説明

ホログラム再生装置、ホログラム再生方法

【課題】ホログラムメモリからの高品質なデータ再生。
【解決手段】ホログラム再生装置は、ホログラムメモリ上の要素ホログラムから読み取った二次元画像を復号し、復号情報を記憶手段に記憶していくという動作を行う。このとき、既に記憶手段に取り込んだ復号情報と同一データ内容の復号情報が得られる場合があるが、そのような場合、同一内容の2つの復号情報、つまり既に記憶手段に記憶されている復号情報と、今回の復号処理で得られた復号情報とを比較して(F107)、品質の良好な方を記憶手段に保存するようにする(F108)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声/音楽等の音情報、静止画/動画等の画像情報、又はテキストファイル等のデータ情報を二次元画像化し、要素ホログラムとして記録したホログラム記録媒体から、光学的に要素ホログラムの二次元画像を読み取り、読み取った二次元画像から情報を再生するホログラム再生装置、ホログラム再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2005−173646号公報
【0003】
シート状の記録媒体に情報を記録する例として、バーコード、QRコード、ドットコード等に代表される1次元コード又は2次元コードが挙げられる。しかし、これらの情報記録媒体は、単位面積あたりに記録できる情報量が数十から数キロバイト程度と極めて低い。この原因は、単なる画像の濃淡印刷の記録分解能に物理的な限界があるからである。
【0004】
また、同じくシート状の記録媒体としては、物体光と参照光の干渉縞によって各種データを記録するホログラム記録媒体も知られている。そしてホログラム記録媒体は、記録密度を飛躍的に向上させ、著しい大容量化が可能であることも知られており、例えばコンピュータデータや、オーディオやビデオ等のAV(Audio-Visual)コンテンツデータなどに対する大容量のストレージメディアとして有用であると考えられている。
【0005】
ホログラム記録媒体にデータを記録する際には、データを二次元ページデータとして画像化する。そして液晶パネル等に画像化したデータを表示させ、その液晶パネルを透過した光を物体光、つまり二次元ページデータの像となる物体光をホログラム記録媒体に照射する。加えて、所定の角度から参照光をホログラム記録媒体に照射する。このとき物体光と参照光によって生ずる干渉縞が、ドット状や短冊状などの1つの要素ホログラムとして記録されることになる。つまり1つの要素ホログラムは、1つの二次元ページデータを記録したものとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えばシート状等のホログラムメモリを考え、コンピュータデータやAVコンテンツデータなどを記録し、一般ユーザーがホログラムリーダとしての再生装置を用いて、ホログラムメモリに記録されたデータを取得できるようにするシステムを考える。
シート状のホログラムメモリとは、メディア表面としての平面上に多数の要素ホログラムを敷き詰めるように記録するものであり、このメディア表面に対してホログラムリーダを対向させて、各要素ホログラムとして記録されたデータを読み取っていくようにするものである。
【0007】
このようなシステムを考えた場合、ホログラムリーダによるホログラムメモリからの安定したデータ再生性能が要求される。特には、要素ホログラムから読み取った二次元画像に対して復号を行い、復号データを得るという過程で、より品質の良い復号データが得られるようにすることが重要である。
【0008】
本発明では、このような点を考慮し、例えばユーザーがホログラム記録媒体からデータ取得できるシステムにおいて好適な、高品質の再生データを得ることのできるホログラム再生装置、再生方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のホログラム再生装置は、情報を二次元画像化し、二次元画像化された情報の物体光と記録用参照光とを干渉させ、干渉縞によって上記情報が要素ホログラムとして記録されるホログラム記録媒体から、情報を再生するホログラム再生装置である。そして、上記ホログラム記録媒体に再生用参照光を照射するとともに、上記ホログラム記録媒体の要素ホログラムからの再生像光としてあらわれる二次元画像を撮像する撮像手段と、上記撮像手段で得られた二次元画像に対して復号処理を行う復号手段と、上記復号手段で得られた復号情報を記憶する記憶手段と、上記記憶手段に記憶されている復号情報と同一のデータ内容の復号情報が、上記復号手段で得られた場合に、当該2つの復号情報の品質を比較し、比較結果により選択した方の復号情報が上記記憶手段に記憶される状態とする復号情報選択手段とを備える。
また上記復号情報選択手段は、同一データ内容の上記2つの復号情報の品質として、上記復号手段での復号処理過程におけるエラー訂正数を比較する。
【0010】
本発明のホログラム再生方法は、上記ホログラム記録媒体に再生用参照光を照射するとともに、上記ホログラム記録媒体の要素ホログラムからの再生像光としてあらわれる二次元画像を撮像する撮像ステップと、上記撮像ステップで得られた二次元画像に対して復号処理を行う復号ステップと、上記復号ステップで得られた復号情報を記憶手段に記憶する記憶ステップと、上記記憶手段に記憶されている復号情報と同一のデータ内容の復号情報が、上記復号ステップで得られた場合に、当該2つの復号情報の品質を比較し、比較結果により選択した方の復号情報が上記記憶手段に記憶される状態とする復号情報選択ステップとを備える。
【0011】
ホログラム再生装置は、ホログラム記録媒体上の要素ホログラムから読み取った二次元画像を復号し、復号データを記憶手段に記憶していくという動作を行うが、この動作を多数のそれぞれの要素ホログラムに対して行うことで、各要素ホログラムからの復号データが記憶手段に集められ、その結果ホログラム記録媒体に記録されたコンテンツデータ等の再生データを得ることができる。
ここで、ホログラム記録媒体上の各要素ホログラムに対して、ユーザーが手動でスキャンを行う場合、同一の要素ホログラムを複数回読み込むことがある。この場合、既に記憶手段に取り込んだ復号情報と同一データ内容の復号情報が得られる。またホログラム記録媒体上で同一のデータ内容の二次元画像を記録した要素ホログラムが複数存在する場合も、既に記憶手段に取り込んだ復号情報と同一データ内容の復号情報が得られることがある。
これらの場合、同一内容の2つの復号情報、つまり既に記憶手段に記憶されている復号情報と、今回の復号処理で得られた復号情報とを比較して、品質の良好な方を記憶手段に保存するようにする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ホログラム記録媒体上の要素ホログラムから読み取った二次元画像を復号し、復号データを記憶手段に記憶していくが、記憶手段に記憶されている復号情報と同一のデータ内容の復号情報が得られた場合には、その2つの復号情報の品質を比較し、比較結果により選択した方の復号情報が上記記憶手段に記憶される状態とする。このため、よりよい品質の復号情報を保存することができ、結果として品質のよい再生データを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。
[1.ホログラムメモリの記録再生]
[2.ホログラムリーダの構成]
[3.再生処理]
[4.実施の形態の効果]
【0014】
[1.ホログラムメモリの記録再生]

まずホログラムメモリ3に対する基本的な記録再生動作について図1で説明する。
図1(a)はホログラムメモリ3に対するデータ記録の様子を示している。例えばコンテンツデータやコンピュータプログラム等としてのデータをホログラムメモリ3に記録する場合、その記録データ全体は、多数の1ページ分のデータにエンコードされる。
例えばコンテンツデータ等の全体のデータが多数の所定サイズのデータブロックに分割され、ブロック単位でエンコード処理が行われる。
エンコードされた単位としての1つのデータブロックは、図示するような例えば二次元画像DPに変換され、液晶パネル1において表示される。
所定の光源から出力され、例えば平行光とされたレーザ光L1は、二次元画像DPが表示された液晶パネル1を通過することで、その二次元画像DPの像としての物体光L2となる。
この物体光L2は、集光レンズ2で集光され、ホログラムメモリ3上にスポットとして集光される。
このとき、ホログラムメモリ3に対しては、所定角度で記録参照光L3を照射する。これにより物体光L2と参照光L3が干渉し、その干渉縞によりドット状の要素ホログラムが記録されることになる。
なおこのように集光レンズ2を用いる場合、要素ホログラムとして記録されるデータは、集光レンズ2のフーリエ変換作用により、記録データの像のフーリエ像となる。
【0015】
このようにしてホログラムメモリ3に1つの要素ホログラムが記録されるが、順次エンコード単位のデータブロックが、同様に二次元画像DPに変換され、液晶パネル1に表示され、それぞれ要素ホログラムとして記録されていく。
各要素ホログラムの記録の際には、図示しない移送機構により、ホログラムメモリ3(ホログラム材料)の位置を移送させ(もしくは記録光学系を移送させ)、要素ホログラムの記録位置をホログラムメモリ3の平面上で僅かにずらせていく。これにより、例えばシート状のホログラムメモリ3に、その平面方向に多数の要素ホログラムが配置されるように記録が行われていくことになる。例えば図2には、1つの要素ホログラムを○で表しているが、このように平面上に多数の要素ホログラムが形成される。
図2では、ホログラムメモリ3の平面上に、横方向に32個の要素ホログラム、縦方向に24個の要素ホログラムを配置した例を示している。各要素ホログラムには図3に示すように、例えば512×384画素(ピクセル)の二次元画像DPが記録される。
【0016】
このように要素ホログラムが記録されたホログラムメモリ3に対しては図1(b)のように再生が行われる。図1(b)に示すコリメータレンズ4及びイメージャ5は、ホログラムリーダとしての再生装置内に設けられる構成である。
ホログラムメモリ3に対しては、記録時と同じ照射角度で、再生参照光L4を照射する。再生参照光L4を照射すると、要素ホログラムとして記録された再生像が得られる。つまり二次元ページデータの像が、記録時の液晶パネル1と共役な場所に現れる。これをイメージャ5で読み取ればよい。
即ちホログラムメモリ3からの再生像光L5はコリメータレンズ4で平行光とされ、例えばCCD撮像素子アレイ、もしくはCMOS撮像素子アレイなどで形成されたイメージャ5に入射する。ホログラムメモリ3上でのフーリエ像は、コリメータレンズ4で逆フーリエ変換されて二次元ページデータの像となるため、この二次元画像DPとしての再生像がイメージャ5で読み取られる。
イメージャ5は再生像に応じた電気信号としての再生像信号を発生させる。この再生像信号についてデコード処理を行うことで、元々のデータ、つまり記録のために二次元ページデータに変換する前のデータが得られることになる。
ホログラムメモリ3上の多数の要素ホログラムについて同様にデータ読出を行っていくことで、記録された元々のコンテンツデータ等を再生することができる。
【0017】
上記のように要素ホログラムによってデータが記録されるホログラムメモリ3は密着コピーによる大量複製も容易に可能である。
従って、図1(a)のようにしてホログラム材料上に要素ホログラムを記録したホログラムメモリ3は、それをそのまま一般ユーザーに提供するホログラムメモリとしても良いが、これをマスターメディアとし、密着コピーにより大量のホログラムメモリの複製に用いてもよい。
例えばコンピュータデータやAVコンテンツデータなどをホログラム記録媒体に記録し、これを広く頒布するとともに、一般ユーザーが再生装置(ホログラムリーダ6)を用いて、ホログラムメモリ3に記録されたデータを取得できるようにするシステムなどを想定した場合、図1(a)のようにしてホログラムマスターメディアを生成し、そのマスターメディアから複製されたホログラムメモリを頒布して、ユーザーサイドで図1(b)の動作でデータを読み出すようにすることが好適である。
【0018】
後述する本実施の形態の再生装置としてのホログラムリーダ6は、ホログラムメモリ3に対して再生参照光L4を照射して各要素ホログラムを読み取っていくスキャンを行う。このスキャン方式としては、ユーザーが実行する手動スキャン方式と、ホログラムリーダ6が機構的に実行する自動スキャン方式とが考えられる。
【0019】
手動スキャン方式の例を図4に示す。図4(a)には一例として、オーディオコンテンツなどのデータが記録されたホログラムメモリ3が、ポスターPT等に貼付されている状態を示している。ホログラムリーダ6は、ユーザーが手に持てる程度に小型軽量の機器とされている。このホログラムリーダ6の筐体上の一面には、上述した再生参照光L4を出力する光源や、ホログラムメモリ3からの再生像光を取り込むためのレンズ系などが形成されている。
ユーザーは図のようにホログラムリーダ6を持って、その筐体の一面側がホログラムメモリ3に対向するようにした状態で近接させ、ホログラムリーダ6を任意の方向に振るようにする。このとき、再生参照光L4が所定角度で照射された要素ホログラムの再生像がホログラムリーダ6によって読み取られていく。
なお、図4(a)にはホログラムリーダ6をホログラムメモリ3から離した状態でユーザーが左右に振るような様子を示しているが、図5に示すように、ホログラムリーダ6の筐体の一部をホログラムメモリ3の表面上に接触させた状態で上下左右に振る、つまり摺動させるようなスキャン方式も想定される。
【0020】
図4(b)は、多数の要素ホログラムh1〜h24が記録されたホログラムメモリ3を模式的に示しているが、ユーザーは任意に、例えば左右にホログラムリーダ6を振ることで、ホログラムメモリ3に対する読出スキャンの軌跡(再生参照光L4のスポットの軌跡)は破線で示すようになる。
実際にユーザーがどのようにホログラムリーダ6を移動させるかは全く不定であるため、再生参照光L4のスポットは、全く不規則かつ不安定に、ホログラムメモリ3上の要素ホログラムに照射される。この状態で、再生参照光L4のスポットが照射された要素ホログラムの再生像がホログラムリーダ6に読み取られていくことになる。つまり各要素ホログラムh1〜h24は、それぞれ、確率的に読み出しが行われる。ホログラムリーダ6側では読み取れた要素ホログラムから順にデコードして蓄積し、必要量のデータがデコードできた時点で、再生データを再構成すればよい。
【0021】
一方、自動スキャン方式とは、ホログラムリーダ6が例えば内部のスキャン機構の動作によって再生参照光L4の照射位置を移動させたり、或いはコリメータレンズ4及びイメージャ5を保持するユニットを移動させて行くことで、ホログラムメモリ3上の各要素ホログラムを順次読み取っていく方式である。例えば図5のようにホログラムリーダ6をポスター等に貼付されたホログラムメモリ3に対向させた状態で自動スキャンを行うことが考えられる。即ちその場合は、ユーザーは単にホログラムリーダ6をホログラムメモリ3の正面に維持していればよく、スキャン機構によって再生参照光L4の照射位置やレンズ系が移動されることで、ホログラムメモリ3上の各要素ホログラムに対するスキャンが行われる。
又は、例えばホログラムメモリ3としてのシートをカード状の基板部に貼付した形式のメディアとし、これをホログラムリーダ6内に装填し、ホログラムリーダ6内でスキャン動作を行って各要素ホログラムを読み取っていくような方式も想定できる。
【0022】
[2.ホログラムリーダの構成]

実施の形態のホログラムリーダ6(ホログラム再生装置)の構成を図6で説明する。
ホログラムリーダ6は、撮像部10、信号処理部20、メモリ部30、外部機器IF部40の4つのブロックを有する。これら各部は、システムコントローラ51の制御に基づいてそれぞれ所要の動作を行う。
【0023】
システムコントローラ51は、例えばマイクロコンピュータにより形成され、ホログラムメモリ3からのデータ読取のための動作を実行するために各部を制御する。
またシステムコントローラ51は操作部53の操作情報を監視し、ユーザーの操作に応じて必要な制御を行う。またシステムコントローラ51は、表示部52を制御してユーザーに提示する各種の情報の表示を実行させる。
【0024】
撮像部10は、ホログラムメモリ3の要素ホログラムから再生される二次元画像を撮像するためのブロックであり、コリメータレンズ11、撮像素子部(イメージャ)12、カメラ制御機構部13、発光駆動部14、ホログラムスキャン制御部15、参照光光源16を有して構成される。
コリメータレンズ11、撮像素子部12は、図1(b)で説明したコリメータレンズ4及びイメージャ5に相当する。撮像素子部12はCMOSイメージセンサ、或いはCCDイメージセンサ等の二次元画像を検出する装置である。
カメラ制御機構部13は撮像素子部12(或いは参照光光源16)とホログラムメモリ3との位置関係を制御するための装置であり、可動部を手動または自動で制御する機能を持つ。なお、図4,図5で説明したような手動スキャン方式を採用する場合は、このカメラ制御機構部13は不要となる。
参照光光源16は、図1に示した記録時の記録参照光L3と同じ角度でホログラムメモリ3に対して再生参照光L4を照射するようにホログラムリーダ6の筐体上に配置されている。例えばLED(Light Emitting Diode)或いは半導体レーザによる参照光光源16は、発光駆動部14によって発光される。発光駆動部14は、当該ホログラムリーダ6によってホログラムメモリ3の再生を行う場合に、システムコントローラ51の指示によって参照光光源16を発光駆動する。
ホログラムスキャン制御部15は、撮像素子部12から読み取られた二次元画像の状態及び変数用メモリ26に格納されたこれまでのスキャン状況を元にホログラムスキャンの撮像タイミングと読み出し画素を決定し、スキャンタイミング信号、スキャンアドレス信号を撮像素子部12に与えて撮像素子部12での撮像動作を制御する。また撮像素子部12で得られた二次元画像信号の処理を行う。
【0025】
信号処理部20は、撮像部10にて撮像された一連の二次元画像に信号処理を施すためのブロックであり、メモリコントローラ21、光学補正変数算出部22、幾何歪み補正変数算出部23、二値化部24、復号部25、変数用メモリ26、ミキシングストラテジ処理部28で構成される。
メモリコントローラ21は、ホログラムスキャン制御部15、光学補正変数算出部22、幾何歪み補正変数算出部23、二値化部24、復号部25の各々と、メモリ部30とのデータ読み書きのアービトレーションをとる。
光学補正変数算出部22は、二次元画像内の輝度バラツキの状態を検出し、光学補正変数を決定する。
幾何歪み補正変数算出部23は、二次元画像内の幾何学的な歪みを検出し、幾何補正変数を決定する。
二値化部24は、光学補正変数及び幾何補正変数を元に、二次元画像を二値化する。
復号部25は二値化部24で二値化されたデータを復号し、ホログラムメモリ3から読み出した情報を再生する。
変数用メモリ26は光学補正変数算出部22で算出された光学補正変数、幾何歪み補正変数算出部23で算出された幾何補正変数を格納する。
ミキシングストラテジ処理部28は、復号部25で得られた復号データが、既にメモリ部30の不揮発性メモリ32に記憶されている復号データと同一内容であるときに、その復号データ同志を比較し、品質の良好な復号データを選択する。そして不揮発性メモリ32において、選択した方の復号データが保存されるようにする。
【0026】
メモリ部30は、ホログラムスキャン制御部15から転送されてくる二次元画像を記憶する機能と、信号処理部20にて行われる信号処理中間結果を記憶する機能、復号部25にて復号された情報を記憶する機能を有する装置であり、情報用メモリ31と不揮発性メモリ32で構成される。
情報用メモリ31は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)で構成され、ホログラムスキャン制御部15から転送されてくる二次元画像を記憶する記憶領域とされる。記憶した二次元画像は、光学補正変数算出部22、幾何歪み補正変数算出部23、二値化部24の処理のために読み出される。
不揮発性メモリ32は復号部25で復号された情報、例えば音声/映像情報等の記憶領域とされる。
【0027】
外部機器IF部40は、このホログラムリーダ6で読み出した音声/映像情報等を外部機器100へ伝送する装置であり、外部機器インターフェース41を備える。
【0028】
ホログラムメモリ3からのデータ読出の際の各部の動作を述べる。
ホログラムメモリ3に対するスキャンを行う際には、発光駆動部14が参照光光源16を発光駆動する。再生参照光L4が照射されたホログラムメモリ3からは、要素ホログラムの再生像光が得られ、これがコリメータレンズ4を介して撮像素子部12に結像する。撮像素子部12に結像した二次元画像は、電気信号に変換されてホログラムスキャン制御部15に転送される。
【0029】
ホログラムスキャン制御部15は、撮像素子部12の動作を制御すると共に、撮像素子部12によって得られる二次元画像信号の処理を行う。
即ちホログラムスキャン制御部15は、撮像素子部12に対してスキャンタイミング信号、スキャンアドレス信号等を供給して、いわゆる撮像動作により固体撮像素子アレイで得られる二次元画像信号を順次転送出力させる。そして撮像素子部12から転送されたきた二次元画像信号について、サンプリング処理、AGC処理、A/D変換処理等を施して出力する。
【0030】
ホログラムスキャン制御部15から出力されるデジタルデータ化された二次元画像信号は、メモリコントローラ21の制御によって情報用メモリ31に記憶される。
【0031】
情報用メモリ31に記憶された二次元画像信号については、光学補正変数算出部22で、光学補正変数が算出される。即ち情報用メモリ31から光学補正変数算出部22に二次元画像信号が転送され、光学補正変数算出部22で光学的な原因によるデータ値の変動である光学歪み補正や、明るさ調整補正のための補正変数が算出される。光学補正変数算出部22は、算出した光学補正変数を変数用メモリ26に格納する。
なお、光学補正変数算出部22は、実際に二次元画像信号に対して光学補正処理を行うものではなく、光学補正変数を算出して変数用メモリ26に格納する処理を行うのみである。つまり、二次元画像信号を補正し、補正した二次元画像信号を情報用メモリ31に転送して二次元画像信号を補正した状態に更新させる動作は行われない。
【0032】
また情報用メモリ31に記憶された二次元画像信号については、幾何歪み補正変数算出部23で、幾何補正変数が算出される。即ち情報用メモリ31から幾何歪み補正変数算出部23に二次元画像信号が転送され、幾何歪み補正変数算出部23で、画像位置ズレ補正、画像回転ズレ補正など、幾何歪み補正のための補正変数が算出される。幾何歪み補正変数算出部23は、算出した幾何補正変数を変数用メモリ26に格納する。
なお、幾何歪み補正変数算出部23も、実際に二次元画像信号に対して幾何歪み補正処理を行うものではなく、幾何補正変数を算出して変数用メモリ26に格納する処理を行うのみであって、二次元画像信号を補正し、補正した二次元画像信号を情報用メモリ31に転送して二次元画像信号を補正した状態に更新させる動作は行われない。
【0033】
光学補正変数算出部22、幾何歪み補正変数算出部23での処理により、光学補正変数、幾何補正変数が変数用メモリ26に格納された二次元画像信号は、情報用メモリ31から二値化部24に転送され、二値化される。撮像素子部12によっては階調のある撮像データとして二次元画像信号が得られるが、これを白黒(明暗)の二値に変換する二値化処理を行うものである。ホログラムメモリ3から読み取るべきデータは、元々の記録データを白黒の二値のデータとして二次元ページデータ化されたものであるからである。
この二値化部24では、二値化の際に、その二次元画像信号について変数用メモリ26に格納されている光学補正変数、幾何補正変数を用いて処理を行う。即ち幾何補正変数に基づいて、情報用メモリ31からの二次元画像信号の読込の際の座標を調整し、また光学補正変数に基づいて二値化の際の閾値を設定する。
二値化部24で光学補正変数、幾何補正変数を用いた二値化処理を行うことで、二値化された二次元画像信号は、結果的に光学補正、幾何歪み補正が実行された状態となる。
二値化部24で二値化された二次元画像信号は、直接、或いは情報用メモリ31を介して、復号部25に転送される。
【0034】
復号部25は、二値化された二次元画像信号、つまり1つの要素ホログラムから得られたデータについて、デコード処理やエラー訂正処理を行い、元のデータを復号する。
復号部25は、デコードしたデータを、メモリコントローラ21に受け渡す。メモリコントローラ21は、デコードされたデータを不揮発性メモリ32に格納させる。
但し、復号部25で復号したデータが既に不揮発性メモリ32に記憶されていた場合は、今回復号したデータと、不揮発性メモリ32に記憶されていたデータとについて、ミキシングストラテジ処理部28で品質比較処理を行う。例えば復号時のエラー訂正処理におけるエラー訂正数を比較する。そして、不揮発性メモリ32に記憶されたデータの方がエラー訂正数が少なく、高品質であると判断した場合は、今回の復号データは破棄する。一方、今回復号したデータの方がエラー訂正数が少なく、高品質であると判断した場合は、不揮発性メモリ32に上書きするように記憶させる。つまり不揮発性メモリ32での記憶データを書き換える。
【0035】
ホログラムメモリ3の各要素ホログラムから得られる二次元画像信号について、復号部25で順次デコードされ、不揮発性メモリ32に蓄積されていくことで、最終的に、ホログラムメモリ3に記録されている元々のデータ、例えばAVコンテンツデータやコンピュータデータ等が不揮発性メモリ32上で構築される。
【0036】
不揮発性メモリ32上で再構築されたデータは、外部機器インターフェース41により外部機器100、例えばパーソナルコンピュータや、オーディオプレーヤ或いはビデオプレーヤ等のAV装置、又は携帯電話器等の外部機器に対して、ホログラムメモリ3からの再生データとして転送される。外部機器インターフェース41は例えばUSBインターフェース等が想定される。もちろん外部機器インターフェース41はUSB以外の規格のインターフェースでもよい。ユーザーは外部機器100側で、ホログラムメモリ3からの再生データを利用できる。例えばパーソナルコンピュータでコンピュータデータを利用したり、AV装置や携帯電話等で、AVコンテンツデータを再生させることができる。
【0037】
なお図示していないが、所定の記録メディアに対して記録を行うメディアドライブを設け、再生データを、そのメディアドライブにより記録メディアに記録されるようにしてもよい。
記録メディアとしては、例えば光ディスク、光磁気ディスク等が想定される。例えばCD(Compact Disc)方式、DVD(Digital Versatile Disc)方式、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc:登録商標)方式、ミニディスク(Mini Disc)方式などの各種方式の記録可能型のディスクが記録メディアとして考えられる。これらのディスクが記録メディアとされる場合、メディアドライブは、ディスク種別に対応したエンコード処理、エラー訂正コード処理、或いは圧縮処理等を施して、再生したデータをディスクに記録する。
また記録メディアとしてハードディスクも想定され、その場合、メディアドライブは、いわゆるHDD(ハードディスクドライブ)として構成される。
さらに記録メディアは、固体メモリを内蔵した可搬性のメモリカード、或いは内蔵型固体メモリとしても実現でき、その場合メディアドライブは、メモリカード或いは内蔵型固体メモリに対する記録装置部として構成され、必要な信号処理を行って再生したデータの記録を行う。
【0038】
さらには、例えば記録メディアに記録したAVコンテンツデータ等をメディアドライブで再生し、その再生したAVコンテンツデータ等をデコードして出力する音声再生出力系、映像再生出力系を備えることは当然考えられる。
またメディアドライブで再生したデータを外部機器インターフェース41を介して外部機器に転送することもできる。
さらに上記のCD、DVD、ブルーレイディスク、ミニディスク、メモリカード等の可搬性の記録メディアに記録した場合は、その記録メディアを外部機器で再生させることで、ユーザーはホログラムメモリ3から読み出した再生データを利用できる。
【0039】
なお、ホログラムメモリ3に対するスキャンを行ってデータを読み出す再生動作(データダウンロード動作)と、得られたオーディオ/画像等のデータを外部機器100に転送したり、或いは上記のように再生出力系で再生出力する動作は、基本的には同時に行われないとすれば、メモリ部30において、情報用メモリ31及び不揮発性メモリ32のいずれか一方、もしくは両方を再生装置に具備された他の記憶手段で代替することにより、メモリ構成を簡略化できる。
例えば上記のように光ディスクやHDDなどの記録メディアに復号したデータを記録するようにすれば、再生データ構築までは情報用メモリ31に格納し、不揮発性メモリ32を不要とすることも可能である。
【0040】
[3.再生処理]

このホログラムリーダ6によりホログラムメモリ3からデータ再生を行う際の処理を図7で説明する。図7はデータ再生時においてシステムコントローラ51の制御に基づいて実行される処理を示している。
例えばユーザーは、操作部53から再生開始の操作を行った後、図4或いは図5のようにホログラムリーダ6をホログラムメモリ3に対向させて任意に移動させることになる。
【0041】
システムコントローラ51は、操作部53を用いた再生開始の操作を検知したら、ステップF101で参照光光源をオンとする。即ち発光駆動部14に指示を与え、参照光光源16を発光させ、再生参照光L4をホログラムメモリ3に照射できる状態とする。
この状態でユーザーがホログラムリーダ6をホログラムメモリ3に対向させて移動させることで、ホログラムメモリ3の要素ホログラムの再生像光L5が順次撮像素子部12に検出されることになる。
なお、ホログラムリーダ6がカメラ制御機構部13を備え、カメラ制御機構部13によってスキャン位置が制御される構成の場合は、スキャン開始と共にシステムコントローラ51はホログラムスキャン制御部15に指示してカメラ制御機構部13の動作を開始させる。以下では、スキャン方式は手動スキャンとし、カメラ制御機構部13は設けられないものとして説明を続ける。
【0042】
ステップF102では撮像素子部12及びホログラムスキャン制御部15の動作により、要素ホログラムの二次元画像の撮像信号としてのデジタルデータが得られる。
ホログラムスキャン制御部15は、撮像素子部12で得られた撮像信号に対して、所要の信号処理やA/D変換を行い、要素ホログラムの二次元画像信号としてメモリコントローラ21に受け渡し、情報用メモリ31に格納させていく。
【0043】
システムコントローラ51は、ステップF102の動作としての要素ホログラムの二次元画像信号の取込を確認したら、その二次元画像信号について、ステップF103の画像処理、ステップF104のデコード処理を実行させる。
即ちステップF103では情報用メモリ31に取り込んだ二次元画像信号について、光学補正変数算出部22、幾何歪み補正変数算出部23の処理を実行させる。
またステップF104では、二次元画像信号について二値化部24,復号部25の処理を実行させ、復号データを得る。
【0044】
ステップF104で或る1つの要素ホログラムについてのデータがデコードされたら、ステップF105では、その復号データが、既に不揮発性メモリ32に格納されているか否かを判断する。
デコードしたデータが、まだ不揮発性メモリ32に格納していないものであると判断された場合は、ステップF106に進み、当該デコードしたデータを、或る1つの要素ホログラムから読み出したデータとして不揮発性メモリ32に格納させる。
【0045】
ステップF109では、ホログラムメモリ3からのデータ読出が完了したか否かを判断する。即ち、再生データを再構築できる必要量のデータブロックが不揮発性メモリ32に格納された状態になっているか否かを判断する。
ホログラムメモリ3からのデータ読取が完了していなければ、ステップF102に戻って再び上記処理を同様に実行する。
【0046】
なお、記録時に各要素ホログラムに記録されたデータのヘッダ情報においては、記録データ全体(例えばコンテンツデータ全体)のデータサイズや、分割したデータブロック数、データブロック番号などが記録されているようにする。
このため、ステップF105で、復号データが、既に不揮発性メモリ32に格納されているか否かの判断は、例えば復号データのヘッダ情報としてのデータブロック番号を確認し、同じデータブロック番号の復号データが既に不揮発性メモリ32に記憶されているか否かを確認すればよい。
【0047】
また、ヘッダ情報に記録データ全体(例えばコンテンツデータ全体)のデータサイズや、分割したデータブロック数が記録されていることにより、最初に或る1つの要素ホログラムからのデータがデコードできた時点で、システムコントローラ51は読み出すべき全体のデータサイズやデータブロック数を確認できる。
このためステップF109では、データ全体のデータサイズ又はデータブロック数と、不揮発性メモリ32に格納したデータサイズ又はデータブロック数を比較することで、ホログラムメモリ3からの読取が完了したか否かを判別できる。
なお、ステップF109で、ホログラムメモリ3からのデータ読取が完了、つまり要素ホログラムの読取が完了と判断される状態となるのは、再生データ(=元の記録データ)を構成可能な所定量のデータブロックのデータの読み取れたか否かという条件で判断するものであり、ホログラムメモリ3の全ての要素ホログラムの読取を完了したか否かという判断とする必要はない。
同一のデータ内容を記録した要素ホログラムが複数記録されている場合も想定されるし、さらには、全てのデータブロックを読み込まなくとも、エラー訂正処理やデータ補間処理で元々の記録データを構築できる場合もあるためである。
【0048】
ステップF105において、デコードしたデータが既に不揮発性メモリ32に格納されているデータと同一内容と判断された場合は、ステップF107に進む。
復号部25で復号したデータが、既に不揮発性メモリ32に記憶されているデータと同一内容となる場合が生ずるのは、同一の要素ホログラムの読み出しが既に行われていた場合か、或いは同一のデータ内容を記録した要素ホログラムが複数個、ホログラムメモリ3に記録されている場合に、今回読み出した要素ホログラムとは別の要素ホログラムから同一のデータが既に読み出されていた場合である。
上述したように手動スキャンを行う場合、スキャンされる要素ホログラムは全く不定であり、同じ要素ホログラムが複数回スキャンされる場合がある。例えば図8に、ホログラムメモリ3上の○で示す要素ホログラムが配列されている例を示しているが、このようなホログラムメモリ3に対して、ユーザーの手動スキャンの軌跡が矢印で示すようになったとする。この場合、スキャン軌跡にあたった各要素ホログラムの二次元画像が順次読み込まれて復号されるわけであるが、例えば図8で斜線を付した要素ホログラムは、2回、読込が行われたものとなる。例えばこのような状況で、ある要素ホログラムが2回読み込まれたら、2回目にデコードしたデータは既に不揮発性メモリ32に格納されているデータと同一内容となる。
【0049】
また、特に手動スキャンを想定して、各要素ホログラムが確率的に読み込まれるものとしたシステムでは、なるべく迅速に各データブロックの要素ホログラムが読み込まれるように、同じデータの要素ホログラムを複数記録する考え方がある。
例えば、図4(b)には模式的な例として、ホログラムメモリ3に要素ホログラムh1〜h24が記録されている状態を示したが、これは例えば元々の記録データを24個のデータブロックBLKに分割し、各データブロックBLKのデータDTを、それぞれ24個の要素ホログラムh1〜h24として記録した状態である。このような場合、図7のステップF109でホログラムメモリ3からのデータ読み出しが完了したと判断されるのは、24個の要素ホログラムh1〜h24の全てについてのデータ読出が完了した時点となる。
ところが手動スキャンで再生を行うホログラムリーダ6は、各要素ホログラムh1〜h24を確率的に読み出すものであることを考えると、ホログラムメモリ3上の全ての要素ホログラムh1〜h24をまんべんなく取り込むことが困難になる場合があり得る。
つまり手動スキャンはあくまでユーザーの動作であるので、ユーザーが任意にホログラムリーダ6を移動させるときに、なかなかスキャンできない要素ホログラムが生ずることがある。言い換えれば再生参照光L4が照射されない要素ホログラムが生ずることがある。そして、例えば要素ホログラムh5の読取がなかなかできないでいると、その要素ホログラムh5に記録されたデータブロックBLKのデータDTが読み込めず、ステップF109で所定量のデータ読み出し完了と判断されない状態が続き、ユーザーがいつまでも手動スキャンを続けなければならないという事態が生ずることがあり得る。
【0050】
このようなことを考えると、手動スキャンにより再生を行うシステムでは、各データDTの読取確率を上げることが重要となる。
そして各データDTの読取確率を上げるには、ホログラムメモリ3に同一のデータ内容の要素ホログラムを複数記録しておくことが適切となる。
図9に例を示す。ここではホログラムメモリ3上に、要素ホログラムh1〜h12が記録されているとしている。元々の記録データは、12個のデータブロックに分割し、その各データブロックのデータを、それぞれ要素ホログラムh1〜h12として記録する。そして各要素ホログラムh1〜h12は、それぞれ多数形成され、縦方向に並ぶように配置されている。
このようにすると、ユーザーがホログラムメモリ3を横切るように手動スキャンさせれば、ほぼ確実に全ての要素ホログラムh1〜h12のデータを読み込めることになる。つまり各データブロックのデータの読取確率を大幅に向上させ、手動スキャンの時間を短縮できる。
このときに、ユーザーが矢印のように右方向へのスキャンを行い、続いて左方向への戻るようにスキャンしたとする。すると、左に戻るスキャンの際に、既に一度読み込まれた要素ホログラムと同一データ内容の要素ホログラムが、読み込まれることになる。
例えばこのような状況でも、デコードしたデータが既に不揮発性メモリ32に格納されているデータと同一内容となることが発生する。
なお、自動スキャン方式の場合でも、同一内容の要素ホログラムが複数記録されていれば、同一内容のデータが複数回復号されることは発生する。
【0051】
図7のステップF105で復号データが不揮発性メモリ32に格納されているデータと同一内容であると判断され、ステップF107に進むと、ミキシングストラテジ処理部28により、両復号データの比較処理が行われる。
即ち、ミキシングストラテジ処理部28は、今回ステップF104で復号部25で復号されたデータにおけるエラー訂正数と、同じデータブロック番号のデータとして不揮発性メモリ32に記憶されているデータを復号した際のエラー訂正数を比較するなどの処理により、両復号データにおいてどちらが高品質のデータとなっているかを判断する。
そして、ステップF108では、上記判断により高品質として選択した方の復号データが、当該データブロック番号のデータとして不揮発性メモリ32に保存されるようにする。
即ち、不揮発性メモリ32に記憶されたデータの方がエラー訂正数が少なく、高品質であると判断した場合は、今回の復号データは破棄する。
一方、今回復号したデータの方がエラー訂正数が少なく、高品質であると判断した場合は、不揮発性メモリ32に上書き記憶させ、不揮発性メモリ32上でデータを書き換える。
以上の処理を経てステップF109に進む。
なお、両復号データの品質の比較は、エラー訂正数の比較以外の手法で行っても良い。
【0052】
ステップF109でホログラムメモリ3の読取完了と判断されたら、ステップF110に進み、システムコントローラ51は発光駆動部14に指示して参照光光源16をオフとさせる。
そしてステップF111では、メモリコントローラ21に指示して、不揮発性メモリ32に格納された読出データを再構築させる。即ちこの時点で所定量のデータ、即ち元々の記録データを構成する必要量のデータブロックのデータが不揮発性メモリ32に格納されているため、各データブロックをブロック番号順に並べ、再生データを生成する。例えばコンテンツデータとしての再生データを生成する。この再生データは、その後例えば外部インターフェース41から外部機器100に出力され、ユーザーは、外部機器100において再生データを使用することができる。
【0053】
[4.実施の形態の効果]

以上の実施の形態においては次のような効果を得ることができる。
本例のホログラムリーダ6は、ホログラムメモリ3上の要素ホログラムから読み取った二次元画像を復号し、復号データを不揮発性メモリ32に記憶していくが、不揮発性メモリ32に記憶されている復号データと同一のデータ内容の復号データが得られた場合には、その2つの復号データの品質を比較し、選択した方の復号データが不揮発性メモリ32に記憶される状態とする。このため、不揮発性メモリ32には、よりよい品質の復号データが保存されていく状態となり、結果として品質のよい再生データを再構築することができる。
特に手動スキャンの場合、同じデータ内容の要素ホログラムが読み込まれることが発生するのは或る程度やむを得ないが、上記動作は、そのような場合の復号データを無駄にしないことで、再生データの高品質化に役立てるものであるといえる。
【0054】
また本例では、情報用メモリ手段に記憶された二次元画像に対して幾何歪み補正、光学補正等のための補正変数を算出し、補正変数を変数用メモリ26に記憶する。そして二値化部24で二値化を行う際に、変数用メモリ26に記憶されている補正変数に基づいて処理を行うことで、結果的に幾何歪み補正、光学補正がなされた状態での情報再生を実現する。この場合、情報用メモリ31に記憶されている二次元画像に対して直接幾何歪み補正、光学補正等の補正処理を順次行うものではないため、補正処理した二次元画像についての情報用メモリ31への書込も発生しない。従って、幾何歪み補正、光学歪み補正を順次実行する場合に必要な情報用メモリ31に対するアクセス処理負担、及びそれによる処理時間負担を解消でき、再生処理の効率化を実現できる。
さらに、二値化処理を実行するまで二次元画像自体に対する補正処理を行わないことは、補正に伴う演算誤差の抑圧という利点も得られる。
【0055】
また、要素ホログラムから読み出し、復号したデータは不揮発性メモリ32に蓄積されていき、最終的に各要素ホログラムからの再生データが不揮発性メモリ32上で再構築されてコンテンツデータ等の再生データが形成される。これはホログラムメモリ3上の要素ホログラムを任意の順番に読み出しても良いことを意味する。従って、図4,図5で説明した手動スキャンによって順不同に要素ホログラムを読み出すシステムとして好適である。またカメラ制御機構部13によってスキャン位置を可変制御していくときも、その可変制御動作の自由度を高めることができる。
【0056】
以上実施の形態を説明してきたが、実施の形態で述べたホログラムリーダ6の構成や処理手順はあくまで一例であり、本発明としてはその要旨の範囲内で多様な変形例が想定される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態のホログラムメモリの記録再生の説明図である。
【図2】実施の形態のホログラムメモリの要素ホログラムの説明図である。
【図3】実施の形態の要素ホログラムの二次元画像の説明図である。
【図4】実施の形態のホログラムリーダの手動スキャン動作例の説明図である。
【図5】実施の形態のホログラムリーダの手動スキャン動作例の説明図である。
【図6】実施の形態のホログラムリーダのブロック図である。
【図7】実施の形態のホログラムリーダの再生処理のフローチャートである。
【図8】実施の形態の同一要素ホログラムが読み込まれる場合の説明図である。
【図9】実施の形態の同一内容の要素ホログラムが読み込まれる場合の説明図である。
【符号の説明】
【0058】
3 ホログラムメモリ、6 ホログラムリーダ、10 撮像部、12 撮像素子部、15 ホログラムスキャン制御部、20 信号処理部、21 メモリコントローラ、22 光学補正変数算出部、23 幾何歪み補正変数算出部、24 二値化部、25 復号部、26 変数用メモリ、28 ミキシングストラテジ処理部、30 メモリ部、31 情報用メモリ、32 不揮発性メモリ、40 外部機器IF部、41 外部機器インターフェース、51 システムコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を二次元画像化し、二次元画像化された情報の物体光と記録用参照光とを干渉させ、干渉縞によって上記情報が要素ホログラムとして記録されるホログラム記録媒体から、情報を再生するホログラム再生装置として、
上記ホログラム記録媒体に再生用参照光を照射するとともに、上記ホログラム記録媒体の要素ホログラムからの再生像光としてあらわれる二次元画像を撮像する撮像手段と、
上記撮像手段で得られた二次元画像に対して復号処理を行う復号手段と、
上記復号手段で得られた復号情報を記憶する記憶手段と、
上記記憶手段に記憶されている復号情報と同一のデータ内容の復号情報が、上記復号手段で得られた場合に、当該2つの復号情報の品質を比較し、比較結果により選択した方の復号情報が上記記憶手段に記憶される状態とする復号情報選択手段と、
を備えることを特徴とするホログラム再生装置。
【請求項2】
上記復号情報選択手段は、同一データ内容の上記2つの復号情報の品質として、上記復号手段での復号処理過程におけるエラー訂正数を比較することを特徴とする請求項1に記載のホログラム再生装置。
【請求項3】
情報を二次元画像化し、二次元画像化された情報の物体光と記録用参照光とを干渉させ、干渉縞によって上記情報が要素ホログラムとして記録されるホログラム記録媒体から、情報を再生するホログラム再生方法として、
上記ホログラム記録媒体に再生用参照光を照射するとともに、上記ホログラム記録媒体の要素ホログラムからの再生像光としてあらわれる二次元画像を撮像する撮像ステップと、
上記撮像ステップで得られた二次元画像に対して復号処理を行う復号ステップと、
上記復号ステップで得られた復号情報を記憶手段に記憶する記憶ステップと、
上記記憶手段に記憶されている復号情報と同一のデータ内容の復号情報が、上記復号ステップで得られた場合に、当該2つの復号情報の品質を比較し、比較結果により選択した方の復号情報が上記記憶手段に記憶される状態とする復号情報選択ステップと、
を備えることを特徴とするホログラム再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−115385(P2007−115385A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181423(P2006−181423)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】