説明

ポインティングシステム、制御デバイス及び制御方法

【課題】赤外線等を発するポインティングデバイスを用いて、画面上に表示されるポインタの移動と、クリックの操作を簡単に行うことができるポインティングシステム等の技術を提供すること
【解決手段】ユーザがリモートコントローラ30のボタン32を押圧すると発光部37から赤外線が発光される。PC10は、撮像部13により光点4を含む撮像画像40を撮像し制御部20へ出力する。制御部20は、撮像画像40内に設定された光点検索枠42内で、光点4の移動と光点4の消灯を判定する。制御部20は、光点4の移動に基づいて、画面3上でポインタ1を移動させ、光点4が消灯された場合に、クリック等の処理を実行する。これにより、ユーザは、ボタン32を押圧した状態でリモートコントローラ30を空間操作することで、ポインタ1を画面3上で移動させることができ、また、ボタン32の押圧を解除することで、クリック等の操作を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光部を有するポインティングデバイスと、発光部からの光を撮像し、撮像された画像に基づいて画面上に表示されるポインタを移動させる制御デバイスとを備えるポインティングシステム等の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リモートコントローラから発せられる赤外光等の光を、テレビジョン装置側に設けられた撮像部によって撮像し、撮像された画像に基づいて、リモートコントローラが指し示す画面上の座標点を検出する技術が知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
下記特許文献1に記載の技術では、まず、ユーザによってリモートコントローラ2に設けられた座標指定ボタン28が押圧される。すると、リモートコントローラ2に設けられた6つのLED(Light Emitting Diode)22〜27からコード変調された赤外線が発せられる。テレビジョン装置1に設けられたCCD(Charge Coupled Device)センサは、各LEDから発せられた赤外線を撮像し、リモコン認識部制御部36へ送る。リモコン認識制御部36は、撮像された画像に基づいて種々の演算を実行し、画面上での座標位置を算出する。算出された画面上の座標位置にボタン等が表示されている場合、そのボタンが選択される等の処理が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−213197号公報(段落[0014]、図1〜3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年においては、PC(Personal Computer)で普及しているポインタ、アイコン等のGUI(Graphical User Interface)が、例えばテレビジョン装置を画像媒体としてリビングルーム等で使用され始めている。
【0006】
このような環境化において、赤外線等の光を発するリモートコントローラ(ポインティングデバイス)を用いて、画面上に表示されるポインタを簡単に移動させることができる技術が求められている。また、リモートコントローラ(ポインティングデバイス)を用いて、クリック等の操作も簡単に行うことができる技術が求められている。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、赤外線等の光を発するポインティングデバイスを用いて、画面上に表示されるポインタを簡単に移動させることができ、かつ、クリック等の操作も簡単に行うことができるポインティングシステム等の技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るポインティングシステムは、ポインティングデバイスと、制御デバイスとを備える。
前記ポインティングシステムは、操作部と、発光部とを有する。
前記発光部は、前記操作部の操作に応じて発光する。
前記制御デバイスは、撮像部と、表示部と、制御部とを有する。
前記撮像部は、前記発光部の発光時に前記発光部からの光を撮像し、前記光による光点の情報を含む画像を出力する。
前記表示部は、画面を有し、前記画面上にポインタを表示させる。
前記制御部は、前記画像内の前記光点の情報に基づいて、前記光点の動きを判定し、前記光点の動きに応じて前記画面上で前記ポインタを移動させ、かつ、前記画像内の前記光点の情報に基づいて、前記光点の消灯を判定し、前記光点の消灯時にクリックに関する処理を実行する。
【0009】
「クリックに関する処理」には、シングルクリックの処理、ダブルクリックの処理が含まれる。
【0010】
このポインティングシステムでは、ユーザがポインティングデバイスに設けられた操作ボタン等の操作部を操作することで、ポインティングデバイスの発光部が発光する。発光部から発せられた光は、制御デバイスの撮像部により撮像される。ユーザが操作部を操作したままポインティングデバイスを空間操作すると、撮像された画像内で光点が動き、この動きが制御部によって判定される。制御部は、光点の動きに応じてポインタを画面上で移動させる。これにより、ユーザは、ポインティングデバイスの操作ボタン等の操作部を操作したままポインティングデバイスを空間操作することで、画面上でポインタを簡単に移動させることができる。
【0011】
一方、ユーザが、ポインティングデバイスに設けられた操作ボタン等の操作部の操作を解除すると、発光部が消灯し、制御デバイスの撮像部によって撮像された画像内の光点が消灯する。この消灯が制御部によって判定され、消灯時にクリックに関する処理が実行される。これにより、ユーザは、ポインティングデバイスの操作ボタンの操作を解除することで、クリック等の操作も簡単に行うことができる。
【0012】
上記ポインティングシステムにおいて、前記制御部は、前記光点の動きが所定の条件を満たすか否かを判定し、前記所定の条件を満たす場合に、前記光点の消灯時に左クリックに関する処理が実行される左クリック処理モードと、前記光点の消灯時に右クリックに関する処理が実行される左クリック処理モードとを切り替えてもよい。
【0013】
「左クリックに関する処理」には、左シングルクリックの処理、左ダブルクリックの処理が含まれる。
「右クリックに関する処理」には、右シングルクリックの処理、右ダブルクリックの処理が含まれる。
【0014】
右クリック処理モードが左クリック処理モードに切り替えられる場合における光点の動きの条件と、左クリック処理モードが右クリック処理モードに切り替えられる場合における光点の動きの条件とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0015】
このポインティングシステムでは、ユーザは、ポインティングデバイスを把持して空間内で特定の動き(例えば、右に素早く移動させて停止、左に素早く移動させて停止等)をさせることで、右クリック処理モードと、左クリック処理モードとを切り替えることができる。ユーザは、右クリック処理モード時に操作部の操作を解除することで、右クリックの操作を行うことができ、また、左クリック処理モード時に操作部の操作を解除することで左クリックの操作を行うことができる。
【0016】
上記ポインティングシステムにおいて、前記制御部は、前記光点の動きが所定の条件を満たすか否かを判定し、前記所定の条件を満たす場合に、前記光点の動きに応じて前記ポインタが移動され、かつ、前記光点の消灯時にクリックに関する処理が実行されるクリック処理モードを、前記光点の動きに応じてドラッグが実行され、かつ、前記光点の消灯時にドロップが実行されるドラッグ処理モードへ切り替えてもよい。
【0017】
このポインティングシステムでは、ユーザは、ポインティングデバイスを把持して空間内で特定の動き(例えば、一定期間停止等)をさせることで、クリック処理モードを、ドラッグ処理モードへ切り替えることができる。ドラッグ処理モード時には、ユーザは、ポインティングデバイスを空間操作することで、ドラッグを行うことができ、操作部の操作を解除することで、ドロップを行うことができる。
【0018】
上記ポインティングシステムにおいて、前記制御部は、前記光点の動きが所定の条件を満たすか否かを判定し、前記所定の条件を満たす場合に、前記光点の動きに応じてポインタが移動され、かつ、前記光点の消灯時にクリックに関する処理が実行されるクリック処理モードを、前記光点の動きに応じてスクロールが実行されるスクロール処理モードに切り替えてもよい。
【0019】
このポインティングシステムでは、ユーザは、ポインティングデバイスを把持して空間内で特定の動き(例えば、上下左右に素早く移動)をさせることで、クリック処理モードを、スクロール処理モードへ切り替えることができる。
【0020】
上記ポインティングシステムにおいて、前記発光部は、前記操作部の操作時に所定の周期で点滅し、前記制御部は、前記画像内の前記光点の情報に基づいて、前記発光部の前記点滅に基づく前記光点の消灯であるか、または前記操作部の操作の解除に基づく前記光点の消灯であるかを判定し、前記点滅に基づく前記光点の消灯であると判定された場合に、前記クリックに関する処理を実行せず、かつ、前記操作部の操作の解除に基づく前記光点の消灯であると判定された場合に、前記クリックに関する処理を実行してもよい。
【0021】
このポインティングシステムでは、ポインティングデバイスの操作部の操作時に、発光部が所定の周期で点滅するので、ポインティングデバイスの省電力化を図ることができる。
一方、制御デバイスの制御部は、光点の消灯が発光部の点滅に基づく消灯であるか、または操作部の操作の解除に基づく光点の消灯であるかを判定し、点滅に基づく消灯である場合には、クリックに関する処理を実行しない。これにより、発光部の点滅時にクリックに関する処理が実行されてしまい、誤動作が実行されてしまうことを防止することができる。
【0022】
上記ポインティングシステムにおいて、前記制御部は、前記光点の移動量を算出し、前記移動量の大きさに応じて、第1の移動比率で前記移動量に対して前記ポインタを移動させる第1のモードと、前記第1の移動比率よりも大きい第2の移動比率で前記移動量に対して前記ポインタを移動させる第2のモードとを切り替えてもよい。
【0023】
これにより、ポインティングデバイスの空間内での移動が少ない場合には、画面上のポインタの移動が一段と小さくなる。これにより、手ぶれの影響によりポインタが画面上でぶれてしまうことを抑制することができる。
上記ポインティングシステムにおいて、前記制御部は、前記画像内の前記光点の大きさを判定し、前記撮像部により撮像された画像内に、前記表示部の前記画面に対応する基本枠を、前記光点の大きさに応じた大きさで設定し、前記基本枠内での前記光点の動きに応じて、前記ポインタを前記画面上で移動させてもよい。
【0024】
このポインティングシステムでは、光点の大きさに応じて、つまり、ポンティングデバイスと、制御デバイスの距離に応じて画像内に基本枠が設定される。そして、上記距離に応じて設定された基本枠内での光点の動きに応じて、ポインタが移動されるので、上記距離に応じたポインタの移動の制御が可能となる。
【0025】
上記ポインティングシステムにおいて、前記制御部は、前記画像内に基本枠の周囲に光点検索枠を設定し、前記光点検索枠内で、前記光点の動きと、前記光点の消灯とを判定してもよい。
このポインティングシステムでは、光点検索枠が設定されて、その光点検索内で光点の動きと消灯とが判定されるので、外乱交の影響を排除することができる。
【0026】
本発明の一形態に係る制御デバイスは、操作部と、前記操作部の操作に応じて発光する発光部とを有するポインティングデバイスの、前記発光部からの光を撮像し、撮像された画像内に含まれる前記光による光点の情報に基づいて、画面上でポインタを移動させる制御デバイスであって、撮像部と、表示部と、制御部とを具備する。
前記撮像部は、前記発光部の発光時に前記発光部からの光を撮像し、前記光点の情報を含む前記画像を出力する。
前記表示部は、前記画面を有し、前記画面上にポインタを表示させる。
前記制御部は、前記画像内の前記光点の情報に基づいて、前記光点の動きを判定し、前記光点の動きに応じて前記画面上で前記ポインタを移動させ、かつ、前記画像内の前記光点の情報に基づいて、前記光点の消灯を判定し、前記光点の消灯時にクリックに関する処理を実行する。
【0027】
本発明の一形態に係る制御方法は、操作部の操作に応じて発光する発光部からの光を撮像することを含む。
前記光による光点の情報を含む画像が出力される。
撮像された前記画像内の前記光点の情報に基づいて、前記光点の動きが判定される。
前記光点の動きに応じて前記画面上で前記ポインタが移動される。
前記画像内の前記光点の情報に基づいて、前記光点の消灯が判定される。
前記光点の消灯時にクリックに関する処理が実行される。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明の一形態によれば、赤外線等の光を発するポインティングデバイスを用いて、画面上に表示されるポインタを簡単に移動させることができ、かつ、クリック等の操作も簡単に行うことができるポインティングシステム等の技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るポインティングシステムを示す図である。
【図2】リモートコントローラを示す斜視図である。
【図3】リモートコントローラの内部構造を示すブロック図である。
【図4】PCの内部構成を示すブロック図である。
【図5】リモートコントローラの処理を示すフローチャートである。
【図6】撮像画像、基本枠、光点検索枠を示す図である。
【図7】基本枠及び光点検索枠を設定する際の処理を示すフローチャートである。
【図8】基本枠の設定位置を説明するための図である。
【図9】ユーザが、リモートコントローラのボタンを押圧して、発光部を発光させた状態で、リモートコントローラを左右に振ったときの、撮像画像内での光点の動きの様子を示す図である
【図10】ポインタが移動するときの処理及びクリック等の処理について説明するための図である。
【図11】ポインタが移動するときの処理及びクリック等の処理について説明するための図である。
【図12】ポインタが移動するときの処理及びクリック等の処理について説明するための図である。
【図13】ポインタが移動するときの処理及びクリック等の処理について説明するための図である。
【図14】本発明の他の形態に係るポインティングシステムのPCの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
[ポインティングシステム100の全体構成及び各部の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係るポインティングシステム100を示す図である。
図1に示すように、ポインティングシステム100は、リモートコントローラ30(ポインティングデバイス)と、テレビ放送受信機能を有する表示部一体型PC10(制御デバイス)(以下、単にPC10)とを備える。
【0031】
図2は、リモートコントローラ30を示す斜視図である。図3は、リモートコントローラ30の内部構造を示すブロック図である。
【0032】
図2及び図3に示すように、リモートコントローラ30は、操作部36と、記憶部39と、制御部38と、発光部37とを有する。
【0033】
操作部36は、例えば、電源ボタン31、チャンネルボタン32、PCモード及びテレビ放送モードとの切り替えボタン33、チャンネルアップダウンボタン34、音量アップダウンボタン35等の各種の操作ボタンを備える。操作部36としては、押圧式の操作ボタンに限られず、静電容量センサを用いたタッチ式の操作部36であてもよい。操作部36は、ユーザが操作可能な形態であればどのような形態であっても構わない。
【0034】
記憶部39は、例えば、リモートコントローラ30の制御に必要な各種のプログラムが記憶されるROM(Read Only memory)等の不揮発性のメモリを含む。また、リモートコントローラ30は、制御部38の演算の作業領域として用いられるRAM(Random Access memory)等の揮発性のメモリを有する。
【0035】
発光部37は、制御部38の制御に応じて、赤外線を発光する赤外LED(Light Emitting Diode)等により構成される。
【0036】
制御部38は、例えばCPU(Central Processing Unit)により構成され、リモートコントローラ30の各部を統括的に制御する。制御部38は、操作部36の各種ボタンが押圧された場合に、赤外線を発光部37から発光させる。このとき、制御部38は、押圧されたボタンに対応するリモコンコードで変調された赤外線を発光部37から発光させる。
【0037】
ここで、リモートコントローラ30は、操作部36の各種ボタンが操作されている場合に、その操作されている期間中、常に発光部37が発光する形態と、所定の周期で点滅する形態とが挙げられる。リモートコントローラ30としては、どちらの形態であっても構わないが、本実施形態の説明では、発光部37が所定の周期で点滅する形態であるとして説明する。
【0038】
なお、発光部37が点滅する形態の場合、リモートコントローラ30の省電力化を図ることができ、リモートコントローラ30内部に搭載された図示しない電池等の長寿命化を図ることができる。
【0039】
リモートコントローラ30は、表示部一体型PC用、あるいは、テレビジョン装置用のリモートコントローラ30として、一般的に用いられるリモートコントローラ30をそのまま用いることができる。このリモートコントローラ30は、後述するPC10の処理により、画面3上でポインタ1を移動させたり、クリックなどの操作を実行したりすることが可能なポインティングデバイスとして機能する。
【0040】
図4は、本実施形態に係るPC10の内部構成を示すブロック図である。
図1及び図4を参照して、PC10は、表示部11と、スピーカ12と、撮像部13と、画像処理部14と、赤外線受信部15と、コード解析部16と、制御部20と、テレビ放送受信部17と、記憶部18と、通信部19とを有する。
【0041】
表示部11は、例えば、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等により構成される。表示部11は、制御部20の制御に応じて、ポインタ1やアイコン2等のGUIを画面3上に表示させ、また、テレビ放送映像を画面3上に表示させる。
【0042】
なお、本明細書中では、表示部11の画面3上にポインタ1やアイコン2等のGUIが表示されている場合をPCモードと呼び、画面3上にテレビ放送映像が表示されている場合をテレビ放送モードと呼ぶ。
【0043】
撮像部13は、CCDセンサ(Charge Coupled Device)CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子や、リモートコントローラ30の発光部37から発せられた赤外線を選択的に透過させる赤外線フィルタ等を含む。
【0044】
撮像部13は、リモートコントローラ30の発光部37によって発せられた赤外線を撮像し、赤外線による光点4の情報を含む撮像画像40(図6参照)を画像処理部14へ出力する。画像処理部14は、撮像部13によって撮像された撮像画像40を処理し、制御部20へ出力する。
【0045】
制御部20は、例えば、CPUやGPU(Graphics Processing Unit)等を含む。制御部20は、PC10の各部を統括的に制御する。制御部20は、画像処理部14から入力された撮像画像40に基づいて、種々の演算を実行することで、表示部11の画面3上で、ポインタ1を移動させる処理を実行したり、クリック、ダブルクリック、ドラッグアンドドロップ、スクロール等の処理を実行したりする。なお、これらの処理についての詳細は、後述する。
【0046】
記憶部18は、PC10の制御に必要な各種のプログラムや、OS(Operating System)等が記憶されるHDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記録媒体を有する。また、記憶部18は、BIOS(Basic Input/Output System)が記録されるROM等の不揮発性のメモリや、制御部20の演算の作業領域として用いられるRAM等の揮発性のメモリ等を有する。
【0047】
通信部19は、インターネットなどの通信網と接続され、通信網からの情報を受信するとともに、情報を送信することも可能とされている。受信した情報は制御部20に出力される。例えば、ウェブページのHTML(Hyper Text Markup Language)データが受信された場合、制御部20は、HTMLデータを解析してウェブページの画像データを生成し、ウェブページを表示部11に表示させる。
【0048】
赤外線受信部15は、リモートコントローラ30の発光部37から発せられた赤外線を選択的に透過させる赤外線フィルタや、赤外線受信回路等を含む。赤外線受信部15は、リモートコントローラ30からの赤外線を受光して電気信号に変換し、得られた電気信号をコード解析部16へ出力する。
【0049】
コード解析部16は、赤外線受信部15から入力された電気信号を解析することで、リモートコントローラ30から入力されたリモコンコード信号を解析し、解析したリモコンコード信号を制御部20へ出力する。
【0050】
制御部20は入力されたリモコンコード信号に従ってPC10の制御を実行する。例えば、リモコンコード信号がPCモードと、TV放送モードの切り替えであった場合には、PCモードと、TV放送モードとを切り替える。また、テレビ放送モード時に、放送チャンネルの切り替えのリモコンコード信号が入力された場合には、テレビ放送受信部17を制御し、受信する放送チャンネルの切り替えを実行する。
【0051】
テレビ放送受信部17は、例えば、地上波デジタル放送信号、BSデジタル放送信号、CS放送信号等の受信用チューナである。テレビ放送受信部17は、選択された放送チャンネルに応じた放送番組の番組データを、アンテナ21を介して受信し、制御部20に出力する。
【0052】
制御部20は、番組データに含まれる映像信号を表示部11に表示するための映像処理を実行し、また、番組データに含まれる音声信号をスピーカ12から出力するための音声処理を実行する。
【0053】
[動作説明]
次に、本実施形態に係るポインティングシステム100の動作について説明する。
【0054】
(リモートコントローラ30の処理)
まず、リモートコントローラ30側の処理について説明する。
図5は、リモートコントローラ30の処理を示すフローチャートである。
ユーザは、リモートコントローラ30を把持して、リモートコントローラ30の先端側をPC10へ向ける。このとき、画面3上でテレビジョン放送が放送されるTV放送モードである場合には、ユーザは、切り替えボタン33を操作することで、PCモードへ切り替えておく。
【0055】
ユーザが、リモートコントローラ30に設けられた複数のボタンのうち、1つのボタンを押圧すると、制御部20により、ボタンの押圧が検出される(ステップ101のYES)。
【0056】
なお、ユーザが押圧するボタンは、チャンネルボタン32、チャンネルアップダウンボタン34、音量アップダウンボタン35のうち、どのボタンであっても構わない。なお、以降の説明では、ユーザが操作するボタンは、便宜的に、チャンネルボタン32(以下、単にボタン32)であるとして説明する。
【0057】
制御部20は、ボタン32の押圧を検出すると、発光部37を制御して、発光部37から赤外線を発光させる(ステップ102)。このとき、制御部20は、発光部37から所定の周期で点滅する赤外線を発光させる。
【0058】
ユーザが、ボタン32の押圧を解除すると、制御部20により、ボタン32の押圧の解除が検出される(ステップ103のYES)。制御部20は、ボタン32の押圧の解除を検出すると、発光部37の発光を終了させ、発光部37を消灯させる(ステップ104)。
【0059】
(PC10の処理)
次に、PC10の処理について説明する。
【0060】
「基本枠41の設定及び光点検索枠42の設定」
まず、PC10の制御部20が、撮像部13により撮像され、画像処理部14によって処理された撮像画像40に対して、基本枠41及び光点検索枠42を設定するときの処理について説明する。
【0061】
図6は、撮像画像40、基本枠41、光点検索枠42を示す図である。図7は、基本枠41及び光点検索枠42を設定する際の処理を示すフローチャートである。図8は、基本枠41の設定位置を説明するための図である。
【0062】
詳細は後述するが、本実施形態では、ユーザがリモートコントローラ30のボタン32を押圧した状態で、リモートコントローラ30を空間操作した際に、リモートコントローラ30の空間操作に応じて、ポインタ1が画面3上で移動される。この原理について、簡単に説明する。
【0063】
ユーザがボタン32を押圧し、発光部37から赤外線が発光されている状態で、リモートコントローラ30を移動させる。すると、撮像部13により撮像された撮像画像40内で、発光部37の赤外線による光点4(高輝度点)がリモートコントローラ30の移動に応じて動く。つまり、リモートコントローラ30の空間内での動きと、撮像画像40内での光点4の動きには、相関関係があるので、この関係が利用されて、ポインタ1が画面3上で移動される。
【0064】
ここで、撮像された撮像画像40全体に対して光点4の動き等を判定しても構わない。しかし、本実施形態では、リモートコントローラ30と、PC10との距離によって、画面3上でのポインタ1の移動距離が変化してしまうことを抑制する等の理由で、上記距離に応じた大きさの基本枠41を設定することとしている。ここで、基本枠41とは、光点4の移動距離の基準となる枠である。
【0065】
また、本実施形態では、外乱光を除去する等の理由で、撮像画像40内に光点検索枠42を設定することとしている。ここで、光点検索枠42とは、光点4の検索用の枠であって、光点4の動きと、光点4の消灯とが判定される範囲を決定する枠である。
【0066】
図7を参照して、PC10の制御部20は、リモートコントローラ30の発光部37からの赤外線を初めて受光したか否かを判定する(ステップ201)。この場合、制御部20は、撮像部13により撮像され、画像処理部14から入力された撮像画像40内に、赤外線による光点4が含まれるか否かを判定することで、赤外線が初めて受光されたか否かを判定する。
【0067】
発光部37からの赤外線を初めて受光したと判定された場合(ステップ201のYES)、制御部20は、光点4の大きさと、光点4の中心位置を求める(ステップ202)。
【0068】
一方、発光部37からの赤外線を初めて受光した場合でないとき(ステップ201のNO)、制御部20は、設定済みの基本枠41と、光点検索枠42とを使用する(ステップ207)。
【0069】
制御部20は、光点4の大きさと、光点4の中心位置を求めると、次に、基本枠41の大きさを決定する(ステップ203)。この場合、基本枠41の大きさは、光点4の大きさに比例される。これにより、基本枠41の大きさは、リモートコントローラ30及びPC10との距離に比例することになる。
【0070】
すなわち、基本枠41の大きさは、リモートコントローラ30及びPC10との距離が遠いほど小さくなり、上記距離が近いほど大きくなる(図9参照)。表示部11の画面3に対するポインタ1の移動量は、この基本枠41の大きさに対する光点の移動量に基づいて決定される。
【0071】
次に、制御部20は、基本枠41の位置を決定する(ステップ204)。この場合、基本枠41の位置は、撮像画像40と、光点4との位置関係に応じた位置に設定される。例えば、光点4の位置が撮像画像40内で、上寄り、下寄り、左寄り、右寄り位置の場合には、基本枠41は、それぞれ、撮像画像40内で上寄り、下寄り、左寄り、右寄りの位置に設定される。
【0072】
次に、制御部20は、基本枠41が撮像画像40の端に接しないように縮小する(ステップ205)。図8を参照して、図8には、基本枠設定範囲枠43が示されている。基本枠設定範囲枠43の大きさは、撮像画像40よりも少し小さい程度の大きさとされる。制御部20は、ステップ205において、基本枠41の少なくとも一部がこの基本枠設定範囲枠43を超えるかを判定する。そして、制御部20は、基本枠41の少なくとも一部が、基本枠設定範囲枠43を超える場合に、この基本枠設定範囲枠43を超えないように、基本枠41を縮小する。
【0073】
このように、基本枠41を基本枠設定範囲枠43内とすることで、光点検索枠42が撮像画像40の外側にはみ出てしまうことを防止することができる。
【0074】
次に、制御部20は、光点検索枠42の大きさを決定し、光点検索枠42を基本枠41の周囲に設定する(ステップ206)。光点検索枠42の大きさは、基本枠41を所定の倍率で拡大することで、決定されており、光点検索枠42は、基本枠41よりもすこし大きい程度の大きさの枠とされる。光点検索枠42が、基本枠41よりも大きい枠とされることで、ユーザがリモートコントローラ30で表示部11の画面3の端を指し示したような場合に、光点4が検索できなくなってしまうことを防止することができる。
【0075】
撮像画像40内に光点検索枠42を設定し、この光点検索枠42内で、光点4の動き等を判定することで、外乱光の影響を排除することができる。
【0076】
図9は、ユーザが、リモートコントローラ30のボタン32を押圧して、発光部37を発光させた状態で、リモートコントローラ30を左右に振ったときの、撮像画像40内での光点4の動きの様子を示す図である。図9(A)には、ユーザがPC10の遠くでリモートコントローラ30を振ったときの光点4の動きが示されている。一方、図9(B)には、ユーザがPC10の近くでリモートコントローラ30を振ったときの光点4の動きが示されている。なお、図9(A)及び図9(B)では、ユーザは、リモートコントローラ30を空間内で同じ距離だけ左右に動かしている。
【0077】
図9(A)及び図9(B)とを比較すると、撮像画像40に対する光点4の移動距離d1の比率と、撮像画像40に対する光点4の移動距離d2の比率とは異なっている。しかし、図9(A)及び図9(B)では、基本枠41に対する光点4の移動距離d1の比率と、基本枠41に対する光点4の移動距離d2の比率とは、同じである。ポインタ1の表示部11の画面3に対する移動距離は、基本枠41に対する光点4の移動距離により決定されるので、図9(A)及び図9(B)では、ポインタ1は、同じ距離だけ画面3上で移動されることになる。
【0078】
すなわち、本実施形態では、リモートコントローラ30と、PC10との距離によって、画面3上でのポインタ1の移動距離が変化してしまうことを抑制することができる(操作距離補正)。
【0079】
「ポインタ1が移動するときの処理及びクリック等の処理」
次に、ポインタ1が移動するときの処理及びクリック等の処理について説明する。
図10〜図13は、このときのPC10の処理を示すフローチャートである。
【0080】
図10を参照して、PC10の制御部20は、リモートコントローラ30の発光部37から発せられた赤外線を受光したか否かを判定する(ステップ301)。この場合、制御部20は、撮像部13により撮像された撮像画像40内の光点検索枠42内に、赤外線による光点4が含まれるか否かを判定することで、受光の有無を判定する。
【0081】
ユーザがリモートコントローラ30を把持してPC10側へ向けた状態でボタン32を押圧している場合、発光部37から赤外線が発せられて、赤外線が受光される(ステップ301YES)。赤外線が受光されると、制御部20は、光点4の中心位置を求め、撮像画像40内の基本枠41に対する光点4の移動量を算出する(ステップ303)。
【0082】
次に、制御部20は、光点4が移動したか否かを判定する(ステップ304)。光点4が移動していないと判定された場合(ステップ304のNO)、制御部20は、画面3上で前回と同様の位置にポインタ1を表示させる(ステップ305)。
【0083】
一方、光点4が移動していると判定された場合(ステップ304のYES)、次のステップ401へ進む。
図11を参照して、ステップ401では、制御部20は、現在のモードがドラッグ処理モードであるか否かを判定する。
【0084】
ドラッグ処理モードであると判定された場合(ステップ401のYES)、制御部20は、ステップ501(図12参照)へ進む。一方、ドラッグ処理モードでないと判定された場合(ステップ401のNO)、制御部20は、一定期間内での光点4の移動が少ないか否かを判定する(ステップ402)。
【0085】
一定期間内での光点4の移動が少ないと判定された場合(ステップ402のYES)、制御部20は、ドラッグ処理モードへ移行し(ステップ406)、ステップ501へ進む。
【0086】
一方、一定期間内に、光点4が所定の移動量以上の移動している場合(ステップ402のNO)、制御部20は、光点4が撮像画像40内の光点検索枠42内で上下方向、または左右方向に大きく移動されたか否かを判定する(ステップ403)。
【0087】
光点4が上下方向、または左右方向に大きく移動された場合(ステップ403のYES)、制御部20は、スクロール処理モードへ移行し(ステップ407)、ステップ501へ進む。
【0088】
一方、ステップ403での判定が否定的であった場合(ステップ403のNO)、制御部20は、光点4が光点検索枠42内で右に大きく移動して停止したか否かを判定する(ステップ404)。光点4が右に大きく移動して停止された場合(ステップ404のYES)、制御部20は、右クリック処理モードへと移行し(ステップ408)、ステップ501へ進む。
【0089】
ステップ404での判定が否定的であった場合(ステップ404のNO)、次に、制御部20は、光点4が光点検索枠42内で左に大きく移動して停止したか否かを判定する(ステップ405)。光点4の動きが、左に大きく移動して停止されたと判定された場合(ステップ405のYES)、制御部20は、左クリック処理モードへ移行し(ステップ409)、ステップ501へ進む。
【0090】
一方、ステップ405の判定が否定的であった場合(ステップ405のNO)、ドラッグ処理モード、スクロール処理モード、クリック処理モード(右クリック処理モード、左クリック処理モード)は、切り替えられず、制御部20は、前回の処理モードのままステップ501へ進む。
【0091】
図12を参照して、ステップ501では、制御部20は、現在のモードがドラッグ処理モードであるか否かを判定する。現在のモードがドラッグ処理モードである場合(ステップ501のYES)、制御部20は、画面3上で、ドラッグの処理と、ポインタ1の移動処理を実行する(ステップ504)。これにより、ユーザは、例えば、表示部11の画面3上に表示されたアイコン2や、ウィンドウ、ウェブページ等をドラッグすることができる。
【0092】
ここで、ドラッグ中において、ポインタ1及びドラッグされているドラッグ対象物の移動距離は、撮像画像40内の基本枠41に対する光点4の移動量に基づいて算出された距離とされる(図9参照)。従って、ユーザは、PC10の遠くで、リモートコントローラ30を空間操作した場合であっても、PC10の近くでリモートコントローラ30を空間操作した場合であっても、画面3上で同じようにポインタ1及びドラッグ対象物を移動させることができる。なお、後述のスクロール処理、ポインタ1移動処理についても同様である。
【0093】
ステップ501において、ドラッグ処理モードでなかった場合(ステップ501のNO)、制御部20は、スクロール処理モードであるか否かを判定する(ステップ502)。
【0094】
スクロール処理モードである場合(ステップ502のYES)、制御部20は、画面3上で、スクロール処理を実行する。これにより、ユーザは、例えば、表示部11の画面3上に表示されたウィンドウ、ウェブページ内に表示された画像をスクロールすることができる。
【0095】
ステップ502において、スクロール処理モードでなかった場合(ステップ502のNO)、制御部20は、撮像画像40内の基本枠41に対する光点4の移動量に応じて、画面3上でポインタ1を移動させる(ステップ503)。
【0096】
再び図10を参照して、ステップ301において、リモートコントローラ30の発光部37から赤外線を受光していない場合(ステップ301のNO)、制御部20は、所定期間内に、発光部37からの赤外線を再び受光したか否かを判定する(ステップ302)。上記所定期間は、発光部37の点滅周期を考慮して、適宜設定される。
【0097】
制御部20は、ステップ302の判定により、発光部37の点滅に基づく光点4の消灯と、ボタン32の押圧の解除に基づく光点4の消灯とを区別して認識することができる。
【0098】
所定期間内に、発光部37からの赤外線を再び受光した場合、(ステップ302のYES)、制御部20は、ステップ301で赤外線を受光したと判定された場合と同様に、ステップ303へ進み、上記したステップ303以降の処理を実行する。
【0099】
一方、所定期間内に、発光部37からの赤外線を再び受光しなかった場合(ステップ302のNO)、制御部20は、次のステップ306へ進む。ステップ306では、制御部20は、既にクリック処理済であるか否かを判定する。既にクリック処理済である場合(ステップ306のYES)、制御部20は、そのまま処理を終了する。一方、クリック処理がまだ済んでいない場合(ステップ306のNO)、制御部20は、次のステップ601へ進む。
【0100】
図13を参照して、ステップ601では、制御部20は、現在のモードが右クリック処理モードであるか否かを判定する。右クリック処理モードである場合(ステップ601のYES)、制御部20は、右クリックの処理を実行する。この場合、例えば、制御部20は、そのときのポインタ1の位置に関連するメニュー等の表示処理を実行する。
【0101】
一方、現在のモードが右クリック処理モードでなかった場合(ステップ601のNO)、制御部20は、現在のモードが左クリック処理モードであるか否かを判定する(ステップ602)。現在のモードが左クリック処理モードである場合(ステップ602のYES)、制御部20は、左クリックの処理を実行する(ステップ605)。この場合、制御部20は、例えば、そのときのポインタ1の位置がアイコン2上である場合には、そのアイコン2を選択、実行する処理を行う。
【0102】
一方、現在のモードが左クリック処理モードでなかった場合(ステップ602のNO)、現在のモードがドラッグ処理モードであるか否かを判定する(ステップ603)。現在のモードがドラッグ処理モードである場合(ステップ603のYES)、制御部20は、ドロップの処理を実行する(ステップ606)。
【0103】
図10〜図13に示す処理により、ユーザは、リモートコントローラ30のボタン32を押圧した状態で、空間操作することで、ポインタ1を画面3上で簡単に移動させることができる。また、ユーザは、リモートコントローラ30のボタン32の押圧を解除することで、間単に右クリックあるいは左クリックの操作も行うことができる(クリック処理モード)(ステップ604、ステップ605参照)。
【0104】
また、ユーザは、ボタン32の押圧の解除時に右クリックが実行される右クリック処理モードと、ボタン32の押圧の解除時に左クリックが実行される左クリック処理モードとをリモートコントローラ30の空間操作により、簡単に切り替えることができる(ステップ404、405参照)。
【0105】
ユーザは、左クリック処理モードを右クリック処理モードに切り替える場合、ボタン32を押圧した状態で、リモートコントローラ30を右に素早く移動させて停止すればよい(ステップ404参照)。一方、ユーザは、右クリック処理モードを左クリック処理モードへ切り替える場合、ボタン32を押圧した状態で、リモートコントローラ30を左に素早く移動させて停止すればよい(ステップ405参照)。
【0106】
さらに、ユーザは、例えば、画面3上のアイコン2やウィンドウ、ウェブページ等のドラッグ対象物上に、ポインタ1を位置させて一定期間、停止させることで、ドラッグ対象物をドラッグすることができる(ステップ402参照)。そして、ユーザは、ボタン32を押圧した状態でリモートコントローラ30を空間操作して、ドラッグ対象物を目的の位置まで移動させて、ボタン32の押圧を解除することで、ドラッグ対象物をドロップすることができる(ステップ504、606参照)。
【0107】
さらに、ユーザは、例えば、ウィンドウ、ウェブページ等のスクロール対象物上にポインタ1を位置させた後、リモートコントローラ30を上下方向、あるいは、左右方向に素早く移動させることで、スクロール対象物をスクロールさせることができる(ステップ403、505参照)。
【0108】
さらに、本実施形態のリモートコントローラ30は、発光部37が所定の周期で点滅する形態であるので、リモートコントローラ30の省電力化を図ることができる。
一方、PC10の制御部20は、光点4の消灯が発光部37の点滅に基づく消灯であるか、またはボタン32の押圧の解除に基づく光点4の消灯であるかを認識することができる(ステップ302参照)。そして、制御部20は、点滅に基づく消灯である場合には、右クリック、左クリック、ドラッグの処理を実行しない(ステップ302のYES参照)。これにより、リモートコントローラ30が周期的に点滅していることにより、右クリック、左クリック、ドラッグの処理が実行されてしまい、誤動作が実行されてしまうことを防止することができる。
【0109】
さらに、本実施形態のPC10では、撮像画像40内の1つの光点4の動き、及び光点4の消灯に基づいて、ポインタ1の移動、クリック(右クリック、左クリック)、ドラッグアンドドロップ、スクロールの処理を実現している。これにより、表示部一体型PC10用、テレビジョン装置用のリモートコントローラ30として一般的に用いられるリモートコントローラ30を、ポインタ1の移動、クリック等が操作可能なポインティングデバイスとして機能させることができる。これにより、特別なリモートコントローラ30を用いる必要がなくなるので、コストを削減することができる。
【0110】
また、本実施形態では、光点4の消灯の判定が、光点検索枠42内での消灯に対して実行されることから(ステップ301参照)、光点検索枠42外で光点4が消灯した場合には、右クリック、左クリック、ドロップの処理が実行されない。これにより、ユーザが画面3から外れた位置をリモートコントローラ30で指し示した状態で、ボタン32の押圧を解除したときに、クリック等が実行されてしまうなどの誤処理が防止される。
【0111】
[第1実施形態変形例]
以上の説明では、光点4が一定期間内で移動が少ない場合にドラッグ処理モード、光点4が上下左右方向に大きく移動した場合にスクロール処理モードへ移行するとして説明した。また、光点4が右に大きく移動して停止した場合に右クリック処理モード、左に大きく移動した場合に左クリックモードへ移行するとして説明した。しかし、これらの各処理モードの移行の条件は、これらに限られない。
【0112】
典型的には、ユーザがリモートコントローラ30を空間操作してポインタ1を移動させる際に、通常用いられない光点4の動きであれば、どのような光点4の動きに対して、各処理モードの移行の条件が割り当てられてもよい。
【0113】
以上の説明では、右クリック処理モードが左クリック処理モードに切り替えられる条件と、左クリック処理モードが右クリック処理モードに切り替えられる条件とが異なる場合について説明したが、この条件は、同じであってもよい。
【0114】
また、以上の説明では、シングルクリックについて説明したが、ダブルクリック(右、左両方)が実行されてもよい。例えば、ポインタ1がデスクトップ上のアイコン2上に位置している場合などには、左ダブルクリックの処理が実行されてもよい。
【0115】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
なお、第2実施形態以降の説明において、上記第1実施形態と同様の構成及び機能を有する各部については、同様の符号を付し、説明を簡略化または省略する。
図14は、第2実施形態に係るポインティングシステム100のPC10の処理を示すフローチャートである。
【0116】
PC10の制御部20は、リモートコントローラ30の発光部37から発せられた赤外線を受光したか否かを判定する(ステップ701)。この場合、制御部20は、撮像部13により撮像された撮像画像40内の光点検索枠42内に、赤外線による光点4が含まれるか否かを判定することで、受光の有無を判定する。
【0117】
ユーザがリモートコントローラ30を把持してPC10側へ向けた状態でボタン32を押圧している場合、発光部37から赤外線が発せられて、赤外線が受光される(ステップ701YES)。赤外線が受光されると、制御部20は、撮像画像40内の基本枠41に対する光点4の移動量を算出する(ステップ702)。
【0118】
次に、制御部20は、算出された光点4の移動量が所定の閾値未満であるか否かを判定する(ステップ703)。この閾値の値は、ユーザの手振れの大きさを考慮して適宜設定される。
【0119】
光点4の移動量が所定の閾値未満である場合(ステップ703のYES)、制御部20は、光点4の移動量に対する、画面3上でのポインタ1の移動比率を小さくする(ステップ704)(スモールモード(第1のモード))。
【0120】
一方、光点4の移動量が所定の閾値以上である場合(ステップ703のNO)、制御部20は、光点4の移動量に対する、画面3上でのポインタ1の移動比率を大きくする(ステップ705)(ビックモード(第2のモード))。
【0121】
このような処理により、リモートコントローラ30の空間内での移動が少ない場合には、画面3上のポインタ1の移動が一段と小さくなる。これにより、手ぶれの影響によりポインタ1が画面3上でぶれてしまうことを抑制することができる。また、また、ユーザは、ポインタ1を画面3上で精細にコントロールすることができる。
【0122】
一方、リモートコントローラ30の空間内での移動が大きい場合には、画面3上のポインタ1の移動が一段と大きくなる。これにより、ユーザは、ポインタ1を大きく移動させたいときは、リモートコントローラ30を空間内で大きく移動させることで、効率よくポインタ1を移動させることができる。
【0123】
図14に示す例では、モードがビックモードとスモールモードの2つのモードであるとして説明した。しかし、このモードは、3段階以上であってもよい。
【0124】
上記閾値は、スモールモード時及びビックモード時に変化するような処理が実行されてもよい。この場合、例えば、スモールモード時には、上記閾値が大きくなり、ビックモード時には、上記閾値が小さくなるような処理が実行されてもよい。これにより、各モードで安定した操作が可能となる。
【0125】
あるいは、制御部20は、ビックモード時に、撮像画像40内(光点検索枠42内)で光点4が消灯された場合において、クリックに関する処理(左右シングルクリック、左右ダブルクリック)をキャンセルしてもよい。通常、ユーザがクリックに関する操作を行うとき、リモートコントローラ30を空間内で大きく移動させていることは少ない。つまり、ビックモード時において、撮像画像40内で光点4が消灯された場合、誤操作である場合が多い。そこで、制御部20は、ビックモード時に、撮像画像40内(光点検索枠42内)で光点4が消灯された場合には、クリックに関する処理をキャンセルしてもよい。これにより、誤操作が防止される。
【0126】
<各種変形例>
上述の各実施形態の説明では、制御デバイスの一例として、表示部11と、PC10とが一体化された表示部一体型PC10を例に挙げて説明した。しかし、制御デバイスは、これに限られない。例えば、表示部11と、PC10とが分離されていてもよい。また、撮像部13も、表示部11、PC10から分離されていてもよい。制御デバイスの他の例としては、例えば、テレビジョン装置、カーナビゲーション装置等が挙げられる。
【符号の説明】
【0127】
1…ポインタ
2…アイコン
3…画面
4…光点
10…PC
11…表示部
13…撮像部
15…赤外線受信部
20…制御部
30…リモートコントローラ
36…操作部
37…発光部
40…撮像画像
41…基本枠
42…光点検索枠
43…基本枠設定範囲枠
100…ポインティングシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、
前記操作部の操作に応じて発光する発光部とを有するポインティングデバイスと、
前記発光部の発光時に前記発光部からの光を撮像し、前記光による光点の情報を含む画像を出力する撮像部と、
画面を有し、前記画面上にポインタを表示させる表示部と、
前記画像内の前記光点の情報に基づいて、前記光点の動きを判定し、前記光点の動きに応じて前記画面上で前記ポインタを移動させ、かつ、前記画像内の前記光点の情報に基づいて、前記光点の消灯を判定し、前記光点の消灯時にクリックに関する処理を実行する制御部とを有する制御デバイスと
を具備するポインティングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のポインティングシステムであって、
前記制御部は、前記光点の動きが所定の条件を満たすか否かを判定し、前記所定の条件を満たす場合に、前記光点の消灯時に左クリックに関する処理が実行される左クリック処理モードと、前記光点の消灯時に右クリックに関する処理が実行される左クリック処理モードとを切り替える
ポインティングシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のポインティングシステムであって、
前記制御部は、前記光点の動きが所定の条件を満たすか否かを判定し、前記所定の条件を満たす場合に、前記光点の動きに応じて前記ポインタが移動され、かつ、前記光点の消灯時にクリックに関する処理が実行されるクリック処理モードを、前記光点の動きに応じてドラッグが実行され、かつ、前記光点の消灯時にドロップが実行されるドラッグ処理モードへ切り替える
ポインティングシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のポインティングシステムであって、
前記制御部は、前記光点の動きが所定の条件を満たすか否かを判定し、前記所定の条件を満たす場合に、前記光点の動きに応じてポインタが移動され、かつ、前記光点の消灯時にクリックに関する処理が実行されるクリック処理モードを、前記光点の動きに応じてスクロールが実行されるスクロール処理モードに切り替える
ポインティングシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のポインティングシステムであって、
前記発光部は、前記操作部の操作時に所定の周期で点滅し、
前記制御部は、前記画像内の前記光点の情報に基づいて、前記発光部の前記点滅に基づく前記光点の消灯であるか、または前記操作部の操作の解除に基づく前記光点の消灯であるかを判定し、前記点滅に基づく前記光点の消灯であると判定された場合に、前記クリックに関する処理を実行せず、かつ、前記操作部の操作の解除に基づく前記光点の消灯であると判定された場合に、前記クリックに関する処理を実行する
ポインティングシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のポインティングシステムであって、
前記制御部は、前記光点の移動量を算出し、前記移動量の大きさに応じて、第1の移動比率で前記移動量に対して前記ポインタを移動させる第1のモードと、前記第1の移動比率よりも大きい第2の移動比率で前記移動量に対して前記ポインタを移動させる第1のモードとを切り替える
ポインティングシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のポインティングシステムであって、
前記制御部は、前記画像内の前記光点の大きさを判定し、前記撮像部により撮像された画像内に、前記表示部の前記画面に対応する基本枠を、前記光点の大きさに応じた大きさで設定し、前記基本枠内での前記光点の動きに応じて、前記ポインタを前記画面上で移動させる
ポインティングシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のポインティングシステムであって、
前記制御部は、前記画像内に基本枠の周囲に光点検索枠を設定し、前記光点検索枠内で、前記光点の動きと、前記光点の消灯とを判定する
ポインティングシステム。
【請求項9】
操作部と、前記操作部の操作に応じて発光する発光部とを有するポインティングデバイスの、前記発光部からの光を撮像し、撮像された画像内に含まれる前記光による光点の情報に基づいて、画面上でポインタを移動させる制御装置であって、
前記発光部の発光時に前記発光部からの光を撮像し、前記光点の情報を含む前記画像を出力する撮像部と、
前記画面を有し、前記画面上にポインタを表示させる表示部と、
前記画像内の前記光点の情報に基づいて、前記光点の動きを判定し、前記光点の動きに応じて前記画面上で前記ポインタを移動させ、かつ、前記画像内の前記光点の情報に基づいて、前記光点の消灯を判定し、前記光点の消灯時にクリックに関する処理を実行する制御部と
を具備する制御デバイス。
【請求項10】
操作部の操作に応じて発光する発光部からの光を撮像し、
前記光による光点の情報を含む画像を出力し、
撮像された前記画像内の前記光点の情報に基づいて、前記光点の動きを判定し、
前記光点の動きに応じて前記画面上で前記ポインタを移動させ、
前記画像内の前記光点の情報に基づいて、前記光点の消灯を判定し、
前記光点の消灯時にクリックに関する処理を実行する
制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−3533(P2012−3533A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138224(P2010−138224)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】