説明

ポリジエンを製造するためのバルク重合法

【課題】高レベルの触媒を使用する必要なしに、商業上望ましいムーニー粘度を有するシス−1,4−ポリジエンを製造するための、ランタニド系の触媒系を利用した、改良バルク重合法の提供。
【解決手段】単量体、有機溶媒及び生成した重合体の全重量に対して20重量%未満の有機溶媒の存在下、共役ジエン単量体をランタニド系の触媒系に接触させる工程を含み、該共役ジエン単量体は液相であり、ランタニド系の触媒系が、(a)特定のランタニド化合物、(b)有機アルミニウム水素化物、(c)トリヒドロカルビルアルミニウム並びに(d)元素状態のハロゲン、ハロゲン混合物、ハロゲン化水素、有機ハロゲン化合物、非金属無機ハロゲン化物、金属ハロゲン化物、及び有機金属ハロゲン化物からなる群から選択されるハロゲン含有化合物、の組み合わせ若しくは反応生成物を含むことを特徴とするシス−1,4−ポリジエンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランタニド系の触媒系でシス−1,4−ポリジエンを製造するためのバルク重合法に関する。
【背景技術】
【0002】
バルク重合(塊状重合とも呼ばれる)においては、通常、反応媒体は無溶媒であり、即ち、単量体は如何なる溶媒も存在しない状態で重合し、実質的に単量体それ自体が希釈剤として作用する。バルク重合は単量体と触媒のみを含むので、汚染の可能性が最も小さく、生成物の分離が容易である。また、新規プラント設備能力のための資本コストがより安価であること、操業のエネルギーコストがより低廉であること、及び操業するための人員がより少ないこと等の多くの経済的利点をもたらす。また、無溶媒であるという特徴は、排気及び排水汚染の低減と共に環境上の利点ももたらす。
【0003】
それにもかかわらず、バルク重合は非常に注意深い温度制御を必要とし、また、重合系の粘度が非常に高くなる可能性があるので、強力で複雑な攪拌装置を必要とする。希釈剤の添加がない場合、セメントの粘度及び発熱の影響が温度制御を非常に難しくする。また、高温ではシス−1,4−ポリブタジエンは1,3−ブタジエン単量体に不溶である。従って、バルク重合は低温で操業することが好ましい。
【0004】
ランタニド化合物、アルキル化剤、及びハロゲン源を含む触媒系は、共役ジエン単量体の重合に有用である。それらは高い立体特異性を有し、また、シス−1,4−結合含有量が高い共役ジエン重合体を製造できる。生成したシス−1,4−ポリジエンは直鎖状の骨格構造を有し、優れたグリーン強度を示し、また、優れた粘弾性特性を有する。直鎖状の骨格構造は、ゴム配合物において、より良好な引張り特性、より高い耐摩耗性、より低いヒステリシスロス、及び優れた耐疲労性をもたらすものと考えられる。それゆえ、これらシス−1,4−ポリジエンは、サイドウォール及びトレッド等のタイヤ部材に使用するのに特に適している。
【0005】
市販のランタニド触媒系は、ランタニド化合物としてネオジムカルボン酸塩、アルキル化剤としてトリアルキルアルミニウム又はジアルキルアルミニウム水素化物、及びハロゲン源としてアルキルアルミニウムハロゲン化物を含む3成分系の触媒系である。これら触媒によって製造されたシス−1,4−ポリブタジエンの分子量は、主として重合温度、単量体の濃度、触媒の濃度、及び有機アルミニウム化合物のランタニド化合物に対する比率に影響される。この分子量は、重合温度がより低く、単量体の濃度がより高く、触媒の濃度がより低く、有機アルミニウム化合物のランタニド化合物に対する比率がより低い場合に、高くなる。
【0006】
ランタニド系触媒の多くの利点にもかかわらず、それらを1,3−ブタジエンのバルク重合に用いる場合、重合温度が低いことと単量体の濃度が高いこととが組み合わさって、分子量が過度に高いシス−1,4−ポリブタジエンが生成し、この過度に高い分子量によりムーニー粘度が過度に高くなり、加工が難しくなる。
【0007】
ランタニド系の触媒系により製造されるシス−1,4−ポリブタジエンの分子量を低減するための一つの方法は、非常に高濃度の触媒を使用すること又は有機アルミニウム化合物のランタニド化合物に対する比率を非常に高くすることであるが、それらの何れも、触媒費用が非常に高くなるという結果を招く。また、高レベルの触媒を使用することは、重合体からの触媒残留物の除去を必要とし、更に、この除去(脱灰とも呼ばれる)は、時間がかかり、費用が増える。
【0008】
また、ランタニド系の触媒系により製造されるシス−1,4−ポリブタジエンの分子量は、これら触媒系が偽リビング挙動を示し、単量体の転換と共に分子量が上昇するため、単量体の転化率を低下させることによって減少させることができる。残念ながら、単量体の転化率を低下させると、生産性が低下する。加えて、単量体の転化率が低下した場合、特定の触媒量で製造される重合体の量も低下する。
【0009】
また、アルキル化剤としてトリアルキルアルミニウムの代わりにジアルキルアルミニウム水素化物を用いると、ランタニド系触媒により製造されるシス−1,4−ポリブタジエンの分子量が低下する。ジアルキルアルミニウム水素化物は、トリアルキルアルミニウムより優れた連鎖移動剤であり、それゆえ、トリアルキルアルミニウムに比べてジアルキルアルミニウム水素化物がより少ないことが目的の分子量を得るために必要である。それゆえ、ジアルキルアルミニウム水素化物の使用で、費用が減る。しかし、低温バルク重合でジアルキルアルミニウム水素化物を使用することには、深刻な欠点がある。低温では、ジアルキルアルミニウム水素化物は、オリゴマー(3量体等)の形態で存在することが知られており、これは高温でのみ分解して単量体になる。ジアルキルアルミニウム水素化物のオリゴマー構造体は、触媒活性を低下させる。そして、生成する重合体は、非常に広い分子量分布を有し且つ極めて分子量が高い物質の画分を含み、該画分が加工及び粘弾性特性に影響を及ぼす。広い分子量分布は、一般的にゴム加硫物において、より高いヒステリシスロスをもたらす。非常に高い分子量画分は、配合物のムーニー粘度が高いこと及び溶液粘度が高いことの原因となる。配合物のムーニー粘度が高いことは、加工性及びゴム配合物のスコーチ安全性に悪影響を及ぼし、また、該シス−1,4−ポリブタジエンをハイインパクトポリスチレンの製造に使用した場合、溶液粘度の高さが不利となる。更に、シス−1,4−ポリブタジエンの合成中に溶液の粘度が高いと、重合体セメントの攪拌及び移動が困難になり、重合熱を取り除く能力が減少し、このことが、製造中に到達可能な重合体濃度を制限する。
【0010】
それゆえ、高レベルの触媒を使用する必要なしに、商業上望ましいムーニー粘度を有するシス−1,4−ポリジエンを製造するための、ランタニド系の触媒系を利用した、改良バルク重合法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
概して、本発明は、単量体、有機溶媒、及び生成した重合体の全重量に対して20重量%未満の有機溶媒の存在下、共役ジエン単量体をランタニド系の触媒系に接触させる工程を含み、該ランタニド系の触媒系が、(a)ランタニド化合物、(b)有機アルミニウム水素化物、(c)トリヒドロカルビルアルミニウム、及び(d)ハロゲン含有化合物の組み合わせ若しくは反応生成物であることを特徴とするシス−1,4−ポリジエンの製造方法を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、意外なことに、バルク重合法において共役ジエンを重合するためにランタニド系の触媒系を使用した場合に、アルキル化剤として有機アルミニウム水素化物及びトリヒドロカルビルアルミニウムの両方を使用することが有利であることが見出された。例えば、本発明のバルク重合法は、触媒活性を著しく犠牲にしたり、重合体の分子量分布を増加させることなく、低分子量のシス−1,4−ポリブタジエンを製造するのを可能にする。結果として、比較的高レベルの触媒を使用したり、有機アルミニウムのランタニドに対する比率を増加させる必要なしに、分子量分布が狭く且つ商業的に望ましいムーニー粘度を有するシス−1,4−ポリブタジエンを都合良く製造することができる。また、有機アルミニウム水素化物及びトリヒドロカルビルアルミニウムの組み合わせが、特定の実施態様において、バルク重合での触媒活性を増加させることを見出した。
【0013】
従って、(a)ランタニド化合物、(b)有機アルミニウム水素化物、(c)トリヒドロカルビルアルミニウム、及び(d)ハロゲン含有化合物を含むランタニド系触媒組成物の存在下、バルク重合法により共役ジエンを重合させる。
【0014】
触媒組成物の成分(a)として、様々なランタニド化合物又はその混合物を使用できる。これらの化合物は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、又は脂環式炭化水素等の炭化水素に溶解することが好ましい。しかしながら、炭化水素に不溶のランタニド化合物も、重合媒体中に懸濁して触媒作用上の活性種の形成できるので有用である。さらに、テトラヒドロフラン、アセチルアセトン、ピリジン、又はアルコール等のルイス塩基を、これらランタニド化合物を溶解させるための補助として使用してもよい。
【0015】
ランタニド化合物は、ランタン、ネオジム、セリウム、プラセオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、及びジジムの少なくとも一種の原子を含む。これらの化合物は、ネオジム、ランタン、サマリウム、又はジジムを含むことが好ましい。ジジムは、モナズ砂から得た希土類元素の市販の混合物である。
【0016】
ランタニド化合物中のランタニド原子は、特に限定されるものではないが、0、+2、+3、及び+4酸化状態等の様々な酸化状態をとることができる。ランタニド原子が+3の酸化状態にある3価のランタニド化合物が好ましい。特に限定されるものではないが、好適なランタニド化合物としては、ランタニドカルボン酸塩、ランタニド有機リン酸塩、ランタニド有機ホスホン酸塩、ランタニド有機ホスフィン酸塩、ランタニドカルバミン酸塩、ランタニドジチオカルバミン酸塩、ランタニドキサントゲン酸塩、ランタニドβ−ジケトナート、ランタニドアルコキシド若しくはアリールオキシド、ランタニドハロゲン化物、ランタニド偽ハロゲン化物、ランタニドオキシハロゲン化物、及び有機ランタニド化合物が挙げられる。ランタニドハロゲン化物、ランタニドオキシハロゲン化物、又は不安定なハロゲン原子を含む他のランタニド化合物を使用する場合、ランタニド含有化合物は、触媒組成物の成分(a)及び成分(d)の両方、即ち、ハロゲン含有化合物として作用することができる。
【0017】
ネオジム化合物系の触媒が一般に他のランタニド化合物系の触媒よりも高い活性を生じるため、ネオジム化合物を用いることが最も有利である。したがって、当業者はその他のランタニド金属系の類似化合物を選択できるであろうが、ネオジウム化合物に焦点を当て更に議論する。
【0018】
好適なネオジムカルボン酸塩としては、ネオジムギ酸塩、ネオジム酢酸塩、ネオジムアクリル酸塩、ネオジムメタクリル酸塩、ネオジム吉草酸塩、ネオジムグルコン酸塩、ネオジムクエン酸塩、ネオジムフマル酸塩、ネオジム乳酸塩、ネオジムマレイン酸塩、ネオジムシュウ酸塩、ネオジム2−エチルヘキサノエート、ネオジムネオデカノエート、ネオジムナフテン酸塩、ネオジムステアリン酸塩、ネオジムオレイン酸塩、ネオジム安息香酸塩及びネオジムピコリン酸塩が挙げられる。
【0019】
好適なネオジム有機リン酸塩としては、ネオジムジブチルリン酸塩、ネオジムジペンチルリン酸塩、ネオジムジヘキシルリン酸塩、ネオジムジヘプチルリン酸塩、ネオジムジオクチルリン酸塩、ネオジムビス(1−メチルヘプチル)リン酸塩、ネオジムビス(2−エチルヘキシル)リン酸塩、ネオジムジデシルリン酸塩、ネオジムジドデシルリン酸塩、ネオジムジオクタデシルリン酸塩、ネオジムジオレイルリン酸塩、ネオジムジフェニルリン酸塩、ネオジムビス(p−ノニルフェニル)リン酸塩、ネオジムブチル(2−エチルヘキシル)リン酸塩、ネオジム(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)リン酸塩、及びネオジム(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)リン酸塩が挙げられる。
【0020】
好適なネオジム有機ホスホン酸塩としては、ネオジムブチルホスホン酸塩、ネオジムペンチルホスホン酸塩、ネオジムヘキシルホスホン酸塩、ネオジムヘプチルホスホン酸塩、ネオジムオクチルホスホン酸塩、ネオジム(1−メチルヘプチル)ホスホン酸塩、ネオジム(2−エチルヘキシル)ホスホン酸塩、ネオジムデシルホスホン酸塩、ネオジムドデシルホスホン酸塩、ネオジムオクタデシルホスホン酸塩、ネオジムオレイルホスホン酸塩、ネオジムフェニルホスホン酸塩、ネオジム(p−ノニルフェニル)ホスホン酸塩、ネオジムブチルブチルホスホン酸塩、ネオジムペンチルペンチルホスホン酸塩、ネオジムヘキシルヘキシルホスホン酸塩、ネオジムヘプチルヘプチルホスホン酸塩、ネオジムオクチルオクチルホスホン酸塩、ネオジム(1−メチルヘプチル)(1−メチルヘプチル)ホスホン酸塩、ネオジム(2−エチルヘキシル)(2−エチルヘキシル)ホスホン酸塩、ネオジムデシルデシルホスホン酸塩、ネオジムドデシルドデシルホスホン酸塩、ネオジムオクタデシルオクタデシルホスホン酸塩、ネオジムオレイルオレイルホスホン酸塩、ネオジムフェニルフェニルホスホン酸塩、ネオジム(p−ノニルフェニル)(p−ノニルフェニル)ホスホン酸塩、ネオジムブチル(2−エチルヘキシル)ホスホン酸塩、ネオジム(2−エチルヘキシル)ブチルホスホン酸塩、ネオジム(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスホン酸塩、ネオジム(2−エチルヘキシル)(1−メチルヘプチル)ホスホン酸塩、ネオジム(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスホン酸塩、及びネオジム(p−ノニルフェニル)(2−エチルヘキシル)ホスホン酸塩が挙げられる。
【0021】
好適なネオジム有機ホスフィン酸塩としては、ネオジムブチルホスフィン酸塩、ネオジムペンチルホスフィン酸塩、ネオジムヘキシルホスフィン酸塩、ネオジムヘプチルホスフィン酸塩、ネオジムオクチルホスフィン酸塩、ネオジム(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸塩、ネオジム(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸塩、ネオジムデシルホスフィン酸塩、ネオジムドデシルホスフィン酸塩、ネオジムオクタデシルホスフィン酸塩、ネオジムオレイルホスフィン酸塩、ネオジムフェニルホスフィン酸塩、ネオジム(p−ノニフェニル)ホスフィン酸塩、ネオジムジブチルホスフィン酸塩、ネオジムジペンチルホスフィン酸塩、ネオジムジヘキシルホスフィン酸塩、ネオジムジヘプチルホスフィン酸塩、ネオジムジオクチルホスフィン酸塩、ネオジムビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸塩、ネオジムビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸塩、ネオジムジデシルホスフィン酸塩、ネオジムジドデシルホスフィン酸塩、ネオジムジオクタデシルホスフィン酸塩、ネオジムジオレイルホスフィン酸塩、ネオジムジフェニルホスフィン酸塩、ネオジムビス(p−ノニフェニル)ホスフィン酸塩、ネオジムブチル(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸塩、ネオジム(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸塩、及びネオジム(2−エチルヘキシル)(p−ノニフェニル)ホスフィン酸塩が挙げられる。
【0022】
好適なネオジムカルバミン酸塩としては、ネオジムジメチルカルバミン酸塩、ネオジムジエチルカルバミン酸塩、ネオジムジイソプロピルカルバミン酸塩、ネオジムジブチルカルバミン酸塩、及びネオジムジベンジルカルバミン酸塩が挙げられる。好適なネオジムジチオカルバミン酸塩としては、ネオジムジメチルジチオカルバミン酸塩、ネオジムジエチルジチオカルバミン酸塩、ネオジムジイソプロピルジチオカルバミン酸塩、ネオジムジブチルジチオカルバミン酸塩、及びネオジムジベンジルジチオカルバミン酸塩が挙げられる。
【0023】
好適なネオジムキサントゲン酸塩としては、ネオジムメチルキサントゲン酸塩、ネオジムエチルキサントゲン酸塩、ネオジムイソプロピルキサントゲン酸塩、ネオジムブチルキサントゲン酸塩、及びネオジムベンジルキサントゲン酸塩が挙げられる。好適なネオジムβ−ジケトナートとしては、ネオジムアセチルアセトネート、ネオジムトリフルオロアセチルアセトネート、ネオジムヘキサフルオロアセチルアセトネート、ネオジムベンゾイルアセトネート、及びネオジム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナートが挙げられる。
【0024】
好適なネオジムアルコキシド又はアリールオキシドとしては、ネオジムメトキシド、ネオジムエトキシド、ネオジムイソプロポキシド、ネオジム2−エチルヘキソキシド、ネオジムフェノキシド、ネオジムノニルフェノキシド、及びネオジムナフトキシドが挙げられる。
【0025】
好適なネオジムハロゲン化物としては、フッ化ネオジム、塩化ネオジム、臭化ネオジム、及びヨウ素化ネオジムが挙げられる。好適なネオジム偽ハロゲン化物としては、ネオジムシアン化物、ネオジムシアン酸塩、ネオジムチオシアン酸塩、ネオジムアジド、及びネオジムフェロシアン酸塩が挙げられる。好適なネオジムオキシハロゲン化物としては、ネオジムオキシフッ化物、ネオジムオキシ塩化物、及びネオジムオキシ臭化物が挙げられる。ネオジムハロゲン化物、ネオジム偽ハロゲン化物、及びネオジムオキシハロゲン化物は、一般的に炭化水素に不溶性である。しかしながら、これらの部類のネオジム化合物の可溶化のための補助として、テトラヒドロフラン、アセチルアセトン、ピリジン、又はアルコール等のルイス塩基を用いてもよい。
【0026】
有機ランタニド化合物という用語は、少なくとも一つのランタニド−炭素結合を含む如何なるランタニド化合物にも適用される。これら化合物は、特に限定しないが、主として、シクロペンタジニル(Cp)、置換シクロペンタジエニル、アリル、及び置換アリル配位子を含むものである。好適な有機ランタニド化合物としては、Cp3Ln, Cp2LnR, Cp2LnCl, CpLnCl2, CpLn(シクロオクタテトラエン), (C5Me5)2LnR, LnR3, Ln(アリル)3, およびLn(アリル)2Clが挙げられ、ここで、Lnはランタニド原子を表わし、Rはヒドロカルビル基を表わす。
【0027】
触媒組成物の成分(b)として、様々な有機アルミニウム水素化物を使用できる。「有機アルミニウム水素化物」という用語は、少なくとも一つのアルミニウム−炭素結合及び少なくとも一つのアルミニウム−水素結合を含む如何なるアルミニウム化合物にも適用される。一般的に炭化水素に可溶である有機アルミニウム水素化物を使用することが有利である。
【0028】
有機アルミニウム水素化物の好ましいクラスは、一般式 AlHnR3-n(n=1又は2)で表され、ここで、各Rは、特に限定されるものではないが、アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、アラルキル、アルカリル、アリルおよびアルキニル基等のヒドロカルビル基であり、各基は1個又は当該基を形成するのに適切な最少の炭素原子数〜約20個までの炭素原子を含むのが好ましい。これらのヒドロカルビル基は、特に限定されるものではないが、窒素、酸素、シリコン、硫黄およびリン酸原子等のヘテロ原子を含んでもよい。
【0029】
有機アルミニウム水素化物の好適タイプとしては、特に限定されるものではないが、ジヒドロカルビルアルミニウム水素化物およびヒドロカルビルアルミニウム二水素化物が挙げられる。一般的には、ジヒドロカルビルアルミニウム水素化物が好ましい。
【0030】
好適なジヒドロカルビルアルミニウム水素化物としては、ジエチルアルミニウム水素化物、ジ−n−プロピルアルミニウム水素化物、ジイソプロピルアルミニウム水素化物、ジ−n−ブチルアルミニウム水素化物、ジイソブチルアルミニウム水素化物、ジ−t−ブチルアルミニウム水素化物、ジ−n−ペンチルアルミニウム水素化物、ジネオペンチルアルミニウム水素化物、ジ−n−ヘキシルアルミニウム水素化物、ジ−n−オクチルアルミニウム水素化物、ビス(2−エチルヘキシル)アルミニウム水素化物、ジシクロヘキシルアルミニウム水素化物、ジフェニルアルミニウム水素化物、ジ−p−トリルアルミニウム水素化物、ジベンジルアルミニウム水素化物、フェニルエチルアルミニウム水素化物、フェニル−n−プロピルアルミニウム水素化物、フェニルイソプロピルアルミニウム水素化物、フェニル−n−ブチルアルミニウム水素化物、フェニルイソブチルアルミニウム水素化物、フェニル−n−オクチルアルミニウム水素化物、p−トリルエチルアルミニウム水素化物、p−トリル−n−プロピルアルミニウム水素化物、p−トリルイソプロピルアルミニウム水素化物、p−トリル−n−ブチルアルミニウム水素化物、p−トリルイソブチルアルミニウム水素化物、p−トリル−n−オクチルアルミニウム水素化物、ベンジルエチルアルミニウム水素化物、ベンジル−n−プロピルアルミニウム水素化物、ベンジルイソプロピルアルミニウム水素化物、ベンジル−n−ブチルアルミニウム水素化物、ベンジルイソブチルアルミニウム水素化物およびベンジル−n−オクチルアルミニウム水素化物が挙げられる。ジイソブチルアルミニウム水素化物は、コストが安く炭化水素に対して溶解度が高いので特に好ましい。
【0031】
好適なヒドロカルビルアルミニウム二水素化物としては、エチルアルミニウムアルミニウム二水素化物、n−プロピルアルミニウム二水素化物、イソプロピルアルミニウム二水素化物、n−ブチルアルミニウム二水素化物、イソブチルアルミニウム二水素化物、t−ブチルアルミニウム二水素化物、n−ペンチルアルミニウム二水素化物、ネオペンチルアルミニウム二水素化物、n−ヘキシルアルミニウム二水素化物、n−オクチルアルミニウム二水素化物、2−エチルヘキシルアルミニウム二水素化物、シクロヘキシルアルミニウム二水素化物、フェニルアルミニウム二水素化物、p−トリルアルミニウム二水素化物およびベンジルアルミニウム二水素化物が挙げられる。
【0032】
(C.トリヒドロカルビルアルミニウム)
触媒組成物の成分(c)として、様々なトリヒドロカルビルアルミニウムを用いることとができる。これらのトリヒドロカルビルアルミニウムは炭化水素に可溶であることが好ましい。
【0033】
好適なトリヒドロカルビルアルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリ−n−ペンチルアルミニウム、トリネオペンチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリス(2−エチルヘキシル)アルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリス(1−メチルシクロペンチル)アルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、トリス(2,6−ジメチルフェニル)アルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチルフェニルアルミニウム、ジエチル−p−トリルアルミニウム、ジエチルベンジルアルミニウム、エチルジフェニルアルミニウム、エチルジ−p−トリルアルミニウムおよびエチルジベンジルアルミニウムが挙げられる。
【0034】
触媒組成物の構成成分(d)として、不安定なハロゲン原子を1つもしくはそれ以上含む様々な化合物もしくはその混合物を使用できる。これらの化合物は、単にハロゲン含有化合物と呼ばれることもある。特に限定されるものではないが、ハロゲン原子の例としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。2つもしくはそれ以上のハロゲン原子の組み合わせも、同様に利用できる。炭化水素に可溶であるハロゲン含有化合物が好ましい。しかしながら、炭化水素に不溶のハロゲン含有化合物も、重合媒体中に懸濁して触媒作用上の活性種の形成するので、有用である。
【0035】
ハロゲン含有化合物の有用なタイプとしては、特に限定されるものではないが、元素状態のハロゲン、ハロゲン混合物、ハロゲン化水素、有機ハロゲン化合物、無機ハロゲン化物、金属ハロゲン化物、有機金属ハロゲン化物およびそれらの混合物が挙げられる。好ましいハロゲン含有化合物は、ハロゲン化水素、金属ハロゲン化物および有機金属ハロゲン化物である。
【0036】
好適な元素状態のハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。好適なハロゲン混合物としては、ヨウ素一塩化物、ヨウ素一臭化物、ヨウ素三塩化物およびヨウ素五フッ化物が挙げられる。
【0037】
好適なハロゲン化水素としては、フッ化水素、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素が挙げられる。好適な有機ハロゲン化合物としては、t−ブチルクロライド、t−ブチルブロマイド、アリルクロライド、アリルブロマイド、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、クロロ−ジ−フェニルメタン、ブロモ−ジ−フェニルメタン、トリフェニルメチルクロライド、トリフェニルメチルブロマイド、ベンジリデンクロライド、ベンジリデンブロマイド、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ベンゾイルクロライド、ベンゾイルブロマイド、プロピオニルクロライド、プロピオニルブロマイド、メチルクロロフォルメートおよびメチルブロモフォルメートが挙げられる。
【0038】
好適な無機ハロゲン化物としては、三塩化リン、三臭化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四フッ化シリコン、四塩化シリコン、四臭化シリコン、四ヨウ素化シリコン、三塩化ヒ素、三臭化ヒ素、三ヨウ化ヒ素、四塩化セレン、四臭化セレン、四塩化テルル、四臭化テルルおよび四ヨウ化テルルが挙げられる。
【0039】
好適な金属ハロゲン化物としては、四塩化スズ、四臭化スズ、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三臭化アンチモン、三ヨウ化アルミニウム、三フッ化アルミニウム、三塩化ガリウム、三臭化ガリウム、三ヨウ化ガリウム、三フッ化ガリウム、三塩化インジウム、三臭化インジウム、三ヨウ化インジウム、三フッ化インジウム、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、二塩化亜鉛、二臭化亜鉛、二ヨウ化亜鉛および二フッ化亜鉛が挙げられる。
【0040】
好適な有機金属ハロゲン化物としては、ジメチルアルミニウム塩化物、ジエチルアルミニウム塩化物、ジメチルアルミニウム臭化物、ジエチルアルミニウム臭化物、ジメチルアルミニウムフッ化物、ジエチルアルミニウムフッ化物、メチルアルミニウム二塩化物、エチルアルミニウム二塩化物、メチルアルミニウム二臭化物、エチルアルミニウム二臭化物、メチルアルミニウム二フッ化物、エチルアルミニウム二フッ化物、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、イソブチルアルミニウムセスキクロライド、メチルマグネシウム塩化物、メチルマグネシウム臭化物、メチルマグネシウムヨウ化物、エチルマグネシウム塩化物、エチルマグネシウム臭化物、ブチルマグネシウム塩化物、ブチルマグネシウム臭化物、フェニルマグネシウム塩化物、フェニルマグネシウム臭化物、ベンジルマグネシウム塩化物、トリメチルスズ塩化物、トリメチルスズ臭化物、トリエチルスズ塩化物、トリエチルスズ臭化物、ジ−t−ブチルスズ二塩化物、ジ−t−ブチルスズ二塩化物、ジブチルスズ二塩化物、ジブチルスズ二臭化物、トリブチルスズ塩化物およびトリブチルスズ臭化物が挙げられる。
【0041】
本発明に用いられるランタニド系触媒組成物は、広範囲の触媒濃度および触媒成分比率において、共役ジエンをシス−1,4−ポリジエンに重合させるための高い触媒活性を有する。しかしながら、最も望ましい特性を有する重合体は、より狭い範囲内の触媒濃度および触媒成分比率で得られる。さらに、触媒成分(a),(b),(c),および(d)は相互作用して活性な触媒種を形成する可能性があるものと思われる。従って、どの触媒成分の最適濃度も、他の触媒成分の濃度に依存する。
【0042】
有機アルミニウム水素化物およびトリヒドロカルビルアルミニウムのランタニド化合物に対するモル比は、これら2つの化合物中のアルミニウム原子の全当量の、ランタニド化合物中のランタニド原子の全当量に対する比率(すなわちAl/Ln)という観点で最も良好に記述される。従って、一好適実施態様において、有機アルミニウム水素化物およびトリヒドロカルビルアルミニウムのランタニド化合物に対するモル比(Al/Ln)は、約4:1から約200:1、さらに好ましくは約10:1から約100:1、より一層好ましくは15:1から約75:1の範囲で変化しうる。
【0043】
有機アルミニウム水素化物のトリヒドロカルビルアルミニウムに対するモル比は、約5:95から約80:20、さらに好ましくは約10:90から約50:50、より一層好ましくは約15:85から約40:60の範囲で変化しうる。
【0044】
ハロゲン含有化合物のランタニド化合物に対するモル比は、同様に、ハロゲン含有化合物中のハロゲン原子の全当量の、ランタニド化合物中のランタニド原子の全当量に対する比率として最も良好に記述される。従って、一好適実施態様において、ハロゲン含有化合物のランタニド化合物に対するモル比(ハロゲン原子/Ln)は、約0.5:1から約20:1、さらに好ましくは約1:1から約10:1、より一層好ましくは約2:1から約6:1の範囲で変化しうる。
【0045】
触媒組成物は、触媒成分(a),(b),(c)および(d)の組み合わせもしくは混合によって形成されることが好ましい。活性触媒種は、この組み合わせから生じるものと思われるが、種々の成分乃至構成要素間の相互作用及び反応の度合いは、確実に分っているわけではない。そのため、「触媒組成物」との語句は、成分の単なる混合物、物理的又は化学的誘引力によって生じる種々の成分の錯体、前記成分の化学反応生成物、或いは前記のものの組み合わせを包含するために使用される。
【0046】
触媒組成物は、以下の方法の一つを用いて形成することができる:
【0047】
第1に、触媒組成物を、逐次法又は同時法で、重合される単量体に4つの触媒成分を別々に加えることにより、インサイチューで形成することができる。触媒成分を逐次法で加える場合、まず有機アルミニウム水素化物およびトリヒドロカルビルアルミニウムを順不同で加え、次にランタニド化合物、次いでハロゲン含有化合物を加えることが好ましい。最初の3つの触媒成分を単量体に加えた後、最後の触媒成分、すなわちハロゲン含有化合物を加える前に、混合物を約5分間熟成させることが好ましい。他の混合手順も使用できるが、同様の結果を生じないかもしれない。
【0048】
第2に、触媒組成物を前もって形成してもよい。すなわち4つの触媒成分を、単量体の不存在下、又は、好ましくは少量の一種以上の共役ジエン単量体の存在下、適切な温度、通常約−20℃から約80℃で、重合系の外側で予備混合する。触媒を前もって形成するのに使用できる共役ジエン単量体の具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1、3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエンもしくはそれらの混合物が挙げられる。触媒を前もって形成するために使用する共役ジエン単量体の量は、ランタニド化合物1モルに対して約1から約500モル、より好ましくは約5から250モル、より一層好ましくは10から100モルの範囲とすることができる。生成した予備形成触媒組成物は、必要であれば重合させる単量体に加える前に熟成させることができる。
【0049】
第3に、触媒組成物を、2段階手法を用いて形成してもよい。第1段階は、共役ジエン単量体の不存在下、又は、好ましくは少量の一種以上の共役ジエン単量体の存在下、適切な温度、通常約−20℃から約80℃で、ランタニド化合物を有機アルミニウム水素化物およびトリヒドロカルビルアルミニウムと反応させることを含む。第1段階で使用する共役ジエン単量体の量は、通常、上記のように前もって触媒を形成する場合の使用量と同じである。第2段階では、第1段階で調製した混合物およびハロゲン含有化合物を、重合させる単量体に、逐次法又は同時法で加える。
【0050】
前記手順のいずれにおいても、有機アルミニウム水素化物(成分b)およびトリヒドロカルビルアルミニウム(成分c)を前もって混合してもよく、すなわち、有機アルミニウム水素化物を望ましいモル比でトリヒドロカルビルアルミニウムと混合し、該混合物を他の触媒成分もしくは単量体と接触させる。または、有機アルミニウム水素化物およびトリヒドロカルビルアルミニウムも、重合させる単量体の存在下、インサイチューで予備混合することができる。
【0051】
本発明の重合法は、バルク系内で実行され、該バルク系とは、一般的に、系が、単量体、重合体、及び溶媒の全重量に対して、20重量%未満の有機溶媒、より好ましくは約10重量%未満の有機溶媒、より一層好ましくは約5重量%未満の有機溶媒、なお一層好ましくは約2重量%未満の有機溶媒を系内に含むという事実をさすものである。一実施態様においては、有機溶媒もしくは希釈剤の実質不存在下、即ち、さもなければ重合プロセスに相当な影響を及ぼすであろう量の溶媒の不存在下で、プロセスを実行する。別の言い方をすれば、当業者は、バルク重合法(すなわち、単量体が溶媒として働くプロセス)の利点を評価することとなり、それゆえ本発明のプロセスは、バルク法の実行において見出される利点に悪影響を及ぼすであろう有機溶媒が殆ど存在しないもとで実行することが好ましい。さらにもう1つの実施態様においては、重合系は有機溶媒を欠いている。
【0052】
有機溶媒もしくは希釈剤という用語を、ここでは従来通りに使用し;すなわち、重合しないもしくは生成する重合体の構造中に入らない有機化合物をさす。一般的に、これらの有機溶媒は、触媒組成物に対して不活性である。模範的な有機溶媒は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素および脂環式炭化水素等の騰点が低いもしくは比較的低い炭化水素である。芳香族炭化水素の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼンおよびメシチレンが挙げられる。脂肪族炭化水素の非限定的な例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、イソペンタン、イソヘキサン類、イソペンタン類、イソオクタン類、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル、ケロシンおよび石油スピリットが挙げられる。並びに、脂環式炭化水素の非限定的な例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、およびメチルシクロヘキサンが挙げられる。上記炭化水素の市販の混合物も使用できる。環境上の理由から、脂肪族および脂環式炭化水素が非常に好ましい。低沸点の炭化水素溶媒は、一般的に重合を終了した重合体から分離する。
【0053】
有機溶媒のほかの例としては、油展重合体に一般に使用されるパラフィン系オイル、芳香族オイル、もしくは他の炭化水素オイル等の高分子量の高沸点炭化水素が挙げられる。これらの炭化水素は不揮発性であるので、それらは一般的に分離を必要とせず、重合体中に組み込まれたままである。高分子量の炭化水素の含有量が重合体に対して5重量%未満の場合、重合体の性能特性は、一般的に大きく影響されることはない。
【0054】
一実施態様においては、触媒成分を重合系に運ぶのを容易にするために、少量の有機溶媒を、触媒成分を溶解もしくは懸濁させるためのキャリアとして用いてもよい。もう一つの実施態様では、共役ジエン単量体を触媒のキャリアとして使用できる。
【0055】
本発明で利用するランタニド系触媒組成物は、共役ジエンの重合に非常に高い触媒活性を示す。本発明の一好適実施態様は、1,3−ブタジエンをシス−1,4−ポリブタジエンに重合することを指向するが、本発明のプロセスは、他の共役ジエンをシス−1,4ミクロ構造を有する重合体に重合するのに利用することもできる。重合可能な他の共役ジエンの具体例としては、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエンおよび2,4−ヘキサジエンが挙げられる。更に、本発明の方法は、二種以上の共役ジエンをシス−1,4ミクロ構造を有する共重合体に共重合するのに利用することもできる。
【0056】
本発明による共役ジエンのバルク重合は、触媒的に有効な量の前記触媒組成物の存在下で実行される。重合に使用される総触媒濃度は、総じて、上記成分の純度、重合温度、重合率及び所望の転化率等の種々の因子、並びに他の多くの因子の相互作用に依存する。従って、それぞれの触媒成分を触媒として有効な量使用すべきであるという以外に、特定の総触媒濃度を限定的に述べることはできない。一般的には、ランタニド化合物の使用量は、共役ジエン単量体100gに対して、約0.001から約1mmol、より好ましくは約0.005から5mmol、より一層好ましくは約0.01から約0.2mmolの範囲で変化しうる。
【0057】
上記転化率が約50−60%未満の水準に限定される場合、上記バルク重合を従来の撹拌式タンク反応器で行うことができる。より高い転化率が望まれる場合は、粘性の高いセメントが存在するので、重合下のセメントの動きをピストンにより、或いは実質的にピストンにより促す細長い反応器を用いることが好ましい。例えば、自洗式のシングルスクリューもしくはダブルスクリューの撹拌器によってセメントを押し進める押出機が、この目的に適している。
【0058】
バッチプロセス、連続プロセス、もしくは半連続プロセスとして、前記バルク重合を実施することができる。半連続プロセスでは、既に重合された単量体を置換する必要があるので、単量体を断続的に加える。いずれの場合も、重合は、嫌気条件下で実行されることが好ましい。重合温度は変えてもよい。しかしながら、高温では1,3−ブタジエン単量体に1,4−ポリブタジエンが溶解しないので、重合物の大部分を単相の均一系中に維持するために、低い重合温度を採用することが好ましく、該単相の均一系により、重合体の分子量を厳しく制御することができ、また、均一な重合体生成物が生成する。従って、重合温度は、約0℃から約50℃の範囲が好ましく、約5℃から約45℃がさらに好ましく、約10℃から40℃がより一層好ましい。熱的に制御された反応ジャケットを有する外部冷却装置、反応器に連結した還流コンデンサー装置の使用による単量体の気化および濃縮による内部冷却、或いは、2つの方法の組み合わせによって、重合熱を取り除くことができる。重合を実施する圧力は、単量体の大部分が確実に液相となる圧力が好ましい。
【0059】
本発明によるバルク重合を実施して、重合を終了させる前に、所望の如何なる転化率にもすることができる。しかしながら、高転化率の結果として生じるセメントの高い粘性、並びに、例えば、1,3−ブタジエン単量体中のシス−1,4−ポリブタジエンの溶解度が限定されることに起因して、高転化率で重合体が固相として単量体から分離してしまうことを避けるのが好ましい。したがって、単相の均一系を維持するために、転化率は、約5%から約60%の範囲にあることが好ましく、約10%から約40%がさらに好ましく、約15から30%がより一層好ましい。
【0060】
一旦所望の転化率になったら、触媒を不活性化する重合停止剤を添加することによって重合を停止することができる。一般的に、使用する停止剤はプロトン性化合物であり、該プロトン性化合物としては、特に限定されるものではないが、アルコール、カルボン酸、無機酸、水、もしくはこれらの混合物が挙げられる。通常は、2,6−ジ−ターシャリー−ブチル−4−メチルフェノール等の酸化防止剤を、停止剤と一緒に、又は停止剤の添加前後に添加する。酸化防止剤の使用量は、重合体生成物に対して一般に0.2重量%から1重量%の範囲である。停止剤および酸化防止剤は、純物質として加えることができ、必要であれば、重合系に加える前に炭化水素溶液もしくは共役ジエン単量体に溶解させることができる。
【0061】
都合が良いことに、本発明の低温バルク重合法により調製した重合体は、高温で溶液重合により調製した重合体に較べて、重合完了時により多くの割合のポリマー鎖が活性末端を有する偽リビング特性を高い度合で示す。それゆえ、前記のように重合系に停止剤および酸化防止剤を加える前に、所望の性質を有する変性シス−1,4−ポリブタジエンを生成させるために、様々なカップリング剤もしくは官能化剤を加えて、反応性のポリマー鎖末端と反応させることができる。典型的なカップリング剤もしくは官能化剤としては、特に限定されるものではないが、金属ハロゲン化物、メタロイドハロゲン化物、アルコキシシラン、イミン含有化合物、エステル、エステル−カルボキシレート金属錯体、アルキルエステルカルボキシレート金属錯体、アルデヒドもしくはケトン、アミド、イソシアネート、イソチオシアネート、イミン、およびエポキシドが挙げられる。これらのタイプのカップリングおよび官能化剤は、他にもあるが、米国特許出願第10/296,084号、第10/296,082号および第10/381,829号;米国特許第4,906,706号, 第4,990,573号、第5,064,910号、第5,567,784号、および第5,844,050号;日本国特許出願公開第05-051406A号、第05-059103A号、第10-306113A号、および第11-035633A号に記載されており、参照してここに取り込む。停止剤および酸化防止剤を重合混合物に接触させる前に、カップリングもしくは官能化剤を偽リビング重合体に接触させることが重要である。カップリングもしくは官能化剤の量は、ランタニド化合物1モル当り、約0.01から約100モルの範囲が好ましく、約0.1から約50モルの範囲がさらに好ましく、約0.2から約25モルの範囲がより一層好ましい。
【0062】
重合を停止させたとき、当該技術分野で公知の脱溶媒及び乾燥といった従前の手法を利用して、重合混合物からシス−1,4−ポリジエン生成物を回収することができる。例えば、重合体セメントを近接加熱スクリュー装置(脱溶媒押出機)に通すことによって、重合体をもっとも簡便に回収することができ、該装置内においては、約100℃から約170℃の範囲の温度ならびに大気圧もしくは減圧下において揮発性物質を揮発させることによって取り除く。この処理は、未反応の単量体、触媒とともに導入された低沸点溶媒、並びに、触媒を不活性化するのに必要とされる過剰に導入された水等の停止剤を除去することに役立つ。代わりに、重合体セメントにスチーム脱溶剤を施し、続いて、生成した重合体の小片を熱風トンネル中で乾燥して、重合体を回収してもよい。いずれの場合も、未反応の単量体は、分離され、プロセスに再利用される。乾燥した重合体中の揮発性物質の量は、重合体の1重量%より低いことが好ましく、0.5重量%より低いことがさらに好ましい。
【0063】
本発明のバルク重合法は、操作温度が低いことに起因して立体選択性を向上させ、そのため、シス−1,4−ポリブタジエン等の生成物は、高温での溶液重合により製造される重合体よりもシス−1,4−結合含量が高い。シス−1,4−結合は、約97%を超えていることが好ましく、約98%を超えていることがさらに好ましく、約99%を超えていることがより一層好ましい。
【0064】
また、数平均分子量が約40,000から約250,000、任意に約60,000から約200,000、および任意に80,000から約150,000である重合体を有利に重合することができる。別の言い方をすれば、約10から約80、任意に約20から約70、および任意に約30から約50のムーニー粘度(ML1+4)で、これらの重合体を特徴づけることができる。更に、これら重合体の分子量分布は、約5未満、好適には約4未満、より好適には約3未満となり得る。
【0065】
本発明により製造した重合体の特徴は、多くの用途に対してそれらを有利にする。例えば、シス−1,4−ポリブタジエンは、優れた粘弾性特性を示し、特に限定されるものではないが、タイヤのトレッド、サイドウォール、サブトレッド、およびビードフィラー等の様々なタイヤの構成部材の製造に特に有用である。該シス−1,4−ポリブタジエンは、タイヤストックのエラストラマー成分の全部又は一部として使用することができる。シス−1,4−ポリブタジエンを他のゴムと共に用いてタイヤストックのエラストラマー成分を形成する場合、これら他のゴムは、天然ゴムでも、合成ゴムでも、これらの混合物でもよい。合成ゴムの例としては、ポリイソプレン、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)、低シス−1,4−結合ポリブタジエン、ポリ−(スチレン−co−ブタジエン−co−イソプレン)、およびこれらの混合物が挙げられる。また、シス−1,4−ポリブタジエンは、ホース、ベルト、靴のソール、窓のシール、その他のシール、振動減衰用ゴム、およびその他の工業製品の製造に使用することもできる。
【0066】
本発明の実施の仕方を明らかにするために、以下の例を準備及び試験した。しかしながら、これらの例は、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきものではない。請求の範囲が本発明の範囲を規定する役割を果たす。
【実施例】
【0067】
(例1)
重合反応器は、高粘度の重合体セメントを混合できる機械撹拌機(軸および羽根)を備える1ガロンのステンレスシリンダーを含む。重合を持続している間中反応器内に発生する1,3−ブタジエンの蒸気を濃縮および再利用するための還流コンデンサーシステムに、反応器の上部を連結した。また、反応器に、冷水が流通する冷却ジャケットを設置した。重合熱を、還流コンデンサーシステムでの内部冷却によって部分的に分散させ、また、冷却ジャケットへの熱移による外部冷却により部分的に分散させた。
【0068】
乾燥窒素流によって反応器を完全にパージし、次に、反応器に乾燥1,3−ブタジエン単量体65gを投入し、反応器を65℃に加熱し、更に反応器内に液体の1,3−ブタジエンが残留しなくなるまで還流冷却器の上部から1,3−ブタジエンの蒸気を発散させることによって、乾燥窒素を1,3−ブタジエンの蒸気と置換した。冷却水を還流コンデンサーおよび反応ジャケットに適用し、1302gの1,3−ブタジエン単量体を反応器に加えた。単量体の温度を32℃にした後、1.0Mのジイソブチルアルミニウム水素化物(DIBAH)のヘキサン溶液1.9mL及び0.68Mのトリイソブチルアルミニウム(TIBA)のヘキサン溶液11.4mLを、DIBAHのTIBAに対するモル比を20:80として、反応器に連続的に投入し、続いて、0.054Mのネオジム(III)ネオデカノエート(NdV3)を4.5ml添加した。反応器内の混合物を5分間熟成させた後、反応器に0.10Mのエチルアルミニウム二塩化物のヘキサン溶液4.9mLを投入して、重合を開始させた。開始から15分後、重合混合物をヘキサン1360gで希釈し、バッチを5gの2,6−ジ−ターシャリー−ブチル−4−メチルフェノールを含む3ガロンのイソプロパノールに滴下して、重合を停止させた。凝固したポリマーをドラム乾燥した。重合体の収量は、131.5gであった(転化率10.1%)。重合体のムーニー粘度(ML1+4)を、モンサントムーニー粘度計を用いて、大ローター、1分間の加熱時間、4分間の実行時間で測定したところ、100℃で30.6であった。ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定したところ、重合体は、数平均分子量(Mn)が121,000で、重量平均分子量(Mw)が362,000で、分子量分布(Mw/Mn)が3.0であった。重合体の赤外分光分析は、シス−1,4−結合含量が98.7%、トランス−1,4−結合含量が1.0%で、1,2−結合含量が0.3%であることを示した。
【0069】
%転化率を重合時間で割った値(すなわち%転化率/分)を、触媒活性のおおよその指標と見なすことができ、%転化率/分の値が高いことは触媒活性が高いことに対応する。ムーニー粘度の値を%転化率で割った値(すなわちML1+4/%転化率)を、%転化率に対するムーニー粘度の依存性のおおよその尺度と見なすことができる。ML1+4/%転化率の値がより高いことは、触媒がより高分子量の重合体を生成する傾向が強いことを意味する。
【0070】
単量体の投入量、触媒成分の量及び比率、%転化率、生成した1,4−ポリブタジエンの性質、並びに、%転化率/分、及びML1+4/%転化率の値を表1にまとめる。
【0071】
【表1】

【0072】
(例2)
例2においては、1.0MのDIBAHのヘキサン溶液2.4mLおよび0.68MのTIBAのヘキサン溶液10.7mLを、DIBAHのTIBAに対するモル比を25:75として、触媒系のアルキル化剤として使用する以外、例1の方法を繰り返した。実験データを表1にまとめる。
【0073】
例1および例2から得られた結果は、触媒系にアルキル化剤としてDIBAHおよびTIBAの組み合わせを用いることが、過度に高いAl/Nd比を使用しなくても、分子量分布が狭く、商業的に望ましいムーニー粘度を有するシス−1,4−ポリブタジエンを簡便に製造できる点で有利であることを示している。
【0074】
(例3、4(比較例))
例3,4においては、触媒系のアルキル化剤としてDIBAHおよびTIBAの組み合わせの代わりとしてTIBAを使用したことを除いて例1に記載の方法を繰り返した。実験データを表1にまとめる。例3で得られた結果は、1,3−ブタジエンの低温バルク重合にランタニド系の触媒系のアルキル化剤としてTIBAのみを使用すると、ML1+4/%転化率の値が高いことで示されるように、過度に高い分子量および高いムーニー粘度を有するシス−1,4−ポリブタジエンが生成しやすいことを示している。例4から得た結果は、ムーニー粘度を商業的に望ましいレベルまで低下させるために、非常に高いAl/Ndモル比を必要とすることを示している。
【0075】
(例5(比較例))
例5においては、触媒系のアルキル化剤としてDIBAHおよびTIBAの組み合わせの代わりとしてDIBAHを使用したことを除いて例1に記載の方法を繰り返した。実験データを表1にまとめる。例5から得た結果は、触媒系のアルキル化剤としてDIBAHのみを使用するのは、8.9という望ましくないほど広い分子量分布を有する重合体を生じるという点で不利であることを示している。
【0076】
さらに、例1および2で得た結果と例3および5で得た結果との比較は、TIBAおよびDIBAHの組み合わせが触媒活性に関して相乗効果をもたらすことを示唆している。すなわち、Nd/Al/Clのモル比が1:40:4で同一である場合、アルキル化剤としてDIBAHおよびTIBAの組み合わせを使用する触媒(例1および2)は、アルキル化剤としてTIBAのみを使用した触媒(例3)もしくはアルキル化剤としてDIBAHのみを使用した触媒(例5)よりも、%転化率/分の値が高いことによって示されるように、高い活性を示す。
【0077】
当業者には、本発明の範囲及び精神から逸脱しない種々の変形及び変更が明らかである。本発明は、ここに示した説明用の例に正規に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
100℃でのムーニー粘度が10〜80であるシス−1,4−ポリジエンの製造方法であって、
該方法が:単量体、有機溶媒、及び生成した重合体の全重量に対して20重量%未満の有機溶媒の存在下、共役ジエン単量体をランタニド系の触媒系に接触させる工程を含み、ここで該共役ジエン単量体は、液相であり、
前記ランタニド系の触媒系が、(a)ランタニド原子が、0、+2、+3、及び+4の酸化状態のうち、少なくとも一つの酸化状態をとることが可能なランタニド化合物、(b)有機アルミニウム水素化物、(c)トリヒドロカルビルアルミニウム、並びに(d)元素状態のハロゲン、ハロゲン混合物、ハロゲン化水素、有機ハロゲン化合物、非金属無機ハロゲン化物、金属ハロゲン化物、及び有機金属ハロゲン化物からなる群から選択されるハロゲン含有化合物、の組み合わせ又は反応生成物を含むことを特徴とするシス−1,4−ポリジエンの製造方法。
【請求項2】
前記ハロゲン含有化合物が、有機金属ハロゲン化物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ハロゲン含有化合物が、エチルアルミニウム二塩化物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記接触させる工程が、10重量%未満の有機溶媒の存在下で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記接触させる工程が、5重量%未満の有機溶媒の存在下で起こる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記接触させる工程が、2重量%未満の有機溶媒の存在下で起こる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
40,000から250,000の数平均分子量を有する前記重合体を有利に重合することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
60,000から200,000の数平均分子量を有する前記重合体を有利に重合することができる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
80,000から150,000の数平均分子量を有する前記重合体を有利に重合することができる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記重合体が、10〜80のムーニー粘度(ML1+4)により特徴づけることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記重合体が、20〜70のムーニー粘度(ML1+4)により特徴づけることができる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記重合体が、30〜50のムーニー粘度(ML1+4)により特徴づけることができる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記重合体が、5未満となり得る該重合体の分子量分布により特徴づけることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記重合体が、4未満となり得る該重合体の分子量分布により特徴づけることができる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記重合体が、3未満となり得る該重合体の分子量分布により特徴づけることができる、請求項13に記載の方法。

【公開番号】特開2013−60606(P2013−60606A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−276248(P2012−276248)
【出願日】平成24年12月18日(2012.12.18)
【分割の表示】特願2008−145031(P2008−145031)の分割
【原出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】