説明

ポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーならびにこれを含む医療機器

本発明は、ポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマー、かかるコポリマーの調製法およびかかるポリマーを含む医療機器に関する。本発明のある態様によれば、ポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーが提供され、これらは、ポリイソブチレンセグメント、ポリイソブチレンセグメントでないさらなるポリマーセグメント、およびジイソシアネートの残基を含むセグメントを含む。本発明の他の態様によって、ポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーが提供され、これらはポリイソブチレンセグメントおよびアルキル、アルケニルまたはアルキニル鎖含有末端基を含む末端基を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーならびにこれを含む医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2008年6月27日に出願された米国特許仮出願第61/076,327号(参照することによってその全体が本明細書に組み入れられる)の優先権を主張する。
患者の体内に移植または挿入するための医療機器においてポリマー材料を使用することは、現代医療活動において一般的である。例えば、シリコンゴム、ポリウレタン、ならびにフルオロポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)およびエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)などのポリマー材料を、メディカルリード(medical lead)用コーティング材料/絶縁体として使用して、機械的保護、電気絶縁性、または両者を得る。
【0003】
別の例として、ステント内再狭窄の影響に対抗するための薬剤を放出するためにステント上にポリマーコーティングを有する薬剤溶出性ステントが公知である。薬剤溶出性冠状動脈ステントの具体例としては、Boston Scientific Corp.(TAXUS(R)、PROMUS(R))、Johnson & Johnson(CYPHER(R))などから市販されているステントが挙げられる。非特許文献1および非特許文献2を参照。例えば、ポリ(n−ブチルメタクリレート)などのホモポリマーならびにポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)、およびポリ(イソブチレン−コ−スチレン)、例えば、ポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン)トリブロックコポリマー(SIBS)などのコポリマーをはじめとする様々な種類のポリマー材料が、このようなポリマーコーティングにおいて使用され、これらは、例えば特許文献1(Pinchukら)に記載されている。SIBSトリブロックコポリマーは、軟質エラストマー低ガラス転移温度(Tg)中間ブロックおよび硬質高Tg末端ブロックを有する。したがって、SIBSコポリマーは、熱可塑性エラストマー、言い換えれば、エラストマー(すなわち、可逆的に変形可能な)ポリマーであって、ポリマーを溶融させることによって(または、SIBSの場合は、ポリマーを好適な溶媒中に溶解させることによって)逆転させることができる物理的架橋を形成するポリマーである。SIBSはまた、高度に生体適合性でもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,545,097号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】S.V.Ranade et al,Acta Biomater.2005 Jan; 1(1):137−44
【非特許文献2】R.Virmani et al.,Circulation 2004 Feb 17,109(6)701−5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ポリイソブチレンウレタンコポリマー、ポリイソブチレン尿素コポリマー、ポリイソブチレンウレタン/尿素コポリマー、かかるコポリマーを作製する方法、およびかかるポリマーを含む医療機器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によって、ポリウレタン、ポリ尿素およびポリウレタン/ポリ尿素が提供され、これらは、ポリイソブチレンセグメント、ポリイソブチレンセグメントでないさらなるポリマーセグメント、およびジイソシアネートの残基を含むセグメントを含む。
【0008】
他の態様によって、ポリウレタン、ポリ尿素およびポリウレタン/ポリ尿素が提供され、これらはポリイソブチレンセグメントおよびアルキル、アルケニルまたはアルキニル鎖含有末端基を含む末端基を含む。
【0009】
本発明のこれらの態様及びその他の態様、実施形態ならびに様々な利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲を検討すると当業者には容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の多くの態様および実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって、本発明をよりよく理解できる。以下の本発明の詳細な説明は、本発明を説明することを意図するものであって、制限するものではない。
【0011】
周知のように、「ポリマー」は、複数個(例えば、5個から、10個まで、25個まで、50個まで、100個まで、250個まで、500個まで、1000個まで、またはそれ以上)の1以上の構成単位(通常、モノマーと称する)を含む分子である。本明細書で用いられる場合、「モノマー」という用語は、遊離モノマーおよびポリマー中に組み込まれたものを意味し、違いはこの用語が使用される文脈から明らかである。
【0012】
ポリマーは、多数の構造をとることができ、このような構造は、例えば、とりわけ直鎖、環状および分岐構造から選択することができる。分岐構造としては、星状構造(例えば、1つの分岐点から3以上の鎖が出ている構造)、櫛状構造(例えば、1つの主鎖および複数の側鎖を有する構造であって、「グラフト」構造とも称する)、樹枝状構造(例えば、樹木状および超分岐ポリマー)などが挙げられる。
【0013】
本明細書において用いられる場合、「ホモポリマー」は、単一の構成単位(すなわちモノマー)を複数個含むポリマーである。「コポリマー」は、少なくとも2つの異なる構成単位を複数個含むポリマーである。
【0014】
本明細書で用いられる場合、「ポリマーセグメント」もしくは「セグメント」は、ポリマーの一部分である。セグメントは、非分岐または分岐であり得る。セグメントは、単一種の構成単位(本明細書では「ホモポリマーセグメント」とも称する)または多種の構成単位(本明細書では「コポリマーセグメント」とも称する)を含むことができ、これらは、例えばランダム分布、統計的分布、勾配分布、または周期的(例えば交互)分布で存在し得る。
【0015】
本明細書において用いられる場合、軟質セグメントは、体温より低いTg、さらに典型的には35℃から、20℃まで、0℃まで、−25℃まで、−50℃まで、またはそれ以下、のTgを示すものである。硬質セグメントは、体温より高いTg、さらに典型的には40℃から50℃まで、75℃まで、100℃まで、またはそれ以上、のTgを示すものである。Tgは、示差走査熱量測定(DSC)、動的機械分析(DMA)および熱機械分析(TMA)によって測定することができる。
【0016】
ポリウレタンは、多官能性イソシアネート(例えば、脂肪族および芳香族ジイソシアネートの両方を包含するジイソシアネート)およびポリオール(例えば、マクログリコール)から合成されるコポリマー群である。一般的に用いられるマクログリコールとしては、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオールおよびポリカーボネートジオールが挙げられる。典型的には、脂肪族もしくは芳香族ジオールまたはジアミンも鎖延長剤として用いることができ、例えば、改善された物理的性質をポリウレタンに付与することができる。ジアミンを鎖延長剤として用いる場合、尿素結合が形成され、結果として得られるポリマーをポリウレタン/ポリ尿素と称する。
【0017】
ポリ尿素は、多官能性イソシアネートならびにポリアミン、例えば、ポリエステルジアミン、ポリエーテルジアミン、ポリシロキサンジアミン、ポリ炭化水素ジアミンおよびポリカーボネートジアミンなどのジアミンから合成されるコポリマー群である。ポリウレタンに関して、脂肪族もしくは芳香族ジオールまたはジアミンを鎖延長剤として用いることができる。
【0018】
本発明のウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーは、典型的には、1以上のポリイソブチレンセグメントを含む。例えば、本発明のある態様にしたがって、ポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーが提供され、これらは、(a)1以上のポリイソブチレンセグメント、(b)1以上のさらなるポリマーセグメント(ポリイソブチレンセグメント以外)、ならびに(c)1以上のジイソシアネート残基および、選択的に1以上の鎖延長剤残基を含む1以上のセグメント、を含む。
【0019】
さらなるポリマーセグメントの例としては、軟質ポリマーセグメント、例えばポリエーテルセグメント、フッ素化ポリエーテルセグメントをはじめとするフルオロポリマーセグメント、ポリエステルセグメント、ポリ(アクリレート)セグメント、ポリ(メタクリレート)セグメント、ポリシロキサンセグメント、およびポリカーボネートセグメントが挙げられる。
【0020】
軟質ポリエーテルセグメントの例としては、直鎖、分岐および環状ホモポリ(アルキレンオキシド)ならびにコポリ(アルキレンオキシド)セグメント、例えばとりわけ以下の:メチレンオキシド、ジメチレンオキシド(エチレンオキシド)、トリメチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびテトラメチレンオキシドのうちの1以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが挙げられる。
【0021】
この点に関して、いくつかの実施形態において、ポリエーテルジオール相溶化剤、例えばポリテトラメチレンオキシドジオール(PTMOジオール)またはポリヘキサメチレンオキシドジオール(PHMOジオール)を合成プロセスの間にポリイソブチレンジオールに添加して、ポリウレタン硬質セグメントのPIB軟質セグメント中への均質な分配を促進し、ポリマーにおいて有利なミクロ相分離を達成することができる。このようなポリアルキレンオキシドは、重要な機械的特性、例えば以下の:特に、引張強度、引張係数、曲げ弾性率、伸長、引裂強度、屈曲疲れ、引張クリープ、および磨耗性能のうちの1以上を改善することもできる。反応混合物中の軟質セグメント組成物は、PIBジオールのポリエーテルジオールに対する重量比を例えば、99:1から95:5まで、90:10まで、75:25まで、50:50まで、25:75まで、10:90まで、5:95まで、又は1:99までへ、さらに好ましくは90:10から85:15まで、80:20まで、75:35まで、又は70:30までへ、と変更することによって変わり得る。
【0022】
同様に、本発明のポリウレタン中の軟質セグメントの硬質セグメントに対する重量比は、例えば、99:1から95:5まで、90:10まで、75:25まで、50:50まで、25:75まで、10:90まで、5:95まで、又は1:99までへ、さらに好ましくは95:5から、90:10まで、80:20まで、70:30まで、65:35まで、60:40まで、又は50:50へと変更可能であり、様々なショア硬度、広範囲の物理的特性および機械的特性、ならびに多くの機能性能を得ることができる。
【0023】
軟質フルオロポリマーセグメントの例としては、パーフルオロアクリレートセグメントおよびフッ素化ポリエーテルセグメント、例えば、直鎖、分岐および環状ホモポリ(フッ素化アルキレンオキシド)およびコポリ(フッ素化アルキレンオキシド)セグメント、例えば、とりわけ以下の:パーフルオロメチレンオキシド、パーフルオロジメチレンオキシド(パーフルオロエチレンオキシド)、パーフルオロトリメチレンオキシド、およびパーフルオロプロピレンオキシドのうちの1以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが挙げられる。
【0024】
軟質ポリエステルセグメントの例としては、とりわけ以下の:エチレンアジペート、プロピレンアジペート、テトラメチレンアジペート、およびヘキサメチレンアジペートをはじめとするアルキレンアジペートのうちの1以上から形成される直鎖、分岐および環状ホモポリマーおよびコポリマーセグメントが挙げられる。
【0025】
軟質ポリ(アクリレート)セグメントの例としては、直鎖、分岐および環状ホモポリ(アクリレート)およびコポリ(アクリレート)セグメント、例えばとりわけ以下の:メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、およびドデシルアクリレートなどのアルキルアクリレートのうちの1以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが挙げられる。
【0026】
軟質ポリ(メタクリレート)セグメントの例としては、直鎖、分岐および環状ホモポリ(メタクリレート)およびコポリ(メタクリレート)セグメント、例えばとりわけ以下の:ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、およびオクタデシルメタクリレートなどのアルキルメタクリレートのうちの1以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが挙げられる。
【0027】
軟質ポリシロキサンセグメントの例としては、直鎖、分岐および環状ホモポリシロキサンおよびコポリシロキサンセグメント、例えばとりわけ以下の:ジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、およびメチルエチルシロキサンのうちの1以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが挙げられる。
【0028】
軟質ポリカーボネートセグメントの例には、1種以上のカーボネート単位
【0029】
【化1】

(式中、Rは、直鎖、分岐および環状アルキル基から選択される)を含むものが含まれる。具体例としては、とりわけ以下の:エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、およびヘキサメチレンカーボネートのうちの1以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが挙げられる。
【0030】
さらなるポリマーセグメントの例としては、硬質ポリマーセグメント、例えばポリ(ビニル芳香族)セグメント、ポリ(アルキルアクリレート)およびポリ(アルキルメタクリレート)セグメントも挙げられる。
【0031】
硬質ポリ(ビニル芳香族)セグメントの例としては、直鎖、分岐および環状ホモポリ(ビニル芳香族)およびコポリ(ビニル芳香族)セグメント、例えば、とりわけ以下のビニル芳香族モノマー:スチレン、2−ビニルナフタレン、アルファ−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−アセトキシスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、および4−メチルスチレンのうちの1以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが挙げられる。
【0032】
硬質ポリ(アクリレート)セグメントの例としては、直鎖、分岐および環状ホモポリ(アルキルアクリレート)およびコポリ(アルキルアクリレート)セグメント、例えば、とりわけ以下のアクリレートモノマー:tert−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、およびイソボルニルアクリレートのうちの1以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが挙げられる。
【0033】
硬質ポリ(アルキルメタクリレート)セグメントの例としては、直鎖、分岐および環状ホモポリ(アルキルメタクリレート)およびコポリ(アルキルメタクリレート)セグメント、例えば、とりわけ以下のアルキルメタクリレートモノマー:メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、およびシクロヘキシルメタクリレートのうちの1以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが挙げられる。
【0034】
本明細書に記載される様々なポリマーセグメントは、分子量が大きく異なり得るが、典型的には2〜100の繰り返し単位(モノマー単位)から構成される。
本明細書で記載される様々なポリマーセグメントを、ポリオール(例えば、ジオール、トリオールなど)およびポリアミン(例えば、ジアミン、トリアミンなど)の形態で提供することによって、本発明のポリウレタン、ポリ尿素およびポリウレタン/ポリ尿素中に組み入れることができる。後に続く議論は一般的にポリオールの使用に基づくが、当然のことながら、ポリアミンおよびポリオール/ポリアミンの組み合わせを用いて、類似の方法を実施することができ、類似の組成物を作製することができる。
【0035】
ポリイソブチレンポリオールの具体例としては、直鎖ポリイソブチレンジオールおよび分岐(三分岐)ポリイソブチレントリオールが挙げられる。例えば、J.P.Kennedy et al.,“Designed Polymers by Carbocationic Macromolecular Engineering:Theory and Practice,” Hanser Publishers 1991,pp.191−193,Joseph P.Kennedy,Journal of Elastomers and Plastics 1985 17:82−88、およびここに記載される参考文献を参照。さらなる具体例としては、各末端に末端OH官能基を有する直鎖ポリイソブチレンジオールが挙げられる。ポリイソブチレンポリオールのさらなる例としては、ポリ(スチレン−コ−イソブチレン)ジオールおよび、例えば、前記Kennedyの文献で記載されるものと類似した方法を用いて形成することができるポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン)ジオールが挙げられる。ポリエーテルポリオールの例としては、ポリテトラメチレンオキシドジオールが挙げられ、これはSigna−Aldrich Co.(米国ミズーリ州セントルイス)およびE.I.duPont de Nemours and Co.(米国デラウェア州ウィルミントン)をはじめとする様々な供給源から入手できる。ポリシロキサンポリオールの例としては、Dow Corning Corp.(米国ミシガン州ミッドランド)、チッソ株式会社(日本国東京)をはじめとする様々な供給源から入手できるポリジメチルシロキサンジオールが挙げられる。ポリカーボネートポリオールの例としては、Sigma−Aldrich Co.から入手可能なものなどのポリヘキサメチレンカーボネートジオールが挙げられる。ポリフルオロアルキレンオキシドジオールの例としては、ZDOLTX(Ausimont(イタリア国ブッシ))(エトキシル化単位によって末端がキャッピングされた−CFCFO−および−CFO−単位、すなわち、H(OCHCHOCHCFO(CFCFO)(CFO)CFCHO(CHCHO)H(式中、n、pおよびqは整数である)のランダム分布を含むコポリパーフルオロアルキレンオキシドジオール)が挙げられる。様々な分子量のポリスチレンジオール(α,ω−ジヒドロキシ末端ポリスチレン)が、Polymer Source,Inc.(カナダ国モントリオール)から入手可能である。ポリスチレンジオールおよび三分岐トリオールは、例えば、M.Weissmuellerら、“Preparation and end−linking of hydroxyl−terminated polystyrene star macromolecules,” Macromolecular Chemistry and Physics 200(3)、1999,541−551で記載されているものと類似の手順を用いて形成することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、ブロックコポリマーベースのポリオール(例えば、ジオール、トリオールなど)を用いる。このようなブロックコポリマーポリオールの例としては、ポリ(テトラメチレンオキシド−b−イソブチレン)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキシド−b−イソブチレン−b−アルキレンオキシド)ジオール、ポリ(ジメチルシロキサン−b−イソブチレン)ジオール、ポリ(ジメチルシロキサン−b−イソブチレン−b−ジメチルシロキサン)ジオール、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート−b−イソブチレン)ジオール、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート−b−イソブチレン−b−ヘキサメチレンカーボネート)ジオール、ポリ(メチルメタクリレート−b−イソブチレン)ジオール、ポリ(メチルメタクリレート−b−イソブチレン−b−メチルメタクリレート)ジオール、ポリ(スチレン−b−イソブチレン)ジオール、およびポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン)ジオール(SIBSジオール)が挙げられる。
【0037】
前述のように、本発明のポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーは、典型的には、1以上のジイソシアネート残基および、選択的に1以上の鎖延長剤残基を含む1以上のセグメントを含む。
【0038】
本発明のウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーの形成において用いられるジイソシアネートとしては、芳香族および非芳香族(例えば脂肪族)ジイソシアネートが挙げられる。芳香族ジイソシアネートは、とりわけ以下の:4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート、3,3’−トリデン−4,4’−ジイソシアネート、および3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートのうちの好適な構成要素から選択することができる。非芳香族ジイソシアネートは、とりわけ以下の:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3−イソシアナートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート、および2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)のうちの好適なものから選択することができる。
【0039】
任意の鎖延長剤は、典型的には脂肪族もしくは芳香族ジオール(この場合、イソシアネート基との反応によってウレタン結合が形成される)または脂肪族もしくは芳香族ジアミン(この場合、イソシアネート基との反応によって尿素結合が形成される)である。鎖延長剤は、とりわけ以下の:アルファ,オメガ−アルカンジオール、例えばエチレングリコール(1,2−エタンジオール)、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、アルファ,オメガ−アルカンジアミン、例えばエチレンジアミン、ジブチルアミン(1,4−ブタンジアミン)、および1,6−ヘキサンジアミン、または4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)のうちの好適なものから選択することができる。
【0040】
鎖延長剤は、とりわけ以下の:硬質および軟質ポリマーセグメント(さらに典型的には、軟質ポリマーセグメント)、例えば前記のものをベースとする短鎖ジオールポリマー(例えば、1000以下の分子量を有するアルファ,オメガ−ジヒドロキシ末端ポリマー)、例えば短鎖ポリイソブチレンジオール、短鎖ポリエーテルポリオール、例えばポリテトラメチレンオキシドジオール、短鎖ポリシロキサンジオール、例えばポリジメチルシロキサンジオール、短鎖ポリカーボネートジオール、例えばポリヘキサメチレンカーボネートジオール、短鎖ポリ(フッ素化エーテル)ジオール、短鎖ポリエステルジオール、短鎖ポリアクリレートジオール、短鎖ポリメタクリレートジオール、および短鎖ポリ(ビニル芳香族)ジオールのうちの好適なものから選択することもできる。ポリウレタンの分野で公知のように、鎖延長剤は硬質セグメントの長さを延長することができ(または、言い方を変えると、ウレタン、尿素またはウレタン/尿素ポリマー中の硬質セグメント材料の軟質セグメント材料に対する比を増大させることができ)、これは次にさらなる高弾性、低破断点伸びおよび増大した強度を有するポリマーをもたらす。
【0041】
本発明のある他の態様において、ポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーが提供され、これは(a)1以上のポリイソブチレンセグメント、(b)場合によって、ポリイソブチレンセグメント以外の1以上のさらなるセグメント、(c)1以上のジイソシアネート残基、(d)選択的に、1以上の鎖延長剤残基、および(e)1〜18炭素鎖長の範囲のアルキル、アルケニルまたはアルキニル鎖を含む末端基を含む。例えば、このような末端基は、とりわけ、[−CH−CH基、[−CH−CF基、[−CH−C基(すなわち、[−CH−ph)、およびこれらの組み合わせから選択することができる(式中、nは1〜17の範囲である(例えば、1乃至2、1乃至3、1乃至4、1乃至5、1乃至6、1乃至7、1乃至8、1乃至9、1乃至10、1乃至11、1乃至12、1乃至13、1乃至14、1乃至15、1乃至16、1乃至17))。
【0042】
本発明のポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーは、例えばバルクで、または好適な溶媒(例えば、重合反応に関与する様々な種を溶解できるもの)を用いて合成することができる。ある実施形態において、本発明のポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーは、反応押出によって合成される。
【0043】
ある実施形態において、本発明のポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーの生物学的安定性および/または生体適合性は、生体内に移植された場合にポリマー表面に移動することができ、合成プロセスに関係なく自己集合して望ましい免疫原性反応を引き起こすことができる脂肪族短鎖(例えば、[−CH−CH基、[−CH−C(CH基、[−CH−CF基、[−CH−C(CF基、[−CH−CHOH基、[−CH−C(OH)基、および[−CH−C基など(式中、nはとりわけ値が、例えば、1乃至2、1乃至5、1乃至10、1乃至15、1乃至20の範囲であり得る)でコポリマーをエンドキャッピングすることによって改善することができる。あるいは、表面に移動することができ、自己集合することができる脂肪族短鎖(例えば、[−CH−b−[−CHO]−CH基、[−CH−b−[−CHO]−CHCHC(CH基、[−CH−b−[−CHO]−CHCHCF基、[−CH−b−[−CHO]−CHCHC(CF基、[−CH−b−[−CHO]−CHCHOH基、[−CH−b−[−CHO]−C(OH)基、[−CH−b−[−CHO]−CHCH−C基など(式中、nはとりわけ値が、例えば1乃至2、1乃至5、1乃至10、1乃至15、1乃至20の範囲であり得る)を有するブロックコポリマーまたはブロックターポリマーは、合成の終わり頃にコポリマーとブレンドすることができる。反応押出の場合、押出物が押出機から出てくる直前にブレンドすることができる。
【0044】
様々な合成法を用いて、本発明のポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素ポリマーを作製することができる。これらの方法は、典型的には、(a)1以上のポリオール(通常、ジオール)種および1以上のポリイソシアネート(通常、ジイソシアネート)種、(b)1以上のポリアミン(通常、ジアミン)種および1以上のポリイソシアネート種、または(c)1以上のポリオール種、1以上のポリアミン種および1以上のポリイソシアネート種の反応を含む。反応は、例えば、有機溶媒中、または超臨界COを溶媒として使用して実施することができる。ポリマー沈降のためにイオノマーを使用できる。
【0045】
前述したように、後に続く議論は一般的にポリオールの使用に基づくが、当然のことながら、ポリアミンおよびポリオール/ポリアミンの組み合わせを用いて類似の方法を実施し、類似の組成物を作製することができる。
【0046】
例えば、ある実施形態において、第1マクロジオール(M1)(例えば、SIBSジオールなどのブロックコポリマージオール)およびジイソシアネート(DI)(例えば、MDI、TDIなど)を単一段階で反応させる、一段階法を用いることができる。ジイソシアネートの第1マクロジオールに対するモル比は1:1である。この技術を用いて、交互マクロジオールおよびジイソシアネート残基、すなわち、−[DI−M1−](式中、nは整数である)を有するポリウレタンを形成することができる。いくつかの実施形態において、ジオールまたはジアミン鎖延長剤(CE)(例えば、1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど)を反応混合物中に含め、この場合、ジイソシアネートの第1マクロジオールと鎖延長剤との組み合わせに対するモル比は1:1である。例えば、DI:M1:CE比は、多くの可能性の中でも特に、2:1:1、2:1.5:0.5、2:0.5:1.5であり得る。2:1:1に等しいDI:M1:CE比を用いる場合、以下の構造−[DI−M1−DI−CE−]を有するポリウレタンが形成され得る。この種の反応は、統計的分布にしたがうと報告されており、したがってM1およびCE残基は、示されるように完璧に交互である可能性は低い。例えば、F.Wang、“Polydimethylsiloxane Modification of Segmented Thermoplastic Polyurethanes and Polyureas”,Ph.D.dissertation,Virginia Polytechnic Institute and State University,April 13,1998を参照。
【0047】
他の実施形態において、二段階反応が用いられ、この場合、イソシアネートエンドキャッピングされた「プレポリマー」、DI−M1−DIを形成するために、第1マクロジオールおよびジイソシアネートを単一段階において≧2:1のDI:M1モル比で反応させる。次いで、第2段階において、鎖延長剤を、第1マクロジオールと鎖延長剤の組み合わせに対するジイソシアネートの全体的なモル比を1:1に維持するために必要ならば、さらなるジイソシアネートとともに添加する。前記のように、2:1:1に等しいDI:M1:CEのモル比を用いる場合、以下の構造−[DI−M1−DI−CE−]を有するポリウレタンが形成され得るが、M1およびCE残基は、示されるように完璧に交互である可能性は低い。向上された反応制御のために、二段階法によって調製されるポリウレタンは、一段階法によって調製される対応するポリウレタンよりも規則的な構造を有する傾向がある。
【0048】
ある他の実施形態において、一段階法を用いることができ、ここでは、第1マクロジオール(M1)(例えば、ポリイソブチレンジオール、SIBSジオールなど)、第2マクロジオール(M2)(例えば、ポリエーテルジオール、フルオロポリマージオール、ポリシロキサンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、ポリアクリレートジオール、ポリメタクリレートジオール、ポリスチレンジオールなど)、およびジイソシアネート(DI)(例えば、MDI、TDIなど)を単一段階において反応させる。第1および第2ジオールに対するジイソシアネートのモル比は1:1である。例えば、DI:M1:M2比は、多くの可能性の中でも特に、2:1:1、2:1.5:0.5、2:0.5:1.5であり得る。2:1:1に等しいDI:M1:M2比が用いられる場合、次の構造−[DI−M1−DI−M2−]を有するポリウレタンが形成され得るが、この鎖は示されるように完璧に交互である可能性は低い。いくつかの実施形態において、鎖延長剤を反応混合物に添加して、第1および第2マクロジオールならびに鎖延長剤に対するジイソシアネートのモル比を1:1とする。例えば、DI:M1:M2:CE比は、多くの可能性の中でも特に、4:1:1:2、2:0.67:0.33:1、2:0.33:0.67:1、または5:1:1:3であり得る。4:1:1:2に等しいDI:M1:M2:CE比が用いられる場合、次の構造−[DI−M1−DI−CE−DI−M2−DI−CE−]を有するポリウレタンが形成され得るが、この鎖は示されるように完璧に交互である可能性は低い。
【0049】
いくつかの実施形態において、二段階法が用いられ、ここでは、第1および第2マクロジオールならびにジイソシアネートを第1段階において≧2:1:1のDI:M1:M2比で反応させて、イソシアネートでキャッピングされた第1および第2マクロジオール、例えばDI−M1−DIおよびDI−M2−DIを形成する。第2段階において、マクロジオールのイソシアネートエンドキャップと反応する鎖延長剤を添加する。いくつかの実施形態において、鎖延長剤のヒドロキシルまたはアミン基のモル数は、マクロジオールのイソシアネートエンドキャップのモル数を超える可能性があり、この場合、好適な全体的化学量論を維持するために必要ならば、さらなるジイソシアネートを第2段階において添加することができる。前述のように、ジイソシアネートの、第1マクロジオール、第2マクロジオール、および鎖延長剤の合計に対するモル比は、典型的には、1:1であり、例えば、DI:M1:M2:CEは4:1:1:2に等しく、これにより、理論上は以下の繰り返し構造−[DI−M1−DI−CE−DI−M2−DI−CE−]を有する理想的なポリウレタンを得ることができるが、この鎖は示されるように完璧に交互である可能性は低い。他の例においては、DI:M1:M2:CE比は、多くの可能性の中でも特に、4:1.5:0.5:2または5:1:1:3であり得る。
【0050】
いくつかの実施形態において、3、4またはそれ以上の段階を用いることができ、この場合、第1マクロジオールおよびジイソシアネートを第1段階において反応させて、イソシアネートでキャッピングされた第1マクロジオールが、典型的には≧2:1のDI:M1比で形成され、したがってイソシアネートエンドキャップが第1マクロジオールの各末端で形成される(1:1のDI:M1比をはじめとする他の比率が可能であるが、これはマクロジオールにつき平均1個のイソシアネートエンドキャップを生じる)。この段階に続いて、第2段階を行い、この第2段階では、第2マクロジオールを添加し、これはイソシアネートでキャッピングされた第1マクロジオールのイソシアネートエンドキャップの一方または両方と反応する。DI、M1およびM2の相対的比率に応じて、この段階を用いて、M2−DI−M1−DI−M2(DI:M1:M2比=2:1:2に関して)、M2−DI−M1−DI(DI:M1:M2比=2:1:1に関して)、またはM1−DI−M2(DI:M1:M2比=1:1:1に関して)などの構造を(いくつかの統計的可能性の中でも特に)作製することができる。
【0051】
ある実施形態において、混合マクロジオールプレポリマー、例えば、とりわけ前段落におけるもの(例えば、M2−DI−M1−DI−M2、M1−DI−M2−DI−M1、DI−M1−DI−M2など)を、ジオールまたはジアミン鎖延長剤およびジイソシアネート(化学量論を維持するために必要ならば)と同時に反応させる。例えば、鎖延長プロセスを用いて、とりわけ以下の並び:−[DI−M2−DI−M1−DI−M2−DI−CE−]、−[DI−M1−DI−M2−DI−M1−DI−CE−]または−[DI−M1−DI−M2−DI−CE−]に沿った理想的な構造を作製することができるが、ここでも、鎖は示されるように完璧に交互である可能性は低い。
【0052】
ある他の実施形態において、混合マクロジオールプレポリマーを、混合マクロジオールプレポリマーのイソシアネートエンドキャップを形成するために十分なジイソシアネートと反応させる(例えば、いくつかの可能性の中でも特に、DI−M2−DI−M1−DI−M2−DI、DI−M1−DI−M2−DI−M1−DIまたはDI−M1−DI−M2−DIを得る)。このイソシアネートでエンドキャッピングされた混合マクロジオールを、次いでジオールまたはジアミン鎖延長剤(および化学量論を維持するために必要ならば、ジイソシアネート)と反応させることができる。例えば、イソシアネートでエンドキャッピングされた混合マクロジオールを等モル量の鎖延長剤と反応させて、とりわけ以下の式:−[DI−M2−DI−M1−DI−M2−DI−CE−]、−[DI−M1−DI−M2−DI−M1−DI−CE−]または−[DI−M1−DI−M2−DI−CE−]の理想的な構造を得ることができる。
【0053】
前述のように、本発明のいくつかの実施形態において、とりわけ[−CH−CHまたは[−CH−CFまたは[−CH−C末端基などの、アルキル、アルケニルまたはアルキニル鎖含有末端基を有するウレタン、尿素およびウレタン/尿素分子が形成される。例えば、ウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマー、例えば前記のもののうちの1つを、式HO[−CH−CHまたは式HO[−CH−CFまたは式HO[−CH−Cの分子と、好ましくはウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマーにイソシアネートエンドキャップが確実に提供された後に、反応させることによって、このようなポリマーを形成することができる。
【0054】
本発明の様々な態様によれば、移植可能および挿入可能な医療機器であって、1以上のポリイソブチレンウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマーを含む1以上のポリマー領域を含む医療機器が提供される。本明細書で用いられる場合、「ポリマー領域」は、例えば、50重量%以下から、75重量%まで、90重量%まで、95重量%まで、97.5重量%まで、99重量%まで、またはそれ以上、のポリマーを含む領域(例えば、装置全体、装置部品、装置コーティング層など)である。
【0055】
本発明を実施するための医療機器の例としては、移植可能または挿入可能な医療機器、例えば、移植可能な電気刺激システム、例えば神経刺激(neurostimulation)システム、とりわけ脊髄電気刺激(SCS)システム、脳深部電気刺激(DBS)システム、末梢神経刺激(PNS)システム、胃神経刺激システム、人工内耳システム、および網膜移植システムなど、ならびに心臓システム、例えば移植可能なペースメーカーシステム、植込み型除細動器(ICD)、ならびに心臓再同期および除細動(CRDT)装置(リード絶縁体、体外絶縁体を含むリード用ポリマー成分を含む)、および前記移植可能な電気刺激システム用成分、ステント(冠血管ステント、末梢血管ステント、脳、尿道、尿管、胆管、気管、胃腸および食道ステントを包含する)、ステントカバー、ステント移植皮弁、人工血管、心臓弁および血管弁をはじめとする弁、腹部大動脈瘤(AAA)装置(例えば、AAAステント、AAAグラフトなど)、血管アクセスポート、透析用ポート、塞栓形成装置、例えば脳動脈瘤フィラーコイル(ググリルミ(Guglilmi)離脱型コイルおよび金属コイルを包含する)、塞栓剤、組織膨張(tissue bulking)装置、カテーテル(例えば、腎臓または血管カテーテル、例えばバルーン付カテーテルおよび様々な中心静脈カテーテル)、ガイドワイヤ、バルーン、フィルター(例えば、大静脈フィルターおよび蒸留保護(distil protection)装置用メッシュフィルター)、中隔欠損閉鎖装置、心筋プラグ、パッチ、心室補助装置、例えば左心室補助心臓およびポンプ、完全人工心臓、シャント、吻合クリップおよびリング、ならびに軟骨、骨、皮膚および他の生体内組織再生用組織工学スキャフォールド(例えば、多孔質スキャフォールド、組織集積用エレクトロスパンフィルムおよびメンブラン)、尿道スリング、ヘルニア「メッシュ」、人工靱帯、整形外科用補綴、ワン・グラフト(one grafts)、脊椎円板、人工歯根、生検装置、ならびに体内に移植もしくは挿入される任意のコーティングされた基体(例えば、金属、ポリマー、セラミックおよびこれらの組み合わせを含み得る)が挙げられる。
【0056】
いくつかの実施形態においては、本発明のポリマー領域は、医療機器全体に対応する。他の実施形態においては、ポリマー領域は、医療機器の1以上の部分に対応する。例えば、ポリマー領域は、医療機器成分の形態、医療機器中に組み入れられる1以上の繊維の形態、基礎となる基体の全体またはごく一部上に形成される1以上のポリマー層の形態などであり得る。基礎となる医療機器基体として用いられる物質としては、セラミック、金属およびポリマー基体が挙げられる。層は、基礎となる基体上に様々な位置および様々な形状(例えば、一連の長方形、ストライプ、または任意の他の連続もしくは非連続パターンの形態)において提供することができる。本明細書において用いられる場合、所与の物質の「層」は、その厚さが、長さと幅の両方と比べて小さい物質の領域である。本明細書において用いられる場合、層は平面的である必要はなく、例えば、基礎となる基体の輪郭を呈してもよい。層は不連続(例えば、パターン化)であり得る。
【0057】
ある好適な実施形態において、本発明のポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーを、多くの用途の中でも特に、移植可能な導線の内側もしくは外側コーティングの形態で用いることができるか、リード本体成分(例えば、シールOリングなど)を形成するために用いることができるか、または、ペースメーカー、除細動器もしくは心不全装置のポリマー成分を形成するために用いることができる。
【0058】
したがって、本発明のポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーは、これを通って少なくとも1つの導体が伸びるリード絶縁体成分、例えばシングル・ルーメンおよびマルチ・ルーメン押出および管状(管の形状の)絶縁体層、ならびにリードチップ材料、ヘッダー、および様々な他のリード成分を形成するために用いることができる。本発明のコポリマーを含む物質は、電子シグナル発生/検知成分の封入/絶縁材料として用いることもでき、その例としては、移植可能なパルス発生器、植込み型除細動器(ICD)および移植可能な心臓再同期治療(CRT)装置が挙げられる。かかる電子シグナル発生/検知成分を、例えば、右心室リードシステム、右心房リードシステム、および左心房/心室リードシステムとあわせて用いることができ、例えば、脊椎動物対象(ヒト、ペットおよび家畜を包含する)において徐脈、頻脈(例えば、心室性頻脈)または心臓同期不全を治療するために用いることができる。前述のように、本発明は、とりわけ、脊髄電気刺激(SCS)システム、脳深部電気刺激(DBS)システム、末梢神経刺激(PNS)システム、胃神経刺激システム、人工内耳システム、網膜移植システム、および疼痛管理システムなどの神経刺激システムのリードおよび電子シグナル発生/検知成分にも適用可能である。
【0059】
現在、医療機器分野で用いられる様々な既知ポリウレタン(例えば、ポリエーテル、ポリエステル、およびポリカーボネートベースのポリウレタンおよび/またはこれらのポリジメチルシロキサンとのブレンド/コポリマー)は、患者の体内に挿入すると、体内で遭遇する厳しい(例えば、酸化的、加水分解的、酵素的)条件のために、最終的に環境応力亀裂を示し得る。このようなポリウレタンをリード絶縁材料として用いる場合、このような亀裂によって絶縁体が裂ける可能性があり、これによって体液がリードに侵入し、例えば(1つもしくは複数の)導体および/または電子部品間で短絡が起こり、これによって(1つもしくは複数の)導体中に電流が発生する。さらに、導線内の(1つもしくは複数の)金属導体は、多くの場合、生体内環境においてゆっくりと腐食する。ゆっくりとした腐食からこのようにして生じる金属イオンは、ポリウレタンをはじめとする様々な絶縁材料と反応して、金属イオン酸化(MIO)を引き起こすことが知られ、この金属イオン酸化の結果、材料の分解および劣化が起こり得る。これによって、電池が急速に減耗し、装置が確実に治療を提供する能力に影響を及ぼす可能性がある。
【0060】
他方、本発明のポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーは、向上した生物学的安定性および生体適合性を有すると考えられる。この点に関して、本発明のコポリマー内のポリイソブチレンセグメントは、ポリエーテル、ポリエステル、およびポリカーボネートベースのポリウレタンおよび/またはこれらのポリジメチルシロキサンとのブレンド/コポリマーなどの既知ポリウレタン軟質セグメントと比べて、分解(例えば、酸化的、加水分解的、酵素的、金属イオン)に対して高度に耐性であると考えられる。ポリイソブチレンも良好なバリア特性を有することが知られ、生体適合性である。
【0061】
1以上のポリマーに加えて、本発明の医療機器において用いられるポリマー領域は、選択的に1以上の補助的薬剤を含んでもよい。
例えば、いくつかの実施形態において、有機修飾されたシリケートを、補助的薬剤としてのポリマー領域を形成するポリマーとブレンドする。このような薬剤は、水分の蛇行経路を形成し、これによって、この領域の水分透過性を減少させる働きをし得る。さらに、このようなシリケートは、物質の強度を維持し、弾性を増大させることができる。補助的薬剤は、さらに、アルミナ、銀ナノ粒子、およびシリケート/アルミナ/銀ナノ粒子複合体などの薬剤を含む。
【0062】
いくつかの実施形態において、1以上の治療薬を、本発明のポリマー領域の下に含めるか、ポリマー領域内に含めるか(例えば、ブレンドする)、またはポリマー領域に結合させる(例えば、共有結合または非共有結合させる)。「治療薬」、「薬剤」、「薬剤的に活性な薬剤」「薬剤的に活性な物質」、および他の関連する用語は、本明細書では交換可能に用いることができる。
【0063】
様々な疾患および状態の治療(すなわち、疾患または状態の予防、疾患または状態に関連する症状の軽減もしくは除去、あるいは疾患または状態の実質的もしくは完全な除去)のために用いられるものをはじめとする様々な治療薬を、本発明に関連して用いることができる。
【0064】
本発明に関連して用いられる治療薬の例としては、以下のものが挙げられる:(a)抗血栓剤、例えばヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、クロピドグレル、およびPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)、(b)抗炎症剤、例えばデキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジンおよびメサラミン、(c)抗腫瘍/抗増殖/抗縮瞳剤、例えばパクリタキセル、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンギオスタチン、アンギオペプチン、平滑筋細胞増殖をブロックできるモノクローナル抗体、およびチミジンキナーゼ阻害剤、(d)麻酔剤、例えばリドカイン、ブピバカインおよびロピバカイン、(e)抗凝固剤、例えばD−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、ヒルジン、アンチトロンビン化合物、血小板受容体拮抗物質、アンチトロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、およびマダニ抗血小板ペプチド、(f)血管細胞成長促進剤、例えば成長因子、転写活性剤、および翻訳促進剤、(g)血管細胞成長阻害剤、例えば成長因子阻害剤、成長因子受容体拮抗物質、転写リプレッサー、翻訳リプレッサー、複製阻害剤、抑制抗体、成長因子に対する抗体、成長因子および細胞毒素からなる二官能性分子、抗体および細胞毒素からなる二官能性分子、(h)プロテインキナーゼおよびチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、チロホスチン、ゲニステイン、キノキサリン)、(i)プロスタサイクリン類似体、(j)コレステロール降下剤、(k)アンジオポイエチン、(l)抗菌剤、例えばトリクロサン、セファロスポリン、アミノグリコシドおよびニトロフラントイン、(m)細胞毒性薬、細胞増殖抑制薬および細胞増殖影響因子、(n)血管拡張剤、(o)内因性血管作動機構を妨害する薬剤、(p)白血球動員の阻害剤、例えばモノクローナル抗体、(q)サイトカイン、(r)ホルモン、(s)HSP90タンパク質の阻害剤(すなわち、熱ショックタンパク質であって、これは、分子シャペロンまたはハウスキーピングタンパク質であり、細胞の成長および生存に関与する他のクライアントタンパク質/シグナル伝達タンパク質の安定性および機能に必要である)、例えばゲルダナマイシン、(t)アルファ受容体拮抗物質(例えば、ドキサゾシン、タムスロシン)およびベータ受容体作用薬(例えば、ドブタミン、サルメテロール)、ベータ受容体拮抗物質(例えば、アテノロール、メタプロロール(metaprolol)、ブトキサミン)、アンジオテンシンII受容体拮抗物質(例えば、ロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタンおよびテルミサルタン)、ならびに鎮痙剤(例えば、塩化オキシブチニン、フラボキセート、トルテロジン、硫酸ヒヨスチアミン、ジクロミン(diclomine)、(u)bARKct阻害剤、(v)ホスホランバン阻害剤、(w)Serca2遺伝子/タンパク質、(x)免疫反応修飾剤、例えばアミノキゾリン(aminoquizoline)、例えばイミダゾキノリン、例えばレシキモドおよびイミキモド、(y)ヒトアポリオタンパク質(apolioprotein)(例えば、AI、AII、AIII、AIV、AVなど)、(z)選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)、例えばラロキシフェン、ラソフォキシフェン、アルゾキシフェン、ミプロキシフェン、オスペミフェン、PKS3741、MF101およびSR16234、(aa)PPAR作動薬、例えばPPAR−アルファ、ガンマおよびデルタ作動薬、例えばロシグリタゾン、ピオグリタゾン、ネトグリタゾン、フェノフィブラート、ベキサロテン、メタグリダセン、リボグリタゾンおよびテサグリタザル、(bb)プロスタグランジンE作動薬、例えばPGE2作動薬、例えばアルプロスタジルまたはONO8815Ly、(cc)トロンビン受容体活性化ペプチド(TRAP)、(dd)バソペプチダーゼ阻害剤、例えばベナゼプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラミプリル、イミダプリル、デラプリル、モエキシプリルおよびスピラプリル、(ee)チモシンベータ4、(ff)リン脂質、例えばホスホリルコリン、ホスファチジルイノシトールおよびホスファチジルコリン、(gg)VLA−4拮抗物質およびVCAM−1拮抗物質、(hh)非汚染タンパク質耐性剤、例えばポリエチレングリコール、ならびに(ii)プロヒーリング(prohealing)剤。
【0065】
多くの治療薬は、必ずしも前記のものを除く必要はなく、血管治療計画の候補として、例えば再狭窄を対象とする薬剤(抗再狭窄剤)として認定されている。このような薬剤は、本発明の実施に有用であり、以下のもののうちの1以上を含む:(a)Caチャンネルブロッカー、例えばベンゾチアゼピン、例えばジルチアゼムおよびクレンチアゼム、ジヒドロピリジン、例えばニフェジピン、アムロジピンおよびニカルダピン(nicardapine)、ならびにフェニルアルキルアミン、例えばベラパミル、(b)セロトニン経路モジュレータ、例えば5−HT拮抗物質、例えばケタンセリンおよびナフチドロフリル、ならびに5−HT吸収阻害剤、例えばフルオキセチン、(c)環状ヌクレオチド経路剤、例えばホスホジエステラーゼ阻害剤、例えばシロスタゾールおよびジピリダモール、アデニレート/グアニレートシクラーゼ刺激剤、例えばホルスコリン、ならびにアデノシン類似体、(d)カテコールアミンモジュレータ、例えばα−拮抗物質、例えばプラゾシンおよびブナゾシン、β−拮抗物質、例えばプロプラノルオールおよびα/β−拮抗物質、例えばラベタロールおよびカルベジロール、(e)エンドセリン受容体拮抗物質、例えばボセンタン、シタキセンタンナトリウム、アトラセンタン、エンドネンタン(endonentan)、(f)一酸化窒素ドナー/放出分子、例えば有機硝酸塩/亜硝酸塩、例えばニトログリセリン、硝酸イソソルビドおよび亜硝酸アミル、無機ニトロソ化合物、例えばニトロプルシドナトリウム、シドノンイミン、例えばモルシドミンおよびリンシドミン、ノノエート(nonoates)、例えばジアゼニウムジオレートおよびアルカンジアミンのNO付加物、S−ニトロソ化合物、例えば低分子量化合物(例えば、カプトプリル、グルタチオンおよびN−アセチルペニシラミンのS−ニトロソ誘導体)および高分子量化合物(例えば、タンパク質、ペプチド、オリゴ糖、多糖、合成ポリマー/オリゴマーおよび天然ポリマー/オリゴマーのS−ニトロソ誘導体)、ならびにC−ニトロソ化合物、O−ニトロソ化合物、N−ニトロソ化合物およびL−アルギニン、(g)アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えばシラザプリル、フォシノプリルおよびエナラプリル、(h)ATII受容体拮抗物質、例えばサララシンおよびロサルチン(losartin)、(i)血小板粘着抑制剤、例えばアルブミンおよびポリエチレンオキシド、(j)血小板凝集抑制剤、例えばシロスタゾール、アスピリンおよびチエノピリジン(チクロピジン、クロピドグレル)、ならびにGPIIb/IIIa阻害剤、例えばアブシキシマブ、エピチフィバチド(epitifibatide)およびチロフィバン、(k)凝固経路モジュレータ、例えばヘパリノイド、例えばヘパリン、低分子量ヘパリン、デキストラン硫酸およびβ−シクロデキストリンテトラデカサルフェート、トロンビン阻害剤、例えばヒルジン、ヒルログ、PPACK(D−phe−L−プロピル−L−arg−クロロメチルケトン)およびアルガトロバン、FXa阻害剤、例えばアンチスタチンおよびTAP(マダニ抗凝固剤ペプチド)、ビタミンK阻害剤、例えばワルファリン、ならびに活性化タンパク質C、(l)シクロオキシゲナーゼ経路阻害剤、例えばアスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシンおよびスルフィンピラゾン、(m)天然および合成コルチコステロイド、例えばデキサメタゾン、プレドニゾロン、メトプレドニゾロンおよびヒドロコルチゾン、(n)リポキシゲナーゼ経路阻害剤、例えばノルジヒドログアイアレチン酸およびコーヒー酸、(o)ロイコトリエン受容体拮抗物質、(p)E−およびP−セレクチンの拮抗物質、(q)VCAM−1およびICAM−1相互作用の阻害剤、(r)プロスタグランジンおよびそれらの類似体、例えばプロスタグランジン、例えばPGE1およびPGI2ならびにプロスタサイクリン類似体、例えばシプロステン、エポプロステノール、カルバサイクリン、イロプロストおよびベラプロスト、(s)マクロファージ活性化防止剤、例えばビスホスホネート、(t)HMG−CoAリダクターゼ阻害剤、例えばロバスタチン、プラバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチンおよびセリバスタチン、(u)魚油およびオメガ−3−脂肪酸、(v)フリーラジカルスカベンジャー/酸化防止剤、例えばプルブコール、ビタミンCおよびE、エブセレン、トランス−レチノイン酸SOD(オルゴテイン)およびSOD模倣体、ベルテポルフィン、ロスタポルフィン、AGI1067、およびM40419、(w)様々な成長因子に影響を及ぼす薬剤、例えばFGF経路剤、例えばbFGF抗体およびキメラ融合タンパク質、PDGF受容体拮抗物質、例えばトラピジル、IGF経路剤、例えばソマトスタチン類似体、例えばアンギオペプチンおよびオクレオチド、TGF−β経路剤、例えばポリアニオン剤(ヘパリン、フコイジン)、デコリン、およびTGF−β抗体、EGF経路剤、例えばEGF抗体、受容体拮抗物質およびキメラ融合タンパク質、TNF−α経路剤、例えばサリドマイドおよびその類似体、トロンボキサンA2(TXA2)経路モジュレータ、例えばスロトロバン、バピプロスト、ダゾキシベンおよびリドグレル、ならびにタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、例えばチロホスチン、ゲニステインおよびキノキサリン誘導体、(x)マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)経路阻害剤、例えばマリマスタット、イロマスタット、メタスタット、バチマスタット、ペントサンポリサルフェート、レビマスタット、インサイクリニド(incyclinide)、アプラタスタット(apratastat)、PG116800、RO1130830またはABT518、(y)細胞運動性阻害剤、例えばサイトカラシンB、(z)抗増殖/抗腫瘍剤、例えば代謝拮抗物質、例えばプリン類似体(例えば、塩素化プリンヌクレオシド類似体である6−メルカプトプリンまたはクラドリビン)、ピリミジン類似体(例えば、シタラビンおよび5−フルオロウラシル)、ならびにメトトレキサート、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホン酸塩、エチレンイミン、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン)、ニトロソ尿素、シスプラチン、微小管動態に影響を及ぼす薬剤(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、コルヒチン、EpoD、パクリタキセルおよびエポチロン)、カスパーゼ活性剤、プロテアソーム阻害剤、血管形成阻害剤(例えば、エンドスタチン、アンギオスタチンおよびスクアラミン)、オリムス系薬剤(例えば、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ゾタロリムスなど)、セリバスタチン、フラボピリドールおよびスラミン、(aa)マトリックス沈着/形成経路阻害剤、例えばハロフジノンまたは他のキナゾリノン誘導体、ピルフェニドンおよびトラニラスト、(bb)内皮化促進剤、例えばVEGFおよびRGDペプチド、(cc)血液流動モジュレータ、例えばペントキシフィリン、ならびに(dd)グルコース架橋破壊剤、例えば塩化アラゲブリウム(ALT−711)。
【0066】
治療薬が存在する場合、本発明の医療機器に関連して広範囲の装填量を用いることができる。典型的な治療薬装填量は、例えば、1重量%以下から、2重量%まで、5重量%まで、10重量%まで、25重量%まで、またはそれ以上、の範囲のポリマー領域である。
【0067】
本発明のポリマー領域を形成するために、多数の技術が利用可能である。
例えば、本発明のポリイソブチレンウレタン、尿素、またはウレタン/尿素コポリマーが熱可塑性特性を有する場合、様々な標準的熱可塑性加工技術を用いて、これからポリマー領域を形成することができる。これらの技術を用いて、例えば、(a)(1つもしくは複数の)ポリマーおよび、シリケート、治療薬などの任意の他の薬剤を含む溶融物をまず提供し、(b)続いて溶融物を冷却することによって、ポリマー領域を形成することができる。熱可塑性加工技術の例としては、圧縮成形、射出成形、ブロー成形、スプレー、真空成形およびカレンダー成形、押し出して、シート、繊維、ロッド、チューブおよび様々な長さの他の断面形状にすること、ならびにこれらのプロセスの組み合わせが挙げられる。これらや他の熱可塑性加工技術を用いて、装置全体またはその部分を作製することができる。
【0068】
溶媒ベースの技術をはじめとする、熱可塑性加工技術以外の他の加工技術を用いて、本発明のポリマー領域を形成することもできる。これらの技術を用いて、例えば、(a)(1つもしくは複数の)ポリマー、および治療薬、シリケートなどの任意の薬剤を含む溶液もしくは分散液をまず提供し、(b)続いて溶媒を除去することによって、ポリマー領域を形成することができる。最終的に選択される溶媒は、1以上の溶媒種を含み、これは一般的に、乾燥速度、表面張力などをはじめとする他の因子に加えて、ポリマー領域を形成する(1つもしくは複数の)ポリマーを溶解させる溶媒の能力に基づいて選択される。ある実施形態において、溶媒は、もし存在するならば、任意の薬剤を溶解または分散させる能力に基づいて選択される。このように、治療薬、シリケートなどの任意の薬剤を、コーティング溶液中に溶解または分散させることができる。好ましい溶媒ベースの技術としては、これらに限定されるものではないが、溶媒キャスティング技術、スピンコーティング技術、ウェブコーティング技術、スプレー技術、ディッピング技術、空気サスペンションをはじめとする機械的サスペンションによるコーティングを含む技術、インクジェット技術、静電技術、およびこれらのプロセスの組み合わせが挙げられる。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態において、ポリマー含有溶液(溶媒ベースの処理を用いる場合)またはポリマー含有溶融物(熱可塑性加工を用いる場合)を基体に塗布して、ポリマー領域を形成する。例えば、基体は、これに対してポリマーコーティングがスプレー、押出などによって塗布される、移植可能または挿入可能な医療機器の全部または部分に対応できる。基体は、例えばテンプレート、例えば金型でもあり得、凝固後にこのテンプレートからポリマー領域を取り出す。他の実施形態、例えば押出および共押出技術においては、基体を用いないで1以上のポリマー領域を形成する。一具体例においては、医療機器全体を押し出す。別の例において、ポリマーコーティング層を医療機器本体とともに、医療機器本体を基礎にして共押出する。別の例では、ポリマーチューブを押し出し、これを次いで医療機器基体上(例えば導線上で、電気絶縁もしくは電気非絶縁ジャケットのいずれかとして)で組み立てる。
【実施例1】
【0070】
二重結合を有するポリイソブチレンジオールを用いた一段階合成。
ポリイソブチレンポリウレタン(PIBPU)の以下の調製法は、二重結合を有するポリイソブチレンジオール(アリルPIBジオール)の一段階バルク重合についての一般的手順の一例である。アリルPIBジオールは、例えば、WO2008/060333A1(Faustら)で記載されている次式であり得る
【0071】
【化2】

(式中、nおよびmは、例えば2〜100、さらに好ましくは5〜50、なお一層好ましくは10〜30の範囲である)。
【0072】
スターラーおよび冷却器を備えた50ml容量の二口丸底フラスコに、予備乾燥させたアリルポリイソブチレンジオール(アリルPIBジオール)(M=2038ダルトン、10.0g、4.9mM)(m=15、n=15)、および1,4−ブタンジオール(BDO)(0.44g、4.9mM)を添加し、混合物を70℃で3時間、真空下(266.64Pa(2トル))にて脱気する。フラスコの内容物を60℃まで冷却し、2−エチルヘキサン酸スズ(II)[Sn(Oct)](0.39g、0.98mM)を反応内容物に不活性雰囲気下で添加する。反応混合物を85℃まで加熱し、そして激しく撹拌しながら、精製メチレンビスフェニレンジイソシアネート(MDI)(2.45g、9.81mM)を徐々に添加する。反応混合物を85℃、不活性雰囲気下で維持し、撹拌を5時間続ける。反応混合物から5時間の最後に少量のアリコートを抜き取り、そして未反応MDIについて滴定して、重合の進行をモニタリングする。十分に変換されるまで反応を続ける。反応内容物を45℃まで冷却し、内容物のこびりつかない金型に移し、反応を進行させて完了させ、室温で24〜48時間保持する。
【0073】
類似の手順を用いて、MDI:BDO:アリルPIBジオールモル比を、例えば3:2:1、4:3:1、4:2:2、5:2:3、又は5:3:2と変更し、および/またはアリルPIBジオールの数平均分子量を、例えば、1478ダルトン(n=10、m=10の場合)から3168ダルトン(n=25、m=25の場合)に変更することによって、様々なショアA硬度を有するPIBPUを調製することができるが、mおよびnは、例えば、値の中でも特に、m=2〜100およびn=2〜100、さらに好ましくは、m=10〜40およびn=10〜40であり得る。
【実施例2】
【0074】
二重結合を有さないポリイソブチレンジオールを用いた一段階合成。
ポリイソブチレンジオール(PIBジオール)中の二重結合を有さないポリイソブチレンポリウレタン(PIBPU)の以下の調製法は、一段階バルク重合についての一般的手順の一例である。不飽和を有さないPIBジオールの使用は、例えば、紫外線、熱、酸化、腐食、酵素、および免疫原性因子によって起こる分解を最小限にするのが望ましい場合に好ましい。PIBジオールは、例えば次式
【0075】
【化3】

であり得、これはWO2008/066914A1(Kennedyら)で記載され、ここで、nおよびmは、例えば2〜100、さらに好ましくは、5〜50、なお一層好ましくは10〜30の範囲である。
【0076】
スターラーおよび冷却器を備えた50ml容量の二口丸底フラスコに、予備乾燥させた飽和ポリイソブチレンジオール(PIBジオール)(M=2014ダルトン、10.0g、4.96mM)(m=15、n=15)、および1,4−ブタンジオール(0.447g、4.96mM)を添加し、混合物を70℃で3時間、真空下(266.64Pa(2トル))にて脱気する。フラスコの内容物を60℃まで冷却し、そしてSn(Oct)(0.39g、0.98mM)を反応内容物に不活性雰囲気下で添加する。反応混合物を85℃まで加熱し、そして激しく撹拌しながら精製メチレンビスフェニレンジイソシアネート(MDI)(2.48g、9.93mM)を徐々に添加する。反応混合物を85℃、不活性雰囲気下で維持し、撹拌を5時間続ける。反応混合物から5時間の最後に少量のアリコートを抜き取り、そして未反応MDIについて滴定して、重合の進行をモニタリングする。十分に変換されるまで反応を続ける。反応内容物を45℃まで冷却し、内容物のこびりつかない金型に移し、そして反応を進行させて完了させ、室温で24〜48時間保持する。
【0077】
類似の手順を用いて、MDI:BDO:PIBジオール比を、例えば、3:2:1、4:3:1、4:2:2、5:2:3、又は5:3:2と変更し、および/またはPIBジオールの数平均分子量を、例えば、1454ダルトン(n=10、m=10の場合)から3134ダルトン(n=25、m=25の場合)まで変更することによって、異なるショアA硬度を有するPIBPUを調製することができるが、mおよびnは、例えば、値の中でも特に、m=2〜100およびn=2〜100、さらに好ましくは、m=10〜40およびn=10〜40であり得る。
【実施例3】
【0078】
二重結合を有するポリイソブチレンジオールを用いた二段階合成。
第1段階において、実施例1のものなどのアリルポリイソブチレンジオール(アリルPIBジオール)を化学量論的に過剰のMDIと混合して、プレポリマーを形成する。第2段階において、1,4−ブタンジオールを鎖延長剤として添加して、高分子量ポリウレタンを得る。代表的な手順を以下に記載する。
【0079】
スターラーおよび冷却器を備えた50ml容量の二口丸底フラスコに、予備乾燥させたアリル−ポリイソブチレンジオール(M=2038ダルトン、10.0g、4.9mM)を添加し、混合物を70℃で3時間、真空下(266.64Pa(2トル))にて脱気する。Sn(Oct)(0.39g、0.98mM)を不活性雰囲気下で添加し、反応混合物を85℃まで加熱し、そして激しく撹拌しながら精製メチレンビスフェニレンジイソシアネート(MDI)(2.45g、9.81mM)を徐々に添加する。反応混合物を85℃、不活性雰囲気下で維持し、撹拌を1時間続け、続いて1,4−ブタンジオール(0.44g、4.9mM)を添加する。反応混合物から5時間の最後に少量のアリコートを抜き取り、そして未反応MDIについて滴定して、重合の進行をモニタリングする。十分に変換されるまで反応を続ける。反応内容物を45℃まで冷却し、内容物のこびりつかない金型に移し、反応を進行させて完了させ、室温で24〜48時間保持する。
【0080】
類似の手順を用いて、MDI:BDO:PIBジオールモル比を、例えば、3:2:1、4:3:1、4:2:2、5:2:3、又は5:3:2と変更し、および/またはアリルPIBジオールの数平均分子量を、例えば、1478から3168ダルトンに変更することによって、二重結合を有するおよび/または有さず、異なるショアA硬度を有するPIBPUを調製することができる(ただし、mおよびnは、例えば、値の中でも特に、m=2〜100およびn=2〜100、さらに好ましくは、m=10〜40およびn=10〜40であり得る)。他のプロセスにおいて、二重結合を有さず、例えば1454〜3134ダルトンの平均分子量を有するポリイソブチレンジオール(PIBジオール)(ただし、mおよびnは、例えば、値の中でも特に、m=2〜100およびn=2〜100、さらに好ましくは、m=10〜40およびn=10〜40であり得る)をアリルPIBジオールの代わりに使用する。
【実施例4】
【0081】
ポリイソブチレンジオールおよびポリヘキサメチレンオキシドジオールからの合成。
軟質セグメントとして異なる割合のPIBジオールおよびポリエーテルジオールの混合物を有するPIBPUを、二段階法において合成することができる。ポリウレタン硬質セグメントは、BDOおよびMDIによって形成される。この実施例における軟質セグメント中のポリオールの分布は、PIBジオール(75重量%)およびポリヘキサメチレンオキシドジオール(PHMOジオール)(25重量%)である。
【0082】
PIB−PHMOPUを以下のようにして合成することができる。飽和PIBジオール(M=2014ダルトン、10g、4.96mM)およびポリヘキサメチレンオキシドジオール(PHMOジオール)(M=1180、3.22g、2.73ミリモル)を乾燥トルエン(40mL)から共沸蒸留する。この混合物を60℃で2時間、真空下で維持する。別の丸底フラスコ中で、30mlの乾燥トルエン中Sn(Oct)(0.6g、0.149ミリモル)を混合し、撹拌しながら反応混合物に添加し、そして反応混合物の温度を乾燥不活性ガス下で85℃まで上昇させる。MDI(3.72g、14.88mM)をこの混合物に乾燥不活性ガス下で、1時間激しく撹拌しながら添加する。BDO(0.89g、9.92mM)を結果として得られる反応混合物に不活性雰囲気下で添加し、撹拌を5時間110℃で続ける。反応混合物から5時間の最後に少量のアリコートを抜き取り、そして未反応MDIについて滴定して、重合の進行をモニタリングする。十分に変換されるまで反応を続ける。反応内容物を45℃まで冷却し、内容物のこびりつかない金型に移し、反応を進行させて完了させ、室温で24〜48時間保持する。ポリマーを真空下で一定重量になるまで乾燥する。
【実施例5】
【0083】
ポリイソブチレンジオールおよびポリテトラメチレンオキシドジオールからの合成。
PIBジオールおよびポリエーテルジオールの異なる割合の混合物を軟質セグメントとして有するPIBPUを次のようにして二段階法において合成することができる。ポリウレタン硬質セグメントをBDOおよびMDIによって形成する。この実施例における軟質セグメント中のポリオールの分布は、PIBジオール(80重量%)およびポリテトラメチレンオキシドジオール(PTMOジオール)(20重量%)である。
【0084】
PIB−PTMOPUを以下のようにして合成することができる。飽和PIBジオール(M=2014ダルトン、10g、4.96mM)およびポリテトラメチレンオキシドジオール(PTMOジオール)(M=1080、2.5g、2.31mM)を乾燥トルエン(40mL)から共沸蒸留する。この混合物を60℃で2時間、真空下で維持する。別の丸底フラスコ中で、30mlの乾燥トルエン中Sn(Oct)(0.6g、0.149ミリモル)を混合し、撹拌しながら反応混合物に添加し、そして反応混合物の温度を乾燥不活性ガス下で85℃まで上昇させる。MDI(3.72g、14.88mM)をこの混合物に乾燥不活性ガス下、1時間激しく撹拌しながら添加する。BDO(0.89g、9.92mM)を結果として得られる反応混合物に不活性雰囲気下で添加し、撹拌を5時間、110℃で続ける。反応混合物から5時間の最後に少量のアリコートを抜き取り、そして未反応MDIについて滴定して、重合の進行をモニタリングする。十分に変換されるまで反応を続ける。反応内容物を45℃まで冷却し、内容物のこびりつかない金型に移し、反応を進行させて完了させ、室温で24〜48時間保持する。ポリマーを真空下で一定重量になるまで乾燥する。
【実施例6】
【0085】
ポリイソブチレンジオールおよびポリテトラメチレンオキシドジオールからの合成。
PIBジオールおよびポリエーテルジオールの異なる割合の混合物を軟質セグメントとして有するPIBPUを次のようにして二段階法において合成することができる。ポリウレタン硬質セグメントをBDOおよびMDIによって形成する。この実施例における軟質セグメント中のポリオールの分布は、PIBジオール(90重量%)およびPTMOジオール(10重量%)である。
【0086】
PIB−PTMOPUを以下のようにして合成することができる。飽和PIBジオール(M=2014ダルトン、10g、4.96mM)およびポリテトラメチレンオキシドジオール(PTMOジオール)(M=1080、1.11g、1.02mM)を乾燥トルエン(40mL)から共沸蒸留する。この混合物を60℃で2時間、真空下で維持する。別の丸底フラスコ中で、30mlの乾燥トルエン中Sn(Oct)(0.4g、0.99ミリモル)を混合し、撹拌しながら反応混合物に添加し、そして反応混合物の温度を乾燥不活性ガス下で85℃まで上昇させる。MDI(2.48g、9.92mM)をこの混合物に乾燥不活性ガス下で、1時間激しく撹拌しながら添加する。BDO(0.44g、9.92mM)を結果として得られる反応混合物に不活性雰囲気下で添加し、撹拌を5時間、110℃で続ける。反応混合物から5時間の最後に少量のアリコートを抜き取り、そして未反応MDIについて滴定して、重合の進行をモニタリングする。十分に変換されるまで反応を続ける。反応内容物を45℃まで冷却し、内容物のこびりつかない金型に移し、反応を進行させて完了させ、室温で24〜48時間保持する。ポリマーを真空下で一定重量になるまで乾燥する。
【実施例7】
【0087】
反応押出。
ある実施形態において、本発明のポリイソブチレンウレタンコポリマーは、反応押出によって合成される。例えば、ポリイソブチレンジオール(PIBジオール)および1以上の任意のさらなるジオール、例えば1,4−ブタンジオール(BDO)および/またはポリエーテルジオール(例えば、ポリテトラメチレンオキシドジオール(PTMOジオール)および/またはポリヘキサメチレンオキシドジオール(PHMOジオール)、ならびに好適な触媒(例えば、Sn(Oct))の混合物を、好適な流量コントローラーを用いて二軸圧縮押出機中に供給することができる。この種の押出機は、例えば、US3,642,964(Rausch Jr.ら)およびUS6,627,724(Meijsら)に記載されている。メチレンビスフェニレンジイソシアネート(MDI)を、別の流量コントローラーを用いて別の供給源から押出機中に供給することができる。押出機を、重合プロセスを促進する温度で作動させる。PIBジオール、BDO、任意のポリエーテルジオール(例えば、PTMOジオールおよび/またはPHMOジオール)、Sn(Oct)およびMDIの相対的供給量を変えて、様々なショア硬度、広範囲の物理的および機械的特性、ならびに多くの機能性能を有するポリウレタンを調製することができる。合成は、一段階法で、または多段階で実施することができる。
【0088】
様々な実施形態を本明細書で具体的に説明し記載するが、本発明の修飾および変形は前記教唆の対象とされ、本発明の趣旨および意図される範囲から逸脱することなく、添付の請求項の範囲内に含まれると理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソブチレンセグメントおよびポリイソブチレンセグメントでないさらなるポリマーセグメントを含む、ポリイソブチレンウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマー。
【請求項2】
前記さらなるポリマーセグメントが軟質ポリマーセグメントである、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
前記軟質ポリマーセグメントが、ポリエーテルセグメント、フッ素化ポリエーテルセグメント、フルオロポリマーセグメント、ポリエステルセグメント、ポリアクリレートセグメント、ポリメタクリレートセグメント、ポリシロキサンセグメント、フッ素化ポリシロキサン、およびポリカーボネートセグメントから選択される、請求項2に記載のコポリマー。
【請求項4】
前記さらなるポリマーセグメントが、ポリテトラメチレンオキシドセグメント、ポリヘキサメチレンオキシドセグメント、ポリジメチルシロキサンセグメント、ポリパーフルオロアルキレンオキシドセグメント、ポリヘキサメチレンカーボネートセグメントから選択される、請求項2に記載のコポリマー。
【請求項5】
前記ポリイソブチレンセグメントが、ポリイソブチレンジオールまたはポリイソブチレンジアミンの残基を含み、前記さらなるポリマーセグメントが、ポリテトラメチレンオキシドジオール、ポリテトラメチレンオキシドジアミン、ポリジメチルシロキサンジオール、ポリジメチルシロキサンジアミン、ポリパーフルオロアルキレンオキシドジオール、ポリパーフルオロアルキレンオキシドジアミン、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、およびポリヘキサメチレンカーボネートジアミンから選択されるポリマージオールまたはジアミンの残基を含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項6】
ジイソシアネートの残基を含むセグメントをさらに含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項7】
前記ジイソシアネートが、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項6に記載のコポリマー。
【請求項8】
前記ジイソシアネートが、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、パラ−フェニレンジイソシアネート、3,3’−トリデン−4,4’−ジイソシアネート、3、3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項6に記載のコポリマー。
【請求項9】
鎖延長剤残基をさらに含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項10】
前記鎖延長剤残基が、脂肪族ジオール、芳香族ジオール、脂肪族ジオールと芳香族ジオールとの組み合わせ、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン、および脂肪族ジアミンと芳香族ジアミンとの組み合わせから選択される、請求項9に記載のコポリマー。
【請求項11】
前記鎖延長剤がアルファ,オメガ−C1〜C10−アルカンジオールである、請求項9に記載のコポリマー。
【請求項12】
前記鎖延長剤が、1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、低分子量ポリイソブチレンジオール、および低分子量ポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン)ジオールから選択される、請求項9に記載のコポリマー。
【請求項13】
炭素原子の長さが1〜17個の範囲のアルキル、アルケニルまたはアルキニル鎖を含む末端基をさらに含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項14】
前記末端基が、[−CH−CH基、[−CH−C(CH基、[−CH−CF基、[−CH−C(CF基、[−CH−CHOH基、[−CH−C(OH)基、[−CH−C基、[−CH−b−[−CHO]−CH基、[−CH−b−[−CHO]−CHCHC(CH基、[−CH−b−[−CHO]−CHCHCF基、[−CH−b−[−CHO]−CHCHC(CF基、[−CH−b−[−CHO]−CHCHOH基、[−CH−b−[−CHO]−C(OH)基、[−CH−b−[−CHO]−CHCH−C基、およびこれらの組み合わせから選択され、nが1〜20の範囲である、請求項13に記載のコポリマー。
【請求項15】
前記さらなるポリマーセグメントが硬質ポリマーセグメントである、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項16】
前記さらなるポリマーセグメントが、ポリ(ビニル芳香族)セグメント、ポリ(アルキルアクリレート)セグメント、およびポリ(アルキルメタクリレート)セグメントから選択される、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項17】
前記さらなるポリマーセグメントがポリスチレンセグメントである、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項18】
前記ポリイソブチレンセグメントが、ポリイソブチレンジオールの残基を含み、前記ポリスチレンセグメントが、ポリスチレンジオールの残基を含む、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項19】
ポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン)ジオール残基を含む、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項20】
請求項1に記載のコポリマーを含むポリマー領域を含む、移植可能または挿入可能な医療機器。
【請求項21】
前記医療機器が、ステント、心臓弁、移植可能な導線、ペースメーカー、除細動器、および心不全装置から選択される、請求項20に記載の移植可能または挿入可能な医療機器。
【請求項22】
前記医療機器が、移植可能な導線を含み、前記ポリマー領域が、導電体に配置されたポリマー層である、請求項20に記載の移植可能または挿入可能な医療機器。
【請求項23】
前記導線が、心臓リードおよび神経刺激リードから選択される、請求項22に記載の移植可能または挿入可能な医療機器。
【請求項24】
前記ポリマー領域が治療薬をさらに含む、請求項20に記載の移植可能または挿入可能な医療機器。
【請求項25】
前記ポリマー領域が、シリケート材料、アルミナ、銀ナノ粒子、およびシリケート/アルミナ/銀ナノ粒子複合体から選択されるフィラー材料をさらに含む、請求項20に記載の移植可能または挿入可能な医療機器。
【請求項26】
ポリイソブチレンセグメントを含み、炭素原子の長さが1〜17個の範囲のアルキル、アルケニルまたはアルキニル鎖を含む末端基をさらに含む、ポリイソブチレンウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマー。
【請求項27】
前記末端基が、[−CH−CH基、[−CH−CF基、[−CH−C基、およびこれらの組み合わせから選択される部分を含み、nが1〜17の範囲である、請求項26に記載のコポリマー。
【請求項28】
請求項26に記載のコポリマーを含むポリマー領域を含む、移植可能または挿入可能な医療機器。

【公表番号】特表2011−526326(P2011−526326A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516708(P2011−516708)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/048827
【国際公開番号】WO2009/158600
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】