説明

ボトル保持装置

【課題】ボトルの変形やボトルの搬送異常を招くことなく、ボトルを安定的に保持する。
【解決手段】載置台3は、その載置面が支持テーブル2の上面と略面一になる上昇位置と、載置面が支持テーブル2の上面から陥没した下降位置との間を昇降自在である。付勢部材9は、載置台3を上昇位置側に付勢する。押さえ部材12は、載置台3の上方に配置されている。また、押さえ部材12は、ボトル肩部7cとは接触することなく、ボトル7に取り付けられたキャップ7bと係合する。駆動機構は、キャップ7bと係合した押さえ部材12を押し下げ、付勢部材9の付勢力に抗して、ボトル7が載置された載置台3を下降位置に下降させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路上のボトルを一時的に保持するボトル保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等の液状内容物を収容するボトルには様々な材質のものがあるが、その一種として、合成樹脂製ボトル、例えばポリエチレンテレフタレート製のブロー成形ボトル(PETボトル)が知られている。この種のボトルでは、加温封入された内容物が冷却すると、内容物の体積の減少等によってボトル内が減圧状態になり、ボトル胴部が若干萎んだ状態になってしまう。このような外観上好ましくないボトルの変形を防止するために、特許文献1には、ボトル底部の一部を下方に突出させた反転部を有するボトルが開示されている。反転部付きボトル内への内容物の充填は、反転部がボトル底部より外側に突出した状態で行われる。そして、ボトル口部をキャップで封止した後に、外側に突出した反転部を押し込んでボトルの内側に反転させる。この反転による容積の減少に起因してボトル内が加圧され、内容物の冷却に伴う減圧分が相殺されるので、ボトルの変形を防止できる。
【0003】
また、特許文献2には、このような反転部付きボトルの底部凹入装置が開示されている。この装置では、まず、内容物が充填密封されたボトルが載置台上に載置される。載置台は、支持テーブル内に収容されており、その載置面が支持テーブルの上面と面一になるように、バネ部材によって上方に常時付勢されている。つぎに、載置台の上方に配置された押さえ部材でボトル肩部の全周を押さえながら、バネ部材による上方への付勢力に抗して、ボトルを下方に押し下げる。そして、ボトルが下方に押し下げられた状態を保持しながら、載置台の下方に配置された可動式の突上げパンチでボトルの底部を突き上げる。これにより、ボトルの底部から下方に突出した反転部が上方に反転して、ボトル内部へ押し込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2006−501109号公報
【特許文献2】特開2009−096504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献2の底部凹入装置では、押さえ部材と当接したボトル肩部を押し下げているため、ボトル肩部においてボトルが変形してしまうおそれがある。特に、ボトルの軽量化を図るためにボトルの肉厚を薄くするほど、このボトル変形の問題が顕在化する。また、押さえ部材はボトル肩部の全周と当接するため、ボトルとの接触面積が必然的に大きくなる。そのため、作業過程で押さえ部材がボトルに引っ掛かり、ボトルの搬送異常を引き起こす可能性もある。
【0006】
また、特許文献2の押さえ部材は、ボトル肩部の傾斜に沿って肩部全周と係合する環状の係合面を備えている。そのため、肩部形状に応じたものを個別に用意する必要がある。また、作業対象となるボトルの種類(形状)が変わる度に、押さえ部材を変更する必要が生じ、そのために製造ラインを一時的に停止しなければならない。さらに、反転部の押し込みを突上げパンチの可動にて行っているため、かなりの突き上げ力が必要となり、突き上げによるボトルの変形が懸念される。それとともに、突上げパンチを可動させるための機構が必要になるため、全体的な装置構成の複雑化を招く。装置構成の複雑化は、装置製造コスト、接地面積、メンテナンスの作業性、または他の装置との一体化といった観点で好ましくない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ボトルの変形やボトルの搬送異常を招くことなく、ボトルを安定的に保持することである。
【0008】
また、本発明の別の目的は、押さえ部材の共用化を図り、生産性の向上を図ることである。
【0009】
また、本発明の別の目的は、ボトル底部を突き上げる機構の簡略化を図り、装置構成の複雑化を抑制することである。
【0010】
さらに、本発明の別の目的は、ボトル底部の突上げ作業と、ボトル胴部へのラベルの巻付け作業とを単一の装置で連続して行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決すべく、第1の発明は、支持テーブルと、載置台と、付勢部材と、押さえ部材と、駆動機構とを有するボトル保持装置を提供する。支持テーブルには、ボトルが搬入および搬出される。載置台は、ボトルが載置される載置面を有する。載置台は、載置面が支持テーブルの上面と略面一になる上昇位置と、載置面が支持テーブルの上面から陥没した下降位置との間を昇降自在である。付勢部材は、載置台を上昇位置側に付勢する。押さえ部材は、載置台の上方に配置されている。また、押さえ部材は、ボトルの肩部とは接触することなく、ボトルに取り付けられたキャップと係合する。駆動機構は、キャップと係合した押さえ部材を押し下げ、付勢部材の付勢力に抗して、ボトルが載置された載置台を下降位置に下降させる。
【0012】
ここで、第1の発明において、押さえ部材は、キャップの上面と対向する第1の係合面と、第1の係合面の周囲から下方に向かって環状に延在し、キャップの側面と対向する第2の係合面とを有することが好ましい。また、押さえ部材は、第2の係合面の周囲から下方に向かって拡径しながら環状に延在するガイド面をさらに有していてもよい。
【0013】
第1の発明において、載置台に設けられた貫通孔に挿入され、載置台上のボトルの底部を突き上げることによって、ボトルの底部より突出した反転部をボトル内に押し込む突上げパンチをさらに設けてもよい。この場合、突上げパンチは、支持テーブルに固定的に取り付けられており、駆動機構によって下降するボトルとの相対的な変位によって、ボトルの底部を突き上げてもよい。
【0014】
第1の発明において、載置台が下降位置に下降している状態でボトルを周方向に回転させながら、ボトルの胴部にラベルを巻き付けるラベル巻付け機構をさらに設けてもよい。
【0015】
また、第2の発明は、支持テーブルと、載置台と、付勢部材と、押さえ部材と、駆動機構と、突上げパンチとを有するボトル保持装置を提供する。支持テーブルには、ボトルが搬入および搬出される。載置台は、ボトルが載置される載置面と、載置台を貫通する貫通孔とを有する。載置台は、載置面が支持テーブルの上面と略面一になる上昇位置と、載置面が支持テーブルの上面から陥没した下降位置との間を昇降自在である。付勢部材は、載置台を上昇位置側に付勢する。押さえ部材は、載置台の上方に配置されている。駆動機構は、押さえ部材を押し下げ、付勢部材の付勢力に抗して、ボトルが載置された載置台を下降位置に下降させる。突上げパンチは、支持テーブルに固定的に取り付けられ、かつ、載置台の貫通孔に挿入されている。突上げパンチは、駆動機構によって下降するボトルとの相対的な変位によって、ボトルの底部を突き上げる。
【0016】
さらに、第3の発明は、支持テーブルと、載置台と、付勢部材と、押さえ部材と、駆動機構と、突上げパンチと、ラベル巻付け機構とを有するボトル保持装置を提供する。支持テーブルには、ボトルが搬入および搬出される。載置台は、ボトルが載置される載置面と、載置台を貫通する貫通孔とを有する。載置台は、載置面が支持テーブルの上面と略面一になる上昇位置と、載置面が支持テーブルから陥没した下降位置との間を昇降自在である。付勢部材は、載置台を上昇位置側に付勢する。押さえ部材は、載置台の上方に配置されている。駆動機構は、押さえ部材を押し下げ、付勢部材の付勢力に抗して、ボトルが載置された載置台を下降位置に下降させる。突上げパンチは、貫通孔に挿入されているとともに、駆動機構によって下降するボトルとの相対的な変位によって、ボトルの底部を突き上げて、ボトルの底部より突出した反転部をボトル内に押し込む。ラベル巻付け機構は、載置台が下降位置に下降している状態でボトルを周方向に回転させながら、ボトルの胴部にラベルを巻き付ける。
【0017】
なお、第2または第3の発明において、上述した第1の発明に係る限定事項を同様に適用してもよい。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明によれば、ボトル肩部と接触することなく、押さえ部材がボトルに取り付けられたキャップと係合する。押さえ部材の押し下げに伴う外力がボトル肩部に直接加わらないので、ボトル肩部の変形を招くことなくボトルを安定的に保持できる。また、押さえ部材がボトル肩部の全周と接触する場合と比較して、ボトルとの接触面積が小さくなる。これにより、押さえ部材がボトルに引っ掛かり難くなるので、ボトルの搬送異常を有効に防止できる。さらに、ボトルの保持は、形状的な共通性の高いキャップとの係合によって行われ、形状的なバリエーションが多いボトルそのものは保持に直接関与しない。したがって、様々な形状のボトルに対して、同一形状の押さえ部材を共用することができるので、生産性の向上を図ることができる。
【0019】
第2の発明によれば、突上げパンチ自体を固定しておき、駆動機構によって下降するボトルとの相対的な変位によって、ボトル底部が突き上げられる。したがって、突上げパンチを可動させる機構を設ける必要がないので、装置構成を簡略化できる。また、ボトル底部を突き上げる力としては、駆動機構による押さえ部材の押し下げ力のみならず、ボトルの自重も作用する。したがって、押し下げ力を過度に増大させる必要がないので、突き上げによるボトルの変形を有効に抑制できる。
【0020】
第3の発明によれば、載置台が下降位置に下降する過程で、突上げパンチによるボトル底部の突き上げが行われるとともに、下降位置に下降した載置台を回転させながら、ラベル巻付け機構によるラベルの巻き付けが行われる。これにより、単一の装置における載置台の昇降過程で、突上げ作業と巻付け作業とを連続して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係るボトル保持装置の構成図
【図2】ボトルの外観図
【図3】載置台周辺の概略的な要部構成図
【図4】押さえ部材の先端形状を示す図
【図5】ボトルの搬入工程の説明図
【図6】ボトル底部の突上工程の説明図
【図7】ボトル底部の突上工程の説明図
【図8】ボトル底部の突上工程の説明図
【図9】ラベル貼付工程の説明図
【図10】ボトル搬出工程の説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本実施形態に係るボトル保持装置の構成図である。このボトル保持装置1は、支持テーブル2と、載置台3と、保持機構4とを主体に構成され、突上げパンチ5およびラベル巻付け機構6が追加されている。載置台3は、支持テーブル2内に昇降自在かつ回転自在に収容されている。また、支持テーブル2には、保持機構4、突上げパンチ5およびラベル巻付け機構6が固定的に取り付けられている。
【0023】
ボトル保持装置1が保持するボトル7は、例えばポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂をブロー成形したPETボトルを用いることができ、その内部には飲料等の液状内容物が充填・密封されている。図2は、ボトル保持装置1の作業対象となるボトル7の外観図である。このボトル7は、ボトル胴部7aと、ボトル肩部7bと、ボトル口部に取り付けられたキャップ7cと、ボトル底部7dの中央に形成された反転部7eとを有する。反転部7eは、ボトル7の材質に起因した可撓性より、ボトル底部7dから外側に突出した突出状態からボトル7の内側に陥没した陥没状態に反転可能であり、ボトル保持装置1に搬入される段階(初期状態)では突出状態になっている。周知のように、反転部7eは、キャップ7cで密閉されたボトル7内部の圧力(内圧)を高めるために用いられる。内容物が加温充填されている場合、密閉後の冷却によって内容物の体積が減少する。これにより、ボトル7の内圧が減圧状態になるため、ボトル胴部7a等が若干萎んだ状態になってしまう。これを防ぐために、ボトル7の密閉後に、突出状態の反転部7eを陥没状態に反転させて、ボトル7内を加圧する。その結果、内容物の冷却に起因した減圧分が相殺されるので、ボトル7の変形を防止できる。なお、内容物は加圧充填されたもののみならず、常温充填されたものであってもよい。反転部7eによってボトル7の内圧を高めることで、ボトル7の形状の保持に寄与するからである。
【0024】
ボトル保持装置1の作業対象となるボトル7は、搬入路(図示せず)より支持テーブル2上に搬入された後、投入ターレット(図示せず)によって載置台3にセットされる。また、作業が施されたボトル7は、排出ターレット(図示せず)によって載置台3から支持テーブル2を経て、搬出路(図示せず)へと搬出される。
【0025】
図3は、載置台3周辺の概略的な要部構成図である。支持テーブル2と上面が面一に配置された支持体8は、回転自在な状態で支持テーブル2に取り付けられている。支持体8の上面には開口部が設けられており、この開口部は載置台3を収容する内部空間と連通している。載置台3の載置面3aは、ボトル7の外径に対応した略円形状を有し、この載置面3a上にボトル7が載置される。また、載置台3は、その外周から側方に突出した環状突部3bを有し、この環状突部3bによって載置台3の上下の可動範囲が規制される。すなわち、載置台3の上方への変位は、環状突部3bが支持体8の上規制面8aと当接することによって規制され、これが載置台3の上昇位置となる。支持テーブル2からのボトル7の搬入、および、支持テーブル2へのボトル7の搬出は、載置台3が上昇位置にある状態で行われる。上昇位置では、搬入および搬出におけるボトル7の横方向へのスライドに支障がないように、載置面3aが支持テーブル2および支持体8の上面と略面一になる。一方、載置台3の下方への変位は、環状突部3bが支持体8の下規制面8bと当接することによって規制され、これが載置台3の下降位置となる。下降位置では、載置面3aが支持テーブル2および支持体8の上面から陥没した状態となる。下降位置では、ボトル7の下部全周が支持体8によって覆われ、ボトル7の横変位が規制される。下降位置も含めて、載置台3が上昇位置から下がった状態では、載置台3上のボトル7が支持体8によって有効に保持される。また、載置台3と支持体8との間に存在する内部空間には、コイルバネ等に代表される付勢部材9が設けられている。この付勢部材9の上端は載置台3の上内面と当接し、その下端は支持体8の中央に設けられた突出した平面と当接している。付勢部材9は、載置台3を上方向、すなわち上昇位置側に常時付勢する。
【0026】
載置台3は、支持体8とスプライン嵌合しており、昇降自在な状態で支持体8と一体で回転する。具体的には、載置台3における環状突部3bの外周には、凹凸状の外スプラインが形成されている。また、これと対向する支持体8の内周面8cには、上下方向に延在する複数本の溝よりなる内スプラインが形成されている。そして、環状突部3bの凸部は、内周面8cの溝と係合している。この係合によって、支持体8が回転すると、これと一体で載置台3も回転する。また、環状突部3bの凸部は、内周面8cの溝に沿ってスライド自在な状態で係合しているので、載置台3の回転性を損なうことなく、載置台3の昇降性が確保される。
【0027】
サーボモータ10の回転軸は、支持体8の中心に取り付けられている。サーボモータ10が回転した場合、サーボモータ10の回転軸に直結された支持体8と、支持体8にスプライン嵌合された載置台3とが一体で回転する。
【0028】
支持体8の中央には、上方に向かって突出した棒状の突上げパンチ5が設けられている。この突上げパンチ5は、支持体の中央に固定的に取り付けられており、支持体8と一体で回転する。突上げパンチ5は、載置台3の上下を貫通する貫通孔3cに挿入され、載置台3が下降する過程において、載置台3上のボトル7の底部7dを突き上げる。これによって、ボトル底部7dより突出した反転部7eがボトル7内に押し込まれる。載置台3上におけるボトル7のスライドを阻害しないように、突上げパンチ5の長さは、上昇位置にある載置台3の載置面3aから突出しない長さに抑えられている。
【0029】
保持機構4は、支持テーブル2に固定的に取り付けられており、載置台3上に配置されたボトル7を上部より保持する。この保持機構4は、縦方向に延在する昇降棒11と、この昇降棒11の先端に取り付けられた押さえ部材12と、昇降棒11を昇降させる油圧シリンダ等の駆動機構13とを有する。図4は、押さえ部材12の先端形状を示す図である。押さえ部材12は、第1の係合面12aと、第2の係合面12bと、ガイド面12cとを有する。第1の係合面12aは、キャップ7bの外径に対応した略円形状を有し、キャップ7bの上面と対向する。第2の係合面12bは、第1の係合面12aの周囲から下方に向かって環状に延在し、キャップ7bの側面と対向している。また、ガイド面12cは、第2の係合面12bの周囲から下方に向かって拡径しながら環状に延在している。この押さえ部材12の特徴は、ボトル肩部7cとは接触することなく、ボトル口部に取り付けられたキャップ7bと係合して、ボトル7を保持する点にある。ガイド面12cの設ける理由は、押さえ部材12をキャップ7b側に下降させる際、係合面12a,12bにキャップ7bを適切に導くという位置決めのためである。
【0030】
ラベル巻付け機構6は、支持テーブル2に固定的に取り付けられており、サーボモータ10によって周回するボトル胴部7aにラベルを巻き付ける。周知のように、ラベル巻付け機構6は、ラベルが連続して印刷されたロールを保持するスタンド、ロールから個々のラベルをカットするカット部、カットしたラベルをボトル胴部7aに装着する装着部、ラベルに接着剤を塗布する塗布部、および、ラベルを搬送するためのローラを主体に構成されている。
【0031】
以下、図5から図10を参照しつつ、ボトル保持装置1における作業工程について説明する。まず、図5に示すように、作業対象となるボトル7は、図示しない投入ターレットによって支持テーブル2上をスライドし、上昇位置にある載置台3上にセットされる。ボトル7には、液状内容物が充填密閉されており、ボトル7の反転部7eは、ボトル7の底部より外側に突出した突出状態になっている。なお、この段階において、載置台3の上方に配置された押さえ部材12は上昇しており、ボトル7と離れた状態になっている。
【0032】
つぎに、図6に示すように、駆動機構13によって押さえ部材12を所定の圧力で押し下げる。この過程では、まず、押さえ部材12のガイド面12cがキャップ7bと当接して、ガイド面12cの傾斜に沿って押さえ部材12がキャップ7bの直上に導かれた後、係合面12a,12bがキャップ7bと係合する。この係合によってボトル7の上部が保持され、以後、ボトル7の横方向の変位が規制される。
【0033】
つぎに、図7に示すように、キャップ7bと係合した押さえ部材12を更に押し下げると、付勢部材9の付勢力に抗して、ボトル7が載置された載置台3が下降していく。これにより、ボトル7の下部が支持テーブル2内に嵌り込み、上述した押さえ部材12によるボトル7の上部の保持に加えて、ボトル7の下部も保持される。その後、ボトル7の底部より下方に突出した反転部7eが突上げパンチ5の先端と当接する。
【0034】
つぎに、図8に示すように、押さえ部材12を更に押し下げると、支持テーブル2に固定された突上げパンチ5と、載置台3と共に下降するボトル7との相対的な変位によって、ボトル7の底部が突き上げられる。この突上げ力には、押さえ部材12を押し下げる圧力に加えて、ボトル7の自重も作用する。これによって、突出状態にあった反転部7eが陥没状態に反転して、ボトル7の内圧が高められる。その後、載置台3は下降位置に到達する。
【0035】
つぎに、図9に示すように、載置台3が下降位置に下降している状態で、サーボモータ10によって、支持体8および載置台3を回転させる。そして、載置台3上のボトル7を周方向に回転させながら、ラベル巻付け機構6を用いてボトル7の胴部にラベルを巻き付ける。ラベルの巻き付け作業が終了したら、サーボモータ10を停止させる。
【0036】
その後、図10に示すように、下降した状態の押さえ部材12を上昇させると、付勢部材9の付勢力によって、ボトル7が載置された載置台3が上昇して上昇位置に復帰する。突上げ作業および巻付け作業の双方が施されたボトル7は、図示しない排出ターレットによって載置台3から支持テーブル2上をスライドして排出路へと搬出される。
【0037】
このように、本実施形態によれば、ボトル肩部7bとは接触することなく、押さえ部材12がボトル7に取り付けられたキャップ7cと係合する。押さえ部材12の押し下げに伴う外力がボトル肩部7bに直接加わらないので、ボトル肩部7bの変形を招くことなくボトル7を安定的に保持できる。また、押さえ部材12がボトル肩部7bの全周と接触する場合と比較して、ボトル7との接触面積を小さくできる。これにより、押さえ部材12がボトル7に引っ掛かり難くなるので、ボトル7の搬送異常を有効に防止できる。さらに、ボトル7の保持は、形状的な共通性の高いキャップ7cとの係合によって行われ、形状的なバリエーションが多いボトル7の本体そのものは保持に関与しない。したがって、様々な形状のボトル7に対して、同一形状の押さえ部材12を共用することができるので、生産性の向上を図ることができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、突上げパンチ5自体を固定しておき、駆動機構13によって下降するボトル7との相対的な変位によって、ボトル底部7dが突き上げられる。したがって、突上げパンチ5を可動させる機構を設ける必要がないので、ボトル保持装置1の構成を簡略化できる。また、ボトル底部7dを突き上げる力としては、駆動機構13による押さえ部材12の押し下げ力のみならず、ボトル7の自重も作用する。したがって、押し下げ力を過度に増大させる必要がないので、突き上げによるボトル7の変形を有効に抑制できる。
【0039】
さらに、本実施形態によれば、載置台3が下降位置に下降する過程で、突上げパンチ5による反転部7eの突き上げが行われるとともに、下降位置に下降した載置台3を回転させながら、ラベル巻付け機構6によるラベルの巻き付けが行われる。これにより、ボトル保持装置1における載置台3の昇降過程で、反転部7eの突上げ作業とラベルの巻付け作業とを連続して行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0040】
なお、上述した実施形態では、反転部7eの突上げ作業とラベルの巻付け作業とを行うボトル保持装置1について説明したが、本実施形態の特徴の一つである押さえ部材12の形状的な特徴のみに着目した場合、作業の内容自体はどのようなものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように、本発明に係るボトル保持装置は、搬送路上のボトルを一時的に保持して、各種作業を行う装置に対して広く適用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 ボトル保持装置
2 支持テーブル
3 載置台
3a 載置面
3b 環状突部
3c 貫通孔
4 保持機構
5 突上げパンチ
6 ラベル巻付け機構
7 ボトル
7a ボトル胴部
7b ボトル肩部
7c キャップ
7d ボトル底部
7e 反転部
8 支持体
8a 上規制面
8b 下規制面
8c 内周面
9 付勢部材
10 サーボモータ
11 昇降棒
12 押さえ部材
12a 第1の係合面
12b 第2の係合面
12c ガイド面
13 駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル保持装置において、
ボトルが搬入および搬出される支持テーブルと、
前記ボトルが載置される載置面を有し、前記載置面が前記支持テーブルの上面と略面一になる上昇位置と、前記載置面が前記支持テーブルの上面から陥没した下降位置との間を昇降自在な載置台と、
前記載置台を前記上昇位置側に付勢する付勢部材と、
前記載置台の上方に配置されているとともに、前記ボトルの肩部とは接触することなく、前記ボトルの口部に取り付けられたキャップと係合する押さえ部材と、
前記キャップと係合した前記押さえ部材を押し下げ、前記付勢部材の付勢力に抗して、前記ボトルが載置された前記載置台を前記下降位置側に下降させる駆動機構と
を有することを特徴とするボトル保持装置。
【請求項2】
前記押さえ部材は、
前記キャップの上面と対向する第1の係合面と、
前記第1の係合面の周囲から下方に向かって環状に延在し、前記キャップの側面と対向する第2の係合面と
を有することを特徴とする請求項1に記載されたボトル保持装置。
【請求項3】
前記押さえ部材は、前記第2の係合面の周囲から下方に向かって拡径しながら環状に延在するガイド面をさらに有することを特徴とする請求項2に記載されたボトル保持装置。
【請求項4】
前記載置台に設けられた貫通孔に挿入され、前記ボトルの底部を突き上げることによって、前記ボトルの底部より突出した反転部を前記ボトル内に押し込む突上げパンチをさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載されたボトル保持装置。
【請求項5】
前記突上げパンチは、前記支持テーブルに固定的に取り付けられており、前記駆動機構によって下降する前記ボトルとの相対的な変位によって、前記ボトルの底部を突き上げることを特徴とする請求項4に記載されたボトル保持装置。
【請求項6】
前記載置台が前記下降位置に下降している状態で前記ボトルを周方向に回転させながら、前記ボトルの胴部にラベルを巻き付けるラベル巻付け機構をさらに有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載されたボトル保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−136736(P2011−136736A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297769(P2009−297769)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【Fターム(参考)】