ポリエステル混繊糸の製造方法
【課題】吸水性や汗処理性、防透け性を持つ一方が凹部を有しない断面形状のポリエステルフィラメント糸、他方が３〜８個の凹部を有する断面形状のポリエステルフィラメント糸で構成された無機微粒子を２ｗｔ％以上１０ｗｔ％以下含有する混繊糸の製造方法において、寸法安定性や染色性をさらに向上させ、さらには毛羽の発生がなく生産性の良好な製造方法を提供する。
【解決手段】一方が凹部を有しない断面形状のポリエステルフィラメント糸であり、他方が３〜８個の凹部を有する断面形状のポリエステルフィラメント糸で構成された無機微粒子を２ｗｔ％以上１０ｗｔ％以下含有する混繊糸を製造するに際し、加熱処理することなく延伸し、引き取り速度５０００ｍ／分以上６０００ｍ／分以下の速度でドラム状パッケージに巻き取ることを特徴とするポリエステル混繊糸の製造方法。
【解決手段】一方が凹部を有しない断面形状のポリエステルフィラメント糸であり、他方が３〜８個の凹部を有する断面形状のポリエステルフィラメント糸で構成された無機微粒子を２ｗｔ％以上１０ｗｔ％以下含有する混繊糸を製造するに際し、加熱処理することなく延伸し、引き取り速度５０００ｍ／分以上６０００ｍ／分以下の速度でドラム状パッケージに巻き取ることを特徴とするポリエステル混繊糸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、優れた吸水性、汗処理性や防透け性を有するポリエステル混繊糸の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、延伸工程を必要としない、生産性の高い高速紡糸法で、インナー分野、スポーツ分野などに使用可能な吸水性、汗処理性、防透け性に加え、寸法安定性、および染色性の優れた布帛を作るのに適し、紡糸時の断糸、ケバなど欠点の少ない、高品位なポリエステル混繊糸の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般にポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートを構成単位とするポリエステルは、優れた力学特性、化学的性質を有することから繊維、樹脂、フィルムなどの幅広い分野にわたって利用されている。
【０００３】
ポリエステル繊維は機械的性質、化学的性質、イージーケア性などの優れた特性から一般衣料用として広く利用されている。ポリエステル繊維は吸湿、吸水性が極めて低いため、ブラウス、インナーなどに使用した際、ムレ感が生じたり、透過性があることから透けてしまうといった短所があり、さらにポリエステル繊維は極性が低く、比較的緻密な分子構造を有しているために、染色性が極めて悪いといった短所があることから、様々な方法でポリエステル繊維に吸水性や汗処理性を付与する方法や、防透け性、染色性を付与する方法が提案されている。
【０００４】
例えば、吸水性を付与させるため、ポリエチレンテレフタレートを９５％以上含有するポリエステル（Ａ成分）とアルカリ減量速度がＡ成分より高い改質ポリエステル（Ｂ成分）とからなる中空率１０〜３０％のサイドバイサイド型複合中空太細繊維糸条とする方法が提案されている（特許文献１参照）。また、同様に、波形断面で凹部の開口角θが６０°≦θ≦１６０°の範囲である凹部を２カ所以上有する扁平異形断面とする方法が提案されている（特許文献２参照）。また、透けを防止する技術として、例えば、収縮差混繊糸の高収縮率の繊維群にのみ艶消し剤を含有させ、低収縮繊維群には艶消し剤を含有させず、金属リン化合物とアルカリ土類金属化合物を含有させることにより微細孔を生じさせる方法が提案されている（特許文献３参照）。
【０００５】
しかしながら、これら混染糸の製造方法は１０００〜１５００ｍ／分の引き取り速度で紡糸し、未延伸糸として該未延伸糸を３〜４倍に延伸熱処理を行う方法や４０００ｍ／分以下の引き取り速度で紡糸、いわゆるＰＯＹとし、該ＰＯＹを１．０５〜１．５倍で延伸仮撚を行う方法であり、加熱延伸や延伸仮撚を必要とするもので、設備が必要であることから生産性や経済性が低いものである。
【０００６】
一方、ポリエステルを改質し、染色性を高める方法が知られているが（特許文献４参照）、該方法では染色性の向上は認められるものの、添加される酸化チタンは０．０５ｗｔ％であり、単一の断面形状からなるマルチフィラメント糸の製法に関するもので、防透け性には何ら触れられていない。
【特許文献１】特開平０５−２９５６３３号公報（特許請求の範囲）
【特許文献２】特開昭６２−００６９８３号公報（特許請求の範囲）
【特許文献３】特開昭６１−２７５４３４号公報（特許請求の範囲）
【特許文献４】特開平１１−１００７２２号公報（特許請求の範囲）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明の課題は、上記従来の問題点を解決しようとするものであり、吸水性や汗処理性、および防透け性に加え、寸法安定性や、染色性を兼ね備えたポリエステル混繊糸の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
前記課題を解決するため、本発明は下記の構成を採用するものである。すなわち、
（１）無機微粒子を２ｗｔ％以上〜１０ｗｔ％以下含有するポリエステルを用いて、一方が凹部を有しない断面形状のポリエステルフィラメント糸であり、他方が３〜８個の凹部を有する断面形状のポリエステルフィラメント糸で構成された混繊糸を製造するに際し、加熱処理することなく延伸し、引き取り速度５０００ｍ／分以上６０００ｍ／分以下の速度で巻き取ることを特徴とするポリエステル混繊糸の製造方法。
【０００９】
（２）無機微粒子が二酸化チタンであることを特徴とする前記（１）に記載のポリエステル混繊糸の製造方法。
【００１０】
（３）混繊糸の初期弾性率が４０〜６５ｃＮ／ｄｔｅｘ、沸騰水収縮率が１．５〜３．０％であることを特徴とする前記（１）または（２）に記載の製造方法で得られるポリエステル混繊糸。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、良好な吸水性や汗処理性、防透け性があり、さらには寸法安定性や染色性が付与された混繊糸を生産性良く提供することができる。また、本発明の方法で得られた混繊糸は、染色加工が容易で、寸法安定性に優れ、さらにはアルカリ減量処理をすることで繊維表面に凹凸構造が形成され、新規なパウダータッチなドライ感および深みのある陶器調光沢を兼ね備えた織編物を得ることができる。特に婦人服のブラウス、ワンピース、スーツの裏地などに展開すると優雅なシルエットが得られるだけでなく、原糸の断面形状のミックス効果と繊維表面の凹凸効果により、極めて優れた吸水速乾性効果を発現し、汗によるべたつき感から開放される。また、婦人服では重要なセールスポイントとなる防透け性も同時に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下に本発明についてさらに詳細に説明する。
【００１３】
最初に本発明を構成する混繊糸について説明する。本発明の混繊糸は、マルチフィラメント糸の断面形状とその複合状態の構造を特徴とし、さらに無機微粒子を２ｗｔ％以上含有したポリマを用いることを特徴とするものである。断面形状を異にするフィラメント糸が複合されてなるマルチフィラメント糸において、断面形状の種類は２種類以上であり、そのうち少なくとも１種類のフィラメント糸は凹部を有しない断面形状のフィラメント糸からなり、それ以外のフィラメント糸は３〜８個の凹部を有する断面形状のフィラメント糸を有するものである。
【００１４】
図１〜図１０は、繊維断面形状を説明する説明図である。図面を参照しながらさらに詳細に説明すると、本発明でいう凹部を有してない断面形状とは、同一断面において断面輪郭に接する接線を引いた時に、複数の接点を有しない断面形状を原則とする。上記の凹部を有しない断面形状の具体例を挙げると、円形（図１）、楕円形（図２）、おにぎり型円形（図３）や３角形以上の多角形であって比較的角に丸みを持ったもの（図４）などが挙げられる。これらには、図１に示すように、接線（Ｌ１）を引いた時に複数の接点は存在せず、１つの接点（Ｓ１）のみ存在する。
【００１５】
一方、凹部を有する断面形状とは、図５に示すように、同一断面において断面輪郭に接する接線（Ｌ２）を引いた時に、複数の接点（Ｓ２、Ｓ３）を有し、その接点間に凹部（Ｕ）を形成しており、その凹部と凹部の間に凸部が形成されている断面形状を原則とする。本発明においては、３〜８個の凹部を有する断面形状であるものを示し、対称型あるいは非対称型のいずれでもよく、凹部の大きさに特に制限されるものではない。そのような断面形状としては、たとえばＹ型（図５）、４葉型（図６）、６葉型（図７）、８葉型（図８）、櫛形（図９）などが挙げられる。これらには、図５に示すように、接線（Ｌ２）を引いた時に複数の接点（Ｓ２、Ｓ３）を有する接線が存在する。凹部を有する断面形状において、織物の風合いとして優れたドライ感を得るためには凹部が３〜６個が好ましい。
【００１６】
本発明においては、繊維間空隙が確保され、毛細管効果による吸水性、汗処理性を向上させ、さらに張りコシ感、ドレープ性も付与するうえで凹部を有するフィラメント糸の異形度を１０以上とすることが好ましい。
【００１７】
ここでいう異形度とは、図５における凹部の最も凹んだ点（Ｕ）から接線Ｓ２−Ｓ３までの距離（垂線）（Ｈ）と接点Ｓ２、Ｓ３間の距離（Ｄ）から次式（１）により算出される値である。
【００１８】
異形度＝（Ｈ／Ｄ）×１００ （１）
図１０に本発明の混繊糸の一例を示す断面概略図を示した。この図に示すように、円形（丸）断面と６葉型断面のフィラメント糸からなる混繊糸は、凹部を有する断面形状が形成する凸部（凹部と凹部の間に形成される突起状部分の）の存在と凹凸を有しない断面とがランダムに分散している。
【００１９】
本発明において、断面形状の凹凸によるザラツキ感を防ぐためには、凹部を有する断面形状のフィラメント糸と凹部を有しない断面形状のフィラメント糸の混合比率（重量比）は２０：８０〜８０：２０であることが好ましい。
【００２０】
本発明の混繊糸は、図１０の断面図、あるいは図１１の側面図に示すように、それぞれの断面形状の糸が外層および内層にランダムな状態で分散していることで、糸の表面においてそれぞれの断面形状が分散配置するので、凹部を有する断面と凹部を有しない断面との調和してサラッとしたドライ感が得られる。また、凹部を有する断面形状のフィラメント糸と凹部を有しない断面形状のフィラメント糸がランダムな状態で分散していることによって、凹部と凹部のかみ合いが起こりにくいことから嵩高性の減少を防ぎ、ふくらみ感を保持できる。
【００２１】
本発明のポリエステルとしては、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンフタレートなどが挙げられるが、中でも前者のテレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素数２〜６のアルキレングリコール成分、すなわちエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール及びヘキサメチレングリコールから選ばれた少なくとも一種のグリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを対象とする。
【００２２】
なお、このポリエステルはそのテレフタル酸成分を他の二官能性カルボン酸成分で置き換えても良い。かかるカルボン酸としては、たとえばイソフタル酸、フタル酸、ジブロモテレフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンカルボン酸、β−オキシエトキシ安息香酸の如き二官能性芳香族カルボン酸などを挙げることができる。
【００２３】
また、上記グリコール成分の一部を他のグリコール成分で置き換えてもよく、かかるグリコール成分としては例えばシクロヘキサン−１，４−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールＡ、ビスフェノールＳ、２，２−ビス〔３，５−ジブロモ−４−（２−ハイドロキシエトキシ）フェニル〕プロパンの如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオールが挙げられる。
【００２４】
さらに、上述のポリエステルに必要に応じて他のポリマを少量ブレンド溶融したもの、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸などの鎖分岐剤を少割合使用したものであっても良い。
【００２５】
本発明のポリエステルは、不透明性、アルカリ減量処理後のパウダータッチなドライ感を発揮させるために無機微粒子を２ｗｔ％以上含有させたポリエステルであることが重要である。これらを２ｗｔ％以上含むことにより、不透明性が向上し透けを防止することができ、織編物としアルカリ減量処理すると、繊維表面に凹凸構造が形成されるため、毛細管現象が促進され吸水性が向上し、かつパウダータッチな新規なドライ感および陶器調光沢を得ることができる。一方、無機微粒子の含有量が２ｗｔ％未満の場合には十分な防透け性を得ることができない上に、アルカリ減量処理後にパウダータッチなドライ感を得ることもできない。無機粒子の含有量はより好ましくは、前述の防透け性、紡糸時の濾圧上昇や曳糸性の点で２ｗｔ％以上１０ｗｔ％以下が良い。
【００２６】
本発明の無機微粒子としては、防透け性能が優れ取り扱いのしやすさ、コスト、太陽光線に対する諸機能などの点で二酸化チタンが特に好ましい。例えば、二酸化チタンには皮膚に有害な紫外線を吸収・遮蔽し、かつ暑さと感じる太陽光の可視および近赤外線領域を効率的に反射するため日射エネルギーの吸収を抑え、衣服にした時の衣服内の温度を抑える効果がある。なお、本発明の二酸化チタンとしては、繊維に二酸化チタン粒子を均一に分散させ、織編物としてアルカリ減量処理後に得られるパウダータッチなドライ感を向上させるために、平均粒径が０．５〜１．０μｍかつ最大粒径が１．０〜５．０μｍのものが好ましい。ここで示す平均粒径とは、得られた繊維を蝋で包埋させ、剃刀で長さ方向に対して垂直に切断した断面をＫＥＹＥＮＣＥ製電子顕微鏡にて１０００倍で拡大したときの単糸断面に点在している全ての無機粒子の粒子直径を測定し、平均値で示したものである。また、最大粒径とはこのときの最も大きな粒子直径を示す。このほか本発明のポリエステルは通常のポリエステルと同様にカーボンブラックなどの顔料の他、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤などが添加されても勿論良い。
【００２７】
また、それぞれの断面形状のフィラメント糸を構成するものとしては、別々の断面形状のフィラメント糸を構成するものであるが、目的を満足する範囲内で別々のポリマー種であっても良い。
【００２８】
凹部を有しない断面形状のフィラメント糸の単糸繊度Ｄ１と凹部を有する断面形状フィラメント糸の単糸繊度Ｄ２の関係は０．５≦Ｄ２／Ｄ１≦２．０が好ましく、Ｄ１、Ｄ２はいずれも１．１１ｄｔｅｘ以上１１．１１ｄｔｅｘ以下であることが良い。
【００２９】
次に、本発明の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、上記混繊糸を紡糸する際、加熱処理することなく延伸するものである。一般に、加熱処理して延伸すると、繊維非結晶部が結晶化される為、分散染料が入り込み難くなり、染色性が劣るといった問題がある。また、上記混繊糸を紡糸する際、引き取り速度は５０００ｍ／分以上６０００ｍ／分以下の速度で巻き取るものである。引き取り速度が５０００ｍ／分を下回る場合は、半延伸された、すなわちＰＯＹであり、延伸工程や仮撚工程が必要となり、生産性が低下するばかりでなく、染色性も低下してしまう。一方、引き取り速度が６０００ｍ／分を越える場合は、無機粒子が２ｗｔ％含有されていることから曳糸性が低下し、糸切れや毛羽などの問題が生じる。より好ましくは５５００ｍ／分以上５９００ｍ／分以下の速度である。紡糸工程の引き取りローラーに異なる断面形状のフィラメント糸が混繊された具体的にはたとえば、図１２に示す工程により得ることができる。
【００３０】
図１２は、少なくとも１種類が凹部を有しない形状で、それ以外の形状が３〜８個の凹部を有する形状であって、２種類以上の異なる形状の紡糸孔で構成される１枚の口金１（Ａ）から紡出された糸条を給油ガイド３で収束・給油し、その後インターレースノズル４により混繊収束し、引き取りローラー５に引き取り、さらにドラム状パッケージ６に巻き取る方法を示す。
【００３１】
生産性の観点より、少なくとも１種類が凹部を有しない形状で、それ以外の形状が３〜８個の凹部を有する形状であって、２種類以上の異なる形状の紡糸孔で構成される一枚の紡糸口金から、溶融したポリエステル重合体を紡出する方法が好ましい。
【００３２】
本発明で用いられる２種類以上の異なる形状の紡糸孔で構成される一枚の紡糸口金とは、たとえば図１３〜図１６に示すように、同心円状に窄孔されたもの（図１３）、群配列されたもの（図１４）、格子状に窄孔されたもの（図１５、図１６）などが挙げられる。なお、図中の○は凹部を有しない形状の紡糸孔、×は凹部を有する形状の紡糸孔を示す。
【００３３】
また、生産性向上の観点から、一枚の口金から複数の糸条を巻き取る方法も好ましく採用できる。
【００３４】
また、本発明の混繊複合糸の製造工程において、凹部を有する断面形状のマルチフィラメント糸と凹部を有しない断面形状のマルチフィラメント糸の混繊効果を高め、マイグレーションさせることによって本発明の効果を大きくすることができるので巻き取る前にインターレースノズルにより単糸間に交絡を付与することはさらに好ましい。また、交絡数は織編物としたときに布の表面形態の品質低下を招きやすくなることから１０〜２０コ／ｍであることが好ましい。ここで示す交絡数とは、エンタングルメント法において測定した繊維長さ１ｍ当たりに存在する交絡の数であり、同一サンプルにおいて測定回数１０回で測定した交絡の数の平均値を示す。
【００３５】
本発明で得られた混繊糸は織物に加工する際の寸法安定性の点で沸騰水収縮率は１．５〜３．０％であることが好ましい。また、編み物として使用する際のしなやかさやドレープ性を得るには、混繊糸の初期弾性率は４０ｃＮ／ｄｔｅｘ〜６５ｃＮ／ｄｔｅｘであることが好ましい。
【実施例】
【００３６】
以下、実施例を挙げて本発明を詳述するが、これら実施例のみに本発明の範囲が限定されるものではない。
１．製糸性
引き取り速度を変更した際に、各引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸したときの糸切れ回数により、下記の通り３段階で評価した。◎、○が本発明の目標レベルである。
【００３７】
◎ ：紡糸量１００００ｋｇにおける糸切れ回数が１０回以下
○ ：紡糸量１００００ｋｇにおける糸切れ回数が１５回以上２０回以下
× ：紡糸量１００００ｋｇにおける糸切れ回数が２０回以上
２．毛羽発生数
引き取り速度を変更した際に、各引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸したときの毛羽発生率を次式（２）で示し、下記の通り３段階で評価した。◎、○が本発明の目標レベルである。
毛羽発生率＝（毛羽発生製品個数／採取した製品個数）×１００（％） （２）
◎ ：毛羽発生率が９８％以上
○ ：毛羽発生率が９０％以上９８％未満
× ：毛羽発生率が８５％以上９０％未満
３．沸騰水収縮率
引き取り速度を変更した際に、各引き取り速度で得られた混繊糸をＪＩＳ Ｌ １０１３に準じ、１．１２５ｍの検尺器にて巻き数２０回のカセを作り、９８℃熱水中に３０分間浸せきした後自然乾燥させ、所定荷重をかけてカセ長を測定し収縮率を次式（３）で算出した。
【００３８】
沸騰水収縮率 ＝｛（ｌａ−ｌｂ）／ｌｂ｝×１００ （３）
ｌａ：処理前の長さ
ｌｂ：処理後の長さ
４．初期弾性率
引き取り速度を変更した際に、各引き取り速度で得られた混繊糸をＪＩＳ Ｌ１０１３（１９９９）引張強伸度特性に準じて測定した。
５．寸法安定性
引き取り速度を変更した際に、各引き取り速度で得られた混繊糸を使用し、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物に加工した後、１６０℃の仕上げセットを施した際のヒケの程度を３段階で評価した。◎、○が本発明の目標レベルである。
【００３９】
◎ ：ヒケの発生なし。
【００４０】
○ ：ヒケの発生あるが、使用上問題なし。
【００４１】
× ：ヒケの発生があり、使用上著しく問題となる。
６．染色性
引き取り速度を変更した際に採取した混繊糸を分散染料を使用して１００℃、１１５℃、１３０℃の染色条件で染色したときの染色性を評価した。
【００４２】
◎：１００℃で必要十分な染色性が得られる。
【００４３】
○：１１５℃で必要十分な染色性が得られる。
【００４４】
× ：１３０℃で必要十分な染色性が得られる。
７．防透け性
混繊糸を使用した布帛の背後に黒色体を置き、防透け性を目視により１０人のパネラーに１０点満点で採点して貰い、下記の通り３段階で評価した。◎、○が本発明の目標レベルである。
【００４５】
実施例１
二酸化チタンを２．１ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、丸孔２４穴、六葉型（ヘキサローバル型）孔２４孔を図１３に示すように配した口金を用い、図１２のような工程により、５５００ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率２．５％、初期弾性率５４ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数１５コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００４６】
実施例２
実施例１と同一組成の二酸化チタンを２．１ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、５０００ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率３．０％、初期弾性率４５ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数１８コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００４７】
実施例３
実施例１と同一組成の二酸化チタンを２．１ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、５８５０ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率２．２％、初期弾性率６４ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数１４コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００４８】
実施例４
二酸化チタンを９．５ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、実施例１と同様に丸孔２４穴、六葉型（ヘキサローバル型）孔２４孔を図１３に示すように配した口金を用い、図１２のような工程により、５５００ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率２．５％、初期弾性率５５ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数１６コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００４９】
実施例５
二酸化チタンを１０ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、実施例１と同様に丸孔２４穴、六葉型（ヘキサローバル型）孔２４孔を図１３に示すように配した口金を用い、図１２のような工程により、５５００ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率２．４％、初期弾性率５５ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数１５コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００５０】
比較例１
実施例１と同一組成の二酸化チタンを２．１ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、６１００ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率２．０％、初期弾性率７０ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数１２コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００５１】
比較例２
実施例１と同一組成の二酸化チタンを２．１ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、４９００ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率４．５％、初期弾性率４１ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数２２コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００５２】
比較例３
二酸化チタンを１２ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、実施例１と同様に丸孔２４穴、六葉型（ヘキサローバル型）孔２４孔を図１３に示すように配した口金を用い、図１２のような工程により、５５００ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率２．４％、初期弾性率５５ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数１５コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００５３】
実施例１〜５は染色性や寸法安定性ともに優れ、防透け効果も良好なものとなった。これに対し、比較例１では紡糸時の糸切れが、多発し安定製糸できず、得られた混繊糸も毛羽が多発して使用できるまでの品位が得られなかった。一方、比較例２は、１３０℃の染色条件でようやく染色可能であり、染色性が悪く、さらに寸法安定性も悪かった。また、比較例３では紡糸時の濾圧上昇が著しく、紡糸糸切れも多発し、得られた混繊糸は毛羽も多発して使用できるまでの品位が得られなかった。
【００５４】
【表１】
【図面の簡単な説明】
【００５５】
【図１】繊維断面形状の説明図である。
【図２】凹部を有しないフィラメント糸の断面形状の一例示図である。
【図３】凹部を有しないフィラメント糸の断面形状の一例示図である。
【図４】凹部を有しないフィラメント糸の断面形状の一例示図である。
【図５】繊維断面形状の説明図である。
【図６】凹部を有するフィラメント糸の断面形状の一例示図である。
【図７】凹部を有するフィラメント糸の断面形状の一例示図である。
【図８】凹部を有するフィラメント糸の断面形状の一例示図である。
【図９】凹部を有するフィラメント糸の断面形状の一例示図である。
【図１０】本発明の混繊糸の一例を示す断面概略図である。
【図１１】本発明の混繊糸の一例を示す側面概略図である。
【図１２】本発明の混繊糸を得る方法の一例を示す工程概略図である。
【図１３】本発明で用いられる口金の一例を示す平面概略図である。
【図１４】本発明で用いられる口金の他の一例を示す平面概略図である。
【図１５】本発明で用いられる口金のさらに他の一例を示す平面概略図である。
【図１６】本発明で用いられる口金のさらに他の一例を示す平面概略図である。
【符号の説明】
【００５６】
１：口金
２：チムニー
３：給油ガイド
４：インターレースノズル
５：引き取りローラー
６：パッケージ
Ａ：２種類以上の異なる形状の紡糸孔で構成される１枚の口金
Ｂ：凹部を有しない形状の紡糸孔で構成される１枚の口金
Ｃ：３〜８個の凹部を有する形状の紡糸孔で構成される１枚の口金
【技術分野】
【０００１】
本発明は、優れた吸水性、汗処理性や防透け性を有するポリエステル混繊糸の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、延伸工程を必要としない、生産性の高い高速紡糸法で、インナー分野、スポーツ分野などに使用可能な吸水性、汗処理性、防透け性に加え、寸法安定性、および染色性の優れた布帛を作るのに適し、紡糸時の断糸、ケバなど欠点の少ない、高品位なポリエステル混繊糸の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般にポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートを構成単位とするポリエステルは、優れた力学特性、化学的性質を有することから繊維、樹脂、フィルムなどの幅広い分野にわたって利用されている。
【０００３】
ポリエステル繊維は機械的性質、化学的性質、イージーケア性などの優れた特性から一般衣料用として広く利用されている。ポリエステル繊維は吸湿、吸水性が極めて低いため、ブラウス、インナーなどに使用した際、ムレ感が生じたり、透過性があることから透けてしまうといった短所があり、さらにポリエステル繊維は極性が低く、比較的緻密な分子構造を有しているために、染色性が極めて悪いといった短所があることから、様々な方法でポリエステル繊維に吸水性や汗処理性を付与する方法や、防透け性、染色性を付与する方法が提案されている。
【０００４】
例えば、吸水性を付与させるため、ポリエチレンテレフタレートを９５％以上含有するポリエステル（Ａ成分）とアルカリ減量速度がＡ成分より高い改質ポリエステル（Ｂ成分）とからなる中空率１０〜３０％のサイドバイサイド型複合中空太細繊維糸条とする方法が提案されている（特許文献１参照）。また、同様に、波形断面で凹部の開口角θが６０°≦θ≦１６０°の範囲である凹部を２カ所以上有する扁平異形断面とする方法が提案されている（特許文献２参照）。また、透けを防止する技術として、例えば、収縮差混繊糸の高収縮率の繊維群にのみ艶消し剤を含有させ、低収縮繊維群には艶消し剤を含有させず、金属リン化合物とアルカリ土類金属化合物を含有させることにより微細孔を生じさせる方法が提案されている（特許文献３参照）。
【０００５】
しかしながら、これら混染糸の製造方法は１０００〜１５００ｍ／分の引き取り速度で紡糸し、未延伸糸として該未延伸糸を３〜４倍に延伸熱処理を行う方法や４０００ｍ／分以下の引き取り速度で紡糸、いわゆるＰＯＹとし、該ＰＯＹを１．０５〜１．５倍で延伸仮撚を行う方法であり、加熱延伸や延伸仮撚を必要とするもので、設備が必要であることから生産性や経済性が低いものである。
【０００６】
一方、ポリエステルを改質し、染色性を高める方法が知られているが（特許文献４参照）、該方法では染色性の向上は認められるものの、添加される酸化チタンは０．０５ｗｔ％であり、単一の断面形状からなるマルチフィラメント糸の製法に関するもので、防透け性には何ら触れられていない。
【特許文献１】特開平０５−２９５６３３号公報（特許請求の範囲）
【特許文献２】特開昭６２−００６９８３号公報（特許請求の範囲）
【特許文献３】特開昭６１−２７５４３４号公報（特許請求の範囲）
【特許文献４】特開平１１−１００７２２号公報（特許請求の範囲）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明の課題は、上記従来の問題点を解決しようとするものであり、吸水性や汗処理性、および防透け性に加え、寸法安定性や、染色性を兼ね備えたポリエステル混繊糸の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
前記課題を解決するため、本発明は下記の構成を採用するものである。すなわち、
（１）無機微粒子を２ｗｔ％以上〜１０ｗｔ％以下含有するポリエステルを用いて、一方が凹部を有しない断面形状のポリエステルフィラメント糸であり、他方が３〜８個の凹部を有する断面形状のポリエステルフィラメント糸で構成された混繊糸を製造するに際し、加熱処理することなく延伸し、引き取り速度５０００ｍ／分以上６０００ｍ／分以下の速度で巻き取ることを特徴とするポリエステル混繊糸の製造方法。
【０００９】
（２）無機微粒子が二酸化チタンであることを特徴とする前記（１）に記載のポリエステル混繊糸の製造方法。
【００１０】
（３）混繊糸の初期弾性率が４０〜６５ｃＮ／ｄｔｅｘ、沸騰水収縮率が１．５〜３．０％であることを特徴とする前記（１）または（２）に記載の製造方法で得られるポリエステル混繊糸。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、良好な吸水性や汗処理性、防透け性があり、さらには寸法安定性や染色性が付与された混繊糸を生産性良く提供することができる。また、本発明の方法で得られた混繊糸は、染色加工が容易で、寸法安定性に優れ、さらにはアルカリ減量処理をすることで繊維表面に凹凸構造が形成され、新規なパウダータッチなドライ感および深みのある陶器調光沢を兼ね備えた織編物を得ることができる。特に婦人服のブラウス、ワンピース、スーツの裏地などに展開すると優雅なシルエットが得られるだけでなく、原糸の断面形状のミックス効果と繊維表面の凹凸効果により、極めて優れた吸水速乾性効果を発現し、汗によるべたつき感から開放される。また、婦人服では重要なセールスポイントとなる防透け性も同時に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下に本発明についてさらに詳細に説明する。
【００１３】
最初に本発明を構成する混繊糸について説明する。本発明の混繊糸は、マルチフィラメント糸の断面形状とその複合状態の構造を特徴とし、さらに無機微粒子を２ｗｔ％以上含有したポリマを用いることを特徴とするものである。断面形状を異にするフィラメント糸が複合されてなるマルチフィラメント糸において、断面形状の種類は２種類以上であり、そのうち少なくとも１種類のフィラメント糸は凹部を有しない断面形状のフィラメント糸からなり、それ以外のフィラメント糸は３〜８個の凹部を有する断面形状のフィラメント糸を有するものである。
【００１４】
図１〜図１０は、繊維断面形状を説明する説明図である。図面を参照しながらさらに詳細に説明すると、本発明でいう凹部を有してない断面形状とは、同一断面において断面輪郭に接する接線を引いた時に、複数の接点を有しない断面形状を原則とする。上記の凹部を有しない断面形状の具体例を挙げると、円形（図１）、楕円形（図２）、おにぎり型円形（図３）や３角形以上の多角形であって比較的角に丸みを持ったもの（図４）などが挙げられる。これらには、図１に示すように、接線（Ｌ１）を引いた時に複数の接点は存在せず、１つの接点（Ｓ１）のみ存在する。
【００１５】
一方、凹部を有する断面形状とは、図５に示すように、同一断面において断面輪郭に接する接線（Ｌ２）を引いた時に、複数の接点（Ｓ２、Ｓ３）を有し、その接点間に凹部（Ｕ）を形成しており、その凹部と凹部の間に凸部が形成されている断面形状を原則とする。本発明においては、３〜８個の凹部を有する断面形状であるものを示し、対称型あるいは非対称型のいずれでもよく、凹部の大きさに特に制限されるものではない。そのような断面形状としては、たとえばＹ型（図５）、４葉型（図６）、６葉型（図７）、８葉型（図８）、櫛形（図９）などが挙げられる。これらには、図５に示すように、接線（Ｌ２）を引いた時に複数の接点（Ｓ２、Ｓ３）を有する接線が存在する。凹部を有する断面形状において、織物の風合いとして優れたドライ感を得るためには凹部が３〜６個が好ましい。
【００１６】
本発明においては、繊維間空隙が確保され、毛細管効果による吸水性、汗処理性を向上させ、さらに張りコシ感、ドレープ性も付与するうえで凹部を有するフィラメント糸の異形度を１０以上とすることが好ましい。
【００１７】
ここでいう異形度とは、図５における凹部の最も凹んだ点（Ｕ）から接線Ｓ２−Ｓ３までの距離（垂線）（Ｈ）と接点Ｓ２、Ｓ３間の距離（Ｄ）から次式（１）により算出される値である。
【００１８】
異形度＝（Ｈ／Ｄ）×１００ （１）
図１０に本発明の混繊糸の一例を示す断面概略図を示した。この図に示すように、円形（丸）断面と６葉型断面のフィラメント糸からなる混繊糸は、凹部を有する断面形状が形成する凸部（凹部と凹部の間に形成される突起状部分の）の存在と凹凸を有しない断面とがランダムに分散している。
【００１９】
本発明において、断面形状の凹凸によるザラツキ感を防ぐためには、凹部を有する断面形状のフィラメント糸と凹部を有しない断面形状のフィラメント糸の混合比率（重量比）は２０：８０〜８０：２０であることが好ましい。
【００２０】
本発明の混繊糸は、図１０の断面図、あるいは図１１の側面図に示すように、それぞれの断面形状の糸が外層および内層にランダムな状態で分散していることで、糸の表面においてそれぞれの断面形状が分散配置するので、凹部を有する断面と凹部を有しない断面との調和してサラッとしたドライ感が得られる。また、凹部を有する断面形状のフィラメント糸と凹部を有しない断面形状のフィラメント糸がランダムな状態で分散していることによって、凹部と凹部のかみ合いが起こりにくいことから嵩高性の減少を防ぎ、ふくらみ感を保持できる。
【００２１】
本発明のポリエステルとしては、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンフタレートなどが挙げられるが、中でも前者のテレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素数２〜６のアルキレングリコール成分、すなわちエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール及びヘキサメチレングリコールから選ばれた少なくとも一種のグリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを対象とする。
【００２２】
なお、このポリエステルはそのテレフタル酸成分を他の二官能性カルボン酸成分で置き換えても良い。かかるカルボン酸としては、たとえばイソフタル酸、フタル酸、ジブロモテレフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンカルボン酸、β−オキシエトキシ安息香酸の如き二官能性芳香族カルボン酸などを挙げることができる。
【００２３】
また、上記グリコール成分の一部を他のグリコール成分で置き換えてもよく、かかるグリコール成分としては例えばシクロヘキサン−１，４−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールＡ、ビスフェノールＳ、２，２−ビス〔３，５−ジブロモ−４−（２−ハイドロキシエトキシ）フェニル〕プロパンの如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオールが挙げられる。
【００２４】
さらに、上述のポリエステルに必要に応じて他のポリマを少量ブレンド溶融したもの、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸などの鎖分岐剤を少割合使用したものであっても良い。
【００２５】
本発明のポリエステルは、不透明性、アルカリ減量処理後のパウダータッチなドライ感を発揮させるために無機微粒子を２ｗｔ％以上含有させたポリエステルであることが重要である。これらを２ｗｔ％以上含むことにより、不透明性が向上し透けを防止することができ、織編物としアルカリ減量処理すると、繊維表面に凹凸構造が形成されるため、毛細管現象が促進され吸水性が向上し、かつパウダータッチな新規なドライ感および陶器調光沢を得ることができる。一方、無機微粒子の含有量が２ｗｔ％未満の場合には十分な防透け性を得ることができない上に、アルカリ減量処理後にパウダータッチなドライ感を得ることもできない。無機粒子の含有量はより好ましくは、前述の防透け性、紡糸時の濾圧上昇や曳糸性の点で２ｗｔ％以上１０ｗｔ％以下が良い。
【００２６】
本発明の無機微粒子としては、防透け性能が優れ取り扱いのしやすさ、コスト、太陽光線に対する諸機能などの点で二酸化チタンが特に好ましい。例えば、二酸化チタンには皮膚に有害な紫外線を吸収・遮蔽し、かつ暑さと感じる太陽光の可視および近赤外線領域を効率的に反射するため日射エネルギーの吸収を抑え、衣服にした時の衣服内の温度を抑える効果がある。なお、本発明の二酸化チタンとしては、繊維に二酸化チタン粒子を均一に分散させ、織編物としてアルカリ減量処理後に得られるパウダータッチなドライ感を向上させるために、平均粒径が０．５〜１．０μｍかつ最大粒径が１．０〜５．０μｍのものが好ましい。ここで示す平均粒径とは、得られた繊維を蝋で包埋させ、剃刀で長さ方向に対して垂直に切断した断面をＫＥＹＥＮＣＥ製電子顕微鏡にて１０００倍で拡大したときの単糸断面に点在している全ての無機粒子の粒子直径を測定し、平均値で示したものである。また、最大粒径とはこのときの最も大きな粒子直径を示す。このほか本発明のポリエステルは通常のポリエステルと同様にカーボンブラックなどの顔料の他、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤などが添加されても勿論良い。
【００２７】
また、それぞれの断面形状のフィラメント糸を構成するものとしては、別々の断面形状のフィラメント糸を構成するものであるが、目的を満足する範囲内で別々のポリマー種であっても良い。
【００２８】
凹部を有しない断面形状のフィラメント糸の単糸繊度Ｄ１と凹部を有する断面形状フィラメント糸の単糸繊度Ｄ２の関係は０．５≦Ｄ２／Ｄ１≦２．０が好ましく、Ｄ１、Ｄ２はいずれも１．１１ｄｔｅｘ以上１１．１１ｄｔｅｘ以下であることが良い。
【００２９】
次に、本発明の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、上記混繊糸を紡糸する際、加熱処理することなく延伸するものである。一般に、加熱処理して延伸すると、繊維非結晶部が結晶化される為、分散染料が入り込み難くなり、染色性が劣るといった問題がある。また、上記混繊糸を紡糸する際、引き取り速度は５０００ｍ／分以上６０００ｍ／分以下の速度で巻き取るものである。引き取り速度が５０００ｍ／分を下回る場合は、半延伸された、すなわちＰＯＹであり、延伸工程や仮撚工程が必要となり、生産性が低下するばかりでなく、染色性も低下してしまう。一方、引き取り速度が６０００ｍ／分を越える場合は、無機粒子が２ｗｔ％含有されていることから曳糸性が低下し、糸切れや毛羽などの問題が生じる。より好ましくは５５００ｍ／分以上５９００ｍ／分以下の速度である。紡糸工程の引き取りローラーに異なる断面形状のフィラメント糸が混繊された具体的にはたとえば、図１２に示す工程により得ることができる。
【００３０】
図１２は、少なくとも１種類が凹部を有しない形状で、それ以外の形状が３〜８個の凹部を有する形状であって、２種類以上の異なる形状の紡糸孔で構成される１枚の口金１（Ａ）から紡出された糸条を給油ガイド３で収束・給油し、その後インターレースノズル４により混繊収束し、引き取りローラー５に引き取り、さらにドラム状パッケージ６に巻き取る方法を示す。
【００３１】
生産性の観点より、少なくとも１種類が凹部を有しない形状で、それ以外の形状が３〜８個の凹部を有する形状であって、２種類以上の異なる形状の紡糸孔で構成される一枚の紡糸口金から、溶融したポリエステル重合体を紡出する方法が好ましい。
【００３２】
本発明で用いられる２種類以上の異なる形状の紡糸孔で構成される一枚の紡糸口金とは、たとえば図１３〜図１６に示すように、同心円状に窄孔されたもの（図１３）、群配列されたもの（図１４）、格子状に窄孔されたもの（図１５、図１６）などが挙げられる。なお、図中の○は凹部を有しない形状の紡糸孔、×は凹部を有する形状の紡糸孔を示す。
【００３３】
また、生産性向上の観点から、一枚の口金から複数の糸条を巻き取る方法も好ましく採用できる。
【００３４】
また、本発明の混繊複合糸の製造工程において、凹部を有する断面形状のマルチフィラメント糸と凹部を有しない断面形状のマルチフィラメント糸の混繊効果を高め、マイグレーションさせることによって本発明の効果を大きくすることができるので巻き取る前にインターレースノズルにより単糸間に交絡を付与することはさらに好ましい。また、交絡数は織編物としたときに布の表面形態の品質低下を招きやすくなることから１０〜２０コ／ｍであることが好ましい。ここで示す交絡数とは、エンタングルメント法において測定した繊維長さ１ｍ当たりに存在する交絡の数であり、同一サンプルにおいて測定回数１０回で測定した交絡の数の平均値を示す。
【００３５】
本発明で得られた混繊糸は織物に加工する際の寸法安定性の点で沸騰水収縮率は１．５〜３．０％であることが好ましい。また、編み物として使用する際のしなやかさやドレープ性を得るには、混繊糸の初期弾性率は４０ｃＮ／ｄｔｅｘ〜６５ｃＮ／ｄｔｅｘであることが好ましい。
【実施例】
【００３６】
以下、実施例を挙げて本発明を詳述するが、これら実施例のみに本発明の範囲が限定されるものではない。
１．製糸性
引き取り速度を変更した際に、各引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸したときの糸切れ回数により、下記の通り３段階で評価した。◎、○が本発明の目標レベルである。
【００３７】
◎ ：紡糸量１００００ｋｇにおける糸切れ回数が１０回以下
○ ：紡糸量１００００ｋｇにおける糸切れ回数が１５回以上２０回以下
× ：紡糸量１００００ｋｇにおける糸切れ回数が２０回以上
２．毛羽発生数
引き取り速度を変更した際に、各引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸したときの毛羽発生率を次式（２）で示し、下記の通り３段階で評価した。◎、○が本発明の目標レベルである。
毛羽発生率＝（毛羽発生製品個数／採取した製品個数）×１００（％） （２）
◎ ：毛羽発生率が９８％以上
○ ：毛羽発生率が９０％以上９８％未満
× ：毛羽発生率が８５％以上９０％未満
３．沸騰水収縮率
引き取り速度を変更した際に、各引き取り速度で得られた混繊糸をＪＩＳ Ｌ １０１３に準じ、１．１２５ｍの検尺器にて巻き数２０回のカセを作り、９８℃熱水中に３０分間浸せきした後自然乾燥させ、所定荷重をかけてカセ長を測定し収縮率を次式（３）で算出した。
【００３８】
沸騰水収縮率 ＝｛（ｌａ−ｌｂ）／ｌｂ｝×１００ （３）
ｌａ：処理前の長さ
ｌｂ：処理後の長さ
４．初期弾性率
引き取り速度を変更した際に、各引き取り速度で得られた混繊糸をＪＩＳ Ｌ１０１３（１９９９）引張強伸度特性に準じて測定した。
５．寸法安定性
引き取り速度を変更した際に、各引き取り速度で得られた混繊糸を使用し、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物に加工した後、１６０℃の仕上げセットを施した際のヒケの程度を３段階で評価した。◎、○が本発明の目標レベルである。
【００３９】
◎ ：ヒケの発生なし。
【００４０】
○ ：ヒケの発生あるが、使用上問題なし。
【００４１】
× ：ヒケの発生があり、使用上著しく問題となる。
６．染色性
引き取り速度を変更した際に採取した混繊糸を分散染料を使用して１００℃、１１５℃、１３０℃の染色条件で染色したときの染色性を評価した。
【００４２】
◎：１００℃で必要十分な染色性が得られる。
【００４３】
○：１１５℃で必要十分な染色性が得られる。
【００４４】
× ：１３０℃で必要十分な染色性が得られる。
７．防透け性
混繊糸を使用した布帛の背後に黒色体を置き、防透け性を目視により１０人のパネラーに１０点満点で採点して貰い、下記の通り３段階で評価した。◎、○が本発明の目標レベルである。
【００４５】
実施例１
二酸化チタンを２．１ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、丸孔２４穴、六葉型（ヘキサローバル型）孔２４孔を図１３に示すように配した口金を用い、図１２のような工程により、５５００ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率２．５％、初期弾性率５４ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数１５コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００４６】
実施例２
実施例１と同一組成の二酸化チタンを２．１ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、５０００ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率３．０％、初期弾性率４５ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数１８コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００４７】
実施例３
実施例１と同一組成の二酸化チタンを２．１ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、５８５０ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率２．２％、初期弾性率６４ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数１４コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００４８】
実施例４
二酸化チタンを９．５ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、実施例１と同様に丸孔２４穴、六葉型（ヘキサローバル型）孔２４孔を図１３に示すように配した口金を用い、図１２のような工程により、５５００ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率２．５％、初期弾性率５５ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数１６コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００４９】
実施例５
二酸化チタンを１０ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、実施例１と同様に丸孔２４穴、六葉型（ヘキサローバル型）孔２４孔を図１３に示すように配した口金を用い、図１２のような工程により、５５００ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率２．４％、初期弾性率５５ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数１５コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００５０】
比較例１
実施例１と同一組成の二酸化チタンを２．１ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、６１００ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率２．０％、初期弾性率７０ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数１２コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００５１】
比較例２
実施例１と同一組成の二酸化チタンを２．１ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、４９００ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率４．５％、初期弾性率４１ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数２２コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００５２】
比較例３
二酸化チタンを１２ｗｔ％含有したポリエステルを使用し、実施例１と同様に丸孔２４穴、六葉型（ヘキサローバル型）孔２４孔を図１３に示すように配した口金を用い、図１２のような工程により、５５００ｍ／分の引き取り速度で１００００ｋｇ紡糸し、７５デシテックス４８フィラメント、沸騰水収縮率２．４％、初期弾性率５５ｃＮ／ｄｔｅｘ、交絡数１５コ／ｍの延伸糸を得た。延伸糸を用いて製織し、１２０℃の液流リラックス処理、１９０℃の中間セット、アルカリ減量処理、１００℃、１１５℃、１３０℃の各染色処理、１６０℃の仕上げセットを行い、仕上げ密度をタテ８４本／２．５４ｃｍ、ヨコ７３本／２．５４ｃｍの織物を得た。表１に評価結果を示す。
【００５３】
実施例１〜５は染色性や寸法安定性ともに優れ、防透け効果も良好なものとなった。これに対し、比較例１では紡糸時の糸切れが、多発し安定製糸できず、得られた混繊糸も毛羽が多発して使用できるまでの品位が得られなかった。一方、比較例２は、１３０℃の染色条件でようやく染色可能であり、染色性が悪く、さらに寸法安定性も悪かった。また、比較例３では紡糸時の濾圧上昇が著しく、紡糸糸切れも多発し、得られた混繊糸は毛羽も多発して使用できるまでの品位が得られなかった。
【００５４】
【表１】
【図面の簡単な説明】
【００５５】
【図１】繊維断面形状の説明図である。
【図２】凹部を有しないフィラメント糸の断面形状の一例示図である。
【図３】凹部を有しないフィラメント糸の断面形状の一例示図である。
【図４】凹部を有しないフィラメント糸の断面形状の一例示図である。
【図５】繊維断面形状の説明図である。
【図６】凹部を有するフィラメント糸の断面形状の一例示図である。
【図７】凹部を有するフィラメント糸の断面形状の一例示図である。
【図８】凹部を有するフィラメント糸の断面形状の一例示図である。
【図９】凹部を有するフィラメント糸の断面形状の一例示図である。
【図１０】本発明の混繊糸の一例を示す断面概略図である。
【図１１】本発明の混繊糸の一例を示す側面概略図である。
【図１２】本発明の混繊糸を得る方法の一例を示す工程概略図である。
【図１３】本発明で用いられる口金の一例を示す平面概略図である。
【図１４】本発明で用いられる口金の他の一例を示す平面概略図である。
【図１５】本発明で用いられる口金のさらに他の一例を示す平面概略図である。
【図１６】本発明で用いられる口金のさらに他の一例を示す平面概略図である。
【符号の説明】
【００５６】
１：口金
２：チムニー
３：給油ガイド
４：インターレースノズル
５：引き取りローラー
６：パッケージ
Ａ：２種類以上の異なる形状の紡糸孔で構成される１枚の口金
Ｂ：凹部を有しない形状の紡糸孔で構成される１枚の口金
Ｃ：３〜８個の凹部を有する形状の紡糸孔で構成される１枚の口金
【特許請求の範囲】
【請求項１】
無機微粒子を２ｗｔ％以上〜１０ｗｔ％以下含有するポリエステルを用いて、一方が凹部を有しない断面形状のポリエステルフィラメント糸であり、他方が３〜８個の凹部を有する断面形状のポリエステルフィラメント糸で構成された混繊糸を製造するに際し、加熱処理することなく延伸し、引き取り速度５０００ｍ／分以上６０００ｍ／分以下の速度で巻き取ることを特徴とするポリエステル混繊糸の製造方法。
【請求項２】
無機微粒子が二酸化チタンであることを特徴とする請求項１に記載のポリエステル混繊糸の製造方法。
【請求項３】
混繊糸の初期弾性率が４０〜６５ｃＮ／ｄｔｅｘ、沸騰水収縮率が３．０％以下であることを特徴とする請求項１または２に記載の製造方法で得られるポリエステル混繊糸。
【請求項１】
無機微粒子を２ｗｔ％以上〜１０ｗｔ％以下含有するポリエステルを用いて、一方が凹部を有しない断面形状のポリエステルフィラメント糸であり、他方が３〜８個の凹部を有する断面形状のポリエステルフィラメント糸で構成された混繊糸を製造するに際し、加熱処理することなく延伸し、引き取り速度５０００ｍ／分以上６０００ｍ／分以下の速度で巻き取ることを特徴とするポリエステル混繊糸の製造方法。
【請求項２】
無機微粒子が二酸化チタンであることを特徴とする請求項１に記載のポリエステル混繊糸の製造方法。
【請求項３】
混繊糸の初期弾性率が４０〜６５ｃＮ／ｄｔｅｘ、沸騰水収縮率が３．０％以下であることを特徴とする請求項１または２に記載の製造方法で得られるポリエステル混繊糸。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【公開番号】特開２００８−８１８６１（Ｐ２００８−８１８６１Ａ）
【公開日】平成２０年４月１０日（２００８．４．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２６０９５６（Ｐ２００６−２６０９５６）
【出願日】平成１８年９月２６日（２００６．９．２６）
【出願人】（０００００３１５９）東レ株式会社 (7,677)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年４月１０日（２００８．４．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年９月２６日（２００６．９．２６）
【出願人】（０００００３１５９）東レ株式会社 (7,677)
【Ｆターム（参考）】
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