説明

ポリアミド

【課題】 低誘電率、低吸水性かつ溶剤溶解性に優れたポリアミドを提供する。
【解決手段】 特定の2官能フェニレンエーテルオリゴマーの両末端に芳香族アミノ基を導入したジアミンとジカルボン酸あるいはジカルボン酸ハライドを反応させて得られるポリアミド繰り返し単位の重合体または特定の2官能フェニレンエーテルオリゴマーの両末端に芳香族アミノ基を導入したジアミンおよび他のジアミンとジカルボン酸あるいはジカルボン酸ハライドを反応させて得られるポリアミド繰り返し単位の共重合体からなるポリアミド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低誘電、低吸湿かつ溶剤溶解性に優れるポリアミドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリアミドは耐熱性、機械物性、耐薬品性、難燃性の点において優れた特性を有しているために、繊維、成形材料、複合材料、電気・電子部品等の分野において幅広く用いられている。特に、電気・電子部品分野において、フレキシブル回路基板の使用が増えており、その基材フィルムとして例えば芳香族ポリアミドフィルムを用いることが検討されている。近年、マイクロエレクトロニクス化の発達は著しく、特に大型コンピュータでは多層回路基板の採用等により信号の高速伝送が不可欠となるが、基板材料の誘電率が大きいと信号の伝送に遅延が生じ高速化の障害となる。これらの理由から、より誘電率の低いポリアミドの必要性がクローズアップされてきている。
一方、近年の電子材料の発展に伴う高密度実装に不可欠な要素である絶縁信頼性や寸法安定性を確保するため、電子材料用樹脂には高湿度下でも誘電特性が変化せず、さらに膨張、伸縮などの寸法変化がないことも求められている。しかしながら、一般にポリアミドはアミド基が吸水しやすく、吸湿時と乾燥時で誘電特性が大きく異なることが、ポリアミドを電子材料に展開する上で課題となっていた。
さらに、電子材料用途ではワニスの形で使用されることが多く、作業性の面で溶剤溶解性に優れることが求められるが、従来のポリアミドは硫酸等の強酸性溶媒あるいは高沸点のアミド系溶媒にしか溶解しない。
これらの課題に応えるべく、種々のポリアミドが提案されているが(例えば、特許文献1参照)、近年の電子材料分野のますますの高性能化の要請に対応するためには必ずしも満足すべきものとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−231836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、低誘電率、低吸水性であり、溶剤溶解性に優れた高分子材料として有用なポリアミドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、ポリフェニレンエーテル骨格の優れた低誘電特性・耐熱性を引継いだ、特定の構造を有する2官能フェニレンエーテルオリゴマーならびにその誘導体を開発してきた。更なる鋭意検討を加えた結果、2官能フェニレンエーテルオリゴマーから末端芳香族ジニトロ化合物を経由して、末端芳香族ジアミンが誘導できることを見出し、さらに該末端芳香族ジアミンとジカルボン酸ハライドからポリアミドが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、一般式(1)で表される繰り返し単位の重合体または一般式(1)及び一般式(2)で表される繰り返し単位の共重合体から成るポリアミドに関する。
【化1】

【化2】

(m,nは、m:n=100:0〜50:50となる値を示す。−(O−X−O)−は、一般式(3)または一般式(4)で定義される構造からなる。−(Y−O)−は、一般式(5)で定義される1種類の構造が配列するかまたは2種類以上の構造がランダムに配列する。a,bは、少なくともいずれか一方が0でない、0〜100の整数を示す。a,bはそれぞれ単環式芳香族基および縮合多環式芳香族基ならびに単環式芳香族基が直接もしくは連結基により相互に連結された非縮合多環式芳香族基から選ばれる炭素数6〜30の2価の芳香族基、あるいは直鎖状、分岐状または環状の炭素数2〜20の2価の脂肪族基である。)
【化3】

(R1,R2,R3,R7,R8は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R4,R5,R6は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。)
【化4】

(R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。−D−は、炭素数20以下の直鎖状、分岐状または環状の2価の炭化水素基である。)
【化5】

(R17,R18は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R19,R20は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。)
【発明の効果】
【0006】
本発明のポリアミドは低誘電率、低吸水性であり、高湿度下での誘電特性の変化が少なく、また溶剤溶解性に優れることから、銅張り積層板用樹脂、レジスト用樹脂、電子部品の封止用樹脂、液晶のカラーフィルター用樹脂、塗料、各種コーティング剤、接着剤、ビルドアップ積層板材料、フレキシブル基板用樹脂、機能性フィルムなどの幅広い用途に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】合成例1における樹脂「C」のIRスペクトル
【図2】合成例1における樹脂「C」の1H NMRスペクトル
【図3】合成例1における樹脂「C」のFDマス スペクトル
【図4】実施例1における樹脂「T」の1H NMRスペクトル
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。まず、一般式(1)で表される繰り返し単位の重合体または一般式(1)及び一般式(2)で表される繰り返し単位の共重合体から成るポリアミドにおいて、m,nは、m:n=100:0〜50:50となる値を示す。−(O−X−O)−は、一般式(3)または一般式(4)で定義される構造からなり、−(Y−O)−は、一般式(5)で定義される1種類の構造または一般式(5)で定義される2種類以上の構造がランダムに配列する。a,bはそれぞれ単環式芳香族基および縮合多環式芳香族基ならびに単環式芳香族基が直接もしくは連結基により相互に連結された非縮合多環式芳香族基から選ばれる炭素数6〜30の2価の芳香族基、あるいは直鎖状、分岐状または環状の炭素数2〜20の2価の脂肪族基である。a,bは、少なくともいずれか一方が0でない、0〜100の整数を示す。一般式(3)において、R1,R2,R3,R7,R8は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基であり、R4,R5,R6は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。一般式(4)において、R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基であり、−D−は、炭素数20以下の直鎖状、分岐状または環状の2価の炭化水素基である。一般式(5)において、R17,R18は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基であり、R19,R20は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。
これらの中でも、さらに一般式(3)で表されるR1,R2,R3,R7,R8が炭素数3以下のアルキル基であり、R4,R5,R6が水素原子または炭素数3以下のアルキル基であるポリアミド、一般式(4)で表されるR9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16が水素原子または炭素数3以下のアルキル基であるポリアミド、および一般式(5)で表されるR17,R18が炭素数3以下のアルキル基であり、R19,R20が水素原子または炭素数3以下のアルキル基であるポリアミドが好ましい。
特に好ましくは、一般式(3)で表される−(O−X−O)−が一般式(6)であり、一般式(4)で表される−(O−X−O)−が一般式(7)または一般式(8)であり、一般式(5)で表される−(Y−O)−が一般式(9)または一般式(10)あるいは一般式(9)と一般式(10)がランダムに配列した構造を有するポリアミドである。
【0009】
【化6】

【化7】

(R21,R22,R23,R24は、水素原子またはメチル基である。−D−は、炭素数20以下の直鎖状、分岐状または環状の2価の炭化水素基である。)
【化8】

(−D−は、炭素数20以下の直鎖状、分岐状または環状の2価の炭化水素基である。)
【化9】

【化10】

【0010】
一般式(4)における−D−としては、例えば、メチレン、エチリデン、1−メチルエチリデン、1,1−プロピリデン、1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)、1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)、シクロヘキシリデン、フェニルメチレン、ナフチルメチレン、1−フェニルエチリデン、等の2価の炭化水素基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)および一般式(2)におけるa,bとしては、例えば、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、5−クロロ−1,3−フェニレン、5−メトキシ−1,3−フェニレン、等の単環式芳香族基や、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレン、1,4−アントリレン、9,10−アントリレン、3,4−ペリレニレン、等の縮合多環式芳香族基、あるいは2,2−プロピリデンビス(1,4−フェニレン)、2,2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピリデン)ビス(1,4−フェニレン)、カルボニルビス(1,4−フェニレン)、オキシビス(1,4−フェニレン)、スルホニルビス(1,4−フェニレン)、9,9−フルオレニリデンビス(1,4−フェニレン)、等のフェニル、ビフェニル等の単環式芳香族基が酸素原子、カルボニル基、エステル基、メチレン、エチリデン、1−メチルエチリデン、1,1−プロピリデン、1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)、1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)、シクロヘキシリデン、フェニルメチレン、ナフチルメチレン、1−フェニルエチリデン、等の連結基により相互に連結された2価の非縮合多環式芳香族基等の炭素数6〜30の2価の芳香族基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、a,bに用いられる芳香族基はメチル基やエチル基等の置換基を有していてもよい。
さらに、一般式(1)および一般式(2)におけるa,bとしては、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、オクタメチレン、1−メチルエチリデン、1,3−シクロペンチレン、1,3−シクロヘキシレン、1,4−シクロへキシレン、等の分子構造を有する炭素数2〜20の2価の脂肪族基であってもよい。
これらの中で、a,bは2価の芳香族基が好ましく、炭素数6〜20の2価の芳香族基がさらに好ましい。その中でも、一般式(11)及び一般式(12)で表される繰り返し単位から成るポリアミドが好ましい。
【化11】

【化12】

(アミド基の置換位置は、もう一つのアミド基に対して、メタ位またはパラ位である。)
【0011】
次に本発明のポリアミドの製造方法について詳細に説明する。本発明の一般式(1)で表される繰り返し単位の重合体または一般式(1)及び一般式(2)で表される繰り返し単位の共重合体から成るポリアミドは、一般式(13)で表される2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミンあるいは一般式(13)で表される2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミンと一般式(17)で表されるジアミンをジアミン成分として、ジカルボン酸あるいはジカルボン酸ハライドをジカルボン酸成分として重縮合することにより製造することができる。
【化13】

(−(O−X−O)−は、一般式(14)または一般式(15)で定義される構造からなる。−(Y−O)−は、一般式(16)で定義される1種類の構造が配列するかまたは2種類以上の構造がランダムに配列する。a,bは、少なくともいずれか一方が0でない、0〜100の整数を示す。)
【化14】

(R1,R2,R3,R7,R8は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R4,R5,R6は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。)
【化15】

(R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。−D−は、炭素数20以下の直鎖状、分岐状または環状の2価の炭化水素基である。)
【化16】

(R17,R18は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R19,R20は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。)
【化17】

(Aは単環式芳香族基および縮合多環式芳香族基ならびに単環式芳香族基が直接もしくは連結基により相互に連結された非縮合多環式芳香族基から選ばれる炭素数6〜30の2価の芳香族基、あるいは直鎖状、分岐状または環状の炭素数2〜20の2価の脂肪族基である。)
【0012】
この重合方法としては、通常のポリアミドの製造に用いられる公知のいずれの重合方法を用いてもよく、例えば溶液重合法、界面重合法、脱水触媒を用いた直接重合法を例示することができる。これらの中でも界面重合法及び溶液重合法が好ましく、さらに好ましくは溶液重合法である。
【0013】
界面重合法における一般的な重合操作を示せば、有機溶媒中にジカルボン酸ハライドとジアミンを溶解させ、または懸濁させて重合を行う。重合が進行するにつれて生成したポリアミドが析出してもよく、この重合反応中に得られるハロゲン化水素化合物の中和及び重合反応を進行させるために無機化合物の水溶液を添加する。このような無機化合物の例としては塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、炭酸リチウム、酸化リチウム、水酸化リチウム、水素化リチウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水素化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0014】
溶液重合法における一般的な重合操作を示せば、ジアミン化合物を有機溶媒に溶解させた後にジカルボン酸ハライドを添加する。有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、N,N−ジエチルメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ピリジン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチル尿素等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。前記重縮合反応における反応原料の濃度は、通常2〜50wt%、好ましくは5〜30wt%であり、反応温度は、通常、60℃以下、好ましくは50℃以下である。反応圧力は特に限定されず、通常、常圧で実施することができる。また、反応時間は、通常、1分〜24時間である。このような重縮合反応により、本発明のポリアミドを得ることができる。
【0015】
前述の重縮合反応において酸が副生するが、これを中和するには、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用できる。
【0016】
一般式(13)で表される2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミンの製法は特に限定されず、いかなる方法で製造してもよい。例えば、2官能フェノール化合物と1官能フェノール化合物を酸化カップリングさせて得られる2官能フェニレンエーテルオリゴマーと、ニトロハロベンゼン化合物またはジニトロベンゼン化合物とを有機溶媒中、塩基性化合物の存在下で反応させることで得られる2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物を還元することにより得ることができる。
【0017】
前述の2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物の還元方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ニトロ基をアミノ基に還元する公知の方法を用いることができる。2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物の還元反応は、例えば、ニッケル、パラジウム、白金等の金属触媒や、これら金属を適宜の担体に担持させた担持触媒、あるいはニッケル、銅等のラネ−触媒等の水素化触媒の存在下で、反応に不活性な反応溶媒中、温度20〜200℃、圧力を常圧〜5MPa とし、水素を用いて、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物を2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミノ化合物に還元することにより実施される。前記反応溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の脂肪族アルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類等が挙げられるが、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物が溶解する溶媒であれば、これらに限定されることはない。また、これらの反応溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0018】
本発明のポリアミドの合成に用いられる2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミンの数平均分子量は500〜3000の範囲が好ましく、分散(重量平均分子量/数平均分子量)は1〜3の範囲が好ましい。数平均分子量が500未満では、フェニレンエーテル骨格の有する電気特性が得られにくく、また、3000を超えると、末端官能基の反応性が低下し、溶剤への溶解性も低下する。分散が3を超えると、溶剤への溶解性が低下する。
【0019】
本発明のポリアミドの合成に用いられる2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミンのアミノ基の置換位置はパラ位またはメタ位のいずれかであれば、特に限定されることはない。
【0020】
続いて、前記2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミンの前駆体となり得る2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物について説明する。2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物の製法は特に限定されず、いかなる方法で製造してもよい。例えば、2官能フェノール化合物と1官能フェノール化合物を酸化カップリングさせて得られる2官能フェニレンエーテルオリゴマーと、ニトロハロベンゼン化合物またはジニトロベンゼン化合物とを有機溶媒中、塩基性化合物の存在下で、温度50〜250℃、好ましくは50〜180℃にて0.5〜24時間反応させることにより実施される。これらの方法は公知の方法を利用でき、例えば、特開平4−178358、特開2006−219396などに記載の方法を用いることができる。
【0021】
前記2官能フェニレンエーテルオリゴマーは、例えば、2官能フェノール化合物、1官能フェノール化合物、触媒を溶剤に溶解させた後、加熱撹拌下で酸素を吹き込むことで製造することができる。2官能フェノール化合物としては、例えば、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジオール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジフェニルプロパン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。1官能フェノールとしては、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。触媒としては、例えば、CuCl、CuBr、CuI、CuCl2、CuBr2等の銅塩類とジn−ブチルアミン、n−ブチルジメチルアミン、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、ピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、イミダゾール等のアミン類を組合せたものが使用できるが、これらに限定されるものではない。溶剤としては、例えば、トルエン、メタノール、メチルエチルケトン、キシレン、等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本発明のポリアミドの合成に用いられる一般式(17)で表されるジアミンとしては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ナフチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、2,4,4−トリメチル−1,6−ジアミノヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、等のジアミンを使用することができる。これらのジアミンの使用量は、ポリアミド中の全ジアミン成分に対して50モル以下、好ましくは30モル以下である。これらのジアミンは、単独でまた2種以上を混合して使用することができる。
【0023】
本発明のポリアミドの合成に用いられるジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−アントラセンジカルボン酸、9,10−アントラセンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、5−クロロイソフタル酸、5−メトキシイソフタル酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を使用することができる。また、ジカルボン酸ハライドとしては、例えば前述のジカルボン酸のハライドを挙げることができる。
これらのジカルボン酸およびジカルボン酸ハライドの中で好ましくは、イソフタル酸クロリドとテレフタル酸クロリドである。これらのジカルボン酸およびジカルボン酸ハライドは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
本発明のポリアミドは、2種以上の2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミン、あるいは2種以上のジカルボン酸ハライドを用いて製造することができ、これらのポリアミドは、ある一定量同じ繰り返し単位のアミドが続いた後に異なる種類のアミドがある一定量続くブロックコポリマーであっても、異なる原料からなるアミドがそれぞれランダムに繰り返すランダムコポリマーであってもよい。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により特に限定されるものではない。なお、数平均分子量および重量平均分子量はゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により求めた(ポリスチレン換算)。GPCの展開溶媒はTHF(テトラヒドロフラン)を使用した。水酸基当量およびアミノ基当量は末端官能基を滴定により定量することにより求めた。誘電率は、空胴共振摂動法により10GHzでの値を測定した。本発明の実施例において、乾燥時とは、塩化カルシウムの入ったデシケーター中(湿度21)、温度25℃で24時間保持した状態を指し、吸湿時とは、湿度50、温度25℃で24時間保持した状態を指す。吸水率は、乾燥時と吸湿時の重量変化より求めた。溶剤溶解性は、室温でサンプルの5wt%溶液を調製し、5Aの濾紙で濾過を行った際、濾紙上に樹脂が残存していなければ○、残存していれば×とした。
【0026】
合成例1
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーの合成)
撹拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた12Lの縦長反応器にCuBr2 3.88g(17.4mmol)、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン0.75g(4.4mmol)、n−ブチルジメチルアミン28.04g(277.6mmol)、トルエン 2,600gを仕込み、反応温度40℃にて撹拌を行い、あらかじめ2,300gのメタノールに溶解させた2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’ジオール129.32g(0.48mol)、2,6−ジメチルフェノール292.19g(2.40mol)、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン0.51g(2.9mmol)、n−ブチルジメチルアミン10.90g(108.0mmol)の混合溶液を、窒素と空気とを混合して酸素濃度8に調整した混合ガスを5.2L/minの流速でバブリングを行いながら230分かけて滴下し、撹拌を行った。滴下終了後、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム19.89g(52.3mmol)を溶解した水1,500gを加え、反応を停止した。水層と有機層を分液し、有機層を1Nの塩酸水溶液、次いで純水で洗浄した。得られた溶液をエバポレーターで50wt%に濃縮し、2官能フェニレンエーテルオリゴマー(樹脂「A」)のトルエン溶液を833.40g得た。樹脂「A」の数平均分子量は1035、重量平均分子量は1598、水酸基当量が435であった。
【0027】
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物の合成)
撹拌器、還流冷却器、温度計を装着した2Lの反応容器にN,N−ジメチルアセトアミド999.3g、樹脂「A」250.4g、4−フルオロニトロベンゼン89.4g(0.63mol)、炭酸カリウム95.3g(0.69mol)を仕込み、反応容器内を窒素置換した。次いで、この混合物を加熱し、110℃にて5時間撹拌を続け反応を行った。反応終了後、90〜100℃で濾過を行い、無機塩を除去した後、濾液を室温まで冷却した。この濾液をメタノール1000gと純水500gの混合溶媒中に注ぎ、析出した固形物を濾過、メタノール洗浄、乾燥することにより、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物(樹脂「B」)286.9gを得た。樹脂「B」の数平均分子量は1246、重量平均分子量は1779であった。樹脂「B」の赤外吸収スペクトル(IR)は、N−O結合に対応する波数1520cm-1および波数1343cm-1の吸収を示した。
【0028】
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミンの合成)
次いで、撹拌器を備えた2Lの反応容器に、樹脂「B」100.0g、N,N−ジメチルアセトアミド600g、5Pd/Alumina触媒2.5gを仕込み、水素雰囲気下で撹拌しながら80℃で7.5hr反応させた。その後、反応溶液を濾過して触媒を除去した後、1000gの純水中に注ぎ、析出した固形物を濾過、純水洗浄、乾燥することにより、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミン(樹脂「C」)85.1gを得た。樹脂「C」の数平均分子量は1269、重量平均分子量は1788、アミノ基当量が590であった。樹脂「C」の赤外吸収スペクトル(IR)は、図1に示すように、N−H結合に対応する波数3448cm-1および波数3367cm-1の吸収を示した。樹脂「C」の1H NMRスペクトルは、図2に示すように、3.5ppm付近にアミノ基に相当するプロトンのピークが観測された。樹脂「C」のFDマス スペクトルは、図3に示すようなオリゴマー構造が観測され、これは樹脂「C」の理論分子量と一致する。
【0029】
合成例2
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーの合成)
撹拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた12Lの縦長反応器にCuBr2 9.36g(42.1mmol)、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン1.81g(10.5mmol)、n−ブチルジメチルアミン67.77g(671.0mmol)、トルエン 2,600gを仕込み、反応温度40℃にて撹拌を行い、あらかじめ2,300gのメタノールに溶解させた2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’ジオール129.32g(0.48mol)、2,6−ジメチルフェノール878.4g(7.2mol)、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン1.22g(7.2mmol)、n−ブチルジメチルアミン26.35g(260.9mmol)の混合溶液を、窒素と空気とを混合して酸素濃度8に調整した混合ガスを5.2 L/minの流速でバブリングを行いながら230分かけて滴下し、撹拌を行った。滴下終了後、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム48.06g(126.4mmol)を溶解した水1,500gを加え、反応を停止した。水層と有機層を分液し、有機層を1Nの塩酸水溶液、次いで純水で洗浄した。得られた溶液をエバポレーターで50wt%に濃縮し、2官能フェニレンエーテルオリゴマー(樹脂「D」)のトルエン溶液を1981g得た。樹脂「D」の数平均分子量は1975、重量平均分子量は3514、水酸基当量が990であった。
【0030】
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物の合成)
撹拌器、還流冷却器、温度計、ディーンスターク水分離器を装着した500mlの反応容器にN,N−ジメチルホルムアミド250.2g、樹脂「D」148.5g、4−クロロニトロベンゼン52.1g(0.33mol)、炭酸カリウム25.0g(0.18mol)を装入し、トルエン20.0gを添加して、反応容器内を窒素置換した。次いで、この混合物を加熱し、140〜150℃の温度を保ちながら5時間撹拌を続け反応を行った。反応により生成する水は、トルエンとの共沸により順次除去した。反応終了後、80〜90℃で濾過を行い、無機塩を除去した後、濾液を室温まで冷却した。この濾液を320.1gのメタノールに注ぎ、析出した固形物を濾過、メタノール洗浄、乾燥することにより、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物(樹脂「E」)140.3gを得た。樹脂「E」の数平均分子量は3081、重量平均分子量は5587であった。樹脂「E」の赤外吸収スペクトル(IR)は、N−O結合に対応する波数1519cm-1および波数1342cm-1の吸収を示した。
【0031】
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミンの合成)
次いで、撹拌器を備えた100mlの反応容器に、樹脂「E」1.20g、N,N−ジメチルホルムアミド35.0g、5Pd/C触媒156mgを仕込み、水素雰囲気下で激しく撹拌しながら室温で8hr反応させた。その後、反応溶液を濾過して触媒を除去した後、エバポレーターで濃縮し、さらに減圧乾燥を行うことにより、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミン(樹脂「F」)0.99gを得た。樹脂「F」の数平均分子量は2905、重量平均分子量は6388、アミノ基当量が1351であった。樹脂「F」の赤外吸収スペクトル(IR)は、N−H結合に対応する波数3447cm-1および波数3365cm-1の吸収を示した。
【0032】
合成例3
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーの合成)
撹拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた12Lの縦長反応器にCuCl13.1g(0.12mol)、ジ−n−ブチルアミン707.0g(5.5mol)、メチルエチルケトン4000gを仕込み、反応温度40℃にて撹拌を行い、2L/minの空気をバブリングしながら、あらかじめ8000gのメチルエチルケトンに溶解させた4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)410.2g(1.6mol)と2,6−ジメチルフェノール586.5g(4.8mol) を120minかけて滴下した。これに、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、1Nの塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水で洗浄を行った。得られた溶液をエバポレーターで濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、2官能フェニレンエーテルオリゴマー(樹脂「G」)を946.6g得た。樹脂「G」の数平均分子量は801、重量平均分子量は1081、水酸基当量が455であった。
【0033】
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物の合成)
撹拌器、還流冷却器、温度計、ディーンスターク水分離器を装着した500mlの反応容器にN,N−ジメチルホルムアミド200.2g、樹脂「G」68.3g、4−クロロニトロベンゼン52.2g(0.33mol)、炭酸カリウム24.9g(0.18mol)を装入し、トルエン19.0gを添加して、反応容器内を窒素置換した。次いで、この混合物を加熱し、140〜150℃の温度を保ちながら5時間撹拌を続け反応を行った。反応により生成する水は、トルエンとの共沸により順次除去した。反応終了後、80〜90℃で濾過を行い、無機塩を除去した後、濾液を室温まで冷却した。この濾液を290.2gのメタノールに注ぎ、析出した固形物を濾過、メタノール洗浄、乾燥することにより、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物(樹脂「H」)63.8gを得た。樹脂「H」の数平均分子量は1250、重量平均分子量は1719であった。樹脂「H」の赤外吸収スペクトル(IR)は、N−O結合に対応する波数1522cm-1および波数1340cm-1の吸収を示した。
【0034】
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミンの合成)
次いで、撹拌器を備えた100mlの反応容器に、樹脂「H」1.15g、N,N−ジメチルホルムアミド29.9g、5Pd/C触媒160mgを仕込み、水素雰囲気下で激しく撹拌しながら室温で6hr反応させた。その後、反応溶液を濾過して触媒を除去した後、エバポレーターで濃縮し、さらに減圧乾燥を行うことにより、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミン(樹脂「I」)0.88gを得た。樹脂「I」の数平均分子量は1205、重量平均分子量は2009、アミノ基当量が560であった。樹脂「I」の赤外吸収スペクトル(IR)は、N−H結合に対応する波数3446cm-1および波数3367cm-1の吸収を示した。
【0035】
合成例4
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーの合成)
撹拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた12Lの縦長反応器にCuCl13.1g(0.12mol)、ジ−n−ブチルアミン707.0g(5.5mol)、メチルエチルケトン4000gを仕込み、反応温度40℃にて撹拌を行い、2L/minの空気をバブリングしながら、あらかじめ8000gのメチルエチルケトンに溶解させた4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)82.1g(0.32mol)と2,6−ジメチルフェノール586.5g(4.8mol) を120minかけて滴下した。これに、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、1Nの塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水で洗浄を行った。得られた溶液をエバポレーターで濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、2官能フェニレンエーテルオリゴマー(樹脂「J」)を632.5g得た。樹脂「J」の数平均分子量は1884、重量平均分子量は3763、水酸基当量が840であった。
【0036】
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物の合成)
撹拌器、還流冷却器、温度計、ディーンスターク水分離器を装着した500mlの反応容器にN,N−ジメチルホルムアミド250.5g、樹脂「J」126.0g、4−クロロニトロベンゼン51.9g(0.33mol)、炭酸カリウム25.0g(0.18mol)を装入し、トルエン19.2gを添加して、反応容器内を窒素置換した。次いで、この混合物を加熱し、140〜150℃の温度を保ちながら5時間撹拌を続け反応を行った。反応により生成する水は、トルエンとの共沸により順次除去した。反応終了後、80〜90℃で濾過を行い、無機塩を除去した後、濾液を室温まで冷却した。この濾液を330.3gのメタノールに注ぎ、析出した固形物を濾過、メタノール洗浄、乾燥することにより、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物(樹脂「K」)115.0gを得た。樹脂「K」の数平均分子量は2939、重量平均分子量は5982であった。樹脂「K」の赤外吸収スペクトル(IR)は、N−O結合に対応する波数1518cm-1および波数1343cm-1の吸収を示した。
【0037】
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミンの合成)
次いで、撹拌器を備えた100mlの反応容器に、樹脂「K」2.13g、N,N−ジメチルホルムアミド35.1g、5Pd/C触媒189mgを仕込み、水素雰囲気下で激しく撹拌しながら室温で8hr反応させた。その後、反応溶液を濾過して触媒を除去した後、エバポレーターで濃縮し、さらに減圧乾燥を行うことにより、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミン(樹脂「L」)1.89gを得た。樹脂「L」の数平均分子量は2733、重量平均分子量は6746、アミノ基当量が1271であった。樹脂「L」の赤外吸収スペクトル(IR)は、N−H結合に対応する波数3449cm-1および波数3366cm-1の吸収を示した。
【0038】
合成例5
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーの合成)
撹拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた2Lの縦長反応器に4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジフェニルプロパン(ビスフェノールA)18.0g(78.8mmol)、CuBr2 0.172g(0.77mmol)、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン0.199g(1.15mmol)、n−ブチルジメチルアミン2.10g(2.07mmol)、メタノール139g、トルエン 279gを仕込み、液温を40℃にして撹拌した状態の反応器の中へ、メタノール133gとトルエン266gに溶解させた2,6−ジメチルフェノール48.17g(0.394mol)、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン0.245g(1.44mmol)、n−ブチルジメチルアミン2.628g(25.9mmol)の混合溶液を、空気を0.5 L/minの流速でバブリングを行いながら132分かけて滴下し、滴下終了後さらに120分撹拌を行った。反応終了後、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム2.40gを溶解した水400gを加え、反応を停止した。水層と有機層を分液し、純水で洗浄した。得られた溶液をエバポレーターで濃縮し、さらに120℃で3時間真空乾燥して、2官能フェニレンエーテルオリゴマー(樹脂「M」)を54.8g得た。樹脂「M」の数平均分子量は1348、重量平均分子量は3267、水酸基当量が503であった。
【0039】
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物の合成)
撹拌器、還流冷却器、温度計、ディーンスターク水分離器を装着した500mlの反応容器にN,N−ジメチルホルムアミド200.1g、樹脂「M」75.5g、4−クロロニトロベンゼン52.0g(0.33mol)、炭酸カリウム25.0g(0.18mol)を装入し、トルエン20.0gを添加して、反応容器内を窒素置換した。次いで、この混合物を加熱し、140〜150℃の温度を保ちながら5時間撹拌を続け反応を行った。反応により生成する水は、トルエンとの共沸により順次除去した。反応終了後、80〜90℃で濾過を行い、無機塩を除去した後、濾液を室温まで冷却した。この濾液を300.2gのメタノールに注ぎ、析出した固形物を濾過、メタノール洗浄、乾燥することにより、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物(樹脂「N」)72.1gを得た。樹脂「N」の数平均分子量は2103、重量平均分子量は5194であった。樹脂「N」の赤外吸収スペクトル(IR)は、N−O結合に対応する波数1516cm-1および波数1340cm-1の吸収を示した。
【0040】
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミンの合成)
次いで、撹拌器を備えた100mlの反応容器に、樹脂「N」1.31g、N,N−ジメチルホルムアミド30.0g、5Pd/C触媒165mgを仕込み、水素雰囲気下で激しく撹拌しながら室温で6hr反応させた。その後、反応溶液を濾過して触媒を除去した後、エバポレーターで濃縮し、さらに減圧乾燥を行うことにより、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミン(樹脂「O」)1.10gを得た。樹脂「O」の数平均分子量は2051、重量平均分子量は6142、アミノ基当量が954であった。樹脂「O」の赤外吸収スペクトル(IR)は、N−H結合に対応する波数3450cm-1および波数3365cm-1の吸収を示した。
【0041】
合成例6
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーの合成)
撹拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた12Lの縦長反応器にCuBr2 3.88g(17.4mmol)、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン0.75g(4.4mmol)、n−ブチルジメチルアミン28.04g(277.6mmol)、トルエン 2,600gを仕込み、反応温度40℃にて撹拌を行い、あらかじめ2,300gのメタノールに溶解させた2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’ジオール 129.3g(0.48mol)、2,6−ジメチルフェノール233.7g(1.92mol)、2,3,6−トリメチルフェノール 64.9g(0.48mol)、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン0.51g(2.9mmol)、n−ブチルジメチルアミン10.90g(108.0mmol)の混合溶液を、窒素と空気とを混合して酸素濃度8に調整した混合ガスを5.2 L/minの流速でバブリングを行いながら230分かけて滴下し、撹拌を行った。滴下終了後、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム19.89g(52.3mmol)を溶解した水1,500gを加え、反応を停止した。水層と有機層を分液し、有機層を1Nの塩酸水溶液、次いで純水で洗浄した。得られた溶液をエバポレーターで50wt%に濃縮し、2官能フェニレンエーテルオリゴマー(樹脂「P」)のトルエン溶液を836.5g得た。樹脂「P」の数平均分子量は986、重量平均分子量は1,530、水酸基当量が471であった。
【0042】
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物の合成)
撹拌器、還流冷却器、温度計、ディーンスターク水分離器を装着した500mlの反応容器にN,N−ジメチルホルムアミド200.0g、樹脂「P」70.7g、4−クロロニトロベンゼン52.0g(0.33mol)、炭酸カリウム25.1g(0.18mol)を装入し、トルエン19.3gを添加して、反応容器内を窒素置換した。次いで、この混合物を加熱し、140〜150℃の温度を保ちながら5時間撹拌を続け反応を行った。反応により生成する水は、トルエンとの共沸により順次除去した。反応終了後、80〜90℃で濾過を行い、無機塩を除去した後、濾液を室温まで冷却した。この濾液を300.3gのメタノールに注ぎ、析出した固形物を濾過、メタノール洗浄、乾燥することにより、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジニトロ化合物(樹脂「Q」)64.1gを得た。樹脂「Q」の数平均分子量は1538、重量平均分子量は2432であった。樹脂「Q」の赤外吸収スペクトル(IR)は、N−O結合に対応する波数1522cm-1および波数1344cm-1の吸収を示した。
【0043】
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミンの合成)
次いで、撹拌器を備えた100mlの反応容器に、樹脂「Q」1.50g、N,N−ジメチルホルムアミド30.0g、5Pd/C触媒170mgを仕込み、水素雰囲気下で激しく撹拌しながら室温で6hr反応させた。その後、反応溶液を濾過して触媒を除去した後、エバポレーターで濃縮し、さらに減圧乾燥を行うことにより、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのジアミン(樹脂「R」)1.14gを得た。樹脂「R」の数平均分子量は1465、重量平均分子量は2809、アミノ基当量が681であった。樹脂「R」の赤外吸収スペクトル(IR)は、N−H結合に対応する波数3447cm-1および波数3360cm-1の吸収を示した。
【0044】
実施例1
(ポリアミドの合成)
撹拌子の入った容器内に、樹脂「C」5.07gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン44.94gを添加して十分溶解させた。その後、イソフタル酸クロリド0.93gをテトラヒドロフラン8.27gに溶解させて添加した後、25℃で5min撹拌した。炭酸ナトリウム1.03gと塩化ナトリウム1.33gを純水9.90gに溶解させて添加し、発生した塩酸を中和した後、反応液を500gの純水中に注ぎ、析出した固形物を濾過、純水で洗浄、乾燥することにより、ポリアミド(樹脂「S」)5.54gを得た。樹脂「S」の1H NMRスペクトルは図4に示すように、図2に見られた4.0ppm付近のアミノ基のプロトンに相当するピークが消失し、9.0〜9.2ppm付近にアミド結合に相当するプロトンのピークが観測された。
【0045】
実施例2
(ポリアミドの合成)
撹拌子の入った容器内に、樹脂「C」5.01gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン44.90gを添加して十分溶解させた。その後、テレフタル酸クロリド0.91gをテトラヒドロフラン8.27gに溶解させて添加した後、25℃で5min撹拌した。炭酸ナトリウム0.64gと塩化ナトリウム0.91gを純水6.49gに溶解させて添加し、発生した塩酸を中和した後、反応液を300gの純水中に注ぎ、析出した固形物を濾過、純水で洗浄、乾燥することにより、ポリアミド(樹脂「T」)5.41gを得た。
【0046】
実施例3
(ポリアミドの合成)
撹拌子の入った容器内に、樹脂「C」3.37gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン30.45gを添加して十分溶解させた。その後、イソフタル酸クロリド0.31g、テレフタル酸クロリド0.31gをテトラヒドロフラン5.62gに溶解させて添加した後、25℃で5min撹拌した。炭酸ナトリウム1.01gと塩化ナトリウム1.32gを純水9.78gに溶解させて添加し、発生した塩酸を中和した後、反応液を350gの純水中に注ぎ、析出した固形物を濾過、純水で洗浄、乾燥することにより、ポリアミド(樹脂「U」)3.64gを得た。
【0047】
実施例4
(ポリアミドの合成)
撹拌子の入った容器内に、樹脂「F」4.98gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン44.82gを添加して十分溶解させた。その後、イソフタル酸クロリド0.37gをテトラヒドロフラン3.37gに溶解させて添加した後、25℃で5min撹拌した。炭酸ナトリウム0.39gと塩化ナトリウム0.54gを純水3.95gに溶解させて添加し、発生した塩酸を中和した後、反応液を500gの純水中に注ぎ、析出した固形物を濾過、純水で洗浄、乾燥することにより、ポリアミド(樹脂「V」)5.23gを得た。
【0048】
実施例5
(ポリアミドの合成)
撹拌子の入った容器内に、樹脂「I」5.11gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン45.99gを添加して十分溶解させた。その後、イソフタル酸クロリド0.93gをテトラヒドロフラン8.34gに溶解させて添加した後、25℃で5min撹拌した。炭酸ナトリウム0.97gと塩化ナトリウム1.33gを純水9.78gに溶解させて添加し、発生した塩酸を中和した後、反応液を500gの純水中に注ぎ、析出した固形物を濾過、純水で洗浄、乾燥することにより、ポリアミド(樹脂「W」)5.73gを得た。
【0049】
実施例6
(ポリアミドの合成)
撹拌子の入った容器内に、樹脂「L」5.06gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン45.54gを添加して十分溶解させた。その後、イソフタル酸クロリド0.40gをテトラヒドロフラン3.64gに溶解させて添加した後、25℃で5min撹拌した。炭酸ナトリウム0.42gと塩化ナトリウム0.58gを純水4.27gに溶解させて添加し、発生した塩酸を中和した後、反応液を500gの純水中に注ぎ、析出した固形物を濾過、純水で洗浄、乾燥することにより、ポリアミド(樹脂「X」)5.32gを得た。
【0050】
実施例7
(ポリアミドの合成)
撹拌子の入った容器内に、樹脂「O」4.97gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン44.73gを添加して十分溶解させた。その後、イソフタル酸クロリド0.53gをテトラヒドロフラン4.76gに溶解させて添加した後、25℃で5min撹拌した。炭酸ナトリウム0.55gと塩化ナトリウム0.76gを純水5.58gに溶解させて添加し、発生した塩酸を中和した後、反応液を500gの純水中に注ぎ、析出した固形物を濾過、純水で洗浄、乾燥することにより、ポリアミド(樹脂「Y」)5.54gを得た。
【0051】
実施例8
(ポリアミドの合成)
撹拌子の入った容器内に、樹脂「R」5.02gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン45.18gを添加して十分溶解させた。その後、イソフタル酸クロリド0.75gをテトラヒドロフラン6.74gに溶解させて添加した後、25℃で5min撹拌した。炭酸ナトリウム0.78gと塩化ナトリウム1.08gを純水7.90gに溶解させて添加し、発生した塩酸を中和した後、反応液を500gの純水中に注ぎ、析出した固形物を濾過、純水で洗浄、乾燥することにより、ポリアミド(樹脂「Z」)5.52gを得た。
【0052】
実施例9
(ポリアミドの合成)
撹拌子の入った容器内に、樹脂「C」1.77g及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル0.08gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン16.33gを添加して十分溶解させた。その後、イソフタル酸クロリド0.41gをテトラヒドロフラン3.62gに溶解させて添加した後、25℃で5min撹拌した。炭酸ナトリウム0.42gと塩化ナトリウム0.51gを純水4.29gに溶解させて添加し、発生した塩酸を中和した後、反応液を250gの純水中に注ぎ、析出した固形物を濾過、純水で洗浄、乾燥することにより、ポリアミド(樹脂「AA」、m:n=80:20)1.95gを得た。
【0053】
実施例10
(ポリアミドの合成)
撹拌子の入った容器内に、樹脂「C」1.67g及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル0.30gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン17.71gを添加して十分溶解させた。その後、イソフタル酸クロリド0.61gをテトラヒドロフラン5.48gに溶解させて添加した後、25℃で5min撹拌した。炭酸ナトリウム0.64gと塩化ナトリウム0.87gを純水6.50gに溶解させて添加し、発生した塩酸を中和した後、反応液を300gの純水中に注ぎ、析出した固形物を濾過、純水で洗浄、乾燥することにより、ポリアミド(樹脂「AB」、m:n=50:50)2.28gを得た。
【0054】
比較例1
(ポリアミドの合成)
撹拌子の入った容器内に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル1.22gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン23.12gを添加して十分溶解させた。その後、イソフタル酸クロリド1.22gをテトラヒドロフラン11.05gに溶解させて添加した後、25℃で5min撹拌した。炭酸ナトリウム1.27gと塩化ナトリウム1.75gを純水12.86gに溶解させて添加し、発生した塩酸を中和した後、反応液を300gの純水中に注ぎ、析出した固形物を濾過、純水で洗浄、乾燥することにより、ポリアミド(樹脂「AC」)1.77gを得た。
【0055】
比較例2
(ポリアミドの合成)
撹拌子の入った容器内に、メタフェニレンジアミン1.08gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン9.74gを添加して十分溶解させた。その後、イソフタル酸クロリド2.03gをテトラヒドロフラン18.86gに溶解させて添加した後、25℃で5min撹拌した。炭酸ナトリウム2.12gと塩化ナトリウム2.92gを純水43.6gに溶解させて添加し、発生した塩酸を中和した後、反応液を300gの純水中に注ぎ、析出した固形物を濾過、純水で洗浄、乾燥することにより、ポリアミド(樹脂「AD」)1.77gを得た。
【0056】
実施例1〜8、比較例1で得られたポリアミド「S」、「T」、「U」、「V」、「W」、「X」、「Y」、「Z」、「AA」、「AB」、「AC」、「AD」の室温での溶剤溶解性を評価した結果を表1に示す。
【表1】

IPC:イソフタル酸クロリド
TPC:テレフタル酸クロリド
DDE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
MPD:メタフェニレンジアミン
表1より、本発明のポリアミドは、テトラヒドロフランのような非アミド系溶媒に対する溶解性が優れることが分かる。
【0057】
実施例11〜20、比較例3
実施例1〜10で得られたポリアミド「S」、「T」、「U」、「V」、「W」、「X」、「Y」、「Z」、「AA」、「AB」のテトラヒドロフラン溶液をガラス板上に、ドクターブレード(厚さ75μm)で塗布し、空気下で105℃/3hr、窒素下で200℃/2hr乾燥し厚さ4μmのポリアミドのフィルムを得た。比較として、ポリパラフェニレンテレフタルアミドのフィルム(帝人アドバンスドフィルム株式会社製:厚さ4μm)を用いた。
【0058】
実施例11〜20、比較例3のポリアミドフィルムの乾燥時と吸湿時の誘電特性、吸水率を評価した結果を表2に示す。
【表2】

PPTA:ポリパラフェニレンテレフタルアミド
PPD:パラフェニレンジアミン
【0059】
実施例10〜20、比較例3より、本発明のポリアミドは低吸水率であり、そのため吸湿環境においても低い誘電率を維持できることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される繰り返し単位の重合体または一般式(1)及び一般式(2)で表される繰り返し単位の共重合体から成るポリアミド。
【化1】

【化2】

(m,nは、m:n=100:0〜50:50となる値を示す。−(O−X−O)−は、一般式(3)または一般式(4)で定義される構造からなる。−(Y−O)−は、一般式(5)で定義される1種類の構造が配列するかまたは2種類以上の構造がランダムに配列する。a,bは、少なくともいずれか一方が0でない、0〜100の整数を示す。a,bは単環式芳香族基および縮合多環式芳香族基ならびに単環式芳香族基が直接もしくは連結基により相互に連結された非縮合多環式芳香族基から選ばれる炭素数6〜30の2価の芳香族基、あるいは直鎖状、分岐状または環状の炭素数2〜20の2価の脂肪族基である。)
【化3】

(R1,R2,R3,R7,R8は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R4,R5,R6は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。)
【化4】

(R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。−D−は、炭素数20以下の直鎖状、分岐状または環状の2価の炭化水素基である。)
【化5】

(R17,R18は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R19,R20は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。)
【請求項2】
−(O−X−O)−が一般式(6)、一般式(7)または一般式(8)であり、−(Y−O)−が一般式(9)または一般式(10)あるいは一般式(9)と一般式(10)がランダムに配列した構造を有する請求項1記載のポリアミド。
【化6】

【化7】

(R21,R22,R23,R24は、水素原子またはメチル基である。−D−は、炭素数20以下の直鎖状、分岐状または環状の2価の炭化水素基である)
【化8】

(−D−は、炭素数20以下の直鎖状、分岐状または環状の2価の炭化水素基である)
【化9】

【化10】

【請求項3】
a,bが2価の芳香族基である請求項1または2記載のポリアミド。
【請求項4】
一般式(11)及び一般式(12)で表される繰り返し単位から成る請求項3記載のポリアミド。
【化11】

【化12】

(アミド基の置換位置は、もう一つのアミド基に対して、メタ位またはパラ位である。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−168502(P2010−168502A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13877(P2009−13877)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】