説明

ポリアミド酸の合成方法及びポリイミドの合成方法

【課題】芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物と、脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンとを、短時間に高分子量体にまで共重合させることの可能な、ポリアミド酸の合成方法及びポリイミドの合成方法を提供する。
【解決手段】芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物と、脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンと、pKaが3〜5の酸とを反応させることを特徴とするポリアミド酸の合成方法、並びに、このポリアミド酸を、イミド化反応させることを特徴とするポリイミドの合成方法。
脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンと、pKaが3〜5の酸とを作用させた後、これに芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物を反応させることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド酸の合成方法及びポリイミドの合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを縮重合することによりポリアミド酸とし、さらにこれをイミド化反応させて得られるものである。ポリイミドは、熱安定性が極めて高く、例えば電気絶縁材料、耐熱性被覆膜材料、高性能プリント回路基板材料等として有用な高分子物質である。
【0003】
特に、テトラカルボン酸無水物として芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物を用い、ジアミン化合物として脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンを用いて得られるポリイミドは、低誘電率・高透明性・高耐熱性等の優れた物性が期待されている。このうち脂環式二酸無水物を用いた脂環式ポリイミドの例は、例えば、特許文献1、2等に開示されている。
【特許文献1】特開2002−316990号公報
【特許文献2】特開2002−256074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンを用いたポリイミドは、従来合成が困難であった。その理由は以下の通りであると考えられる。
【0005】
芳香族二酸無水物と芳香族ジアミンとの反応では、芳香族二酸無水物のpKaは3〜5であり、芳香族ジアミンのpKaもまた3〜5であるので、芳香族ジアミンの求核性が良好に保たれて、両者は共重合してポリアミド酸が合成できる。また、これを加熱することにより脱水環化させイミド化反応させて、高分子量のポリイミドが合成できる。
【0006】
ところが、芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物(式1)と、脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミン(式2)との反応の場合では、その原料である脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン(式2)のpKaはいずれもおよそ11と塩基性が強いため、イオン結合性が強くなり、脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミン(式2)の求核性は低下してしまう。このため係る反応においては、発熱して速やかにアミド酸塩(式3)を形成し、得られた塩は溶剤に不溶となって沈殿してしまう。したがって、高分子量のポリアミド酸(式4)の合成は困難であり、結果として、高分子量のポリイミド(式5)の合成も困難であった。
【0007】
【化1】

【0008】
【化2】

【0009】
【化3】

【0010】
【化4】

【0011】
【化5】

【0012】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物と、脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンとを、短時間に高分子量体にまで共重合させることの可能な、ポリアミド酸の合成方法及びポリイミドの合成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、鋭意検討の結果、脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンに対して、pKa3〜5の酸を作用させることによって、従来重合できないとされていた芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物と、脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンとの系においても短時間に高分子量体にまで共重合反応が進行してポリアミド酸(式4)が得られ、また、このポリアミド酸をイミド化反応させることにより高分子量のポリイミド(式5)が得られることを見出した。
【0014】
すなわち、本発明は、芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物と、脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンと、pKaが3〜5の酸とを反応させることを特徴とするポリアミド酸の合成方法である。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンと、pKaが3〜5の酸とを作用させた後、これに芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物を反応させることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド酸の合成方法である。
請求項3に記載の発明は、前記pKaが3〜5の酸は低分子量の酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアミド酸の合成方法である。
請求項4に記載の発明は、前記pKaが3〜5の酸は有機酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド酸の合成方法である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド酸の合成方法により得られたポリアミド酸を、イミド化反応させることを特徴とするポリイミドの合成方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物と、脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンとを短時間で高分子量体にまで共重合させることができ、高分子量のポリアミド酸及びポリイミドを合成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明において用いる酸二無水物は芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物(式1)である。pKaが3〜5の芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物を好適に用いることができる。
【0018】
【化6】

【0019】
芳香族二酸無水物としては、上記(式1)のうち、Xが、下記の(式6)、(式7)、(式8)等に示される化合物を挙げることができる。
【0020】
【化7】

【0021】
【化8】

【0022】
【化9】

【0023】
例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル−2,2−プロパン二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物等を挙げることができる。
【0024】
脂環式二酸無水物としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン族二酸無水物等の単環式脂肪族二酸無水物や、多環式脂肪族二酸無水物(式9)等を挙げることができる。
【0025】
【化10】

【0026】
多環式脂肪族二酸無水物(式9)の環状脂肪族の構造の反復単位は、2個の炭素原子を、2個の同一または異なった炭素数2〜7のアルキレン基またはアルケニレン基(Ci、Ck)、および、炭素数0〜2の結合、アルキレン基またはアルケニレン基(たとえば、一重結合、二重結合、メチレン基、エチレン基、エテニレン基)(Cj)を架橋基として架橋することにより構成した環系である。多環式脂肪族二酸無水物(式9)の具体例は、ビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物およびペンタシクロ[8.2.1.14,72,9.03,8]テトラデカン−5,6,11,12−テトラカルボン酸二無水物等である。
【0027】
例えば、本発明のポリアミド酸の合成方法により、多環式脂肪族二酸無水物(式9)と脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミン(式2)とから、脂環式ポリアミド酸(式10)を合成することができ、この脂環式ポリアミド酸(式10)を環化してイミド化反応させることにより、脂環式ポリイミド(式11)を合成することができる。
【0028】
【化11】

【0029】
【化12】

【0030】
Yは環状脂肪族基であり、Rは、水素またはアクリレート基であり、Ci、およびCkは、炭素数2〜7の置換されたアルキレン基またはアルケニレン基であり、Cjは、炭素数0〜2の結合、アルキレン基またはアルケニレン基(たとえば、一重結合、二重結合、メチレン基、エチレン基、エテニレン基)であり、pは1〜8の整数であり、nは1以上の整数である。
【0031】
脂環式二酸無水物として、更に、スピロ二酸無水物(式12)を挙げることができる。
【0032】
【化13】

【0033】
スピロ二酸無水物(式12)は、[1SR,5RS,6SR]−3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、[1S,5R,6S]−3−オキサビシクロ−[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオンおよび[1R,5S,6R]−3−オキサビシクロ−[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオンである。これらの化合物は、光学活性を有していてもよい。
【0034】
本発明において用いるジアミン化合物は脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミン(式2)である。pKaが10〜11の脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンであっても、pKaが3〜5の弱酸と反応させるため、塩が形成されたとしても、当該塩は芳香族アミン並みの求核性が保持され、溶媒に溶解し得る。したがって、芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物と好適に共重合させることができる。
【0035】
【化14】

【0036】
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、4−メチルノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、N−メチル−ビス(3−アミノプロピル)アミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、ビス(3−アミノプロピル)スルフィド等を挙げることができる。
【0037】
脂環式ジアミン(式2)において、Yは環状脂肪族基であって、例えば、炭素数3〜8のシクロアルキレン基、炭素数3〜8のシクロアルケニレン基、炭素数3〜8のシクロアルキニレン基、ノルボルネニレン基、デカリニレン基、アダマンタニレン基、キュバニレン基等を挙げることができる。
【0038】
脂環式ジアミンとしては、例えば、ジアミノシクロアルカン、ジアミノシクロアルケン、ジアミノシクロアルキン、ジアミノノルボルネン、ジアミノデカリン、ジアミノアダマンタン、およびジアミノキュバン等を挙げることができ、具体的には、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ジアミノアダマンタン等を挙げることができる。
【0039】
脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンと、pKaが3〜5の酸とを作用させた後、これに芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物を反応させることが好ましい。脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンは、pKaが10〜11の強塩基性を有するが、pKaが3〜5の酸と反応させて、塩を形成することにより、芳香族アミンと同等の求核性となって、芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物と良好に共重合反応させることができるようになる。
【0040】
本発明において用いるpKaが3〜5の酸として、有機酸又は無機酸があり、有機酸としては、ギ酸(pKa=3.6)、酢酸(pKa=4.7)、プロピオン酸(pKa=4.9)、酪酸(pKa=4.8)等を挙げることができ、無機酸としては、リン酸(pKa=4.2)、炭酸(pKa=4.9)等を挙げることができる。本発明において用いるpKaが3〜5の酸は、有機酸であることが好ましい。
【0041】
本発明において用いるpKaが3〜5の酸は、イミド化反応の際に、加熱することにより揮発除去することができるよう、低分子量の酸であることが好ましい。
【0042】
本発明のポリイミドの合成方法は、本発明のポリアミド酸の合成方法により得られたポリアミド酸を、イミド化反応させることを特徴とする。イミド化反応の条件としては、例えば、減圧下、260℃〜400℃にて行うことができる。
【実施例1】
【0043】
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)/1,2−シクロヘキサンジアミン(CHDA)/酢酸の系で、次の要領でポリマーを合成した。
【0044】
[実験操作]
(1)ナスフラスコに、3mmolの1,2−シクロヘキサンジアミン(CHDA)を加え、スターラーチップを入れる。更に、このナスフラスコを還流管に取り付け、オイルバスに浸漬する。空気中の水分を吸収しやすいのですばやく操作する。この時はまだオイルバスの温度は室温である。
(2)還流管上部に三方コックを取り付け、フラスコ内を窒素置換する。窒素置換後は常に窒素フローしておく。
(3)三方コック上部より約8mlのジメチルアセトアミド(DMAC)を添加する。添加後は十分攪拌しておく。
(4)オイルバスを90℃まで加熱しCHDAをDMACに十分に溶かす。
(5)全てのCHDAがDMACに溶けたらオイルバスから取り出し、室温まで一旦冷却する。
(6)室温まで冷却したCHDA+DMACに6mmolの酢酸を添加する。十分攪拌すると、CHDAの酢酸塩が白色沈殿物として生成する。
(7)攪拌後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を3mmol添加し攪拌する。その際、反応熱が発生するのでフラスコは水冷しておく(特に強い冷却、たとえば氷水による冷却は必要ない)。
(8)反応時間2時間までに、溶液が透明になり、粘度が上がり、共重合反応が進んでいる様子が観察された。
【0045】
IR測定により、ポリアミド酸の生成を確認した。得られたポリアミド酸のDMAC溶液の固有粘度を測定したところ、2.29dl/gであった。
【0046】
得られたポリアミド酸のDMAC溶液をキャストし、300℃に加熱することにより、不溶性のフィルムが得られた。IR測定により、ポリイミドの生成を確認した。
【0047】
(比較例1)
[実験操作]
(1)実施例1と同様、3mmolの1,2−シクロヘキサンジアミン(CHDA)を、約8mlのジメチルアセトアミド(DMAC)に十分に溶かした。
(2)室温まで冷却したCHDA+DMACに、水冷しながら、3mmolの3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を添加し攪拌した。
(3)攪拌時間24時間までに、粘度の上昇は観察されなかった。
【実施例2】
【0048】
実施例1において、酢酸の添加量を12mmolに変えた以外は実施例1と同様にして、ポリアミド酸を得た。DMAC溶液の固有粘度を測定したところ、1.99dl/gであった。
【0049】
得られたポリアミド酸のDMAC溶液をキャストし、300℃に加熱することにより、不溶性のフィルムが得られた。IR測定により、ポリイミドの生成を確認した。
【実施例3】
【0050】
実施例1において、酢酸の添加量を12mmolに変え、反応時間を1時間とした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド酸を得た。DMAC溶液の固有粘度を測定したところ、1.83dl/gであった。
【0051】
得られたポリアミド酸のDMAC溶液をキャストし、300℃に加熱することにより、不溶性のフィルムが得られた。IR測定により、ポリイミドの生成を確認した。
【実施例4】
【0052】
実施例1において、酢酸の添加量を12mmolに変えた以外は実施例1と同様にして、ポリアミド酸を得た(実施例2の再現試験)。DMAC溶液の固有粘度を測定したところ、2.54dl/gであった。
【0053】
得られたポリアミド酸のDMAC溶液をキャストし、300℃に加熱することにより、不溶性のフィルムが得られた。IR測定により、ポリイミドの生成を確認した。
【実施例5】
【0054】
実施例1において、酢酸の添加量を12mmolに変え、反応時間を4時間とした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド酸を得た。DMAC溶液の固有粘度を測定したところ、1.78dl/gであった。
【0055】
得られたポリアミド酸のDMAC溶液をキャストし、300℃に加熱することにより、不溶性のフィルムが得られた。IR測定により、ポリイミドの生成を確認した。
【実施例6】
【0056】
実施例1において、酢酸の添加量を24mmolに変えた以外は実施例1と同様にして、ポリアミド酸を得た。DMAC溶液の固有粘度を測定したところ、1.28dl/gであった。
【0057】
得られたポリアミド酸のDMAC溶液をキャストし、300℃に加熱することにより、不溶性のフィルムが得られた。IR測定により、ポリイミドの生成を確認した。
【実施例7】
【0058】
実施例1において、酢酸の添加量を6mmolのままで、実施例1と同様にして、ポリアミド酸を得た(実施例1の再現試験)。DMAC溶液の固有粘度を測定したところ、1.77dl/gであった。
【0059】
得られたポリアミド酸のDMAC溶液をキャストし、300℃に加熱することにより、不溶性のフィルムが得られた。IR測定により、ポリイミドの生成を確認した。
【実施例8】
【0060】
実施例1に対して、全ての試薬の量を2倍にした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド酸を得た。DMAC溶液の固有粘度を測定したところ、1.63dl/gであった。
【0061】
得られたポリアミド酸のDMAC溶液をキャストし、300℃に加熱することにより、不溶性のフィルムが得られた。IR測定により、ポリイミドの生成を確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物と、脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンと、pKaが3〜5の酸とを反応させることを特徴とするポリアミド酸の合成方法。
【請求項2】
脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンと、pKaが3〜5の酸とを作用させた後、これに芳香族二酸無水物又は脂環式二酸無水物を反応させることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド酸の合成方法。
【請求項3】
前記pKaが3〜5の酸は低分子量の酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアミド酸の合成方法。
【請求項4】
前記pKaが3〜5の酸は有機酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド酸の合成方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド酸の合成方法により得られたポリアミド酸を、イミド化反応させることを特徴とするポリイミドの合成方法。

【公開番号】特開2007−302832(P2007−302832A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134403(P2006−134403)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】