説明

ホッパ

【課題】ホッパ部の内面の傾斜の角度に関わりなく、簡素な構成で、ホッパ内におけるブリッジの発生を防止する。
【解決手段】 上端開口12bから下方に向けて徐々に縮径するように形成されるホッパ部12と、そのホッパ部12の下方に接続され上下方向に伸びるスロート部13とを備え、前記スロート部13の下端は開放されており、前記上端開口12bから前記ホッパ部12内に投入された素材Mを、前記スロート部13の下端から下方へ排出できるホッパ10において、前記ホッパ部12の下端縁と前記スロート部13の上端縁とが接続されて稜線部11を成し、前記ホッパ部12の内面12a,12a同士の向きが平面視対向する少なくとも一組の対向部を有し、前記対向部の直下に位置する稜線部11,11同士は、互いにその高さが異なるように設定されている構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種素材を搬送、貯留等する施設に用いられるホッパに関するものであり、特に、適当な寸法に破砕された鉱物や鉱物相当品を一時貯留し、連続切り出し搬送する装置のホッパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉱物や石材等、農産物やその加工品等、産業廃棄物やその処理物等、家庭から出る廃棄物等(例えば、袋に入った状態のゴミ)に代表される各種塊状物、粒状物、粉状物等の素材を、搬入、搬送、搬出あるいは貯留等する施設には、その素材を所定の場所に落とし込むためにホッパが用いられる。
【0003】
ホッパは、上端開口から下方に向けて徐々に縮径するように形成されるホッパ部と、そのホッパ部の下方に設けられ、上下方向に伸びるスロート部とで構成される。スロート部は、通常は筒状部材で構成される。その筒状部材の下端は、下方に設けられた搬送手段に向かって開放されており、ここから素材が所定量ずつ、その搬送手段の搬送方向に切出しされる。
【0004】
しかし、このようなホッパを使用した場合に、ホッパ部とスロート部との境界付近において、素材がいわゆるブリッジを形成して、下方に落下しなくなってしまうという問題がある。
【0005】
このブリッジは、例えば、図3(a)に示すように、ホッパ部2の内面2a間を結ぶアーチ状に形成される場合が多い。この例では、ホッパ1内における素材Mである塊状物同士の噛み合わせにより、あるいは、塊状物同士がもたれ合うように、図中の矢印のようなアーチ方向の力が作用し、ホッパ部2の内面2a間にブリッジが形成される。
このアーチ方向の力は、ホッパ部2の内面2aに対してほぼ垂直に作用する。このため、ホッパ部2の内面2aが、少なくとも水平方向に向かい合う部分において、水平方向に対して同一の角度αで構成されている場合に生じやすい。アーチの作用により、そのホッパ部2の内面2aに作用する力は、その対向する箇所同士でつりあう状態となるからであると考えられる。
【0006】
なお、このとき、ホッパ部2の内面2aに作用する力は、図3(b)の矢印Fで示される。また、ホッパ部2の内面2aから素材Mに作用する摩擦力は、図中の矢印Pで示され、その摩擦力Pは、素材の自重を図中の矢印G、摩擦係数をμとすると、
P=μ(F+Gcosα)>Gsinα
すなわち、素材Mが下方に滑り落ちようとする力Gsinαが摩擦力Pよりも小さくなった時に、素材Mが滞留しやすくなり、前述のブリッジが発生しやすい環境になっているとも考えられる。
【0007】
このようなブリッジの発生は、特に、扱う素材が鉱物系、石材系の粒子の大きい塊状物で顕著(例えば、鉱物系の素材Mの場合、粒径50〜500mmで顕著)であるが、その他の素材Mにおいても、所定の条件の下で発生する。
ブリッジが発生した場合、施設の運転途中で、その素材Mの定量切り出しや一時貯留が出来なくなるという問題がある。
【0008】
そこで、ブリッジの発生を抑制するために、例えば、ホッパ部2の内面2aの水平方向に対する角度αを大きくすることにより、素材Mが下方に滑り落ちようとする力Gsinαを相対的に大きくする手法が考えられる。しかし、角度αを大きくすると、ホッパ部2の内面2aの傾斜がきつくなって、そのホッパ1の容量が減少するという問題がある。逆に容量を増やそうと傾斜を緩くすると、素材Mの滞留の問題を生じる。
【0009】
そこで、他の手法として、例えば、ホッパ1内外に素材Mに対して振動を与えるバイブレーターを設置したり、あるいは、そのホッパ1を回転させる等の手段も考えられる。また、ホッパ部2内に昇降自在のブリッジ解消梁を設ける技術もある。ブリッジ解消梁が降下すれば、素材Mに下向き外力を加えるので、その外力でブリッジを破壊する(例えば、特許文献1参照)。
さらに、対向するホッパ部2の内面2a,2a同士の傾斜(前記角度α)を互いに異ならせることによって、素材Mに生じようとする前記アーチ方向の力が、その対向するホッパ部2の内面2a間でつり合わないようにする技術もある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実公平7−22584号公報
【特許文献2】特開2002−45679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1に記載の技術によると、ホッパ1内にブリッジ解消梁という可動部材を設けることとなるため、ホッパ1の構造が複雑になるので好ましくない。また、バイブレータや、ホッパ1を回転させる技術も同様に、ホッパ1の構造を複雑にするので好ましくない。
【0012】
また、上記特許文献2に記載の技術によると、ホッパ部2の内面2aの傾斜の角度αを、ブリッジが生じない適切な範囲に設定する必要がある。この適切な角度αの範囲は、素材Mの内容によって異なるので、素材Mに応じてその都度、適切な角度αの検討を要するという問題がある。
また、その角度αの設定に際し、角度αが大きくなれば、前述のように、ホッパ1内の容量減少の問題が生じ得るし、逆に、角度αが小さくなれば、素材Mが摩擦力Pによってホッパ内1に滞留しやすくなるという問題が生じ得る。このような場合、ホッパ部2の内面2aのすべり係数や前記摩擦係数μを変更する必要が生じ、これには、ホッパ1を構成する部材の質を変える等の対策を要するので好ましくない。
【0013】
そこで、この発明は、ホッパ部の内面の傾斜の角度に関わりなく、簡素な構成で、ホッパ内におけるブリッジの発生を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、この発明は、上端開口から下方に向けて徐々に縮径するように形成されるホッパ部と、そのホッパ部の下方に接続され上下方向に伸びるスロート部とを備え、前記スロート部の下端は開放されており、前記上端開口から前記ホッパ部内に投入された素材を、前記スロート部の下端から下方へ排出できるホッパにおいて、前記ホッパ部の下端縁と前記スロート部の上端縁とが接続されて稜線部を成し、前記ホッパ部の内面同士の向きが平面視対向する少なくとも一組の対向部を有し、前記内面の傾斜方向に沿って前記対向部の下方に位置する稜線部同士は、互いにその高さが異なるように設定されていることを特徴とするホッパを採用した。
【0015】
ブリッジが発生しやすい対向部の下方において、対向する稜線部同士の高さを異ならせることにより、その上方の対向部、すなわち、ホッパ部の内面同士の向きが対向する箇所において、その内面間の距離が長くなる。
これを、本願の実施形態の説明図である図1、及び、従来例の説明図である図3に基づいて説明すると、スロート部の内面間距離である図3中の距離L1は、図1におけるL1に相当し、この図1では、対向する稜線部同士の高さを異ならせることにより、素材が仮にブリッジを形成しようとする際に想定される内面間距離を、従前のL1から図中L2まで拡大できていることを特徴とする。この距離の拡大により、ホッパ部の内面の傾斜の角度に関わりなく、素材同士の噛み合わせやもたれ合いによるアーチ方向の力の伝達を抑制し、対向部間、すなわちホッパ部の内面間にブリッジが形成されることを防止し得る。
【0016】
なお、前記対向部の下方にある稜線部とは、ブリッジが発生しやすい箇所における対向するホッパ部の内面間において、その対向する内面の各傾斜面に沿って直下に位置する稜線部同士を指す。すなわち、ブリッジが発生する可能性がある箇所(前記対向部)のすぐ下(傾斜面に沿って直下)における稜線部同士を、その高さ設定の対象とする。
つまり、対向部において、ホッパ部の内面同士の向きが対向するとは、ホッパの平面視において、対象となる内面同士が、所定の条件の下(例えば、両者の距離が前記L1に相当する程に近ければ)、ブリッジを形成するに足りる程度に向き合っていることを意味する。
【0017】
例えば、向かい合うホッパ部の内面が互いにフラット面であれば、スロート部を挟んで互いに向かい合った両内面の任意の等高線(同一の高さの位置を結ぶ線)が並行であるか、あるいは、ブリッジを形成するに足りる程度に並行に近い配置になっていて、その並行な線、並行に近い線同士を最短距離(等高線に平面視直交する方向)で結んだ際のその結んだ箇所の内面同士が該当する。
【0018】
また、ホッパ部の形状については、その内面の傾斜が、上端開口からスロート部との接続部である下端縁に向けて徐々に縮径するものであればよい。このため、ホッパ部の内面は、例えば、角錐状とすることができる。
【0019】
この構成において、前記稜線部は互いに対向する少なくとも一組の直線部を有し、その少なくとも一組は、前記対向部の下方に位置する稜線部同士であって、互いにその高さが異なるように設定されている構成を採用することができる。
また、前記稜線部は互いに対向する複数組の直線部で構成されて、その複数組の直線部の全てが、前記対向部の下方に位置する稜線部同士であって、互いにその高さが異なるように設定されている構成を採用することもできる。
すなわち、稜線部の平面視形状は四角形、六角形等任意の形状とでき、その任意の平面視形状からなる稜線部に介在する対向する直線部の組数は自由である。例えば、一組、二組、三組以上であってもよい。このうち、互いに異なるように高さ設定が成される直線部の組は、ブリッジの発生が懸念される少なくとも一組の箇所があればよいが、これを対向部の数に対応させて、二組、三組以上の複数組として、多方向へのブリッジ形成を同時に防止する構成としてもよい。
【0020】
これらの各構成において、前記スロート部の下方に搬送手段が設けられ、前記対向部の直下に位置する稜線部同士を結ぶ方向は、その平面視において、前記搬送手段の搬送方向に交差する構成を採用することができる。
【0021】
搬送手段の搬送方向に対しては、ホッパ内の素材が、その搬送手段の動きによって搬送方向へ向かって外力を受ける(引っ張られる)ので、一般に、アーチ軸方向が、その搬送方向に並行であるか、並行に近い方向となるようなブリッジは形成されにくい。
このため、互いに高さを異ならせる稜線部同士とは、その稜線部同士を結ぶ方向が、その平面視において、搬送手段の搬送方向に交差する方向であることが望ましい。さらには、その稜線部同士を結ぶ方向が、その平面視において、搬送手段の搬送方向に直交する方向であることが最も望ましい。
【0022】
また、スロート部の断面形状(稜線部の平面視形状)は、搬送手段の搬送方向に対しては長く(大きく)、搬送手段の搬送方向に直交する方向に対しては短く(小さく)することが望ましい。アーチ軸方向が搬送方向に沿うようなブリッジの形成がより確実に阻止され、アーチ軸方向が搬送方向に交差するようなブリッジの形成のみを、前述の稜線部同士の高低差の設定により対策すれば足りるからである。
【0023】
また、これらの各構成において、少なくとも一組の前記対向部の直下に位置する稜線部同士、すなわち、互いに高さを異ならせる稜線部同士は、互いに並行に設定されている構成を採用することができる。
あるいは、少なくとも一組の前記対向部の直下に位置する稜線部同士は、互いにねじれの位置関係になるように設定されている構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明は、ホッパ部の内面の傾斜の角度に関わりなく、ホッパ内におけるブリッジの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の一実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は断面図
【図2】(a)は図1の斜視図
【図3】(a)は従来例の断面図、(b)はブリッジ発生のメカニズムを示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。この実施形態は、鉱物系の粒径50〜500mmからなる素材Mを搬入、搬送、搬出あるいは貯留等する施設において、その素材Mを所定の場所に落とし込むために用いられるホッパ10である。
【0027】
ホッパ10は、ホッパ部12と、そのホッパ部12の下方に設けられ、上下方向に伸びるスロート部13とを備える。
【0028】
ホッパ部12は、上端開口12bから下方に向けて徐々に縮径するように形成されている。この実施形態では、上端開口12bは平面視矩形を成す角錐状であり、その角錐の四つの側面(内面12a)は、それぞれ、水平方向に対して同一の角度αに設定されている。
すなわち、ホッパ部12及びその内面12aは、底面を上に頂点を下に配置した角錐の一部形状を成している(以下、このような形状を「角錐状」と称する。)。この実施形態では、ホッパ部12は四角錐状である。
【0029】
なお、前記角度αは、ここで扱う素材Mが、摩擦力等との関係でスムーズに傾斜を滑り落ちることができる限界となる安息角、又はその安息角に近い角度に設定されている。このため、ホッパ部12内の全ての内面12a上で、素材Mが滞留しにくいようになっている。
【0030】
スロート部13は、その断面が、素材Mの落下方向、すなわち筒軸方向に沿って一定である筒状部材で構成される。この実施形態では、スロート部13は、ホッパ部12の形状に対応して、その筒軸直交方向の断面が長方形を成す筒状部材が採用されている。
【0031】
スロート部13の下端は開放されており、ここから素材Mが下方へ排出される。素材Mは、ホッパ10内に一旦停留し、その後、ホッパ10の下方に配置した搬送手段D上に、単位時間当たり概ね所定量ずつが定量切り出しされて落下する。この切り出しは、図示しない制御装置によって、その開始時期(落下開始時期)、終了時期(落下終了時期)、落下継続時間(落下量)等を制御することができる。
【0032】
この搬送手段Dとしては、例えば、エプロンコンベヤ、エプロンフィーダ、ベルトフィーダ、スクリューフィーダや、その他類似機種等が挙げられる。
【0033】
このホッパ10は、図2(a)に示すように、ホッパ部12の下端縁とスロート部13の上端縁とが溶接等により一体に接続されている。また、その接続部は、平面視矩形の稜線部11を成している。稜線部11は、スロート部13の筒軸心を囲むように切れ目なく全周囲に亘って連続している。
【0034】
このホッパ10は、ホッパ部12の内面形状が角錐状(四角錐状)であるので、図2(a)に示すように、ホッパ部12は、その向きが平面視対向する内面12a,12aの組合わせを合計二組を有する。この二組の内面12a,12aのうち一組は、ホッパ部12の四つの内面12aのうち、図1中左側に示す内面12aと右側に示す内面12aの組合わせであり、これがブリッジを発生しやすい対向部に該当する。また、もう一組は、残る二つの内面12a,12aの組合わせである。
【0035】
ホッパ部12の内面12aの傾斜方向に沿って、四つの内面12aの下方にはそれぞれ稜線部11が位置する。稜線部11はそれぞれ直線部で構成されている。つまり、稜線部11は、合計四本の直線部で構成されて矩形を成していることになる。その四本の直線部のうち、二本がスロート部13を挟んで対向する位置に並行に配置され、残る二本もスロート部13を挟んで対向する位置に並行に配置されている。
【0036】
この実施形態では、二組の対向する直線部のうち一組が、ブリッジの発生を阻止するべき前記対向部の下方に位置する稜線部11,11同士であって、その稜線部11,11同士は、図1及び図2(a)に符号A,Cでその位置を示すように、その全長に亘って、互いにその高さが異なるように設定されている。もう一組の直線部は、その高さの異なる稜線部11,11の両端間を結んで傾斜している。
なお、後者の直線部同士は、後述の理由により、ブリッジ発生の懸念が少ない箇所であり、稜線部に高低差を設定すべき対向部とは扱っていない。
【0037】
ここで、ホッパ10と、スロート部13の下方に設けられる搬送手段Dとの位置関係について説明すると、前記対向部の下方に位置する稜線部11,11同士を結ぶ方向は、その平面視において、図1(a)や図2中に矢印で示す搬送手段Dの搬送方向に交差する方向に設定されている。この実施形態では、稜線部11,11同士を結ぶ方向は、搬送手段Dの搬送方向に直交する方向となっているが、両者の成す角度は90度には限定されず、両者が互いに交差する限りにおいて自由に設定できる。例えば、両者の成す角度のうち鋭角となる部分が、80度であったり、70度であったり、あるいは、それ以下であってもよい。
【0038】
すなわち、搬送手段Dの搬送方向に対しては、ホッパ10内の素材Mが、その搬送手段Dの動きによって搬送方向へ向かって外力を受ける(引っ張られる)ので、一般に、アーチ軸方向が、その搬送方向に並行であるか、並行に近い方向となるようなブリッジは形成されにくい。前述の二組の対向する直線部のうち、後者の直線部同士が、ブリッジ発生の懸念が少ないとされる理由はこの点にある。
このため、互いに高さを異ならせる稜線部11,11同士とは、その稜線部11,11同士を結ぶ方向が、その平面視において、搬送手段Dの搬送方向に交差する方向に設定される。この実施形態では、その互いに高さを異ならせる稜線部11,11同士を結ぶ方向が、その平面視において、搬送手段Dの搬送方向に直交する方向に設定されている。
【0039】
また、この実施形態では、スロート部13内の空間の断面形状(稜線部の平面視形状)は長方形であり、すなわち、図1(a)中の符号W2に示すように、搬送手段の搬送方向に対しては長く(大きく)、同符号W1に示すように、搬送手段Dの搬送方向に直交する方向に対しては短く(小さく)なっている。これにより、アーチ軸方向が搬送方向に沿うようなブリッジの形成がより確実に阻止され、アーチ軸方向が搬送方向に交差するようなブリッジの形成のみを、前述の稜線部11,11同士の高低差の設定により対策するようになっている。
前述の二組の対向する直線部のうち、後者の直線部同士が、ブリッジ発生の懸念が少ないとされる理由は、この点にもある。
【0040】
このように、ブリッジの発生が懸念されるホッパ部12の内面12a,12aの対向部において、その対向部の下方に位置する稜線部11,11同士の高さを異ならせることにより、その上方の対向部間において、向かい合う内面12a,12a間の距離を相対的に長く確保できる。このため、その対向部間にブリッジが発生することを防止し得る。
【0041】
すなわち、従来例におけるスロート部3の内面間距離である図3中の距離L1は、図1におけるL1に相当し、この図1では、対向する稜線部11,11同士の高さを異ならせることにより、素材Mが仮にブリッジを形成しようとする際に想定される内面間距離を、従前のL1から図中L2まで拡大している。この距離の拡大により、ホッパ部12の内面12aの傾斜の角度αに関わりなく、素材M同士の噛み合わせやもたれ合いによるアーチ方向の力の伝達を抑制し、ホッパ部12の内面12a,12a間にブリッジが形成されることを防止し得るものである。
【0042】
なお、この実施形態では、前述のように、搬送手段Dの搬送方向や、あるいは、スロート部13内の空間の断面形状(稜線部の平面視形状)の設定によって、稜線部11の二組の直線部のうち、一組のみがブリッジが発生しやすいとされる対向部直下の稜線部11,11に該当し、その一組の稜線部11,11同士の高さが異なるように設定されている。
【0043】
しかし、この変形例として、例えば、二組の直線部のそれぞれの組が、ブリッジが発生しやすい対向部直下の稜線部11,11に該当する場合も想定される。
このとき、二組の直線部のそれぞれの組において、直線部同士が(稜線部11,11同士が)互いに異なる高さに設定される必要がある。このため、具体的には、二組の直線部のそれぞれの組において、直線部同士が(稜線部11,11同士が)、互いにねじれの位置関係になるように設定されているような構成が考えられる。
【0044】
また、これらの実施形態では、ホッパ部12を正四角錐状としたが、ホッパ部12の形状は、正四角錐以外の四角錐状、その他、三角錐状、五角錐状、六角錐状等の種々の角錐状としてもよい。すなわち、ホッパ部12の形状については、その内面12aの傾斜が、上端開口12bからスロート部13との接続部である下端縁に向けて徐々に縮径するものであればよい。
このとき、高さを異ならせるべき直線部の組数は、ブリッジが形成されやすいとされる対向部の箇所数に応じて設定される。このため、例えば、対向する三組以上の直線部のそれぞれの組において、直線部同士が(稜線部11,11同士が)、互いにその高さが異なるように設定されている構成も考えられる。
【符号の説明】
【0045】
1,10 ホッパ
2,12 ホッパ部
2a,12a 内面
3,13 スロート部
11 稜線部
D 搬送手段
M 素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端開口(12b)から下方に向けて徐々に縮径するように形成されるホッパ部(12)と、そのホッパ部(12)の下方に接続され上下方向に伸びるスロート部(13)とを備え、前記スロート部(13)の下端は開放されており、前記上端開口(12b)から前記ホッパ部(12)内に投入された素材(M)を、前記スロート部(13)の下端から下方へ排出できるホッパ(10)において、
前記ホッパ部(12)の下端縁と前記スロート部(13)の上端縁とが接続されて稜線部(11)を成し、前記ホッパ部(12)の内面(12a,12a)同士の向きが平面視対向する少なくとも一組の対向部を有し、前記内面(12a,12a)の傾斜方向に沿って前記対向部の下方に位置する稜線部(11,11)同士は、互いにその高さが異なるように設定されていることを特徴とするホッパ。
【請求項2】
前記稜線部(11)は互いに対向する少なくとも一組の直線部を有し、その少なくとも一組は、前記対向部の下方に位置する稜線部(11,11)同士であって、互いにその高さが異なるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のホッパ。
【請求項3】
前記スロート部(13)の下方に搬送手段(D)が設けられ、前記対向部の下方に位置する稜線部(11,11)同士を結ぶ方向は、その平面視において、前記搬送手段(D)の搬送方向に交差することを特徴とする請求項1又は2に記載のホッパ。
【請求項4】
前記対向部の下方に位置する稜線部(11,11)同士は、互いに並行に設定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のホッパ。
【請求項5】
前記対向部の下方に位置する稜線部(11,11)同士は、互いにねじれの位置関係になるように設定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のホッパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−18560(P2013−18560A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150839(P2011−150839)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】