説明

ポリオールコンパウンドの製造方法

【課題】ポリウレタンエラストマーの製造に用いられる、反応触媒、滑剤、酸化防止剤等を含有して成るポリオールコンパウンドにおいて、特に密封材用途に適した増粘剤成分を配合した場合にも、硬化不足を生じることなく、優れた密封性能を発現可能なポリウレタンエラストマーを製造可能なポリオールコンパウンドの製造方法を提供することである。
【解決手段】数平均分子量が200乃至2000であるポリオール、等量の水に分散させた場合のpHが4乃至10である粒子状増粘剤成分、反応触媒及び酸化防止剤から成るポリオールコンパウンドの製造方法において、前記粒子状増粘剤成分を配合した後のポリオールコンパウンドの温度を70℃以下に温度調節することを特徴とするポリオールコンパウンドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオールコンパウンドの製造方法に関するもので、より詳細には、ポリウレタンエラストマーの製造に好適に用いることができるポリオールコンパウンドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イソシアネート成分とポリオール成分から成る二液型のポリウレタンエラストマーは、これらの成分を混合して加熱硬化させることにより得られるが、密封材としての柔軟性や復元性に優れていると共に、安全性及び衛生性にも優れていることから、金属製キャップの密封材等の用途として好適に用いられている(特許文献1)。
【0003】
かかる密封材に用いられるポリウレタンエラストマーにおいては、滑剤、増粘剤、酸化防止剤、顔料等の配合剤を配合する必要があり、これらの配合剤は一般にポリオール成分に予め配合され、ポリオールコンパウンドとして製造され、かかるポリオールコンパウンドをイソシアネート成分と混合してポリウレタンエラストマーが形成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−205963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかるポリオールコンパウンドを用いてポリウレタンエラストマーを製造する場合、上記イソシアネート成分とポリオール成分の混合・反応が順調に進まない場合が生じ、その結果ポリウレタンエラストマーの硬化不足を生じて、満足のいく密封材を形成できない場合があるという問題を生じた。特にこの傾向は、密封材用途に適した特定の増粘剤成分を配合したときにその傾向が顕著であった。
【0006】
従って本発明の目的は、ポリウレタンエラストマーの製造に用いられる、反応触媒、滑剤、酸化防止剤等を含有して成るポリオールコンパウンドにおいて、特に密封材用途に適した増粘剤成分を配合した場合にも、硬化不足を生じることなく、優れた密封性能を発現可能なポリウレタンエラストマーを製造可能なポリオールコンパウンドの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、数平均分子量が200乃至2000であるポリオール、等量の水に分散させた場合のpHが4乃至10である粒子状増粘剤成分、反応触媒及び酸化防止剤から成るポリオールコンパウンドの製造方法において、前記粒子状増粘剤成分を配合した後のポリオールコンパウンドの温度を70℃以下に温度調節することを特徴とするポリオールコンパウンドの製造方法が提供される。
本発明のポリオールコンパウンドの製造方法においては、
1.ポリオールコンパウンドが、アマイド及び/又はシリコン滑剤を含有すること、
2.粒子状増粘剤成分が、タルクであること、
3.反応触媒が、高分子触媒及び/又はDOTDLであること、
4.ポリオールの一部、アマイド及び/又はシリコン滑剤、反応触媒、及び酸化防止剤を予め溶融混合し、この溶融混合物に残余のポリオール、粒子状増粘剤成分を120℃以下の温度で攪拌混合した後、70℃以下の温度に温度調節すること、
が好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法により得られたポリオールコンパウンドにおいては、イソシアネート成分と混合しポリウレタンエラストマーの調製を行った場合にも、イソシアネート成分の組成に関係なく、硬化不足を生じることがなく、密封性能に優れたポリウレタンエラストマーを安定して得ることが可能となる。
また本発明の製造方法により得られたポリオールコンパウンドによれば、少量の反応触媒で優れた硬化反応を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のポリオールコンパウンドの製造方法においては、ポリオールコンパウンドが、数平均分子量が200乃至2000であるポリオール、等量の水に分散させた場合のpHが4乃至10である粒子状増粘剤成分、反応触媒、及び酸化防止剤から成ることが第一の特徴であり、上記各成分を混合し、コンパウンドを調製するに際し、調製温度を従来の製造方法に比して低温に設定し、特に粒子状増粘剤成分を配合した後の温度を70℃以下に温度調節することが第二の特徴である。
【0010】
前述した通り、上記成分から成るポリオールコンパウンドを用いた場合には、ポリウレタンエラストマーの製造において、イソシアネート成分とポリオール成分の反応が順調に進まず、ポリウレタンエラストマーの硬化不足を生じるという問題を生じていた。
本発明者等はかかる問題の原因を究明した結果、従来、上記各成分から成るポリオールコンパウンドを調製する際の温度が原因であること、及びかかるコンパウンド調整時の温度が特定の増粘剤成分の挙動に関係することを見出した。
すなわち、上記各成分から成るポリオールコンパウンドの従来の製造方法においては、反応触媒或いは滑剤の融点を基準とし、これらの成分が溶解された後も120℃以上の温度で攪拌混合し、80℃以上の温度でコンパウンド用容器に充填する、という製造方法が採用されていたが、各成分が溶解された後の攪拌混合の温度を120℃以下とし、特定の増粘剤成分を配合した後の目的物たるポリオールコンパウンドの温度を70℃以下に調節した状態にすることによって、上述したような問題を生じることのないポリオールコンパウンドを製造することが可能になったのである。
【0011】
本発明のかかる作用効果は、後述する実施例の結果からも明らかである。
すなわち、各成分の攪拌混合を120℃以下の温度で行い、増粘成分であるタルクを配合した後、液温を70℃以下に低下させて成るポリオールコンパウンドにおいては、イソシアネートと安定して反応し、硬化不足を生じることなく、優れた密封性能を発現可能なポリウレタンエラストマーが形成されているのに対して(実施例1〜3)、各成分の溶解後も攪拌混合を120℃以上の温度で行い、増粘成分であるタルクを配合した後の液温が80℃以上に調節されているポリオールコンパウンドにおいては、イソシアネートとの反応にばらつきがあり、焼付け直後の状態で硬化不足や厚み不足ガ生じており、満足する密封性能を得ること困難であることが明らかである(比較例1〜2)。
【0012】
(ポリオールコンパウンド)
本発明のポリオールコンパウンドは、数平均分子量が200乃至2000であるポリオール、等量の水に分散させた場合のpHが4乃至10である粒子状増粘剤成分、反応触媒、及び酸化防止剤を必須の構成要素とするものである。
【0013】
[ポリオール]
ポリオールとしては、数平均分子量が200乃至2000の高分子ポリオールを用いる。これらの具体例としては、例えば、ポリプロピレングリコール系ポリエーテルポリオール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)とアジペート系ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネート系ポリオールなどを挙げることができる。好適には、ポリウレタンエラストマーの溶出物の点から、PTMGとアジペート系ポリエステルポリオールである。耐加水分解性からは、PTMGとPPGが更に好ましい。
数平均分子量は2000以下であることが重要であり、2000を超えると結晶性が強くなり取り扱い難くなる。
本発明において密封材用途に最も好適に用いられるポリオール成分は、水酸基価が20〜350(mgKOH/g)であり、好ましくは100〜350(mgK0H/g)である。水酸基価が20(mgKOH/g)未満のものは、得られるポリウレタンエラストマーが柔らかすぎて圧縮永久歪が大きくなりすぎ、350(mgKOH/g)を超えるものでは硬すぎて、密封材としては不適当である。ポリオールの平均官能基数は、ポリウレタンエラストマーには適当量の架橋構造が導入されることが好ましいので、ポリイソシアネート成分の平均官能基数に対応して2〜3である。
【0014】
[粒子状増粘剤]
粒子状増粘剤としては、カーボンブラック、ホワイトカーボン、カオリンクレー、パイロフィライト、タルク、モンモリロナイト、セリサイト、焼成クレー、マイカ、ベントナイト、ケイ砂、アルミナ、硫酸バリウム等の無機粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ナイロン、ポリエステル、アクリル等のポリマー粒子、木粉、果実殻粉等の天然有機粒子を挙げることができ、特にタルクを好適に用いることができる。
増粘剤としては、等量の水に分散した際のpHが4乃至10、特に5乃至9の範囲にあることが重要であり、増粘剤を水に分散した際のpHが4を下回る場合は、ポリイソシアネートとポリオールのウレタン化反応を阻害して硬化性が著しく劣るようになる。また、pHが10を超える場合も、ポリイソシアネートとポリオールのウレタン化反応を阻害するので好ましくない。
更に、pHが4乃至10である増粘剤成分は不活性であるため、ポリイソシアネートとポリオールの反応によるウレタン結合の生成に影響を与えることがなく、密封材用途に用いられる場合、その性能に何等悪影響を与えることもない。また粒子状増粘剤は充填剤としての機能も有するため、成形品の保形性を向上させるという利点もある。
【0015】
増粘剤の粒子径としては、中心粒径が1乃至500μm、特に5乃至100μmの範囲にあるものが良い。上記範囲を超えて粒子径が小さい場合や、上記範囲を超えて大きい場合は、80℃以上での高温での増粘性が不十分となり、成形性が劣るようになる。
増粘剤成分は、ポリオールコンパウンド中に5乃至50重量%、特に10乃至30重量%の量で用いるのが良い。上記範囲を下回る場合は、高温での型流れが発生し、上記範囲を上回る場合は、常温での粘度が高くなり、何れの場合も成形性が劣るようになる。
増粘剤の水分含有量としては、5重量%以下、特に2重量%以下のものが良く、上記範囲を超えて水分を含有するものは、焼き付け時に水とイソシアネート基が反応して炭酸ガスを発生し、異常発泡となり、密封性等の性能を損なうようになる。
【0016】
[反応触媒]
反応触媒としては、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート(DOTDL)、トリエチルアミン、2−エチルヘキサノイック酸ビスマス、ジアザビシクロウンデセン、ジメチル錫ビス(イソオクチルグリコレート)、モノメチル錫トリス(イソオクチルグリコレート)、ジ(n−オクチル)錫S,S‘−ビスイソオクチルメルカプトアセテート、ジ(n−オクチル)錫マレートポリマー等が用いることができる。
中でもジ(n−オクチル)錫マレートポリマー等の高分子触媒及び/又はDOTDLを好適に用いることができる。
また反応触媒はポリオールコンパウンド中に10乃至500ppm、特に50乃至300ppmの量で含有されていることが好ましい。
【0017】
[酸化防止剤]
酸化防止剤としては、ヒンダートフェノール系の酸化防止剤を好適に用いることができ、具体的には、3−メチル−2,6−tert−ブチル−フェノール、テトラキス[メチレン−3(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバガイギー社製、イルガノックス1010)等が挙げられる。
酸化防止剤は、ポリオールコンパウンド中に0.01乃至0.5重量%、特に0.05乃至0.3重量%の量で配合されていることが好ましい。
【0018】
[滑剤]
本発明のポリオールコンパウンドを、ポリウレタンエラストマーから成る密封材用途に用いる場合には、滑剤を配合することが好ましい。
滑剤としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどの炭化水素系滑剤、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどのアマイド系滑剤、シリコン系滑剤等を挙げることができ、中でもアマイド系及び/又はシリコン系滑剤を好適に用いることができる。
滑剤はポリオールコンパウンド中に1乃至20重量%、特に5乃至15重量%の量で含有されていることが好ましい。
【0019】
本発明のポリオールコンパウンドには、上記添加剤のほか、ポリウレタン樹脂に通常併用される充填剤、着色剤、難燃性向上剤、紫外線吸収剤、光安定剤、電気絶縁性向上剤、防かび剤、シリコ一ン系界面活性剤、有機酸の金属塩、有機酸から誘導したワックス類、金属酸化物、金属水酸化物、内部離型剤、補強剤、発泡剤等の添加剤を必要に応じて配合することもできる。
【0020】
(ポリオールコンパウンドの調製)
本発明のポリオールコンパウンドの製造方法においては、上述したポリオール、粒子状増粘剤成分、反応触媒、滑剤及び酸化防止剤各成分を次の工程により添加混合することによりポリオールコンパウンドを調製する。
まず、ポリオールを溶解した後、用いるポリオールの一部に反応触媒、酸化防止剤及び必要により滑剤を添加し、これらを反応触媒及び滑剤がポリオールに完全に溶解する温度、好適には100乃至130℃の温度範囲で予めポリオールの一部に溶解混合させ、反応触媒、滑剤及び酸化防止剤配合ポリオールを調製する。この際、反応触媒及び滑剤が溶解した後の温度を120℃以下に維持することが重要であり、好適に100乃至120℃の温度範囲に調整する。このように予め反応触媒、滑剤及び酸化防止剤をポリオールに溶解しておくことにより、次いで行う残余のポリオールとの攪拌混合の温度を70℃以下の低温に維持することが可能となる。
【0021】
予め調製された反応触媒、滑剤及び酸化防止剤配合ポリオールに、残余のポリオール、顔料、粒子状増粘剤、発泡剤、及びその他の配合剤を配合し、攪拌混合する。本発明においては、この際の混合温度を70℃以下の温度に維持することが重要であり、好適には70乃至50℃の温度範囲に調整する。
また発泡剤の配合の際には攪拌を一旦停止することが、液の発泡を防止する上で好ましい。
次いで、コンパウンド液の脱泡を行う。脱泡操作は従来公知の手段により行うことができるが、好適には容器内を減圧にしてコンパウンド液を攪拌混合しながら真空脱泡する。
脱泡の際,攪拌により液温が70℃以上にならないように液温を調節して行う。その後常圧に戻して、コンパウンド液を容器に充填する。
尚、本発明における70℃以下の温度は、粒子状増粘剤を添加混合した後のポリオールコンパウンドの液温であり、具体的には、粒子状増粘剤を添加混合し、粒子状増粘剤が十分に分散された状態になったときから製品として容器に充填する際までに測定したポリオールコンパウンドの温度である。
【0022】
本発明のポリオールコンパウンドの製造方法においては、反応触媒及び酸化防止剤配合ポリオール及びポリオールコンパウンドの調製のいずれにおいても攪拌混合の際の温度を120℃以下の温度に維持し、粒子状増粘剤を配合した後においては70℃以下の温度に調整することが重要であり、このため、混合攪拌に用いる容器には温度調整機構を設けることが重要である。具体的には、混合容器外壁に電気ヒータ或いは蒸気ジャケット等の加温機構、及び冷却水ジャケット等の冷却機構が装着された混合容器を用いることが好ましく、加温、放冷、冷却を適宜行うことにより、温度調整を行う。
【0023】
本発明のポリオールコンパウンドの製造方法においては、上述した反応触媒及び酸化防止剤配合ポリオールの調製、ポリオールコンパウンドの混合攪拌及び脱泡操作を一つの混合タンクで行うことが可能であり、製造設備の効率化、省スペース等を図ることもできる。
【実施例】
【0024】
(ポリオールの調製)
PTG−1000SN(水酸基価112,平均官能基数=2)66部、アジペート系ポリエステルグリコールP−1010(水酸基価112,平均官能基数=2)21重量部、アジペート系ポリエステルトリオール(水酸基価336,平均官能基数=3)13重量部、を混合し,数平均分子量890のポリオールを調製した。
ポリオールの水酸基価は、JIS−K1601の方法に準拠して測定した。
【0025】
(実施例1)
上述した方法により調製したポリオール160kgに予め、反応触媒として共同薬品製ジ(n−オクチル)錫マレートポリマーKS−1010A−1 0.155kg(250ppm/ポリオール)、酸化防止剤としてイルガノックス1010 1.24kgを添加し、混合攪拌した。次いでオレイン酸アマイド20kg、エルカ酸アマイド20kgを添加し、120℃で加熱溶解した。その加熱溶解液を密閉できる混合タンク投入した。
混合タンクは、加熱および冷却装置を備え、タンクの中心に高速ブレードを備えた高速軸とタンク内壁にそった低速ブレードを備えた、(株)井上製作所製同芯二軸ミキサー(CDMG−1000)を使用した。
投入するときは、液温の低下によりアマイド等の析出が起こらないように、混合タンクを加温しておいた。
【0026】
その後、残りのポリオール460kg、酸化チタン20kg、タルク150kgを添加し、高速ブレードおよびタンク内壁にそった低速ブレードで攪拌混合した。
また、タルク添加混合直後から、混合タンクを冷却し、コンパウンド液温を下げた。攪拌混合後のコンパウンド液温は68℃であった。
次いで、シリコンオイル15kg、エクスパンセル社製熱膨張性中空粒子エクスパンセル092DU120 4.5kgを添加し、液温が70℃を超えないように、冷却水を調節し、20分間攪拌混合した。コンパウンド液温は65℃であった。
その後混合タンクを密閉し、真空脱泡機で仕込みタンク内を真空にし、脱泡を行った。脱泡完了後の容器に18リッター缶の容器に充填し,密閉した。充填時のコンパウンド液温は64℃であった。
【0027】
(実施例2)
実施例1と同様にポリオールに触媒,酸化防止剤およびアマイドを添加し、120℃で加熱溶解し、混合タンクで順次各材料を添加混合した。その時にタルク添加混合後のコンパウンド液温が60℃になるように冷却を調節した。同様に混合タンクの冷却を調節しながら、コンパウンドを製造した。容器充填時のコンパウンドの液温は52℃であった。
【0028】
(実施例3)
反応触媒として共同薬品製ジ(n−オクチル)錫マレートポリマーKS−1010A−1 0.93kg(150ppm/ポリオール)を使用した以外は実施例2と同様にしてコンパウンドを製造した。タルク添加混合後のコンパウンドの液温は58℃、容器充填時のコンパウンドの液温は48℃であった。
【0029】
(比較例1)
実施例1と同様にポリオールに触媒,酸化防止剤およびアマイドを添加し、120℃で加熱溶解し、混合タンクで順次各材料を添加混合した。その時に混合タンクを加温(保温)のまま製造を行い、混合攪拌を行いコンパウンドを製造した。
タルク添加混合後のコンパウンドの液温は85℃、充填時のコンパウンドの液温は79℃であった。
【0030】
(比較例2)
反応触媒として共同薬品製ジ(n−オクチル)錫マレートポリマーKS−1010A−1 0.31kg(500ppm/ポリオール)を使用した以外は、比較例1と同様にしてコンパウンド製造した。タルク添加混合後のコンパウンドの液温は83℃、充填時のコンパウンドの液温は78℃であった。
【0031】
(評価方法)
ポリイソシアネート成分:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)78.9重量部と1,3−ブチレングリコール21.1重量部を反応容器に仕込み、70℃で5時間反応させて、数平均分子量430 平均官能基数=2 イソシアネート含有量19.7質量%のポリイソシアネートを調製した。
ポリイソシアネート基含有量は、JIS−K7301の方法に準拠して測定した
【0032】
1.硬化性試験(硬化の度合いの評価)
ポリオールコンパウンドの水酸基価とポリイソシアネート基含有量との成分比が1.07になるように手早く混合し、幅40mm,オープニング1.0mmのアプリケーターを用いて、幅100×長さ100×厚み0.25mmのアルミ板に塗布し、225℃の熱風循環式電気オーブンで焼き付け、試験片を作成した。試験片をオーブンから取り出した直後、スパチュラで表面を引っかき硬化状態を調べた。
表面削れ無し:○
表面削れあり:×
【0033】
2.流れ性試験(蓋作成時の平滑度評価)
ポリオールコンパウンドの水酸基価とポリイソシアネート基含有量との成分比が1.07になるように手早く混合し、幅50×長さ250×厚み0.25mmのアルミ板の上部30mmのところから混合液0.5gを滴下し、140℃の熱風循環式電気オーブンで40秒加熱して、試験片を作成した。試験片をオーブンより取り出し、アルミ板を素速く垂直に15秒間ぶら下げ、混合液の流れた距離を測定した。
【0034】
3.蓋作製
ポリオールコンパウンドの水酸基価とポリイソシアネート基含有量との成分比が1.07になるように手早く混合し、ライニング装置にて53mm径のツイスト・オフ・キャップの内側外周部に形成された溝部(瓶口シール部)に、塗布量が1.2g、厚み1.2±0.2mmとなるようにライニングを行った。
その後、即座に225℃×40秒の条件で焼き付け、ツイスト・オフ・キャップおよびキャップ用密封材を成形し、蓋に形成されたキャップ用密封材について評価した。
【0035】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量が200乃至2000であるポリオール、等量の水に分散させた場合のpHが4乃至10である粒子状増粘剤成分、反応触媒及び酸化防止剤から成るポリオールコンパウンドの製造方法において、
前記粒子状増粘剤成分を配合した後のポリオールコンパウンドの温度を70℃以下に温度調節することを特徴とするポリオールコンパウンドの製造方法。
【請求項2】
前記ポリオールコンパウンドが、アマイド及び/又はシリコン滑剤を含有する請求項1記載のポリオールコンパウンドの製造方法。
【請求項3】
前記粒子状増粘剤成分が、タルクである請求項1又は2記載のポリオールコンパウンドの製造方法。
【請求項4】
前記反応触媒が、高分子触媒及び/又はDOTDLである請求項1乃至3の何れかに記載のポリオールコンパウンドの製造方法。
【請求項5】
前記ポリオールの一部、アマイド及び/又はシリコン滑剤、反応触媒、及び酸化防止剤を予め溶融混合し、この溶融混合物に残余のポリオール、粒子状増粘剤成分を120℃以下の温度で攪拌混合した後、70℃以下の温度に温度調節する請求項2乃至4の何れかに記載のポリオールコンパウンドの製造方法。

【公開番号】特開2008−179746(P2008−179746A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16089(P2007−16089)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000239080)福岡パッキング株式会社 (12)
【Fターム(参考)】