説明

ポジ型感光性組成物用現像液

多数回の使用に耐えうる現像処理能力を有するとともに、長期間にわたりpH値の変動が小さく耐久性に優れ、特に、グラビア印刷用被製版ロールに実用することができるようにロール100本以上、好ましくは300〜400本位は十分に現像できる現像能力を有し、且つ、処理能力の経時劣化が極めて小さく、現像液を交換する回数が少ないポジ型感光性組成物用現像液を提供する。(A)水酸化第四アンモニウム、及び(B)ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種、を含有するアルカリ性水溶液からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型感光性組成物用現像液に関し、より詳しくは、赤外波長域のレーザーに露光感応して該感応部が現像液に可溶になる赤外波長域レーザー感応性を有するポジ型感光性組成物の現像に用いられる現像液に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、近赤外波長域のレーザーに露光感応して該感応部が現像液に可溶になる近赤外波長域レーザー感応性を有するポジ型感光性組成物が知られている(例えば、特許文献1〜6等参照。)。この種のポジ型感光性組成物は、pHが約13以上の強アルカリ現像液でないと現像不能である。特許文献7及び8等は、ポジ型感光性組成物のための現像液を開示している。しかしながら、これらの現像液は平版印刷版用であり、グラビア印刷用に転用してテストしたところ、ロール一本を現像すると、たちまち劣化してしまい、二本目以降の現像が全く出来なかった。
【0003】
グラビア印刷用に実用するためには、少なくとも100本位のロールを現像できる能力を有し、かつ、処理能力の経時劣化が極めて小さく、2、3日から一週間の日数を経て現像したときに現像能力が消失して現像ができず現像タンク内の現像液を全て排出して建浴をやり直すという惧れがないものが望ましい。
【特許文献1】特開平10−26826号公報
【特許文献2】特開平10−161304号公報
【特許文献3】特開平10−90881号公報
【特許文献4】特開平11−231515号公報
【特許文献5】特開2003−337409号公報
【特許文献6】特開2004−102062号公報
【特許文献7】特開平8−23447号公報
【特許文献8】特開昭61−167948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、多数回の使用に耐えうる現像処理能力を有するとともに、長期間にわたりpH値の変動が小さく耐久性に優れ、特に、グラビア印刷用被製版ロールに実用することができるようにロール100本以上、好ましくは300〜400本位は十分に現像できる現像能力を有し、且つ、処理能力の経時劣化が極めて小さく、現像液を交換する回数が少ないポジ型感光性組成物用現像液を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のポジ型感光性組成物用現像液は、(A)水酸化第四アンモニウム、及び(B)ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種、を含有するアルカリ性水溶液からなることを特徴とする。
【0006】
本発明の現像液は、(C)リン酸三ナトリウムをさらに含有することが好ましい。また、本発明の現像液は、(D)界面活性剤をさらに含有することが好ましい。さらに、本発明の現像液は、(E)現像促進剤をさらに含有することが好適である。
【0007】
前記水酸化第四アンモニウム(A)が、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム及び水酸化ベンジルトリエチルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多数回の使用に耐えうる現像処理能力を有するとともに、長期間にわたりpH値の変動が小さく耐久性に優れ、特にグラビア印刷版の現像に好適に用いられるポジ型感光性組成物用現像液を提供することができる。本発明のポジ型感光性組成物用現像液は、グラビア印刷用被製版ロールに適用した場合、ロールを300本以上処理しても、pH値が約13以上を安定して維持し短時間にパターンの切れが良く良好な現像が実現でき、更に、処理能力の経時劣化が極めて小さいので、2、3日から一週間の日数を経て現像したときに現像能力が消失して現像ができず現像タンク内の現像液を全て排出し新液に交換する必要がないという甚大な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これら実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0010】
本発明のポジ型感光性組成物用現像液は、(A)水酸化第四アンモニウム、及び(B)ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種、を含有するアルカリ性水溶液からなる。本発明の現像液は、pHが9.1〜13.5の範囲にあることがより好適である。
【0011】
前記水酸化第四アンモニウム(A)は、現像液をアルカリ性に保ちアルカリ現像を行う主たる材料である。水酸化第4アンモニウムとしては、下記式(1)で示されるものが好ましく、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム及び水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム等の水酸化テトラアルキルアンモニウムが好適な例として挙げられる。
【0012】
【化1】

【0013】
(式1中、R〜Rはそれぞれ独立して置換又は非置換のアルキル基を示し、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はフェニルメチル基が好ましい。)
【0014】
これら水酸化第四アンモニウムは、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。水酸化第四アンモニウム(A)の配合割合は、適用されるポジ型感光性組成物や現像条件等に応じて適宜選択すればよいが、現像液に対して0.01〜5重量%配合することが好ましく、0.01〜3重量%配合することがより好ましい。
【0015】
前記ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種(B)は、現像液中に入ってくるか又は発生する炭酸ガスを吸収して、炭酸ガスによる現像液のpH値低下を防止する緩衝作用を有する。前記(B)の配合割合は、特に限定されないが、現像液に対して0.01〜5重量%配合することが好ましく、0.05〜2重量%配合することがより好ましい。
【0016】
本発明の現像液に、(C)リン酸三ナトリウムをさらに配合することが好ましい。前記リン酸三ナトリウム(C)もpH値低下を防止する緩衝作用を有するものである。前記(C)の配合割合は、特に限定されないが、緩衝作用を強めるために、成分(B):成分(C)の配合比(重量比)を、1:0.1〜1、好ましくは1:0.2〜0.5にすることが適切である。
【0017】
本発明の現像液に、(D)界面活性剤をさらに配合することが好ましい。界面活性剤(D)は、現像液が活性を示し浸透していき露光部分の感光膜の溶解を進行させるように機能する。界面活性剤(D)としては、陰イオン系・陽イオン系・非イオン系・両イオン系等の公知の界面活性剤を広く使用可能できる。具体的には、α−スルホ脂肪酸エステルナトリウム、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアマイド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等が好適な例として挙げられる。これら界面活性剤は、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。前記(D)の配合割合は特に限定されないが、現像液に対して0.1〜1.2重量%が好ましく、0.2〜1.0重量%がより好ましい。
【0018】
本発明の現像液に、(E)現像促進剤をさらに配合することが好適である。現像促進剤(E)は、現像残渣を残さない機能を有する。現像促進剤としては、例えば、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソアミルアルコール、ベンジルアルコール、ジメチルスルホオキシド、N−メチルピロリドン、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、N−ベンジルエタノールアミン、アニシルアルコール、ジメチルベンジルアルコール、N−フェニルエタノールアミン、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びフェニールグリコール等が挙げられる。これら現像促進剤は、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。前記(D)の配合割合は特に限定されないが、現像液に対して0.1〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。
【0019】
本発明の現像剤は、ポジ型感光性組成物の現像に適用されるものである。ポジ型感光性組成物としては、特に限定されず公知のものを広く使用可能であるが、波長650〜1,300、好ましくは700〜1,100nmのレーザー光に露光感応して該感応部がアルカリ現像液に可溶になる赤外波長域レーザー感応性を有するアルカリ可溶性のポジ型感光性組成物に好適に用いられる。前記ポジ型感光性組成物としては、具体的には、アルカリ可溶性高分子物質、及び画像露光光源の光を吸収して熱に変換する光熱変換物質、を必須成分として含有してなる組成物が挙げられ、例えば、特許文献1〜6に記載のものや、本発明者が先に出願したPCT/JP2004/7272号及びPCT/JP2004/9007号に記載のもの等が挙げられる。
【0020】
前記アルカリ可溶性高分子物質としては、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質や、−COOR(Rは水素原子又は1価の有機基)基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質(以下、カルボキシル基含有有機高分子物質と称する。)が好ましい。アルカリ可溶性有機高分子物質は、レジスト形成の主成分であり、銅メッキ面又は硫酸銅メッキ面に対して低い密着性を有するバインダー樹脂であり、熱により分子の主鎖又は側鎖の部分が切断されてアルカリ可溶性が一層高まる低分子になり、一部はアブレーションする。
【0021】
前記フェノール性水酸基を有する有機高分子物質としては、例えば、特許文献3〜6に記載されているようなノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、フェノール性水酸基を有するアクリル酸誘導体の共重合体等が挙げられ、特に、ノボラック樹脂、又はポリビニルフェノール樹脂が好ましい。
【0022】
ノボラック樹脂は、フェノール類の少なくとも1種を、酸性触媒下でアルデヒド類、又は、ケトン類の少なくとも1種と重縮合させた樹脂であり、レゾール樹脂は、ノボラック樹脂の重縮合における酸触媒に代えてアルカリ触媒を用いる以外は同様にして重縮合させた樹脂である。ノボラック樹脂及びレゾール樹脂としては、特に、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、レゾルシノール、又はこれらの混合フェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、又はプロピオンアルデヒドとの重縮合体が好ましい。該ノボラック樹脂及びレゾール樹脂は、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量(MW)が、1,500〜150,000であるものが好ましい。
【0023】
ポリビニルフェノール樹脂は、例えば、ヒドロキシスチレン類の単独または2種以上を、ラジカル重合開始剤又はカチオン重合開始剤の存在下で重合させた樹脂が挙げられる。ベンゼン環に炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有するヒドロキシスチレン類の重合体や無置換のベンゼン環のヒドロキシスチレン類の重合体が好ましい。
【0024】
前記カルボキシル基含有有機高分子物質としては、例えば、PCT/JP2004/9007号に記載されているようなカルボキシル基含有高分子物質が挙げられ、カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を少なくとも1つ有する不飽和化合物(a1)より得られる重合体、並びに前記不飽和化合物(a1)及び該不飽和化合物と共重合可能な化合物(a2)より得られる共重合体等が好ましい。具体的には、マレイン酸重合体、(メタ)アクリル酸重合体、スチレン/マレイン酸系共重合体及びそれらの誘導体がより好適な例として挙げられ、スチレン/無水マレイン酸系共重合体に水酸基を有する化合物を反応させて得られるスチレン/マレイン酸系共重合体が特に好ましい。
【0025】
これらアルカリ可溶性高分子物質は1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。アルカリ可溶性有機高分子物質のポジ型感光性組成物における含有割合は、2〜98重量%であるのが好ましく、30〜90重量%であるのが更に好ましい。
【0026】
前記光熱変換物質は、公知の光熱変換物質を広く使用可能であり、例えば、特許文献1〜6に記載されているような、波長域650〜1300nmの赤外線領域の一部又は全部に吸収帯を有し赤外線を吸収して熱に変換する有機又は無機の顔料や染料、有機色素、金属、金属酸化物、金属炭化物、金属硼化物等の光熱変換色素が挙げられる。これら光熱変換物質は、前記アルカリ可溶性有機高分子物質の分子の熱切断によるアルカリ可溶性の低分子化・アブレーションに関与する。
【0027】
前記光熱変換物質としては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子等を含む複素環等がポリメチン(−CH=)nで結合された、広義の所謂シアニン系色素が代表的なものとして挙げられ、具体的には、例えば、キノリン系(所謂、シアニン系)、インドール系(所謂、インドシアニン系)、ベンゾチアゾール系(所謂、チオシアニン系)、イミノシクロヘキサジエン系(所謂、ポリメチン系)、ピリリウム系、チアピリリウム系、スクアリリウム系、クロコニウム系、アズレニウム系等が挙げられ、中で、キノリン系、インドール系、ベンゾチアゾール系、イミノシクロヘキサジエン系、ピリリウム系、又はチアピリリウム系が好ましい。
【0028】
これら光熱変換物質は1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。光熱変換物質のポジ型感光性組成物における含有割合は、2〜60重量%であるのが好ましく、3〜50重量%であるのが更に好ましい。
【0029】
このポジ型感光性組成物は、密着性改良剤、溶解阻止剤、光酸発生剤、染料、増感剤、現像促進剤、塗布性改良剤等の各種添加剤が含まれていることが好ましい。前記密着性改質剤が、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、テルペンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、及びケトン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好適である。
【0030】
このポジ型感光性組成物は、通常、前記各成分をセロソルブ系溶媒、プロピレングリコール系溶媒等の溶媒に溶解した溶液として使用される。溶媒の使用割合は、感光性組成物の固形分総量に対して、通常、重量比で1〜20倍程度の範囲である。
【0031】
本発明の現像液は、各成分の濃度を高めた現像液の原液を製造し、使用前に水で希釈して現像液とすることが好ましい。本発明の現像液の使用方法は特に限定されないが、現像液原液と水を混ぜて建浴して、ポジ型感光性組成物を支持体表面(例えば、グラビア印刷の場合、グラビア印刷用の被製版ロールの銅メッキ面又は硫酸銅メッキ面)に塗布して感光膜を塗布形成した後、近赤外波長域のレーザを点滅照射させ感光してポジ型の潜像を描き込んでから、現像を行なうことが好ましい。
【0032】
現像方法は特に限定されず、公知の方法が採用されるが、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等により、通常、15〜45℃程度の温度、好ましくは22〜32℃で行う。
【0033】
支持体表面へのポジ型感光性組成物の塗布方法として、キスコート、ディップ塗布、回転塗布、ロール塗布、ワイヤーバー塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、及びカーテン塗布等を用いることができる。塗布量は1〜6μmの範囲とすることが好ましい。
【実施例】
【0034】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0035】
(実施例1〜8)
湿度40%以下に保たれたコーティング室に設備された感光膜塗布装置((株)シンク・ラボラトリー製)に被製版ロールを取付けてポジ型感光性組成物を塗布し、次いで、130℃で乾燥させて残留溶剤が2%以下になるように且つ2〜3μmの膜厚になるようにポジ型感光膜を形成し、次いでレーザー露光装置により830nmの波長のレーザーを点滅照射させ感光してポジ型の潜像を書き込み、被検ロールを作成した。なお、ポジ型感光性組成物として、感光液A[PR−NMD−100(住友ベークライト社製、ノボラック樹脂)100重量部、シアニン系色素1重量部、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー5重量部、TrisP−PA(本州化学工業(株)製、溶解阻止剤)5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)800重量部、イソプロピルアルコール(IPA)800重量部、メチルエチルケトン(MEK)600重量部]を用いた。
【0036】
表1に示す組成の現像液原液を作製し、現像槽で前記現像液原液を水で希釈し(水対原液の比率、3対1)現像液とした。なお、現像液のpHは12.9〜13.3の範囲であった。現像装置に前記被検ロールをセットして、50秒間現像を行ったところ、実施例1〜8のいずれも、レジスト画面の画線部(レジストを除去した部分)に残渣が無く、パターンの切れが良い良好な現像が実現できた。その後、引き続き現像液を交換せずにロール600本の現像処理を行ったところ、実施例1〜8の現像液は、ロールを600本処理しても、pH値が12.9以上を安定して維持し短時間にパターンの切れが良く良好な現像が実現できた。また、処理能力の経時劣化が極めて小さく、現像後、2日から一週間の日数を経ても良好な現像能力を有していた。
【0037】
【表1】

【0038】
表1における配合物質の配合量は重量%で示され、各成分は次の通りである。なお、現像液の残りの成分は水である。
TEA−OH:水酸化テトラエチルアンモニウム
リン酸三ナトリウム:NaPO・12H
界面活性剤:脂肪酸アルカノールアマイド
現像促進剤:イソプロパノール
【0039】
(実験例1)
現像液原液の組成を表1のように変更した以外は実施例1と同様に現像を行ったところ、レジスト画面の画線部にやや残渣が見られた。又、処理本数は数本の処理能力しか無く、現像した日の翌日にはpH値の低下は見られないが処理能力を全く失っていた。
【0040】
(実施例9〜19)
水酸化第四アンモニウム(A)としてTEA−OHの換わりに表2に示す化合物を配合した現像液原液を用いた以外は実施例1と同様に現像を行ったところ、実施例1と同様、現像性及び経時安定性が非常に良好であり、ロール600本の現像が可能であった。
【0041】
【表2】

【0042】
表2における配合物質の配合量は重量%で示され、各成分は次の通りである。
TEA−OH:水酸化テトラエチルアンモニウム
TMA−OH:水酸化テトラメチルアンモニウム
BETEA−OH:水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム
BTMA−OH:水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム
TBA−OH:水酸化テトラブチルアンモニウム
TPA−OH:水酸化テトラプロピルアンモニウム
【0043】
(実施例20)
ポジ型感光性組成物として、感光液A中のノボラック樹脂をスチレン/無水マレイン酸共重合体のブチルセロソルブによる部分エステル化物に変更した感光液Bを用いて、実施例1と同様に現像を行った。なお、現像液のpHは9.5であった。実施例20の現像液は、実施例1と同様、現像性及び経時安定性が非常に良好であり、ロール600本の現像が可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水酸化第四アンモニウム、及び
(B)ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種、
を含有するアルカリ性水溶液からなることを特徴とするポジ型感光性組成物用現像液。
【請求項2】
(C)リン酸三ナトリウムをさらに含有することを特徴とする請求項1記載の現像液。
【請求項3】
(D)界面活性剤をさらに含有することを特徴とする請求項1又は2記載の現像液。
【請求項4】
(E)現像促進剤をさらに含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の現像液。
【請求項5】
前記水酸化第四アンモニウム(A)が、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム及び水酸化ベンジルトリエチルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の現像液。

【国際公開番号】WO2005/022267
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【発行日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513505(P2005−513505)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012528
【国際出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000131625)株式会社シンク・ラボラトリー (52)
【Fターム(参考)】