説明

ポリウレタン樹脂製造用触媒組成物及びポリウレタン樹脂の製造方法

【課題】ポリウレタン樹脂の製造方法において、反応性、耐加水分解性及び溶解性に優れ、なおかつ環境的負荷の高い重金属を使用しない触媒組成物を提供する。
【解決手段】 ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、(a)β−ジケトン錯体、(b)第3級アミン化合物、及び(c)酸類からなるポリウレタン樹脂製造用触媒組成物の存在下、反応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン樹脂の製造に有用な触媒組成物に関する。また本発明は、ポリオールと有機ポリイソシアネート及び/又はイソシアネートプレポリマーとを、当該触媒組成物及び必要に応じて溶剤、希釈剤、顔料、架橋剤等の存在下に反応させ、ポリウレタン樹脂を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン樹脂は、ポリオールと有機ポリイソシアネートを触媒及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、架橋剤等の添加剤の存在下に反応させて製造される。ポリウレタン樹脂は、常温でも硬化反応が進行し、架橋構造を有する樹脂を形成可能であり、基材との密着性、可とう性、耐候性に優れるため、自動車、建築、家電、重防食、プラスチック塗料、接着剤等の用途に広く使用されている。ポリウレタン製造用触媒としては、第3級アミン触媒や金属触媒が広く使用されているが、脂肪族イソシアネート用触媒としては、その活性の高さから、有機スズ触媒が用いられ、主にジブチル錫ジラウレート(DBTDL)又はスタナスオクトエートが使用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、現在使用されている前記有機スズ触媒には、多くの問題点が指摘されている。例えば、近年有機スズ触媒の毒性問題が指摘され、特にDBTDL中に不純物として含まれるトリブチルスズは環境ホルモンとして人体への有害性が問題となっている。また、鉛、水銀、ビスマスの化合物もウレタン化反応を促進することが知られているが、これらの重金属化合物は毒性が高いため、有機スズ化合物と同様に使用が控えられる傾向がある。
【0004】
非重金属触媒としては、鉄、銅、チタニウム、ジルコニウム、ニッケル、コバルト、マンガン等の遷移金属化合物、なかでもこれらのアセチルアセトナート錯体が高いウレタン化活性を有することが古くから知られている。しかしながら、これらのアセチルアセトナート化合物は、ウレタン合成触媒として必要な基本的な性質、すなわち触媒活性、ポリオール成分への溶解性及び触媒の保存安定性を十分満足できる程度に同時に満たすことは難しい。また、一部の用途においては、これらのアセチルアセトナート錯体は低温領域での活性が高すぎる場合があり、十分な可使時間が確保できないという問題が発生する。さらにジルコニウムを除く上記アセチルアセトナート錯体は、透明ではなく、ウレタン樹脂が着色するため、無黄変が特徴の脂肪族イソシアネートには使用し難いという問題があった。
【0005】
アセチルアセトナート錯体と種々の有機化合物を組み合わせて、これらの問題を解決するための試みがなされている。アセチルアセトナート錯体とアミン類を組み合わせることで、耐加水分分解性を改良した高活性触媒を得る方法が開示されている(例えば特許文献1及び2参照)。しかしながら、これらの触媒は、非常に高い初期活性が要求されるスプレー発泡用途に対して、十分に高い活性を有しているとは言えなかった。
【0006】
また、アセチルアセトナート錯体とアセチルアセトンを組み合わせることで、初期反応性を制御し、可使時間の長い触媒組成物を得る方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。これらの触媒は、鉄、マンガン、銅、ニッケル等の有色のアセチルアセトナート錯体を用いるが、樹脂が着色するため、無黄変が特徴の脂肪族イソシアネートには使用しにくいという問題点があった。
【0007】
遷移金属のアセチルアセトナート錯体のなかで、ジルコニウムアセチルアセトナート錯体は無色であるため、脂肪族イソシアネートに適しているが、ケトン、エステル、炭化水素等の有機溶媒への溶解度が低く、例えば、溶剤2液塗料用途へ適用が困難であった。また、ポリオールへの溶解度も低いため、反応系中で析出しやすいという問題点があった。
【0008】
さらに、ジルコニウムアセチルアセトナート錯体は比較的加水分解しやすく、単独で使用した場合実用性に欠けるという問題点がある。加水分解を抑制するためにはアセチルアセトンの添加が有効であるが、この場合、樹脂中に残留するアセチルアセトンによる樹脂の着色が起こりやすく、またアセチルアセトナート錯体がアセチルアセトンによって過剰に安定化されるため、イソホロンジイソシアネートのような反応性の低い基質に対しては活性が低下するという問題があった。
【0009】
【特許文献1】英国特許第886636号明細書
【特許文献2】特開2004−300430号公報
【特許文献3】特開平09−031151号公報
【非特許文献1】横山哲夫著「ポリウレタンの構造・物性と高機能化及び応用展開」技術情報協会出版、1998年発行、第325頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、反応性、耐加水分解性及び反応基質への溶解性に優れ、なおかつ環境的負荷の高い重金属を使用する必要のないポリウレタン樹脂製造用触媒組成物及びこれを用いたポリウレタン樹脂の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは前記の事情に鑑み、新規なポリウレタン樹脂製造用触媒について鋭意検討した結果、β−ジケトン錯体、第3級アミン化合物及び酸類からなる触媒組成物が前記課題を解決するために極めて有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち本発明は、以下に示すとおりの、ポリウレタン樹脂製造用触媒組成物及びポリウレタン樹脂の製造方法である。
【0013】
1.(a)β−ジケトン錯体、(b)第3級アミン化合物、及び(c)酸類からなるポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【0014】
2.(a)β−ジケトン錯体が下記一般式(1)で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする上記1.に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【0015】
【化1】

[上記一般式(1)中、MはAl、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu又はZrを表し、Lは各々独立して下記一般式(2)で示される配位子を表し、nは2以上4以下の整数を表す。]
【0016】
【化2】

[上記一般式(2)中、R及びRは各々独立してR又はORを表す。ここで、Rは炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。また、Rは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。]。
【0017】
3.(a)β−ジケトン錯体が、アルミニウム(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、マンガン(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、マンガン(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、鉄(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、鉄(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、コバルト(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)又はコバルト(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、ニッケル(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、銅(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、及びジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする上記2.に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【0018】
4.(b)第3級アミン化合物が、下記一般式(3)
【0019】
【化3】

[上記一般式(3)中、R、R及びRは各々独立して、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のアリール基、炭素数1〜6のジメチルアミノアルキル基、又は炭素数1〜16のアルコキシアルキル基を表し、R及びRは各々独立して水素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のアリール基、炭素数1〜6のジメチルアミノアルキル基、又は炭素数1〜16のアルコキシアルキル基を表し、nは1〜11の整数を表し、aは0〜10の整数を表す。ただし、RとR又はRとが結合してピベラジン構造、イミダゾール構造、又はイミダゾリン構造を有する環状化合物となっても良い。]
で示される化合物、下記一般式(4)
【0020】
【化4】

[上記一般式(4)中、R10は炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のアリール基、炭素数1〜6のジメチルアミノアルキル基、又は炭素数1〜16のアルコキシアルキル基を表す。]
で示される化合物、並びに複素環式の第3級アミン化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする上記1.乃至3.のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【0021】
5.一般式(3)で示される第3級アミン化合物が、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール及びN,N’−ジメチルピペラジンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする上記4.に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【0022】
6.一般式(4)で示される第3級アミン化合物が、N−メチルモルホリン及び/又はN−エチルモルホリンであることを特徴とする上記4.に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【0023】
7.複素環式の第3級アミン化合物が、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]デセン−7、及び1,4−ジアザビシクロ[3,3,3]オクテン−4よりなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする上記4.に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【0024】
8.(c)酸類が、フェノール類、1価カルボン酸、多価カルボン酸、並びにα位又はβ位に水酸基を有する1価又は多価ヒドロキシカルボン酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする上記1.乃至7.のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【0025】
9.フェノール類が、フェノール、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ベンジルフェノール、3−フェノキシフェノール、1−ナフトール、及び2−ナフトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする上記8.に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【0026】
10.1価カルボン酸が、ギ酸、酢酸、2−ケトエタン酸(グリオキシル酸)、プロパン酸、2−ケトプロパン酸(ピルビン酸)、ブタン酸、イソブタン酸、2−ケトブタン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルブタン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする上記8.に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【0027】
11.多価カルボン酸が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、及びピロメリット酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記8.に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【0028】
12.α位又はβ位に水酸基を有する1価又は多価ヒドロキシカルボン酸が、2−ヒドロキシエタン酸(グリコール酸)、2−フェニル−2−ヒドロキシエタン酸(マンデル酸)、2−ヒドロキシプロパン酸(乳酸)、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸(クエン酸)、1−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸(イソクエン酸)、2−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシブタン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2−ヒドロキシブタン−1,4−二酸(リンゴ酸)、2,3−ジヒドロキシブタン−1,4−二酸(酒石酸)、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン−1,4−二酸(シトラマル酸)、サリチル酸、3−メチルサリチル酸、4−メチルサリチル酸、5−メチルサリチル酸、3−メトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、及び5−メトキシサリチル酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする上記8.に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【0029】
13.(b)第3級アミン化合物と(c)酸類とのモル比[(b)/(c)]が0.2〜3の範囲であることを特徴とする上記1.乃至12.のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【0030】
14.ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、上記1.乃至13.のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物の存在下、反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
【0031】
15.ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、さらに発泡剤及び泡化触媒として第3級アミン触媒の存在下、反応させることを特徴とする上記14.に記載のポリウレタン樹脂の製造方法。
【0032】
16.有機ポリイソシアネートが脂肪族ポリイソシアネートであることを特徴とする上記14.又は上記15.に記載のポリウレタン樹脂の製造方法。
【発明の効果】
【0033】
本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物は、反応性、耐加水分解性及び溶解性に優れ、なおかつ環境的負荷の高い重金属を使用する必要がないため、工業的に極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0035】
本発明の本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物は、(a)β−ジケトン錯体、(b)第3級アミン化合物、及び(c)酸類からなる。
【0036】
本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物で用いられる(a)β−ジケトン錯体としては、例えば、上記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。具体的には、アルミニウムトリス(2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)、マンガン(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、マンガン(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、鉄(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、鉄(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、コバルト(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、コバルト(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、ニッケルビス(2,4−ペンタンジオネート)、銅(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウム(3−メチル−2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムテトラ(2,4−ヘキサンジオネート)、ジルコニウム(5−メチル−2,4−ヘキサンジオネート)、ジルコニウムテトラ(3,5−ヘプタンジオネート)、ジルコニウム(6−メチルヘプタンジオネート)、ジルコニウムテトラ(2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート)、ジルコニウムテトラ(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)、ジルコニウムテトラ(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオネート)、ジルコニウムテトラ(メチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラ(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムオキサイドビス(2,4−ペンタンジオネート)又はこれらの水和物等が例示される。
【0037】
これらの化合物のうち、アルミニウム(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、マンガン(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、マンガン(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、鉄(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、鉄(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、コバルト(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)又はコバルト(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、ニッケル(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、銅(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)が好ましく、鉄(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、鉄(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)は、工業的に入手可能であり、触媒組成物とした時の活性が高いことから、本発明のβ−ジケトン錯体として良好に用いることができる。
【0038】
本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物において、(a)β−ジケトン錯体は固体として単離したものを用いても良いし、少量の不純物を含む有機溶媒の溶液として調製したものをそのまま用いても良い。例えば、ジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオン)の溶液は、酸化塩化ジルコニウム8水和物を有機溶媒に溶解させ、2,4−ペンタンジオンを添加することで容易に調製できる。
【0039】
本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物において、(a)β−ジケトン錯体は、単独で用いても良いし、2種類以上のβ−ジケトン錯体を同時に用いることも可能である。
【0040】
本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物において、(b)第3級アミン化合物としては、分子内に少なくとも第3級アミノ基を1個以上有する構造のものから選択されればよく、特に限定するものではないが、例えば、上記一般式(3)で示される化合物、上記一般式(4)で示される化合物、複素環式の第3級アミン化合物等が挙げられる。
【0041】
上記一般式(3)で示される化合物としては、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルペンチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルヘプチルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルノニルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルプロピルアミン、N,N−ジエチルブチルアミン、N,N−ジエチルペンチルアミン、N,N−ジエチルヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルヘプチルアミン、N,N−ジエチルオクチルアミン、N,N−ジエチルノニルアミン、N,N−ジエチルデシルアミン、N,N−ジエチルウンデシルアミン、N,N−ジエチルドデシルアミン、N−メチル−N−エチルブチルアミン、N−メチル−N−エチルペンチルアミン、N−メチル−N−エチルヘキシルアミン、N−メチル−N−エチルシクロヘキシルアミン、N−メチル−N−エチルヘプチルアミン、N−メチル−N−エチルオクチルアミン、N−メチル−N−エチルノニルアミン、N−メチル−N−エチルデシルアミン、N−メチル−N−エチルウンデシルアミン、N−メチル−N−エチルドデシルアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(イソプロパノール)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ビス(2−アミノエチル)エーテル、3−キヌクリジノール、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−メチルピペラジン、1−エチルピペラジン、1−シクロヘキシルピペラジン、1−(ジフェニルメチル)ピペラジン、1−ヒドロキシエチルエトキシピレラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、2−メチル−1−(3−メチルフェニル)ピペラジン、1−(2’−ジメチルアミノエチル)−4−メチルピペラジン等が例示される。これらのうち、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、N,N’−ジメチルピペラジンは、高活性であるため、本発明の(b)第3級アミン化合物として良好に用いることができる。
【0042】
また、上記一般式(4)で示される化合物としては、具体的には、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−フェニルモルホリン、N−(2−アミノエチル)モルホリン、N−(3−アミノプロピル)モルホリン等を例示することができる。これらのうち、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンは、高活性であるため、本発明の(b)第3級アミン化合物として良好に用いることができる。
【0043】
さらに、複素環式の第3級アミン化合物としては、具体的には、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]デセン−7、及び1,4−ジアザビシクロ[3,3,3]オクテン−4等が例示される。これらのうち、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5が、高活性であるため、本発明の(b)第3級アミン化合物として良好に用いることができる。
【0044】
本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物において、(b)第3級アミン化合物は、単独で用いても良いし、2種類以上を併用することも可能である。
【0045】
本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物において用いられる(c)酸類としては、特に限定するものではないが、フェノール類又はカルボン酸であることが好ましい。
【0046】
フェノール類としては、分子内に少なくとも1つの水酸基が結合した芳香環を有する構造のものから選択されればよく、特に限定するものではないが、具体的には、フェノール、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ベンジルフェノール、3−フェノキシフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール等を例示することができる。
【0047】
フェノール類は、本発明の触媒組成物の成分として、触媒活性及び溶解性を向上させる効果が顕著であるが、これらのうち、フェノール、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノールは触媒活性に優れ、工業的に入手可能であることから、本発明の(c)酸類として良好に用いることができる。
【0048】
また、カルボン酸としては、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有する構造のものから選択されればよく、特に限定するものではないが、例えば、1価カルボン酸、多価カルボン酸、α位又はβ位に水酸基を有する1価又は多価ヒドロキシカルボン酸等を例示することができる。
【0049】
1価カルボン酸としては、具体的には、ギ酸、酢酸、2−ケトエタン酸(グリオキシル酸)、プロパン酸、2−ケトプロパン酸(ピルビン酸)、ブタン酸、イソブタン酸、2−ケトブタン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルブタン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、プロピオル酸、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ソルビン酸、ヘプテン酸、ウンデシレン酸、リノレン酸、リノール酸、リノエライジン酸、エライジン酸、オレイン酸、リシノール酸、アラキドン酸等を例示できる。
【0050】
多価カルボン酸として、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、1,4−テレフタル酸、1,3−テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸、1,1,2−エタントリカルボン酸等を例示できる。
【0051】
α位又はβ位に水酸基を有する1価又は多価ヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、2−ヒドロキシエタン酸(グリコール酸)、2−フェニル−2−ヒドロキシエタン酸(マンデル酸)、2−ヒドロキシプロパン酸(乳酸)、3−ヒドロキシプロパン酸、2,3−ジヒドロキシプロパン酸(グリセリン酸)2−メチル2−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシプロパン−1,3−二酸(タルトロン酸)、2−フェニル−3−ヒドロキシプロパン酸(トロピン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸(クエン酸)、1−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸(イソクエン酸)、2−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシブタン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2−ヒドロキシブタン−1,4−二酸(リンゴ酸)、2,3−ジヒドロキシブタン−1,4−二酸(酒石酸)、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン−1,4−二酸(シトラマル酸)、2,3,4−トリヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシペンタン酸、3−ヒドロキシペンタン酸、2−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシヘプタン酸、3−ヒドロキシヘプタン酸、2−ヒドロキシオクタン酸、2−ヒドロキシノナン酸、2−ヒドロキシデカン酸、2−ヒドロキシウンデカン酸、2−ヒドロキシドデカン酸、3−ヒドロキシドデカン酸、2−ヒドロキシテトラデカン酸、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、2−ヒドロキシオクタデカン酸、2−ヒドロキシエイコサン酸、2−ヒドロキシテトラエイコサン酸、2−ヒドロキシテトラエイコサン酸、2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブタン酸、サリチル酸、3−メチルサリチル酸、4−メチルサリチル酸、5−メチルサリチル酸、3−メトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸等を例示できる。
【0052】
カルボン酸は、本発明の触媒組成物の成分として、初期活性を抑制する効果が顕著であるが、これらのうち、2−ヒドロキシエタン酸(グリコール酸)、2−フェニル−2−ヒドロキシエタン酸(マンデル酸)、及び2−ヒドロキシプロパン酸(乳酸)は活性抑制剤としての性能が優れているため、遅延性触媒の構成成分として特に有効に用いることができる。
【0053】
本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物において、(c)酸類は単独で用いても良いし、2種類以上を併用することも可能である。
【0054】
本発明において、(a)β−ジケトン錯体成分に対する(b)第3級アミン化合物成分及び(c)酸類成分のモル比は、特に限定するものではないが、(a)/(b)/(c)=1/0.1〜100/0.1〜100であることが好ましく、さらに好ましくは(a)/(b)/(c)=1/0.5〜50/0.5〜50である。モル比がこの範囲外であると、適当な触媒活性と触媒濃度を両立できない場合がある。
【0055】
また、(b)第3級アミン化合物成分と(c)酸類成分のモル比[(b)/(c)]は、通常0.1〜10の範囲であり、好ましくは0.2〜3の範囲であり、さらに好ましくは0.5〜3の範囲である。モル比がこの範囲外であると、十分な触媒活性が得られない場合がある。
【0056】
本発明において、触媒組成物を構成する(a)、(b)又は(c)成分は予め混合して調製したものを反応時に添加しても良いし、反応の際に同時に添加しても良い。また、予め混合する際に溶媒に溶解して使用することもできる。溶媒は特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のアルコール類、トルエン、キシレン、ミネラルターペン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルギリコールアセテート、酢酸セルソルブ等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類の有機溶媒等が挙げられる。
【0057】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、本発明のポリウレタン製造用触媒組成物の存在下、反応させることをその特徴とする。
【0058】
本発明の製造方法において、本発明のポリウレタン製造用触媒組成物に加えて、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の有機金属触媒や、第3級アミン触媒、第4級アンモニウム塩類等を併用しても良い。
【0059】
その他の有機金属触媒としては、特に限定するものではないが、具体的には、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート等の有機スズ触媒や、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等が例示される。これらのうち、好ましい化合物としては、有機スズ触媒であり、更に好ましくはスタナスジオクトエート又はジブチルスズジラウレートである。本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、本発明の触媒組成物を使用することにより、有機スズ触媒の使用量を大幅に低減することができる。
【0060】
第3級アミン触媒としては、特に限定するものではないが、具体的には、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(トリエチレンジアミン)、2−メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、3−キヌクリジノール、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、キヌクリジン、2−メチルキヌクリジン等が例示される。
【0061】
なお、本発明の製造方法において、発泡処方の場合には、ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、本発明のポリウレタン製造用触媒組成物、泡化触媒として、上記の第3級アミン触媒、発泡剤及び必要に応じて添加剤の存在下、反応させることが好ましい。本発明の製造方法においては、泡化触媒として、上記(b)第3級アミン化合物に該当する第3級アミンをさらに添加することができる。
【0062】
第4級アンモニウム塩類としては、特に限定するものではないが、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、水酸化テトラメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩類が挙げられる。
【0063】
本発明の製造方法において、その他の有機金属触媒や、第3級アミン触媒、第4級アンモニウム塩類を使用する場合は、その使用量は、ポリオールを100重量部としたとき、通常0.0001〜15重量部の範囲であり、更に好ましくは0.001〜10重量部の範囲である。
【0064】
本発明の製造方法において、使用されるポリオールとしては、例えば、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、アクリル系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、カプロラクトン変性ポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、エポキシ変性ポリオール、アルキド変性ポリオール、ひまし油、フッ素含有ポリオール等が使用できる。これらのポリオールは単独で使用することもできるし、適宜混合して併用することもできる。
【0065】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングルコール、テトラメチレングルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコール類、エチレンジアミン等の脂肪族アミン化合物類、トルエンジアミン、ジフェニルメタン−4,4−ジアミン等の芳香族アミン化合物類、エタノールアミン及びジエタノールアミン等のようなアルカノールアミン類等のような少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物を出発原料としてこれにエチレンオキシドやプロピレンオキシドに代表されるアルキレンオキサイドの付加反応により、例えば、Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版)Hanser Publishers(ドイツ),p.42〜53に記載の方法により製造することができる。
【0066】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと無水マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物や、岩田敬治著,“ポリウレタン樹脂ハンドブック”(1987年初版)日刊工業新聞社,p.117に記載されているようなナイロン製造時の廃物、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0067】
アクリル系ポリオールとしては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル等の水酸基含有不飽和モノマー及び/又はこれらモノマーにε−カプロラクタム等のラクトン類を付加したラクトン変性不飽和モノマーと、スチレン、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸ブチル等の不飽和モノマーを重合反応させて得られるポリオールが挙げられる。
【0068】
ポリオールの平均分子量は200〜10,000の範囲のものが好ましい。平均分子量が200未満では架橋点間距離が短く、ウレタン樹脂の柔軟性が十分ではなく、耐割れ性が不充分となるおそれがあり、10,000を超えると架橋密度が低くなり、強靭性や硬度が不充分となり本発明の効果を発揮しないおそれがある。
【0069】
本発明の製造方法に使用されるポリイソシアネートは、従来公知の有機ポリイソシアネートであればよく、特に限定するものではないが、例えば、ポリイソシアネートモノマ−の他にそのポリメリック体も使用することができる。ポリイソシアネートモノマ−としては、例えば、トルエンジイソシアネート(以下、TDIと称する場合がある)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと称する場合がある)、4,4’−ジフェニルエ−テルジイソシアネート、ナフタレンジイシシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート、及びこれらの混合体が挙げられる。TDIとその誘導体としては、例えば、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物又はTDIの末端イソシアネートプレポリマー誘導体を挙げることができる。また、MDIとその誘導体としては、例えば、MDIとその重合体のポリフェニル−ポリメチレンジイソシアネートの混合体、及び/又は末端イソシアネート基をもつジフェニルメタンジイソシアネート誘導体を挙げることができる。
【0070】
本発明の製造方法においては、有機イソシアネートに換えて、ウレタンプレポリマーを使用することもできる。ウレタンプレポリマーは、前述のポリオールとポリイソシアネートを反応させることにより製造されるが、該反応は高温で行うことが望ましく、例えば、60℃〜150℃の範囲間で反応を行うことが望ましい。ポリオールに対するポリイソシアネートの当量比は、約0.8〜約3.5の範囲間に設定するのが望ましい。
【0071】
本発明の製造方法において、必要に応じて、発泡剤及びその他の添加剤を使用することができる。その他の添加剤としては、整泡剤、架橋剤又は鎖延長剤、難燃剤、溶媒、顔料、着色剤、老化防止剤、抗酸化防止剤、充填剤、増粘剤、減粘剤、可塑剤、タレ防止剤、沈殿防止剤、消泡剤、UV吸収剤、チキソトロープ剤、吸着剤、その他公知の添加剤等が挙げられる。このような添加剤の種類及び添加量は、公知の形式と手順を逸脱しないならば、通常使用される範囲で使用することができる。
【0072】
本発明の製造方法に用いられる発泡剤は、水及び/又は低沸点有機化合物である。低沸点有機化合物としては炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系の化合物である。炭化水素系の化合物としては、従来公知のメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等が使用できる。ハロゲン化炭化水素系の化合物としては、従来公知のハロゲン化メタン類、ハロゲン化エタン類、フッ素化炭化水素類が使用でき、具体的には、塩化メチレン、HCFC−141b、HFC−245fa、HFC−356mfc等を使用することができる。これら発泡剤の使用においては、水と低沸点有機化合物をそれぞれ単独使用してもよいし、併用してもよい。
【0073】
本発明の製造方法において、発泡剤の使用量は、所望の密度やフォーム物性に応じて決定されるが、具体的には、得られるフォーム密度が、通常10〜200kg/m、好ましくは20〜100kg/mとなるように選択される。水の使用量は、特に限定するものではないが、ポリオール100重量部に対して通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。水の使用量が0.1重量部より少ないと、炭化水素の使用量が多くなり、価格的に不利である。また、水の使用量が10重量部より多いと、フォームの硬化速度が遅くなるとともに、フォーム表面のフライアビリティー性が大きくなり面材との接着性が著しく劣る。
【0074】
本発明の製造方法において、整泡剤としては、界面活性剤を用いることができる。使用される界面活性剤としては、例えば、従来公知の有機シリコーン系界面活性剤が挙げられ、具体的には、有機シロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、シリコーン−グリース共重合体等の非イオン系界面活性剤、又はこれらの混合物等が例示される。それらの使用量は、ポリオール100重量部に対して通常0.1〜10重量部である。
【0075】
本発明の製造方法において、架橋剤又は鎖延長剤としては、低分子量の多価アルコール(例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン等)、低分子量のアミンポリオール(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、キシリレンジアミン、メチレンビスオルソクロルアニリン等)等が例示される。
【0076】
本発明の製造方法において、難燃剤としては、例えば、リン酸とアルキレンオキシドとの付加反応によって得られるプロポキシル化リン酸、プロポキシル化ジブチルピロリン酸等の含リンポリオールの様な反応型難燃剤、トリクレジルホスフェート等の第3リン酸エステル類、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート等のハロゲン含有第3リン酸エステル類、ジブロモプロパノール、ジブロモネオペンチルグリコール、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン含有有機化合物類、酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム等の無機化合物等が挙げられる。難燃剤の使用量は、要求される難燃性に応じて異なるため、特に限定するものではないが、ポリオール100重量部に対して通常4〜20重量部である。
【0077】
本発明の製造方法においては、有機ポリイソシアネートやポリオール等の原料を溶解、希釈するため、溶剤を使用することができる。このような溶剤としては、トルエン、キシレン、ミネラルターペン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルグリコールアセテート、酢酸セルソルブ等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類の有機溶媒が挙げられる。
【0078】
本発明の製造方法において、ポリウレタン樹脂製造用触媒組成物の使用量は特に制限するものではないが、使用されるポリオ−ルを100重量部としたとき、通常0.001〜50重量部の範囲であり、好ましくは0.003〜10重量部の範囲である。
【0079】
本発明において、イソシアネートインデックスは特に限定するものではないが、通常は50〜300の範囲であり、更に好ましくは70〜250の範囲である。70以下では架橋密度が低くなり樹脂強度が低下するおそれがあり、250以上では未反応イソシアネート基が残存するおそれがある。
【0080】
本発明の製造方法において、発泡剤を用いない非発泡処方の場合、ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、本発明のポリウレタン製造用触媒組成物及び必要に応じて添加剤の存在下、反応させることをその特徴とする。非発泡用途では、系中に水分が存在すると反応の際に発泡現象が起きたり、触媒活性が低くなったりするおそれがあるため、水分を除去することが望ましい。水分の除去にはポリオールやプレポリマー等の原料について、加熱真空脱水を行うことはもちろん、モレキュラーシーブやゼオライト等を系中に添加してもよい。また必要であれば消泡剤を用いることもできる。
【0081】
また、本発明の製造方法において、発泡処方の場合、ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、本発明のポリウレタン製造用触媒組成物、上記の第3級アミン触媒、発泡剤及び必要に応じて添加剤の存在下、反応させることが好ましい。
【0082】
本発明の製造方法において、発泡処方の場合、具体的には前記原料(ポリオール、有機ポリイソシアネート、本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物、アミン触媒、発泡剤、添加剤等)の混合液を急激に混合、攪拌した後、適当な容器又はモールドに注入して発泡成型することにより行われる。混合、攪拌は一般的な攪拌機や専用のポリウレタン発泡機を使用して実施することができる。ポリウレタン発泡機としては高圧、低圧及びスプレー式の機器が使用できる。
【0083】
以下、実施例、比較例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0084】
実施例1
<触媒組成物の調製>
(b)第3級アミン化合物として1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)10.0g(65.7mmol)と(c)酸類としてフェノール6.18g(65.7mmol)を50mlガラスフラスコ中で反応させ、淡黄色の粘性液体を得た。これに、(a)β−ジケトン錯体としてジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)3.09gを室温で徐々に加え、最終的に50℃に加熱して溶質を完全に溶解させた。得られた触媒組成物中のジルコニウム濃度は3.0wt%であった。
【0085】
<評価法A:脂肪族イソシアネートの硬化試験>
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(1000SN、保土谷化学工業社製)7.20gに前記<触媒組成物の調製>において調製した触媒組成物6.6mg(金属成分として固形分の0.002部)を加え30秒間撹拌した後、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)ヌレートベースのプレポリマー(Coronate HX、日本ポリウレタン工業社製)2.80gを加え30秒間撹拌した。ホットプレート上に設置した金属性金型を40℃に予め加熱しておき、円形のくぼみ(直径1cm、深さ2mm)に上記混合液をすばやく流し込み、硬化挙動を評価した。混合液を流し込んでから、混合液がゲル化するまでの時間をゲルタイム、指で触ってベトツキが無くなるまでの時間をタックフリータイムとした。評価結果を表1に示す。
【0086】
<評価法B:芳香族イソシアネートの硬化試験>
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(1000SN、保土谷化学工業社製)7.88gに前記<触媒組成物の調製>において調製した触媒組成物6.6mg(金属成分として固形分の0.002部)を加え30秒間撹拌した後、ジフェニルメタンジイソシアネート(MR−200、日本ポリウレタン工業社製)2.12gを加え30秒間撹拌した。ホットプレート上に設置した金属性金型を40℃に予め加熱しておき、円形のくぼみ(直径1cm、深さ2mm)に上記混合液をすばやく流し込み、硬化挙動を評価した。混合液を流し込んでから、混合液がゲル化するまでの時間をゲルタイム、指で触ってベトツキが無くなるまでの時間をタックフリータイムとした。評価結果を表1に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

実施例2〜実施例7
(b)第三級アミン化合物及び(c)酸類を表1及び表2に示した配合比にて使用した以外は実施例1の<触媒組成物の調製>と同じ手法を用いて触媒組成物を調製し、表1及び表2に示した量の触媒組成物を添加して、上記<評価法A>及び<評価法B>による評価をそれぞれ実施した。結果を表1及び表2にあわせて示す。
【0089】
実施例1〜実施例6は、(a)成分としてジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)を用い、(b)成分及び(c)成分として種々の第三級アミン化合物及びフェノール類をそれぞれ用いて調製した触媒組成物である。これらの触媒は、脂肪族及び芳香族イソシアネートに対して非常に高い触媒活性を有している。
【0090】
実施例7は、(c)成分として乳酸(ヒドロキシカルボン酸)を添加した触媒組成物であるが、この場合、ゲルタイムが比較的長い遅延性の触媒が調製できることがわかる。
【0091】
実施例8〜実施例9
(a)成分として鉄トリス(2,4−ペンタンジオネート)を用い、(b)第三級アミン化合物及び(c)酸類を表2に示した配合比にて使用した以外は実施例1の<触媒組成物の調製>と同じ手法を用いて触媒組成物を調製し、表2に示した量の触媒組成物を添加して、上記<評価法A>及び<評価法B>による評価をそれぞれ実施した。結果を表2にあわせて示す。
【0092】
実施例8〜9から、(a)成分として鉄トリス(2,4−ペンタンジオネート)を用いて調製した触媒組成物は、脂肪族及び芳香族イソシアネートに対して非常に高い触媒活性を有していることがわかる。
【0093】
比較例1
ジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)のジルコニウム1.5wt%トルエン溶液を用い、表3に示した量の触媒組成物を添加して、上記<評価法A>及び<評価法B>による評価をそれぞれ実施した。結果を表3にあわせて示す。
【0094】
比較例1からジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)を単独で使用した場合、十分な触媒活性が得られないことがわかる。
【0095】
比較例2〜比較例4
(a)成分としてジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)を用い、(b)成分又は(c)成分のいずれかを添加しないで、表3に示した配合比にて触媒組成物を調製し、表3に示した量の触媒組成物を添加して、上記<評価法A>及び<評価法B>による評価をそれぞれ実施した。結果を表3にあわせて示す。
【0096】
比較例2〜4から、(a)成分のジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)と(b)又は(c)の2成分系は触媒活性が低いことがわかる。十分な触媒活性を発現させるためには、(a)、(b)及び(c)の3成分を混合する必要がある。
【0097】
比較例5
(a)成分としてジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)を用い、その他の成分として2、4−ペンタンジオンを表3に示した配合比にて触媒組成物を調製し、表3に示した量の触媒組成物を添加して、上記<評価法A>及び<評価法B>による評価をそれぞれ実施した。結果を表3にあわせて示す。
【0098】
比較例5から、ジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)と2、4−ペンタンジオンの混合触媒は、ジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)を単独で使用した場合よりも高活性であるが、本発明の触媒組成物より活性が低いことがわかる。
【0099】
比較例6
鉄トリス(2,4−ペンタンジオネート)の鉄2.0wt%トルエン溶液を用いて、表4に示した量の触媒組成物を添加して<評価法A>及び<評価法B>による評価をそれぞれ実施した。結果を表4にあわせて示す。
【0100】
比較例6から鉄トリス(2,4−ペンタンジオネート)を単独で使用した場合、十分な触媒活性が得られないことがわかる。
【0101】
【表3】

比較例7〜比較例8
(a)成分として鉄トリス(2,4−ペンタンジオネート)を用い、(b)成分又は(c)成分のいずれかを添加しないで、表4に示した配合比にて触媒組成物を調製し、表4に示した量の触媒組成物を添加して、上記<評価法A>及び<評価法B>による評価をそれぞれ実施した。結果を表4にあわせて示す。
【0102】
比較例7〜8から、(a)成分の鉄トリス(2,4−ペンタンジオネート)と(b)又は(c)の2成分系は触媒活性が低いことがわかる。十分な触媒活性を発現させるためには、(a)、(b)及び(c)の3成分を混合する必要がある。
【0103】
比較例9
(a)成分として鉄トリス(2,4−ペンタンジオネート)を用い、その他の成分として2、4−ペンタンジオンを表4に示した配合比にて触媒組成物を調製し、表4に示した量の触媒組成物を添加して、上記<評価法A>及び<評価法B>による評価をそれぞれ実施した。結果を表4にあわせて示す。
【0104】
比較例9から、鉄トリス(2,4−ペンタンジオネート)と2、4−ペンタンジオンの混合触媒は、著しく触媒活性が低いことがわかる。
【0105】
比較例10
DBTDL(ジブチルスズジラウレート)のスズ3.0wt%トルエン溶液を用いて、表4に示した量の触媒組成物を添加して、上記<評価法A>及び<評価法B>による評価をそれぞれ実施した。結果を表4にあわせて示す。
【0106】
DBTDLは、40℃での反応性が十分でないため、タックフリーになるまでに長い時間を要する。また、DBTDLは不純物としてトリブチルスズを含有しており環境衛生上、安全に使用できるものではない。
【0107】
実施例10
ポリオール、発泡剤、整泡剤を表4に示した原料配合比にてプレミックスAを調合した。プレミックスA 25.0gを300mlポリエチレンカップに取り、本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物及びアミン触媒を表5に示した量だけ添加し、10℃に温度調整した。別容器で10℃に温度調整したポリイソシアネート液(MR−200)をイソシアネートインデックス{イソシアネート基/OH基(モル比)×100)}が200となる量だけプレミックスAのカップの中に入れ、素早く攪拌機を用いて8500rpmで1.5秒間攪拌し、その後、発泡中の反応性を測定した。また、成形フォームからフォームのコア密度及び寸法安定性を評価した。反応性及びフォーム物性を表6に示す。
【0108】
<反応性の測定項目>
クリームタイム:フォームが上昇開始する時間を目視にて測定
ゲルタイム:反応が進行し液状物質より、樹脂状物質に変わる時間を測定
ライズタイム:フォームの上昇が停止する時間を目視にて測定。
【0109】
<フォームの物性>
フォームのコア密度:生成したフォームの中心部を10×7×7cmの寸法にカットし、寸法、重量を正確に測定してコア密度を算出した。
【0110】
フォームの寸法安定性:コア密度の測定に使用したフォームを−30℃で48時間保温し、厚み方向の変化率を測定した。
【0111】
【表4】

【0112】
【表5】

【0113】
【表6】

比較例11
触媒として、本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物を用いないで、オクチル酸鉛を表5に示した量だけ用いる以外は実施例10と同様にして、反応性及びフォーム物性の評価を行った。結果を表6に示す。
【0114】
比較例11から、オクチル酸鉛を用いた場合、反応性及びフォーム物性は、実施例10と同様に良好であることがわかる。しかし、オクチル酸鉛は化合物として非常に有毒であるばかりか、フォーム中に残留し、フォーム自体の毒性を高めるという問題点がある。
【0115】
比較例12
触媒として、本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物を用いないで、ジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)を表5に示した量だけ用いる以外は実施例10と同様にして、プレミックAと触媒の混合液の調製を試みたが、ジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)はプレミックAに完全に溶解させることはできなかった。
【0116】
比較例12から、ジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)はポリオール成分に対する溶解性が著しく低く、また反応性の向上効果も無いことがわかる。
【0117】
比較例13
触媒として、本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物を用いないで、DBUのフェノール塩を表5に示した量だけ用いる以外は実施例10と同様にして、反応性及びフォーム物性の評価を行った。結果を表6に示す。
【0118】
比較例13から、DBUのフェノール塩を加えても、十分な反応性を得ることができないことがわかる。
【0119】
比較例14〜比較例15
触媒として、本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物を用いないで、アミン触媒のみを表5に示した量だけ用いる以外は実施例10と同様にして、反応性及びフォーム物性の評価を行った。結果を表6に示す。
【0120】
比較例14〜比較例15から、アミン触媒のみでは、十分な反応性を得ることができないことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)β−ジケトン錯体、(b)第3級アミン化合物、及び(c)酸類からなるポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【請求項2】
(a)β−ジケトン錯体が下記一般式(1)で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【化1】

[上記一般式(1)中、MはAl、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu又はZrを表し、Lは各々独立して下記一般式(2)で示される配位子を表し、nは2以上4以下の整数を表す。]
【化2】

[上記一般式(2)中、R及びRは各々独立してR又はORを表す。ここで、Rは炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。また、Rは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。]
【請求項3】
(a)β−ジケトン錯体が、アルミニウム(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、マンガン(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、マンガン(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、鉄(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、鉄(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、コバルト(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)又はコバルト(III)トリス(2,4−ペンタンジオネート)、ニッケル(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、銅(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、及びジルコニウムテトラ(2,4−ペンタンジオネート)からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項2に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【請求項4】
(b)第3級アミン化合物が、下記一般式(3)
【化3】

[上記一般式(3)中、R、R及びRは各々独立して、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のアリール基、炭素数1〜6のジメチルアミノアルキル基、又は炭素数1〜16のアルコキシアルキル基を表し、R及びRは各々独立して水素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のアリール基、炭素数1〜6のジメチルアミノアルキル基、又は炭素数1〜16のアルコキシアルキル基を表し、nは1〜11の整数を表し、aは0〜10の整数を表す。ただし、RとR又はRとが結合してピベラジン構造、イミダゾール構造、又はイミダゾリン構造を有する環状化合物となっても良い。]
で示される化合物、下記一般式(4)
【化4】

[上記一般式(4)中、R10は炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のアリール基、炭素数1〜6のジメチルアミノアルキル基、又は炭素数1〜16のアルコキシアルキル基を表す。]
で示される化合物、並びに複素環式の第3級アミン化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【請求項5】
一般式(3)で示される第3級アミン化合物が、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール及びN,N’−ジメチルピペラジンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項4に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【請求項6】
一般式(4)で示される第3級アミン化合物が、N−メチルモルホリン及び/又はN−エチルモルホリンであることを特徴とする請求項4に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【請求項7】
複素環式の第3級アミン化合物が、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]デセン−7、及び1,4−ジアザビシクロ[3,3,3]オクテン−4よりなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項4に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【請求項8】
(c)酸類が、フェノール類、1価カルボン酸、多価カルボン酸、並びにα位又はβ位に水酸基を有する1価又は多価ヒドロキシカルボン酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【請求項9】
フェノール類が、フェノール、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ベンジルフェノール、3−フェノキシフェノール、1−ナフトール、及び2−ナフトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項8に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【請求項10】
1価カルボン酸が、ギ酸、酢酸、2−ケトエタン酸(グリオキシル酸)、プロパン酸、2−ケトプロパン酸(ピルビン酸)、ブタン酸、イソブタン酸、2−ケトブタン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルブタン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項8に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【請求項11】
多価カルボン酸が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、及びピロメリット酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項8に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【請求項12】
α位又はβ位に水酸基を有する1価又は多価ヒドロキシカルボン酸が、2−ヒドロキシエタン酸(グリコール酸)、2−フェニル−2−ヒドロキシエタン酸(マンデル酸)、2−ヒドロキシプロパン酸(乳酸)、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸(クエン酸)、1−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸(イソクエン酸)、2−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシブタン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2−ヒドロキシブタン−1,4−二酸(リンゴ酸)、2,3−ジヒドロキシブタン−1,4−二酸(酒石酸)、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン−1,4−二酸(シトラマル酸)、サリチル酸、3−メチルサリチル酸、4−メチルサリチル酸、5−メチルサリチル酸、3−メトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、及び5−メトキシサリチル酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項8に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【請求項13】
(b)第3級アミン化合物と(c)酸類とのモル比[(b)/(c)]が0.2〜3の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
【請求項14】
ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、請求項1乃至請求項13のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物の存在下、反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
【請求項15】
ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、さらに発泡剤及び泡化触媒として第3級アミン触媒の存在下、反応させることを特徴とする請求項14に記載のポリウレタン樹脂の製造方法。
【請求項16】
有機ポリイソシアネートが脂肪族ポリイソシアネートであることを特徴とする請求項14又は請求項15に記載のポリウレタン樹脂の製造方法。

【公開番号】特開2007−45980(P2007−45980A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233696(P2005−233696)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】