説明

ポリクロロプレン系ラテックスの製造方法、及び組成物

水系接着剤の原料として使用した際に、特にEVA素材に対して優れた接着強度を示すポリクロロプレンラテックスを提供する。 エチレン−酢酸ビニル共重合体を、クロロプレン単量体単独又はクロロプレン単量体及びクロロプレンと共重合可能な単量体との混合物に溶解して得られる単量体溶液を乳化剤及び/又は分散剤を含む水溶液中に乳化分散せしめ、重合を行うことにより、ポリクロロプレン系ラテックスを製造する。得られたポリクロロプレン系ラテックスは、特にEVA素材に対する接着強度を改良できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、水系接着剤の原料として好適なポリクロロプレン系ラテックスの製造方法、及びその製造方法によって製造されたポリクロロプレン系ラテックス組成物に関する。
本発明によって得られたポリクロロプレン系ラテックス組成物は、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下EVAと称す)を含む素材を被着体を接着するのに用いる水系接着剤の原料として好適に用いることが出来る。
【背景技術】
製靴業、特にスポーツ・シューズの製造においては、中敷やミッドソール等の部位にEVA発泡体などのEVA素材が頻繁に使用されている。従来、これらEVAを接着する際には、ポリクロロプレン系を始めとする溶剤系の接着剤が使用されてきた。しかしながら、溶剤系接着剤の場合、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の有機溶剤が多量に用いられていることから、作業員の安全衛生面、環境面で好ましくなかった。
そのため、接着剤の水性化の要求が年々高まってきており、既に幾つかの提案がなされている。(特開2000−303043号公報(第2頁;請求項3、第3〜5頁;実施例1〜6、特開2001−19805号公報(第2頁;請求項4、第4〜5頁;実施例1〜3を参照。)しかし、これら従来の水系接着剤では、常態強度や耐水強度が不足しており、実用上は種々の問題点が残されていた。
【発明の開示】
本発明は、かかる現状を鑑み、特にEVA素材を接着するに用いる水系接着剤の原料として使用された場合に、従来使用されてきた溶剤系接着剤による接着方法に匹敵する接着強度を与える、ポリクロロプレン系ラテックス組成物、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、エチレン−酢酸ビニル共重合体をクロロプレン単量体単独、又はクロロプレン単量体及びクロロプレンと共重合可能な単量体との混合物に溶解し、得られる単量体溶液を乳化剤及び/又は分散剤を含む水溶液中に乳化分散せしめて重合を行うことによって製造されたポリクロロプレン系ラテックスが、特にEVA系被着体に対し良好な接着強度を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成を要旨とするものである。
(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体をクロロプレン単量体単独、又はクロロプレン単量体及びクロロプレンと共重合可能な単量体との混合物に溶解し、得られる単量体溶液を、乳化剤及び/又は分散剤を含む水溶液中に乳化分散せしめて重合を行うことを特徴とするポリクロロプレン系ラテックスの製造方法。
(2)上記(1)に記載の方法において、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体におけるエチレン/酢酸ビニル(質量比)が60/40〜95/5の範囲であるポリクロロプレン系ラテックスの製造方法。
(3)上記(1)又は(2)に記載の方法において、前記分散剤としてポリビニルアルコールを用いるポリクロロプレン系ラテックスの製造方法。
(4)上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の方法において、前記クロロプレンと共重合可能な単量体としてメタクリル酸を用いるポリクロロプレン系ラテックスの製造方法。
(5)上記(1)〜(4)の何れか1項に記載した方法において、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体を、重合に使用される、単量体又は単量体混合物の20〜80質量%に溶解し、得られる単量体溶液を乳化剤及び/又は分散剤を含む水溶液中に乳化分散せしめて重合を開始し、重合開始後に残りの単量体又は単量体混合物を重合系内へ添加するポリクロロプレン系ラテックスの製造方法。
(6)上記(1)〜(5)の何れか1項に記載の方法において、製造されたポリクロロプレン系ラテックス組成物。
(7)上記(6)に記載のポリクロロプレン系ラテックス組成物を使用した水系接着剤。
(8)被接着体がエチレン−酢酸ビニル共重合体を含む素材である上記(7)に記載の水系接着剤。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の内容を詳細に説明する。本発明で使用されるクロロプレンは、2−クロロ−1,3−ブタジエンとも呼ばれるものであり、工業的にはアセチレンからモノビニルアセチレンを経由して製造される所謂アセチレン法や、ブタジエンから3,4−ジクロロ−1−ブテンを経由して製造される所謂ブタジエン法が知られている。
また、本発明で使用されるクロロプレンと共重合可能な単量体としては、例えば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸又はそのエステル類、メタクリル酸又はそのエステル類等が挙げられ、必要に応じて2種類以上用いても構わない。特に、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸に代表される不飽和カルボン酸を共重合させることは、接着力の点から好ましい。クロロプレンとの共重合性の観点からは、特にメタクリル酸の共重合がより好ましい。
本発明で、クロロプレン単量体及びクロロプレンと共重合可能な単量体との混合物を使用する場合、両者の使用比率については特に限定されない。しかし、共重合可能な単量体として不飽和カルボン酸を使用する場合、接着強度や乳化安定性などの理由により、クロロプレン単量体/不飽和カルボン酸(質量比)が好ましくは99.5/0.5〜90/10、特に好ましくは99/1〜95/5にせしめられる。
乾燥後の接着剤層の風合いを柔らかくするためや、粘着保持時間を延長するなどの目的で共重合可能な単量体として不飽和カルボン酸以外を使う場合もあるが、その場合にはクロロプレン単量体/クロロプレンと共重合可能な単量体(質量比)は、好ましくは99/1〜50/50、特に好ましくは98/2〜90/10にせしめられる。
クロロプレンと共重合可能な単量体として、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸以外の単量体を併用することも可能であるが、この場合、クロロプレン単量体/不飽和カルボン酸/不飽和カルボン酸以外のクロロプレンと共重合可能な単量体(質量比)は、好ましくは98〜50/0.5〜10/1〜50であり、更に好ましくは98〜90/1〜5/2〜10にせしめられる。
本発明に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下EVA)は、エチレンと酢酸ビニルを共重合したものであるが、そのエチレン/酢酸ビニルの共重合比率、共重合方法等は特に限定されるものではなく、何れのEVAも使用可能である。しかし、接着強度の観点からは,エチレン/酢酸ビニル(質量比)が、好ましくは60/40〜95/5、特に好ましくは70/30〜85/15である、エチレン比率の高いEVAを使用することが好ましい。またエチレン、酢酸ビニル以外の他のモノマー、例えばアクリル酸エステルが共重合されているEVAでも使用可能である。
本発明では、EVAは、クロロプレン単量体単独、又はクロロプレン単量体及びクロロプレンと共重合可能な単量体との混合物に溶解させ、得られる単量体溶液を乳化重合によって、クロロプレン単量体単独又はクロロプレン単量体及びクロロプレンと共重合可能な単量体を重合させ、ポリクロロプレン系ラテックスを製造する。クロロプレン単量体単独、又はクロロプレン単量体及びクロロプレンと共重合可能な単量体との混合物に対するEVAの溶解量は、特に限定されないが、溶解性や接着強度の理由により、単量体100質量部に対してEVAが好ましくは1〜50質量部、特に好ましくは5〜20質量部であるのが好適である。
本発明のポリクロロプレン系ラテックスの乳化重合に使用される乳化剤及び/又は分散剤は特に限定されるものではない。また、これら乳化剤と分散剤とは異なる物質でもよく、同じ物質でもよい。ここで、乳化剤と表面活性剤の1種で、少量添加することによって安定な乳濁液を容易に調製できる物質であり、界面活性剤、石鹸類、ロジン、アラビヤゴム、アルブミン、寒天などが知られている。また、分散剤とは、微粒子をゴムや液体中へ分散しやすくする物質であり、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、界面活性剤、アルミナ、タルクなどが知られている。
本発明における乳化剤及び/又は分散剤としては、クロロプレンラテックスに使用されている各種のアニオン型、ノニオン型、又はカチオン型の界面活性剤が使用できる。アニオン型の例としては、カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型等があり、例えば、ロジン酸のアルカリ金属塩、炭素数が8〜20個のアルキルスルホネート、アルキルアリールサルフェート、ナフタリンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物等が挙げられる。ノニオン型の例としては、ポリビニルアルコール又はその共重合体(例えば、アクリルアミドとの共重合体)、ポリビニルエーテル又はその共重合体(例えば、マレイン酸との共重合体)、ポリビニルピロリドン又はその共重合体(例えば、酢酸ビニルとの共重合体)、あるいは、これら(共)重合体を化学修飾したもの、あるいは、セルロース系誘導体(ヒドロキシエチルセルロース)等を挙げることができる。カチオン型の例としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩等があり、例えば、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
本発明においては、ノニオン型の乳化剤及び/又は分散剤を用いることが好ましく、より好ましくはポリビニルアルコールの使用である。
本発明におけるポリクロロプレン系ラテックスを製造する重合における乳化剤及び/又は分散剤の添加量は、初期仕込み単量体の合計100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部、特に好ましくは1〜5質量部である。上記添加量が0.5質量部未満の場合には、乳化力が十分でなく、20質量部を超えると耐水接着力を低下させてしまう。本発明における重合温度は特に限定されるものではないが、重合反応を円滑に行うために、重合温度を0〜50℃とすることが好ましい。
重合の開始剤としては、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、第3−ブチルヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物などが好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。
重合には、分子量を調整する目的で、連鎖移動剤を使用するのが一般的であるが、用いる連鎖移動剤の種類は特に限定されるものではなく、通常クロロプレンの乳化重合に使用されるものが使用できる。例えばn−ドデシルメルカプタンやtert−ドデシルメルカプタン等の長鎖アルキルメルカプタン類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドやジエチルキサントゲンジスルフィド等のジアルキルキサントゲンジスルフィド類、ヨードホルム等の公知の連鎖移動剤を使用できる。
ポリクロロプレンの重合停止剤(重合禁止剤)は特に限定するものでなく、例えば、2,6−ターシャリーブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン、ヒドロキシアミン等が使用できる。
本発明において、クロロプレン単量体単独、又はクロロプレン単量体及びクロロプレンと共重合可能な単量体を乳化重合させる手段としては既知のものが使用される。乳化重合においては、クロロプレン単量体単独又はクロロプレン単量体及びクロロプレンと共重合可能な単量体との混合物は、必ずしもその全量を同時に重合系に供給する必要はなく、重合系に対して分割して供給することができる。例えば、重合に使用される、単量体又は単量体混合物の一部、好ましくは全体の20〜80質量%を使用してEVAを溶解し、得られる単量体溶液について乳化重合を開始し、重合開始後に残りの単量体又は単量体混合物を同時に又は逐次に分割して重合系に添加して重合を行うことができる。この場合には、単量体の重合反応を制御しやすくなるという利点がある。
ポリクロロプレンの最終重合率は、特に限定するものではなく、任意に調節することができ、未反応のモノマーは脱モノマー操作によって除去されるが、その方法は特に限定するものではない。
本発明のポリクロロプレン系ラテックスは、濃縮あるいは、水等の添加で希釈することで、ラテックス中の固形分濃度を必要な濃度に制御することができる。濃縮の方法としては、減圧濃縮などがあるが、特に限定するものではない。
本発明におけるポリクロロプレン系ラテックスの構造は、特に限定されるものではないが、重合温度、重合開始剤、連鎖移動剤、重合停止剤、最終重合率、脱モノマー、濃縮条件等を適切に選定、制御することで、固形分濃度、トルエン可溶部の分子量、トルエン不溶分(ゲル含有量)等を調整することが可能である。
初期接着力と常態接着力のバランスの点からは、ポリクロロプレン系ラテックス中の(共)重合体のゲル含有量を好ましくは3〜60質量%、特に好ましくは20〜40質量%に調整することが好ましい。
本発明のポリクロロプレン系ラテックス組成物を水系接着剤として用いる場合には、初期接着力、耐水接着力、粘着保持時間等の特性をより実用的にバランスするために、粘着付与樹脂をポリクロロプレン系ラテックス組成物の固形分100質量部に対して好ましくは10〜100質量部配合することが好ましい。
水系接着剤に粘着付与樹脂を配合する場合、その種類は特に限定されるものではない。具体的には、ロジン樹脂、重合ロジン樹脂、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂、C5留分系石油樹脂、C9留分系石油樹脂、C5/C9留分系石油樹脂、DCPD系石油樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、クマロンインデン樹脂などが挙げられる。十分な初期接着力を得るためには、軟化点温度が50〜160℃の樹脂が好ましい。
粘着付与樹脂の添加方法は特に限定されるものではないが、ラテックス組成物中に樹脂を均一に分散させるために、水性エマルジョンとしてから添加することが好ましい。ここで、粘着付与樹脂を水性エマルジョンにする方法としては、(a)粘着付与樹脂をトルエン等の有機溶剤に溶解した溶液を、乳化剤を用いて水中に乳化/分散させた後、有機溶剤を減圧しながら加熱してとり除く方法や、(b)粘着付与樹脂を微粒子に粉砕してから乳化剤を用いて水中に乳化分散させる方法などがあるが、より微粒子のエマルジョンが作製できる前者が好ましい。
本発明のポリクロロプレン系ラテックス組成物には、上述した以外にも、要求性能に合わせて、増粘剤、金属酸化物、充填剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、消泡剤等を任意に添加できる。
本発明の接着剤の用途は特に限定されるものではなく、種々の分野で好適に用いられるが、特にEVA製の被着体を接着するのに好適であり、靴産業における中敷き用積層体や、ミッドソールの接着等に有用である。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。なお、以下の説明において特に断りのない限り部及び%は質量基準で表す。
[実験例1]
内容積3リットルの反応器を用いて、窒素雰囲気中で、水96部にポリビニルアルコール(PVA403:クラレ製)3.5部を60℃で溶解させ、ポリビニルアルコール水溶液を調製した。
一方、クロロプレン単量体98.5部とメタクリル酸1.5部の混合物にEVA(EV270:三井デュポンポリケミカル製)5部を溶解した。このEVAの単量体溶液にオクチルメルカプタン0.4部を加えた後、室温近くまで冷却した上記ポリビニルアルコール水溶液に混合し、乳濁液とした。この乳濁液を45℃に保持しながら亜硫酸ナトリウムと過硫酸カリウムを開始剤として重合させ、ポリクロロプレンラテックスを得た。次に、このポリクロロプレンラテックスに20%ジエタノールアミン水溶液を添加してpHを7に調製し、減圧加温により濃縮し、固形分を50重量%になるように調整した。
実験例1で得られたポリクロロプレンラテックスを用い、表1に示す接着剤配合処方で配合し、水系接着剤を得た。
被着体として、120mm(縦)×120mm(横)×5mm(厚)のEVA発泡シート、及び同サイズのキャンバス製織布を準備した。EVA発泡シートの表面に上記で調製した水系接着剤50g/m(ウェット基準)を刷毛にて塗布した。室温で30秒間放置後、織布を貼り合わせ、150℃で15秒間0.8kg/cmで圧着した。室温で1時間放置した後、120℃で90秒加温し、その後コールドプレスで0.5MPaにて圧着してサンプルを得た。
[常態強度]
上記で得たサンプルを、室温で1日間養生した後、20mm幅にて試験片を切り出した。この試験片についてT型剥離試験(JIS K 6854−3)を実施し、常態強度とした。結果は表1にまとめた。
[耐水強度]
上記で得たサンプルを、室温で1日間養生した後、純水中に2日間浸漬した。水中から取り出したサンプルの水分を拭き取った後、20mm幅にて試験片を切り出した。この試験片にてT型剥離試験(JIS K 6854−3)を実施し、耐水強度とした。結果は表1にまとめた。
【実施例2】
単量体に溶解したEVAの種類をEV250(三井デュポンポリケミカル製)に変えた以外は実施例1と同様にポリクロロプレンラテックスを製造し、かつ試験を実施した。結果は表1にまとめた。
「比較例1」
EVAを単量体に溶解しなかった以外は実施例1と同様にポリクロロプレンラテックスを製造し、かつ試験を実施した。結果は表1にまとめたが、常態強度、耐水強度とも実施例に較べ大幅に低下していることが判る。
「比較例2」
比較例1と同様にEVAを単量体に溶解しないで重合を実施してポリクロロプレンラテックスを製造し、該ラテックスを使用した接着剤調製を行う際にEVA水性分散体(レゼムEV−3,固形分32%:中京油脂製)を添加した。この接着剤を使用して比較例1と同じ試験を行った結果は表1にまとめたが、常態強度は良好なものの、耐水強度の低下は実施例に比較して大きなものであった。

【産業上の利用可能性】
表1からも明らかな如く、本発明で製造されるポリクロロプレン系ラテックス組成物は、EVA系素材に対し優れた接着特性を示し、製靴分野を始めとする広い用途で有用に使用できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−酢酸ビニル共重合体をクロロプレン単量体単独、又はクロロプレン単量体及びクロロプレンと共重合可能な単量体との混合物に溶解し、得られる単量体溶液を、乳化剤及び/又は分散剤を含む水溶液中に乳化分散せしめて重合を行うことを特徴とするポリクロロプレン系ラテックスの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体におけるエチレン/酢酸ビニル(質量比)が60/40〜95/5の範囲であるポリクロロプレン系ラテックスの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、前記分散剤としてポリビニルアルコールを用いるポリクロロプレン系ラテックスの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の方法において、前記クロロプレンと共重合可能な単量体としてメタクリル酸を用いるポリクロロプレン系ラテックスの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載した方法において、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体を、重合に使用される、単量体又は単量体混合物の20〜80質量%に溶解し、得られる単量体溶液を乳化剤及び/又は分散剤を含む水溶液中に乳化分散せしめて重合を開始し、重合開始後に残りの単量体又は単量体混合物を重合系内へ添加するポリクロロプレン系ラテックスの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の方法において、製造されたポリクロロプレン系ラテックス組成物。
【請求項7】
請求項6に記載のポリクロロプレン系ラテックス組成物を使用した水系接着剤。
【請求項8】
被接着体がエチレン−酢酸ビニル共重合体を含む素材である請求項7に記載の水系接着剤。

【国際公開番号】WO2004/104061
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506418(P2005−506418)
【国際出願番号】PCT/JP2004/007298
【国際出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】