説明

ポリエステルおよびポリアミドの同時固相重合のための安定なポリアミド

本明細書は、ポリエステルに関する固相重合条件にポリアミドを曝したとき、安定なままでゲルを生成しないポリアミドを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルの条件で、ポリエステルとポリアミドを同時固相重合するのに適当なポリアミドに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの工業物品は、その特性を経済的に改良するために多成分を含んでなる。熱可塑性材料および熱硬化性材料からなる多成分物品は一般に、様々な成分を均一に配合して、例えばシート、フィルム、繊維、ボトルまたは射出成型部品(しばしば予備成形物(プレフォーム)と称される)のような物品にする、最終溶融混合押出機で製造される。このような物品、特に予備成形物はしばしば更に加工され、例えばボトル、トレー、ジャーまたはバッグのような別の物品になる。
【0003】
多くのパッケージは、容器の壁の独立層に材料を一体化する。これは、1つの押出機を用いて主要成分を溶融して物品を形成する一方で、第2の押出機がバリア材を溶融して容器の壁を形成する物品の独立層に該バリア材を注入することによって達成される。例えば、米国特許第4,501,781号は、ポリアミド層およびポリエステル層を組み合わせて多層容器を製造することによる、容器の受動的バリア特性の改善を記載している。
【0004】
米国特許第4,501,781号はまた、ポリアミドを独立層として配置するのとは対照的に、ポリアミドをポリエステルと均一に混合して容器の壁を形成できることも教示している。均一に混合された材料を用いる場合、先に材料を混合すると、製造費用の節約が最大になる。ポリアミドおよびポリエステルの場合、両方とも、固相重合として知られている熱処理が有効である。
【0005】
固相重合は、ポリエステルおよびポリアミドの両方の数平均分子量を効果的に上昇させる。数平均分子量の上昇は、例えば、内部粘度(Inh. V.)、固有粘度(I.V.)、相対粘度(R.V.)、末端基総数(TEG)のような多くの技術を用いて測定できる。固相重合法では、ペレットが液体になる温度より低い温度にペレットを暴露する。この温度での暴露は、不活性ガスまたは真空のような推進力の存在下で実施する。重合反応の副生物はペレットから除去され、従って、平衡がポリマーの分子量が上昇する方向へ動く。熱処理は、40℃から、ペレットが液体になる温度よりやや低い温度で、例えばペレットが液体になる温度より1℃低い温度またはより一般的には工業的理由から5℃低い温度で実施され得る。
【0006】
ポリエステルおよびポリアミドは両方とも各々の製造時にペレット化されるので、米国特許第5,340,884号は、更なるおよび/または後の押出および切断工程を省くために、重縮合後、最初の切断工程でポリエステルとポリアミドを混合することを推奨している。しかしながら、米国特許第5,340,884号はまた、ポリエステル/ポリアミド混合物を固体重合のような更なる熱処理に付す場合、ポリアミドとポリエステルの混合に対して、重縮合反応器からポリアミドおよびポリエステルを除去するように警告している。後の熱処理によって、高温期間中に、望ましくない着色および/または曇りが生じ得、ポリアミドの分子量が変わり得る。
【0007】
米国特許第6,238,233号は、酸末端ポリアミドとポリエステルの混合を教示している。しかしながら、米国特許第6,238,233号は、ポリエステル/ポリアミド混合物を固体重合(固相重合)する場合、溶融ポリエステルと酸末端ポリアミドの混合に対して、ペレット化する前に酸末端ポリアミドを重縮合反応器から除去するように警告している。なぜなら、高温期間中に、望ましくない着色および/または曇りが発現し得るからである。
【0008】
WO 2005/110694 A1は、ポリエステル−ポリアミド混合物を同時に熱処理することによって生じる着色を低減するための、区画化ペレットの使用を教示している。WO 2005/110694 A1によれば、熱処理前に、ポリエステルの大部分がペレットのある区画またはゾーンに配置され、ポリアミドの大部分がペレットの別の区画またはゾーンに配置されている場合、ポリエステル−ポリアミド組成物は熱処理時に増加した着色を示さない。WO 2005/110694 A1は、ある種の化合物が、高い処理温度および長い処理時間で不安定であることを記載している。WO 2005/110694 A1は、成分の1つがより高い処理温度に耐えられない場合、ペレットをより低温かつより短時間で固相重合できるように、反応促進剤を使用することまたは出発分子量を上昇させることを教示している。これらの試みは、材料を一緒に熱処理するコストを増加させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、どちらの材料特性にも悪影響を及ぼすことなく、ポリエステルおよびポリアミドを含むペレットが固相重合できるポリアミド組成物に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびそれらのジエステルからなる群から誘導された結晶性ポリエステル酸基を少なくとも85%含有する結晶性ポリエステルからなる群から選択されたポリエステル、並びにアミノカプロン酸の繰り返し単位およびA−Dの繰り返し単位からなる群から選択された基を含有するポリアミドを含んでなる樹脂組成物であって、Aが、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸またはそれらの混合物からなるジカルボン酸の基であり、Dが、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミンまたはそれらの混合物からなるジアミンの基であり、ポリアミドが、加水分解後に0.22重量%未満のトリアミン含有量を有し、末端基総数の20〜80%の範囲外のカルボキシル含有量を有する、組成物を開示する。更に、結晶性ポリエステルの酸基の少なくとも90%がテレフタル酸から誘導され、結晶性ポリエステルのグリコール基の少なくとも90%がエチレングリコールから誘導され得る、樹脂組成物を開示する。また、好ましいポリアミドがMXD6ナイロンであることも開示する。また、該組成物が、ポリエステルに分散したポリアミドの樹脂ペレットとして、または第1区画化ゾーンおよび第2区画化ゾーンからなる区画化ペレットとして存在しており、第1区画化ゾーンがポリエステルからなり、第2区画化ゾーンがポリアミドからなることも開示する。
【0011】
同じ時間、同じ温度で、ポリエステルおよびポリアミドを固相重合するための方法も開示しており、該方法は、
A)テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびそれらのジエステルからなる群から誘導された結晶性ポリエステル酸基を少なくとも85%含有する結晶性ポリエステルからなる群からポリエステルを選択し、アミノカプロン酸の繰り返し単位およびA−Dの繰り返し単位からなる群から選択された基を含有するポリアミドを選択する工程(Aは、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸またはそれらの混合物からなるジカルボン酸の基であり、Dは、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミンまたはそれらの混合物からなるジアミンの基であり、ポリアミドは、加水分解後に0.22重量%未満のトリアミン含有量を有し、末端基総数の20〜80%の範囲外のカルボキシル含有量を有する。)、
B)樹脂ペレットがポリエステルとポリアミドの両方を含むように、ポリエステルとポリアミドを配合して樹脂ペレットにする工程、
C)40℃から、ペレットが液体になる温度より1℃低い温度の範囲に樹脂ペレットを加熱する工程、
D)ポリエステルの固有粘度を少なくとも0.05dl/g上昇させるのに十分な時間、上記温度範囲で樹脂ペレットを維持する工程
からなる。
【0012】
更に、結晶性ポリエステルの酸基の少なくとも90%がテレフタル酸から誘導され得、結晶性ポリエステルのグリコール基の90%がエチレングリコールから誘導され得ることも開示する。また、本発明の方法に好ましいポリアミドはMXD6ナイロンである。
【0013】
また、ポリアミドがポリエステルに分散するようにポリアミドとポリエステルを配合してペレットにするか、或いはポリアミドとポリエステルを配合して第1区画化ゾーンおよび第2区画化ゾーンからなる区画化ペレットにすることも開示する。ここで、第1区画化ゾーンはポリエステルからなり、第2区画化ゾーンはポリアミドからなる。更に、該ペレットを165℃〜235℃の範囲の温度に加熱することも開示する。ここで、結晶性ポリエステルの酸基の少なくとも90%はテレフタル酸から誘導され、結晶性ポリエステルのグリコール基の少なくとも90%はエチレングリコールから誘導されている。また、結晶性ポリエステルがスルホイソフタル酸リチウムを含むことも開示する。
【0014】
本明細書は、得られる組成物の特性に悪影響を有意に及ぼすことなく、同じ条件下、同じ容器内で、ポリアミドと結晶性ポリエステルの両方を固相重合できる、ポリアミドおよび結晶性ポリエステルの特性を開示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
固相重合は重要な工業プロセスである。固相重合は、ポリエステルおよびポリアミドの両方の数平均分子量を効果的に上昇させる。数平均分子量の上昇は、例えば、固有粘度(I.V.)、相対粘度(R.V.)、および末端基総数(TEG)のような多くの技術を用いて測定できる。固相重合法では、ペレットが液体になる温度より低い温度にペレットを暴露する。この温度での暴露は、不活性ガスまたは真空のような推進力の存在下で実施する。重合反応の副生物はペレットから除去され、従って、平衡がポリマーの分子量が上昇する方向へ動く。
【0016】
結晶性ポリエステル−ポリアミド組合せのための固相重合(SSP)条件は一般に、結晶性ポリエステルのための固相重合条件を反映しており、好ましくは約200℃〜約235℃、より好ましくは約215℃〜約235℃の温度を含む。固相重合は、1種以上の成分の分子量を所望の水準まで上昇させるのに十分な時間実施され、これは、その用途および初期固有粘度に依存する。ボトルの製造に使用されるポリエステルの好ましい分子量は一般に、試験方法の部に記載の方法による測定で約0.68〜約0.88dl/gの固有粘度(I.V.)に相当する。この分子量に達するために要する時間は、約8〜約45時間であり得る。結晶性ポリエステルの固有粘度における典型的な上昇は、少なくとも0.05dl/gであり、0.2〜0.4dl/gの上昇がより一般的である。
【0017】
十分な温度および時間のポリエステル固相重合条件にポリアミドを付す場合、ある種のポリアミドはゲルを生成することが知られている。固相重合の時間および温度条件を変化させるためにWO 2005/110694 A1(同公報の教示の全てを引用してここに組み込む)の教示を利用することができるが、該教示は、ゲルを減らすだけで、完全にはなくせないことを示している。
【0018】
ゲル生成の主な原因は、ポリアミド中のトリアミンの存在であることが知られている。如何なる理論にも縛られたくはないが、トリアミンは、2個のアミノ末端基が互いに反応して−NHを放出し、第3級アミンまたはトリアミンを生ずることによって生成されると考えられる。出発化合物を、生成物EQ−2を生ずるEQ−1として示す。
【化1】

[式中、RはNHまたは連続したポリマー鎖である。]
【化2】

EQ−2は、更にEQ−3:
【化3】

[式中、R’はOHまたは連続したポリマー鎖である。]
と反応してEQ−4:
【化4】

を生成する。これが分枝ゲルになると考えられる。
【0019】
ポリアミド中の第3級アミンの量は、試験方法の部に記載したように、ポリアミドを加水分解することによって間接的に測定できる。加水分解によって、第3級アミンは、下記式EQ−5の化合物に還元される。
【化5】

【0020】
トリアミンである生成物EQ−5の量は、ゲル生成を低減するために一定の水準より少なくなければならない。本発明の目的のために、請求項に記載したポリアミドは、加水分解後に0.22重量%未満のトリアミン含有量を有することを特徴とする。この値は、ポリアミド試料の重量で除した、ポリアミド試料中の化合物EQ−5の量であり、パーセントで表されている。
【0021】
明細書および請求の範囲で使用している用語「トリアミン含有量」および「加水分解後のトリアミン含有量」は、加水分解前のポリアミドの合計量に対する重量パーセントとして表した、ポリアミドの加水分解後の物質EQ−5の量を意味する。トリアミン含有量が単位を付けずに記載されている場合は、常に重量%であると考えられる。例えば、0.22のトリアミン含有量は、0.22重量%または0.22%のトリアミン含有量である。
【0022】
加水分解後のトリアミン含有量を所定の水準より少なく維持することによって、ポリアミドは、ゲルを生じることなく、ポリエステルと同じ温度で固相重合され得る。ポリエステル中に均一に分散されたポリアミドのペレット、並びにポリエステルからなる1つの区画化ゾーンおよびポリアミドからなるもう1つの区画化ゾーンを含む区画化ペレットであるペレットの両方にとって、トリアミン含有量の低いポリアミドまたは好ましくはトリアミンを含まないポリアミドが有効であることを、データは示している。区画化ペレットはポリアミドとポリエステルとを別々に保持するので、ポリアミド中に生じたゲルは大きく、可視的にはっきり見える。均一に分散されたペレットにおけるポリアミドの範囲の大きさは非常に小さいので、生じたゲルは増加した曇りとして主に観察されると考えられる。トリアミン含有量の低いポリアミドを熱処理する場合、ゲルの生成に拘わらず、色の変化が均一に分散されたペレットにおいて生じる。従って、トリアミン含有量の低いポリアミドおよび結晶性ポリエステルを区画化ペレット構造で固相重合する場合、最良の結果が得られる。
【0023】
加水分解後のトリアミン含有量は、試験方法の部に記載した加水分解法を用いて測定され得る。
【0024】
トリアミン含有量を低く維持するための1つの方法は、過剰量のジカルボン酸の存在下で反応を実施することである。
【0025】
本発明に適したポリアミドは、アミノカプロン酸またはA−Dの繰り返し単位を含むものとして記載され得る。ここで、Aは、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸またはそれらの混合物からなるジカルボン酸の基であり、Dは、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミンまたはそれらの混合物からなるジアミンの基である。これらのポリアミドは、末端基滴定によって測定して、2000〜60,000の数平均分子量を有し得る。
【0026】
製造工程中の副反応の結果として生じ得る異なった末端基が対象ではない場合、分子量を測定するために相対粘度を利用する。ポリアミドおよびポリエステルを溶融混合する場合、選択される相対粘度は、必要な水準に合った粘度であるべきである。一般にこれは1.0〜3.0の範囲であり、相対粘度が1.4〜2.0のとき、最も望ましい特性が得られる。
【0027】
これらのポリアミドは、アミノカプロン酸同士の反応生成物、およびアジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸またはナフタレンジカルボン酸からなるジカルボン酸の基と、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミンまたは1,4−シクロヘキサンジメチルアミンからなるジアミンの基との反応生成物からなる群から選択された反応生成物を含むものとしても記載され得る。
【0028】
当業者は、よく知られている市販ポリアミドとして多くの組合せを認識するであろう。セバシン酸の基とヘキサメチレンジアミンとの反応生成物はナイロン6.10であり、アジピン酸の基とヘキサメチレンジアミンとの反応生成物はナイロン6.6である。ナイロン6.12は本発明に有効な別のナイロンである。ナイロン6は、カプロラクタムの開環および得られたアミノカプロン酸(式:HN−(CH−COOHを有する)の重合によって製造される、ポリアミドの特殊なタイプである。好ましいポリアミドは、アジピン酸の基とm−キシリレンジアミンとの反応生成物であり、これは、ポリ−m−キシリレンアジパミドとして知られている。この生成物は、MXD6またはナイロンMXD6として商業的に知られており、三菱ガス化学(日本)から購入することができる。
【0029】
しかしながら、ポリアミドの加水分解後のトリアミン含有量の重量%は、0.22未満、好ましくは0.21未満でなければならず、0.15未満、特に0.10未満が最も好ましい水準である。
【0030】
ポリアミドが、アミノ末端基および酸末端基の不均衡な数を有することが更に好ましい。末端基が著しく不均衡である場合、固相重合中、ポリアミドがより安定であることが見出された。大幅に不均衡な比を維持することによって、ポリアミドの固相重合速度は極めて遅くなり、従って、ポリアミドの分子量上昇が制限される。これは、固相重合の際、ポリアミドの相対粘度が相対的に変わらない一方で、ポリエステルの分子量が上昇し得ることを意味する。
【0031】
一般に、固相重合速度をより遅くするため、カルボキシル含有量は、末端基総数の20%未満または末端基総数の80%超である。より遅い速度に対しては、末端基総数の10%未満または90%超のカルボキシル末端基含有量の値が維持されるべきである。この特徴を表す別の表現は、「カルボキシル含有量が末端基総数の20〜80%の範囲外である」である。これは、カルボキシル含有量が20%と80%の間の値をとることはできないが、15%または85%の値をとることはできることを意味する。
【0032】
カルボキシル含有量は、試験方法の部に記載したように、ポリアミドをカルボキシル末端基の数およびアミノ末端基の数について分析することによって、容易に測定される。カルボキシル含有量は、カルボキシル末端基の数をカルボキシル末端基の数とアミノ末端基の数の合計で除した値である。表1の実施例3を用いると、カルボキシル基の数は228であり、アミノ基の数は7であり、従ってカルボキシル含有量は228/(228+7)=97%である。
【0033】
好ましいポリアミドは、以下の方法のいずれかによって製造されたMXD6である。方法のパラメーターは以下の実施例で詳述するが、まず、全ての方法で、アジピン酸およびm−キシリレンジアミンを用い、アジピン酸およびm−キシリレンジアミンのモル比は、1.5:1〜1.001:1、好ましくは1.2:1〜1.005:1、特に1.1:1〜1.007:1、特に好ましくは1.05:1〜1.01:1の範囲で変化できる。
【0034】
1つの好ましい方法は、2〜10bar、好ましくは3〜8bar、特に好ましくは4〜6barの圧力で操作する撹拌機付スチール製オートクレーブを用いたバッチ法である。この方法では、二段階圧力プロフィルを適用する。原料を容器に入れ、次いでオートクレーブの内部を120℃に加熱する。2barの圧力に達した後、約90重量%の混合物が得られるまで、水を留去する。蒸留中、温度を155〜165℃に上げる。続いて、4barの望ましい圧力に達するまで、混合物を更に加熱する。4barで、残留水を留去し、温度を245〜250℃に上げる。その後、圧力を大気圧まで下げる。ペレット化に必要な粘度にまだ達していない場合は、5〜30分間、減圧下または窒素流れの下、245〜265℃で後溶融縮合した相を使用することができる。適当な粘度に達した後、水浴を通してポリアミドをストランドとして容器から吐出し、切断してペレットにする。
【0035】
全縮合工程において、オートクレーブの内容物の温度は265℃を超えるべきではない。ペレット化後に測定した相対粘度は、1.45〜1.70の範囲である。
【0036】
ポリアミドは、アジピン酸およびm−キシリレンジアミンの塩溶液を、210〜330℃、好ましくは250℃〜300℃、より好ましくは260℃〜280℃の温度で加熱し、次いで好適には、バッチ式または好ましくは連続式でプレポリマーを分離し、分離したm−キシリレンジアミンを再利用することによって、連続法で製造され得る。続いて、プレポリマーを、1〜20bar、好ましくは1.5〜15bar、最も好ましくは4〜6barの圧力、230℃〜330℃、特に好ましくは260℃〜280℃の温度で維持して、重縮合させる。
【0037】
ポリアミドを製造するための別の方法は、ジアミンおよびジカルボン酸の塩溶液を、2〜10bar、好ましくは4〜6barの圧力下、60秒以下の滞留時間で加熱することからなり、少なくとも95%の転化率および7重量%の最大含水率が得られる。このポリマーは、分割されたチューブ状に設計された蒸発ゾーンに塩溶液を通すことによって得られる。このとき、加熱および水の蒸発によって2相流れが生じ、それによって、多量の水がガス相に入り込む。使用される水溶液は通常、30〜70重量%、好ましくは45〜65重量%のモノマー含有量を有する。
【0038】
特に好ましい方法は、50〜100℃の温度で、バッチ式または好ましくは連続式で、蒸発ゾーンに塩水溶液を通すことからなる。このとき、塩溶液は、2〜10bar、好ましくは4〜6barの圧力下、250〜300℃、好ましくは260〜280℃の温度に加熱される。蒸発ゾーンでの滞留時間は通常、1〜300秒、好ましくは30〜120秒、特に好ましくは30〜60秒である。蒸発ゾーンの出口での転化率は、80〜100%、好ましくは90〜99.5%、特に好ましくは95〜99%、とりわけ96〜98%の範囲であり、使用する圧力に依存して、含水率は通常、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%であり、1〜3重量%が特に好ましい。蒸発ゾーンはチューブの束として有利に設計されており、単一チューブの直径は周期的にチューブ状であるか、または「分割形状」をしている。更に、充填物を充填したチューブ状の「物質交換ゾーン」によって相を分離する前に、プレポリマーと水蒸気の混合物を通すことが有利であることがわかっている。ここで、蒸発ゾーンの圧力および温度条件は一定に保たれる。充填物は例えば、ラシヒリングおよび金属リングのようなキャリア材料、特に広い表面積を作り出すために金網で作ったキャリア材料である。この設計において、プレポリマーおよび水蒸気の相は密に接触する。これは、水蒸気によって放出されるm−キシリレンジアミンの量を低下させる。この「物質交換ゾーン」における滞留時間は、通常1〜5分である。水蒸気およびプレポリマーの2相混合物は、蒸発ゾーンおよび「物質交換ゾーン」をそれぞれ通過した後に、分離される。生じた蒸気は水および僅かなm−キシリレンジアミンを含み、このm−キシリレンジアミンは水の蒸発によって分離される。それによって、極めて少量のm−キシリレンジアミンしかガス相には含まれない(ポリマー処理量に基づいて0.1重量%未満)。蒸気をカラムに供給し、m−キシリレンジアミンを回収するために精留することができる。適当なカラムは、キャリア材料入りカラム、バブルキャップカラム、または5〜15の理論段数を有するシーブプレートカラムである。カラムは、蒸発ゾーンと同じ圧力条件下におかれる。好ましくは、精留されたm−キシリレンジアミンを重合ゾーンにフィードバックする。
【0039】
次いで、低分子量ポリアミドの転化率および少量の未転化塩に依存して通常1.2以下の相対粘度を有する、得られたプレポリマーを、重合ゾーンに導入する。重合ゾーンでは、得られた溶融体を、245〜285℃、好ましくは255〜275℃の温度で、2〜10bar、特に4〜6barの圧力で重縮合し得る。
【0040】
1つの好ましい方法では、得られたポリアミドを、残留水の同時除去の際に、排出ゾーンに曝すことができる。適当な排出ゾーンは、例えば押出機である。ここで、水が分離された溶融体をペレット化できる。重縮合後、よく知られている後処理、例えば水中ペレット化(球状およびシリンダー状チップ)またはストランドペレット化のいずれかによって、溶融体を処理できる。得られた樹脂を抽出することもでき、抽出はバッチ式または連続式で実施できる。水、メタノールまたはエタノールのようなC〜C−アルカノールを抽出溶媒として使用できる。水が好ましい。好ましい方法では、ポリアミドは、水中ペレット化を用いて球状チップにペレット化される。押出機から排出された後の相対粘度は、約1.45〜約1.55の範囲である。
【0041】
その後、抽出されたポリアミドは、相対粘度の最終調整のために、固相重合または固体重合(SSP)され得る。これは、真空下、或いは窒素またはアルゴン、好ましくは窒素のような不活性ガスの存在下で実施され得る。温度は通常120〜230℃、好ましくは130〜210℃の範囲にわたって変化でき、140〜190℃が特に好ましい。
【0042】
SSP後の最終相対粘度は、1.55〜2.00、好ましくは1.60〜1.9、特に1.65〜1.75である。SSP後、含水率は通常250ppm未満である。
【0043】
上記した全ての場合において、ペレット化工程を回避し、別のゾーンに導入されたポリエステルを含む区画化ペレットのゾーンにポリアミドを導入することによってポリアミドとポリエステルを配合することが好ましい。このペレット構造は、後に更に詳細に記載する。
【0044】
本発明に適したポリエステルは、結晶性ポリエステルである。用語「結晶性」は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートまたはそれらのコポリマーのようなポリエステルが、配向または熱誘導結晶性のいずれかによって、半結晶性になることができることを意味する。いずれのプラスチックも完全に結晶性ではなく、より厳密にはその結晶状態は半結晶性として記載されることはよく知られている。用語「半結晶性」は、従来技術でよく知られており、結晶領域の鋭い特徴および非晶質領域の散乱した特徴を有するX線パターンを示すポリマーを説明する用語である。半結晶を純結晶および非晶質と区別すべきであることも、従来技術でよく知られている。示差走査熱量測定法(D.S.C.)は、結晶の量を測定するために使用され得る。典型的な結晶化度は、使用した熱処理および核形成技術の種類によって、5〜65%の範囲である。一般的には、結晶性ポリエステルが5%未満の結晶化度を有する場合、それは非晶質であると考えられるが、それでもなお結晶化できる。
【0045】
一般に、ポリエステルは結晶性であり、従って、第1の酸および第1のジオール以外のモノマーのモル数が、ポリマー中の酸およびジオールの総モル数の15%未満である場合、半結晶になることができると考えられる。それ故、結晶性ポリエステルは一般に、第1の酸および第1のジオールの誘導体を含むものとして記載され得、第1の酸のモル数と第1のジオールのモル数の合計をポリマー中の酸およびグリコールの総モル数で除した値は、少なくとも85%である。
【0046】
ホモポリマーが結晶性ではない特殊な場合があることを理解することは重要である。例えば、ポリエチレンイソフタレートは、100モルのエチレングリコールと反応させた100モルのイソフタル酸から誘導されるが、それでも非晶質ポリマーである。このポリマーは、結晶性ではないため、結晶性ポリエステルから排除される。
【0047】
従って、好ましい結晶性ポリエステルは、より本質的には、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選択された第1の酸、並びにエチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,3−プロパンジオールからなる群から選択された第1のジオールの誘導体を含み、第1の酸のモル数と第1のジオールのモル数の合計をポリマー中の酸およびグリコールの総モル数で除した値は、少なくとも85%である。
【0048】
当業者は、テレフタル酸とエチレングリコールとの反応生成物はポリエチレンテレフタレート(PET)であり、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとの反応生成物はポリブチレンテレフタレート(PBT)であり、テレフタル酸と1,3−プロパンジオールとの反応生成物はポリトリメチレンテレフタレート(PTT)であることを理解するであろう。2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとの反応生成物は、ポリエチレンナフタレートとして知られている。
【0049】
反応してポリマーになった酸およびグリコールの合計量の測定を重合後にポリマーに対して行うべきであることは、理解されるべきである。そのモノマー種および各モノマー種の相対量の測定は、ポリマーを各々のモノマーに解重合し、ガスクロマトグラフィーによって得られたモノマー量を測ることによって行う。
【0050】
しかしながら、ある種のモノマーが意図的に反応器に導入され得ないにも拘わらず、生成され、鎖に組み込まれることを理解することは重要である。例えば、ジカルボン酸とエチレングリコールとの重合が、100モルのジカルボン酸、99〜98モルのエチレングリコールに対して、約1〜2モルのジエチレングリコールも含むことはよく知られている。
【0051】
これらの結晶性ポリマーは、ホモポリマー状またはコポリマー状で存在する。ポリエチレンテレフタレートのコポリマー、またはポリエチレンテレフタレートコポリマーは、コポリエチレンテレフタレートとも表現される。ポリエチレンテレフタレート、即ちPETとして知られているポリエステルの種類は、酸単位の総数に基づく繰り返し酸単位の少なくとも85%がテレフタル酸またはテレフタル酸のジエスエルから誘導され、グリコール単位の総数に基づく繰り返しグリコール単位の少なくとも85%がエチレングリコールから誘導され、酸および/またはグリコール単位の残りは少なくとも1種の他の繰り返し単位から誘導されている、ポリエステルである。3つ目およびその後の繰り返し単位は、例えば、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール、または1,3−プロパンジオールから誘導され得る。
【0052】
結晶性ポリエステルは、ジオールとジカルボン酸またはその対応するジエステルとの反応を含む溶融相重合によって調製され得る。多様なジオールおよび二酸を使用して得られる様々なコポリマーも使用することができる。1種の化学組成の繰り返し単位しか含まないポリマーがホモポリマーである。同じ高分子内に2種以上の化学的に異なった繰り返し単位を含むポリマーをコポリマーと称する。明確にするために、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールと反応したテレフタレート、イソフタレート、2,6−ナフタレート基のポリマーは、6種の異なったモノマーを含み、コポリマーと考えられる。繰り返し単位の多様性は、初期重合反応に存在するモノマーの異なった種類の数に依存する。ポリエステルの場合、コポリマーは、1種以上のジオールと1種以上の二酸との反応を含み、時にはターポリマーとも称される。また、モノマーのランダム化の必要はない。コポリマーまたはターポリマーは、ブロックまたはランダムに分布した異なったモノマーを含むポリマーも言及する。
【0053】
適当なジカルボン酸は、約6〜約40個の炭素原子を含むものを包含する。特定のジカルボン酸は、これらに限定されるわけではないが、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4'−ジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、1,2−フェニレンジオキシ二酢酸、1,4−フェニレンジオキシ二酢酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などを包含する。特定のエステルは、これらに限定されるわけではないが、フタル酸エステルおよびナフタル酸ジエステルを包含する。
【0054】
金属スルホネートのようなポリエステルイオノマーを生じるモノマーも含まれる。相溶剤として以下により詳細に記載するように、これらのイオノマーは、これらに限定されるわけではないが、リチウム、ナトリウム、亜鉛、イオウおよびリンのスルホン化イソフタル酸塩を包含する。
【0055】
これらの酸またはエステルを、約2〜約10個の炭素原子を含む脂肪族ジオール、約7〜約14個の炭素原子を含む脂環式ジオール、約6〜約15個の炭素原子を含む芳香族ジオール、または4〜10個の炭素原子を含むグリコールエーテルと反応させ得る。適当なジオールは、これらに限定されるわけではないが、1,4−ブタンジオール、トリメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、レゾルシノール、およびヒドロキノンを包含する。
【0056】
多官能性コモノマーも、典型的には約0.1〜約3mol%の量で、使用することができる。適当なコモノマーは、これらに限定されるわけではないが、無水トリメリット酸、トリメチロールプロパン、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、およびペンタエリスリトールを包含する。ポリエステル形成ポリ酸またはポリオールも使用することができる。
【0057】
1つの好ましいポリエステルは、テレフタル酸またはそのエステルとエチレングリコールとの約1:1の化学量論反応から生成されたポリエチレンテレフタレート(PETホモポリマー)である。他の好ましいポリエステルは、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそのエステルとエチレングリコールとの約1:1〜1:1.6の化学量論反応から生成されたポリエチレンナフタレート(PENホモポリマー)である。更に他の好ましいポリエステルは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)である。PETコポリマー、PENコポリマー、およびPBTコポリマーも好ましい。興味深い特定のコポリマーおよびターポリマーは、イソフタル酸またはそのジエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそのジエステル、および/またはシクロヘキサンジメタノールから誘導された基の組合せを含むPETである。これらのモル比が、テレフタレート:イソフタレート:エチレングリコール:ジエチレングリコール=98:2:98:2である場合、本発明の好ましい結晶性ポリエステルである。
【0058】
カルボン酸またはエステルとエチレングリコールとのエステル化または重縮合反応は、一般的に触媒の存在下で実施する。適当な触媒は、それらに限定されるわけではないが、酸化アンチモン、三酢酸アンチモン、アンチモンエチレングリコレート、有機マグネシウム、酸化錫、チタンアルコキシド、ジラウリン酸ジブチル錫、および酸化ゲルマニウムを包含する。これらの触媒は、酢酸または安息香酸の亜鉛塩、マンガン塩またはマグネシウム塩と組み合わせて使用され得る。アンチモンを含む触媒が好ましい。
【0059】
結晶性ポリエステルが固相重合前に0.2〜0.95dl/gの固有粘度を有することが、特に考えられる。例えば、少なくとも0.45dl/g、0.49〜0.59dl/gの中程度の仕込み固有粘度、より好ましくは0.52〜0.56dl/gのフィルム形成結晶性ポリエステルを使用することができる。そのペレットは、0.59〜0.75dl/g、より好ましくは0.61〜0.64dl/gの範囲の仕込み固有粘度を有する結晶性ポリエステルボトル樹脂も含む。測定したポリマーの固有粘度は単一の値であるが、この値は様々な分子鎖長さの組成物を表していることに注意しなければならない。固相重合中の一般的な固有粘度上昇は少なくとも0.04dl/gであるが、0.2dl/gの上昇または0.4dl/gの上昇でさえあり得る。
【0060】
ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)は、別の好ましい結晶性ポリエステルである。ポリトリメチレンテレフタレートは、例えば、1,3−プロパンジオールと少なくとも1種の芳香族二酸またはそのアルキルエステルとを反応させることによって調製され得る。好ましい二酸およびアルキルエステルは、テレフタル酸(TPA)またはジメチルテレフタレート(DMT)を包含する。従って、PTTは好ましくは、その酸基の少なくとも約85mol%にTPAまたはDMTから誘導された基を有する。共重合してこのようなポリエステルになり得る他のジオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、および1,4−ブタンジオールを包含する。イソフタル酸およびセバシン酸は、コポリマーを製造するために同時に使用され得る芳香族酸および脂肪族酸の例である。
【0061】
PTTを調製するために好ましい触媒は、チタンおよびジルコニウム化合物を包含する。適当な触媒チタン化合物は、それらに限定されるわけではないが、チタンアルキレートおよびそれらの誘導体、チタン錯塩、ヒドロキシカルボン酸によるチタン錯体、二酸化チタン−二酸化ケイ素−共沈、水和アルカリ含有二酸化チタンを包含する。特定の例は、テトラ−(2−エチルヘキシル)−チタネート、テトラステアリルチタネート、ジイソプロポキシ−ビス(アセチル−アセトナト)−チタン、ジ−n−ブトキシ−ビス(トリエタノールアミナト)−チタン、トリブチルモノアセチルチタネート、トリイソプロピルモノアセチルチタネート、テトラ安息香酸チタネート、シュウ酸アルカリチタンおよびマロン酸アルカリチタン、ヘキサフルオロチタン酸カリウム、および酒石酸、クエン酸または乳酸によるチタン錯体を包含する。好ましい触媒チタン化合物は、チタンテトラブチレートおよびチタンテトライソプロピレートである。対応するジルコニウム化合物も使用し得る。
【0062】
本発明の好ましいポリエステルは、少量のホスフェートのようなリン化合物、および青い色合いを与える傾向があるコバルト化合物のような触媒も含み得る。含まれ得る他の剤は、カーボンブラック、グラファイトおよび様々な鉄化合物のような赤外線吸収剤である。ポリエステルは、コバルトを含まなくてもよい。
【0063】
ボトル製造に必要な程度まで固有粘度によって測定される分子量を上昇させるために、先に記載した溶融相重合の後、結晶化工程および続いて固相重合(SSP)工程を実施し得る。結晶化および重合は、バッチ型システムで回転式乾燥反応により実施され得る。代わりに、結晶化および重合を連続固相法により実施することもでき、それによれば、各容器における所定の熱処理後、ポリマーを1つの容器からもう1つの容器に流し込む。
【0064】
PETの結晶化条件は、好ましくは、約100℃〜約150℃の温度を含む。PETを結晶化するための典型的な熱処理操作は、ペレット内のPETの結晶化度を少なくとも5%上昇させる。
【0065】
固相重合条件は、好ましくは、200℃から、結晶化ポリエステルの融点より約1℃低い温度までの温度を含む。242〜248℃で溶融する工業用結晶性ポリエステルについては、200℃〜約235℃、より好ましくは約215℃〜約235℃の範囲で操作することが好ましい。固相重合は、所望の水準まで分子量が上昇するのに十分な時間行うが、これは、その用途および初期固有粘度に依存する。典型的なボトル用途では、好ましい分子量は、約0.54〜約0.88dl/gの固有粘度に相当し、固有粘度は、試験方法の部に記載されている方法によって測定される。この分子量に達するのに要する時間は、約8時間〜約45時間の範囲であり得る。典型的な固有粘度の上昇は少なくとも0.04dl/gであり、0.2〜0.4dl/gの範囲での上昇がより一般的である。
【0066】
本発明の1つの態様では、本発明の熱可塑性ポリマーマトリックスは、再利用ポリエステル、またはポリエステルモノマー、触媒およびオリゴマーのような再利用ポリエステル由来の材料を含み得る。
【0067】
ポリエステル−ポリアミド組成物はまた、ポリエステルへのポリアミドの分散を増加させる相溶剤も含み得る。このような相溶剤の例は、米国特許出願第2004/0013833A1号に見られ、その教示の全てを引用してここに組み込む。同特許には、相溶剤として、イソフタル酸(IPA)変性PETおよびPETイオノマーが記載されている。
【0068】
米国特許出願第2004/0013833A1号の好ましい相溶剤は、金属スルホン酸塩の基を含む、イオン性相溶剤、好ましくはコポリエステルである。スルホン酸塩の金属イオンは、Na、Li、K、Zn2+、Mn2+およびCa2+であってよい。スルホン酸塩の基はしばしば、ベンゼン、ナフタレン、ジフェニル、オキシジフェニル、スルホニルジフェニル、またはメチレンジフェニル環のような芳香族環に結合しているが、同時に、スルホン化ポリスチレンのような非芳香族環に結合することもできる。
【0069】
好適には、芳香族環は、スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン、2,7−ジカルボン酸、およびそれらのエステルである。イオン性相溶剤の好ましい範囲は、各々の酸またはグリコール基の0.05〜2.0モル重量%である。
【0070】
相溶剤は、組成物中の第3の成分として存在し得るか、または、イオン性相溶剤は、ポリエステルまたはポリアミド樹脂の分子鎖内に重合され得る。相溶剤がポリエステルマトリックスに共重合されている場合は、イオン性相溶剤のモル数は、酸およびグリコールの総モル数に含まれる。例えば、ポリエステル分子に0.5モルのスルホイソフタル酸リチウムが共重合しているということは、ポリマー中の全モノマーの各200モルに対して、99.5モルのテレフタル酸、0.5モルのスルホイソフタル酸リチウム、98モルのエチレングリコール、2モルのジエチレングリコールが存在することを意味する。
【0071】
米国特許第3,328,484号は、ポリアミドにイオノマーを組み込むことを記載しており、同特許の教示の全てを引用してここに組み込む。
【0072】
固相重合中の色の発生を最小にするために、WO 2005/110694 A1により教示された区画化ペレットを使用すべきであり、従って、それらが好ましい構造である。同特許の教示の全てを引用してここに組み込む。その特定の態様は、外側の区画によって囲まれた内側の区画からなり、トリアミン含有量が低いポリアミドがコアに存在する。このような態様では、温度暴露によって、コアを囲む被膜が溶融することなく、カプセル化されたコア内の材料が溶融または液化され得ることを理解すべきである。液化された内側の区画と固体の被膜を有するこのペレットは、液状ペレットとは見なされない。
【0073】
米国特許第5,627,218号および同第5,747,548号は、区画化ペレットを製造するための多くの技術を記載しており、同特許の教示の全てを引用してここに組み込む。1つの態様では、ペレット内に少なくとも2つのゾーンまたは領域、好ましくはコアおよびシースが存在する。特に断りのない限り、米国特許第6,669,986号により教示されているような、シールされた末端を有するコア−シースが好ましいペレット構造であり、同特許の教示の全てを引用してここに組み込む。
【0074】
コア−シース構造は2つの押出機を用いて得られる。別のゾーンに第3の材料を所望する場合は、更なる押出機が必要である。第1の押出機は、コア材料を形成する液体原材料を供給し、このコア材料は、ストランドの中心に直線的に押し出される。同時に、シース材料が第2の押出機によって押し出され、同心円状にコアを覆うシース層になる。米国特許第6,669,986号は、コア−シースペレットを製造するための、複数の穴のあいたダイを備えた装置を開示している。図1は、シース2によって実質上覆われたコア1を有する、コア−シース区画化ペレットを表す。好ましい態様では、ポリエステルが押し出されて外側のシース2となり、トリアミン含有量が低いポリアミド(好ましくはMXD6)が押し出されてコア1となる。図4のように、ストランドが3つ以上の同心円状の層からなり得ることは、当業者にとって明らかである。これは、もう1つの押出機および異なったダイを用いることによって達成され得る。
【0075】
最初の工程は、多層ストランドを押し出すことである。1つの成分がペレットの中心に押し出され、もう1つの成分がその中心成分の周りに押し出される。押し出された多層ストランドは、必要に応じて、冷却前または冷却後、ペレタイザーによって切断され、多層ペレットになる。
【0076】
次いで、ストランドを従来の方法によって冷却する。例えば、ストランドを冷水の入った水浴に浸し得る。水で冷却された多層ストランドを、好ましくは、しばしば遠心脱水機によって行われる表面水分の除去後、ペレタイザーに送る。
【0077】
ペレタイザーは、回転ナイフなどを動かして特定の長さに多層ストランドを切断する。このように多層ストランドを切断することによって、コア材料およびシース材料からなる二重円柱状多層ペレットが得られる。
【0078】
一般に、約2〜8mmの外径を有する多層または区画化ペレットが製造される。本発明はまた、ストランドから製造されたペレットに限定されない。例えば、米国特許第5,627,218号に示されているように、熱可塑性ポリマーをキャストして層状シートとし、続いて同様に立方体状に切断することもできる。最小構造は2層であるが、本発明のキャスト構造に好ましい構造は、図3に示す。サンドイッチ構造または層状構造では、少なくとも3つの層が存在し、中間層33は、第1外層31と第2外層32の間に挟まれている。
【0079】
区画化ゾーンを、第1区画化ゾーン、第2区画化ゾーンのように分類し、1ずつ増えるゾーン番号で連続して番号付けすることができる。例えば、コア−シース設計は、最小で2つの区画化ゾーンを有する。コア−シース設計は、同心円の輪の数に依存して、より多くのゾーンを有し得る。
【0080】
区画化ゾーンの大きさによって、区画化ゾーンは均一分散ゾーンと区別される。均一分散はゾーンを生み出すが、それらはペレットの全体積の極めて小さいパーセントに相当する各ゾーンに微細に分けられる。区画化ゾーンは全体積のはるかに大きいパーセントを占めるであろう。
【0081】
区画化ゾーンとするためには、ゾーンの体積が、ペレットの全体積の少なくとも0.001%でなければならない。実用的には、0.01体積%がより好ましく、少なくとも0.1体積%が最も好ましい。
【0082】
これは、図1に示したコア−シースを用いて容易に説明できる。ペレット全体に対する区画化ゾーン(コア)の体積パーセントは、コア半径の二乗の、ペレットのシリンダー部の半径の二乗に対する割合である。
【0083】
好ましい態様は、コアが、4000〜50,000の数平均分子量および0.20未満の加水分解後トリアミン含有量を有するm−キシリレンアジパミドポリアミド(MXD6)からなり、シースが、ポリエステル、特に0.4〜1.2dl/gの固有粘度(I.V.)を有する結晶性ポリエチレンテレフタレートからなる、コア−シース設計である。用語「結晶性ポリエチレンテレフタレート」は、その酸基の少なくとも85%がテレフタル酸またはテレフタル酸のジメチルエステル或いはそれらと同等のものから誘導されている、結晶性ポリエステルのグループを表す。例えば、エチレングリコールと2mol%のイソフタル酸および98mol%のテレフタル酸との反応によって製造されたポリエステルは、結晶性ポリエチレンテレフタレートである。
【0084】
一度ペレットを製造すれば、両物質を結晶化の標準的な条件下で更に処理し、ゲルを生じることなく、固相重合させることができる。
【0085】
本発明の物品において、その材料が結晶性であるか非晶質であるかは問題ではない。例えば、結晶化前の数平均分子量が6,000でありトリアミン含有量が0.22未満であるMXD6ナイロンからなるコアをカプセル化する、I.V.が0.49の非晶質結晶性ポリエチレンテレフタレートからなるシースを有するペレットが、本発明の物品の態様の1つである。この同じペレットが固相重合され、結晶性ポリエチレンテレフタレートのI.V.が0.84となり、MXD6ナイロンの数平均分子量が増加しても、結晶化後の同じペレットは態様の1つである。
【0086】
別の好ましい態様は、図2に記載したように、内部コア21が完全に包囲され、シース22によって閉じ込められるように、ペレットの末端を閉じることである。内部層の内容物を閉じ込める外部層シースを有するペレットを製造する1つの方法は、水中ダイの隣でペレットストランドを切断することである。好ましいペレット構造は、ポリエステルコポリマーによって包囲された、0.20未満の加水分解後トリアミン含有量を有するMXD6コアである。
【0087】
区画化ゾーンの絶対的な分離が必須ではないことを理解する必要がある。物質を独立したゾーンにすることもできるが、ポリエステルゾーンに幾分かのポリアミド(MXD6)が存在し、ポリアミド(MXD6)ゾーンに幾分かのポリエステルが存在してもよい。
【0088】
特に、ポリアミドゾーンが結晶性ポリエステルゾーンに見られるのと同じ結晶性ポリエステルを含むことが考えられる。
【0089】
WO 2005/110694 A1は、ストランド製造速度が速いとボイドがペレット内で生じ得ることを示しており、ボイドを減らす特定の技術を列挙している。ボイドをなくす好ましい方法は、ポリエステル中にPETイオノマーを配することである。これは、第3のPETイオノマーを用いるか、またはイオノマー種、例えばスルホイソフタル酸リチウムを、結晶性ポリエステルの鎖に組み込むことによって実施され得る。
【実施例】
【0090】
実験結果
積極的な条件下でゲルの生成を防ぐ低いトリアミン含有量の能力を、下記シリーズの実施例で立証する。
【0091】
表1のシリーズは、ゲル生成におけるトリアミンの役割を明らかにする。様々な、末端基、相対粘度およびトリアミン含有量を有するMXD6ポリアミドを表1に記載する。次いで、これらのペレットを230℃に加熱し、窒素中、14時間、この温度で維持した。
【0092】
0.1gの熱処理されたポリアミドを、25mlのトリフルオロ酢酸(TFA)およびCHClの1:1混合物に添加することによって、ポリアミドをゲルについて分析した。完全な溶解はゲルがないことを示した。ゲルの存在は、不溶物によって示された。
【0093】
ポリアミドを最終相対粘度についても分析した。容易にわかるように、トリアミン含有量が高い材料はゲルを生成し、トリアミン含有量が低い材料はゲルを生成しなかった。末端基が非常に不均衡なポリマーは、より均衡化された末端基を有するポリマーほど、相対粘度が大きく上昇しなかった。
【0094】
【表1】

【0095】
表2は、これらのポリマーの区画化ペレットにおける有用性を明らかにする。実施例9〜11では、記載した特性を有するポリアミドを、結晶性ポリエステルのシースによって包囲された区画化ペレットのコアに配置した。次いで、記載した温度および時間で、ペレットを固相重合させた。全ての場合において、トリアミン含有量はゲルを生成するのに十分なほど高かった。
【0096】
実施例12、13および14では、記載した特性を有するポリアミドを、結晶性ポリエステルのシースを伴った区画化ペレットのコアに配置した。次いで、ペレットを、記載したポリエステル固相重合条件に付した。表に示すように、相対粘度または末端基分析により測定したポリアミドの分子量は上昇を示さず、ゲルが生成しなかったことが明らかであり、一方、ポリエステルのI.V.は上昇した。シースに用いたポリエステルが0.5mol%のスルホイソフタル酸リチウムを含んでいたことに、注意すべきである。実施例14では、生じ得るゲルが観察され、従って、「僅かに」という評価に値する。しかしながら、ボトル側壁において、曇りとして現れるはずであるゲルの兆候はなかった。
【0097】
実施例15および16では、記載した特性を有するポリアミドを結晶性ポリエステルと溶融混合し、次いで、記載した条件で固相重合した。ゲルは観察されなかった。実施例14と15との主な違いは、実施例15の結晶性ポリエステルが、スルホイソフタル酸リチウムから誘導された酸単位を結晶性ポリエステルの0.5mol%含むことであることに、注意すべきである。
【0098】
【表2】

【0099】
試験方法
固有粘度
60/40のフェノール/テトラクロロエタンに溶解できる中程度の分子量で低結晶性のポリ(エチレンテレフタレート)および対応するポリマーの固有粘度は、0.1gのポリマーまたは粉砕ペレットを25mlの60/40のフェノール/テトラクロロエタン溶液に溶解し、Ubbelohde 1B粘度計を用いて30℃±0.05℃で溶液の粘度を測り、同じ温度で測定した溶媒の粘度と比較することによって、測定できる。固有粘度は、相対粘度に基づいたBillmeyer式を用いて算出される。
【0100】
フェノール/テトラクロロエタンに溶解できない高分子量または高結晶性のポリ(エチレンテレフタレート)および対応するポリマーの固有粘度は、0.1gのポリマーまたは粉砕ペレットを25mlの50/50のトリフルオロ酢酸/ジクロロメタンに溶解し、OC型Ubbelohde粘度計を用いて30℃±0.05℃で溶液の粘度を測り、同じ温度で測定した溶媒の粘度と比較することによって、測定した。固有粘度は、Billmeyer式を用いて算出し、60/40のフェノール/テトラクロロエタン溶媒を用いて得た粘度と相反しない結果を得るために線形回帰を用いて変換する。線形回帰は以下の通りである。
【数1】

【0101】
結晶化度の測定
いずれかの方法で複数の化合物を含むペレットに対し、測定密度または必要な熱量(DSC法)を、ペレット中の化合物の量の重量平均によって調整した。
【0102】
区画化ペレット中の成分分離およびその成分の測定
ペレット中の各成分の量は、多くの異なった技術によって測定できる。例えば、ペレット製造時にどれだけの化合物を添加したか知ることができ、その成分を物理的に分離することができ、または成分を溶解して互いから離し、溶媒を除去し、重量を測ることによって成分を分離できる。ポリアミド−PETの場合では、PETシースから離してコアからポリアミドを溶解するためにギ酸を使用できる。PETの量は直接測定でき、ポリアミドの量は差によって決定できる。ポリアミドコアがギ酸に不溶な他の成分を含む場合、溶液を濾過し、水の添加によってギ酸からポリアミドを沈澱させることができる。次いで、試料を乾燥し、ポリアミドの量を直接重量測定する。いずれの場合も、少量の添加剤または他の非ポリアミド物質および非PET物質は、結晶化度の絶対値にほとんど影響を及ぼさない。
【0103】
ペレットから一度分離すれば、各々の成分の結晶化度または固有粘度を測定できる。本発明は、単に説明の目的のためでしかなく、本発明の範囲または実施され得る方法を限定するものとして見なされるべきではない、以下の実施例によって説明される。特に別の記載がある場合を除き、部およびパーセントは重量によって与えられる。
【0104】
末端基分析
ポリアミドは、酸末端基およびアミノ末端基を含む。しばしば記載した略語AEGはアミノ末端基含有量であり、CEGはカルボキシル(または酸)末端基含有量である。
【0105】
使用した濃度は、ポリアミドの質量単位あたりの末端基量(mol)として定義され、例えば、ポリアミド1kgあたりXmmolの末端基である。表現の異なった単位への変換はこの技術分野でよく知られている。その比を計算する目的のためには、両項目が同じ単位で表されていることしか重要ではない。
【0106】
アミノ末端基(AEG)の測定は、指示薬の存在下、ポリアミド溶液を滴定することによって実施され得る。ポリアミドを、フェノールとメタノールの混合物(例えば75重量%のフェノールおよび25重量%のメタノール)を温めることによって溶解する。既知の量のポリアミドを該溶液に添加し、それが溶解するまで維持する。多くの変法が存在する。例えば、均一な溶液が得られるまで、還流しながら混合物を維持できる。
【0107】
適当な指示薬または指示薬混合物(例えば、ベンジルオレンジまたはメチレンブルーのメタノール溶液)を、冷却した溶液に添加する。この混合物を、色が変わるまで、過塩素酸含有メタノールのエチレングリコール溶液で滴定する。アミノ末端基濃度を、過塩素酸の消費量から計算できる。
【0108】
代わりに、滴定を、過塩素酸のエチレングリコール溶液を用いて電位差滴定で実施することもできる。このタイプの分析は、以下のようなタイトロプロセッサー(Metrohm社製)を用いて実施される。1kgのフェノールを429gのメタノールp.a.と混合し、少し温める。50mlの前記溶液に1gのポリマー粒子を添加し、溶液が90℃に達するまで、逆流させながら20分間温める。溶液を0.1Nの過塩素酸のエチレングリコール溶液で滴定する。
【0109】
カルボキシル末端基の測定も同様に、指示薬を使用してポリアミド溶液を滴定することにより実施できる。温めることによって、例えば窒素をフラッシュしながら沸騰させることによって、ポリアミドをベンジルアルコール(フェニルメタノール)に溶解させる。
【0110】
適当な指示薬または指示薬混合物(例えば、クレゾールレッドのプロパノール溶液)を熱い溶液に添加する。この溶液を、水酸化カリウムアルコール溶液(メタノール、1−プロパノールおよび1−ヘキサノールの混合物に溶解したKOH)を用いて、色が変わるまで、直ちに滴定する。水酸化カリウムの消費から、カルボキシル末端基濃度を計算できる。
【0111】
代わりに、滴定を、水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液を用いて電位差滴定で実施することもでき、これは、1gのポリマー粒子を50mlのベンジルアルコールと混合して、逆流させながら180℃で30分間加熱することによる。一定流量の窒素を通す。ポリマーが完全に溶解したら、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定する。
【0112】
相対粘度
MXD6を含むポリアミドの相対粘度を、DIN EN ISO 1628-1およびISO 307-1984に従って、Ubbelohde粘度計2型50120(Schott社製)で、100mlの96重量%硫酸中1gのポリアミドの試料を用いて測定した。
【0113】
加水分解後のトリアミン含有量
UV検出器を備えたキャピラリー電気泳動装置を用いて、ポリアミドの完全加水分解後、加水分解後のトリアミン含有量を測定する。内部標準にN−メチル−イミダゾールを用いた方法によって定量化を達成できる。
【0114】
15mlの1N硫酸中200mgのポリアミドを、180℃で4時間、オートクレーブで加熱することによって、ポリアミドを加水分解する。加水分解した溶液0.5mlを、1mlの内部標準溶液と混合する。次いで、標準pH電極による測定でpHが6に達するまで、冷たい飽和Ba(OH)を添加することによって、BaSOとして硫酸塩を沈澱させる。残留溶液を水で50mlの体積まで希釈する。
【0115】
残留溶液のアリコートを電気泳動によって分析した。電気泳動のため、小型システム(ドイツ国ミュンヘン在Bio-Rad社製Biofocus)、キャピラリー(被覆されていない溶融シリカ)、および電子積分器を用いた。
【0116】
電気泳動条件:
キャピラリー(被覆されていない溶融シリカ):全長:40cm;分割長さ:35.5cm;内径:75μm;
カソード電解質:20mMのNaHPO(pHはHPOによって2.5に設定)
アノード電解質:20mMのNaHPO(pHはHPOによって2.5に設定)
分離電圧;+15kV/+375V/cm
温度:25℃
検出:UV/λ=200nm;
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】図1は、コア−シース構造で2つの区画またはゾーンを有する樹脂ペレットを表す。
【図2】図2は、コア−シース構造で2つの区画またはゾーンを有する樹脂ペレットを表しており、該コアは、外側のシース層によって、カプセル化されているか、包囲されているか、または閉じ込められている。
【図3】図3は、多層またはサンドイッチ構造で3つの区画またはゾーンを有する樹脂ペレットを表す。
【図4】図4は、コアを包囲する2つの同心円状層で形成された3つの区画化ゾーンからなる樹脂ペレットを表す。
【符号の説明】
【0118】
1 コア
2 シース
21 コア
22 シース
31 第1外層
32 第2外層
33 中間層
41 コア
42 シース
43 シース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびそれらのジエステルからなる群から誘導された結晶性ポリエステル酸基を少なくとも85%含有する結晶性ポリエステルからなる群から選択されたポリエステル、並びにアミノカプロン酸の繰り返し単位およびA−Dの繰り返し単位からなる群から選択された基を含有するポリアミドを含んでなる樹脂組成物であって、Aが、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸またはそれらの混合物からなるジカルボン酸の基であり、Dが、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミンまたはそれらの混合物からなるジアミンの基であり、ポリアミドが、加水分解後に0.22重量%未満のトリアミン含有量を有し、末端基総数の20〜80%の範囲外のカルボキシル含有量を有する、組成物。
【請求項2】
結晶性ポリエステルの酸基の少なくとも90%がテレフタル酸から誘導され、結晶性ポリエステルのグリコール基の少なくとも90%がエチレングリコールから誘導されている、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
ポリアミドがMXD6ナイロンである請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
ポリアミドがポリエステルに分散した樹脂ペレットとして存在する、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
組成物が第1区画化ゾーンおよび第2区画化ゾーンを含む区画化ペレットとして存在し、第1区画化ゾーンがポリエステルからなり、第2区画化ゾーンがポリアミドからなる、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
A)テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびそれらのジエステルからなる群から誘導された結晶性ポリエステル酸基を少なくとも85%含有する結晶性ポリエステルからなる群からポリエステルを選択し、アミノカプロン酸の繰り返し単位およびA−Dの繰り返し単位からなる群から選択された基を含有するポリアミドを選択する工程(Aは、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸またはそれらの混合物からなるジカルボン酸の基であり、Dは、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミンまたはそれらの混合物からなるジアミンの基であり、ポリアミドは、加水分解後に0.22重量%未満のトリアミン含有量を有し、末端基総数の20〜80%の範囲外のカルボキシル含有量を有する。)、
B)樹脂ペレットがポリエステルとポリアミドの両方を含むように、ポリエステルとポリアミドを配合して樹脂ペレットにする工程、
C)40℃から、ペレットが液体になる温度より1℃低い温度の範囲に樹脂ペレットを加熱する工程、
D)ポリエステルの固有粘度を少なくとも0.05dl/g上昇させるのに十分な時間、上記温度範囲で樹脂ペレットを維持する工程
からなる、同じ時間、同じ温度で、ポリエステルおよびポリアミドを固相重合する方法。
【請求項7】
結晶性ポリエステルの酸基の少なくとも90%がテレフタル酸から誘導され、結晶性ポリエステルのグリコール基の90%がエチレングリコールから誘導されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ポリアミドがMXD6ナイロンである請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ポリアミドがポリエステルに分散するように、ポリエステルとポリアミドを配合してペレットにする、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
ポリエステルとポリアミドを配合して第1区画化ゾーンおよび第2区画化ゾーンを含む区画化ペレットにする方法であって、第1区画化ゾーンがポリエステルからなり、第2区画化ゾーンがポリアミドからなる、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
樹脂ペレットを165℃〜235℃の範囲の温度に加熱する請求項7に記載の方法。
【請求項12】
結晶性ポリエステルの酸基の少なくとも90%がテレフタル酸から誘導され、結晶性ポリエステルのグリコール基の少なくとも90%がエチレングリコールから誘導されている、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
ポリアミドがMXD6ナイロンである請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ポリアミドがポリエステルに分散するように、ポリエステルとポリアミドを配合してペレットにする、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
ポリエステルとポリアミドを配合して第1区画化ゾーンおよび第2区画化ゾーンを含む区画化ペレットにする方法であって、第1区画化ゾーンがポリエステルからなり、第2区画化ゾーンがポリアミドからなる、請求項12または13に記載の方法。
【請求項16】
結晶性ポリエステルがスルホイソフタル酸リチウムを含む請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−513769(P2009−513769A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537287(P2008−537287)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053924
【国際公開番号】WO2007/049233
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(502214480)エンメ エ ジ・ポリメリ・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (16)
【Fターム(参考)】