説明

ボトル栓

【課題】注出状態の調節を伴い直飲みしやすく、しかも、結露しにくくお手入れしやすいものとする。
【解決手段】ボトル体1に装着される栓体5に、ボトル体1内に通じる基部通路52a1と、この基部通路52a1に注出口52a3を介して通じた直飲みできる飲み口14とを設け、栓体5は、ボトル体1の口部外側に装着される外栓部51と、この外栓部51からボトル体1の口部内側に入って前記基部通路52a1、注出口52a3および飲み口14を形成する中栓部52とを有し、中栓部52は、ボトル体1の口部内側に沿う外筒52bと、前記基部通路52a1、注出口52a3および飲み口14を有して前記外筒52bに下方から取り外せるように回り止め状態に嵌め合わされて相互間に閉空間53を形成した内筒52aとの組み合わせとして、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル体の口部に装着されて内容液を直飲みできるようにするボトル栓と、これを用いた片開きボトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなボトル栓や片開きボトルは既に知られており(例えば、特許文献1参照。)、ボトル体にボトル栓を装着したボトル本体と、ボトル栓にヒンジ連結した片開き蓋とを持ち、ボトル本体を片手持ちして片開き蓋を開くとそのまま飲み口から直飲みできようになっている。飲み口は直飲みしやすいように、特許文献1に開示されているようなボトル栓上端の前部寄りに細く立ち上がるように設けられるのが一般的であり、多くは前傾している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−160278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のような細く立ち上がる飲み口は、吸い飲みできるにもかかわらず、吸い飲みするとボトル体内への吸気ができないために内容液の注出がスムーズでない。スムーズな連続注出状態を得るには、飲み口の後部側に吸気隙間を残すように飲み口に口を付ける必要がある。このため、飲みにくく慣れが必要になる不便がある。また、急いだり、歩行など動きながらの直飲みの場合細く立ち上がる飲み口一杯に内容液を注出してしまって溢れ出たり、吸気ができなくなったりすることも生じやすい問題がある。
【0005】
そこで、本発明者は、この種片開きボトルのボトル栓の改良につき、試行錯誤しながら開発を進め、飲み口を大きくしてその周方向一部への口付けにて容易に直飲みし、かつ、飲み口への内容液の注出の流れを適度に制限して注出状態を容易に失敗なく調整できるボトル栓を実現した。
【0006】
本発明はそのような開発の基に、注出状態の容易で失敗のない調節を伴い直飲みしやすくできるボトル栓とこれを用いた片開きボトルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のボトル栓は、ボトル体の上端に装着される栓体を有し、この栓体にボトル体内に通じる基部通路と、この基部通路に注出口を介して通じた直飲みできる飲み口とを設けたことを基本構成とする。
【0008】
このような構成によれば、ボトル体から流出してくる内容液を基部通路から注出口を通じ飲み口へのスムーズな注出状態を得、飲み口への内容液の注出状態や注出量を確認しながらの過不足ない思い通りの注出調節の基に容易に飲めるようにする。
【0009】
本発明は、基本構成に加え、栓体は、ボトル体の口部外側に装着される外栓部と、この外栓部からボトル体の口部内側に入って前記基部通路、注出口および飲み口を形成する中栓部とを有し、中栓部は、ボトル体の口部内側に沿う外筒と、前記基部通路、注出口および飲み口を有して前記外筒に下方から取り外せるように回り止め状態に嵌め合わされて相互間に空間を形成した内筒と、の組み合わせとしたことを特徴とする。
【0010】
このような構成により、さらに、ボトル栓が外栓部でボトル体の口部外側に装着されてボトル体の口部外回りを外装して、しかも、中栓部でボトル体の側では得にくい前記基部通路、注出口および飲み口を持った通路構造を容易に実現することができる。また、中栓部は、前記基部通路、注出口および飲み口を形成する内筒の立体形状と、外筒のボトル体の口部内側に沿う単純形態とを利用して相互間に空間を形成し、ボトル栓のボトル体側と上端側とを空気断熱することができ、保温、保冷のいずれにも好適であるし、保冷時にボトル栓のボトル体側と外気との温度差のためにボトル栓の上端面に結露するのを防止することができる。しかも、内外筒は互いが回り止めおよび位置決め状態に嵌め合わされる上、内筒を外筒から下方に取り外して空間を解放しお手入れできるようにする。
【0011】
上記において、さらに、前記空間の上側および下側において内外筒間をシールしたシール部を設けたことを特徴とすることができる。
【0012】
このような構成によれば、上記に加え、さらに、空間の上側および下側双方にシール部があることにより、空間は密閉空間となり、空気断熱効果が向上する上、内筒の空間内側面で結露が生じても外部に漏れ出る心配はない。
【0013】
上記において、さらに、注出口は、満杯状態の内容液をボトル体の傾けにより注出口から注出させるときの液面に対し吸気通路域を持つ位置および大きさに形成した吸気兼用の注出口としたことを特徴とすることができる。
【0014】
このような構成では、上記に加え、さらに、内容液が少ないときはもとより、満杯状態での注出時であっても内容液を注出口から飲み口へ注出しながら、周方向一部に口付けされる飲み口を通じた吸気を確保することができる。
【0015】
本発明の片開きボトルは、ボトル体の口部に上記の各発明のいずれかのボトル栓を装着してボトル本体をなし、ボトル栓にその前部寄りとした注出口に対し後部寄りとなるヒンジ連結部にて片開き蓋を開閉できるように支持し、片開き蓋は閉じ状態にて飲み口内に進入して前記注出口をシール部材で閉じるようにしたことを特徴とする。
【0016】
このような構成では、片開き蓋は、その閉じ状態において、面積の大きな飲み口を閉じる必要がなく、飲み口に開口している面積の小さな吸気兼用となる注出口1つをシールして閉じるだけで、内容液の流出はもとより少しの漏れ出しも阻止することができる。
【0017】
本発明のそれ以上の特徴は、以下の具体的な説明および図面によって明らかになる。また、本発明の各特徴はそれ自体単独で、あるいは複合して種々な組み合わせで採用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のボトル栓の基本構成によれば、ボトル体からの内容液を基部通路に受け入れて注出口へスムーズに案内し、注出口から飲み口に注出して受けて飲み口周方向一部への口付けにより、飲み口への内容液の注出状態や注出量を確認して過不足ない思い通りの注出調節の基に容易に飲めるようにする。
【0019】
特に、ボトル栓が外栓部でボトル体の口部を外装するように装着できて、しかも、中栓部で前記基部通路、注出口および飲み口を持った複雑な通路構造を容易に実現する。また、中栓部が形成する閉空間による空気断熱によりボトル体の保温、保冷特性を高められる。同時に、保冷時に外気との温度差のためにボトル栓の上端面に結露するのを防止できる。しかも、内外筒は互いが回り止めおよび位置決め状態に嵌め合わされる上、内筒を外筒から下方に取り外して閉空間を解放しお手入れできるようにする。
【0020】
上記に加え、さらに、中栓部はボトル体の口部への装着によって口部との間をシールでき、内外筒の間がシールされているので、内容液が漏れ出ることはない。
【0021】
上記に加え、さらに、注出口の位置および大きさによって、内容液が少ないときはもとより、満杯状態での注出時であっても内容液を注出口から飲み口へ注出しながら、周方向一部に口付けされる飲み口を通じた吸気を確保することができる。
【0022】
本発明の片開きボトルによれば、片開き蓋は、その閉じ状態において、面積の大きな飲み口を閉じる必要がなく、飲み口に開口している面積の小さな吸気兼用となる注出口1つをシールして閉じるだけで、内容液の流出はもとより少しの漏れ出しも阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態の片開きボトルを示す断面図である。
【図2】同片開きボトルの側面図および一部を除く平面図である。
【図3】同片開きボトルのボトル本体の平面図である。
【図4】同片開きボトルの栓体と金属製真空二重容器の口部との関係を示す断面図である。
【図5】同片開きボトルの栓体および片開き蓋を、中栓部における飲み口を持った内筒を分離して示す断面図である。
【図6】同片開きボトルの外栓部の平面図、中栓部の内筒の正面図、側面図、平面図である。
【図7】同片開きボトルの栓体と開き状態の片開き蓋との関係を示す斜視図である。
【図8】同片開きボトルの栓体と開き状態の片開き蓋との関係を、上下反転した状態の栓体から中栓部の内筒を外して見た斜視図である。
【図9】同片開きボトルの片開き蓋とロック機構とを、ロック機構におけるロック解除操作部材を係脱部材上から取り外して見た分離したボトルを示す斜視図である。
【図10】本発明の別の実施形態の片開きボトルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のボトル栓およびこれを用いた片開きボトルにつき図1〜図10に示す実施の形態に基づき詳細に説明する。
【0025】
本実施の形態の片開きボトルは図1に示すように、ステンレス製の内壁及び外壁の間に真空断熱空間2を有するボトル体としての真空二重容器1と、この真空二重容器1の口部1aの外壁に形成された雄ねじ3に螺合する雌ねじを有し、シールパッキン9を介して真空二重容器1に装着されたボトル栓である合成樹脂製の栓体5とによりボトル本体20をなしている。このボトル本体20にはその栓体5が形成する上端部の片側、具体的には背面側に回動軸6によるヒンジ連結部10を中心にボトル本体20の上端部に被さって栓体5に有する直飲み用の飲み口14を閉じ、また開く開閉動作をする片開き蓋7が設けられている。しかし、ボトル本体20は断熱性の有無、金属製、非金属製、飲み口14の構造など自由に設計でき、具体的な構造は特に問わない。また、片開き蓋7の材料も特に問うものではない。片開き蓋7とボトル本体20との間には片開き蓋7を閉じ状態にロックし、またそのロックを解除するロック機構8が設けられている。
【0026】
図示例の上記真空二重容器1は、片手持ちできる程度にスリム化した胴部1bを有し、この胴部1bの上部は、口部1aに装着された栓体5とほぼ同径に形成されている。真空二重容器1の胴部1bや栓体5部を片手持ちして、片手持ちしている手の指によるロック機構8の操作や、これに伴う片開き蓋7の開き操作や、片開き蓋7の開放後に飲み口14による直飲み動作を行い易い形状になっている。しかし、図示例の片開き蓋7は回動軸6まわりに装着した蔓巻きタイプのばね131により開き方向に付勢してある。従って、片開き蓋7のロック機構8による閉じ位置へのロックは蔓巻きばね131の付勢に抗して行われ、このロックが解除されると片開き蓋7は蔓巻きばね131の付勢により自動的に開かれる。このような開き方向への付勢はボトル本体20の飲み口14まわりに設けた弾性体や、片開き蓋7に設けた飲み口14をシールする弾性を有したシールパッキン16などによって代替することもできる。
【0027】
ここで、本実施の形態での栓体5は図1に示すように、金属製真空二重容器1内に通じる基部通路52a1と、この基部通路52a1に注出口52a3を介して通じた直飲みできる飲み口14とを、注出口52a3の面積に対し基部通路52a1および飲み口14の両面積を大きくしている。これにより、金属製真空二重容器1から流出してくる内容液を大きな面積の基部通路52a1から面積が小さい注出口52a3を通じこの注出口52a3よりも面積の大きな飲み口14に注出させることになる。この結果、一旦面積の大きな基部通路52a1に内容液を受け入れて面積の小さな注出口52a3へスムーズに案内できる。また、注出口52a3からはそれよりも面積が大きい飲み口14に注出されて受けられ、飲み口14に受けた注出内容液はその面積が大きいことを利用した周方向一部への口付け状態にて、従って飲み口14ではもとより注出口52a3での吸気を邪魔することなくスムーズな注出状態を得て、飲み口14への内容液の注出状態や注出量を確認しながらの過不足ない思い通りの注出調節の基に容易に飲めるようにする。従って、金属製真空二重容器1からの内容液を一旦面積の大きな基部通路52a1に受け入れて面積の小さな注出口52a3へスムーズに案内し、注出口52a3からはそれよりも面積が大きい飲み口14に注出して受けて、それを面積の大きな飲み口14周方向一部への口付けにより、飲み口14ではもとより注出口52a3での吸気を邪魔せずスムーズに注出させながら飲み口14への内容液の注出状態や注出量を確認して過不足ない思い通りの注出調節の基に容易に飲めることになる。
【0028】
また、片開き蓋7は閉じ状態において、飲み口14内に進入して注出口52a3をシールパッキン16で閉じるようにしており、面積の大きな飲み口14を閉じる必要がなく、飲み口14に開口している面積の小さな吸気兼用となる注出口52a3の1つをシールして閉じるだけで、内容液の流出はもとより少しの漏れ出しも阻止することができる。
【0029】
栓体5は、また、金属製真空二重容器1の口部1a外側に装着される外栓部51と、この外栓部51から口部1a内に入って基部通路52a1、注出口52a3および飲み口14を形成する中栓部52とを有し、中栓部52は、口部1a内側に沿う外筒52bと、基部通路52a1、注出口52a3および飲み口14を有して前記外筒52bに嵌め合わされて、相互間にシール構造を有した密閉中空部となる空間53を形成している。これにより、栓体5が外栓部51で口部1a外側に装着されて口部1a外回りを外装して、しかも、中栓部52で金属製真空二重容器1の側では得にくい基部通路52a1、注出口52a3および飲み口14を持った複雑な通路構造を容易に実現することができる。また、中栓部52は、基部通路52a1、注出口52a3および飲み口14を形成する内筒52aの立体形状と、外筒52bの口部1a内側に沿う単純形態とを利用して相互間に空間53を形成し、栓体5の金属製真空二重容器1側と上端側とを空気断熱することができ、保温、保冷のいずれにも好適である。特に、保冷時に栓体5の金属製真空二重容器1側と外気との温度差のために栓体5の上端面に結露するのを防止することができるし、空間53は内筒52aと外筒52bとの嵌め合わせ部間でのシール構造による密閉中空部であるので、内筒52aの空間53内表面に結露することはあっても流出することはない。このように、栓体5が外栓部51で口部1aを外装するように装着できて、しかも、中栓部52で基部通路52a1、注出口52a3および飲み口14を持った複雑な通路構造を容易に実現する。また、中栓部52が形成する空間53による空気断熱により保温、保冷特性を高められる。同時に、保冷時に外気との温度差のために栓体5の上端面に結露するのを防止できるし、空間53は内筒52a、外筒52b間でのシール構造により密閉空間で内筒52aの空間内表面に結露することはあっても流出することはないので、お手入れが不要となる。
【0030】
外栓部51は、真空二重容器1の口部1aの前記雄ねじ3に螺合して口部1aを覆うほぼ円筒形をなし、中栓部52は外栓部51の内側で口部1a内側進入し口部1aの段部に前記シールパッキン9を圧接させて真空二重容器1を密閉するように構成され、外栓部51に中栓部52が嵌めあわされて栓体5を形成している。飲み口14は中栓部52の天面のヒンジ連結部10とは反対の側、具体的には前部側に偏って位置し、片開き蓋7がヒンジ連結部10を中心に開いて後部側に起立し後傾した状態においてボトル本体20を前傾させたときに、片開き蓋7の邪魔なしに口を付けやすく、直飲みしやすいようにしている。
【0031】
ロック機構8は、ボトル本体20側に設けられたロック機構固定部である係合部31と、片開き蓋7に外面同士が面一となるのを常態として設けられて片開き蓋7が閉じられたとき前記係合部31に一時的な係合部31からの退避動作を伴い係合してロックし、また、外面からの一時的な退避操作によりロックを解除するロック機構可動部であるロック部材32とで構成している。これにより、ボトル本体20の上端部片側へのヒンジ連結部10を中心に、直飲み用の飲み口14をボトル本体20の上端部と共に覆って閉じ内容液の流出を防止し、また、ボトル本体20の上端および飲み口14を開放するようにヒンジ連結部10側に片開きして飲み口14から直飲みできるようにする片開き蓋7に対し、ロック部材32はボトル本体20との間で片開き蓋7が閉じられたときロック部材32をボトル本体20側の係合部31に一時退避動作を伴い係合させて閉じ状態にロックし、また、ロック部材32に外面からの一時的な退避操作を受けて前記ロックを解除するが、このロック、ロック解除のための可動部であるロック部材32が、片開き蓋7の側に設けられて、ボトル本体20の側のロック機構8における固定部としての係合部31に係脱して、片開き蓋7を閉じ状態にロックし、またロックを解除することができ、片開き蓋7と飲み口14との間に得た十分な奥行きおよび縦方向範囲のデッドスペースSを得て、片開き蓋7と外面同士が面一になるように、また十分な縦方向寸法を持って設けられる。
【0032】
この結果、直飲み用の飲み口14をボトル本体20の上端部と共に覆って閉じ、また、それらを開放するように片開きする片開き蓋7を閉じ状態にロックし、また、ロックを解除するロック機構8において、その可動部であるロック部材32を片開き蓋7の側に設けて、ボトル本体20の側の係合部31との係脱により片開き蓋7の閉じ状態へのロック、ロック解除ができ、片開き蓋7と飲み口14との間に得た十分な奥行きおよび縦方向範囲のデッドスペースSを利用して、片開き蓋7と外面同士が面一になり洗浄や拭き取りの作業の邪魔にならず、かつ、かさ張らず単純かつすっきりした外観が得られるし、他との引っかかりや当りによる外力を受けにくくするのに併せ、十分な縦方向寸法を有して操作しやすいものとすることができる。
【0033】
また、ロック部材32は、前記係合部31と係脱する係脱部材321と、この係脱部材321を片開き蓋7と外面同士が面一であることを常態として覆い外面からの押圧操作で係脱部材321を退避動作させるロック解除操作部材322とで構成している。
このように、ロック部材32が、ボトル本体20側の係合部31と係脱する係脱部材321を有することで、閉じられた片開き蓋7を係合部31からの一時的な退避動作を伴い係合して閉じ状態にロックすることができ、係脱部材321を片開き蓋7と外面同士が面一であることを常態として覆うロック解除操作部材322を有することで、ロック解除操作部材322とその動きだけが外観されるようにすることができる。従って、片開き蓋7と外面同士が面一であることを常態とするロック解除操作部材322のロック解除操作や復帰の動きだけを外観させて操作の単純さをユーザに直感させ使用しやすくすることができるし、係脱部材321を外力や異物の噛み込み、塵埃の付着などから保護できる。
【0034】
また、片開き蓋7には図1、図2、図8に示すような安全ストッパ33が設けられ、ロック解除操作部材322のロック解除操作を阻止する図2に示す操作阻止位置と、その阻止を解除する図8に示す操作阻止解除位置とに移動できるようにしている。これにより、安全ストッパ33が片開き蓋7上で操作阻止位置と操作阻止解除位置のどちらに移動させるかで、ロック解除操作部材322によるロック解除操作を阻止して不用意な操作が行われなくしたり、ロック解除操作して片開き蓋7の閉じ位置へのロックを解除できるようにしたりすることができる。従って、安全ストッパ33の片開き蓋7上での2つの位置間の選択的な移動操作だけで、ロック解除操作部材322によるロック解除操作を阻止して不用意な操作に対する安全を図りながら、必要に応じロック解除操作することができる。
【0035】
また、ボトル本体20の側に、ロック部材32ないしはその係脱部材321の退避動作完了後の延長動作で当接し合って片開き蓋7の開き方向側に誘導する図1、図3、図5〜図7に示すような案内部34を設けてある。これにより、ロック部材32ないしは係脱部材321がロック解除操作による一時退避動作で係合部31から外れて以降の延長動作ができ、これによってロック部材32ないしは係脱部材321はボトル本体20側の案内部34に当接して片開き蓋7を伴いそれが開く方向側に誘導されて、片開き蓋7を少なくともロック部材32ないしは係脱部材321によるロック位置から退避させるので、ロック部材32ないしは係脱部材321のロック解除操作からの解放時期が早すぎて再度ロックしてしまうようなことを回避することができる。従って、ロック部材32ないしは係脱部材321がロック解除操作により係合部31から外れて以降の延長動作でのボトル本体20側の案内部34との当接による誘導で、片開き蓋7を少なくともロック位置から退避させ、ロック部材32ないしは係脱部材321のロック解除操作の解放時期が早すぎ片開き蓋7を再度ロックしてしまい、再度のロック解除操作が必要となる不便をなくすことができる。
【0036】
さらに、係脱部材321およびロック解除操作部材322は、片開き蓋7に径方向に進退できるように支持され、係脱部材321を図1、図9に示すようにばね35により外径側に付勢して係脱部材321がボトル本体20側の図1、図7に示す内径側に向く係合部31との係合位置に常時位置し、かつロック解除操作部材322を係脱部材321により常態位置に保持するようにしている。これにより、係脱部材321およびロック解除操作部材322は共に片開き蓋7に対し径方向に進退するように単純に支持されて、しかも、ロック解除操作部材322による係脱部材321に対するばね35に抗し退避操作し、係脱部材321がばね35の付勢で復動するのにロック解除操作部材322を常態位置に復動させる、互いの動作伝達が摺動成分なしに行われる。従って、係脱部材321およびロック解除操作部材322は共に進退するだけの支持構造が簡単で安価なものとなる上、互いの必要な動作伝達が摺動成分や拗れなしにスムーズに行え、耐久性も高上する。
【0037】
さらに詳述すると、中栓部52は飲み口14が一体成形された図5〜図7に示すような内筒52aと内筒52aの外周側に空間53をなして嵌り合う外筒52bとで図1に示すような二重構造に形成されている。内筒52aは前記シールパッキン9を外周の溝52a9に装着して口部1aの段部に圧接させる大径の基部通路52a1からボトル本体20の中心近傍から前部側に絞った案内流路52a2をなして立ち上がり、上端部にヒンジ連結部10の近傍から片開き蓋7の周壁との間にロック機構8を設けるデッドスペースSを確保する前部位置まで、案内流路52a2よりも後方側に大きく広がる飲み口14に対し案内流路52a2よりも若干小さいが前後方向、従って、径方向に長くした注出口52a3にて通じるようにしている。飲み口14は底部が後部から前部へ深くなり、上端が後部から前部へと高くなる図7、図8に示すような皿型をなしている。ほぼ満水時状態で図1に示すように液面36が飲み口14の前端14aに届くまでボトル本体20を傾けたとき、飲み口14の前部には注出口52a3を通じて流出した内容液の溜まり部14bができ、この溜まり部14bに内容液を大径の基部通路52a1から注出口52a3側に狭くなる案内流路52a2に案内した上で、注出口52a3によりダイレクト流出を防止する、従って、ボトル本体20の傾け加減によって流出を止めたり、流出させたりする機能を発揮する少しの堰部52a4を有して、直飲みしやすい案内流路幅にさらに絞って注ぎ出しながら、思い通りの流出状態で直飲みできるようにしている。飲み口14の前端14aからの流出量を調整して乱れなく静かに直飲みすることができる。また、注出口52a3は図3、図6に示すように案内流路幅を規制する幅よりも径方向での前後方向長さの方が大きく、図1の液面36が示すように内容液が満杯状態から流出する場合でも注出口52a3の後部に吸気路域52a5が確保されるので、内容液を乱れなくスムーズに流出させられる。これによって、注出口52a3が、満杯状態の内容液をボトル体体20の傾けにより注出口52a3から注出させるときの液面36に対し吸気路域52a5を持つ位置および大きさに形成する吸気兼用の注出口52a3となっており、内容液が少ないときはもとより、満杯状態での注出時であっても内容液を注出口52a3から飲み口14へ注出しながら、周方向一部に口付けされる飲み口14を通じた吸気を確保することができる。
【0038】
内筒52aと外筒52bとは案内流路52a2まわりの全周に前記空間53を形成しており、中栓部52の天部での内外間を空気断熱するので金属製真空二重容器1と共に保温、保冷に有利であるし、保冷時に外気温との差で中栓部52の天面に結露するようなことを防止できる。内筒52aと外筒52bとは空間53を形成するために、上部と下部とで既述のシール構造を付与して嵌り合っているが、その少なくとも一方は全周につき接着、超音波溶着などしたシール一体化構造として、万一にも内容液が中栓部52の内側から外側に漏れ出るのを防止するようにしている。特に、図示例では内筒52aの飲み口14を持った天板52a6と、外筒52bの天板52b1との、嵌め合わせ部で超音波溶着し、内筒52aの基部通路52a1外周に外栓部51の下端を図4に示すように嵌め合わせてフランジ52a7で受け止め、その嵌め合わせ部間はシールパッキン37によりシールしてあり、シールパッキン37は内筒52aの基部通路52a1に形成した環状溝52a8に装着してある。外栓部51は外筒52bの天板52b1の外周に天板51aを無理嵌めした図1、図5に示す無理嵌め部39を有して一体化してあり、上部に片開き蓋7を開閉できるように支持する前記ヒンジ連結部を有している。さらに、図8に示すように天板52b1の下面には天板52a6の切り欠き52a10と嵌り合う凸部52b2を設け、互いの回り止め、位置決めをしている。
【0039】
片開き蓋7は閉じ状態で注出口52a3を閉じるシールパッキン16を天板7aから下向きに突出した突起7bの先端に取り付けてあり、天板7a上の前後方向のほぼ中央部から前部側周壁7cに至る図1、図8、図9に示すような鉤型のポケット41を設け、このポケット41にロック機構8を収容している。具体的には、ポケット41の天面前部の前方に開放した凹部42を形成して図1、図5、図9に示すようなΓ型の係脱部材321の上辺321aを前後摺動できるように受け入れ、ばね35により前部側に付勢している。この付勢によって係脱部材321の下端にある前部に向いたフック321bがボトル本体20の外栓部51の前部上端に後部に向いて一体形成した図1、図7に示すようなフック形の係合部31に係合する位置を保たせるようにしている。この係脱部材321を嵌め入れた図9に示す状態のポケット41に、図1、図8、図9に示すような鉤型のロック解除操作部材322を上方から嵌め入れて、上辺322aの下面の前後方向の中央部両側に下向きに一体形成した一対のフック片322bを、ポケット41の天面部両側壁面に内向きに一体形成した係合部41aを弾性係合させることにより、上方への抜け止め状態で前後にスライドできるように取り付け、同時に、ロック解除操作部材322によって係脱部材321をポケット41内に前後摺動できるように保持するようにしている。ロック解除操作部材322の上辺322aにおける下面の前記フック片322bの前部側に前記係合部41aの前端と対抗するストッパ322cを一体形成してあり、ロック解除操作部材322によって係脱部材321をばね35に抗して後退させ、係合部31との係合を外して片開き蓋7のロックを解除して、さらに、係脱部材321のフック321bを前記案内部34に乗り上げさせて、片開き蓋7の初期開きを達成する時点で、ストッパ322cが係合部41aに当接し、それ以上の操作を防止するようにしている。また、ロック解除操作部材322はその上辺322aの前部から垂下する押し込み操作片322dの下端が図1に示すように片開き蓋7の周壁7cのポケット41の底部から立ち上がる立ち上がり壁41cに内側から当接することで、復帰位置が規制され、またポケット41から前方へ抜け出るのを防止されている。またボトル本体20側の係合部31は外栓部51の上端から図1、図7に示すように突出して形成され、片開き蓋7の周壁7bにはこれに対する逃げとなる図2、図7、図8に示すようなきり欠き7dを設けてあり、この切り欠き7dに係脱部材321のフック321bが図7、図8に示すように内側から臨んでいる。
【0040】
したがって、ロック解除操作部材322の過剰な操作を阻止してそれ自体や他の部材などの損傷を防止して、しかも、片開き蓋7はロック解除操作の最終段階での初期開きにより係脱部材321によるロック位置から上方へ退避しているので、ロック解除操作部材322や片開き蓋7が解放されて係脱部材321がばね35の付勢によってロック解除操作部材322を伴い係合位置に復帰したとき、片開き蓋7を再度ロックすることはなく、片開き蓋7は、ばね131の付勢によって自動的に確実に開かれる。片開き蓋7が開き位置から閉じられると、係脱部材321はボトル本体20側の係合部31との係合位置に復帰しているが、ロック解除操作部材322の内側で単独にスライドできるので、片開き蓋7の閉じの最終段階でフック321bが係合部31に上方から当接していくときに、それらの一方または双方の斜面や曲面での滑りによって係脱部材321がばね35に抗し一時的に後方へ単独で退避させられながら係合部31との係合位置に達する。フック321bが係合部31との係合位置に達したとき、係脱部材321はばね35の付勢により係合位置に単独で復帰しフック321bが係合部31に図1に示すように係合するので、片開き蓋7を自動的に閉じ状態にロックする。なお、片開き蓋7を閉じるのに、自由端部の上面および前面に掛けて位置するロック解除操作部材322を押圧する形で閉じ操作すればよく、このように閉じ操作はロック解除操作部材322に対する押圧力を働かせるだけであるので、前後にスライドするロック解除操作部材322を不用意に移動させることはないし、ロック解除操作部材322はポケット41の底部に受けられて破損するようなことはない。
【0041】
しかも、図8に示すようにロック解除操作部材322は広く大きなものとして設けられるので、操作性が向上し動きが安定しがたつかない利点がある。また、その内側の係脱部材321も外部に露出させないで大きくすることができ、係合音を伴うロック感やロックの確実性が増す。また、片開き蓋7上の主要部材であるロック解除操作部材322は係脱部材321、安全ストッパ33と共に飲み口14とほぼ対応する位置にあって、しかも、ほぼ飲み口14に対応する鉤型面範囲内に収まって設けられる。
【0042】
前記安全ストッパ33は樹脂製の一体成形品で、図1、図2、図8に示すような左右方向に長い操作頭部33aを有し、ロック解除操作部材322の上辺322aに形成した凹部61内を左右にスライドできるように収容される。安全ストッパ33は凹部61の底部に設けた図1、図9に示すような左右のスライド窓61aに操作頭部33aの下面の左右方向中央部の両側に一体成形した図1、図9に示すようなフック片33bを上方から弾性係合させて抜け止めし、左右にスライドできるように支持される。操作頭部33aの下面にはさらに、図9に示すようなストッパ33cが一体成形されている。安全ストッパ33のロック解除操作を阻止する図1に示す阻止位置では、ストッパ33cがポケット41の天面部の後部に一体成形された受け止め突起41bと対向して、ロック解除操作部材322が後退操作されると、従って、ロック解除操作されると、それらストッパ33cと受け止め突起41bとが突っ張って、後退操作、従ってロック解除操作を阻止する。また、安全ストッパ33の図8に示す阻止解除位置では、ストッパ33cが受け止め突起41bとの対向位置から外れ、ロック解除操作部材322が後退させられても、従って、ロック解除操作されても、ストッパ33cは受け止め突起41bに当接せず、後退操作、従ってロック解除操作を阻止しない。なお、図示しないがフック片33bの一方とこれが摺動するスライド窓61aの縁との間でクリック係合する係合部を前記阻止位置と阻止解除位置とに対応する2箇所に設け、安全ストッパ33をいずれかの位置に選択的に安定させられるようにする。なお、安全ストッパ33は横スライド方式の動作部材としたが、押し込み方向での動作部材とすることもできる。
【0043】
なお、栓体5の中栓部52は、ボトル体1の口部1a内側に沿う外筒52bと、この外筒52bに嵌め合わされて相互間に空間53を形成した内筒52aとの組み合わせとするのに、上記実施の形態とは別に、中栓部52は、基部通路52a1の下端部外周でボトル体1の口部1aとの間をシールするシールパッキン9と、空間53の上側および下側の少なくとも一方において内外筒52a、52b間をシールしたシールパッキン37とを設ければ、中栓部52はボトル体1の口部1aへの装着によって口部1aとの間をシールでき、内外筒52a、52bの間がシールされているので、内容液が漏れ出ることはない。よりよくは上記実施の形態のように空間53の上側および下側双方に内外筒間のシール部があれば、既述したように空間53は密閉空間となり、空気断熱効果が向上する上、内筒52aの空間53内側面で結露が生じても外部に漏れ出る心配はなく、内外筒52a、52b間のシール部が弾性を持ったシールパッキン37のみによるものであれば、内外筒52a、52bの嵌め合わせを外して空間53内側を露出させ、結露水などを排出し、拭い取るお手入れができ、シール部が既述したように超音波溶着や接着、無理嵌め構造などの一体化を伴うものであれば、内側に結露してもお手入れは不要となる。
【0044】
ここで、中栓部52の内外筒52a、52bの組み合わせを着脱できるようにした実施の形態を示すと、図10に示すように内外筒52a、52b間の空間53の上側相互間に弾性を有したシールパッキン37によるシール部を設け、空間53の下側相互間はシールパッキン37の弾性嵌合による滑り止め機能による当たり保持による閉じ部としてあり、空間53を一応の閉空間にするように構成しているが、内外筒52a、52bはシールパッキン37による滑り止め力に打ち勝って嵌め合わせたり、嵌め合わせを外したりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明はボトル栓、片開きボトルに実用して、ロック機構の可動部を片開き蓋の外面から突出せず、かつ操作しやすく設けられる。
【符号の説明】
【0046】
1 真空二重容器
1a 口部
5 栓体
51 外栓部
52 中栓部
52a 内筒
52b 外筒
52a1 基部通路
52a2 案内流路
52a3 注出口
52a4 堰部
52a5 吸気路域
7 片開き蓋
8 ロック機構
9、16、37 シールパッキン
10 ヒンジ連結部
14 飲み口
20 ボトル本体
131 ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル体の上端に装着される栓体を有し、この栓体にボトル体内に通じる基部通路と、この基部通路に注出口を介して通じた直飲みできる飲み口とを設け、栓体は、ボトル体の口部外側に装着される外栓部と、この外栓部からボトル体の口部内側に入って前記基部通路、注出口および飲み口を形成する中栓部とを有し、中栓部は、ボトル体の口部内側に沿う外筒と、前記基部通路、注出口および飲み口を有して前記外筒に下方から取り外せるように回り止め状態に嵌め合わされて相互間に空間を形成した内筒との組み合わせとしたことを特徴とするボトル栓。
【請求項2】
前記空間の上側および下側において内外筒間をシールしたシール部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のボトル栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−82017(P2012−82017A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−10120(P2012−10120)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2007−79569(P2007−79569)の分割
【原出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】