説明

ポリエステルフィルム

【課題】
本発明は、成形時の応力を低く保ち、伸度が高い成形性に優れる上に、耐熱性、寸法安定性にも優れたポリエステルフィルムを提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明のポリエステルフィルムは、X線回折強度測定(透過法)より求めたピーク強度比が(1)式、(2)式を満たすことを特徴とするものである。
0.4<Ib/Ia≦1.2 (1)
0.4<Ic/Ib≦1.2 (2)
Ia:2θ=26°付近におけるピーク強度
Ib:2θ=23.5°付近におけるピーク強度
Ic:2θ=22.5°付近におけるピーク強度
ここでピーク強度は2θ/θスキャン測定(X線をフィルム表面方向(試料水平方向)に対してθの角度で入射させ、試料から反射してくるX線のうち入射X線に対して2θの角度のX線を検出し、θに対する強度変化を測定)により求めたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた成形性を有し、真空、圧空成形などの熱成形において金型に追従した成形部品を容易に作成することができる成形性に非常に優れ、特に建材、自動車部品や携帯電話、電機製品などの成形部材用途に好適に用いられるポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりにより、建材、自動車部品や携帯電話、電機製品などで、溶剤レス塗装、メッキ代替などの要望が高まり、成形用加飾シートを使用した成形部材の加飾方法の導入が進んでいる。
【0003】
そのような中、成形用ポリエステルフィルムとして、いくつかの提案がされている。例えば、特定の融点、破断伸度を有する成形性に優れるポリエステルフィルムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。さらに、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートを1:1で混合して成形性を付与したフィルムが開示されている(たとえば、特許文献2参照)。しかし、これらの提案のフィルムでは成形加工時の変形応力が高いために、複雑な形状の成形を行うことは困難である。
【0004】
また、特定の融点を有し、特定の製膜条件を採用した成形部材用ポリエステルフィルムも開示されている(たとえば、特許文献3参照)。また、成形性、意匠性、平滑性を両立するためにA層、B層、C層の3層積層フィルムで、中間層のB層に成形性をもたせたポリエステルフィルムが提案されている(たとえば、特許文献4参照)。しかしながら、これらのポリエステルフィルムでは破断伸度が十分ではなく、深絞り成形には耐えうるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−72841号公報
【特許文献2】特開2002−321277号公報
【特許文献3】特開2003−211606号公報
【特許文献4】特開2006−51747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、成形時の応力を低く保ち、伸度が高い成形性に優れる上に、耐熱性、寸法安定性にも優れたポリエステルフィルムを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる課題を解決するために次のような手段を採用する。すなわち、本発明のポリエステルフィルムは、X線回折強度測定(透過法)より求めたピーク強度比が(1)式、(2)式を満たすことを特徴とするものである。
0.4<Ib/Ia≦1.2 (1)
0.4<Ic/Ib≦1.2 (2)
Ia:2θ=26°付近におけるピーク強度
Ib:2θ=23.5°付近におけるピーク強度
Ic:2θ=22.5°付近におけるピーク強度
ここでピーク強度は2θ/θスキャン測定(X線をフィルム表面方向(試料水平方向)に対してθの角度で入射させ、試料から反射してくるX線のうち入射X線に対して2θの角度のX線を検出し、θに対する強度変化を測定)により求めたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリエステルフィルムは、熱成形による成形加工が容易であり、かつ耐熱性、寸法安定性に優れることから、複雑な形状への均一成形が可能であることから、成形用途、例えば、建材、自動車部品や携帯電話、電機製品、遊技機部品などの成形部材に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】X線回折強度測定(2θ/θスキャン測定)の説明図(断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のポリエステルフィルムは、優れた成形性、耐熱性を満たすために、X線回折強度測定(透過法)より求めたピーク強度比が下記(1)式、(2)式を満たすことが必要である。
0.4<Ib/Ia≦1.2 (1)
0.4<Ic/Ib≦1.2 (2)
ここで、Iaは、2θ=26°付近におけるピーク強度であり、Ibは、2θ=23.5°付近におけるピーク強度であり、Icは、2θ=22.5°付近におけるピーク強度である。2θ=26°付近におけるピーク強度とは、2θ=25.5°〜26.5°の範囲で最も強度の高い値のことをいい、同様に2θ=23.5°付近におけるピーク強度とは、2θ=23.1°〜24°の範囲で最も強度の高い値、2θ=22.5°付近におけるピーク強度とは、2θ=22.1°〜23°の範囲で最も強度の高い値をいう。
【0011】
また、ピーク強度は2θ/θスキャン測定(X線をフィルム表面方向(試料水平方向)に対してθの角度で入射させ、試料から反射してくるX線のうち入射X線に対して2θの角度のX線を検出し、θに対する強度変化を測定)により求めることができる(図1)。
【0012】
Ib/Iaが1.2より大きくなると、フィルムの耐熱性が低下してしまい、フィルムの加工工程に耐えられなくなる場合がある。一方、Ib/Iaが0.4以下となると、十分な成形性が得られない場合がある。また、Ic/Ibが1.2より大きくなると、フィルムの透明性が低下してしまう。一方、Ic/Ibが0.4以下となると、フィルムの寸法安定性が低下してしまう。下記(1)’、(2)’式を満たせばより好ましく、(1)’’(2)’’式を満たせば最も好ましい。
0.4<Ib/Ia≦1.1 (1)’
0.5<Ic/Ib≦1.1 (2)’
0.4<Ib/Ia≦1 (1)’’
0.6<Ic/Ib≦1 (2)’’
本発明のポリエステルフィルムが(1)式を満たすためには、フィルムの面配向係数を0.04以上0.1以下とする方法が挙げられる。面配向係数を上記した範囲とすることで、フィルム面方向の結晶が成長しにくくなるため、Iaが小さくなり、(1)式を満たしやすくなる。より好ましい面配向係数の範囲は0.045以上0.09以下であり、0.05以上0.08以下であれば最も好ましい。
【0013】
本発明のポリエステルフィルムの面配向係数を0.04以上0.1以下とするためには、例えば、フィルム組成を特定のジオール成分から構成する方法が挙げられる。
【0014】
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂とは、主鎖中の主要な結合をエステル結合とする高分子化合物の総称であって、通常ジカルボン酸成分とグリコール成分を重縮合反応させることによって得ることができる。
【0015】
本発明では、成形性、外観、耐熱性、寸法安定性、経済性の点から、ポリエステルフィルムを構成するグリコール成分の50モル%以上がエチレングリコール成分であることが好ましい。50モル%に満たない場合、特に、耐熱性に劣り、成形用途に用いることができない。グリコール成分として、エチレングリコール成分を50モル%以上含んでいれば、その他のグリコール成分を複数含んでいてもよい。
【0016】
本発明のポリエステルフィルムに含まれるその他のグリコール成分としては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物などが挙げられる。
【0017】
また、本発明のポリエステルフィルムに用いられる好ましいジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などを挙げることができる。また、ジカルボン酸エステル誘導体としては上記ジカルボン酸化合物のエステル化物、たとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどを挙げることができる。
【0018】
本発明のポリエステルフィルムの面配向係数を0.04以上0.1以下とするためには、グリコール成分の10〜20モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール成分であることが好ましい。1,4−シクロヘキサンジメタノール成分のより好ましい範囲は、11〜18モル%であり、12〜17モル%であれば最も好ましい。
【0019】
また、本発明のポリエステルフィルムの面配向係数を0.04以上0.1以下とする方法としては、少なくとも一軸以上、より好ましくは二軸延伸する方法が挙げられる。フィルムの長手方向および幅方向に延伸する場合(二軸延伸する場合)は、長手方向および幅方向にそれぞれ2.5倍以上3.5倍以下の延伸倍率が好ましく採用される。
【0020】
また、総延伸倍率としては、6.2倍以上13倍以下であることが好ましい。総延伸倍率とは、長手方向の延伸倍率に幅方向の延伸倍率を乗じたものをいう。フィルムの面配向係数を低くしようとして総延伸倍率を6.2倍未満の低倍とすると、厚みムラが大きくなる場合があるため好ましくない。また総延伸倍率を13倍より大きくすると面配向係数が0.1を超えてしまう場合がある。また、延伸速度は1,000〜200,000%/分であることが望ましい。また延伸温度としては、好ましくは80〜130℃である。二軸に延伸する場合は、長手方向の延伸温度を85〜120℃、幅方向の延伸温度を90〜110℃とすることが好ましい。上記したグリコール成分を含み、上記のような延伸条件を採用することで、面配向係数が0.04以上0.1以下といった適度な低配向を達成することができる。
【0021】
また、面配向係数の調整には二軸延伸の後にフィルムの熱処理条件も重要である。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行なうことができるが、熱処理温度としては、高温で行うことで、配向が緩和され、上記のような低配向を達成することができる。好ましい熱処理温度としては、フィルム融点−60℃以上フィルム融点以下であり、フィルム融点−50℃以上フィルム融点−10℃以下であればさらに好ましく、フィルム融点−40℃以上フィルム融点−15℃以下であれば最も好ましい。熱処理温度がフィルム融点−60℃より低い場合は配向緩和が十分に行われず、面配向係数が0.1より大きくなる場合がある。さらには寸法安定性も低下してしまう場合があるため好ましくない。また、熱処理温度がフィルム融点−5℃より高くなるとフィルムの厚みムラ、白化が発生してしまい品位が低下してしまう場合があるため好ましくない。
【0022】
さらに、熱処理はフィルムをMD方向および/またはTD方向に弛緩させて行ってもよい。ここでいうMD方向とは、フィルムの長手方向(製膜工程でのフィルムの進行方向)を指し、一方TD方向とはフィルムの幅方向(MD方向と直交する方向)のことを指す。
【0023】
本発明のポリエステルフィルムは、耐熱性、成形性の点で、融点が230℃以上250℃以下であることが好ましい。融点が250℃を越えると耐熱性が高すぎるために、フィルムを二次加工する際の変形応力が高すぎて複雑な形状への成形加工が困難となる。一方、ポリエステルフィルムの融点が230℃未満であると、高温成形時にフィルムが融解してしまうおそれがあり、取り扱い性が低下してしまうため好ましくない。ここでいう融点とは、示差走査熱量計を用いて、昇温速度20℃/分で測定を行った際の融解現象で発現する吸熱ピーク温度である。異なる組成のポリエステル樹脂をブレンドして使用し、フィルムとした場合には複数の融解に伴う吸熱ピークが現れる場合があるが、その場合、最も高温に現れる吸熱ピーク温度を融点とする。
【0024】
本発明のポリエステルフィルムが(2)式を満たすためには、例えば、フィルム組成を特定のジオール成分から構成する方法が挙げられる。例えば、4〜30モル%が1,4−ブタンジオール、または1,3−プロパンジオールであることが好ましく、寸法安定性の点から8〜30モル%が1,4−ブタンジオールであることが好ましい。上記したようなグリコール成分を含むことによりIcが大きくなり、(2)式を満たしやすくなる。
【0025】
また、本発明のポリエステルフィルムが(2)式を満たすためには、結晶核剤を含有することが好ましい。ここで結晶核剤とは、ポリエステルに添加することで結晶化速度を向上させる結晶性物質のことを指し、例えば、タルク、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族カルボン酸エステル、ソルビトール系化合物、有機リン酸化合物といった群から好ましく選ぶことができる。中でも本発明では、結晶核剤が、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩およびソルビトール系化合物からなる群から選ばれる、少なくとも1種の結晶核剤であることが特に好ましい。結晶核剤を含有することで、Icが大きくなり、(2)式を満たしやすくなる。ここで、結晶核剤の好ましい含有量としてはポリエステルフィルム全体を100質量%として、結晶核剤を0.1質量%以上2質量%未満である。結晶核剤濃度が0.1質量%未満では効果が十分にあらわれない場合があり、また結晶核剤を2質量%以上含有していると、透明性が損なわれる場合があるため好ましくない。より好ましくは、0.15質量%以上1.5質量%未満であり、0.2質量%以上1質量%未満であれば最も好ましい。
【0026】
ここで、脂肪族カルボン酸アミドとしては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族モノカルボン酸アミド類、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミドのようなN−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、へキサメチレンビスステアリン酸アミド、へキサメチレンビスベヘニン酸アミド、へキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族ビスカルボン酸アミド類、N,N´−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N´−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N´−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N´−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N´−ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N´−ジステアリルテレフタル酸アミドのようなN−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド類、N−ブチル−N´−ステアリル尿素、N−プロピル−N´−ステアリル尿素、N−ステアリル−N´−ステアリル尿素、N−フェニル−N´−ステアリル尿素、キシリレンビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、ヘキサメチレンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスラウリル尿素のようなN−置換尿素類を使用することができる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。この中でも、脂肪族モノカルボン酸アミド類、N−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類、脂肪族ビスカルボン酸アミド類が好適に用いられ、特に、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドが好適に用いられる。
【0027】
脂肪族カルボン酸塩の具体例としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム等の酢酸塩、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸水素カリウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸銀等のラウリン酸塩、ミリスチン酸リチウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸水素カリウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸銀等のミリスチン酸塩、パルミチン酸リチウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸鉛、パルミチン酸タリウム、パルミチン酸コバルト等のパルミチン酸塩、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸鉛、オレイン酸タリウム、オレイン酸銅、オレイン酸ニッケル等のオレイン酸塩、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸タリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸ベリリウム等のステアリン酸塩、イソステアリン酸ナトリウム、イソステアリン酸カリウム、イソステアリン酸マグネシウム、イソステアリン酸カルシウム、イソステアリン酸バリウム、イソステアリン酸アルミニウム、イソステアリン酸亜鉛、イソステアリン酸ニッケル等のイソステアリン酸塩、ベヘニン酸ナトリウム、ベヘニン酸カリウム、ベヘニン酸マグネシウム、ベヘニン酸カルシウム、ベヘニン酸バリウム、ベヘニン酸アルミニウム、ベヘニン酸亜鉛、ベヘニン酸ニッケル等のベヘニン酸塩、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸バリウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸ニッケル等のモンタン酸塩等を使用することができる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。特に、ステアリン酸の塩類やモンタン酸の塩類が好適に用いられ、特に、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウムなどが好適に用いられる。
【0028】
脂肪族アルコールの具体例としては、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の脂肪族モノアルコール類、1,6−ヘキサンジオール、1,7−へプタンジール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族多価アルコール類、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール等の環状アルコール類等を使用することができる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。特に脂肪族モノアルコール類が好適に用いられ、特にステアリルアルコールが好適に用いられる。
【0029】
また、かかる脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、ラウリン酸セチルエステル、ラウリン酸フェナシルエステル、ミリスチン酸セチルエステル、ミリスチン酸フェナシルエステル、パルミチン酸イソプロピリデンエステル、パルミチン酸ドデシルエステル、パルミチン酸テトラドデシルエステル、パルミチン酸ペンタデシルエステル、パルミチン酸オクタデシルエステル、パルミチン酸セチルエステル、パルミチン酸フェニルエステル、パルミチン酸フェナシルエステル、ステアリン酸セチルエステル、べヘニン酸エチルエステル等の脂肪族モノカルボン酸エステル類、モノラウリン酸グリコール、モノパルミチン酸グリコール、モノステアリン酸グリコール等のエチレングリコールのモノエステル類、ジラウリン酸グリコール、ジパルミチン酸グリコール、ジステアリン酸グリコール等のエチレングリコールのジエステル類、モノラウリン酸グリセリンエステル、モノミリスチン酸グリセリンエステル、モノパルミチン酸グリセリンエステル、モノステアリン酸グリセリンエステル等のグリセリンのモノエステル類、ジラウリン酸グリセリンエステル、ジミリスチン酸グリセリンエステル、ジパルミチン酸グリセリンエステル、ジステアリン酸グリセリンエステル等のグリセリンのジエステル類、トリラウリン酸グリセリンエステル、トリミリスチン酸グリセリンエステル、トリパルミチン酸グリセリンエステル、トリステアリン酸グリセリンエステル、パルミトジオレイン、パルミトジステアリン、オレオジステアリン等のグリセリンのトリエステル類等を使用することができる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。この中でもエチレングリコールのジエステル類が好適であり、特にエチレングリコールジステアレートが好適に用いられる。
【0030】
また、かかる脂肪族/芳香族カルボン酸ヒドラジドの具体例としては、セバシン酸ジ安息香酸ヒドラジド、メラミン系化合物の具体例としては、メラミンシアヌレート、ポリビン酸メラミン、フェニルホスホン酸金属塩の具体例としては、フェニルホスホン酸亜鉛塩、フェニルホスホン酸カルシウム塩、フェニルホスホン酸マグネシウム塩、フェニルホスホン酸マグネシウム塩等を使用することができる。
【0031】
ソルビトール系化合物としては、1,3−ジ(P−メチルベンジリデン)ソルビトール、2,4−ジ(P−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−ジベンジリデンソルビトール、2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3−ジ(P−エチルジベンジリデン)ソルビトール、2,4−ジ(P−エチルジベンジリデン)ソルビトールなどが挙げられる。
【0032】
リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、環状有機リン酸エステル塩基性多価金属塩とアルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート及びアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩有機カルボン酸金属塩の1種とから選ばれる混合物などが挙げられる。
【0033】
上記した中でも、透明性、耐熱性の点から、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、ソルビトール系化合物が、好ましく用いられる。
【0034】
また、(2)式を満たす好ましい方法として、熱処理温度を高温化する方法も挙げられる。熱処理温度を高温化することでIcが大きくなり、(2)式を満たしやすくなる。フィルムの品位と両立させるために好ましい熱処理温度としては、フィルム融点−40℃以上フィルム−15℃以下であることが好ましく、フィルム融点−30℃以上フィルム融点−15℃以下であればさらに好ましい。
【0035】
本発明のポリエステルフィルムは、熱成形などのフィルム二次加工性の観点から、少なくとも一方向の150℃におけるフィルムの長手方向および幅方向の破断伸度が300%以上700%以下であることが好ましい。150℃におけるフィルムの破断伸度が300%未満であれば、熱成形時にフィルムが破断したり、変形が不十分である場合がある。また、700%より高くしようとすると、耐熱性との両立が非常に困難であり、成形加工での予熱工程でフィルム移送のための張力に耐えることができず、フィルムが変形してしまう場合があるため好ましくない。本発明のポリエステルフィルムは少なくとも一方向の150℃における破断伸度が300%以上700%以下であれば、破断伸度が300%以上700%以下を満たさない方向が存在しても、十分に成形性および耐熱性を満たすことができる。150℃における破断伸度は、取り扱い性、成形性の点から320〜650%であれば好ましく、350〜600%であれば最も好ましい。
【0036】
ここで、150℃における破断伸度とは、試験長20mmの矩形型に切り出したフィルムサンプルを150℃に設定した恒温層中で90秒間の予熱後、500mm/分のひずみ速度で引張試験を行った際、フィルムが破断したときの伸度のことである。
【0037】
本発明におけるポリエステルフィルムの少なくとも一方向の150℃におけるフィルムの破断伸度が上記範囲を満たすためには、フィルムの総延伸倍率として、6.2倍以上13倍以下であることが好ましくすることが好ましく、また、延伸後の熱固定工程において、熱処理温度を高温とすることで、フィルムの非晶部分の配向を緩和することができるので好ましい。好ましい熱処理温度はフィルム融点−60℃以上フィルム融点以下である。また、破断伸度を上記の範囲とするためには、製膜中、製膜後のフィルム欠点をできるだけ、減少させる必要がある。欠点をなくすためには、製膜雰囲気の防塵設備、押出機の整備、延伸ロール、巻き取りロールの整備等が重要となる。
【0038】
また、押出時のポリマーの劣化を防ぐことも重要である。押出時のポリマーの劣化を防ぐためには、押出温度、ポリマーの滞留時間の適正化、押出機内の窒素パージ、ポリマーの水分除去などを行うことが必要である。好ましい押出温度は、ポリマーの融点+10〜40℃が好ましい。また、ポリマーの適正な滞留時間はポリマーによって変わってくるが、未溶融物が発生しない程度に短くする方が好ましい。
【0039】
また、フィルム厚みを10μm以上とする方法も挙げられる。フィルム厚みが10μm未満であれば、フィルムの伸びしろが少なくなり、破断伸度が低下してしまう。成形性、取り扱い性の点からより好ましいフィルム厚みは15μm以上250μm未満であり、20μm以上200μm未満であれば最も好ましい。
【0040】
また、本発明のポリエステルフィルムは、寸法安定性の点から少なくとも一方向の150℃、30分における熱収縮率が2%以下であることが好ましい。例えば、加工工程で、他素材とラミネートしたり、厚膜コートする場合、ラミネート時、コート時のカール性を抑制するためには、寸法安定性が重要であり、少なくとも一方向の150℃、30分間における熱収縮率が2%以下とすることが非常に有効である。本発明のポリエステルフィルムの少なくとも一方向の150℃、30分における熱収縮率を上記した範囲とする方法は特に限定されないが、フィルム組成を特定のジオール成分から構成する方法が挙げられる。例えば、8〜30モル%が1,4−ブタンジオール、または1,3−プロパンジオールであることが好ましく、より好ましくは10〜30モル%が1,4−ブタンジオールであることが好ましい。また、ポリエステルフィルム全体を100質量%として、結晶核剤を0.1質量%以上2質量%未満含有させる方法も好ましく用いられる。さらに、二軸延伸の後のフィルムの熱処理温度の高温化する方法が有効である。かかる高温で熱処理を行うことで、フィルム中の歪みが緩和するため熱変形率を低くすることができる。好ましい熱処理温度は、フィルム融点−60℃以上フィルム融点以下である。また、熱処理時に、フィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行う方法も好ましく用いられる。熱処理時に弛緩させることによって、フィルム中の残存歪みが開放されるため、熱変形率が低くなる。熱処理時の好ましい弛緩率(リラックス率)は、3%以上である。また、高温熱処理後に、熱処理温度より低い温度で弛緩させる方法も好ましい。
【0041】
本発明のポリエステルフィルムは、成形性、耐熱性、寸法安定性の点で、結晶融解エネルギーΔHmが5〜35J/gであることが好ましい。ここでいう結晶融解エネルギーΔHmとは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度20℃/分で測定を行った際の融解現象で発現する吸熱ピーク熱量である。異なる組成のポリエステル樹脂をブレンドして使用し、ポリエステルフィルムとした場合には複数の融解に伴う吸熱ピークが現れる場合があるが、その場合は、最も高温に現われる吸熱ピークの熱量を本発明のポリエステルフィルムの結晶融解エネルギーとする。結晶融解エネルギーΔHmが5J/g未満であれば、結晶性が低すぎて、寸法安定性に劣るため好ましくない。また、結晶融解エネルギーΔHmが35J/gより大きくなると、結晶性が高すぎてしまい、成形性が低下してしまうため好ましくない。
【0042】
本発明のポリエステルフィルムの結晶融解エネルギーを5〜35J/gとする方法としては、ポリエステルフィルムを構成するグリコール成分を2種類以上のグリコール成分から構成させる方法が挙げられる。好ましい構成としては、グリコール成分の50〜80モル%がエチレングリコール、20〜50モル%がその他のグリコール成分である。さらに好ましくは、その他のグリコール成分として、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分、1,4−ブタンジオール成分および1,3−プロパンジオール成分から選ばれる成分であるのが好ましい。最も好ましくは、グリコール成分の50〜80モル%がエチレングリコール成分、10〜20モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール成分、10〜30モル%が1,4−ブタンジオールであるのがよい。
【0043】
また、ポリエステルフィルムを2種類以上のジカルボン酸成分から構成せしめることも結晶融解エネルギーを上記範囲とする点で、好ましい。特にテレフタル酸、イソフタル酸から構成されることが好ましい。
【0044】
本発明のポリエステルフィルムにおいて、耐熱性、寸法安定性、成形性を両立させるためのより好ましい結晶融解エネルギーΔHmは10〜30J/gであり、15〜25J/gであれば最も好ましい。
【0045】
本発明のポリエステルフィルムは外観を向上させるために、フィルムのヘイズが0.1%以上3%未満であることが好ましい。ヘイズが3%以上になると、フィルムの外観が白濁しているように見え、外観、意匠性に劣る場合がある。一方、ヘイズが0.1%未満であると、フィルムの滑りが悪く、取扱い性が困難となり、フィルム表面に擦り傷などが発生したり、フィルムをロール形状に巻き取る際に、シワが発生しやすくなってしまう場合がある。ヘイズのより好ましい範囲としては、0.2〜2.5%であり、0.3〜2%であれば特に好ましい。
【0046】
ヘイズを0.1%以上3%未満とする方法としては、少なくともA層/B層の2層構成とし、A層およびB層のみに滑剤粒子を添加し、フィルムの取り扱い性を維持しつつ、光学的特性を制御する方法が好ましい。また、A層/B層/C層の3層構成とする場合は、A層およびC層のみに粒子を添加することが好ましい。特に、A層の層厚みをt(単位:μm)とした際に、A層に添加する粒子の円相当径P(単位:μm)が0.5≦P/t≦2の関係を満足する粒子をA層中に0.005〜0.5質量%、さらに好ましくは0.01〜0.2質量%添加する方法が好ましい。ここで、使用する滑剤粒子としては特に限定されるものではないが、内部析出粒子よりは外部添加粒子を用いる方が好ましい。外部添加粒子としては、たとえば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミなど、有機粒子としては、スチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を使用することができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、アルミナなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を使用することが好ましい。さらに、これらの外部添加粒子は二種以上を併用してもよい。
【0047】
経済性、生産性の観点からは、C層を構成するポリエステルをポリエステルAとすることが好ましい。すなわち、A層とC層を同一組成とすることが好ましい。さらに、経済性、生産性を向上させるために、A層とC層の積層厚みを等しくすることが好ましい。
【0048】
また、層厚みが最も厚い層をメイン層、それ以外の層をサブ層としたとき、積層比(メイン層の層厚み)/(フィルム全体のフィルム厚み)は0.999以下であることが好ましい。積層比が0.999より大きくなると、サブ層の厚みが薄すぎるため、製膜安定性に劣り、さらに積層むらが生じる場合がある。積層比(メイン層)/(フィルム全体)は、0.99以下であればさらに好ましく、0.95以下であれば最も好ましい。また、メイン層はB層であることが好ましい。
【0049】
上記の積層厚み比は、各層のポリエステルを押出すときの吐出量を調整することにより達成することができる。吐出量は押出機のスクリューの回転数、ギヤポンプを使用する場合はギヤポンプの回転数、押出温度、ポリエステル原料の粘度などにより適宜調整することができる。
【0050】
フィルムの積層厚みおよび積層厚み比は、フィルムの断面を走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、光学顕微鏡などで500〜10000倍の倍率で観察することによって、積層各層の厚みおよび積層比を求めることができる。
【0051】
積層構成とする場合は、成形後の層間の剥離を防ぐために、A層とB層との層間密着力が5N/15mm以上であることが好ましい。A層とB層との層間密着力が5N/15mm未満であれば、ポリエステルフィルムまたは、ポリエステルフィルムを使用した成形部材を成形加工した後に、A層/B層の界面で剥離が発生してしまう場合がある。さらに好ましい層間密着力は8N/15mm以上であり、12N/15mm以上であれば最も好ましい。
【0052】
A層とB層との層間密着力を上記の範囲とするためには、A層を構成するポリエステルをポリエステルAとし、B層を構成するポリエステルをポリエステルBとすると、ポリエステルAの組成をポリエステルBの組成に類似させることが有効である。
【0053】
次に本発明のポリエステルフィルムの具体的な製造方法について記載するが、これに限定されるものではない。まず、使用するポリエステル樹脂を準備する。結晶化促進剤として結晶核剤を使用する場合は予めポリエステル樹脂にコンパウンしておくことが取り扱い性、分散性の点で好ましい。窒素雰囲気、真空雰囲気などで、たとえば180℃、4時間の乾燥を各々行い、ポリエステル中の水分率を好ましくは50ppm以下とする。2種類以上のポリエステルを混合する場合は、所定の割合で計量し混合して、乾燥を行う。その後、個別の押出機に供給し溶融押出する。なお、ベント式二軸押出機を用いて溶融押出を行う場合は樹脂の乾燥工程を省略してもよい。ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。2層以上の積層構成とする場合は、たとえばTダイ上部に設置したフィードブロックやマルチマニホールドにてA/B型の2層積層フィルムとなるように積層し、その後Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。A/B/C型の3層積層とフィルムとする場合は、ポリエステルA、ポリエステルB、ポリエステルCを個別の押出機に供給し溶融押出する。ポリエステルAとポリエステルCが同じ組成であれば、2台の押出機でフィードブロックやマルチマニホールドにてA層/B層/A層の3層積層フィルムとすることができる。冷却ドラム上にシート状に吐出する際、たとえば、ワイヤー状電極もしくはテープ状電極を使用して静電印加する方法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。本発明のポリエステルフィルムは未延伸フィルムとして用いても優れた特性を示すが、耐熱性、寸法安定性の点で、二軸延伸することが好ましい。未延伸フィルムの延伸方法としては、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などが挙げられる。
【0054】
かかる延伸方法における延伸倍率としては、それぞれの方向に、好ましくは2.5〜3.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.5倍、特に好ましくは3.0〜3.4倍が採用される。また、延伸速度は1,000〜200,000%/分であることが望ましい。また延伸温度は、好ましくは80〜130℃、さらに好ましくは長手方向の延伸温度を85〜120℃、幅方向の延伸温度を90〜110℃とするのがよい。また、延伸は各方向に対して複数回行ってもよい。
【0055】
さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行う。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は120℃以上ポリエステルの融点以下の温度で行われるが、より好ましくは融点−60℃以上フィルム融点以下とするのがよい。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは1〜60秒間、より好ましくは1〜30秒間行うのがよい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。さらに、インク印刷層や接着剤、蒸着層との接着力を向上させるため、少なくとも片面にコロナ処理を施したり、コーティング層を設けることも好ましいことである。
【0056】
コーティング層をフィルム製造工程内のインラインで設ける方法としては、少なくとも一軸延伸を行ったフィルム上にコーティング層組成物を水に分散させたものをメタリングリングバーやグラビアロールなどを用いて均一に塗布し、延伸を施しながら塗剤を乾燥させる方法が好ましく、その際コーティング層厚みとしては0.01〜0.5μmとするのが好ましい。
【0057】
本発明のポリエステルフィルムは、成形性、耐熱性、寸法安定性に優れているため、成形用途に用いることが好ましい。本発明のポリエステルフィルムを成形用途に使用した場合、複雑形状へ成形可能であるため、非常に優れた成形部材を得ることができる。
【0058】
かかる成形用途として、例えばインモールド成形用途、インサート成形用途が挙げられる。ここで言うインモールド成形とは、金型内にフィルムそのものを設置して、インジェクションする樹脂圧で所望の形状に成形して成形加飾体を得る成形方法である。また、インサート成形とは、金型内に設置するフィルム成形体を真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト成形などで作成しておき、その形状に樹脂を充填することで、成形加飾体を得る成形方法である。より複雑な形状を出すことができることから、本発明のポリエステルフィルムはインサート成形用途に特に好ましく用いられる。
【0059】
インサート成形用途に用いられる場合は、射出成型する樹脂との密着性を高めるため、フィルムの樹脂側の表面に易接着層を設置してもよい。射出成型用樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS(Acrylnitrile−butadiene−styrene)、AS(Acrylnitrile−styrene)、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、TPO(Thermo Plastic Olefin elastomer)またこれらの混合樹脂が好ましく用いられるため、これらの樹脂との密着性が高いことが好ましい。かかる易接着層としては特に限定されないが、ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系、塩化ポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。
【0060】
本発明のポリエステルフィルムは、インサート成形用途に用いられる場合、成形後の成形体の深み性、形状保持性の点で、厚みは75〜500μmであることが好ましく、100〜300μmであればさらに好ましく、150〜250μmであれば最も好ましい。
【0061】
また、本発明のポリエステルフィルムは、成形用基材に貼合せて用いることができる。成形用基材と貼合せることで、成形用基材/ポリエステルフィルムから構成される成形用加飾シートとなる。さらに、ポリエステルフィルムに耐候性コーティングが施されている場合は、成形用基材/ポリエステルフィルム/耐候層といった構成となる。
【0062】
かかる成形用基材としては特に限定されないが、樹脂シート、金属板、紙、木材などが挙げられる。中でも、成形性の点で樹脂シートが好ましく用いられ、高成形性の点で、熱可塑性樹脂シートが好ましく用いられる。
【0063】
ここで、かかる熱可塑性樹脂シートとしては、熱成形が可能な重合体シートであれば特に限定されないが、ポリエステル系シート、アクリル系シート、ABS(Acrylnitrile−butadiene−styrene)シート、ポリスチレンシート、AS(Acrylnitrile−styrene)シート、TPO(Thermo Plastic Olefin elastomer)シート、TPU(Thermo Plastic Urethane elastomer)などが好ましく用いられる。該シートの厚みとしては、50μm〜2000μm、より好ましくは100μm〜1800μm、さらに好ましくは250〜1500μmである。ポリエステルフィルムは、成形用基材と貼合せて用いる場合は、貼合せ性、取り扱い性の点で、厚みは10〜75μm未満であることが好ましく、12〜50μmであればさらに好ましく、15〜40μmであれば最も好ましい。
【0064】
また、本発明のポリエステルフィルムは成形用基材との接着性を高めるために、接着層を設けることが好ましい。接着層としては特に限定されないが、ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系、塩化ポリプロピレン系樹脂などが好ましく使用される。
【0065】
ここで、本発明のポリエステルフィルムを用いた以上のような構成の成形用加飾シートの成形方法について、具体的に説明するが、成形方法はこれに限定されるものではない。
【0066】
本発明のポリエステルフィルムまたは、成形用加飾シートを150〜400℃の遠赤外線ヒーターを用いて、表面温度が50〜230℃の温度になるように加熱し、金型を突き上げ、真空引きすることによって、所望の形に成形する。倍率の厳しい成形の場合は、シートにさらに圧空をかけて、成形することで、より深い成形が可能となる。このように成形された成形用加飾シートはトリミングを行い成形部材となる。またこの成形部材は、このまま使用してもよいが、成形品としての強度を付与させるために、金型を押し当てて凹んだ部分に上述した樹脂などをインジェクションしてもよい。このようにして、成形部材が完成する。
【0067】
本発明のポリエステルフィルムをインモールド成形用途、インサート成形用途に用いる場合、フィルム表面に加飾層を積層させることで、成形部材が優れた外観を示すことができるため好ましい。ここで言う加飾層とは、着色、凹凸、柄模様、木目調、金属調、パール調などの装飾を付加させるための層である。加飾層の形成方法としては特に限定されないが、例えば、金属蒸着、印刷、コート、転写などによって形成することができる。
【0068】
ここで、金属蒸着として使用される金属としては特に限定されるものではないが、インジウム(融点:156℃)、スズ(融点:228℃)、アルミニウム(融点:660℃)、銀(融点:961℃)、銅(融点:1083℃)、亜鉛(融点:420℃)、ニッケル(融点:1453℃)、クロム(1857℃)、チタン(1725℃)、白金(融点:1772℃)、パラジウム(融点:1552℃)などの単体または、それらの合金などが挙げられるが、融点が150〜400℃である金属を使用することが好ましい。掛かる融点範囲の金属を使用することで、ポリエステルフィルムが成形可能温度領域で、蒸着した金属層も成形加工が可能であり、成形による蒸着層欠点の発生を抑制しやすくなるので好ましい。特に好ましい金属化合物の融点としては150〜300℃である。融点が150〜400℃である金属化合物としては特に限定されるものではないが、インジウム(157℃)やスズ(232℃)が好ましく、特に金属調光沢、色調の点でインジウムを好ましく用いることができる。
【0069】
また、蒸着簿膜の作製方法としては、真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができる。なお、ポリエステルフィルムと蒸着層との密着性をより向上させるために、フィルムの表面をあらかじめコロナ放電処理やアンカーコート剤を塗布するなどの方法により前処理しておいても良い。また、蒸着膜の厚みとしては、1〜500nmであれば好ましく、5〜300nmであればより好ましい。生産性の点からは10〜200nmであることが好ましい。
【0070】
また、成形用として、転写箔用途も好ましく挙げることができる。転写箔は、一般的には、基材であるフィルムの片面に、順次、易接着層、離型層、印刷層および接着層などを積層して構成される。これら転写箔の転写方法としては、転写装置を用いて加熱ロールで被転写物に転写する、いわゆるホットスタンピング方法や、射出成形機やブロー成形機の金型に接着層が成形樹脂と接するように転写材をセッティングした後、成形樹脂を射出またはブローし、成形と同時に転写し、冷却後金型より成形品を取り出す、インモールド転写に代表される、いわゆる成形同時転写方法などが一般的に知られている。転写箔として用いる場合、成形性、耐熱性の点でフィルム厚みは50〜200μmであることが好ましく、60〜150μmであればさらに好ましい。
【0071】
また、成形用途としては、加飾シートの成形保護フィルムとしても好ましく用いることができる。上記したインモールド成形や、インサート成形として成形する場合、加飾シート表面の光沢度低下、キズ抑制の点から保護フィルムが用いられる場合があるが、成形性と、表面光沢が求められる。本発明のポリエステルフィルムは、加熱時の表面性、成形性に非常に優れているため、成形保護フィルムとしても非常に優れた特性を示すことができる。
【0072】
本発明のポリエステルフィルムは優れた成形性を有し、真空、圧空成形などの熱成形において金型に追従した成形部品を容易に作成することができるため、インモールド成形、インサート成形、転写箔、成形保護フィルムといった成形用途に好ましく用いられる。このため、建材、自動車部品や携帯電話、電機製品などの成形部材用途に好適に用いられるポリエステルフィルムに関するものである。
【実施例】
【0073】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価した。
【0074】
(1)融点、結晶融解エネルギー
示差走査熱量計(セイコー電子工業製、RDC220)を用い、JIS K7121−1987、JIS K7122−1987に準拠して測定および、解析を行った。
【0075】
ポリエステル層もしくはポリエステルフィルムを5mgをサンプルに用い、25℃から20℃/分で300℃まで昇温した際のDSC曲線より得られた吸熱ピークの頂点の温度を融点とした。また、吸熱ピーク面積から得られる単位質量当たりの熱量を結晶融解エネルギーとした。DSC曲線が直線の場合は、ピーク前後でベースラインから離れる点とベースラインに戻る点とを直線で結び、DSC曲線が湾曲している場合は、その湾曲した曲線で2点間を結んで解析を行った。吸熱ピークが複数存在する場合は、最も高温側の吸熱ピークの頂点の温度を融点とし、その吸熱ピーク面積から得られる単位質量当たりの熱量を結晶融解エネルギーとした。なお、ベースライン上に見られる、極微小なピーク面積(結晶融解エネルギー換算で0.5J/g以下)の吸熱ピークについてはノイズとして除去した。
【0076】
(2)X線回折強度
X線回折装置を用いて下記の条件にて、透過法により測定し、2θ/θスキャン(X線をフィルム表面方向(試料水平方向)に対してθの角度で入射させ、試料から反射してくるX線のうち入射X線に対して2θの角度のX線を検出し、θに対する強度変化を測定)で強度データを求めた。
【0077】
X線回折装置:スペクトリス社製X’pert Pro MPD型(PW3040/60)、
X線源 :CuKα線(Niフィルター使用)、
出力 :45kV 40mA、
ゴニオメータ : スペクトリス社製、
スリット :0.1mmφ−1゜−1゜、
検出器 :シンチレーションカウンター、
計数記録装置 : スペクトリス社製
結晶高分子面へ入射角θにてX線を照射させると、平行な面がX線を反射し、下記のBragg式を満たす場合に、強い回折がおこり強度ピークとして観測される。
【0078】
nλ = 2dhkl Sinθ
n:次数、λ:X線の波長、dhkl:結晶(hkl)の面間隔。
【0079】
(3)ヘイズ
JIS K 7105(1985年)に基づいて、ヘーズメーター(スガ試験器社製HGM−2GP)を用いてフィルムヘイズの測定を行った。測定は任意の3ヶ所で行い、その平均値を採用した。
【0080】
(4)フィルム厚み、層厚み
フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、フィルム断面をミクロトームで切り出した。該断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEM H7100)で5000倍の倍率で観察し、フィルム厚みおよび各層の厚みを求めた。
【0081】
(5)ポリエステル層、ポリエステルフィルムの組成
ポリエステル層もしくはフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)もしくはHFIPとクロロホルムの混合溶媒に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いてジカルボン酸成分や、グリコール成分を定性したり、含有量を定量することができる。積層フィルムの場合は積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、評価することができる。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時のポリエステル樹脂の混合比率から計算により組成を算出した。
【0082】
(6)面配向係数
ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて、フィルムの長手方向の屈折率(nMD),幅方向の屈折率(nTD),厚み方向の屈折率(nZD)を測定し、下記式から面配向係数(fn)を算出した。
fn=(nMD+nTD)/2−nZD
【0083】
(7)150℃での破断伸度
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離20mmとし、引張速度を500mm/分としてフィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ引張試験を行った。測定は予め150℃に設定した恒温層中にフィルムサンプルをセットし、60秒間の予熱の後で引張試験を行った。フィルムが破断した際の伸度を破断伸度とした。なお、測定は各サンプル、任意の10方向に各5回ずつ行い、各方向の平均値のうち最も高い値を採用した。
【0084】
(8)150℃、30分における熱収縮率
フィルムを任意の方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルに100mmの間隔で標線を描き、3gの錘を吊して150℃に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から熱収縮率を算出し、寸法安定性の指標とした。なお測定は任意の10方向に各3回ずつ実施し、各方向の平均値のうち最も小さい値を採用した。
【0085】
(9)成形性
本発明のポリエステルフィルムに、接着層として東洋モートン(株)製の接着剤AD503と硬化剤CAT10と酢酸エチルを20:1:20で混合した接着剤を塗布した。接着層に厚さ1500μmのABSシートを貼合せて、ラミネーターを用いて、加熱圧着(80℃、0.1MPa、3m/min)させ、成形用加飾シートを作成した。該成形用加飾シートを、400℃の遠赤外線ヒーターを用いて、表面温度が150℃の温度になるように加熱し、70℃に加熱した金型(底面直径50mm)に沿って真空成形を行った。金型に沿って成形できた状態を成形度合い(絞り比:成形高さ/底面直径)を用いて以下の基準で評価した。
S:絞り比0.7以上で成形できた。
A:絞り比0.6〜0.7未満で成形できた。
B:絞り比0.5〜0.6未満で成形できた。
C:追従性が低く、絞り比0.5の形に成形できなかった。
【0086】
(10)耐熱性
(9)の方法で真空成形を行った後の成形体サンプルについて、下記の基準で評価を行った。
S:成形後にフィルム表面に全く粗れが観察されず、成形前後のフィルムの光沢度の差の絶対値が3未満であった。
A:成形後にフィルム表面に全く粗れが観察されず、成形前後のフィルムの光沢度の差の絶対値が3〜5未満であった。
B:成形後にフィルム表面に一部粗れが観察され、成形前後のフィルムの光沢度の差の絶対値が5未満であった。
C:成形後にフィルム表面に粗れが観察され、成形前後のフィルムの光沢度の差の絶対値が5以上であった。
【0087】
なお、光沢度は、以下の方法に基づいて測定するものとする。
成形品の表面について、JIS−Z−8741(1997年)に規定された方法に従って、スガ試験機製デジタル変角光沢度計UGV−5Dを用いて、60°鏡面光沢度を測定した。測定はn=5で行い、最大値と最小値を除いた平均値を光沢度として採用した。
【0088】
(11)寸法安定性
フィルムを20cm×30cmの金属枠に両面テープで貼り付けて固定し、熱風オーブンにて80℃×120分の熱処理を行った。熱処理後のフィルムの様子を下記の基準で評価した。
S:熱処理前後で、全くフィルムに変化が見られなかった。
A:熱処理後に、一部フィルムの弛みが見られたが、表面性は変化していなかった。
B:熱処理後に、一部フィルムの弛みが見られ、若干表面性が低下していた。
C:熱処理後に、フィルムに弛みが見られ、表面性が失われていた。
【0089】
(12)透明性
(3)で測定したヘイズを下記の基準で評価した。
S:ヘイズが0.1%以上2%未満であった。
A:ヘイズが2%以上2.5%未満であった。
B:ヘイズが2.5%以上3%未満であった。
C:ヘイズが3%以上であった。
【0090】
(ポリエステルの製造)
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
【0091】
(ポリエステルA)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール70質量部の混合物に酢酸マンガン0.04質量部を加え、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながら、エステル交換反応を行った。次いで、リン酸85%水溶液0.025質量部、二酸化ゲルマニウム0.02質量部を添加し、290℃、1hPaの減圧下で重縮合反応を行い、固有粘度が0.65、副生したジエチレングリコール2モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
【0092】
(ポリエステルB)
テレフタル酸100質量部、および1,4−ブタンジオール110質量部の混合物を、窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.054質量部、モノヒドロキシブチルスズオキサイド0.054質量部を添加し、エステル化反応を行った。次いで、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.066質量部を添加して、減圧下で重縮合反応を行い、固有粘度0.88のポリブチレンテレフタレート樹脂を作製した。その後、140℃、窒素雰囲気下で結晶化を行い、ついで窒素雰囲気下で200℃、6時間の固相重合を行い、固有粘度1.22のポリブチレンテレフタレート樹脂とした。
【0093】
(ポリエステルC)
1,4−シクロヘキサンジメタノールが33mol%共重合された共重合ポリエステル(イーストマン・ケミカル社製 EatsterPETG6763)と、PETを質量比90:10で混合し、ベント式二軸押出機を用いて、280℃で混練し、副生したジエチレングリコールが2モル%共重合された、1,4−シクロヘキサンジメタノール30mol%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
【0094】
(粒子マスター)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール70質量部の混合物に酢酸マンガン0.04質量部を加え、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながら、エステル交換反応を行った。次いで、リン酸85%水溶液0.025質量部、二酸化ゲルマニウム0.02質量部を添加した。さらに、数平均粒径1.2μmの湿式シリカ凝集粒子のエチレングリコールスラリーを粒子濃度が2質量%となるように添加して、290℃、1hPaの減圧下で重縮合反応を行い、固有粘度が0.65、副生したジエチレングリコール2モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート粒子マスターを得た。
【0095】
(核剤マスターA)
上記のように作成したポリエステルAと、ステアリン酸バリウムを、質量比90:10で混合し、ベント式二軸押出機を用いて、280℃で混練し、ステアリン酸バリウム10質量%のマスターペレットを得た。
【0096】
(核剤マスターB)
上記のように作成したポリエステルAと、エチレンビスラウリン酸アミドを、質量比90:10で混合し、ベント式二軸押出機を用いて、270℃で混練し、エチレンビスラウリン酸アミド10質量%のマスターペレットを得た。
【0097】
(核剤マスターC)
上記のように作成したポリエステルAと、モンタン酸ナトリウムを、質量比90:10で混合し、ベント式二軸押出機を用いて、270℃で混練し、モンタン酸ナトリウム10質量%のマスターペレットを得た。
【0098】
(核剤マスターD)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール70質量部の混合物に酢酸マンガン0.04質量部を加え、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながら、エステル交換反応を行った。次いで、リン酸85%水溶液0.025質量部、二酸化ゲルマニウム0.02質量部を添加し、さらに酢酸ナトリウムを10質量部添加し、290℃、1hPaの減圧下で重縮合反応を行い、固有粘度が0.65、副生したジエチレングリコール2モル%共重合された酢酸ナトリウム10質量%のポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
【0099】
(核剤マスターE)
上記のように作成したポリエステルAと、2,4−ジ(P−メチルベンジリデン)ソルビトールを、質量比90:10で混合し、ベント式二軸押出機を用いて、270℃で混練し、2,4−ジ(P−メチルベンジリデン)ソルビトール10質量%のマスターペレットを得た。
【0100】
(核剤マスターF)
上記のように作成したポリエステルBと、ステアリン酸バリウムを、質量比90:10で混合し、ベント式二軸押出機を用いて、270℃で混練し、ステアリン酸バリウム10質量%のマスターペレットを得た。
【0101】
(実施例1)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAと粒子マスターとを質量比27:20:50:2:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAとを質量比28:20:50:2の割合で混合して使用した。
【0102】
各々混合したポリエステル樹脂を個別に真空乾燥機にて180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、別々の単軸押出機に供給、280℃で溶融し、別々の経路にてフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてA層/B層/A層(積層厚み比は表参照)となるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
【0103】
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、最終的にフィルム温度95℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却した。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度85℃、延伸温度100℃で幅方向に3.3倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に3%のリラックスを掛けながら温度205℃で5秒間の熱処理を行いフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0104】
(実施例2)
単層フィルムとした。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAと粒子マスターを質量比28:20:50:2:1の割合で混合して使用した。
【0105】
各々混合したポリエステル樹脂を個別に真空乾燥機にて180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、単軸押出機に供給、280℃で溶融し、フィルターを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
【0106】
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、最終的にフィルム温度95℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却した。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度85℃、延伸温度100℃で幅方向に3.3倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に3%のリラックスを掛けながら温度205℃で5秒間の熱処理を行いフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0107】
(実施例3)
熱処理温度を220℃とした以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0108】
(実施例4)
長手方向の延伸倍率を3.5倍、幅方向の延伸倍率を3.5倍とした以外は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0109】
(実施例5)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターBと粒子マスターとを質量比27:20:50:2:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターBとを質量比28:20:50:2の割合で混合して使用した。
【0110】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0111】
(実施例6)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターCと粒子マスターとを質量比27:20:50:2:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターCとを質量比28:20:50:2の割合で混合して使用した。
【0112】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0113】
(実施例7)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターDと粒子マスターとを質量比27:20:50:2:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターDとを質量比28:20:50:2の割合で混合して使用した。
【0114】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0115】
(実施例8)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターEと粒子マスターとを質量比27:20:50:2:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターEとを質量比28:20:50:2の割合で混合して使用した。
【0116】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0117】
(実施例9)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAと粒子マスターとを質量比32:20:45:2:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAとを質量比33:20:45:2の割合で混合して使用した。
【0118】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0119】
(実施例10)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAと粒子マスターとを質量比37:20:40:2:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAとを質量比38:20:40:2の割合で混合して使用した。
【0120】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0121】
(実施例11)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAと粒子マスターとを質量比42:20:35:2:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAとを質量比43:20:35:2の割合で混合して使用した。
【0122】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0123】
(実施例12)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAと粒子マスターとを質量比22:20:55:2:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAとを質量比23:20:55:2の割合で混合して使用した。
【0124】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0125】
(実施例13)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAと粒子マスターとを質量比17:20:60:2:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAとを質量比18:20:60:2の割合で混合して使用した。
【0126】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0127】
(実施例14)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAと粒子マスターとを質量比12:20:65:2:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAとを質量比13:20:65:2の割合で混合して使用した。
【0128】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0129】
(実施例15)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAと粒子マスターとを質量比24:20:50:5:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAとを質量比25:20:50:5の割合で混合して使用した。
【0130】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0131】
(実施例16)
A層/B層の2層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAと粒子マスターとを質量比22:20:50:8:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAとを質量比22:20:50:8の割合で混合して使用した。
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0132】
(実施例17)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAと粒子マスターとを質量比17:20:50:12:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAとを質量比18:20:50:12の割合で混合して使用した。
【0133】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み38μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0134】
(実施例18)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと粒子マスターとを質量比29:20:50:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCとを質量比30:20:50の割合で混合して使用した。
【0135】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0136】
(実施例19)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと粒子マスターとを質量比34:15:50:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCとを質量比35:15:50の割合で混合して使用した。
【0137】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み75μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0138】
(実施例20)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと粒子マスターとを質量比39:10:50:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCとを質量比40:10:50の割合で混合して使用した。
【0139】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み75μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0140】
(実施例21)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと粒子マスターとを質量比44:5:50:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCとを質量比45:5:50の割合で混合して使用した。
【0141】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0142】
(比較例1)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターCと粒子マスターとを質量比47:20:30:2:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターCとを質量比48:20:30:2の割合で混合して使用した。
【0143】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0144】
(比較例2)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAと粒子マスターとを質量比7:20:70:2:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAとを質量比8:20:70:2の割合で混合して使用した。
【0145】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0146】
(比較例3)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルCと粒子マスターとを質量比29:70:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルCとを質量比30:70の割合で混合して使用した。
【0147】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0148】
(比較例4)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAと粒子マスターとを質量比9:20:50:20:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAとを質量比10:20:50:20の割合で混合して使用した。
【0149】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み38μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0150】
(比較例5)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルCと核剤マスターFと粒子マスターとを質量比79:20:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルCと核剤マスターFとを質量比80:20の割合で混合して使用した。
【0151】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0152】
(比較例6)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAと粒子マスターとを質量比29:20:30:20:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCと核剤マスターAとを質量比30:20:30:20の割合で混合して使用した。
【0153】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0154】
(比較例7)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルCと粒子マスターとを質量比69:30:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルCとを質量比70:30の割合で混合して使用した。
【0155】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0156】
(比較例8)
A層/B層/A層の3層積層フィルムとした。A層の構成を、ポリエステルAとポリエステルCと粒子マスターとを質量比19:80:1で混合して使用した。B層の構成を、ポリエステルAとポリエステルCとを質量比20:80の割合で混合して使用した。
【0157】
その後は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0158】
【表1】

【0159】
【表2】

【0160】
【表3】

【0161】
【表4】

【0162】
【表5】

【0163】
【表6】

【0164】
【表7】

【0165】
【表8】

【0166】
【表9】

【0167】
【表10】

【0168】
【表11】

【0169】
【表12】

【0170】
【表13】

【0171】
【表14】

【0172】
【表15】

【0173】
【表16】

【0174】
なお、表中の略号は以下の通り。
EG:エチレングリコール成分
DEG:ジエチレングリコール成分
BD:1,4−ブタンジオール成分
CHDM:1,4−シクロへキサンジメタノール成分
TPA:テレフタル酸残基成分。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明はポリエステルフィルムに関し、特に成形性に非常に優れているため、建材、自動車部品や携帯電話、電機製品などの成形部材用途に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線回折強度測定(透過法)より求めたピーク強度比が(1)式、(2)式を満たすことを特徴とするポリエステルフィルム。
0.4<Ib/Ia≦1.2 (1)
0.4<Ic/Ib≦1.2 (2)
Ia:2θ=26°付近におけるピーク強度
Ib:2θ=23.5°付近におけるピーク強度
Ic:2θ=22.5°付近におけるピーク強度
ここでピーク強度は2θ/θスキャン測定(X線をフィルム表面方向(試料水平方向)に対してθの角度で入射させ、試料から反射してくるX線のうち入射X線に対して2θの角度のX線を検出し、θに対する強度変化を測定)により求めたものである。
【請求項2】
該ポリエステルフィルムの少なくとも一方向の150℃、30分における熱収縮率が−2%以上2%以下であり、かつ150℃での破断伸度が300%以上700%以下である請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項3】
該ポリエステルフィルムを構成するグリコール成分の10〜30モル%が1,4−ブタンジオールである請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
【請求項4】
該ポリエステルフィルムを構成するグリコール成分の10〜20モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール成分である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
【請求項5】
該ポリエステルフィルムが、結晶核剤を0.1質量%以上2質量%未満含有してなる請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
【請求項6】
面配向係数が0.04以上0.1以下である請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
【請求項7】
該ポリエステルフィルムのヘイズが0.1%以上3%未満である請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステルフィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2010−229289(P2010−229289A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78498(P2009−78498)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】