説明

ボンディング装置及びボンディングツールの洗浄方法

【課題】ボンディング位置におけるデフォームドボールの直径を増大させずにボンディングツールを洗浄可能なボンディング技術を提供する。
【解決手段】ワイヤの先端にフリーエアーボールを形成する放電装置、ワイヤの先端に形成されたフリーエアーボールを第1ボンディング位置にボンディングするボンディングツール、プラズマを照射してボンディングツールを洗浄するプラズマ照射装置、放電装置、ボンディングツール、およびプラズマ照射装置を制御する制御装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンディングツール先端部の洗浄機能を備えたボンディング装置およびボンディングツールの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、リードフレームに載置された半導体ダイのパッドとリードフレームのリードとを接続するボンディング装置が用いられている。このようなボンディング装置は、ウェッジツールやキャピラリと呼ばれるボンディングツールを備え、ボンディングツールに挿通したワイヤを用いて、半導体ダイのパッドとリードフレームのリードとを接合(ボンディング)可能に構成されている。
【0003】
ワイヤをより多く接続すればするほど、ボンディングツールの先端部に多くの異物が付着することになり、ボンディングに不都合を生じる可能性が大きくなる。このような不都合を抑制するために、ボンディングツールの先端部に付着した異物を洗浄する技術が開発されている。
【0004】
例えば、特開2008−21943号公報には、キャピラリの先端が挿入可能な洗浄用ケースにプラズマトーチを設け、プラズマトーチのプラズマ噴出口からプラズマを噴出させてキャピラリの先端部を洗浄し、排ガスを排気口から排出するボンディング装置が開示されている(特許文献1)。
【0005】
また特開2008−218789号公報には、被接合(ボンディング)部材の周囲にプラズマ照射部を設け、被接合(ボンディング)部材へのワイヤ接合(ボンディング)に先立ってキャピラリをプラズマ照射部にまで異動させプラズマ照射によりキャピラリの先端部に付着している有機物を除去するワイヤボンディング方法が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−21943号公報
【特許文献2】特開2008−218789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2に記載された発明では、ボンディングツール先端及びその側面部の洗浄後に実施されるボンディング作業において、ボンディング位置における接合(以下、「接合」を「ボンディング」という。)したデフォームドボールの径が予定していたサイズを超えてしまい、隣接するパッドとの間で電気的な短絡を生じる等の種々の不都合を生じる可能性があったり、ボンディング位置にボンディング後のボールの厚みが厚くなったりして、ボンディング強度が低下する可能性があった。
【0008】
そこで、上記問題点に鑑み、本発明は、ボンディング位置におけるボンディングしたデフォームドボールの直径を増大させずにボンディングツールを洗浄可能なボンディング技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は、鋭意分析したところ、ボンディングツールの洗浄時に照射されるプラズマの照射によってワイヤに与えられるエネルギーの残留が原因であることをつきとめた。プラズマ照射によって与えられたエネルギーがワイヤに残留していると、その後のボンディング作業時においてボール形成のために与えられるエネルギーに上記プラズマ照射による残留エネルギーが余計に加えられる。過剰に加えられたエネルギーにより、予定より大きなボールが形成されてしまう。この大きすぎるボールをパッドにボンディングすると、ボンディング位置におけるボンディングしたデフォームドボールの径が大きくなりすぎてしまったり、ボンディング位置にボンディング後のボールの厚みが厚くなったりして、上記問題を生ずるのである。
【0010】
そこで、本発明のボンディング装置は以下の構成を備える。
(1)ボンディングツールを洗浄可能に構成されたボンディング装置であって、ワイヤの先端にフリーエアーボールを形成する放電装置と、ワイヤの先端に形成されたフリーエアーボールを第1ボンディング位置にボンディングするボンディングツールと、プラズマを照射してボンディングツールを洗浄するプラズマ照射装置と、放電装置、ボンディングツール、およびプラズマ照射装置を制御する制御装置と、を備える。
制御装置は、ワイヤボンディング工程(A)と洗浄工程(B)とを実行可能に構成されている。ワイヤボンディング工程(A)は以下の工程を備える。
(a)ボンディングツール先端から延出したワイヤの先端へフリーエアーボールを形成するボール形成工程、
(b)ボンディングツール先端から延出したワイヤの先端に形成されたフリーエアーボールをボンディングツールで第1ボンディング位置へボンディングしてデフォームドボールを形成する第1ボンディング工程、
(c)ボンディングツール先端からワイヤを繰り出しながらボンディングツールを所定の軌跡に沿って第2ボンディング位置の方向にワイヤをルーピングさせるワイヤルーピング工程、
(d)ボンディングツール先端から延出するワイヤを第2ボンディング位置にボンディングさせる第2ボンディング工程、および
(e)ボンディングツール先端からワイヤを繰り出しながら上昇させ、所定の高さに達したらクランパを閉じてワイヤを第2ボンディング位置から切断し、ボンディングツール先端からワイヤを延出させるワイヤカット工程。
洗浄工程(B)は、(f)プラズマの照射によりボンディングツールを洗浄するボンディングツール洗浄工程を含む。
そして、所定回数のワイヤボンディング工程(A)を実行した後、洗浄工程(B)を実行するものであり、洗浄工程(B)のボンディングツール洗浄工程(f)により付与されたプラズマの照射のエネルギーが、前記ワイヤボンディング工程(A)用のボール形成工程(a)で形成されるフリーエアーボールに及ぶことを禁止する。
【0011】
本発明のボンディング装置は以下の追加の態様を備えていてもよい。
(2)制御装置は、ワイヤボンディング工程(A)時には、ボール形成工程(a)、第1ボンディング工程(b)、ワイヤルーピング工程(c)、第2ボンディング工程(d)、ワイヤカット工程(e)の順で実行し、洗浄工程(B)時には、ボンディングツール洗浄工程(f)を実行し、次いで洗浄工程(B)の一部としてボール形成工程(a)を実行した後、ワイヤの先端に形成されたフリーエアーボールをダミーボンディング位置へボンディングするダミーボンディング工程(g)を実行する。
【0012】
(3)制御装置は、ダミーボンディング工程(g)を実行した後、洗浄工程(B)の一部としてワイヤカット工程(e)を実行し、続いて次のワイヤボンディング工程(A)用のボール形成工程(a)を実行する。
【0013】
(4)ダミーボンディング位置は、位置合わせ用パターンである。
【0014】
(5)制御装置は、ワイヤボンディング工程(A)時には、ボール形成工程(a)、第1ボンディング工程(b)、ワイヤルーピング工程(c)、第2ボンディング工程(d)、ワイヤカット工程(e)の順で実行し、洗浄工程(B)時には、次のワイヤボンディング工程(A)用のボール形成工程(a)を実行した後、ボンディングツール洗浄工程(f)を実行する。
【0015】
(6)ボンディングツール洗浄工程(f)を実行した後、少なくともプラズマの照射により付与されたエネルギーが減衰するまでの禁止期間が経過してから次の第1ボンディング工程(b)を実行する。
【0016】
(7)制御装置は、ワイヤボンディング工程(A)時には、ボール形成工程(a)、第1ボンディング工程(b)、ワイヤルーピング工程(c)、第2ボンディング工程(d)、ワイヤカット工程(e)の順で実行し、洗浄工程(B)時には、ボンディングツール洗浄工程(f)を実行し、その後少なくともプラズマの照射により付与されたエネルギーが減衰するまでの禁止期間だけ次のワイヤボンディング工程(A)用のボール形成工程(a)の実行を禁止する。
【0017】
(8)禁止期間は、プラズマの照射後、プラズマの照射により付与されたエネルギーによるフリーエアーボールの直径の増大が実質的に観察されなくなるまでの期間である。
【0018】
(9)制御装置は、所定回数のワイヤボンディング工程(A)を実行した後、ボンディングツール洗浄工程(f)を実行する。
【0019】
(10)本発明のボンディングツールの洗浄方法はワイヤボンディング工程(A)と洗浄工程(B)とを備える。
ワイヤボンディング工程(A)は以下の各工程を備える。
(a)ボンディングツール先端から延出したワイヤの先端へフリーエアーボールを形成するボール形成工程、
ボール形成工程の後、(b)ボンディングツール先端から延出したワイヤの先端に形成されたフリーエアーボールをボンディングツールで第1ボンディング位置へボンディングさせてデフォームドボールを形成する第1ボンディング工程、
第1ボンディング工程の後、(c)ボンディングツール先端からワイヤを繰り出しながらボンディングツールを所定の軌跡に沿って第2ボンディング位置の方向にワイヤをルーピングさせるワイヤ−ルーピング工程、
ワイヤルーピング工程の後、(d)ボンディングツール先端から延出するワイヤを第2ボンディング位置にボンディングさせる第2ボンディング工程、および
第2ボンディング工程の後、(e)ボンディングツール先端からワイヤを繰り出しながら上昇させ、所定の高さに達したらクランパを閉じてワイヤを第2ボンディング位置から切断し、ボンディングツール先端からワイヤを延出させるワイヤカット工程。
洗浄工程(B)は、所定回数のワイヤボンディング工程(A)を実行した後に実行され、プラズマの照射によりボンディングツールを洗浄するボンディングツール洗浄工程(f)を含む。
そして、洗浄工程(B)のボンディングツール洗浄工程(f)により付与されたプラズマの照射のエネルギーが、前記ワイヤボンディング工程(A)用のボール形成工程(a)で形成されるフリーエアーボールに及ぶことを禁止する。
【0020】
上記した本発明のボンディング装置における追加の態様(2)−(9)の各々は、本発明のボンディングツールの洗浄方法にも適用可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ボンディングツールに付与された残留エネルギーの影響がワイヤに形成されるフリーエアーボールに及ぼされることが禁止されるので、ボンディング位置におけるボンディングしたデフォームドボールの直径の増大を抑制し、隣接するパッド間のショートや、ボンディング強度の低下等を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る半導体製造装置(ボンディング装置)の構成図。
【図2】実施形態に係るキャピラリとプラズマトーチの拡大断面図。
【図3】実施形態に係るボール形成工程(a)と第1ボンディング位置への第1(ボール)ボンディング工程(b)とを説明する拡大断面図であり、(A)および(B)はボール形成工程(a)、(C)−(E)は第1ボンディング工程(b)。
【図4】実施形態に係る。第2ボンディング位置に向かってワイヤループを形成するワイヤルーピング工程(c)、第2ボンディング位置への第2(ステッチ)ボンディング工程(d)、および第2ボンディング位置からワイヤを切断するワイヤカット工程(e)を説明する、およびボンディングツール洗浄工程(f)を説明する概略・拡大断面図であり、(A)−(C)はワイヤルーピング工程(c)、(D)は第2ボンディング工程(d)、(E)はワイヤカット工程(e)。
【図5】実施形態に係るボンディングツール洗浄工程(f)を説明する断面図。
【図6】プラズマ照射により付与されるエネルギーの経時変化特性と各タイミングにおいてボールを形成した場合のボンディング位置におけるボンディングしたデフォームドボールの直径の変化を説明する図。
【図7】ダミーボンディング工程(g)直前の半導体ダイの一部拡大平面図。
【図8】ダミーボンディング工程(g)実行中の半導体ダイの一部拡大平面図。
【図9】ダミーボンディング工程(g)終了後の半導体ダイの一部拡大平面図。
【図10】実施形態1に係るボンディングツールの洗浄方法を説明するフローチャート。
【図11】実施形態2に係るボンディングツールの洗浄方法を説明するフローチャート。
【図12】実施形態2に係るボール形成工程(a)およびボンディングツール洗浄工程(f)を説明する拡大断面図。
【図13】実施形態3に係るボンディングツールの洗浄方法を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の構成要素は同一又は類似の符号で表している。図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施の形態に限定して解するべきではない。
【0024】
(定義)
本明細書で使用する用語を以下のとおり定義する。
「ボンディングツール」:ワイヤボンディング方法の実施に使用する装置をいい、その構造に限定はない。ボンディングツールは、少なくともボンディング過程で異物が付着してプラズマ照射による洗浄対象となる構造物である。例えば、ネイルヘッドボンディングに用いるキャピラリやウェッジボンディングに用いるウェッジツールを含む。本実施形態ではキャピラリを例示するが、異物除去の必要性が生ずる限り、これに限定されない。
【0025】
「洗浄」:プラズマ化したガス(以下、「プラズマ」と略記)を異物に衝突させることにより異物を除去することをいう。
【0026】
「異物」:ボンディング過程でボンディングツールに付着する物質をいう。主には加熱によってリードフレームや基板、ワイヤから蒸発した有機物が含まれる。
【0027】
「被ボンディング面」:ワイヤをボンディングする対象となる面をいい、例えば半導体ダイや基板に形成されたパッド、リードフレームを含む。
【0028】
「ボール」:ワイヤの先端にエネルギーを供給することによってワイヤを構成する金属が溶融して形成される部位をいい、おおよそ正確な球体形状を有する。この「ボール」の「直径」という場合には平均直径をいう。
【0029】
「ボンディング」:ワイヤと被ボンディング面とを金属結合可能に接続することをいい、圧着、溶着、またはこれらの混合等の方法によって電気的に接続することを含む。
【0030】
(実施形態)
次に本発明の好適な実施の形態を以下の流れに沿って説明する。
(1.実施形態に係るボンディング装置の構成)
[1]全体構成
図1に、本実施形態に係るボンディング装置の構成図を示す。
図1に示すように、本実施形態に係るボンディング装置1は、制御装置10、基台11、XYテーブル12、ボンディングヘッド13、トーチ電極14、キャピラリ15、ボンディングアーム16、ワイヤクランパ17、ワイヤテンショナ18、回転スプール19、フィーダ20、ヒータ21、プラズマ照射装置30、操作部40、ディスプレイ41、およびカメラ42等を備えて構成される。
【0031】
以下の実施形態では、ボンディング対象となる半導体ダイやリードフレームに平行な平面をXY平面とし、XY平面に垂直な方向をZ方向とする。キャピラリ15の先端位置は、X座標、Y座標、およびZ座標で表される空間座標(X,Y,Z)で特定される。
【0032】
基台11は、XYテーブル12を摺動可能に載置して構成されている。XYテーブル12は、制御装置10からの駆動信号に基づいてキャピラリ15をXY平面で所定の位置に移動可能な移動装置である。
【0033】
ボンディングヘッド13は、制御装置10からの駆動信号に基づいてボンディングアーム16をZ方向に移動可能に保持する移動装置である。ボンディングヘッド13は軽量な低重心構造を備えており、XYテーブル12の移動に伴って発生する慣性力によるキャピラリ15の動きを抑制可能に構成されている。
【0034】
ボンディングアーム16は、末端から先端にかけて、末端部、フランジ部、ホーン部、および先端部の各部で構成された棒状部材である。末端部は、制御装置10からの駆動信号に応じて振動する超音波発振器161が配置されている。フランジ部は超音波振動の節となる位置でボンディングヘッド13に共振可能に取り付けられている。ホーン部は、末端部の径に比べて長く延在するアームであり、超音波発振器161による振動の振幅を拡大して先端部に伝える構造を備えている。先端部はキャピラリ15を交換可能に保持する取付部となっている。ボンディングアーム16は全体として超音波発振器161の振動に共鳴する共振構造を備えており、共振時の振動の節に超音波発振器161およびフランジが位置し、振動の腹にキャピラリ15が位置するような構造に構成されている。これらの構成により、ボンディングアーム16は電気的な駆動信号を機械的な振動に変換するトランスデューサとして機能する。
【0035】
キャピラリ15は、本実施形態に係る洗浄対象であるボンディングツールの一部位である。キャピラリ15には、挿通穴が設けられており、ボンディングに使用するワイヤwが挿通され繰り出し可能に構成されている。キャピラリ15はバネ力等により交換可能にボンディングアーム16に取り付けられている。
【0036】
ワイヤクランパ17は、制御装置10の制御信号に基づいて開閉動作を行う電磁石構造を備えており、所定のタイミングでワイヤwを把持したり解放したりが可能なように構成されている。
【0037】
ワイヤテンショナ18は、ワイヤwを挿通し、制御装置10の制御信号に基づいてワイヤwに対する摺動力を自在に変更することにより、ボンディング中のワイヤwに適度な張力を与えることが可能に構成されている。
【0038】
回転スプール19は、ワイヤwが巻き回されたリールを交換可能に保持しており、ワイヤテンショナ18を通じて及ぼされる張力に応じてワイヤwを繰り出すように構成されている。なおワイヤwの材料は、加工の容易さと電気抵抗の低さから選択される。通常、金(Au)やアルミニウム(Al)や銅(Cu)等が用いられる。
【0039】
トーチ電極14は、図示しない放電安定化抵抗を介して図示しない高電圧電源に接続されており、制御装置10からの制御信号に基づいてスパーク(放電)を発生し、スパークの熱によってキャピラリ15の先端から繰り出されているワイヤwの先端にボールを形成可能に構成されている。また、トーチ電極14の位置は固定されており、放電時にはキャピラリ15がトーチ電極14から所定の距離まで接近し、ワイヤwの先端とトーチ電極14との間で適度なスパークを発生するようになっている。
【0040】
フィーダ20は、ボンディング対象となる半導体ダイ22およびリードフレーム24を加工面に載置する加工台である。フィーダ20の加工面の下部にはヒータ21が設けられており、半導体ダイ22およびリードフレーム24をボンディングに適する温度にまで加熱可能に構成されている。
【0041】
プラズマ照射装置30は、フィーダ20の近傍に設けられており、制御装置10の制御信号に基づいてプラズマを照射可能に構成されている。図2において詳述する。
【0042】
操作部40は、トラックボール、ジョイスティック、タッチパネル等の入力手段を備え、オペレータの操作内容を制御装置10に出力する入力装置である。カメラ42は、フィーダ20の加工面に載置された半導体ダイ22やリードフレーム24を撮影可能に構成されている。ディスプレイ41は、カメラ42で撮像された画像をオペレータに視認可能な所定の倍率で表示するようになっている。オペレータはディスプレイ41に表示される半導体ダイ22のパッド23やリードフレーム24を観察しながら操作部40を操作してキャピラリ15の軌跡を設定していく。
【0043】
制御装置10は、所定のソフトウェアプログラムに基づき当該ボンディング装置1を制御する各種制御信号を出力可能に構成されている。具体的には、制御装置10は限定のない例示として以下の制御を行う。
【0044】
(1)図示しない位置検出センサからの検出信号に基づいてキャピラリ15の先端の空間位置(X,Y,Z)を特定し、上記プログラムにより規定される空間位置へキャピラリ15を移動させる駆動信号をXYテーブル12およびボンディングヘッド13に出力すること。
【0045】
(2)ボンディング点へのボンディング時に超音波振動を発生させる制御信号をボンディングアーム16の超音波発振器161に出力すること。
【0046】
(3)上記プログラムにより規定されるワイヤwの繰り出し状況となるようにワイヤクランパ17の開閉動作を制御する制御信号を出力すること。具体的にワイヤwを繰り出す際にはワイヤクランパ17を解放状態とし、ワイヤwに屈曲点を形成する場合または切断する場合にはワイヤクランパ17を拘束状態とする。
【0047】
(4)ワイヤwの先端にボールを形成する時にトーチ電極14に放電させるための制御信号を出力すること。
(5)カメラ42からの画像をディスプレイ41に出力すること。
(6)操作部40の操作内容に基づいてボンディング点、屈曲点等の空間座標を特定すること。
【0048】
(7)プラズマ照射時にプラズマ照射装置30に制御信号を出力すること。
なお、上記ボンディング装置1の構成は例示であり、上記に限定されない。例えば、X方向、Y方向、またはZ方向に移動させる移動装置はフィーダ20側に設けてもよく、またボンディング装置1側およびフィーダ20側の双方に設けてもよい。
【0049】
[2]洗浄に係る具体的構成
図2に、プラズマ照射時の配置におけるキャピラリ15およびプラズマ照射装置30の拡大断面図を示す。図2に示すように、プラズマ照射装置30は、ガスチャンバ31、高周波信号発生装置32、プラズマトーチ33、負荷電極34、接地電極35、ガス配管36、および遮断弁37を備えている。
【0050】
ガスチャンバ31は、プラズマトーチ33と連通しており、プラズマトーチ33にプラズマ発生用のガスを供給するためのガス充填室である。ガス配管36は、図示しないガス供給源からプラズマ発生用のガスをガスチャンバ31に供給する供給路である。遮断弁37は、制御装置10からの制御信号に基づいて遮断および開放する電磁弁であり、ガス配管36を流通するプラズマ発生用のガスを遮断したり流通させたりが可能になっている。
【0051】
なお、プラズマ発生に用いるガスとしては、ArもしくはN2、またはこれらと微量のH2、O2ガスとの混合ガスもしくはCDA(Clean Dry Air)を用いることが可能である。
【0052】
高周波信号発生装置32は、図示しないが、例えば、高周波電源、進行波・反射波検出装置、高電圧発生装置、重畳コイル等を備えて構成されている。高周波信号発生装置32は、制御装置10からの制御信号に基づいて、プラズマ発生用のガスに点火するための高電圧HVおよびプラズマを発生・維持させるための高周波信号HSを生成する。
【0053】
プラズマトーチ33は、プラズマに対する耐食性およびプラズマの高温に対する耐熱性を有する絶縁材料で構成された中空構造体であり、例示として円筒形状に形成されている。プラズマトーチ33に外周面を取り囲むように負荷電極34が設けられている。負荷電極34は、高周波信号発生装置32から高周波信号HS(高電圧HV)が印加されるようになっている。またプラズマトーチ33の中空には長手方向に延在して接地電極35が設けられている。接地電極35は、負荷電極34の対になる電極であり、ガスチャンバ31の壁面を介して電気的に接地されている。
【0054】
その他図示しないが、高周波信号発生装置32と負荷電極34とは同軸ケーブルで接続されており、プラズマ照射装置の系としてのインピーダンスを調整する整合装置が設けられている。整合装置は、プラズマが安定的に生成された状態での負荷インピーダンスが所定の特性インピーダンスとなるように設計されている。
【0055】
上記のプラズマ照射装置30の動作を説明する。
制御装置10からの制御信号により遮断弁37が開放されると、ガスチャンバ31からプラズマトーチ33に加圧されたプラズマ発生用のガスが流入し、接地電極35の周囲を高速に流通する。次いで制御装置10からの制御信号により高周波信号発生装置32にプラズマ点火指示が出力されると、所定の高周波信号HSと所定の高電圧HVとが重畳されて負荷電極34に出力される。例えば、プラズマ発生用のガスとして不活性のアルゴンを用いる場合、高電圧HVが重畳された高周波信号HSが供給されると、アルゴンの雰囲気下で負荷電極34と接地電極35との間に高周波電界が発生し、それにより、アルゴン原子は励起され、アルゴンの電子は加速され、周囲のアルゴン気体粒子(分子)との衝突によって新たな電子が叩き出され、この電子が電界で加速されてさらに別の気体粒子と衝突して加速度的に電子数が増え、アルゴン原子はAr+(アルゴン・イオン)とe-(電子)とAr*(アルゴン・ラジカル)とに電離されて、プラズマが発生する。プラズマが発生したら、高電圧HVの重畳は中止される。整合装置は、公知のインピーダンスマッチング処理を実行して高周波信号発生装置32側から見たインピーダンスを整合させる。アルゴンガスは、接地電極35の周囲で励起又は電離される。そしてプラズマトーチ33の開口38からイオン化したプラズマ39として照射される。
【0056】
ここで図2には、ワイヤwが挿通されているキャピラリ15の先端部の断面図が示されている。図2に示すように、キャピラリ15の先端部は、ストレート孔151、チャンファ部152、フェイス部153、アウタラディウス部154を備える。ストレート孔151は、ワイヤwが挿通されている内壁である。フェイス部153は、キャピラリ15の先端面であり、被ボンディング面とわずかな角度を成して設けられた面である。チャンファ部152は、ストレート孔151とフェイス部153とを繋ぐ面であり、ストレート孔151からフェイス部153にかけてテーパ状に形成されている。アウタラディウス部154は、フェイス部153とキャピラリ15の外周面155とを繋ぐ面である。ストレート孔151に挿通されているワイヤwの先端にはワイヤーテールwtが形成されている。
【0057】
図2に示すように、ボンディング作業を繰り返すと、キャピラリ15のチャンファ部152とフェイス部153との角部付近には金属性異物d1が付着する。また外周面155には有機性異物d2が付着する。有機性異物d2は、ボンディング時の熱によりリードフレームや基板、ワイヤ表面に塗布されている有機物が蒸発または飛散してキャピラリ15表面に付着することで生成される。
【0058】
プラズマトーチ33の開口38からプラズマ39がキャピラリ15の先端部に照射されると、プラズマ39が有機性異物d2に衝突し、これら異物を除去する。
【0059】
有機性異物d2を除去し易くするため、プラズマ照射時に制御装置10からボンディングアーム16の超音波発振器161へ制御信号を供給し、キャピラリ15に超音波振動を印加することが好ましい。超音波振動は、キャピラリ15に首振り運動を生じさせ、ワイヤwに微小運動を与える。この微小運動によって、プラズマ39がくまなく、ストレート孔151、チャンファ部152、フェイス部153、アウタラディウス部154、外周面155に当たるようになり、効果的に異物を除去可能である。また微小運動によって、異物が剥離し易くなり、効果的に異物を除去可能である。
【0060】
なお、上記プラズマ照射装置30は、単なる例示であり、種々の構造を採用可能である。ボンディング環境が大気圧雰囲気であれば大気圧プラズマ装置の構成を採用し、真空雰囲気であれば真空プラズマ装置の構成を採用すればよい。プラズマ発生の具体的な構造も上記実施形態に限定されない。例えば複数のプラズマトーチを備えていてもよい。さらにプラズマには異物を効果的に除去可能であれば限定がなく、例えば、酸素による酸素ラジカル照射や水素による水素プラズマ照射を適用可能である。
【0061】
また、除去された異物をボンディング領域に飛散させることなく排除する必要がある場合には、プラズマ照射装置30の近傍に排気機構を設けることが好ましい。
【0062】
[3]装置の基本動作
次に本実施形態におけるボンディング装置1の動作を説明する。
最初にすべきことは、制御措置10に、ワイヤwの形状(始点、屈曲点、終点等)を規定するキャピラリ15の先端の軌跡を設定点として記録することである。フィーダ20には、ボンディング対象物、例えば、半導体ダイ22およびリードフレーム24が載置される。半導体ダイ22は、接着剤によりリードフレーム24のアイランド部分にボンディングされている。始点は例えば半導体ダイ22のパッド23であり、終点は例えばリードフレーム24である。またワイヤwを拘束した状態でキャピラリ15の移動方向を変更する設定点を記録することにより、屈曲点を含んだループが形成される。
【0063】
オペレータはカメラ42で撮像された画像をディスプレイ41にて観察しながら操作部40を操作して、設定点の空間座標を記録していく。具体的には、操作部40から座標情報を入力したりディスプレイ41に表示されるマーカを所望の点に位置させて入力したりすることで、その点のX座標およびY座標を記録する。基準面(例えばリードフレーム24の表面)からのZ方向の変位を操作部40から数値入力することで、Z座標を記録する。
【0064】
ボンディング対象となる総てのワイヤwに対して上記設定点の空間座標の記録を行ってからボンディング動作を開始させる。制御装置10は、記録された設定点の順番に従ってキャピラリ15を半導体ダイ22およびリードフレーム24に対して相対的に移動させ、ワイヤクランパ17による解放および把持を繰り返しながら記録された軌跡に沿ってキャピラリ15を移動させてボンディング動作を実行する。以下詳細に説明する。
【0065】
(2.実施形態に係るボンディング方法の説明)
[1]基本的工程の説明
本実施形態におけるボンディング方法は、(a)ボール形成工程、(b)第1ボンディング位置への第1(ボール)ボンディング工程、(c)第2ボンディング位置に向かってワイヤループを形成するワイヤルーピング工程、(d)第2ボンディング位置への第2(ステッチ)ボンディング工程、(e)第2ボンディング位置からワイヤを切断するワイヤカット工程、および(f)ボンディングツール洗浄工程からなる。ボール形成工程(a)、第1ボンディング工程(b)、ワイヤルーピング工程(c)、第2ボンディング工程(d)、およびワイヤカット工程(e)は一つのワイヤwをボンディングするための典型的なワイヤボンディング工程(A)であり、これら工程(a)から(e)を繰り返して複数のワイヤwをボンディングしている。
【0066】
一方、ボンディングツール洗浄工程(f)はこれら典型的なワイヤボンディング工程(A)であるボール形成工程(a)からワイヤカット工程(e)を一定回数(例えば、50万〜100万回)繰り返した毎に実行すればよい工程である。ボンディングツール洗浄工程(f)の実行頻度は、異物の堆積量などの汚染状態に応じて定めればよい。
【0067】
(a)ボール形成工程
図3(A)および(B)に、本実施形態におけるボール形成工程を説明する断面図を示す。図3(A)および(B)は、キャピラリ15の軸芯に沿った拡大断面図である。
【0068】
ボール形成工程は、ワイヤwの先端へボールを形成する工程である。図3(A)に示すように、前回のワイヤボンデイング工程(A)(工程(a)から(e))終了すると、キャピラリ15の先端部から延出されたワイヤwの先端にはワイヤーテールwtが形成される。制御装置10は、XYテーブル12およびボンディングヘッド13に駆動信号を供給し、固定されているトーチ電極14から所定の距離にキャピラリ15の先端のワイヤーテールwt位置させる。次いで制御装置10は制御信号を出力して、トーチ電極14とワイヤーテールwtとの間でスパークを発生させる。ワイヤw等の金属性部材は総て接地電位に固定されているため、トーチ電極14に所定の高電圧を印加すれば、トーチ電極14とワイヤーテールwtとの間で放電が発生するのである。
【0069】
図3(B)に示すように、スパークが発生すると、その熱でワイヤーテールwtを構成する金属部材が溶解し、表面張力によりフリーエアーボール(以下、「ボール」と略記)fabが形成される。ボールfabの直径は、スパーク発生時のトーチ電極14とワイヤーテールwtとの距離や、スパーク時の放電電流、および放電時間等の印加エネルギー量によって定まる。キャピラリ15で第1ボンディング位置にボンディングした後に適正な直径のデフォームドボールdb1となるような体積のボールfabが形成されるように、トーチ電極14とワイヤーテールwtとの距離、および、放電電流、および放電時間等が調整される。
【0070】
(b)第1(ボール)ボンディング工程
図3(C)−(E)に、本実施形態における第1(ボール)ボンディング工程(b)を示す。図3(C)−(E)は、キャピラリ15の軸芯に沿った拡大断面図である。
【0071】
第1ボンディング位置への第1(ボール)ボンディング工程は、ワイヤwの先端に形成されたボールfabを被ボンディング面へボンディングする工程であり、具体的には、第1ボンディング位置にデフォームドボールdb1の形成工程(図3(C)−(E))を備える。
【0072】
第1ボンディング位置のデフォームドボールdb1形成工程としては、図3(C)に示すように、まず制御装置10はXYテーブル12およびボンディングヘッド13に駆動信号を供給して、予め設定された始点に向けてキャピラリ15の空間位置を移動させる。この始点は、例えば半導体ダイ22に形成されたパッド23である。制御装置10はボンディングヘッド13に駆動信号を供給し、位置検索を行いながら半導体ダイ22のパッド23の中心部に向けて、ボールfabが形成されたキャピラリ15を降下させる。
【0073】
図3(D)に示すように、ボールfabがパッド23に当接すると、所定の降下速度による衝撃でボールfabの先端が潰れだし、キャピラリ15に付与されている荷重によりさらに変形する。同時に制御装置10はボンディングアーム16に制御信号を供給して超音波発振器161に超音波振動を発生させ、ボンディングアーム16およびキャピラリ15を介して、ボールfabに超音波振動を加える。このとき、半導体ダイ22のパッド23は、ヒータ21により所定の熱が加えられているので、ボールfabに加えられている荷重、超音波振動、およびヒータ21により加えられている熱の相互作用によって、ボールfabがパッド23にボンディングされる。これが始点であるデフォームドボールdb1となる。第1ボンディング位置のデフォームドボールdb1は、キャピラリ15の先端部(チャンファ部152、フェイス部153、アウタラディウス部154)の形状に対応して変形し、ボールfabよりも大きな直径となってボンディングされる。
【0074】
図3(E)に示すように、第1ボンディング位置にデフォームドボールdb1が形成されたら、制御装置10はボンディングヘッド13に駆動信号を供給し、キャピラリ15の先端の空間位置を引き上げる。
【0075】
(c)ワイヤルーピング工程
図4(A)−(C)に、本実施形態におけるワイヤルーピング工程(c)を示す。図4(A)−(C)は、パッド23に対するキャピラリ15の動きを概略説明する図である。
【0076】
ワイヤルーピング工程(c)は、図4(A)に示すように、まずキャピラリ15を予め設定した高さまで引き上げる。次いで図4(B)に示すように、制御装置10は、ワイヤクランパ17に対して制御信号を供給してワイヤwを拘束状態とし、XYテーブル12およびボンディングヘッド13に駆動信号を供給してキャピラリ15に第2ボンディング位置とは反対の方向に一旦移動させるリバース動作を実施する。次いで、図4(C)(i)に示すように、制御装置10は、ワイヤクランパ17を開放状態にしてキャピラリ15を引き上げ、ワイヤボンディングに必要な長さだけワイヤwを繰り出す。
【0077】
次いで図4(C)(ii)に示すように、制御装置10は、再びワイヤクランパ17を拘束状態として、キャピラリ15を第2ボンディング位置であるリードフレーム24の方向に移動させる。この移動によりワイヤwに屈曲点wrを含むループが形成される。
【0078】
ループが形成されたら、図4(C)(iii)に示すように、制御装置10は、XYテーブル12およびボンディングヘッド13に駆動信号を供給して、予め設定された終点に向けてキャピラリ15の空間位置を移動させる。この終点は、例えばリードフレーム24上に設定された第2ボンディング位置である。制御装置10はボンディングヘッド13に駆動信号を供給し、位置検索を行いつつキャピラリ15を降下させ、リードフレーム24上の第2ボンディング位置にワイヤwを当接させる。
【0079】
なお、屈曲点wrを形成の後、図4(C)に示す以外の所定の軌跡に沿ってキャピラリ15を移動させて、第2異なる形状のワイヤループをワイヤwに形成してもよい。
【0080】
(d)第2(ステッチ)ボンディング工程
図4(D)に、本実施形態における第2(ステッチ)ボンディング工程を示す。図4(D)は、キャピラリ15の軸芯に沿った拡大断面図である。
【0081】
図4(D)に示すように、キャピラリ15に保持されたワイヤwがリードフレーム24に当接すると、キャピラリ15の降下速度による衝撃とキャピラリ15に付与されている荷重とによりキャピラリ15の先端部(チャンファ部152、フェイス部153、アウタラディウス部154)とリードフレーム24とに挟まれた部分のワイヤwが変形する。同時に制御装置10はボンディングアーム16に制御信号を供給して超音波発振器161に超音波振動を発生させ、ボンディングアーム16およびキャピラリ15を介して、ワイヤwに超音波振動を加える。またリードフレーム24は、ヒータ21により所定の熱が加えられているので、ワイヤwに加えられている荷重、超音波振動、およびヒータ21により加えられている熱の相互作用によって、ワイヤwのリードフレーム24への当接部がリードフレーム24にボンディングされる。このとき、ワイヤwはキャピラリ15に荷重がかけられているので、ボンディングされたボンディング位置のすぐ近くでチャンファ部152の形状に沿った曲がりが生じている。
【0082】
(e)ワイヤカット工程
図4(E)に、本実施形態におけるワイヤカット工程を示す。図4(E)は、キャピラリ15の軸芯に沿った拡大断面図である。
【0083】
図4(E)に示すように、ワイヤwがリードフレーム24へ圧着されたら、制御装置10はワイヤクランパ17に制御信号を供給してワイヤwを拘束状態としてから、ボンディングヘッド13に駆動信号を供給してキャピラリ15を引き上げる。リードフレーム24へボンディングされた状態で強制的に引っ張られ張力が印加されると、チャンファ部152の形状に沿って曲がりが生じて薄くなっている部分からワイヤwに破断が生じる(テールカット)。この破断したリードフレーム24とのボンディング位置が第2ボンディング位置bp2となる。また第2ボンディング位置bp2から破断して分離されたワイヤwの先端は、チャンファ部152の形状に沿って薄くなったワイヤwが破断するまで引き延ばされているため、先細り状の形状となり、これがワイヤーテールwtとなり、第2ボンディング位置へのステッチボンディング工程は完了する。
【0084】
上記第1ボンディング位置への第1(ボール)ボンディング工程(b)とワイヤルーピング工程(c)と第2ボンディング位置への第2(ステッチ)ボンディング工程(d)と第2ボンディング位置からワイヤを切断するワイヤカット工程(e)とからなるワイヤボンディング工程(A)で、一本のワイヤwのボンディングが終了する。上記ボール形成工程(a)らワイヤカット工程(e)までを繰り返して半導体ダイ22に形成されたパッド23とリードフレーム24とのワイヤボンディングを繰り返していく。
【0085】
(f)ボンディングツール洗浄工程
ボンディングツール洗浄工程は、プラズマ照射装置30によりキャピラリ15を洗浄する工程である。図2で説明したように、上記ワイヤボンディング工程(A)を繰り返すと、キャピラリ15の先端部に金属性異物d1と有機性異物d2が付着する。そこで上記ワイヤボンディング工程(A)を所定回数繰り返す毎に、以下のボンディングツール洗浄工程(f)を実施する。
【0086】
図5に、本実施形態における洗浄工程を説明する断面図を示す。図5は、キャピラリ15およびプラズマトーチ33の軸芯に沿った拡大断面図である。
【0087】
ボンディングツール洗浄工程(f)を実施すべきタイミングになったら、図5(A)に示すように、制御装置10はXYテーブル12およびボンディングヘッド13に駆動信号を供給して、予め設定された洗浄位置に向けてキャピラリ15の空間位置を移動させる。この洗浄位置は、プラズマ照射装置30によって洗浄可能な位置である。例えば、プラズマトーチ33の開口38の直上であって、プラズマ39のジェット流が有機性異物d2を除去可能な強さで衝突するような位置である。
【0088】
キャピラリ15の先端部が上記洗浄位置に位置したら、図5(B)に示すように、制御装置10は遮断弁37に制御信号を供給して、ガスチャンバ31からプラズマトーチ33に加圧されたプラズマ発生用不活性ガスとしてのアルゴンガスを流入させる。アルゴンガスは接地電極35の周囲を高速に流通する。次いで制御装置10は高周波信号発生装置32に制御信号を供給する。高周波信号発生装置32からは、高電圧HVが重畳された高周波信号HSが接地電極35と負荷電極34との間に出力される。高電圧HVが重畳された高周波信号HSが供給されると、負荷電極34と接地電極35との間に高周波電界が発生し、それにより、アルゴン原子は励起され、アルゴンの電子は加速され、周囲のアルゴン気体粒子(分子)との衝突によって新たな電子が叩き出され、この電子が電界で加速されてさらに別の気体粒子と衝突して加速度的に電子数が増え、アルゴン原子はAr+(アルゴン・イオン)とe-(電子)とAr*(アルゴン・ラジカル)とに電離されて、プラズマが発生する。発生したプラズマの電離又は励起作用によって一部イオン化したアルゴン気体粒子は、プラズマトーチ33の開口38からプラズマ39としてキャピラリ15の先端部に向けて照射される。プラズマ39がキャピラリ15の先端部に照射されると、プラズマ39が有機性異物d2に衝突し、これら異物を除去する。
【0089】
また制御装置10は、好適にはボンディングアーム16の超音波発振器161へ制御信号を供給し、キャピラリ15に超音波振動を印加する。超音波振動がキャピラリ15に首振り運動を生じさせワイヤwに微小運動を与えることによって、プラズマ39がキャピラリ15の先端部の総ての面に衝突するようになり、効果的に異物が除去される。
【0090】
プラズマを照射する時間は、付着している有機性異物d2が除去されうる時間とする。本ディイングツール洗浄工程(f)を実施する頻度に応じてキャピラリ15の先端部に付着する異物の平均的な量が推測できる。その平均的な量の異物を確実に除去できる程度の洗浄時間に設定する。ただし、洗浄時間が長ければ長いほど確実に異物を除去できるが、生産性が悪くなる。また洗浄時間が長ければ長いほど、後述するようにプラズマ照射に伴うエネルギーが多く付与され、次のワイヤボンディング工程(A)を実施可能となるまでの時間が長くなり、さらに生産性が悪くなる。よって、プラズマ照射による洗浄効果と生産性の悪化とを比較考量して洗浄時間を決定すべきである。
【0091】
上記ボンディングツール洗浄工程(f)が終了したら、制御装置10は上記ボール形成工程(a)からワイヤカット工程(e)を含むワイヤボンディング工程(A)の実施を再開する。
【0092】
[2]問題点の所在
従来、ボール形成工程(a)からワイヤカット工程(e)を含むワイヤボンディング工程(A)とボンディングツール洗浄工程(f)との組み合わせは、上述したように異物の洗浄効果と生産性との関係のみを条件として考えられていた。しかし、本願発明者は、ボンディングツール洗浄工程(f)において付与されるプラズマの照射に伴うエネルギーがデフォームドボールdb1の形成に問題を生じることを発見した。以下説明する。
【0093】
図6に、プラズマ照射により付与されるエネルギーの経時変化特性と各タイミングにおいてボールを形成した場合のボンディング点におけるボンディングしたデフォームドボールdb1の直径の変化を示す。図6の上半分に示すエネルギーの経時変化特性のうち、特性frはプラズマ照射中においてキャピラリ15の先端部に蓄積されるエネルギーEの増加を示し、特性ffはプラズマの照射を中止後にワイヤーテールwtに蓄積されたエネルギーEの減衰を示している。図6の下半分に示す各時間に対応する平面図は第1ボンディング位置のパッド23にボンディングされて形成されたデフォームドボールdb1のボンディング面を示す。
【0094】
時刻trにおける平面図は、ボンディングツール洗浄工程(f)におけるプラズマ照射の影響がない状況においてボール形成工程(a)を実施した場合に得られるデフォームドボールdb1の平面図である。パッド23の幅POに対する第1ボンディング位置に形成されたデフォームドボールdb1の直径D0は、パッド23へのボンディング強度の観点および隣接する他のパッド23との距離の観点から、最適になるように調整されている。すなわち、パッド23の幅POに対する第1ボンディング位置のデフォームドボールdb1の直径D0が小さければ小さいほど、隣接するボンディング点との空間距離が大きくなって短絡やパッド23からのはみ出しの危険等が少なくなり、かつ、ボンディング時間が短縮可能である。一方、のデフォームドボールdb1の直径D0が小さくなればなるほど、パッド23とのボンディング面積が減少し、パッド23に対するデフォームドボールdb1のボンディング強度が減少する。ボンディング強度が減少すると、ワイヤwに所定の屈曲点を形成するルーピング工程や第2ボンディング位置への第2(ステッチ)ボンディング工程の実施時に第1ボンディング位置に形成されたデフォームドボールdb1がパッド23から剥離したりせん断したりする可能性が大きくなる。また第1ボンディング位置に形成されたデフォームドボールdb1とパッド23とのボンディング面積が小さければ小さいほど、接触抵抗が大きくなる可能性がある。そこで、ボンディング装置1においては上記事情を考慮し、パッド23に対する第1ボンディング位置に形成されたデフォームドボールdb1の直径D0が適正になるように、キャピラリ15により接触衝撃や静荷重、ヒータ21による加熱温度、キャピラリ15に及ぼされる超音波振動の周波数や振幅が調整されている。
【0095】
ところが、上記洗浄工程(f)の実施直後ではプラズマの照射によりキャピラリ15の先端部から延在しているワイヤーテールwtとしてのワイヤ先端部(以下「ワイヤ先端部等」という。)にエネルギーが蓄積しているため、この残留エネルギーによりボンディングツール洗浄工程(f)の直後のボール形成工程(a)によって形成される第1ボンディング位置に形成されたデフォームドボールdb1の直径が大きくなるのである。
【0096】
図6においてボンディングツール洗浄工程(f)におけるプラズマ照射は時刻t0から開始し時刻t1で終了する。プラズマ照射中は特性frに示すようにワイヤ先端部等に付与されたエネルギーEが激増し、時刻t1のプラズマ照射終了時において最大値Emaxに達する。プラズマ照射が終了するとワイヤ先端部等に蓄積されたエネルギーEは空気または金属の熱伝導により特性ffで示すように減衰していく。
【0097】
しかしながら、時刻t2においては十分に大きなエネルギーEがワイヤ先端部等に残留しているため、この時刻にボール形成工程(a)を実行して形成される第1ボンディング位置に形成されたデフォームドボールdb1の直径D1は、パッド23の幅POよりも大きく、パッド23からはみ出してしまっている。これでは、隣接するボンディング点と短絡を生ずる危険性が高く、不適である。
【0098】
さらに時間が経過した時刻t3においても、ボールfabの形成に影響を及ぼすだけのエネルギーがワイヤ先端部等に残留しているため、この時刻にボール形成工程(a)を実行して第1ボンディング位置に形成されたデフォームドボールdb1の直径D2は、パッド23の幅POより小さくなっていても、安全性の観点から設けるべき十分なマージンが得られておらず、依然として不適である。
【0099】
さらに時間が経過すれば、ワイヤ先端部等に残留しているエネルギーが、形成されるボールfabのデフォームドボールdb1の直径に大きな影響を与えなくなるようになる。この時のしきい値となるワイヤ先端部等の残留エネルギーがEthであり、残留エネルギーがEthとなる時刻がtthで示されている。この時刻tthを経過した後はワイヤ先端部等の残留エネルギーEが十分低くなっている。例えば図6における時刻t4では、この時刻にボール形成工程(a)を実行して形成される第1ボンディング位置に形成されたデフォームドボールdb1の直径は、通常状態として調整したD0となり、適正なものである。
【0100】
[3]解決原理
以上の考察から判るように、ワイヤ先端部等に残留するエネルギーEがEthとなるまでの期間にパッド23の第1ボンディング位置にデフォームドボールdb1が形成されることを禁止できれば、また、ワイヤ先端部等に残留するエネルギーEがEthとなるまでの期間に形成されたフリーエアーボールfabが第1ボンディング位置にボンディングされることを禁止できれば、ワイヤ先端部等の残留エネルギーに伴う上記不都合を回避可能である。よって、本願発明者は、ボンディングツール洗浄工程(f)におけるプラズマの照射後、プラズマの照射に伴うエネルギーが減衰するまでの時刻t1から時刻tthまでの期間を「禁止期間」とし、この禁止期間中に形成されたボールfabが被ボンディング面へボンディングされることを禁止することが上記問題点を解消する解決原理として見出した。そのためには、(1)禁止期間中に形成されたボールfabをワイヤwのボンディングに使用しないこと、または、(2)禁止期間中にボールfabを形成しないこと、のいずれかであり、具体的な以下の3つの解決方法に想到したのである。上記禁止期間は、プラズマの照射に伴うエネルギーによるボールfabの径の増大が実質的に観察されなくなる期間と言い換えることもできる。
【0101】
(第1の解決方法)
まず第1の解決方法として、ワイヤボンディング工程時(A)には、ボール形成工程(a)、第1(ボール)ボンディング工程(b)、ワイヤルーピング工程(c)、第2(ステッチ)ボンディング工程(d)、ワイヤカット工程(e)の順で実行し、ボンディングツール洗浄工程(f)時には、ボンディングツール洗浄工程(f)に続いてボール形成工程(a)を実行した後に、さらに(g)ワイヤwの先端に形成されたボールfabをダミーボンディング面へボンディングするダミーボンディング工程(g)を実施することが考えられる。
【0102】
図6において説明したように、ワイヤ先端部等に相対的に大きなエネルギーEが残留している禁止期間においてボール形成工程(a)を実行すると、実用上問題となる第1ボンディング位置にデフォームドボールdb1が形成される。逆に考えると、禁止期間に形成されたボールfabを捨ててしまえば、パッド23にボンディングされることがなく、製造上の上記問題を生じない。上記第1の解決方法によれば、ボール形成工程(a)が禁止期間中に実行された場合には、正規の被ボンディング面ではないダミーボンディング面にボールfabがボンディングされる。このため上記第1の解決方法によれば、プラズマ照射による残留エネルギーが減衰するまで待つ必要がないため、生産性を悪化させることが無い。またボール形成工程(a)からワイヤカット工程(e)に至るまでのワイヤボンディング工程(A)合間にボンディングツール洗浄工程(f)を不定期にまたは定期的に挿入した場合でも、工程の繰り返しのリズムを崩すことない。さらに禁止期間の経過直後から正規のボール形成工程(a)を再開することが可能であり生産性を向上させることが可能である。
【0103】
(g)ダミーボンディング工程
図7〜図9に基づいて、上記ダミーボンディング工程(g)を説明する。図7はダミーボンディング工程(g)直前の半導体ダイの一部拡大平面図であり、図8はダミーボンディング工程(g)実行中の半導体ダイの一部拡大平面図であり、図9はダミーボンディング工程(g)終了後の半導体ダイの一部拡大平面図である。
【0104】
図7−図9において、半導体ダイ22の一部が拡大して示されている。半導体ダイ22には、第1ボンディング位置となるパッド23(23a−23c)が形成されている。第2ボンディング位置となるリードフレーム24が示されている。リードフレーム24には第2ボンディング位置の他に直接ボンディングには使用されない位置合わせ用パターン26が形成されている。位置合わせ用パターン26は、ワイヤボンディング動作を行なう際の位置合わせのためのマークとして用意されているものである。なお、位置合わせ用パターン26は、リードフレーム24と同一面に形成されたものであるため、ボンディングすることも可能な領域になっている。そこで本実施形態では、この位置合わせ用パターン26をダミーボンディング工程で使用するダミーボンディング面として利用することにする。
【0105】
図7の時点では、ボール形成工程(a)からワイヤカット工程(e)を含む一連のワイヤボンディング工程(A)により、パッド23aとリード24aとがワイヤwaでボンディングされ、パッド23bとリード24bとがワイヤwbでボンディングされている。ワイヤwbがボンディングされた後に上記ボンディングツール洗浄工程(f)が実行されたものとする。ボンディングツール洗浄工程(f)の直後にボール形成工程(a)を実施すると、上述のようにプラズマ照射の残留エネルギーの影響で通常より直径の大きなボールfabが形成される。そこでダミーボンディング工程(g)に移行する。
【0106】
ダミーボンディング工程(g)を実施する場合には、図7に示すように、制御装置10はXYテーブル12に駆動信号を供給し、キャピラリ15の平面位置を位置合わせ用パターン26の位置まで移動させる。
【0107】
次いで図8に示すように、制御装置10はボンディングヘッド13に駆動信号を供給し、キャピラリ15を降下させて位置合わせ用パターン26にダミーボンディングdbp1を形成する。このときキャピラリ15の先端部に形成されているボールfabは通常より大きな直径に形成されている。このため位置合わせ用パターン26に形成されるダミーボンディングdbp1は、通常の第1ボンディング位置にボンディングされるデフォームドボールdb1より大きな直径(例えば、図6における時刻t2やt3のときのもの)に形成されている。その後、通常のルーピング形成工程と同様にルーピング形成動作を行う。なお、この位置合わせ用パターン26にダミーボンディングdbp1を形成し、続いて繰り出されたワイヤwdは正規のボンディング接続に使用しないものであるため短絡等の不都合とは無関係である。
【0108】
次いで図9に示すように、制御装置10は、XYテーブル12およびボンディングヘッド13に駆動信号を供給し、通常の第2ボンディング位置へのステッチボンディング工程と同様に位置合わせ用パターン26にダミーボンディングdbp2を形成する。このダミーボンディング工程(g)を実行することにより、ワイヤ先端部等に残留していたエネルギーはしきい値Eth以下に減衰する。そのため、その後パッド23cの位置にキャピラリ15を戻して、パッド23cとリードフレーム24cとをワイヤwcでボンディングする際には、第1ボンディング位置にボンディングされたデフォームドボールdb1の直径は適正なD0となっており、不都合を生じない通常のボンディング処理となっている。
【0109】
上述の実施形態では、ダミーボンディング工程(g)中に第2(ステッチ)ボンディング工程に相当するダミーボンディングdbp2を形成する工程を含む形態となっている。しかし、生産性の向上の観点からダミーボンディング工程(g)は、ワイヤルーピング工程(c)およびステッチボンディング工程(d)の2工程を除く、ボール形成工程(a)および第1(ボール)ボンディング工程(b)により実施しても好適である。
【0110】
なお、ダミーボンディング工程(g)を実施すると、残留エネルギーがワイヤ先端部のボールからダミーボンド面へ熱として伝導するので、図6に示したような禁止期間の経過を待たなくても好適である。また、ダミーボンディング工程(g)の終了時にまだ禁止期間が経過していない場合には、禁止期間が経過するまで待ってから次のボール形成工程(a)に移行しても好適である。
【0111】
また、ダミーボンディング工程(g)を実施するダミーボンディング面は、正規のボンディング対象面以外の金属表面であればよく、位置合わせパターン26に限定されない。例えば位置合わせとは無関係な金属パターンでもよく、リードフレーム24の一部やその他の基板上の空きスペースであってもよい。1つのワイヤのワイヤボンディング工程(A)完了後、次のワイヤボンディング工程(A)の開始するまで期間を中断してダミーボンディング工程(g)を実施するものであるため、キャピラリ15の移動距離を短くすることが好ましい。そのため、中断した位置からなるべく近くの金属面をダミーボンディング面とすることが生産性を良くするために好ましい。
【0112】
(第2の解決方法)
第2の解決方法として、ワイヤボンディング工程(A)時には、ボール形成工程(a)および第1(ボール)ボンディング工程(b)、ワイヤルーピング工程(c)、第2(ステッチ)ボンディング工程(d)、ワイヤカット工程(e)の順で実行し、洗浄工程時には、ボール形成工程(a)、ボンディングツール洗浄工程(f)の順で実行することが考えられる。
【0113】
上記ボンディングツール洗浄工程(f)においてプラズマの照射により付与されるエネルギーは、ボールfabの形成時におけるスパークのエネルギーより遙かに小さい。トーチ電極14からのスパークにより一瞬にしてワイヤーテールwtが溶解し再結晶してボールfabとなってしまった後は、プラズマがボールfabに照射されたとしても再び溶解することがない。このため、上記ボール形成工程(a)によりワイヤwの先端部にボールfabを一旦形成しさえすれば、その後にボールfabに対してプラズマを照射してもボールfabの直径が大きくなることはないのである。上記第2の解決方法によれば、プラズマ照射による残留エネルギーが減衰するまで待つ必要がないため生産性を悪化させることがない。
【0114】
(第3の解決方法)
第3の解決方法として、ボンディングツール洗浄工程(f)を実行した後、少なくとも禁止期間だけ次のワイヤボンディング工程(A)用のボール形成工程(a)の実行を禁止することが考えられる。
【0115】
禁止期間にボールfabを形成した場合には不都合な大きさのボールfabが形成されてしまうのであるから、禁止期間が経過するまで待ってからボール形成工程(a)を実行すればよい。上記第3の態様によれば、禁止期間が経過するまで待つ必要はあるものの、ダミーボンディングや後述するボール形成後の洗浄など、不規則な工程管理のための設定が必要なくなるというメリットがある。
【0116】
(3.解決原理を適用した具体的実施の態様)
上記した第1の解決方法、第2の解決方法、および第3の解決方法の各々を上記ボンディング装置1に適用した場合の具体的な実施形態1−3を以下に説明する。
【0117】
[1]実施形態1
図10に、上記第1の解決方法を適用した実施形態1に係るボンディングツールの洗浄方法を説明するフローチャートを示す。最初は洗浄工程の直後であることを示す洗浄フラグはリセットされている。
【0118】
ステップS10においてボンディング処理の準備を実施する。上述したようにオペレータによる操作部40の操作内容に対応させて、制御装置10は、キャピラリ15の移動軌跡を記録していく。またリードフレーム24にダイボンディングされた半導体ダイ22がフィーダ20の上に載置されたら、制御装置10は制御信号を供給し、ヒータ21を所定の温度にまで加熱させる。
【0119】
ステップS11においてボンディング処理開始の指示を待ち(NO)、ボンディング処理の開始が指示されると(YES)、ステップS12に移行し、制御装置10は、洗浄タイミングであるか否かを判定する。洗浄タイミングは、上述したようにボンディング装置の仕様やボンディング対象の汚染状況に応じて、異物を除去するために適当な頻度として予め設定されたものである。
【0120】
洗浄タイミングではない場合には(NO)、ステップS13に移行し、制御装置10はボール形成工程(a)を実行する。図3(A)および(B)を参照して説明したように、制御装置10は、トーチ電極14とワイヤーテールwtとの間でスパークを発生させ、スパークの熱でワイヤwの先端にボールfabを形成する。
【0121】
次いでステップS14に移行し、制御装置10は第1(ボール)ボンディング工程(b)を実行する。図3(C)−(E)を参照して説明したように、第1ボンディング位置への第1(ボール)ボンディング工程を実行するために、制御装置10は半導体ダイ22のパッド23の中心部に向けて、その15先端にボールfabが形成されたキャピラリ15を降下させる。そして、超音波振動を与えながらボールfabをパッド23にボンディングさせ、第1ボンディング位置にデフォームドボールdb1を形成する。
【0122】
次いでステップS15に移行し、制御装置10はワイヤルーピング工程(c)を実行する。図4(A)−(C)を参照して説明したように、制御装置10は、ワイヤクランパ17を拘束状態にして第2ボンディング位置とは反対方向にキャピラリ15を移動させてから、ワイヤクランパ17を解放状態にしてワイヤwを繰り出し、再びワイヤクランパ17を拘束状態にして第2ボンディング位置へキャピラリ15を移動させる。この工程によりワイヤループが形成される。
【0123】
次いでステップS16に移行し、制御装置10は第2(ステップ)ボンディング工程(d)およびワイヤカット工程(e)を実行する。図4(D)および(E)を参照して説明したように、制御装置10は、リードフレーム24に向けてキャピラリ15の空間位置を移動させ、超音波振動を与えながらワイヤwをリードフレーム24へボンディングさせ、その後、第2ボンディング位置からワイヤwを切断するワイヤカット工程を実施して第2ボンディング位置にbp2を形成する。
【0124】
次いでステップS18に移行し、制御装置10はワイヤボンディング処理を終了するか否かを判断する。ワイヤボンディング処理が継続する限り(ステップS18:NO)、また、洗浄タイミングが到来しない限り(ステップS12:NO)、ボール形成工程(a)(ステップS13)、第1(ボール)ボンディング工程(b)(ステップS14)、ワイヤルーピング工程(c)(ステップS15)、第2(ステッチ)ボンディング工程(d)(ステップS16)、およびワイヤカット工程(e)(ステップS17)が繰り返される。
【0125】
さて、ステップS12において洗浄タイミングが到来した場合(YES)、ステップS20に移行し、制御装置10はボンディングツール洗浄工程(f)を実行する。図5(A)および(B)を参照して説明したように、制御装置10はキャピラリ15をプラズマ照射装置30のプラズマトーチ33の直上に移動させる。そしてキャピラリ15の先端部にプラズマ39を照射して、キャピラリ15の先端部に付着した有機性異物d2を除去する。必要に応じて、制御装置10は、キャピラリ15に超音波振動を印加する。
【0126】
ボンディングツール洗浄工程(f)が終了したらステップS21に移行し、制御装置10は、通常状態と同様にボール形成工程(a)を実行する。このとき形成されるボールfabは、プラズマ照射の残留エネルギーの影響で通常状態のときより大きなものとなっている。そこでステップS22に移行し、制御装置10はダミーボンディング工程(g)を実行する。制御装置10は、図7に示したように半導体ダイ22の位置合わせ用パターン26にキャピラリ15を移動させ、図8に示したようにダミーボンディング工程に係るダミーボンディングdbp1およびダミーボンディングdbp2を形成する。
【0127】
ダミーボンディング工程(g)を終了したらステップS18に移行し、ワイヤボンディング処理が継続する限り(ステップS18:NO)、次の洗浄タイミングが到来するまで(ステップS12:NO)、ワイヤボンディング工程(A)(ステップS13−S17)を繰り返す。
【0128】
以上実施態様1によれば、ボンディングツール洗浄工程(f)の直後にボール形成工程(a)が実行された場合には、正規の被ボンディング面ではない位置合わせ用パターン26にボールfabがボンディングされる。よって、プラズマ照射による残留エネルギーが減衰するまで待つことなくボンディング処理を継続することが可能であり、生産性を悪化させることが無い。またボール形成工程(a)からワイヤカット工程(e)に至るワイヤボンディング工程(A)の繰り返しの合間にボンディングツール洗浄工程(f)を不定期にまたは定期的に挿入した場合でも、工程の繰り返しのリズムを崩すことない。さらに禁止期間の経過直後から正規のボール形成工程(a)を再開することが可能であり生産性を向上させることが可能である。
【0129】
[2]実施形態2
図11に、上記第2の解決方法を適用した実施形態2に係るボンディングツールの洗浄方法を説明するフローチャートを示す。
【0130】
ステップS10においてボンディング処理の準備を実施する。上述したようにオペレータによる操作部40の操作内容に対応させて、制御装置10は、キャピラリ15の移動軌跡を記録していく。またリードフレーム24にボンディングされた半導体ダイ22がフィーダ20の上に載置されたら、制御装置10は制御信号を供給し、ヒータ21を所定の温度にまで加熱させる。
【0131】
ステップS11においてボンディング処理開始の指示を待ち(NO)、ボンディング処理の開始が指示されると(YES)、ステップS13に移行し、制御装置10は、ボール形成工程(a)を実行する。制御装置10は、トーチ電極14とワイヤーテールwtとの間でスパークを発生させ、スパークの熱でワイヤwの先端にボールfabを形成する。
【0132】
次いでステップS12に移行し、制御装置10は洗浄タイミングであるか否かを判断する。洗浄タイミングではない場合には(NO)、制御装置10はステップS14に移行して第1(ボール)ボンディング工程(b)を実行し、ステップS15に移行してワイヤルーピング工程(c)を実行し、ステップS16に移行して第2(ステッチ)ボンディング工程(d)を実行し、ステップS17に移行してワイヤカット工程(e)を実行する。
【0133】
一方、ステップS12において洗浄タイミングである場合(YES)、制御装置10はステップS20に移行し、制御装置10はボンディングツール洗浄工程(g)を実行する。すなわち、図12(A)に示すように、制御装置10はボールfabが形成されたままのキャピラリ15をプラズマ照射装置30のプラズマトーチ33の直上に移動させる。そして図12(B)に示すように、キャピラリ15の先端部にイオン化したプラズマ39を照射して、キャピラリ15の先端部に付着した有機性異物d2を除去する。必要に応じて、制御装置10は、キャピラリ15に超音波振動を印加する。ワイヤwの先端にボールfabが形成されていても、ボールfabの再結晶は終了しており、プラズマ照射により与えられるエネルギーによりボールが大きくなることはなく、ボールfabの大きさは通常のままである。
【0134】
ボンディングツール洗浄工程(g)が終了したら、制御装置10は、ステップS14に移行して第1(ボール)ボンディング工程(b)を実行し、ステップS15に移行してワイヤルーピング工程(c)を実行し、ステップS16に移行して第2(ステッチ)ボンディング工程(d)を実行し、ステップS17に移行してワイヤカット工程(e)を実行する。このときのボールfabの大きさは通常の大きさであるため、形成される第1ボンディング位置にボンディングされたデフォームドボールの直径も通常どおりとなる。
【0135】
次いでステップS18に移行し、制御装置10はボンディング処理が終了であるか否かを判定し、終了しない場合には(NO)、再びステップS13に戻る。一方、ステップS18においてボンディング処理を終了する場合には(YES)、ボンディング作業を終了させる。
【0136】
以上実施態様2によれば、プラズマ照射による残留エネルギーが減衰するまで待つことなく第1(ボール)ボンディング工程(b)、ワイヤルーピング工程(c)、第2(ステッチ)ボンディング工程(d)、ワイヤカット工程(e)を実施できるので、生産性を悪化させることがない。
【0137】
[3]実施形態3
図13に、上記第3の解決方法を適用した実施形態3に係るボンディングツールの洗浄方法を説明するフローチャートを示す。
【0138】
ステップS10においてボンディング処理の準備を実施する。上述したようにオペレータによる操作部40の操作内容に対応させて、制御装置10は、キャピラリ15の移動軌跡を記録していく。またリードフレーム24にダイボンディングされた半導体ダイ22がフィーダ20の上に載置されたら、制御装置10は制御信号を供給し、ヒータ21を所定の温度にまで加熱させる。
【0139】
ステップS11においてボンディング処理開始の指示を待ち(NO)、ボンディング処理の開始が指示されると(YES)、ステップS12に移行し、制御装置10は洗浄タイミングであるか否かを判断する。
【0140】
洗浄タイミングでない限り(ステップS12:NO)、制御装置10は、ステップS13に移行してボール形成工程(a)を実行し、ステップS14に移行して第1(ボール)ボンディング工程(b)を実行し、ステップS15に移行してワイヤルーピング工程(c)を実行し、ステップS16に移行して第2(ステッチ)ボンディング工程(d)を実行し、ステップS17に移行してワイヤカット工程(e)を実行する。
【0141】
一方、ステップS12において洗浄タイミングである場合(YES)、制御装置10はステップS20に移行し、制御装置10はボンディングツール洗浄工程(f)を実行する。すなわち、制御装置10はキャピラリ15をプラズマ照射装置30のプラズマトーチ33の直上に移動させる。そしてキャピラリ15の先端部にイオン化したプラズマ39を照射して、キャピラリ15の先端部に付着した有機性異物d2を除去する。必要に応じて、制御装置10は、キャピラリ15に超音波振動を印加する。
【0142】
ボンディングツール洗浄工程(f)が終了したらステップS23に移行し、制御装置10は禁止期間Tiが経過したか否かを判定する。禁止期間Tiが経過しない場合には(NO)、引き続き待機する。待機の間にプラズマ照射によりワイヤ先端部等に付与された残留エネルギーが減衰していく。
【0143】
ステップS23において禁止期間Tiが経過したと判定した場合(YES)、制御装置10は再びワイヤボンディング工程(A)の各工程(ステップS13−S17)に移行する。ステップS18において、制御装置10はボンディング処理が終了であるか否かを判定し、終了しない場合には(NO)、再びステップS12に戻る。禁止期間Tiが経過していれば、ワイヤ先端部等に付与された残留エネルギーは形成されるボールfabの直径に影響を与えない程度に減衰しているので、次のワイヤボンディング工程(A)のボール形成工程(a)に移行しても問題を生じない。
【0144】
一方、ステップS18においてボンディング処理を終了する場合には(YES)、ボンディング作業を終了させる。
【0145】
以上実施態様3によれば、禁止期間Tiが経過するまで待つ必要はあるものの、ダミーボンディングやボール形成後の洗浄など、不規則な工程管理のための設定が必要なくなるというメリットがある。
【0146】
[4]その他の実施形態
本発明は、上記実施形態に限定されることなく種々に変形して適用することが可能である。
【0147】
例えば上記第1〜第3の解決方法は互いに組み合わせて実行することが可能である。具体的には、第1の解決方法を適用した上記実施形態1において、ダミーボンディング工程(g)を実行した後に、ボンディングツール洗浄工程(f)におけるプラズマ照射後からまだ禁止期間Tiが経過していない場合、第3の解決方法を適用し、禁止期間Tiが経過するまで次のボール形成工程(a)の実行を待つことが可能である。また禁止期間Tiが経過していない場合に再度ダミーボンディング工程(g)を繰り返してもよい。
【0148】
また第2の解決方法を適用した上記実施形態2において、ボール形成工程(a)、ボンディングツール洗浄工程(f)、第1(ボール)ボンディング工程(b)の順で実行した時点において、ボンディングツール洗浄工程(f)におけるプラズマ照射後からまだ禁止期間Tiが経過していない場合、第3の解決方法を適用し、禁止期間Tiが経過するまで次のボール形成工程(a)の実行を待つことが可能である。
【0149】
上記したワイヤボンディング工程(A)の各工程(a)〜(e)は典型的な工程の例示であり、必要に応じて処理の内容を変更して適用してもよい。例えば、ワイヤルーピング工程(c)は、図4(A)−(C)で示したようなルーピング処理である必要は無く、異なる軌跡に沿ってキャピラリ15を移動させて所望のルーピング形状をワイヤwに付与してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、ボンディング装置におけるボンディングツールの洗浄のみならず、プラズマ照射を利用する他の装置の洗浄方法に適用することも可能である。所定の通常処理の間に定期的にまたは不定期にプラズマによる洗浄工程を挿入する必要があり、かつ、プラズマ照射によって付与されるエネルギーが上記通常処理に悪影響を与えるような場合に適用可能である。
【符号の説明】
【0151】
D0−2…直径、HS…高周波信号、HV…高電圧、PO…幅、Ti…禁止期間、bp1、bp2…ボンディング点、d1…金属性異物、d2…有機性異物、dbp1、dbp2…ダミーボンディング点、dp1…ボンディング点、fab…ボール、w、wa−d…ワイヤ、wt…ワイヤーテール、1…ボンディング装置、10…制御装置、11…基台、12…XYテーブル、13…ボンディングヘッド、14…トーチ電極、15…キャピラリ、16…ボンディングアーム、17…ワイヤクランパ、18…ワイヤテンショナ、19…回転スプール、20…フィーダ、21…ヒータ、22…半導体ダイ、23…パッド、24…リードフレーム、26…位置合わせ用パターン、30…プラズマ照射装置、31…ガスチャンバ、32…高周波信号発生装置、33…プラズマトーチ、34…負荷電極、35…接地電極、36…ガス配管、37…遮断弁、38…開口、39…プラズマ、40…操作部、41…ディスプレイ、42…カメラ、151…ストレート孔、152…チャンファ部、153…フェイス部、154…アウタラディウス部、155…外周面、161…超音波発振器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンディングツールを洗浄可能に構成されたボンディング装置であって、
ワイヤの先端にフリーエアーボールを形成する放電装置と、
前記ワイヤの先端に形成された前記フリーエアーボールを第1ボンディング位置にボンディングするボンディングツールと、
プラズマを照射して前記ボンディングツールを洗浄するプラズマ照射装置と、
前記放電装置、前記ボンディングツール、および前記プラズマ照射装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
(a)ボンディングツール先端から延出した前記ワイヤの先端へ前記フリーエアーボールを形成するボール形成工程、
(b)前記ボンディングツール先端から延出した前記ワイヤの先端に形成された前記フリーエアーボールを前記ボンディングツールで前記第1ボンディング位置へボンディングしてデフォームドボールを形成する第1ボンディング工程、
(c)前記ボンディングツール先端から前記ワイヤを繰り出しながら前記ボンディングツールを所定の軌跡に沿って第2ボンディング位置の方向に前記ワイヤをルーピングさせるワイヤルーピング工程、
(d)前記ボンディングツール先端から延出する前記ワイヤを前記第2ボンディング位置にボンディングさせる第2ボンディング工程、
(e)前記ボンディングツール先端から前記ワイヤを繰り出しながら上昇させ、所定の高さに達したらクランパを閉じて前記ワイヤを前記第2ボンディングサイトから切断し、前記ボンディングツール先端から前記ワイヤを延出させるワイヤカット工程、
を含むワイヤボンディング工程(A)と、
(f)前記プラズマの照射により前記ボンディングツールを洗浄するボンディングツール洗浄工程を含む洗浄工程(B)と、を実行可能に構成されており、
所定回数の前記ワイヤボンディング工程(A)を実行した後、前記洗浄工程(B)を実行するものであり、
前記洗浄工程(B)の前記ボンディングツール洗浄工程(f)により付与された前記プラズマの照射のエネルギーが、前記ワイヤボンディング工程(A)用の前記ボール形成工程(a)で形成される前記フリーエアーボールに及ぶことを禁止する、
ボンディング装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記ワイヤボンディング工程(A)時には、前記ボール形成工程(a)、前記第1ボンディング工程(b)、前記ワイヤルーピング工程(c)、前記第2ボンディング工程(d)、前記ワイヤカット工程(e)の順で実行し、
洗浄工程(B)時には、前記ボンディングツール洗浄工程(f)を実行し、次いで前記洗浄工程(B)の一部として前記ボール形成工程(a)を実行した後、前記ワイヤの先端に形成されたフリーエアーボールをダミーボンディング位置へボンディングするダミーボンディング工程(g)を実行する、
請求項1に記載のボンディング装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記ダミーボンディング工程(g)を実行した後、前記洗浄工程(B)の一部として前記ワイヤカット工程(e)を実行し、続いて次の前記ワイヤボンディング工程(A)用の前記ボール形成工程(a)を実行する、
請求項2に記載のボンディング装置。
【請求項4】
前記ダミーボンディング位置は、位置合わせ用パターンである、
請求項2に記載のボンディング装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記ワイヤボンディング工程(A)時には、前記ボール形成工程(a)、前記第1ボンディング工程(b)、前記ワイヤルーピング工程(c)、前記第2ボンディング工程(d)、前記ワイヤカット工程(e)の順で実行し、
前記洗浄工程(B)時には、次の前記ワイヤボンディング工程(A)用のボール形成工程(a)を実行した後、前記ボンディングツール洗浄工程(f)を実行する、
請求項1に記載のボンディング装置。
【請求項6】
前記ボンディングツール洗浄工程(f)を実行した後、少なくとも前記プラズマの照射により付与されたエネルギーが減衰するまでの禁止期間が経過してから次の第1ボンディング工程(b)を実行する、
請求項5に記載のボンディング装置。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記ワイヤボンディング工程(A)時には、前記ボール形成工程(a)、前記第1ボンディング工程(b)、前記ワイヤルーピング工程(c)、前記第2ボンディング工程(d)、前記ワイヤカット工程(e)の順で実行し、
前記洗浄工程(B)時には、前記ボンディングツール洗浄工程(f)を実行し、その後少なくとも前記プラズマの照射により付与されたエネルギーが減衰するまでの禁止期間だけ次の前記ワイヤボンディング工程(A)用の前記ボール形成工程(a)の実行を禁止する、
請求項1に記載のボンディング装置。
【請求項8】
前記禁止期間は、前記プラズマの照射後、前記プラズマの照射により付与されたエネルギーによる前記フリーエアーボールの直径の増大が実質的に観察されなくなるまでの期間である、
請求項6または7に記載のボンディング装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
所定回数の前記ワイヤボンディング工程(A)を実行した後、前記ボンディングツール洗浄工程(f)を実行する、
請求項1から8のいずれかに記載のボンディング装置。
【請求項10】
ボンディングツールの洗浄方法であって、
(a)ボンディングツール先端から延出したワイヤの先端へフリーエアーボールを形成するボール形成工程、
前記ボール形成工程の後、(b)前記ボンディングツール先端から延出した前記ワイヤの先端に形成された前記フリーエアーボールを前記ボンディングツールで第1ボンディング位置へボンディングさせてデフォームドボールを形成する第1ボンディング工程、
前記第1ボンディング工程の後、(c)前記ボンディングツール先端から前記ワイヤを繰り出しながら前記ボンディングツールを所定の軌跡に沿って第2ボンディング位置の方向に前記ワイヤをルーピングさせるワイヤルーピング工程、
前記ワイヤルーピング工程の後、(d)前記ボンディングツール先端から延出する前記ワイヤを前記第2ボンディング位置にボンディングさせる第2ボンディング工程、
前記第2ボンディング工程の後、(e)前記ボンディングツール先端から前記ワイヤを繰り出しながら上昇させ、所定の高さに達したらクランパを閉じて前記ワイヤを前記第2ボンディング位置から切断し、前記ボンディングツール先端から前記ワイヤを延出させるワイヤカット工程、
を含むワイヤボンディング工程(A)と、
所定回数のワイヤボンディング工程(A)を実行した後、前記プラズマの照射により前記ボンディングツールを洗浄するボンディングツール洗浄工程(f)を含む洗浄工程(B)と、を備え、
前記洗浄工程(B)の前記ボンディングツール洗浄工程(f)により付与された前記プラズマの照射のエネルギーが、前記ワイヤボンディング工程(A)用の前記ボール形成工程(a)で形成される前記フリーエアーボールに及ぶことを禁止する、
ボンディングツールの洗浄方法。
【請求項11】
前記洗浄工程(B)において、
前記ボンディングツール洗浄工程(f)を実行し、前記洗浄工程(B)の一部として前記ボール形成工程(a)を実行した後、前記ワイヤの先端に形成された前記フリーエアーボールをダミーボンディング位置にボンディングするダミーボンディング工程(g)を実行する、
請求項10に記載のボンディングツールの洗浄方法。
【請求項12】
前記ダミーボンディング工程(g)を実行した後、前記洗浄工程(B)の一部として前記ワイヤカット工程(e)を実行し、続いて次の前記ワイヤボンディング工程(A)用の前記ボール形成工程(a)を実行する、
請求項11に記載のボンディングツールの洗浄方法。
【請求項13】
所定回数のワイヤボンディング工程(A)を実行した後、次の前記ワイヤボンディング工程(A)用の前記ボール形成工程(a)を実行し、その後前記ボンディングツール洗浄工程(f)を実行する、
請求項10に記載のボンディングツールの洗浄方法。
【請求項14】
ボンディングツール洗浄工程(f)の実行した後、少なくとも前記プラズマの照射により付与されたエネルギーが減衰するまでの禁止期間が経過してから次の前記第1ボンディング工程(b)を実行する、
請求項13に記載のボンディングツールの洗浄方法。
【請求項15】
前記ボンディングツール洗浄工程(f)を実行し、その後少なくとも前記プラズマの照射により付与されたエネルギーが減衰するまでの禁止期間だけ次の前記ワイヤボンディング工程(A)用の前記ボール形成工程(a)の実行を禁止する、
請求項10に記載のボンディングツールの洗浄方法。
【請求項16】
前記禁止期間は、前記プラズマの照射後、前記プラズマの照射により付与されたエネルギーによる前記フリーエアーボールの直径の増大が実質的に観察されなくなるまでの期間である、
請求項14または15に記載のボンディングツールの洗浄方法。

【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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