説明

ボロン酸およびその誘導体の調製方法

【課題】大量の2−カルボキシフェニル−ボロン酸の調製のための新規方法の提供。
【解決手段】4,4−ジメチル−2−フェニル−オキサゾリンのグリニャール試薬でのメタル化により、4,4−ジメチル−2−フェニル−オキサゾリンマグネシウムクロライドを製造し、次いで該化合物にホウ酸トリエステルを反応させ、さらに加水分解することにより、オキサゾール環の開環、エステルの加水分解を行い、4,4−ジメチル−2−フェニル−オキサゾリンボロン酸誘導体を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成中間体として有用な2−カルボキシフェニル−ボロン酸またはその塩を調製するための代替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2−カルボキシフェニル−ボロン酸は、カルボキシ置換ジフェニル化合物を得るためのカップリング反応において特に有用な中間体である。Synthesis 2002年、1043〜1046ページには、2−トリルボロン酸の過マンガン酸カリウムでの酸化によるこの酸の合成を記載している。しかし、この方法においては、工業的規模での効率性も、カップリング反応でその後使用する場合の輸送および/または貯蔵のために反応混合物から大量のこの酸が単離できることも証明されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、大量の2−カルボキシフェニル−ボロン酸の調製のための代替法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
式(I)の化合物を得るために式(III)の4,4−ジメチル−2−フェニル−オキサゾリンのメタル化(metallation)、式(I)の化合物の式(VII)の対応するボロン酸誘導体への変換、化合物(VII)の式(V)の2−カルボキシフェニル−ボロン酸またはその塩への変換およびその回収を含む、2−カルボキシフェニル−ボロン酸の調製および回収のための方法が見出された。
【0005】
2−カルボキシフェニル−ボロン酸ナトリウム塩の多形性形態は、知られているXRPD技法(X−線粉末回折:X-ray powder diffraction)で特徴付けられた。
【0006】
X−線回折スペクトル(XRPD)は、次の操作条件:CuKα放射線(λ=1.5418Å)、1秒間0.03°の角度ステップで3〜40°の走査下で粉末および液体(イタル−構造(Ital−Structures))に対するAPD2000θ/θ自動回折計で記録された。
【0007】
2−カルボキシフェニル−ボロン酸ナトリウム塩の結晶性一水和物形態は、図で報告される通りのXRPDスペクトルを有する。
【0008】
サンプルの水分含有量は、カール−フッシャー法により測定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明の目的は、式(I)
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、Xはハロゲンである)の化合物の調製方法であって、非プロトン性有機溶媒中で、式(II):
R−Mg−X (II)
(式中、Xはハロゲンであり、RはC1〜C8アルキル基またはC5〜C8シクロアルキル基である)の化合物と、式(III):
【0012】
【化2】

【0013】
の化合物との反応を含む方法である。
【0014】
1〜C8アルキル基としてのRは、例えば、直鎖または分岐C3〜C6アルキル基、特にプロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルまたはペンチルである。
【0015】
5〜C8シクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル基、特にシクロヘキシルである。
【0016】
ハロゲンXは、例えば、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくは、塩素である。
【0017】
非プロトン性有機溶媒は、例えば、エーテル溶媒、例えば、ジエチルエーテル、tert−ブチル−メチルエーテル、ジメトキシメタン、テトラヒドロフランおよびメチル−テトラヒドロフランから選択される;脂肪族炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンから選択される;芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンから選択される;または前記溶媒の2、3または4つの混合物であり、好ましくはテトラヒドロフランである。
【0018】
式(II)の化合物および式(III)の化合物との間の反応は、室温から反応混合物の還流温度の範囲の温度、好ましくは約50℃から還流温度、特に還流温度で、約12〜48時間、一般的には約15〜20時間の範囲の時間で行うことができる。
【0019】
式(II)の化合物は、知られている方法により、例えば、式(IV):
R−X (IV)
(式中、RおよびXは上記で定義された通りである)の化合物と、金属マグネシウムと、の反応により得ることができる。式(III)および(IV)の化合物は知られている。
【0020】
式(I)(ここで、Xは塩素である)の化合物は新規であり、本発明の更なる目的である。
【0021】
本発明の更なる目的によれば、式(I)の化合物は、式(V)
【0022】
【化3】

【0023】
の2−カルボキシベンゼン−ボロン酸またはその塩に、
【0024】
【化4】

【0025】
と、
a)式(I)
(I)
(式中、Xはハロゲンである)の化合物と、
式(VI):
B(OR13 (VI)
(式中、各R1は、同じか異なることができ、C1〜C8アルキル、アリール、アリール−C1〜C8アルキルであり、または2つのR1は一緒になって−(CH2m−V−(CH2n−基(ここで、mおよびnは、同じか異なることができ、0または1であり、VはNR3またはC(R32(ここで、R3は、水素、C1〜C8アルキル、アリールまたはアリール−C1〜C8アルキルである)である)を形成し、残りのR1は上記で定義された通りである)の化合物と、を反応させて、式(VII)
【0026】
【化5】

【0027】
(式中、各R1は、同じか異なることができ、上記で定義された通りである)の化合物を得る反応と、
(b)式(VII)の化合物の式(V)の酸への変換、ならびに所望により、式(V)の酸のその塩への変換と
を含む方法により変換することができる。
【0028】
式(V)の酸の塩は、例えば、アルカリまたはアルカリ土類金属、典型的には、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウムまたはバリウムであり、好ましくはナトリウムの塩である。
【0029】
1〜C8アルキル基としてのR1およびR3は、例えば、直鎖または分岐C1〜C4アルキル基、特に、それぞれが独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルあるいはブチルである。
【0030】
アリール基は、例えば、フェニルまたはナフチルであり、特にフェニルである。
【0031】
アリール−C1〜C8アルキル基は、例えば、アリール−C1〜C4アルキル基であり、特にベンジルまたはフェニルエチルである。
【0032】
式(I)の化合物と式(VI)の化合物との間の反応は、知られている方法、例えば、米国特許第2898365号およびWO99/64428に開示されている方法により行うことができる。
【0033】
本明細書で記載の方法により調製される式(I)の化合物は、好ましくは反応混合物からは単離せず、そのまま使用する。
【0034】
式(VII)の化合物の式(V)の酸への変換は、例えば、中性および塩基性の両方、または酸性媒体中で、特にプロトン性溶媒、例えば、水、C1〜C6アルカノールまたはアンモニア中で、あるいは式(I)の化合物を調製するのに使用される溶媒とこれらの混合物中での加水分解により、好ましくは反応混合物の還流温度での加水分解により行うことができる。
【0035】
ボロン酸エステルの加水分解およびオキサゾール環の開環は、実質的に同時に、即ち、互いに直前または直後にほぼ同時に(互いの一方の開始の直前または直後に他方が開始するようにほぼ同時に)起こすことができる。水および式(I)の化合物を調製するために使用される有機溶媒の混合物において得られる懸濁液は、特に式(V)の酸、1,1−ジメチル−エタノールアミン(式(VII)の化合物のオキサゾール環の開環で得られる)および先行反応から誘導されるマグネシウム塩を含む。その後の濾過で、殆どのマグネシウム塩を除去することが可能である。次いで、有機溶媒は、知られている方法、例えば、減圧蒸留により、または相分離により除去することができる。式(V)の化合物、1,1−ジメチル−エタノールアミンおよび副生成物塩を含む水溶液はこの様にして得られる。
【0036】
驚くべきことに、遊離酸とは逆に、式(V)のボロン酸のカルボキシレート塩は、1,1−ジメチル−エタノールアミンおよび反応副生成物塩を含む反応混合物から単離されて、99.5%以上の純度の生成物を与えることができることが分かった。
【0037】
式(V)のボロン酸のそのカルボキシレート塩への変換は、知られている方法で、例えば、上記反応混合物に塩基、一般的には、アルカリまたはアルカリ土類金属が塩基である塩(塩基性塩)、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムまたはマグネシウムの、水酸化物、炭酸塩もしくは炭酸水素塩を、水溶液または固体形態で添加することにより行うことができる。
【0038】
必要に応じて、塩基を添加する前に、反応混合物は、溶液を酸で、一般的には強酸、例えば塩酸の濃水溶液で酸性化すること、さらに強いまたは弱いカチオン交換樹脂、例えば、カルボン酸または硫酸樹脂、例えば、DOWN MARATHON MSC(登録商標)に通すこと、を含む方法により塩基性副生成物(basic byproducts)を除去することによりさらに精製することができる。この方法の間に、殆どの塩基性副生成物(これは、マグネシウム塩基性塩(magnesium basic salts)および1,1−ジメチル−エタノールアミンを含む)は樹脂によって保持される。次いで、得られた溶液は塩基で処理されて上述の式(V)の酸のカルボキシレート塩を与える。
【0039】
したがって、本発明の更なる目的は、副生成物塩を含む反応混合物から式(V)のボロン酸のカルボキシレート塩を単離する方法であり、この方法は、
a)混合物からの水の除去と、
b)式(V)の塩化化合物(salified compound)のボロン酸官能基のエステル化と、
c)濾過による副生成物塩の除去と、
d)工程b)で得られた式(V)の酸のエステルの加水分解と、
e)生成物の回収と
を含む。
【0040】
混合物からの水の除去は、好ましくは共沸蒸留により、特に、水と共沸混合物を形成することのできる溶媒、例えば、芳香族炭化水素、特にトルエンを式(V)の酸のカルボキシレート塩および副生成物塩を含む水溶液に添加することにより行われる。水の除去後に、式(V)の酸のカルボキシレート塩は混合物中に存在する反応塩と一緒に沈殿する。
【0041】
式(V)の酸のカルボキシレート塩のボロン酸官能基は、アルカノール、例えば、C1〜C6アルカノール、好ましくはブタノールの存在下で、上記で得られる混合物を加熱することによりエステル化することができる。好ましくは、エステル化は、共沸蒸留により反応中に形成された水を除去することにより完了できる。エステル化の完了後に、式(V)の酸のカルボキシレート塩はアルキル−ボロン酸エステルとして溶液中に残り、一方副生成物は溶解せず、知られている方法、例えば濾過により分離することができる。式(V)のアルキル−ボロン酸エステルは、例えば水の添加により対応するボロン酸カルボキシレート塩を得るために加水分解され、それによって溶媒混合物から沈殿させることができる。
【0042】
式(V)のボロン酸のカルボキシレート塩は、その使用、輸送および貯蔵を容易にする固体形態で得られる。所望により、式(V)の2−カルボキシベンゼン−ボロン酸のカルボキシレート塩は、知れられている方法により遊離の2−カルボキシルベンゼン−ボロン酸に変換することができる。
【0043】
式(V)の化合物のカルボキシレート塩は、好ましくは、式(Va)
【0044】
【化6】

【0045】
のナトリウム塩として得られる。
【0046】
99.5%以上、好ましくは99.9%以上の純度の結晶形態の、特に無水物または実質的に一水和物もしくは二水和物形態の式(Va)の化合物は新規であり、本発明の更なる目的である。
【0047】
式(Va)の好ましい化合物は、26.2%の水分含有量と、最も強い回折ピークが2θで5.8、13.6、14.5、24.1、26.2および27.8±0.2°に入る、図において報告されるXRPDスペクトルを有する、その実質的に一水和物形態である。
【0048】
式(V)の2−カルボキシベンゼン−ボロン酸の塩、または2−カルボキシベンゼン−ボロン酸自体は、カルボキシ置換ジフェニル化合物の2つのベンゼン環の間にC−C結合を形成するためのカップリング反応、例えば、テルミサルタン(telmisartan)の合成で使用することができる。
【実施例】
【0049】
以下の実施例は本発明を例示する。
(実施例1)
4,4−ジメチル−2−フェニル−オキサゾリンマグネシウムクロライド(I)
100gの4,4−ジメチル−2−フェニル−オキサゾリンを、テトラヒドロフラン(THF)中のシクロヘキシルマグネシウムクロライドの1.63M溶液400gを含む1リットル反応器に混合物の還流温度(約75℃)で滴下する。添加中に還流温度を約80℃に上昇させる。混合物を撹拌しながら還流温度で少なくとも18時間保持する。約20〜25℃の温度まで冷却して得られる混合物(約500g)は、次の反応で直接使用される4,4−ジメチル−2−フェニル−オキサゾリンマグネシウムクロライドのTHF溶液を含む。
【0050】
(実施例2)
2−(4,4−ジメチル−オキサゾリン)−フェニルボロン酸ジメチルエステル(VII)
不活性雰囲気下の2リットル反応器に、178gのトリメチルボレートと、150gのTHFとを添加する。得られた溶液を約20℃に冷却し、実施例1で調製した4,4−ジメチル−2−フェニル−オキサゾリンマグネシウムクロライド(約500g)のTHF溶液を、20℃より低い温度を保持しながらその中に滴下する。添加の完了後に、懸濁液を約20〜25℃で少なくとも3時間撹拌し、2−(4,4−ジメチル−オキサゾリン)−フェニルボロン酸ジメチルエステルの形成を完了する。得られた混合物を次の工程で直接使用する。
【0051】
(実施例3)
2−カルボキシフェニル−ボロン酸一水和物ナトリウム塩(V)
不活性雰囲気下の2リットル反応器に750mlの水を添加し、実施例2の2−(4,4−ジメチル−オキサゾリン)−フェニルボロン酸ジメチルエステル(約828g)のTHF懸濁液を撹拌しながら素早く添加する。懸濁液をこれらの条件下で少なくとも16時間還流し、その後約30℃の温度まで冷却し、懸濁した塩を濾過し、水で洗浄する。およそ1800mlの最終溶液が得られ、これを再度反応器に入れる。THF−水−シクロヘキサン混合物を、約80℃の内部温度に達するよう大気圧下で蒸留する(シクロヘキサンは実施例1で記載された交換反応から生じる)。得られた溶液(約1200ml)を、200mlのトルエンで2度洗浄し、次いで、真空下で、有機溶媒のあらゆる痕跡を除去するために濃縮する。得られた透明な水溶液に、ナトリウム塩の形成を促進するために130gの炭酸ナトリウムを撹拌しながら添加する。混合物を約60℃の温度で少なくとも30分間加熱し、次いで、約30〜40℃の温度まで冷却し、沈殿した塩を濾過し、水で洗浄する。得られた水溶液を、真空下で、約80℃より低い内部温度を保持しながら残渣まで濃縮する。残渣を1000mlのトルエンで希釈し、残存する水を、ディーン−スターク(Dean-Stark)装置を使用して反応混合物から共沸蒸留する。得られた懸濁液に200mlのn−ブタノールを添加し、反応水が分離される限り共沸蒸留を続ける。懸濁液を約30℃の温度まで冷却する。形成された無機塩を濾過し、溶液を再度反応器に入れ、約80℃の温度に加熱し、35gの水を添加する。得られた懸濁液を、少なくとも30分間還流温度に加熱することにより流動化し、次いで、混合物を15〜20℃の温度まで冷却し、固体を濾過し、50mlのトルエンで2度洗浄する。真空下で60℃の温度で乾燥後に、26.2%の水分含有量(カールフィッシャー)と図で報告されるようなXRPDスペクトルを有し、最も強い回折ピークが、2θで5.8、13.6、14.5、24.1、26.2および27.8±0.2°に入る100gの2−カルボキシフェニル−ボロン酸一水和物ナトリウム塩を得る。
【0052】
(実施例4)
2−カルボキシフェニル−ボロン酸一水和物ナトリウム塩(V)
不活性雰囲気下の2リットル反応器に、実施例2で得られた2−(4,4−ジメチル−オキサゾリン)−フェニルボロン酸ジメチルエステルのTHF懸濁液約830gを添加する。懸濁液をこれらの条件下で少なくとも16時間還流し、その後約30℃の温度まで冷却する。約69gの塩酸(37%w/w)を、固体が完全に溶解するまで懸濁液に撹拌しながら添加し、次いで、THFを真空下で蒸留し、水溶液をトルエンで洗浄する(2×約200ml)。得られた溶液を、約400mlの残留容量が達成されるまで真空下で濃縮し、脱塩水で生成物を溶出するDowex Marathon MSC(登録商標)水素型(約2000mlの湿潤イオン交換樹脂1.7eq/L)で満たしたカラムに通す。集めた酸性溶液を水酸化ナトリウムでpH8〜9に中和し、厚い残渣が得られるまで水を真空蒸留(80℃より低い内部温度)する。残渣にトルエン(約1000ml)を添加し、残存する水を、内部温度が約102〜104℃を達成するまで大気圧下で共沸蒸留により除去する。得られた懸濁液にn−ブタノール(200mL)を添加し、内部温度が約104〜106℃を達成するまで共沸蒸留を続ける。懸濁液を約30℃まで冷却し、濾過し、塩をトルエンで洗浄する(2×約100mL)。透明な溶液を再度反応器に入れ、約80℃まで加熱し、水(35g)を添加する。混合物を還流温度まで加熱し、これらの条件下で約30分間維持し、次いで、懸濁液を約15〜20℃まで冷却し、濾過し、固体をトルエンで洗浄する(2×約50mL)。乾燥後に、湿潤固体として100gの標記の生成物を得る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】得られた化合物のXRPDスペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、Xはハロゲンである)の化合物の調製方法であって、非プロトン性有機溶媒中で、式(II):
R−Mg−X (II)
(式中、Xはハロゲンであり、RはC1〜C8アルキル基またはC5〜C8シクロアルキル基である)の化合物と、式(III)
【化2】

の化合物との反応を含む式(I)の化合物の調製方法。
【請求項2】
前記溶媒がエーテルである請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
Xが塩素である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
式(I)の化合物を、式(V)
【化3】

の2−カルボキシベンゼン−ボロン酸、またはその塩に変換することを更に含む請求項1に記載の方法であって、
a)式(I)
【化4】

(式中、Xはハロゲンである)の化合物と、式(VI):
B(OR13 (VI)
(式中、各R1は、同じか異なることができ、C1〜C8アルキル、アリール、アリール−C1〜C8アルキルであり、または2つのR1は一緒になって−(CH2m−V−(CH2n−基(ここで、mおよびnは、同じか異なることができ、0または1であり、VはNR3またはC(R32(ここで、R3は、水素、C1〜C8アルキル、アリールまたはアリール−C1〜C8アルキルである)である)を形成し、残りのR1は上記で定義された通りである)の化合物と、を反応させて、式(VII)
【化5】

(式中、各R1は、同じか異なることができ、上記で定義された通りである)の化合物を得る反応と、
(b)式(VII)の化合物のボロン酸エステルの加水分解およびオキサゾール環の開環、ならびに所望により、式(V)の化合物のそのカルボキシレート塩への変換と
を含む方法。
【請求項5】
式(VII)の化合物のボロン酸エステルの加水分解およびオキサゾール環の開環が、互いに直前または直後にほぼ同時に行い得る請求項4に記載の方法。
【請求項6】
式(V)の化合物をその塩に変換する前に、反応混合物が塩基性副生成物を除去することにより精製される請求項4に記載の方法。
【請求項7】
反応混合物から式(V)のボロン酸のカルボキシレート塩の回収を更に含む請求項4に記載の方法であって、
a)混合物からの水の除去と、
b)式(V)の酸のボロン酸官能基のエステル化と、
c)濾過による副生成物塩の除去と、
d)工程b)で得られた式(V)の酸のエステルの加水分解と、
e)生成物の回収と
を含む方法。
【請求項8】
水が共沸蒸留により混合物から除去される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
エステル化が共沸蒸留による水の除去により完了する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
式(V)の酸のエステルが溶媒混合物への水の添加により加水分解される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
式(V)のボロン酸のカルボキシレート塩がアルカリまたはアルカリ土類金属の塩である、請求項4または7に記載の方法。
【請求項12】
結晶形態の式(Va)
【化6】

の化合物。
【請求項13】
無水物あるいは実質的に一水和物または二水和物形態である、請求項12に記載の化合物。

【図1】
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【公開番号】特開2008−31166(P2008−31166A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−182802(P2007−182802)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(507161569)ディフアルマ フランチス ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (11)
【氏名又は名称原語表記】DIPHARMA FRANCIS S.R.L.
【Fターム(参考)】