説明

ポリウレタン溶液に基づくエネルギー変換器

本発明は、電気機械変換器の製造方法、電気機械変換器の製造のための1以上の有機溶媒における少なくとも1つのポリウレタンの溶液の使用、それから製造された電気機械変換器および上記の電気機械変換器の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械変換器の製造方法、電気機械変換器の製造のための1以上の有機溶媒における少なくとも1つのポリウレタンの溶液の使用、それから製造された電気機械変換器および上記の電気機械変換器の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
変換器(電気機械変換器とも称する)は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、および機械エネルギーを電気エネルギーに変換する。これらは、検出器、作動装置および発生器の構成物質として用いることができる。
【0003】
このような変換器の基本構造は、電極が両側に被覆された電気活性ポリマーの層を含み、例えばWO−A01/06575に記載されている。該基本構造は、検出器、作動装置または発生器の製造のための最も多様性のある構造に用いることができる。
【0004】
電気活性層の構成物質として種々のポリマーを含む変換器は、先行技術において記載されている(例えばWO−A01/06575参照)。
【0005】
しかしながら、変換器中の電気活性層を製造するための1以上の有機溶媒における少なくとも1つのポリウレタンの溶液の使用は、未だ記載されていない。
【0006】
上記のポリマー溶液の使用は、弾性電気活性層の製造のための出発点として種々の優位性を示し、特に、これらは取り扱いが容易であり、通常、室温と100℃との間の温度で進めることができるので、感温性基材を被覆することもできる。さらに、1成分加工性が通常、可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第01/06575号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、有利な特性を示す、電気機械変換器のための新規な弾性電気絶縁電気活性層を提供することであった。特に、これらは、簡単な処理を可能とし、有利な機械特性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1以上の有機溶媒における少なくとも1つのポリウレタンの溶液に基づくフィルム形成性組成物が、約1012オーム・cmを越える高い比抵抗を有する電気機械変換器のための弾性電気活性層の製造に特に適していることを見出した。このような溶液は、処理が容易であり、層の製造のための多成分系の使用を避けることができる。意外にも、こうして製造された層は、際立った機械特性および低い水吸収能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
水吸収能が高い場合には、水は、例えば可塑剤として働き、用いる材料の機械特性を変更することできる。さらに、ポリマーによる電極の電気絶縁性は、水吸収が高く、極めて高い(電気)電圧が適用される場合にはもはや、必ずしも確保されない。これらの欠点は、意外にも、低い水吸収能により防止することができる。低い水吸収能は、特に電気機械変換器の機能性が、大気湿気とは無関係であるという優位性を提供する。
【0011】
従って、本発明は、電気エネルギーを機械エネルギーにまたは機械エネルギーを電気エネルギーに変換するための変換器の製造方法を提供し、これは、少なくとも2つの電極および該電極の間に配置された少なくとも1つのポリマー層を含み、該ポリマー層は、1以上の有機溶媒中に少なくとも1つのポリウレタンを含有する溶液から製造され、該溶液は、以下の工程:
A)A1)有機ポリイソシアネート、
A2)ポリマーポリオール、および
A3)必要に応じてヒドロキシ官能性化合物
からのイソシアネート官能性プレポリマーの製造、および
B)A)からのプレポリマーの遊離NCO基と、
B1)アミノ官能性化合物との完全または部分反応
を有する重合法に由来し、
該プレポリマーは、1以上の有機溶媒に、工程B)前、工程B)中および/または工程B)後に溶解させる。
【0012】
さらに、本発明は、電気エネルギーを機械エネルギーにまたは機械エネルギーを電気エネルギーに変換するための変換器の製造のための1以上の有機溶媒における少なくとも1つのポリウレタンを含有する溶液の使用を提供し、これは、少なくとも2つの電極および該電極の間に配置されたポリマー層を含み、該ポリマー層が、1以上の有機溶媒における少なくとも1つのポリウレタンを含有する溶液から製造されることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明は、電気エネルギーを機械エネルギーにまたは機械エネルギーを電気エネルギーに変換するための変換器を提供し、これは、少なくとも2つの電極および該電極の間に配置されたポリマー層を含み、該ポリマー層が、1以上の有機溶媒における少なくとも1つのポリウレタンを含有する溶液から製造されることを特徴とする。
【0014】
ポリマー層の製造のための1以上の有機溶媒における少なくとも1つのポリウレタンを含有する溶液は、以下、略して、フィルム形成性組成物またはポリウレタン溶液とも称される。
【0015】
1以上の有機溶媒における少なくとも1つのポリウレタンを含有する溶液からの本発明により製造されるポリマー層は、電気機械変換器の電気活性層または電気活性層の1部である。
【0016】
全ての既知のポリウレタン溶液は、原則として、用いるべきフィルム形成性組成物として用いることができる。
【0017】
特に好ましく用いるポリウレタン溶液は、
A)イソシアネート官能性プレポリマーを、
A1)有機ポリイソシアネート、
A2)A2)400〜8000g/モルの分子量(数平均)、および1.5〜6の平均OH官能価を有するポリマーポリオール、および
A3)必要に応じて、62g/モル〜399g/モルの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物
から調製し、および
B)次いで、該プレポリマーの遊離NCO基を、
B1)32〜1000g/モルの分子量、好ましくは32〜400g/モルの分子量を有するアミノ官能性化合物と、
鎖延長を伴って完全にまたは部分的に反応させ、および
該プレポリマーを、工程B)前、工程B)中または工程B)後に1以上の有機溶媒中に溶解させる、
プレポリマー化法により得られる。
【0018】
好ましくは、本発明により用いるべきポリウレタン溶液は、該ポリウレタン溶液の全重量を基準として5重量%〜70重量%、特に好ましくは15〜60重量%、極めて特に好ましくは20〜40重量%の固形分を有する。
【0019】
成分A1)の適当なポリイソシアネートは、当業者にそれ自体既知の2以上のNCO官能価を有する脂肪族、芳香族または脂環式ポリイソシアネートである。
【0020】
このような適当なポリイソシアネートの例は、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンまたは任意の異性体含量のこれらの混合物、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルイレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,2’−および/または2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート,1,3−および/または1,4−ビス(2−イソシアナト−プロプ−2−イル)ベンゼン(TMXDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)ならびにC1〜C8−アルキル基を有するアルキル2,6−ジイソシアナトヘキサノエート(リジンジイソシアネート)である。
【0021】
上記のポリイソシアネートの他に、2以上の官能価を有し、ウレットジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンまたはオキサジアジントリオン構造を有する変性ジイソシアネート、ならびにこれらの混合物の一部を用いることもできる。
【0022】
好ましくは、専ら脂肪族的にまたは脂環式的に結合したイソシアネート基を有する上記の型のポリイソシアネートもしくはポリイソシアネート混合物またはこれらの混合物であり、混合物の平均NCO官能価は2〜4、好ましくは2〜2.6、特に好ましくは2〜2.4である。極めて特に好ましい実施態様では、二官能性イソシアネート単位、好ましくは二官能性脂肪族イソシアネート単位である。
【0023】
特に好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートまたは異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび上記のジイソシアネートの混合物をA1)に用いる。特に好ましい実施態様では、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートの混合物を用いる。
【0024】
400〜8000g/モル、好ましくは400〜6000g/モル、および極めて特に好ましくは600〜3000g/モルの数平均分子量Mnを有するポリマーポリオールをA2)に用いる。これらは、好ましくは1.5〜6、特に好ましくは1.8〜3、もっとも特に好ましくは1.9〜2.1のOH官能価を有する。
【0025】
上記のポリマーポリオールは、ポリウレタンラッカー技術においてそれ自体既知のポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリエステルポリオール、ポリウレタンポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリカーボネートポリオールおよびポリエステルポリカーボネートポリオールである。これらは、単独にまたは互いに任意の所望の混合物としてA2)に用いることもできる。
【0026】
適当なポリエステルポリオールは、ジオールならびに必要に応じてトリオールおよびテトラオールと、ジカルボン酸ならびに必要に応じてトリカルボン酸およびテトラカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸またはラクトンの、それ自体既知の重縮合物である。遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物または対応する低級アルコールのポリカルボン酸エステルを、ポリエステルの調製のために用いることもできる。
【0027】
適当なジオールの例は、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコールなど、さらに1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオールおよび異性体、ネオペンチルグリコールまたはヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルであり、ヘキサン−1,6−ジオールおよび異性体、ブタン−1,4−ジオール、ネオペンチルグリコールおよびヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルは好適である。さらに、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、トリメチロールベンゼンまたはトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートのようなポリオールを用いてもよい。
【0028】
用いることができるジカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2−メチルコハク酸、3,3−ジエチルグルタル酸および/または2,2−ジメチルコハク酸である。酸源として、対応する無水物を用いてもよい。
【0029】
エステル化すべきポリオールの平均官能価が2より大きい場合には、さらに、モノカルボン酸、例えば安息香酸およびヘキサンカルボン酸などを併用してもよい。
【0030】
好ましい酸は、上記の種類の脂肪族酸または芳香族酸である。アジピン酸、イソフタル酸およびフタル酸は、特に好ましい。
【0031】
末端ヒドロキシル基を有するポリエステルポリオールの製造において反応における参加物として併用することができるヒドロキシカルボン酸は、例えばヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシステアリン酸などである。適当なラクトンは、カプロラクトン、ブチロラクトンおよび同族体である。カプロラクトンが好ましい。
【0032】
適当なポリカーボネートポリオールは、400〜8000g/モル、好ましくは600〜3000g/モルの数平均分子量Mnを有する、ヒドロキシル基を含有するポリカーボネートである。これらは、好ましくはポリカーボネートジオールをA2)に用いることができる。これらは、カルボン酸誘導体、例えばジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲンなどと、ポリオール、好ましくはジオールとの反応によって得られる。
【0033】
このようなジオールの例は、エチレングリコール、1,2−および1,3−プロパンジオール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールAおよび上記の種類のラクトン変性ジオールである。
【0034】
好ましくは、ジオール成分は、40〜100重量%のヘキサンジオールを含み、1,6−ヘキサンジオールおよび/またはヘキサンジオール誘導体が好ましい。このようなヘキサンジオール誘導体は、ヘキサンジオールをベースとし、末端OH基に加えて、エステル基またはエーテル基を有する。このような誘導体は、ヘキサンジオールを過剰のカプロラクトンと反応させることによって、またはジヘキシレングリコールまたはトリヘキシレングリコールを生じさせるヘキサンジオールの自己エーテル化によって得られる。
【0035】
純粋なポリカーボネートジオールの代わりに、またはこれに加えて、ポリエーテルポリカーボネートジオールをA2)に用いることもできる。
【0036】
ヒドロキシル基を含有するポリカーボネートは好ましくは、構造が直鎖である。
【0037】
適当なポリエーテルポリオールは、例えば、カチオン性開環によるテトラヒドロフランの重合によって得られる、ポリウレタン化学においてそれ自体既知のポリテトラメチレングリコールポリエーテルである。
【0038】
用いることができる適当なスターター分子として、先行技術により既知の全ての化合物、例えば水、ブチルジグリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ソルビトール、エチレンジアミン、トリエタノールアミンおよび1,4−ブタンジオール等である。
【0039】
A2)における好ましい成分は、ポリテトラメチレングリコールポリエーテルおよびポリカーボネートポリオールまたはこれらの混合物、およびポリテトラメチレングリコールポリエーテルは特に好ましい。
【0040】
20個までの炭素原子を有する記載の分子量範囲のポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセロール、ペンタエリトリトールならびにこれらの互いの任意の所望の混合物などをA3)に用いることができる。
【0041】
記載した分子量範囲のエステルジオール、例えばα−ヒドロキシブチル−ε−ヒドロキシヘキサン酸エステル、ω−ヒドロキシヘキシル−γ−ヒドロキシ酪酸エステル、アジピン酸(β−ヒドロキシエチル)エステルまたはテレフタル酸ビス(β−ヒドロキシエチル)エステルなどは適当である。
【0042】
さらに、ヒドロキシル基を含有する単官能性イソシアネート反応性化合物をA3)に用いることもできる。このような単官能性化合物の例は、メタノール、エタノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール、1−ドデカノールおよび1−ヘキサデカノールである。上記のアルコールをイソシアネート官能性プレポリマーと反応させる場合、反応させた含有量はもはや、溶媒の中で考慮されない。
【0043】
有機ジアミンまたはポリアミン、例えば1,2−エチレンジアミン、1,2−および1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ヒドラジンヒドラジドおよび/またはジメチルエチレンジアミン等を成分B1)として用いることができる。
【0044】
さらに、成分B1として、第1級アミノ基に加えて第2級アミノ基を有する化合物、またはアミノ基(第1級または第2級)に加えてOH基を有する化合物を用いてもよい。これらの例は、第1級/第2級アミン、例えばジエタノールアミン、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、3−アミノ−1−エチルアミノプロパン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、3−アミノ−1−メチルアミノブタン等、およびアルカノールアミン、例えばN−アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3−アミノプロパノールおよびネオペンタノールアミン等である。
【0045】
さらに、成分B1)として、単官能性イソシアネート反応性アミン化合物、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチル(メチル)アミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジンまたはこれらの適当な置換誘導体、ジ第1級アミンおよびモノカルボン酸からのアミドアミン、ジ第1級アミンのモノケチムおよび第1級/第3級アミン、例えばN,N−ジメチルアミノプロピルアミン等を用いてもよい。
【0046】
1,2−エチレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシルメタン)、1,4−ジアミノブタン、イソホロンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびジエチレントリアミンを好ましく用いる。
【0047】
ユニットA1)、A2)、A3)およびB1)は、分枝位置が、ポリウレタン中に形成されないか、または低い含有量で形成されるように好ましく選択される。なぜなら、高い溶液粘度が生じるからである。特に好ましくは、専ら、2.2未満の平均官能価、極めて特に好ましくは、2.05未満の平均官能価を有するユニットを用いる。特に好ましい実施態様では、専らに二官能性および単官能性ユニットを用いる。極めて特に好ましい実施態様では、専ら二官能性ユニットを用いる。
【0048】
特定のポリウレタン溶液の調製のための好ましい実施態様では、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)を、ポリウレタンの製造のために、以下の量で用い、すなわち、ポリウレタン中へ組み込み、個々の量は常に合計100重量%になる:
成分A1)5〜40重量%、
成分A2)55〜90重量%、
成分A3)0〜10重量%、および
成分B1)1〜15重量%。
【0049】
特定のポリウレタン溶液の調製のための特に好ましい実施態様では、成分A1)〜A3)およびB1)を、ポリウレタンの製造のために、以下の量で用い、すなわち、ポリウレタン中へ組み込み、個々の量は常に合計100重量%になる:
成分A1)5〜35重量%、
成分A2)60〜85重量%、
成分A3)0〜5重量%、および
成分B1)3〜10重量%。
【0050】
特定のポリウレタン溶液の調製のための極めて特に好ましい実施態様では、成分A1)〜A3)およびB1)を、ポリウレタンの製造のために、以下の量で用い、すなわち、ポリウレタン中へ組み込み、個々の量は常に合計100重量%になる:
成分A1)10〜30重量%、
成分A2)65〜85重量%、
成分A3)0〜3重量%、および
成分B1)3〜8重量%。
【0051】
個々の成分A1)、A2)、A3)およびB1)の上記の量は、ポリウレタンを構成するために用いる量を指定するのであって、溶媒として存在し得るまたは添加し得るこれらの成分のさらなる量は考慮しない。
【0052】
溶解化工程は、A1)、A2)および必要に応じてA3)の完全または部分重付加前、重付加中または重付加後に行ってよい。溶解化工程は、B1)の添加中または添加後に行ってもよい。少なくとも2つの有機溶媒の混合物を用いてよく、または1つの有機溶媒を用いてよい溶媒の混合物が好ましい。
【0053】
ポリウレタン溶液の製造のために、好ましくは、まず、成分A1)、A2)および必要に応じてA3)の全部または一部を、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーを製造するために容器中へ投入し、該混合物を、必要に応じて、イソシアネート基に対して不活性である溶媒で希釈し、50〜120℃の範囲の温度にまで加熱する。イソシアネート付加反応を加速するために、ポリウレタン化学において既知の触媒を用いてよい。
【0054】
次いで、反応開始時に必要に応じて未だ添加していないA1)、A2)および必要に応じてA3)の成分を計量投入する。
【0055】
A1)、A2)および必要に応じてA3)からのポリウレタンプレポリマーの製造の過程では、イソシアネート基とイソシアネート反応性基の物質量は通常、1.05〜3.5、好ましくは1.1〜3.0、特に好ましくは1.1〜2.5である。
【0056】
イソシアネート反応性基は、イソシアネート基に対して反応性の全ての基、例えば第1級および第2級アミノ基、ヒドロキシル基またはチオール基等を意味すると理解される。
【0057】
プレポリマーを生じさせるための成分A1)、A2)および必要に応じてA3)の反応は、部分的に完了または完了するまで行う。こうして、遊離イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーは、固体の状態で、または溶液の状態で得られる。
【0058】
その後、さらなる工程段階において、これが未だ行われていないか、または部分的にのみ行われる場合には、得られたプレポリマーを、1以上の有機溶媒を用いて溶解させる。
【0059】
工程B)における鎖延長では、NH−および/またはNH−官能性成分を未だ残存するプレポリマーのイソシアネート基と反応させる。
【0060】
鎖延長度、すなわち、鎖延長および連鎖停止に用いるB)における化合物のNCO反応性基とプレポリマーの遊離NCO基との当量比は通常、50%および150%の間、好ましくは50%および120%の間、特に好ましくは60%および10%の間、極めて特に好ましくは約100%である。
【0061】
アミン成分B1)は、必要に応じて、本発明による方法において溶媒−希釈形態で、単独でまたは混合物の状態で用いることができ、原則として、任意の添加順序が可能である。アミン成分B1)は、必要に応じて、本発明による方法において溶媒−希釈形態で、単独でまたは混合物の状態で用いることができ、原則として、任意の添加順序が可能である。アルコール溶媒を、鎖延長または連鎖停止に用いてもよい。本発明では、通常、混合物中に含まれるアルコール溶媒の一部のみをポリマー鎖に組み込む。
【0062】
有機溶媒を希釈剤として併用する場合には、B)に用いる鎖延長のための成分における希釈剤含量は、希釈剤を含む成分B1)の全重量を基準として好ましくは1〜95重量%、特に好ましくは3〜50重量%である。
【0063】
本発明によるフィルム形成性組成物は通常、組成物中に含まれる全ての成分の固形分、すなわち全固形分を基準として少なくとも5重量%のポリウレタンを含有する。しかしながら、好ましくは、組成物は、全固形分を基準として少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも60重量%、極めて特に好ましくは70〜99重量%のポリウレタンを含有する。
【0064】
本発明によるポリウレタン溶液のための適当な溶媒は、例えば、酢酸エチルまたはメトキシプロピルアセテートのようなエステル、またはブチロラクトン、メタノール、エタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノールのようなアルコール、アセトンまたはメチルエチルケトンのようなケトン、テトラヒドロフランまたはtert−ブチルメチルエーテルのようなエーテル、トルエン、キシレンまたは溶媒ナフサのような芳香族溶媒、ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリジノンのようなウレア基を含有する溶媒である。エステル、アルコール、ケトンおよび/またはエーテルは好ましく用いる。特に好ましくは、溶液が、少なくとも1つのアルコール、好ましくは少なくとも1つの脂肪族アルコール、特に好ましくは少なくとも1つの1〜6個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノールおよび/またはイソプロパノール、およびエステル、ケトンまたはエーテルの群から選択される少なくとも1つのさらなる溶媒を含有する。アルコール溶媒の特に好ましい含有量は、全ての溶媒の全重量を基準として、10〜80重量、極めて特に好ましくは25〜65重量%である。アルコールは、本発明では、イソシアネート官能性プレポリマーの形成後に添加する限り溶媒と称す。イソシアネート官能性プレポリマーの製造においてヒドロキシ官能性化合物A3)として用い、イソシアネート官能性プレポリマーの中に共有的に組み込まれるアルコールの含有量は、溶媒として考慮しない。
【0065】
好ましくは、本発明により用いる1以上の有機溶媒中における少なくとも1つのポリウレタンの溶液は、該溶液の全重量を基準として5重量%未満、好ましくは1重量%未満、特に好ましくは0.3重量%未満の水を含有する。
【0066】
フィルム形成性ポリマーとして専らポリウレタンのみを用いない場合には、さらに、例えばポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエポキシド、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニルおよび/または対応するコポリマーをベースとする他のポリマー分散体を、必要に応じて1以上の有機溶媒中の溶液の形態で、併用し得る。
【0067】
本発明により用いるべきポリマー溶液は、補助物質および添加剤をさらに含有してもよい。このような補助物質および添加剤の例は、架橋剤、増粘剤、共溶媒、揺変剤、安定剤、抗酸化剤、光安定剤、可塑剤、顔料、充填剤、親水性化剤およびフロー剤である。
【0068】
本発明により用いるべきポリマー溶液は、ポリマー層の誘電率を調節する充填剤を含有してもよい。特定の使用のために、上記の充填剤を有さないポリマー溶液が好ましい。他の使用のために、誘電率を上昇させる特定の充填剤、例えば導電性充填剤または高誘電率を有する充填剤の添加を含むポリマー溶液は、好ましい。特定の充填剤の例として、カーボンブラック、グラファイト、単一壁カーボンナノチューブまたは多壁カーボンナノチューブである。
【0069】
誘電率を増加させるためおよび/または破壊電界強度を増加させるための添加剤をフィルム形成後に、例えば1以上のさらなる層の生成によってまたは層の調製のためにさらに添加することもできる。
【0070】
本発明による溶液は、それ自体既知の塗布の全ての形態により塗布することができ、例えばナイフ塗布、ブラシ法、流し込み法または噴霧法が挙げられる。
【0071】
必要に応じて挿入された乾燥工程を有する多層塗布も原則として可能である。
【0072】
より急速なフォームの乾燥および固定のために、20℃を越える温度を好ましく用いる。30℃および200℃の間の温度が好ましい。ポリマー層の沸騰を避けるために、対応する上昇温度勾配を有する二以上の段階における乾燥も適切である。乾燥は通常、それ自体既知の加熱および乾燥電化製品、例えば(循環空気)乾燥棚、熱風またはIR放射体等を用いて行う。加熱表面、例えばローラー上に被覆基材を導くことによる乾燥も可能である。塗布ならびに乾燥はいずれの場合にも、不連続的または連続的に行い得るが、完全な連続法が好ましい。
【0073】
フィルム形成性組成物の本発明による使用により製造されたポリマー層にさらなる層を付与することができる。これは、片側または両側上で、1層または複数の上下の層において、フィルムの完全被覆または部分的な面積の被覆により行い得る。
【0074】
ポリマー層の製造のための適当な支持材料は、特に、ポリマー層を必要に応じて簡単に取り外すことができるガラス、剥離紙、フィルムおよびプラスチックである。本発明の好ましい実施態様では、製造される変換器のための電極の1つを、ポリマー層の製造のための指示材料として直接用いるため、ポリマー層のその後の取り外しをもはや必要としない。
【0075】
個々の層の処理は、流し込み法または手動または機械により行うナイフ塗布法により行われ、印刷法、スクリーン印刷法および吹き付け法または噴霧法および浸漬法も可能な処理技術である。通常、薄い層の塗布、例えばラッカー被覆に用いる全ての技術が考えられる。
【0076】
フィルム形成性組成物からのポリマー層は、良好な機械的強度および高弾性を有する。通常、最大張力の値は、10MPaを越え、破断点伸びは250%を越える。好ましくは、引張強度は、10および100MPaの間であり、破断点伸びは350%を越える。
【0077】
乾燥後、ポリマー層は通常、0.1μm〜1500μm、好ましくは1〜500μm、特に好ましくは5〜200μm、極めて特に好ましくは5〜50μmの厚みを有する。
【0078】
エネルギー変換器の構築のために、ポリマー層を、例えばWO01/06575に記載のように、両側上に電極で被覆する。ポリマー層を予め支持材料として電極上に製造する場合、他の側をさらなる電極で被覆することが必要である。
【0079】
従って、本発明は、電気エネルギーを機械エネルギーへまたは機械エネルギーを電気エネルギーへ変換するための方法をさらに提供し、これは、少なくとも2つの電極および該電極間に配置されたポリマー層を含み、
a)ポリマー層を、1以上の有機溶媒における少なくとも1つのポリウレタンの溶液から製造し、
b1)該ポリマー層を溶液の電極への直接塗布により製造し、次いで他の側からのさらなる電極で被覆するか、または
b2)該ポリマー層を、a)に従う製造後に両側から電極で被覆する
ことを特徴とする。
【0080】
電極材料は、当業者に既知の導電性材料であってよい。このための可能性のある材料は、例えば金属、金属合金、導電性オリゴマーまたはポリマー、例えばポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール等、導電性酸化物、例えばITOのような混合酸化物等、または導電性充填剤で充填されたポリマーである。導電性充填剤で充填されたポリマーのための可能な充填剤は、例えば金属、例えばカーボンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)または導電性オリゴマーまたは導電性ポリマーのような導電性カーボン系材料等である。本発明では、ポリマーの充填剤含有量は、浸透限界より大きく、これは、導電性充填剤が導電性パスを形成することを特徴とする。導電性充填剤で充填されたポリマーは、好ましくはエラストマーである。全変換器の弾性が重要である特に好ましい使用のために、好適な電極材料は、例えば弾性電極材料、例えば導電性オリゴマーまたはポリマーまたは導電性充填剤で充填されたポリマーである。
【0081】
電極は、当業者に既知の方法により塗布することができる。このための可能性のある方法は、例えば、スパッタ法、蒸着法、化学蒸着法(CVD)、印刷法、ナイフ塗布法およびスピンコート法等である。電極は、既成形態で接着することもできる。
【0082】
本発明の電気機械変換器は、少なくとも2つの電極を含む。2以上の電極を有する電気機械変換器は、例えばスタック構造であってよい。2つの電極を含む電極変換器は、好ましい。
【0083】
少なくとも2つの電極および該電極間に配置された少なくとも1つのポリマー層を含む本発明による電気機械変換器は、センサー、作動装置または発電機の製造のために最も多様性のある配置に用いることができる。
【0084】
従って、本発明は、本発明による変換器、または1以上の有機溶媒における少なくとも1つのポリウレタンを含有するポリウレタン溶液から製造されたポリマー層を含む作動装置、センサーまたは発電機、および本発明による変換器、または1以上の有機溶媒における少なくとも1つのポリウレタンを含有するポリウレタン溶液から製造されたポリマー層を含む作動装置、センサーまたは発電機の製造方法をさらに提供する。
【0085】
さらに、本発明は、電子装置、電気装置、デバイス、装置、ユニット、機械、成分および対応する作動装置、センサーまたは発電機を含む機器を提供する。
【0086】
とりわけ、発電機および発電機を含むデバイスは、いわゆる「エネルギー収穫(energy harvesting)」に、好ましくは水波エネルギーを電流へ変換するために、特に好ましくは海の波を電流に変換するために有利に用いることができる。
【0087】
以下の実施例は、本発明を説明し、例示するものであり、決して制限するものではない。
【実施例】
【0088】
特記のない限り、全ての百分率は重量に関する。
【0089】
特記のない限り、全ての分析的測定は23℃の温度に関する。
【0090】
固形分の決定は、DIN−EN ISO 3251に従って行った。
【0091】
特記のない限り、NCO含量は、DIN−EN ISO 11909に従って容量分析的に決定した。
【0092】
遊離NCO基についての監視は、IR分光法(2260cm−1でのバンド)により行った。
【0093】
記載した粘度は、DIN 53019に従う回転粘度測定法により、Anton Paar Germany GmbH(オストフィルデルン、独国)からの回転式粘度計を用いて23℃で決定した。
【0094】
充填剤は、SpeedMixer〔Hauschild & Co KG(Postfach 4380、D−59039 ハム)からの型150FV〕により本発明の溶液に組み込んだ。
【0095】
フィルム層厚みの計測は、Heidenhain GmbH(Postfach 1260、D−83292 トラウンレント)からのスキャナーで行った。試験試料は、3つの異なった点で測定され、代表的計測値として平均を用いた。
【0096】
引張試験は、500Nの全計測範囲のロードセルを備えた、Zwickからの牽引装置、型番1455を用いてDIN53455に従って50mm/分の牽引速度で行った。試料として、S2引張バーを用いた。各計測は、同様に製造した3つの試験試料について行い、得られたデータの平均を評価のために用いた。特にこの目的のために、[MPa]による引張強度TSおよび[%]による破断点伸びEBに加えて、100%(=ST100)での[MPa]による応力STおよび200%(=ST200)伸びを決定した。
【0097】
電気抵抗Rの決定は、Keithley Instruments Inc.〔28775 Aurora Road、クリーブランド、オハイオ州 44139、電話:(440)2480400〕からの計測配置(電位計:型番6517A、計測ヘッド:型番8009)およびこれに組み込まれたプログラム(model number 6524: high resistance measurement software)を用いて決定した。+/−50Vの対称矩形波電圧を、1周期あたり4分間、10周期の間、適用し、電流フローを決定した。試験片の抵抗を、電圧の切り替え直前に電流フローの値から電圧のいずれの周期について計算し、周期数に対してプロットした。このプロットの最終値は、試料の電気抵抗の測定値を示す。
【0098】
誘電率DCの計測は、Novocontrol Technologies GmbH & Co. KG(56414 Hundsangen)からの計測配置(計測ブリッジ:alpha−A analyzer、計測ヘッド:ZGS active sample cell test interface)を用いて20mmの試験片の直径で行った。10〜10−2Hzの周波数範囲を調査した。調査した材料の誘電率の測定として、10−2Hzでの誘電率の実数部を選択した。
【0099】
水吸収性(WU)の測定は、ポリマーフィルムを、室温で、飽和水蒸気雰囲気下で72時間閉じた容器中で貯蔵することにより行った。このために1gのポリマーフィルムを正確に計量し、72時間BOLAデシケーター(型V−1922、Bohlender GmbH、Waltersberg 8、D−97947 グリュンスフェルト)中で貯蔵し、これは、より低い領域に水を含む皿をさらに有する。72時間継続の貯蔵後、フィルムをデシケーターから取り出し、直ぐに計量した。出発重量からの重量の差は、%による水吸収性WUである。
【0100】
用いた物質と略称
〔ジアミノスルホネート〕
NH−CHCH−NH−CHCH−SONa(45%水溶液)
〔Desmophen(登録商標) 2020/C2200〕
ポリカーボネートポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(Bayer MaterialScience AG、レーフェルクーゼン、独国)
〔Polyether LB 25〕
エチレンオキシド/プロピレンオキシドに基づく単官能性ポリエーテル、数平均分子量2250g/mol、OH価25mgKOH/g(Bayer MaterialScience AG、レーフェルクーゼン、独国)
〔PolyTHF(登録商標) 2000〕
ポリテトラメチレングリコールポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(BASF AG、ルートヴィヒスハーフェン、独国)
〔PolyTHF(登録商標) 1000〕
ポリテトラメチレングリコールポリオール、OH価112mgKOH/g、数平均分子量1000g/mol(BASF AG、ルートヴィヒスハーフェン、独国)
【0101】
実施例1:ポリウレタン溶液からのポリマー層(本発明による)
200gのPolyTHF(登録商標) 2000、および50gのPolyTHF(登録商標) 1000を標準的な撹拌装置中で80℃にまで加熱した。次いでイソホロンジイソシアネート66.72gとメチルエチルケトン520gの混合物を80℃で5分間にわたり添加し、該混合物を理論NCO値に達するまで還流下で撹拌した(約8時間)。完成プレポリマーを20℃に冷却し、次いで、メチレンビス(4−アミノシクロヘキサン)25.2gおよびイソプロパノール519.5gの溶液を30分間にわたり計量投入した。次いで、遊離イソシアネート基がもはやIR分光法により検出できなくなるまで撹拌を継続した。
得られた透明溶液は以下の特性を有した:
固形分:25%
粘度(粘度計、23℃):4600mPas
【0102】
特定のポリマー層の製造のために用いた溶液は、分けて脱気しなかった。本発明の100gの溶液の必要量を、ポリプロピレンビーカー(PPビーカー)へ計量投入した。層厚み1mmの層は、未だ液体反応混合物からガラスプレート上に手動でナイフ被覆した。全ての層を30℃で終夜、乾燥棚において製造後に乾燥させ、次いで120℃で5分間、後状態調節した。状態調節後に手動でガラスプレートからフィルムとして該層を容易に取り外すことができた。
【0103】
実施例2:ポリウレタン水性分散体からのポリマー層(比較例):
450gのPolyTHF(登録商標) 1000、および2100gのPolyTHF(登録商標) 2000を70℃にまで加熱した。次いで225.8gのヘキサメチレンジイソシアネートおよび298.4gのイソホロンジイソシアネートの混合物を、70℃で5分間にわたり添加し、該混合物をNCO値が理論値未満になるまで100〜115℃で撹拌した。完成プレポリマーを50℃で5460gのアセトンで溶解し、次いで、エチレンジアミン29.5g、ジアミノスルホネート143.2gおよび水610gの溶液を10分間にわたり計量投入した。後撹拌時間は15分であった。次いで、生成物を、水1880gの添加により10分間にわたり分散した。次いで、真空中での蒸留により溶媒の除去を行い、貯蔵安定性分散体を得た。
固形分:56%
粘度(LCS):276nm
粘度:1000mPas
【0104】
用いた原料は、分けて脱気しなかった。100gの分散体の必要量を、PPビーカーへ計量投入した。層厚み1mmの層は、未だ液体反応混合物からガラスプレート上に手動でナイフ被覆した。全ての層を30℃で終夜、乾燥棚において製造後に乾燥させ、次いで120℃で5分間、後状態調節した。状態調節後に手動でガラスプレートからフィルムとして該層を容易に取り外すことができた。
【0105】
実施例3:2成分ポリウレタン系からのポリマー層(2cPU系、比較例)
液体原料を、アルゴン下で三段法により完全に脱気した。10gのTerathane 650(INVISTA GmbH、D−65795 Hatterheim、モル質量Mn=650のPoly−THF)を、60mlの使い捨て混合容器(APM−Technika AG、オーダー番号 1033152)中へ計量投入した。次いで、0.005gのジブチル錫ジラウレート(Metacure(登録商標) T−12、Air Products and Chemicals, Inc.)および6.06gのイソシアネート N3300(HDIのイソシアヌレートトリマー、Bayer MaterialScience AGの生成物)を、これに計量投入し、1分間3000rpmにてSpeedMixer中で混合した。該反応生成物をガラス板上に注ぎ、1mmの湿潤厚みのナイフで均質な層に塗布した。次いで該層を16時間80℃にて状態調節し、状態調節後、フィルムとして手動でガラス板から容易に剥離することができた。
【0106】
実施例4:ポリウレタン水性分散体からのポリマー層(比較例):
82.5gのPolyTHF(登録商標) 1000、308gのPolyTHF(登録商標) 2000および10.0gの2−エチルヘキサノールを70℃にまで加熱した。次いで41.4gのヘキサメチレンジイソシアネートおよび54.7gのイソホロンジイソシアネートの混合物を、70℃で5分間にわたり添加し、該混合物をNCO値が理論値未満になるまで110〜125℃で撹拌した。完成プレポリマーを50℃で880gのアセトンで溶解し、次いで、エチレンジアミン3.8g、イソホロンジアミン4.6g、ジアミノスルホネート26.3gおよび水138gの溶液を10分間にわたり計量投入した。後撹拌時間は15分であった。次いで、生成物を、水364gの添加により10分間にわたり分散を行った。次いで、真空中での蒸留により溶媒の除去を行い、貯蔵安定性分散体を得た。
粘度(LCS):181nm
粘度:1300mPas
【0107】
用いた原料は、分けて脱気しなかった。100gの分散体の必要量を、PPビーカーへ計量投入した。層厚み1mmの層は、未だ液体反応混合物からガラスプレート上に手動でナイフ被覆した。全ての層を30℃で終夜、乾燥棚において製造後に乾燥させ、次いで120℃で5分間、後状態調節した。状態調節後に手動でガラスプレートからフィルムとして該層を容易に取り外すことができた。
【0108】
実施例5:水性コロイダルポリクロロプレン分散体からのポリマー層(比較例)
Bayer MaterialScience AG(レーフェルクーゼン)からの商品名Dispercoll(登録商標)C84で市販されている55重量%のポリマー含有量、約100mPasの粘度および約13のpHを有する2−クロロブタジエンのポリマーの100gの水性コロイダル分散体を、PPビーカーへ計量投入した。1mmの湿潤層厚みの層を、未だ液体反応混合物からのガラスプレート上に手動でナイフ被覆した。全ての層を、30℃で終夜、乾燥棚において製造後に乾燥させ、次いで120℃で5分間、後状態調節した。状態調節後に手動でガラスプレートからフィルムとして該層を容易に取り外すことができた。
【0109】

【0110】
本発明に従って、ポリウレタン溶液を用いて製造されたフィルムは、多成分ポリウレタン系またはポリマー水性分散体から製造されたこれらのフィルムを上回る明らかな優位性がもたらされることを見出した。
【0111】
本発明に従って、ポリウレタン溶液を用いて製造されたフィルムを用いた場合、極めて良好な機械特性、例えば高弾性、高い破断点伸び、用いた場合の使用範囲における穏やかな伸びでの特に適当な応力歪みコース、極めて高い引張強度、高い電気抵抗性および極めて低い水吸収性が特に有利である。本発明では、良好な機械特性とは、少なくとも250%の破断点伸び(EB)、10MPaおよび100MPaの間の引張強度(TS)、約100%〜200%の範囲内の穏やかな伸びで5MPa未満の応力でのさらに極めて平らな応力歪み曲線、1%未満での水吸収性での1×1012オーム・cmを越える電気抵抗(R)であると理解された。比較例では、100%または200%での応力は、これらの材料が40%〜60%で既に引裂したので測定できなかったか、電気伝導性は明らかに高すぎた。とりわけ、比較例は、明らかに高すぎる水吸収性(WU)を示した。本発明の実施例は、1%未満の特に低い水吸収性を示した。
【0112】
簡単な取り扱いは、本発明の溶液の使用のさらなる優位性は、1成分(1C)系であるので、容易な取り扱い性である。反応性基、例えば遊離イソシアネート等の取り扱いは、充填剤の組み込み中に必要とされない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを機械エネルギーに変換するための、または機械エネルギーを電気エネルギーに変換するための変換器の製造方法であって、これは、少なくとも2つの電極および該電極の間に配置された少なくとも1つのポリマー層を含み、該ポリマー層は、1以上の有機溶媒における少なくとも1つのポリウレタンを含有する溶液から製造され、該溶液は、以下の工程:
A)A1)有機ポリイソシアネート、
A2)400〜8000g/モルの分子量(数平均)、および1.5〜6の平均OH官能価を有するポリマーポリオール、および
A3)必要に応じて、62〜399g/モルの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物
からのイソシアネート官能性プレポリマーの調製、および
B)次いで、A)からのプレポリマーの遊離NCO基と、
B1)32〜1000g/モルの分子量を有するアミノ官能性化合物との、
完全または部分的反応
を有するプレポリマー化法に由来し、
該プレポリマーは、1以上の有機溶媒に、工程B)前、工程B)中および/または工程B)後に溶解させることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
成分A2)は、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリエステルポリオール、ポリウレタンポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリカーボネートポリオールおよびポリエステルポリカーボネートポリオール、ヒドロキシル基を含有するポリカーボネート、ポリエーテル−ポリカーボネートジオールまたはこれらの混合物、好ましくはポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールまたはこれらの混合物、特に好ましくはポリテトラメチレングリコールポリエーテルを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成分A1)は、二官能性イソシアネート単位、好ましくは二官能性脂肪族イソシアネート単位、特に好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび/またはイソホロンジイソシアネート、および極めて特に好ましくはヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートの混合物を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
エステル、アルコール、ケトン、エーテル、芳香族溶媒および/またはアミドまたはウレア基を含有する溶媒、またはこれらを含有する、好ましくはエステル、アルコール、ケトンおよび/またはエーテルを含有する混合物、またはこれらを含有する混合物を溶媒として用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
溶媒または溶媒混合物は、少なくとも1つのアルコールを含有し、および好ましくはアルコールの含有量は、該溶媒または溶媒混合物の全重量を基準として10〜80重量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
1以上の有機溶媒中に少なくとも1つのポリウレタンを含有する溶液は、溶液の全重量を基準として5重量%未満、好ましくは1重量%未満、特に好ましくは0.3重量%未満の水を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
a)ポリマー層を、電極への溶液の直接塗布により製造し、次いで他の側からのさらなる電極で被覆するか、または
b)該ポリマー層を、a)に従う製造後に両側から電極で被覆する
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の方法により得られることを特徴とする、少なくとも2つの電極および該電極間に配置された少なくとも1つのポリマー層を含む、電気エネルギーを機械エネルギーへ変換するための、または機械エネルギーを電気エネルギーへ変換するための変換器。
【請求項9】
請求項8に記載の少なくとも1つの変換器を含む作動装置、センサーまたは発電機。
【請求項10】
請求項9に記載の少なくとも1つの作動装置、センサーまたは発電機を含む、デバイス、特に電子装置および電気装置。
【請求項11】
請求項9に記載の発電機の、または水波エネルギー、好ましくは海波エネルギーの電流への変換のための請求項10に記載のデバイスの使用。

【公表番号】特表2012−506925(P2012−506925A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533580(P2011−533580)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007489
【国際公開番号】WO2010/049079
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】