説明

ボトル缶の製造方法

【課題】 ネックイン加工時にしわが発生する等の不具合を生じさせることなくボトル缶を形成する。
【解決手段】 金属板に絞り加工およびしごき加工を施して形成されたDI缶10の外表面に外面塗料を塗布するとともに、DI缶10の内表面に内面塗料を吹き付けた後に、これらの塗料を乾燥させて外面塗膜38および内面塗膜37を形成し、その後このDI缶10の缶軸方向上部13にネックイン加工を施して肩部31と口金部34とを形成し、さらにこの口金部34の開口端部にカール部33を形成してボトル缶30を形成するボトル缶の製造方法であって、DI缶10の内表面のうち少なくとも缶軸方向上部13に内面塗料を吹き付ける際、この吹き付け位置の缶軸方向上端10dを、このDI缶10の開口端10a、若しくはこの開口端10aより下方、かつこのDI缶10の開口端部10bの下端より上方に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はボトル缶の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料等の内容物が充填される容器として、口金部に対してキャップが着脱可能とされたボトル缶が知られている。このボトル缶は、金属板に絞り加工およびしごき加工が施されてDI缶とされた後に、この開口端部にトリム加工を施してこれを切除し、その後このDI缶の内外表面にそれぞれ、内面塗膜および外面塗膜を形成した後に、このDI缶の缶軸方向上部(以下、「DI缶の上部」という)にネックイン加工を施して、胴部の上端に連なる肩部とこの肩部の上端に連なる口金部とを形成し、その後この口金部にねじ成形加工やカール部成形加工等が施されて形成される。
【0003】
ここで、前記内面塗膜は、例えば下記特許文献1に示されるように、充填された内容物に対する耐腐食性をボトル缶に具備させる等のために形成され、エポキシアクリル系樹脂あるいはポリエステル系樹脂等の熱硬化性樹脂により形成されている。この内面塗膜は、一般にDI缶の内表面に内面塗料を霧状にして吹き付けた後に、これを乾燥して硬化させることにより形成される。
【特許文献1】特開2003−191926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のボトル缶の製造方法では、内面塗料をDI缶の内表面に吹き付けるときに、その吹き付け位置の缶軸方向上端をDI缶の缶軸方向上端よりも上方に位置させることにより、DI缶の上部に形成される内面塗膜の膜厚をその全域に亙って安定させることがなされている。
【0005】
したがって、DI缶の内表面に向けて吹き付けられた内面塗料の一部が、この内表面に付着せず周囲に飛散してしまうことがあり、この塗料の歩留まりや周囲環境を悪化させるおそれがある。また、周囲に飛散する内面塗料の一部が、DI缶の外表面に付着することによりこの外表面を汚し、ボトル缶の美観を損ねたり、あるいはこの外表面に付着した内面塗料が前記各塗膜形成後に微小な突起体となり、この突起体がネックイン加工時にしわを発生させる起点として作用するおそれもある。
【0006】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、ネックイン加工時にしわが発生する等の不具合を生じさせることなくボトル缶を形成することができるボトル缶の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明のボトル缶の製造方法は、金属板に絞り加工およびしごき加工を施して形成されたDI缶の外表面に外面塗料を塗布するとともに、前記DI缶の内表面に内面塗料を吹き付けた後に、これらの塗料を乾燥させて外面塗膜および内面塗膜を形成し、その後このDI缶の缶軸方向上部にネックイン加工を施して肩部と口金部とを形成し、さらにこの口金部の開口端部にカール部を形成してボトル缶を形成するボトル缶の製造方法であって、前記DI缶の内表面のうち少なくとも前記缶軸方向上部に前記内面塗料を吹き付ける際、この吹き付け位置の缶軸方向上端を、このDI缶の開口端、若しくはこの開口端より下方、かつこのDI缶の開口端部の下端より上方に位置させることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、前記吹き付け位置の缶軸方向上端を、このDI缶の開口端、若しくはこの開口端より下方、かつこのDI缶の開口端部の下端より上方に位置させるので、DI缶の上部内表面に吹き付けた内面塗料が、このDI缶の開口端を越えて周囲に飛散したり、あるいはDI缶の外表面に付着したりするのを防ぐことが可能になり、この塗料の歩留まりや周囲環境を悪化させること、およびネックイン加工時にDI缶にしわが発生することを防止することができる。
【0009】
ここで、前記内面塗膜および前記外面塗膜を形成した後、前記ネックイン加工を施す前に、前記DI缶の開口端部に前記トリム加工を施し、この開口端部を切除してもよい。
【0010】
この場合、前記吹き付け位置の缶軸方向上端を、このDI缶の開口端、若しくはこの開口端より下方、かつこのDI缶の開口端部の下端より上方に位置させたことによって、DI缶の開口端部に内面塗膜が形成されていなかったり、あるいはその膜厚が薄くなり過ぎていたとしても、この開口端部をネックイン加工前に切除するので、ネックイン加工時に、DI缶の内側に配置される内側金型の外表面が、前記DI缶の開口端部によって傷付いたり、焼き付いたりするのを防ぐことができる。
【0011】
さらに、ネックイン加工前のDI缶に前記トリム加工を施すので、ネックイン加工により形成された口金部の開口端部にカール部を形成する際、この開口端部の内表面に内面塗膜が形成されていなかったり、その膜厚が薄くなりすぎていることはなく、十分な膜厚の内面塗膜が形成された前記開口端部にカール部を形成することができる。
【0012】
したがって、カール部を形成する際に、この開口端部の内表面、つまりカール部の外表面に大きな摩擦力が発生して傷が付くのを防ぐことが可能になり、外観不良の発生を防止することができる。
なお、前記トリム加工により切除するDI缶若しくは口金部の開口端部は、その開口端から缶軸方向下方に0.5mm以上離れた位置までの部分としてもよい。
【0013】
さらに、前記DI缶の外表面に外面塗料を塗布する際、この塗布位置の缶軸方向上端を、このDI缶の開口端より下方、かつ前記開口端部の下端より上方に位置させてもよい。
【0014】
この場合、DI缶の内側に配置されてこのDI缶を支持するマンドレルと、このマンドレルの中心軸線と平行な中心軸線を有し、かつDI缶の外側に配置される塗布ロールとを備え、DI缶の内外周面をマンドレルと塗布ロールとで挟み込んだ状態で、このDI缶をその缶軸回りに塗布ロールの外周面に対して相対的に回転させることにより、このDI缶の外周面の全周に外面塗料を塗布する構成とされた外面塗料塗布装置を用いて、DI缶の外表面に外面塗料を塗布する際、塗布ロールのうち、DI缶の上部に外面塗料を塗布する一端部側の端面を、DI缶の缶軸方向において、開口端よりも胴部側に位置させることが可能になる。
【0015】
したがって、DI缶の外表面に塗布された外面塗料が、DI缶の開口端を乗り越えてマンドレルの外表面に付着するのを防ぐことが可能になり、次のDI缶がマンドレルによりその内周面側から支持されたときに、このDI缶の内周面に外面塗料が付着するのを防ぐことができる。これにより、ボトル缶の検査において、この外面塗料の付着した部分が異物と判定されるのを防ぐことができる。
【0016】
さらに、ネックイン加工前に、DI缶の外表面において外面塗膜が形成されていない金属露出部分の位置する前記開口端部にトリム加工を施してこれを切除する場合には、ネックイン加工時に、DI缶の上部をその外周面側から絞る外側金型の内表面が、前記金属露出部分によって傷付けられたり、焼き付いたりするのを防ぐことができる。
【0017】
また、塗布ロールの前記一端部側の端面が、DI缶の缶軸方向において開口端よりも胴部側に位置されるように、前記端面と開口端との間に缶軸方向の距離が設けられているので、塗布ロールをその中心軸線方向にマンドレルに対して高精度に位置決めしなくても、塗布ロール上の外面塗料がマンドレルに付着するのを抑制することが可能になるため、この外面塗料塗布装置のメンテナンス工数の低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ネックイン加工時にしわが発生する等の不具合を生じさせることなくボトル缶を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。
アルミニウム合金等からなる金属板に絞り加工およびしごき加工を施して有底筒状のDI缶10を形成した後に、このDI缶10の開口端部に第1トリム加工を施してこれを切除する。この第1トリム加工では、このDI缶10における開口端から缶軸方向下方に約0.5mm離れた部分までを切除する。
その後、このDI缶10の内表面および外表面にそれぞれ、内面塗膜37および外面塗膜38を形成する。
【0020】
まず、このDI缶10の内表面に内面塗膜37を形成する方法について説明する。
DI缶10を開口部を解放した状態で図示されない保持テーブル上に保持させた後に、このDI缶10をその缶軸回りに回転させながら、内面塗料を霧状にしてこのDI缶10の内表面に吹き付ける。
【0021】
ここで、DI缶10の内表面のうち少なくとも前記上部13に内面塗料を吹き付ける際、この吹き付け位置の缶軸方向上端10dを、このDI缶10の開口端10aより下方、かつ後述する第2トリム加工で切除される開口端部10bの下端より上方に位置させる。したがって、前記開口端部10bの内表面において、開口端10aに連なる周辺部は、内面塗料が塗布されていない内面側金属露出部分10cとされている。また、DI缶の上部13の内表面に位置する内面塗料の塗布厚は、DI缶10の開口端部10bに位置する部分がこれより下方に位置する部分より薄くなる。
【0022】
なお、開口端部10bを除くDI缶の上部13は、これより下方に位置する部分よりも内面塗料の塗布量が多く、例えば開口端部10bを除くDI缶の上部13は40mg/dm以上で、これより下方に位置する部分は30mg/dm以上でそれぞれ塗布される。
その後、内面塗料を乾燥、硬化させて、内面側金属露出部分10cを除くDI缶10の内表面の全域に内面塗膜37を形成する。
【0023】
次に、このDI缶10の外表面に外面塗膜38を形成する方法について説明する。
まず、DI缶10の外表面に外面塗料を塗布する装置20について説明する。この装置20は、DI缶10の内側に配置されてこのDI缶10を支持する円柱状若しくは筒状のマンドレル21と、このマンドレル21の中心軸線と平行な中心軸線を有し、かつDI缶10の外側に配置される円柱状若しくは筒状の塗布ロール22とを備え、DI缶10の内外周面をマンドレル21と塗布ロール22とで挟み込んだ状態で、このDI缶10をその缶軸回りに塗布ロール22の外周面に対して相対的に回転させることにより、このDI缶10の外周面の全周に外面塗料38aを塗布する構成とされている。なお、塗布ロール22の外周面には、外面塗料38aがその略全域に亙って保持されている。
【0024】
そして、マンドレル21にDI缶10が支持されたとき、図2に示すように、DI缶の上部13に外面塗料38aを塗布する塗布ロール22の一端部側の端面22aが、DI缶10の缶軸方向において、開口端10aよりも胴部側に位置されるようになっている。本実施形態では、塗布ロール22の前記端面22aは、DI缶10の缶軸方向において、開口端10aよりも胴部側(下方)で、かつ開口端部10bの下端よりも上方に位置されている。
【0025】
以上のように構成された装置20により、DI缶10に外面塗料38aを塗布すると、外面塗料38aは、DI缶10の外表面において開口端10aよりも下方で、かつ開口端部10bの下端よりも上方が、塗布位置の缶軸方向上端10eとされて、これより下方に位置する底部を除く全域に塗布される。これにより、前記開口端部10bの外表面において、開口端10aに連なる周辺部は、外面塗料38aが塗布されていない外面側金属露出部分10fとされる。
その後、外面塗料38aを乾燥、硬化させて外面塗膜38を形成する。
【0026】
次に、本実施形態では、内面塗膜37および外面塗膜38を形成した後、DI缶の上部13にネックイン加工を施す前に予め、DI缶10の開口端部10bに第2トリム加工を施し、この開口端部10bを切除する。つまり、図1および図2の2点鎖線で示す切断線Lに沿って、前記各金属露出部分10c、10fを含む開口端部10b全体をDI缶10から切除することにより、DI缶の上部13に位置する内面塗膜37および外面塗膜38の各膜厚を金属露出部分のない状態でその全域に亙ってそれぞれ均等にする。
なお、DI缶10の開口端10aと前記切断線Lとの缶軸方向における大きさ、つまり開口端部10bの缶軸方向の大きさは0.5mm以上、好ましくは約0.7mmとすることができる。
【0027】
その後、このDI缶の上部13にネックイン加工を施し、胴部の缶軸方向上端に連なり上方に向かうに従い漸次縮径された肩部31と、この肩部31の上端に連なり上方に延在した口金部34とを形成し、さらにこの口金部34にねじ成形加工やカール部成形加工等を施して、雄ねじ部32およびカール部33等を形成することによりボトル缶30を形成する。
【0028】
以上説明したように本実施形態によるボトル缶の製造方法によれば、DI缶10の内面のうち少なくともDI缶の上部13に内面塗料を吹き付ける際、この吹き付け位置の缶軸方向上端10dを、このDI缶10の開口端10aより下方、かつこのDI缶10の開口端部10bの下端より上方に位置させるので、DI缶の上部13の内表面に吹き付けた内面塗料が、このDI缶10の開口端10aを越えて周囲に飛散したり、あるいはDI缶10の外表面に付着したりするのを防ぐことが可能になり、この塗料の歩留まりや周囲環境を悪化させること、およびネックイン加工時にDI缶10にしわが発生することを防止することができる。
【0029】
また、前記吹き付け位置の缶軸方向上端10dをこのように位置させたことによって、DI缶10の開口端部10bに、内面塗膜37の形成されていない内面側金属露出部分10cが生ずることになるが、本実施形態では、ネックイン加工前に、この内面側金属露出部分10cを有する開口端部10bに第2トリム加工を施してこれを切除するので、ネックイン加工時に、DI缶10の内側に配置される内側金型の外表面が、内面側金属露出部分10cによって傷付けられたり、焼き付くのを防ぐことができる。
【0030】
さらに、ネックイン加工前のDI缶10に前記第2トリム加工を施すので、ネックイン加工により形成された口金部34の開口端部にカール部33を形成する際、この開口端部の内表面にはその全域に十分な膜厚の内面塗膜38が形成されていることになる。したがって、カール部33を形成する際に、口金部34の開口端部の内表面、つまりカール部33の外表面に大きな摩擦力が発生して傷が付くのを防ぐことが可能になり、外観不良の発生を防止することができる。
【0031】
さらに、本実施形態では、DI缶10の外表面に外面塗料38aを塗布する際、この塗布位置の缶軸方向上端10eを、このDI缶10の開口端10aより下方、かつ開口端部10bの下端より上方に位置させているので、マンドレル21にDI缶10を支持させたときに、塗布ロール22の前記端面22aを、DI缶10の缶軸方向において開口端10aよりも胴部側に位置させることが可能になる。
【0032】
したがって、DI缶10の外表面に塗布された外面塗料38aが、DI缶10の開口端10aを乗り越えてマンドレル21の外表面に付着するのを防ぐことが可能になり、次のDI缶10がマンドレル21によりその内周面側から支持されたときに、このDI缶10の内周面に外面塗料38aが付着するのを防ぐことができる。これにより、ボトル缶30の検査において、この外面塗料38a(外面塗膜38)の付着した部分が異物と判定されるのを防ぐことができる。
【0033】
このように、前記塗布位置の缶軸方向上端10eを、DI缶10の開口端10aよりも下方に位置させたことによって、DI缶10の開口端部10bに、外面塗膜38の形成されていない外面側金属露出部分10fが生ずることになるが、本実施形態では、ネックイン加工前に、外面側金属露出部分10fの位置する開口端部10bに第2トリム加工を施してこれを切除するので、ネックイン加工時に、DI缶の上部13をその外周面側から絞る外側金型の内表面が、外面側金属露出部分10fによって傷付けられたり、焼き付いたりするのを防ぐことができる。
【0034】
また、塗布ロール22の前記一端部側の端面22aが、DI缶10の缶軸方向において開口端10aよりも胴部側に位置されるように、前記端面22aと開口端10aとの間に缶軸方向の距離が設けられているので、塗布ロール22をその中心軸線方向にマンドレル21に対して高精度に位置決めしなくても、塗布ロール22上の外面塗料38aがマンドレル21に付着するのを抑制することが可能になるため、この外面塗料塗布装置20のメンテナンス工数の低減を図ることができる。
【0035】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、前記実施形態では、DI缶10の内表面のうち少なくとも前記上部13に内面塗料を吹き付ける際、この吹き付け位置の缶軸方向上端10dを、このDI缶10の開口端10aより下方、かつ開口端部10bの下端より上方に位置させたが、前記吹き付け位置の缶軸方向上端10dを開口端10aにあわせてもよい。
【0036】
この場合において、内面塗膜37のうちDI缶10の開口端部10bに位置する部分の膜厚が薄くなり過ぎたとしても、ネックイン加工前にDI缶10の開口端部10bに前記第2トリム加工を施しこれを切除することにより、前記内側金型の外表面に傷が付いたり、焼き付いたりするのを防ぐことができるとともに、カール部33の外表面に傷が付くのを防ぐことができる。
【0037】
さらに、前記実施形態では、DI缶10の外表面に外面塗料38aを塗布する際、この塗布位置の缶軸方向上端10eを、このDI缶10の開口端10aより下方、かつ開口端部10bの下端より上方に位置させたが、DI缶10の開口端10aにあわせてもよい。
【0038】
この場合において、例えば塗布ロール22のその中心軸線方向のがたつきに起因した移動によって、マンドレル21の外周面に外面塗料38aが付着し、次のDI缶10がこのマンドレル21に支持されたときに、このDI缶10の開口端部10bにおける内表面に外面塗料38aが付着したとしても、ネックイン加工前にDI缶10の開口端部10bに前記第2トリム加工を施しこれを切除することにより、ボトル缶の検査において、この外面塗料38a(外面塗膜38)の付着した部分が異物と判定されるのを防ぐことができる。
【0039】
また、塗布ロール22の前記移動によって、DI缶10の開口端部10bに外面側金属露出部分10fが生じた場合においても、ネックイン加工前に、DI缶10の開口端部10bに前記第2トリム加工を施しこれを切除することにより、ネックイン加工時に、DI缶の上部13をその外周面側から絞る外側金型の内表面が、外面側金属露出部分10eによって傷付けられたり、焼き付いたりするのを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
ネックイン加工時にしわが発生する等の不具合を生じさせることなくボトル缶を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るボトル缶の製造方法の一実施形態において、DI缶に内面塗膜および外面塗膜を形成した後、ネックイン加工を施す前の状態を示すDI缶の一部拡大縦断面図である。
【図2】図1に示すDI缶の外面塗膜を形成する工程において、DI缶の外表面に外面塗料を塗布している状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0042】
10 DI缶
10a 開口端
10b 開口端部
10d 吹き付け位置の缶軸方向上端
10e 塗布位置の缶軸方向上端
13 DI缶の上部(DI缶の缶軸方向上部)
30 ボトル缶
31 肩部
33 カール部
34 口金部
37 内面塗膜
38 外面塗膜
38a 外面塗料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板に絞り加工およびしごき加工を施して形成されたDI缶の外表面に外面塗料を塗布するとともに、前記DI缶の内表面に内面塗料を吹き付けた後に、これらの塗料を乾燥させて外面塗膜および内面塗膜を形成し、その後このDI缶の缶軸方向上部にネックイン加工を施して肩部と口金部とを形成し、さらにこの口金部の開口端部にカール部を形成してボトル缶を形成するボトル缶の製造方法であって、
前記DI缶の内表面のうち少なくとも前記缶軸方向上部に前記内面塗料を吹き付ける際、この吹き付け位置の缶軸方向上端を、このDI缶の開口端、若しくはこの開口端より下方、かつこのDI缶の開口端部の下端より上方に位置させることを特徴とするボトル缶の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のボトル缶の製造方法において、
前記内面塗膜および前記外面塗膜を形成した後、前記ネックイン加工を施す前に、前記DI缶の開口端部に前記トリム加工を施し、この開口端部を切除することを特徴とするボトル缶の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のボトル缶の製造方法において、
前記DI缶の外表面に外面塗料を塗布する際、この塗布位置の缶軸方向上端を、このDI缶の開口端より下方、かつ前記開口端部の下端より上方に位置させることを特徴とするボトル缶の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−84081(P2007−84081A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271835(P2005−271835)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(305060154)ユニバーサル製缶株式会社 (219)
【Fターム(参考)】