説明

ポリオレフィンを主成分とする弾性メルトブローン織物

多層構造物の製法および少なくとも1層の弾性メルトブローン織物を含む多層構造体がここに開示され、該方法は、90dg/分未満のMFRを持つ、1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマー(例えば、プロピレン-α-オレフィンコポリマー)を、複数のノズルを持つ、少なくとも一つのダイを介して押出して、複数の連続する繊維を形成する工程、ここで該ダイの少なくとも一つは、3.45MPa(500psi)を越えるよう油圧力にて動作して、少なくとも一つの弾性メルトブローン織物を製造し;および該少なくとも一つの弾性メルトブローン織物を、少なくとも一つの延伸性織物と接着する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件特許出願は、2008年11月14日付で出願された、U.S.S.N. 12/271,526に基く優先権を主張するものであり、また2008年9月30日付で出願された、U.S.S.N. 61/101,341、および2009年3月4日付で出願された、U.S.S.N. 61/157,524、および2009年2月27日付で出願された、U.S.S.N. 61/156,078、および2009年4月21日付で出願された、U.S.S.N. 61/171,135に基く優先権を主張し、またその利益を得ることを請求するものである。これら特許出願の内容全てを、参考としてここに組入れる。本件特許出願は、同時に2009年9月24日付で出願された、国際特許出願第___号(代理人事件番号[2008EM290-PCT]を持つ)、国際特許出願第___号(代理人事件番号[2008EM066B-PCT]を持つ)、および国際特許出願第___号(代理人事件番号[2008EM066C-PCT]を持つ)に関連するものである。これら国際特許出願の内容全てを、参考としてここに組入れる。
【0002】
本開示は、ポリオレフィンポリマーを含む弾性メルトブローン織物(弾性メルトブローン繊維から作られた)、および該織物から作られた多層構造(物)、および該弾性メルトブローン繊維/織物および多層構造(物)の製法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
市場は、決まった型の機械的な活性化を必要としない、所望の美的諸特性を持つ、高度に弾性の、通気性不織布の開発を要求している。既存の製品は、弾性フィルムで構成される複雑な積層体であり、典型的にはブロッキング防止用フィルム上に同時押出しされたポリオレフィンスキンを持つ該弾性フィルムとしての、スチレン系ブロックコポリマー(SBC)またはポリウレタン、および適切な審美性(ソフトで、綿毛状の、クッション-様テキスチャー)を与えるための不織布、および幾つかの構造では、該不織布を該弾性フィルムの一方の側に接着するためのホットメルト接着剤層を含む。これらの型の構造は、一旦形成されると、非-弾性成分、例えば該ポリオレフィンスキン層および不織表材料層の、束縛性の影響のために、しばしば弾性を失う。
【0004】
非-弾性要素の該束縛性の影響を取り除くために、多くの複合体は、該非-弾性成分を伸張しあるいは破壊するために、機械的な伸長または活性化工程を必要とする。該機械的な伸長処理は、該束縛を解消し、また該SBCフィルムによって調節される、弾性複合体を生成する。更に、このような複合体は、これら積層体を通気性とするために、該フィルムに開口を設ける必要がある。この工程は、フィルムの破損および高いスクラップ発生率と関連する問題の発生を伴う、フィルムの制御された破壊/引裂処理を含む。
【0005】
最近、機械的な活性化を必要としないフィルム複合体が、市場において見られるようになった。これらの製品は、依然として、高度に延伸性のスパンレース処理された層を備えた、SBCフィルム層を含んでおり、該スパンレース層は、ホットメルト接着剤の薄いラインを用いて該フィルムの何れかの側に接着されている。該接着された面積間の領域は束縛されておらず、従って該フィルムが同時押出しされたスキンを持たず、しかも該不織布が延伸性かつ非-束縛性であることから、該領域は弾性である。しかし、これら製品は、通気性を持たず、接着剤の使用を必要とし、またあらゆるフィルム積層製品と同様に、製造コストが高い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
1種またはそれ以上の層を含む不織布が提供され、ここで該層の少なくとも一つは、プロピレン-エチレンコポリマーで構成される。プロピレン-エチレンコポリマー樹脂の一例は、TX州、ヒューストン(Houston)のエクソンモービルケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)からビスタマックス(Vistamaxx)樹脂として市場から入手できる。本明細書に記載される該不織布は、任意の製法、例えばその場での積層法、同時押出し法、メルトブローン法等を利用して製造することができる。該不織布は、高度に延伸性であり、例えば低い引張力の下で>300%なる極限伸び率を持つことが好ましい。
【0007】
一態様において、多層物品は、少なくとも1種の延伸性不織布および少なくとも1種の高度に弾性のメルトブローン織物で構成される。好ましくは、該多層物品は、該物品の各層を結合する、公知の接着剤を含まない。
【0008】
一態様においては、90g/分未満のMFR(「MFR」、ASTM D1238、2.16kg、230℃)を持つ、1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを含む少なくとも1層の弾性メルトブローン織物、および少なくとも1種の延伸性織物層を含む多層構造物が、ここに開示され、ここで該弾性メルトブローン織物は、500%を越える極限伸び率(ASTM D412、「極限伸び率」は、継続する引張応力を適用した際に破壊が起る点における伸び率である)を持つ。
【0009】
他の態様においては、90g/分未満のMFRを持ち、かつ75J/g未満(または40%未満の結晶性)のHf値を持つ、1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを含む、少なくとも1層の弾性メルトブローン織物と、少なくとも1つの延伸性織物層とを含む、多層構造物が、ここに開示される。
【0010】
更に別の態様においては、90dg/分未満のMFR値を持つ1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを、複数のノズルを備えた、少なくとも一つのダイを通して押出して、複数の連続繊維を製造する工程、ここで該ダイの少なくとも一つを、3.45MPa(500psi)を越える溶融圧力にて動作させて、少なくとも一つの弾性メルトブローン織物を製造し;および該少なくとも一つの弾性メルトブローン織物を、少なくとも一つの延伸性織物に接着する工程を含む、多層構造の製造方法が、ここに開示される。
【0011】
本明細書に記載する様々な説明上の要素および数値範囲は、本発明の好ましい態様を説明するために、他の説明上の要素および数値範囲と組合せることができ、更にある要素の任意の数値的上限は、好ましい態様を説明するために、同一の要素の任意の数値的下限と組合せることができる。
【0012】
図1〜14を、ここに添付する。図3〜14は、図面の番号を持たないが、連続的に3〜14なる番号である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、ここに記載する多層構造の製造に関する一態様を表しており、多数のダイおよびコレクタドラムの側面図であり、ポリオレフィンポリマーが、該多数のダイに対して対称的な配向で、該コレクタドラムの表面上を搬送されている織物上で、メルトブローン処理されている。
【図2】図2は、ここに記載する多層構造の製造に関する一態様を表しており、多数のダイおよびコレクタドラムの側面図であり、ポリオレフィンポリマーが、該多数のダイに対して対称的な配向で、該コレクタドラムの表面上を搬送されている織物上で、メルトブローン処理されている。
【図3】図3A、3B、および3Cは、室温における、例示的な多層構造物の収縮力性能に関する、負荷(0.454kg(ポンド(lb))対歪(in/in)のプロットである。
【図4】図4A、4B、および4Cは、例示的な多層構造物および公知のオムツ耳部製品の、伸張性能に関する、負荷(0.454kg(ポンド(lb))対歪(in/in)のプロットである。
【図5】図5は、例示的な多層構造物および公知の成人用失禁(AI)製品の、伸張性能に関する、負荷(0.454kg(ポンド(lb))対歪(in/in)のプロットである。
【図6】図6Aおよび6Bは、例示的な多層構造物および公知のプルアップサイドパネルの性能に関する、負荷(0.454kg(ポンド(lb))対歪(in/in)のプロットである。
【図7】図7は、例示的な多層構造物の、37.8℃(100°F)における残留伸び性能に関する、負荷(0.454kg(ポンド(lb))対歪(in/in)のプロットである。
【図8】図8A、8B、および8Cは、例示的な多層構造物の、収縮力性能に関する、負荷(0.454kg(ポンド(lb))対歪(in/in)のプロットである。
【図9】図9A、9B、および9Cは、例示的な多層構造物の、37.8℃(100°F)における応力緩和性能に関する、負荷(N)対時間(秒)のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここでは、弾性メルトブローン織物の少なくとも一つの層および少なくとも一つの延伸性織物層を含む、層構造を持つ織物(場合によりフィルムを含む)を含む多層構造物、およびこのような多層構造物の製法を記載する。該メルトブローン繊維および織物を形成する該ポリマーは、使用したポリオレフィンポリマーの比較的低いMFRの範囲によって反映されているように、比較的高い分子量を持つ。これは、所望の弾性(該織物に対する高い極限伸び)および他の材料から作られた弾性織物およびフィルムに匹敵する性能をもたらすであろう。この目的を達成するために、該弾性メルトブローン織物は、比較的高い溶融圧力(3.45MPa(500psi)を越える)にて稼働され、また平均径5μm程度の細い繊維を生成する装置を用いてメルトブローン処理される。
【0015】
本明細書において使用する用語「織物」とは、好ましくは平坦でかつ曲げることができ、あるいはまた成形性の、空気の流通を妨害するが、これを遮断することのない厚みを持つ構造物であり、該織物は、化学的な結合、溶融接着または製織(機械的な結合)によって一緒に結合され、結果として該織物を形成するような繊維から作られる。本明細書において使用する用語「繊維」とは、その長さが、その径および幅よりも著しく大きな材料であり、その平均径は、5〜250μmなる範囲にあり、また天然および/または合成物質を含む。
【0016】
「延伸性織物」は、当分野において公知であり、一例においては、例えばUS 6,506,698、US 5,921,973およびUS 5,804,286に記載されているような、延伸性の材料(例えば、ポリウレタン、スチレン系ブロックコポリマー、EVA類、ポリプロピレンホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレンおよびこれらのブレンド)から、例えばUS 5,523,141に記載されているように、織物(天然または合成)を、機械的に変形させまたは捩じることによって形成される。機械的変形により延伸性の織物を製造する際、該織物は、典型的には、様々な方向に、一般的には平行な通路内に伸びている多数の連続な繊維を含み、ここで該織物は、最初は、該通路の方向において、本質的に非-延伸性のものである。該機械的な変形は、該方向の幾分かまたは全てにおいて、該連続繊維の通路を機械的に変形し得る装置内で達成することができ、ここで該繊維の通路は、同一の総体的な方向に伸びた、整列され、局所的に平行で、屈曲した通路内で変形されて、該方向各々における該織物に延伸性を付与する。
【0017】
本明細書において使用する用語「弾性メルトブローン繊維」および「弾性メルトブローン織物」とは、ここにおいて一般的に記載され、また当分野において公知の、溶融吹込成形法により誘導される繊維および織物であり、ここで該メルトブローン繊維/織物は、1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマー、特定の一態様においては、プロピレン-α-オレフィンコポリマーを含み、該織物は、200%を越える、あるいは約300%を越える、または約400%を越える、あるいは約500%を越える、または約600%を越える極限伸び率を持つ。該「ポリオレフィンポリマー」および「プロピレン-α-オレフィンコポリマー」は、ここに記載する要素の組合せによって、択一的に記載することができる。
【0018】
本明細書において使用する用語「構造(物)」および「多層構造(物)」は、層状に形成され、また一緒に結合されて単一の積層体または複合体を形成する、2またはそれ以上の織物(および場合により付随的に1またはそれ以上のフィルム)を含む物質である。用語「結合された(bound)」、「結合している(bond)」または「接着された(adhered)」が意味するところは、2またはそれ以上の織物、または複数の繊維が、i) 溶融または溶融されていない物質の、化学的な相互作用を介する結合能力の固有の傾向および/またはii) 該溶融または溶融されていない繊維または織物が、他の材料を含む繊維と絡み合って、該繊維または織物間に結合を形成する能力によって、相互に固定されることである。
【0019】
該弾性メルトブローン繊維および織物は、1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマー、特定の一態様においては、プロピレン-α-オレフィンコポリマーを含む。このような組成物は添加剤を含むこともできる。幾つかの態様において、該弾性メルトブローン繊維および織物は、本質的に1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマー、特定の一態様においては、プロピレン-α-オレフィンコポリマーからなる。「本質的に…からなる」という表現によって意味するところは、該繊維または織物が、その質量に対して4質量%程度までの、あるいはまたこれらから製造した織物の弾性が所定の弾性率を維持(500%を越える極限伸び率)している限りにおいて、「添加剤」を含むことができることにある。他の態様において、該弾性メルトブローン繊維および織物は、該繊維または織物の質量基準で、50または60または70〜80または85または90または99質量%なる範囲内の量で、1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを含み、残部は、プロピレンホモポリマー(100質量%のプロピレン由来の単位を含む)、プロピレンコポリマー、ポリプロピレン耐衝撃性コポリマー、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンブロックコポリマー(例えば、インヒューズ(InfuseTM)オレフィンブロックコポリマー)、オイル(例えば、サンデックス(SundexTM)、エレバスツ(ElevastTM)、ケイドール(KaydolTM)、パララックス(ParaluxTM)等)およびこれらの組合せからなる群から選択される。更に他の態様において、該弾性メルトブローン繊維および織物は、該繊維または織物の質量基準で、50または60または70〜80または85または90または99質量%なる範囲内の量で、1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを含み、残部は、スチレン系ブロックコポリマー(例えば、クラトン(KratonTM)スチレン系コポリマー)、エチレン-酢酸ビニル、ウレタン、ポリエステル、プロピレンホモポリマー、プロピレンコポリマー、ポリプロピレン耐衝撃性コポリマー、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンブロックコポリマー、オイルおよびこれらの組合せからなる群から選択される。「プロピレンコポリマー」なる用語によって意味するものは、該ポリマーの質量基準で、0.01〜5質量%なる範囲の、エチレンおよびC4〜C12α-オレフィンから選択されるコモノマー由来の単位を含む、プロピレンを主成分とするポリマーである。該用語「オイル」とは、パラフィン系、ナフテン系、シリコン、鉱物およびポリオレフィン材料を含み、これらは10〜3,000cSt(ASTM D445, 100℃)なる範囲のKv100を持つ。
【0020】
本明細書で使用する用語「添加剤」とは、例えば安定化剤、界面活性剤、酸化防止剤、フィラー、着色剤、造核剤、粘着防止剤、UV-遮断剤/吸収剤、UV-開始剤(他の遊離基発生剤)、凝固剤(架橋剤および架橋促進剤)、炭化水素樹脂(例えば、オペラ(OpperaTM)樹脂)、およびスリップ剤を包含する。一次および二次酸化防止剤は、例えばヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、およびホスフェートを含む。造核剤は、例えば安息香酸ナトリウムおよびタルク、および高度に結晶性のプロピレンポリマーを含む。スリップ剤は、例えばオレアミドおよびエルカミドを含む。フィラーの例は、カーボンブラック、クレイ、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、シリケート、およびこれらの組合せを含む。その他の添加剤は、当分野において公知の、分散剤および触媒失活剤、例えばステアリン酸カルシウム、ヒドロタルサイト、および酸化カルシウム、および/または他の酸中和剤を含む。
【0021】
ポリオレフィンポリマー
ここに記載する「ポリオレフィンポリマー」は、40%未満の結晶性を持つまたは75J/g未満の融解熱(Hf)を持つα-オレフィンのホモポリマーまたはコポリマーである。該ポリオレフィンポリマーのMFRは、幾つかの態様においては、90dg/分未満である。該ポリオレフィンポリマーは、プロピレン-α-オレフィンコポリマーを記載するのに使用されるようなパラメータによって様々に記載することができ、プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、有用なポリオレフィンポリマーの特定の一態様である。好ましくは、該ポリオレフィンポリマーは、エチレンおよびC4〜C10α-オレフィン(プロピレンを主成分とするポリマー)およびC3〜C10α-オレフィン(エチレンを主成分とするポリマー)から選択されるコモノマー由来の単位を全く含まない(ホモポリマーの場合)か、または該ポリマーの質量基準で、0.1または1または2または5〜10または15または20または45質量%なる範囲の量で含む、プロピレンを主成分とするまたはエチレンを主成分とするホモポリマーまたはコポリマーである。ポリオレフィンポリマーの例は、プロピレンホモポリマー、エチレンホモポリマー、プロピレンコポリマーおよびエチレンコポリマー(例えば、LLDPE、HDPE、LDPE)を含み、これら各々は、本明細書に記載するように40%未満の結晶化度を持つ。
【0022】
特定の一態様において、該ポリオレフィンポリマーは、プロピレン-α-オレフィンコポリマーである。ここに記載する「プロピレン-α-オレフィンコポリマー」とは、プロピレン-由来の単位と、1またはそれ以上の、エチレンおよびC4〜C10α-オレフィンを由来とする単位および場合により1またはそれ以上のジエン-由来の単位を含むコポリマーであり、これらは比較的弾性でありおよび/または弾性の(500%を越える極限伸びを持つ)不織繊維および織物を生成する。該コポリマーの全体としてのコモノマー含有率は、一態様においては、5〜35質量%なる範囲にある。1種を越えるコモノマーが存在する幾つかの態様においては、特定のコモノマーの量は、5質量%未満であり得るが、併合したコモノマー含有率は、5質量%を越える。該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、任意数の異なるパラメータによって記載することができ、またこれらのパラメータは、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーについてここに記載するように、任意の望ましい上限と任意の望ましい下限とで構成される数値範囲を含むことができる。
【0023】
該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、ランダムコポリマー(そのコモノマー由来の単位は、該ポリマー主鎖に沿ってランダムに分布している)、またはブロックコポリマー(そのコモノマー由来の単位は、長い配列に沿って出現する)、あるいはこれらの任意の変形(各々の特性の幾つかを持つ)であり得る。あるコポリマーにおけるランダム性または「ブロック性」の存在は、当分野において公知の如く、また例えば18 J. Poly. Sci., Poly. Lett. ED., 389-394 (1980)に記載されているように、13C NMRによって決定することができる。
【0024】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、該コポリマーの質量基準で、5または7または8または10〜18または20または25または32または35質量%なる範囲内の、エチレンまたはC4〜C10α-オレフィンを由来とする単位(またはコモノマー由来の単位)を含む。該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、また2種の異なるコモノマー由来の単位を含むこともできる。また、これらのコポリマーおよびターポリマーは、以下において記載するようにジエン-由来の単位を含むことができる。特定の一態様においては、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、プロピレン-由来の単位およびエチレン、1-ヘキセンおよび1-オクテンから選択されるコモノマー単位を含む。また、特定の一態様においては、該コモノマーはエチレンであり、またその結果該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、プロピレン-エチレンコポリマーである。
【0025】
一態様において、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、該コポリマーまたはターポリマーの質量基準で、ジエン-由来の単位(または「ジエン」)を、10または8または5または3質量%未満の量で、また更に別の態様においては、0.1または0.5または1〜5または8または10質量%なる範囲の量で含有する。適当なジエンは、例えば1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、エチリデンノルボルネン(ENB)、ノルボルナジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、およびこれらの組合せを含む。存在する場合、該ジエンは、最も好ましくはENBである。
【0026】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、13C NMRによって測定された、75%または80%または82%または85%または90%を越える、3つのプロピレン単位のトリアド(triad)タクチシティを持つ。一態様において、該トリアドタクチシティは、50〜99%なる範囲、および別の態様においては、60〜99%なる範囲、および更に別の態様においては、75〜99%なる範囲、および更に別の態様においては、80〜99%なる範囲、および更に別の態様においては、60〜97%なる範囲内にある。該トリアドタクチシティは、以下のようにして測定される:ここでは「m/r」として表される、タクチシティインデックスは、13C核磁気共鳴(NMR)によって測定される。該タクチシティインデックスm/rは、17 MACROMOLECULES, 1950 (1984)において、H. N. Chengによって規定されたように計算される。「m」または「r」なる名称は、プロピレン基の隣接する対の立体化学を説明するものであり、「m」はメソを表し、また「r」はラセミ体を表す。1.0なる比m/rは、一般にシンジオタクチックポリマーを表し、また2.0なる比m/rは、アタクチック構造を持つ物質を表す。アイソタクチック物質は、理論的には無限に近い比を持つことができ、また多くの副生成物としてのアタクチックポリマーは、50を越える該比を与えるのに十分なアイソタクチック含有率を持つ。該プロピレン-α-オレフィンコポリマーの態様は、4または6〜8または10または12なる範囲のタクチシティインデックスm/rを持つ。
【0027】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、本明細書において説明する示差走査熱量法(DSC)手順に従って測定され、0.5または1または5J/g、乃至35または40または50または65または75J/gなる範囲内の融解熱(Hf)を持つ。幾つかの態様において、該Hfの値は、75または65または55J/g未満である。
【0028】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、0.5〜40%なる範囲、他の態様においては、1〜30%なる範囲、および更に別の態様においては、5〜25%なる範囲の%結晶化度を持ち、ここで「%結晶化度」は、ここに記載するDSC手順に従って測定される。(最高次のポリプロピレンに関する熱エネルギーは、189J/g(即ち、100%結晶化度が189J/gに等しい)であると見積もられる)。他の態様において、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、40%未満または25%未満または22%未満または20%未満の%結晶化度を持つ。
【0029】
幾つかの態様においては、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、DSCにより測定されるような、単一ピークの溶融転移点を持ち、幾つかの態様においては、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、90℃未満の主ピークの溶融転移点を持ち、約110℃を越える温度にて、広い溶融転移の終点を持つ。該ピーク「融点」(Tm)は、サンプルの融点範囲内の、最大の熱吸収温度として定義される。しかし、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、該主ピークと隣接する第二の溶融ピーク、および/または溶融転移の終点を示すが、本発明の目的にとって、このような第二の溶融ピークは、単一の融点として一緒に考慮され、これらピークの最大値が、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーのTmであると考えられる。該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、幾つかの態様においては、70未満または80℃未満または90℃未満または100℃未満または105℃未満の、ピーク融点(Tm)を有し、また他の態様においては、10℃または15℃または20℃または25℃〜65℃または75℃または80℃または95℃または105℃なる範囲内にあるピーク融点(Tm)を持つ。
【0030】
DSC測定の手順は、以下の通りである:約0.5gのポリマーを秤取り、「DSC金型」および裏シートとしてのマイラー(MylarTM)を使用して、約140-150℃にて、約381-508μm(約15-20ミル)なる厚みまで圧縮した。この圧縮したパッドを、空気中に吊るすことにより(該マイラーは除去せずに)、周囲温度まで冷却させた。該圧縮したパッドを、室温(約23-25℃)にて約8日間アニールした。この期間の終了時点において、約15-20mgの円板を、打抜きダイを用いて、該圧縮パッドから取出し、10μLのアルミニウムサンプルパン内に配置した。このサンプルを、示差走査熱量計(パーキンエルマーピリス1サーマルアナリシスシステム(Perkin Elmer Pyris 1 Thermal Analysis System))内に入れ、次いで約-100℃に冷却した。このサンプルを約10℃/分にて加熱して、約165℃なる最終温度とした。該サンプルの融点ピーク下の面積として記録された熱出力が、その融解熱の尺度であり、ポリマーのジュールパーグラム(J/g)単位で表すことができ、これは該パーキンエルマーシステムにより自動的に計算された。これら条件の下で、溶融プロフィールは二つ(2)の極大を示すが、最高温度における該極大値を、温度の関数としての、該ポリマーの増大する熱容量に関するベースライン測定値に相対的な、該サンプルの溶融範囲内の融点として採用した。
【0031】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、0.840〜0.920g/cm3なる範囲、および他の態様においては、0.845〜0.900g/cm3なる範囲、および更に別の態様においては、0.850〜0.890g/cm3なる範囲の密度を持つが、これらの値は、ASTM D-1505テスト法により室温で測定された。
【0032】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、10または20〜80または90ショアAなる範囲内のショアA硬さ(ASTM D2240)を持つ。更に別の態様において、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、500%を越えるまたは1000%を越えるまたは2000%を越える、また他の態様においては、300または400または500%〜800または1200または1800または2000または3000%なる範囲内の極限伸びを持つ。
【0033】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、20,000〜5,000,000g/モルなる範囲、および他の態様においては、50,000〜1,00,000g/モルなる範囲、および更に別の態様においては、70,000〜400,000g/モルなる範囲内の重量平均分子量(Mw)値を持つ。もう一つの態様において、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、4,500〜2,500,000g/モルなる範囲、および他の態様においては、20,000〜250,000g/モルなる範囲、および更に別の態様においては、50,000〜200,000g/モルなる範囲内の数平均分子量(Mn)値を持つ。更に別の態様において、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、20,000〜7,000,000g/モルなる範囲、および他の態様においては、100,000〜700,000g/モルなる範囲、および更に別の態様においては、140,000〜500,000g/モルなる範囲内のz-平均分子量(Mz)を持つ。
【0034】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、90または70または50または40または30または20または10dg/分未満、および他の態様においては、0.1または0.5または1または5または10〜20または30または40または50または70または90dg/分なる範囲の溶融流量(「MFR」、ASTM D1238、2.16kg、230℃)を持つ。従って、例えば該プロピレン-α-オレフィンコポリマーのMFRは、1〜50dg/分なる範囲または1〜30dg/分なる範囲にある。
【0035】
幾つかの態様において、望ましい分子量(および、結果として望ましいMFR)は、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーをビスブレーキングすることにより達成される。該「ビスブレーキングされたプロピレン-α-オレフィンコポリマー」(当分野において、「制御されたレオロジー」または「CR」としても知られている)は、ビスブレーキング剤で処理され、結果として該薬剤が、該ポリマー鎖を分解しているようなコポリマーである。ビスブレーキング剤の非-限定例は、パーオキシド、ヒドロキシラミンエステル、および他の酸化剤並びに遊離基発生剤を含む。もう一つの方法を挙げれば、該ビスブレーキングされたコポリマーは、ビスブレーキング剤と該コポリマーとの反応生成物であり得る。特に、ビスブレーキング処理されたプロピレン-α-オレフィンコポリマーは、処理前のMFR値に対して、一態様においては、少なくとも10%、およびもう一つの態様では、少なくとも20%だけそのMFR値が増大するように、ビスブレーキング剤で処理されているものである。
【0036】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーの該分子量分布(MWD)は、特定の態様においては、1.5または1.8または2.0〜3.0または3.5または4.0または5.0または10.0なる範囲内にある。該分子量(Mn、MzおよびMw)および分子量分布(MWD)を測定する技術は、以下の通りであり、またVerstate等の21 MACROMOLECULES, 3360 (1988)に記載のように行われる。ここに記載する諸条件は、公開されたテスト条件によって決定される。分子量および分子量分布は、クロマティックス(Chromatix) KMX-6オンライン光散乱光度計を備えた、ウォーターズ(Waters) 150ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定される。この装置は、135℃にて使用され、移動相として1,2,4-トリクロロベンゼンを使用した。ショーデックス(ShowdexTM)(ショーワデンコウアメリカ(Showa-Denko America)社)製のポリスチレンゲルカラム802、803、804および805を使用する。この技術は、LIQUID CHROMATOGRAPHY OF POLYMERS AND RELATED MATERIALS III 207 (J. Cazes編, マルセルデッカー(Marcel Dekker)社, 1981)において論じられている。カラム展開に関しては、何ら補正は用いなかったが、一般的に許容される基準に関するデータ、例えばナショナルビューローオブスタンダード(National Bureau of Standards)、ポリエチレン(Polyethylene, SRM 1484)およびアニオン性として作成された水添ポリイソプレン(交互エチレン-プロピレンコポリマー)は、Mw/MnまたはMz/Mwに係るこのような補正が、0.05単位未満であることを明らかにしている。Mw/Mnは、溶出時間-分子量の関係から計算され、一方Mz/Mwは、光散乱光度計を用いて評価された。これらの数値解析は、LDC/ミルトン(Milton)ロイ-リビエラビーチ(Roy-Riviera Beach), Flaから市販品として入手可能なコンピュータソフトウエアGPC2、MOLWT2を用いて実施できる。
【0037】
ここに記載する該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、ポリプロピレンを製造するための任意の触媒および/または公知の方法を利用して製造することができる。幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーは、WO 02/36651、US 6,992,158、および/またはWO 00/01745に記載の手順に従って調製されたコポリマーを含むことができる。該プロピレン-α-オレフィンコポリマーを製造するための好ましい方法は、US特許出願公開2004/0236042およびUS 6,881,800に見られる。好ましいプロピレンを主成分とするポリオレフィンポリマーは、以下のような商品名の下に市販品として入手できる:ビスタマックス(VistamaxxTM)(エクソンモービルケミカル社(ExxonMobil Chemical Company), USA, TX州,ヒューストン(Houston))およびバーシファイ(VersifyTM)(ザダウケミカル社(The Dow Chemical Company), USA, ミシガン(Michigan)州, ミッドランド(midland))、タフマー(TafmerTM) XMまたはノティオ(NotioTM)(ミツイ社(Mitsui Company),日本)の幾つかのグレード、またはソフテル(SoftellTM)(リオンデルバーゼルポリオレフィンGmbH (LyondellBasell Polyolefine GmbH) ドイツ国)。エチレンを主成分とするポリオレフィンコポリマーの市販品の例は、インヒューズ(InfuseTM)オレフィンブロックコポリマー(ダウケミカル(Dow Chemical)社製)である。
【0038】
前記繊維および織物組成物の、該「ポリオレフィンポリマー」および/または「プロピレン-α-オレフィンコポリマー」成分は、しばしば単一のポリマーとして論じられるが、この用語によって、本明細書に記載した諸特性を持つ、2またはそれ以上の異なるプロピレン-α-オレフィンコポリマーのブレンドをも意図するものとする。
【0039】
繊維、織物および構造物の製法
弾性メルトブローン織物の製造は、微細なデニールの繊維を紡ぐために、適当な溶融温度および圧力を取扱うことのできる少なくとも一つのダイを含む、溶融吹込成形装置を通して押し出すことにより、繊維を製造する必要がある。低い結晶化度を持つポリオレフィンポリマーに対する該押出し工程は、典型的には該繊維の空力的圧伸成形を伴う。ここに記載する該弾性メルトブローン織物は、90dg/分未満のMFRを持つポリオレフィンコポリマーを溶融吹込成形することのできる、当分野において公知の任意の技術によって製造することができる。該弾性メルトブローン織物は、3.45MPa(500psi)を越える溶融圧力および50〜300℃なる範囲の溶融温度にて動作でき、また平均径5μm程度の細い繊維を製造し得る装置から溶融吹込成形される。
【0040】
幾つかの態様において、該弾性繊維および織物の製造方法は、該溶融吹込成形用押出機および該装置の他の部品から、ビスブレーキング剤を排除する。「排除する」または「排除される」なる用語によって意味するところは、ビスブレーキング剤、例えばパーオキサイド、ヒドロキシラミンエステル、およびその他の弾化剤および遊離基発生剤が、該押出機または該溶融吹込成形装置内の該押出機下流側における該装置のあらゆる他の部材に添加されないことである。即ち、繊維および織物に吹込成形される該コポリマーは、該押出機内に導入され、該溶融吹込成形装置に送られる、所望のMFRを持つコポリマーである。
【0041】
ここに記載する該弾性メルトブローン織物(および該織物を形成する上記弾性繊維)を製造するための、適当な溶融吹込成形装置の例は、US 4,380,570、US 5,476,616およびR. Zhaoの「ポリオキシメチレンコポリマーの溶融吹込成形(Melt Blowing Polyoxymethylene Copolymer)」と題する、INT’L NONWOVENS J., 19-24 (夏(Summer)2005)に掲載されている論文に記載されているものである。望ましい溶融吹込成形装置は、典型的には少なくとも一つの押出機を含み、また該装置内の溶融圧力を一定に維持するためのギヤーポンプを含むことができる。該押出機は、少なくとも一つのダイブロック、またはアレイダイと結合され、結果として該押出機からのメルトは該ダイブロックに搬送される。2以上のアレイダイが存在し得る。該アレイダイは、紡糸口金を含み、また少なくとも一つの、高圧空気を該ダイの紡糸口金部分に届けるためのエアーマニホルドとも結合している。該紡糸口金は、複数の紡糸ノズルを含み、該ノズルを介して該メルトが押し出され、同時に空気圧で繊細化されて、フィラメントまたは繊維を形成する。
【0042】
本発明の多層構造物の1またはそれ以上の層を形成する該メルトブローン繊維は、溶融コポリマーを、複数の、通常は円形の、ダイキャピラリーまたは「紡糸口金」を介して、収束する、通常は高温かつ高速度の、ガス流(例えば、空気または窒素)中に、溶融糸またはフィラメントとして押出して、溶融熱可塑性材料のフィラメントを繊細化し、また繊維を生成することによって製造される。この溶融吹込成形工程中、該溶融フィラメントの径は、圧伸成形用空気によって所望のサイズまで減じられる。その後、該メルトブローン繊維は、高速ガス流によって搬送され、また捕集表面上に堆積されて、ランダムに分布するメルトブローン繊維の少なくとも一つのウエブを生成する。該メルトブローン繊維は、連続または不連続繊維であり得、また一般にその平均径は、5〜250μmなる範囲内にある。
【0043】
より詳しくは、該弾性メルトブローン織物を製造するのに有用な該溶融吹込成形法において、溶融ポリオレフィンポリマーは、一方が上部プレートであり、1またはそれ以上の一次空気ノズルを形成する、一対のエアープレート間に配置された、少なくとも一つのアレイダイに供給される。一態様において、該溶融吹込成形装置は、複数の紡糸口金ノズル(または「ノズル)」)を備えた一つのアレイダイを含み、該ノズルの密度は、20または30または40〜200または250または320孔/2.54cm(1 in)なる範囲内にある。一態様において、各ノズルは、0.039、または0.05、または0.10、または0.20、または0.23、または0.40、または0.60、または0.66〜0.80または1.00mmなる範囲内の径を持つ。一態様における、該エアープレートは、窪みを持たせた構成(recessed configuration)で取付けられ、結果的に該紡糸ノズルの先端は、該一次エアーノズルから離れた位置に置かれる。他の態様において、エアープレートは、フラッシュ構成(flush configuration)で取付けられ、そこでは該エアープレートの端部は、該紡糸ノズルの先端と同一の水平面内にある。更に別の態様において、該紡糸ノズル先端は、突出したまたは「突出た」構成にあり、結果として該紡糸ノズル先端は、該エアープレートの端部を越えて伸びている。更に、1を越える流動空気流を、該ノズル内で使用するように与えることができる。ダイまたはアレイダイを、直接的または間接的に加熱することができる。例えば、ダイまたはアレイダイは、従来の電気的な方法または加熱空気により、直接加熱することができる。
【0044】
一態様において、高温空気([一次空気])は、少なくとも該ダイ先端の各側部に位置する、該一次エアーノズルを通して供給される。該高温空気は該ダイを加熱し、また結果的に該溶融ポリマーが出て行き、冷却されるにつれて固化するポリマーによる該ダイの閉塞を防止する。該高温空気も、該メルトを圧伸成形し、あるいは繊細化して、繊維とする。周囲温度以上にある、二次または冷却空気も、該ダイヘッドを介して供給することができる。一次空気の流量は、典型的にはダイ幅2.54cm(1in)当たりかつ1分当たり、約1〜約50、または約11.14〜約33.4、または約22.3〜約26.7m3/分/m(約10〜約30、または約20〜約24標準立方フィート(SCFM/in))なる範囲内にある。幾つかの態様において、該メルトブローン法における該一次空気圧は、典型的に、該ダイの出口直前のある点において、約1406または約3516〜約7031または約10547または約14062または約21093kg/m2ゲージ(2または5〜10または15または20または30ポンドパー立方インチゲージ(psig))なる範囲内にある。一次空気温度は、典型的に、幾つかの態様において、200または230〜300または320または350℃なる範囲内にある。
【0045】
ここに記載する該弾性メルトブローン織物を製造するのに使用する該ポリオレフィンポリマーの溶融温度は、該コポリマー(および任意の他の成分)のメルトを形成するための温度より高く、かつ該ポリオレフィンポリマー(および任意の他の成分)の分解温度以下であり、また幾つかの態様においては、50または100または150℃〜250または280または300℃なる範囲内にある。更に別の態様において、該溶融温度は、150または200または220または230または250または260または270または280℃未満である。該ポリオレフィンポリマーは、3.45MPa(500psi)または5.17MPa(750psi)または6.89MPa(1,000psi)を越える、あるいは他の態様においては、3.45MPa(500psi)または5.17MPa(750psi)〜6.89MPa(1,000psi)または13.78MPa(2,000psi)なる範囲内の溶融圧力において、繊維に成形される。従って、該溶融吹込成形装置は、該プロピレン-α-オレフィンコポリマーを紡糸して、ここに記載する該織物および多層構造物にするための圧力を発生し、かつ該圧力に耐え得るものである必要がある。
【0046】
該ダイの孔1つ当たりかつ単位時間当たりに流される組成物の量で表すと、ここに記載する該組成物を用いて弾性メルトブローン織物を製造する処理量は、典型的に、0.1または0.2または0.3〜1.0または1.25または2.0または3.0g/孔/分(ghm)またはそれ以上なる範囲内にある。従って、2.54cm(1in)当たり30個の孔を持つダイについては、ポリマーの処理量は、典型的には、約1.786kg/m/時(約0.1lb/in/時(PIH))を越え、または約5.357kg/m/時(約0.3(PIH))を越え、または約17.86kg/m/時(約1.0(PIH))を越え、あるいは約17.86〜約214.3kg/m/時(約1〜約12(PIH))なる範囲、または約35.72〜約89.29kg/m/時(2〜5(PIH))または約125.0または約142.9kg/m/時(7または8(PIH))なる範囲内にある。
【0047】
このように高い温度が使用可能であることから、該ノズルから出てくる繊維を冷却し、または固化するために、実質的な量の熱を該繊維から除くことが望ましい。空気または窒素からなる低温ガスを使用して、該メルトブローン繊維の冷却および固化を促進することが可能である。特に、繊維の伸び方向に対して、交叉流動方向(直交またはある角度を持たせた方向)に流れる冷却空気は、メルトブローン繊維を冷却し、またより小径の繊維の製造を可能とする。また、追加のより低温の加圧冷却空気を使用することもでき、またこれは、該繊維のより一層迅速な冷却および固化の達成を可能とする。幾つかの態様において、第二の冷却空気流を、該繊維の繊細化のために使用することができる。空気およびアレイダイの温度、空気圧、およびポリマーの供給速度を調節することにより、該溶融吹込成形中に形成される該繊維の径を調節することができる。
【0048】
幾つかの態様において、本発明によって製造されるメルトブローン繊維は、平均径で表して、5または6または8または10〜20または50または80または100または150または200または250μmなる範囲内の径を持ち、また他の態様では、80または50または40または30または20または10または5μm未満の径を持つ。
【0049】
冷却後または冷却中に、該弾性メルトブローン繊維を捕集して、弾性メルトブローン織物を製造する。特に、該繊維は、当分野において公知の任意の望ましい装置上に集められる。該装置は、例えば移動するメッシュスクリーン、移動するベルトまたは捕集(平滑なまたはパターン化/エンボス処理された)ドラム、または該ノズル下方にあるいはこれを横切るように配置されたカレンダーロール等である。繊維形成、繊細化および冷却するための紡糸ノズルの下方に、十分な空間を与えるために、該ポリマーノズル先端と該メッシュスクリーンまたは捕集ドラムの上部との間に、約10.2cm(4 in)〜約60cm(2 ft)なる範囲の間隔を設ける必要がある。
【0050】
幾つかの態様において、該弾性メルトブローン織物は、例えばスパンボンド織物、スパンレース織物、またはこれらの組合せを含むがこれらに限定されない、1種またはそれ以上の延伸性織物上に直接形成される。これらの織物は、10または20または30〜50または80または100または150g/m2なる範囲内の坪量を持つことができる。これらの織物は、また100%または200%または500%または1,000%を越えるCDまたはMDにおける極限伸び率を持つことにより特徴付けられる。このように、多層構造物は、MS、MX、SMS、MXM、XMX、XMMX、SMXS、SMMS、SSMXS、SSMMS、SSXS、SXS、SSMMXS、SMMMS、SSMMMS、XMSMX等の構造を持つように製造することができる。ここで、「X」はスパンレース織物の層(ある構造物中の各「X」は、同一でも異なっていてもよい)を表し、「M」は本発明の弾性メルトブローン織物の層(ある構造物中の各「M」は、同一でも異なっていてもよい)を表し、また「S」はスパンボンド織物(ある構造物中の各「S」は、同一でも異なっていてもよい)を表す。幾つかの態様において、少なくとも該「M」およびその一つの隣接層は、相互に接着されており、他の態様においては、少なくとも該「M」およびその二つの隣接層は、接着されている。該弾性メルトブローン繊維と他の織物とのこのような接着が望ましい場合、上記第二の冷却空気流を、減衰させおよび/または加熱して、該メルト性能の幾分かおよび結果としての、該生成される弾性メルトブローン繊維が結合される該織物に対する、該メルトブローン繊維の結合能力を維持することができる。
【0051】
1またはそれ以上の態様において、多層構造物は、1種またはそれ以上の公知のメルトブローン織物層(C)、例えばSMCS、SMCMS、SCMCS、SSMCS等を含む。少なくとも一つの、このような多層構造物を製造する方法を、ここに記載するような、公知の溶融吹込成形装置、即ちダイ等を組込んで改善して、このような多層構造物を製造する。
【0052】
より詳しくは、多層化構造物の製造において、上記ポリオレフィンポリマーは、該製造中の弾性メルトブローン織物の下方またはその前方を通過する、スパンレース織物等の延伸性織物上に溶融吹込成形することができる。該溶融温度および該紡糸口金と該通過する延伸性織物との間の間隔は、該繊維が、該織物とこれを接触させて2または3層の構造物を形成する場合に、依然として溶融または部分的に溶融された状態を維持するように調節される。即ち、該被覆された織物は、これに接着された、該溶融または部分的に溶融された弾性メルトブローン繊維/織物を持つ。
【0053】
図1に示された、該多層構造物の製造に係る一態様においては、該溶融された弾性メルトブローン繊維を、該形成中の繊維の下方またはその前方を通過する2つの織物に対して対称的に適用し、また図2に示されたもう一つの態様においては、該溶融された弾性メルトブローン繊維を、第一の織物に適用し、次いで第二の織物を、該第一の織物の該ポリオレフィンポリマー-被覆面と接触させる。該カレンダーに対する該ダイの配向(該形成中の繊維の下またはその前方を通る該織物に対する角度)および/またはその位置(該形成中の繊維の下またはその前方を通る該織物の軸に沿った直線的な位置)は、図1および2の2つの極値間の任意の程度まで調節することができる。
【0054】
何れにしても、該ポリオレフィンポリマーで被覆した織物は、僅かな圧力を印加しつつ、加熱されていないまたは加熱された平滑なロール、加熱されていないまたは加熱されパターン化されたロール、またはこれらの2またはそれ以上の組合せ間のニップを通して通過させることができ、結果的にもう一つの延伸性構造物が該ポリオレフィンポリマー-被覆織物と接触した際に、三層構造物を生成する。ここに記載するような該多層構造物の製造法を与えることにより、幾つかの態様においては、接着剤は該構造物に実質的に存在せず、このことは、該構造物において、織物および/またはフィルム夫々の層を相互に固定するために、接着剤が使用されていないことを意味する。本明細書における定義の目的で、「接着剤」とは、当分野において公知の如く、フィルムまたは織物の2つの層を相互に固定するために使用される物質であり、該物質は織物の形状にあるわけではない。接着性物質の例は、ポリオレフィン、ポリ酢酸ビニルポリアミド、炭化水素樹脂、ワックス、天然アスファルト、スチレン系ゴム、およびこれらのブレンドを含む。
【0055】
何れにしても、本発明の多層構造物において有用な延伸性織物は、幾つかの態様においては、70%または100%または150%を越える、縦方向(MD)または横(交叉)方向(CD)の何れか、またはその両方向における、ピーク負荷における伸び率(ASTM D1682)によって特徴付けることができる。該延伸性織物は、弾性または非-弾性であり得る。「延伸性で非-弾性」とは、該層が、比較的容易にその弾性限界を越えて伸張でき、また引張応力の適用によって永続的に伸長できることを意味する。これとは対照的に、同様な量の伸びに掛けた場合に、「弾性」層は、該引張応力から解放された際に、その弾性限界内で変形または伸張し、該層は、殆ど(80%を越える)または完全に(99-100%)その元の長さを回復する。また、本発明の多層構造物において有用な該延伸性織物は、幾つかの態様においては、200%または300%または500%または1,000%を越える極限伸び率を持つことにより特徴付けられる。
【0056】
該延伸性織物は、例えばセルロース、ナイロン、ポリオレフィンテレフタレート、ポリエステル、ポリオレフィン、ビスコース、綿、アクリル系樹脂またはこれらの組合せから製造することができる。幾つかの態様において、ポリオレフィンは、該延伸性織物(例えば、延伸性スパンレース織物)中には実質的に存在せず、また別の態様では、該延伸性織物は、該延伸性織物基準で、少なくとも10または20または30または40質量%のポリオレフィンを含む。
【0057】
幾つかの態様において、ここに記載する該弾性メルトブローン織物(または多層構造物)の機械的特性は、延伸または配向工程により高めることができる。例示的な延伸/配向装置および技術は、US特許第4,368,565号、同第4,289,832号、同第4,285,100号、同第4,223,059号、同第4,153,751号、同第4,144,008号および同第4,116,892号に記載されている。これら特許各々の内容全体を、ここに参考として組入れる。
【0058】
横(または「交叉」)方向(CD)および縦方向(MD)の何れかまたは両方向において、アニール処理を、機械的な配向と組合せることができる。所望ならば、機械的な配向を、伸張力のない状態で緩和状態とする前に、短期間に渡り該ポリマー繊維の一時的な強制的伸長によって行うことができる。この溶融吹込成形法においては、該紡糸工程のみによる該MDにおける該繊維のある程度の配向が起り得る。しかし、幾つかの態様においては、追加の如何なる機械的配向または伸張も、行われない。即ち、幾つかの態様においては、ここに記載する該弾性メルトブローン織物は、低度に配向され、または全く配向されることはない。他の態様においては、配向は、CDにおいて行われるが、MDには行われない。従って、幾つかの態様において、該弾性メルトブローン織物は、20%未満、または50%未満、または80%未満、または100%未満、または125%未満のMDにおける伸びおよび100%を越える、または200%を越える、または300%を越えるCDにおける伸びを持つ。別の方法で述べると、該弾性メルトブローン織物は、0.1または0.5〜2または3または5または7または10なる範囲のCD/MD破断点伸び比を持つ。
【0059】
一態様において、該弾性繊維および織物の製造は、機械的配向処理を伴う、または伴わない、アニール段階を含む。また、アニールは、該弾性繊維から該織物を製造した後に行うこともできる。幾つかの態様において、該弾性メルトブローン繊維または織物は、50または60〜130または160℃なる範囲内の温度にてアニール処理される。該織物の熱的アニール処理は、該織物を、1秒〜1分間、好ましくは1〜10秒間という期間に渡り、上記範囲内の温度にて維持することによって行われる。該アニール期間および温度は、任意の特定のコポリマーまたはコポリマー組成物に対して調節することができる。もう一つの態様において、ここに記載する該弾性メルトブローン織物は、一段階で、低張力下でのカレンダリング中に、加熱ロール(ゴデット)によりアニールされる。他の態様においては、ここに記載する該弾性メルトブローン織物は、殆ど乃至全く後-二次加工工程を必要としない。
【0060】
幾つかの態様において、該形成中の多層構造物は、更にこれを水力学的絡み合わせ(hydroentangling)装置に通すことによって処理される。即ち、高粘度の水流を用いて、該繊維を相互に重なり合せ、また絡み合わせることにより、該弾性繊維のウエブを、相互にまたは他の隣接する織物層に結合する。該水力学的絡み合わせは、当分野において公知であり、またA.M. Seyam等による、「水力学的絡み合わせ法の変数の検討(An Examination of the Hydroentangling Process Variables)」と題するINT’L NONWOVENS J. 25-33 (春(Spring)2005)における論文において幾分詳細に説明されている。
【0061】
幾つかの態様において、他の弾性材料、例えばポリウレタン、スチレン系ブロックコポリマーおよび幾つかのポリエチレンは、織物としてあるいはフィルムとして、ここに記載する該多層構造物の1またはそれ以上の層の一部または全てを構成することができる。他の態様においては、織物層または織物層の成分としての、スチレン系ブロックコポリマーは、ここに記載する該多層構造物には、実質上存在しない。更に別の態様において、セグメントポリウレタンまたはポリウレタン類は、該多層構造物には、実質上存在しない。更に別の態様において、ポリエチレン(50質量%を越えるエチレン-由来の単位を含むポリマー)は、ここに記載する該多層構造物には、実質上存在しない。この「実質上存在しない」なる用語の意味するところは、これらの物質が、該多層構造物の如何なる層にも添加されないことである。
【0062】
例えば、多層構造物は、ポリウレタンおよび/またはスチレン系ブロックコポリマーを、弾性層または非-弾性層または弾性層および非-弾性層両者中に含むことができる。多層構造物は、2またはそれ以上の、ポリウレタンおよび/またはスチレン系ブロックコポリマーを含む弾性織物の層を含むことができる。多層構造物は、ポリウレタンおよび/またはスチレン系ブロックコポリマーを含有する、少なくとも一つの非-弾性織物層およびポリウレタンおよび/またはスチレン系ブロックコポリマーを含有する、少なくとも一つの弾性織物層を含むことができる。場合により、ポリウレタンおよび/またはスチレン系ブロックコポリマーを含有するこのような層は、1またはそれ以上の追加のポリマーを含むことができる。
【0063】
何れにしても、ここに記載する該多層構造物の幾つかの態様において、該弾性メルトブローン織物の約6.45cm2(in2)当たりの連続繊維の数(繊維密度)は、20または40または50〜100または500繊維/6.45cm2(in2)なる範囲内にある。また、幾つかの態様においては、該弾性メルトブローン織物は、繊維の最大径が、該繊維の最小径の10または15または20倍であるような繊維を含む。
【0064】
1またはそれ以上の態様において、100〜160g/m2なる範囲の坪量を持つ多層構造物は、以下の諸特徴の1またはそれ以上を呈する:
・15%/10%未満または20%/10%未満または30%/10%未満または40%/10%未満または30%/20%未満の%残留歪(第一サイクル/第二サイクル);
・少なくとも約1.786kgw/m(0.1 lbf/in)または少なくとも約2.679kgw/m(0.15 lbf/in)または少なくとも約3.572kgw/m(0.2 lbf/in)または少なくとも約5.358kgw/m(0.3 lbf/in)または少なくとも約7.144kgw/m(0.4 lbf/in)または少なくとも約8.930kgw/m(0.5 lbf/in)なる、50%におけるにおける収縮力(lbf/in);
・0.5 lbs/in未満または1.0 lbs/in未満または2.0 lbs/in未満または3.0 lbs/in未満または3.5 lbs/in未満または3.75 lbs/in未満または4.0 lbs/in未満または4.25 lbs/in未満または4.5 lbs/in未満または4.75 lbs/in未満または5.0 lbs/in未満なるピーク負荷(lbs/in)(第一サイクル);
・少なくとも50または少なくとも70または少なくとも90または少なくとも110または少なくとも140または少なくとも145または少なくとも150または少なくとも155または少なくとも160または少なくとも170または少なくとも180または少なくとも200のピーク力MD(N);
・少なくとも60または少なくとも65または少なくとも70または少なくとも75または少なくとも80または少なくとも85または少なくとも90または少なくとも100なるピーク力CD(N);
・少なくとも90または少なくとも100または少なくとも110または少なくとも120または少なくとも130または少なくとも140の破断点伸びMD(%)(ASTM D412);
・少なくとも250または少なくとも275または少なくとも300または少なくとも325または少なくとも350または少なくとも375の破断点伸びCD(%)(ASTM D412)。
【0065】
該多層構造物は、任意数の物品、特に吸収性物品または衛生用物品の製造のために、あるいはこれら物品の一部として使用できる。幾つかの態様において、該多層構造物を含む該物品は、幼児用オムツ、プルアップ、トレーニングパンツ、衛生用クロージャー系(例えば、弾性ウインドイヤ(winds ears)またはタブ)、成人用失禁防止ブリーフおよびオムツ、パンティーライナー、生理用ナプキン、医療用被服、および包帯である。
【0066】
従来の多層物品およびその製法は、EP 1 712 351 A、US 4,380,570、US 5,476,616、US 5,804,286、US 5,921,973、US 6,342,565、US 6,417,121、US 6,444,774、US 6,506,698、US 2003/0125696、US 2005/0130544 A1、US 2006/0172647およびR. Zhaoによる、「ポリオキシメチレンコポリマーの溶融吹込成形(Melt Blowing Polyoxymethylene Copolymer)」と題する、INT’L NONWOVENS J., 19-24 (夏(summer) 2005)に掲載された論文に与えられている。これら各々の内容全体を、参考としてここに組入れる。
【0067】
以上、本発明の多層構造物に係る様々な特徴およびその該多層構造物の製法を説明してきたが、以下において多くの本発明の態様を記載する:
【0068】
1. 90dg/分未満のMFRを持つ、1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを含み、500%を越える極限伸び率を有する、弾性メルトブローン織物の少なくとも一つの層;および少なくとも一つの延伸性織物層を含む、多層構造。
【0069】
2. 90dg/分未満のMFRおよび75J/g未満のHf値を持つ、1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを含む、少なくとも1層の弾性メルトブローン織物;および少なくとも一つの延伸性織物層を含む、多層構造。
【0070】
3. 90dg/分未満のMFRを持つ、1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを含み、500%を越える極限伸び率を有する弾性メルトブローン織物の少なくとも一つの層;および少なくとも一つの追加の弾性層を含む、多層構造。
【0071】
4. 90dg/分未満のMFRおよび75J/g未満のHf値を持つ、1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを含む、少なくとも1層の弾性メルトブローン織物;および少なくとも一つの追加の弾性層を含む、多層構造。
【0072】
5. 前記少なくとも一つの追加の弾性層が、不織布である、上記態様3または4に記載の多層構造。
【0073】
6. 前記ポリオレフィンポリマーが、プロピレン-α-オレフィンコポリマーであり、該コポリマーが、その質量基準で5〜35質量%なる範囲内の、コモノマー-由来の単位の含有率を持つ、上記態様1〜5の何れか1項に記載の多層構造。
【0074】
7. 100%伸び後の残留歪が<15%である、上記態様1〜6の何れか1項に記載の多層構造。
【0075】
8. 前記結晶性が、プロピレンまたはエチレンの何れかによるものであり得る、上記態様1〜7の何れか1項に記載の多層構造。
【0076】
9. 前記プロピレン-α-オレフィンコポリマーが、500%を越える極限伸びを持つ、上記態様1〜8の何れか1項に記載の多層構造。
【0077】
10. 前記構造が、1,000%を越える伸びにおいて、1〜2 lbsなる範囲内のピーク力値(ASTM 2261-07a)を持つ、上記態様1〜9の何れか1項に記載の多層構造。
【0078】
11. 前記ポリオレフィンポリマーが、30%までのプロピレンホモポリマーとブレンドされている、上記態様1〜10の何れか1項に記載の多層構造。
【0079】
12. 前記プロピレン-α-オレフィンコポリマーが、2.0〜5.0なる範囲内の分子量分布を持つ、上記態様1〜11の何れか1項に記載の多層構造。
【0080】
13. 前記プロピレン-α-オレフィンコポリマーの前記MFR値が、0.1〜50dg/分なる範囲内にある、上記態様1〜12の何れか1項に記載の多層構造。
【0081】
14. 前記弾性メルトブローン織物が、5〜200μmなる範囲内の径を持つ繊維を含む、上記態様1〜13の何れか1項に記載の多層構造。
【0082】
15. 前記弾性メルトブローン織物の平方センチメートル(平方インチ)当たりの連続繊維数(繊維密度)が、約3.1〜77.5繊維/cm2(20〜500繊維/in2)なる範囲内にある、上記態様1〜14の何れか1項に記載の多層構造。
【0083】
16. 前記弾性メルトブローン織物が、100%未満のMD伸び率および100%を越えるCD伸び率を持つ、上記態様1〜15の何れか1項に記載の多層構造。
【0084】
17. 前記弾性メルトブローン織物が、0.1〜10なる範囲内の破断点伸びのCD/MD比を持つ、上記態様1〜16の何れか1項に記載の多層構造。
【0085】
18. 前記弾性メルトブローン織物が、最大繊維径が最小繊維径の5倍を越えまたは10倍を越える、上記態様1〜17の何れか1項に記載の多層構造。
【0086】
19. 前記延伸性織物が、スパンボンド、メルトブローン、カーディング、エアレイドまたはその他の手段により製造できる、上記態様1〜18の何れか1項に記載の多層構造。
【0087】
20. 前記延伸性織物が、10〜150g/m2なる範囲の坪量を持ち、かつ該織物の質量基準で、10質量%を越えるまたは30質量%を越えるポリオレフィンを含む、少なくとも1層のスパンプレース織物を含む、上記態様1〜19の何れか1項に記載の多層構造。
【0088】
21. 前記延伸性織物が、セルロース、ナイロン、ポリオレフィン-テレフタレート、ポリエステル、ポリオレフィン、ビスコース、綿、アクリル酸樹脂またはこれらの組合せを含む、上記態様1〜20の何れか1項に記載の多層構造。
【0089】
22. 前記延伸性織物が、200%を越える極限伸びを持つ、上記態様1〜21の何れか1項に記載の多層構造。
【0090】
23. 前記多層構造またはその個々の層が、機械的に伸長されておらずまたは機械的に配向されていない、上記態様1〜22の何れか1項に記載の多層構造。
【0091】
24. 織物層としてまたは織物層の成分としてのスチレン系ブロックコポリマーを、実質的に含まない、上記態様1〜23の何れか1項に記載の多層構造。
【0092】
25. 接着剤を実質的に含まない、上記態様1〜24の何れか1項に記載の多層構造。
【0093】
26. 上記態様1〜25の何れか1項に記載の多層構造を含むことを特徴とする、吸収性物品。
【0094】
27. 前記物品が、幼児用オムツ、プルアップ、トレーニングパンツ、成人用失禁防止ブリーフおよびオムツ、パンティーライナー、生理用ナプキン、医療用被服および包帯から選択される、上記態様26記載の吸収性物品。
【0095】
28. 90dg/分未満のMFR値を持つ1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを、複数のノズルを備えた、少なくとも一つのダイを通して押出して、複数の連続繊維を製造する工程、ここで該ダイの少なくとも一つを、3.45MPa(500psi)を越える溶融圧力にて動作させて、少なくとも一つの弾性メルトブローン織物を製造し;および該少なくとも一つの弾性メルトブローン織物を、少なくとも一つの延伸性織物に接着する工程を含むことを特徴とする、多層構造の製造方法。
【0096】
29. 90dg/分未満のMFR値を持つ1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを、複数のノズルを備えた、少なくとも一つのダイを通して押出して、複数の連続繊維を製造する工程、ここで該ダイの少なくとも一つを、3.45MPa(500psi)を越える溶融圧力にて動作させて、少なくとも一つの弾性メルトブローン織物を製造し;および該少なくとも一つの弾性メルトブローン織物を、少なくとも一つの追加の弾性層に接着する工程を含むことを特徴とする、多層構造の製造方法。
【0097】
30. 前記少なくとも一つの追加の弾性層が、不織布である、上記態様28または29記載の多層構造の製造方法。
【0098】
31. 前記弾性メルトブローン織物を、10〜150g/m2なる範囲の坪量を持つスパンプレース織物の少なくとも一方の面に接着する、上記態様28記載の方法。
【0099】
32. 前記弾性メルトブローン織物を、10〜150g/m2なる範囲の坪量を持つ、2またはそれ以上のスパンプレース織物に対称に接着し、該各スパンレース織物が同一または異なるものである、上記態様28記載の方法。
【0100】
33. 前記弾性メルトブローン織物が、2またはそれ以上のスパンプレース織物各々の面に対称に接着され、該スパンプレース織物各々が、10〜150g/m2なる範囲の坪量を持ち、該スパンプレース織物各々が、同一または異なっている、上記態様28記載の方法。
【0101】
34. 前記ポリオレフィンが、前記スパンプレース織物には実質的に存在しない、上記態様28および31〜33に記載の方法。
【0102】
35. 前記延伸性織物が、該織物の質量基準で、10質量%を越えるポリオレフィンを含む、上記態様28および31〜34に記載の方法。
【0103】
36. 更に、前記多層構造物を、水力学的絡み合わせ装置に通す工程をも含む、上記態様25〜35に記載の方法。
【0104】
37. 前記ダイが、250℃未満、または280℃未満、または300℃未満、または325℃未満、または350℃未満の溶融温度にて動作する、上記態様25〜36に記載の方法。
【0105】
38. 前記成分が、ビスブレーキング剤が排除されている装置内で溶融混合される、上記態様25〜37に記載の方法。
【0106】
39. 前記少なくとも一つの弾性メルトブローン織物が、前記少なくとも一つの延伸性織物層と接着される、上記態様1〜38の何れか1項に記載の方法および多層構造。
【0107】
40. 前記多層構造物が、25gを越えるまたは50gを越えるまたは100gを越える、または50〜110gなる範囲、または75〜110gなる範囲、110〜250gなる範囲または110〜200gなる範囲または110〜160gなる範囲の坪量を持つ、上記態様1〜25の何れか1項に記載の多層構造。
【0108】
41. 前記構造物が、300%を越える伸び率において、0.3〜5 lbsなる範囲のピーク力値(ASTM 2261-07a)を持つ、上記態様1〜40の何れか1項に記載の多層構造。
【0109】
42. 前記多層構造物が、機械的に活性化されている、上記態様1〜25、40または41の何れか1項に記載の多層構造。
【0110】
43. 上記態様40〜42の何れか1項に記載の多層構造を含む物品。
【0111】
44. 前記物品が、衛生用物品、衛生物品クロージャー系、幼児用オムツ、プルアップ、トレーニングパンツ、成人用失禁防止ブリーフ、成人用失禁防止オムツ、パンティーライナー、生理用ナプキン、医療用被服、または包帯である、上記態様42に記載の物品。
【実施例】
【0112】
実施例1:
メルトブローン織物および多層構造物を、以下のような方法で、R. Zhaoによる、「ポリオキシメチレンコポリマーの溶融吹込成形(Melt Blowing Polyoxymethylene Copolymer)」と題する、INT’L NONWOVENS J., 19-24 (夏(summer) 2005)に掲載された論文に与えられているものと同様な装置および条件を用いて製造する。特に、6.89MPa(1200psi)〜10.34MPa(1700psi)なる範囲内の溶融圧力および200〜275℃なる範囲内の溶融温度にて作動され、また50〜150孔/2.54cm(1 in)なる範囲の紡糸口金孔密度を持つダイを使用する、バイアックス-ファイバーフィルム(Biax-FiberfilmTM)メルトブローンライン(WI州、グリーンビル(Greenville)のバイアックス-ファイバーフィルム社(Biax-Fiberfilm Corp))を使用して、該メルトブローン繊維、織物、および多層構造物を製造する。このラインは、押出機、ダイ-ブロックおよび紡糸口金、並びに34kPa〜138kPa(5〜20psi)なる範囲内の空気圧および220〜260℃なる範囲の空気温度を供給する、該紡糸口金用のエアマニホルドを含む。ビスタマックス(VistamaxxTM)6202特性エラストマー(18dg/分なるMFRおよび15質量%なるコモノマー:C2含有率を持つポリオレフィンポリマー、エクソンモービルケミカル社(ExxonMobil Chemical Co.)製)を、該バイアックス-ファイバーフィルムラインを用いて、上記条件下で溶融吹込成形して、該繊維、織物、および多層構造物を製造する。該ビスタマックスは、該押出機内で溶融混合され、該バイアックス-ファイバーフィルムアレイダイを介して、溶融吹込成形ビスタマックスの製造中の繊維の下方またはその上を通過する、スパンレース織物(50/50 PP/PET、30g/m2、ヤコブ-ホルムインダストリーズ社(Jacob-Holm Industries, Inc.)製)の延伸性構造物上で溶融吹込成形される。該繊維の平均径は、15〜45μmなる範囲内にある。該溶融温度および該紡糸口金と該通過するスパンレース織物との間の間隔は、該繊維が該スパンレース織物と接触した際に、該繊維が依然として溶融状態または部分的溶融状態にあるように調節される。
【0113】
該溶融されたまたは部分的に溶融されたビスタマックスを含む、該被覆スパンレース織物は、i) 該ポリオレフィン材料の結合能力の固有の傾向およびii) 該溶融吹込成形中の繊維の、該スパンレース織物を含む該繊維と絡み合って、機械的な結合を形成する能力によって、該ビスタマックスと結合される。次いで、該ビスタマックスで被覆したスパンレース織物は、もう一つの延伸性織物が、該ビスタマックスで被覆されたスパンレース織物と接触する際に、場合により、僅かな圧を印加しつつ、未加熱の平滑なロール、未加熱のパターン化ロールおよび場合によりパターン化されているロール間のニップに通されて、三層構造物を形成する。このようにして製造された該弾性メルトブローン織物は、500%を越える極限伸びを持つ。
【0114】
一態様において、該溶融ビスタマックス繊維は、該製造中の繊維の下方またはその前方を通過する2つのスパンレース織物に、対称に適用され、結果として構造物を形成する。もう一つの例において、該溶融ビスタマックス繊維は、2つのスパンレース織物に、非-対称に適用されて、多層構造物を生成する。即ち、均しくない量の該形成中のビスタマックス繊維が、各織物に適用されるように、該溶融ビスタマックス繊維が、該織物に適用される。更に別の例において、該溶融ビスタマックス繊維を、第一のスパンレース織物に適用し、次いで第二のスパンレース構造物を、該第一のスパンレース織物の、該ビスタマックスで被覆した面と接触させて、構造物を製造する。
【0115】
該弾性メルトブローン繊維の平均径は、公知の通り、一次および二次空気(圧力、温度、方向)並びに他の操作パラメータを調節することにより、加減することができ、その結果該織物は、500%を越える極限伸び、並びに所望の柔軟性および他の望ましい諸特性を持つことになる。
【0116】
実施例2
8種の多層構造体を製造し、その物性をテストした。公知のスパンレース外側層間に差込まれた、不織弾性手段としてのビスタマックス特性エラストマーで構成されるメルトブローン層、即ち中間層を用いて、各多層構造物を製造した。該8種の多層構造体は、表1に記載のようにして製造した:
【0117】
【表1】

【0118】
特に述べない限り、以下の周期的テスト手順を、データを集め、また添付図面に示されたようなヒステリシス曲線を作成するのに使用した。一般的に、不織布のサンプルを、インストロン社(Instron Corporation)から市販品として入手できるインストロン(Instron) 1130装置を用いて、1回またはそれ以上の回数に渡り伸張させる。特に述べない限り、ヒステリシス曲線を作成するためにここで使用したテストパラメータは、サンプル幅:2.54cm(1 in);サンプル長さ:7.62cm(3 in);ゲージ長さ、即ちクランプ間の距離:2.54cm(1 in);クロスヘッド速度、即ち延伸力を適用する上部クランプの速度:25.4cm(10 in)/分である。ここで使用する「第一サイクル」および「第二サイクル」とは、各サンプルを延伸した回数を意味する。
【0119】
サンプルは、先ず不織布サンプルを指定されたサンプルサイズに裁断することによりテストされた。各テストサンプルは、先ずこれを該クロスヘッド/上部クランプに取付け、次いで該下方のクランプに取付けることによって、インストロン1130装置に装着された。該クランプ間の距離は、上で指定したゲージ長さである。該サンプルに、如何なる予備張力も適用しなかった。
【0120】
次いで、該サンプルを、25.4cm(10 in)/分なるクロスヘッド速度、即ち延伸速度を用い、所定の歪まで、例えばサンプルの長さにより測定した値で100%、または200%まで伸長させた。次いで、如何なる保持時間もなしに、同一のクロスヘッド速度にて、該サンプルをゼロ荷重状態まで戻した。該伸長および収縮操作中の歪の関数として、該サンプル上に及ぼされる力を記録した。
【0121】
更なる特徴付け、または追加のサイクルデータ、例えば第二サイクルデータが所望の場合には、1回またはそれ以上の回数に渡り伸張させるために、該装置から該サンプルを取外した。第一サイクルにおいて既にテストしたサンプルを再度該装置に取付けることにより、第二サイクルヒステリシス曲線を作成した。特に具体的に述べない限り、同一のゲージ長さを用いて、サンプルを該装置に取り付けた。該第一サイクルについて上記したものと同一の手順を、該第二サイクルに対して使用した。
【0122】
ここにおいて特に述べない限り、残留歪は、指定された歪から収縮した後のサンプルにおいて残留する、該指定された歪に対する百分率として表された、歪の量である。収縮後に、ゼロ荷重下において該サンプル中に残される伸び(該収縮曲線の、そのx-軸との切片により決定される)を、該サンプルが該当するサイクル中に伸張された、最大の伸びで割る。
【0123】
ここにおいて特に述べない限り、50%における収縮力は、サンプルを所定の伸び率まで延伸し、また該伸びの1/2まで該サンプルを収縮させた後に、該サンプルによって及ぼされる力である。
【0124】
ここにおいて特に述べない限り、ピーク荷重(lbs/in)は、インチ単位で表された該サンプルの幅で割った、伸張中の該サンプルに及ぼされるポンド単位の力で表された最大の荷重である。
【0125】
ここにおいて特に述べない限り、ピーク力MD(N)は、ニュートン単位で表した、縦方向(MD)における伸長の際に、サンプルに及ぼされる最大の力である。
【0126】
ここにおいて特に述べない限り、ピーク力CD(N)は、ニュートン単位で表した、交叉方向(CD)における伸長の際に、サンプルに及ぼされる最大の力である。
【0127】
ここにおいて特に述べない限り、破断点伸びMD(%)は、百分率で表された、縦方向における伸長の後に、破断点において測定されたサンプルの長さにおける増加を、該サンプルの元のゲージ長さで割ったものである。
【0128】
ここにおいて特に述べない限り、破断点伸びCD(%)は、百分率で表された、交叉方向における伸長の後に、破断点において測定されたサンプルの長さにおける増加を、該サンプルの元のゲージ長さで割ったものである。
【0129】
図3A、3B、および3Cおよび表2に示したように、ヒステリシスは、室温にてテストされた。図8A、8B、および8C並びに表3に示したように、ヒステリシスは、37.8℃(100°F)においてテストされた。これら両温度に対するテスト条件:サンプル幅:5.08cm(2 in);ゲージ:7.62cm(3 in);クロスヘッド速度:50.8cm/分(20 in/min);100%伸張。
【0130】
【表2】

【0131】
【表3】

【0132】
図4A、4B、および4Cに示した如く、本発明の多層構造物と、市販のオムツ耳部において使用された従来の積層構造物とを、その性能につき比較する。
【0133】
図5に示したように、本発明の多層構造物と、市販の製品において使用された従来の成人用失禁防止(AI)シャーシとを、その性能につき比較する。
【0134】
図6Aおよび6Bに示したように、本発明の多層構造物と、公知のプルアップサイドパネルとを、その性能につき比較する。テスト条件:室温;サンプル幅:2.54cm(1 in);2.54cm(1 in)ゲージ;クロスヘッド速度:25.4cm/分(10 in/min)。
【0135】
6種の多層構造物を、グラブ引張性能につきテストした。テスト条件:室温;幅:7.62cm(3 in);グリップ:2.54cm(1 in);ゲージ:15.24cm(6 in);クロスヘッド速度:50.8cm/分(20 in/min)。報告された数値は、3つのサンプルの平均値である。これら性能を、以下の表4に報告する。
【0136】
【表4】

【0137】
以下の表5は、本発明の多層構造物と、公知の衛生用品との間の定性的な評価の結果を示すものである。該評価の尺度は、1〜5の範囲である。1が最良の評価値である。5は最低の評価値である。
【0138】
【表5】

・パンパース(Pampers)は、ザプロクター&ギャンブル社(The Procter & Gamble Co.)の登録商標である[パンパースイージーアップ(Pampers Easy Ups);パンパースクルーザーズ(Pampers Cruisers)]。
・ハギーズ(Huggies)は、キンバリー-クラークワールドワイド社(Kimberly-Clark Worldwide Inc.)の登録商標である[ハギーズナチュラルアップ(Huggies Natural Ups);ハギーズナチュラルフィット(Huggies Natural Fit)] 。
・ホワイトクラウド(White Cloud)は、ウォルマート(Wal-Mart)社の登録商標である[ウォルマートホワイトクラウド(Wal-Mart White Cloud); ウォルマートアシュアランスアンダーウエア(Wal-Mart Assurance Underwear)]。
・テナ(Tena)は、SCAパーソナルケア(Personal Care)社の登録商標である[SCAテナセレニティーアンダーウエア(SCA Tena Serenity Underwear)]。
・アシュアランス(Assurance)は、コビディエン(Covidien)社の登録商標である[プレミアムアシュアランス(Premium Assurance)]。
・プリベイル(Prevail)は、ファーストクオリティープローダクツ(First Quality Products)社の登録商標である[プリベイルウルトラシィンアンダーウエア(Prevail Ultra Thin Underwear)]。
【0139】
図7および表6に示したように、37.8℃(100°F)における残留伸び性能を、6種の本発明の多層構造物につきテストした。テスト条件:サンプル幅:2.54cm(1 in);ゲージ:7.62cm(3 in);クロスヘッド速度:50.8cm/分(20 in/min)。報告されたデータは、5分間に渡り状態調節された、3つのサンプルの平均値である。
【0140】
【表6】

【0141】
図9A、9Bおよび9Cおよび以下の表7に示したように、37.8℃(100°F)において、応力緩和性能を測定した。テスト条件:サンプル幅:2.54cm(1 in);ゲージ:2.54cm(1 in);クロスヘッド速度:25.4cm/分(10 in/min);およびピーク歪み:50%。
【0142】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
90dg/分未満のMFRを持つ、1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを含み、500%を越える極限伸び率を有する弾性メルトブローン織物の少なくとも一つの層、および
少なくとも一つの延伸性織物層
を含むことを特徴とする、多層構造。
【請求項2】
90dg/分未満のMFRおよび75J/g未満のHf値を持つ、1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを含む、少なくとも1層の弾性メルトブローン織物;および
少なくとも一つの延伸性織物層
を含むことを特徴とする、多層構造。
【請求項3】
前記ポリオレフィンポリマーが、プロピレン-α-オレフィンコポリマーであり、該コポリマーが、その質量基準で5〜35質量%なる範囲内の、コモノマー-由来の単位の含有率を持つ、請求項1または2記載の多層構造。
【請求項4】
100%伸び後の残留歪が<15%である、請求項1〜3の何れか1項に記載の多層構造。
【請求項5】
前記ポリオレフィンポリマーが、30%までのプロピレンホモポリマーとブレンドされている、請求項1〜4の何れか1項に記載の多層構造。
【請求項6】
前記ポリオレフィンポリマーが、2.0〜5.0なる範囲内の分子量分布を持つ、請求項1〜5の何れか1項に記載の多層構造。
【請求項7】
前記ポリオレフィンポリマーの前記MFR値が、0.1〜50dg/分なる範囲内にある、請求項1〜6の何れか1項に記載の多層構造。
【請求項8】
前記弾性メルトブローン織物が、5〜200μmなる範囲内の径を持つ繊維を含む、請求項1〜7の何れか1項に記載の多層構造。
【請求項9】
前記弾性メルトブローン織物の6.45平方センチメートル(平方インチ)当たりの連続繊維数(繊維密度)が、20〜500繊維/6.45cm2(1in2)なる範囲内にある、請求項1〜8の何れか1項に記載の多層構造。
【請求項10】
前記弾性メルトブローン織物が、100%未満のMD伸び率および100%を越えるCD伸び率を持つ、請求項1〜9の何れか1項に記載の多層構造。
【請求項11】
前記延伸性織物が、スパンボンド、メルトブローン、カーディング、エアレイドまたはその他の手段により製造できる、請求項1〜10の何れか1項に記載の多層構造。
【請求項12】
前記延伸性織物が、10〜150g/m2なる範囲の坪量を持ち、かつ該織物の質量基準で、10質量%を越えるまたは30質量%を越えるポリオレフィンを含む、少なくとも1層のスパンレース織物を含む、請求項1〜11の何れか1項に記載の多層構造。
【請求項13】
前記延伸性織物が、セルロース、ナイロン、ポリオレフィン-テレフタレート、ポリエステル、ポリオレフィン、ビスコース、綿、アクリル樹脂またはこれらの組合せを含む、請求項1〜12の何れか1項に記載の多層構造。
【請求項14】
前記多層構造またはその個々の層が、機械的に伸長されておらずまたは機械的に配向されていない、請求項1〜13の何れか1項に記載の多層構造。
【請求項15】
前記多層構造またはその個々の層が、機械的に伸長されまたは配向されている、請求項1〜14の何れか1項に記載の多層構造。
【請求項16】
織物層としてまたは織物層の成分としてのスチレン系ブロックコポリマーを、実質的に含まない、請求項1〜15の何れか1項に記載の多層構造。
【請求項17】
接着剤を実質的に含まない、請求項1〜16の何れか1項に記載の多層構造。
【請求項18】
請求項1〜17の何れか1項に記載の多層構造を含むことを特徴とする、吸収性物品。
【請求項19】
前記物品が、幼児用オムツ、プルアップ、トレーニングパンツ、成人用失禁防止ブリーフおよびオムツ、パンティーライナー、生理用ナプキン、医療用被服および包帯から選択される、請求項18記載の吸収性物品。
【請求項20】
90dg/分未満のMFR値を持つ1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを、複数のノズルを備えた、少なくとも一つのダイを通して押し出して、複数の連続繊維を製造する工程、ここで該ダイの少なくとも一つを、3.45MPa(500psi)を越える溶融圧力にて動作させて、少なくとも一つの弾性メルトブローン織物を製造し;および
該少なくとも一つの弾性メルトブローン織物を、少なくとも一つの延伸性織物に接着する工程、
を含むことを特徴とする、多層構造の製造方法。
【請求項21】
前記弾性メルトブローン織物を、10〜150g/m2なる範囲の坪量を持つスパンレース織物の少なくとも一方の面に接着する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
更に、前記多層構造を、水力学的絡み合わせ装置に通す工程を含む、請求項20または21記載の方法。
【請求項23】
前記ダイが、280℃未満の溶融温度にて動作する、請求項20〜22の何れか1項に記載の方法。
【請求項24】
90dg/分未満のMFRを持つ、1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを含み、300%を越える極限伸び率を有する、弾性メルトブローン織物の少なくとも一つの層、および
少なくとも一つの追加の弾性層
を含むことを特徴とする、多層構造。
【請求項25】
90dg/分未満のMFRおよび75J/g未満のHf値を持つ、1種またはそれ以上のポリオレフィンポリマーを含む、少なくとも1層の弾性メルトブローン織物;および
少なくとも一つの追加の弾性層
を含むことを特徴とする、多層構造。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【公表番号】特表2012−504063(P2012−504063A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529233(P2011−529233)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/058263
【国際公開番号】WO2010/039583
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】