説明

ホースアセンブリー

本発明は、複数の電流導通リード(25、44)を有し、上記リード(25、44)がアルミニウム線を含み、上記電流導通リード(25、44)がチャネルに収容されるように構成され、かつ溶接ワイヤ(6、21)を案内するためのチャネル(5、22)を有する、アーク溶接または切断トーチ用のホースアセンブリー(1)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電流導通リードを有し、リードがアルミニウム線を含み、電流導通リードがチャネルに収容され、かつ溶接ワイヤを案内するためのチャネルを有する、アーク溶接または切断トーチ用のホースアセンブリーに関する。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接および切断トーチは、先行技術で昔から知られている。このタイプの溶接および切断トーチは、手動および自動溶接用に具現化することができる。手動用の大半のアーク溶接および切断トーチはベースおよびハンドピースを含み、それらはホースアセンブリーを介して相互に接続される。手動アーク溶接および切断トーチでは、ハンドピースが可能な限り自由に移動可能であることが不可欠である。したがってそのための材料は、曲げおよび捩り応力の下で特に優れた逆疲労強度を持たなければならない。
【0003】
自動溶接用のアーク溶接および切断トーチはしばしば、溶接される領域まで上昇する可動ロボットアームを含むロボットとして構成される。そのような場合、ホースアセンブリーはベースとアクチュエータとの間に設けられる。自動溶接では、ロボットアームはしばしば高加速度で動作し、それは溶接速度を高める。ホースは特定の限度内で自在に揺動し、したがって高い機械的応力にさらされる。
【0004】
溶接は高レベルの電力を必要とし、それをベースからハンドピースへ電源ケーブルを介して輸送しなければならない。従来技術では、アーク溶接および切断トーチ用の電源ケーブルには、その高い導電率ゆえに、銅だけが使用される。銅の別の性質はその高い熱伝導率であり、それは抵抗の結果発生する熱を迅速に運び去ることを可能にする。銅はまた、機械的性質に関する必要な要件をも満たす。従来技術では、電源ケーブルは通例、撚線として構成される。
【0005】
また、導電体はあらゆるタイプの金属から製造できることも当分野で公知である。
【0006】
冒頭に記載した特徴的性質を有するホースアセンブリーは、独国特許第1515145A号からも公知である。溶接ワイヤを案内するために、溶接ケーブルは、完全に平滑な内壁を有する可撓性合成材料製のシースを含む。このシースは、電流を導通させるための銅線またはアルミニウム線の螺旋巻回束によって取り囲まれる。線束は1層のゴムによって外側を被包される。引張応力に対してケーブルを強化するために、導体は鋼編組内に被包することができる。
【0007】
独国実用新案第8509258U1号は、電流導通リードの一部分がアルミニウムから作られ、電流導通リードの別の部分は銅から作られる溶接ケーブルを開示している。この場合、内部導体はアルミニウムから作られ、外部導体は内部導体上に巻き付けられた銅から作られる。
【0008】
現在ホースアセンブリーに使用されている銅の導電体は、ホースアセンブリーの総重量の2/3を占め、そのため長時間にわたるホースアセンブリーの取扱いが疲労をもたらし得るという不利点を有する。自動溶接に使用されるホースアセンブリーに掛かる応力もまた、ホースアセンブリーの慣性質量と共に増大する。
【0009】
独国特許第2052462B2号、独国特許第2112452A号、米国特許第2006/0102368A1号、米国特許第6178623B1号、および米国特許第3926573号は、アルミニウム芯を有し、その上に銅層が直接または間接的に外シースとして施用される、導体を記載している。
【0010】
独国実用新案第8509258U1号は、アルミニウムおよび銅のような2種類の導体材料から構成され、銅のような高い導電率値、密度、および破壊荷重を有する単一導体が、アルミニウムのような低い導電率値、密度、および破壊荷重を有する導体上に撚り合わされる溶接ケーブルに関する。
【0011】
独国特許第2409322A1号は、不活性ガス溶接技術に通例使用される別個の要素およびリードを収容するように構成された、ゴム状可撓性で任意選択的に耐火性の材料から作られる管状部片であって、複数の別個のチャネルを有する管状部片を開示している。
【0012】
欧州特許第0076390A1号もまた、可融性ワイヤ電極を使用する不活性ガス溶接用の装置を記載している。この場合、溶接電流リードと、制御リードと、不活性ガスを導通させる環状間隙とを含む、同軸構造のホースアセンブリーが提供される。ワイヤ電極は、ガス不透過性の可撓性シースの内側にホースアセンブリーの中心に配置される。
【0013】
独国特許第880636U1号は、不活性ガスアーク溶接用のトーチを、電源ケーブルと、不活性ガスラインと、冷却水取水ラインと、冷却水戻りラインと、スイッチケーブルとから構成されるホースアセンブリーに接続するための装置であって、トーチに対面するホースアセンブリーの端部が、トーチ用の電流/水ケーブルと電源ケーブルおよび冷却水取水ラインのための継手ならびにトーチ用の割り当てられたリードと不活性ガスラインおよび他の冷却水ラインのための継手を収納するハウジング内に開口し、スイッチケーブルのための継手もハウジングに収容される、装置を開示している。
【0014】
DIN EN 60228(2005年9月)は、ケーブルおよび絶縁リード用の導体に関し、電力系統用のケーブルの導体および絶縁導体の公称断面を画成する。それはまた、ワイヤの数および寸法の要件ならびに抵抗値の要件をも含む。導体は、恒久的設置用の銅、アルミニウム、およびアルミニウム合金から作られた単線および多線導体、ならびに可撓性銅導体を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、従来技術で公知の銅ケーブルを含むホースアセンブリーより実質的に軽量であるが、特に捩り応力または曲げ応力に関して比較的有利な機械的性質を有する、アーク溶接および切断トーチ用のホースアセンブリーを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本目的は、請求項1に記載のホースアセンブリーにより達成される。有利な実施形態を従属請求項に記載する。
【0017】
ホースアセンブリーにおける電流導通リードとしての銅被覆アルミニウム線の使用は、アセンブリーの重量を低減しながら、同時に導体と接続部との間の遷移点における高温の発生を排除するという利点を有する。これはおそらく、アルミニウム線上に銅を使用するため、アルミニウムとそれぞれの接続部との間の本質的に高い遷移抵抗が実質的に低減されるという事実に起因し、こうして従来の銅導体を使用する場合と比較して、重量の低減が達成されるが、導電体の電気的および機械的性質は大部分が維持される。この場合、複数の電流導通リードは中心チャネルの周りに同軸配置される。これは、ホースアセンブリーが実行する複数の機能を、より少数の個々独立のホースと結合することを可能にする。これはまた、例えば中心チャネルを使用して冷却媒体を搬送する場合、相乗効果を達成することをも可能にする。その場合、熱を発生する電流導通リードは、同時に冷却媒体によって能動的に冷却することができる。また、溶接ワイヤを案内するためのチャネルも設けられる。これは、比較的大量の溶接ワイヤを溶接ユニットのベースステーションに格納し、かつホースアセンブリーを介して溶接ワイヤを必要に応じてハンドピースまで案内することを可能にする。電流導通リードのためのチャネルもまた設けられる。特に同軸アセンブリーでは、例えば電流導通リードの電位が、ホースアセンブリー内を輸送される溶接ワイヤの電位とは異なるため、ホースによって実行される個別機能を空間的に分離することが必要になることがあり得る。さらに、全てのチャネルは同軸配置される。これは、既存の空間の最も効率的な使用を可能にし、より小さい直径のホースアセンブリーを作り出し、結果的に取扱いがより容易になる。電流導通リードを収納するチャネルは媒体を導通させるためのチャネルを包囲し、媒体を導通させるためのチャネルは溶接ワイヤを案内するためのチャネルを包囲する。こうして媒体チャネルは、溶接ワイヤチャネルおよび電流導通リードを収納するチャネルを同時に冷却するために使用することができる。
【0018】
言うまでもなく、本発明の1つの好ましい実施形態では、各電流導体の全ての電流導通リードは銅被覆アルミニウム線として具現化される。この場合、個々独立の導体は個々独立の素線、撚線等の形で具現化することができる。
【0019】
また、本発明のホースアセンブリーにおける銅被覆アルミニウム線の使用は、費用効率がずっと高いことも明らかになった。これは、簡素化された伸線プロセスで加工が実質的に簡素化されたためである。
【0020】
ホースアセンブリーのコネクタは、圧着接続を介して単数または複数の電流導通リードに接続することができる。
【0021】
しかし、1つの好ましい変形例は、銅被覆アルミニウム線の電流導通リードを超音波溶接によってホースアセンブリーコネクタに接続することを要求する。その場合、ホースアセンブリーの電流導通リードの外側撚線は、銅スリーブで直接閉止ことができる。この接続方法は、遷移抵抗が低く、したがって遷移点における温度上昇も低いという利点を有する。この超音波溶接プロセスは、アルミニウム線およびそれらの外シース上に1層の銅層を有するアルミニウム線の両方で使用することができる。超音波溶接プロセスは、接続またはスリーブの強度を圧着接続の強度よりかなり増大させることも明らかになった。銅スリーブおよび鉄鋼スリーブの両方をコネクタとして使用することができる。
【0022】
アルミニウム線の銅被膜は好都合にも厚さ1〜100μmである。この寸法は、最低可能な遷移抵抗でその重量を最小化するという意味において、銅被覆アルミニウム線の最適化を確実にする。
【0023】
また、ホースアセンブリーでは、撚線の個々独立の素線がアルミニウムを包含する撚線として構成された電流導通リードは、アーク溶接および切断トーチで使用するための要件を満たす。
【0024】
本発明に係るホースアセンブリーは、銅リードのホースアセンブリーより実質的に軽量であり、したがって取扱いがより容易であるという利点を有する。伝導に必要なアルミニウムの所用増大量にもかかわらず、アルミニウム撚線を用いて作成されたホースアセンブリーの総重量は、従来のホースアセンブリーの総重量より実質的に低い。
【0025】
本発明のホースアセンブリーは、アルミニウムケーブルの好ましくない伝導特性のため、かつそれらの曲げおよび断線性のため、アルミニウムケーブルをホースアセンブリーに使用すべきではないという、当業者が持っていた長年の先入観を克服する。
【0026】
アルミニウムリードを個々独立の素線が比較的細い撚線として構成することにより、個々独立の素線に働く曲げおよび捩り応力は、より大きい断面積を有する素線の場合より低くなる。
【0027】
個々独立の素線では、A199〜A199.9の純度を有する純アルミニウムが、特によく適することが立証された。しかし、アルミニウム合金を使用してもよい。
【0028】
銅被覆アルミニウムまたはアルミニウム含有合金から作られた個々独立の素線および銅または銅含有合金から作られた個々独立の素線を含む、少なくとも1つの複合リードを設けることは有利である。驚くべきことに、このタイプの複合リードはリードからの熱の除去を実質的に改善し、ホースアセンブリーの総コストが純銅リードと比較してずっと有利になることが明らかになった。
【0029】
リードは、芯ストランドの周りに配された少なくとも4本の個々独立の撚線を有することが有利である。このタイプの構造を有するリードは、リード断面積が大きくても柔軟性が非常に高い。
【0030】
各個々独立の撚線および/または芯ストランドは20本の個々独立の素線から作られることが有利である。これはその可撓性をさらに高め、ケーブル断線のリスクを低減する。
【0031】
本発明の1つの有利な実施形態では、個々独立の素線は0.05mm〜0.5mmの直径を有する。0.15mmの直径は特に好ましい。これらのような個々独立の素線の直径は、必要な伝導パラメータの達成を可能にする。
【0032】
電流導通リード、特に電流導通撚線を中心チャネルの周りに螺旋状にまたは渦巻状に巻回することが特に有利である。ホースアセンブリーにおいて電流導通リードまたは撚線は中心チャネルの周りに、好ましくはその外側に、渦巻状または螺旋状に延在するので、ホースアセンブリーが屈曲、伸張、圧迫、または捩転されたときに電流導通リードに働く曲げ応力は分散される。特に、中心チャネルの周りにリードまたは撚線を撚合することにより、電流導通リードまたは撚線の最小曲率半径の範囲でホースアセンブリーに掛かる応力を解放する。
【0033】
撚線の撚りの長さは15mm〜200mmであることが有利であり、40mm〜60mmが特に好ましい。そのような撚りは、ホースアセンブリーの機械的性質を改善する。
【0034】
少なくとも1つの追加的制御電流リードを設けることが有利である。これは、ハンドピースを用いて溶接装置の機能を容易に制御することを可能にする。
【0035】
少なくとも2つの電流導通リードと共に、媒体を導通させるための少なくとも2つのチャネルを設けることは特に有利である。上述した事例と同様に、媒体導通リードおよび電流導通リードの組合せは電流導通の効率に関してプラス効果を生み出す。電流導通リードと共に少なくとも2つのチャネルを設け、そこで電流導通リードを中心に配置してその周りを媒体が直接流動することができるようにすることにより、リードの表面、したがってリードが放出する熱の量が増大する。さらに、リードの可撓性を維持しながら、リードの断面積を増大させることができる。これにより、ホースアセンブリーを介して伝導することのできる総電力を増大させることが可能になる。
【0036】
ポリマはチャネルのための適切な媒体であることが立証された。ポリマは最大幅の範囲の要件を満たすことができ、長期使用に有効であることが立証された。
【0037】
媒体は気体または液体で構成されることが好ましい。媒体は、不活性ガス溶接で使用される不活性ガスのようなプロセスガス、または例えばハンドピースを冷却するための液体とすることができる。
【0038】
電流導通リードは、圧着接続を介して電流導通リードに接続されるコネクタを一端に有することが有利である。驚くべきことに、このタイプの圧着接続は、電流導通リードとコネクタとの間に、長期にわたって信頼できる確実な接続を形成することが明らかになった。
【0039】
代替的に、または追加的に、電流導通リードは超音波を介してコネクタまたは素線端スリーブに溶接することが可能である。銅被覆アルミニウム線は、圧着接続を介してだけでなく、超音波溶接を介しても、コネクタに確実に接続することができることが明らかになった。後者(超音波溶接)の場合、結果的によりよく接合することのできる準同様の物質が接続面に得られる。
【0040】
本発明のさらなる目標、利点、特徴的性質、および潜在的用途は、図面の組に関連する幾つかの例示的実施形態についての以下の説明に含まれる。記載および/または図示する全ての特徴は、それらが請求項または以前の請求項への参照内でどのように組合されるかに関係なく、単独でまたは任意の論理的組合せで本発明の対象物を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るホースアセンブリーの断面図である。
【図2】本発明に係るホースアセンブリーの代替的実施形態の断面図である。
【図3】本発明に係るいわゆる電流/水ケーブルの実施形態である。
【図4】本発明に係る電流ケーブルの縦断面図である。
【図5】図4のケーブルの線A―Aに沿った断面図である。
【図6】撚線の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、例えばアーク溶接または切断トーチで使用されるような、本発明に係るホースアセンブリー1の略図である。ここで選択された例示的実施形態では、ホースアセンブリー1は、外ホース2の内部で幾つかの個々独立のホースを一体に組合せ、個々独立のホースを溶接装置のベース(図示せず)からハンドピース(これもここでは図示せず)まで、または自動溶接装置のベースからアクチュエータまで案内する。
【0043】
ホースアセンブリー1は冷却媒体吸込ホース3を有し、その内部で冷却媒体がベースからハンドピースまたはアクチュエータまで搬送される。またプロセスガスホース4も設けられ、その内側をプロセスガスが流動して不活性ガス雰囲気を形成する。ワイヤ案内ホース5も設けられ、それはワイヤ案内ホース5内に設けられた渦巻状ワイヤガイド7の内側で溶接ワイヤ6を輸送する。また制御リード8も設けられ、それを介して制御信号がハンドピースまたはアクチュエータからベースに伝達される。
【0044】
いわゆる電流/水ケーブル9も設けられる。電流/水ケーブル9のホース10の内側に電流導通リード11が設けられ、それについて以下でさらに詳しく説明する。ホース10と電流導通リード11との間に、冷却媒体戻りのためのチャネル12が設けられる。これは、冷却媒体戻りにおける冷却媒体も、溶接に要求される高電力のために非常に熱くなる電流導通リード11を冷却することができるという利点をもたらす。
【0045】
ホースアセンブリー1の内側に追加リードを設けることができる。
【0046】
図2は、本発明に係るホースアセンブリー20の追加実施形態を示す。図2に示すホースアセンブリー20は、個々独立の要素の本質的に同軸の配列を有する。ホースアセンブリー20の内部では、溶接ワイヤ21が渦巻状ワイヤガイド22の内側で誘導される。渦巻状ワイヤガイド22を包囲して中間空間23が設けられ、それはプロセスガスを搬送するのに役立つ。ホース24は気密密閉を形成するために設けられる。ホース24は弾性プラスチックから作られる。電流導通リード25およびここに黒で示された制御リード26は、ホース24上に配置される。電流導通リード25は本発明に係る撚線構成を有し、それについては図5に関連してさらに詳細に規定する。ホースアセンブリー20は、全てのホースを包囲する外ホース27によって一体に保持される。外ホース27とホース24との間に環状チャネルが形成され、電流導通リード25および他のリードを保持する。ホースアセンブリー20は、種々の目的の追加的ホース、例えば冷却媒体ホース等がその中に設けられる、より大きいホースアセンブリーの一部とすることができる。電流導通リード25および44(図5)は中心チャネル23または41(図5)の周りに螺旋状に巻回される。したがって電流導通リードおよび撚線25、44はそれぞれ、ホースアセンブリーの断面の外側領域に配置される。この措置は、特にホースアセンブリーの最小曲率半径の領域で電流導通リード25、44に掛かる曲げ応力を分散させ、したがって低減させることを可能にする。
【0047】
図3は、図1の電流/水ケーブル9の拡大図を示す。
【0048】
電流/水ケーブル9は水密に具現化される外ホース30を含み、冷却媒体を搬送することを可能にする。水の代りに、従来技術で公知の任意の他の流体を冷却媒体として使用することができる。同軸配置では、電流導通リード11は電流/水ケーブル9の中心に配置される。
【0049】
電流導通リード11は、個々独立の素線32から構成される撚線として具現化される。撚線11の個々独立の素線32は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から作られる。A199〜A199.9の純度を有する純アルミニウムは、この目的に特に適することが立証された。これらの素線32は1層の銅層により被包または被覆され、それによって遷移抵抗を実質的に低減する。被膜の厚さは1から100μmの間である。
【0050】
個々独立の素線32は、0.1〜0.3mmの素線径を有する。約30本の個々独立の素線が単一撚線に束ねられ、最高100本までの個々独立の素線を含む撚線が、それらの弾性特性の観点から適切であることが立証された。そのような撚線の断面積は約10mmである一方、従来技術から公知の銅撚線は例えば6mmの断面積を有する。アルミニウムでは、最高約30mmまでの断面積が容易に可能である。撚線自体の撚りの長さは約60mmであるが、撚線断面積に応じて15mmから200mmの範囲とすることができる。
【0051】
いわゆる複合リードの場合、アルミニウムまたはアルミニウム合金から作られた銅被覆された個々独立の素線および銅または銅合金から作られた個々独立の素線を撚線に使用することもできる。
【0052】
ここに図示しないさらなる実施形態では、電流導通リード11は複数の撚線を持つことができ、そこでは芯線が設けられ、その周りに外側撚線31が配される。
【0053】
単一のホースアセンブリーに、図3に示した電流/水ケーブルを複数設けることが可能である。2つの電流/水ケーブルが特に好ましいことが立証されており、1つは冷却媒体を供給するために使用され、1つは冷却媒体を戻すために使用される。このようにして、電流導通リードを分割し、それによってホースアセンブリーの可撓性を高めながら、電流導通リードに対する冷却媒体の冷却力を改善することが可能である。このタイプのアセンブリーは従来技術で公知である。
【0054】
図4は、溶接装置のベースへの接続部35を持つ電源ケーブル40の縦断面図を示す。接続部35は、電源ケーブル40をベースに適切に整列した状態で接続するための六角ナット36を含む。リード40の端部を収容する線端スリーブ37およびフェルール38も設けられる。
【0055】
また、別個のプラグコネクタ39を介してベースに接続される、制御リード43も示される。制御リード43は、電源ケーブル40の端部領域の前で、電源ケーブル40の外シース46から外に延びる。ホース40の内部では、圧着接続が接続部35からリード40の対向端まで延びる中空領域41を形成し、それは堅く密閉される。領域41は気密および/または流体密とすることができる。
【0056】
図5は、電源ケーブル40の図4の切断線A―Aに沿った電源ケーブルの断面図を示す。その内側には領域41があり、それは冷却媒体またはプロセスガスのいずれかを導通させるために使用することができる。
【0057】
内側領域41はホース42によって密閉される。ホース42の外側には、様々な機能を有する複数のリードが配列される。溶接装置の機能を制御するための制御リード43は、密な斜線によって示される。これもまた撚線として具現化される電流導通リード44は、疎な斜線によって示される。領域45は特定の機能を割り当てられていない。領域45には、充填材または例えばプラスチックコードを充填することができる。リード43、44および領域45はホース46によって包囲される。
【0058】
図6は、図1および4の電流導通リード11の斜視図を示す。個々独立の素線32が芯線47に周回される。2分の1の撚りがここでは示されている。撚りdの長さ、すなわち個々独立の素線32が芯リード47の周りを完全に1周巻回する導通方向の長さは、60mmである。しかし、撚りの長さは、リード11の太さおよび個々独立の素線32の太さに応じて、20mmから120mmまで変えることができる。このようにして具現化されたリードは、多くのタイプの応力に耐えることができるという利点を有する。リード11は両方に捩転し、屈曲かつ伸張し、あるいは圧迫することができる。さらに、このようにして具現化されたリードの弾性は、同一リード断面を有する中実材料から作られたリードの場合より著しく大きい。
【符号の説明】
【0059】
1…ホースアセンブリー、2…外ホース、3…冷却媒体吸込ホース、4…プロセスガスホース、5…渦巻状ワイヤガイド、6…溶接ワイヤ、7…渦巻状ワイヤガイド、8…制御リード、9…電流/水ケーブル、10…ホース、11…電流導通リード、12…チャネル、20…ホースアセンブリー、21…溶接ワイヤ、22…渦巻状ワイヤガイド、23…チャネル、24…ホース、25…撚線、26…制御リード、27…外ホース、30…外ホース、32…個々独立の素線、35…接続部、36…六角ナット、37…線端スリーブ、38…フェルール、39…プラグコネクタ、40…電源ケーブル、41…領域、42…ホース、43…制御リード、44…電流導通リード、45…領域、46…ホース、47…芯線、d…撚線の撚り。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム線を含む複数の電流導通リード(25、44)を有し、前記電流導通リード(25、44)がチャネルに収容される、アーク溶接または切断トーチ用のホースアセンブリー(1)であって、溶接ワイヤ(6、21)を案内するためのチャネル(5、22)を有する、ホースアセンブリー(1)において、
前記電流導通リード(25、44)が媒体を導通させるための中心チャネル(23、41)の周りに同軸配置され、前記チャネルが全て同軸配置され、前記電流導通リード(25、44)のチャネルが前記媒体を導通させるためのチャネル(23、41)を包囲し、前記媒体を導通させるためのチャネル(23、41)が前記溶接ワイヤ(6、21)を案内するためのチャネル(22)を包囲し、前記リード(25、44)が1層の銅層から作られた外シースを具備することを特徴とするホースアセンブリー。
【請求項2】
前記銅層が1〜100μmの厚さであることを特徴とする、請求項1に記載のホースアセンブリー。
【請求項3】
1本のリード(25、44)が少なくとも1本の撚線(11、25、44)を有し、前記撚線の個々独立の素線(32)が銅被覆アルミニウム線から構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のホースアセンブリー。
【請求項4】
前記アルミニウム線がアルミニウムまたはアルミニウム合金から作られることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のホースアセンブリー。
【請求項5】
銅被覆アルミニウムまたはアルミニウム含有合金から作られた個々独立の素線(32)および銅または銅含有合金から作られた個々独立の素線を含む、少なくとも1本の複合リード(11、25、44)を設けることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のホースアセンブリー。
【請求項6】
前記電流導通リード(11、25、44)が、芯撚線の周りに配置された少なくとも4本の個々独立の撚線を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のホースアセンブリー。
【請求項7】
個々独立の各撚線(11、25、44)および/または各芯撚線が少なくとも20本の個々独立の素線(32)から構成されることを特徴とする、請求項6に記載のホースアセンブリー。
【請求項8】
前記個々独立の素線(32)が0.05mm〜0.5mm、好ましくは0.15mmの直径を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のホースアセンブリー。
【請求項9】
前記電流導通リード(25、44)、特に電流導通撚線が、中心チャネル(22、41)の周りに渦巻状または螺旋状に配置されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のホースアセンブリー。
【請求項10】
前記撚線(11、25、44)の撚り(d)の長さが15mm〜200mmの範囲、好ましくは40mm〜60mmの範囲であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のホースアセンブリー。
【請求項11】
少なくとも1本の追加制御リード(8、43)を設けることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のホースアセンブリー。
【請求項12】
媒体を導通させるために少なくとも2つのチャネル(3、4、12)を設け、かつ少なくとも2本の電流導通リード(25、44)を設けることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のホースアセンブリー。
【請求項13】
前記チャネル(12、23)がポリマによって相互に分離されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のホースアセンブリー。
【請求項14】
前記媒体が気体または流体であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のホースアセンブリー。
【請求項15】
前記電流導通リード(9、20、25、40、44)が一端に接続部(35)を有し、それが圧着接続を介して前記電流導通リード(9、20、25、40、44)に接続されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載のホースアセンブリー。
【請求項16】
前記電流導通リード(9、20、25、44)が超音波で接続部(35)または線端スリーブ(37)に溶接されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載のホースアセンブリー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−500332(P2011−500332A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530494(P2010−530494)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001685
【国際公開番号】WO2009/115208
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(504007925)アレクサンダー ビンツェル シュヴァイステヒニック ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. カーゲー (1)
【Fターム(参考)】