説明

ボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム

【課題】薄肉ボトルの変形や倒れなどを生ずることなく安定して搬送することができ、設置スペースもコンパクトで無菌環境の維持も容易なボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムを提供する。
【解決手段】無菌閉鎖空間の排出口に充填密封された密封済ボトルの底部にハカマ装着機構でハカマを装着することで、ハカマの殺菌・洗浄の必要をなくし、無菌閉鎖空間を省スペースとし、無菌環境の維持を容易とする。 また、受取搬送ホイールに、密封済ボトル胴径の半周以上に亘って抱え込む開閉可能なホールド部材と、ボトルの搬送に追随し、密封済ボトル底部に向かって上下動し、ボトルの底部を支持するサポート部材とを設け、ネックリングで支えられている密封済ボトルであってもホールド部材で胴径の半周以上を抱えることおよびサポート部材でボトル底部を支持することで、搬送を可能とし、変形や転倒を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、PETボトルなどの合成樹脂製ボトルを無菌環境下で、ボトルの内外面を殺菌・洗浄し、次いで内容液をボトル内に充填・密封して内容液を詰めた製品として後工程に搬送するボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムに関し、特にボトル胴部の平均肉厚が10〜250μm程度の薄肉のボトルに対して、通常の速度で搬送しながら内容液の充填などが可能で、かつ無菌環境を省スペースにできるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料などの内容物のフレバー等を維持して高品質でボトルに充填密封するシステムとして無菌充填システムが採用されており、無菌環境を維持した空間(クリーンボックス)内でボトルを殺菌・洗浄し、次いで内容液を充填し、キャップで密封するようにする。
【0003】
この無菌充填システムに用いられるボトルには、通常、ネック部にキャップ巻き締め用のカブラとサポート用のネックリングとが形成されたものが用いられる。
【0004】
そして、無菌充填システムでの各工程は、例えば回転する搬送ホイールの周囲に複数のポケットを設け、それぞれのポケットにボトルを配し、ホイールの回転に沿ってボトルを搬送し、各搬送ホイールに受け渡しながら搬送して各工程を実施するようになっている。
【0005】
そして、通常は、ボトルの搬送ホイールによる搬送には、開閉可能なグリッパをポケットに設けておき、ボトルのネック部を把持するようにし、また、搬送ホイール間の受け渡しは、一方の搬送ホイールのグリッパがネックリングを把持している場合、他方の搬送ホイールのグリッパでカブラを把持することで行われており、キャップを巻き締める密封工程では、カブラがキャップで覆われるため、グリッパでネックリング下部を把持した状態で搬送してキャップの装着が行われる。
【0006】
ところが、キャップが巻き締められた密封工程から次の工程の搬送ホイールにボトルを受け渡す場合には、カブラを把持することができないため、例えば搬送ホイールのポケット下面周囲に滑面を設け、この滑面上にボトルを載置し、ボトル胴部とキャップ側面とを押さえながら搬送するようにしており、この次の搬送ホイールでは、空いているサポートリングを、グリッパで把持することで受け渡している。
【0007】
しかしながら、胴部平均肉厚が10〜250μmの薄肉のボトルでは、滑面上にボトルを載置し、胴部とキャップ側面とを押さえて搬送すると、胴部などが変形したり、転倒するなど搬送に支障が生じることがあった。
【0008】
そこで、本出願人は、これらの問題点を解決するため、薄肉のプラスチックボトルに対し、無菌環境下で内容液を効率よく充填・密封して搬送するシステムとして、特許文献1(特願2006−112542)のシステムを提案した。
【0009】
このシステムは、例えば図7に示すように、洗浄したハカマを無菌環境のクリーンボックス内で殺菌し、充填工程前の殺菌した空の薄肉のボトルにハカマを装着することにより充填圧などによるボトルの変形を防止するとともに、充填・密封工程後のクリーンボックス内外など後工程のボトルの搬送をハカマを装着した状態で行うことによりボトルの変形や倒れることを防止し、生産効率を向上できるようにした優れたものである。
【特許文献1】特願2006−112542号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような特許文献1におけるボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムは、薄肉のボトルを何ら問題なく搬送可能とし、充填速度も通常の肉厚のボトルの場合と何ら遜色ないものであるが、無菌環境のクリーンルームとしてのクリーンボックス内で充填前の空ボトルにハカマを装着するため、クリーンボックス内にハカマごと搬送する装置を設置するスペースが必要となり、また洗浄されたハカマのクリーンボックス内での殺菌が必要となるなど更なる改良が望まれている。
【0011】
本発明は、かかる従来技術の課題と要望に鑑みてなされたもので、充填・密封されたボトルでも、ボトル底部を接地面に載置することなく、かつ変形や倒れなどを生ずることなく安定して搬送することができ、設置スペースもコンパクトで無菌環境の維持も容易なボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するためこの発明の請求項1記載の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムは、内部が無菌環境に維持された無菌閉鎖空間に、胴部平均肉厚が10〜250μmの空ボトルを搬入し、複数の搬送ホイールを介して搬送しながらボトルの内面および/または外面を殺菌・洗浄し、次いで内容液を一定量充填後、キャップで密封する密封工程を経て該無菌閉鎖空間から後工程に搬送するボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムにおいて、前記無菌閉鎖空間の排出口に充填密封された密封済ボトルの底部にハカマを装着して後工程の搬送を行うハカマ装着機構が設けられていることを特徴とするものである。
このボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムによれば、内部が無菌環境に維持された無菌閉鎖空間に、胴部平均肉厚が10〜250μmの空ボトルを搬入し、複数の搬送ホイールを介して搬送しながらボトルの内面および/または外面を殺菌・洗浄し、次いで内容液を一定量充填後、キャップで密封する密封工程を経て該無菌閉鎖空間から後工程に搬送するボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムにおいて、前記無菌閉鎖空間の排出口に充填密封された密封済ボトルの底部にハカマを装着して後工程の搬送を行うハカマ装着機構が設けてあり、無菌閉鎖空間を出た後にハカマ装着機構でハカマを装着することで、ハカマの殺菌・洗浄の必要をなくし、無菌閉鎖空間を省スペースにでき、無菌環境の維持も容易としている。
【0013】
また、この発明の請求項2記載の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムは、請求項1に記載の構成に加え、前記密封工程が行われる密封工程搬送ホイールから前記密封済ボトルを受け取る受取搬送ホイールは、前記密封済ボトル胴径の半周以上に亘って当該密封済ボトルを抱え込む開閉可能なホールド部材と、当該密封済ボトルの搬送に追随し、当該密封済ボトル底部に向かって上下動し、当該ボトルの底部を支持するサポート部材とを有していることを特徴とするものである。
このボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムによれば、前記密封工程が行われる密封工程搬送ホイールから前記密封済ボトルを受け取る受取搬送ホイールは、前記密封済ボトル胴径の半周以上に亘って当該密封済ボトルを抱え込む開閉可能なホールド部材と、当該密封済ボトルの搬送に追随し、当該密封済ボトル底部に向かって上下動し、当該ボトルの底部を支持するサポート部材とを有しており、ネックリングで支えられている密封済みボトルであってもホールド部材で胴径の半周以上を抱えることおよびサポート部材でボトル底部を支持することで、搬送が可能となり、変形や転倒を防止できるようにしている。
【0014】
これにより、受取搬送ホイールからは、これまでと同様に、ネックリングを利用した受け渡しができ、排出口のハカマ装着機構にも吊下げた状態から簡単に受け渡すことができるようになる。
【0015】
さらに、この発明の請求項3記載の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムは、請求項2に記載の構成に加え、前記受取搬送ホイールに、前記密封工程搬送ホイールでの前記密封済ボトルのネックリングの非把持部分を下から支持するピック部材を有することを特徴とするものである。
このボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムによれば、前記受取搬送ホイールに、前記密封工程搬送ホイールでの前記密封済ボトルのネックリングの非把持部分を下から支持するピック部材を有しており、ピック部材で、ネックリングの把持されていない部分を下から支持することで、ボトルの重量を一層確実に支持して安定して搬送できるようにしている。
【0016】
また、この発明の請求項4記載の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムは、請求項3に記載の構成に加え、前記受取搬送ホイールの前記ピック部材と対向する搬送経路に、搬送中の前記密封済ボトルの頭部の傾きを防止する固定のヘッドガイド部材を有することを特徴とするものである。
このボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムによれば、前記受取搬送ホイールの前記ピック部材と対向する搬送経路に、搬送中の前記密封済ボトルの頭部の傾きを防止する固定のヘッドガイド部材を有しており、ピック部材と対向して搬送経路に固定のヘッドガイド部材を設けることで、受け取り後のボトルの頭部の傾きを防止でき、一層安定した状態で搬送できるようになる。
【0017】
さらに、この発明の請求項5記載の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムは、請求項1に記載の構成に加え、前記密封工程が行われる前記密封工程搬送ホイールから前記密封済ボトルを受け取る受取搬送ホイールは、前記密封済ボトル胴径の半周以上に亘って当該密封済ボトルを抱え込む開閉可能なホールド部材と、当該密封済ボトルの搬送に追随し、ボトルキャップに向かって上下動し、当該ボトルキャップの側面を把持するネックグリップ部材とを有していることを特徴とするものである。
このボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムによれば、前記密封工程が行われる前記密封工程搬送ホイールから前記密封済ボトルを受け取る受取搬送ホイールは、前記密封済ボトル胴径の半周以上に亘って当該密封済ボトルを抱え込む開閉可能なホールド部材と、当該密封済ボトルの搬送に追随し、ボトルキャップに向かって上下動し、当該ボトルキャップの側面を把持するネックグリップ部材とを有しており、ネックリングで支えられている密封済みボトルであってもホールド部材で胴径の半周以上を抱えることおよびネックグリップ部材でボトルのキャップ側面を把持することで、搬送が可能となり、変形や転倒を防止できるようにしている。
【0018】
また、この発明の請求項6記載の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムは、請求項1に記載の構成に加え、前記密封工程が行われる密封工程搬送ホイールから前記密封済ボトルを受け取る受取搬送ホイールは、前記密封済ボトルのキャップの半周以上に亘って当該キャップ側面を抱え込む開閉可能なキャップホールド部材と、当該密封済ボトルの搬送に追随し、当該密封済ボトル底部に向かって上下動し、当該ボトルの底部を支持するサポート部材とを有していることを特徴とするものである。
このボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムによれば、前記密封工程が行われる密封工程搬送ホイールから前記密封済ボトルを受け取る受取搬送ホイールは、前記密封済ボトルのキャップの半周以上に亘って当該キャップ側面を抱え込む開閉可能なキャップホールド部材と、当該密封済ボトルの搬送に追随し、当該密封済ボトル底部に向かって上下動し、当該ボトルの底部を支持するサポート部材とを有しており、ネックリングで支えられている密封済ボトルであってもキャップホールド部材でキャップ側面の半周以上を抱えることおよびサポート部材でボトル底部を支持することで、搬送が可能となり、変形や転倒を防止できるようにしている。
【0019】
これにより、受取搬送ホイールからは、これまでと同様に、ネックリングを利用した受け渡しができ、排出口のハカマ装着機構にも吊下げた状態から簡単に受け渡すことができるようになる。
【0020】
さらに、この発明の請求項7記載の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムは、請求項6に記載の構成に加え、前記キャップホールド部材は、前記キャップ側面を抱え込む表面に、摩擦係数増大加工が施されて構成されていることを特徴とするものである。
このボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムによれば、前記キャップホールド部材は、前記キャップ側面を抱え込む表面に、摩擦係数増大加工が施されて構成されており、キャップホールド部材の摩擦増大加工によって一層確実にホールドして搬送できるようになる。
【発明の効果】
【0021】
この発明の請求項1記載の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムによれば、内部が無菌環境に維持された無菌閉鎖空間に、胴部平均肉厚が10〜250μmの空ボトルを搬入し、複数の搬送ホイールを介して搬送しながらボトルの内面および/または外面を殺菌・洗浄し、次いで内容液を一定量充填後、キャップで密封する密封工程を経て該無菌閉鎖空間から後工程に搬送するボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムにおいて、前記無菌閉鎖空間の排出口に充填密封された密封済ボトルの底部にハカマを装着して後工程の搬送を行うハカマ装着機構が設けてあるので、無菌閉鎖空間を出た後にハカマ装着機構でハカマを装着することで、ハカマの殺菌・洗浄の必要をなくし、無菌閉鎖空間を省スペースにでき、無菌環境の維持も容易にできる。
【0022】
また、この発明の請求項2記載の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムによれば、前記密封工程が行われる密封工程搬送ホイールから前記密封済ボトルを受け取る受取搬送ホイールは、前記密封済ボトル胴径の半周以上に亘って当該密封済ボトルを抱え込む開閉可能なホールド部材と、当該密封済ボトルの搬送に追随し、当該密封済ボトル底部に向かって上下動し、当該ボトルの底部を支持するサポート部材とを有しているので、ネックリングで支えられている密封済みボトルであってもホールド部材で胴径の半周以上を抱えることおよびサポート部材でボトル底部を支持することで、搬送が可能となり、変形や転倒を防止することができるとともに、無菌環境の維持も容易にできる。
【0023】
これにより、受取搬送ホイールからは、これまでと同様に、ネックリングを利用した受け渡しができ、排出口のハカマ装着機構にも吊下げた状態から簡単に受け渡すことができる。
【0024】
さらに、この発明の請求項3記載の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムによれば、前記受取搬送ホイールに、前記密封工程搬送ホイールでの前記密封済ボトルのネックリングの非把持部分を下から支持するピック部材を有しているので、ピック部材で、ネックリングの把持されていない部分を下から支持することで、ボトルの重量を一層確実に支持することができ、安定して搬送することができる。
【0025】
また、この発明の請求項4記載の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムによれば、前記受取搬送ホイールの前記ピック部材と対向する搬送経路に、搬送中の前記密封済ボトルの頭部の傾きを防止する固定のヘッドガイド部材を有しているので、ピック部材と対向して搬送経路に設けた固定のヘッドガイド部材で、受け取り後のボトルの頭部の傾きを確実に防止することができ、一層安定した状態で搬送することができる。
【0026】
さらに、この発明の請求項5記載の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムによれば、前記密封工程が行われる前記密封工程搬送ホイールから前記密封済ボトルを受け取る受取搬送ホイールは、前記密封済ボトル胴径の半周以上に亘って当該密封済ボトルを抱え込む開閉可能なホールド部材と、当該密封済ボトルの搬送に追随し、ボトルキャップに向かって上下動し、当該ボトルキャップの側面を把持するネックグリップ部材とを有しているので、ネックリングで支えられている密封済みボトルであってもホールド部材で胴径の半周以上を抱えることおよびネックグリップ部材でボトルのキャップ側面を把持することで、搬送することが可能となり、変形や転倒を防止して搬送することができる。
【0027】
また、この発明の請求項6記載の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムによれば、前記密封工程が行われる密封工程搬送ホイールから前記密封済ボトルを受け取る受取搬送ホイールは、前記密封済ボトルのキャップの半周以上に亘って当該キャップ側面を抱え込む開閉可能なキャップホールド部材と、当該密封済ボトルの搬送に追随し、当該密封済ボトル底部に向かって上下動し、当該ボトルの底部を支持するサポート部材とを有しているので、ネックリングで支えられている密封済みボトルであってもキャップホールド部材でキャップ側面の半周以上を抱えることおよびサポート部材でボトル底部を支持することで、搬送することが可能となり、変形や転倒を防止して搬送することができる。
これにより、受取搬送ホイールからは、これまでと同様に、ネックリングを利用した受け渡しができ、排出口のハカマ装着機構にも吊下げた状態から簡単に受け渡すことができる。
【0028】
さらに、この発明の請求項7記載の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムによれば、前記キャップホールド部材は、前記キャップ側面を抱え込む表面に、摩擦係数増大加工が施されて構成されているので、キャップホールド部材の摩擦増大加工によって一層確実にホールドして搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明の一実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図3はこの発明のボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムの一実施の形態にかかり、図1は概略説明図、図2は各工程でのボトルの搬送状態の概略説明図、図3は受取搬送ホール部分を抽出した平面図および部分断面図である。
【0030】
このボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム1では、PETボトルなどの合成樹脂製ボトルを無菌環境下で、ボトルの内外面を殺菌・洗浄し、次いで内容液をボトル内に充填・密封して内容液を詰めた製品として後工程に搬送するシステムである。
【0031】
この無菌充填システムで使用するボトル10としては、ブロー成形された胴部の平均肉厚が10〜250μmの薄肉のPETボトルなどの合成樹脂製薄肉ボトルを対象としており、通常のPETボトルと同様に、ネック部には、キャップ巻き締め用のカブラ11とサポート用のネックリング12とが形成され、減容性を有したものである。
ここで、ボトルの胴部の平均肉厚(t)とは、ボトルのネックリングより下の部分(ネックリングおよびキャップ締付け用のネジ部を除く部分)の首下重量(G)および使用樹脂の比重(γ)からボトルの首下体積(V)(=G/γ)を求め、ボトルのネックリングより下の部分の首下表面積(S)を算出し、ボトルの首下体積(V)をボトルの首下表面積(S)で除した値(t)(=V/S)をいう。
【0032】
このボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム1では、無菌環境に維持された無菌閉鎖空間であるクリーンルームとしてのクリーンボックス21内に空のボトル10が搬入されると、クリーンボックス21内を受け渡しながら搬送して殺菌・洗浄工程22でボトル10の殺菌・洗浄を行い、次いで、充填・密封工程23で空のボトル10に内容液を充填し、キャップ13を巻き締めて密封して密封済ボトル10Aとした後、クリーンボックス21外に排出するようにしてある。
本明細書において、無菌閉鎖空間とは、容器搬入のための出入り口を設けた作業室内の一部空間を囲って密封空間とし、この密封空間内表面および密封空間に設置された機器表面を殺菌洗浄し、合わせてこの密封空間内に陽圧の無菌空気を導入して無菌状態を維持するようにした空間、あるいは作業室をクリーンルームとし、このクリーンルームに設置された機器表面を殺菌洗浄し、合わせてクリーンルームの天井部に設置したHEPAフィルターより無菌エアーをフロー制御しながら供給して無菌状態を維持した空間を意味する。
このように無菌閉鎖空間は、内部が陽圧に維持され、開口部よりエアーが放出されるため、外部の菌が無菌閉鎖空間内に侵入することが防止される。
しかし、開口部分があまりにも大きいと、陽圧維持が難しくなることから、排出口となる出口開口部分は、回転ホイールと、ホイール先端のグリッパと、グリッパに装着されたボトルのみが通過可能なスリット状開口とすることで、搬送には何ら影響せずに、空間内の陽圧維持を可能としている。
【0033】
そして、クリーンボックス21以降の後工程の密封済ボトル10Aの搬送を、クリーンボックス21の排出口に設けたハカマ装着機構24で密封済ボトル10Aの底部14にハカマ25を装着し、ハカマ装着状態で行なうようにしてあり、こうすることで、クリーンボックス21内にハカマの殺菌工程やボトルへのハカマ装着機構を設ける必要をなくし、クリーンボックス21をコンパクトにして省スペースとするようにしている。
【0034】
一方、このボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム1の各工程のクリーンボックス21内での搬送は、これまでと同様に、例えば回転する搬送ホイールの周囲に複数のポケットを設け、各ポケットに設けた開閉可能なグリッパ26で空のボトル10のネック部のカブラ11あるいはサポートリング12を把持するようにし、複数の搬送ホイール間の空のボトル10の受け渡しは、一方の搬送ホイールのグリッパ26がネックリング12を把持している場合には、他方の搬送ホイールのグリッパ26でカブラ11を把持することを繰り返すことで行なわれる。
【0035】
例えば、殺菌・洗浄工程22では、処理に必要な時間を確保できるように、必要に応じて大小複数の搬送ホイールが設けられ、殺菌用の搬送ホイールで搬送される間にボトル10の内外面を過酢酸などの薬液や温水などにより殺菌が行なわれ、その後洗浄用の搬送ホイールに受け渡して搬送される間に無菌水でボトル10の内外面を洗浄することが行なわれる。
【0036】
こうしてボトル10の殺菌・洗浄が行なわれた後、充填・密封工程23で、まず内容液の充填が行なわれ、充填用の搬送ホイールのグリッパ26に受け渡された空のボトル10を回転搬送する間に所定量の内容液が充填される。この充填工程でも処理に必要な時間を確保できるように、必要に応じて大小複数の搬送ホイールが設けられ、グリッパ26によりボトル10のカブラ11とネックリング12とのいずれかを把持することで受け渡しが行なわれる。
【0037】
そして、キャップ13を巻き締める密封工程23に内容液が充填されたボトル10Aを受け渡す場合には、キャッパ27でキャップ13を巻き締めることでカブラ11が覆われるため、密封用の密封工程搬送ホイール28では、グリッパ26でネックリング下部を把持した状態で搬送が行なわれるようにし、この状態で、これまでと同様に、キャッパ27によってキャップ13が巻き締められて密封され、密封済ボトル10Aとなる。
【0038】
こうして内容液が充填され、キャップ13で密封された密封済ボトル10Aは、密封工程搬送ホイール28のグリッパ26でネックリング12の下部が把持され、カブラ11がキャップ13で覆われているため、次ぎの受取搬送ホイール29への受け渡しをグリッパで行なうことができない。また、搬送経路に滑面を設けてその上にボトル10Aの底部を載置して滑らすことで搬送することも薄肉ボトルでは胴部の変形や転倒のおそれがあるなど支障が生じることがある。
【0039】
そこで、このボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム1では、密封済ボトル10Aを受け取る受取搬送ホイール29に、図3に示すように、密封済ボトル10Aの胴径の半周以上に亘って密封済ボトル10Aを抱え込む開閉可能なホールド部材30と、この密封済ボトル10Aの搬送に追随し、密封済ボトル10Aの底部14に向かって上下動し、上昇位置で密封済ボトル10Aの底部14を支持するサポート部材36とが設けてある。
【0040】
このホールド部材30は、一対のホールドアーム31,31を備え、円弧状のホールド部31a,31aを閉じた状態とすることで、密封済ボトル10Aの胴径の半周以上を抱え込むことがきるようにしてあり、閉じた状態で胴径と同一ないし僅かに大きい円の一部を構成し、ボトル10Aの胴部を変形させるような力が加わらないようにしてある。そして、一対のホールドアーム31,31のそれぞれのアーム部31b、31bの端部が回動軸32,32に取り付けられて回動可能とされるとともに、回動軸32,32間に噛み合い歯車33,33が取り付けられ、互いを連動して開閉できるようにしてあり、一方の回動軸32に水平アーム34が一体に連結され、水平アーム34の端部にローラ状のカムフォロア35が取り付けられ、図示しない固定カムによって水平アーム34を揺動することで受取搬送ホイール29の回転に同期して所定の受け渡し位置で開閉できるようにしてある。
【0041】
また、サポート部材36は、密封済ボトル10Aの底部14に当てて荷重を支持することができるサポート板37を備え、このサポート板37が昇降ガイドロッド38に沿って昇降可能に支持してあり、例えばサポート板37にブラケット39を介してローラ状のカムフォロア40を一体に取り付け、図示しない固定カムによってサポート板37を上下動することで、受取搬送ホイール29の回転に同期して所定の受け渡し位置で昇降できるようにしてある。
【0042】
このような受取搬送ホイール29では、密封済ボトル10Aを底部14に当てるサポート部材36のサポート板37で荷重を支えることができ、胴部をホールド部材30の一対のホールドアーム31,31で胴径の半周以上を抱え込むようにすることで、回転搬送にともなう遠心力により転倒したり、胴部が変形することを防止することができ、胴部の平均肉厚が10〜250μmの薄肉のボトル10Aであっても通常のボトルの場合と同様に搬送することができる。
【0043】
そして、次ぎの搬送ホイールには、密封済ボトル10Aの空いているネックリング12を利用してグリッパ26による搬送を行なうことができ、この状態で無菌閉鎖空間であるクリーンボックス21から排出して、排出口のハカマ装着機構24で、所定間隔で送られてくるハカマ25とグリッパ26によって搬送されている密封済ボトル10Aとを同期させ、簡単にハカマ25を装着することができる。
【0044】
こうしてハカマ25が装着された密封済ボトル10Aは、一般的なハカマ装着を必要としない厚肉のボトルと同様に搬送可能となり、アキュムレートコンベアに搬送され、工程間の速度差の吸収やライン停止時のアキュムレートが行なわれるように構成され、さらに次ぎの工程の包装設備としてのケーサに単列または複数列で搬送され、ボトル10Aとハカマ25が分離され、製品はパレタイザーに搬送される一方、ハカマ25は洗浄されてハカマ装着機構24に戻され、循環使用される。
なお、無菌閉鎖空間の出口搬送ホイールは、無菌閉鎖空間内で密封済みボトルを受け取り、グリッパが空間を出たところで、ハカマを装着するため、グリッパは一度無菌閉鎖空間の外部に露出することになり、菌に汚染されることが懸念される。そこで、無菌閉鎖空間の排出口を含む直前エリアの一部を囲って緩衝空間(グレーゾーン)を設けるようにし、外部に出たグリッパがこの緩衝空間を通って無菌閉鎖空間に戻るようにし、この緩衝空間で除菌を行うようにすれば、無菌閉鎖空間が汚染されることを確実に防止できる。
【0045】
また、クリーンボックス21外のハカマ25を装着して行う後工程の搬送に用いるハカマは、薄肉ボトル10Aを底部14で支持してボトル10Aの転倒を防止し、搬送コンベアにより加わるラインプレッシャによるボトル10Aの変形を防止するように、ボトル10Aの底部14からの高さが設定された底付き円筒状に形成され、合成樹脂製や金属製としてある。
【0046】
このようなハカマ25を装着して行う後工程の搬送は、ボトル10A自体に外力が加わらないことから、ボトル10Aを連続状態、あるいは多列密集状態での搬送などのいずれでも良い。
【0047】
このようにハカマ25をクリーンボックス21内に持ち込むことなく密封済ボトル10Aを装着して搬送するようにしていることから、殺菌の必要がなく、例えば図4に示すように、大容量で大径のボトル10Aに対応したハカマ25を用意し、その内部に小容量で小径のボトル10A’に対しては、ハカマ25にアタッチメント25aを装着することで対応することができる。
【0048】
すなわち、従来のクリーンボックス内にハカマを持ち込む場合には、クリーンボックス内の無菌状態の維持の観点から、ハカマ自体を殺菌し易く、殺菌後は汚染され難いようにする必要があり、表面が連続するなどの単一形状にし、隙間などがない形状とていたが、この発明ではその必要がなくなった。
【0049】
これにより、例えば円筒状のアタッチメント25aを装着し、ハカマ25に係止凹部25bを形成するとともに、アタッチメント25aに係止凸部25cを形成し、互いを嵌合することで、ボトル10A’の着脱の際にアタッチメント25aの抜け出しを防止するようにしてある。
【0050】
なお、アタッチメントとしては、筒状としてボトル10A’の周囲全体と接触して支持するものに限らず、放射方向に突き出す複数のリブを円周等間隔に装着することで、これらリブの中心部にボトル10A’を装着するようにしたもので構成することもできる。
【0051】
このようなハカマ25にアタッチメント25aを装着して大きさの異なるボトルの搬送を行なうようにすることで、搬送ターレットの高さ方向を調整することで、共用化することができ、各種容器に簡単に対応することができる。
【0052】
このような殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム1によれば、内部を無菌環境に維持された無菌閉鎖空間であるクリーンボックス21に、胴部平均肉厚が10〜250μmの空ボトル10を搬入し、複数の搬送ホイールを介して搬送しながら殺菌・洗浄工程22でボトル10の内面および/または外面を殺菌・洗浄し、次いで充填・密封工程23で内容液を一定量充填後、キャップで密封する密封工程を経て無菌閉鎖空間のクリーンボックス21から後工程に密封済ボトル10Aを搬送する場合に、無菌閉鎖空間であるクリーンボックス21の排出口に充填密封された密封済ボトル10Aの底部14にハカマ25を装着して後工程の搬送を行うハカマ装着機構24が設けてあるので、ハカマ25を無菌閉鎖空間21の外で装着することで、ハカマ25の殺菌・洗浄の必要をなくし、無菌閉鎖空間21を省スペースにでき、無菌環境の維持も簡単にできる。
【0053】
これにより、受取搬送ホイール29からは、これまでと同様に、ネックリング12を利用した受け渡しができ、排出口のハカマ装着機構24にも吊下げた状態から簡単に受け渡すことができる。
【0054】
また、この殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム1によれば、密封工程23が行われる密封工程搬送ホイール28から密封済ボトル10Aを受け取る受取搬送ホイール29は、密封済ボトル10Aの胴径の半周以上に亘って密封済ボトル10Aを抱え込む開閉可能なホールド部材30と、この密封済ボトル10Aの搬送に追随し、密封済ボトル10Aの底部14に向かって上下動し、ボトル10Aの底部14を支持するサポート部材36とを有しているので、ネックリング12で支えられている密封済みボトル10Aであってもホールド部材30で胴径の半周以上を抱えることおよびサポート部材36でボトル10Aの底部14を支持することで、滑面を滑らすことなく搬送が可能となり、ボトル10Aの変形や転倒を防止することができるとともに、無菌環境21の維持も容易にできる。
【0055】
さらに、この殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム1では、さらに安定した状態で密封済ボトル10Aを搬送できるようにするため、図3中に示すように、密封工程23の密封工程搬送ホイール28でネックリング12を把持しているグリッパ26の非把持部分を利用して支持するピック部材41が受取搬送ホイール29に設けてあり、先端部に円弧状の支持凹部42をネックリング12の下に挿入して密封済ボトル10Aの荷重の一部ないし相当部分を支持するようにしてある。
【0056】
このように、受取搬送ホイール29に、密封工程搬送ホイール28での密封済ボトル10Aのネックリング12の非把持部分を下から支持するピック部材41を設けてあるので、ピック部材41で、ネックリング12の把持されていない部分を下から支持することで、ボトル10Aの重量を一層確実に支持することができ、ボトル10Aの変形を防止して安定して搬送することができる。
【0057】
また、この殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム1では、密封工程搬送ホイール28から密封済ボトル10Aを受取搬送ホイール29で受け取った後、密封済みボトル10Aの搬送を一層安定した状態で行うため、受取搬送ホイール29の搬送経路43に、ネックリング12の一部を支持するピック部材41と対向させて固定のヘッドガイド部材44が設けてあり、この固定のヘッドガイド部材44を密封済ボトル10Aのネックリング12の下部に当てるようにしたり、僅かな隙間を介して設置して、搬送中の密封済ボトル10Aの頭部が傾くことを防止する。
【0058】
この固定のヘッドガイド部材44をピック部材41と対向して設けることで、ボトル10Aの頭部の傾きを確実に防止することができ、一層安定した状態で搬送することができる。
【0059】
次に、この発明の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムの他の一実施の形態について図5により説明するが、すでに説明した上記実施の形態と同一部分には、同一記号を記し重複する説明は省略する。
【0060】
この殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム1Aでは、密封済ボトル10Aの受取搬送ホイール29での支持を、ボトル10Aの底部14を支えるサポート部材36に替えてボトルキャップ13の側面を把持するネックグリップ部材50で行なうようにしたものである。
【0061】
このネックグリップ部材50は、円筒状の外筒51の内側にドーナツ状のゴム製の中空体52が取り付けられ、給排気口53から供給するエアで中空体52を膨らませることで、中空体52の内側のボトルキャップ13の側面を把持するようにするものである。
【0062】
このようなネックグリップ部材50をホールド部材30とともに受取搬送ホイール29の受取位置に上下動可能に設けることで、密封工程搬送ホイール28のグリッパ26によってネックリング12で支持された密封済ボトル10Aであっても受取位置で受け取り、ネックグリップ部材50で荷重を支持するとともに、ボトル10Aの胴部の変形や転倒をホールド部材30で防止して搬送することができ、次ぎの搬送ホイールにネックリング12をあけた状態で受け渡すことができる。
【0063】
このような殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム1Aによれば、密封工程搬送ホイール28から密封済ボトル10Aを受け取る受取搬送ホイール29に、密封済ボトル10Aの胴径の半周以上に亘って抱え込む開閉可能なホールド部材30と、密封済ボトル10Aの搬送に追随し、ボトルキャップ13に向かって上下動し、ボトルキャップ13の側面を把持するネックグリップ部材50とを設けてあるので、ネックリング12で支えられている密封済ボトル10Aであってもホールド部材30で胴径の半周以上を抱えることおよびネックグリップ部材50でボトル10Aのキャップ13の側面を把持することで、搬送することが可能となり、変形や転倒を防止して搬送することができる。
【0064】
なお、このネックグリップ部材を受取搬送ホイールに設ける場合に限らず、ボトルのネック部のカブラを把持するグリッパに替えて設けても良く、特にボトルに内容物を充填後、キャップによる密封前の搬送ホイールに設ける場合には、ネックグリップ部材の外筒の天面部にボトルの口部を塞ぐ栓体を設けておくことで、ドーナツ状の中空体を膨らませて把持すると同時に、栓体で密封状態として回転搬送することができ、ボトル胴部の変形を抑えることや内容物の漏出を防止することができる。また、空ボトルの状態にあっては、中空体の膨張によりボトルを擬似的に密封状態にし、ネックグリップ部材のみを用いて、ボトル胴部の変形を抑えながら搬送することもできる。
【0065】
次に、この発明の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムのさらに他の一実施の形態について図6により説明するが、すでに説明した上記実施の形態と同一部分には、同一記号を記し重複する説明は省略する。
【0066】
この殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム1Bでは、密封済ボトル10Aの受取搬送ホイール29での支持を、密封済ボトル10Aの胴径の半周以上に亘って抱え込むようにして把持する開閉可能なホールド部材30に替えてボトルキャップ13の側面を半周以上に亘って抱え込むようにして把持する開閉可能なキャップホールド部材60で行なうようにしたもので、このキャップホールド部材60と密封済ボトル10Aの底部14を支えるサポート部材36とで密封済ボトル10Aを支持するようにしてある。
【0067】
このキャップホールド部材60は、ホールド部材30とほぼ同様に構成され、図6に示すように、一対のホールドアーム61,61を備え、円弧状のホールド部61a,61aを閉じた状態とすることで、密封済ボトル10Aのキャップ13の半周以上を抱え込むことがきるようにしてあり、閉じた状態でキャップ13の外径と同一ないし僅かに小さな円の一部で構成し、密封済ボトル10Aのキャップ13をしっかり把持できるようにしてある。また、このホールド部61a、61aのキャップ13の外周側面と接する表面には、摩擦増大加工が施され、例えばローレット加工61bがされており、確実にキャップ13を把持できるようにしてある。
そして、キャップホールド部材60の開閉機構として、一対のホールドアーム61,61のそれぞれの基端部が回動軸62,62に回動可能に取り付けられて開閉可能とされるとともに、回動軸62,62間に噛み合い歯車63,63が取り付けられ、互いを連動して開閉できるようにしてあり、一方の回動軸62に水平アーム64が一体に連結され、水平アーム44の端部にローラ状のカムフォロア65が取り付けられ、固定カム66によって水平アーム64を揺動することで受取搬送ホイール29の回転に同期して所定の受け渡し位置で開閉できるようにしてある。
なお、密封済ボトル10Aの底部14に当てて支持するサポート部材36は、既に説明したものと同一であり、ここでの説明は省略する。
【0068】
このように構成した殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム1Bによれば、キャップグリップ部材60を、上下動可能なサポート部材36とともに受取搬送ホイール29に設けることで、密封工程搬送ホイール28のグリッパ26によってネックリング12で支持された密封済ボトル10Aであっても受取位置で受け取り、底部14に当てるサポート部材36で密封済ボトル10Aの荷重を支持するとともに、キャップ13をキャップホールド部材60で把持することで、密封済ボトル10Aの変形や転倒を防止して搬送することができ、次ぎの搬送ホイールにネックリング12をあけた状態で受け渡すことができる。
【0069】
また、この殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム1Bによれば、キャップホールド部材60のホールド部61a、61aのキャップ13の外周側面と接する表面に、摩擦増大加工としてローレット加工61bが施してあり、一層確実に密封済ボトル10Aを把持することができ、特に、合成樹脂製薄肉ボトルであっても胴部などに比べて剛性の高いキャップ13を把持するようにしているので、確実かつ強固に把持することができる。
【0070】
また、上記実施の形態では、無菌閉鎖空間を構成するクリーンボックスを一体として内部に殺菌・洗浄工程や充填・密封工程を設けるようにしたが、それぞれを独立したボックスで構成するなど必ずしも一体にする必要はなく、適宜変更するようにしても良い。
さらに、上記実施の形態では、この発明の殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムを工程中の1箇所にのみ設けて構成する場合を例に説明したが、従来のネックリングを保持する機構と交互に設置することで複数箇所に設置するようにしても良く、その場合に、それぞれ異なる本願発明の構成のものを設置するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この発明のボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムの一実施の形態にかかる概略説明図である。
【図2】この発明のボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムの一実施の形態にかかる各工程でのボトルの搬送状態の概略説明図である。
【図3】この発明のボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムの一実施の形態にかかる受取搬送ホール部分を抽出した平面図および部分断面図である。
【図4】この発明のボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムの一実施の形態にかかるハカマおよびアタッチメントの説明図である。
【図5】この発明のボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムの他の一実施の形態にかかる受取搬送ホール部分を抽出した一部を拡大した部分断面図である。
【図6】この発明のボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムのさらに他の一実施の形態にかかる受取搬送ホール部分を抽出した平面図および部分断面図である。
【図7】特許文献1のボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムの概略説明図である。
【符号の説明】
【0072】
1,1A,1B ボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム
10 空のボトル
10A、10A’ 密封済ボトル
11 カブラ
12 ネックリング
13 キャップ
14 底部
21 クリーンボックス(無菌閉鎖空間)
22 殺菌・洗浄工程
23 充填・密封工程
24 ハカマ装着機構
25 ハカマ
25a アタッチメント
25b,25c 係止凹凸部
26 グリッパ
27 キャッパ
28 密封工程搬送ホイール
29 受取搬送ホイール
30 ホールド部材
31 ホールドアーム
31a 円弧状のホールド部
31b アーム部
32 回動軸
33 噛み合い歯車
34 水平アーム
35 カムフォロア
36 サポート部材
37 サポート板
38 昇降ガイドロッド
39 ブラケット
40 カムフォロア
41 ピック部材
42 支持凹部
43 搬送経路
44 固定のヘッドガイド部材
50 ネックグリップ部材
51 外筒
52 ゴム製の中空体
53 給排気口
60 キャップホールド部材
61 ホールドアーム
61a 円弧状のホールド部
61b 摩擦増大加工
62 回動軸
63 噛み合い歯車
64 水平アーム
65 カムフォロア
66 カム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が無菌環境に維持された無菌閉鎖空間に、胴部平均肉厚が10〜250μmの空ボトルを搬入し、複数の搬送ホイールを介して搬送しながらボトルの内面および/または外面を殺菌・洗浄し、次いで内容液を一定量充填後、キャップで密封する密封工程を経て該無菌閉鎖空間から後工程に搬送するボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システムにおいて、
前記無菌閉鎖空間の排出口に充填密封された密封済ボトルの底部にハカマを装着して後工程の搬送を行うハカマ装着機構が設けられていることを特徴とするボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム。
【請求項2】
前記密封工程が行われる密封工程搬送ホイールから前記密封済ボトルを受け取る受取搬送ホイールは、
前記密封済ボトル胴径の半周以上に亘って当該密封済ボトルを抱え込む開閉可能なホールド部材と、
当該密封済ボトルの搬送に追随し、当該密封済ボトル底部に向かって上下動し、当該ボトルの底部を支持するサポート部材と
を有していることを特徴とする請求項1に記載のボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム。
【請求項3】
前記受取搬送ホイールに、前記密封工程搬送ホイールでの前記密封済ボトルのネックリングの非把持部分を下から支持するピック部材を有することを特徴とする請求項2に記載のボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム。
【請求項4】
前記受取搬送ホイールの前記ピック部材と対向する搬送経路に、搬送中の前記密封済ボトルの頭部の傾きを防止する固定のヘッドガイド部材を有することを特徴とする請求項3に記載のボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム。
【請求項5】
前記密封工程が行われる前記密封工程搬送ホイールから前記密封済ボトルを受け取る受取搬送ホイールは、
前記密封済ボトル胴径の半周以上に亘って当該密封済ボトルを抱え込む開閉可能なホールド部材と、
当該密封済ボトルの搬送に追随し、ボトルキャップに向かって上下動し、当該ボトルキャップの側面を把持するネックグリップ部材と
を有していることを特徴とする請求項1に記載のボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム。
【請求項6】
前記密封工程が行われる密封工程搬送ホイールから前記密封済ボトルを受け取る受取搬送ホイールは、
前記密封済ボトルのキャップの半周以上に亘って当該キャップ側面を抱え込む開閉可能なキャップホールド部材と、
当該密封済ボトルの搬送に追随し、当該密封済ボトル底部に向かって上下動し、当該ボトルの底部を支持するサポート部材と
を有していることを特徴とする請求項1に記載のボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム。
【請求項7】
前記キャップホールド部材は、
前記キャップ側面を抱え込む表面に、摩擦係数増大加工が施されて構成されていることを特徴とする請求項6に記載のボトルの殺菌・洗浄・充填・密封・搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−273623(P2008−273623A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251852(P2007−251852)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】