ホログラムの真贋判定方法、真贋判定装置及び真贋判定用ホログラム
【課題】ホログラム化する画像を暗号化してホログラム化し、そのホログラムから再生された画像を復号化することで偽造困難とするホログラムの真贋判定方法と真贋判定装置。
【解決手段】ホログラム1に再生可能に記録された画像が、所定パターンを所定の演算ルールに従って変換された変換画像を所定の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えられた画像からなり、ホログラム1に所定波長のレーザー光3を照射し、ホログラム1から回折された再生像をカメラ6で撮像し、得られた画像に分割及び再配置ルールと逆の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えを行い、得られた画像に演算ルールと逆の演算ルールに従って変換することで判定対象の画像を取得し、得られた判定対象の画像が予め用意しておいた判定基準に合致するか否かを判定することで、ホログラム1が真正なものか贋のものかを判定する。
【解決手段】ホログラム1に再生可能に記録された画像が、所定パターンを所定の演算ルールに従って変換された変換画像を所定の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えられた画像からなり、ホログラム1に所定波長のレーザー光3を照射し、ホログラム1から回折された再生像をカメラ6で撮像し、得られた画像に分割及び再配置ルールと逆の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えを行い、得られた画像に演算ルールと逆の演算ルールに従って変換することで判定対象の画像を取得し、得られた判定対象の画像が予め用意しておいた判定基準に合致するか否かを判定することで、ホログラム1が真正なものか贋のものかを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラムの真贋判定方法、真贋判定装置及び真贋判定用ホログラムに関し、特に、ホログラム化する画像に処理を施し、撮像された画像に逆の処理を施すことで真贋判定を行うホログラムの真贋判定方法と真贋判定装置、及び、そのためのホログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の絵柄や文字を記録したホログラムをセキュリティ用に用いることも行われている。
【0003】
そのようなホログラムにレーザー光を当て、通常の白色光では見えない再生像を判定画像として真贋判定を行うことが例えば特許文献1で提案されている。
【特許文献1】特開平5−224579号公報
【特許文献2】特許第3287472号公報
【特許文献3】特許第3979507号公報
【特許文献4】特開2004−264839号公報
【特許文献5】特開2000−214751号公報
【非特許文献1】「3次元画像コンファレンス‘99−3D Image Conference‘99−」講演論文集CD−ROM(1999年6月30日〜7月1日 工学院大学新宿校舎)、論文「EB描画によるイメージ型バイナリCGH(3)−隠面消去・陰影付けによる立体感の向上−」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ホログラムからのレーザー再生像を判定要素として用いた場合、目視により再生像を確認することができ、それを元にホログラムが偽造される恐れがある。
【0005】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ホログラム化する画像を暗号化してホログラム化し、そのホログラムから再生された画像を復号化することで偽造困難とするホログラムの真贋判定方法と真贋判定装置、及び、そのためのホログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明のホログラムの真贋判定方法は、所定パターンに基づく画像を記録したホログラムの真贋判定方法において、前記ホログラムに再生可能に記録された画像が、前記所定パターンを所定の演算ルールに従って変換された変換画像を所定の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えられた画像からなり、前記ホログラムに所定波長のレーザー光を照射し、前記ホログラムから回折された再生像を撮像し、得られた画像に前記分割及び再配置ルールと逆の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えを行い、得られた画像に前記演算ルールと逆の演算ルールに従って変換することで判定対象の画像を取得し、得られた判定対象の画像が予め用意しておいた判定基準に合致するか否かを判定
することで、前記ホログラムが真正なものか贋のものかを判定することを特徴とする方法である。
【0007】
この場合に、前記所定の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えられた画像にダイナミックレンジを狭める輝度レベルの調整を行い、撮影された再生像にこれとは逆のダイナミックレンジを広げる輝度レベルの調整を行うことが望ましい。
【0008】
また、前記演算ルールと逆の演算ルールに従って変換された画像にローパスフィルタ処理を行うことが望ましい。
【0009】
また、前記演算ルールが2次元離散フーリエ変換であり、前記逆の演算ルールが2次元逆離散フーリエ変換であり、前記分割及び再配置ルールが画像の縦横4分割とその4分割されたものを対角方向に相互に入れ換える処理であることが望ましい。
【0010】
本発明のホログラムの真贋判定装置は、所定パターンに基づく画像を記録したホログラムを配置するホログラム配置窓と、前記ホログラム配置窓に配置された前記ホログラムに所定入射角で所定波長のレーザー光を照射するように配置されたレーザーと、前記ホログラムから再生された再生像を入射させて映すスクリーンと、前記スクリーン上に映った再生像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で得られた画像を予め定められた分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えを行う分割並べ替え手段と、その分割並べ替えを行った画像を予め定められた演算ルールに従って変換する変換手段と、その変換を行うことで得られた画像が予め用意しておいた判定基準に合致するか否かを判定する判定手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
この場合、前記撮像手段で撮像された画像のダイナミックレンジを広げる輝度レベル調整手段を備えていることが望ましい。
【0012】
また、前記変換手段で変換された画像にローパスフィルタ処理を行うローパスフィルタ手段を備えていることが望ましい。
【0013】
また、前記の予め定められた分割及び再配置ルールが画像の縦横4分割とその4分割されたものを対角方向に相互に入れ換える処理であり、前記の予め定められた演算ルールが2次元逆離散フーリエ変換であることが望ましい。
【0014】
本発明の真贋判定用ホログラムは、真贋判定に用いるホログラムであって、所定パターンを所定の演算ルールに従って変換した変換画像を所定の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えを行なった画像を再生可能に記録されていることを特徴とするものである。
【0015】
この場合に、前記演算ルールが2次元離散フーリエ変換であり、前記分割及び再配置ルールが画像の縦横4分割とその4分割されたものを対角方向に相互に入れ換える処理であることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、ホログラム化する真贋判定に用いる画像を暗号化して記録するので、ホログラムからの再生像は暗号化された画像であり、一見意味のある画像には見えず、再生像を見られたときでも意味のある像に見えない。そのため、ホログラムの偽造を困難にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のホログラムの真贋判定方法の基本原理は、ホログラムからのレーザー再生像を
見たときにそれを簡単にコピーされないようにするために、判定要素として用いる画像を暗号化する。暗号化された画像は一見意味のある画像には見えず、複雑である。この暗号化した画像をホログラム化し、そのホログラムから得られたレーザー再生像を復号化して得られた画像を判定要素として用いる。こうすることで、真正なホログラムと同様のホログラムを偽造することを困難にするものである。
【0018】
本発明のホログラムの真贋判定方法において重要な点は、画像の暗号化と復号化である。以下、この真贋判定方法のについて、特にこの暗号化と復号化について説明する。
【0019】
本発明の画像の暗号化の例としては、2次元離散フーリエ変換があげられる。以下、この2次元離散フーリエ変換について説明する。2次元離散フーリエ変換は元画像をf(x,y)とし、変換後のデータをF(k,l)とすると、
N-1 M-1
F(k,l)=(1/MN)Σ Σ f(m,n)W1 km W2 ln ・・・(1)
n=0 m=0
ただし、W1 =exp(−j2π/M),W2 =exp(−j2π/N)
で計算される。実際の計算では、高速に演算できるFFT(Fast Fourier Transform) を利用する。
【0020】
以下に、画像に2次元離散フーリエ変換を施したときの空間周波数の分布について説明する。簡単のため8画素の横方向一列についてのみ説明する。
【0021】
このとき、上記(1)式は、
7
F(k)=(1/8)Σ f(m)W km ・・・(2)
m=0
ただし、W=exp(−j2π/8)
となる。
【0022】
k=0,1,2,3,4,5,6,7までWの実部の値を図示すると、図2のようになる。
【0023】
図2からも分かるように、k=0がDC成分を表しており、k=4が最も周波数成分が高い。また、k=4からk=0に向かうにつれて、また、k=4からk=7に向かうにつれて周波数成分が低くなる。つまり、F(k)を図3に示すように横軸に並べると、中央に向かう程周波数成分が高くなり、端に向かう程周波数成分は低くなる。また、左端はDC成分である。
【0024】
画像の縦方向に対しても同様にして行われる。
【0025】
図4〜図9に、画像として「OK」という文字に2次元離散フーリエ変換を施し、画像の並べ代えを行い、輝度レベルを調整する方法を示す。まず、図4は元画像の「OK」を示している。この元画像に上記のような2次元離散フーリエ変換を施して得られる画像が図5である。図5には縦方向、横方向の空間周波数の分布を示してあるが、2次元画像に2次元離散フーリエ変換を施すと、画像の中心に向かう程高周波成分となる空間周波数分布が得られる。
【0026】
多くの画像では、低周波成分が強く現れる傾向がある。そのため、図6に示すように、2次元離散フーリエ変換を施して得られる画像を中心の空間周波数分布が最大の位置を中心に縦横に空間周波数分布を4分割し、図6に示すように4分割したものを対角方向に相
互に入れ換える分割画像の並べ替えを行う。これによって、図4の元画像の場合に、図7に示すような画像の中心に向かって明るくなるような画像が得られる。
【0027】
また、フーリエ変換後のデータは、図8(a)に示すように、ダイナミックレンジが大きく、そのまま画像データにすると一部分しか見えない。そこで、図8(b)に示すように、そのデータをログスケールにして最大値が255になるようにダイナミックレンジを狭める輝度レベルの調整をする。図7の画像をこのような輝度レベルの調整をすると、図9のような画像となる。この画像から明らかなように、以上のような暗号化によって目視で元の画像(図4)を判断することはできない。
【0028】
次に、図9のように暗号化した画像(画像データ)を元にホログラム化する。このホログラム化は、通常の二光束干渉によるホログラム化でもよいが、計算機ホログラム(CGH)としてホログラム化することが望ましい。
【0029】
CGHの作製方法は種々の方向が知られているが、その例として、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5等の方法があげられる。あるいは、非特許文献1に記載されたA.W.Lohmann等の方法、Leeの方法等で振幅と位相を記録するようにしてCGHを作製するようにしてもよい。
【0030】
作製されたホログラムにレーザー光を照射すると、回折光によって暗号化した画像データが再生像として再生される。図9の画像をCGHにした場合、図10に示すような再生像が得られる。この再生像を例えばスクリーンに映し、CCDカメラによって撮影する。この撮影した画像を復号化する。復号化は、輝度レベルの調整、画像の並べ替えは暗号化したときの計算の逆を行う。
【0031】
この実施例では、図8と逆の輝度レベルの調整をすることで、図11に示すような画像が得られる。そして、図6と同様に4分割し、4分割したものを対角方向に相互に入れ換える分割画像の並べ替えを行う。これによって、図12に示すようにな画像が得られる。図12には、図5と同様に、縦方向、横方向の空間周波数の分布を示してある。
【0032】
この分割画像の並べ替えを行った画像に、今度は、(1)式と逆の2次元逆離散フーリエ変換を施す。2次元逆離散フーリエ変換は、
N-1 M-1
f(m,n)=Σ Σ F(k,l)W1 -km W2 -ln ・・・(3)
l=0 k=0
で計算される。これも実際の計算では、FFTを利用する。
【0033】
上記の例では、この2次元逆離散フーリエ変換を施すと、図13に示すような「OK」という文字画像が復元される。
【0034】
この2次元逆離散フーリエ変換像には、図13のようにノイズ等がのっているのが普通であるので、ノイズ等を除去するためにローパスフィルタ処理を行い、図14に示すような画像が得られる。
【0035】
最後に、予めテンプレート画像を用意しておき、復元した画像とのマッチングをとることで、そのホログラムの真贋が判定ができる。
【0036】
なお、この判定の前に必ずしも必要ではないが画像の2値化を行うことが望ましい。
【0037】
以上のプロセスをフローチャートとして表現すると、図1のようになる。すなわち、ス
テップST1において、図4に示すように偽造防止のためのホログラムに記録する元画像を用意する。上記の例の場合は「OK」という文字であるが、如何なる文字、絵柄でもよい。判定時にコード解析が利用可能なバーコード等のコードパターンであってもよい。次に、ステップST2において、その元画像に対して(1)式で示したような2次元離散フーリエ変換を施すことで、図5に示すような画像が得られる。なお、元画像を処理する演算としては、2次元離散フーリエ変換に限らず他の数学的な演算でもよい。このようにして得られた変換像に対して、ステップST3で、図6で説明したような分割と分割画像の並べ替えを行い、図7に示すような中心部が明るくなっている画像を得る。なお、この分割と並べ替えは、ステップST2での変換が2次元離散フーリエ変換の場合に有効なものであり、他の数学的な演算を施す場合は、別の分割と並べ替えを行うことになる。次に、ステップST4で、図8を用いて説明したような輝度レベルの調整をして、次のステップST5で画像化して、図9のような画像を得る。ステップST3で得られた画像のダイナミックレンジが余り大きくない場合には、ステップST4の処理は行わなくてもよい。このように、元画像の変換処理と得られた画像の分割及びその分割画像の並べ替えとからなる暗号化を行うと、得られた画像は一見意味のある画像には見えず、複雑なものとなり、ホログラムのレーザー再生像として用いることによって、ホログラムの偽造を困難にする。
【0038】
得られた画像を次のステップST6でホログラム化する。上記したように、通常の二光束干渉によるホログラム化でもよいが、計算機ホログラム(CGH)としてホログラム化することが望ましい。
【0039】
作製されたホログラムにレーザー光を照射して再生することで、ステップST5で得られた画像と同様の図10に示すような再生像が得られるので、次のステップST7で、再生像を例えばスクリーンに映し、CCDカメラによって撮影する。図15は、このようなホログラムからの再生像を撮影するための構成の1例を示す図であり、この例の場合、以上のように暗号化した画像を記録したホログラム1は反射型ホログラムとして記録されており、レーザー2から再生照明光3をこの例の場合はホログラム配置窓10に配置されたホログラム1に略垂直に入射させ、ホログラム1からの回折光4を反射型のスクリーン5に入射させる。そして、その回折光4によりスクリーン5上に再生像が映る。この再生像をCCDカメラ6によって撮影する。この撮影した信号は演算装置7へ送られ、この演算装置7で以下の復号化処理、真偽判定処理が行われる。
【0040】
すなわち、次のステップST8で、撮影された図10に示すような再生像の輝度レベルの調整をする。この処理は、ステップST4の輝度レベルの調整とは逆のダイナミックレンジを広げる処理であり、ステップST4の輝度レベルの調整を行わない場合はこのステップST8の処理を行わない。この輝度レベルの調整により、図11のようなダイナミックレンジの大きな画像が得られる。
【0041】
次いで、次のステップST9で、図6で説明したと同様な画像の分割と分割画像の並べ替えを行い、図12に示すようにな画像が得られる。
【0042】
次に、ステップST10で、(3)式で示す2次元逆離散フーリエ変換を施し、図13に示すような元画像にノイズ等が重畳した画像が復元される。
【0043】
次いで、ステップST11で、ローパスフィルタ処理を行ってノイズ等を除去することで、図14に示すような元画像と同様な画像が得られる。
【0044】
最後に、ステップST12で、例えば予め用意したテンプレート画像とのパターンマッチングをとることで、そのホログラムの真贋が判定ができる。
【0045】
なお、元画像がバーコード等のコードパターン情報である場合に、判定方法としてはパターンマッチングの代わりにコード解析等を行うようにしてもよい。
【0046】
次に、ホログラムからの再生像を撮影するための構成の変形例を説明する。図15の場合は、再生照明光3をホログラム1に略垂直に入射させ、軸外に回折された回折光4によって再生像を反射型のスクリーン5上に再生させ、その再生像を反射型のスクリーン5の正面に配置したCCDカメラ6によって撮影することで、ホログラム1からの再生像を撮影するものであったが、図16に示すように、レーザー2からの再生照明光3をホログラム配置窓10に配置されたホログラム1に対して斜め方向から入射させ、反対側に回折された回折光4による再生像を反射型のスクリーン5上に再生させ、その再生像を反射型のスクリーン5の略正面に配置したCCDカメラ6によって撮影することで、ホログラム1からの再生像を撮影するようにしてもよく、あるいは、図17に示すように、レーザー2からの再生照明光3をホログラム配置窓10に配置されたホログラム1に対して略垂直あるいは斜め方向(図の場合は垂直方向)から入射させ、その再生照明光3の入射方向と異なる別の方向に回折された回折光4による再生像をこの場合は透過型のスクリーン5’上に再生させ、その裏面側に配置したCCDカメラ6によって撮影することで、ホログラム1からの再生像を撮影するようにしてもよい。
【0047】
以上、本発明のホログラムの真贋判定方法及び真贋判定装置を実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のホログラムの真贋判定方法の処理プロセスの1例を示すフローチャートである。
【図2】離散フーリエ変換におけるWの実部の値を図示する図である。
【図3】離散フーリエ変換のF(k)を横軸に並べた図である。
【図4】ホログラム化する元画像の1例を示す図である。
【図5】図4の元画像に2次元離散フーリエ変換を施して得られる画像を示す図である。
【図6】図5の画像に施す分割と並べ替えを説明するための図である。
【図7】図5の画像に図6の処理を施した画像を示す図である。
【図8】輝度レベルの調整を説明するための図である。
【図9】図7の画像に図8の処理を施した画像を示す図である。
【図10】図9の画像をCGHにした場合にそのCGHから再生される再生像を示す図である。
【図11】図10の画像に図8の逆の処理を施した画像を示す図である。
【図12】図11の画像に図6の逆の処理を施した画像を示す図である。
【図13】図12の画像に2次元逆離散フーリエ変換を施して得られる画像を示す図である。
【図14】図13の画像にローパスフィルタ処理を行って得られる画像を示す図である。
【図15】ホログラムからの再生像を撮影するための構成の1例を示す図である。
【図16】ホログラムからの再生像を撮影するための構成の変形例を示す図である。
【図17】ホログラムからの再生像を撮影するための構成の別の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1…ホログラム
2…レーザー
3…再生照明光
4…回折光
5…反射型のスクリーン
5’…透過型のスクリーン
6…CCDカメラ
7…演算装置
10…ホログラム配置窓
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラムの真贋判定方法、真贋判定装置及び真贋判定用ホログラムに関し、特に、ホログラム化する画像に処理を施し、撮像された画像に逆の処理を施すことで真贋判定を行うホログラムの真贋判定方法と真贋判定装置、及び、そのためのホログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の絵柄や文字を記録したホログラムをセキュリティ用に用いることも行われている。
【0003】
そのようなホログラムにレーザー光を当て、通常の白色光では見えない再生像を判定画像として真贋判定を行うことが例えば特許文献1で提案されている。
【特許文献1】特開平5−224579号公報
【特許文献2】特許第3287472号公報
【特許文献3】特許第3979507号公報
【特許文献4】特開2004−264839号公報
【特許文献5】特開2000−214751号公報
【非特許文献1】「3次元画像コンファレンス‘99−3D Image Conference‘99−」講演論文集CD−ROM(1999年6月30日〜7月1日 工学院大学新宿校舎)、論文「EB描画によるイメージ型バイナリCGH(3)−隠面消去・陰影付けによる立体感の向上−」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ホログラムからのレーザー再生像を判定要素として用いた場合、目視により再生像を確認することができ、それを元にホログラムが偽造される恐れがある。
【0005】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ホログラム化する画像を暗号化してホログラム化し、そのホログラムから再生された画像を復号化することで偽造困難とするホログラムの真贋判定方法と真贋判定装置、及び、そのためのホログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明のホログラムの真贋判定方法は、所定パターンに基づく画像を記録したホログラムの真贋判定方法において、前記ホログラムに再生可能に記録された画像が、前記所定パターンを所定の演算ルールに従って変換された変換画像を所定の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えられた画像からなり、前記ホログラムに所定波長のレーザー光を照射し、前記ホログラムから回折された再生像を撮像し、得られた画像に前記分割及び再配置ルールと逆の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えを行い、得られた画像に前記演算ルールと逆の演算ルールに従って変換することで判定対象の画像を取得し、得られた判定対象の画像が予め用意しておいた判定基準に合致するか否かを判定
することで、前記ホログラムが真正なものか贋のものかを判定することを特徴とする方法である。
【0007】
この場合に、前記所定の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えられた画像にダイナミックレンジを狭める輝度レベルの調整を行い、撮影された再生像にこれとは逆のダイナミックレンジを広げる輝度レベルの調整を行うことが望ましい。
【0008】
また、前記演算ルールと逆の演算ルールに従って変換された画像にローパスフィルタ処理を行うことが望ましい。
【0009】
また、前記演算ルールが2次元離散フーリエ変換であり、前記逆の演算ルールが2次元逆離散フーリエ変換であり、前記分割及び再配置ルールが画像の縦横4分割とその4分割されたものを対角方向に相互に入れ換える処理であることが望ましい。
【0010】
本発明のホログラムの真贋判定装置は、所定パターンに基づく画像を記録したホログラムを配置するホログラム配置窓と、前記ホログラム配置窓に配置された前記ホログラムに所定入射角で所定波長のレーザー光を照射するように配置されたレーザーと、前記ホログラムから再生された再生像を入射させて映すスクリーンと、前記スクリーン上に映った再生像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で得られた画像を予め定められた分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えを行う分割並べ替え手段と、その分割並べ替えを行った画像を予め定められた演算ルールに従って変換する変換手段と、その変換を行うことで得られた画像が予め用意しておいた判定基準に合致するか否かを判定する判定手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
この場合、前記撮像手段で撮像された画像のダイナミックレンジを広げる輝度レベル調整手段を備えていることが望ましい。
【0012】
また、前記変換手段で変換された画像にローパスフィルタ処理を行うローパスフィルタ手段を備えていることが望ましい。
【0013】
また、前記の予め定められた分割及び再配置ルールが画像の縦横4分割とその4分割されたものを対角方向に相互に入れ換える処理であり、前記の予め定められた演算ルールが2次元逆離散フーリエ変換であることが望ましい。
【0014】
本発明の真贋判定用ホログラムは、真贋判定に用いるホログラムであって、所定パターンを所定の演算ルールに従って変換した変換画像を所定の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えを行なった画像を再生可能に記録されていることを特徴とするものである。
【0015】
この場合に、前記演算ルールが2次元離散フーリエ変換であり、前記分割及び再配置ルールが画像の縦横4分割とその4分割されたものを対角方向に相互に入れ換える処理であることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、ホログラム化する真贋判定に用いる画像を暗号化して記録するので、ホログラムからの再生像は暗号化された画像であり、一見意味のある画像には見えず、再生像を見られたときでも意味のある像に見えない。そのため、ホログラムの偽造を困難にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のホログラムの真贋判定方法の基本原理は、ホログラムからのレーザー再生像を
見たときにそれを簡単にコピーされないようにするために、判定要素として用いる画像を暗号化する。暗号化された画像は一見意味のある画像には見えず、複雑である。この暗号化した画像をホログラム化し、そのホログラムから得られたレーザー再生像を復号化して得られた画像を判定要素として用いる。こうすることで、真正なホログラムと同様のホログラムを偽造することを困難にするものである。
【0018】
本発明のホログラムの真贋判定方法において重要な点は、画像の暗号化と復号化である。以下、この真贋判定方法のについて、特にこの暗号化と復号化について説明する。
【0019】
本発明の画像の暗号化の例としては、2次元離散フーリエ変換があげられる。以下、この2次元離散フーリエ変換について説明する。2次元離散フーリエ変換は元画像をf(x,y)とし、変換後のデータをF(k,l)とすると、
N-1 M-1
F(k,l)=(1/MN)Σ Σ f(m,n)W1 km W2 ln ・・・(1)
n=0 m=0
ただし、W1 =exp(−j2π/M),W2 =exp(−j2π/N)
で計算される。実際の計算では、高速に演算できるFFT(Fast Fourier Transform) を利用する。
【0020】
以下に、画像に2次元離散フーリエ変換を施したときの空間周波数の分布について説明する。簡単のため8画素の横方向一列についてのみ説明する。
【0021】
このとき、上記(1)式は、
7
F(k)=(1/8)Σ f(m)W km ・・・(2)
m=0
ただし、W=exp(−j2π/8)
となる。
【0022】
k=0,1,2,3,4,5,6,7までWの実部の値を図示すると、図2のようになる。
【0023】
図2からも分かるように、k=0がDC成分を表しており、k=4が最も周波数成分が高い。また、k=4からk=0に向かうにつれて、また、k=4からk=7に向かうにつれて周波数成分が低くなる。つまり、F(k)を図3に示すように横軸に並べると、中央に向かう程周波数成分が高くなり、端に向かう程周波数成分は低くなる。また、左端はDC成分である。
【0024】
画像の縦方向に対しても同様にして行われる。
【0025】
図4〜図9に、画像として「OK」という文字に2次元離散フーリエ変換を施し、画像の並べ代えを行い、輝度レベルを調整する方法を示す。まず、図4は元画像の「OK」を示している。この元画像に上記のような2次元離散フーリエ変換を施して得られる画像が図5である。図5には縦方向、横方向の空間周波数の分布を示してあるが、2次元画像に2次元離散フーリエ変換を施すと、画像の中心に向かう程高周波成分となる空間周波数分布が得られる。
【0026】
多くの画像では、低周波成分が強く現れる傾向がある。そのため、図6に示すように、2次元離散フーリエ変換を施して得られる画像を中心の空間周波数分布が最大の位置を中心に縦横に空間周波数分布を4分割し、図6に示すように4分割したものを対角方向に相
互に入れ換える分割画像の並べ替えを行う。これによって、図4の元画像の場合に、図7に示すような画像の中心に向かって明るくなるような画像が得られる。
【0027】
また、フーリエ変換後のデータは、図8(a)に示すように、ダイナミックレンジが大きく、そのまま画像データにすると一部分しか見えない。そこで、図8(b)に示すように、そのデータをログスケールにして最大値が255になるようにダイナミックレンジを狭める輝度レベルの調整をする。図7の画像をこのような輝度レベルの調整をすると、図9のような画像となる。この画像から明らかなように、以上のような暗号化によって目視で元の画像(図4)を判断することはできない。
【0028】
次に、図9のように暗号化した画像(画像データ)を元にホログラム化する。このホログラム化は、通常の二光束干渉によるホログラム化でもよいが、計算機ホログラム(CGH)としてホログラム化することが望ましい。
【0029】
CGHの作製方法は種々の方向が知られているが、その例として、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5等の方法があげられる。あるいは、非特許文献1に記載されたA.W.Lohmann等の方法、Leeの方法等で振幅と位相を記録するようにしてCGHを作製するようにしてもよい。
【0030】
作製されたホログラムにレーザー光を照射すると、回折光によって暗号化した画像データが再生像として再生される。図9の画像をCGHにした場合、図10に示すような再生像が得られる。この再生像を例えばスクリーンに映し、CCDカメラによって撮影する。この撮影した画像を復号化する。復号化は、輝度レベルの調整、画像の並べ替えは暗号化したときの計算の逆を行う。
【0031】
この実施例では、図8と逆の輝度レベルの調整をすることで、図11に示すような画像が得られる。そして、図6と同様に4分割し、4分割したものを対角方向に相互に入れ換える分割画像の並べ替えを行う。これによって、図12に示すようにな画像が得られる。図12には、図5と同様に、縦方向、横方向の空間周波数の分布を示してある。
【0032】
この分割画像の並べ替えを行った画像に、今度は、(1)式と逆の2次元逆離散フーリエ変換を施す。2次元逆離散フーリエ変換は、
N-1 M-1
f(m,n)=Σ Σ F(k,l)W1 -km W2 -ln ・・・(3)
l=0 k=0
で計算される。これも実際の計算では、FFTを利用する。
【0033】
上記の例では、この2次元逆離散フーリエ変換を施すと、図13に示すような「OK」という文字画像が復元される。
【0034】
この2次元逆離散フーリエ変換像には、図13のようにノイズ等がのっているのが普通であるので、ノイズ等を除去するためにローパスフィルタ処理を行い、図14に示すような画像が得られる。
【0035】
最後に、予めテンプレート画像を用意しておき、復元した画像とのマッチングをとることで、そのホログラムの真贋が判定ができる。
【0036】
なお、この判定の前に必ずしも必要ではないが画像の2値化を行うことが望ましい。
【0037】
以上のプロセスをフローチャートとして表現すると、図1のようになる。すなわち、ス
テップST1において、図4に示すように偽造防止のためのホログラムに記録する元画像を用意する。上記の例の場合は「OK」という文字であるが、如何なる文字、絵柄でもよい。判定時にコード解析が利用可能なバーコード等のコードパターンであってもよい。次に、ステップST2において、その元画像に対して(1)式で示したような2次元離散フーリエ変換を施すことで、図5に示すような画像が得られる。なお、元画像を処理する演算としては、2次元離散フーリエ変換に限らず他の数学的な演算でもよい。このようにして得られた変換像に対して、ステップST3で、図6で説明したような分割と分割画像の並べ替えを行い、図7に示すような中心部が明るくなっている画像を得る。なお、この分割と並べ替えは、ステップST2での変換が2次元離散フーリエ変換の場合に有効なものであり、他の数学的な演算を施す場合は、別の分割と並べ替えを行うことになる。次に、ステップST4で、図8を用いて説明したような輝度レベルの調整をして、次のステップST5で画像化して、図9のような画像を得る。ステップST3で得られた画像のダイナミックレンジが余り大きくない場合には、ステップST4の処理は行わなくてもよい。このように、元画像の変換処理と得られた画像の分割及びその分割画像の並べ替えとからなる暗号化を行うと、得られた画像は一見意味のある画像には見えず、複雑なものとなり、ホログラムのレーザー再生像として用いることによって、ホログラムの偽造を困難にする。
【0038】
得られた画像を次のステップST6でホログラム化する。上記したように、通常の二光束干渉によるホログラム化でもよいが、計算機ホログラム(CGH)としてホログラム化することが望ましい。
【0039】
作製されたホログラムにレーザー光を照射して再生することで、ステップST5で得られた画像と同様の図10に示すような再生像が得られるので、次のステップST7で、再生像を例えばスクリーンに映し、CCDカメラによって撮影する。図15は、このようなホログラムからの再生像を撮影するための構成の1例を示す図であり、この例の場合、以上のように暗号化した画像を記録したホログラム1は反射型ホログラムとして記録されており、レーザー2から再生照明光3をこの例の場合はホログラム配置窓10に配置されたホログラム1に略垂直に入射させ、ホログラム1からの回折光4を反射型のスクリーン5に入射させる。そして、その回折光4によりスクリーン5上に再生像が映る。この再生像をCCDカメラ6によって撮影する。この撮影した信号は演算装置7へ送られ、この演算装置7で以下の復号化処理、真偽判定処理が行われる。
【0040】
すなわち、次のステップST8で、撮影された図10に示すような再生像の輝度レベルの調整をする。この処理は、ステップST4の輝度レベルの調整とは逆のダイナミックレンジを広げる処理であり、ステップST4の輝度レベルの調整を行わない場合はこのステップST8の処理を行わない。この輝度レベルの調整により、図11のようなダイナミックレンジの大きな画像が得られる。
【0041】
次いで、次のステップST9で、図6で説明したと同様な画像の分割と分割画像の並べ替えを行い、図12に示すようにな画像が得られる。
【0042】
次に、ステップST10で、(3)式で示す2次元逆離散フーリエ変換を施し、図13に示すような元画像にノイズ等が重畳した画像が復元される。
【0043】
次いで、ステップST11で、ローパスフィルタ処理を行ってノイズ等を除去することで、図14に示すような元画像と同様な画像が得られる。
【0044】
最後に、ステップST12で、例えば予め用意したテンプレート画像とのパターンマッチングをとることで、そのホログラムの真贋が判定ができる。
【0045】
なお、元画像がバーコード等のコードパターン情報である場合に、判定方法としてはパターンマッチングの代わりにコード解析等を行うようにしてもよい。
【0046】
次に、ホログラムからの再生像を撮影するための構成の変形例を説明する。図15の場合は、再生照明光3をホログラム1に略垂直に入射させ、軸外に回折された回折光4によって再生像を反射型のスクリーン5上に再生させ、その再生像を反射型のスクリーン5の正面に配置したCCDカメラ6によって撮影することで、ホログラム1からの再生像を撮影するものであったが、図16に示すように、レーザー2からの再生照明光3をホログラム配置窓10に配置されたホログラム1に対して斜め方向から入射させ、反対側に回折された回折光4による再生像を反射型のスクリーン5上に再生させ、その再生像を反射型のスクリーン5の略正面に配置したCCDカメラ6によって撮影することで、ホログラム1からの再生像を撮影するようにしてもよく、あるいは、図17に示すように、レーザー2からの再生照明光3をホログラム配置窓10に配置されたホログラム1に対して略垂直あるいは斜め方向(図の場合は垂直方向)から入射させ、その再生照明光3の入射方向と異なる別の方向に回折された回折光4による再生像をこの場合は透過型のスクリーン5’上に再生させ、その裏面側に配置したCCDカメラ6によって撮影することで、ホログラム1からの再生像を撮影するようにしてもよい。
【0047】
以上、本発明のホログラムの真贋判定方法及び真贋判定装置を実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のホログラムの真贋判定方法の処理プロセスの1例を示すフローチャートである。
【図2】離散フーリエ変換におけるWの実部の値を図示する図である。
【図3】離散フーリエ変換のF(k)を横軸に並べた図である。
【図4】ホログラム化する元画像の1例を示す図である。
【図5】図4の元画像に2次元離散フーリエ変換を施して得られる画像を示す図である。
【図6】図5の画像に施す分割と並べ替えを説明するための図である。
【図7】図5の画像に図6の処理を施した画像を示す図である。
【図8】輝度レベルの調整を説明するための図である。
【図9】図7の画像に図8の処理を施した画像を示す図である。
【図10】図9の画像をCGHにした場合にそのCGHから再生される再生像を示す図である。
【図11】図10の画像に図8の逆の処理を施した画像を示す図である。
【図12】図11の画像に図6の逆の処理を施した画像を示す図である。
【図13】図12の画像に2次元逆離散フーリエ変換を施して得られる画像を示す図である。
【図14】図13の画像にローパスフィルタ処理を行って得られる画像を示す図である。
【図15】ホログラムからの再生像を撮影するための構成の1例を示す図である。
【図16】ホログラムからの再生像を撮影するための構成の変形例を示す図である。
【図17】ホログラムからの再生像を撮影するための構成の別の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1…ホログラム
2…レーザー
3…再生照明光
4…回折光
5…反射型のスクリーン
5’…透過型のスクリーン
6…CCDカメラ
7…演算装置
10…ホログラム配置窓
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定パターンに基づく画像を記録したホログラムの真贋判定方法において、前記ホログラムに再生可能に記録された画像が、前記所定パターンを所定の演算ルールに従って変換された変換画像を所定の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えられた画像からなり、前記ホログラムに所定波長のレーザー光を照射し、前記ホログラムから回折された再生像を撮像し、得られた画像に前記分割及び再配置ルールと逆の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えを行い、得られた画像に前記演算ルールと逆の演算ルールに従って変換することで判定対象の画像を取得し、得られた判定対象の画像が予め用意しておいた判定基準に合致するか否かを判定することで、前記ホログラムが真正なものか贋のものかを判定することを特徴とするホログラムの真贋判定方法。
【請求項2】
前記所定の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えられた画像にダイナミックレンジを狭める輝度レベルの調整を行い、撮影された再生像にこれとは逆のダイナミックレンジを広げる輝度レベルの調整を行うことを特徴とする請求項1記載のホログラムの真贋判定方法。
【請求項3】
前記演算ルールと逆の演算ルールに従って変換された画像にローパスフィルタ処理を行うことで前記判定対象の画像を取得することを特徴とする請求項1又は2記載のホログラムの真贋判定方法。
【請求項4】
前記演算ルールが2次元離散フーリエ変換であり、前記逆の演算ルールが2次元逆離散フーリエ変換であり、前記分割及び再配置ルールが画像の縦横4分割とその4分割されたものを対角方向に相互に入れ換える処理であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載のホログラムの真贋判定方法。
【請求項5】
所定パターンに基づく画像を記録したホログラムを配置するホログラム配置窓と、前記ホログラム配置窓に配置された前記ホログラムに所定入射角で所定波長のレーザー光を照射するように配置されたレーザーと、前記ホログラムから再生された再生像を入射させて映すスクリーンと、前記スクリーン上に映った再生像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で得られた画像を予め定められた分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えを行う分割並べ替え手段と、その分割並べ替えを行った画像を予め定められた演算ルールに従って変換する変換手段と、その変換を行うことで得られた画像が予め用意しておいた判定基準に合致するか否かを判定する判定手段とを備えていることを特徴とするホログラムの真贋判定装置。
【請求項6】
前記撮像手段で撮像された画像のダイナミックレンジを広げる輝度レベル調整手段を備えていることを特徴とする請求項5記載のホログラムの真贋判定装置。
【請求項7】
前記変換手段で変換された画像にローパスフィルタ処理を行うローパスフィルタ手段を備えていることを特徴とする請求項5又は6記載のホログラムの真贋判定装置。
【請求項8】
前記の予め定められた分割及び再配置ルールが画像の縦横4分割とその4分割されたものを対角方向に相互に入れ換える処理であり、前記の予め定められた演算ルールが2次元逆離散フーリエ変換であることを特徴とする請求項5から7の何れか1項記載のホログラムの真贋判定装置。
【請求項9】
真贋判定に用いるホログラムであって、所定パターンを所定の演算ルールに従って変換した変換画像を所定の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えを行なった画像を再生可能に記録されていることを特徴とする真贋判定用ホログラム。
【請求項10】
前記演算ルールが2次元離散フーリエ変換であり、前記分割及び再配置ルールが画像の縦横4分割とその4分割されたものを対角方向に相互に入れ換える処理であることを特徴とする請求項9記載の真贋判定用ホログラム。
【請求項1】
所定パターンに基づく画像を記録したホログラムの真贋判定方法において、前記ホログラムに再生可能に記録された画像が、前記所定パターンを所定の演算ルールに従って変換された変換画像を所定の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えられた画像からなり、前記ホログラムに所定波長のレーザー光を照射し、前記ホログラムから回折された再生像を撮像し、得られた画像に前記分割及び再配置ルールと逆の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えを行い、得られた画像に前記演算ルールと逆の演算ルールに従って変換することで判定対象の画像を取得し、得られた判定対象の画像が予め用意しておいた判定基準に合致するか否かを判定することで、前記ホログラムが真正なものか贋のものかを判定することを特徴とするホログラムの真贋判定方法。
【請求項2】
前記所定の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えられた画像にダイナミックレンジを狭める輝度レベルの調整を行い、撮影された再生像にこれとは逆のダイナミックレンジを広げる輝度レベルの調整を行うことを特徴とする請求項1記載のホログラムの真贋判定方法。
【請求項3】
前記演算ルールと逆の演算ルールに従って変換された画像にローパスフィルタ処理を行うことで前記判定対象の画像を取得することを特徴とする請求項1又は2記載のホログラムの真贋判定方法。
【請求項4】
前記演算ルールが2次元離散フーリエ変換であり、前記逆の演算ルールが2次元逆離散フーリエ変換であり、前記分割及び再配置ルールが画像の縦横4分割とその4分割されたものを対角方向に相互に入れ換える処理であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載のホログラムの真贋判定方法。
【請求項5】
所定パターンに基づく画像を記録したホログラムを配置するホログラム配置窓と、前記ホログラム配置窓に配置された前記ホログラムに所定入射角で所定波長のレーザー光を照射するように配置されたレーザーと、前記ホログラムから再生された再生像を入射させて映すスクリーンと、前記スクリーン上に映った再生像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で得られた画像を予め定められた分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えを行う分割並べ替え手段と、その分割並べ替えを行った画像を予め定められた演算ルールに従って変換する変換手段と、その変換を行うことで得られた画像が予め用意しておいた判定基準に合致するか否かを判定する判定手段とを備えていることを特徴とするホログラムの真贋判定装置。
【請求項6】
前記撮像手段で撮像された画像のダイナミックレンジを広げる輝度レベル調整手段を備えていることを特徴とする請求項5記載のホログラムの真贋判定装置。
【請求項7】
前記変換手段で変換された画像にローパスフィルタ処理を行うローパスフィルタ手段を備えていることを特徴とする請求項5又は6記載のホログラムの真贋判定装置。
【請求項8】
前記の予め定められた分割及び再配置ルールが画像の縦横4分割とその4分割されたものを対角方向に相互に入れ換える処理であり、前記の予め定められた演算ルールが2次元逆離散フーリエ変換であることを特徴とする請求項5から7の何れか1項記載のホログラムの真贋判定装置。
【請求項9】
真贋判定に用いるホログラムであって、所定パターンを所定の演算ルールに従って変換した変換画像を所定の分割及び再配置ルールに従って分割並べ替えを行なった画像を再生可能に記録されていることを特徴とする真贋判定用ホログラム。
【請求項10】
前記演算ルールが2次元離散フーリエ変換であり、前記分割及び再配置ルールが画像の縦横4分割とその4分割されたものを対角方向に相互に入れ換える処理であることを特徴とする請求項9記載の真贋判定用ホログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図8】
【図15】
【図16】
【図17】
【図4】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図6】
【図8】
【図15】
【図16】
【図17】
【図4】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−33129(P2010−33129A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191707(P2008−191707)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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