側ローダホッパ42内を吸引し、タンク(図示せず)から乾燥側ローダホッパ14へ向かう気流、乾燥側貯留ホッパ13から輸送ライン51を介して供給側ローダホッパ42へ向かう気流、または、乾燥側ローダホッパ14から吸引ライン61および送風ライン63を介して乾燥側貯留ホッパ13へ向かう気流を発生させる。
【0081】
次いで、乾燥システム1を用いた粉粒体の乾燥方法について説明する。なお、この乾燥システム1では、粉粒体に含有される水分量を、例えば、0.1質量%(目標値)以下まで低下させてから、成形機2へ供給する。
【0082】
粉粒体を乾燥するには、まず、第1切替弁31を第1位置、第2切替弁65を第1位置、第3切替弁66を第1位置にそれぞれ切り替えてから輸送ブロワ62を作動させる。なお、乾燥側貯留ホッパ13の投入口15は、閉鎖されている。
【0083】
すると、タンク(図示せず)から乾燥側ローダホッパ14へ向かう気流により、タンク(図示せず)から乾燥側ローダホッパ14へ粉粒体が輸送される。乾燥側ローダホッパ14へ輸送された粉粒体は、投入口15が開放されることにより、乾燥側貯留ホッパ13へ排出される。
【0084】
これにより、乾燥側貯留ホッパ13には、少なくともノズル27より上方まで、所定量(例えば、50kg)の粉粒体が貯留される。
【0085】
このとき、乾燥側貯留ホッパ13に貯留された粉粒体に含有される水分量は、例えば、0.1〜1.0質量%である。
【0086】
次いで、粉粒体を乾燥するには、熱風供給部12において、開放弁26を閉鎖して乾燥ブロワ22を作動させる。なお、適宜、開放弁26を大気開放側に切り替えることにより、熱風供給部12に外気を取り込むこともできる。
【0087】
すると、乾燥ブロワ22により発生された気流は、ヒータ24によって加熱される。ヒータ24の加熱温度は、加熱温度センサ28で測定された温度に基づいて調整される。そして加熱された気流は、ノズル27から乾燥側貯留ホッパ13内へ吹き込まれる。これにより、乾燥側貯留ホッパ13内の温度は、例えば、80〜160℃に調整される。なお、乾燥側貯留ホッパ13内へ吹き込まれた気流は、乾燥側貯留ホッパ13内の粉粒体を加熱して乾燥させた後、乾燥側貯留ホッパ13の上端部から還流ライン23を介して、再度、乾燥ブロワ22に吸引される。
【0088】
また、乾燥側貯留ホッパ13に所定量の粉粒体が貯留された後、第1切替弁31が第2位置に、第3切替弁66が第2位置にそれぞれ切り替えられる。
【0089】
すると、輸送ブロワ62により発生された気流は、送風ライン63を介して乾燥側貯留ホッパ13に吹き込まれる。なお、乾燥側貯留ホッパ13内に吹き込まれた気流は、乾燥側貯留ホッパ13内に配置された自己循環ライン30の吸引口35を介して、自己循環ライン30および材料供給ライン19を通過し、乾燥側ローダホッパ14内に吹き込まれる。
【0090】
そして、乾燥側ローダホッパ14内に吹き込まれた気流は、乾燥側ローダホッパ14の上端部から吸引ライン61を介して、再度、輸送ブロワ62に吸引される。
【0091】
すると、乾燥側貯留ホッパ13から乾燥側ローダホッパ14へ向かう気流により、自己循環ライン30および材料供給ライン19を介して、乾燥側貯留ホッパ13から乾燥側ローダホッパ14へ粉粒体が輸送される。乾燥側ローダホッパ14へ輸送された粉粒体は、パンチングメタルプレート17により気流と分離されて、乾燥側貯留ホッパ13へ再度排出される。
【0092】
これにより、乾燥側貯留ホッパ13と乾燥側ローダホッパ14との間で粉粒体が循環する。
【0093】
そして、粉粒体を乾燥するには、乾燥側貯留ホッパ13において、例えば、1〜24時間、粉粒体を循環させつつ乾燥させる。
【0094】
これにより、粉粒体に含有される水分量が、目標値以下、例えば、0.01〜0.1質量%となる。
【0095】
このように、粉粒体の乾燥が完了される。
【0096】
次いで、乾燥された粉粒体が供給ホッパ4に輸送される。
【0097】
粉粒体を供給ホッパ4に輸送するには、第2切替弁65を第2位置に、第3切替弁66を第1位置にそれぞれ切り替えてから輸送ブロワ62を作動させ、乾燥側貯留ホッパ13の排出口16を開放する。なお、供給側貯留ホッパ41の投入口43は、閉鎖されている。
【0098】
すると、乾燥側貯留ホッパ13から輸送ライン51を介して供給側ローダホッパ42へ向かう気流により、乾燥側貯留ホッパ13で乾燥された粉粒体が、供給側ローダホッパ42へ輸送される。供給側ローダホッパ42へ輸送された粉粒体は、投入口43が開放されることにより、供給側貯留ホッパ41へ排出される。
【0099】
これにより、供給側貯留ホッパ41には、乾燥側貯留ホッパ13に貯留された粉粒体の量よりも少量に設定される所定量、例えば、0.1〜150kgの粉粒体が貯留される。
【0100】
そして、供給側貯留ホッパ41に所定量の粉粒体が貯留された後、乾燥側貯留ホッパ13の排出口16は、閉鎖される。その後、輸送ライン51内の粉粒体がすべて供給側貯留ホッパ41に輸送された後、第2切替弁65が第1位置に、第3切替弁66が第2位置に切り替えられ、乾燥側貯留ホッパ13と乾燥側ローダホッパ14との間での粉粒体の循環および乾燥が再開される。
【0101】
その後、供給側貯留ホッパ41の排出口44を開放すると、供給側貯留ホッパ41内の乾燥された粉粒体は、自重により落下して成形機2へ供給され、成形機2において、溶融、成形される。
【0102】
この乾燥ホッパ3によれば、自己循環ライン30は、乾燥側貯留ホッパ13内の粉粒体を吸引する吸引口35と、上下方向に延びる第1部分32、第2部分33と、第3部分34の途中部分とが乾燥側貯留ホッパ13内に配置されている。
【0103】
そのため、自己循環ライン30内の粉粒体を、外気(乾燥側貯留ホッパ13外の空気)による冷却を抑制しながら搬送できる。
【0104】
その結果、自己循環ライン30内の粉粒体が、外気の冷却により変質(吸湿や温度変化など)することを抑制できる。
【0105】
しかも、自己循環ライン30の第1部分32は、熱風供給ライン21内に配置されている。
【0106】
そのため、自己循環ライン30において搬送される粉粒体は、熱風供給ライン21内で加熱されながら、下方から上方へ搬送される。
【0107】
その結果、自己循環ライン30内の粉粒体が搬送途中に水分を吸収することをより低減できながら、粉粒体を搬送することができる。
【0108】
また、自己循環ライン30により、乾燥側貯留ホッパ13内に貯留されている粉粒体を下方から上方へ搬送できる。
【0109】
そのため、乾燥側貯留ホッパ13の下側に貯留されている粉粒体を、自己循環ライン30を介して上側へ搬送でき、その分、乾燥側貯留ホッパ13内に貯留されている粉粒体を上方から下方へ流動させることができる。
【0110】
また、自己循環ライン30の第1部分32は、上下方向に延びているので、乾燥側貯留ホッパ13内を上方から下方へ向かう粉粒体の流動が、第1部分32において阻害されることを抑制できる。
【0111】
さらに、自己循環ライン30の第1部分32が熱風供給ライン21内に配置されているので、その部分において、自己循環ライン30が乾燥側貯留ホッパ13内の粉粒体の移動を阻害することを防止することができる。よって、自己循環ライン30を設けても、乾燥側貯留ホッパ13内の粉粒体の流動不良が生じることを抑制できる。
【0112】
その結果、粉粒体を乾燥側貯留ホッパ13内において常に流動させることができるので、ブリッジの形成やブロッキングの発生などの粉粒体の流動不良が生じることを抑制できる。
【0113】
また、この乾燥ホッパ3によれば、熱風供給部12からの加熱により、乾燥側貯留ホッパ13内の粉粒体を均一に乾燥させることができる。また、乾燥側貯留ホッパ13内に貯留されている粉粒体を常に流動させることができるので、熱風供給部12の加熱に起因する粉粒体の流動不良(ブロッキング)が生じることを抑制できる。
【0114】
また、この乾燥ホッパ3によれば、自己循環ライン30の吸引口35が、熱風供給ライン21のノズル27よりも、下側(熱風の吹き出し方向下流側)に配置されている。
【0115】
そのため、ノズル27から吹き出された熱風が、乾燥側貯留ホッパ13内の粉粒体に作用する前に吸引口35から吸引されることを防止することができる。
【0116】
その結果、乾燥側貯留ホッパ13内に貯留されている粉粒体を、ノズル27から噴き出された熱風により安定して加熱できるので、効率のよい粉粒体の乾燥を実現できる。
【0117】
また、この乾燥ホッパ3によれば、吸引口35は、平面視で乾燥側貯留ホッパ13の中央に配置されている。
【0118】
そのため、乾燥側貯留ホッパ13内の材料を、水平方向において、偏りなく吸引できる。
【0119】
その結果、乾燥側貯留ホッパ13内に貯留されている粉粒体を効率よく流動させることができる。
【0120】
また、この乾燥ホッパ3によれば、吸引口35は、乾燥側貯留ホッパ13の下方側端部の近傍に配置されている。
【0121】
乾燥側貯留ホッパ13に貯留されている粉粒体は、その下側に設けられた排出口16から排出される。そのため、乾燥側貯留ホッパ13の下側部分で粉粒体の流動不良が生じると、乾燥側貯留ホッパ13からの粉粒体の排出が不良となるおそれがある。
【0122】
しかし、吸引口35が乾燥側貯留ホッパ13の下方側端部の近傍に配置されているので、乾燥側貯留ホッパ13の下方側端部の近傍に貯留されている粉粒体を吸引して流動させることができ、乾燥側貯留ホッパ13の下方側端部近傍で粉粒体の流動不良が生じることを抑制できる。
【0123】
その結果、乾燥側貯留ホッパ13から粉粒体を良好に排出できる。
【0124】
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0125】
図2は、本発明のホッパの第2実施形態(乾燥ホッパ)を示す概略構成図である。
【0126】
上記した第1実施形態では、自己循環ライン30を、側面視でクランク形状に形成したが、自己循環ライン30は、例えば、図2に示すような形状であってもよい。
【0127】
すなわち、図2に示す乾燥ホッパ3では、自己循環ライン30は、乾燥側貯留ホッパ13の上側部分の内壁に沿って上下方向に延びる第1部分30aと、第1部分30aの下端部に連続し、乾燥側貯留ホッパ13の下側部分の内壁に沿って、乾燥側貯留ホッパ13の中央に向けて斜め下方に延びる第2部分30bとを一体的に備えている。
【0128】
そして、第2部分30bは、乾燥側貯留ホッパ13の中央側の端部に、粉粒体を吸引するために下方に向けて開放される吸引口35を備えている。
【0129】
自己循環ライン30の第1部分30aおよび第2部分30bは、乾燥側貯留ホッパ13の内壁に沿って配置されているので、乾燥側貯留ホッパ13内の粉粒体の流動を阻害することを防止できる。
【0130】
また、第2実施形態においても、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0131】
また、本発明は、さらに他の形態でも実施することができる。
【0132】
図3は、本発明のホッパの第3実施形態(乾燥ホッパ)を示す概略構成図であって、(a)は、吸引口が下方側に配置された状態を示し、(b)は、吸引口が上方側に配置された状態を示す。
【0133】
上記した第1実施形態では、自己循環ライン30は、上下方向に延び、熱風供給ライン21の鉛直部21bの内側に配置される第1部分32と、第1部分32の上端部から略水平に延びる第2部分33と、第2部分33における第1部分32側と反対側の端部から上下に延びる第3部分34とを一体的に備える側面視クランク状に形成されている。
【0134】
対して、第3実施形態では、図3に示すように、自己循環ライン30を、上下方向に延びる円筒形状(直管)に形成し、上下方向に移動可能に構成する。
【0135】
詳しくは、自己循環ライン30は、熱風供給ライン21の鉛直部21c(後述)内に配置されるとともに、その吸引方向下流側の端部(上端部)において、支持部材70を介して乾燥側貯留ホッパ13の上壁に支持されている。
【0136】
熱風供給ライン21の乾燥側貯留ホッパ13内に配置されている部分は、略L字管であって、鉛直部21cと水平部21dとを備えている。
【0137】
鉛直部21cは、上下方向に延び、その上下両端部が開放される円筒形状(直管)に形成されている。鉛直部21cの下端部にはノズル27が形成されている。
【0138】
水平部21dは、鉛直部21cの上端部近傍から水平に延びる円筒形状(直管)に形成されている。水平部21dは、乾燥側貯留ホッパ13の側壁を貫通し、熱風供給ライン21の乾燥側貯留ホッパ13外に配置されている部分に連続されている。
【0139】
また、熱風供給ライン21は、鉛直部21cの上端部を塞ぐように配置されるシール部材73を備えている。
【0140】
シール部材73は、カバー部材74とパッキン75とを備えている。
【0141】
カバー部材74は、鉛直部21cの上側に配置されている。カバー部材74は、略円板形状に形成され、その径方向中央には、自己循環ライン30の外径よりもわずかに大径な貫通穴が形成されている。
【0142】
パッキン75は、鉛直部21cの上端部と、カバー部材74との間に配置されている。パッキン75は、ゴムなどから略円板形状に形成され、その径方向中央には、自己循環ライン30の外径よりもわずかに小径な貫通穴が形成されている。
【0143】
乾燥側貯留ホッパ13は、支持部材70を備えている。また、乾燥側貯留ホッパ13の上壁には、自己循環ライン30の外径よりもわずかに大径な貫通穴が形成されている。
【0144】
支持部材70は、係止金具71と固定ねじ72とを備えている。
【0145】
係止金具71は、乾燥側貯留ホッパ13の上壁の上側において、乾燥側貯留ホッパ13の上壁の径方向中央に固定されている。係止金具71は、略円板形状に形成され、その径方向中央には、自己循環ライン30の外径よりもわずかに大径な貫通穴が形成されている。また、係止金具71には、その周面から貫通穴内へ向かって水平に貫通するねじ穴が形成されている。
【0146】
固定ねじ72は、係止金具71のねじ穴に螺合されている。
【0147】
なお、係止金具71、乾燥側貯留ホッパ13、カバー部材74、パッキン75に形成される各貫通穴は上下方向に投影して一致している。
【0148】
そして、自己循環ライン30は、支持部材70の係止金具71、乾燥側貯留ホッパ13、カバー部材74、パッキン75に形成される各貫通穴に挿通されている。
【0149】
これによって、自己循環ライン30は、鉛直部21c内に挿通されるとともに、係止金具71内に挿通される。
【0150】
自己循環ライン30の上端部は、支持部材70の固定ねじ72によって螺締されることにより、支持部材70に対して移動不能に支持されている。
【0151】
そして、自己循環ライン30の上端部は、フレキシブルホース69を介して、第1切替弁31に接続されている。
【0152】
また、自己循環ライン30の吸引方向上流側の端部(下端部)は、ノズル27よりもさらに下方に突出されている。
【0153】
そして、自己循環ライン30は、固定ねじ72を螺退させることにより、支持部材70に対して移動可能となる。
【0154】
例えば、粉粒体の流動性が低い場合には、図3(a)に示すように、自己循環ライン30の位置を調整し、吸引口35を、乾燥側貯留ホッパ13の下方側端部の近傍、具体的には、排出口16から、例えば、20〜40mm上側の第1位置に配置する。
【0155】
また、例えば、粉粒体の流動性が高い場合には、図3(b)に示すように、自己循環ライン30の位置を調整し、吸引口35を、第1位置から、例えば、20〜40mm上側の第2位置に配置する。
【0156】
このような実施形態によれば、例えば、粉粒体の流動性が低い場合には、乾燥側貯留ホッパ13の下方側端部の近傍に吸引口35を配置して、乾燥側貯留ホッパ13の下方側端部の近傍の粉粒体を効率よく吸引することができる。
【0157】
そのため、乾燥側貯留ホッパ13の下方側端部の近傍におけるブリッジの形成やブロッキングの発生などの粉粒体の流動不良の発生を抑制することができる。
【0158】
また、粉粒体の流動性が高い場合には、吸引口35を乾燥側貯留ホッパ13の下方側端部の近傍に近づけることなく、粉粒体を流動させることができる。
【0159】
そのため、乾燥側貯留ホッパ13の下方側端部の近傍において、自己循環ライン30の下端部によって粉粒体の流れが阻害されることを防止することができる。
【0160】
その結果、粉粒体の流動性に応じて、吸引口35の位置を変位させて粉粒体を流動させることができ、ブリッジの形成やブロッキングの発生などの粉粒体の流動不良の発生をより抑制できる。
【0161】
さらに、自己循環ライン30が直管であるため、自己循環ライン30が屈曲されている場合と比べて、自己循環ライン30内に粉粒体が滞留することを防止することができる。
【0162】
また、第3実施形態においても、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0163】
また、本発明は、さらに他の形態でも実施することができる。
【0164】
図4は、本発明のホッパの第4実施形態(乾燥ホッパ)を示す概略構成図である。なお、第4実施形態において、上記した第3実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0165】
上記した第1実施形態では、自己循環ライン30に吸引された粉粒体を、材料供給ライン19を経由して、乾燥側ローダホッパ14に輸送している。
【0166】
対して、第4実施形態では、図4に示すように、乾燥側ローダホッパ14とは別に、自己循環用ローダホッパ76を設けて、自己循環ライン30の吸引方向下流側の端部を、貯留槽間ライン79を介して、自己循環用ローダホッパ76に接続し、自己循環ライン30に吸引された粉粒体を、材料供給ライン19を経由せずに、自己循環用ローダホッパ76に輸送する。
【0167】
具体的には、乾燥側貯留ホッパ13の上部には、乾燥側ローダホッパ14および自己循環用ローダホッパ76の2つのローダホッパと、乾燥側貯留ホッパ13と自己循環用ローダホッパ76とを接続する貯留槽間ライン79とを設ける。
【0168】
材料供給ライン19は、その輸送方向上流側端部が、タンク(図示せず)に接続され、その輸送方向下流側端部が、乾燥側ローダホッパ14の流入口18に接続されている。
【0169】
乾燥側貯留ホッパ13の上端部には、自己循環用ローダホッパ76からの粉粒体が投入される投入口78が設けられている。
【0170】
自己循環用ローダホッパ76は、乾燥側ローダホッパ14と同一の形状を有し、その下端部において、乾燥側貯留ホッパ13の投入口78に連通されるように、乾燥側貯留ホッパ13の上端部に接続されている。なお、自己循環用ローダホッパ76の上壁内側には、吸引ライン61の吸引方向上流側端部を囲むようにパンチングメタルプレート77が設けられている。パンチングメタルプレート77には、粉粒体の通過を規制するとともに空気の通過を許容する穴が、複数、貫通形成されている。
【0171】
さらに、自己循環用ローダホッパ76の側面には、粉粒体が流入される流入口82が設けられている。
【0172】
貯留槽間ライン79は、その輸送方向上流側端部が、フレキシブルホース69を介して自己循環ライン30に接続され、その輸送方向下流側端部が、流入口82に接続されている。
【0173】
なお、吸引ライン61は、その途中で第4切替弁80を介して2つに分岐されており、一方の吸引方向上流側の端部が、乾燥側ローダホッパ14の上壁に接続されており、他方の吸引方向上流側の端部が、自己循環用ローダホッパ76の上壁に接続されている。
【0174】
第4切替弁80は、自己循環用ローダホッパ76側の吸引ライン61を閉鎖して、乾燥側ローダホッパ14側の吸引ライン61と、輸送ブロワ62側の吸引ライン61とを連通させる第1位置と、乾燥側ローダホッパ14側の吸引ライン61を閉鎖して、自己循環用ローダホッパ76側の吸引ライン61と、輸送ブロワ62側の吸引ライン61とを連通させる第2位置とに選択的に切り替えられる。
【0175】
そして、乾燥側貯留ホッパ13へ材料(粉粒体)を供給するときには、第4切替弁80を第1位置に切り替える。
【0176】
すると、タンク(図示せず)から乾燥側ローダホッパ14へ向かう気流により、タンク内の粉粒体が材料供給ライン19を介して乾燥側ローダホッパ14に供給される。そして、乾燥側ローダホッパ14内に供給された粉粒体は、パンチングメタルプレート17により気流と分離され、乾燥側ローダホッパ14内に一時貯留される。乾燥側ローダホッパ14内に貯留された粉粒体は、投入口15が開放されることにより、乾燥側貯留ホッパ13内に投入される。
【0177】
一方、乾燥側貯留ホッパ13内の粉粒体を循環させつつ乾燥させるときには、熱風供給部12が稼働している状態で、第4切替弁80を第2位置に切り替える。
【0178】
すると、自己循環用ローダホッパ76内の空気が吸引される。これにより、自己循環ライン30内の圧力が低下し、乾燥側貯留ホッパ13内の粉粒体が吸引口35を介して自己循環ライン30に吸引される。そして、自己循環ライン30内に吸引された粉粒体は、自己循環用ローダホッパ76へ向かう気流により、貯留槽間ライン79を介して、自己循環用ローダホッパ76に投入される。自己循環用ローダホッパ76内に投入された粉粒体は、パンチングメタルプレート77により気流と分離され、自己循環用ローダホッパ76内に一時貯留される。自己循環用ローダホッパ76に貯留された粉粒体は、投入口78が開放されることにより、乾燥側貯留ホッパ13内へ投入される。
【0179】
このような実施形態によれば、自己循環用ローダホッパ76を乾燥側貯留ホッパ13の天面の範囲内において自由に配置することができるので、自己循環ライン30から自己循環用ローダホッパ76までの接続経路の最適化を図ることができ、ひいては、自己循環ライン30内の粉粒体が、外気の冷却により変質(吸湿や温度変化など)することをより確実に抑制できる。
【0180】
また、第4実施形態においても、上記した第3実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0181】
なお、上記の各実施形態において、乾燥ブロワ22による粉粒体の乾燥時に、乾燥側貯留ホッパ13と乾燥側ローダホッパ14との間で粉粒体を循環させたが、粉粒体の循環は、粉粒体の乾燥が完了した後に行ってもよい。たとえば、粉粒体の乾燥が終了し、乾燥側貯留ホッパ13から供給側ローダホッパ42へ粉粒体を輸送するときに、乾燥側貯留ホッパ13と乾燥側ローダホッパ14との間で粉粒体を循環させることにより、乾燥側貯留ホッパ13内の粉粒体の流動性を促進することができる。
【符号の説明】
【0182】
3 乾燥ホッパ(ホッパの一例)
5 気力輸送部(気流発生手段の一例)
12 熱風供給部(加熱手段の一例)
13 乾燥側貯留ホッパ(貯留槽の一例)
21 熱風供給ライン
27 ノズル(吹出口の一例)
30 自己循環ライン(搬送ラインの一例)
32 第1部分(輸送部分の一例)
35 吸引口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方および他方に延び、前記一方から供給された粉粒体を、一時貯留し、前記他方から排出する貯留槽と、
前記貯留槽内に貯留されている粉粒体を、前記他方から前記一方へ搬送する搬送ラインと、
前記搬送ライン内の空気を吸引して、前記搬送ライン内に前記他方から前記一方へ向かう気流を発生させる気流発生手段と
を備え、
前記搬送ラインは、
前記貯留槽内に配置され、前記貯留槽内の粉粒体を吸引する吸引口と、
前記貯留槽内に配置され、前記一方と前記他方とを結ぶ方向に延びる輸送部分と
を備えていることを特徴とする、ホッパ。
【請求項2】
前記貯留槽内の粉粒体を加熱する加熱手段を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のホッパ。
【請求項3】
前記加熱手段は、前記貯留槽内に熱風を供給する熱風供給ラインを備え、
前記熱風供給ラインは、熱風を吹き出す吹出口を備え、
前記搬送ラインの前記吸引口は、前記熱風供給ラインの前記吹出口よりも、熱風の吹き出し方向下流側に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のホッパ。
【請求項4】
前記搬送ラインは、少なくとも一部が前記熱風供給ライン内に配置されていることを特徴とする、請求項2または3に記載のホッパ。
【請求項5】
前記一方から前記他方へ投影したときに、前記吸引口は、前記貯留槽の中央に配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のホッパ。
【請求項6】
前記吸引口は、前記貯留槽の前記他方側端部の近傍に配置されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のホッパ。
【請求項7】
前記吸引口は、前記一方と前記他方とを結ぶ方向に沿って変位可能であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のホッパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−232847(P2012−232847A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−95016(P2012−95016)
【出願日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】