ホーム柵敷設用覆工板
【課題】覆工板の敷設、取り外し及び再敷設を容易とし、且つプラットフォームの端辺の形状に容易に対応できる覆工板を提供する。
【解決手段】ホーム柵敷設時に複数個配置されて工事個所の部分を覆うそれぞれの覆工板50であって、所定の長さと幅を有する矩形を成し、板面から、挿入される複数のボルトを有し、高さが異なる段差を有する基礎プレート53を覆う際に、前記複数のボルトを前記基礎プレートの最上面に突き当たるボルトの長さを基準とし、前記基礎プレート53の前記最上面の高さより低い段差面に対して、前記基準長さより長いボルト長さで、且つ先端にねじ結合されるボルトにより、高さ調整される。
【解決手段】ホーム柵敷設時に複数個配置されて工事個所の部分を覆うそれぞれの覆工板50であって、所定の長さと幅を有する矩形を成し、板面から、挿入される複数のボルトを有し、高さが異なる段差を有する基礎プレート53を覆う際に、前記複数のボルトを前記基礎プレートの最上面に突き当たるボルトの長さを基準とし、前記基礎プレート53の前記最上面の高さより低い段差面に対して、前記基準長さより長いボルト長さで、且つ先端にねじ結合されるボルトにより、高さ調整される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設のプラットホームにホーム柵を敷設する工事の際に設置されるホーム柵敷設用覆工板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、転落防止等の対策の一つとして、鉄道プラットホームに安全柵を敷設することが増加している。
【0003】
ここで、新たに線路を敷設する際に、同時にプラットホームに安全柵を設けることは容易である。しかし、既設の鉄道網における各駅のプラットホームに安全柵を設けることは、列車の運行が停止される夜間に工事を行うことが必要である。
【0004】
しかも、夜間であっても、せいぜい一日に2〜3時間が許容される工事期間となる。したがって、既設のプラットホームの表面を処置する工事を伴う場合は、列車が運行されている間は、乗降客の安全を確保するための対策が必要である。
【0005】
そのために、工事期間中で列車が運行されている間は、プラットホームの工事部分表面を覆うために覆工板が設けられる。
【0006】
かかる覆工板に関連する発明として、特許文献1〜3に示されるものがある。
【0007】
特許文献1に記載の発明は、覆工板の締結についての発明であって、覆工板に挿通したボルト下部に結合した締結プレートをナット締めして受け桁に取り付ける構成を提示している。
【0008】
特許文献2に記載の発明は、溶接を用いないで接合一体化する溝型部材を用いた覆工板用の板状パネルを提案している。
【0009】
特許文献3に記載の発明は、覆工板のばたつきを抑えることができる覆工板と受桁とを締結する締結治具を提示している。
【0010】
特許文献4には、複数の角型鋼管部材を同一平面上に並べ、隣り合う長手方向の側面同士を全面溶接して一体化する覆工板を提案している。
【特許文献1】特開2008−163687号公報
【特許文献2】特開2008−169620号公報
【特許文献3】特開2002−1239005号公報
【特許文献4】特開平9−296407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、上記の通り工事期間が夜間の短時間に限られることから、覆工板の敷設、取り外し及び再敷設を、工事完了までの期間において繰り返し行うことが必要であり、それに伴う作業は工数及び費用の点で無視できないものである。
【0012】
一方、既設のプラットホームを考慮すると、プラットホームの端辺は、線路に沿うために、必ずしも直線状に伸びている場合に限られない。かかる場合、一定形状の覆工板を複数個並べてプラットホームの工事部分を覆う際は、プラットホームの端辺の曲がりに沿うべく、隣接する覆工板の配置角度をずらしていくことが必要である。かかる場合、覆工板の形状を大きくすると、配置角度にともない非覆部分が大きくなり、乗降客の安全が損なわれることになる。
【0013】
かかる点から、本発明の目的は、覆工板の敷設、取り外し及び再敷設も容易とし、且つプラットホームの端辺の形状に容易に対応できる覆工板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成する覆工板は、第1の態様として複数個配置されて工事個所の部分を覆うそれぞれの覆工板であって、
所定の奥行と幅を有する矩形を成す板面と、前記板面から挿入される複数のボルトを有し、高さが異なる段差を有する基礎プレートを覆う際に、前記複数のボルトを前記基礎プレートの最上面に突き当たるボルトの長さを基準とし、前記基礎プレートの前記最上面の高さより低い段差面に対して、前記基準長さより長いボルト長さで、且つ先端にねじ結合されるボルトにより、高さ調整されることを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成する覆工板は、第2の態様として、コ字状の第1の部分覆工板と、I字状の第2の部分覆工板を有し、前記コ字状とI字状の部分覆工板を組み合わせて中央に窓部を有する矩形を成し、更に、前記窓部を覆う副覆工板を有することを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成する覆工板は、第3の態様において、L字状の一つの部分覆工板と、I字状の2つの部分覆工板を有し、前記L字状の一つの部分覆工板と、I字状の2つの部分覆工板を組み合わせて中央に窓部を有する矩形を成し、更に、前記窓部を覆う副覆工板を有することを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成する覆工板は、前記第1乃至第3の態様において、前記工事個所に配置される複数個の覆工板の隣接する覆工板間に、前記覆工板間の距離に対応する幅を有する調整板が固定されることを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成する覆工板は、前記第1乃至第3の態様において、前記工事個所は、既設の電車のレールに沿うプラットホームに安全柵を敷設する工事部分であって、前記覆工板のレール側の側面の下り幅が、前記レールと反対側の下り幅よりも大きく形成されていることを特徴とする。
【0019】
さらに、前記特徴において、前記プラットホームの曲がりに対応して、前記覆工板間に固定される調整板の両辺に角度を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明が適用される一実施例として、安全柵を既設のプラットホームに敷設する場合を説明する図である。
【図2】開閉制御部に対応する支柱を設けるための工事個所を示す図である。
【図3】安全柵及び開閉制御部をプラットホーム1上に敷設する際の、本発明に従う覆工板を用いた工事手順を説明する図である。
【図4】図3(A)、図3(B)の状態で使用される覆工板の構成を説明する図である。
【図5】図3(B)の状態で使用される際の覆工板の断面状態を示す図である。
【図6】図3(C)の状態に使用される覆工板を説明する図である。
【図7A】支柱の施工までの手順の第1工程を示す図である。
【図7B】支柱の施工までの手順の第2工程を示す図である。
【図7C】支柱の施工までの手順の第3工程を示す図である。
【図7D】支柱の施工までの手順の第4工程を示す図である。
【図7E】支柱の施工までの手順の第5工程を示す図である。
【図7F】支柱の施工までの手順の第6工程を示す図である。
【図8】基礎プレート上に支柱を敷設し、支柱の周囲にコンクリートを打って固められた状態まで進んだ工事の状態を示す平面図である。
【図9】支柱との隙間を埋めるためのスライド調整板を説明する平面図である。
【図10】二つのスライド調整板と、スライド調整副板の対応関係を理解容易に示す模式図である。
【図11】スライド調整板とスライド調整副板の詳細構成例を示す斜視図である。
【図12】支柱の設置の際に配置角度を有する場合のスライド調整副板のスライド調整を説明する図である。
【図13】覆工板が配置される間隔は、一定ではない状態例を説明する図である。
【図14】プラットホームの形態に対応して用意される調整板の構成例である。
【図15】副覆工板の構成例を示す図である。
【図16】図5に示す実施例と同様に覆工板の断面状態を示し、調整板を設けない構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を説明する。なお、以下の実施例では、本発明に従う覆工板を利用する工事として既設プラットホームに安全柵の設置を行う例を示すが、本発明の適用はかかる安全柵の設置の場合に限定されず、本発明の保護の範囲は、かかる実施例に限定されるものではない。
【0022】
図1は、本発明が適用される一実施例として、安全柵を既設のプラットホームに敷設する場合を説明する図であり、電車の通行するレール側から見たプラットホームの端部の摸式図である。
【0023】
プラットホーム1上の端辺に沿って安全柵2の開閉を制御し、安全柵2を開く際に、安全柵2の一部を収納する開閉制御部3が敷設される。4は、プラットホーム1の端部から所定距離の位置に、プラットホーム1の端辺に沿って設けられる安全位置の境界を示すエンボス部である。
【0024】
図1において、開閉制御部3は、その下部に埋め込まれる支柱で支持されている。したがって、安全柵2を既設のプラットホームに敷設する場合は、かかる開閉制御部3を支える支柱や、制御のための電力及び信号ケーブル等を引き出すための接続部の敷設工事が必要である。
【0025】
図2は、かかる開閉制御部3に対応する支柱を設けるための工事個所5Aを示す図である。図において、開閉制御部3及び、安全柵2は破線で示している。それぞれの開閉制御部3の下部に、実施例として2つの支柱5を設ける工事個所5Aが位置している。
【0026】
図3は、かかる安全柵2及び開閉制御部3をプラットホーム1上に敷設する際の、本発明に従う覆工板を用いた工事手順を説明する図である。
【0027】
図3において、図面の下方向に向かう側が、電車の通行するレール側である。
【0028】
既設のプラットホーム1上の工事が必要となる、線路に沿うプラットホーム端辺部を所定量切削除し、切削された部分を本発明に従う覆工板で覆う。夜間の工事可能の期間に、覆工板が外されて工事が行われる。さらに、電車が運行される時間帯は、安全のために再び工事個所は、覆工板で覆われるという手順が工事完了まで繰返される。
【0029】
図3(A)は、かかる工事個所が覆工板50で覆われた状態を示している。隣接する覆工板50との間は、調整板51で覆われている。覆工板50により、開閉制御部3の支柱5が設けられる工事部分と、支柱5が設けられる工事部分以外で信号線等の接続部が形成される工事部分を覆うことができる。
【0030】
工事が進むと、開閉制御部3の支柱5の敷設位置に基礎プレート53が形成される。その工事状態を覆う様子が図3(B)に示される。
【0031】
図3(B)において開閉制御部3の支柱5の敷設位置に形成された基礎プレート53の領域を覆う覆工板50は、図3(A)と同じものが使用される。ただし、後に説明するように、基礎プレート53の高さに対応するように、ボルトによる高さ調整が行われる。
【0032】
次いで、基礎プレート53の領域に開閉制御部3の支柱5の敷設が完了した状態では、図3(C)に示すように、開閉制御部3の支柱5に対応した窓部52Aを有する覆工板50Aが用いられる。
【0033】
図4は、 図3(A)、図3(B)の状態で使用される覆工板50の構成を説明する図である。図において、(A)は平面図、(B)はA−A線に沿う断面図、(C)はB−B線に沿う断面図である。さらに、矢印Dの方向が、線路側となる。
【0034】
覆工板50の両端辺は、コ字状に折り曲げられ、調整板51の曲折端辺51Aと、ボルト51Bにより結合される。さらに、断面(C)に示すように、覆工板50のレール側の端辺の下がり幅510は、レール側と反対側の端辺の下がり幅511より大きく形成されている。これは、列車通行時の風が、覆工板50の下側に流れ込むのを防ぐためである。
【0035】
図5は、図3(B)の状態で使用される際の覆工板50の断面状態を示す図である。図5において、(A)は、図4のA−A線に沿う断面に相当し、(B)は、図4のB−B線に沿う断面に相当する。
【0036】
図3(B)の状態では、基礎プレート53は、二段に形成されている。すなわち、図5に示すように、プラットホーム1上に形成された基礎プレート53は、ボルト53Aでプラットホーム1上に固定され、高さh0の部分とそれより大きい高さh1の部分を有している。したがって、覆工板50と基礎プレート53の間の距離は一律ではない。
【0037】
これに対応するべく、図5に示すように、長さの異なる2種のボルト500,501を用いている。すなわち、短いボルト500の長さを、基礎プレート53の高さh1の上面に当接するように設定している。
【0038】
一方、基礎プレート53の高さh0の上面に対しては、ボルト500より長いボルト501の先端部に高さ調整用のナット502をねじ結合して用いられる。すなわち、ボルト501のねじ部と係合するナット502をねじ回転して容易に高さを調整可能にしている。かかるナット502の高さ調整により、基礎プレート53の高さh0の上面にボルト501が当接するように設定している。
【0039】
図5において、実施例として覆工板50と、覆工板50の長手方向の両脇に配置された調整板51との結合は、ボルト51B(図4、(B)参照)により調整板51の折曲端延辺51Aを覆工板50折曲端辺と結合することにより固定される。
【0040】
調整板51のプラットホーム1との固定は、プラットホーム1に埋め込んだナット521Aにボルト521をねじ止めして行われる。さらに、調整板51の裏面には複数の支持ピン520が固定され、調整板51の板面とプラットホーム表面の高さを保持している。
【0041】
さらに、覆工板50及び調整板51の固定のためのボルト500,501に対して、それらのねじ頭部が、表面に出ないように、覆工板50にボルト部に対応する位置に凹部が形成されている。
【0042】
図6は、図3(C)の状態に使用される覆工板50を説明する図である。そして、(A)は平面図、(B)は、A−A線に沿う断面図、(C)は、B−B線に沿う断面図である。覆工板50は、第一の副覆工板50A(A1、A2)と第二の副覆工板50Bで構成される。すなわち、第一の副覆工板50Aは、部分覆工板50A1、50A2に分割されている。
【0043】
部分覆工板50A1はコ字状を成し、50A2はI字状を成し、第二の副覆工板50Bは、部分覆工板50A1、50A2の曲折辺50A3により、中央の開閉制御部3の支柱5の施工位置を覆う様に蓋状に置かれ保持される。
【0044】
図7A〜7Fは、かかる覆工板50の敷設及び開閉制御部3の支柱5の施工までの手順を説明する図である。
【0045】
図7Aは、支柱5の施工までの手順の第1工程であり、覆工板50の配置される位置の両側に調整板51を配置する。なお、この調整板51の形態は、後に説明するように覆工板50の配置される位置及び角度に応じて、変更される。調整板51のプラットホーム1への固定は先に図5において説明したしたように、ボルト521により行われる。
【0046】
図7Bは、支柱5の施工までの手順の第2工程であり、上記両側に調整板51が配置された間の位置に、第一の副覆工板50Aの部分覆工板50A2が先に置かれる。次いで、第一の副覆工板50Aの部分覆工板50A1が、支柱5の施工までの手順の第3工程として図7Cに示すように、矢印方向に調整板51の間に挿入され、部分覆工板50A2の辺に当接するように配置される。
【0047】
さらに、開閉制御部3の支柱5が敷設されるまでの間は、支柱5の施工までの手順の第4工程として図7Dに示すように、第二の副覆工板50Bは、部分覆工板50A1及び50A2により形成された窓部に載置される。
【0048】
次いで、第二の副覆工板50Bを外した状態で支柱5の施工までの手順の第5工程として図7Eに示すように、基礎プレート53上に開閉制御部3の支柱5を敷設する。さらに、支柱5の施工までの手順の第61工程として図7Fに示すように、敷設された支柱5の周囲にコンクリート53Aを打って固める。
【0049】
この様に図7A〜図7Fの順で工事を進める。かかる工事の過程で、本発明の覆工板50の設置、取外しの作業の繰り返しを容易に行うことが可能である。
【0050】
図8は、基礎プレート53上に支柱5を敷設し、支柱5の周囲にコンクリート53Aを打って固められた状態まで進んだ工事の状態を示す平面図である。敷設された支柱5の周囲は、部分覆工板50A1及び50A2により囲われているが、窓部54において支柱5との間にコンクリート53Aが露出する隙間を有する。したがって、かかる隙間を覆う必要がある。
【0051】
図9は、かかる支柱5との隙間を埋めるためのスライド調整板を説明する平面図である。
【0052】
二つのスライド調整板550、551の外寸は、窓部54の大きさに対応している。二つのスライド調整板550、551は、それぞれ凹型をなし、スライド溝部552を有している。
【0053】
二つのスライド調整板550、551のそれぞれに対応してスライド調整副板550A,551Aが、下側に配置される。
【0054】
図10は、かかる二つのスライド調整板550、551と、スライド調整副板550A,551Aの対応関係を理解容易に示す模式図であり、図9のA−A線に沿う断面を、紙面左側即ち、矢印方向に見た状態を表している。図10において、容易に理解できるようにスライド調整副板550A,551Aは、それぞれスライド調整板550、551の下側にあって、矢印方向にスライドして、その立ち上がり端面550B,551Bを支柱5にできるだけ接近して対向するように調整し、固定される。また、553は、それぞれスライド調整板550,551の裏側に固定され、スライド調整板550,551を支持する支持柱である。
【0055】
図11は、更にスライド調整板550、551とスライド調整副板550A,551Aの詳細構成例を示す斜視図であり、左右対象で同様構成であるので、スライド調整板551とスライド調整副板551Aを例にして説明する。
【0056】
説明したように、スライド調整板551には、支持柱553が裏面に固定されている。したがって、対応するスライド調整副板551Aには、この支持柱553を避ける長穴554が設けられている。これにより、スライド調整副板551Aは、スライド調整板551にあって、支持柱553を避けてスライド可能である。
【0057】
一方、スライド調整板551には、対応するスライド調整副板551Aの所定位置に形成されているネジ穴と係合する止めネジ555に対してスライド可能に長穴552が形成されている。すなわち、スライド調整副板551Aの立ち上がり端面551Bと支柱5との間隔を調整するようにスライド調整副板551Aをスライドする。そして、止めネジ555によりスライド調整板551にスライド調整副板551Aが位置決め、固定される。
【0058】
このスライド調整板550,551に設けた長穴552及び、スライド調整副板550A、551Aに設けた長穴554により、スライド調整副板550A、551Aの立ち上がり端面と支持柱5との間隔の微調整が可能である。
【0059】
かかる微調整により、プラットホームが直線ではなく、支柱5の設置の際に配置角度を有する場合にも対応が可能である。
【0060】
図12は、かかる支柱5の設置の際に配置角度を有する場合のスライド調整副板550A、551Aのスライド調整を説明する図である。
【0061】
図12において、対向する二つのスライド調整板550,551により形成される窓部54内で支柱5が角度を有して配置されている。このような状態の時、スライド調整副板550A、551Aは、長穴552と554の存在により、支柱5の配置角度に対応するように傾けてスライドが可能である。このように傾けてスライドされた位置で、スライド調整副板550A、551Aを止めネジ552でスライド調整副板550A、551Aに固定することができる。
【0062】
ここで、上記したように工事期間以外においてプラットホーム1上を歩行する乗降客に支障をなくするために複数の覆工板50が配置される。そして、調整板51は、隣接する覆工板50間のプラットホームの露出面を埋めるために配置される。
【0063】
しかし、図13に見られるように、覆工板50が配置される間隔は、必ずしも一定ではない。
【0064】
(A)は、プラットホームが直線状に伸びている例であるが、(B)に示すようにプラットホームが曲がって形成されている例もある。
【0065】
したがって、かかる場合に対応するべく、調整板51をプラットホームの形態に対応して種々の形状を用いることにより、プラットホームの工事期間中の露出面を覆うことが可能である。
【0066】
図14は、かかるプラットホームの形態に対応して用意される調整板51の構成例である。
【0067】
図14において、(A)は、覆工板50が工事個所の端部に配置される場合の調整板51である。したがって、覆工板50の端部とのボルト結合が、調整板51の片側のみである。(B)は、調整板51の両側でそれぞれ隣接する覆工板50の端部とのボルト結合する構成例である。さらに、(C)の形態は、水平面に対して角度αを有する調整板51の形態であり、図13(B)に示すように、曲線のプラットホーム1の曲線の端辺に沿う部分を覆うために使用される。
【0068】
ここで、上記実施例において、覆工板50を、第1の副覆工板50A1,50A2と第2の副覆工板50Bで構成することを説明した(図6参照)。しかし、本発明はかかる覆工板50の形態に限られない。特に、図6に示す実施例では、第1の副覆工板を凹型の副覆工板50A1と、I型の副覆工板50A2で構成する例である。
【0069】
これに対して、図15に示す構成例の平面図は、第1の副覆工板を縦横二つのI字状の副覆工板501,502と一つのL字状の副覆工板503で構成している。図15で矢印方向Aが線路側である。また、図15における特徴は、I字型とL字型の組み合わせであるために、容易に第1の副覆工板501,502の取り外しがを容易である。さらに、第1の副覆工板501,502のそれぞれを個別に取り外しての工事も可能である。
【0070】
図16は、更に別の実施例であり、図5に示す実施例と同様に覆工板50の断面状態を示す図である。図16において、(A)は、図4のA−A線に沿う断面に相当し、(B)は、図4のB−B線に沿う断面に相当する。
【0071】
図5において、覆工板50の長手方向の両側に置かれている調整板51を置かずに、図16の実施例ではコンクリートで覆い、工事個所のみを覆工板50で覆うようにしている。かかる例は、隣接する覆工板50間の距離が他の箇所に対して短い場合、あるいは複雑な形状の場合に有利である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上述べたように、本発明の構成により、短い工事可能期間が繰り返される場合に、覆工板の敷設及び撤去の処理が容易であり、且つ工事対象の形状に容易に対応できる覆工板の提供が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 プラットホーム
2 安全柵(ドア)
3 開閉制御部
4 エンボス部
5 支柱
5A 工事個所
50、50A,50B 覆工板
50A1、50A2 部分覆工板
51 調整板
53 基礎プレート
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設のプラットホームにホーム柵を敷設する工事の際に設置されるホーム柵敷設用覆工板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、転落防止等の対策の一つとして、鉄道プラットホームに安全柵を敷設することが増加している。
【0003】
ここで、新たに線路を敷設する際に、同時にプラットホームに安全柵を設けることは容易である。しかし、既設の鉄道網における各駅のプラットホームに安全柵を設けることは、列車の運行が停止される夜間に工事を行うことが必要である。
【0004】
しかも、夜間であっても、せいぜい一日に2〜3時間が許容される工事期間となる。したがって、既設のプラットホームの表面を処置する工事を伴う場合は、列車が運行されている間は、乗降客の安全を確保するための対策が必要である。
【0005】
そのために、工事期間中で列車が運行されている間は、プラットホームの工事部分表面を覆うために覆工板が設けられる。
【0006】
かかる覆工板に関連する発明として、特許文献1〜3に示されるものがある。
【0007】
特許文献1に記載の発明は、覆工板の締結についての発明であって、覆工板に挿通したボルト下部に結合した締結プレートをナット締めして受け桁に取り付ける構成を提示している。
【0008】
特許文献2に記載の発明は、溶接を用いないで接合一体化する溝型部材を用いた覆工板用の板状パネルを提案している。
【0009】
特許文献3に記載の発明は、覆工板のばたつきを抑えることができる覆工板と受桁とを締結する締結治具を提示している。
【0010】
特許文献4には、複数の角型鋼管部材を同一平面上に並べ、隣り合う長手方向の側面同士を全面溶接して一体化する覆工板を提案している。
【特許文献1】特開2008−163687号公報
【特許文献2】特開2008−169620号公報
【特許文献3】特開2002−1239005号公報
【特許文献4】特開平9−296407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、上記の通り工事期間が夜間の短時間に限られることから、覆工板の敷設、取り外し及び再敷設を、工事完了までの期間において繰り返し行うことが必要であり、それに伴う作業は工数及び費用の点で無視できないものである。
【0012】
一方、既設のプラットホームを考慮すると、プラットホームの端辺は、線路に沿うために、必ずしも直線状に伸びている場合に限られない。かかる場合、一定形状の覆工板を複数個並べてプラットホームの工事部分を覆う際は、プラットホームの端辺の曲がりに沿うべく、隣接する覆工板の配置角度をずらしていくことが必要である。かかる場合、覆工板の形状を大きくすると、配置角度にともない非覆部分が大きくなり、乗降客の安全が損なわれることになる。
【0013】
かかる点から、本発明の目的は、覆工板の敷設、取り外し及び再敷設も容易とし、且つプラットホームの端辺の形状に容易に対応できる覆工板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成する覆工板は、第1の態様として複数個配置されて工事個所の部分を覆うそれぞれの覆工板であって、
所定の奥行と幅を有する矩形を成す板面と、前記板面から挿入される複数のボルトを有し、高さが異なる段差を有する基礎プレートを覆う際に、前記複数のボルトを前記基礎プレートの最上面に突き当たるボルトの長さを基準とし、前記基礎プレートの前記最上面の高さより低い段差面に対して、前記基準長さより長いボルト長さで、且つ先端にねじ結合されるボルトにより、高さ調整されることを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成する覆工板は、第2の態様として、コ字状の第1の部分覆工板と、I字状の第2の部分覆工板を有し、前記コ字状とI字状の部分覆工板を組み合わせて中央に窓部を有する矩形を成し、更に、前記窓部を覆う副覆工板を有することを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成する覆工板は、第3の態様において、L字状の一つの部分覆工板と、I字状の2つの部分覆工板を有し、前記L字状の一つの部分覆工板と、I字状の2つの部分覆工板を組み合わせて中央に窓部を有する矩形を成し、更に、前記窓部を覆う副覆工板を有することを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成する覆工板は、前記第1乃至第3の態様において、前記工事個所に配置される複数個の覆工板の隣接する覆工板間に、前記覆工板間の距離に対応する幅を有する調整板が固定されることを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成する覆工板は、前記第1乃至第3の態様において、前記工事個所は、既設の電車のレールに沿うプラットホームに安全柵を敷設する工事部分であって、前記覆工板のレール側の側面の下り幅が、前記レールと反対側の下り幅よりも大きく形成されていることを特徴とする。
【0019】
さらに、前記特徴において、前記プラットホームの曲がりに対応して、前記覆工板間に固定される調整板の両辺に角度を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明が適用される一実施例として、安全柵を既設のプラットホームに敷設する場合を説明する図である。
【図2】開閉制御部に対応する支柱を設けるための工事個所を示す図である。
【図3】安全柵及び開閉制御部をプラットホーム1上に敷設する際の、本発明に従う覆工板を用いた工事手順を説明する図である。
【図4】図3(A)、図3(B)の状態で使用される覆工板の構成を説明する図である。
【図5】図3(B)の状態で使用される際の覆工板の断面状態を示す図である。
【図6】図3(C)の状態に使用される覆工板を説明する図である。
【図7A】支柱の施工までの手順の第1工程を示す図である。
【図7B】支柱の施工までの手順の第2工程を示す図である。
【図7C】支柱の施工までの手順の第3工程を示す図である。
【図7D】支柱の施工までの手順の第4工程を示す図である。
【図7E】支柱の施工までの手順の第5工程を示す図である。
【図7F】支柱の施工までの手順の第6工程を示す図である。
【図8】基礎プレート上に支柱を敷設し、支柱の周囲にコンクリートを打って固められた状態まで進んだ工事の状態を示す平面図である。
【図9】支柱との隙間を埋めるためのスライド調整板を説明する平面図である。
【図10】二つのスライド調整板と、スライド調整副板の対応関係を理解容易に示す模式図である。
【図11】スライド調整板とスライド調整副板の詳細構成例を示す斜視図である。
【図12】支柱の設置の際に配置角度を有する場合のスライド調整副板のスライド調整を説明する図である。
【図13】覆工板が配置される間隔は、一定ではない状態例を説明する図である。
【図14】プラットホームの形態に対応して用意される調整板の構成例である。
【図15】副覆工板の構成例を示す図である。
【図16】図5に示す実施例と同様に覆工板の断面状態を示し、調整板を設けない構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を説明する。なお、以下の実施例では、本発明に従う覆工板を利用する工事として既設プラットホームに安全柵の設置を行う例を示すが、本発明の適用はかかる安全柵の設置の場合に限定されず、本発明の保護の範囲は、かかる実施例に限定されるものではない。
【0022】
図1は、本発明が適用される一実施例として、安全柵を既設のプラットホームに敷設する場合を説明する図であり、電車の通行するレール側から見たプラットホームの端部の摸式図である。
【0023】
プラットホーム1上の端辺に沿って安全柵2の開閉を制御し、安全柵2を開く際に、安全柵2の一部を収納する開閉制御部3が敷設される。4は、プラットホーム1の端部から所定距離の位置に、プラットホーム1の端辺に沿って設けられる安全位置の境界を示すエンボス部である。
【0024】
図1において、開閉制御部3は、その下部に埋め込まれる支柱で支持されている。したがって、安全柵2を既設のプラットホームに敷設する場合は、かかる開閉制御部3を支える支柱や、制御のための電力及び信号ケーブル等を引き出すための接続部の敷設工事が必要である。
【0025】
図2は、かかる開閉制御部3に対応する支柱を設けるための工事個所5Aを示す図である。図において、開閉制御部3及び、安全柵2は破線で示している。それぞれの開閉制御部3の下部に、実施例として2つの支柱5を設ける工事個所5Aが位置している。
【0026】
図3は、かかる安全柵2及び開閉制御部3をプラットホーム1上に敷設する際の、本発明に従う覆工板を用いた工事手順を説明する図である。
【0027】
図3において、図面の下方向に向かう側が、電車の通行するレール側である。
【0028】
既設のプラットホーム1上の工事が必要となる、線路に沿うプラットホーム端辺部を所定量切削除し、切削された部分を本発明に従う覆工板で覆う。夜間の工事可能の期間に、覆工板が外されて工事が行われる。さらに、電車が運行される時間帯は、安全のために再び工事個所は、覆工板で覆われるという手順が工事完了まで繰返される。
【0029】
図3(A)は、かかる工事個所が覆工板50で覆われた状態を示している。隣接する覆工板50との間は、調整板51で覆われている。覆工板50により、開閉制御部3の支柱5が設けられる工事部分と、支柱5が設けられる工事部分以外で信号線等の接続部が形成される工事部分を覆うことができる。
【0030】
工事が進むと、開閉制御部3の支柱5の敷設位置に基礎プレート53が形成される。その工事状態を覆う様子が図3(B)に示される。
【0031】
図3(B)において開閉制御部3の支柱5の敷設位置に形成された基礎プレート53の領域を覆う覆工板50は、図3(A)と同じものが使用される。ただし、後に説明するように、基礎プレート53の高さに対応するように、ボルトによる高さ調整が行われる。
【0032】
次いで、基礎プレート53の領域に開閉制御部3の支柱5の敷設が完了した状態では、図3(C)に示すように、開閉制御部3の支柱5に対応した窓部52Aを有する覆工板50Aが用いられる。
【0033】
図4は、 図3(A)、図3(B)の状態で使用される覆工板50の構成を説明する図である。図において、(A)は平面図、(B)はA−A線に沿う断面図、(C)はB−B線に沿う断面図である。さらに、矢印Dの方向が、線路側となる。
【0034】
覆工板50の両端辺は、コ字状に折り曲げられ、調整板51の曲折端辺51Aと、ボルト51Bにより結合される。さらに、断面(C)に示すように、覆工板50のレール側の端辺の下がり幅510は、レール側と反対側の端辺の下がり幅511より大きく形成されている。これは、列車通行時の風が、覆工板50の下側に流れ込むのを防ぐためである。
【0035】
図5は、図3(B)の状態で使用される際の覆工板50の断面状態を示す図である。図5において、(A)は、図4のA−A線に沿う断面に相当し、(B)は、図4のB−B線に沿う断面に相当する。
【0036】
図3(B)の状態では、基礎プレート53は、二段に形成されている。すなわち、図5に示すように、プラットホーム1上に形成された基礎プレート53は、ボルト53Aでプラットホーム1上に固定され、高さh0の部分とそれより大きい高さh1の部分を有している。したがって、覆工板50と基礎プレート53の間の距離は一律ではない。
【0037】
これに対応するべく、図5に示すように、長さの異なる2種のボルト500,501を用いている。すなわち、短いボルト500の長さを、基礎プレート53の高さh1の上面に当接するように設定している。
【0038】
一方、基礎プレート53の高さh0の上面に対しては、ボルト500より長いボルト501の先端部に高さ調整用のナット502をねじ結合して用いられる。すなわち、ボルト501のねじ部と係合するナット502をねじ回転して容易に高さを調整可能にしている。かかるナット502の高さ調整により、基礎プレート53の高さh0の上面にボルト501が当接するように設定している。
【0039】
図5において、実施例として覆工板50と、覆工板50の長手方向の両脇に配置された調整板51との結合は、ボルト51B(図4、(B)参照)により調整板51の折曲端延辺51Aを覆工板50折曲端辺と結合することにより固定される。
【0040】
調整板51のプラットホーム1との固定は、プラットホーム1に埋め込んだナット521Aにボルト521をねじ止めして行われる。さらに、調整板51の裏面には複数の支持ピン520が固定され、調整板51の板面とプラットホーム表面の高さを保持している。
【0041】
さらに、覆工板50及び調整板51の固定のためのボルト500,501に対して、それらのねじ頭部が、表面に出ないように、覆工板50にボルト部に対応する位置に凹部が形成されている。
【0042】
図6は、図3(C)の状態に使用される覆工板50を説明する図である。そして、(A)は平面図、(B)は、A−A線に沿う断面図、(C)は、B−B線に沿う断面図である。覆工板50は、第一の副覆工板50A(A1、A2)と第二の副覆工板50Bで構成される。すなわち、第一の副覆工板50Aは、部分覆工板50A1、50A2に分割されている。
【0043】
部分覆工板50A1はコ字状を成し、50A2はI字状を成し、第二の副覆工板50Bは、部分覆工板50A1、50A2の曲折辺50A3により、中央の開閉制御部3の支柱5の施工位置を覆う様に蓋状に置かれ保持される。
【0044】
図7A〜7Fは、かかる覆工板50の敷設及び開閉制御部3の支柱5の施工までの手順を説明する図である。
【0045】
図7Aは、支柱5の施工までの手順の第1工程であり、覆工板50の配置される位置の両側に調整板51を配置する。なお、この調整板51の形態は、後に説明するように覆工板50の配置される位置及び角度に応じて、変更される。調整板51のプラットホーム1への固定は先に図5において説明したしたように、ボルト521により行われる。
【0046】
図7Bは、支柱5の施工までの手順の第2工程であり、上記両側に調整板51が配置された間の位置に、第一の副覆工板50Aの部分覆工板50A2が先に置かれる。次いで、第一の副覆工板50Aの部分覆工板50A1が、支柱5の施工までの手順の第3工程として図7Cに示すように、矢印方向に調整板51の間に挿入され、部分覆工板50A2の辺に当接するように配置される。
【0047】
さらに、開閉制御部3の支柱5が敷設されるまでの間は、支柱5の施工までの手順の第4工程として図7Dに示すように、第二の副覆工板50Bは、部分覆工板50A1及び50A2により形成された窓部に載置される。
【0048】
次いで、第二の副覆工板50Bを外した状態で支柱5の施工までの手順の第5工程として図7Eに示すように、基礎プレート53上に開閉制御部3の支柱5を敷設する。さらに、支柱5の施工までの手順の第61工程として図7Fに示すように、敷設された支柱5の周囲にコンクリート53Aを打って固める。
【0049】
この様に図7A〜図7Fの順で工事を進める。かかる工事の過程で、本発明の覆工板50の設置、取外しの作業の繰り返しを容易に行うことが可能である。
【0050】
図8は、基礎プレート53上に支柱5を敷設し、支柱5の周囲にコンクリート53Aを打って固められた状態まで進んだ工事の状態を示す平面図である。敷設された支柱5の周囲は、部分覆工板50A1及び50A2により囲われているが、窓部54において支柱5との間にコンクリート53Aが露出する隙間を有する。したがって、かかる隙間を覆う必要がある。
【0051】
図9は、かかる支柱5との隙間を埋めるためのスライド調整板を説明する平面図である。
【0052】
二つのスライド調整板550、551の外寸は、窓部54の大きさに対応している。二つのスライド調整板550、551は、それぞれ凹型をなし、スライド溝部552を有している。
【0053】
二つのスライド調整板550、551のそれぞれに対応してスライド調整副板550A,551Aが、下側に配置される。
【0054】
図10は、かかる二つのスライド調整板550、551と、スライド調整副板550A,551Aの対応関係を理解容易に示す模式図であり、図9のA−A線に沿う断面を、紙面左側即ち、矢印方向に見た状態を表している。図10において、容易に理解できるようにスライド調整副板550A,551Aは、それぞれスライド調整板550、551の下側にあって、矢印方向にスライドして、その立ち上がり端面550B,551Bを支柱5にできるだけ接近して対向するように調整し、固定される。また、553は、それぞれスライド調整板550,551の裏側に固定され、スライド調整板550,551を支持する支持柱である。
【0055】
図11は、更にスライド調整板550、551とスライド調整副板550A,551Aの詳細構成例を示す斜視図であり、左右対象で同様構成であるので、スライド調整板551とスライド調整副板551Aを例にして説明する。
【0056】
説明したように、スライド調整板551には、支持柱553が裏面に固定されている。したがって、対応するスライド調整副板551Aには、この支持柱553を避ける長穴554が設けられている。これにより、スライド調整副板551Aは、スライド調整板551にあって、支持柱553を避けてスライド可能である。
【0057】
一方、スライド調整板551には、対応するスライド調整副板551Aの所定位置に形成されているネジ穴と係合する止めネジ555に対してスライド可能に長穴552が形成されている。すなわち、スライド調整副板551Aの立ち上がり端面551Bと支柱5との間隔を調整するようにスライド調整副板551Aをスライドする。そして、止めネジ555によりスライド調整板551にスライド調整副板551Aが位置決め、固定される。
【0058】
このスライド調整板550,551に設けた長穴552及び、スライド調整副板550A、551Aに設けた長穴554により、スライド調整副板550A、551Aの立ち上がり端面と支持柱5との間隔の微調整が可能である。
【0059】
かかる微調整により、プラットホームが直線ではなく、支柱5の設置の際に配置角度を有する場合にも対応が可能である。
【0060】
図12は、かかる支柱5の設置の際に配置角度を有する場合のスライド調整副板550A、551Aのスライド調整を説明する図である。
【0061】
図12において、対向する二つのスライド調整板550,551により形成される窓部54内で支柱5が角度を有して配置されている。このような状態の時、スライド調整副板550A、551Aは、長穴552と554の存在により、支柱5の配置角度に対応するように傾けてスライドが可能である。このように傾けてスライドされた位置で、スライド調整副板550A、551Aを止めネジ552でスライド調整副板550A、551Aに固定することができる。
【0062】
ここで、上記したように工事期間以外においてプラットホーム1上を歩行する乗降客に支障をなくするために複数の覆工板50が配置される。そして、調整板51は、隣接する覆工板50間のプラットホームの露出面を埋めるために配置される。
【0063】
しかし、図13に見られるように、覆工板50が配置される間隔は、必ずしも一定ではない。
【0064】
(A)は、プラットホームが直線状に伸びている例であるが、(B)に示すようにプラットホームが曲がって形成されている例もある。
【0065】
したがって、かかる場合に対応するべく、調整板51をプラットホームの形態に対応して種々の形状を用いることにより、プラットホームの工事期間中の露出面を覆うことが可能である。
【0066】
図14は、かかるプラットホームの形態に対応して用意される調整板51の構成例である。
【0067】
図14において、(A)は、覆工板50が工事個所の端部に配置される場合の調整板51である。したがって、覆工板50の端部とのボルト結合が、調整板51の片側のみである。(B)は、調整板51の両側でそれぞれ隣接する覆工板50の端部とのボルト結合する構成例である。さらに、(C)の形態は、水平面に対して角度αを有する調整板51の形態であり、図13(B)に示すように、曲線のプラットホーム1の曲線の端辺に沿う部分を覆うために使用される。
【0068】
ここで、上記実施例において、覆工板50を、第1の副覆工板50A1,50A2と第2の副覆工板50Bで構成することを説明した(図6参照)。しかし、本発明はかかる覆工板50の形態に限られない。特に、図6に示す実施例では、第1の副覆工板を凹型の副覆工板50A1と、I型の副覆工板50A2で構成する例である。
【0069】
これに対して、図15に示す構成例の平面図は、第1の副覆工板を縦横二つのI字状の副覆工板501,502と一つのL字状の副覆工板503で構成している。図15で矢印方向Aが線路側である。また、図15における特徴は、I字型とL字型の組み合わせであるために、容易に第1の副覆工板501,502の取り外しがを容易である。さらに、第1の副覆工板501,502のそれぞれを個別に取り外しての工事も可能である。
【0070】
図16は、更に別の実施例であり、図5に示す実施例と同様に覆工板50の断面状態を示す図である。図16において、(A)は、図4のA−A線に沿う断面に相当し、(B)は、図4のB−B線に沿う断面に相当する。
【0071】
図5において、覆工板50の長手方向の両側に置かれている調整板51を置かずに、図16の実施例ではコンクリートで覆い、工事個所のみを覆工板50で覆うようにしている。かかる例は、隣接する覆工板50間の距離が他の箇所に対して短い場合、あるいは複雑な形状の場合に有利である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上述べたように、本発明の構成により、短い工事可能期間が繰り返される場合に、覆工板の敷設及び撤去の処理が容易であり、且つ工事対象の形状に容易に対応できる覆工板の提供が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 プラットホーム
2 安全柵(ドア)
3 開閉制御部
4 エンボス部
5 支柱
5A 工事個所
50、50A,50B 覆工板
50A1、50A2 部分覆工板
51 調整板
53 基礎プレート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームに複数個配置されて工事個所の部分を覆うそれぞれのホーム柵敷設用覆工板であって、
所定の長さと幅を有する矩形を成し、
板面から、挿入される複数のボルトを有し、
高さが異なる段差を有する基礎プレートを覆う際に、前記複数のボルトを前記基礎プレートの最上面に突き当たるボルトの長さを基準とし、前記基礎プレートの前記最上面の高さより低い段差面に対して、前記基準長さより長いボルト長さで、且つ先端にねじ結合されるボルトにより、高さ調整される、
ことを特徴とするホーム柵敷設用覆工板。
【請求項2】
プラットホームに複数個配置されて工事個所の部分を覆うそれぞれのホーム柵敷設用覆工板であって、
コ字状の第1の部分覆工板と、I字状の第2の部分覆工板を有し、
前記コ字状とI字状の部分覆工板を組み合わせて中央に窓部を有する矩形を成し、更に、
前記窓部を覆う副覆工板を有する、
ことを特徴とするホーム柵敷設用覆工板。
【請求項3】
プラットホームに複数個配置されて工事個所の部分を覆うそれぞれのホーム柵敷設用覆工板であって、
L字状の一つの部分覆工板と、I字状の2つの部分覆工板を有し、
前記L字状の一つの部分覆工板と、I字状の2つの部分覆工板を組み合わせて中央に窓部を有する矩形を成し、更に、
前記窓部を覆う副覆工板を有する、
ことを特徴とするホーム柵敷設用覆工板。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記工事個所に配置される複数個の覆工板の隣接する覆工板間に、前記覆工板間の距離に対応する幅を有する調整板が固定される、
ことを特徴とするホーム柵敷設用覆工板。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記工事個所は、既設の電車のレールに沿うプラットホームに安全柵を敷設する工事部分であって、前記覆工板のレール側の側面の下り幅が、前記レールと反対側の下り幅よりも大きく形成されている、
ことを特徴とするホーム柵敷設用覆工板。
【請求項6】
請求項5において、
前記プラットホームの曲がりに対応して、前記覆工板間に固定される調整板の両辺の角度を有することを特徴とするホーム柵敷設用覆工板。
【請求項1】
プラットホームに複数個配置されて工事個所の部分を覆うそれぞれのホーム柵敷設用覆工板であって、
所定の長さと幅を有する矩形を成し、
板面から、挿入される複数のボルトを有し、
高さが異なる段差を有する基礎プレートを覆う際に、前記複数のボルトを前記基礎プレートの最上面に突き当たるボルトの長さを基準とし、前記基礎プレートの前記最上面の高さより低い段差面に対して、前記基準長さより長いボルト長さで、且つ先端にねじ結合されるボルトにより、高さ調整される、
ことを特徴とするホーム柵敷設用覆工板。
【請求項2】
プラットホームに複数個配置されて工事個所の部分を覆うそれぞれのホーム柵敷設用覆工板であって、
コ字状の第1の部分覆工板と、I字状の第2の部分覆工板を有し、
前記コ字状とI字状の部分覆工板を組み合わせて中央に窓部を有する矩形を成し、更に、
前記窓部を覆う副覆工板を有する、
ことを特徴とするホーム柵敷設用覆工板。
【請求項3】
プラットホームに複数個配置されて工事個所の部分を覆うそれぞれのホーム柵敷設用覆工板であって、
L字状の一つの部分覆工板と、I字状の2つの部分覆工板を有し、
前記L字状の一つの部分覆工板と、I字状の2つの部分覆工板を組み合わせて中央に窓部を有する矩形を成し、更に、
前記窓部を覆う副覆工板を有する、
ことを特徴とするホーム柵敷設用覆工板。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記工事個所に配置される複数個の覆工板の隣接する覆工板間に、前記覆工板間の距離に対応する幅を有する調整板が固定される、
ことを特徴とするホーム柵敷設用覆工板。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記工事個所は、既設の電車のレールに沿うプラットホームに安全柵を敷設する工事部分であって、前記覆工板のレール側の側面の下り幅が、前記レールと反対側の下り幅よりも大きく形成されている、
ことを特徴とするホーム柵敷設用覆工板。
【請求項6】
請求項5において、
前記プラットホームの曲がりに対応して、前記覆工板間に固定される調整板の両辺の角度を有することを特徴とするホーム柵敷設用覆工板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−157794(P2011−157794A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22726(P2010−22726)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【特許番号】特許第4604132号(P4604132)
【特許公報発行日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(591075641)東鉄工業株式会社 (36)
【出願人】(300059821)株式会社堀口工業所 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【特許番号】特許第4604132号(P4604132)
【特許公報発行日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(591075641)東鉄工業株式会社 (36)
【出願人】(300059821)株式会社堀口工業所 (12)
【Fターム(参考)】
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