説明

ボディーリンス剤

【課題】塗布性に優れ、さらさら感が持続するボディーリンス剤の提供。
【解決手段】次の成分(A)〜(E):
(A)水不溶性無機粉体 1.5〜40質量%、
(B)25℃で液体の油性成分 0.5〜30質量%、
(C)γ高・ケ(水溶性高分子の水溶液−ケラチン間の界面自由エネルギー)が35mJ/m2以下の水溶性高分子 0.01〜5質量%、
(D)多価金属イオン 0.01〜2質量%、及び
(E)水
を含有するボディーリンス剤であって、成分(B)と成分(A)の質量比(B/A)が0.01/1〜5/1であるボディーリンス剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌に塗布してから水ですすいで使用するボディーリンス剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、濡れた肌に塗布してから水ですすぐ化粧料が開発されている(特許文献1,2)。これらの化粧料は、水不溶性粉体、油性物質、増粘剤及び水等を配合したものであり、皮膚に優れたスキンケア効果やさらさら感を付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2000−505095号公報
【特許文献2】特開平10−291924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような化粧料は、近年のスキンケアに対する意識の向上に伴い、肌に対する均一な塗布性や、塗布後浴水やシャワー水などですすいだ後の粉体成分や油性成分の肌への吸着性やその持続性についてさらに高い品質が期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者等は、ボディーリンス剤の使用感やその使用感の持続性について種々検討した結果、水不溶性無機粉体、油性成分、特定の水溶性高分子及び水に加えて、特定量の多価金属イオンを含有するボディーリンス剤であれば、濡れた肌、そうでない肌にかかわらず肌に塗布後浴水やシャワー水などですすぐことで粉体成分や油性成分の濡れ広がりや吸着性やその持続性が極めて良好となるため、優れたさらさら感が著しく長時間持続することを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(E):
(A)水不溶性無機粉体 1.5〜40質量%、
(B)25℃で液体の油性成分 0.5〜30質量%、
(C)γ高・ケ(水溶性高分子の水溶液−ケラチン間の界面自由エネルギー)が35mJ/m2以下の水溶性高分子 0.01〜5質量%、
(D)多価金属イオン 0.01〜2質量%、及び
(E)水
を含有するボディーリンス剤であって、成分(B)と成分(A)の質量比(B/A)が0.01/1〜5/1であるボディーリンス剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のボディーリンス剤は、濡れた肌、そうでない肌にかかわらず肌に塗布後浴水やシャワー水などの水ですすぐと油性成分や粉体成分が皮膚に薄く均一に広がり良好に付着するため、水ですすいだ後の肌に吸着した粉体成分による優れたさらさら感が極めて長時間持続する。また、肌に吸着した油性成分によりスキンケア効果が得られるだけでなく、肌に吸着した油性成分と粉体成分により、皮膚表面が撥水的になるので汗をかいても直ぐに水分が蒸発して不快な汗のべたつきが解消され、さらさら感が長時間持続する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】FACE自動粉体接触角計の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のボディーリンス剤は、さらさら感を付与するための成分のひとつとして成分(A)水不溶性無機粉体を含有する。
【0010】
本発明に用いられる水不溶性無機粉体(A)としては、水不溶性無機粉体であればいずれのものでもよいが,例えばタルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、珪藻土、シリカ(ケイ酸、無水ケイ酸)、ケイ酸マグネシウム、雲母、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ミョウバン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム等の粉体、及びこれらの粉体表面をシランカップリング剤等で化学的に改質したものが挙げられる。これらの中でも表面を改質していない粉体の方が原料入手の点からは好ましい。特にタルク、カオリン及びシリカがさらさら感及びその持続性の点から好ましい。これらの水不溶性無機粉体は1種又は2種以上を用いることができる。
【0011】
かかる成分(A)の形状は特に限定されず、板状、塊状、鱗片状、球状等のいずれであってもよいが、板状、鱗片状、球状等の粉体が皮膚感触を高める点でより好ましい。
成分(A)の大きさは、使用感を高める点から、平均粒径が0.1〜50μmのもの、特に平均粒径が1〜20μmの粉体が好ましい。
成分(A)の含有量は、本発明のボディーリンス剤中1.5〜40質量%(以下、単に%で示す)であり、2〜40%が使用感の点からより好ましく、7〜25%が特に好ましい。
【0012】
中でも、成分(A)水不溶性無機粉体が吸油性を有するものであると、ボディーリンス剤中などの油性成分を吸収して皮膚表面に付着しやすくなる。また皮膚上の油を吸収してさらさら感を向上させる。ここで吸油性とは、水と相溶しない液体成分を吸収する性質のことであり、本発明の成分(A)水不溶性無機粉体は10〜500ml/100gであり、特に20〜200ml/100gの吸油量を備えている水不溶性無機粉体であると特に好ましい。このような吸油性を有する水不溶性無機粉体であれば、塗布後水ですすいでも肌上に良好に残存し、さらさら感が長時間にわたって持続する。なお、上記吸油量は、JIS K5101−13−2:2004に準拠して測定した値である。この吸油量の測定方法は以下のとおりである。
【0013】
吸油量の測定方法:
JIS K5101−13−2:2004に従って測定した。
すなわち、試料mg(例えば、タルク3gまたはカオリン3gまたはシリカ1g)を400mm×500mmの平滑なガラス板の中央に取り、煮亜麻仁油(JIS K5421)をビュレット(JIS R3505,10ml)に入れ、ビュレットから1回に4、5滴ずつ徐々に試料の中央に滴下し、その都度全体をパレットナイフ(先が細くなった銅製の刃が付いていて、長さが145mmで最大幅25mmで最小幅15mmのもの)で十分に練り合わせた。滴下及び練り合わせを繰り返し、全体が硬いパテ状の塊となったら、1滴ごとに練り合わせて、最後の1滴で、パレットナイフを用いてらせん形に巻くことができる状態または煮亜麻仁油1滴で急激に柔らかくなる直前を終点とした。粉体に煮亜麻仁油を滴下開始してから上記終点までの操作時間は9〜13分であった。終点に達したときのビュレット内の煮亜麻仁油滴下量を読み取った。
【0014】
【数1】

【0015】
また、本発明においては、成分(A)に加えて、成分(J)水不溶性有機粉体を併用することもできる。水不溶性有機粉体の併用により、さらに塗布性及びさらさら感を向上させることができる。成分(J)水不溶性有機粉体としては、シリコーンパウダー、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル酸又はアクリル酸エステル重合体、メタクリル酸又はメタクリル酸エステル重合体、アクリル酸/スチレン共重合体、及びスチレン/ジビニルベンゼン共重合体等の粉体を挙げることができる。これらのなかで皮膚に塗布した際、伸びのよさやさらさら感を付与する点で、シリコーンパウダーが特に好ましい。
シリコーンパウダーとは、シリコーン樹脂又はシリコーンゴムを粉末化したものであり、形状は略球状が好ましい。シリコーン樹脂等を粉末化したものであれば、オルガノポリシロキサンの種類、充填剤、硬化剤、有機基とケイ素のモル比等に特に制限はない。シリコーンパウダーの市販品としては、トスパール(東芝シリコーン社)、トレフィル(東レダウコーニング社)、シリコーンパウダー(信越化学)等が挙げられる。
成分(A)と成分(J)の含有比(A:J、質量比)は、伸びの良さとさらさら感とを十分に向上させる点から、20:1〜1:20が好ましく、10:1〜1:10が特に好ましく、5:1〜1:5が最も好ましい。
【0016】
本発明のボディーリンス剤には、スキンケア効果、成分(A)水不溶性無機粉体を肌に吸着させるためのバインダー効果、また皮膚表面を撥水的にさせて汗をすばやく蒸散させる効果等のため、(B)25℃で液体の油性成分を含有する。このような油性成分としては25℃で液状のものであれば特に限定されるものではないが、使用感を高める上から、アボカド油、ツバキ油、タートル油、トウモロコシ油、オリーブ油、小麦胚芽油、大豆油、ホホバ油、落花生油、なたね油、ひまわり油、ひまし油、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、シリコーン油、エステル油などが好ましい例として挙げられる。これらは単独で含有させても良いが2種類以上を組み合わせて含有させても良い。
このうち、使用感、特に、ベタツキを抑える点や発汗時における汗の水分の蒸発効果を高める点から、25℃における表面張力が30dyn/cm以下の油性成分の1種又は2種以上を含有することがより好ましい。このような油性成分としては、シリコーン油が挙げられ、具体的にはメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、高級アルコール変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサンが挙げられる。これらの中で、25℃における粘度が200センチストークス(cs)以下のものが使用感を高める点から特に好ましい。すなわち、25℃における粘度が200センチストークス(cs)以下のメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサンが使用感の点から最も好ましい。
【0017】
油性成分(B)の含有量は、本発明ボディーリンス剤中0.5〜30%であり、中でも0.6〜15%、特に1.5〜10%含有するとタオルドライ後のさらさら感・さらさら感の持続の点で特に好ましい。
【0018】
これらの成分(B)油性成分と成分(A)水不溶性無機粉体との質量比(B/A)は、水ですすいだ後の粉体の残存や、さらさら感や油浮きなどの外観の観点から0.01/1〜5/1であり、さらに0.05/1〜2/1、特に0.1/1〜1/1が好ましい。
【0019】
本発明のボディーリンス剤は、成分(C)γ高・ケ(水溶性高分子の水溶液−ケラチン間の界面自由エネルギー)が35mJ/m2以下、好ましくは1〜35mJ/m2、さらに好ましくは5〜30mJ/m2の水溶性高分子を含有する。
γ高・ケ(水溶性高分子の水溶液−ケラチン間の界面自由エネルギー)とは、ケラチン粉体と水溶性高分子水溶液間の界面自由エネルギー値であり、肌と同等の物性を有するケラチンと水溶性高分子との親和性の指標となる値である。この界面自由エネルギーの測定及び算出方法は以下のとおりである。
γ高・ケ(水溶性高分子水溶液−ケラチン間の界面自由エネルギー)の算出方法:
ケラチン粉体に対する高分子水溶液の浸透現象を用いた浸透速度法により測定した。装置はFACE自動粉体接触角計PHW−S型(協和界面科学株式会社製)を用いた。装置の概念図は図1に示した。測定は以下の手順に従って行った。
【0020】
溶液の準備:純水に0.2%になるように、水溶性高分子を溶解/分散した。
測定:
(i)図1中の円筒充填管(断面積S=0.2827cm2)に、目開き500μmのふるいを通したケラチン粉体(東京化成,K0001)を1.7〜2.0g充填し、タッピングして空隙率を0.33〜0.37に調整した。
(ii)定性濾紙No.1(東洋濾紙製)の表面に穴を開けないように注意しながら表面を毛羽立たせ、毛羽立った面が高分子水溶液に接するように、3つの孔(直径1.45mm)があいている側の円筒充填管にセットした。濾紙の毛羽立った繊維を高分子水溶液に接触させて、その時間tにおける荷重Wtを測定し、粉体への高分子水溶液の浸透に伴う加重Wを式(1)より求めた。
【0021】
【数2】

【0022】
成分(C)のγ高・ケ(水溶性高分子の水溶液−ケラチン間の界面自由エネルギー)が35mJ/m2以下の水溶性高分子の水溶液は、肌と同等の物性を有するケラチンとの親和性が高いため、肌にスムーズかつ均一によく濡れ広がる。従って、該水溶性高分子の水溶液中に分散している成分、すなわち油性成分や粉体成分等も肌によく濡れ広がって肌表面に吸着するため、水で軽くすすいでも流れ去ることなく肌表面に均一に残り、タオルドライ後も十分なさらさら感が得られ、高いさらさら感の持続も達成される。
【0023】
γ高・ケ(水溶性高分子の水溶液−ケラチン間の界面自由エネルギー)が35mJ/m2以下という条件を満たす水溶性高分子(成分(C))としては、キサンタンガム、カラギーナン(λ−カラギーナン、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン)、寒天等が挙げられるが、さらさら感の持続性及び系の安定性の点から、このうちキサンタンガム、カラギーナンがより好ましく、特にキサンタンガムが好ましい。これらの成分(C)は単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
成分(C)のγ高・ケ(水溶性高分子の水溶液−ケラチン間の界面自由エネルギー)が35mJ/m2以下の水溶性高分子の本発明ボディーリンス剤中の含有量は、塗布時の使用感、さらさら感、さらさら感の持続及び粉体の分散性など系の安定性の点から0.01〜5%であり、さらに0.05〜3%、特に0.1〜1%が好ましい。
【0025】
本発明のボディーリンス剤は、成分(C)のγ高・ケ(水溶性高分子の水溶液−ケラチン間の界面自由エネルギー)が35mJ/m2以下の水溶性高分子と成分(D)多価金属イオンが特定量存在することでボディーリンス剤中の油性成分や粉体成分が安定的にボディーリンス中に分散し、皮膚に塗布すると薄く均一に広がり良好に付着して、シャワー水や浴水などの水ですすぎタオルドライ後に油性成分を含む粉体成分が肌に効率的に吸着して残るため、優れたさらさら感が奏されるのみならず、さらさら感が極めて長時間持続するという効果が奏される。当該成分(D)多価金属イオンとしては、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。このうち、前記成分(A)水不溶性無機粉体との相性の点から、また、色調・コストの点からカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンが好ましい。なお、成分(D)をボディーリンス中に所望の濃度含有させる方法としては、いずれの方法によっても良いが、例えば、上記金属イオンに解離する塩(塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ヨウ化物塩、フッ化物塩、リン酸塩、臭化物塩、炭酸塩)や塩化物、酸化物、硫化物等を添加することで、多価金属イオンを含有させる方法がある。また、原料由来の溶出成分(不純物などとして原料に含まれる)によって多価金属イオンを含有させる方法であっても良い。この場合、例えば本発明のボディーリンス剤の調製時に原料中から溶出する多価金属イオンの含有量を測定し、所望の濃度範囲になることを確認すれば良い。なお、原料由来の溶出成分では不足している場合は、前記の塩や塩化物、酸化物、硫化物を適宜追加添加して所望の含有量となるように調整しても良い。当該成分(D)多価金属イオンの本発明ボディーリンス剤中の含有量は0.01〜2%であるが、0.01〜1.5%、特に0.01〜0.6%であると、ボディーリンス剤中にダマ等が発生することなく油性成分や粉体成分が皮膚に薄く均一に広がり良好に付着してタオルドライ後に優れたさらさら感が奏されるのみならず、さらさら感が極めて長時間持続する点で好ましい。
これらの成分(D)多価金属イオンと成分(C)γ高・ケ(水溶性高分子の水溶液−ケラチン間の界面自由エネルギー)が35mJ/m2以下の水溶性高分子との質量比(D/C)は、ボディーリンス中にダマ等を発生せずにさらさら感およびその持続性を良好に保つ観点から1/500〜10/1であり、さらに1/20〜10/1、特に3/20〜7/1が好ましい。
【0026】
本発明のボディーリンス剤には、前記成分を分散させておくために(E)水が含まれる。(E)水の含有量は、粉体の均一な分散の点から23〜97.98%、さらに35〜96%、特に35〜88%が好ましい。
【0027】
本発明のボディーリンス剤では、成分(C)により油性成分や粉体成分が安定的に分散しているため界面活性剤を特に含有する必要はない。むしろHLBが13〜20の親水性界面活性剤を多量に含有する場合、油性成分や粉体成分は肌に吸着せず水溶性高分子水溶液と共に流されてしまうため、タオルドライ後に粉体成分が十分肌表面に残らず、十分なさらさら感が得られない。しかし、少量のHLBが13〜20の非イオン性界面活性剤を配合してもさらさら感は損なわれないため、使用感や外観の調整のために含有してもよい。かかる成分(F)非イオン性界面活性剤の含有量は本発明ボディーリンス剤中0.1%以下、さらに0.05%以下が好ましい。このような非イオン性界面活性剤としては、HLBが13〜20であり非イオン性であればいずれのものでもよいが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどのうちHLBが13〜20のものが挙げられる。これらは単独でまたは複数を組み合わせて含有してもよい。
【0028】
さらに、本発明のボディーリンス剤には、さっぱり感、粉体分散性、防腐性の点で一価の低級アルコール(G)を含有していても良い。なお、一価の低級アルコールとは、炭素数1〜5の1価の鎖状アルコールを指し、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールが挙げられる。中でもエタノール、イソプロパノール及びその混合物が好ましく、特にエタノールが好ましい。一価の低級アルコール(G)の含有量は、本発明ボディーリンス剤中に0.1〜40%、さらに0.7〜30%、特に3〜15%が好ましい。
さらに、本発明のボディーリンス剤には、清涼感を付与するため冷感剤(H)を含有していても良い。なお、冷感剤の例としては、l−メントール、及びその誘導体(例えば乳酸メンチル、酢酸メンチル、メントン等)、薄荷油、カンフルなどが挙げられる。中でもl−メントール、及びその誘導体がべたつき感抑制の点で好ましい。冷感剤(H)の含有量は、本発明ボディーリンス剤中に0.01〜5%、さらに0.05〜3%、特に0.07〜1%が好ましい。
【0029】
さらに本発明のボディーリンス剤には、本発明の効果を害さない範囲で、保湿成分、抗炎症剤、美白剤、UVケア剤、殺菌剤、防腐剤、制汗剤、香料等を含有することもできる。保湿成分としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトールなどの多価アルコール、乳酸、乳酸ナトリウム、セラミド、コレステリルエステル類、ワセリン、カカオ脂、ラノリンなどが挙げられる。抗炎症剤としては、グリチルリチン酸塩、β−グリチルレチン酸、アラントイン、インドメタシン、グアイアズレン、グアイアズレンスルホン酸塩、生薬抽出液、薬草エキスなどが挙げられる。美白剤、UVケア剤としてはビタミンC誘導体(アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウムなど)、アルブチン、コウジ酸、カミツレエキス、パーソールMCX、エスカロール507、オキシベンゾン、ユビナールなどが挙げられる。殺菌剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、トリクロカルバミド、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノールなどが挙げられる。防腐剤の例としては、パラベンなどが挙げられる。
【0030】
本発明のボディーリンス剤は、常法に従って上記成分を混合することにより製造することができる。
【0031】
本発明のボディーリンス剤は、肌に塗布後シャワー水や浴水などで軽くすすぐ肌のリンス剤として使用することができる。
本発明のボディーリンス剤の使用法としては、肌に塗布後、浴水やシャワー水などですすぎ、タオルドライする方法が好ましい。直接乾いた肌に塗布しても良いが、シャワー後や入浴後の濡れた肌に塗布すればボディーリンス剤がムラになりにくく、くまなく肌によく濡れ広がるため、少量でもすすぎ後十分なさらさら感が得られるため、より好ましい。
塗布方法としては、本発明のボディーリンス剤を乾いた肌又は水で濡れた肌に手または冶具により直接塗布してよく伸ばしても良いし、肌の一部分に塗布してからシャワー水や浴水などをかけることで濡れ広がらせてもよい。
本発明のボディーリンス剤を肌に適用した場合には、肌によく濡れ広がり浴水やシャワー水などですすいでも十分な量の粉体が肌に残り、適度なさらさらとした肌感触を長時間に渡って皮膚に与えることができる。
【実施例】
【0032】
次に実施例を挙げて本発明を説明する。
【0033】
実施例1〜22及び比較例1〜13
表1〜表8に示す原料をホモミキサーを用いて混合し、これに精製水を加えて100%とし、ボディーリンス剤を調製した。
[使用原料]
キサンタンガム:『ケルデント』、大日本住友製薬株式会社
λカラギーナン:『ソアギーナML300』、MRCポリサッカライド株式会社
ヒドロキシエチルセルロース:『HECダイセル SE850K』、ダイセル化学工業株式会社
ヒドロキシプロピルメチルセルロース:『メトローズ 90SH−100000』、信越化学工業株式会社
アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー:『PEMULEN TR−1』、Lubrizol Advanced Materials, Inc.
【0034】
タルク:平均粒子径5μm,吸油量45mL/100g
カオリン:平均粒子径4μm,吸油量40mL/100g
シリカ:平均粒子径4μm,吸油量330mL/100g
シリコーンパウダー:ポリメチルシルセスキオキサン,平均粒子径2μm
ジメチルポリシロキサン(25℃):10mm2/s,20.1dyn/cm
デカメチルシクロペンタシロキサン(25℃):4mm2/s,18dyn/cm
ポリエーテル変性シリコーンオイル:ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体,HLB=13
【0035】
ボディーリンス剤中の多価金属イオンの濃度について:
使用原料由来の多価金属イオン量をIPC発光分析により求め、イオン量が不足している場合には、塩化カルシウム、塩化マグネシウムを加えて、調整した(これらの塩を加えた場合には水を減らして最終的に100%になるようにバランスをとった)。表1〜8には各イオン量の合計値を記載した。
【0036】
[評価]
「外観」、「タオルドライ後の肌感触(さらさら感)」、「さらさら感の持続」の3つの基準より評価した。なお、「外観」が不合格の場合は「タオルドライ後の肌感触(さらさら感)」及び「さらさら感の持続」の評価は行わなかった。同様に、「外観」が合格であっても「タオルドライ後の肌感触(さらさら感)」が不合格の場合は「さらさら感の持続」の評価は行わなかった。
(外観)
外観の評価方法:ボディーリンス剤を製造後直ぐに手に取り、目視観察した。
外観の判定方法:ダマ(大きな凝集物)の有無により判定した。
ダマ有 不合格
ダマ無 合格
【0037】
(タオルドライ後の肌感触(さらさら感))
タオルドライ後の肌感触(さらさら感)の評価方法:製品の外観が合格のものについて20〜40歳の男女5名に以下の(イ)または(ロ)の使用方法で使用してもらった。
使用方法(イ):摂氏27℃、相対湿度50−60%の部屋において、シャワー後の濡れた前腕(片腕)に検体2mLを全体に均一に塗布し、シャワーで軽くすすいだ後、タオルドライした。3分後に手のひらで前腕を軽く擦り、肌のさらさら感を下記の5段階で評価してもらった。
とてもさらさら :5
さらさら :4
どちらともいえない :3
あまりさらさらしない :2
全くさらさらしない :1
【0038】
使用方法(ロ):摂氏27℃、相対湿度50−60%の部屋において、乾いた前腕(片腕)に検体2mLを全体に均一に塗布し、シャワーで軽くすすいだ後、タオルドライした。3分後に手のひらで前腕を軽く擦り、肌のさらさら感を下記の5段階で評価してもらった。
とてもさらさら :5
さらさら :4
どちらともいえない :3
あまりさらさらしない :2
全くさらさらしない :1
【0039】
タオルドライ後の肌感触(さらさら感)の判定方法:5人の評価から平均を算出し判定した。なお、合格点は平均4.0以上とした。
【0040】
(さらさら感の持続)
さらさら感の持続の評価方法:タオルドライ後の肌感触(さらさら感)が合格のものについて、20〜40歳の男女5名に以下の(イ)または(ロ)の使用法で使用してもらった。
【0041】
使用方法(イ):摂氏27℃で相対湿度50−60%の部屋において、シャワー後の濡れた前腕(片腕)に検体2mLを全体に均一に塗布し、シャワーで軽くすすいだ後、タオルドライした。そのまま27℃で相対湿度50−60%の部屋で11時間すごしてもらった後、手のひらで前腕を軽く擦り、肌のさらさら感を下記の5段階で評価してもらった。
とてもさらさら :5
さらさら :4
どちらともいえない :3
あまりさらさらしない :2
全く然さらさらしない :1
【0042】
使用方法(ロ):摂氏27℃で相対湿度50−60%の部屋において,乾いた前腕(片腕)に検体2mLを全体に均一に塗布し,シャワーで軽くすすいだ後,タオルドライした。そのまま27℃で相対湿度50−60%の部屋で11時間すごしてもらった後,手のひらで前腕を軽く擦り,肌のさらさら感を下記の5段階で評価してもらった。
とてもさらさら :5
さらさら :4
どちらともいえない :3
あまりさらさらしない :2
全くさらさらしない :1
【0043】
さらさら感の持続の判定方法:5人の評価から平均を算出し判定した。なお、合格点は平均4.0以上とした。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
【表5】

【0049】
【表6】

【0050】
【表7】

【0051】
【表8】

【0052】
表1〜表8より、本発明のボディーリンス剤は、さらさら感が良好であり、かつその持続性が特に優れていることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(E):
(A)水不溶性無機粉体 1.5〜40質量%、
(B)25℃で液体の油性成分 0.5〜30質量%、
(C)γ高・ケ(水溶性高分子の水溶液−ケラチン間の界面自由エネルギー)が35mJ/m2以下の水溶性高分子 0.01〜5質量%、
(D)多価金属イオン 0.01〜2質量%、及び
(E)水
を含有するボディーリンス剤であって、成分(B)と成分(A)の質量比(B/A)が0.01/1〜5/1であるボディーリンス剤。
【請求項2】
次の成分(A)〜(E):
(A)水不溶性無機粉体 1.5〜40質量%、
(B)25℃で液体の油性成分 0.5〜30質量%、
(C)γ高・ケ(水溶性高分子の水溶液−ケラチン間の界面自由エネルギー)が35mJ/m2以下の水溶性高分子 0.01〜5質量%、
(D)カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオン 0.01〜2質量%、及び
(E)水
を含有するボディーリンス剤であって、成分(B)と成分(A)の質量比(B/A)が0.01/1〜5/1であるボディーリンス剤。
【請求項3】
成分(D)と成分(C)の質量比(D/C)が1/500〜10/1である請求項1又は2記載のボディーリンス剤。
【請求項4】
さらに(F)HLBが13〜20である非イオン性界面活性剤を0.1質量%以下含有する又は含有しない請求項1〜3のいずれか1項記載のボディーリンス剤。
【請求項5】
さらに(G)一価の低級アルコールを含有する請求項1〜4のいずれか1項記載のボディーリンス剤。
【請求項6】
(C)水溶性高分子が、キサンタンガム及びカラギーナンから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜5のいずれか1項記載のボディーリンス剤。
【請求項7】
(A)水不溶性無機粉体が、タルク、カオリン及びシリカから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜6のいずれか1項記載のボディーリンス剤。
【請求項8】
(B)25℃で液体の油性成分が、シリコーン油である請求項1〜7のいずれか1項記載のボディーリンス剤。

【図1】
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【公開番号】特開2010−189366(P2010−189366A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38379(P2009−38379)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】