説明

ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークにおける重複トラフィック回避

ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークにおけるトラフィックの重複を回避するための方法であって、ソースから宛先への第1のデータ・パスにおける第1の相互接続リンクの状態を監視するステップを含み、第1のデータ・パスが入口ノード、出口ノード、および1つまたは複数の中間ノードを含む方法が提供される。方法は、第1の相互接続リンクのリンクが動作不能リンクと判断されると第2のデータ・パスを確立するステップをさらに含み、第2のデータ・パスは、入口ノード、出口ノード、1つまたは複数の中間ノードのうちの少なくとも1つ、および第2の相互接続リンクを含み、第2の相互接続リンクは新しい相互接続リンクおよび第1の相互接続リンクのサブセットを含み、サブセットは第1の相互接続リンク内に動作不能リンクを含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の陳述
本出願は、米国特許法第119条(e)項に基づいて、2009年9月14日に米国特許商標庁(U.S.P.T.O.)に出願された米国仮特許出願第61/276607号の優先権を主張し、その内容全体を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
実施形態は、ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークにおけるトラフィックの重複を回避することに関する。トラフィックの重複は、ビデオ・ストリームなどの同じ情報ストリームを含む2つのパスがマージする、ノードのデータ・パスの下流において発生する。例示的実施形態は、このトラフィックの重複を回避するための方法および装置を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】RFC3031
【非特許文献2】RFC3209
【非特許文献3】RFC4090
【非特許文献4】RFC4875
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態は、ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークにおけるトラフィックの重複を回避するための方法を含む。方法は、第2のデータ・パスが非アクティブ化されるまで、第1のデータ・パスに関連付けられる第1のデータ・パケットをドロップするステップを含む。第2のデータ・パスは関連する第2のデータ・パケットを有し、第1のデータ・パケットおよび第2のデータ・パケットは同じデータを含む。
【0005】
一実施形態は、ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークにおけるトラフィックの重複を回避するための方法を含む。方法は、ソースから宛先への第1のデータ・パスにおける第1の相互接続リンクの状態を監視するステップを含む。第1のデータ・パスは、入口(ingress)ノード、出口(egress)ノード、および1つまたは複数の中間ノードを含む。
【0006】
方法は、第1の相互接続リンクのリンクが動作不能リンクと判断されると第2のデータ・パスを確立するステップをさらに含む。
【0007】
第2のデータ・パスは、入口ノード、出口ノード、1つまたは複数の中間ノードのうちの少なくとも1つ、および第2の相互接続リンクを含む。第2の相互接続リンクは、新しい相互接続リンクおよび第1の相互接続リンクのサブセットを含む。サブセットは、第1の相互接続リンク内に動作不能リンクを含まない。
【0008】
方法は、第2のデータ・パスをアクティブ化するステップと、動作不能リンクの状態を監視するステップと、動作不能リンクが動作可能になると第3のデータ・パスを確立するステップとをさらに含む。第3のデータ・パスは、入口ノード、出口ノード、1つまたは複数の中間ノード、および第1の相互接続リンクを含む。方法は、第3のデータ・パスをアクティブ化するステップと、第2のデータ・パスが非アクティブ化されるまで、1つまたは複数の中間ノードのうちの1つで、第3のデータ・パスに関連付けられるデータ・パケットをドロップするステップと、最後に第2のデータ・パスを非アクティブ化するステップとをさらに含む。
【0009】
ネットワーク・ノードは、パケットを受信するように構成された少なくとも1つの入力ポート、およびパケットを送信するように構成された少なくとも1つの出口ポートを含む。ネットワーク・ノードは、第1のシグナリング・パケットを受信して、第1のシグナリング・パケットが、第1のデータ・パスに関連付けられる相互接続リンクが動作不能であることを示すかどうかを判断するように構成されたプロセッサをさらに含む。プロセッサは、相互接続リンクが動作不能の場合は相互接続リンクをバイパスする第2のデータ・パスを介して第1のデータ・パケットをさらに受信して、第2のシグナリング・パケットを受信する。
【0010】
プロセッサは、第2のシグナリング・パケットが、相互接続リンクが動作可能であること示すかどうかを判断する。プロセッサは、第2のシグナリング・パケットが、第1のシグナリング・パケットと同じ情報に関連付けられるかどうかを判断する。プロセッサは、第2のシグナリング・パケットが第3のデータ・パスに関連付けられるかどうかを判断する。第2のシグナリング・パケットが第1のシグナリング・パケットと同じ情報に関連付けられ、第2のシグナリング・パケットが第3のデータ・パスに関連付けられる場合、第2のデータ・パスが非アクティブ化されるまで、プロセッサは第2のシグナリング・パケットに関連付けられるデータ・パケットである第2のデータ・パケットをドロップする。プロセッサは、第2のデータ・パスが非アクティブ化されるかどうかを判断して、第2のデータ・パスが非アクティブ化される場合、第2のシグナリング・パケットに関連付けられる第2のデータ・パケットを送信する。
【0011】
本発明は、本明細書中以下に記載される詳細な説明および添付の図面からより明らかに理解されるだろう。図面において、同様の要素は同様の参照番号によって表される。図面は例としてのみ与えられるものであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】例示的実施形態による、データ・パスを含むポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークを示す図である。
【図2】例示的実施形態による、データ・パス内に動作不能リンクを含むポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークを示す図である。
【図3】例示的実施形態による、ルート変更(reroute)されたデータ・パスを含むポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークを示す図である。
【図4】例示的実施形態による、ルート変更されたデータ・パスおよび修復されたリンクを含むポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークを示す図である。
【図5】例示的実施形態による、データ・パスおよび非アクティブ化されたルート変更されたデータ・パスを含むポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークを示す図である。
【図6】例示的実施形態による、重複トラフィック回避のための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これらの図面は、特定の例示的実施形態において利用される方法、構造、および/または物質の一般的特性を示し、以下で提供される明細書を補完するためのものである点に留意されたい。しかし、これらの図面は正確な縮尺ではなく、何らかの所与の実施形態の正確な構造および性能特性を正確に反映していない場合があり、例示的実施形態によって包含される値または特性の範囲を定義または限定するものと解釈されるべきではない。たとえば、明確にするために、分子、層、領域、および/または構造要素の相対的な厚さおよび位置が縮小または誇張される場合がある。様々な図面における類似または同一の参照番号の使用は、類似または同一の要素または特徴の存在を示すことを意図する。
【0014】
例示的実施形態は様々な修正および代替形態が可能であるが、例としてそれらの実施形態を図面に示し、本明細書で詳細に説明する。しかし、例示的実施形態を開示された特定の形式に限定する意図はなく、逆に例示的実施形態は特許請求の範囲内の全ての修正、同等物、および代替物をカバーすることが理解されるべきである。図面の記述を通じて、同様の番号は同様の要素を指す。
【0015】
本明細書において、様々な要素を記述するために第1の、第2の、などの用語が使用される場合があるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素と他の要素を区別するために使用されるにすぎない。たとえば、例示的実施形態の範囲から逸脱することなしに、第1の要素は第2の要素と呼ばれてもよく、同様に第2の要素が第1の要素と呼ばれてもよい。本明細書では、「および/または」という用語は関連して挙げられた項目のうちの1つまたは複数の何らかのおよび全ての組合せを含む。ある要素が別の要素に「接続している(connected)」または「結合している(coupled)」と言われる場合、他の要素に直接接続または結合してもよく、介在要素が存在してもよいことが理解されよう。逆に、ある要素が別の要素に「直接接続している(directly connected)」または「直接結合している(directly coupled)」と言われる場合、介在要素は存在しない。要素間の関係を記述するために使用される他の単語(たとえば、「間に(between)」対「直接間に(directly between)」、「隣接する(adjacent)」対「直接隣接する(directly adjacent)」など)は、同様に解釈されるべきである。
【0016】
本明細書で使用される専門用語は特定の実施形態を記述するためのものにすぎず、例示的実施形態を限定することを意図するものではない。本明細書では、文脈に明らかな指示のない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は複数形も含むことを意図する。本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含んでいる(including)」という用語は、記述された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループの存在または追加を除外しないことがさらに理解されよう。
【0017】
いくつかの代替実装形態では、記述された機能/操作が図面に記載された順序とは異なる順序で発生する場合がある点にも留意されたい。たとえば、連続して示されている2つの図面は、含まれる機能/操作に応じて、実際にはほぼ同時に実行されてもよく、逆の順序で実行されることがあってもよい。
【0018】
特に定義のない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、例示的実施形態が属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。一般的に使用される辞書において定義される用語などの用語は、関連分野の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明らかに定義されない限り、理想的な、または過度に正式な意味で解釈されないことがさらに理解されよう。
【0019】
例示的実施形態の一部、および対応する詳細な説明は、ソフトウェア、またはコンピュータ・メモリ内のデータ・ビット上の操作のアルゴリズムおよび記号表示に関して示される。これらの記述および表示は、当業者が自身の作業の内容を他の当業者に効果的に伝えるためのものである。本明細書で使用され、また一般に使用されるアルゴリズムは、所望の結果につながる首尾一貫した一連のステップであると考えられる。諸ステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。必ずしもそうではないが、通常これらの量は、格納、転送、結合、比較、およびその他の操作が可能である光信号、電気信号、または磁気信号の形態をとる。主として一般的な用法という理由により、これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、項、数字などと呼ぶことが、場合によっては好都合であることがわかっている。
【0020】
以下の記述では、特定のタスクを実行する、または特定の抽象的データ・タイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含むプログラム・モジュールまたは機能処理として実装され得る、および既存のネットワーク要素で既存のハードウェアを使用して実装され得る、操作、および動作の記号表示(たとえば流れ図の形式の)を参照して例示的実施形態を説明する。このような既存のハードウェアは、1つまたは複数の中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)・コンピュータなどを含むことができる。
【0021】
しかし、これらおよび類似の全ての用語は適切な物理量に関連付けられるべきであり、これらの量に適用された好都合なラベルにすぎないことを念頭に置かれたい。特に指定のない限り、あるいは記述から明らかなように、「処理する(processing)」、「計算する(computing)」、「算出する(calculating)」、「決定する(determining)」、または「表示する(displaying)」などの用語は、コンピュータ・システムのレジスタおよびメモリ内の物理量、電子量として表されるデータを操作して、コンピュータ・システム・メモリまたはレジスタ、あるいは他のこのような情報ストレージ、伝送または表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに変換するコンピュータ・システム、または類似の電子計算装置の動作および処理を指す。
【0022】
例示的実施形態のソフトウェアに実装された態様は、一般的に何らかの形式のプログラム・ストレージ・メディアで符号化されるか、何らかのタイプの伝送メディアを介して実装される点にも留意されたい。プログラム・ストレージ・メディアは、磁気メディア(たとえば、フロッピー・ディスクまたはハード・ドライブ)、または光メディア(たとえば、コンパクト・ディスク読出し専用メモリ、すなわち「CD ROM」)でもよく、読出し専用でもランダム・アクセスでもよい。同様に、伝送メディアはツイスト・ペア線、同軸ケーブル、光ファイバ、または当分野で知られている他の何らかの適切な伝送メディアでよい。例示的実施形態は、何らかの所与の実装形態のこれらの態様によって限定されない。
【0023】
図1は、例示的実施形態によるポイント・ツー・マルチポイント・ネットワーク100を示している。ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークは、1つまたは複数の入口ノード、すなわちルート・ノード105、120を含んでよい。ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークは、1つまたは複数の出口ノード、すなわちリーフ・ノード115、130を含んでよい。ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークは、1つまたは複数の中間ノード、すなわちブランチ・ノード110、125を含んでよい。さらに、ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークは、ノードのうちの1つまたは複数を相互接続するための1つまたは複数の相互接続リンク145を含んでよい。
【0024】
ソース135は、相互接続リンクを介して入口ノードすなわちルート・ノード105、120のうちの1つまたは複数に接続され得る。宛先140は、相互接続リンクを介して出口ノードすなわちリーフ・ノード115、130のうちの1つまたは複数に接続され得る。
【0025】
ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワーク100は、有線ネットワーク、無線ネットワークでもよく、またはそれらの組合せでもよい。ソース135はビデオ・ソース(たとえば、テレビ局またはオン・デマンド映画ビデオ・ストリーム)でもよい。宛先140は、ビデオ・ディスプレイ(たとえば、テレビまたはハンド・ヘルド・ビデオ装置)を有するユーザでよい。ノード105、110、115、120、125、または130は、ルータまたはスイッチ(たとえば、ラベル・スイッチ・ルータ(LSR)またはATMスイッチ)でよい。相互接続リンク145は、有線(たとえば、同軸リンクまたはファイバー・リンク)でもよく、無線でもよい。
【0026】
ソース135から入口すなわちルート・ノード105、120への相互接続リンクは、たとえばインターネット・プロトコル層1接続を介する直接リンクでもよく、たとえばインターネット・プロトコル層3ルーティングを介する遠隔リンクでもよい。宛先140から出口すなわちリーフ・ノード115、130への相互接続リンクは、たとえばインターネット・プロトコル層1接続を介する直接リンクでもよく、たとえばインターネット・プロトコル層3ルーティングを介する遠隔リンクでもよい。
【0027】
ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワーク100は、1つまたは複数のデータ・パス、たとえば元のデータ・パス150を含んでよい。データ・パスは、入口すなわちルート・ノード(たとえばノード105)、出口すなわちリーフ・ノード(たとえばノード115)、1つまたは複数の中間すなわちブランチ・ノード(たとえばノード110)、および1つまたは複数の相互接続リンク(たとえばリンク145)を含む。データ・パスは、仮想データ・パスでもよくトンネルでもよい。
【0028】
ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワーク100は、RFC3031に記載のマルチ・プロトコル・ラベル・スイッチング(MPLS)ネットワークでよい。MPLSネットワークは、あるネットワーク・ノード(たとえばノード125)から次のネットワーク・ノードへデータを導いて搬送するネットワークである。ネットワーク・ノードは、ネットワーク内のホップとして知られている場合がある。MPLSネットワークはノード間の仮想リンクの作成を可能にすることができる。MPLSネットワークは様々なネットワーク・プロトコルのパケットをカプセル化できる。
【0029】
MPLSネットワーク内のデータ・パケットは、ラベルを割り当てられ得る。転送の判断は、データ・パケットの内容に関係なくラベルの内容に基づいて行われ得る。データ・パケットは、1つまたは複数のラベルを含むMPLSヘッダを含むことができる。次いで、ラベルはデータ・パケットをネクスト・ノードまたはネクスト・ホップに転送するために使用される。当分野で知られているように、ノードの操作は、ノードが入口/出口ノード(たとえばノード105または115)か、または中間ノード(たとえばノード110)かに基づいて異なる場合がある。
【0030】
当分野で知られているように、ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワーク(たとえばネットワーク100)は、RFC3209に記載のリソース予約プロトコル−トラフィック・エンジニアリング(RSVP−TE)を使用して、データ・パスを定義できる。RSVP−TEは、ネットワーク制約パラメータ(たとえば、帯域幅、パケット損失率、および最大パケット転送遅延)および明示的ルート要求を考慮してMPLSラベル・スイッチ・パス(LSP)を確立するために使用され得る。
【0031】
知られているように、RFC3209は、何らかのRSVP−TEセッション内に存在し得るトラフィック・エンジニア・トンネルおよび複数のセッション・オブジェクトを一意に定義するために、情報フィールドを含むセッション・オブジェクトを定義する。例示的実施形態に関するセッション・オブジェクトを説明する。たとえば、知られているように、RSVP−TEセッション・オブジェクトは、LSP_TUNNEL SESSIONオブジェクト、SENDER_TEMPLATEオブジェクト、FILTER_SPECオブジェクト、およびEXPLICIT_ROUTEオブジェクト(ERO)を含むことができる。さらに、共有セッション・オブジェクトは、1つまたは複数の共有リンクを含む1つまたは複数のLSPトンネル間で共有された、どのセッション・オブジェクトでもよい。
【0032】
LSP_TUNNEL SESSIONオブジェクトは、RSVP−TEセッションの範囲を対象とする特定のTEトンネルに狭めるために使用される。SENDER_TEMPLATEオブジェクト、およびFILTER_SPECオブジェクトがLSP IDを搬送する。LSP IDはトンネル識別子である。RSVP−TEセッションは、LABEL_REQUESTオブジェクトも含むことができる。知られているように、LABEL_REQUESTオブジェクトはRSVP Resvメッセージを含むことができる。RSVP Resvメッセージは、下流ノードにラベルを割り当てて、そのラベルを上流ノードに伝搬する。
【0033】
EXPLICIT_ROUTEオブジェクトは、明示的にルーティングされたパスを構成するホップの連結をカプセル化する。EXPLICIT_ROUTEオブジェクトを使用して、従来のIPルーティングとは無関係にパスをあらかじめ定めることができる。
【0034】
明示的ルートは、データ・パスが確立されるときに、データ・パス内のそれぞれのノードまたはホップを定義したデータ・パスである。たとえば、明示的ルートはノード(一般的には入口ノード(たとえば、ノード105))によって確立されて、データ・パスは明示的ルートであることを示す情報フィールドを含むパス・メッセージを送信する。RFCに記載されるように、情報フィールドはEXPLICIT_ROUTEオブジェクトに関連付けられてよい。EXPLICIT_ROUTEオブジェクトの内容は、サブオブジェクトと呼ばれる一連の可変長データ・フィールドである。それぞれのサブオブジェクトは、少なくともノードまたはホップ・アドレスのリストを含む。
【0035】
図2は、図1に関して記述したものと同じポイント・ツー・マルチポイント・ネットワーク100を示している。1つ例外なのは、相互接続リンク145−nが動作不能リンクであることである。例示的実施形態では、相互接続リンク145−nはリンク・フラッピングのために動作不能になる場合がある。当分野で知られているように、リンク・フラッピングとは、リンク(またはパス内の他のコンポーネント)が動作可能になったり動作不能になったり継続的に切り替わる状態のことである。
【0036】
図3は、図3に関して記述したものと同じポイント・ツー・マルチポイント・ネットワーク100を示している。1つ例外なのは、ルート変更パス305の追加である。ルート変更パス305は、ソース135に関連付けられる情報を動作不能リンク145−nを囲むようにルート変更する。
【0037】
図4は、図3に関して記述したものと同じポイント・ツー・マルチポイント・ネットワーク100を示しているが、2つの例外がある。第1に、相互接続リンク145−nはここでは動作可能であり、第2に、新しいデータ・パス405が確立されている。新しいデータ・パス405は、データ・パケットは送信された過去のノード110(リマージ(remerge)・ノードとして知られる)ではないことを除いて、元のデータ・パス150と類似している。
【0038】
図5は、図4に関して記述したものと同じポイント・ツー・マルチポイント・ネットワーク100を示しているが、2つの例外がある。第1に、ルート変更パス305が非アクティブ化されている。第2に、新しいパス405に関連付けられるデータ・パケットがノード110によって送信され、宛先140へと継続される。
【0039】
パス150、305、および505に関連付けられるデータ・パケットは、全てソース135に関連付けられる同じ情報を含む。
【0040】
図6は、例示的実施形態による重複トラフィック回避ための方法の例示的実施形態を示している。図6に関連付けられる方法のステップを説明すれば、図1〜5に関連付けられる一連のイベントがより明らかになるだろう。
【0041】
ステップS605で、たとえば入口ノード105によってデータ・パスが確立され得る。たとえば、データ・パスは図1に関して上述した元のデータ・パスでよい。データ・パスは、たとえば上述の明示的ルート・データ・パスでよい。
【0042】
たとえば、RFC3209に記載されるように、EXPLICIT_ROUTEオブジェクトを含むパス・メッセージを受信するノードがこのパスについてのネクスト・ホップを決定する。これは、明示的ルートのためのノードのリスト内のネクスト・ノードがIPサブネットか自律システムである場合があるために行われる。したがって、このネクスト・ホップの選択は、可能な選択肢のセットからの決定を含む場合がある。パスについてのネクスト・ホップを決定するために、パス・メッセージを受信するノードは少なくとも以下のステップを実行できる。
【0043】
パス・メッセージを受信するノードが、最初のサブオブジェクトを最初に評価する。ノードが、第1のサブオブジェクトによって記述されたノードのリスト内のノードのうちの1つではない場合、ノードは誤ってパス・メッセージを受信したので、「Bad initial subobject」エラーを返す。第1のサブオブジェクトがない場合、メッセージも誤っているので、システムは「Bad EXPLICIT_ROUTE object」エラーを返す。エラーがない場合、ノードはパス・メッセージの評価を継続する。
【0044】
第2のサブオブジェクトがない場合、これは明示的ルートの終了(たとえば、そのノードがノードのリスト内の最後のノード)かどうかを示す。したがって、EXPLICIT_ROUTEオブジェクトはパス・メッセージから削除され得る。
【0045】
第2のサブオブジェクトがあると仮定すると、ノードは第2のサブオブジェクトを評価する。ノードが第2のサブオブジェクトによって記述されたノードのリスト内のノードのうちの1つであると仮定すると、ノードは第1のサブオブジェクトを削除して上述のように処理を継続する。これは第2のサブオブジェクトを次の反復の第1のサブオブジェクトにして、上記のステップの可能な反復アプリケーションの後で、ノードがパス・メッセージのパスにおいてノードのリスト内のネクスト・ノードを識別できるようにする点に留意されたい。
【0046】
ノードが、第2のサブオブジェクトによって記述されたノードのリスト内のノードのうちの1つではないと仮定すると、ノードは、第2のサブオブジェクトに関連付けられるノードのリストのネクスト・ノードへのパスに沿った、第1のサブオブジェクト(ノードが属する)のノードのリスト内のネクスト・ホップを選択する。
【0047】
最後に、ノードは第1のサブオブジェクトと、ネクスト・ホップを含むノードのリストのノードを示す何らかのサブオブジェクトとを置換する。これは、ネクスト・ホップによってパス・メッセージが受信される際に、受理されて、上述のように処理されるように行われる。
【0048】
データ・パス150は保護されたデータ・パスでもよい。保護されたデータ・パスは、保護されたデータ・パス内の全てのシステム(たとえば、ノードまたは相互接続リンク)の周囲にあらかじめ定義されたルート変更データ・パスを有するデータ・パスである。データ・パスは、たとえば保護対象とするLSP(Protected LSP)データ・パスでもよい。所与のホップで、ホップがそのホップから始まる1つまたは複数の関連バックアップ・トンネルを有する場合、データ・パスは保護対象とするLSPデータ・パスである。
【0049】
たとえば、相互接続リンク145−nを含む入口ノード105からノード110へのホップは、ノード120およびノード125ならびに他の相互接続リンク145を含む関連バックアップ・トンネルを有する場合がある。関連バックアップ・トンネルは、たとえば、図3から図5において示されたルート変更パス305として示すことができる。ルート変更パス305は相互接続リンク145−nを保護する。
【0050】
たとえば、当業者に知られているように、RFC4090は2つの保護対象とするLSPデータ・パスを記載している。第1はone−to−one backupであり、第2はfacility backupである。
【0051】
one−to−one backup方法では、リンクのポイントまたはノード障害の下流のどこかで元のLSPと交差するラベル・スイッチ・パス(LSP)が確立される。バックアップされたLSPごとに別のバックアップLSPが確立される。保護対象とするLSPに沿って障害が発生すると、トラフィックは局所的な迂回経路に方向変更される。
【0052】
facility backup方法は、MPLSラベル・スタックを利用する。バックアップされたLSPごとに別のLSPを作成する代わりに、LSPのセットをバックアップするためにサービスする単一のLSPが作成される。このようなLSPトンネルはバイパス・トンネルと呼ばれる場合がある。バイパス・トンネルは、入口ノード105の下流のどこかで元のLSPのパスと交差しなければならない。
【0053】
知られているように、パス・メッセージは、データ・パスは保護されたデータ・パスであるべきであることを示す情報フィールドを含むことができる。たとえば、RFC4090に記載のSESSION_ATTRIBUTEオブジェクトは、セッション・フラグと呼ばれる複数の情報フィールドを含む。例示的実施形態に関連するフラグは、「local protection desired」フラグ、「label recording desired」フラグ、「node protection desired」フラグ、および「bandwidth protection desired」フラグを含むことができる。
【0054】
「local protection desired」フラグは、明示的ルート・オブジェクトを侵害する結果になる場合がある局所的修復メカニズムをノードが使用してよいかどうかを示す。「label recording desired」フラグは、パス・メッセージのサブオブジェクトのうちの少なくとも1つにラベル情報が含まれるべきかどうかを示す。「node protection desired」フラグは、保護対象とするLSPに沿ったネクスト・ノードの障害に対する保護を提供する保護対象とするLSPがバックアップ・パスを有するかどうかを示す。「bandwidth protection desired」フラグは、保護対象とするLSPが、所望の帯域幅を提供することを保障されたバックアップ・パスを有するかどうかを示す。
【0055】
LSPが局所的に保護されるべきであることを示すために、入口ノード105は、ヘッド・エンド・ノードとして、SESSION_ATTRIBUTEオブジェクト内に「local protection desired」フラグを設定できる。
【0056】
ステップS610で、データ・パスをアクティブ化できる。データ・パスをアクティブ化することは、データ・パスにトラフィック通過を開始させることである。データ・パスの確立とアクティブ化とは、論理的には別のイベントである。しかし、それらは1つの原子動作として実装または実行されてよい。
【0057】
ステップS615で、ノード(たとえば入口ノード105)がそれぞれの相互接続リンク(たとえばリンク145)を監視する。ノードは、データ・パス(たとえば、明示的ルート)に沿ったそれぞれのノードおよび/またはそれぞれのリンクの状態を示すメッセージ、および/またはメッセージ内のセッション状態フラグを監視できる。相互接続リンク(たとえばリンク145−n)のうちの1つが図2に示されるように動作不能になる場合は、ステップS620でルート変更パス305が確立され、そうでない場合は、ノードは相互接続リンク145の監視を続ける。ステップS620で、ルート変更パス(たとえば、ルート変更パス305)が確立される。上述のように、ルート変更パスはデータ・パスにおける障害の場合にはデータ・フローを保護する。当業者には知られているように、ルート変更パス(たとえば、ルート変更パス305)はファスト・リルート・パスでよい。ファスト・リルート・パスは、バックアップされるべきパス(たとえば、ステップS605で確立された元のパス150)の確立の間に識別される、明白で一意に識別されたバックアップ・パスである。バックアップされるべきパス(たとえば、元のパス150)を確立するパス・メッセージは、ファスト・リルート・パスを確立する要求を示す情報フィールドを含むことができる。たとえば、RFC4090は、ファスト・リルート・パスを定義するために必要な情報フィールドを含むためのFAST_REROUTEオブジェクトを記載している。
【0058】
FAST_REROUTEオブジェクトは、保護対象とするLSPのために使用されるバックアップを制御するために使用される。知られているように、FAST_REROUTEオブジェクトは複数のセッション属性およびセッション・フラグを含む。例示的実施形態に関連するそれらの属性および/またはフラグは、以下で説明する。FAST_REROUTEオブジェクトは、特定の局所的な保護方法も要求できるようにする。このオブジェクトは、ヘッド・エンド・ノード(たとえば入口ノード105)によってのみパス・メッセージに挿入でき、下流ノードによって変更できない。
【0059】
RFC4090から知られているように、FAST_REROUTEオブジェクトは複数のセッション・フラグを含む。例示的実施形態に関連するフラグは「one−to−one backup desired」フラグ、および「facility backup desired」フラグを含むことができる。「one−to−one backup desired」フラグは、保護対象とするLSPがone−to−one backup方法(上述のような)を介して保護されるべきかどうかを示す。「facility backup desired」フラグは、保護対象とするLSPがfacility backup方法(上述のような)を介して保護されるべきかどうかを示す。
【0060】
保護対象とするLSPパスのためにone−to−one backup方法を選択するためには、入口ノード105は、ヘッド・エンド・ノードとして、パス・メッセージ内にFAST_REROUTEオブジェクトを含み、「one−to−one backup desired」フラグを設定するべきである。
【0061】
保護対象とするLSPパスのためにfacility backup方法を選択するためには、入口ノード105は、ヘッド・エンド・ノードとして、パス・メッセージ内にFAST_REROUTEオブジェクトを含み、「facility backup desired」フラグを設定するべきである。FAST_REROUTEオブジェクトがないと、またはこれらの両方のフラグを除去すると、入口ノード105によって、使用するべきバックアップのタイプに関してプリファレンスがないと扱われる場合がある。両方のフラグが設定されると、入口ノード105はどちらかまたは両方の方法を使用できる。
【0062】
上述のように、LSPが局所的に保護されるべきであることを示すために、入口ノード105は、ヘッド・エンド・ノードとしてSESSION_ATTRIBUTEオブジェクト内に「local protection desired」フラグを設定できる。入口ノード105は、パス・メッセージ内にFAST_REROUTEオブジェクトも含んでもよく、入口ノード105はSESSION_ATTRIBUTEオブジェクト内に「local protection desired」フラグを設定して、かつパス・メッセージ内にFAST_REROUTEオブジェクトを含んでもよい。
【0063】
上述のように、動作不能相互接続リンク(たとえばリンク145−n)はリンク・フラッピング動作を示す場合がある。動作不能相互接続リンクがリンク・フラッピング動作を示している場合、従来技術のシステムは、動作不能相互接続リンクが動作可能になる度に元の(最初の)データ・パス(たとえばパス150)を繰返し再確立して再アクティブ化する。
【0064】
一方、例示的実施形態では、ステップS625で入口ノード105がルート変更パス305をアクティブ化する。データ・パスをアクティブ化することは、データ・パスにトラフィック通過を開始させることである。データ・パスの確立とアクティブ化とは、論理的には別のイベントである。しかし、それらは1つの原子動作として実装または実行されてよい。
【0065】
一旦入口ノード105がLSPを保護することを決定して、使用するべきパスを識別すると、入口ノード105は迂回経路のために信号を送る(たとえばステップS630〜S640)。当業者には理解されるように、LSPを保護する決定はシステム設計基準によって異なる。したがって、明確かつ簡潔にするために、決定についてはこれ以上説明しない。以下は、迂回経路LSP(detour LSP)のパス・メッセージを作成するために、保護対象とするLSPのパス・メッセージに実行されるべき変換を説明する。パス・メッセージを変換するために、ノード(たとえば入口ノード105)はパス・メッセージ内のフィールドを修正して、バックアップ・パスが使用中であることを示す。
【0066】
知られているように、RFC4090は、バックアップ・パスが使用中であることを一意に識別するための2つの異なる方法を記載している。第1はsender template−specific方法であり、第2はpath−specific方法である。
【0067】
sender template−specific方法が使用される場合、入口ノード105はSENDER_TEMPLATE(上述)のアドレスを入口ノード105に属するアドレスに変更し、そのアドレスは保護対象とするLSPのパス・メッセージに使用されるアドレスと同じでもよく、同じでなくてもよい。さらに、通常のLSPと同様に動作する迂回経路LSPを含むDETOURオブジェクトをパス・メッセージに追加できる。
【0068】
path−specific方法が使用される場合、入口ノード105はパス・メッセージにDETOURオブジェクトを追加する。
【0069】
「SESSION_ATTRIBUTE」フラグ(上述)、「local protection desired」フラグ、「bandwidth protection desired」フラグ、および「node protection desired」フラグが除去される。「label recording desired」フラグは修正され得る。保護対象とするLSPのパス・メッセージがFAST_REROUTEオブジェクト(上述)を含む場合、FAST_REROUTEオブジェクトが迂回経路LSPのパス・メッセージから削除される。
【0070】
入口ノード105は、出口ノード(たとえばノード115)に向かってEXPLICIT_ROUTEオブジェクト(上述)を生成する。第1に、入口ノード105は、1つまたは複数のバックアップ・トンネルが潜在的故障の保護対象とするLSPの下流のパスに再結合するノードであるマージ・ポイントに属する第1のアドレスに先行する全てのサブオブジェクトを削除する。たとえば、図3に示されるように、ノード110はマージ・ポイントである。入口ノード105は、バックアップ・パスに対応するサブオブジェクトを追加して、入口ノード105とマージ・ポイントとの間で使用する。
【0071】
迂回経路LSPは、保護対象とするLSPと同じ予約スタイルを使用する。これは、パス・メッセージのSESSION_ATTRIBUTEオブジェクトにおいて正確に反映され得る。
【0072】
迂回経路LSPは通常のLSPと同様に動作できる。一旦迂回経路パスが無事に計算されて迂回経路LSPが確立されると、入口ノード105は、ヘッド・エンド・ノードとして、たとえばFAST_REROUTEオブジェクトの内容が変わらない限り、または保護対象とするLSPのノードが変わらない限り、迂回経路を再び計算しなくてよい。入口ノード105も、いつでも迂回経路を再計算できる。
【0073】
ステップS630で、動作不能相互接続リンク(たとえばリンク145−n)のノード(たとえば入口ノード105)の上流が、動作不能相互接続リンク(たとえばリンク145−n)を監視する。たとえば、ノードはデータ・パス(たとえば、明示的ルート)に沿ったそれぞれのノードおよび/またはそれぞれのリンクの状態を示すメッセージおよび/またはセッション状態フラグを監視できる。動作不能相互接続リンク145−nが動作可能になると、新しいパス(たとえばパス405)を確立でき、そうでない場合は監視が続けられる。
【0074】
ステップS635で、入口ノード105は新しいパス405を確立する。入口ノード105は、大域的な復帰(global revert)の結果として新しいパス405を確立できる。大域的な復帰は、以前確立されたパスを介して新しいパスについての信号を送って、新しいパスをアクティブ化することによって、ネットワーク内のパスを以前の状態に戻す。
【0075】
ステップS605に関して上述した方法と同じ方法を使用して、新しいパス405を確立できる。メーク・ビフォア・ブレーク(make−before−break)・データ・パスとして新しいパス405も確立できる。メーク・ビフォア・ブレーク・データ・パスは、メーク・ビフォア・ブレークが置換しようとするデータ・パスの非アクティブ化以前に確立されてアクティブ化されたデータ・パスである。たとえば、当業者には知られているように、RFC3209はメーク・ビフォア・ブレーク・データ・パスを確立するための方法を記載している。
【0076】
メーク・ビフォア・ブレーク・トラフィック・ルーティングを説明するに当たり、確立されたルートおよび新しいルートを参照する。確立されたルートはルート変更されたパス305でよく、新しいルートは新しいパス405でよい。メーク・ビフォア・ブレーク・トラフィック・ルーティング方法は、速やかな移行およびトラフィック混乱のリスク減少を提供できるが、両方のパスがアクティブなのでトラフィックが重複する場合があり、望ましくない。
【0077】
メーク・ビフォア・ブレーク方法をサポートするために、確立されたLSPトンネル(たとえばルート変更パス305)および新しいLSPトンネル(たとえば新しいパス405)に共通のリンク、ならびに確立されたLSPトンネルによって使用されるリソースは、トラフィックが新しいLSPトンネルに移行するまで解放されるべきではない。
【0078】
上述のように、LSP_TUNNEL SESSIONオブジェクトは、リソース予約プロトコル(RSVP)・セッションの範囲を対象とする特定のトラフィック・エンジニアリング(TE)LSPトンネルに狭めるために使用される。宛先IPアドレスの組合せ(ノード115などの、トンネル出口であるノードのアドレス)、トンネルID、およびトンネル入口ノード(たとえば入口ノード105)のIPアドレスが、LSPトンネルを一意に識別する。
【0079】
ルート変更の間、トンネル入口(たとえばノード105)はRSVPセッションへの2つの異なる送信者のように見える必要がある。これは、上述のようにSENDER_TEMPLATEおよびFILTER_SPECオブジェクトにおいて搬送される「LSP ID」の包含によって達成される。
【0080】
ルート変更を実行するために、入口ノード105は新しいLSP IDを選んで、新しいSENDER_TEMPLATEを形成する。次いで、入口ノード105は新しいEXPLICIT_ROUTEオブジェクト(上述)を作成して、新しいパスを定義する。その後、入口ノード105は、元のセッション・オブジェクト、ならびに新しいSENDER_TEMPLATEおよび新しいEXPLICIT_ROUTEオブジェクトを使用して、新しいパス・メッセージを送信する。入口ノード105は、確立されたパスLSPの使用および確立されたパス・メッセージのリフレッシュを継続する。
【0081】
共有されないリンク上では、セットアップの間、新しいパス・メッセージは従来の新しいLSPトンネルとして扱われる。共有されるリンク上では、共有されたセッション・オブジェクトによって、確立されたLSPトンネルとリソースを共有してLSPを確立できるようになる。一旦入口ノード105が新しいLSPトンネルについてResvメッセージ(上述)を受信すると、入口ノードは、ステップS640で新しいトンネルをアクティブ化することによってトラフィックを新しいLSPトンネルに移行できる。
【0082】
ステップS640で、入口ノードは新しいパス405をアクティブ化できる。データ・パスをアクティブ化することは、データ・パスにトラフィック通過を開始させることである。データ・パスの確立とアクティブ化とは、論理的には別のイベントである。しかし、それらは1つの原子動作として実装または実行されてよい。ステップS645で、入口ノード105はルート変更パス305を非アクティブ化できる。データ・パスを非アクティブ化することは、データ・パスにトラフィック通過を停止させることである。
【0083】
データ・パス、すなわちLSPトンネルがアクティブか非アクティブかを判断するために、ノードはトラフィック・エンジニア(TE)・トンネルについての1つまたは複数のセッション・オブジェクトを検査できる。知られているように、セッション・オブジェクトは、パスまたはルートの状態を示す1つまたは複数のセッション・オブジェクト・フラグを含むことができる。たとえば、LSP_TUNNEL SESSIONオブジェクトは「ルート・アクティブ」フラグを含むことができる。「ルート・アクティブ」フラグが設定されると、LSPトンネルがアクティブになる。
【0084】
知られているように、RFC4875は、リマージ・ルーティングに関連付けられるメッセージおよび/またはデータ間、ならびにルート変更に関連付けられるメッセージおよび/またはデータ間を区別するための、ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークにおけるノードについての手順を記載している。「リマージ」は、P2MP(ポイント・ツー・マルチポイント)LSPのブランチに関連付けられるノードが、パスのさらに下方の他のノードでP2MP LSPと交差するリマージ・ブランチである場合を指すことができる。たとえば、ノード110はリマージ・ポイントでよい。知られているように、メーク・ビフォア・ブレークP2MP LSPに関連付けられるノードは、元のP2MP LSPに関連付けられるノードと異なってよい。しかし、2つのP2MP LSPは、SENDER_TEMPLATEオブジェクト内に異なるLSP IDフィールド値を有することになるので、別個の(しかし関連する)LSPとして扱われることになる。
【0085】
例示的実施形態によると、ステップS650で、ノード(たとえばノード110)が、ルート変更パス305が非アクティブ化されたかをどうか判断する。たとえば、ノード110はルート変更パス305に関連付けられるLSPトンネルについての「ルート・アクティブ」フラグを検査できる。ルート変更パス305がアクティブの場合、ステップS655で、新しいパス405に関連付けられるデータ・パケットがノード110(リマージ・ノード)でドロップされる。たとえば、図4を参照すると、ルート変更パス305がアクティブの場合、新しいパス405に関連付けられるパケットはノード110(リマージ・ノード)によってドロップされる。
【0086】
たとえば、相互接続リンク145−nがもう示していないリンク・フラッピング動作を相互接続リンク145−nが示していたためにパス150が障害を起こすと、上述のように、大域的な復帰の結果として新しいパス405を確立できる。新しいパス405は大域的な復帰の結果として確立されたので、ルート変更パス305がアクティブの場合、新しいパス405に関連付けられるパケットをドロップすることによってデータ重複を回避できる。
【0087】
ステップS650で、ノード(たとえばノード110)がルート変更パス305はアクティブではないと判断すると、ノード(たとえばノード110)は、新しいパス405に関連付けられるデータ・パケットを宛先140にルーティングする。たとえば、図5を参照すると、ルート変更パス305がアクティブではない場合、新しいパス405に関連付けられるパケットはノード110によってドロップされず、宛先140へと継続する。
【0088】
ステップS665で、入口ノード105はルート変更パスを取り外すことができる。知られているように、パスを取り外すことは、RFC4090に記載されるRSVP−TEセッション(上述)に関連付けられるパスを削除することである。
【0089】
当業者には理解されるように、上述の例示的実施形態は、記憶可能メディアに格納されたソフトウェア・コード・セグメントとして実装されて、プロセッサによって実行され得る。記憶可能メディアおよびプロセッサは、たとえばラベル・スイッチ・ルータLSRの機能コンポーネントとしてのメモリおよびプロセッサでよい。
【0090】
例示的実施形態を特に示して説明してきたが、特許請求の範囲の趣旨から逸脱することなしに形式および詳細における変化が行われてよいことが、当業者には理解されよう。
【0091】
本発明は上記のように記載されているが、同じことが様々な形で変更される場合があるのは明らかであろう。このような変形例は本発明からの逸脱とはみなされず、またこのような全ての修正は本発明の範囲内に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワーク(100)におけるトラフィックの重複を回避する方法であって、
第1のデータ・パス(150、505)に関連付けられる第1のデータ・パケット(S655)を、第2のデータ・パス(305)が非アクティブ化されるまで、ドロップするステップを含み、前記第2のデータ・パスが関連する第2のデータ・パケットを有し、前記第1のデータ・パケットおよび前記第2のデータ・パケットが同じデータを含む、方法。
【請求項2】
ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワーク(100)におけるトラフィックの重複を回避する方法であって、
ソース(135)から宛先(140)への第1のデータ・パス(S150)における第1の相互接続リンク(145)の状態を監視するステップ(S615)を含み、前記第1のデータ・パスが、入口ノード(105)、出口ノード(115)、および1つまたは複数の中間ノード(110)を含み、さらに、
前記第1の相互接続リンクのリンク(145−n)が動作不能リンクと判断されると第2のデータ・パス(305)を確立するを含み、前記第2のデータ・パスが、前記入口ノード、前記出口ノード、前記1つまたは複数の中間ノードのうちの少なくとも1つ、および第2の相互接続リンクを含み、前記第2の相互接続リンクが新しい相互接続リンクおよび前記第1の相互接続リンクのサブセットを含み、前記サブセットが前記第1の相互接続リンク内に前記動作不能リンクを含まず、さらに、
前記第2のデータ・パスをアクティブ化するステップ(S625)と、
前記動作不能リンクの前記状態を監視するステップ(S630)と、
前記動作不能リンクが動作可能になると第3のデータ・パスを確立するステップ(S635)とを含み、前記第3のデータ・パス(505)が、前記入口ノード、前記出口ノード、前記1つまたは複数の中間ノード、および前記第1の相互接続リンクを含み、さらに、
前記第3のデータ・パスをアクティブ化するステップ(S640)と、
前記第2のデータ・パスが非アクティブ化されるまで、前記1つまたは複数の中間ノードのうちの1つで、前記第3のデータ・パスに関連付けられるデータ・パケットをドロップするステップ(S655)と、
前記第2のデータ・パスを非アクティブ化するステップ(S645)とを含む、方法。
【請求項3】
前記ポイント・ツー・マルチポイント・ネットワークが、リソース予約プロトコル(RSVP)およびトラフィック・エンジニアリング(TE)を使用するように構成された複数のノードを含むマルチ・プロトコル・ラベル・スイッチング(MPLS)・ネットワークであり、前記MPLSネットワークが、様々なプロトコルのパケットをカプセル化するように構成されたノード間の仮想リンクのネットワークであり、RSVPが統合されたサービス・インターネットのためにネットワークにわたってリソースを予約するように構成されたトランスポート層プロトコルであり、TEがRSVPの拡張であって、ネットワーク・リソースを予約する際にネットワーク制限パラメータを考慮するように構成されている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の相互接続リンクの前記状態を監視するステップが、
上流ノードからエラー・メッセージを受信するステップと、
前記エラー・メッセージからパス識別値、パス統合値、およびノード・ブランチ・リスティングを取り出すステップと、
前記第1の相互接続リンクの前記状態を、前記パス識別値、前記パス統合値、および前記ノード・ブランチ・リスティングに基づいて判断するステップとを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記MPLSネットワークにおいて形成される1つまたは複数のパスがラベル・スイッチ・パス(LSP)であり、前記LSPがシグナリング・プロトコルによって設定された前記MPLSネットワークを通じたパスである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ソース・ノードとして前記ソースを含み、宛先ノードとして前記宛先を含み、および前記1つまたは複数の中間ノードを含む前記LSPを作成することによって、前記第1のデータ・パスを確立するステップと、
前記第1のデータ・パスをアクティブ化するステップと、
LSPトンネルを形成する前記データ・パケットにラベルを割り当てることによって、前記データ・パケットを前記LSPにマッピングするステップとを含み、前記LSPトンネルがMPLSを使用して前記パケットを搬送する2つのノード間を接続するように構成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のデータ・パスを保護されたデータ・パスとして示すために、前記第1のデータ・パスのパス・メッセージ内にファスト・リルート・オブジェクトを含むステップと、
それぞれの前記複数のノードの周囲に複数の迂回経路LSPパスを構成するステップと、
それぞれの前記複数のノードと、前記複数の迂回経路LSPパスの異なる迂回経路LSPパスとの間の関係を作成するステップとを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のデータ・パスを確立するステップが、
上流ノードによって、下流リンクが障害を起こしたことを判断するステップと、
関連する迂回経路LSPパスを使用して前記データ・パケットをルート変更するステップと、
前記データ・パケットのマージ後に、前記第1のデータ・パスおよび前記第2のデータ・パスが同じデータ・パスであるように、前記第1のデータ・パスの下流ノードで前記データ・パケットをマージするステップとを含み、前記ルート変更されたデータ・パケットが、前記データ・パス内の前記データ・パケットを識別するために使用された前記ラベルと同じラベルによって識別される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第3のデータ・パスを確立するステップが、
前記入口ノードによって、新しいLSPパスを識別するための新しいラベルを作成するステップと、
前記入口ノードによって、前記新しいLSPパスを作成するステップと、
前記入口ノードによって、前記新しいLSPパス上のトラフィックを前記データ・パス上のトラフィックに関連付ける情報を含む新しいパス・メッセージを送信するステップとを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記1つまたは複数の中間ノードのうちの前記1つがリマージ・ノードであり、
前記リマージ・ノードが、前記新しいパス・メッセージで受信した情報を使用して、前記データ・パケットをドロップするべきかどうかを判断する、請求項9に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2013−504976(P2013−504976A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529801(P2012−529801)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/048189
【国際公開番号】WO2011/031809
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】