説明

ポリエーテルエステルポリオールの製造方法

【課題】脂肪酸エステルおよびZerewitinoff活性水素原子を有する開始化合物から出発するポリエーテルエステルポリオールの製造方法を提供する。
【解決手段】Zerewitinoff活性水素原子を有する開始化合物(a)を、少なくとも1つのアルキレンオキシド(b)と、第三アミンおよび所望により置換されたイミダゾールからなる群から選択される少なくとも1つのアミン(c)の存在下および少なくとも1つの脂肪酸エステル(d)の存在下に反応させることを含んでなる、第1のポリエーテルエステルポリオールの製造方法であって、(d)を、(b)の計量添加前、添加中または添加後に添加し、成分(b)の計量添加前に、第2のポリエーテルエステルポリオール(e)を、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の合計重量を基準に3.0〜20.0重量%の量で、成分(a)、(c)および所望により(d)と混合する方法によって上記課題が解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪酸エステルおよびZerewitinoff活性水素原子を有する開始化合物から出発するポリエーテルエステルポリオールの製造方法、ならびに、硬質または発泡ポリウレタン材料の製造における該ポリエーテルエステルポリオールの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能な原料に基づくポリオール、例えば、脂肪酸トリグリセリド、糖、ソルビトール、グリセロールおよび脂肪酸アルコールの二量体などが、ポリウレタンに基づく材料の製造のための出発原料として、既に様々な方法で使用されている。このような化合物の使用は、将来においてさらに増大すると予測されている。その理由は、再生可能な供給源からの生成物は、環境バランスに良い影響を有しており、それと同時に、石油化学に基づく原料の利用可能性が、中〜長期的に減少するであろうためである。
【0003】
糖、グリセロールおよびソルビトール、さらにはオリゴ糖または多糖の、他のポリエーテルまたはポリエステルポリオール(これらはポリウレタン化学において普通に使用される)中での劣った溶解性は、ポリウレタン配合物中のポリオール成分としてのこれらの増大した使用にとって妨げとなる。さらに、これらの物質は、多数のヒドロキシル基を含んでいるため、少量で使用したときであっても、非常に高いOH価をポリオール成分に与える。
【0004】
脂肪酸トリグリセリドは、再生可能な供給源から大量に得られ、従って、特許文献1の教示に従うポリウレタン原料のための有利な基礎を形成する。硬質フォームの製造のための配合物において、この種類の化合物は、炭化水素ベースの発泡剤の溶解性を大きく増大させることによって区別される。
【0005】
ペンタエリトリトール、糖、および他のオリゴ糖および多糖、および糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール)は、通常、ポリエーテルエステルポリオールの製造のための反応温度を超える融点を有するか、または融点に到達する前に分解する。このような化合物を、特許文献1の方法に従ってアルキレンオキシドによるアルコキシル化のために脂肪酸エステルと一緒に使用したときに、開始化合物がアルキレンオキシド付加段階の初期において反応混合物中に溶解するのが困難であるため、反応が始まりにくい。従って、反応器中の圧力が高くなり、反応器の安全に関する圧力限界をたやすく超えることがある。従って、反応が安全に進行することを確実にするために、アルキレンオキシドを、反応混合物に非常にゆっくりかまたは中断しながら計量導入しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1923417号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、計量導入するアルキレンオキシドを滑らかに吸収し、従ってそれを連続的に添加しうることを確実にするポリエーテルエステルポリオールの製造方法を提供することであった。特に、この方法は、通常の反応温度を超える融点を有する開始化合物(即ち100℃を超える融点を有する開始化合物)に基づくポリエーテルエステルポリオールの製造に、あるいは、通常の反応温度において分解する傾向を有する開始化合物に基づくポリエーテルエステルポリオールの製造に適しているべきである。
【0008】
アルキレンオキシドの連続計量添加は、安全に関する圧力限界を超えないように行うべきである。もちろん、これは、個々の場合に使用する装置に関する条件によって支配されるが、好ましくは、方法を1mバール〜10バールの圧力範囲内で行うのが普通であり、1mバール〜4バールの圧力範囲が特に好ましい。
【0009】
本発明のさらなる目的は、上記した目的を達成し、それと同時に、脂肪酸エステルおよびアルキレンオキシドと開始化合物との共通する反応のために先行技術から知られる方法の有利な特性を維持することであった。特に、脂肪酸エステルが、生成するポリエーテルエステルポリオール中に完全に導入されることを確実にすべきである。さらに、本発明の方法によって製造したポリエーテルエステルポリオールは、硬質ポリウレタンフォーム配合物(これを用いて、迅速脱型可能な硬質フォームを得ることができる)の製造に適しているべきである。さらに、本発明の方法によって得られるポリエーテルエステルポリオールは、炭化水素ベースの発泡剤に対するフォーム配合物の吸収能力を改善すべきである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、Zerewitinoff活性水素原子を有する開始化合物を、できるだけ完全にポリエーテルエステルポリオール中に導入するポリエーテルエステルポリオールの製造方法を提供することであった。特に、99重量%以上の開始化合物が、ポリエーテルエステルポリオール中に導入されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの態様は、Zerewitinoff活性水素原子を有する開始化合物(a)を、少なくとも1つのアルキレンオキシド(b)と、第三アミンおよび所望により置換されたイミダゾールからなる群から選択される少なくとも1つのアミン(c)の存在下および少なくとも1つの脂肪酸エステル(d)の存在下に反応させることを含んでなる、第1のポリエーテルエステルポリオールの製造方法であって、
(d)を、(b)の計量添加前、添加中または添加後に添加し、成分(b)の計量添加前に、第2のポリエーテルエステルポリオール(e)を、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の合計重量を基準に3.0〜20.0重量%の量で、成分(a)、(c)および所望により(d)と混合する方法である。
【0012】
本発明の別の態様は、(e)を、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の合計重量を基準に、3.0〜20.0重量%の量で使用する上記方法である。
本発明の別の態様は、(e)を、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の合計重量を基準に、5.0〜15.0重量%の量で使用する上記方法である。
【0013】
本発明の別の態様は、(a)が、60〜400℃の範囲内の融点を有するか、または60〜400℃の温度範囲において分解する上記方法である。
本発明の別の態様は、(a)が、80〜300℃の範囲内の融点を有するか、または80〜300℃の温度範囲において分解する上記方法である。
本発明の別の態様は、(a)が、95〜280℃の範囲内の融点を有するか、または95〜280℃の温度範囲において分解する上記方法である。
【0014】
本発明の別の態様は、(a)が、サッカロース、ペンタエリトリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ビスフェノールF、ビスフェノールA、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、ジアミノトルエンの異性体、ジアミノジフェニルメタンの異性体、ホルムアルデヒドとフェノール、メラミンまたは尿素のメチロール基含有縮合生成物、およびマンニッヒ塩基からなる群から選択される上記方法である。
【0015】
本発明の別の態様は、(b)が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、およびスチレンオキシドからなる群から選択される上記方法である。
【0016】
本発明の別の態様は、(c)が、N,N-ジメチルベンジルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノプロパノール、N-メチルジエタノールアミン、トリメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピロリジン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,4-ジメチルピペラジン、N-メチルモルホリン、未置換イミダゾール、およびアルキル置換されたイミダゾール誘導体からなる群から選択される上記方法である。
【0017】
本発明の別の態様は、(d)を、綿実油、落花生油、ヤシ油、アマニ油、パーム核油、オリーブ油、コーン油、パーム油、ヒマシ油、レスケレッラ油、ナタネ油、ダイズ油、ジャトロファ油、ヒマワリ油、ニシン油、イワシ油、または獣脂の形態で使用する上記方法である。
【0018】
本発明の別の態様は、(d)を、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸またはアカリドン酸(acharidonic acid)に基づく脂肪酸エステルの形態で使用する上記方法である。
【0019】
本発明の別の態様は、(b)の計量添加および(d)の添加を同時に行うか、または初めに(b)の計量添加を、計量導入する(b)の合計量を基準に10〜70重量%の量で行い、次いで(d)の添加を行い、次いで(b)の計量添加を、計量導入する(b)の合計量を基準に30〜90重量%の量で行う上記方法である。
【0020】
本発明の別の態様は、(e)が、150〜1150mgKOHの範囲内のOH価を有する上記方法である。
本発明の別の態様は、(e)が、200〜1000mgKOHの範囲内のOH価を有する上記方法である。
【0021】
本発明の別の態様は、第2のポリエーテルエステルポリオール(e)が、第1のポリエーテルエステルポリオールと同一である上記方法である。
本発明のさらに別の態様は、上記方法によって製造したポリエーテルエステルポリオールである。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、(1)請求項1に記載の方法によって得られた少なくとも1つのポリエーテルエステルポリオールおよび所望によりさらなるイソシアネート反応性成分、(2)少なくとも1つの有機ポリイソシアネートから、(3)所望により少なくとも1つの発泡剤の存在下に、(4)所望により少なくとも1つの触媒の存在下に、および(5)所望によりさらなる添加剤の存在下に製造した固体または発泡ポリウレタン材料である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例Fの反応初期段階の導入、圧力および温度プロフィールを示すグラフである。
【図2】実施例Gの反応初期段階の導入、圧力および温度プロフィールを示すグラフである。
【図3−a】実施例Hの反応初期段階の導入、圧力および温度プロフィールを示すグラフである。
【図3−b】実施例Hの反応初期段階の導入、圧力および温度プロフィールを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
上記した目的は、Zerewitinoff活性水素原子を有する開始化合物(a)を、少なくとも1つのアルキレンオキシド(b)と、第三アミン、未置換イミダゾールおよび置換イミダゾールからなる群から選択される少なくとも1つのアミン(c)の存在下および少なくとも1つの脂肪酸エステル(d)の存在下に反応させるポリエーテルエステルポリオールの製造方法であって、
(d)の添加を、(b)の計量添加前、添加中または添加後に行い、成分(b)の計量添加前に、ポリエーテルエステルポリオール(e)を、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の全部を基準に3.0〜20.0重量%の量で、成分(a)、(c)および所望により(d)と混合する方法によって達成される。
【0025】
(d)の添加を(b)の計量添加後に行うときには、特定量(重量による)の(d)を、常に(b)の計量添加前または添加中に添加する。
成分(d)は、一度にまたは少しずつ、即ち、2、3、4回またはそれ以上に分けて添加することができる。
【0026】
成分(e)は、好ましくは、本発明の方法によって得られるポリエーテルエステルポリオールそれ自体であるか、または欧州特許出願公開第1923417号明細書(特許文献1)に従う方法によって得られるポリエーテルエステルポリオールである。
【0027】
本発明の方法は、アルキレンオキシド(b)の迅速かつ連続的な添加を可能にし、反応器の安全に関する圧力限界を超えるために中断しなければならない計量アルキレンオキシド添加を排除する。
【0028】
ポリエーテルエステルポリオール(e)は、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の全部を基準に、好ましくは3.0〜20.0重量%の量、特に好ましくは5.0〜15.0重量%の量で使用する。
【0029】
開始化合物(a)のポリエーテルエステルポリオール(e)に対する比は、好ましくは1.0〜5.0の範囲内、特に好ましくは2.0〜5.0の範囲内である。
【0030】
開始化合物(a)は、好ましくは60〜400℃の範囲内、特に好ましくは80〜300℃の範囲内、最も特に好ましくは95〜280℃の範囲内の融点を有するか、または該化合物はこれらの温度範囲内で分解する。
【0031】
成分(a)は、好ましくは、サッカロース、ペンタエリトリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ビスフェノールF、ビスフェノールA、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、ジアミノトルエンの異性体、ジアミノジフェニルメタンの異性体、ホルムアルデヒドとフェノールまたはメラミンまたは尿素のメチロール基含有縮合生成物、ならびにマンニッヒ塩基からなる群から選択される。また、水素化デンプン加水分解生成物に基づく高官能性の開始化合物を使用することもできる。このような化合物は、例えば、欧州特許出願公開第1525244号に記載されている。また、成分(a)を、上記した化合物の混合物の形態で使用することもできる。特に好ましいのは、ソルビトールおよびサッカロースまたは成分(a)の化合物の混合物である。
【0032】
開始化合物(a)は、好ましくは2〜35の範囲内、特に好ましくは2〜8の範囲内の官能価を有する。
開始化合物(a)は、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の全部を基準に、好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%の量で使用する。
【0033】
もちろん、同時開始剤として、即ち、成分(a)に加えて存在する化合物として、Zerewitinoff活性水素原子を含む、より容易に溶融するかまたは液体の化合物を使用することもできる。その例は、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-ドデカンジオール、グリセロール、トリエタノールアミン、ヒドロキノン、ピロカテコールおよびレゾルシノールである。さらなるアミノ基含有開始剤または同時開始化合物の例は、アンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、トルイジンの異性体、ならびに、高級核生成物(ジアミノジフェニルメタンを与えるアニリンとホルムアルデヒドとの縮合において生成する)である。さらに、環式カルボン酸無水物とポリオールの開環生成物を、開始剤または同時開始化合物として使用することもできる。その例は、一方の無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸と、他方のエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-ドデカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトールまたはソルビトールの開環生成物である。開始剤または同時開始化合物を、本発明の方法において任意の混合物として使用することができる。
【0034】
N、OまたはSに結合した水素は、それが、Zerewitinoffにより発見された方法に従ってヨウ化メチルマグネシウムとの反応によってメタンを生成するときに、Zerewitinoff活性水素と称される(単に「活性水素」と称されることもある)。Zerewitinoff活性水素を有する化合物の代表例は、官能基としてカルボキシル、ヒドロキシル、アミノ、イミノまたはチオール基を含む化合物である。
【0035】
成分(b)は、好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシドおよびスチレンオキシドからなる群から選択される。成分(b)は、特に好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物である。成分(b)は、最も特に好ましくはプロピレンオキシドである。アルキレンオキシド(b)は、反応混合物に、個々に、混合物として、または連続して供給することができる。アルキレンオキシドを連続して計量導入するときには、製造したポリエーテルエステルポリオールは、ブロック構造を有するポリエーテル鎖を含んでいる。エチレンオキシドブロックを有する生成物は、例えば、より高い濃度の第一級末端基(これは、イソシアネートに対するより高い反応性を系に与える)によって特徴付けられる。使用するアルキレンオキシド(b)は、意図する最終生成物(即ち、製造するポリウレタン材料)の所望の特性に鑑みて選択する。
【0036】
アルキレンオキシド(b)は、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の全部を基準に、好ましくは5〜85重量%の量、特に好ましくは15〜75重量%の量で使用する。
【0037】
成分(c)のために使用しうるアミンの包括的な概説が、M.Ionescuら[「Advances in Urethanes Science and Technology」、1998、14、第151-218頁]により供されている。成分(c)は、好ましくは、N,N-ジメチルベンジルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノプロパノール、N-メチルジエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピロリジン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,4-ジメチルピペラジン、N-メチルモルホリン、未置換イミダゾールおよびアルキル置換イミダゾール誘導体からなる群から選択される。成分(c)は、特に好ましくは未置換イミダゾールである。成分(c)は、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の全部を基準に、200〜10,000ppmの濃度、特に好ましくは200〜5000ppmの濃度で使用する。
【0038】
好ましくは、本発明の方法における触媒として、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属カルボン酸塩またはアルカリ土類水酸化物を使用しない。本発明の方法において、第三アミン、未置換イミダゾールおよび置換イミダゾールからなる群から選択されるアミンに基づく触媒のみを使用するのが好ましい。
【0039】
本発明の範囲内において、表現「脂肪酸エステル」は、脂肪酸グリセリド、特に、1官能および多官能アルコールに基づく脂肪酸トリグリセリドおよび/または脂肪酸エステルを指す。また、上記した脂肪酸エステルの脂肪酸基は、例えばヒマシ油の場合のように、ヒドロキシル基を保持することができる。同様に、ヒドロキシル基の導入によって脂肪酸基が修飾された脂肪酸エステルを使用することもできる。このような脂肪酸基は、例えば、二重結合のエポキシ化およびその後のオキシラン環の開環(求核試薬を用いて、またはヒドロホルム化および水素化の反応順序による)によって得ることができる。同様に、不飽和脂肪酸エステルにヒドロキシル基を導入するために、比較的高温で酸素が使用されることも多い。
【0040】
先行技術において知られるあらゆるトリグリセリドを、本発明の方法において使用することができる。挙げることができる例には、綿実油、落花生油、ヤシ油、アマニ油、パーム核油、オリーブ油、コーン油、パーム油、ジャトロファ油、ヒマシ油、レスケレッラ油、ナタネ油、ダイズ油、ヒマワリ油、ニシン油、イワシ油および獣脂が含まれる。もちろん、他の1官能または多官能アルコールの脂肪酸エステル、ならびに、グリセロール1分子あたりに3つより少ない脂肪酸を有する脂肪酸グリセリドを、本発明の方法において使用することもできる。脂肪酸(トリ)グリセリドならびに他の1官能および多官能アルコールの脂肪酸エステルを、混合物の形態で使用することもできる。
【0041】
本発明の方法において、脂肪酸エステル中にヒドロキシル基を含まない脂肪酸エステルまたは脂肪酸トリグリセリド、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸またはアカリドン酸あるいはこれらの混合物のエステルまたはトリグリセリドを、成分(d)として、所望のポリエーテルエステルポリオールに好ましく変換することができる。
【0042】
特に好ましくは、ナタネ油、ダイズ油またはジャトロファ油を成分(d)として使用する。
本発明の方法において、成分(d)を、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の全部を基準に、好ましくは5〜80重量%の量、特に好ましくは20〜60重量%の量で使用する。
【0043】
ポリエーテルエステルポリオール(e)は、好ましくは150〜1150mgKOHの範囲内、特に好ましくは200〜1000mgKOHの範囲内のOH価を有する。
好ましくは、ポリエーテルエステルポリオール成分(e)は、本発明の方法によって製造するポリエーテルエステルポリオールと同じ物理的特性(即ち、同じ粘度および同じOH価)を有する。
また好ましくは、ポリエーテルエステルポリオール成分(e)は、本発明の方法によって得られるポリエーテルエステルポリオールそれ自体である。
【0044】
最初に添加した成分(a)の合計量を基準に1.0重量%までの成分(a)が、本発明の方法によって製造したポリエーテルエステルポリオール中に未反応のまま残存していてよい。
【0045】
好ましい態様において、成分(b)の計量添加および成分(d)の添加を同時に行う。
さらに好ましい態様において、初めに成分(b)の計量添加を、計量導入する成分(b)の合計量を基準に10〜70重量%の量で行い、次いで成分(d)の添加を行い、次いで成分(b)の残りの計量添加を、計量導入する成分(b)の合計量を基準に30〜90重量%の量で行う。
【0046】
好ましい態様において、本発明の方法を次のように行う。成分(a)、(c)および(e)を反応器に導入し、アルキレンオキシド(b)と、不活性ガス雰囲気下、80〜170℃の範囲内、好ましくは100〜130℃の範囲内の温度で反応させる。アルキレンオキシド(b)は、反応器に連続的に計量導入する。次いで、成分(d)の添加およびアルキレンオキシド(b)のさらなる計量添加を、不活性ガス雰囲気下、80〜170℃の温度、特に好ましくは100〜130℃の温度で行う。もちろん、アルキレンオキシド導入段階中に、反応温度を、上記の境界内で変化させることができる。高いエポキシド変換速度および低い副産物生成に関する最適を達成するために、比較的低い分子量のエポキシドの供給に高い温度を適用することができ、比較的高い分子量に比較的低い温度を適用することができ、一方、反応後の工程は、再び比較的高い温度で行うことができる。同様に、最初に感受性の開始化合物(例えばスクロースなど)を低い反応温度でアルコキシル化し、開始剤の十分な変換度が達成されたときに、比較的高い温度に変えることもできる。発熱アルキレンオキシド付加反応の温度を、冷却によって狙ったレベルに維持する。発熱反応する重合のための反応器の設計における最新技術(例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第B4巻、第167頁以降、第5版、1992を参照)によれば、通常、そのような冷却は、反応器壁(例えば、二重壁ジャケット、半パイプコイルなど)によって、さらには、反応器の内側にまたは外側の再循環ループに位置する熱移動表面、例えば、冷却コイル、冷却束、プレート-、管束-または混合-熱交換器によって供される。これらは、効率的な冷却を計量添加の開始の最初から供することができるように設計すべきである。
【0047】
一般に、反応器内容物の良好な混合を、市販の撹拌デバイスの適用および設計により、全ての反応段階において供するべきである。特に、1段階または多段階撹拌機あるいは全充填高さにわたる広範囲作用を有する撹拌機が適している(例えば、Handbuch Apparate;Vulkan-Verlag Essen、第1版、(1990)、第188-208頁を参照)。ここで、全反応器内容物を基準に通常は0.2〜5W/Lの範囲内の平均体積比混合電力入力が、比較的低い液体レベルにおいて規定通りに、および撹拌デバイスの近辺において、相応して比較的高レベルの比混合電力入力と特に関係する。最新技術に従って最適撹拌効果を達成することができるために、反応器は、バッフル(例えば、平らなまたは管状のバッフル)および冷却パイプ(または冷却束)の組合せを装備することができ、これを、反応器底部を横切って伸ばすこともできる。また、混合デバイスの混合電力を、反応器内側の液体レベルに依存して変化させて、反応の臨界相中の特に高い電力入力を供することもできる。例えば、これは、開始剤としてスクロースを用いたときに、反応の開始時に存在しうる固体成分を含有する分散液を、特に激しく混合するのに有益であろう。さらに、適する撹拌デバイスの適切な選択は、液体反応混合物中の固体開始剤の十分な分散作用を確保することを必要とする。ここで、反応器底部から近い距離において作用する混合要素ならびに液体-固体懸濁液に非常に適する混合デバイスを適用するのが好ましい。さらに、撹拌機の幾何は、例えば、計量導入後および反応相後の残留アルキレンオキシドの除去中などの反応生成物の発泡傾向を最少にするのを助けるべきである。このような場合、液体表面の連続混合を供する撹拌デバイスが適することが示された。状況に依存して、撹拌機シャフトを、規定通りに底部軸受およびさらなる側部支持軸受で支持してもよい。シャフトは、頂部または底部から駆動させてよい(シャフトの中心または偏心位置を用いて)。
【0048】
もちろん別法として、専ら熱交換器を装備した再循環ループを用いて、または撹拌機に加えてさらなる混合成分として再循環ループを操作することによって、所望の混合を達成することもできる(反応器内容物を、必要に応じて、通常は1時間あたり1〜50回再循環させる)。
【0049】
アルキレンオキシド(b)の連続計量添加は、両工程において、安全に関する圧力限界を超えないようにして行う。もちろん、これは、個々の場合に存在する装置関連の条件によって支配されるが、通常は、この過程を、1mバール〜10バールの圧力範囲で行うのが好ましく、1mバール〜4バールの圧力範囲が特に好ましい。
【0050】
特に、エチレンオキシドを含むアルキレンオキシド混合物または純粋なエチレンオキシドを導入するときには、十分な不活性ガス分圧が、反応相の開始時および連続導入段階において、反応器内側で維持されることに注意しなければならない。適する不活性ガスは、例えば、希ガスまたは窒素である。アルキレンオキシドを、反応器に異なる手段で導入することができる。反応器内側の気相への供給、または例えば反応器底部の近くに取付けた浸漬管または散布リングによって、液相の十分に混合された領域への直接供給が可能である。アルキレンオキシドのブレンドを導入する場合、それぞれのアルキレンオキシドを、別々にまたは予備ブレンドとして導入することができる。アルキレンオキシドの予備ブレンドは、例えば、接続導入ライン中に位置する混合ユニットによって行うことができる(「インライン-ブレンド」)。また、アルキレンオキシドを、予備ブレンドとしてまたは個々に、再循環ループの圧力側に導入するのも有益であることがわかった。このような場合、反応媒体との良好な混合を達成するために、高剪断混合ユニットをアルキレンオキシド/反応媒体流中に導入するのが有益であることがわかった。
【0051】
成分(b)の計量添加が完了したときに、後反応が続き、さらなる圧力低下が反応容器において観察されなくなり次第、その終点に到達する。必要なら、痕跡量の残存アルキレンオキシドを、真空工程、不活性ガス除去工程または蒸気除去工程によって後に除去することができる。
【0052】
一般に、多種多様の反応器タイプが本発明の方法に適している。通常は、高さ/直径の比が1:1〜10:1である円筒状容器が使用されている。反応器底部の幾何は、例えば、球、円錐、平面または楕円形のものであることができる。
【0053】
フェノール誘導体および/またはアミンに基づく酸化防止剤を、本発明の方法によって得られるポリエーテルエステルポリオールに添加することができる。
【0054】
本発明の方法によって得られるポリエーテルエステルポリオールは、固体または発泡ポリウレタン材料ならびにポリウレタンエラストマーの製造のための出発成分として使用することができる。これらのポリウレタン材料およびエラストマーは、イソシアヌレート、アロファネートおよびビウレット構造単位を含むこともできる。
【0055】
これらの材料を製造するために、
1.本発明に係るポリエーテルエステルポリオールを、所望によりさらなるイソシアネート反応性成分と混合し、
2.有機ポリイソシアネートと、
3.所望により発泡剤の存在下、
4.触媒の存在下、
5.所望により他の添加剤(例えば気泡安定剤など)の存在下に反応させる。
【0056】
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルカーボネートポリオール、ポリエステルカーボネートポリオール、ポリエーテルエステルカーボネートポリオールおよび/または低分子量の鎖延長剤および/または架橋剤(6〜1870mgKOH/gのOH価またはNH価を有する)を、所望により、さらなるイソシアネート反応性成分として本発明に係るポリエーテルエステルポリオールと混合することができる。
【0057】
この目的に適するポリエーテルポリオールは、例えば、触媒としてアルカリ水酸化物またはアルカリアルコラートの存在下に、および少なくとも1つの開始剤分子(これに結合した2〜8個のZerewitinoff活性水素原子を含む)を添加して、アルキレンオキシドのアニオン重合によって、あるいは、ルイス酸(例えば、五塩化アンチモンまたはフッ化ホウ素エーテラート)の存在下に、アルキレンオキシドのカチオン重合によって得ることができる。また適する触媒は、もちろん、二重金属シアニド錯体型のものであり、これらは、例えば、米国特許第3404109号、米国特許第3829505号、米国特許第3941849号、米国特許第5158922号、米国特許第5470813号、欧州特許出願公開第700949号、欧州特許出願公開第743093号、欧州特許出願公開第761708号、国際公開第97/40086号、国際公開第98/16310号および国際公開第00/47649号に記載されている。適するアルキレンオキシドならびに適する開始化合物は、既に上記パラグラフに記載した。さらに、ルイス酸重合可能な環式エーテルとしてテトラヒドロフランおよび開始剤分子として水が挙げられる。ポリエーテルポリオール、好ましくはポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオールは、好ましくは数平均分子量200〜8000Daを有する。また、適するポリエーテルポリオールは、ポリマー修飾したポリエーテルポリオール、好ましくはグラフトポリエーテルポリオール、特にスチレンおよび/またはアクリロニトリルに基づくものであり、これらは、有利には上記したポリエーテルポリオール、ならびにポリエーテルポリオール分散液(分散相として、通常は1〜50重量%、好ましくは2〜25重量%の量で、無機充填剤を含むポリウレタン、ポリ尿素、ポリヒドラジド、それに結合したtert-アミノ基、および/またはメラミンを含む)中での、アクリロニトリル、スチレン、または好ましくはスチレンとアクリロニトリルの混合物(例えば、90:10〜10:90、好ましくは70:30〜30:70の重量比)の現場重合によって製造される。
【0058】
適するポリエステルポリオールは、例えば、2〜12個の炭素原子を含む有機ジカルボン酸、および2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を含む多価アルコール、好ましくはジオールから製造することができる。ジカルボン酸として、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸が考慮される。ジカルボン酸を、個々にまたは互いとの混合物として使用することができる。遊離のジカルボン酸に代えて、対応するジカルボン酸誘導体、例えば、1〜4個の炭素原子を含むアルコールのジカルボン酸モノおよび/またはジエステルあるいはジカルボン酸無水物などを使用することもできる。好ましいのは、コハク酸、グルタル酸およびアジピン酸(例えば、20〜35/40〜60/20〜36重量部の比にある)のジカルボン酸混合物、特にアジピン酸の使用である。2価および多価アルコールの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトールである。好ましいのは、1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、または少なくとも2つの上記した多価アルコールの混合物、特にエタンジオール、1,4-ブタンジオールおよび1,6-ヘキサンジオールの混合物、グリセロールおよび/またはトリメチロールプロパンの使用である。また、ラクトン(例えばε-カプロラクトン)またはヒドロキシカルボン酸(例えばヒドロキシカプロン酸およびヒドロキシ酢酸)のポリエステルポリオールを使用することもできる。
【0059】
ポリエステルポリオールの製造のために、有機の芳香族または脂肪族ポリカルボン酸および/またはポリカルボン酸誘導体と多価アルコールを、触媒なしでまたはエステル化触媒の存在下に、有利には不活性ガス(例えば、窒素、ヘリウムまたはアルゴン)の雰囲気中、さらには150〜300℃、好ましくは180〜230℃の温度での溶融物において、所望により減圧下に、所望の酸価およびOH価に到達するまで、重縮合にかけることができる。酸価は、有利には10未満、好ましくは2.5未満である。
【0060】
好ましい製造方法によれば、エステル化混合物を、上記した温度で、80〜30、好ましくは40〜30の酸価になるまで、常圧下に、次いで500mバール未満、好ましくは1〜150mバールの圧力下で重縮合にかける。エステル化触媒として、例えば、金属、金属酸化物または金属塩の形態にある鉄、カドミウム、コバルト、鉛、亜鉛、アンチモン、マグネシウム、チタンおよびスズ触媒が考慮される。しかし、芳香族または脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの重縮合を、縮合水の共沸蒸留のための希釈剤および/または同調剤(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼンなど)の存在下に、液相中で行うこともできる。
【0061】
所望のOH価、官能価および粘度を得るために選択するジカルボン酸(誘導体)と多価アルコールの比、ならびに選択するアルコール官能価は、当業者なら簡単に決定することができる。
【0062】
適するポリカーボネートポリオールは、自体既知の種類のものであり、例えば、ジオール、例えば、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、オリゴ-テトラメチレングリコールおよび/またはオリゴ-ヘキサメチレングリコールと、ジアリールカーボネートおよび/またはジアルキルカーボネート、例えば、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ならびにα-ω-ビスクロロフォーメートまたはホスゲンとの反応によって製造することができる。
【0063】
低分子量の2官能の鎖延長剤および/または低分子量の好ましくは3官能または4官能の架橋剤を、PUR材料の機械的特性(特に硬さ)を修飾するために、本発明に従って使用するポリエーテルエステルポリオールに添加することができる。適する鎖延長剤、例えば、アルカンジオール、ジアルキレングリコールおよびポリアルキレンポリオール、ならびに架橋剤、例えば、3価または4価アルコールおよび官能価3〜4を有するオリゴマーのポリアルキレンポリオールは、通常は分子量<800、好ましくは18〜400、特に60〜300Daを有する。鎖延長剤として、2〜12個の炭素原子を含むアルカンジオール、例えば、エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、特に1,4-ブタンジオール、ならびに、4〜8個の炭素原子を含むジアルキレングリコール、例えば、ジエチレングリコールおよびジプロピレングリコール、ならびにポリオキシアルキレングリコールを使用するのが好ましい。また適するのは、通常は12個以下の炭素原子を含む分岐鎖および/または不飽和のアルカンジオール、例えば、1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ブテン-1,4-ジオールおよび2-ブチン-1,4-ジオール、テレフタル酸と2〜4個の炭素原子を含むグリコールとのジエステル、例えば、テレフタル酸ビス-エチレングリコールエステルまたはテレフタル酸ビス-1,4-ブチレングリコールエステル、ならびに、ヒドロキノンまたはレゾルシノールのヒドロキシアルキレンエーテル、例えば、1,4-ジ-(β-ヒドロキシエチル)-ヒドロキノンまたは1,3-(β-ヒドロキシエチル)-レゾルシノールである。
【0064】
また、2〜12個の炭素原子を含むアルカノールアミン、例えば、エタノールアミン、2-アミノプロパノールおよび3-アミノ-2,2-ジメチルプロパノール、N-アルキルジアルカノールアミン、例えば、N-メチル-およびN-エチル-ジエタノールアミン、2〜15個の炭素原子を含む(シクロ)脂肪族ジアミン、例えば、1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミンおよび1,6-ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,4-シクロヘキサメチレンジアミンおよび4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、N-アルキル-、N,N'-ジアルキル置換および芳香族ジアミン(これは、芳香族基が1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含むアルキル基によって、N-アルキル基において置換されていてもよい)、例えば、N,N'-ジエチル-、N,N'-ジ-sec-ペンチル-、N,N'-ジ-sec-ヘキシル-、N,N'-ジ-sec-デシル-およびN,N'-ジシクロヘキシル-、p-またはm-フェニレンジアミン、N,N'-ジメチル-、N,N'-ジエチル-、N,N'-ジイソプロピル-、N,N'-ジ-sec-ブチル-、N,N'-ジシクロヘキシル-4,4'-ジアミノ-ジフェニルメタン、N,N'-ジ-sec-ブチルベンジジン、メチレン-ビス(4-アミノ-3-安息香酸メチルエステル)、2,4-クロロ-4,4'-ジアミノ-ジフェニルメタン、2,4-および2,6-トルイレンジアミンを使用することもできる。
【0065】
適する架橋剤は、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパンまたはペンタエリトリトールである。
また、異なる鎖延長剤および架橋剤の互いとの混合物、ならびに鎖延長剤と架橋剤の混合物を使用することもできる。
【0066】
適する有機ポリイソシアネートは、例えば、W.Siefken[Justus Liebigs Annalen der Chemie、562、第75-136頁]により記載されているような、脂環式、アリール脂肪族、芳香族および複素環式ポリイソシアネートであり、例えば、式:Q(NCO)[式中、n=2〜4、好ましくは2であり、Qは、2〜18個の炭素原子、好ましくは6〜10個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、4〜15個の炭素原子、好ましくは5〜10個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基、6〜15個の炭素原子、好ましくは6〜13個の炭素原子を含む芳香族炭化水素基、または8〜15個の炭素原子、好ましくは8〜13個の炭素原子を含むアリール脂肪族炭化水素基である]で示されるものである。
【0067】
適するのは、例えば、エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,12-ドデカンジイソシアネート、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-および-1,4-ジイソシアネートならびにこれらの異性体の任意の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(独国特許第1202785号、米国特許第3401190号)、2,4-および2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネートならびにこれらの異性体の任意の混合物、ヘキサヒドロ-1,3-および-1,4-フェニレンジイソシアネート、パーヒドロ-2,4'-および-4,4'-ジフェニル-メタンジイソシアネート、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート(独国特許出願公開第19627907号)、1,4-ジュレンジイソシアネート(DDI)、4,4'-スチルベンジイソシアネート(独国特許出願公開第19628145号)、3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレンジイソシアネート(DIBDI)(独国特許出願公開第19509819号)、2,4-および2,6-トルイレンジイソシアネート(TDI)ならびにこれらの異性体の任意の所望の混合物、ジフェニルメタン-2,4'-ジイソシアネートおよび/またはジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート(MDI)またはナフチレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)である。
【0068】
また、本発明に従って適するのは、例えば、トリフェニルメタン-4,4',4''-トリイソシアネート、ポリフェニル-ポリメチレンポリイソシアネート(アニリン-ホルムアルデヒド縮合およびその後のホスゲン化によって得られ、例えば、英国特許出願公開第874430号および英国特許出願公開第848671号に記載される)、m-およびp-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート(米国特許第3454606号に記載される)、パークロロ化アリールポリイソシアネート(米国特許第3277138号に記載される)、カルボジイミド基を含むポリイソシアネート(米国特許第3152162号および独国特許出願公開第2504400号、第2537685号および第2552350号に記載される)、ノルボルナンジイソシアネート(米国特許第3492301号に記載される)、アロファネート基を含むポリイソシアネート(英国特許出願公開第994890号、ベルギー国特許第761626号およびオランダ国特許出願公開第7102524号に記載される)、イソシアヌレート基を含むポリイソシアネート(米国特許第30019731号、独国特許第1022789号、第1222067号および第1027394号、および独国特許出願公開第1929034号および第2004048号に記載される)、ウレタン基を含むポリイソシアネート(例えば、ベルギー国特許第752261号、または米国特許第3394164号および第3644457号に記載される)、アシル化尿素基を含むポリイソシアネート(独国特許第1230778号に記載される)、ビウレット基を含むポリイソシアネート(米国特許第3124605号、第3201372号および第3124605号、さらに英国特許第889050号に記載される)、短鎖重合反応によって製造されるポリイソシアネート(米国特許第3654106号に記載される)、エステル基を含むポリイソシアネート(英国特許第965474号および第1072956号、米国特許第3567763号、および独国特許第1231688号に記載される)、上記イソシアネートとアセタールとの反応生成物(独国特許第1072385号に記載される)、およびポリマー脂肪酸を含むポリイソシアネート(米国特許第3455883号に記載される)である。
【0069】
また、工業的イソシアネート製造において生成したイソシアネート基を含む蒸留残留物を使用することもできる(所望により、1つまたはそれ以上の上記ポリイソシアネートに溶解する)。さらに、上記したポリイソシアネートの任意の混合物を使用することもできる。
【0070】
好ましいのは、商業的に容易に入手することができるポリイソシアネート、例えば、2,4-および2,6-トルイレンジイソシアネートならびにこれら異性体(「TDI」)の任意の混合物、ポリフェニル-ポリメチレンポリイソシアネート(アニリン-ホルムアルデヒド縮合およびその後のホスゲン化によって得られる)(「粗MDI」)、ならびに、カルボジイミド基、ウレタン基、アロファネート基、イソシアヌレート基、尿素基またはビウレット基を含むポリイソシアネート(「修飾ポリイソシアネート」)、特に、2,4-および/または2,6-トルイレンジイソシアネートあるいは4,4'-および/または2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートから誘導される修飾ポリイソシアネートを使用することである。また、ナフチレン-1,5-ジイソシアネートおよび上記ポリイソシアネートの混合物も非常に適している。
【0071】
また、イソシアネート基を含むプレポリマーを使用することもできる。これは、本発明に従って使用するポリエーテルエステルポリオールの部分量または全量および/または本発明に従って使用するポリエーテルエステルポリオールと混合される上記イソシアネート反応性成分の部分量または全量と、TDI、MDI、DIBDI、NDI、DDIの群からの少なくとも1つの芳香族のジまたはポリイソシアネートとを、好ましくは、4,4'-MDIおよび/または2,4-TDIおよび/または1,5-NDIとを反応させて、ウレタン基、好ましくはウレタン基とイソシアネート基を含む重付加生成物を生成させることによって得られる。このような重付加生成物は、0.05〜40.0重量%のNCO含量を有する。好ましく使用する態様によれば、イソシアネート基を含むプレポリマーは、比較的高い分子量のポリヒドロキシル化合物、即ち、本発明に従って使用するポリエーテルエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールまたはポリカーボネートポリオールと、ポリイソシアネート、好ましくは、4,4'-MDI、2,4-TDIおよび/または1,5-NDIとを反応させることによって製造する。
【0072】
イソシアネート基を含むプレポリマーは、触媒の存在下に製造することができる。しかし、イソシアネート基を含むプレポリマーを触媒の不存在下に製造し、PUR材料の製造のための反応混合物に触媒を添加することもできる。
【0073】
所望により使用される発泡剤として、水を使用することができる。この水は、有機ポリイソシアネートまたはイソシアネート基を含むプレポリマーと現場で反応して、二酸化炭素とアミノ基を生成し、次いでこれがさらなるイソシアネート基とさらに反応して、尿素基を与え、これにより鎖延長剤として働く。所望の密度を達成するためにポリウレタン配合物に水を添加するときには、通常はそれを、成分1、4および5の重量を基準に、0.001〜6.0重量%の量で使用する。
【0074】
水の代わりに、または好ましくは水と組合せて、発泡剤気体または易揮発性の無機または有機物質(発熱重付加反応の影響下に蒸発し、有利には常圧下で−40〜120℃、好ましくは10〜90℃の範囲内の沸点を有する)を、物理的発泡剤として使用することもできる。有機発泡剤として、例えば、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、ハロゲン置換アルカン、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチリデン、塩化ビニリデン、モノフルオロトリクロロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、HFC、例えば、R134a、R245faおよびR365mfc、さらには未置換アルカン、例えば、ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、ヘプタン、またはジエチルエーテルを使用することができる。これらの発泡剤を、混合物として使用することもできる。適する無機発泡剤は、例えば、空気、CO2またはN2Oである。また、発泡作用を、室温を超える温度において気体(例えば、窒素および/または二酸化炭素)の遊離を伴って分解する化合物、例えばアゾ化合物、例えばアゾジカルボナミドまたはアゾイソ酪酸ニトリル、あるいは塩、例えば、重炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウムまたは有機カルボン酸のアンモニウム塩、例えば、マロン酸、ホウ酸、ギ酸または酢酸のモノアンモニウム塩の添加によって達成することもできる。発泡剤のさらなる例、発泡剤の使用に関する詳細ならびに発泡剤を選択するための基準は、R.Vieweg、A.Hoechtlen(編):「Kunststoff-Handbuch」、第VII巻、Carl-Hanser-Verlag、ミュンヘン、1966、第108頁以降、第453頁以降および第507-510頁に、ならびに、D.Randall、S.Lee(編):「The Polyurethanes Book」、John Wiley & Sons, Ltd.、London、2002、第127-136頁、第232-233頁および第261頁に記載されている。
【0075】
使用する固体発泡剤、低沸点液体または気体(これらはそれぞれ、個々にまたは混合物の形態で、例えば、液体または気体混合物の形態あるいは気体-液体混合物の形態で使用することができる)の量は、所望のPUR材料密度および水の使用量に依存する。必要な量は、実験によって容易に決定することができる。通常、満足しうる結果は、それぞれ構造成分1および2の重量を基準に、0.5〜35重量部、好ましくは2〜15重量部の固体量、1〜30重量部、好ましくは3〜18重量部の液体量、および/または、0.01〜80重量部、好ましくは10〜35重量部の気体量を用いて得られる。例えば、空気、二酸化炭素、窒素および/またはヘリウムを用いる気体導入は、配合成分1、4および5によって、またはポリイソシアネート2によって、または一方が1、4、5および他方が2によって行うことができる。
【0076】
成分4として、当業者に既知のアミン触媒、例えば第三アミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチル-モルホリン、N-エチル-モルホリン、N,N,N',N'-テトラメチル-エチレンジアミン、ペンタメチル-ジエチレン-トリアミンおよび高級同族体(独国特許出願公開第2624527号および第2624528号)、1,4-ジアザ-ビシクロ-(2,2,2)-オクタン、N-メチル-N'-ジメチルアミノエチル-ピペラジン、ビス-(ジメチルアミノアルキル)-ピペラジン(独国特許出願公開第2636787号)、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジエチルベンジルアミン、ビス-(N,N-ジエチルアミノエチル)アジペート、N,N,N',N'-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N-ジメチル-β-フェニル-エチル-アミン、ビス-(ジメチルアミノプロピル)-尿素、1,2-ジメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、単環式および二環式アミジン(独国特許出願公開第1720633号)、ビス-(ジアルキルアミノ)-アルキルエーテル(米国特許第3330782号、独国特許第1030558号、独国特許出願公開第1804361号および第2618280号)ならびにアミド基(好ましくはホルムアミド基)を有する第三アミン(独国特許出願公開第2523633号および第2732292号に記載)を使用することができる。
【0077】
また触媒として適するのは、第二アミン(例えばジメチルアミン)、およびアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)、またはケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンまたはシクロヘキサノン)およびフェノール(例えば、フェノールまたはアルキル置換フェノール)の自体既知のマンニッヒ塩基である。触媒としてイソシアネート基に対して活性な水素原子を含む第三アミンは、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチル-ジエタノールアミン、N-エチル-ジエタノールアミン、N,N-ジメチル-エタノールアミン、これらとアルキレンオキシド(例えば、プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシド)との反応生成物、さらには第二-第三アミン(独国特許出願公開第2732292号に記載)である。また触媒として、炭素-ケイ素結合を有するシラアミン(米国特許第3620984号に記載)、例えば、2,2,4-トリメチル-2-シラモルホリンおよび1,3-ジエチル-アミノメチル-テトラメチル-ジシロキサンを使用することもできる。また、窒素含有塩基、例えば水酸化テトラアルキルアンモニウム、およびヘキサヒドロトリアジンも考慮される。さらに、NCO基とzerewitinoff活性水素原子の間の反応は、ラクタムおよびアザラクタムによって相当に促進される(酸性水素を有する化合物とラクタムの間の会合が最初に形成される)。
【0078】
ポリウレタン反応の触媒としてアミンを使用する場合、アミン触媒作用を用いて本発明に従って製造したポリエーテルエステルポリオールは、触媒活性アミンを既に含んでいるであろうことに注目するのが普通である。しかし、当業者なら、なお添加すべきあらゆるアミン触媒の量を、適当な試験系列によって容易に決定することができる。
【0079】
さらに、触媒として、この目的に普通である有機金属化合物、好ましくは有機スズ化合物、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、スズ(II)アセテート、スズ(II)オクトエート、スズ(II)エチルヘキソエートおよびスズ(II)タウレート、ならびに、無機酸または有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズジアセテートおよびジブチルスズジクロリドを使用することもできる。さらに、イオウ含有化合物、例えばジ-n-オクチルスズメルカプチド(米国特許第3645927号)を使用することもできる。
【0080】
特定の方法でNCO基の三量化を触媒する触媒を、高含量のいわゆるポリ(イソシアヌレート)構造を有するポリウレタン材料(「PIRフォーム」)の製造のために使用する。このような材料の製造のために、OH基に対して相当に過剰のNCO基を含む配合物を使用するのが普通である。通常、PIRフォームは、180〜450のインデックスを用いて製造する(このインデックスは、係数100を掛けたイソシアネート基のヒドロキシ基に対する比と定義される)。イソシアヌレート構造を特徴付けるのに寄与する触媒は、金属塩、例えば酢酸カリウムまたは酢酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム、およびアミノ化合物、例えば1,3,5-トリス(3-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジンである。
【0081】
通常、触媒または触媒の組合せは、イソシアネートに対して反応性である少なくとも2個の水素原子を含む化合物の合計量を基準に、およそ0.001〜10重量%、特に0.01〜4重量%の量で使用する。
【0082】
水分および物理的または化学的に作用する発泡剤が存在しなければ、緊密なPUR材料、例えば、PURエラストマーまたはPUR注型エラストマーを製造することもできる。
【0083】
所望により、添加剤5を、緊密または発泡PUR材料の製造に使用することもできる。例えば、界面活性添加剤、例えば乳化剤、発泡安定剤、気泡調節剤、難燃剤、核形成剤、酸化抑制剤、安定剤、潤滑剤および脱型剤、着色剤、分散助剤および顔料を挙げることができる。適する乳化剤は、例えばひまし油スルホン酸ナトリウム塩または脂肪酸とアミンの塩、例えばジエチルアミンオレエートまたはジエタノールアミンステアレートである。また界面活性添加剤として、スルホン酸(例えばドデシルベンゼンスルホン酸またはジナフチルメタンジスルホン酸)、あるいは、脂肪酸(例えばリシノール酸)またはポリマー脂肪酸のアルカリまたはアンモニウム塩を使用することもできる。
【0084】
適する発泡安定剤は、特にポリエーテルシロキサンである。通常、これら化合物の構造は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーが、ポリジメチルシロキサン基に結合しているような構造である。このような発泡安定剤は、イソシアネートに対して反応性であるか、または末端OH基のエーテル化によってイソシアネートに対して非反応性にすることができる。これらは、例えば、米国特許第2834748号、第2917480号および第3629308号に記載されている。このような発泡安定剤の一般構造は、G.Oertel(編):「Kunststoff-Handbuch」、第VII巻、Carl-Hanser-Verlag、ミュンヘン、Vienna、1992、第113-115頁に示されている。特に重要なものは、アロファネート基により多数分岐しているポリシロキサン-ポリオキシアルキレンコポリマー(独国特許出願公開第2558523号に記載)である。また適するのは、他の有機ポリシロキサン、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪アルコールおよびパラフィン油、ならびに、気泡調節剤、例えばパラフィン、脂肪アルコールおよびジメチルポリシロキサンである。
【0085】
また、乳化作用、充填剤の分散、気泡構造を改善するため、および/またはその安定化のために、ポリオキシアルキレンおよびフルオロアルカン基(側鎖基として)を有するオリゴマーポリアクリレートも適している。通常、界面活性物質は、100重量部の成分1を基準に、0.01〜5重量部の量で使用する。また、反応抑制剤、例えば酸反応性物質、例えば塩酸、または有機酸および酸ハロゲン化物、ならびに、自体既知の顔料または着色剤および難燃剤、例えばリン酸トリス-(クロロエチル)、リン酸トリクレジルまたはリン酸およびポリリン酸アンモニウム、さらには老化および風化作用に対する安定剤、可塑剤、および殺菌および殺細菌作用を有する物質を添加することもできる。
【0086】
本発明に従って所望により使用する界面活性な添加剤および発泡安定剤、ならびに気泡調節剤、反応抑制剤、安定剤、難燃物質、可塑剤、着色剤および充填剤、ならびに静菌および静細菌作用を有する物質のさらなる例、ならびに、これら添加剤の使用および作用様式に関する詳細は、R.Vieweg、A.Hoechtlen(編):「Kunststoff-Handbuch」、第VII巻、Carl-Hanser-Verlag、ミュンヘン、1966、第103-113頁に記載されている。
【0087】
PUR材料の製造のために、ポリイソシアネート2中のイソシアネート基の、成分1、3、4および5中のイソシアネート反応性水素に対する比は、大きく変化することができる。0.7:1〜5:1の比が普通である。
【0088】
PUR材料は、原理的に当業者に既知である混合デバイスを用いて、文献に記載の方法、例えばワンショット法またはプレポリマー法によって製造することができる。本発明の方法によって特に有利に製造することができる高官能価のポリエーテルエステルポリオールは、ポリイソシアネートおよび物理的発泡剤(これは所望により使用される)とともに、通常の高圧または低圧加工機を用いて、特に硬質ポリウレタン断熱フォーム(これは、例えば冷凍デバイスまたは建造物の断熱に使用される)に加工することができる。本発明に係るポリエーテルエステルポリオールを、個々の成分として、または予め製造する配合物の構成成分として、混合重合体に供給することができる。
【0089】
上記した文献の全ては、その全体が全ての有用な目的のために参考として本明細書の一部を構成する。
本発明を具体化するある種の特定の構成を示しかつ説明したが、基礎をなす発明コンセプトの思想および範囲から逸脱することなく、各部分の様々な修飾および変更を為しうること、ならびに、本発明が本明細書において示しかつ説明した特定の形態に限定されないことは、当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0090】
使用した原料
ダイズ油
ダイズ油(精製品、即ち、レシチンを除去し、中和し、脱色し、蒸気除去したもの)(Sigma-Aldrich Chemie GmbH、ミュンヘンから入手)
Irganox 1076
オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート
【0091】
ポリマーアルコキシレートの製造
グリセロール(1190.2g)およびKOH水溶液(45重量%のKOHを含む)(58.8g)を、10L(リットル)オートクレーブにおいて60℃で混合した。撹拌しながら(450rpm)、圧力10mバール以下に到達するまで、真空中108℃で脱水を行った。次いで、プロピレンオキシド(4141.1g)を、全圧3バールを超えないように110℃で計量導入した。110℃で80分間の後反応時間の後、反応混合物を、同様に110℃で30分間、真空中で十分に加熱した。反応器の内容物を、80℃に冷却し、KOH水溶液(45重量%のKOHを含む)(550.8g)を加えた。圧力10mバール以下に到達するまで、真空中110℃で脱水を行った。このアルカリ性ポリマーは、アルカリ価49.6mgKOH/gおよびアルコキシレート含量12.6当量%を有していた。このアルコキシレート含量は、ポリマーアルコキシレート中の全てのzerewitinoff活性水素原子から、脱プロトン化によりKOHによって除去されたzerewitinoff活性水素原子の割合であると理解すべきである。
【0092】
実施例A(比較)
ソルビトールの水中70重量%溶液(795g)およびサッカロース(1046g)を、10Lオートクレーブに入れた。撹拌しながら圧力を徐々に低下させ、圧力10mバールが2時間にわたり維持されるまで、水を110℃で留去した。50℃に冷却した後、ダイズ油(2127.3g)およびイミダゾール(9g)を加えた。窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。温度を110℃に上げ、プロピレンオキシド(2271g)を、450rpmで撹拌しながら5.65時間にわたって計量導入した。2.58時間の後反応時間の後、生成物を、110℃で0.5時間、真空中で十分に加熱した。80℃に冷却した後、Irganox 1076(3g)を加えた。生成物のOH価は386mgKOH/gであり、25℃での粘度は23,800mPasであった。サッカロース使用量の5.1%が未反応のまま残った。
【0093】
実施例B(比較)
ソルビトールの水中70重量%溶液(796g)およびサッカロース(1048.7g)を、10Lオートクレーブに入れた。撹拌しながら圧力を徐々に低下させ、圧力10mバールが2時間にわたり維持されるまで、水を110℃で留去した。50℃に冷却した後、ダイズ油(2129.2g)およびイミダゾール(8.95g)を加えた。窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。温度を110℃に上げ、プロピレンオキシド(1135.3g)およびエチレンオキシド(1135.5g)の混合物を、450rpmで撹拌しながら5.4時間にわたって計量導入した。3.13時間の後反応時間の後、生成物を、110℃で0.5時間、真空中で十分に加熱した。80℃に冷却した後、Irganox 1076(3g)を加えた。生成物のOH価は400mgKOH/gであり、25℃での粘度は14,560mPasであった。サッカロース使用量の5.2%が未反応のまま残った。
【0094】
実施例C(比較)
ソルビトールの水中70重量%溶液(795.8g)およびサッカロース(1046.2g)を、10Lオートクレーブに入れた。撹拌しながら圧力を徐々に低下させ、圧力10mバールが2時間にわたり維持されるまで、水を110℃で留去した。50℃に冷却した後、ダイズ油(2133.9g)およびイミダゾール(9.1g)を加えた。窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。温度を110℃に上げ、プロピレンオキシド(2271g)を、450rpmで撹拌しながら13.42時間にわたって計量導入した。3.18時間の後反応時間の後、生成物を、110℃で0.5時間、真空中で十分に加熱した。80℃に冷却した後、Irganox 1076(2.977g)を加えた。生成物のOH価は407mgKOH/gであり、25℃での粘度は28,620mPasであった。サッカロース使用量の1.8%が未反応のまま残った。
【0095】
実施例D(比較)
ソルビトールの水中70重量%溶液(496.5g)およびサッカロース(1049.2g)を、10Lオートクレーブに入れた。撹拌しながら圧力を徐々に低下させ、圧力10mバールが2時間にわたり維持されるまで、水を110℃で留去した。50℃に冷却した後、ダイズ油(2135.6g)およびイミダゾール(9.1g)を加えた。窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。温度を110℃に上げ、プロピレンオキシド(1137.8g)を、9.95時間にわたって計量導入し、さらなるプロピレンオキシド(1135.5g)を、3.35時間にわたって計量導入した。撹拌機速度は450rpmであった。1.88時間の後反応時間の後、生成物を、110℃で0.5時間、真空中で十分に加熱した。80℃に冷却した後、Irganox 1076(3.005g)を加えた。生成物のOH価は383.5mgKOH/gであり、25℃での粘度は19,260mPasであった。サッカロース使用量の5.1%が未反応のまま残った。
【0096】
実施例E(比較)
ソルビトールの水中70重量%溶液(798.1g)およびサッカロース(523.8g)を、10Lオートクレーブに入れた。撹拌しながら圧力を徐々に低下させ、圧力10mバールが2時間にわたり維持されるまで、水を110℃で留去した。50℃に冷却した後、ダイズ油(2135.9g)およびイミダゾール(9g)を加えた。窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。温度を110℃に上げ、プロピレンオキシド(880g)を、450rpmで撹拌しながら5.32時間にわたって計量導入した。2.05時間の後反応時間の後、混合物を50℃に冷却し、サッカロース(523.5g)を加えた。再び空気を窒素に3回交換した後、混合物を再び110℃に加熱し、プロピレンオキシド(1391g)を、撹拌機速度450rpmで8.38時間にわたって計量導入した。2.67時間の後反応時間の後、生成物を、110℃で0.5時間、真空中で十分に加熱した。80℃に冷却した後、Irganox 1076(3.024g)を加えた。生成物のOH価は374mgKOH/gであり、25℃での粘度は18,090mPasであった。サッカロース使用量の7.02%が未反応のまま残った。
【0097】
実施例F(比較)
ソルビトールの水中70重量%溶液(719.8g)およびサッカロース(946.7g)を、10Lオートクレーブに入れた。撹拌しながら圧力を徐々に低下させ、圧力10mバールが2時間にわたり維持されるまで、水を110℃で留去した。50℃に冷却した後、イミダゾール(9.0g)を加えた。窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。温度を110℃に上げ、プロピレンオキシド(1135.5g)を、450rpmで撹拌しながら合計8.13時間にわたって計量導入した。計量導入段階の最初における劣ったプロピレンオキシド吸収のゆえに、計量プロピレンオキシド添加を2回中断しなければならなかった。1.38時間の後反応時間の後、生成物を50℃に冷却し、ダイズ油(2176.2g)を加えた。反応器を閉じた後、窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。再び110℃に加熱した後、プロピレンオキシド(1135.5g)を、450rpmで撹拌しながら6.67時間にわたって計量導入した。3.82時間の後反応時間の後、生成物を、110℃で0.5時間、真空中で十分に加熱した。80℃に冷却した後、Irganox 1076(3.006g)を加えた。生成物のOH価は383.3mgKOH/gであり、25℃での粘度は19,360mPasであった。サッカロース使用量の0.02%が未反応のまま残った。
反応初期段階の導入、圧力および温度プロフィールを図1に示す。
【0098】
実施例G
ソルビトールの水中70重量%溶液(717.5g)およびサッカロース(941.7g)を、10Lオートクレーブに入れた。撹拌しながら圧力を徐々に低下させ、圧力10mバールが2時間にわたり維持されるまで、水を110℃で留去した。50℃に冷却した後、実施例Cからの生成物(604.6g)、ダイズ油(1917.2g)およびイミダゾール(8.12g)を加えた。窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。温度を110℃に上げ、プロピレンオキシド(2043.9g)を、450rpmで撹拌しながら13.37時間にわたって計量導入した。2.88時間の後反応時間の後、生成物を、110℃で0.5時間、真空中で十分に加熱した。80℃に冷却した後、Irganox 1076(3.014g)を加えた。生成物のOH価は375mgKOH/gであり、25℃での粘度は21,100mPasであった。サッカロース使用量の0.8%が未反応のまま残った。
反応初期段階の導入、圧力および温度プロフィールを図2に示す。
【0099】
実施例H
ソルビトールの水中70重量%溶液(717.5g)およびサッカロース(941.7g)を、10Lオートクレーブに入れた。撹拌しながら圧力を徐々に低下させ、圧力10mバールが2時間にわたり維持されるまで、水を110℃で留去した。50℃に冷却した後、実施例Cからの生成物(605.6g)およびイミダゾール(8.18g)を加えた。窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。温度を110℃に上げ、プロピレンオキシド(1022.0g)を、450rpmで撹拌しながら6.77時間にわたって計量導入した。1.1時間の後反応時間の後、混合物を50℃に冷却し、ダイズ油(1920.1g)を加えた。反応器を閉じた後、窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。再び110℃に加熱した後、プロピレンオキシド(1021.9g)を、450rpmで撹拌しながら6.72時間にわたって計量導入した。2.7時間の後反応時間の後、生成物を、110℃で0.5時間、真空中で十分に加熱した。80℃に冷却した後、Irganox 1076(3.03g)を加えた。生成物のOH価は384mgKOH/gであり、25℃での粘度は20,600mPasであった。サッカロース使用量の0.02%が未反応のまま残った。
反応初期段階の導入、圧力および温度プロフィールを図3−aおよび図3−bに示す。
【0100】
実施例I
ソルビトールの水中70重量%溶液(718.8g)およびサッカロース(941.9g)を、10Lオートクレーブに入れた。撹拌しながら圧力を徐々に低下させ、圧力10mバールが2時間にわたり維持されるまで、水を110℃で留去した。50℃に冷却した後、実施例Hからの生成物(604.7g)およびイミダゾール(8.13g)を加えた。窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。温度を110℃に上げ、プロピレンオキシド(1010.0g)を、450rpmで撹拌しながら6.6時間にわたって計量導入した。1.25時間の後反応時間の後、混合物を50℃に冷却し、ダイズ油(1913.9g)を加えた。反応器を閉じた後、窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。再び110℃に加熱した後、プロピレンオキシド(1010.0g)を、450rpmで撹拌しながら7.05時間にわたって計量導入した。3時間の後反応時間の後、生成物を、110℃で0.5時間、真空中で十分に加熱した。80℃に冷却した後、Irganox 1076(3.01g)を加えた。生成物のOH価は399mgKOH/gであり、25℃での粘度は20,300mPasであった。サッカロース使用量の0.05%が未反応のまま残った。
【0101】
実施例K
ソルビトールの水中70重量%溶液(759.2g)およびサッカロース(941.8g)を、10Lオートクレーブに入れた。撹拌しながら圧力を徐々に低下させ、圧力10mバールが2時間にわたり維持されるまで、水を110℃で留去した。50℃に冷却した後、実施例Iからの生成物(300.4g)およびイミダゾール(9.02g)を加えた。窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。温度を110℃に上げ、プロピレンオキシド(1069.2g)を、450rpmで撹拌しながら6.8時間にわたって計量導入した。2.47時間の後反応時間の後、混合物を50℃に冷却し、ダイズ油(2028.4g)を加えた。反応器を閉じた後、窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。再び110℃に加熱した後、プロピレンオキシド(1069.2g)を、450rpmで撹拌しながら6.82時間にわたって計量導入した。2.4時間の後反応時間の後、生成物を、110℃で0.5時間、真空中で十分に加熱した。80℃に冷却した後、Irganox 1076(2.995g)を加えた。生成物のOH価は388.6mgKOH/gであり、25℃での粘度は19,550mPasであった。サッカロース使用量の0.18%が未反応のまま残った。
【0102】
実施例L
ソルビトールの水中70重量%溶液(758.7g)およびサッカロース(996.7g)を、10Lオートクレーブに入れた。撹拌しながら圧力を徐々に低下させ、圧力10mバールが2時間にわたり維持されるまで、水を110℃で留去した。50℃に冷却した後、実施例Kからの生成物(301.2g)およびイミダゾール(9.01g)を加えた。窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。温度を110℃に上げ、プロピレンオキシド(1073.5g)を、450rpmで撹拌しながら6.53時間にわたって計量導入した。1.33時間の後反応時間の後、混合物を50℃に冷却し、ダイズ油(2031.4g)を加えた。反応器を閉じた後、窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。再び110℃に加熱した後、プロピレンオキシド(1073.5g)を、450rpmで撹拌しながら6.55時間にわたって計量導入した。3.32時間の後反応時間の後、生成物を、110℃で0.5時間、真空中で十分に加熱した。80℃に冷却した後、Irganox 1076(3.022g)を加えた。生成物のOH価は388.0mgKOH/gであり、25℃での粘度は20,800mPasであった。サッカロース使用量の0.08%が未反応のまま残った。
【0103】
実施例M(比較)
ソルビトールの水中70重量%溶液(692.5g)およびサッカロース(909.6g)を、10Lオートクレーブに入れた。撹拌しながら圧力を徐々に低下させ、圧力10mバールが2時間にわたり維持されるまで、水を110℃で留去した。50℃に冷却した後、実施例Hからの生成物(600.3g)およびポリマーアルコキシレート(181.3g)を加えた。窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。温度を110℃に上げ、プロピレンオキシド(987.3g)を、450rpmで撹拌しながら4.08時間にわたって計量導入した。2.1時間の後反応時間の後、混合物を50℃に冷却しダイズ油(1865.2g)を加えた。反応器を閉じた後、窒素圧5バールの適用およびその後の常圧への解放を3回行うことにより、空気を窒素に交換した。再び110℃に加熱した後、プロピレンオキシド(987.3g)を、450rpmで撹拌しながら4.08時間にわたって計量導入した。6.3時間の後反応時間の後、生成物を、110℃で0.5時間、真空中で十分に加熱した。80℃に冷却した後、粗生成物(296g)を、未反応サッカロースの割合を測定するために取り出した。水中乳酸の85重量%溶液(19.94g)を、オートクレーブ中に残存する量に加え、80℃で30分間、撹拌を行った。次いで、Irganox 1076(2.996g)を加え、同様に80℃で撹拌を行った。生成物のOH価は380.5mgKOH/gであり、25℃での粘度は14,500mPasであった。糖使用量の4.55%が未反応のまま残った。
【0104】
試験結果を、以下の表1にまとめる:
【表1】

【0105】
OH価の測定は、DIN53240の記載に従って行った。粘度は、回転粘度計(Physica MCR 51、製造元:Anton Paar)を用いて測定した。未反応開始剤(サッカロース)の含量の測定は、代表試料(450rpmで撹拌しながら取り出す)をトルエンに溶解し、吸引フィルターで濾過し、濾過ケーキをアセトンで洗浄し、濾過ケーキを80℃で乾燥し、重量測定することによって行った。
【0106】
発泡例
使用した原料
通常のポリオールA
プロピレンオキシドに基づくポリエーテルポリオール;開始剤:サッカロース、エチレングリコール、プロピレングリコール;OH価:450mgKOH/g;数平均官能価:4.7
通常のポリオールB
プロピレンオキシドに基づくポリエーテルポリオール;開始剤:o-トルエンジアミン、OH価:400mgKOH/g
通常のポリオールC
プロピレンオキシドに基づくポリエーテルポリオール;開始剤:エチレンジアミン、OH価:470mgKOH/g
通常のポリオールD
プロピレンオキシドに基づくポリエーテルポリオール;開始剤:プロピレングリコール、OH価:112mgKOH/g
触媒1
ペンタメチルジプロピレンジアミン
触媒2
N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン
Tegostab B 8465
ポリエーテルポリシロキサンに基づく発泡安定剤;Degussa Goldschmidt AG、45127 Essen
【0107】
ポリオール成分の製造
ポリオールおよび添加剤を、表2に示した量(重量部)に従って混合した。
【表2】

【0108】
それぞれ100重量部の表2に示す均一ポリオール混合物を、シクロペンタンとイソペンタンの発泡剤混合物(シクロペンタン/イソペンタン比が7:3)とともに20℃で撹拌した。表3は、混濁が観察されなかった発泡剤のポリオール混合物に対する最大重量比を示す。発泡剤の溶解性が、ポリオール配合物100重量部中、発泡剤22重量部を超える場合、さらに詳しい研究は行わなかった。
【表3】

【0109】
表3の結果は、本発明または欧州特許出願公開第1923417号に従って製造していないポリオールを配合物成分として使用したときに、顕著に低下した発泡剤の溶解性が観察されることを示す。発泡剤溶解性の有意の改善を、ごく少量の本発明または欧州特許出願公開第1923417号に従うポリエーテルエステルを添加することによって達成することができる。
【0110】
発泡例
ポリオール100重量部を発泡剤(シクロペンタン/イソペンタン;その比が7:3)14重量部と混合し、これと表4に示した量のDesmodur 44 V 20 L(Bayer MaterialScience AG;イソシアネート含量が31.5重量%のポリマーMDI)とを4200rpmで6〜8秒間撹拌した。(イソシアネート基のモル数/イソシアネート反応性基のモル数)×100と定義されるインデックスは、全ての場合において113であった。寸法22cm×22cm×10cmまたは22cm×22cm×6cmの型に、反応混合物を表4に示した嵩密度で充填した。嵩密度は、別に測定した最少供給嵩密度よりも10%高くなるように選択した。厚さ10cmの型で製造した発泡体を、型中で4分間の滞留時間の後に型から取り出し、発泡体の後膨れを脱型後の30分間測定した。厚さ6cmの型で製造した発泡体から、寸法20cm×20cm×3cmの試験片を、熱伝導率の測定のために得た。熱伝導率は、発泡剤温度23℃でフォームを製造して2時間後に測定した。
【0111】
【表4】


表4の例は、大量の本発明に係るポリエーテルエステルポリオールを含むポリオール配合物を使用したときに、型中での短い滞留時間であっても、成形体の低い後膨れが確保され、かつ低い熱伝導率が達成されることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Zerewitinoff活性水素原子を有する開始化合物(a)を、少なくとも1つのアルキレンオキシド(b)と、第三アミンおよび所望により置換されたイミダゾールからなる群から選択される少なくとも1つのアミン(c)の存在下および少なくとも1つの脂肪酸エステル(d)の存在下に反応させることを含んでなる、第1のポリエーテルエステルポリオールの製造方法であって、
(d)を、(b)の計量添加前、添加中または添加後に添加し、成分(b)の計量添加前に、第2のポリエーテルエステルポリオール(e)を、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の合計重量を基準に3.0〜20.0重量%の量で、成分(a)、(c)および所望により(d)と混合する方法。
【請求項2】
(e)を、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の合計重量を基準に、3.0〜20.0重量%の量で使用する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(e)を、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の合計重量を基準に、5.0〜15.0重量%の量で使用する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(a)が、60〜400℃の範囲内の融点を有するか、または60〜400℃の温度範囲において分解する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(a)が、80〜300℃の範囲内の融点を有するか、または80〜300℃の温度範囲において分解する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
(a)が、95〜280℃の範囲内の融点を有するか、または95〜280℃の温度範囲において分解する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(a)が、サッカロース、ペンタエリトリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ビスフェノールF、ビスフェノールA、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、ジアミノトルエンの異性体、ジアミノジフェニルメタンの異性体、ホルムアルデヒドとフェノール、メラミンまたは尿素のメチロール基含有縮合生成物、およびマンニッヒ塩基からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(b)が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、およびスチレンオキシドからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
(c)が、N,N-ジメチルベンジルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノプロパノール、N-メチルジエタノールアミン、トリメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピロリジン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,4-ジメチルピペラジン、N-メチルモルホリン、未置換イミダゾール、およびアルキル置換されたイミダゾール誘導体からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(d)を、綿実油、落花生油、ヤシ油、アマニ油、パーム核油、オリーブ油、コーン油、パーム油、ヒマシ油、レスケレッラ油、ナタネ油、ダイズ油、ジャトロファ油、ヒマワリ油、ニシン油、イワシ油、または獣脂の形態で使用する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(d)を、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸またはアカリドン酸に基づく脂肪酸エステルの形態で使用する請求項1に記載の方法。
【請求項12】
(b)の計量添加および(d)の添加を同時に行うか、または初めに(b)の計量添加を、計量導入する(b)の合計量を基準に10〜70重量%の量で行い、次いで(d)の添加を行い、次いで(b)の計量添加を、計量導入する(b)の合計量を基準に30〜90重量%の量で行う請求項1に記載の方法。
【請求項13】
(e)が、150〜1150mgKOHの範囲内のOH価を有する請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(e)が、200〜1000mgKOHの範囲内のOH価を有する請求項1に記載の方法。
【請求項15】
第2のポリエーテルエステルポリオール(e)が、第1のポリエーテルエステルポリオールと同一である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法によって製造したポリエーテルエステルポリオール。
【請求項17】
ポリエーテルエステルポリオールが、最初に添加した成分(a)の量を基準に、1.0重量%までの成分(a)を含有する請求項16に記載のポリエーテルエステルポリオール。
【請求項18】
(1)請求項1に記載の方法によって得られた少なくとも1つのポリエーテルエステルポリオールおよび所望によりさらなるイソシアネート反応性成分、(2)少なくとも1つの有機ポリイソシアネートから、(3)所望により少なくとも1つの発泡剤の存在下に、(4)所望により少なくとも1つの触媒の存在下に、および(5)所望によりさらなる添加剤の存在下に製造した固体または発泡ポリウレタン材料。

【図1】
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【図2】
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【図3−a】
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【図3−b】
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【公開番号】特開2010−95721(P2010−95721A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−238002(P2009−238002)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】