説明

ポリアルキレングリコール系化合物およびその製造方法およびその用途

【課題】ガラス瓶の洗浄剤に添加した際に、従来の化合物と比較して良好な洗浄性を洗浄剤に付与することができる化合物を提供する。
【解決手段】多価アルコール由来の構造と3以上のポリアルキレングリコール鎖を有し、1または2以上の上記ポリアルキレングリコール鎖の末端に疎水基を有するポリアルキレングリコール系化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来、ビール等の容器として利用されているガラス瓶は、回収され、再利用されているが、この際に強アルカリ水溶液である洗浄剤による洗浄が行なわれている。この際に、アルカリにより溶け出した珪酸に起因する珪酸スケールがガラス表面に付着し、汚れが生じるといった問題が生じている。汚れが生じた瓶は、再度洗浄工程に回す必要がある為、洗浄効率が低下してしまう。
このような汚れを防止する為に、ソルビトールのような多価アルコールを添加した洗浄剤が開示されている(特許文献1)。
【0002】
一方、衣料の洗浄においても、近年の消費者の環境問題への意識の高まりより、洗剤ビルダーに要求される性能が変化しつつある。すなわち、消費者が風呂の残り湯を洗濯に使用することにより節水を図るなどの工夫が広く行なわれるようになった。残り湯の使用により、カルシウム成分の濃縮による高硬度条件下や、汚れ成分の多い条件下で洗濯をしなければならない問題が発生する。ドラム式洗濯機等の普及により、少量の洗濯水で選択した場合、上記濃縮されたカルシウムスケールの衣料への付着が問題となってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−33096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、洗浄剤等に添加した場合に、従来の化合物と比較して良好な洗浄性を洗浄剤に付与することができる化合物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、種々検討した結果、多価アルコール由来の構造を有し、3以上のポリアルキレングリコール鎖を有するポリアルキレングリコール系化合物であって、末端に疎水基を有するポリアルキレングリコール系化合物が、洗浄剤に、高いガラス瓶や衣料の洗浄性を付与することを見いだし、本発明に想到した。
【0006】
すなわち本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、多価アルコール由来の構造と3以上のポリアルキレングリコール鎖を有し、1または2以上の上記ポリアルキレングリコール鎖の末端に疎水基を有するポリアルキレングリコール系化合物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、洗浄剤に添加した場合に、高い洗浄性を有するポリアルキレングリコール系化合物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔ポリアルキレングリコール系化合物〕
本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、多価アルコール由来の構造を有することを特徴としている。多価アルコール由来の構造とは、多価アルコールから、多価アルコールの有する水酸基の、活性水素を除いた構造を言う。
【0009】
上記多価アルコールとしては、1分子中に平均3個以上の水酸基を含有する化合物であれば、特に限定されるものではない。好ましい形態としては、多価アルコール由来の構造が炭素、水素、酸素の3つの元素から構成される化合物である。多価アルコール由来の構造が炭素、水素、酸素の3つの元素から構成されることにより、本発明のポリアルキレングリコール系化合物(組成物)の色調が良好になることから、洗浄剤等に配合する場合であっても、好ましく使用することができる。また、生分解性、安全性が良好となる為、好ましい。
【0010】
上記多価アルコールが有する水酸基数としては、3個以上であり、また、12個以下が好ましい。3個より少ないと本発明のポリアルキレングリコール系化合物の機能が充分に発揮されないおそれがあり、12個を超えると本発明のポリアルキレングリコール系化合物の取り扱いが困難になるおそれがある。より好ましくは4個以上であり、更に好ましくは5個以上であり、特に好ましくは6個以上である。また、より好ましくは10個以下であり、更に好ましくは9個以下であり、特に好ましくは8個以下である。
【0011】
上記多価アルコールとしては、ポリグリシドール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−ペンタトリオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等が好適である。また、糖類として、グルコース、フルクトース、マンノース、インド−ス、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、プシコース、アルトロース等のヘキソース類の糖類;アラビノース、リブロース、リボース、キシロース、キシルロース、リキソース等のペントース類の糖類;トレオース、エリトルロース、エリトロース等のテトロース類の糖類;ラムノース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュウクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース等のその他糖類;これらの糖アルコール、糖酸(糖類;グルコース、糖アルコール;グルシット、糖酸;グルコン酸)等も好ましい。更に、これら例示化合物の部分エーテル化物や部分エステル化物等の誘導体も好適である。これらの中でも、ソルビトールがより好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0012】
本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、多価アルコール由来の構造とポリアルキレングリコール鎖の間に、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、エーテル結合等の公知の構造を介する事も可能であるが、本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加した化合物(多価アルコールアルキレンオキサイド付加物とも言う)に由来する構造を有することが好ましい。多価アルコールの水酸基にアルキレンオキサイドを付加した化合物に由来の構造とは、多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加した化合物から、多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加した化合物の有する水酸基の、水素原子を除いた構造を言う。
【0013】
上記多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加した化合物は、多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加することにより製造することが好ましい。多価アルコールが有する水酸基に付加させるアルキレンオキサイドとしては、炭素数が2〜20のアルキレンオキサイドであり、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、イソブチレンオキサイド,1−ブテンオキサイド、2−ブテンオキサイド、トリメチルエチレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、テトラメチルエチレンオキサイド、ブタジエンモノオキサイド、オクチレンオキサイド、ジペンタンエチレンオキサイド、ジヘキサンエチレンオキサイド等の脂肪族エポキシド;トリメチレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オクチレンオキサイド等の脂環エポキシド;スチレンオキサイド、1,1−ジフェニルエチレンオキサイド等の芳香族エポキシド等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より好ましくは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドであり、更に好ましくは、エチレンオキサイドである。
【0014】
本発明において、オキシアルキレン基が2つ以上連続して形成される基を、ポリアルキレングリコール鎖ともいう。すなわち、本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、オキシアルキレン基が2つ以上連続して形成される基を有することになる。オキシアルキレン基が2つ以上付加して形成される基では、1種又は2種以上のオキシアルキレン基により形成されることになり、2種以上のオキシアルキレン基により形成される場合には、2種以上のオキシアルキレン基がランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。なお、上記オキシアルキレン基により形成される基が1分子内に複数存在する場合には、これらは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0015】
上記オキシアルキレン基が2つ以上連続して形成される基は、オキシエチレン基を主体とするものであることが好ましい。この場合、「主体」とは、上述したのと同様に、オキシアルキレン基が単量体中に2種以上存在するときに、全オキシアルキレン基の存在数において、過半数を占めるものであることを意味する。上記オキシアルキレン基において、上記「大半を占める」ことを全オキシアルキレン基100モル%中のオキシエチレン基のモル%で表すとき、50〜100モル%が好ましい。50モル%未満であると、オキシアルキレン基から形成される基の親水性が低下するおそれがある。より好ましくは、60モル%以上であり、更に好ましくは、70モル%以上、特に好ましくは、80モル%以上、最も好ましくは、90モル%以上である。
【0016】
本発明のポリアルキレングリコール系化合物の有するポリアルキレングリコール鎖における、オキシアルキレン基の付加モル数としては、ポリアルキレングリコール鎖1分子辺り(1個辺り)、2以上100以下とすることが好ましい。上記範囲内にあれば、バルキーなノニオン性基の効果が発現され、洗浄力が向上する。100を超えると、これらの洗浄力が低下するおそれがある。より好ましくは、3以上であり、更に好ましくは、5以上、特に好ましくは、10以上、最も好ましくは、30以上である。また、より好ましくは、80以下であり、更に好ましくは、70以下、特に好ましくは、60以下、最も好ましくは、50以下である。
本発明のポリアルキレングリコール系化合物1分子あたりの有するポリアルキレングリコール鎖の数は、3個以上であり、また、12個以下が好ましい。3個より少ないと本発明のポリアルキレングリコール系化合物の機能が充分に発揮されないおそれがあり、12個を超えると本発明のポリアルキレングリコール系化合物の取り扱いが困難になるおそれがある。より好ましくは4個以上であり、更に好ましくは5個以上であり、特に好ましくは6個以上である。また、より好ましくは10個以下であり、更に好ましくは9個以下であり、特に好ましくは8個以下である。なお、本発明のポリアルキレングリコール系化合物は1分子あたり、3以上のポリアルキレングリコール鎖を有すれば良く、その他に、水酸基や水酸基にアルキレンオキサイドが1分子付加した構造を、有していても良い。
本発明のポリアルキレングリコール系化合物1モルあたりに有するオキシアルキレン構造のモル数は、6以上300以下とすることが好ましい。300を超えると、これらの洗浄力が低下するおそれがある。より好ましくは、9以上であり、更に好ましくは、15以上、特に好ましくは、30以上、最も好ましくは、90以上である。また、より好ましくは、240以下であり、更に好ましくは、210以下、特に好ましくは、180以下、最も好ましくは、150以下である。がこのような範囲を外れると、洗浄力を優れたものとする作用効果が充分に発揮されないおそれがある。
上記多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物を調製する手法としては、例えば、1)アルカリ金属の水酸化物、アルコキシド等の強アルカリや、アルキルアミン等を塩基触媒として用いるアニオン重合、2)金属および半金属のハロゲン化物、鉱酸、酢酸等を触媒として用いるカチオン重合、3)アルミニウム、鉄、亜鉛等の金属のアルコキシド、アルカリ土類化合物、ルイス酸等を組み合わせたものを用いる配位重合などの手法を用いて、上記多価アルコールの水酸基に、上述したアルキレンオキサイドを付加する手法が挙げられる。
【0017】
本発明において、疎水基とは、炭素数3以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基を言う。本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、例えば、(i)上記多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物に、炭素数5以上のアルキレンオキサイドを付加した化合物(当該化合物も多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物である。)、(ii)上記多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物に、炭素数6以上のグリシジルエーテル化合物を付加した化合物、(iii)上記多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物に、疎水基を有する、イソシアネート、エステルを反応した化合物、(iV)上記多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物に、エピクロロヒドリンを付加した化合物に、更に炭素数3以上のアルコールを付加した化合物、が例示される。洗浄力の向上効果が高いことから、上記(ii)であることが好ましい。
疎水基としては、具体的には、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、オクチル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基のアルキル基;ブチレン基、オクチレン基、ノニレン基等のアルケニル基;フェニル基、フェネチル基、2,3−又は2,4−キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基、が例示される。
本発明のポリアルキレングリコール系化合物の有する疎水基としては、好ましくは炭素数3〜20であり、より好ましくは3〜12であり、特に好ましくは3〜8である。
【0018】
本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、好ましくは下記一般式(1)で表される。
【0019】
【化1】

【0020】

上記一般式(1)において、Rは多価アルコール由来の構造を表し、Z、Z、Z、Zは炭素数2〜20のアルキレン基であり、m、mは2以上100以下の数であり、m、mは0または1であり、nは1以上12以下の数であり、n、n、nは0以上11以下の数であり、n、n、n、nの合計は3以上12以下の数であり、n、nの合計は3以上12以下の数であり、R、R’は、炭素数3〜20のアルキル基、下記一般式(2)〜(7)で表される基である。
【0021】
【化2】

【0022】

上記一般式(2)〜(7)において、Rは、炭素数3〜20のアルキル基、アルケニル基、アリール基を表す。
の好ましい態様しては、上記の本発明のポリアルキレングリコール系化合物の有する疎水基の好ましい態様と同じである。
【0023】
本発明のポリアルキレングリコール系化合物の重量平均分子量としては、500以上であることが好ましく、また、500000以下であることが好ましい。より好ましくは、700以上、更に好ましくは、1000以上である。また、より好ましくは、40000以下、更に好ましくは、30000以下である。
【0024】
〔本発明のポリアルキレングリコール系化合物の製造方法〕
本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、上記多価アルコールの水酸基にアルキレンオキサイドを付加した化合物(上記多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物という)に、(i)炭素数5以上のアルキレンオキサイド、(ii)炭素数6以上のグリシジルエーテル化合物、(iii)疎水基を有するイソシアネート、疎水基を有するエステル、(iV)エピクロロヒドリンおよび炭素数3以上のアルコール、(V)炭素数3〜20のハロゲン化アルキル、を付加する方法により、製造することが好ましい。
上記多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物の製造における、上記多価アルコールとアルキレンオキサイドの反応条件は、一般の水酸基に対するアルキレンオキサイドの付加反応の反応条件が適用しうるが、例えば、1)アルカリ金属の水酸化物、アルコキシド等の強アルカリや、アルキルアミン等を塩基触媒として用いるアニオン重合、2)金属および半金属のハロゲン化物、鉱酸、酢酸等を触媒として用いるカチオン重合、3)アルミニウム、鉄、亜鉛等の金属のアルコキシド、アルカリ土類化合物、ルイス酸等を組み合わせたものを用いる配位重合などの手法を用いて、上記多価アルコールの水酸基に、上述したアルキレンオキサイドを付加する手法が挙げられる。
【0025】
上記多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物と、炭素数5以上のアルキレンオキサイド、炭素数6以上のグリシジルエーテル化合物、疎水基を有するイソシアネート、疎水基を有するエステル、エピクロロヒドリン、炭素数3〜20のハロゲン化アルキル、の反応は、通常は無溶媒で行なわれるが、溶剤を使用しても良い。反応は無触媒で行なってもよいが、例えば、KOH等のアルカリ化合物、あるいは、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等のルイス酸触媒等、適切な触媒下で行なっても良い。反応は、空気雰囲気下で行っても良いし、不活性ガス雰囲気下で行っても良い。反応温度としては、好ましくは0〜200℃であり、より好ましくは5〜150℃であり、さらに好ましくは10〜100℃であり、特に好ましくは15〜80℃であり、最も好ましくは20〜50℃である。また、例えば、反応時間としては、好ましくは1〜100時間、より好ましくは1〜50時間、さらに好ましくは1〜30時間、特に好ましくは1〜20時間、最も好ましくは1〜10時間である。
【0026】
〔本発明のポリアルキレングリコール系化合物含有組成物〕
本発明のポリアルキレングリコール系化合物含有組成物(以下、単に本発明の組成物ともいう)は、本発明のポリアルキレングリコール系化合物を必須成分として含む。本発明のポリアルキレングリコール系化合物のみであってもよく、好ましくは本発明の組成物100質量部に対し、本発明のポリアルキレングリコール系化合物の含有量は1質量%以上、100質量%以下である。
本発明の組成物が水等の溶媒を含むときは、本発明の組成物100質量部に対し、本発明のポリアルキレングリコール系化合物の含有量は1質量%以上、90質量%以下が好ましく、溶媒の含有量は10質量%以上、99質量%以下が好ましい。
本発明の組成物は、その他、触媒残渣や不純物のポリアルキレングリコール(多価アルコール由来の構造を含まないもの)等を含むことが有る。
【0027】
〔本発明のポリアルキレングリコール系化合物の用途〕
本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、洗剤ビルダー(または洗剤組成物)、スケール防止剤(スケール抑制剤)、金属イオン封止剤、増粘剤、各種バインダー、乳化剤、スキンケア剤、ヘアケア剤等として用いられうる。洗剤ビルダーとしては、衣料用、食器用、住居用、毛髪用、身体用、歯磨き用、及び自動車用など、様々な用途の洗剤に添加されて使用されうる。
【0028】
<水処理剤>
本発明のポリアルキレングリコール系化合物(あるいは組成物)は、水処理剤に用いることができる。該水処理剤には、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤を用いても良い。
【0029】
上記水処理剤は、冷却水循環系、ボイラー水循環系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等でのスケール防止に有用である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでもよい。
【0030】
<繊維処理剤>
本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、繊維処理剤に用いることができる。該繊維処理剤は、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つと、本発明の重合体(あるいは重合体組成物)を含む。
【0031】
上記繊維処理剤における本発明のポリアルキレングリコール系化合物の含有量は、繊維処理剤全体に対して、好ましくは1〜100重量%であり、より好ましくは5〜100重量%である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。
【0032】
以下に、より実施形態に近い、繊維処理剤の配合例を示す。この繊維処理剤は、繊維処理における精錬、染色、漂白、ソーピングの工程で使用することができる。染色剤、過酸化物および界面活性剤としては繊維処理剤に通常使用されるものが挙げられる。
【0033】
本発明のポリアルキレングリコール系化合物と、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つとの配合比率は、例えば、繊維の白色度、色むら、染色けんろう度の向上のためには、繊維処理剤純分換算で、本発明の変性物1重量部に対して、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つを0.1〜100重量部の割合で配合された組成物を繊維処理剤として用いることが好ましい。
【0034】
上記繊維処理剤を使用できる繊維としては、任意の適切な繊維を採用し得る。例えば、木綿、麻等のセルロース系繊維、ナイロン、ポリエステル等の化学繊維、羊毛、絹糸等の動物性繊維、人絹等の半合成繊維およびこれらの織物および混紡品が挙げられる。
【0035】
上記繊維処理剤を精錬工程に適用する場合は、本発明のポリアルキレングリコール系化合物と、アルカリ剤および界面活性剤とを配合することが好ましい。漂白工程に適用する場合では、本発明のポリアルキレングリコール系化合物と、過酸化物と、アルカリ性漂白剤の分解抑制剤としての珪酸ナトリウム等の珪酸系薬剤とを配合することが好ましい。
<無機顔料分散剤>
本発明のポリアルキレングリコール系化合物(あるいは組成物)は、無機顔料分散剤に用いることができる。該無機顔料分散剤には、必要に応じて、他の配合剤として、縮合リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、ポリビニルアルコールを用いても良い。
【0036】
上記無機顔料分散剤中における、本発明のポリアルキレングリコール系化合物の含有量は、無機顔料分散剤全体に対して、好ましくは5〜100重量%である。また性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。
【0037】
上記無機顔料分散剤は、紙コーティングに用いられる重質ないしは軽質炭酸カルシウム、クレイの無機顔料の分散剤として良好な性能を発揮し得る。例えば、無機顔料分散剤を無機顔料に少量添加して水中に分散することにより、低粘度でしかも高流動性を有し、かつ、それらの性能の経日安定性が良好な、高濃度炭酸カルシウムスラリーのような高濃度無機顔料スラリーを製造することができる。
【0038】
上記無機顔料分散剤を無機顔料の分散剤として用いる場合、該無機顔料分散剤の使用量は、無機顔料100重量部に対して、0.05〜2.0重量部が好ましい。該無機顔料分散剤の使用量が上記範囲内にあることによって、十分な分散効果を得ることが可能となり、添加量に見合った効果を得ることが可能となり、経済的にも有利となり得る。
【0039】
<ガラス瓶用洗浄剤組成物>
本発明のポリアルキレングリコール系化合物(あるいは組成物)は、ガラス瓶用洗浄剤への添加剤として使用できる。
本発明のガラス瓶用洗浄剤組成物は、本発明のポリアルキレングリコール系化合物をガラス瓶用洗浄剤組成物の全量に対して好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.3〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
【0040】
本発明のガラス瓶用洗浄剤組成物は、洗浄成分として水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムを0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%含有する。
【0041】
本発明のガラス瓶用洗浄剤組成物は、重量平均分子量2000〜5万の、ポリアクリル酸、マレイン酸とアクリル酸のコポリマー、およびこれらの塩等のポリカルボン酸(塩);トリポリリン酸等の縮合リン酸;EDTA等のアミノカルボン酸類、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸類;などから選ばれるキレート剤を添加しても良い。これらのキレート剤は、ガラス瓶用洗浄剤組成物の全量に対して0〜10質量%含有することができる。なお、上記塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩、4級アミン塩等が例示される。
【0042】
本発明のガラス瓶用洗浄剤組成物は、界面活性剤を0.1〜1質量%含んでも良い。具体的には、下記本発明の洗剤組成物に添加しうる界面活性剤が使用できる。
【0043】
本発明のガラス瓶用洗浄剤組成物は、溶剤を含有してもよく、30〜99質量%含有することが好ましい。適切な溶剤は、水である。
【0044】
<洗剤組成物>
本発明のポリアルキレングリコール系化合物(あるいは組成物)は、洗剤への添加剤として使用できる。
【0045】
洗剤組成物における本発明のポリアルキレングリコール系化合物の含有量は特に制限されない。ただし、優れたビルダー性能を発揮しうるという観点からは、本発明のポリアルキレングリコール系化合物の含有量は、洗剤組成物の全量に対して、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.3〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
【0046】
洗剤用途で用いられる洗剤組成物には、通常、洗剤に用いられる界面活性剤や添加剤が含まれる。これらの界面活性剤や添加剤の具体的な形態は特に制限されず、洗剤分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。また、上記洗剤組成物は、粉末洗剤組成物であってもよいし、液体洗剤組成物であってもよい。
【0047】
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選択される1種または2種以上である。2種以上が併用される場合、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との合計量は、界面活性剤の全量に対して50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上である。
【0048】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルリン酸エステルまたはその塩、アルケニルリン酸エステルまたはその塩等が好適である。これらのアニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0049】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が好適である。これらのノニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0050】
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が好適である。また、両性界面活性剤としては、カルボキシル型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が好適である。これらのカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0051】
上記界面活性剤の配合割合は、通常、洗剤組成物の全量に対して10〜60質量%であり、好ましくは15〜50質量%であり、さらに好ましくは20〜45質量%であり、特に好ましくは25〜40質量%である。界面活性剤の配合割合が少なすぎると、十分な洗浄力を発揮できなくなる虞があり、界面活性剤の配合割合が多すぎると、経済性が低下する虞がある。
【0052】
添加剤としては、アルカリビルダー、キレートビルダー、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の汚染物質の再沈着を防止するためのその他の再付着防止剤、ベンゾトリアゾールやエチレン−チオ尿素等の汚れ抑制剤、ソイルリリース剤、色移り防止剤、柔軟剤、pH調節のためのアルカリ性物質、香料、可溶化剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、漂白助剤、酵素、染料、溶媒等が好適である。また、粉末洗剤組成物の場合にはゼオライトを配合することが好ましい。
【0053】
上記洗剤組成物は、本発明のポリアルキレングリコール系化合物(あるいは組成物)に加えて、他の洗剤ビルダーを含んでもよい。他の洗剤ビルダーとしては、特に制限されないが、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩などのアルカリビルダーや、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、ボウ硝、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、クエン酸塩、(メタ)アクリル酸の共重合体塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体、フマル酸塩、ゼオライト等のキレートビルダー、カルボキシメチルセルロース等の多糖類のカルボキシル誘導体等が挙げられる。上記ビルダーに用いられる対塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、アンモニウム、アミン等が挙げられる。
【0054】
上記添加剤と他の洗剤用ビルダーの合計の配合割合は、通常、洗浄剤組成物100質量%に対して0.1〜50質量%が好ましい。より好ましくは0.2〜40質量%であり、さらに好ましくは0.3〜35質量%であり、特に好ましくは0.4〜30質量%であり、最も好ましくは0.5〜20質量%以下である。添加剤/他の洗剤ビルダーの配合割合が0.1質量%未満であると、十分な洗剤性能を発揮できなくなる虞があり、50質量%を超えると経済性が低下する虞がある。
【0055】
なお、上記洗剤組成物の概念には、家庭用洗剤の合成洗剤、繊維工業その他の工業用洗剤(ガラス瓶用洗浄剤組成物を除く)、硬質表面洗浄剤のほか、その成分の1つの働きを高めた漂白洗剤等の特定の用途にのみ用いられる洗剤も含まれる。
【0056】
上記洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、液体洗剤組成物に含まれる水分量は、通常、液体洗剤組成物の全量に対して0.1〜75質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜70質量%であり、さらに好ましくは0.5〜45質量%であり、さらにより好ましくは0.7〜40質量%であり、特に好ましくは1〜35質量%であり、最も好ましくは1.5〜30質量%である。
【0057】
上記洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、当該洗剤組成物は、カオリン濁度が200mg/L以下であることが好ましく、より好ましくは150mg/L以下であり、さらに好ましくは120mg/L以下であり、特に好ましくは100mg/L以下であり、最も好ましくは50mg/L以下である。
<カオリン濁度の測定方法>
厚さ10mmの50mm角セルに均一に攪拌した試料(液体洗剤)を仕込み、気泡を除いた後、日本電色株式会社製NDH2000(商品名、濁度計)を用いて25℃でのTubidity(カオリン濁度:mg/L)を測定する。
上記洗浄剤組成物に配合することができる酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が好適である。中でも、アルカリ洗浄液中で活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼ及びアルカリセルラーゼが好ましい。
上記酵素の添加量は、洗浄剤組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましい。5質量%を超えると、洗浄力の向上が見られなくなり、経済性が低下するおそれがある。
上記アルカリビルダーとしては、珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩等が好適である。上記キレートビルダーとしては、ジグリコール酸、オキシカルボン酸塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、STPP(トリポリリン酸ナトリウム)、クエン酸等が好適である。本発明における共重合体以外のその他の水溶性ポリカルボン酸系ポリマーを用いてもよい。
上記洗浄剤組成物は、カルシウムスケールの付着防止能に優れ、更に、長期間保存した場合の性能低下や低温で保持した場合の不純物析出等が生じにくい極めて高品質剤性能で安定性に優れた洗剤とすることができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は重量基準である。
【0059】
(固形分の測定)
窒素雰囲気下、130℃に加熱したオーブンで本発明のポリアルキレングリコール系化合物(ポリアルキレングリコール系化合物含有組成物1.0gに水1.0gを加えたもの)を1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と、揮発成分(%)を算出した。
【0060】
(本発明のポリアルキレングリコール系化合物の測定条件)
本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィーを用いて分析(化合物の生成、分子量等)を行なった。測定条件は以下の通り行なった。
装置:日立社製 L−7000シリーズ
検出器:RI
カラム:ジーエルサイエンス株式会社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ, GF−710−HQ, GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min
検量線:創和科学株式会社製POLYETHYLENEGLYCOL STANDARD
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=3/1(質量比)。
【0061】
<合成例1>
攪拌機を備えた容量1350mlのオートクレーブにソルビトール200g(1.1モル)、30%水酸化カリウム水溶液1.30g(500ppm)を加え、容器を密封した後、減圧ポンプにて、0.015hPaまで減圧しつつ、140℃に昇温し、30分攪拌した。その後、窒素を0.3MPa加えて0.1MPaまで脱気した。これを3度繰り返し、装置内部を窒素置換した。窒素置換後、内部圧力を0.15MPa、150℃とし、エチレンオキシドを充填していった。反応中の窒素/エチレンオキシド分圧が爆発危険範囲以下になるようにしながら、エチレンオキシド(以下EOという)580g(13.2モル)を充填。充填後1時間熟成した後、温度を80℃まで下げ、脱気した。脱気ガスは水中に逃がしつつ、容器内部に窒素を加え、十分窒素置換した後、内容物を取り出し、ソルビトールのEO2mol付加物を得た。
攪拌機を備えた容量3750mlのオートクレーブに、ソルビトールのEO2mol付加物を200g(0.28モル)、30%水酸化カリウム水溶液1.35g(計500ppm)を加え、容器を密封した後、減圧ポンプにて、0.015hPaまで減圧しつつ、110℃に昇温し、30分攪拌した。その後、窒素を0.3MPa加えて0.1MPaまで脱気した。これを3度繰り返し、装置内部を窒素置換した。窒素置換後、内部圧力を0.17MPa、150℃とし、エチレンオキシドを充填していった。反応中の窒素/エチレンオキシド分圧が爆発危険範囲以下になるようにしながら、エチレンオキシド591g(13.4モル)を充填。充填後2時間熟成した後、温度を80℃まで下げ、脱気した。脱気ガスは水中に逃がしつつ、容器内部に窒素を加え、十分窒素置換した。ここに、ブチルグリシジルエーテル(以下、BGEと略す)220g(1.69モル)を加え、150℃とし、2時間反応させた。その後、温度を80℃まで下げ、脱気した。脱気ガスは水中に逃がしつつ、容器内部に窒素を加え、十分窒素置換した。このようにして、本発明のポリアルキレングリコール系化合物としての重合体(1)を得た。
【0062】
<合成例2>
攪拌機を備えた容量3750mlのオートクレーブに、ソルビトールのEO2mol付加物を200g(0.28モル)、30%水酸化カリウム水溶液2.60g(計500ppm)を加え、容器を密封した後、減圧ポンプにて、0.015hPaまで減圧しつつ、110℃に昇温し、30分攪拌した。その後、窒素を0.3MPa加えて0.1MPaまで脱気した。これを3度繰り返し、装置内部を窒素置換した。窒素置換後、内部圧力を0.17MPa、150℃とし、エチレンオキシドを充填していった。反応中の窒素/エチレンオキシド分圧が爆発危険範囲以下になるようにしながら、エチレンオキシド1339g(30.4モル)を充填。充填後2時間熟成した後、温度を80℃まで下げ、脱気した。脱気ガスは水中に逃がしつつ、容器内部に窒素を加え、十分窒素置換した。ここに、ブチルグリシジルエーテル(以下、BGEと略す)220g(1.69モル)を加え、150℃とし、2時間反応させた。その後、温度を80℃まで下げ、脱気した。脱気ガスは水中に逃がしつつ、容器内部に窒素を加え、十分窒素置換した。このようにして、本発明のポリアルキレングリコール系化合物としての重合体(2)を得た。
【0063】
<合成例3>
攪拌機を備えた容量3750mlのオートクレーブに、ソルビトールのEO2mol付加物を200g(0.28モル)、30%水酸化カリウム水溶液2.96g(計500ppm)を加え、容器を密封した後、減圧ポンプにて、0.015hPaまで減圧しつつ、110℃に昇温し、30分攪拌した。その後、窒素を0.3MPa加えて0.1MPaまで脱気した。これを3度繰り返し、装置内部を窒素置換した。窒素置換後、内部圧力を0.17MPa、150℃とし、エチレンオキシドを充填していった。反応中の窒素/エチレンオキシド分圧が爆発危険範囲以下になるようにしながら、エチレンオキシド1339g(30.4モル)を充填。充填後2時間熟成した後、温度を80℃まで下げ、脱気した。脱気ガスは水中に逃がしつつ、容器内部に窒素を加え、十分窒素置換した。ここに、BGEを439g(3.38モル)加え、150℃とし、2時間反応させた。その後、温度を80℃まで下げ、脱気した。脱気ガスは水中に逃がしつつ、容器内部に窒素を加え、十分窒素置換した。このようにして、本発明のポリアルキレングリコール系化合物としての重合体(3)を得た。
【0064】
<合成例4>
攪拌機を備えた容量3750mlのオートクレーブに、ソルビトールのEO2mol付加物を200g(0.28モル)、30%水酸化カリウム水溶液2.49g(計500ppm)を加え、容器を密封した後、減圧ポンプにて、0.015hPaまで減圧しつつ、110℃に昇温し、30分攪拌した。その後、窒素を0.3MPa加えて0.1MPaまで脱気した。これを3度繰り返し、装置内部を窒素置換した。窒素置換後、内部圧力を0.17MPa、150℃とし、エチレンオキシドを充填していった。反応中の窒素/エチレンオキシド分圧が爆発危険範囲以下になるようにしながら、エチレンオキシド1339g(30.4モル)を充填。充填後2時間熟成した後、温度を80℃まで下げ、脱気した。脱気ガスは水中に逃がしつつ、容器内部に窒素を加え、十分窒素置換した。ここに、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル156g(0.84モル)を加え、150℃とし、2時間反応させた。その後、温度を80℃まで下げ、脱気した。脱気ガスは水中に逃がしつつ、容器内部に窒素を加え、十分窒素置換した。このようにして、本発明のポリアルキレングリコール系化合物としての重合体(4)を得た。
【0065】
<合成例5>
攪拌機を備えた容量1350mlのオートクレーブにペンタエリスリトール200g(1.5モル)、30%水酸化カリウム水溶液1.20g(500ppm)を加え、容器を密封した後、減圧ポンプにて、0.015hPaまで減圧しつつ、140℃に昇温し、30分攪拌した。その後、窒素を0.3MPa加えて0.1MPaまで脱気した。これを3度繰り返し、装置内部を窒素置換した。窒素置換後、内部圧力を0.15MPa、150℃とし、エチレンオキシドを充填していった。反応中の窒素/エチレンオキシド分圧が爆発危険範囲以下になるようにしながら、エチレンオキシド518g(11.8モル)を充填。充填後1時間熟成した後、温度を80℃まで下げ、脱気した。脱気ガスは水中に逃がしつつ、容器内部に窒素を加え、十分窒素置換した後、内容物を取り出し、ペンタエリスリトールのEO2mol付加物を得た。
攪拌機を備えた容量3750mlのオートクレーブに、ペンタエリスリトールのEO2mol付加物を300g(0.6モル)、30%水酸化カリウム水溶液4.21g(計500ppm)を加え、容器を密封した後、減圧ポンプにて、0.015hPaまで減圧しつつ、110℃に昇温し、30分攪拌した。その後、窒素を0.3MPa加えて0.1MPaまで脱気した。これを3度繰り返し、装置内部を窒素置換した。窒素置換後、内部圧力を0.17MPa、150℃とし、エチレンオキシドを充填していった。反応中の窒素/エチレンオキシド分圧が爆発危険範囲以下になるようにしながら、エチレンオキシド1901g(43.2モル)を充填。充填後2時間熟成した後、温度を80℃まで下げ、脱気した。脱気ガスは水中に逃がしつつ、容器内部に窒素を加え、十分窒素置換した。ここに、BGEを624g(4.8モル)加え、150℃とし、2時間反応させた。その後、温度を80℃まで下げ、脱気した。脱気ガスは水中に逃がしつつ、容器内部に窒素を加え、十分窒素置換した。このようにして、本発明のポリアルキレングリコール系化合物としての重合体(5)を得た。
【0066】
<ガラス洗浄力>
スターラーにより攪拌分散している20%珪藻土水分散液にガラス板(1×25×75mm)を浸すことにより、ガラス板表面に珪藻土を均一に塗布した。その後、110℃で8時間乾燥し、室温で放冷したものを試験片(人口汚垢)とした。
100mLのトールビーカーに入れた下記表1に示した各硬質表面洗浄剤組成物水溶液120gに、試験片を10分間浸漬し、さらに、500mLのビーカーに入れた純水500gにも10秒間浸漬して濯ぎ、その後、110℃で1時間乾燥し、室温で放冷した。
この試験片について目視評価を行い、光沢を有する部位の露出が見られる場合を○、なければ×とした。
また、下記式のように洗浄前後の試験片の重量減少率から、洗浄率を算出した。
洗浄率(%)=(洗浄前の試験片(g)―洗浄後の試験片(g))/(洗浄前の試験片(g)―ガラス板(g))×100。
評価結果を表2に示した。
【0067】
【表1】

【0068】
【0069】
【表2】

【0070】

表2の結果から、本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、従来の重合体等と比較して良好なガラス洗浄力を示すことが明らかとなった。
従って、本発明の本発明のポリアルキレングリコール系化合物をガラス瓶の洗浄剤として用いると、優れた洗浄力が発現されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価アルコール由来の構造と、3以上のポリアルキレングリコール鎖を有し、
1または2以上の上記ポリアルキレングリコール鎖の末端に疎水基を有する、
ポリアルキレングリコール系化合物。
【請求項2】
請求項1に記載のポリアルキレングリコール系化合物を含む、洗剤組成物。

【公開番号】特開2011−111582(P2011−111582A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271432(P2009−271432)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】