説明

ボールペン用油性インキ組成物

【課題】長期保管後の筆記、特に高温高湿度下での長期保管後の筆記に際し、吸湿の影響を受けることなく、良好な筆跡性能を有するボールペン用油性インキ組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式で示される化合物と、炭素数が4〜7のアルカンジオールと、樹脂と、顔料とから少なくともなるボールペン用油性インキ組成物。HC(RCH)nCR(式)。R,RはHまたは−(OCHCH(CH))m−OHを示す。Rは−(OCHCH(CH))m−OHを示す。n,mは1以上の整数を示す。−(OCHCH(CH))m−OHが結合した主鎖の炭素は連続して3つ以上並んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記部材としてボールをボールホルダーの先端より一部突出して抱持した所謂ボールペンチップを使用したボールペンに好適に使用されるボールペン用油性インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボールペン用油性インキ組成物は、水に不溶な染料や顔料などの着色材と、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル類やベンジルアルコール等の芳香族アルコール類といった有機溶剤と、紙面へのインキ定着性、顔料分散、インキ粘度調整、インキ流動特性調整、筆跡のボテを防止することを主な目的とした樹脂とから少なくともなっている。
【0003】
こうしたボールペン用油性インキ組成物に使用している有機溶剤は、水の溶解度が小さく、吸湿しにくいが長期間大気と接していると吸湿するものである。こうした有機溶剤を使用したボールペン用油性インキは、長期保管、特に高温高湿度下での長期保管において、吸湿により水に不溶な染料や樹脂を溶解力する能力が低下し、これらの染料や樹脂が析出したり、分散されている顔料等の固体粒子が凝集することがある。析出や凝集がおこると、インキの低粘度化によるインキ漏れが起きたり、析出物や凝集物によるインキ流路の目詰まりまたはインキの高粘度化により、ボールペンチップのボールの回転を妨げてしまい、その結果筆記不能や筆跡のかすれが起きたりするものである。
【0004】
長期保管での吸湿によるインキ組成物中の染料や樹脂の析出、顔料の凝集を防止するために、古くから様々な研究がなされている。インキ表面に水に不溶な高分子化合物の膜を作り、インキが吸湿するのを抑える方法(特許文献1)、ベンジルアルコールを用いて分散樹脂の溶解安定性を向上し、かつスルホン基を有する顔料誘導体を用いることで長期間保存後も顔料の分散を安定にする方法(特許文献2)、特定の界面活性剤を用いることにより顔料へ吸着した分散剤の分散安定化する方法(特許文献3)、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルやジエチレングリコールモノベンジルエーテルといった特定の有機溶剤を用いることにより分散樹脂の溶解性と分散樹脂の顔料への吸着性を向上し長期間保管後においても顔料の分散を安定にする方法(特許文献4)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−213413号公報
【特許文献2】特開2000−212496号公報
【特許文献3】特開2002−060669号公報
【特許文献4】特開2002−275406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの方法は、吸湿を抑えたり、水の溶解度が少なく吸湿しにくい有機溶剤と顔料や樹脂を水分から保護する方法の組み合わせで、吸湿による顔料の凝集や樹脂の析出を防ごうとする方法である。しかし、水の溶解度が少ない有機溶剤では、少ない吸湿量でも溶解・分散系のバランスに大きく影響し易く、染料や樹脂の析出、顔料の凝集を防ぐには不十分であった。
【0007】
これに対し、水性インキにおいては吸湿による染料や樹脂の析出、顔料の凝集といったことが起こらないことから、油性インキにおいても、水の溶解度が大きい有機溶剤を使用することにより、吸湿による染料や樹脂の析出、顔料の凝集を防ぐ方法が考えられる。
油性インキに水の溶解度が大きい有機溶剤を使用した場合、水の溶解度の少ない有機溶剤を使用する場合に比べ、少量の吸湿で染料や樹脂の析出、顔料の凝集は起こらない。
しかし、長期保管、特に高温高湿度下での長期保管においては吸湿量が多くなり、結局は水に溶解しない染料や樹脂の析出、顔料の凝集を防ぐことが出来ないものであった。
【0008】
本発明は、長期保管後の筆記、特に高温高湿度下での長期保管後の筆記に際し、吸湿の影響を受けることなく、良好な筆跡性能を有するボールペン用油性インキ組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明は、下記一般式(化1)で示される化合物と、炭素数が4〜7のアルカンジオールと、樹脂と、顔料とから少なくともなるボールペン用油性インキ組成物を第1の要旨とし、前記の炭素数が4〜7のアルカンジオールがヘキシレングリコールであるボールペン用油性インキ組成物を第2の要旨とし、更に、前記一般式(化1)で示される化合物が、ポリオキシプロピレングリセリルエーテルであるボールペン用油性インキ組成物を第3の要旨とするものである。
【0010】
【化1】

【発明の効果】
【0011】
本発明のボールペン用油性インキ組成物が、何故高温高湿度で長期間保存した後もインキの凝集沈降や流動性が失われるのを防止できるのかについては、以下のように推察される。
本発明で使用する炭素数が4〜7のアルカンジオールが有する分子構造中の−OH基および疎水基が、顔料表面に存在する親水基や疎水基などの官能基と静電相互作用・疎水性相互作用するのに適しており、顔料との濡れが良好であり、顔料の分散安定性化性能に優れている溶剤である。
さらに、この炭素数が4〜7のアルカンジオールは水との相溶性が高いという特長を有しており、インキ中に水が吸収されると炭素数が4〜7のアルカンジオールの−OH基を水に向けて水と水素結合する。炭素数が4〜7のアルカンジオールの−OH基が水に向いて水素結合することで、炭素数が4〜7のアルカンジオールの−OH基とは反対の向きに疎水基が集まる。その結果、水と結合した炭素数が4〜7の脂肪族炭化水素のいずれか2つの水素原子がヒドロキシル基で置換されたアルカンジオールの疎水基部分は強い疎水性を示すこととなる。
また、本発明で使用する上記一般式(化1)で示される化合物はグリセリンにプロピレンオキシドが付加した分岐構造である。この上記一般式(化1)で示される化合物の持つポリオキシプロピレン鎖は、親水性で螺旋構造のポリオキシエチレン構造にメチル基が外側に向いて配向した構造であり、疎水性が非常に強い。そのため、上記一般式(化1)で示される化合物のポリオキシプロピレン鎖と、水と結合した炭素数が4〜7のアルカンジオールの疎水性相互作用により見かけ上結合したような状態となり、水と炭素数が4〜7のアルカンジオールと上記一般式(化1)で示される化合物とからなる複合体を形成することができる。
ここで、上記一般式(化1)で示される化合物はグリセリン骨格にポリオキシプロピレン鎖が結合した構造であり、三角錐の中心にグリセリンの2位の炭素を配置し、三角錐の3箇所の頂点に向けてポリオキシプロピレン基を、1箇所の頂点に向けて水素を配向した構造をとっていると考えられる。そのため、水と炭素数が4〜7のアルカンジオールと上記一般式(化1)で示される化合物とからなる複合体の上記一般式(化1)で示される化合物のポリオキシプロピレン基間では、水と結合したヘキシレングリコール炭素数が4〜7のアルカンジオールとが存在できる空間は制限されている。この制限された空間にさらに水と水素結合した炭素数が4〜7のアルカンジオールが入ってくることで、空間内は高密度で疎水基が存在する状態となり、水は空間に安定に留まることができず、複合体から水が脱離することとなる。脱離した水は、インキ中およびインキ外に吐き出される。インキ中に吐き出された水は、インキ中に存在する他の炭素数が4〜7のアルカンジオールと再び水素結合し、上記一般式(化1)で示される化合物と複合体を形成したあと、再びインキ中かインキ外に吐き出される。
一方、水が脱離することで、水と炭素数が4〜7のアルカンジオールと下記一般式(化1)で示される化合物とからなる複合体は炭素数が4〜7のアルカンジオールと上記一般式(化1)で示される化合物とに分離するので、炭素数が4〜7の脂肪族炭化水素のいずれか2つの水素原子がヒドロキシル基で置換されたアルカンジオールはインキ中に吸収した水や複合体から吐き出された水と水素結合する。
以上のように、水と炭素数が4〜7のアルカンジオールと上記一般式(化1)で示される化合物とからなる複合体の形成と水の脱離を繰り返すことで、水分が一定に保たれたインキ層が形成されるため、高温高湿度での長期保存した後もインキの凝集沈降や流動性が失われるのを防止できると推察される。
また、この水と炭素数が4〜7のアルカンジオールと下記一般式(化1)で示される化合物とからなる複合体が顔料表面に吸着することで、顔料の分散安定性が向上し、さらに、顔料表面に水が吸着するのを防いだり、樹脂に水が吸着するのを抑制することにより、インキの増粘を防いだり、顔料が凝集して粗大粒子となり、それらの粗大粒子がボールペンチップの回転を妨げることなく、良好な筆跡性能を得ることができると推察される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
着色材は、従来ボールペン用油性インキ組成物に使用されている染料および/または顔料を用いることができる。
染料としては、従来公知の油溶性染料を使用することが出来る。
油溶性染料の具体例としては、ローダミンBベース(C.I.45170B、田岡染料製造(株)製)、ソルダンレッド3R(C.I.21260、中外化成(株)製)、メチルバイオレット2Bベース(C.I.42535B、米国、National Aniline Div.社製)、ビクトリアブルーF4R(C.I.42563B)、ニグロシンベースLK(C.I.50415)(以上、BASF社製、独国)、バリファーストイエロー#3104(C.I.13900A)、バリファーストイエロー#3105(C.I.18690)、オリエントスピリットブラックAB(C.I.50415)、バリファーストブラック#3804(C.I.12195)、バリファーストイエロー#1109、バリファーストオレンジ#2210、バリファーストレッド#1320、バリファーストブルー#1605、バリファーストバイオレット#1701、バリファーストバイオレット#1704、オイルブルー#613、オイルイエロ−#129、ニグロシンベースEX(以上、オリエント化学工業(株)製)、スピロンブラックGMHスペシャル、スピロンイエローC−2GH、スピロンイエローC−GNH、スピロンレッドC−GH、スピロンレッドC−BH、スピロンブルーBPNH、スピロンブルーC−RH、スピロンバイオレットC−RH、S.P.T.オレンジ6、S.P.T.ブルー111(以上、保土ヶ谷化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、油溶性染料と併用して水溶性染料を使用することも出来る。水溶性染料の具体例としては、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.ダイレクトイエロー4、同26、同44、同50、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同41、同71、同86、同87、同106、同108、同199等の直接染料や、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドイエロー1、同7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、同142、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同51、同52、同57、同82、同83、同87、同92、同94、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレット15、同17、同49、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同100、同103、同104、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27、C.I.アシッドオレンジ56等の酸性染料、C.I.フードイエロー3等の食用染料、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、ローダミンF4G(C.I.45160)、ローダミン6GCP(C.I.45160)等の塩基性染料等が挙げられる。
【0013】
また、着色剤として顔料を用いる場合は、従来公知の有機顔料と無機顔料を使用することができる。
【0014】
有機顔料の具体例としては、C.I.PIGMENT RED2、同3、同5、同17、同22、同38、同41、同48:2、同48:3、同49、同50:1、同53:1、同57:1、同58:2、同60、同63:1、同63:2、同64:1、同88、同112、同122、同123、同144、同146、同149、同166、同168、同170、同176、同177、同178、同179、同180、同185、同190、同194、同202、同206、同207、同209、同216、同245、同254、同255、同256、同272、C.I.PIGMENT ORANGE 5、同10、同13、同16、同36、同40、同43、同61、同64、同71、同73、C.I.PIGMENT VIOLET 19、同23、同31、同33、同36、同37、同38、同50、C.I.PIGMENT BLUE 2、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:5、同15:6、同16、同17、同22、同25、同60、同66、C.I.PIGMENT BROWN 23、同25、同26、C.I.PIGMENT YELLOW 1、同3、同12、同13、同24、同83、同93、同94、同95、同97、同99、同108、同109、同110、同117、同120、同128、同139、同147、同151、同153、同166、同167、同173、C.I.PIGMENT GREEN 7、同10、同36、同37、C.I.PIGMENT BLACK 7等の有機顔料等が挙げられる。
【0015】
また、無機顔料として、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、ターコイズ、モリブデートオレンジ、酸化チタン等が挙げられる。
【0016】
カーボンブラックの具体例としては、三菱カーボンブラック#10B、同#20B、同#14、同#30、同#33、同#40、同#44、同#45、同#45L、同#50、同#55、同#95、同#260、同#900、同#1000、同#2200B、同#2300、同#2350、同#2400B、同#2650、同#2700、同#4000B、同CF9、同MA8、同MA11、同MA77、同MA100、同MA220、同MA230、同MA600及びMCF88(以上、三菱化学(株)製)、モナーク120、モナーク700、モナーク800、モナーク880、モナーク1000、モナーク1100、モナーク1300、モナーク1400、モーガルL、リーガル99R、リーガル250R、リーガル300R、リーガル330R、リーガル400R、リーガル500及びリーガル660R(以上、米国、キャボット コーポレーション社製)、プリンテックスA、プリンテックスG、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス55、プリンテックス140U、プリンテックス140V、プリンテックス35、プリンテックス40、プリンテックス45、プリンテックスプリンテックス85、ナインペックス35、スペシャルブラック4,スペシャルブラック4A、スペシャルブラック5、スペシャルブラック6,スペシャルブラック100、スペシャルブラック250、スペシャルブラック350、スペシャルブラック550、カラーブラックFW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160及びカラーブラックS170(以上、デグサ ジャパン(株)製)、ラーベン5000ウルトラII、ラーベン2500ウルトラ、ラーベン1250、ラーベン760ウルトラ(以上、コロンビアカーボン日本(株)製)等が挙げられる。
【0017】
これらの着色剤は、1種又は2種以上混合して使用することができ、使用量は全インキ組成物に対し3重量%〜50重量%が好ましい。
【0018】
顔料分散剤としては、従来公知の顔料分散剤が界面活性剤、高分子型界面活性剤、樹脂分散剤の別なく使用できる。特に良好に使用できるのは、樹脂分散剤としては低分子量のポリビニルブチラール樹脂、ケトン樹脂、尿素樹脂、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合体、スチレンとマレイン酸又はそのエステルとの共重合体、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸共重合体、ポリアクリル酸、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、ロジンエステル樹脂、エチルセルロース、ニトロセルロースなどが挙げられる。このほかに分子内に極性基を導入し特に顔料分散安定性を高めた高分子型界面活性剤では、高分子部分の組成・構造や極性基の種類により多数の商品があるが好ましく使用できるものとして、ソルスパース17000、ソルスパース20000、ソルスパース27000(以上、Lubrizol社製)が挙げられる。
【0019】
従来からボールペン用油性インキに添加されている、定着性、分散性、粘度調整、耐水性などを付与する樹脂を添加することも出来る。例えば、ケトン樹脂、スルフォアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物、マレイン酸樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合体、エステルガム、キシレン樹脂、クマロン−インデン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂やその水添化合物、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等が挙げられ、これらは単独もしくは複数種を併用することも出来る。合計の配合量は、インキ組成物全量に対して、0.1〜30重量%範囲が好ましい。
【0020】
下記一般式(化1)で示される化合物は、糖アルコールにプロピレンオキシドを付加重合して合成したものを使用してもよい。
糖アルコールの具体例としては、グリセリンなどのトリトール、エリトリトール、トレイトールなどのテトリトール、ペンタエリトリトール、アラビトール、リビトール、キシリトールなどのペンチトール、ソルビトール(グルシトール)、マンニトール、ガラクチトール(ズルシトール)、イジトール、タリトール、アリトールなどのヘキシトール、ペルセイトールやボレミトールなどのへプチトール、オクチトール、ノニトール、デシトールなどが挙げられる。
【0021】
上記一般式(化1)で示される化合物として市販されているものとしては、ポリオキシプロピレングリセリルエーテルとして、ユニオールSGP−65(分子量550)、ユニオールTG−1000(分子量1000)、ユニオールTG−2000(分子量2000)、ユニオールTG−3000(分子量3000)、ユニオールTG4000R(分子量4000)(以上、日油(株)製)、ニューポールGP−250(分子量250)、ニューポールGP−400(分子量420)、ニューポールGP−600(分子量600)、ニューポールGP−1000(分子量1050)、ニューポールGP−4000(分子量4000)、サンニックスGP−250(分子量250)、サンニックスGP−400(分子量400)、サンニックスGP−600(分子量600)、サンニックスGP1000(分子量1000)、サンニックスGP−1500(分子量1500)、サンニックスGP−3000(分子量3000)、サンニックス、(分子量4000)(以上、三洋化成工業(株)製)、ムシユールC−060、ムシユールC−400(以上、東邦化学工業(株)製)、ポリオキシプロピレンソルビットとしてユニオールHS−1600D(分子量1600)、ユニオールHS−2000D(分子量2100)(以上、日油(株)製)、ニューポールSP−750(分子量690)、サンニックスSP−750(以上、三洋化成工業(株)製)、ポリオキシプロピレンメチルグルコシドとして、GLUCAM P−10、GLUCAM P−20(以上、日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
【0022】
上記一般式(化1)で示される化合物は、全インキ組成物に対し0.1〜30重量%使用することが好ましい。更に、該エーテルの使用量が炭素数が4〜7のアルカンジオールの使用量に対して10〜50重量%で使用することが特に好ましい。
【0023】
また、上記一般式(化1)で示される化合物は、全インキ組成物に対し0.1〜30重量%使用することが好ましい。更に、上記一般式(化1)で示される化合物はその平均分子量が1100以上、1800以下の範囲にあるときに特に好ましい。このため、分子量の異なる上記一般式(化1)で示される化合物を併用して、平均分子量が1100以上、1800以下の範囲になるようにすると特によい。平均分子量は、上記一般式(化1)で示される化合物の各々の分子量の相加平均である。
【0024】
有機溶剤は、主溶剤として炭素数が4〜7のアルカンジオールを使用する。
炭素数が4〜7の脂肪族炭化水素のいずれか2つの水素原子がヒドロキシル基で置換されたアルカンジオールの具体例としては、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、へキシレングリコール(2−メチル−2,4−ペンタンジオール)、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,6−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール等が挙げられる。
これらの炭素数が4〜7アルカンジオールのうち、へキシレングリコールが特に好ましい。
【0025】
有機溶剤は、全インキ組成物に対し35〜80重量%使用することが好ましい。
また、炭素数が4〜7のアルカンジオールは、他の有機溶剤と併用しても良く、炭素数が4〜7のアルカンジオール量は、有機溶剤全量の55〜100重量%で使用することが好ましい。炭素数が4〜7のアルカンジオールと併用する有機溶剤としては従来ボールペン用油性インキに使用されるものなら特に限定なく使用でき、アルコール、グリコール、グリコールエーテル等が使用できる。また、少量であれば水を併用することも出来る。
【0026】
アルコールの具体例としては、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコール等が挙げられる。
【0027】
グリコールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
【0028】
グリコールエーテルの具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。
【0029】
その他、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、N−メチル−2−ピロリドンなどが使用できる。
【0030】
これらの炭素数が4〜7のと併用する有機溶剤は単独あるいは2種以上使用することができる。
【0031】
また、上記成分の他に必要に応じて、pH調節剤、防腐剤もしくは防黴剤、防錆剤、潤滑剤もしくは湿潤剤、受け座摩耗防止剤等の添加剤を加えることができる。
【0032】
pH調節剤として、アンモニア、尿素、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリポリ燐酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなど炭酸やリン酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウムなどアルカリ金属の水酸化物など、防腐剤もしくは防黴剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、ペンタクロロフェノールナトリウム、1,2‐ベンズイソチアゾリン3‐ワン、2,3,5,6‐テトラクロロ‐4(メチルスルフォニル)ピリジン、安息香酸ナトリウムなど安息香酸やソルビン酸やデヒドロ酢酸のアルカリ金属塩、ベンズイミダゾール系化合物など、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、トリルトリアゾールなど、潤滑剤もしくは湿潤剤としては、ひまし油、ひまし油のポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルアミン、二硫化モリブデン、尿素、エチレン尿素、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどポリオキシエチレンやポリオキシプロピレンもしくはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンの誘導体、テトラグリセリルジステアレートなどグリセリンやジグリセリン或いはポリグリセリンの誘導体、ソルビタンモノオレートなどソルビタン誘導体、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどフッ素化アルキル基を有する界面活性剤、ジメチルポリシロキサンのポリエチレングリコール付加物などのポリエーテル変成シリコーン、受け座摩耗防止剤の一例としては、アルミナ、炭化珪素、酸化クロム、炭化ホウ素、ジルコン、セン晶石、ヒスイ石、フッ化カルシウム、タングステンカーバイド、シリカ、ダイヤ、ザクロ石、窒化アルミニウム、窒化珪素などが挙げられる。
【0033】
本発明のボールペン用油性インキ組成物の調製は、従来公知のインキ組成物の製造方法を適用することができる。即ち、顔料を使用する場合は、分散混合機で顔料を他の成分と共に分散させることによってボールペン用油性インキ組成物を得ることができる。なお、製造時、染料などの固形物を溶解させる為に加熱することや、顔料などの粗大粒子を除去する為にフィルターや遠心分離を用いることなどは特に好ましい方法である。
【実施例】
【0034】
以下、本発明は実施例を示して具体的に説明する。なお、以下の配合数値は重量部を示す。
【0035】
以下にインキ組成物の配合例を示す。なお、以下の配合数値は重量部を示す。
【0036】
実施例1
Printex 35(顔料、デグサ・ヒュルスジャパン(株)製) 27.00
エスレック BL−1(ポリビニルブチラール、分散剤、積水化学(株)製) 4.00
ヘキシレングリコール 47.48
ハイラック 901((ケトン樹脂、日立化成工業(株)製) 3.00
PVP K−90(ポリビニルピロリドン、ISPジャパン(株)製) 0.50
AKP−30(高純度アルミナ粉末、住友化学(株)製) 0.02
ユニオール TG−1000(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、日油(株)製)
13.68
ユニオール TG−3000(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、日油(株)製)
4.32
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0037】
実施例2
スペシャルブラック #4(顔料、デグサ・ヒュルスジャパン(株)製) 30.00
ジョンクリル 678(スチレン−アクリル酸共重合体、分散剤、BASFジャパン(株)
製) 8.00
ヘキシレングリコール 36.98
ケトンレジン K−90(ケトン樹脂、荒川化学工業(株)製) 5.00
AKP−30(前述) 0.02
ユニオール TG−1000(前述) 15.20
ユニオール TG−2000(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、日油(株)製)
4.80
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0038】
実施例3
Printex 35(前述) 10.00
三菱カーボンブラック MA220(顔料、三菱化学(株)製) 15.00
エスレック BL−1(前述) 10.00
ヘキシレングリコール 33.40
ケトンレジン K−90(前述) 2.00
ハイラック 901(前述) 2.00
PVP K−90(前述) 0.60
ユニオール TG−1000(前述) 23.76
ユニオール TG−3000(前述) 3.24
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0039】
実施例4
三菱カーボンブラックMA220(前述) 20.00
オイルブラック HBB(染料、オリエント化学工業(株)製) 10.00
エスレック BL−1(前述) 5.00
ヘキシレングリコール 49.56
ハイラック 901(前述) 7.00
PVP K−90(前述) 0.40
AKP−30(前述) 0.04
ユニオール TG−1000(前述) 1.76
ユニオール TG−3000(前述) 6.24
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0040】
実施例5
Printex 35(前述) 30.00
エスレック BL−1(前述) 15.00
ヘキシレングリコール 25.00
エチレングリコールモノフェニルエーテル 13.47
ケトンレジン K−90(前述) 6.00
PVP K−90(前述) 0.50
AKP−30(前述) 0.03
ユニオール TG−1000(前述) 9.30
ユニオール TG−2000(前述) 0.70
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0041】
実施例6
Printex 35(前述) 27.00
エスレック BL−1(前述) 4.00
ヘキシレングリコール 47.38
ハイラック 901(前述) 4.00
PVP K−90(前述) 0.60
AKP−30(前述) 0.02
ユニオール TG−1000(前述) 17.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0042】
実施例7
スペシャルブラック #4(前述) 20.00
エスレック BL−1(前述) 3.00
ヘキシレングリコール 61.26
ケトンレジン K−90(前述) 3.00
PVP K−90(前述) 0.70
AKP−30(前述) 0.04
ユニオール TG−2000(前述) 12.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0043】
実施例8
三菱カーボンブラックMA220(前述) 25.00
エスレック BL−1(前述) 10.00
ヘキシレングリコール 50.58
ハイラック 901(前述) 7.00
PVP K−90(前述) 0.40
AKP−30(前述) 0.02
ユニオール RG−3000(前述) 7.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0044】
実施例9
スペシャルブラック #4(前述) 30.00
エスレック BL−1(前述) 15.00
ヘキシレングリコール 27.63
ベンジルアルコール 4.87
ケトンレジン K−90(前述) 5.00
ハイラック 901(前述) 2.00
PVP K−90(前述) 0.50
ユニオール SGP−65(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、日油(株)製)
15.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0045】
実施例10
C.I.Pigment Red 254 23.00
エスレック BL−1(前述) 8.00
ヘキシレングリコール 31.44
エチレングリコールモノフェニルエーテル 11.63
ハイラック 901(前述) 10.00
PVP K−90(前述) 0.90
AKP−30(前述) 0.03
ユニオール TG−700(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、日油(株)製)
15.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、赤色のボールペン用インキを得た。
【0046】
実施例11
Printex 35(前述) 12.00
オイルブラック HBB(前述) 15.00
エスレック BL−1(前述) 8.00
ヘキシレングリコール 40.95
ケトンレジン K−90(前述) 4.00
AKP−30(前述) 0.05
ユニオール HS−1600D(ポリオキシプロピレンソルビット、日油(株)製)
20.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0047】
実施例12
スペシャルブラック #4(前述) 15.00
オイルブラック HBB(前述) 10.00
エスレック BL−1(前述) 10.00
ヘキシレングリコール(前述) 37.28
エチレングリコールモノフェニルエーテル 5.08
ハイラック 901(前述) 8.00
PVP K−90(前述) 0.60
AKP−30(前述) 0.04
ユニオール HS−2000D(ポリオキシプロピレンソルビット、日油(株)製)
14.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0048】
実施例13
Printex 35(前述) 27.00
エスレック BL−1(前述) 8.00
ヘキシレングリコール 19.11
ジプロピレングリコール 23.37
ハイラック 901(前述) 4.00
PVP K−90(前述) 0.50
AKP−30(前述) 0.02
ユニオール TG−1000(前述) 13.68
ユニオール TG−3000(前述) 4.32
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0049】
実施例14
スペシャルブラック #4(前述) 20.00
エスレック BL−1(前述) 3.68
ヘキシレングリコール(前述) 12.74
エチレングリコールモノフェニルエーテル(前述) 50.96
ケトンレジン K−90(前述) 3.00
PVP K−90(前述) 0.60
AKP−30(前述) 0.02
ユニオール TG−1000(前述) 6.84
ユニオール TG−2000(前述) 2.16
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0050】
実施例15
Printex 35(前述) 27.00
エスレック BL−1(前述) 4.00
ヘキシレングリコール 47.48
ハイラック 901(前述) 3.00
PVP K−90(前述) 0.50
AKP−30(前述) 0.02
ニューポールGP−400(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、三洋化成工業(株)
製) 13.68
ニューポールGP−1000(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、三洋化成工業(株)製) 4.32
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0051】
実施例16
三菱カーボンブラックMA220(前述) 20.00
オイルブラック HBB(染料、オリエント化学工業(株)製) 10.00
エスレック BL−1(前述) 5.00
ヘキシレングリコール 49.56
ハイラック 901(前述) 7.00
PVP K−90(前述) 0.40
AKP−30(前述) 0.04
サンニックスGP−600(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、三洋化成工業(株)製) 1.76
ニューポールGP−1000(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、三洋化成工業(株)製) 6.24
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0052】
実施例17
Printex 35(前述) 27.00
エスレック BL−1(前述) 4.00
ヘキシレングリコール 47.38
ハイラック 901(前述) 4.00
PVP K−90(前述) 0.60
AKP−30(前述) 0.02
ムシユールC−400(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、東邦化学工業(株)製) 17.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0053】
実施例18
Printex 35(前述) 12.00
オイルブラック HBB(前述) 15.00
エスレック BL−1(前述) 8.00
ヘキシレングリコール 40.95
ケトンレジン K−90(前述) 4.00
AKP−30(前述) 0.05
ニューポールSP−750(ポリオキシプロピレンソルビット、三洋化成工業(株)製)
20.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0054】
比較例1
Printex 35(前述) 27.00
エスレック BL−1(前述) 4.00
ヘキシレングリコール(前述) 65.38
ハイラック 901(前述) 3.00
PVP K−90(前述) 0.60
AKP−30(前述) 0.02
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0055】
比較例2
Printex 35(前述) 27.00
エスレック BL−1(前述) 7.00
ヘキシレングリコール(前述) 40.98
ケトンレジン K−90(前述) 5.00
AKP−30(前述) 0.02
ユニオックス G−1200(ポリオキシエチレングリセリルエーテル、日油(株)製)
20.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0056】
比較例3
スペシャルブラック #4(前述) 10.00
三菱カーボンブラックMA220(前述) 15.00
エスレック BL−1(前述) 5.00
エチレングリコールモノフェニルエーテル 45.20
ケトンレジン K−90(前述) 2.00
ハイラック 901(前述) 2.00
PVP K−90(前述) 0.80
AKP−30(前述) 0.02
ユニオール TG−1000(前述) 20.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0057】
比較例4
スペシャルブラック #4(前述) 20.00
オイルブラック HBB(前述) 10.00
エスレック BL−1(前述) 8.00
ベンジルアルコール 36.40
ハイラック 901(前述) 7.00
PVP K−90(前述) 0.60
AKP−30(前述) 0.02
ユニオール TG−1000(前述) 18.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0058】
比較例5
Printex 35(前述) 30.00
エスレック BL−1(前述) 15.00
エチレングリコール(前述) 20.00
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル 8.00
ケトンレジン K−90(前述) 6.00
PVP K−90(前述) 1.00
AKP−30(前述) 0.03
ユニオール TG−1000(前述) 20.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0059】
比較例6
スペシャルブラック #4(前述) 25.00
エスレック BL−1(前述) 12.00
ジプロピレングリコール 34.18
ハイラック 901(前述) 10.00
PVP K−90(前述) 0.80
AKP−30(前述) 0.02
ユニオール TG−1000(前述) 18.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0060】
比較例7
三菱カーボンブラックMA220(前述) 25.00
エスレック BL−1(前述) 3.68
ベンジルアルコール 63.90
ハイラック 901(前述) 7.00
PVP K−90(前述) 0.40
AKP−30(前述) 0.02
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0061】
比較例8
スペシャルブラック #4(前述) 30.00
エスレック BL−1(前述) 20.00
エチレングリコール 42.18
ケトンレジン K−90(前述) 5.00
ハイラック 901(前述) 2.00
PVP K−90(前述) 0.80
AKP−30(前述) 0.02
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0062】
比較例9
C.I.Pigment Red 254 22.00
エスレック BL−1(前述) 15.00
ヘキシレングリコール 32.17
ハイラック 901(前述) 10.00
PVP K−90(前述) 0.80
AKP−30(前述) 0.03
ユニルーブ 50TG32(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、日油(株)製) 20.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、赤色のボールペン用インキを得た。
【0063】
比較例10
三菱カーボンブラックMA220(前述) 10.00
オイルブラック HBB(前述) 10.00
エスレック BL−1(前述) 7.00
ヘキシレングリコール 50.36
ケトンレジン K−90(前述) 2.00
ハイラック 901(前述) 5.00
PVP K−90(前述) 0.60
AKP−30(前述) 0.04
ユニルーブ 43TT−2500(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリメチロールプロパン) 15.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0064】
比較例11
Printex 35(前述) 12.00
オイルブラック HBB(前述) 15.00
エスレック BL−1(前述) 8.00
ヘキシレングリコール 42.63
ケトンレジン K−90(前述) 4.00
PVP K−90(前述) 0.30
AKP−30(前述) 0.07
ユニルーブ DGP−700(ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、日油(株)
製) 18.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0065】
比較例12
スペシャルブラック #4(前述) 15.00
オイルブラック HBB(前述) 10.00
エスレック BL−1(前述) 4.00
ヘキシレングリコール 42.58
ハイラック 901(前述) 8.00
PVP K−90(前述) 0.40
AKP−30(前述) 0.02
ユニルーブ 5TP−300KB(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル、日油(株)製) 20.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0066】
比較例13
Printex 35(前述) 27.00
エスレック BL−1(前述) 5.00
ヘキシレングリコール 37.48
ケトンレジン K−90(前述) 5.00
PVP K−90(前述) 0.50
AKP−30(前述) 0.02
グリセリン 25.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0067】
比較例14
Printex 35(前述) 27.00
エスレック BL−1(前述) 6.00
ヘキシレングリコール 42.48
ハイラック 901(前述) 4.00
PVP K−90(前述) 0.50
AKP−30(前述) 0.02
ユニオール D−2000(ポリプロピレングリコール、日油(株)製) 20.00
上記の各成分の混合物をプロペラ攪拌機にて60℃で4時間撹拌し、黒色のボールペン用インキを得た。
【0068】
以上、実施例、比較例で得たインキについて、下記の試験を行った。結果を表1に示す。
【0069】
試験サンプルの作成
上記実施例1〜18及び比較例1〜14で得た各ボールペン用インキを、直径0.7mmの超硬製のボールを、ステンレス製のボールホルダーにて、ボールホルダーの先端開口部より一部突出した状態で抱持したボールペンチップと、押出成形により成形したポリプロピレン製パイプとを接続したリフィル体を収容するノック式ボールペン(Rolly、製品符号BP127、ぺんてる(株)製)のインキ収容管に0.25g充填し、市販の遠心機(H−103NR、株式会社コクサン)を用い、回転速度1700rpmで10分間遠心を行い、試験用ボールペンサンプルとした。
【0070】
強制加熱加湿経時筆記安定性試験:実施例1〜18および比較例1〜14のインキを充填したボールペンサンプルを、80℃・湿度80%の恒温槽で1ヶ月放置し、手書き筆記し、筆記できるか確認した。評価基準としては、全く筆記できないものを×、筆記は出来るが筆跡がかすれるものを△、試験前と比較して多少変化があるものを○、試験前と同様に筆記出来るものを◎とした。
【0071】
強制加熱加湿経後線飛び試験:実施例1〜18および比較例1〜14のインキを充填したボールペンサンプルを、80℃・湿度80%の恒温槽で1ヶ月放置した後、螺旋機筆記試験機にて、筆記速度7cm/sec、筆記荷重150g、筆記角度70°にて筆記し、筆跡を目視判定した。
【0072】
強制加熱加湿経後の粘度測定:実施例1〜18および比較例1〜14のインキの初期粘度、および80℃・湿度80%の恒温槽で1ヶ月放置した後の粘度を測定した。
粘度の測定は、VICOANALYSER VAR−100(Reologica社製、スウェーデン)にて測定した。測定条件は、温度25℃、剪断速度1s−1から剪断速度3000s−1、ディレイタイム5秒、積算時間5秒、20mmコーンプレート(1°)にて、剪断速度0.1s−1の値を読みとった。
【0073】
強制加熱加湿経後の粒子径測定:実施例1〜18および比較例1〜14のインキの初期粒子径、および80℃・湿度80%の恒温槽で1ヶ月放置した後の粒子径を測定した。粒子径はSALD−7100(ナノ粒子径分布測定装置、(株)島津製作所製)を用いて強制加熱加湿経時筆記安定性試験前後の粒子径を測定した。
【0074】
【表1】

【0075】
以上、詳細に説明したように本発明のボールペン用インキは、筆記中にボールペンチップの先端にインキが集まり、ボールホルダー外面にインキが付着する現象、いわゆるインキ付着が少なく、筆跡濃度の濃淡や筆跡の中央部にインキが乗らない現象のない良好なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(化1)で示される化合物と、炭素数が4〜7のアルカンジオールと、樹脂と、顔料とから少なくともなるボールペン用油性インキ組成物。
【化1】

【請求項2】
前記の炭素数が4〜7のアルカンジオールがヘキシレングリコールである請求項1記載のボールペン用油性インキ組成物。
【請求項3】
前記の一般式(化1)が、ポリオキシプロピレングリセリルエーテルである請求項1又は2のいずれかに記載ボールペン用油性インキ組成物。

【公開番号】特開2012−12592(P2012−12592A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122945(P2011−122945)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】