説明

ボード材の製造方法及びボード材

チップ材料または繊維性材料からなるボード材、特に、チップボード、LDFボード、MDFボード、HDFボード、及びOSBボードの製造方法において、乾燥したチップ材料または繊維性材料を提供するステップ(S2)と、前記乾燥したチップ材料または繊維性材料のプラズマ処理ステップ(S3a,S3b)と、前記プラズマ処理されたチップ材料または繊維性材料への接着剤の塗布ステップ(S4a,S4b)と、ボード材を形成するための前記接着剤の塗布されたチップ材料または繊維性材料の圧縮ステップ(S5)と、を備える。本発明はさらにこの種類のボード材に関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ材料または繊維性材料からなるボード材の製造方法に係り、特に、合板、LDFボード(低密度繊維板)、MDFボード(中質繊維板)、HDFボード(高密度繊維板)、及びOSBボード(指向性ストランドボード)に関する。
【背景技術】
【0002】
合板製造の一般的方法は、例えば木材の切削により木材チップが準備され、木材チップは、まず乾燥させ、続いてチップサイズごと、例えば2つのクラス、つまり大きめの心材用チップと小さめのカバー層用チップに分類されて保管され、いずれか一方が単独で保管されるか直接次の工程へと送り込まれる。チップは通常、その後、コンベアベルト上にて、カバー層用チップはプレスされていないチップの層の外側に配され、心材用チップはプレスされていないチップの層の中身に配されるように、接着、分散され、ベルトプレスを用いた連続工程で続いて圧縮されボードを形成する。
【0003】
例えば、MDFボードまたはHDFボードの繊維板の製造方法においても工程は同様であるが、カバー層用チップや心材用チップの区別が行われることはない。とはいえ、その繊維は通常、所定の繊維種類についての所定の割合の混合物から形成される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】チップボードを作製する本発明による方法のダイアグラム展開のためのブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の好ましい実施形態は、添付の図面を基に単に一例として以下に説明される。
図1は、チップボードを作製する本発明による方法のダイアグラム展開のためのブロック図である。
【0023】
図1に図示する本発明の好ましい実施形態において、ステップS1で、第1の丸太材、木材チップ、木材の端切れなどが、典型的な切削設備に送り込まれる。
【0024】
ステップS2において、送り込まれた材木はその後、処理される。切削設備を活用しチップを形成するべく処理され、これらのチップは、典型的なドライヤー設備、例えば、残留水分約2%を上限としたドラム乾燥機で乾燥され、続いて、後にチップボードのカバー層チップとなるより小さいチップが、後にチップボードの心材層となるより大きなチップから分けられるよう、ふるいにかけられる。
【0025】
本発明による方法は、上記2つのステップにおいて、チップ材料または繊維性材料からなるボード材の典型的な製造方法と違いはなく、乾燥したチップ材料または繊維性材料の提供がどのように行われるかは、正に本発明による方法のため完全に非物質的である。そのため、そのまま現場で切削及び乾燥が行われないことは同様に想像し得る。しかし、すでに乾燥したチップ材料または繊維性材料は、保管設備から供給される。
【0026】
ステップS3aでは、カバー層チップが減圧室内にセットされ、その後、減圧室内は約0.5〜5mbarの運転圧力に減圧される。運転圧力に達するとすぐ減圧室内でプラズマが励起され、この場合、減圧室内に残っているエアがプロセスガスとして使用される。同様に、例えばアルゴン及び/または、例えば窒素のような一以上の添加物は、それぞれプロセスガスに使用し得る。カバー層チップがプラズマに晒されるプラズマ処理時間は1〜10分間続く。
【0027】
ステップ3Sbでは、同じく心材層チップがステップS3aと同様にプラズマ処理される。カバー層チップと心材層チップの個々のプラズマ処理は、一方においては、例えば、運転圧力、処理時間、そして、プロセスガスの組成及び/または濃度のようなプロセスパラメータが、チップの種類それぞれについて一つ一つ調整される。他方においては、それぞれチップの種類に対し適切な組成と濃度でなる個々のプロセスガスに対して異なる添加剤が添加され得る。
【0028】
ステップS3aまたはS3bに続くステップS4aまたはS4bでは、カバー層チップと心材層チップがそれぞれ個々に接着される。ここで接着物質としては、同様にチップボードの典型的な製造方法である、尿素ホルムアルデヒド樹脂またはメラミンホルムアルデヒド樹脂またはフェノールアルデヒド樹脂が使われる。
【0029】
本発明によるチップのプラズマ処理を経て、チップ表面の湿潤性が改善されるので、結果として懸念される仕上げられたチップボードの機械的強度特性を持つことなく、典型的なチップボードの製造方法を用いるより約30%少ない接着剤物質の使用が可能となる。1立方メートル当たり約90kgの液状接着剤を有する典型的なチップボードは、工業基準の関係により要求される機械的強度特性を持ったチップボードを製造する必要があるのだが、本発明による方法は、理想的でチップボード1立方メートル当たり約63kgの液状接着剤だけで取り扱える。これら重要なコスト削減により、ボード材製造のための本発明による方法においてプラズマ処理の追加ステップについての取り組み及び追加コストは正当化済みである。
【0030】
その上、プラズマ処理中のプロセスガスにおける適切な添加剤を通じてチップの他の特性もまた有利に影響を及ぼすことができる。例えば、フッ素の追加は、出来上がったボードの膨張挙動を抑制するため、チップボード製作における他の普通のパラフィン乳剤の添加を完全に省略でき、または少なくとも部分的になるように、チップの膨張挙動の有利な影響を生み出す。
【0031】
ステップS5における接着剤塗布後、カバー層チップと心材層チップは、層の表面がプレスされないようにコンベアベルト上にて共に分散され、カバー層チップの接着チップ、そして、心材層チップが層の真ん中に配置される。チップは最後に圧縮され、例えば典型的なベルトプレスと、チップボードを形成するために加熱される。
【0032】
これによって、ボード材の製造において明らかで、典型的な、チップを配置したり圧縮したりするステップの進め方は、本発明による方法のため完全に非物質的であるが、それらは詳細に実行される。従って、いくつかの積層可能法と接着チップの圧縮法は、チップ材料または繊維性材料でなるボード材の製造に典型的に使用され、想像し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ材料または繊維性材料からなるボード材、特に、チップボード、LDFボード、MDFボード、HDFボード、及びOSBボードの製造方法において、
乾燥したチップ材料または繊維性材料を提供するステップ(S2)と、
前記乾燥したチップ材料または繊維性材料のプラズマ処理ステップ(S3a,S3b)と、
前記プラズマ処理されたチップ材料または繊維性材料への接着剤の塗布ステップ(S4a,S4b)と、
ボード材を形成するための前記接着剤の塗布されたチップ材料または繊維性材料の圧縮ステップ(S5)と、
を備えたボード材の製造方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、前記接着剤の塗布ステップ(S4a,S4b)は、ボード材1立方メートル当たりに使われる液状接着剤が、75kg以下、さらに好ましくは67kg以下であり、ボード材1立方メートル当たりに使われる固形化接着剤の50kg以下、さらに好ましくは45kg以下であることを特徴とする。
【請求項3】
請求項1または2の方法において、前記プラズマ処理ステップ(S3a,S3b)に使用されるプロセスガスは、主成分として、酸素及び/または、窒素及び/または、アルゴンを含むことを特徴とする。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一の方法において、前記プラズマ処理ステップ(S3a,S3b)に使用されるプロセスガスは、追加成分としてフッ素を含むことを特徴とする。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一の方法において、それぞれ所定量のチップ材料または繊維性材料は、バッチ処理において低圧プラズマ処理されることを特徴とする。
【請求項6】
請求項5の方法において、前記チップ材料または繊維性材料に対する前記プラズマ処理ステップ(S3a,S3b)の時間は、1から10分であることを特徴とする。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一の方法において、前記チップ材料または繊維性材料は、前記プラズマ処理ステップ(S3a,S3b)以前に個々のチップ及び繊維のサイズによる違いでいくつかのグループに分けられており、異なるグループはそれぞれ個々にプラズマ処理ステップ(S3a,S3b)がなされ、続いて、ボード材を形成する圧縮ステップ(S5)のために再度集められるまでに前記接着剤の塗布ステップ(S4a,S4b)を経ることを特徴とする。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一の方法において、前記チップ材料または繊維性材料に対するプラズマ処理ステップ(S3a,S3b)と接着剤の塗布ステップ(S4a,S4b)との間の経過時間は、30分以下、より好ましくは1分以下であることを特徴とする。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一の方法において、前記チップ材料または繊維性材料は、木材チップ及び/または、木材繊維及び/または、麻繊維及び/または、わら繊維を含むことを特徴とする。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一の方法において、前記接着剤の塗布ステップ(S4a,S4b)に、尿素ホルムアルデヒド樹脂またはメラミンホルムアルデヒド樹脂またはフェノールアルデヒド樹脂が、好ましくは40〜80%の固形分を有して使用されることを特徴とする。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一の方法により製作された、チップ材料または繊維性材料からなるボード材、特に、チップボード、LDFボード、MDFボード、HDFボード、及びOSBボードにおいて、ボード材1立方メートル当たり50kg以下の固形化接着剤を含むことを特徴とする。
【請求項12】
請求項11のボード材において、ボード材1立方メートル当たり45kg以下の固形化接着剤を含むことを特徴とする。
【請求項13】
請求項11または12のボード材において、前記チップ材料または繊維性材料は、木材チップ及び/または、木材繊維及び/または、麻繊維及び/または、わら繊維を含むことを特徴とする。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか一のボード材において、前記接着剤(S4a,S4b)は、好ましくは40〜80%の固形分を有する尿素ホルムアルデヒド樹脂またはメラミンホルムアルデヒド樹脂またはフェノールアルデヒド樹脂を含むことを特徴とする。

【図1】
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【公表番号】特表2009−543713(P2009−543713A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519850(P2009−519850)
【出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006296
【国際公開番号】WO2008/009404
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(507389543)インターグラリオン リミテッド (8)
【Fターム(参考)】