説明

ボールおよびリフレクタを備える電気調理器具

【課題】煙を発生させることなくかつ調理器具の熱的性能を低下させることなくクッキングプレートの外側に調理で出る液体を排出することを可能にする調理器具を提供する。
【解決手段】本発明は、ベース(2)と、ベース(2)によって着脱可能な形で担持されかつ上側開口部(16)を含む、液体を収容するように適合されたボール(3)と、調理で出る液体用の少なくとも1つの排液溝(23)を有するクッキングプレート(4)と、クッキングプレート(4)の下に配置される電気抵抗(6)と、電気抵抗(6)の下に配置されるサーマルリフレクタ(7)とを有する電気調理器具(1)に関する。本発明によると、電気抵抗(6)およびサーマルリフレクタ(7)がボール(3)内に着脱可能な形で配置され、すべての排液溝(24)が、調理で出る液体が電気抵抗(6)またはサーマルリフレクタ(7)に接触することなくボール(3)内に落下するような形態で、配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クッキングプレートを備える鉄灸タイプの電気調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
液体(例えば、水)を収容するように適合されており上側開口部を有するボールと、クッキングプレートと、クッキングプレートの下に配置される電気抵抗と、電気抵抗の下に配置されるサーマルリフレクタとを有するタイプの調理器具が知られている。
【0003】
リフレクタが存在することにより、電気抵抗によって放射される熱放射を最大限クッキングプレートに向かうように反射させることが可能となる。しかし、これには欠点があり、クッキングプレートが調理で出る液体用の排液溝を有する場合、料理用油が排液溝に接触すると劣化して煙を発生させる。1つの解決策は、サーマルリフレクタを通る開口部を作り、これらの開口部をクッキングプレート内に設けられた排液溝の右側に位置させることであった。この場合、クッキングプレートの排液溝が既に電気抵抗の撚線の間に適切に配置されていることで、料理用油がボール内に直接に落下する。
【0004】
しかし、この解決策は、サーマルリフレクタ内に作られる開口部が、一方ではクッキングプレートに向かって反射される熱放射の量を大幅に低下させ、他方では、サーマルリフレクタの下に位置する領域に伝達されるエネルギーを増加させることから、理想的ではない。この後者の欠点により、結果的に、使用者がボールに一切水を入れていない場合、ボールに接触する料理用油が劣化して煙を発生させ、サーマルリフレクタ内に開口部が存在することによりボールの底壁に到達する熱放射の量が増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、煙を発生させることなくかつ調理器具の熱的性能を低下させることなくクッキングプレートの外側に調理で出る液体を排出することを可能にする調理器具を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ベースと、ベースによって着脱可能な形で担持されかつ上側開口部を含む、液体を収容するように適合されたボールと、調理で出る液体用の少なくとも1つの排液溝を有するクッキングプレートと、クッキングプレートの下に配置される電気抵抗と、電気抵抗の下に配置されるサーマルリフレクタとを有し、電気抵抗およびサーマルリフレクタがボール内に着脱可能な形で配置され、すべての排液溝が、調理で出る液体が電気抵抗またはサーマルリフレクタに接触することなくボール内に落下するような形態で、配置される、ことを特徴とする電気調理器具に関する。
【発明の効果】
【0007】
したがって、依然としてボール内に留まる形で、サーマルリフレクタまたは電気抵抗の右側に位置しない領域にすべての排液溝の位置を移動させることにより、調理で出る液体が電気抵抗またはサーマルリフレクタに接触することなくボール内に直接に落下するようになる。加えて、サーマルリフレクタが概してプレートの形態を維持することから、ボールの底壁に到達する熱放射が極度に限定されてゼロになる場合もあり、ボール内に水が無い状態での料理用油および調理で出る液体の劣化の危険性が実質ゼロになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の別の特徴および利点は、非限定的な例として用意されて添付図面に示される実施形態で明らかとなる。
【0009】
【図1】本発明の実施形態による電気調理器具の頂部を示す斜視図である。
【図2】互いから分離された、ベースと、ボールと、サーマルリフレクタおよび電気抵抗によって形成される組立体と、クッキングプレートとを示す、図1に類似する図である。
【図3】図1の調理器具を示す断面図である。
【図4】クッキングプレートがない、図1に類似する図である。
【図5】サーマルリフレクタおよび電気抵抗によって形成される組立体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書ではミートグリル1である図1に示されるような電気調理器具1は、ベース2と、ボール(または、容器)3と、クッキングプレート4と、電気抵抗6が設けられた電気加熱装置5と、サーマルリフレクタ7とを有する。
【0011】
クッキングプレート4は基本的に固体のプレートであり、グリッドやネットではない。クッキングプレート4は、加熱されると調理で出る液体を発生させることができる食物(肉、魚等)をその上に受けるように適合される。
【0012】
ベース2は器具1を構成する別の要素のための支持体として使用される。本明細書では、ベース2は、互いに向かい合う2つの開口部(1つは、クッキングプレート4と、電気抵抗6と、サーマルリフレクタ7とが上に位置する上側開口部12であり、もう1つは、器具1がその上に置かれる、支持体と向かい合う下側開口部13)を備える中空の直角平行六面体を形成するように組み合わせられた4つのフェース8、9、10、11によって形成される。
【0013】
ボール3は水を収容するように適合され、ベース2によって担持される(本明細書では、ベース2の中に配置される)。ボール3は、底壁14(この実施例では、長方形の形状)と、その自由端部が底壁14の反対側にある上側開口部16の境界を定めている側壁15(この実施例では、4つのフェースを有する壁)とを有する。ボール3の上側開口部16はベース2の上側開口部12の上に配置される。図2に示されるように、ベース2およびボール3は互いから着脱され得る。
【0014】
電気加熱装置5は、電気抵抗6と、電気抵抗6に制御下で電力供給するのを可能にするコントロールボックス17とを有する。コントロールボックス17はベース2によって担持され、さらに、コントロールボックス17は、ベース2のフロントフェース8内に作られた開口部18内に収容される。電気抵抗6はボール3の上側開口部16上に配置される。図2に示されるように、ベース2、ボール3および電気加熱装置5は互いから着脱され得る。図3および4に示されるように、電気抵抗6はボール3内に配置される。
【0015】
サーマルリフレクタ7は電気抵抗6の下に位置し、さらに、サーマルリフレクタ77は、クッキングプレート4に向かうように反射される熱放射の割合を最適化して電気抵抗6とサーマルリフレクタ7との間での伝導を介した熱伝達を制限することができるような形で電気抵抗6を基準にして配置される。サーマルリフレクタ7は金属で作られ、アルミニウム、アルミニウム被覆鋼、またはステンレス鋼であってよい。図2に示されるように、ベース2、ボール3およびサーマルリフレクタ7は互いから着脱され得る。
【0016】
サーマルリフレクタ7は、熱放射を最適化することを目的として、2mmから5mmの間で電気抵抗6から一定の距離を置いて配置される。図3および4に示されるように、サーマルリフレクタ7はボール3内に配置される。
【0017】
この実施形態では、サーマルリフレクタ7は固定領域19を介して電気抵抗6に固定される。しかし、伝導を介した熱伝達を制限するために、固定領域19はその数(本明細書では、4つの固定領域19が存在する)および幾何形状が限定され、本明細書では、固定領域19はそれぞれ小さい表面積で局在する。言い換えると、サーマルリフレクタ7は、その場限りで電気抵抗6に局部的に固定され(例えば点のように非常に限定された表面積において)(すなわち、上記の小さい表面積は、実質的に1〜3cm2またはそれ以下に相当するものであってよい)、上記の局在する固定箇所においてのみ上記抵抗に接触する。より正確には、この実施例では、取り付けはステープルによって実施される。さらに、サーマルリフレクタ7は、図3に示されるように、これらの固定領域19上においてのみ電気抵抗6に接触する。
【0018】
さらに、サーマルリフレクタ7は、熱による変形を一切防止するために、その剛性を強化する2つのプレス嵌め領域20を有する。本明細書では、各プレス嵌め領域20はサーマルリフレクタ7の縦材に従って延在する概略直線形状を有し、固定領域19のための支持箇所として使用される。したがって、サーマルリフレクタ7の大部分は、プレス嵌め領域20よりも電気抵抗6からより遠くに離れるように位置し、それにより、サーマルリフレクタ7と電気抵抗6との間での接触を一切防止することが可能となる。
【0019】
サーマルリフレクタ7および電気抵抗6によって形成される組立体は、さらに、ボール3の側壁15に向き合う2つのフェース内に作られる2つの突起部21によって支持される。本明細書では、この支持は、電気抵抗6に正確に取り付けられた(すなわち、本明細書では、その場合限りの形で2つのステープル23によって2箇所で取り付けられる)金属棒22が存在することによって達成される。金属棒22は、サーマルリフレクタ7がボール3に接触することがないようにサーマルリフレクタ7を越えて延在する。
【0020】
図3、4および5に示されるように、サーマルリフレクタ7は概してプレートの形状を有し、本明細書ではこのプレートは固体である。
【0021】
サーマルリフレクタ7は、電気抵抗6の外側の撚線によってその境界が定められる加熱領域の少なくとも70%(より好適には、少なくとも80%)を覆う。加えて、サーマルリフレクタ7が電気抵抗6のすぐ近傍にあることにより、熱放射が分散する性質を有するにもかかわらず、サーマルリフレクタが加熱領域の境界を定める電気抵抗6の外側の撚線を5mmを越えて延在することがほぼ無意味になる。
【0022】
サーマルリフレクタ7および電気抵抗6が固定領域19以外で接触されずにすぐ近傍に相対的に配置されることにより、従来の器具と同等の性能である25%の大きさの電力を獲得することが実現可能となる。
【0023】
図2に示されるように、ベース2、ボール3、ならびに、電気加熱装置5およびサーマルリフレクタ7によって形成される組立体は、互いから着脱され得る。
【0024】
さらに、クッキングプレート4が、電気抵抗6の上方においてボール3の上側開口部16上に配置される。この実施形態では、クッキングプレート4は、熱伝達が伝導ではなく放射を介して行われるように電気抵抗6から一定の距離のところに配置される。クッキングプレート4は、調理で出る液体を排出することを可能にする少なくとも1つの排液溝24を有する(本明細書では、クッキングプレート4は1つの排液溝24のみを有するが、複数の排液溝が設けられてもよい)。排液溝24(または、すべての排液溝)は、ボール3内に位置するドレン領域に対して垂直に位置する。このドレン領域(または、排液溝)はクッキングプレート4からボール3の底壁14まで垂直に延在し、サーマルリフレクタ7および電気抵抗6の撚線は含まない。したがって、調理で出る液体は、電気抵抗6またはサーマルリフレクタ7に接触することなくボール内に落下する。サーマルリフレクタ7が電気抵抗の加熱領域の大部分(少なくとも70%)を覆っているため、ボール3の底壁14に到達する電気抵抗6からの熱放射はわずかである。したがって、ボール3内に水が存在しない場合でも、料理用油および調理で出る液体が劣化する危険性が実質ゼロになる。
【0025】
図2に示されるように、ベース2、ボール3、クッキングプレート4、ならびに、電気加熱装置5およびサーマルリフレクタ7によって形成される組立体は、互いから着脱され得る。
【0026】
サーマルリフレクタが電気抵抗の加熱領域全体を覆うことも可能である。その場合、ボールの底壁に到達する電気抵抗からの熱放射がゼロとなる。
【0027】
また、排液溝をクッキングプレートの中央に配置することも可能であり、その場合、ドレン領域はボールの中央にあり、調理で出る液体および料理用油が自由に通過するのを可能にする中央開口部を有するサーマルリフレクタの内側かつここでは概して環状である加熱領域の内側に配置される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース(2)と、
前記ベース(2)によって着脱可能な形で担持されかつ上側開口部(16)を含む、液体を収容するように適合されたボール(3)と、
クッキングプレート上で加熱された食物によって発生した調理で出る液体を排出するための少なくとも1つの排液溝(24)を有するクッキングプレート(4)と、
前記クッキングプレート(4)の下に配置される電気抵抗(6)と
前記電気抵抗(6)の下に配置されるサーマルリフレクタ(7)と
を有する電気調理器具(1)であって、
前記電気抵抗(6)および前記サーマルリフレクタ(7)が前記ボール(3)内に着脱可能な形で配置され、前記排液溝(24)が、前記調理で出る液体が前記電気抵抗(6)または前記サーマルリフレクタ(7)のいずれにも接触することなく前記ボール(3)内に落下するような形態で配置されることを特徴とする電気調理器具(1)。
【請求項2】
前記サーマルリフレクタ(7)は、2mmから5mmの間で前記電気抵抗(6)から一定の距離を置いて配置されることを特徴とする請求項1に記載の調理器具(1)。
【請求項3】
前記サーマルリフレクタ(7)は、前記電気抵抗(6)の外側の撚線によってその境界が定められる加熱領域の少なくとも70%を覆って延在する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の調理器具(1)。
【請求項4】
前記サーマルリフレクタ(7)は、前記電気抵抗(6)の全体を覆って延在する、ことを特徴とする請求項3に記載の調理器具(1)。
【請求項5】
前記サーマルリフレクタ(7)は、プレートを含むことを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の調理器具(1)。
【請求項6】
前記サーマルリフレクタ(7)は、その場限りで前記電気抵抗(6)に局部的に固定され、前記局在する固定箇所においてのみ前記電気抵抗(6)に接触することを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の調理器具(1)。
【請求項7】
前記サーマルリフレクタ(7)は、その剛性を強化するプレス嵌め領域を有することを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の調理器具(1)。
【請求項8】
前記電気抵抗(6)は、放射を介して熱エネルギーを伝達することができるような形で前記クッキングプレート(4)から一定の距離のところに配置されることを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載の電気調理器具(1)。
【請求項9】
前記排液溝(24)のすべては、前記クッキングプレート(4)の周辺に位置することを特徴とする請求項1から8までのいずれかに記載の調理器具(1)。
【請求項10】
前記排液溝(24)は、前記クッキングプレート(4)の中央に配置されることを特徴とする請求項1から8までのいずれかに記載の調理器具(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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