説明

ポインティングデバイス、情報表示システム及びポインティングデバイスを用いた入力方法

【課題】 バリエーションに富んだ操作入力が可能なポインティングデバイスを提供する。
【解決手段】 表示画面上のカーソルを任意の方向に移動させる操作が可能なポインティングデバイス1と、ポインティングエリア内でのカーソルの位置情報を出力するモードと、ポインティングエリアを複数のエリアに分割し、カーソルが位置する分割エリアのエリア情報を出力するモードとを表示画面の表示内容に応じて切り替えてポインティングデバイス1を制御するMPU21を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面上の任意の位置を指定することが可能なポインティングデバイスに関する。より詳細には、操作入力にバリエーションを持たせたポインティングデバイス、情報表示システム及びポインティングデバイスを用いた入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末装置などの表示画面上に表示したカーソル、ポインタなどを移動させるポインティグデバイスとして、移動方向を画面上のどの方向にも360度操作できるポインティングデバイスが提案されている。
【0003】
このカーソルを画面上の360度どの方向にも操作できるポインティングデバイスとして、磁気変化を利用したポインティングデバイスの構成と動作原理を簡単に説明する。
【0004】
図1に示す磁気変化を利用したポインティングデバイス1は、ハウジング4内に配置され、操作部(図示せず)に協動するマグネット2と、マグネット2の傾斜もしくは移動を検出するホール素子3とを備えている。マグネット2を収納したハウジング4上には、ハウジング4を覆うカバーとしてのキートップ部5が設けられている。またキートップ部5は、スプリング6によって上下方向に移動可能に支持されている。
【0005】
ホール素子3は、磁界を電圧に変換して出力する素子であり、図2に示すようにプリント基板7上の所定の基準点に対して点対称に配置される。例えば、ホール素子(+X方向)10と(−X方向)11とがX方向に、ホール素子(+Y方向)12と(−Y方向)13とがY方向に配置される。
【0006】
マグネット2は図2に示すように円柱状であり、底面に対して垂直方向に磁界を形成する。操作されていない状態では、マグネット2は各ホール素子10、11、12、13に対してほぼ等間隔で離間している。マグネット2がホール素子10、11、12、13からほぼ等間隔の位置にあると、各ホール素子10、11、12、13に印加される磁界はほぼ等しくなるので、各ホール素子10、11、12、13が出力する電圧値も等しい。
【0007】
マグネット2を操作して傾斜もしくは移動させると、各ホール素子10、11、12、13に印加される磁界がそれぞれ変化するので、ホール素子10、11、12、13が出力する電圧値が変化する。例えばマグネット2をX方向の正の向きに傾斜もしくは移動させると、ホール素子(+X方向)10の出力電圧がホール素子(−X方向)11の出力電圧よりも大きくなる。
【0008】
このような各ホール素子10、11、12、13の出力変化から、表示画面上の操作対象を360度任意の方向に任意の速度で移動させるような信号が計算される。
【0009】
特許文献1のポインティグカーソル制御装置は、メモリのルックアップテーブルを参照して、カーソルの移動方向に位置する隣接オブジェクトの目的座標を抽出する。そして、抽出した隣接オブジェクトの座標位置へ即座にカーソルを動かす制御を行っている。
【0010】
【特許文献1】特開平6−289996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したポインティングデバイスによって、画面上の360度どの方向にもカーソルを移動させることが可能となるが、アプリケーションによっては、もっと複数の操作入力が必要となる。すなわち、アプリケーション画面に合わせたポインティング操作が必要とされる。例えば、メニューの選択画面では、ポインティグデバイスの位置情報は必要なく、限られた方向にカーソルを移動できればよい。
【0012】
特許文献1には、ポインティグデバイスの操作性を向上させる技術については開示しているが、ポインティングデバイスの入力方法にバリエーションを持たせる技術については開示されていない。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、バリエーションに富んだ操作入力が可能なポインティングデバイス、情報表示システム、ポインティングデバイスを用いた入力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するために本発明のポインティングデバイスは、ディスプレイ画面上の操作対象を任意の方向に移動させる操作が可能なポインティングデバイスであって、ポインティングエリア内での前記操作対象の位置情報を出力する第1のモードと、前記ポインティングエリアを複数のエリアに分割し、前記操作対象が位置する分割エリアのエリア情報を出力する第2のモードとを前記ディスプレイ画面の表示内容に応じて切り替えて実行する制御手段を有する構成としている。ポインティングエリア内での操作対象の位置情報を出力する第1のモードと、操作対象が位置する分割エリアのエリア情報を出力する第2のモードとをポインティングデバイスに持たせることで、ポインティングデバイスによる操作入力にバリエーションを持たせることが可能となり、不必要となる操作キーを削除することが可能となる。
【0015】
上記構成のポインティングデバイスにおいて、前記制御手段は、前記第2のモードにおいて、前記分割エリアを前記ディスプレイ画面の表示内容に応じて変更するとよい。分割エリアをディスプレイ画面の表示内容に応じて変更することにより、表示内容に対応した操作入力を実現することができる。
【0016】
上記構成のポインティングデバイスにおいて、前記分割エリアは、前記ポインティングエリアをX軸又はY軸方向に平行に分割したエリアであるとよい。ポインティングエリアをX軸又はY軸方向に平行に分割したので、表示内容に応じたエリアに分割することができる。
【0017】
上記構成のポインティングデバイスにおいて、前記分割エリアは、前記ポインティングエリアのX軸方向の最大位置をXmax、最小位置をXmin、Y軸方向の最大位置をXmax、最小位置をYminとして、点(Xmin,Ymax)、((Xmax+Xmin)/2,Ymax)、(Xmin,(Ymax+Ymin)/2)の3点を頂点とする第1のエリアと、点((Xmax+Xmin)/2、Ymax)、(Xmax,Ymax)、(Xmix,Ymin)、(Xmin,(Ymax+Ymin)/2))の4点を頂点とする第2のエリアと、点(Xmax,Ymax)、(Xmix,Ymin)、((Xmin+Xmax)/2),Ymin)、(Xmax,(Ymax+Ymin)/2)の4点を頂点とする第3のエリアと、点((Xmax,(Ymax+Ymin)/2)、(Xmax,Ymin)、((Xmax+Xmin)/2,Ymin)の3点を頂点とする第4のエリアとを含むとよい。従って、表示内容に応じたエリアに分割することができる。
【0018】
上記構成のポインティングデバイスにおいて、前記分割エリアは、前記ポインティングエリアのX軸方向の最大位置をXmax、最小位置をXmin、Y軸方向の最大位置をXmax、最小位置をYminとして、点(Xmax,Ymax)、((Xmax+Xmin)/2,Ymax)、(Xmax,(Ymax+Ymin)/2)の3点を頂点とする第1のエリアと、点((Xmax+Xmin)/2,Ymax)、(Xmax,(Ymax+Ymin)/2)、(Xmin,Ymax)、(Xmax,Ymin)の4点を頂点とする第2のエリアと、点(Xmin,Ymax)、(Xmax,Ymin)、(Xmin,(Ymax+Ymin)/2)、((Xmax+Xmin)/2,Ymin)の4点を頂点とする第3のエリアと、点(Xmin,(Ymax+Ymin)/2)、((Xmax+Xmin)/2,Ymin)、(Xmin,Ymin)の3点を頂点とする第4のエリアとを含むとよい。従って、表示内容に応じたエリアに分割することができる。
【0019】
上記構成のポインティングデバイスにおいて、前記分割エリアは、前記ポインティングエリアのX軸方向の最大位置をXmax、最小位置をXmin、Y軸方向の最大位置をXmax、最小位置をYminとして、点(Xmax,Ymax)、(Xmin,Ymax)、(Xmin,Ymin)の3点を頂点とする第1のエリアと、点(Xmax,Ymax)、(Xmin,Ymin)、(Xmax,Ymin)の3点を頂点とする第2のエリアとを含むとよい。従って、表示内容に応じたエリアに分割することができる。
【0020】
上記構成のポインティングデバイスにおいて、前記分割エリアは、前記ポインティングエリアのX軸方向の最大位置をXmax、最小位置をXmin、Y軸方向の最大位置をXmax、最小位置をYminとして、点(Xmax,Ymax)、(Xmin,Ymax)、(Xmax,Ymin)の3点を頂点とする第1のエリアと、点(Xmin,Ymax)、(Xmax,Ymin)、(Xmin,Ymin)の3点を頂点とする第2のエリアとを含むとよい。従って、表示内容に応じたエリアに分割することができる。
【0021】
本発明の情報表示システムは、請求項1から7のいずれか一項に記載のポインティングデバイスを備えた情報表示システムであって、前記ディスプレイ画面に、複数のメニューが円周上に配置された第1のアプリケーション画面を表示させるアプリケーション画面表示手段を有し、前記ポインティングデバイスによって前記分割エリアのいずれかを選択することで、前記複数のメニューを円周方向にローテーション表示する構成としている。アプリケーション画面に応じた選択入力をポインティングデバイスで実現することができる。
【0022】
上記情報表示システムにおいて、前記アプリケーション画面表示手段は、複数のサブメニューが前記円周と直交する円周方向に配置された第2のアプリケーション画面とを表示し、前記ポインティングデバイスによって前記分割エリアのいずれかを選択することで、前記複数のサブメニューを前記円周方向にローテーション表示するとよい。アプリケーション画面に応じた選択入力をポインティングデバイスで実現することができる。
【0023】
本発明の情報表示システムは、請求項1から7のいずれか一項に記載のポインティングデバイスを備えた情報表示システムであって、前記ディスプレイ画面に、メニューを表示したメニュー表示ブロックを複数積み重ねたメニュー表示体を表示したメニュー表示画面を表示するアプリケーション表示画面手段を有し、前記ポインティングデバイスによって前記分割エリアのいずれかを選択することで前記メニュー表示体を移動させ、選択するメニューを所定位置に移動させる構成としている。アプリケーション画面に応じた選択入力をポインティングデバイスで実現することができる。
【0024】
上記の情報表示システムにおいて、前記アプリケーション画面表示手段は、選択された分割エリアの前記ポインティングエリア中央からの距離に応じて、前記ローテーション表示の速度を変更するとよい。アプリケーション画面に応じた選択入力をポインティングデバイスで実現することができる。
【0025】
本発明のポインティングデバイスを用いた入力方法は、ポインティングデバイスを用いた入力方法であって、ディスプレイ画面上のポインティングエリア内で、操作対象の位置情報を出力する第1のステップと、前記ポインティングエリアを複数のエリアに分割し、前記操作対象が位置する分割エリアのエリア情報を出力する第2のステップとを前記ディスプレイ画面の表示内容に応じて切り替えている。ポインティングデバイスによって、表示内容に応じた入力モードを実現することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、ポインティングデバイスによる操作入力にバリエーションを持たせることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0028】
まず、図3を参照しながら本実施例の構成を説明する。図3には本発明をPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末20に適用した構成を示す。図3に示すように本実施例は、MPU(Micro Processing Unit)21と、システムメモリ22と、ハードディスクドライブ等の記憶装置23と、VRAM(ビデオRAM)24と、I/O部25と、表示部26と、演算部27と、ポンティングデバイス1とを有している。
【0029】
MPU21とシステムメモリ22とは、システムメモリ22に記録されたプログラムを読み出してMPU21が処理を実行することにより、アプリケーション画面表示手段として機能する。アプリケーション画面表示手段は、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラムを実行し、画面に表示されたアイコンを選択するだけで、簡単にファイルの操作やアプリケーションソフトの起動などを実行できるグラフィカル・ユーザー・インターフェースを実現する。オペレーティングシステムには、カーソルの表示機能やフォーカスの移動機能が備えられている。
【0030】
システムメモリ22はシステム情報を保存するROMおよびMPU21用の一時記憶として使用するRAMで構成される。
【0031】
記憶装置23は上記オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムを保存する。オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムはシステムメモリ22にロードされた後、MPU21により実行される。また、アプリケーションプログラムに付随するGUIを実現するためのボタン、プルダウンメニューの図形イメージも記憶装置23に予め保存されている。
【0032】
VRAM24は表示部26に表示すべき1画面分のイメージを記憶する。VRAM24に記憶されているイメージが一定周期で、MPU21あるいはダイレクトメモリアクセスコントローラ(不図示)によりI/O25経由で表示部26に送られ、表示される。MPU21は表示画面の変更が必要な場合、たとえば、マウスカーソルの移動等が生じた場合には、新たに表示すべきイメージを合成し、VRAM24に書き込む。
【0033】
ポインティングデバイス1は、磁気変化を利用したポインティングデバイスであり、図2に示すようにマグネット2とホール素子3とからなる。マグネット2の下に、図2に示すようにホール素子(+X)10、ホール素子(−X)11、ホール素子(+Y)12、ホール素子(−Y)13の4つののホール素子を配置し、それぞれのホール素子が検知する磁界の強さを電圧に変換する。ホール素子(+X)10の出力する電圧を(+Vx)、ホール素子(−X)11の出力する電圧を(−Vx)、ホール素子(+Y)12の出力する電圧を(+Vy)、ホール素子(−Y)13の出力する電圧を(−Vy)とする。ポインティングデバイス1を操作すると、マグネット2の位置が変化し、4つのホール素子10、11、12、13から得られる電圧に変化が生じる。
【0034】
図4に演算部27の構成を示す。演算部27は、図4に示すようにX方向の電圧(+Vx)と(−Vx)とを入力し、これらの差分を増幅する第1差動増幅器31と、Y方向の電圧(+Vy)と(−Vy)とを入力し、これらの差分を増幅する第2差動増幅器33と、第1差動増幅器31の出力をデジタル信号に変換する第1A/D変換器32と、第2差動増幅器33の出力をデジタル信号に変換する第2A/D変換器34とを有している。
【0035】
MCU21は、X、Y方向のカーソルの移動量を示すXパルス、Yパルスが第1A/D変換器32、第2A/D変換器34から出力される毎に、表示部26の画面のカーソルをX方向またはY方向に所定長さだけ移動させる。また、MPU21は、Xパルス、Yパルスが示す移動量をカーソルの現在位置に加算して、カーソルの位置、又はカーソル位置を含む領域を判定する。さらに、MPU21は、Xパルス、Yパルスが示すカーソルの移動量や、カーソル位置から表示部26に表示しているアプリケーション画面のスクロール速度を求める。
【0036】
本実施例は、上述したポインティングデバイス1により複数の操作入力が可能となる。まず、ポインティングデバイス1を用いた第1の操作入力として、ポインティグデバイス1によってポインティグエリアの位置情報(X,Y)を入力する。図5に示すようにカーソルがポインティングエリア内のどの位置にあるのかを示す位置情報(X,Y)を出力する。このときMPU21は、ポインティングデバイス1により得られる移動量に、前回の位置情報を加算して現在位置情報(X,Y)を算出している。
【0037】
ポインティングデバイス1による第2の操作入力として、ポインティングエリアを複数のエリアに分割し、カーソルが位置する分割エリアのエリア情報を出力する。画面操作の表示内容によっては、カーソルの細かな位置情報を必要としない場合もある。例えば、メニューの選択では、表示画面に表示されたメニューアイコンを選択できればよい。このような詳細な位置情報を必要としない場合には、ポインティングエリアを複数の分割エリアに分割し、ポインティングデバイス1によって操作指示されたポインティング位置が区切られたどのエリア内にあるのかを出力する。図6には、ポインティングエリアをX軸に平行する方向に4分割した分割エリアが示されている。例えば、図6のようにポインティングエリアを分割した場合、図7に示すようにメニュー選択欄をY軸に平行する方向に設け、ポインティングデバイス1によって分割エリアを選択することでメニュー選択が可能となる。
【0038】
また、分割したエリア毎に異なる操作入力が可能となるように設定してもよい。例えば、図8に示すようにポインティングエリアを斜め方向に4つに分割して分割エリアA、B、C、Dとした場合、ポインティングエリアの中央に位置するB、Cのエリアにカーソルを移動させると、アプリケーション画面が低速でスクロールし、ポインティングエリアの中央から離れた位置にあるA、Dのエリアにカーソルを移動させると、アプリケーション画面が高速でスクロールする。もちろん、分割エリアA、Bにカーソルがある時と、分割エリアC,Dにカーソルがある時とではアプリケーション画面のスクロールする方向が異なる。
【0039】
ポインティングエリアの分割例を示す。図6に示す分割例1では、X軸方向に平行な4つのエリアに分割している。また、図9に示す分割例2では、Y軸方向に平行な4つのエリアに分割している。エリアの分割数は4つに限定されるものではなく、アプリケーション画面に応じて分割数を増やしたり減らしたりすることもできる。
【0040】
図10に分割例3を示す。この分割例は、図10に示すようにポインティグエリアを斜めに4分割した分割例である。この分割例3では、X軸方向の最大位置をXmax,最小位置をXmin,Y軸方向の最大位置をXmax,最小位置をYminとし、点(Xmin,Ymax)、((Xmax+Xmin)/2,Ymax)、(Xmin,(Ymax+Ymin)/2)の3点を含むエリアを第1のエリアとしている。このエリアをエリアAと呼ぶ。また、点((Xmax+Xmin)/2、Ymax)、(Xmax,Ymax)、(Xmix,Ymin)、(Xmin,(Ymax+Ymin)/2))の4点を含むエリアを第2のエリアとしている。このエリアをエリアBと呼ぶ。また、点(Xmax,Ymax)、(Xmix,Ymin)、((Xmax+Xmin)/2),Ymin)、(Xmax,(Ymax+Ymin)/2)の4点を含むエリアを第3のエリアとしている。このエリアをエリアCと呼ぶ。また、点((Xmax,(Ymax+Ymin)/2)、(Xmax,Ymin)、((Xmax+Xmin)/2,Ymin)の3点を含むエリアを第4のエリアとしている。このエリアをエリアDと呼ぶ。
【0041】
図11に分割例4を示す。この分割例もポインティグエリアを斜めに4分割した分割例である。X軸方向の最大位置をXmax,最小位置をXmin,Y軸方向の最大位置をXmax,最小位置をYminとし、点(Xmax,Ymax)、((Xmax+Xmin)/2,Ymax)、(Xmax,(Ymax+Ymin)/2)の3点を含むエリアを第1のエリアとしている。このエリアをエリアAと呼ぶ。また、点((Xmax+Xmin)/2,Ymax)、(Xmax,(Ymax+Ymin)/2)、(Xmin,Ymax)、(Xmax,Ymin)の4点を含むエリアを第2のエリアとしている。このエリアをエリアBとしている。また、点(Xmin,Ymax)、(Xmax,Ymin)、(Xmin,(Ymax+Ymin)/2)、((Xmax+Xmin)/2,Ymin)の4点を含むエリアを第3のエリアとしている。このエリアをエリアCと呼ぶ。また、点(Xmin,(Ymin+Ymax)/2)、((Xmin+Xmax)/2,Ymin)、(Xmin,Ymin)の3点を含むエリアを第4のエリアとしている。このエリアをエリアDと呼ぶ。
【0042】
図12に分割例5を示す。この分割例は、ポインティングエリアを斜め方向に2分割した分割例である。X軸方向の最大位置をXmax,最小位置をXmin,Y軸方向の最大位置をXmax,最小位置をYminとし、点(Xmax,Ymax)、(Xmin,Ymax)、(Xmin,Ymin)の3点を頂点とする3角形内を第1のエリアとしている。このエリアをエリアAと呼ぶ。また、点(Xmax,Ymax)、(Xmin,Ymin)、(Xmax,Ymin)の3点を頂点とする3角形内を第2のエリアとする。このエリアをエリアBと呼ぶ。
【0043】
図13に分割例6を示す。この分割例6もポインティングエリアを斜め方向に2分割した分割例である。X軸方向の最大位置をXmax,最小位置をXmin,Y軸方向の最大位置をXmax,最小位置をYminとし、点(Xmax,Ymax)、(Xmin,Ymax)、(Xmax,Ymin)の3点を頂点とする3角形内を第1のエリアとしている。このエリアをエリアAと呼ぶ。また、点(Xmin,Ymax)、(Xmax,Ymin)、(Xmin,Ymin)の3点を頂点とする3角形内を第2のエリアとしている。このエリアをエリアBと呼ぶ。
【0044】
以上挙げたポインティングエリアの分割例は、本発明の好適な分割例であるが、これらだけに限定されることなく、アプリケーション画面の構成によって種々の画面分割を適用することができる。
【0045】
次に、図14に示すフローチャートを参照しながら、ポインティングデバイス1の出力から、カーソルの位置するエリアを判定するフローを説明する。+X軸方向に設けられたホール素子(+X)10の出力電圧を(+Vx)、−X軸方向に設けられたホール素子(−X)11の出力電圧を(−Vx)、+Y軸方向に設けられたホール素子(+Y)12の出力電圧を(+Vy)、−Y軸方向に設けられたホール素子(−Y)13の出力電圧を(−Vy)とする。ポインティングデバイス1の出力電圧(+Vx),(−Vx),(+Vy),(−Vy)を演算部27で演算し、X軸方向、Y軸方向の移動量を算出する。X軸方向の移動量を|+Vx−(−Vx)|、Y軸方向の移動量を|+Vy―(―Vy)|とする。MPU21は、この移動量を予め定められたしきい値βと比較し(ステップ1、2)、カーソルの移動があったか否かを判定する。カーソルの移動がなかった場合には(ステップS1/YESかつS2/YES)、この処理を抜ける。
【0046】
カーソルの移動があったと判定した場合、位置情報に、求めたX軸方向の移動量、Y軸方向の移動量を加算して、カーソルの現在位置情報(X,Y)を算出する(ステップS3)。次に、求めた現在位置情報(X,Y)からカーソルの位置するエリアを判定する。現在位置情報(X,Y)からカーソルがエリアA内にあると判定すると(ステップS4)、エリアAの判定信号を出力する(ステップS5)。カーソルがエリアA内にあると判定すると(ステップS6)、エリアBの判定信号を出力する(ステップS7)。カーソルがエリアC内にあると判定すると(ステップS8)、エリアCの判定信号を出力する(ステップS9)。カーソルがエリアC内にないと判定した場合(ステップS8/NO)、エリアDの判定信号を出力する(ステップS10)。
【0047】
次に、ポインティングエリアを分割した操作入力により、メニューを選択する一例を説明する。表示画面には、MPU21による演算によって図15に示すメニュー選択画面が表示される。図15に示すメニュー選択画面では、ある円周上に複数のメニューが配置されている。例えば、インターネットに接続可能な携帯情報端末20であった場合には、過去に選択されたコンテンツなどがメニューとして表示される。また携帯情報端末20に備えられた複数の機能を選択するメニューであってもよい。このメニューは、ユーザのポインティング操作によってローテーションする。また、メニューの一つが選択されると、図16に示すように選択したメインメニューに対応するサブメニューが表示される。サブメニューは、メニューの円周方向と略直交する円周上に配置されている。メニューのポインティング方向と直交する方向にポインティングデバイス1を操作することでサブメニューがローテーションする。
【0048】
図15に示すメニュー選択画面によりメニューを選択する操作を説明する。例えば、図17に示すようにポインティングエリアは、メニュー選択画面に合わせてA,B,C,Dの4つの領域に分割されている。ユーザによってカーソルをA,Bの方向に移動させることで、メニューが左方向に回転して画面中央に位置するメニューが切り換わる。またカーソルをC,Dの方向に移動させることで、ニューが右方向に回転して画面中央に位置するメニューが切り換わる。また、分割エリアAとBとでは、メニューがローテーションする速度が変わる。カーソルを分割エリアBに移動させることで、遅い速度でメニューが回転し、カーソルを分割エリアAに移動させることで、早い速度でメニューが回転する。分割エリアCとDとでもメニューがローテーションする速度が変わる。
【0049】
ユーザはメニューをローテーションさせ、選択するメニューを画面中央に配置させる。そして、このメニューを選択することで、選択したメニューに対応するサブメニュー選択画面が表示される。サブメニューは、メニューの円周方向と略直交する円周方向に配置されているので、これに合わせてポインティングエリアも図18に示すように変更される。サブメニュー選択画面でも同様の操作が行われ、画面に表示するメニューが選択される。
【0050】
ポインティングエリアの分割例を用いたメニュー選択の他の例を説明する。このメニュー選択画面では、図19〜図22に示すように正面、側面、天面の3面が3D表示された立方体又は直方体が1つのメニューブロックとなっている。このメニューブロックを複数積み重ねたメニュー表示体上で、メニューを選択する。
【0051】
ユーザは、メニュー表示体から1つのメニューを選択すると、選択したメニューボックスを予め定められた決定位置(本実施例ではポインティングエリアの中央)に来るようにメニュー表示体を移動させる。ポインティングデバイスの操作によって、メニュー表示体の全体が移動する。例えば、図10〜図13の何れかの分割エリアを選択しながら所望のメニューボックスが決定位置に来るように操作する。これにより、所望の機能が選択される。図19には、選択するメニューブロックが決定位置よりも左にあるので、メニュー表示体全体が左方向に移動した様子が示されている。図20には、選択するメニューブロックが決定位置よりも右にあるので、メニュー表示体全体が右方向に移動した様子が示されている。図21には、選択するメニューブロックが決定位置よりも手前にあるので、メニュー表示体全体が奥側に移動した様子が示されている。図22には、選択するメニューブロックが決定位置よりも奥にあるので、メニュー表示体全体が手前に移動した様子が示されている。
【0052】
このように本実施例は、ポインティングエリア内でのカーソルの位置情報を出力するモードと、カーソルが位置する分割エリアのエリア情報を出力するモードとをポインティングデバイス1に持たせることで、ポインティングデバイス1による操作入力にバリエーションを持たせることが可能となり、不必要となる操作キーを削除することが可能となる。また、分割するエリアをアプリケーション画面の表示内容に応じて変更することで、表示内容に対応した操作入力を実現することができる。
【0053】
なお、上述した実施例は本発明の好適な実施例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。例えば、上述した実施例では、本発明を携帯情報端末に適用したが、この他に例えば携帯電話等に本発明を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】ポインティングデバイスの構成を示す図である。
【図2】ポインティングデバイスの原理を説明するための図である。
【図3】携帯情報端末の構成を示す図である。
【図4】演算部の構成を示す図である。
【図5】ポインティングデバイスを用いた操作入力を説明するための図である。
【図6】分割エリアの一例を示す図である。
【図7】ポインティングデバイスを用いた操作入力を説明するための図である。
【図8】ポインティングデバイスを用いた操作入力を説明するための図である。
【図9】ポインティングデバイスを用いた操作入力を説明するための図である。
【図10】分割エリアの一例を示す図である。
【図11】分割エリアの一例を示す図である。
【図12】分割エリアの一例を示す図である。
【図13】分割エリアの一例を示す図である。
【図14】エリアを判定する手順を示すフローチャートである。
【図15】表示画面に表示されるアプリケーション画面の一例である。
【図16】表示画面に表示されるアプリケーション画面の一例である。
【図17】ポインティングデバイスを用いた選択方法を説明するための図である。
【図18】ポインティングデバイスを用いた選択方法を説明するための図である。
【図19】表示画面に表示されるアプリケーション画面の一例である。
【図20】表示画面に表示されるアプリケーション画面の一例である。
【図21】表示画面に表示されるアプリケーション画面の一例である。
【図22】表示画面に表示されるアプリケーション画面の一例である。
【符号の説明】
【0055】
1 ポインティングデバイス 2 マグネット
3 ホール素子 4 ハウジング
5 キートップ部 6 スプリング
7 プリント板 10 ホール素子(+X方向)
11 ホール素子(−X方向) 12 ホール素子(+Y方向)
13 ホール素子(−Y方向) 20 携帯情報端末
21 MPU 22 システムメモリ
23 記憶装置 24 VRAM
25 I/O 26 表示部
27 演算部 28 システムバス
31 第1差動増幅器 32 第1A/D変換器
33 第2差動増幅器 34 第2A/D変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ画面上の操作対象を任意の方向に移動させる操作が可能なポインティングデバイスであって、
ポインティングエリア内での前記操作対象の位置情報を出力する第1のモードと、前記ポインティングエリアを複数のエリアに分割し、前記操作対象が位置する分割エリアのエリア情報を出力する第2のモードとを前記ディスプレイ画面の表示内容に応じて切り替えて実行する制御手段を有することを特徴とするポインティングデバイス。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第2のモードにおいて、前記分割エリアを前記ディスプレイ画面の表示内容に応じて変更することを特徴とする請求項1記載のポインティングデバイス。
【請求項3】
前記分割エリアは、前記ポインティングエリアをX軸又はY軸方向に平行に分割したエリアであることを特徴とする請求項1又は2記載のポインティングデバイス。
【請求項4】
前記分割エリアは、前記ポインティングエリアのX軸方向の最大位置をXmax、最小位置をXmin、Y軸方向の最大位置をXmax、最小位置をYminとして、点(Xmin,Ymax)、((Xmax+Xmin)/2,Ymax)、(Xmin,(Ymax+Ymin)/2)の3点を頂点とする第1のエリアと、点((Xmax+Xmin)/2、Ymax)、(Xmax,Ymax)、(Xmix,Ymin)、(Xmin,(Ymax+Ymin)/2))の4点を頂点とする第2のエリアと、点(Xmax,Ymax)、(Xmix,Ymin)、((Xmin+Xmax)/2),Ymin)、(Xmax,(Ymax+Ymin)/2)の4点を頂点とする第3のエリアと、点((Xmax,(Ymax+Ymin)/2)、(Xmax,Ymin)、((Xmax+Xmin)/2,Ymin)の3点を頂点とする第4のエリアとを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポインティングデバイス。
【請求項5】
前記分割エリアは、前記ポインティングエリアのX軸方向の最大位置をXmax、最小位置をXmin、Y軸方向の最大位置をXmax、最小位置をYminとして、点(Xmax,Ymax)、((Xmax+Xmin)/2,Ymax)、(Xmax,(Ymax+Ymin)/2)の3点を頂点とする第1のエリアと、点((Xmax+Xmin)/2,Ymax)、(Xmax,(Ymax+Ymin)/2)、(Xmin,Ymax)、(Xmax,Ymin)の4点を頂点とする第2のエリアと、点(Xmin,Ymax)、(Xmax,Ymin)、(Xmin,(Ymax+Ymin)/2)、((Xmax+Xmin)/2,Ymin)の4点を頂点とする第3のエリアと、点(Xmin,(Ymax+Ymin)/2)、((Xmax+Xmin)/2,Ymin)、(Xmin,Ymin)の3点を頂点とする第4のエリアとを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポインティングデバイス。
【請求項6】
前記分割エリアは、前記ポインティングエリアのX軸方向の最大位置をXmax、最小位置をXmin、Y軸方向の最大位置をXmax、最小位置をYminとして、点(Xmax,Ymax)、(Xmin,Ymax)、(Xmin,Ymin)の3点を頂点とする第1のエリアと、点(Xmax,Ymax)、(Xmin,Ymin)、(Xmax,Ymin)の3点を頂点とする第2のエリアとを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポインティングデバイス。
【請求項7】
前記分割エリアは、前記ポインティングエリアのX軸方向の最大位置をXmax、最小位置をXmin、Y軸方向の最大位置をXmax、最小位置をYminとして、点(Xmax,Ymax)、(Xmin,Ymax)、(Xmax,Ymin)の3点を頂点とする第1のエリアと、点(Xmin,Ymax)、(Xmax,Ymin)、(Xmin,Ymin)の3点を頂点とする第2のエリアとを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポインティングデバイス。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のポインティングデバイスを備えた情報表示システムであって、
前記ディスプレイ画面に、複数のメニューが円周上に配置された第1のアプリケーション画面を表示させるアプリケーション画面表示手段を有し、
前記ポインティングデバイスによって前記分割エリアのいずれかを選択することで、前記複数のメニューを円周方向にローテーション表示することを特徴とする情報表示システム。
【請求項9】
前記アプリケーション画面表示手段は、複数のサブメニューが前記円周と直交する円周方向に配置された第2のアプリケーション画面を表示し、
前記ポインティングデバイスによって前記分割エリアのいずれかを選択することで、前記複数のサブメニューを前記円周と直交する円周方向にローテーション表示することを特徴とする請求項8記載の情報表示システム。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載のポインティングデバイスを備えた情報表示システムであって、
前記ディスプレイ画面に、メニューを表示したメニュー表示ブロックを複数積み重ねたメニュー表示体を表示したメニュー表示画面を表示するアプリケーション表示画面手段を有し、
前記ポインティングデバイスによって前記分割エリアのいずれかを選択することで前記メニュー表示体を移動させ、選択するメニューを所定位置に移動させることを特徴とする情報表示システム。
【請求項11】
前記アプリケーション画面表示手段は、選択された分割エリアの前記ポインティングエリア中央からの距離に応じて、前記ローテーション表示の速度を変更することを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の情報表示システム。
【請求項12】
ポインティングデバイスを用いた入力方法であって、
ディスプレイ画面上のポインティングエリア内で、操作対象の位置情報を出力する第1のステップと、前記ポインティングエリアを複数のエリアに分割し、前記操作対象が位置する分割エリアのエリア情報を出力する第2のステップとを前記ディスプレイ画面の表示内容に応じて切り替えることを特徴とするポインティングデバイスを用いた入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−31342(P2006−31342A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208471(P2004−208471)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】