説明

ホルモンおよびステロイド用の経皮送達システム

薬理作用物質および浸透促進剤を含む組成物を含む経皮送達システムであって、該浸透促進剤が平均分子量300以下のポリエチレングリコール(PEG)を含む経皮送達システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮送達システムならびにホルモンおよびステロイドの経皮送達方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステロイドおよびホルモンは、性ホルモンおよびある種の副腎皮質ホルモン(副腎皮質ステロイド)を含む。副腎皮質ステロイドは、多数かつ多様な生理学的機能および薬理効果を有する。それらは、炭水化物、タンパク質、脂肪、およびプリン代謝;電解質および水バランス;ならびに心血管系、腎臓、骨格筋、神経系、ならびに他の器官および組織の機能に影響を与える。治療上、副腎皮質ステロイドはホルモン不足、炎症、および他の状態を治療するために用いられるが、一方で、性ホルモンは避妊およびホルモン不足、ならびに他の状態を治療するために広く用いられる。
【0003】
性ステロイドの2つの主要なクラスはアンドロゲンおよびエストロゲンであり、中でも最も重要なヒト誘導体は、それぞれテストステロンおよびエストラジオール(17β−エストラジオール)である。他の文脈では、性ステロイドの第3のクラスとしてプロゲスターゲンを含むであろうが、これはアンドロゲンおよびエストロゲンとは異なっている。プロゲステロンは天然に存在する唯一のヒトプロゲスターゲンである。プロゲスチンは、単独またはエストラジオールと共に避妊に用いられる合成性ホルモンである。アンドロゲンは男性化効果を有するため、多くの場合「男性ホルモン」と呼ばれ、一方で、エストロゲンおよびプロゲスターゲンは「女性ホルモン」であると考えられており、全ての型は異なるレベルではあるが各性別に存在する。アンドロゲンは、男性および女性の両方において性欲減退の治療またはうつの治療に用いられうる。
【0004】
ホルモンおよびステロイドが皮膚を通過する投与(「経皮送達」)は、潜在的に簡易な投与計画を提供するのみならず、ホルモンの体循環への相対的に制御された放出経路も提供するため、より一層の注目を集めている。しかしながら、皮膚が天然バリアとして振る舞い、それゆえ皮膚を通過する薬剤の輸送が複雑なメカニズムを有しているという事実によって、経皮薬物送達は複雑なものとなっている。
【0005】
構造的に、皮膚は2つの主要部分からなり、相対的に薄い最外層(「表皮」)およびより厚い内部領域(「真皮」)からなる。表皮の最外層(「角質層」)は、ケラチンで満たされた扁平な死細胞からなる。角質層の扁平な死細胞の間の領域は、皮膚の天然バリア性の原因であるラメラ相を形成する脂質で満たされている。
【0006】
皮膚の表面に適用される(「局所適用」)薬理作用物質の効率的な経皮送達のために、薬剤は初めにビヒクルから角質層へ分配されなければならず、次いで角質層から生きた表皮へ分配される前に、典型的には角質層内に拡散しなければならない。
【0007】
経皮「パッチ」は、典型的には、投与される薬物を含むマトリックスまたはリザーバー、裏打ち層(backing layer)、接着性かつ保護性の剥離ライナー(release liner)からなる。放出膜を包含してもよい。これらのシステムを通じた薬物の送達は、半透放出膜によって制御され、または接着剤/接着性マトリックスによって制御される受動拡散を通じてなされる。皮膚を通過する薬物の流動を増加させるために、該システムは薬物浸透促進剤を包含してもよい。
【0008】
ホルモンおよびステロイドを投与する現在のアプローチの欠点の1つは、製剤が典型的には継続的に皮膚と接触していることである。パッチに用いられるクリーム剤および軟膏剤または接着剤は、皮膚炎および皮膚感作の原因となりうる。パッチに用いられる接着剤のために、かなりの割合のパッチ使用者が皮膚炎および皮膚感作に苦しんでいる。ステロイドおよびホルモン、特に性ステロイド系ホルモンは相対的に皮膚浸透力が弱く、多くのパッチが、有効血中濃度を提供するために、薬物の高荷重または広い表面積を必要とする。
【0009】
皮膚表面を横切る薬物送達の速度は、皮膚浸透促進剤によって増加しうる。皮膚浸透促進剤についての最も知られた問題は、それらが多くの場合、毒性、刺激性またはアレルゲン性があることである。これらの促進剤は、ジメチルスルホキシドおよびジメチルアセトアミドなどのプロトン受容溶媒であることが多い。最近になって、2−ピロリジン、N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、1−ドデシル−アザシクロヘプタン−2−オン(アゾン)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジンおよびチオグリコール酸カルシウムが、効果的な促進剤として報告されている。しかしながら、適用部位における刺激作用の問題、および/または経皮吸収の十分な促進の提供の困難のため、該皮膚促進剤についての問題は残ったままである。
【0010】
本明細書の文書の考察、行為、物質、装置、論文などは、本発明についての文脈を提供するためだけに含まれている。本出願の各請求項の優先日前に存在していたからといって、これらの事項のいずれかまたは全部が先行技術基準の一部を形成していた、または本発明と関連する分野における共通一般知識であったことを示唆または意味するものではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
概略
本発明は、ホルモンおよびステロイドから選択される少なくとも1つの薬剤、ならびに平均分子量300以下のポリエチレングリコールを含む浸透促進剤を含む組成物を含む経皮送達システムを提供する。
【0012】
さらなる態様では、本発明は、上記経皮送達システムを動物の皮膚表面へ適用することを含む、ヒトを含む動物対象への活性剤の経皮投与方法を提供する。
【0013】
さらに別の態様では、本発明は、対象の皮膚表面の部位に薬剤を適用することによる対象への経皮投与用の薬剤の製造における、(i)平均分子量300以下のポリエチレングリコール、ならびに(ii)ホルモンおよびステロイドから選択される少なくとも1つの薬剤の使用を提供する。
【0014】
1つの実施態様では、薬剤は、性ホルモンなどのホルモン不足の治療用、または避妊用であってよい。
【0015】
さらなる実施態様では、本発明は、対象の皮膚の部位への適用用の、ステロイドおよびホルモンから選択される薬理作用物質ならびに浸透促進剤を含む組成物を含む。組成物は、性ホルモンなどのホルモン不足の治療用、ホルモン補充療法用、または避妊用であってよい。
【0016】
さらなる態様では、本発明は、動物の皮膚表面の部位への投与用の経皮送達システムの製造方法であって、ホルモンおよびステロイドから選択される少なくとも1つの薬理作用物質ならびに平均分子量300以下のポリエチレングリコールを含む浸透促進剤を組み合わせることを含む製造方法を提供する。
【0017】
さらなる実施態様では、本発明は、経皮組成物用の容器、噴霧ノズル、および該ノズルを経由して該容器から定量噴霧を送達するためのアクチュエータを含む噴霧装置を含む経皮送達システムであって、該経皮組成物がホルモンおよびステロイドから選択される少なくとも1つの薬理作用物質ならびに平均分子量300以下のポリエチレングリコールを含む浸透促進成分を含む経皮送達システムを含む。
【0018】
経皮送達システムは、好ましくは、少なくとも1つの薬理作用物質の有効量を動物の血流中に提供するのに十分な用量にて適用されるであろう。
【0019】
好ましくは、動物はヒトであるが、本発明は非ヒト動物の治療にも拡張される。
【0020】
定義
当業者であれば、用語「ポリエチレングリコール」は、ジエチレングリコールを含まないことは理解できるであろう(ただし、必要であれば、ジエチレングリコールは付加的成分として存在してよい)。平均分子量300以下のポリエチレングリコールは、名目上の平均分子量200および300のポリエチレングリコールを含み、該平均分子量は最高で示された値の110%および最低で90%(好ましくは最高で105%および最低で95%)である。ポリエチレングリコールは、式H−[OCHCH−OHで表される。平均分子量300以下は、nの平均値が少なくとも3であり、一般的には3、4、5または6などの3〜6の値であり(ただし、平均値は整数である必要はない)、より好ましくは3〜5であることを意味する。ポリエチレングリコール(PEG)は、供給業者から医薬品グレードにて広く入手可能であり、平均分子量が最高で示された値の105%および最低で95%であることを一般的に示す特定の名目分子量にて販売されている。粘度および分子量決定方法は、「USP NF Official Compendium of Standards Volume 11180-1182 [2007 Edition]」に開示されている。
【0021】
本明細書で、用語「薬理作用物質」は、広範な種類の有用な化学薬品および治療薬を指すのに用いられている。
【0022】
本明細書で考察する薬剤を記載する用語「薬理作用(薬理学的)」は、宿主に対して直接的な薬理効果を有する薬剤のみならず、医療分野で有用な間接的または観察可能な効果を有する薬剤をも包含する広範な意味で用いられている。用語「薬理作用物質」は、インビボで生理学的効果を発揮する薬剤のプロドラッグを含む。ステロイドは、式:
【化1】

の一般シクロペンタノペルヒドロフェナントレン環系を有する化合物を含む。
【0023】
ステロイドは、これらの環に結合している官能基および該環の酸化状態によって異なる。ステロイドは、活性薬物の形態にあってよく、またはインビボでステロイドのより活性のある形態を提供するプロドラッグステロイドであってよい。ステロイドは、エストロゲン、アンドロゲン、グルココルチコイド、アドレノコルチコイド、タンパク質同化または受胎調節活性を提供する薬物およびプロドラッグを含む。ステロイドの例は、例えば、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、コルチゾン、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、プレドニゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、ピバル酸プレドニゾロン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、二酢酸トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、フルニソリド、二プロピオン酸ベクロメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾン二ナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾン二ナトリウム、酢酸クロロプレドニゾン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、酢酸デスオキシコルチコステロン、ピバル酸デスオキシコルチコステロン、デスオキシメタゾン、エストラジオール、フルドロコルチゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸ジクロリゾン、フルオロヒドロコルチゾン、フルオロメトロン、フルプレドニゾロン、パラメタゾン、酢酸パラメタゾン、アンドロステロン、フルオキシメステロン、アルドステロン、メタンドロステノロン、メチルアンドロステンジオール、メチルテストステロン、ノルエタンドロロン、テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン、エキレニン、エキリン、安息香酸エストラジオール、二プロピオン酸エストラジオール、エストリオール、エストロン、安息香酸エストロン、アセトキシプレグネノロン、酢酸アナゲストン、酢酸クロルマジノン、酢酸フルロゲストン、ヒドロキシメチルプロゲステロン、酢酸ヒドロキシメチルプロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン、酢酸ヒドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メレンゲストロール、ノルメチステロン、プレグネノロン、プロゲステロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、ジメチステロン、エチステロン、二酢酸エチノジオール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチステロン、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノロン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロキシジオンナトリウム、スピロノラクトン、オキサンドロロン、オキシメトロン、プロメトロン、シピオン酸テストステロン、フェニル酢酸テストステロン、シピオン酸エストラジオール、およびノルエチノドレルを含む。
【0024】
「プロドラッグ」は、不活性または低活性型にて投与され、活性型に代謝される薬理作用物質である。プロドラッグ自体は、皮膚または循環系などの体系と相互作用するまでは、所望の活性をほとんどまたは全く有さなくてよい。それにもかかわらず、本発明の経皮送達システムに用いられるホルモンおよびステロイドは、投与されると経皮投与過程の間または後にインビボでより活性のあるホルモンまたはステロイドを形成するプロドラッグであるホルモンおよびステロイドを含む。
【0025】
さらに別の好ましい実施態様では、プロドラッグまたは親組成物と混合されたプロドラッグの組成物は、薬理学的に同量の親薬物を有する同一の組成物よりも速いまたは遅い浸透速度を有する。さらに別の好ましい実施態様では、組成物は、薬理学的に同量の親薬物のみを有する組成物よりも長いまたは短い治療効果の持続期間を有する。別の好ましい実施態様では、プロドラッグは親薬物よりも親油的であり、プロドラッグは皮膚を通過するより速い浸透速度を有する。一般的に、プロホルモンおよびプロステロイドは、代謝条件下で切断可能な基を有する親ホルモンまたはステロイドの変形または誘導体である。プロドラッグは、生理学的条件下で加溶媒分解されまたは酵素分解されると、インビボで医薬活性のある親薬物となる。当該技術分野で周知のプロドラッグは、親酸もしくは親アルコールをそれぞれ適切なアルコールもしくは酸と反応させることによって製造される酸エステル、親酸もしくは親アミン化合物をそれぞれアミンもしくは酸と反応させることによって製造されるアミド、または反応によってアシル化塩基誘導体を形成する塩基性基を含む。プロドラッグの例は、「Bundgard, Design of Prodrugs, pp. 7-9, 21-24, Elsevier, Amsterdam 1985」、「Silverman, The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, pp. 352-401, Academic Press, San Diego, Calif., 1992」、および「Burger's Medicinal Chemistry and Drug Chemistry, Fifth Ed., Vol. 1, pp. 172-178,949-982 (1995)」で考察されている。対象の血漿プロファイルを制御する他の方法は、分子量または極性などに基づいてプロドラッグを選択することである。プロドラッグの分子量を増加させることによって、プロドラッグの有効量の浸透が開始するまでの時間は、親薬物と比較して増加するであろう。この効果の1つの例は、ノルエチンドロンおよび酢酸ノルエチンドロンの使用である。ノルエチンドロンの浸透速度は、適用後、急速にピークになるが、一方でより高分子量を有する酢酸ノルエチンドロンは、ノルエチンドロンの浸透速度が低下し始めた後に最大に達する。ステロイドは、縮合環上の17位、3位、または11位などのステロイド環上の位置で、遊離ヒドロキシ基を有する。特に好ましいのは、エストロゲン、プロゲスチン、およびアンドロゲンなどのステロイド系ホルモンである。対応するステロイドプロドラッグ(プロステロイド)は、3、11または17位の遊離ヒドロキシがアルコール反応性部位と反応したステロイドに対応する構造として定義される。特に好ましいのは、17位のヒドロキシルが、例えばC−C12アルカノイル基によってアシル化されているステロイド誘導体である。ステロイドであるか対応するプロステロイドであるかにかかわらず、誘導体は主薬として担体組成物に組み込まれ、それぞれ血流中にステロイド源を提供し、目的の生理学的効果を達成するが、対応するプロステロイドの場合には、該効果は誘導体の代謝変換を通じて生じる。ステロイドエステルは、環上の遊離ヒドロキシ基がエステル化されているステロイドに対応する構造を有する。ステロイドおよびその対応するエステルの例は、エストラジオール、ならびに安息香酸エストラジオール、17β−シピオン酸エストラジオール、17−プロピオン酸エストラジオール、ヘミコハク酸エストラジオール(eutocol)、エナント酸エストラジオール、ウンデシレン酸エストラジオール、酢酸エストラジオール、およびプロピオン酸エストラジオールなどを含む。別の例は、テストステロンおよびそのテストステロンの対応するエステルであり、17β−シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、ニコチン酸テストステロン、フェニル酢酸テストステロン、プロピオン酸テストステロンなどである。テストステロン17−クロラールヘミアセタールなどの17位に基を有する非エステル、またはエストラジオール3−メチルエーテルなどの3位に基を有するエーテルも含まれる。
【0026】
本明細書で、用語「経皮的」および「経皮」は、無傷の皮膚を通過することができることを指すために最も広義に用いられている。
【0027】
本明細書で、用語「皮膚浸透促進剤」は、局所適用用であろうと全身送達用であろうと、活性剤を動物などの生物に使用および送達するために、皮膚を横切る活性剤の経皮輸送の速度を改善する薬剤を指すために最も広義に用いられている。
【0028】
本明細書で、用語「非閉塞性」は、皮膚の適用部位に長期にわたって存在し続けるパッチ装置、固定リザーバー、適用チャンバー、テープ、包帯、絆創膏などによって、皮膚を外気に対して閉じ込めず、または密閉しないことを指すために最も広義に用いられている。本発明の経皮送達システムは、非閉塞性であることが特に好ましい。
【0029】
本明細書で、用語「角質層」は、主にタンパク質性物質のケラチンでできている(およそ15)層の最終分化したケラチノサイトからなっており、「レンガとモルタル」様式にて並んでおり、モルタルが主にコレステロール、セラミドおよび長鎖脂肪酸でできている脂質マトリックスからなっている皮膚の外層を指すために最も広義に用いられている。角質層は、皮膚を横切る活性剤の拡散に対する律速バリアを作り出す。
【0030】
本明細書で、用語「皮膚蓄積」は、細胞内(ケラチノサイト内)であろうと細胞間であろうと、角質層内の活性剤および皮膚浸透促進剤のリザーバーまたは蓄積を指すために最も広義に用いられている。
【0031】
当該技術分野で、用語「揮発性:不揮発性液体ビヒクル」は、皮膚浸透促進剤などの不揮発性液体ビヒクルと混合される揮発性液体を含む液体医薬ビヒクルを指すために用いられている。本明細書で記載されている場合、不揮発性皮膚浸透促進剤と混合される揮発性液体を含むシステムまたはビヒクルは、揮発性:不揮発性液体ビヒクルとして知られるシステムを含むために最も広義に用いられている。
【0032】
用語「脂肪族」は、直鎖状、分枝鎖状および環状脂肪族を含み、飽和アルキル基または1〜3個の不飽和基、特に1〜3個の二重結合を含む不飽和脂肪族であってよい。
【0033】
本発明の経皮薬物送達システムは、ホルモンおよびステロイドから選択される広範な薬理作用物質が、皮膚を通じて送達され、所望の全身作用を達成することを可能にする。薬物送達システムは、好ましくは、不揮発性皮膚浸透促進剤および揮発性液体と密に混合される少なくとも1つの活性剤を含む。薬物送達システムが皮膚に適用される場合、ホルモンおよびステロイドから選択される少なくとも1つの活性剤ならびに不揮発性液体は、揮発性液体が蒸発するに従って熱力学的に皮膚に追い込まれる。一度皮膚に入ると、不揮発性液体は脂質マトリックスを破壊し、および/または可溶化剤として作用し得、皮膚を通過する少なくとも1つの活性剤の浸透速度の促進、および治療される対象への送達を可能にする。このように、皮膚浸透促進剤はビヒクルとして作用し、多くの全身活性剤が動物に経皮投与されうる。
【0034】
経皮送達システムによって治療される対象は、一般的に哺乳類であり、好ましくはヒトであり、男性または女性である。用語「治療上の有効量」は、求めている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出すであろう対象化合物の量を意味する。
【0035】
本明細書の記載および特許請求の範囲を通じて、単語「を含む(comprise)」ならびに「を含む(comprising)」および「を含む(comprises)」などの該単語の変形は、他の添加剤、成分、整数またはステップを排除することを意図していない。
【0036】
詳細な記載
本発明の発明者は、(分子量300以下の)ポリエチレングリコールの浸透促進剤としての使用が、活性剤の浸透促進において有意な改善を示すことを見出した。
【0037】
典型的には、平均分子量300未満のPEGは、0.5〜20%の範囲の量にて、例えば1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%などの量にて存在するであろう。好ましくは、平均分子量300未満のPEGは、組成物の0.5〜15%の範囲の量にて、最も好ましくは0.5〜10重量%の範囲の量にて存在する。
【0038】
本発明の組成物は、好ましくはPEG200を全組成物の0.1〜40重量%の範囲の量にて、好ましくは0.5〜20%、例えば1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%などの量にて含む。
【0039】
本発明の組成物は、揮発性溶媒を含んでよく、好ましくは含むであろう。好ましくは、揮発性溶媒は、大気圧下で35mmHg以上の蒸気圧を有し、正常な皮膚温度である32℃を有する。本発明の特に好ましい形態では、溶媒は好ましくはC−Cアルカノール、より好ましくはエタノールもしくはイソプロパノール、またはその混合物である。
【0040】
揮発性溶媒は、好ましくは、本発明の組成物中に、組成物の40〜95重量%、好ましくは50〜95%、より好ましくは全組成物の60〜95重量%、例えば65%〜95重量%、70%〜95%、70〜90%または75〜90重量%などの範囲の量にて存在する。
【0041】
本発明の組成物は、必要であれば、例えば浸透促進剤、界面活性剤、増粘剤および溶媒からなる群から選択される1つ以上の付加的なアジュバントを含んでよい。適切な増粘剤の例は、ポリアクリル酸;およびアシル酸コポリマー、寒天、カラギナン、食物デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、タンパク質、ならびにポリビニルピロリドンを含む。増粘剤の含有量は、0〜5%であってよい。
【0042】
1つの実施態様では、組成物の浸透促進成分は、1つ以上の付加的な浸透促進剤を含んでよい。特に注目すべきは、サリチル酸のエステルが、好ましくはサリチル酸のC−C30脂肪族エステル、より好ましくはサリチル酸C−C12アルキル、最も好ましくはサリチル酸オクチル、特にサリチル酸2−エチルヘキシルから選択されることである。サリチル酸のエステルがポリエチレングリコールと組み合わせて存在する場合、(平均分子量300以下の)ポリエチレングリコールに対するサリチル酸のエステルの重量比は、好ましくは95:5〜5:95の範囲、好ましくは1:10〜10:1、例えば1:10〜5:1および1:5〜2:1などの範囲である。最適比は、活性剤の性質および濃度、ならびに浸透促進剤の組み合わせの濃度に依存して変化してよい。
【0043】
分子量300以下のPEGに加えて、既知の皮膚浸透促進剤が含まれていてよい。既知の浸透促進剤の例は、ラウロカプラムおよびラウロカプラム誘導体、例えば米国特許第5,196,410号に記載されている1−アルキルアザシクロヘプタン−2−オンなど、オレイン酸およびそのエステル誘導体、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ビニルおよびグリセリルモノオレエートなど、ならびに米国特許第5,082,866号に記載されている化合物、特にドデシル(N,N−ジメチルアミノ)アセテートおよびドデシル(N,N−ジメチルアミノ)プロピオネート、ならびに米国特許第4,861,764号に記載されている化合物、特に2−n−ノニル−1−3−ジオキソランである。最も好ましい既知の皮膚浸透促進剤は、オレイン酸およびそのエステル誘導体、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ビニルおよびグリセリルモノオレエートなど、ならびに米国特許第5,082,866号に記載されている化合物、特にドデシル(N,N−ジメチルアミノ)アセテートおよびドデシル(N,N−ジメチルアミノ)プロピオネート、ならびに米国特許第4,861,764号に記載されている化合物、特に2−n−ノニル−1−3−ジオキソランである。
【0044】
好ましくは、組成物は、分子量300以下のPEG以外に、5重量%以下の他の不揮発性浸透促進剤、より好ましくは1%以下、最も好ましくは組成物の0.5重量%以下の不揮発性浸透促進剤を含むであろう。
【0045】
本発明の好ましい実施態様では、組成物は本質的に下記からなる:
(i) ホルモンおよびステロイド、より好ましくはステロイド系性ホルモンから選択される少なくとも1つの活性剤;
(ii) 本質的に平均分子量300以下のポリエチレングリコールからなる浸透促進成分;
(iii)エタノールおよびイソプロパノールの1つ以上からなる揮発性溶媒;
(iv) 任意に噴霧剤。
【0046】
当業者であれば、アルコールおよびポリオールは、一定量の水を含むことが理解できるであろう。典型的には、組成物の総含水量は20重量%未満、好ましくは全組成物の10重量%未満である。
【0047】
本発明の組成物は、液体、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤、ローション剤、パッチ(マトリックスおよびリザーバー)、テープ、硬膏剤またはフィルム形成剤などの範囲の形態にあってよい。より好ましい実施態様では、経皮送達システムは皮膚の特定部位への適用用の液体形態にある。
【0048】
本発明の組成物は、皮膚への局所適用に適切ないずれかの形態にあってよい。適切な形態は、噴霧可能液体;ゲル剤;ロールオン装置を用いて適用されうる液体;ラッカー;およびパッチなどの経皮送達装置の持続放出マトリックスを含む。組成物は通常、単独で投与されるが、ある状況下では、投与は、浸透を促進するために、イオン導入、超音波およびマイクロニードルなどの他の送達メカニズムを用いることによってさらに修飾されてよい。非閉塞性の適用、特に噴霧適用が好ましい。
【0049】
適切な薬理作用活性ホルモンおよびステロイドは下記から選択してよい:
【0050】
エストロゲン、例えばエストラジオール、エストリオール、安息香酸エストラジオール、17β−シピオン酸エストラジオール、エナント酸エストラジオール、プロピオン酸エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、ジエネストロール、メストラノール、スチルベストロール、ジエネストロール、エピエストリオール、エストロピペート、ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセン、結合型エストロゲンホルモン、リン酸ポリエストラジオール、およびゼラノール、ならびにその混合物など;
【0051】
プロゲステロンおよびプロゲスチン、例えばノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ゲストデン、レボノルゲストレル、アリルエストレノール、アナゲストン、デソゲストレル、ジメチステロン、ジドロゲステロン、エチステロン、エチノジオール、二酢酸エチノジオール、エトノゲストレル、ゲストデン、エチニルエストラジオール、ハロプロゲステロン、17−ヒドロキシ−16−メチレン−プロゲステロン、17α−ヒドロキシプロゲステロン、リネストレノール、メドロキシプロゲステロン、メレンゲストロール、ノルエチンドロン、ノルエチノドレル、ノルゲステロン、ゲストノロン、ノルエチステロン、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、レボノルゲストレル、ノルゲストリエノン、ノルビニステロン、ペンタゲストロン、MENT(7−メチル−19−テストステロン);ノルエルゲストロミン、トリメゲストン、ドロスピレノン、チボロン、およびメゲストロール、ならびにその混合物など;
【0052】
選択的プロゲステロン受容体修飾因子、例えばアソプリスニル、CDB−4124およびその混合物など;
【0053】
選択的エストロゲン受容体修飾因子、例えばバゼドキシフェン、クロミフェン、フルベストラント、ラソフォキシフェン、ラロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェンおよびその混合物など;
【0054】
抗プロゲストゲン剤、例えばミフェプリストンおよびその混合物など。
【0055】
抗ゴナドトロピン剤、例えばダナゾールおよびゲストリノンならびにその混合物など;
【0056】
抗アンドロゲン剤、例えば酢酸シプロテロンおよびダナゾールならびにその混合物など;
【0057】
抗エストロゲン剤、例えばタモキシフェン、エピチオスタノール、アロマターゼ阻害剤、エキセメスタンおよび4−ヒドロキシ−アンドロステンジオンならびにその誘導体ならびにその混合物など。
【0058】
アンドロゲンおよびタンパク質同化薬、例えばアンドロイソキサゾール、アンドロステンジオール、ボランジオール、ボラステロン、クロステボール、エチルエストレノール、ホルミルジエノロン、4−ヒドロキシ−19−ノルテストステロン、メタンドリオール、メテノロン、メチルトリエノロン、ナンドロロン、ノルボレトン、オキシメステロン、ステンボロンおよびトレンボロンなど。アンドロゲンステロイドは、ボルデノン、フルオキシメステロン、メスタノロン、メステロロン、メタンドロステノロン、17−メチルテストステロン、17α−メチルテストステロン3−シクロペンチルエノールエーテル、ノルエタンドロロン、ノルメタンドロン、オキサンドロロン、オキシメステロン、オキシメトロン、プラステロン、スタノロン、スタノゾロール、テストステロン、テストステロン17−クロラールヘミアセタール、プロピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、チオメステロン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、アンドロステンジオン(アンドロ):アンドロステンジオール、アンドロステロン、ジヒドロテストステロン(DHT)、およびアンドロスタノロン、ならびにその誘導体を含んでよい;
【0059】
5−αレダクターゼ阻害剤、例えばフィナステリド、ツロステリド、LY−191704およびMK−306ならびにその混合物など;
【0060】
副腎皮質ステロイド、例えばベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、21−リン酸デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノニド、フルオシノニドデソニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルオコルトロン、ハルシノニド、ハロプレドン、ヒドロコルチゾン、17−吉草酸ヒドロコルチゾン、17−酪酸ヒドロコルチゾン、21−酢酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、21−リン酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドおよびその混合物など;
【0061】
即時組成物における使用用のステロイド系抗炎症薬のさらなる例は、コルトドキソン、フルオロアセトニド(fluoracetonide)、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルランドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびその他のエステル、クロロプレドニゾン、クロルコルテロン、デスシノロン、デソニド、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルコルトロン、フルオロメトロン(fluoromethalone)、フルペロロン、フルプレドニゾロン、メプレドニゾン、メチルメプレドニゾロン、パラメタゾン、酢酸コルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、酢酸フルドロコルチゾン、フルランドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナファル、アムシナフィド、ベタメタゾン、安息香酸ベタメタゾン、酢酸クロロプレドニゾン、酢酸クロコルトロン、デスシノロンアセトニド、デスオキシメタゾン、酢酸ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、ピバル酸フルメタゾン、酢酸フルニソリド、酢酸フルペロロン、吉草酸フルプレドニゾロン、酢酸パラメタゾン、プレドニゾラメート、プレドニバール、トリアムシノロンヘキサアセトニド、コルチバゾール、ホルモコータルおよびニバゾールならびにその混合物を含む;
【0062】
アロマターゼ阻害剤、例えばアミノグルテチミド、アナストロゾール、エキセメスタン、ホルメスタン、レトロゾールおよびボロゾールなど;
【0063】
ゴナドトロピン、例えばクロミフェンおよびウロフォリトロピンなど;
【0064】
GnRH:(受容体)作動薬、例えばブセレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、リュープロレリン、ナファレリンおよびトリプトレリンなど;
【0065】
GnRH拮抗薬:アバレリクス、セトロレリクスおよびガニレリクス;
【0066】
下垂体ホルモンおよびそれらの活性誘導体または類似体、例えばコルチコトロピン、サイロトロピン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)およびゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)など;
【0067】
甲状腺ホルモン、例えばカルシトニン、チロキシンおよびリオチロニンなど、ならびに抗甲状腺薬、例えばカルビマゾールおよびプロピルチオウラシルなど;ならびに
【0068】
他の種々のホルモン薬、例えばオクトレオチドなど;ならびに2つ以上の群からの混合物。
【0069】
浸透促進剤と活性剤の最適比は、活性剤および浸透促進剤の性質に依存して異なるであろう。典型的には、活性剤に対する浸透促進剤の重量比は1000:1〜1:1000、好ましくは500:1〜1:10、最も好ましくは20:1〜1:1の範囲であろう。
【0070】
本発明の浸透促進剤は、ホルモンの経皮投与に特に有用である。本発明の薬物送達システムに用いられてよいホルモンは、皮膚浸透促進剤の助けにより皮膚を通過して送達され、所望の効果を達成しうる全身活性ホルモンを含む。
【0071】
本発明の組成物は、これらの群の1つ以上からの複数のホルモンを含んでよい。例えば、避妊製剤については、1つ以上のエストロゲンおよび1つ以上のプロゲスチンを含むことが所望でありうる。
【0072】
経皮送達システムは、ホルモンおよび/またはステロイドの治療上の有効量を局所部位または体循環へ送達するために用いられてよい。1つの実施態様では、該システムは体循環における薬理作用物質の医薬有効濃度、例えば医薬有効血中濃度を提供する。本発明の1つの好ましい形態では、薬物送達システムは、重量ベースで約0.1〜約10%のホルモンおよびステロイドから選択される少なくとも1つの薬理作用物質、約0.1〜12%の量の皮膚浸透促進剤、および約78〜99.8%のエタノール、イソプロパノールまたはその混合物を含む。
【0073】
本発明の別の好ましい形態では、薬物送達システムは、重量ベースで、約1〜3%のホルモンおよびステロイドから選択される少なくとも1つの薬理作用物質、約1〜15%の量の皮膚浸透促進剤の組み合わせ、約45〜90%のエタノール、イソプロパノールまたはその混合物、ならびに5〜45%の水を含む。
【0074】
本発明の薬物送達システムおよび方法を用いることによって治療されうる疾患または状態は、テストステロン欠乏性の性機能低下男性の男性ホルモン補充、例えばエストラジオールを用いた閉経後女性用の女性ホルモン補充療法、性欲が欠如している女性用のテストステロンなどのアンドロゲンを用いたアンドロゲン補充療法、男性避妊(例えば、任意にテストステロンと組み合わせるエトノゲストレルなどのプロゲスチンを用いた避妊)および女性避妊(例えば、任意にエストロゲンと組み合わせるプロゲスチンを用いた避妊)を含み、これらに限定されない。
【0075】
1つの実施態様では、経皮送達システムは、経皮組成物用の容器、噴霧ノズル、および該ノズルを経由して該容器から定量噴霧を送達するためのアクチュエータを含む噴霧装置を含み、該経皮組成物は、少なくとも1つの薬理作用物質、ならびに第1の浸透促進成分として平均分子量300以下のポリエチレングリコール;および任意に第2の浸透促進成分としてサリチル酸のエステルを含む。
【0076】
経皮送達システムは、好ましくは、少なくとも1つの薬理作用物質の有効量を動物の血流中に提供するのに十分な用量にて適用されるであろう。
【0077】
好ましくは、塗布器は定量噴霧適用を提供し、例えば定量噴霧エアロゾル、蓄積エネルギー式定量噴霧ポンプまたは手動式定量噴霧ポンプなどである。好ましくは、薬物送達システムは、約10〜800cm、より好ましくは約10〜400cm、および最も好ましくは約10〜200cmの送達表面積に及ぶ動物の皮膚に適用される。最も好ましくは、適用は、局所定量噴霧スプレーとアクチュエータノズルカバーを組み合わせて用いることで実施されるが、これらは共に適用される用量の量および/または均一性を正確にコントロールする。カバーの1つの機能は、ノズルの位置を薬物送達システムが適用される皮膚から所定の高さ上に、かつ、垂直に保つことである。この機能は、スペーサーバー(spacer-bar)などを用いることによっても達成されうる。カバーの別の機能は、薬物送達システムが周囲の環境に跳ね返り、および/または喪失することを防止または制限するために、皮膚上の部位を包み込むことである。好ましくは、カバーによって定義される適用部位は、実質的に円形である。
【0078】
本発明は、下記の実施例を参照して記載されるであろう。実施例は本発明を説明する目的で提供されており、決して本発明の範囲に限定する目的で提供されているのではないと理解されるべきである。
【0079】
実施例
実施例の組成物およびそれらの性能は図面を参照して比較される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図面において:
【0081】
【図1】図1は、コントロールからのプロゲスチン+エストロゲンの浸透を、実施例1のPEG200を含む本発明のプロゲスチン経皮送達組成物と比較したカラムチャートである。
【0082】
【図2】図2aおよび2bは、実施例2に記載されている異なるプロゲスチンおよびPEG200ではなくPEG400を含む比較経皮組成物のプロゲスチン浸透に対する効果を示すカラムチャートである。
【0083】
【図3】図3は、実施例3に記載されている経皮送達組成物からのアンドロゲンの浸透に対するPEG200の効果を示すカラムチャートである。
【0084】
【図4】図4および図5は、実施例4に記載されている経皮送達組成物からのアンドロゲンの浸透に対するそれぞれPEG200およびPEG400の効果を比較するカラムチャートである。
【図5】図4および図5は、実施例4に記載されている経皮送達組成物からのアンドロゲンの浸透に対するそれぞれPEG200およびPEG400の効果を比較するカラムチャートである。
【0085】
【図6】図6は、実施例5の組成物からのアンドロゲンの浸透に対するPEG200の効果を調べるカラムチャートである。
【0086】
【図7】図7は、実施例6に記載されている経皮送達組成物からのエストロゲンの浸透に対するPEG200の効果を調べるカラムチャートである。
【0087】
【図8】図8は、実施例7に記載されている別の浸透促進剤の存在下でのアンドロゲン、テストステロンの浸透に対するPEG200の効果を示すカラムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0088】
実施例1
インビトロでヒト皮膚を通過するプロゲスチン、酢酸ノルエチステロン、およびエストロゲン、エストラジオールの累積浸透に対するPEG200の効果の研究。
【0089】
方法:
デルマトームで採皮したヒト女性腹部皮膚(500μm)を用いて有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0090】
これらの実験は、フランツ型セルを用いて24時間にわたって実施した。事前に切った皮膚膜を、セルのレセプターチャンバーの中央に角質層がドナーチャンバーに面するようにマウントし、グリース(高真空グリース、BDH)を塗った水平型フランツ型浸透セルの中間部のバリアとした。浸透に利用できる面積は、およそ0.925cmであった。浸透セルのレセプターチャンバーにレセプター相(リン酸緩衝生理食塩水pH7.4)を満たし、蓋をした。浸透セルを定温の水浴に浸し、レセプターチャンバーを35℃に維持した。水中使用が可能なマグネチックスターラーで動かされる小型PTFEコーティングマグネチックスターラーバーによって、レセプターチャンバーの内容物を連続的に撹拌した。投薬前1時間、水浴中にて、皮膚をレセプター溶液の温度に平衡化させた。
【0091】
皮膚に製剤を用量3.6μL/cmで適用した。適用された製剤を、皮膚膜を破壊することなく、エッペンドルフ社の容積式ピペットチップを用いて皮膚領域に広げた。
製剤は下記の組成を有した:
○比較組成物1:2.8%酢酸ノルエチステロン(NETA)、0.55%エストラジオール(E2)、5%サリチル酸オクチル(OS)
○組成物2:2.8%NETA、0.55%E2、5%ポリエチレングリコール200(PEG200)
○組成物3:2.8%NETA、0.55%E2、5%OS、5%PEG200
○組成物4:2.8%NETA、0.55%E2、10%PEG200
○組成物5:2.8%NETA、0.55%E2、5%OS、10%PEG200
【0092】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0093】
図1は、比較組成物1の浸透を本発明と関連する組成物2〜5と比較するものである。OSと組み合わせたPEG200は、酢酸ノルエチステロンおよびエストラジオールの両方について、インビトロでヒト表皮を通過する浸透を有意に促進することがわかった。図1にて、NETAの浸透を比較している。
【0094】
実施例2
インビトロでヒト皮膚を通過する累積ネストロンおよびエチニルエストラジオール浸透に対するPEG200およびPEG400の効果についての研究
【0095】
方法:
デルマトームで採皮したヒト女性腹部皮膚(500μm)を用いて有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0096】
これらの実験は24時間にわたって実施し、拡散面積を1.0cmに増加させるためにセルを修飾した以外は、以前に記載されたもの(Cooper, E.R. J. Pharm. Sci. 1984, 73, 1153-1156)に基づいたステンレス鋼の、フロースルー拡散セルを用いて実施した。製剤は、有限用量技術(finite dose technique)(Franz, T.J. Curr. Probl. Dermatol., 1978, 7, 58-68)を用いて適用し、適用した用量3.6μL/cmで臨床投薬条件を模倣した。一切れのステンレス鋼の金網を拡散セルのレセプターチャンバー内の皮膚直下に置き、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。マイクロカセットペリスタルティックポンプ(Watson Marlow 505S UK)によって、拡散セルを流速およそ0.5mL/時間に維持した。加熱棒によってセルを32±0.5℃に保ち、適切な大きさのガラスバイアルにサンプルを24時間収集した。レセプター溶液(リン酸緩衝生理食塩水pH7.4)によって皮膚下の浸漬条件を維持した。
製剤は下記の組成を有した:
○組成物(Comp)1(コントロール):1.35%ネストロン(NES)、0.35%エチニルエストラジオール(EE)のイソプロピルアルコール(IPA)溶液
○組成物2:1.35%NES、0.35%EE、5%ポリエチレングリコール400(PEG400)のIPA溶液
○組成物3:1.35%NES、0.35%EE、0.5%ポリエチレングリコール(PEG200)のIPA溶液
【0097】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0098】
NESおよびEEの浸透に対するPEG400の効果は、それぞれ図2aおよび2bに示している。図2aおよび2b:それぞれ、組成物2(本発明に係るものではない)の適用から得られたネストロンおよびエチニルエストラジオール浸透を、コントロール組成物1の適用に対して得られたデータと比較して示す。
【0099】
OSと組み合わせたPEG200は、ネストロンおよびエチニルエストラジオールの両方について、インビトロでヒト表皮を通過する浸透を促進することが分かった。
【0100】
PEG400を製剤に加えても、インビトロでヒト表皮を通過するネストロンの浸透に対して有意な効果(促進または阻害)はなかった。PEG400は、インビトロでヒト表皮を通過するエチニルエストラジオールの浸透を阻害することが分かった。
【0101】
実施例3
インビトロでヒト皮膚を通過する累積テストステロン浸透に対するPEG200の効果についての研究
【0102】
方法:
デルマトームで採皮したヒト女性腹部皮膚(500μm)を用いて有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0103】
これらの実験は24時間にわたって実施し、拡散面積を1.0cmに増加させるためにセルを修飾した以外は、以前に記載されたもの(Cooper, E.R. J. Pharm. Sci. 1984, 73, 1153-1156)に基づいたステンレス鋼の、フロースルー拡散セルを用いて実施した。製剤は、有限用量技術(finite dose technique)(Franz, T.J. Curr. Probl. Dermatol., 1978, 7, 58-68)を用いて適用し、適用した用量3.6μL/cmで臨床投薬条件を模倣した。一切れのステンレス鋼の金網を拡散セルのレセプターチャンバー内の皮膚直下に置き、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。マイクロカセットペリスタルティックポンプ(Watson Marlow 505S UK)によって、拡散セルを流速およそ1.0mL/時間に維持した。加熱棒によってセルを32±0.5℃に保ち、適切な大きさのガラスバイアルにサンプルを24時間収集した。レセプター溶液(0.002%w/v NaN)によって皮膚下の浸漬条件を維持した。
製剤は下記の組成を有した:
○組成物1:5%テストステロン(TES)のエタノール(95%)溶液
○組成物2:5%TES、1.0%ポリエチレングリコール200(PEG200)のエタノール(95%)溶液
○組成物3:5%TES、2.5%PEG200のエタノール(95%)溶液
【0104】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0105】
図3にて、組成物2および3におけるPEG200の組み合わせの効果を、コントロール組成物1と比較している。図3に示すように、PEG200は、インビトロでヒト表皮を通過するテストステロンの浸透を有意に促進することが分かった。
【0106】
実施例4
インビトロでヒト皮膚を通過するローション剤からのアンドロゲン、テストステロンの累積浸透に対するPEG200およびPEG400の効果についての研究。
【0107】
方法:
切除した女性の腹部組織からデルマトームで採皮して調製した皮膚(500μmにセットしたパジェット・モデル(Padgett Model)BまたはS電動デルマトーム)を用いて、有限用量(Finite-dose)インビトロ浸透研究を行った。
【0108】
これらの実験は、1cmの投与面積を有するフロースルーシステムを用いて24時間にわたって実施した。一切れのステンレス鋼の金網を各浸透セルのレセプターチャンバー内に置き、皮膚を支え、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。ペリスタルティックポンプ(313Aアダプターおよび308MC 8ローラーポンプヘッドを備えたWatson Marlow 520Sペリスタルティックポンプ;Stauff Corporation, Australia)によって、レセプター溶液を流速およそ0.5mL/時間に維持した。セルを加熱棒上に置き、皮膚の温度を32±1℃に保った。
【0109】
皮膚をレセプター溶液(RS;0.002%ナトリウムアジド)と2時間平衡化した後、容積式ピペットを用いて角質層表面に15または30μL/cmのMD−ローション製剤を投与した。ピペットチップを用いて製剤を皮膚領域に均一に広げた。適切な大きさのガラスバイアルに浸透サンプルを24時間収集した。
【0110】
テストステロンの浸透に対するポリエチレングリコール200(PEG200)またはポリエチレングリコール400(PEG400)の添加の効果を調べた。0.5〜5%w/vのPEG200またはPEG400を、下記のテストステロン(TES)ローション製剤に加えた:
・製剤:2%w/v TES、2%w/vポリビニルピロリドン(PVP)のイソプロピルアルコール(IPA)溶液。
【0111】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。PEG200についての結果は図4に示し、PEG400についての結果は図5に示す。
【0112】
結果:
PEG200は、インビトロでヒト皮膚を通過するTESの浸透を有意に促進した。PEG400は、インビトロでヒト皮膚を通過するTESの浸透に対して全く効果がなかった。
【0113】
実施例5
インビトロで噴霧適用された経皮テストステロン組成物からヒト皮膚を通過するアンドロゲン、テストステロンの累積浸透に対するPEG200およびPEG400の効果についての研究
【0114】
方法:
切除した女性の腹部皮膚からデルマトームで採皮して調製した皮膚(500μmにセットしたパジェット・モデル(Padgett Model)BまたはS電動デルマトーム)を用いて、有限用量(Finite-dose)インビトロ浸透研究を行った。
【0115】
これらの実験は、1cmの投与面積を有するフロースルーシステムを用いて24時間にわたって実施した。一切れのステンレス鋼の金網を各浸透セルのレセプターチャンバー内に置き、皮膚を支え、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。ペリスタルティックポンプ(313Aアダプターおよび308MC 8ローラーポンプヘッドを備えたWatson Marlow 520Sペリスタルティックポンプ;Stauff Corporation, Australia)によって、レセプター溶液を名目上の流速0.5mL/時間に維持した。セルを加熱棒上に置き、皮膚の温度を32±1℃に保った。
【0116】
皮膚をレセプター溶液(RS;0.002%ナトリウムアジド)と2時間平衡化した後、容積式ピペットを用いて角質層表面に3.6μL/cmの定量噴霧式経皮スプレー(MDTS)製剤を投与した。ピペットチップを用いて製剤を皮膚領域に均一に広げた。適切な大きさのガラスバイアルに浸透サンプルを24時間収集した。
【0117】
定量噴霧式経皮スプレー製剤は下記を含んだ:
・テストステロン(TES)、ポリエチレングリコール200(PEG200)またはポリエチレングリコール400(PEG400)のイソプロピルアルコール(IPA)溶液。
【0118】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化し、PEG200についての結果は図6に示す。
【0119】
結果:
PEG200は、インビトロでヒト皮膚を通過するTESの浸透を増加させた。PEG400を製剤に加えても、コントロール製剤と比較して、TESの浸透に有意な違いをもたらさなかった。
【0120】
実施例6
エストラジオール噴霧:インビトロでヒト皮膚を通過するエストラジオール浸透に対するPEG200およびPEG400の効果についての研究
【0121】
方法:
切除した女性の腹部皮膚からデルマトームで採皮して調製した皮膚(500μmにセットしたパジェット・モデル(Padgett Model)BまたはS電動デルマトーム)を用いて、有限用量(Finite-dose)インビトロ浸透研究を行った。
【0122】
これらの実験は、1cmの投与面積を有するフロースルーシステムを用いて24時間にわたって実施した。一切れのステンレス鋼の金網を各浸透セルのレセプターチャンバー内に置き、皮膚を支え、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。ペリスタルティックポンプ(313Aアダプターおよび308MC 8ローラーポンプヘッドを備えたWatson Marlow 520Sペリスタルティックポンプ;Stauff Corporation, Australia)によって、レセプター溶液を名目上の流速0.5mL/時間に維持した。セルを加熱棒上に置き、皮膚の温度を32±1℃に保った。
【0123】
皮膚をレセプター溶液(RS;0.002%ナトリウムアジド)と2時間平衡化した後、容積式ピペットを用いて角質層表面に3.6μL/cmのエストラジオール経皮噴霧製剤を投与した。ピペットチップを用いて製剤を皮膚領域に均一に広げた。適切な大きさのガラスバイアルに浸透サンプルを24時間収集した。
【0124】
エストラジオール経皮噴霧製剤は下記を含んだ:
・テストステロン(TES)、ポリエチレングリコール200(PEG200)またはポリエチレングリコール400(PEG400)のイソプロピルアルコール(IPA)溶液
【0125】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化し、結果は図7に示す。
【0126】
結果:
0.25%および0.50%製剤の両方において、PEG200はインビトロでヒト皮膚を通過するエストラジオールの浸透を促進することが分かった。
【0127】
実施例7
インビトロでヒト皮膚を通過する累積テストステロン浸透に対するPEG200の効果についての研究
【0128】
方法:
デルマトームで採皮したヒト女性腹部皮膚(500μm)を用いて有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0129】
これらの実験は24時間にわたって実施し、拡散面積を1.0cmに増加させるためにセルを修飾した以外は、以前に記載されたもの(Cooper, E.R. J. Pharm. Sci. 1984, 73, 1153-1156)に基づいたステンレス鋼の、フロースルー拡散セルを用いて実施した。製剤は、有限用量技術(finite dose technique)(Franz, T.J. Curr. Probl. Dermatol., 1978, 7, 58-68)を用いて適用し、適用した用量15μL/cmで臨床投薬条件を模倣した。一切れのステンレス鋼の金網を拡散セルのレセプターチャンバー内の皮膚直下に置き、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。マイクロカセットペリスタルティックポンプ(Watson Marlow 505S UK)によって、拡散セルを流速およそ1.0mL/時間に維持した。加熱棒によってセルを32±0.5℃に保ち、適切な大きさのガラスバイアルにサンプルを24時間収集した。レセプター溶液(0.002%w/v NaN)によって皮膚下の浸漬条件を維持した。
製剤は下記の組成を有した:
○組成物1:2%テストステロン(TES)、5%サリチル酸オクチル(OS)、2%ポリビニルピロリジン(PVP)、30%イソプロピルアルコール(IPA)のエタノール(95%)溶液
○組成物2:2%TES、5%OS、2%PVP、30%IPA、0.5%ポリエチレングリコール200(PEG200)のエタノール(95%)溶液
○組成物3:2%TES、5%OS、2%PVP、30%IPA、1.0%PEG200のエタノール(95%)溶液
○組成物4:2%TES、5%OS、2%PVP、30%IPA、2.5%PEG200のエタノール(95%)溶液
【0130】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0131】
組成物を用いた場合のTESの浸透に対する効果を、図8に示している。PEG200は、浸透促進剤のサリチル酸オクチル(OS)と組み合わせると、インビトロでヒト表皮を通過するテストステロンの浸透を有意に促進することが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルモンおよびステロイドから選択される少なくとも1つの薬理作用物質ならびに浸透促進剤を含む組成物を含む経皮送達システムであって、該浸透促進剤が平均分子量300以下のポリエチレングリコール(PEG)を含む経皮送達システム。
【請求項2】
平均分子量300以下のPEGが全組成物の0.1〜40重量%の範囲の量にて存在する、請求項1の経皮送達システム。
【請求項3】
組成物がC−Cアルカノールおよびその混合物から選択される溶媒を含む、請求項1または請求項2の経皮送達システム。
【請求項4】
揮発性溶媒が組成物中に全組成物の70重量%〜95重量%の範囲の量にて存在する、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項5】
組成物が本質的に、
(i) ホルモンおよびステロイドから選択される少なくとも1つの薬理作用物質;
(ii) 平均分子量300以下のポリエチレングリコールからなる浸透促進成分;
(iii)エタノールおよびイソプロパノールの1つ以上からなる揮発性溶媒;ならびに
(iv) 任意に噴霧剤、
からなる、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項6】
組成物の総含水量が全組成物の10重量%未満である、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項7】
非閉塞性である、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項8】
薬理作用物質に対する浸透促進剤の重量比が500:1〜1:10の範囲にある、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項9】
少なくとも1つの薬理作用物質がステロイド系ホルモンからなる群から選択される1つ以上の薬剤を含む、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項10】
少なくとも1つの薬理作用物質がエストロゲン、アンドロゲン、グルココルチコイド、アドレノコルチコイド、タンパク質同化または受胎調節活性を提供する1つ以上のステロイドを含む、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項11】
薬理作用物質がデキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、コルチゾン、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、プレドニゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、ピバル酸プレドニゾロン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、二酢酸トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、フルニソリド、二プロピオン酸ベクロメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾン二ナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾン二ナトリウム、酢酸クロロプレドニゾン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、酢酸デスオキシコルチコステロン、ピバル酸デスオキシコルチコステロン、デスオキシメタゾン、エストラジオール、フルドロコルチゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸ジクロリゾン、フルオロヒドロコルチゾン、フルオロメトロン、フルプレドニゾロン、パラメタゾン、酢酸パラメタゾン、アンドロステロン、フルオキシメステロン、アルドステロン、メタンドロステノロン、メチルアンドロステンジオール、メチルテストステロン、ノルエタンドロロン、テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン、エキレニン、エキリン、安息香酸エストラジオール、二プロピオン酸エストラジオール、エストリオール、エストロン、安息香酸エストロン、アセトキシプレグネノロン、酢酸アナゲストン、酢酸クロルマジノン、酢酸フルロゲストン、ヒドロキシメチルプロゲステロン、酢酸ヒドロキシメチルプロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン、酢酸ヒドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メレンゲストロール、ノルメチステロン、プレグネノロン、プロゲステロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、ジメチステロン、エチステロン、二酢酸エチノジオール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチステロン、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノロン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロキシジオンナトリウム、スピロノラクトン、オキサンドロロン、オキシメトロン、プロメトロン、シピオン酸テストステロン、フェニル酢酸テストステロン、シピオン酸エストラジオール、およびノルエチノドレル、ならびにその塩およびプロドラッグからなる群から選択される1つ以上のステロイドを含む、請求項12の経皮送達システム。
【請求項12】
1つ以上のエストロゲンおよび1つ以上のプロゲスチンを含む女性避妊用の、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項13】
薬物送達システムが重量ベースで約0.1〜約10%のステロイドまたはホルモン、約0.1〜12%の浸透促進剤、および約70〜99.8%のエタノール、イソプロパノールまたはその混合物を含む、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項14】
前述の請求項のいずれか1項の経皮システムを動物の皮膚表面へ適用することを含む、対象への薬理作用物質の経皮投与方法。
【請求項15】
対象がテストステロン欠乏性の性機能低下男性の男性ホルモン補充、閉経後女性用の女性ホルモン補充療法、性欲が欠如している女性もしくはうつに苦しむ女性用のアンドロゲンを用いたアンドロゲン補充療法、男性避妊または女性避妊を必要としている、請求項17の経皮投与方法。
【請求項16】
対象の皮膚表面の部位に薬剤を適用することによる少なくとも1つの薬理作用物質の対象への経皮投与用の少なくとも1つの薬理作用物質を含む薬剤の製造における、平均分子量300以下のポリエチレングリコールの使用。
【請求項17】
対象の皮膚表面の部位への投与用の経皮送達システムの製造方法であって、ホルモンおよびステロイドから選択される少なくとも1つの薬理作用物質ならびに平均分子量300以下のポリエチレングリコールを含む浸透促進剤を組み合わせることを含む製造方法。
【請求項18】
経皮組成物用の容器、噴霧ノズル、および該ノズルを経由して該容器から定量噴霧を送達するためのアクチュエータを含む噴霧装置を含む経皮送達システムであって、該経皮組成物がホルモンおよびステロイドから選択される少なくとも1つの薬理作用物質ならびに平均分子量300以下のポリエチレングリコールを含む浸透促進剤を含む経皮送達システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−502172(P2011−502172A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532376(P2010−532376)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001613
【国際公開番号】WO2009/055859
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(503196558)アクルックス・ディ・ディ・エス・プロプライエタリー・リミテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】ACRUX DDS PTY LTD
【Fターム(参考)】