説明

ホログラフィック媒体製造用のプレポリマー系ポリウレタン配合物

本発明は、データ貯蔵だけでなく、さまざまな型の光学的適用などの目的のためのホログラフィック媒体の製造に好都合に適した新規なポリウレタン組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ貯蔵のためだけでなく、幅広い種類の型の光学的適用などの目的のためのホログラフィック媒体の製造に好都合に適した新規なポリウレタン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィック媒体は、とりわけ、セキュリティ技術の分野においてデータ貯蔵のため(例えば、人間または物体の3次元の表示ならびに人間または物品の認証)、物体の表示、広告のため、複雑な3次元構造を製造するための補助材料として、および視覚的表示単位として、または視覚的表示単位の部品の構成要素として、ならびにレンズ、鏡、フィルタ、散乱ディスク、回折部材、光動体および/またはマスクの機能を有する光学部材の製造のために使用され得る。
【0003】
ポリマーマトリックスと、書き込み用モノマーが組み込まれた1種類以上のフリーラジカル重合性化合物とをベースとするホログラフィック媒体が、例えばUS6743552に記載されている。
【0004】
US6743552、US6765061およびUS6780546には、2成分ポリウレタン配合物が開示されているが、該配合物には、第1級NCO基を有するプレポリマーが含まれていない。
【0005】
US6743552、US6765061、US6780546およびUS2006/0194120には、2成分ポリウレタン配合物が開示されている。ここに記載された幾つかの配合物は、イソシアネート成分としてプレポリマーを含み、これは、もっぱら、第2級イソシアネート基を有するプレポリマーだけであり、したがって、硬化速度に関して満足のいくものでない。
【0006】
JP2007101743には、光学的データ貯蔵用のホログラフィック媒体のPUマトリックスの製造のための、鎖延長剤1,4−ブタンジオールの添加を伴う、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート(「H12−MDI」)と、三官能性ポリプロピレンオキシドグリセロールエーテルからなるプレポリマーの使用が記載されている。
【0007】
しかしながら、特に、デジタルデータ貯蔵以外の光学的適用のための、ポリウレタンをベースとする既知の系の欠点は、かかる媒体に貯蔵されるホログラムの達成可能な輝度が低すぎることである。この理由は、通常、ポリウレタンマトリックスと書き込み用モノマー屈折率の相対差が小さすぎることである。しかしながら、マトリックスポリマーの任意の変更は、マトリックスポリマーと、書き込み用モノマーおよび配合物中に存在するさらなる成分との良好な適合性が常に確保されていなければならないため、不可能である。さらに、加工処理上の理由により、可能な限り単純な配合物の混合と提供が重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6743552号明細書
【特許文献2】米国特許第6780546号明細書
【特許文献3】米国特許第6765061号明細書
【特許文献4】米国特許第2006/0194120号明細書
【特許文献5】特願第2007101743号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、上記の要件を満たす新規なポリウレタン組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、上記の要件は、モノマーまたはオリゴマーのイソシアネートではなく、第1級様式で結合されたNCO基を有し、二官能性ポリオールをベースとする特定のプレポリマーを、ポリウレタン組成物のイソシアネート成分に使用した場合に満たされ得ることが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】λ=633nm(He−Neレーザー)でのホログラフィック媒体の試験装置の幾何構造。
【図2】角度デチューニングΔΩに対する測定された回折効率(黒丸)および透過出力(黒実線)のKogelnikによるブラッグ曲線ηのプロット(点線)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
したがって、本発明は、
A)少なくとも、もっぱらジオールをベースとするNCO末端ポリウレタンプレポリマーを含み、そのNCO基が第1級様式で結合しているポリイソシアネート成分、
B)イソシアネート反応性ポリマー
C)化学線の作用下でエチレン性不飽和化合物と重合することにより反応する基(放射線硬化性基)を有し、それ自体NCO基を含まない化合物、
D)フリーラジカル安定剤、
E)光開始剤、
F)任意に、触媒、
G)任意に、助剤および添加剤
を含むポリウレタン組成物を提供する。
【0013】
成分A)の本発明のプレポリマーは、当業者によく知られた様式で、任意に触媒および溶媒の使用を伴う、適当な化学量論のモノマー、オリゴマーまたはポリイソシアネートA1)と、イソシアネート反応性化合物A2)との反応によって得られる。
【0014】
このようにして、ウレタン、アロファネート、ビウレットおよび/またはアミド基を有するNCO官能性プレポリマーを調製することが可能である。
【0015】
好適なポリイソシアネートA1)は、当業者に知られたあらゆる脂肪族、脂環式、芳香族または芳香脂肪族のジ−およびトリイソシアネートであり、ホスゲン化よって得られたものであるか、ホスゲンなしのプロセスよって得られたものであるかは重要でない。また、ウレタン、尿素、カルボジイミド、アシル尿素、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオン構造(各々は、単独または互いの任意の所望の混合物)を有するモノマージ−および/またはトリイソシアネートの高分子量の変換生成物(それ自体は当業者によく知られている)を使用することも可能である。
【0016】
成分A1)として用い得る好適なモノマージ−またはトリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(TIN)、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネートである。
【0017】
プレポリマーを形成するために用いられるイソシアネート反応性化合物A2)は、好ましくはOH−および/またはNH官能性化合物である。上記のプロセスによるプレポリマーの調製に好適なオリゴマーまたはポリマーの二官能性イソシアネート反応性化合物は、原則的には、あらゆる低分子量の短鎖の(すなわち、2〜20個の炭素原子を含む)脂肪族、芳香脂肪族または脂環式ジオールおよび/または高級ポリオールである。ジオールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、ジエチルオクタンジオール位置異性体、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−および1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネートである。また、二官能性の高分子量脂肪族および脂環式ポリオール、例えば、ポリスエテルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ヒドロキシ官能性アクリル樹脂、ヒドロキシ官能性ポリウレタン、ヒドロキシ官能性エポキシ樹脂または対応するハイブリッドなども好適である(Roempp Lexikon Chemie,p.465−466,第10版. 1998,Georg−Thieme−Verlag,Stuttgart参照)。
【0018】
有用なポリエステルポリオールとしては、線状ポリエステルジオールが挙げられ、これは、既知の様式で、脂肪族、脂環式または芳香族ジ−もしくはポリカルボン酸またはその無水物、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸もしくはトリメリット酸および酸無水物、例えば、o−フタル酸無水物、トリメリット酸無水物もしくはコハク酸無水物またはこれらの混合物と、多価アルコール、例えば、エタンジオール、ジ−、トリ−、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジ−、トリ− テトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールまたはこれらの混合物とから調製され得る。また、もちろん、ポリエステルポリオールの調製に有用なアルコールとしては、脂環式および/または芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物または低級アルコールとの対応するポリカルボン酸エステルまたはその混合物をポリエステルの調製に使用することも可能である。
【0019】
また、ポリエステルポリオールはラクトンのホモ−またはコポリマーであってもよく、これは、好ましくは、ラクトンまたはラクトン混合物(ブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトンなど)を、適当な二官能性および/または高官能性の開始剤分子(例えば、ポリエステルポリオールを形成する成分で上記の低分子量の多価アルコール)に付加することによって得られることが認識される。
【0020】
また、有用なポリヒドロキシル成分としては、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート、例えば、ジオール(1,4−ブタンジオールおよび/または1,6−ヘキサンジオールおよび/または3−メチルペンタンジオールなど)と、ジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲン)との反応によって調製されるものが挙げられる。
【0021】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、またはエピクロロヒドリンの二官能性ポリ付加生成物、ならびにその混合型付加生成物およびグラフト生成物、また、二価アルコールまたはその混合物の縮合によって得られるポリエーテルポリオール、ならびに二価アルコール、二官能性アミンおよび二官能性アミノアルコールのアルコキシル化によって得られるものである。好ましい二官能性ポリエーテルポリオールは、ランダムまたはブロックコポリマーの形態のポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)およびその組合せまたはポリ(テトラヒドロフラン)、またその混合物であって、200〜18000g/molの数平均モル質量、より好ましくは600〜8000g/molの数平均モル質量、最も好ましくは650〜4500g/molの数平均モル質量を有するものである。
【0022】
同様に、プレポリマーの調製にアミンを使用することも可能である。好適な例は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、プロピレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノベンゼン、ジアミノビスフェニル、二官能性ポリアミン(例えば、Jeffamine(登録商標))、10000g/molまでの数平均モル質量を有するアミン末端ポリマー、またはその互いの任意の所望の混合物である。
【0023】
ビウレット基含有プレポリマーの調製では、イソシアネートを過剰でアミンと反応させ、ビウレット基を形成させる。この場合の、記載のジ−、トリ−およびポリイソシアネートとの反応に好適なアミンは、上記の型のあらゆるオリゴマーまたはポリマーの第1級または第2級二官能性アミンである。
【0024】
ウレタン化では、イソシアネートをアルコールと化学量論量で反応させ、ウレタン基を生成させる。この場合の、記載のジ−、トリ−およびポリイソシアネートとの反応に好適なアルコールは、上記の型のあらゆるオリゴマーまたはポリマーの第1級または第2級二官能性アルコールである。ウレタンプレポリマーとの関連における該アルコールは、好ましくはエタンジオール、ジ−、トリ−、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジ−、トリ− テトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド、他の1−アルケンオキシドのブロックポリマーおよび/またはコポリマー、ポリ(THF)、ポリエステルポリオールならびにポリアクリレートポリオール(10000g/molまでの数平均モル質量を有する)、またはその互いの任意の所望の混合物である。
【0025】
アロファネート化では、イソシアネートを、まず、アルコールと化学量論比で反応させてウレタンを得、次いで、これを、さらにイソシアネートと反応させて、アロファネートを形成させる。この場合の、ウレタンを得るための記載のジ−、トリ−およびポリイソシアネートとの反応に好適なアルコールは、上記の型のあらゆるオリゴマーまたはポリマーの第1級または第2級二官能性アルコールである。アロファネートを得るためのさらなる反応では、モノマージ−またはトリイソシアネートHDI、TMDIおよびTINを添加することが好ましい。アロファネートの形成のための好ましいイソシアネート反応性化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび脂肪族ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール型の高級ポリオールである。
【0026】
好ましいプレポリマーは、脂肪族イソシアネート官能性化合物と、200〜10000g/molの数平均モル質量を有するオリゴマーまたはポリマーのイソシアネート反応性化合物から形成されるウレタン、アロファネートまたはビウレットである;特に、脂肪族イソシアネート官能性化合物と、500〜8500g/molの数平均モル質量を有するオリゴマーまたはポリマーポリオールまたはポリアミンから形成されるウレタン、アロファネートまたはビウレットが好ましく、HDIまたはTMDIと、1000〜8200g/molの数平均モル質量を有する二官能性ポリエーテルポリオールから形成されるアロファネートが特に好ましい。
【0027】
好ましくは、上記のプレポリマーが有する遊離モノマーイソシアネートの残存含有量は、1wt%未満、より好ましくは0.5wt%未満、最も好ましくは0.2wt%未満である。
【0028】
イソシアネート成分は、記載のプレポリマーに加えてある割合のさらなるイソシアネート成分を含んでいてもよいことが認識される。この目的には、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族および脂環式のジ−、トリ−またはポリイソシアネート使用が有用である。また、かかるジ−、トリ−またはポリイソシアネートの混合物を使用することも可能である。好適なジ−、トリ−またはポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタン異性体およびその任意の所望の異性体含有量を有する混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート異性体、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−もしくは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネートまたはウレタン、尿素、カルボジイミド、アシル尿素、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンもしくはイミノオキサジアジンジオン構造およびその混合物を有するその誘導体である。適当なプロセスによって過剰のジイソシアネートを除去したオリゴマー化および/または誘導体化ジイソシアネートをベースとするポリイソシアネート、特に、ヘキサメチレンジイソシアネートのものが好ましい。特に、HDIのオリゴマーのイソシアヌレート、ウレトジオンおよびイミノオキサジアジンジオンならびにその混合物が好ましい。
【0029】
任意に、イソシアネート成分A)に、イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と一部反応させたある割合のイソシアネートを含ませることも可能である。この場合、イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物として、α,β−不飽和カルボン酸誘導体、例えば、アクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミドおよびビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテルなど、ならびにジシクロペンタジエニル単位を含み、イソシアネートと反応性の少なくとも1つの基を有する化合物を使用することが好ましい;より好ましくは、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有するアクリレートおよびメタクリレートである。有用なヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、例えば、Tone(登録商標)M100(Dow,USA)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、多価アルコール、例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エトキシル化、プロポキシル化もしくはアルコキシル化トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールまたはその工業用混合物のヒドロキシ官能性モノ−、ジ−またはテトラ(メタ)アクリレートなどの化合物が挙げられる。また、アクリレート、および/またはメタクリレート基を含むイソシアネート反応性オリゴマーまたはポリマー不飽和化合物も、単独または上記のモノマー化合物との組合せで好適である。イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と一部反応させたイソシアネートの割合は、イソシアネート成分Aに対して0〜99%、好ましくは0〜50%、より好ましくは0〜25%、最も好ましくは0〜15%である。
【0030】
また、任意に、前述のイソシアネート成分A)に、コーティング技術の当業者に知られたブロック剤と全部または一部反応させたイソシアネートを全部または一部含ませることも可能である。ブロック剤の例としては、アルコール、ラクタム、オキシム、マロン酸エステル、アセト酢酸アルキル、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾールおよびアミン、例えば、ブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセトンオキシム、3,5−ジメチルピラゾール、ε−カプロラクタム、N−tert−ブチルベンジルアミン、シクロペンタノンカルボキシエチルエステルまたはこれらのブロック剤の任意の所望の混合物が挙げられる。
【0031】
成分B)として、原則的には、1分子あたり平均少なくとも1.5個のイソシアネート反応性基を有するあらゆる多官能性イソシアネート反応性化合物を使用することが可能である。
【0032】
本発明では、イソシアネート反応性基は、好ましくはヒドロキシル、アミノまたはチオ基である;特に、ヒドロキシル化合物が好ましい。
【0033】
好適な多官能性のイソシアネート反応性化合物は、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオールおよび/またはポリウレタンポリオールである。
【0034】
好適なポリエステルポリオールは、例えば、直鎖状ポリエステルジオールまたは分枝状ポリエステルポリオールであり、これは、既知の方法で、脂肪族、脂環式または芳香族ジ−またはポリカルボン酸またはその無水物と、≧2個のOH官能基を有する多価アルコールとから得られる。
【0035】
かかるジ−またはポリカルボン酸または無水物の例は、コハク酸、グルタル残、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸もしくはトリメリット酸および酸無水物、例えば、o−フタル酸無水物、トリメリット酸無水物もしくはコハク酸無水物またはこれらの互いとの任意の所望の混合物である。
【0036】
かかる好適なアルコールの例は、エタンジオール、ジ−、トリ−およびテトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジ−、トリ−およびテトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロールまたはこれらの互いとの任意の所望の混合物である。
【0037】
また、ポリエステルポリオールは、ヒマシ油などの天然原料をベースとするものであってもよい。また、ポリエステルポリオールを、ラクトンのホモ−またはコポリマーをベースとすることも可能であり、これは、好ましくは、ラクトンまたはラクトン混合物(ブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトンなど)と、例えば、上記の型のヒドロキシ官能性化合物(例えば>2個のOH官能基を有する多価アルコールなど)との付加反応によって得られ得るものである。
【0038】
かかるポリエステルポリオールは、好ましくは、400〜8000g/mol、より好ましくは500〜4000g/molの数平均モル質量を有する。そのOH官能基は、好ましくは1.5〜3.5個、より好ましくは1.8〜3.0個である。
【0039】
好適なポリカーボネートポリオールは、それ自体は既知の様式で、有機カーボネートまたはホスゲンと、ジオールまたはジオール混合物とを反応させることにより得られ得る。
【0040】
好適な有機カーボネートは、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸ジフェニルである。
【0041】
ポリエステルセグメントに関連して挙げられ、>2個のOH官能基を有する多価アルコール、好ましくは、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび/または3−メチルペンタンジオールを含む好適なジオールまたは混合物、またはポリエステルポリオールを、ポリカーボネートポリオールに変換させることもできる。
【0042】
かかるポリカーボネートポリオールは、好ましくは400〜4000g/mol、より好ましくは500〜2400g/molの数平均モル質量を有する。このようなポリオールのOH官能基は、好ましくは1.8〜3.2個、より好ましくは1.9〜3.0個である。
【0043】
好適なポリエーテルポリオールは、OH−またはNH官能性開始剤分子を有する付加重合物環状エーテルであり、該付加重合物は、任意にブロック構造を有するものである。
【0044】
好適な環状エーテルは、例えば、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン およびその任意の所望の混合物である。
【0045】
スターターは、ポリエステルポリオールとの関連において挙げられ、≧2個のOH官能基ならびに第1級または第2級アミンおよびアミノアルコールを有する多価アルコールを使用し得る。
【0046】
かかるポリエーテルポリオールは、好ましくは、250〜10000g/mol、より好ましくは500〜8500g/mol、さらに好ましくは600〜4500g/molの数平均モル質量を有する。OH官能基は、好ましくは1.5〜4.0、より好ましくは1.8〜3.0個である。
【0047】
また、多官能性イソシアネート反応性化合物として、成分B)の適当な成分は、分子量が小さい、すなわち500g未満/molの分子量を有し、短鎖である、すなわち2〜20個の炭素原子を含有する脂肪族、芳香脂肪族、脂環式の二価−、三価−または多官能性アルコールである。
【0048】
このようなアルコールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、位置異性体ジエチルオクタンジオール、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−および1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネートであり得る。好適なトリオールの例は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロールである。好適な多価官能性アルコールは、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールまたはソルビトールである。
【0049】
好ましい成分B)は、ランダムまたはブロックコポリマーの形態のポリエーテル、ポリオール、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)およびその組合せ、ならびにプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドから形成されるブロックコポリマーであり、およびモノマー単位として、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシドまたはε−カプロラクトンおよびその混合物としてさらに含み、1.5〜6個のOH官能基および200〜18000g/molの数平均モル質量を有し、より好ましくは、1.8〜4.0個のOH官能価および600〜8000g/molの数平均モル質量を有し、より好ましくは、1.9〜3.1個のOH官能基および650〜4500g/molの数平均モル質量を有する。
【0050】
C)に用いるための好ましい化合物は、1.55を越える、より好ましくは1.58を越える屈折率を有する。
【0051】
成分C)には、α,β−不飽和カルボン酸誘導体などの化合物、例えば、アクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテル、ならびにジシクロペンタジエニル単位およびオレフィン性不飽和化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど、オレフィニン、例えば、1−オクテンおよび/または1−デセン、ビニルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸を含む化合物を用いることが好ましい。アクリレートおよびメタクリレートが好ましい。
【0052】
一般に、アクリレートまたはメタクリレートとは、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルのことである。使用可能なアクリレートおよびメタクリレートの例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸p−クロロフェニル、メタクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸p−ブロモフェニル、メタクリル酸p−ブロモフェニル、アクリル酸2,4,6−トリクロロフェニル、メタクリル酸2,4,6−トリクロロフェニル、アクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、メタクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、アクリル酸ペンタクロロフェニル、メタクリル酸ペンタクロロフェニル、アクリル酸ペンタブロモフェニル、メタクリル酸ペンタブロモフェニル、アクリル酸ペンタブロモベンジル、メタクリル酸ペンタブロモベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェノキシエトキシエチル、メタクリル酸フェノキシエトキシエチル、アクリル酸2−ナフチル、メタクリル酸2−ナフチル、アクリル酸1,4−ビス(2−チオナフチル)−2−ブチル、メタクリル酸1,4−ビス(2−チオナフチル)−2−ブチル、プロパン−2,2−ジイルビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−{[3,3,3−トリス(4−クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン−3,1−ジイル)オキシエタン−2,1−ジイル]ジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレートおよびそのエトキシル化類似化合物、アクリル酸N−カルバゾリルであるが、使用可能なアクリレートおよびメタクリレートの単なる選択の例示である。
【0053】
もちろん、ウレタンアクリレートも成分C)として使用することができる。ウレタンアクリレートは、少なくとも1つのアクリル酸エステル基を有し、さらに、少なくとも1つのウレタン結合を有する化合物を意味すると理解される。かかる化合物は、ヒドロキシ官能性アクリル酸エステルをイソシアネート官能性化合物と反応させることにより得られることが知られている。
【0054】
この目的に使用可能なイソシアネートの例は、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族および脂環式のジ−、トリ−またはポリイソシアネートである。また、かかるジ−、トリ−またはポリイソシアネートの混合物を使用することも可能である。好適なジ−、トリ−またはポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよびその任意の所望の異性体含有量を有する混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネートならびにトリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートまたはウレタン、尿素、カルボジイミド、アシル尿素、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンもしくはイミノオキサジアジンジオン構造およびその混合物を有するその誘導体である。芳香族または芳香脂肪族ジ−、トリ−またはポリイソシアネートが好ましい。
【0055】
ウレタンアクリレートの調製に有用なヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート(例えばTone(登録商標)M100(Dow,Schwalbach,Germany)など)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、多価アルコールのヒドロキシ官能性モノ−、ジ−またはテトラアクリレート、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エトキシル化、プロポキシル化もしくはアルコキシル化トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールまたはその工業用混合物などの化合物が挙げられる。アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチルおよびポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレートが好ましい。また、アクリレートおよび/またはメタクリレート基を含むイソシアネート反応性オリゴマーまたはポリマー不飽和化合物の単独または上記のモノマー化合物との組合せは適当である。ヒドロキシル基を含み、20〜300mgKOH/gのOH含量を有する、それ自体既知のエポキシ(メタ)アクリレート、またはヒドロキシル基を含み、20〜300mgKOH/gのOH含量を有するポリウレタン(メタ)アクリレート、または20〜300mgKOH/gのOH含量を有するアクリル化ポリアクリレート、およびこれらの互いとの混合物、およびヒドロキシル基を含む不飽和ポリエステルとの混合物、およびポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物、またはヒドロキシル基を含む不飽和ポリエステルとポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物もまた使用することが可能である。ヒドロキシル基を含み、規定のヒドロキシ官能基を有するエポキシアクリレートが好ましい。ヒドロキシル基を含むエポキシ(メタ)アクリレートは、特に、アクリル酸および/またはメタクリル酸と、モノマー、オリゴマーまたはポリマービスフェノールA、ビスフェノールF、ヘキサンジオールおよび/またはブタンジオールあるいはそのエトキシル化および/またはプロポキシル化誘導体のエポキシド(グリシジル化合物)との反応生成物をベースとするものである。規定の官能基を有するエポキシアクリレート(これは、アクリル酸および/またはメタクリル酸とグリシジル(メタ)アクリレートとの既知の反応により得られ得る)がさらに好ましい。
【0056】
(メタ)アクリレートおよび/またはウレタン(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、特に、少なくとも1つの芳香族構造単位を有する(メタ)アクリレートおよび/またはウレタン(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
【0057】
成分C)としての使用に特に好ましい化合物は、芳香族イソシアネートおよび2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、およびポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレートをベースとするウレタンアクリレートおよびウレタンメタクリレートである。
【0058】
非常に特に好ましい一実施形態では、用いられる成分C)は、芳香族トリイソシアネート(最も好ましくはトリス(4−フェニルイソシアナト)チオホスフェートまたは芳香族ジイソシアネートのトリマー(トリレンジイソシアネートなど))と、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートとの付加生成物を含む。さらに非常に特に好ましい一実施形態では、用いられる成分C)は、3−チオメチルフェニルイソシアネートと、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートとの付加生成物を含む。
【0059】
ビニル芳香族の例は、スチレン、スチレンのハロゲン化誘導体、例えば、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、p−(クロロメチル)スチレン、p−(ブロモメチル)スチレンまたは1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、2−ビニルアントラセン、9−ビニルアントラセン、9−ビニルカルバゾールまたは二官能性化合物(ジビニルベンゼンなど)である。
【0060】
成分D)の好適な化合物は、例えば、例えば、「Methoden der organischen Chemie」[Methods of Organic Chemistry](Houben−Weyl)、第4版、第XIV/1巻、第433頁など、Georg Thieme Verlag、シュツットガルト、1961年に記載の抑制剤および酸化防止剤である。好適な種類の物質は、例えば、フェノール(例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなど)、クレゾール、ヒドロキノン、ベンジルアルコール(例えば、ベンズヒドロールなど)、また任意に、キノン(例えば、2,5−ジ−tert−ブチルキノンなど)、また任意に、芳香族アミン(ジイソプロピルアミンもしくはフェノチアジンなど)である。
【0061】
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン、p−メトキシフェノール、2−メトキシ−p−ヒドロキノンおよびベンズヒドロールが好ましい。
【0062】
用いられる成分E)は1種類以上の光開始剤を含む。このような光開始剤は、典型的には、化学線によって活性化され得、対応する重合性基の重合を開始させる。光開始剤は、それ自体は既知の市販の化合物であり、識別する場合は、単分子(I型)開始剤と二分子(II型)開始剤になる。さらに、このような開始剤は、化学的性質に応じて、前述の重合のフリーラジカル、アニオン(または)カチオン(または混合型)形態に用いられる。
【0063】
フリーラジカル光重合のための(I型)系は、例えば、第3級アミン、アルキルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたは前記型の混合物との組合せでの芳香族ケトン化合物(例えば、ベンゾフェノン)である。さらに、(II型)開始剤、例えば、ベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシロホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、カンフルキノン、α−アミノアルキルフェノン、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)ならびにα−ヒドロキシアルキルフェノンなどが好適である。アンモニウムアリールボレートと1種類以上の染料の混合物からなるEP−A0223587に記載された光開始剤系もまた光開始剤として使用され得る。例えば、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレートおよびテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレートが、アンモニウムアリールボレートとして好適である。好適な染料は、例えば、新メチレンブルー、チオニン、Basic Yellow、塩化ピナシノール、ローダミン6G、ガロシアニン、エチルバイオレット、Victoria Blue R、Celestine Blue、キナルジンレッド、クリスタルバイオレット、ブリリアントグリーン、アストラゾンオレンジG、ダローレッド、ピロニン(pyronin)Y、Basic Red 29、ピリリウムI、シアニンおよびメチレンブルー、アズールA(Cunninghamら、RadTech’98 North America UV/EB Conference Proceedings、シカゴ、Apr.第19〜22頁、1998年)である。
【0064】
アニオン重合に用いられる光開始剤は、概して(I型)系であり、第1列の遷移金属錯体から誘導されるものである。この場合、クロム塩(例えば、トランス−Cr(NH)2(NCS)−など)(Kutalら,Macromolecules 1991,24,6872)またはフェロセニル化合物(Yamaguchiら Macromolecules 2000,33,1152)が知られている。アニオン重合のさらなる可能性は、光分解によってシアノアクリレートを重合させ得る染料(クリスタルバイオレットロイコニトリルまたはマラカイトグリーンなど)の使用にある(Neckersら、Macromolecules 2000、33、7761)。しかしながら、発色団は、ポリマー内に、得られるポリマーがそれによって着色されるように組み込まれる。
【0065】
カチオン重合に用いられる光開始剤は、実質的に3つの類型:アリールジアゾニウム塩、オニオン(onion)塩(この場合、具体的には:ヨードニウム、スルホニウムおよびセレノニウム塩)ならびに有機金属化合物を構成する。光照射下では、水素供与体の存在下および非存在下どちらでも、フェニルジアゾニウム塩から、重合を開始させるカチオンが生成され得る。系全体の効率は、ジアゾニウム化合物に用いられる対イオンの性質によって決定される。この場合、反応性はわずかであるが非常に高価であるSbF、AsFまたはPFが好ましい。コーティング薄膜における使用では、このような化合物は、露光後に遊離される窒素表面の質が低下するため(ピンホール)、概してあまり好適ではない(Liら、Polymeric Materials Science and Engineering、2001年、84、139)。非常に広く使用されており、また、多くの型の形態で市販されているのはオニウム塩、特にスルホニウム塩およびヨードニウム塩である。このような化合物の光化学的性質は、長い間、研究されている。ヨードニウム塩は、まず、励起後に均一分解され、したがって、Hの引抜きによって安定化するフリーラジカルおよびフリーラジカルカチオンが生成され、プロトンが遊離され、次いで、カチオン重合が開始される(Dektarら、J.Org.Chem.1990年、55、639;J.Org.Chem.、1991年、56、1838)。この機構により、フリーラジカル光重合でのヨードニウム塩の使用も可能になる。この場合、対イオンの選択は非常に重要であった;非常に高価SbF、AsFまたはPFも同様に好ましい。あるいは、この構造の類型では、芳香族の置換の選択はかなり自由であり、実質的に、好適な合成出発基礎単位の入手可能性によって決定される。スルホニウム塩は、ノリッシュII型反応に従って分解される化合物である(Crivelloら、Macromolecules、2000年、33、825)。スルホニウム塩の場合もまた、対イオンの選択は非常に重要であり、これは、実質的にポリマーの硬化速度に現れる。最良の結果は、概してSbF塩で得られる。ヨードニウム塩およびスルホニウム塩の自己吸収は<300nmであるため、このような化合物は、近UVまたは短波可視光での光重合の場合は、適切に増感させなければならない。これは、より吸収性の高い芳香族、例えば、アントラセンおよび誘導体(Guら、Am.Chem.Soc.Polymer Preprints、2000年、41(2)、1266)またはフェノチアジンもしくはその誘導体(Huaら、Macromolecules 2001、34、第2488〜2494頁)などの使用によって行なわれる。
【0066】
また、このような化合物の混合物を使用することが好都合な場合があり得る。硬化に用いられる放射線源に応じて、光開始剤の型および濃度を、当業者に知られた様式で適合させなければならない。光重合に関する上記の構成は、当業者にとって、各場合における選択に利用可能な成分および合成成分、特に、好ましい合成成分の後述する量範囲内での常套的な実験の形態で容易に可能である。
【0067】
好ましい光開始剤E)は、テトラブチルアンモニウムテトラヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレートおよびテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレートと、染料、例えば、アストラゾンオレンジG、メチレンブルー、新メチレンブルー、アズールA、ピリリウムI、サフラニンO、シアニン、ガロシアニン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、エチルバイオレットおよびチオニンなどとの混合物である。
【0068】
成分F)の化合物として、任意に、1種類以上の触媒を使用することが可能である。これは、ウレタン形成を加速させるための触媒である。この目的のための既知触媒は、例えば、オクタン酸スズ、オクタン酸亜鉛、ジブチルスズジラウレート、ジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]−スタンナン、ジメチルスズジカルボキシレート、ジルコニウムビス(エチルヘキサノエート)、ジルコニウムアセチルアセトネートまたは第3級アミン、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド(1,2−a)ピリミジンである。
【0069】
ジブチルスズジラウレート、ジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]スタンナン、ジメチルスズジカルボキシレート、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド(1,2−a)ピリミジンが好ましい。
【0070】
もちろん、任意に、さらなる添加剤G)を使用することが可能である。これは、例えば、コーティング技術の分野において慣用的な添加剤、例えば、溶媒、可塑剤、均染剤または接着促進剤であり得る。用いられる可塑剤は、好ましくは、良好な溶解特性、低揮発性および高沸点を有する液体である。また、1つの型の複数の添加剤を同時に使用することが好都合な場合があり得る。もちろん、複数の添加剤または複数の型を使用することも好都合であり得る。
【0071】
典型的なポリウレタン組成物は:
1〜60wt%の本発明に必須の成分A)、
5〜93.999wt%の成分B)、
5〜70wt%の成分C)、
0.001〜10wt%の光開始剤E)、
0〜10wt%のフリーラジカル安定剤D)、
0〜4wt%の触媒F)、
0〜70wt%の助剤および添加剤G)
を含む。
【0072】
本発明のポリウレタン組成物は、好ましくは:
10〜55wt%の本発明に必須の成分A)、
15〜79.989wt%の成分B)、
10〜70wt%の成分C)、
0.01〜7.5wt%の光開始剤E)、
0.001〜2wt%のフリーラジカル安定剤D)、
0〜3wt%の触媒F)、
0〜50wt%の助剤および添加剤G)
を含む。
【0073】
本発明のポリウレタン組成物は、より好ましくは:
15〜50wt%の本発明に必須の成分A)、
25〜69.489wt%の成分B)、
15〜50wt%の成分C)、
0.5〜5wt%の光開始剤E)、
0.01〜0.5wt%のフリーラジカル安定剤D)、
0.001〜2wt%の触媒F)、
0〜35wt%の助剤および添加剤G)
を含む。
【0074】
したがって、本発明は、さらに、かかる光重合体配合物を基材または成形型に適用し、硬化させる、可視ホログラムの記録のための媒体の製造方法を提供する。また、本発明は、かくして得られ得る媒体を提供する。
【0075】
本発明による方法は、好ましくは、成分A)を除く本発明に必須のポリウレタン組成物の形成成分が互いに均一に混合され、成分A)が、基材または成形型内への適用直前に混合されるような様式で行なわれる。
【0076】
それ自体は当業者に既知の混合手法のあらゆる方法および装置、例えば、攪拌槽またはダイナミックミキサーもしくはスタティックミキサーいずれかが混合に使用され得る。しかしながら、デッドスペースは、あるとしても非常に低いレベルである装置が好ましい。さらに、混合が非常に短い時間内で非常に激しく行なわれ、混合対象の2つの成分が非常に充分に混合される方法が好ましい。特に、この目的には、ダイナミックミキサー、特に、諸成分が互いに混合機内だけで接触するものがこの目的に好適である。
【0077】
この場合、温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃、より好ましくは20〜60℃である。
【0078】
また、必要であれば、例えば1ミリバールの減圧下で、個々の成分または混合物全体の脱気を行なってもよい。脱気は、得られる媒体中の残留ガスによる気泡の形成を抑制するため、特に、成分A)の添加後が好ましい。
【0079】
成分A)を混合する前、混合物を貯蔵安定性の中間体として、必要であれば数か月にわたって貯蔵してもよい。
【0080】
本発明のポリウレタン組成物の成分A)の添加後、組成物によるが、室温で数秒〜数時間以内で硬化する透明な液状配合物が得られる。
【0081】
ポリウレタン組成物の形成成分の比および型および反応性は、好ましくは、成分A)の混合後に硬化が室温で数分〜1時間まで以内に起こるように調整される。好ましい実施形態では、添加後の配合物を30〜180℃、好ましくは40〜120℃、特に好ましくは50〜100℃の温度まで加熱することにより、硬化を加速させる。
【0082】
硬化挙動に関する前述のアプローチは、当業者にとって、各場合における選択に利用可能な成分および形成成分、特に、好ましい形成成分の上記規定の範囲内での常套的な実験の形態で容易に可能である。
【0083】
本発明のポリウレタン組成物は、全成分の混合終了直後、25℃で典型的には10〜100000mPas、好ましくは100〜20000mPas、特に好ましくは200〜10000mPas、特に好ましくは500〜5000mPasの粘度を有し、そのため、無溶媒の形態であっても非常に良好な加工性を有する。適当な溶媒での溶液状態では、25℃で10000mPas未満、好ましくは2000mPas未満、特に好ましくは500mPas未満の粘度が確立され得る。
【0084】
前述の型の好ましいポリウレタン組成物は、15gの量で0.004wt%の触媒含有量を有する場合、25℃4時間未満で硬化するもの、または触媒含有量が0.02%の場合は、25℃10分未満で硬化するものであることがわかった。
【0085】
基材または成形型に対する適用には、各目的のための当業者に知られたあらゆる慣用的な方法、例えば、特に、ナイフコーティング、流延、印刷、スクリーン印刷、噴霧またはインクジェット印刷などが好適な方法であることがわかった。
【0086】
したがって、本発明は、さらに、可視ホログラムの記録、光学部材、画像、表示のための本発明の媒体の使用、本発明のポリウレタン組成物を用いたホログラムの記録のための方法、ならびにそれにより得られ得る媒体またはホログラムフィルムを提供する。
【0087】
本発明のポリウレタン組成物は、適切な露光プロセスによって、全可視範囲および近UV範囲(300〜800nm)における光学的適用のためのホログラムを製造するために使用され得る。可視ホログラムは、当業者に知られた方法によって記録され得るあらゆるホログラムを含み、インライン型(ガーボル)ホログラム、二光束(off−axis)ホログラム、フルアパチャートランスファー(full−aperture transfer)ホログラム、白色光透過型ホログラム(「レインボーホログラム」)、デニシュクホログラム、二光束反射ホログラム、エッジリットホログラムおよびホログラフィックステレオグラムが挙げられ;反射ホログラム、デニシュクホログラムおよび透過型ホログラムが好ましい。レンズ、鏡、偏向鏡、フィルタ、散乱ディスク、回折部材、光導体、導波管、投影スクリーンおよび/またはマスクなどの光学部材を有することが好ましい。多くの場合、このような光学部材は、どのようにホログラムに光照射されたか、およびホログラムの寸法に応じて周波数選択性を示す。
【0088】
また、本発明のポリウレタン組成物は、ホログラム画像または表示、例えば、肖像、セキュリティ書類におけるバイオメトリック表示、または、一般に、広告、セキュリティラベル、商標保護、商標ブランド表示のための画像または画像構造、ラベル、意匠要素、装飾、イラスト、コレクションカード、画像など、ならびにデジタルデータ(上記の製品との組合せを含む)を製造するためにも使用され得る。ホログラフィック画像は、3次元の画像の印象を有するものであり得るだけでなく、光照射される角度および光源(例えば、可動光源)などに応じて、連続画像、短編映画またはいくつかの異なる被写体表示するものであってもよい。このような種々の設計可能性のため、ホログラム、特に、体積ホログラムは、上記の適用のための魅力的な技術的解決法である。
【実施例】
【0089】
実施例:
以下の実施例は、本発明による光重合体の説明のために記載しており、限定的に理解されるべきでない。特に記載のない限り、割合はすべて、重量基準の割合に関連している。
【0090】
Desmodur(登録商標)XP 2410は、Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、独国の試験品であり、ヘキサンジイソシアネートをベースとするポリイソシアネート、イミノオキサジアジンジオンの割合は少なくとも30%、NCO含有量:23.5%である。
【0091】
Desmodur(登録商標)XP 2599は、Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、独国の試験品であり、Acclaim 4200に対するヘキサンジイソシアネートの完全アロファネート、NCO含有量:5.6〜6.4%である。
【0092】
プレポリマー1は、Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、独国の試験生成物であり、Acclaim 4200に対するヘキサンジイソシアネートの完全アロファネート、NCO含有量:3.1%である。
【0093】
プレポリマー2は、Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、独国の試験生成物であり、Acclaim 2200TMDIの完全アロファネート、NCO含有量:4.35%である。
【0094】
プレポリマー3は、Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、独国の試験生成物であり、ヘキサンジイソシアネートとAcclaim 8200の完全アロファネート、NCO含有量:1.88〜1.92%である。
【0095】
プレポリマー4は、Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、独国の試験生成物であり、ヘキサンジイソシアネートとAcclaim 2200のウレタン、NCO含有量:3.2〜3.75%である。
【0096】
ポリオール1は、Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、独国の試験生成物であり、Terathane(登録商標)1000とε−カプロラクトンのブロックコポリマーである。
【0097】
ポリオール2は、二官能性ポリ(ε−カプロラクトン)ポリオール(数平均モル質量ほぼ650g/mol)である。
【0098】
ウレタンアクリレート1は、Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、独国の試験生成物であり、HEAとDesmodur(登録商標)RFEをベースとするウレタンアクリレートである。
【0099】
Fomrez(登録商標)UL28:ウレタン化触媒、ジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]スタンナン、Momentive Performance Chemicals、ウィルトン、コネチカット州、米国の市販品(N−エチルピロリドン中10%の溶液として使用)。
【0100】
CGI 909は、2008年にCiba Inc.、バーゼル、スイスにより販売された試験品である。
【0101】
回折効率DEおよび屈折コントラストΔnの解析:
【0102】
本実験の部で製造した本発明の媒体および比較媒体を、そのホログラフィック特性に関して、図1による解析構成によって試験した。
【0103】
図1:λ=633nm(He−Neレーザー)でのホログラフィック媒体の試験装置の幾何構造。記載については、反射ホログラム:M=鏡、S=シャッター、SF=空間フィルタ、CL=コリメータレンズ、λ/2=λ/2板、PBS=偏光感受性光線スプリッタ、D=検出器、I=虹彩絞り、α=21.8°およびβ=41.8°は、試料の外側(媒体の外側)で測定された干渉光の入射角である。
【0104】
He−Neレーザー(発光波長633nm)での光線を、コリメータレンズ(CL)とともに空間フィルタ(SF)の補助により、平行な単色光(homogeneous beam)に変換させた。シグナル光と参照光の最終断面(cross section)は、虹彩絞り(I)により確立される。虹彩絞り開口部の直径は0.4cmである。偏光依存性光線スプリッタ(PSB)により、レーザー光線が、同じ分極の2つの干渉光に分裂する。λ/2板によって、参照光の出力を0.5mWに、シグナル光の出力を0.65mWに調整した。出力は、試料を取り出した半導体検出器(D)を用いて測定した。参照光の入射角(α)は21.8°であり、シグナル光の入射角(β)は41.8°である。試料(媒体)の位置では、この2つの重複する光線の干渉場には、光格子(grating of light)と、試料上に入射した2つの光線の角度の二等分線に垂直な暗い帯状部(反射ホログラム)がもたらされた。媒体内の帯状部空間は約225nmである(媒体の屈折率は約1.49であると推測される)。
【0105】
ホログラムを媒体内に、以下の様式で書き込んだ。
【0106】
両方のシャッター(S)を、露光時間tの間、開く。その後、シャッター(S)を閉じた状態で、媒体に、依然として非重合状態の書き込み用モノマーを5分間拡散させた。次に、書き込まれたホログラムを、以下の様式で読み取った。シグナル光のシャッターは閉じたままにした。参照光のシャッターは開放した。参照光の虹彩絞りを、直径<1mmまで閉じた。これにより、事前に書き込んだホログラム内に、常に光線が、媒体のあらゆる回転角度(Ω)で完全に入ることが確実になった。回転盤は、コンピュータの制御下で、Ω=0°〜Ω=20°の角度範囲を対象とし、角度のステップ幅(step width)は0.05°とした。アプローチした各角度Ωにおいて、ゼロ次で透過した光線の出力を、対応する検出器Dによって測定し、一次で回折した光線の出力も検出器Dによって測定した。アプローチした各角度Ωにおける回折効率ηを:
【数1】

の商として得た。Pは、検出器における回折光の出力であり、Pは、検出器における透過光の出力である。
【0107】
上記の方法によって、ブラッグ曲線(これは、回折効率ηを、書き込まれたホログラムの回転角Ωの関数として示す)を測定し、コンピュータに貯蔵した。また、ゼロ次で透過した強度を回転角Ωに対してプロットし、これもコンピュータに貯蔵した。
【0108】
ホログラムの最大回折効率(DE=ηmax)、すなわち、そのピーク値を求めた。この最大値を求めるため、この目的のために、回折光の検出器の位置を変更することが必要であったかもしれない。
【0109】
次に、屈折コントラストΔnおよび光重合体層の厚さdを、結合波理論(H. Kogelnik,The Bell System Technical Journal,第48巻,1969年11月,9号,第2909〜2947頁参照)により、測定されたブラッグ曲線、および角度の関数としての透過強度の変動から求めた。方法を以下に記載する:
【0110】
Kogelnikに従えば、反射ホログラムのブラッグ曲線η(Ω)は、以下のようになる:
【数2】

ここで:
【数3】

Φは、格子厚さであり、χは、デチューニング(detuning)パラメータであり、Ψは、書き込まれた屈折格子の傾きの角度である。α’およびβ’は、ホログラム書き込み時の角度αおよびβに対応するが、媒体中で測定されたものである。Δθは、媒体中で測定された角度デチューニング、すなわち、角度α’からの偏差である。ΔΩは、媒体の外側で測定された角度デチューニング、すなわち、角度αからの偏差である。nは、光重合体の平均屈折率であり、1.504に設定した。
【0111】
このとき、最大回折効率(DE=ηmax)は、χ=0、すなわちΔΩ=0で:
【数4】


として得られる。
【0112】
回折効率、理論ブラッグ曲線および透過強度の測定データを、中心回転角Ω−αからのシフトに対してプロットした図2に示す。幾何学的収縮および光重合中の平均屈折率の変化により、DEを測定する角度がαから離れるため、x軸は、このシフト付近を中心にしている。シフトは、典型的には0°〜2°である。
【0113】
DEがわかったので、Kogelnikによる理論ブラッグ曲線の形状を、光重合体層の厚さdのみから求める。続いて、所与の厚さdでのΔnを、DEの測定値と理論値が常に整合するようにDEによって補正する。次に、理論ブラッグ曲線の最初の2次最小値(first secondary minima)の角度の位置が、透過強度の最初の2次最大値(first secondary maxima)の角度の位置と整合し、さらに、理論ブラッグ曲線の半値幅(FWHM)と透過強度が整合するまで、dを適合させる。
【0114】
Ωスキャンによって復元(reconstruction)されると、反射ホログラムは同時方向に回転するが、回折光の検出器では限定された角度範囲しか検出され得ないため、広範囲のホログラム(小さいd)のブラッグ曲線は、Ωスキャンでは完全に検出されず、検出器を適当な位置にすると、中央領域のみである。したがって、ブラッグ曲線に相補的な透過強度のこの形状は、層厚dの適合のためにさらに用いられる。
【0115】
図2:角度デチューニングΔΩに対する測定された回折効率(黒丸)および透過出力(黒実線)のKogelnikによるブラッグ曲線ηのプロット(点線)。幾何学的収縮および光重合中の平均屈折率の変化により、DEを測定する角度がαから離れるため、x軸は、このシフト付近を中心にしている。シフトは、典型的には0°〜2°である。
【0116】
配合物について、ホログラムの書き込み時にDEが飽和値に達する入射レーザー光線の平均エネルギー量を求めるため、この手順を、異なる露光時間tで異なる媒体において、できる限り数回繰り返した。平均エネルギー量Eは、以下のようにして、計算される:
【数5】

【0117】
光線成分の出力は、媒体中で、使用角度αとβにおいて同じ出力密度が得られるように
ように調整した。
【0118】
ポリオール1の調製:
1Lフラスコに、まず、0.18gのオクタン酸スズ、374.8gのε−カプロラクトンおよび374.8gの二官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(OH当量500g/mol)を仕込み、これを120℃まで加熱し、固形分(不揮発性構成成分の割合)が99.5wt%以上になるまで、この温度で保持した。この後、冷却すると、生成物がワックス状固形物として得られた。
【0119】
ウレタンアクリレート1の調製:
500ml容丸底フラスコに、まず、0.1gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.05gのジブチルスズジラウレート(Desmorapid Z、Bayer MaterialScience AG,Leverkusen,Germany)と、酢酸エチル中トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%の溶液213.07g(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG,Leverkusen,Germanyの製品)を仕込み、これを60℃まで加熱した。続いて、42.37gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴下し、混合物は、イソシアネート含有量が0.1%未満に低下するまで60℃で保持した状態を継続した。この後、冷却し、酢酸エチルを減圧下で完全に除去した。生成物は、一部結晶性の固形物として得られた。
【0120】
プレポリマー1の調製:
丸底フラスコに、まず、攪拌下、Nをパージしながら、378.0gのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を仕込み、0.019gの塩化イソフタロイルを添加した。混合物を100℃まで加熱し、576.36gのAcclaim 4200(数平均モル質量4000g/molのポリプロピレンオキシド)を、3時間かけて添加した。混合物を、NCO値が18.5%NCOに達するまで攪拌し、次いで90℃まで冷却し、0.076gのビス−2−エチルヘキサン酸亜鉛を添加した。混合物を、目標理論値のNCO値(17.2%NCO)に達するまで攪拌した。次いで、室温まで冷却し、0.095gの塩化イソフタロイルを添加することにより反応を停止させた。次いで、過剰のHDIを、薄膜エバポレータを用いた蒸留により140℃で除去した(残留HDI<0.03%)。生成物は、黄色味をおびた液状物として得られる。
【0121】
プレポリマー2の調製:
丸底フラスコに、まず、攪拌下、Nをパージしながら、236.25gの2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)を仕込み、0.008gの塩化イソフタロイルを添加した。混合物を100℃まで加熱し、167.67gのAcclaim 2200(数平均モル質量2000g/molのポリプロピレンオキシド)を、3時間かけて添加した。混合物を、NCO値が21.8%NCOに達するまで攪拌し、次いで90℃まで冷却し、0.077gのビス−2−エチルヘキサン酸亜鉛を添加した。混合物を、目標理論値のNCO値(20.3%NCO)に達するまで攪拌した。次いで、室温まで冷却することにより反応を停止させた。次いで、過剰のHDIを、薄膜エバポレータを用いた蒸留により140℃で除去した(残留HDI<0.12%)。生成物は、無色の液状物として得られる。
【0122】
プレポリマー3の調製:
400gのHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)および0.06gのオクタン酸亜鉛を、まず、攪拌しながら110℃で、4l容4つ口フラスコに仕込む。1.5時間以内に、1570gの二官能性ポリプロピレングリコール(数平均モル質量8000g/mol)を、115℃の温度が維持されるような様式で添加する。同温度で、さらに2時間後、0.06gのリン酸ジブチルを添加し、次いで、混合物を75℃まで冷却する。この温度で、混合物を濾過する。次いで、700gのHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)と0.5gの塩化ベンゾイルを添加する。続いて、過剰のHDIを、薄膜蒸留によって、130℃および0.1トールにて留去する。得られたプレポリマーは、1.92%のNCO含有量およびほぼ8000mPas(25℃)の粘度を有する。
【0123】
プレポリマー4の調製:
1300gのHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、1.3gの塩化ベンゾイルおよび1.3gのパラ−トルエンスルホン酸メチルを、まず、攪拌しながら、4l容4つ口フラスコに仕込む。3時間以内に、1456gの二官能性ポリプロピレングリコールポリエーテル(2000g/molの数平均分子量を有する)を80℃で添加し、混合物を同温度でさらに1時間攪拌する。続いて、過剰のHDIを薄膜蒸留によって、130℃および0.1トールで留去した。得られたプレポリマーは、3.23%のNCO含有量および1650mPas(25℃)の粘度を有する。
【0124】
ホログラフィック媒体を製造するため、成分C、成分D(これらを、事前に、成分C)にあらかじめ溶解させておいてもよいおよび任意に成分Gを成分Bに、任意に60℃にて溶解させ、次いで、サイズ20μmのガラスビーズ(例えば、Whitehouse Scientific Ltd、Waverton、Chester、CH3 7PB、United Kingdom製)を添加し、混合物を充分に混合する。その後、暗所にて、または適当な光照射を伴って、成分Eを、純粋な形態または希釈溶液で、NEP中で洗浄する。混合物を1分間、再度混合する。任意に、混合物を乾燥キャビネット内で60℃まで、最大10分間加熱する。次いで、成分Aを添加し、混合物を1分間、再度混合する。その後、成分Fの溶液を添加し、混合物を1分間、再度混合する。<1ミリバールで最大30秒間、攪拌下で、得られた混合物から揮発分を除去する。次いで、50×75mmのガラスプレート上に配し、各々に、さらなるガラスプレートを被せる。PU配合物を、15kgの荷重下で数時間かけて(通常、一晩)硬化させる。一部の媒体を、不透明なパッケージ内で60℃にてさらに2時間、後硬化に供する。光重合体層の厚さdは、使用したガラス球の直径から得、20μmである。開始粘度が異なり、硬化速度が異なったマトリックス配合物では、常に同じ層厚さdの光重合体層がもたらされるとは限らないため、dは、各試料について、書き込まれたホログラムの特徴を用いて個別に求める。
【0125】
比較例1(媒体):
8.89gのポリオール1(上記のようにして調製)(成分B)を、3.75gのウレタンアクリレート1(成分C)、0.15gのCGI 909および0.015gの新メチレンブルー(成分Eも一緒)(60℃)、および0.525gのN−エチルピロリドン(成分G)と、透明な溶液が得られるように混合した。続いて、混合物を30℃まで冷却し、1.647gのDesmodur(登録商標)XP2410(成分Aとの比較)を添加し、混合物を再度混合した。最後に0.009gのFomrez UL 28(成分F)を添加し、混合物を短時間、再度混合した。次いで、得られた液状物質をガラスプレートに適用し、これに第2のガラスプレートを被せ、該プレート間の間隔はスペーサーによって20μmに維持した。この試料試験片を室温で放置し、16時間かけて硬化させた。最大Δn:0.0101.
【0126】
比較例2(媒体):
6.117gのポリオール2(成分B)を、3.75gのウレタンアクリレート1(成分C)、0.15gのCGI 909および0.015gの新メチレンブルー(成分Eも一緒)(60℃)、および0.525gのN−エチルピロリドン(成分G)と、透明な溶液が得られるように混合した。続いて、混合物を30℃まで冷却し、4.418gのBaytec(登録商標)WE 180(成分Aとの比較)を添加し、混合物を再度混合した。最後に0.030gのFomrez(登録商標)UL 28(成分F)を添加し、混合物を短時間、再度混合した。次いで、得られた液状物質をガラスプレートに適用し、これに第2のガラスプレートを被せ、該プレート間の間隔はスペーサーによって20μmに維持した。この試料試験片を室温で放置し、16時間かけて硬化させた。最大Δn:0.0063.
【0127】
実施例1(媒体):
7.743gのAcclaim(登録商標)4200(数平均モル質量4000g/molのポリプロピレンオキシド)(成分B)を、3.75gのウレタンアクリレート1(成分C)、0.15gのCGI 909および0.015gの新メチレンブルー(成分Eも一緒)(60℃)、および0.525gのN−エチルピロリドン(成分G)と、透明な溶液が得られるように混合した。続いて、混合物を30℃まで冷却し、2.792gのDesmodur(登録商標)XP 2599(成分A)を添加し、混合物を再度混合した。最後に0.0245gのFomrez(登録商標)UL 28(成分F)を添加し、混合物を短時間、再度混合した。次いで、得られた液状物質をガラスプレートに適用し、これに第2のガラスプレートを被せ、該プレート間の間隔はスペーサーによって20μmに維持した。この試料試験片を室温で放置し、16時間かけて硬化させた。最大Δn:0.0158.
【0128】
実施例2(媒体):
5.63gのポリエーテルL5050(エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから形成された二官能性コポリエーテル,エチレンオキシド成分の合計50wt%,当量984.2g/mol)(成分B)を、4.50gのウレタンアクリレート1(成分C)、0.15gのCGI 909および0.015gの新メチレンブルー(成分Eも一緒)(60℃)、および0.525gのN−エチルピロリドン(成分G)と、透明な溶液が得られるように混合した。続いて、混合物を30℃まで冷却し、4.154gのDesmodur(登録商標)XP 2599(成分A)を添加し、混合物を再度混合した。最後に0.0323gのFomrez(登録商標)UL 28(成分F)を添加し、混合物を短時間、再度混合した。次いで、得られた液状物質をガラスプレートに適用し、これに第2のガラスプレートを被せ、該プレート間の間隔はスペーサーによって20μmに維持した。この試料試験片を室温で放置し、16時間かけて硬化させた。最大Δn:0.0142.
【0129】
実施例3(媒体):
7.554gのAcclaim(登録商標)4220N(エチレンオキシドキャップ型数平均モル質量4000g/molのポリプロピレンオキシド)(成分B)を、3.75gのウレタンアクリレート1(成分C)、0.15gのCGI 909および0.015gの新メチレンブルー(成分Eも一緒)(60℃)、および0.525gのN−エチルピロリドン(成分G)と、透明な溶液が得られるように混合した。続いて、混合物を30℃まで冷却し、2.983gのDesmodur(登録商標)XP 2599(成分A)を添加し、混合物を再度混合した。最後に0.0071gのFomrez(登録商標)UL 28(成分F)を添加し、混合物を短時間、再度混合した。次いで、得られた液状物質をガラスプレートに適用し、これに第2のガラスプレートを被せ、該プレート間の間隔はスペーサーによって20μmに維持した。この試料試験片を室温で放置し、16時間かけて硬化させた。最大Δn:0.0141.
【0130】
実施例4(媒体):
6.128gのAcclaim(登録商標)4200(数平均モル質量4000g/molのポリプロピレンオキシド)(成分B)を、3.75gのウレタンアクリレート1(成分C)、0.15gのCGI 909および0.015gの新メチレンブルー(成分Eも一緒)(60℃)、および0.525gのN−エチルピロリドン(成分G)と、透明な溶液が得られるように混合した。続いて、混合物を30℃まで冷却し、4.408gのプレポリマー1(成分A)を添加し、混合物を再度混合した。最後に0.0150gのFomrez(登録商標)UL 28(成分F)を添加し、混合物を短時間、再度混合した。次いで、得られた液状物質をガラスプレートに適用し、これに第2のガラスプレートを被せ、該プレート間の間隔はスペーサーによって20μmに維持した。この試料試験片を室温で放置し、16時間かけて硬化させた。最大Δn:0.0147.
【0131】
実施例5(媒体):
6.965gのAcclaim(登録商標)4200(数平均モル質量4000g/molのポリプロピレンオキシド)(成分B)を、3.75gのウレタンアクリレート1(成分C)、0.15gのCGI 909および0.015gの新メチレンブルー(成分Eも一緒)(60℃)、および0.525gのN−エチルピロリドン(成分G)と、透明な溶液が得られるように混合した。続いて、混合物を30℃まで冷却し、3.570gのプレポリマー2(成分A)を添加し、混合物を再度混合した。最後に0.0293gのFomrez(登録商標)UL 28(成分F)を添加し、混合物を短時間、再度混合した。次いで、得られた液状物質をガラスプレートに適用し、これに第2のガラスプレートを被せ、該プレート間の間隔はスペーサーによって20μmに維持した。この試料試験片を室温で放置し、16時間かけて硬化させた。最大Δn:0.0150.
【0132】
実施例6(媒体):
4.819gのAcclaim(登録商標)4200(数平均モル質量4000g/molのポリプロピレンオキシド)(成分B)を、3.75gのウレタンアクリレート1(成分C)、0.15gのCGI 909および0.015gの新メチレンブルー(成分Eも一緒)(60℃)、および0.525gのN−エチルピロリドン(成分G)と、透明な溶液が得られるように混合した。続いて、混合物を30℃まで冷却し、5.716gのプレポリマー3(成分A)を添加し、混合物を再度混合した。最後に0.0252gのFomrez(登録商標)UL 28(成分F)を添加し、混合物を短時間、再度混合した。次いで、得られた液状物質をガラスプレートに適用し、これに第2のガラスプレートを被せ、該プレート間の間隔はスペーサーによって20μmに維持した。この試料試験片を室温で放置し、16時間かけて硬化させた。最大Δn:0.0211.
【0133】
実施例7(媒体):
5.497gのAcclaim(登録商標)2200(数平均モル質量2000g/molのポリプロピレンオキシド)(成分B)を、3.75gのウレタンアクリレート1(成分C)、0.15gのCGI 909および0.015gの新メチレンブルー(成分Eも一緒)(60℃)、および0.525gのN−エチルピロリドン(成分G)と、透明な溶液が得られるように混合した。続いて、混合物を30℃まで冷却し、1.783gのDesmodur(登録商標)XP 2599および3.254gのプレポリマー4(成分Aも一緒)の混合物を添加し、混合物を再度混合した。最後に0.030gのFomrez(登録商標)UL 28(成分F)を添加し、混合物を短時間、再度混合した。次いで、得られた液状物質をガラスプレートに適用し、これに第2のガラスプレートを被せ、該プレート間の間隔はスペーサーによって20μmに維持した。この試料試験片を室温で放置し、16時間かけて硬化させた。最大Δn:0.0168.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)少なくとも、もっぱらジオールをベースとするNCO末端ポリウレタンプレポリマーを含み、そのNCO基が第1級様式で結合しているポリイソシアネート成分、
B)イソシアネート反応性ポリマー
C)化学線の作用下でエチレン性不飽和化合物と重合することにより反応する基(放射線硬化性基)を有し、それ自体NCO基を含まない化合物、
D)フリーラジカル安定剤、
E)光開始剤、
F)任意に、触媒、
G)任意に、助剤および添加剤
を含むポリウレタン組成物。
【請求項2】
ウレタン、アロファネート、ビウレットおよび/またはアミド基を有するNCO官能性プレポリマーがA)において用いられることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項3】
A)において用いられるイソシアネート官能性プレポリマーが、脂肪族イソシアネート官能性化合物と、500〜8500g/molの数平均モル質量を有するオリゴマーポリオールまたはポリマーポリオールまたはポリアミンから形成されるウレタン、アロファネートまたはビウレットであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリウレタン組成物。
【請求項4】
A)において用いられるイソシアネート官能性プレポリマーが、HDIまたはTMDIと、1000〜8200g/molの数平均モル質量を有する二官能性ポリエーテルポリオールとから形成されるアロファネートであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン組成物。
【請求項5】
A)においてイソシアネート官能性プレポリマーとして用いられる化合物は、0.5wt%未満の遊離モノマーイソシアネートの残存含有量を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタン組成物。
【請求項6】
エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドをベースとするホモポリマーまたはランダムコポリマーまたはブロックコポリマーが、任意に、モノマー単位としてテトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、またはε−カプロラクトンと組合せて、成分B)において、1.5〜6のOH官能価および200〜18000g/molの数平均モル質量で用いられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタン組成物。
【請求項7】
成分C)に用いられる化合物が>1.55の屈折率n20を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタン組成物。
【請求項8】
芳香族イソシアネートおよび2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、およびポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレートをベースとするウレタンアクリレートおよびウレタンメタクリレートが成分C)に用いられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のポリウレタン組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のポリウレタン組成物を基材または鋳型に適用し、硬化させる、可視ホログラムを記録するための媒体の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法により得られる可視ホログラムを記録するための媒体。
【請求項11】
光学部材として、画像、または画像形成もしくは画像投影のための請求項11に記載の媒体の使用。
【請求項12】
請求項10に記載の媒体を用いるホログラムを記録するための方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2012−504665(P2012−504665A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529466(P2011−529466)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006890
【国際公開番号】WO2010/037496
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】