説明

ポリアミド酸微粒子等の製造方法

【課題】ポリアミド酸の粒子形状、粒度分布等を制御でき、かつ単分散性に優れたポリアミド酸微粒子を高収率かつ容易に収得できる製造法を提供すること、同様にシラン変性ポリアミド酸微粒子、ポリイミド微粒子およびシラン変性ポリイミド複合微粒子をそれぞれ高収率かつ容易に収得できる製造法を提供すること。
【解決手段】無水テトラカルボン酸類とジアミン類からポリアミド酸微粒子を製造する方法において、無水テトラカルボン酸類とジアミン類を溶媒存在下または不存在下に予備付加させて両末端が酸無水物基であるアミド酸予備付加物(A)を得る工程(1)、および該予備付加物(A)と残余のジアミン類を溶媒存在下に混合しながら重付加させてポリアミド酸(B)微粒子を得る工程(2)を経由させることを特徴とするポリアミド酸微粒子の製造方法を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド酸微粒子等の製造方法に関し、更に詳しくは、ポリアミド酸微粒子、シラン変性ポリアミド酸微粒子、ポリイミド微粒子、シラン変性ポリイミド微粒子の各製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド樹脂は、耐熱性や電気特性などに優れるため広範な用途に使用されており、特に電機・電子材料として非常に有用である。近年、ポリイミド樹脂やその前駆体であるポリアミド酸を微粒子状で用いるニーズが増加しており、粒子径が均一なポリアミド酸微粒子やポリイミド微粒子を製造する方法の確立が求められている。
【0003】
粒子形状、粒度分布等を制御できるポリアミド酸微粒子の製造方法として、無水テトラカルボン酸類溶液と、ジアミン類溶液を混合し、混合溶液からポリアミド酸を析出させる方法が提案されている。(特許文献1)当該文献には、微粒子を析出させるために、攪拌しながら無水テトラカルボン酸とジアミン化合物とを反応させる方法が開示されており、特に超音波照射により微粒子を析出させる方法が開示されているが、超音波を照射するには、専用の装置が必要となるうえ、連続生産には適しておらず、また、スケールアップすると、超音波を反応容器内に均一に照射しにくくなり、均一な微粒子が得られない可能性があるという問題があった。
【0004】
ところで、本願人は、特許文献1記載発明が有する問題点を解消するために、マイクロミキサーを利用することにより、反応制御がし易く、しかも単分散性に優れたポリアミド酸微粒子を効率よく製造しうる方法を提案している。(特許文献2)
【0005】
【特許文献1】特開平11−140181号公報
【特許文献2】特願2005−86721号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ポリアミド酸の粒子形状、粒度分布等を制御でき、かつ単分散性に優れたポリアミド酸微粒子を高収率かつ容易に収得できる製造法を提供すること、同様にシラン変性ポリアミド酸微粒子、ポリイミド微粒子およびシラン変性ポリイミド複合微粒子をそれぞれ高収率かつ容易に収得できる製造法を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決すべく、本発明者は鋭意検討を行った結果、特定の工程を経由させることにより、各種の混合装置や混合方法が適用でき、かつ前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、無水テトラカルボン酸類とジアミン類からポリアミド酸微粒子を製造する方法において、無水テトラカルボン酸類とジアミン類を溶媒存在下または不存在下に予備付加させて両末端が酸無水物基であるアミド酸予備付加物(A)を得る工程(1)、および該予備付加物(A)と残余のジアミン類を溶媒存在下に混合しながら重付加させてポリアミド酸(B)微粒子を得る工程(2)を経由させることを特徴とするポリアミド酸微粒子の製造方法に係わる。
また、本発明は、無水テトラカルボン酸類とジアミン類およびシラン化合物からシラン変性ポリアミド酸微粒子を製造する方法において、無水テトラカルボン酸類とジアミン類を溶媒存在下または不存在下に予備付加させて両末端が酸無水物基であるアミド酸予備付加物(A)を得る工程(1)、および該予備付加物(A)とエポキシ基含有シラン化合物を溶媒存在下に反応させシラン変性アミド酸予備付加物(C)を得る工程(3)、ならびに該シラン変性アミド酸予備付加物とジアミン類溶液を溶媒存在下に混合しながら重付加させてシラン変性ポリアミド酸(D)微粒子を析出させる工程(4)を経由させることを特徴とするシラン変性ポリアミド酸微粒子の製造方法に係わる。
また本発明は、当該ポリアミド酸(B)微粒子を更に加熱することを特徴とするポリイミド微粒子の製造方法に係わる。
更に本発明は、当該シラン変性ポリアミド酸(D)微粒子を更に加熱することを特徴とするシリカポリイミド複合微粒子の製造方法に係わる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ポリアミド酸微粒子の粒子形状、粒度分布等を制御でき、かつ単分散性に優れたポリアミド酸微粒子を高収率で得ることができる。同様に、シラン変性ポリアミド酸微粒子、ポリイミド微粒子、シラン変性ポリイミド酸微粒子を、それぞれ高収率で得ることができる。また、本発明は、各種の混合装置・方法を適用できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の工程(1)は、無水テトラカルボン酸類とジアミン類を溶媒の存在下または不存在下に付加させて、両末端が酸無水物基であるアミド酸予備付加物(A)を得る工程である。
【0011】
無水テトラカルボン酸類としては、特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,3−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',6,6'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、アントラセン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物;シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等の脂環族テトラカルボン酸二無水物;チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物等の複素環族テトラカルボン酸二無水物等を用いることができる。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。本発明では、特にBTDA、ピロメリット酸二無水物等が好ましい。
【0012】
また、本発明の効果を失わない範囲で、トリメリット酸無水物、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸などのトリカルボン酸類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ビメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸など脂肪族ジカルボン酸類の酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸など芳香族ジカルボン酸類の酸無水物を併用することが出来る。但し、テトラカルボン酸類に対するこれらの割合が多すぎると、得られるポリイミド微粒子の耐熱性が悪化する傾向があるため、通常、その使用量はテトラカルボン酸類に対し、30モル%以下であることが好ましい。
【0013】
ジアミン類としては、特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、4,4'−ジアミノジフェニルメタン(DDM)、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(DPE)、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、1,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、1,3'−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3'−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4'−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、2,6'−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、1,2−ジアミノアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノビベンジル、R(+)−2,2'−ジアミノ−1,1'−ビナフタレン、S(+)−2,2'−ジアミノ−1,1'−ビナフタレン等の芳香族ジアミン;1,2−ジアミノメタン、1,4−ジアミノブタン、テトラメチレンジアミン、1,10−ジアミノドデカン等の脂肪族ジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂環族ジアミンのほか、3,4−ジアミノピリジン、1,4−ジアミノ−2−ブタノン等を使用することができる。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。これらの中では、特にDPE、TPE−R等が好ましい。また、本発明では、本発明の効果を損なわない範囲で、他のアミン類(モノアミン、トリアミン等)も用いることができる。
【0014】
本発明の工程(1)で用いられる溶媒としては、無水テトラカルボン酸類、ジアミン類および後述するアミド酸予備付加物(A)を溶解し、これらに対して非反応性であれば特に限定なく使用できる。また本発明の工程(3)で用いられる溶媒としては、アミド酸予備付加物(A)、後述するエポキシ基含有シラン化合物およびシラン変性予備付加物(C)を溶解し、これらに対して非反応性であれば特に限定なく使用できる。これらの溶媒の内でも特に、後述するポリアミド酸(B)およびシラン変性ポリアミド酸(D)を実質的に溶解しない溶媒であることが好ましい。なお、ポリアミド酸(B)およびシラン変性ポリアミド酸(D)を溶解する溶媒であっても、工程(1)での予備付加もしくは工程(3)でのシラン変性を行った後に、実質的に溶解しない溶媒に置換(溶解しない溶媒を加えて実質的に溶解しなくすることも含む)することが可能であれば使用することができる。ここで「実質的に溶解しない溶媒」とは、難溶解性のものも含む意である。なお、工程(1)では、該溶媒を用いた無水テトラカルボン酸類溶液、ジアミン類溶液の形態で使用してもよく、例えば後述する工程(1)での混合を超音波発振装置やマイクロミキサーで行う場合には、その取り扱い上、あらかじめ無水テトラカルボン酸類溶液、ジアミン類溶液の形態で用いるのが好ましい。
【0015】
当該溶媒としては、例えば、ケトン系溶媒、塩素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、芳香族系溶媒等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、例えば、2−プロパノン、3−ペンタノン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。塩素系溶媒としては、ジクロロメタン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル等が挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル等が挙げられる。ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。アミド系溶媒としては、例えば、アセトアニリド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、芳香族系溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。これら溶媒は、一種を単独で用いてもよく、数種を併用してもよい。これらの中では、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒を用いることが好ましい。
【0016】
工程(1)でアミド酸予備付加物(A)を得るには、無水テトラカルボン酸類およびジアミン類の反応比率を、無水テトラカルボン酸類が過剰で、目的のアミド酸予備付加物(A)が得られるような割合(モル比)で適宜に設定すればよい。好ましくは、無水テトラカルボン酸類/ジアミン類(モル比)が1.5〜50程度、より好ましくは2〜20である。工程(1)での溶質濃度は格別限定されず適宜に決定でき、通常0.001モル/リットル以上、好ましくは0.01モル/リットル以上である。また、無水テトラカルボン酸類溶液およびジアミン類溶液の形態で用いる場合は、いずれの溶液も、溶質濃度が通常0.001モル/リットル以上、好ましくは0.01モル/リットル以上である。
【0017】
工程(1)での予備付加反応では、通常は攪拌・その他の混合方法など格別限定なく採用できる。例えば、ホモジナイザーなどの攪拌装置、超音波発振装置、マイクロミキサーなど各種公知の混合方法を適宜に選択できる。マイクロミキサーや超音波発振装置を用いて混合する場合には、無水テトラカルボン酸類溶液とジアミン類溶液の供給速度は、それらの反応性を勘案して適宜選択すればよく、特に限定されない。
【0018】
本発明において用いられるマイクロミキサーとしては、微小流路を有する各種溶液の混合および/または反応装置であれば特に限定されず公知のものを用いることができる。具体的には、少なくとも1つの混合対象溶液の供給口とそれ以外の混合対象溶液の供給口を有し、これらの供給口から溶液が混合される部分(混合室)へとつながる供給ラインが微小流路となっており混合室で混合された混合溶液が排出される吐出口を有することを特徴とするものである。微小流路とは、流路の等価直径(流路の断面を円に換算したときの直径)が1000μmより小さいものをいう。該マイクロミキサーの具体例としては、“Microreactors New Technology for Modern Chemistry”(Wolfgang Ehrfeld,Volker Hessel,Holger Loewe著、WILEY-VCH社 2000年発行)に記載されている装置、国際公開公報WO96/12541、WO96/12540、WO97/16239、WO00/078438等に記載された装置、市販のマイクロミキサーであるIMM(商品名、インスティテュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ社(Institut fur Mikrotechnik Mainz GmbH,Germany)製)、YM1(商品名、(株)山武製)などが挙げられる。
【0019】
超音波発振装置としては、格別限定されず公知各種のものが使用できる。超音波の周波数は、特に限定されないが、通常は28〜100kHz程度、好ましくは28〜45kHzである。
【0020】
工程(1)におけるその他の反応条件は、効率良く予備付加反応が達成できる条件であれば特に制限を受けず、通常以下の通りである。付加反応温度は通常0〜50℃程度、好ましくは10〜40℃であり、反応時間は通常0.1〜5時間程度、好ましくは1〜3時間である。特にマイクロミキサーを用いた場合は、混合効率が優れるため、付加反応を制御しやすく、反応時間が短縮できる利点がある。
【0021】
工程(1)で得られるアミド酸予備付加物(A)の分子量は、通常、重量平均分子量(ポリスチレン換算)が1,000〜10,000程度、好ましくは1,500〜5,000程度である。本発明のポリアミド酸微粒子およびポリイミド微粒子の製造方法においては、アミド酸予備付加物(A)を経由させることにより、目的物であるポリアミド酸(B)微粒子やシラン変性ポリアミド酸(D)微粒子の収率が向上する。かかる理由については定かでないが、予備付加工程を経由しない場合(モノマー同士から直接合成する場合)と比較して、同組成、同濃度であっても混合後の分子量増加が急速に進み、結果的に析出、粒子形成が効率的に起こるためと思料できる。また、モノマー組成の異なるアミド酸予備付加物の組合せやアミド酸予備付加物(A)と異なる組成の残余のモノマーとを組合せることによりブロック組成を持つポリアミド酸(B)やシリカ変性ポリアミド酸(D)を容易に得ることができ、材料としての物性設計の選択幅を大幅に広げることが可能となる。
なお、工程(1)で得られるアミド酸予備付加物(A)としては、取り扱い条件において安定で、後述のポリアミド酸(B)およびシラン変性ポリアミド酸(D)を実質的に溶解しない溶媒に溶解するのであれば、未反応の無水テトラカルボン酸類およびジアミン類を含有していても構わない。
【0022】
本発明の工程(2)は、前記のようにして得られたアミド酸予備付加物(A)と残余のジアミン類を溶媒存在下に混合しながら重付加させてポリアミド酸(B)微粒子を得る工程である。
【0023】
該工程(2)では、該予備付加物(A)がポリアミド酸(B)を実質的に溶解しない溶媒による溶液となっている場合は、追加溶媒を必ずしも使用する必要はないが、該予備付加物(A)が前記溶媒を含有していない場合やポリアミド酸(B)を溶解する溶媒を使用している場合には、ポリアミド酸(B)微粒子を析出させるため後述の溶媒を使用する必要がある。該予備付加物(A)がポリアミド酸(B)を溶解する溶媒を使用して合成されている場合には、加熱、減圧等の方法により該溶媒を一旦留去してから後述の溶媒に置換する方法や、溶解しない溶媒を追加混合して実質的に溶解しない溶媒組成とする調製方法を採用することができる。また、工程(2)における溶質濃度は精密な微粒子形成の観点から慎重に決定され、通常は0.1〜30重量%程度、好ましくは1〜10重量%である。該工程(2)で使用される溶媒としては、工程(1)で使用されるとして例示した溶媒を使用することができる。なお、DMF、DMAc、NMP等の非プロトン極性溶媒のようなポリアミド酸(B)を溶解する溶媒であっても、アセトン、酢酸エチル、MEK、トルエン、キシレン等のポリアミド酸の貧溶媒と混合してこれらのポリアミド酸(B)が析出するように調整すればよい。
例えば、BTDAとDPEを反応させることにより得られるポリアミド酸であって、粒径が1μm程度の微粒子を得るためには、アセトンを溶媒として用いることが好ましい。
【0024】
工程(2)において用いる残余のジアミン類の使用量は、最終的に使用する全無水テトラカルボン酸類と全ジアミン類とのモル比が0.9〜1.1となる様に、必要とされるジアミン類の量から工程(1)で使用したジアミン類の量を差し引いた量となる。最終的に使用する全無水テトラカルボン酸類と全ジアミン類とのモル比が0.9未満となる場合や1.1を超える場合は、収率が低下してしまうため好ましくない。なお、最終的なモル比がこの範囲内になるのであれば、新たに無水テトラカルボン酸類を加えることもできる。新たに加える無水テトラカルボン酸類は、工程(1)で例示したものから選択され、予備付加物(A)で使用したものと同一、異種のものを組み合わせて使用しても構わない。また、無水テトラカルボン酸類とジアミン類との異種の組合せによって得られた組成の異なる予備付加物を混合使用することもできる。
【0025】
予備付加物(A)溶液の濃度は、反応させている無水テトラカルボン酸類とジアミン類の種類、溶液の粘度等に応じて適宜設定すれば良いが、通常は使用した単量体換算濃度として0.001〜1モル/リットル程度、好ましくは0.01〜0.1モル/リットルとする。
【0026】
ジアミン類溶液の濃度は、用いるジアミン類の種類、ジアミン類溶液の粘度等に応じて適宜設定すれば良いが、通常は0.001〜1モル/リットル程度、好ましくは0.01〜0.1モル/リットルとする。
【0027】
工程(2)では重付加反応を進め、ポリアミド酸(B)微粒子を析出させるが、通常は攪拌・その他の混合方法を採用できる。例えば、ホモジナイザーなどの攪拌装置、超音波発振装置、マイクロミキサーなど各種公知の混合方法を適宜に選択できるが、特に効率的な混合が達成でき、得られる微粒子の形状、粒子径制御が容易に行えるため、マイクロミキサーを用いて混合・反応させる方法が有効である。マイクロミキサーを使用する場合には、アミド酸予備付加物(A)溶液とジアミン類溶液の供給速度は、それらの反応性を勘案して適宜選択すればよく、特に限定されない。
【0028】
前記微粒子の製造方法を実施する際には、公知の装置により実施をすればよい。また、マイクロミキサーの一の原料供給口がアミド酸予備付加物(A)溶液の供給手段に、他の原料供給口がアミド酸予備付加物(A)溶液と反応しうるジアミン類溶液の供給手段に接続されており、マイクロミキサーの混合物吐出口から混合物が微粒子析出槽またはリアクターに供給されるポリマー微粒子製造装置を用いて行うことが好ましい。以下、ポリアミド酸(B)微粒子を代表例として、当該製造装置について説明する。
【0029】
アミド酸予備付加物(A)溶液の供給手段は、アミド酸予備付加物(A)溶液を貯蔵する貯蔵槽と当該貯蔵槽からマイクロミキサーへアミド酸予備付加物(A)溶液を供給する供給手段を有するものであれば特に限定されない。ラインや貯蔵槽に温度制御装置等が設けられていてもよく、また、貯蔵槽には攪拌装置が設けられていても良い。なお、アミド酸予備付加物(A)溶液の供給手段としては、特に限定されず公知のものを用いることができる、通常は、送液ポンプが用いられる。アミド酸予備付加物(A)溶液の供給手段の具体例として、図1に示したものが挙げられる。貯蔵槽1には攪拌装置4、温度調節装置3が設けられており、貯蔵槽1からは送液ポンプ2によりマイクロミキサーへとアミド酸予備付加物(A)溶液が供給される。攪拌装置4、温度調整装置3は各種公知のものを用いることができる。
【0030】
ジアミン類溶液の供給手段としては、アミド酸予備付加物(A)溶液の供給手段と同様のものを用いることができる。このようにして各成分の供給手段から供給された各成分は前記のマイクロミキサーにて混合される。当該マイクロミキサーとしては、前述したように公知のものを使用することができるが、当該マイクロミキサーが装備された混合室内は温度制御が可能となるよう、適宜に冷却および/または加熱手段を設けることが好ましい。
【0031】
そのため、マイクロミキサー内でアミド酸予備付加物(A)とジアミン類との反応が進行することにより、ポリアミド酸(B)微粒子が析出し、マイクロミキサーの吐出口が詰まることを防止するために、装置の材質や形状とともにマイクロミキサー内の温度制御がすることが好ましい。温度制御は、通常、温度調節機等を用いればよいが、単に冷却するだけであれば、マイクロミキサーの周囲を水冷、氷冷するような構造としたものでも良い。当該温度は、マイクロミキサー内でのポリマー微粒子の付着、閉塞を防止するためのものであるため、アミド酸予備付加物(A)溶液とジアミン類溶液を調製する際の溶媒種およびアミド酸予備付加物(A)とジアミン類との反応性により決定される。
【0032】
当該混合溶液は、マイクロミキサーの吐出口から微粒子析出槽またはリアクターに供給される。微粒子析出槽またはリアクターに供給された混合液は、当該析出槽またはリアクター内でさらに反応が進行し、微粒子の析出が完了する。そのため、使用溶媒に対するポリアミド酸(B)の溶解性に応じて、微粒子の粒径を制御することができる。また、微粒子析出槽またはリアクター内の温度を制御することにより溶媒の溶解度を制御することができるため、微粒子析出槽またはリアクター内の温度を制御することにより得られるポリマー微粒子の粒径を所望のものに制御することもできる。
【0033】
微粒子析出槽においては、ポリアミド酸(B)微粒子と溶媒とを公知の方法で分離し、更に必要に応じて乾燥させることにより、目的とするポリアミド酸(B)微粒子を収得できる。溶媒と分離する方法としては、具体的には、ろ別する方法が簡便で好ましい。そのため、微粒子析出槽で析出した微粒子をろ別する設備を、設ければよいが、微粒子析出槽内に設けても良い。微粒子析出槽内にろ別装置を設ける場合には、例えば、図2に示したように、ろ別しようとする微粒子よりも狭い直径の穴を有する網15を、昇降手段により昇降できるように保持し、微粒子析出過程においては網15が微粒子析出槽11の底部にあり、微粒子析出後に昇降手段により持ち上げられるようにしておけばよい。なお、網と微粒子析出槽との隙間はできるだけ狭くすることが微粒子の収率を向上させるためにも好ましい。
【0034】
マイクロミキサーとリアクターを連結する場合のリアクターとしては、種々の形状のものを用いることができるが、例えばマイクロミキサーで混合された混合物を流通させることができる筒状のものを用いることができる。リアクターの形状、断面積、長さは特に限定されず、反応の目的等に応じて公知のものを用いることができる。口径、長さ等は、目的とする微粒子の粒径等に応じて適宜決定すればよいが、一般的には、口径は、1μm〜10mm程度、長さは、5cm〜5m程度である。なお、口径は、10〜1000μmとすることが、反応が速やかに進行し、また、閉塞も起こりにくくなるため好ましい。リアクターに温度調節装置を設けることにより、反応を制御することができ、得られるポリアミド酸(B)微粒子の粒径を適宜調節することができる。また、リアクターの長さを調節すれば、滞留時間を調整する事ができ、分子量や粒径、収率等を制御する事ができる。リアクターにて得られたポリアミド酸(B)微粒子は、公知の方法で溶媒と分離し、乾燥させればよい。溶媒と分離する方法としては、具体的には、ろ別する方法が簡便で好ましい。
【0035】
マイクロミキサーの内部温度は、各成分が反応して目的とするポリアミド酸(B)が高分子量化し、析出した際、マイクロミキサーが閉塞しないような温度であれば特に限定されない。内部温度が高くなると、ミキサー内で粒子の形成が進み過ぎて、マイクロミキサーの閉塞の原因となる。マイクロミキサーの内部温度は、通常は、−100〜200℃程度とすることが好ましく、−50〜50℃とすることが特に好ましい。
【0036】
本発明のポリアミド酸(B)微粒子の製造方法では、混合された各成分が反応し、溶媒がポリアミド酸(B)を溶解できる限界にまで分子量が大きくなったときに析出、粒子を形成する。各成分がマイクロミキサーで混合された場合、マイクロミキサー内では各成分が混在または各成分の一部もしくは全部が反応していると考えられるが、最終的には、マイクロミキサーの吐出口より吐出された後、(マイクロミキサーに、例えば、リアクターまたは微粒子析出槽が接続されている場合はリアクター内または微粒子析出槽内で)微粒子の析出が完結する。析出したポリアミド酸(B)微粒子は、ろ過、遠心分離等の公知の方法で分離される。
【0037】
本発明で使用されるエポキシ基含有シラン化合物としては、エポキシ基含有アルコキシシランおよび/またはエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物を例示することができる。当該エポキシ基含有アルコキシシランとしては、例えば1分子中に1つ以上のエポキシ基を持つアルコキシシラン化合物を使用することができ、当該化合物としては一般のエポキシ基を持つシランカップリング剤などが挙げられる。また、当該エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物は、1分子中に1つの水酸基を持つエポキシ化合物(a)(以下、(a)成分という)とアルコキシシラン部分縮合物(b)(以下、(b)成分という)との脱アルコール反応によって得られるものであり、例えば、特開2001−114894号公報記載の方法で合成することができる。
【0038】
かかる(a)成分としては、1分子中に水酸基を1つもつエポキシ化合物であれば、エポキシ基の数は特に限定されない。また、(a)成分としては、分子量が小さいもの程、(b)成分に対する相溶性がよく、耐熱性や密着性付与効果が高いことから、炭素数が15以下のものが好適である。エポキシ化合物の具体例としては、エピクロロヒドリンと、水、2価アルコールまたは2つの水酸基を有するフェノール類とを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するモノグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとグリセリンやペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するポリグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとアミノモノアルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するエポキシ化合物;分子中に1つの水酸基を有する脂環式炭化水素モノエポキシド(例えば、エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール)などが例示できる。
【0039】
これらのエポキシ化合物の中でも、一般式(1):
【0040】
【化1】

【0041】
で表される化合物が耐熱性の面でより好ましい。式中、pの値が1〜10であるものが好ましい。pの値が10を超えると、最終的に得られるシリカポリイミド複合微粒子の耐熱性が低下する傾向にある。一般式(1)で示されるエポキシ化合物の具体例としては、日本油脂(株)製、商品名「エピオールOH」(一般式(1)においてp=1)や、(株)クラレ製、商品名「EOA」(一般式(1)においてp=6)などがあげられる。
【0042】
(b)成分としては、一般式(2):R1Si(OR2(4-m)
(式中、mは0または1の整数示し、R1は炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基、R2は炭素数1〜4の低級アルキル基を示す。)で表される加水分解性アルコキシシランモノマーを、酸または塩基触媒、および水の存在下で加水分解し、部分的に縮合させて得られるものが用いられる。
【0043】
(b)成分の構成原料である加水分解性アルコキシシランモノマーの具体的としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類などがあげられる。通常、これらのなかでも特に、(a)成分との反応性が高いことから、(b)成分としてはテトラメトキシシランまたはメチルトリメトキシシランを70モル%以上用いて合成されたものが好ましい。
【0044】
なお、これら(b)成分としては、前記例示のものを特に制限なく使用できるが、これらのうちの2種以上を混合使用する場合には、(b)成分の総量中でテトラメトキシシラン部分縮合物またはメチルトリメトキシシラン部分縮合物を70モル%以上用いることが好ましい。
【0045】
当該(b)成分の数平均分子量は230〜2000程度、1分子中のSiの平均個数は2〜11程度であることが好ましい。Siの平均個数が2未満であると、(a)成分との脱アルコール反応の際、反応せずにアルコールと一緒に系外に流出するアルコキシシラン類の量が増え、また11を超えると、当該エポキシ基含有シラン化合物成分とアミド酸予備付加物(A)成分との反応性が低下し、目的とするシラン変性アミド酸予備付加物が得られにくくなる傾向がある。
【0046】
(a)成分と(b)成分との使用割合は、シラン変性アミド酸予備付加物(A)成分中にアルコキシ基が実質的に残存するような割合であれば特に制限されないが、通常は、(a)成分の水酸基の当量/(b)成分のアルコキシル基の当量=0.01/1〜0.5/1となる仕込み比率で、(b)成分と(a)成分を脱アルコール反応させることが好ましい。前記仕込み比率が少なくなるとエポキシ変性されていない(b)成分の割合が増加するため、前記仕込み比率は、0.03以上/1とするのがより好ましい。また、前記仕込み比率が大きくなると、シラン化合物成分のエポキシ基が多官能化し、シラン変性アミド酸予備付加物(A)の合成時にゲル化を起こしやすくなるため、前記仕込み比率は、0.4以下/1とするのがより好ましい。
【0047】
(a)成分と(b)成分の反応は、例えば、前記各成分を仕込み、加熱して生成するアルコールを留去しながら、脱アルコール反応を行う。反応温度は50〜150℃程度、好ましくは70〜110℃であり、全反応時間は1〜15時間程度である。なお、脱アルコール反応を、110℃を超える温度で行うと、反応系中でアルコキシシランの縮合に伴って、反応生成物の分子量が上がりすぎ、高粘度化やゲル化する傾向がある。このような場合には、脱アルコール反応を反応途中で、停止させるなどの方法により高粘度化、ゲル化を防止できる。
【0048】
また、前記(a)成分と(b)成分の脱アルコール反応に際しては、反応促進のために従来公知のアルコール交換触媒であって、エポキシ環を開環しないものを使用することができる。たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガンのような金属や、これら酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等があげられる。これらのなかでも、特に有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫などが有効である。反応触媒は(a)成分100重量部に対し、0.01〜5重量部程度の割合で使用するのが好ましい。
【0049】
また、前記反応は溶媒中で行うこともできる。溶媒としては、(a)成分および(b)成分を溶解し、且つ(a)成分のエポキシ基に対して不活性なものであれば特に限定されないが、工程(1)で例示した溶媒を使用することが好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトンなどの溶媒を用いるのが好ましい。特に、後述のアミド酸予備付加物(A)とエポキシ含有シラン化合物との反応で使用する溶媒を用いることが好ましい。
【0050】
本発明における工程(3)は、シラン変性アミド酸予備付加物(C)の合成工程である。該工程では、エポキシ基含有シラン化合物成分とアミド酸予備付加物(A)成分とを、溶媒存在下均一条件にて反応させることで行われる。エポキシ基含有シラン化合物成分とアミド酸予備付加物(A)成分の使用割合は、特に制限されず、導入するシリカ量を勘案して設定すればよい。通常は、アミド酸予備付加物(A)成分中のカルボキシル基モル量に対するエポキシ基モル量の比率が、0.1%〜200%程度、好ましくは20%〜100%の範囲とされる。前記数値が0.1未満であると本発明の効果も得られにくくなり、また200%を超えると反応時の濃度にもよるが系の不安定化を招きやすくなる。
【0051】
かかるシラン変性アミド酸予備付加物(C)の製造は、たとえば、前記各成分を仕込み、実質的に無水状態で加熱して反応を行う。当該反応は、前記予備付加物(A)成分中のカルボン酸基と、前記シラン化合物成分のエポキシ基の反応を主目的にしているため、反応温度は50〜120℃程度、好ましくは60〜100℃であり、全反応時間は1〜30時間程度であるのが好ましい。反応温度が高くなりすぎると、本反応中にシラン化合物成分のアルコキシシリル部位のゾル−ゲル反応によるシリカの生成や、アミド酸基のイミド基への閉環反応が生じる可能性がある。
【0052】
また、前記エポキシ基とカルボン酸基の反応に際しては、反応促進のためにエポキシ基とカルボン酸基とを反応させる際に使用される従来公知の触媒を使用することができる。1,8−ジアザ−ビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、ベンズイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボーレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボーレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボーレートなどのテトラフェニルボロン塩などをあげることができる。反応触媒は予備付加物(A)成分100重量部に対し、0.01〜5重量部程度の割合で使用するのが好ましい。
【0053】
なお、前記反応は、予備付加物(A)成分を溶媒に溶解して、十分に攪拌しながら行うことが好ましい。使用される溶媒としては、(C)成分を実質的に溶解せず、(A)成分を溶解する溶媒であれば特に制限はない。このような溶媒としては、例えば、工程(1)においてアミド酸予備付加物(A)成分を製造する際に使用したものが好ましく例示できる。また、攪拌方法も反応が均質で安定に進む状態が達成される方法であれば、特に制限はない。
【0054】
このように均一条件で反応を行っているため、シラン化合物がアミド酸予備付加物(A)中に均一に導入され、後述の微粒子形成工程においてポリアミド酸微粒子(D)中へのシラン化合物の均一な導入を可能にする。さらにポリアミド酸(D)微粒子のイミド化処理により得られるシリカポリイミド複合微粒子は、ポリアミド酸微粒子とエポキシ基含有シラン化合物との不均一条件での反応により得られたシリカ変性ポリアミド酸微粒子およびシリカポリイミド複合微粒子に比較して、シリカ成分を均質に導入することができるため優れた特長を発揮する。例えば、同量のシリカ成分を導入した場合には、無電解めっきが効率的に行えるなどの効果がある。また、反応に際して過剰量のエポキシ基含有シラン化合物を使用する必要がなくなるため工業的にも効果的である。
【0055】
こうして得られたシラン変性アミド酸予備付加物(C)は、その分子中にエポキシ基含有シラン化合物成分に由来するアルコキシシリル基を有している。当該アルコキシシリル基の含有量は、特に限定はされず、用途等を考慮して設定すれば良く、当該シラン化合物の使用比率、反応条件を変えることで調整される。
【0056】
工程(4)は、前記のようにして得られたシラン変性アミド酸予備付加物(C)と残余のジアミン類を溶媒存在下に混合しながら重付加させてシラン変性ポリアミド酸(D)微粒子を得る工程である。
【0057】
該工程(4)では、前述の工程(2)と同様に該予備付加物(C)がシラン変性ポリアミド酸(D)を実質的に溶解しない溶媒による溶液となっている場合は、追加溶媒を必ずしも使用する必要はないが、該予備付加物(C)が前記溶媒を含有していない場合やシラン変性ポリアミド酸(D)を溶解する溶媒を使用している場合には、シラン変性ポリアミド酸(D)微粒子を析出させるため、後述の溶媒を使用する必要がある。該予備付加物(C)がポリアミド酸を溶解する溶媒を使用している場合には、加熱、減圧等の方法により溶媒を一旦留去してから後述の溶媒に置換する方法や、溶解しない溶媒を追加混合して実質的に溶解しない溶媒組成とする調製方法を採用することができる。また、工程(4)における溶質濃度も、当該観点から慎重に決定され、通常は0.1〜30重量%程度、好ましくは1〜10重量%である。当該溶媒としては、工程(2)で使用すると例示した溶媒を使用することができる。
【0058】
工程(4)において用いる残余のジアミン類の使用量は、最終的に全無水テトラカルボン酸類と全ジアミン類とのモル比が0.9〜1.1程度となる様に、必要となる全ジアミン類の量から工程(1)で使用したジアミン類の量を差し引いた量となる。最終的な無水テトラカルボン酸類とジアミン類とのモル比が0.9未満および1.1を超えると収率が低下してしまうため好ましくない。なお、最終的なモル比がこの範囲内になるように、新たに無水テトラカルボン酸類を加えることもできる。新たに加える無水テトラカルボン酸類は、工程(1)と同一でも異種のものを組み合わせて使用しても構わない。また、異種の無水テトラカルボン酸類とジアミン類との組合せによって得られた組成の異なる予備付加物を混合使用することもできる。この場合、シラン変性されていないアミド予備付加物を併用しても良い。
【0059】
シラン変性アミド酸予備付加物(C)溶液の濃度は、反応させている無水テトラカルボン酸類とジアミン類、シラン化合物の種類、溶液の粘度等に応じて適宜設定すれば良いが、通常は使用した単量体換算濃度として0.001〜1モル/リットル程度、好ましくは0.01〜0.1モル/リットルとする。
【0060】
ジアミン類溶液の濃度は、用いるジアミン類の種類、ジアミン類溶液の粘度等に応じて適宜設定すれば良いが、通常は0.001〜1モル/リットル程度、好ましくは0.01〜0.1モル/リットルとする。
【0061】
工程(4)では重付加反応を進め、シリカ変性ポリアミド酸(D)微粒子を析出させるが、通常は攪拌・その他の混合方法を採用できる。例えば、ホモジナイザーなどの攪拌装置、超音波発振装置、マイクロミキサーなど各種公知の混合方法を適宜に選択できるが、特に効率的な混合が達成でき、得られる微粒子の形状、粒子径、粒子径制御が容易に行えるため、前述のマイクロミキサーを用いて混合・反応させる方法が有効である。マイクロミキサーを用いる場合には、無水テトラカルボン酸類溶液とジアミン類溶液の供給速度は、それらの反応性を勘案して適宜選択すればよく、特に限定されない。
【0062】
前記微粒子の製造方法を実施する際には、公知の装置により実施をすればよいが、具体的には工程(2)で説明した装置を使用することが好ましい。
【0063】
マイクロミキサーの内部温度は、工程(2)と同様に各成分が反応して目的とするポリマーが高分子量化し、析出した際、マイクロミキサーが閉塞しないような温度であれば特に限定されない。内部温度が高くなると、ミキサー内で粒子の形成が進み過ぎて、マイクロミキサーの閉塞の原因となる。マイクロミキサーの内部温度は、通常は、−100〜200℃程度とすることが好ましく、−50〜5℃とすることが特に好ましい。
【0064】
本発明のポリマー微粒子の製造方法では、混合された各成分が反応し、溶媒がシリカ変性ポリアミド酸(D)を溶解できる限界にまで分子量が大きくなったときに析出する。各成分がマイクロミキサーで混合された場合、マイクロミキサー内では各成分が混在または各成分の一部もしくは全部が反応していると考えられるが、最終的には、マイクロミキサーの吐出口より吐出された後、(マイクロミキサーに、例えば、リアクターまたは微粒子析出槽が接続されている場合はリアクター内または微粒子析出槽内で)微粒子の析出が完結する。析出したポリマー微粒子は、ろ過、遠心分離等の公知の方法で分離される。工程(2)と同様の方法を採用することができる。
【0065】
本発明により得られるポリアミド酸(B)微粒子、シラン変性ポリアミド酸(D)微粒子については、前記の工程(2)、(4)における諸条件(使用溶媒の種類・量、濃度、加熱条件、混合速度(流速)等)を制御することにより当該平均粒径等を変化させることができる。ポリアミド酸(B)微粒子、シラン変性ポリアミド酸(D)微粒子が、球状として生成される場合は、一般には、平均粒径0.03〜50μmであって、標準偏差0.02〜0.07、変動係数3〜15%の範囲にある単分散状のものである。なお、不定形状である場合は、一片の大きさ(平均)が通常0.03〜50μm程度である。ポリマー微粒子の粒子形状は、球状、不定形等の所望の形態をとることができる。
【0066】
工程(2)、(4)を経由して製造されたポリアミド酸(B)微粒子、およびシリカ変性ポリアミド酸(D)微粒子は、加熱して閉環イミド反応させることにより、ポリイミド微粒子、シリカポリイミド複合微粒子とすることができる。また、当該反応に際しては、必要に応じて、ポリアミド酸(B)微粒子またはシリカ変性ポリアミド酸(D)微粒子を溶剤に分散させた分散液とし、当該分散液を加熱することにより当該ポリイミド微粒子を生成させてもよい。閉環イミド反応における加熱温度は、通常、80〜300℃程度、好ましくは100〜250℃で、加熱時間は0.5〜50時間程度、好ましくは1〜20時間で行えばよい。また、これらの操作は減圧下で行ってもよい。またこの閉環反応では、生じる水を系外へ留去させたり、脱水剤を用いてもよい。この工程においてポリアミド酸に導入されたアルコキシシリル基は縮合して、シリカ成分となる。
また、当該脱水剤としては、例えば、無水酢酸等の脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物などが挙げられる。また触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。
【0067】
このようにして得られたポリイミド微粒子およびシラン変性ポリイミド複合微粒子は、球状として生成される場合は、一般には、平均粒径0.03〜50μmであって、標準偏差0.02〜0.07、変動係数3〜15%の範囲にある単分散状のものである。なお、不定形状である場合は、一片の大きさ(平均)が通常0.03〜50μm程度である。該微粒子の粒子形状は、通常はポリアミド酸(B)微粒子およびシラン変性ポリアミド酸(D)微粒子の形状に由来し、球状、不定形等の所望の形態をとることができる。
【実施例】
【0068】
以下に、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
また、平均粒子径等は下記方法により決定した。
平均粒子径:微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、任意の100個の微粒子を選び、これらの微粒子の粒子径を測定し、平均値を算出して決定した。
変動係数:前記方法により算出された平均粒子径の値から、数式:C=[(1/(n−1)×{Σ(M−X)})1/2 / X ]×100
(式中、Cは変動係数、Xは平均粒子径、Mは粒子径実測値、nはサンプル数を表す。)
により、変動係数を決定した。変動係数が大きいほどばらつきが大きいことを示す。
Si含有量:微粒子中のSi含有量は、蛍光X線分光光度計を用いて行った。
【0069】
製造例1(エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物の製造)
攪拌機、分水器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、グリシドール(日本油脂(株)製、商品名「エピオールOH」)1400.0gおよびテトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製、商品名「メチルシリケート51」、Siの平均個数が4)8957.9gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、90℃に昇温した後、触媒としてジブチル錫ジラウレート2.0gを加え、反応させた。反応中、分水器を使って生成したメタノールを留去させ、その量が約630gに達した時点で冷却した。昇温後冷却までに要した時間は5時間であった。ついで、系内に残存するメタノール約80gを減圧除去した。このようにして、エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物を得た。当該部分縮合物のエポキシ当量は512g/eqであった。
【0070】
製造例2(アミド酸予備付加物(A)の合成)
攪拌機、分水器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)のアセトン溶液1000mL(濃度0.060モル/L)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DPE)のアセトン溶液100mL(濃度0.060モル/L)を仕込み、乾燥窒素気流下、25℃で攪拌しながら2時間反応させることにより、黄色透明なアミド酸予備付加物を含むアセトン溶液を得た。なお、無水テトラカルボン酸/ジアミンのモル比は10である。
【0071】
製造例3(シラン変性アミド酸予備付加物(C)の合成)
撹拌機、還流管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、BTDAのシクロヘキサノン溶液500mL(濃度0.009モル/L)と、DPEのシクロヘキサン溶液200mL(濃度0.012モル/L)とを仕込み、乾燥窒素気流下、25℃で撹拌しながら4時間反応させることにより、黄色透明なアミド酸予備付加物を含むシクロヘキサン溶液を得た。なお、無水テトラカルボン酸/ジアミンのモル比は2である。
当該溶液を撹拌しながら、内部温度を70℃に昇温した後、製造例1で合成したエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物2.30gを加え、さらに80℃まで昇温して、触媒の2−メチルイミダゾール0.04gを加えた。触媒を添加した後4時間、内部温度80℃で反応を行った。その後、減圧下でシクロヘキサノンを留去させ、アセトン500mLに溶解させることにより、シラン変性アミド酸予備付加物のアセトン溶液を得た。なお、メトキシシラン部分縮合物中のエポキシ基/アミド酸予備付加物中のカルボキシル基のモル比は1.0である。
【0072】
実施例1(アミド酸予備付加物を用いたポリアミック酸微粒子(B)の合成)
BTDAのアセトン溶液1500ml(濃度0.060モル/L)と、製造例2で得られたアミド酸予備付加物を含むアセトン溶液1100mLを混合して無水テトラカルボン酸溶液を調製した。さらに、DPEのアセトン溶液(濃度0.060モル/L)を調製した。マイクロミキサー(YM−1型、(株)山武製)を用い、図3に示すような反応装置を組み立て、攪拌装置がついた容量5000mlの微粒子調製槽に、乾燥窒素気流下、マイクロミキサーを通じて無水テトラカルボン酸溶液、ジアミン溶液をそれぞれ15ml/分の流速で供給した。なお、マイクロミキサー、微粒子析出槽を含む全ラインは25℃に保たれている状態である。混合液を合計で4400mL流出させることにより微粒子分散液を得た。無水テトラカルボン酸の総量/ジアミンのモル比が1.0となるように調整している。この分散液をろ過後、アセトンで洗浄して乾燥させることにより、平均粒子径1.49μm、変動係数7.5%のポリアミック酸微粒子65.0g(収率94.8%)を得た。SEM写真を図4に示す。
【0073】
実施例2(シラン変性アミド酸予備付加物を用いたポリアミック酸微粒子(D)の合成)
無水テトラカルボン酸溶液として、BTDAのアセトン溶液2250ml(濃度0.066モル/L)と、製造例3で得られたシラン変性アミド酸予備付加物のアセトン溶液250mLを混合した溶液を使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、シラン変性ポリアミック酸微粒子61.2g(収率92.9%)を得た。なお、無水テトラカルボン酸の総量/ジアミンのモル比は1.0となるように調整している。得られた微粒子の平均粒子径2.6μm、変動係数8.7%であり、SEM写真を図5に示す。また、得られた粒子中に含まれるSi成分の割合は、0.1重量%であった。
【0074】
比較例1(ポリアミック酸微粒子の合成)
BTDAのアセトン溶液2500ml(濃度0.060モル/L)とDPEのアセトン溶液2500ml(濃度0.060モル/L)を調製した。マイクロミキサー(YM−1型、(株)山武製)を用い、図1に示すような反応装置を組み立て、攪拌装置がついた容量5000mlの微粒子調製槽に、乾燥窒素気流下、マイクロミキサーを通じて無水テトラカルボン酸溶液、ジアミン溶液をそれぞれ15ml/分の流速で供給した。なお、マイクロミキサー、微粒子析出槽を含む全ラインは25℃に保たれている状態である。混合液を合計で4000mL流出させることにより微粒子分散液を得た。無水テトラカルボン酸の総量/ジアミンのモル比が1.0となるように調整している。この分散液をろ過後、アセトンで洗浄して乾燥させることにより、平均粒子1.90μm、変動係数6.2%のポリアミック酸微粒子59.5(収率91.18%)を得た。SEM写真を図6に示す。
【0075】
比較例2(シラン変性ポリアミック酸微粒子の合成)
還流管、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、比較例1で得られた平均粒子径1.90μmのポリアミック酸微粒子50.0g、キシレン450mL加えた。そのまま窒素気流下で超音波(38kHz)により再分散させ、そのまま70℃まで昇温した。ここに製造例1で得られたエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物1.5gを加え、内部温度が80℃になったらトリブチルアミン0.1gを加えた。トリブチルアミンを加えた後4時間、内部温度80℃で反応を行った。その後、冷却し、室温になってからろ過し、固形分を分離してキシレン洗浄を行った。得られたシラン変性ポリアミック酸微粒子のSEM観察を行い、平均粒子径は2.05μm、変動係数7.3%であることを確認した。SEM写真を図7に示す。なお、仕込み時の(アルコキシシラン部分縮合物中のエポキシ基のモル量)/(ポリアミック酸微粒子中のカルボキシル基のモル量)=0.02であった。また、得られた粒子中に含まれるSi成分の割合は、0.3重量%であった。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、モノマー溶液供給手段の一例である。
【図2】図2は、ろ別装置を微粒子析出槽内に設けた微粒子析出槽の一例である。
【図3】図3は、ポリマー微粒子製造装置の概念図である。
【図4】図4は、実施例1で得られたポリアミック酸微粒子のSEM写真である。
【図5】図5は、実施例2で得られたシラン変性ポリアミック酸微粒子のSEM写真である。
【図6】図6は、比較例1で得られたポリアミック酸微粒子のSEM写真である。
【図7】図7は、比較例2で得られたシラン変性ポリアミック酸微粒子のSEM写真である。
【符号の説明】
【0077】
1 無水テトラカルボン酸またはジアミン類貯蔵槽
2 送液ポンプ
3 温度調節装置
4 攪拌装置
5 無水テトラカルボン酸またはジアミン類
11 微粒子析出槽
12 温度調節装置
13 排液口
14 昇降装置
15 網
16 混合物供給口
21 無水テトラカルボン酸類溶液供給手段
22 ジアミン類溶液供給手段
23 無水テトラカルボン酸類溶液溶液供給ライン
24 ジアミン類溶液供給ライン
25 マイクロミキサー
26 混合物排出ライン
27 微粒子調製槽


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水テトラカルボン酸類とジアミン類からポリアミド酸微粒子を製造する方法において、無水テトラカルボン酸類とジアミン類を溶媒存在下または不存在下に予備付加させて両末端が酸無水物基であるアミド酸予備付加物(A)を得る工程(1)、および該予備付加物(A)と残余のジアミン類を溶媒存在下に混合しながら重付加させてポリアミド酸(B)微粒子を得る工程(2)を経由させることを特徴とするポリアミド酸微粒子の製造方法。
【請求項2】
工程(2)での混合をマイクロミキサーにより行う請求項1に記載のポリアミド酸微粒子の製造方法。
【請求項3】
工程(2)で用いられる溶媒が、無水テトラカルボン酸類、ジアミン類およびアミド酸予備付加物(A)を溶解し、これらに対して非反応性であり、かつポリアミド酸(B)を実質的に溶解しない溶媒である請求項1または2に記載のポリアミド酸微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記溶媒が、ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびニトリル系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項3に記載のポリアミド酸微粒子の製造方法。
【請求項5】
無水テトラカルボン酸類とジアミン類およびシラン化合物からシラン変性ポリアミド酸微粒子を製造する方法において、無水テトラカルボン酸類とジアミン類を溶媒存在下または不存在下に予備付加させて両末端が酸無水物基であるアミド酸予備付加物(A)を得る工程(1)、および該予備付加物(A)とエポキシ基含有シラン化合物を溶媒存在下に反応させシラン変性アミド酸予備付加物(C)を得る工程(3)、ならびに該シラン変性アミド酸予備付加物とジアミン類溶液を溶媒存在下に混合しながら重付加させてシラン変性ポリアミド酸(D)微粒子を析出させる工程(4)を経由させることを特徴とするシラン変性ポリアミド酸微粒子の製造方法。
【請求項6】
工程(4)での混合をマイクロミキサーにより行う請求項5に記載のシラン変性ポリアミド酸微粒子の製造方法。
【請求項7】
工程(4)で用いられる溶媒が、無水テトラカルボン酸類、ジアミン類およびシラン変性アミド酸予備付加物(C)を溶解し、これらに対して非反応性であり、かつシラン変性ポリアミド酸(C)を実質的に溶解しない溶媒である請求項5または6に記載のシラン変性ポリアミド酸微粒子の製造方法。
【請求項8】
前記溶媒が、ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびニトリル系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項7に記載のシラン変性ポリアミド酸微粒子の製造方法。
【請求項9】
エポキシ基含有シラン化合物がエポキシ基含有アルコキシシランおよび/またはエポキシ基含有シラン部分縮合物である請求項5に記載のシラン変性ポリアミド酸微粒子の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド酸(B)微粒子を更に閉環することを特徴とするポリイミド微粒子の製造方法。
【請求項11】
請求項5〜9のいずれかに記載のシラン変性ポリアミド酸(D)微粒子を更に閉環することを特徴とするシリカポリイミド複合微粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−217487(P2007−217487A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37706(P2006−37706)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000168414)荒川化学工業株式会社 (301)
【Fターム(参考)】