説明

ポリジシクロペンタジエンおよびそれに基づく材料を製造する方法

本発明は優れた物理的および機械的特性および官能特性、特にその使用波長を拡大する官能的特性を有するポリジシクロペンタジエンに基づくポリマー材料の調製を目的とする。本発明が目指す技術的結果は重合開始時間を制御し、触媒の消費を少なくし、かつ製品の物理的特性および機械的特性を改善する可能性を確保することである。この技術的結果は以下の一般式:
【化1】


[式中、Lは以下の基:
【化2】


から選択された置換基である。]

有する化合物および変性添加剤をジシクロペンタジエンの重合用触媒として混合物中に触媒/ジシクロペンタジエンモル比1:70000〜1:1000000で適用することによって達成される。重合は30〜200℃の温度で行われる。変性添加剤はこの触媒によって活性化され、重合に関与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高分子量種の化学、特にポリジシクロペンタジエンを製造する技術およびそれに基づくポリマー材料に関する。
【背景技術】
【0002】
タングステン、モリブデンおよびルテニウム化合物に基づく金属−錯体触媒または触媒システムの存在下に開環を伴う複分解重合(metathesis polymerization)を用いたポリジシクロペンタジエンを製造する方法は公知である(K.J.Ivin、J.C.Mol「オレフィン複分解および複分解重合(Olefin metathesis and metathesis polymerization)」、第2版、アカデミック・プレス、1997;「複分解重合」、アドバンス・イン・ポリマー・サイエンス、スプリンジャー、2005;Grubbs,Robert H.「複分解のハンドブック」、ウィリィー−VCH(Wiley-VCH)、ワインハイム、2003)。タングステンおよびモリブデン化合物に基づく触媒は特性が近似していて、不愉快な臭気と、黒色を有しているので、技術的な成分の製造だけに使用されている。
【0003】
ルテニウムのカービン錯体(carbine complexes)に基づく触媒が複分解に基づく開環によるシクロ−およびビシクロ−オレフィンの重合が広く知られている。ルテニウム触媒−ホスファインリガンドを有するカービン錯体(第1世代のGrubbs触媒)によるポリジシクロペンタジエンの製法は安定性があり、モノマー:触媒のモル比15000:1以下を用いてタングステン触媒より5倍高く効果的であることを特徴としている(WO9960030およびWO9720865)。ルテニウムに基づく開環による複分解重合反応によるポリジシクロペンタジエン調製の一般的反応スキームは以下の通りである:
【0004】
【化1】

【0005】
第1世代のルテニウム触媒の主たる欠点はその低い触媒活性であり、大量の触媒、1:8000〜1:15000を必要とする。
【0006】
第2世代のルテニウム触媒の活性は第1世代の触媒の活性より5倍以上高いが、バン溶解性およびジシクロペンタジエン重合の高い速度がこれらの触媒の適用を難しくする。モノマー中に溶解する時間が無い触媒は、ポリマー層でカバーされ−カプセル化されて活性が低下する。このことは、触媒の消費を非常に多くする必要がある。さらに、ポリジシクロペンタジエン(PDCPD)から物品を射出成形で成形する場合、重合の開始時間を制御することができず、早くに形成されたポリマーがモノマーや触媒混合物の供給のためのアッセンブリを詰まらせるので、技術的に問題がある。
【0007】
本発明によるPDCPDの製造に対する一番近接する技術的解決策は、活性化を遅らせ、適当な活性を有する第2世代のルテニウム触媒によるポリジシクロペンタジエンの製造方法である(米国特許No.2005261451)。
【0008】
この方法の大きな欠点は多くの量の触媒を使用する点であり、十分な機械的特性を有するPDCPDの製造にはモノマー:触媒のモル比が35000:1であり、また公知の方法は重合の開始時間を制御できず、異常な技術サイクルや製品の不均一性につながる。
【0009】
PDCPDの製造方法では、最終製品の性能を目的に応じて変更する種々の変性剤がジシクロペンタジエン中に導入される。
【0010】
PDCPDベースのポリマー材料の調製方法であって、ジシクロペンタジエン、触媒および変性添加剤を反応混合物に導入することを包含することを特徴とする方法が知られている(WO9960030)。
【0011】
最終製品の特性の大きな変化や触媒濃度の減少による反応条件の悪化とそれによる触媒量の増加はこの方法の欠点と考えるべきである。
【0012】
PDCPDベースの材料の製造技術に一番近い技術的解決策は、ジシクロペンタジエン中での触媒の溶解、その溶液への変性添加剤の導入および反応物質の重合からなる方法がある(RF特許No.2168518)。
【0013】
この方法の欠点は、変性添加剤がジシクロペンタジエン中での機械的な溶液を形成するが使用触媒の触媒活性を減少するので、触媒の高い消費量であり、また特性の変化への添加剤の大きくない効果は最終製品への添加剤の化学的結合を形成しない通常の溶解に関連する。
【0014】
ポリジシクロペンタジエンの公知の製法およびそれに基づく材料の製造の主たる欠点は、触媒活性の低く重合開始時間を制御できない古い触媒の使用および変性添加剤の反応への導入である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明によって解決する点は、モノマー−ジシクロペンタジエン(DCPD)の開環による複分解重合反応でのポリジシクロペンタジエンの調製およびそれに基づく材料を調製する効果的な方法であって、一連のルテニウム触媒を用いて、重合工程の開始を熱制御することを可能にし、少量の触媒を用いて、変性剤(例えば、コモノマー、アルキルフェノールおよび2塩基カルボン酸のエステル)を用いて重合工程を行う方法を提供する。
【0016】
技術的な結果は重合開始時間を制御する可能性、触媒消費の減少、最終製品の物理的および機械的特性の改善および不活性ガス媒体中ではなく空気中での重合の可能性を確保することよりなる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記機能(task set)および技術的な結果は以下の一般式:
【化2】

[式中、Lは以下の基:
【化3】

から選択された置換基である。]
を有する化合物を触媒として用い、該触媒をジシクロペンタジエンと触媒/DCPDのモル比1:70000〜1:1000000でジシクロペンタジエンに混合し、重合が反応混合物を30〜200℃に加熱することにより行われ、また重合の前に溶液中に変性剤を導入してポリジシクロペンタジエンに基づくポリマー材料を調製し、その変性剤はシクロ−ペンタン、シクロ−オクタン、シクロ−オクタジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエンのグループから選択されたいくつかのシクロ−オレフィンコ−モノマーの1または組合せでジシクロペンタジエンに基づいて5〜50重量%の量で用いることによって、達成される。シクロペンタジエンオリゴマーをジシクロペンタジエンの5〜65重量%の量はトリマーおよびテトラマーの混合物の形態で用いても良い。また、2塩基カルボン酸のエステル類、主としてジブチルフタレートおよびジオクチルフタレート、を変性剤としてジシクロペンタジエンの5〜25重量%の量で用い、ペンタエリスリトールテトラキス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−シンナメート、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチル−フェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネートのグループから選択されるアルキルフェノールをジシクロペンタジエンの1〜5重量%の量で変性剤として用いても良い。変性剤として以下のグループ、シクロ−オレフィンおよび/またはシクロ−オレフィンとアルキル−フェノール;シクロ−オレフィンおよび2塩基カルボン酸のエステルとアルキルフェノール;2塩基カルボン酸のエステルとアルキルフェノールとの組合せを同時に導入してもよく、シクロ−オレフィンはシクロ−ペンタン、シクロ−オクテン、シクロ−オクタジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエンでジシクロペンタジエンの5〜50重量%の量であり、アルキル−フェノールはペンタエリスリトールテトラキス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−シンナメート、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチル−フェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネートであり、ジシクロペンタジエンの1〜5重量%の量であり、2塩基カルボン酸のエステルとアルキルフェノールはジブチルフタレートおよびジオクチルフタレートの群から選択され、ジシクロペンタジエンの5〜25重量%である。
【0018】
大きな範囲での技術的結果の達成は、触媒のモノマー中への室温で高い溶解性を条件する。従って、触媒を溶媒に予め溶解する必要は無く、触媒の必要量が減少し、ポリマーの物理的および機械的特性値の改善につながる。高い特性値を有するポリジシクロペンタジエンはモノマー:触媒のモル比50000〜750000:1で調製されるが、公知の触媒の場合この比が30000〜40000:1で、非常に悪い特性のポリジシクロペンタジエンを調製することになる。
【0019】
これと共に、2以上の別のシクロオレフィンコ−モノマーのある組合せを関連する比率で導入することは、樹脂の主特性のその使用用途の条件の大きな範囲において目的に応じた特定の組合せを達成することができ、材料の弾性や粘度特性、その強度と硬度、ガラス転移温度の組合せの制御を可能にする。このことは、衝撃力、剛性、ガラス転移点および破断時伸びの独特な組合せを達成できることになる。添加剤は樹脂の酸化やUV照射に対する耐性を改善するばかりでなく伸び時の材料の機械的強さを大きく改良する。また、それらは材料の光学特性(黄変性の減少、光透過性の増大およびUV照射に対する耐性)を改善する。
【発明の効果】
【0020】
ジシクロペンタジエン重合の本発明の方法は高い機械的特性、熱および化学的安定性を有する新しいポリマー材料を少ない触媒量で重合の開始の熱制御で調製することを可能にする。
【0021】
上記効果は、触媒の特別な特性によって確保され、それは所定の温度および量で、ジシクロペンタジエンの重合を開始し、上記の変性添加剤と触媒との間の物理的および化学的相互作用を活性化し、ポリマー構造の一部に適当な変性剤を有するポリジシクロペンタジエンを形成する。触媒量の減少は、それが形成されたポリマーの物理的および機械的特性にそれの存在による負の効果を減少する。
【0022】
ポリジシクロペンタジエンを製造する方法およびそれに基づく材料の製法は、ジシクロペンタジエンと触媒Nを型内で30〜200℃に加熱することにより行われる。モノマー:触媒モル比は1:70000〜1:1000000である。
【0023】
以下の一般式:
【化4】

[式中、Lは以下の基:
【化5】


から選択された置換基である。]
を有する熱開始ルテニウム触媒を用いる。
【0024】
ジシクロペンタジエン重合の方法は触媒Nを30℃までの温度でジシクロペンタジエン中に溶解することにより開始する。ポリマーの物理的および機械的特性を改善するために、触媒によって活性化されて重合工程中に組み合わされる変性添加剤を用いる。重合の反応は型内で30〜200℃に加熱することにより開始する。混合物は徐々に増粘し、増粘は発熱反応で終了し、その後組成物が硬化/固化して、生成物が得られる。
【実施例】
【0025】
本発明を以下の実施例により説明する。
【実施例1】
【0026】
純度98%のジシクロペンタジエン(DCPD)26.44g中触媒N1 1.79gの溶液(DCPD:触媒モル比=70000:1)を30℃まで加熱して型内にいれ、温度を80℃に上げる。臭気のないポリジシクロペンタジエン(PDCPD)の硬い透明サンプルを得る。ガラス転移温度Tg=174℃、曲げ弾性率=1.83GPa、線熱膨張率(60℃)=69.2μM/m℃、引張降伏応力=53.6MPa、破断点伸び=11%。
【実施例2】
【0027】
DCPD:触媒モル比=250000:1を用いる以外は実施例1と同様に処理した。少し臭気のあるポリジシクロペンタジエン(PDCPD)の硬い透明サンプルを得た。ガラス転移温度Tg=124℃、曲げ弾性率=1.88GPa、引張降伏応力=58.2MPa。
【実施例3】
【0028】
DCPD:触媒モル比=1000000:1を用い、反応混合物を200℃まで加熱すること以外は実施例1と同様に処理した。ポリジシクロペンタジエン(PDCPD)の弾力のある透明サンプルを得た。ショアー硬度=25A。
【実施例4】
【0029】
触媒N2を用いる以外は実施例1と同様に処理した。臭気のないポリジシクロペンタジエン(PDCPD)の硬い透明サンプルを得た。ガラス転移温度Tg=168℃、曲げ弾性率=1.58GPa、引張降伏応力=55.2MPa。
【実施例5】
【0030】
触媒N3を用いる以外は実施例1と同様に処理した。臭気のないポリジシクロペンタジエン(PDCPD)の硬い透明サンプルを得た。ガラス転移温度Tg=173℃、曲げ弾性率=1.68GPa、線熱膨張係数60℃=66.0μM/m℃。
【実施例6】
【0031】
触媒N4を用いる以外は実施例1と同様に処理した。臭気のないポリジシクロペンタジエン(PDCPD)の硬い透明サンプルを得た。ガラス転移温度Tg=171℃、曲げ弾性率=1.80GPa、引張強さ:降伏歪(strain yield)=56.4MPa、極限引張強さ=43.2MPa。
【実施例7】
【0032】
DCPD:触媒モル比=200000:1を用い、反応混合物を150℃まで加熱すること以外は実施例6と同様に処理した。臭気のないポリジシクロペンタジエン(PDCPD)の硬い透明サンプルを得た。ガラス転移温度Tg=144℃、引張強さ:降伏歪=59.3MPa、極限引張強さ=48.1MPa。
【実施例8】
【0033】
触媒N5を用いる以外は実施例1と同様に処理した。臭気のないポリジシクロペンタジエン(PDCPD)の硬い透明サンプルを得た。ガラス転移温度Tg=168℃、曲げ弾性率=1.80GPa、線熱膨張率60℃=56.0MPa、引張降伏応力=58.5MPa。
【実施例9】
【0034】
DCPD:触媒モル比=200000:1を用いる以外は実施例8と同様に処理した。臭気のないポリジシクロペンタジエン(PDCPD)の硬い透明サンプルを得た。ガラス転移温度Tg=138℃、曲げ弾性率=1.81GPa。
【実施例10】
【0035】
触媒N6を用い、混合物を更に加熱しないで30℃に保持すること以外は実施例1と同様に処理した。臭気のないPDCPDの硬い透明サンプルを得た。ガラス転移温度Tg=172℃。
【実施例11】
【0036】
ジシクロペンタジエン(14重量%)へのシクロペンタジエンオリゴマーのトリマーおよびテトラマー混合物の形での添加を用いること以外は実施例1と同様に処理した。臭気のないPDCPDの硬い透明サンプルを得た。ガラス転移温度Tg=169℃、曲げ弾性率=2.12GPa、線熱膨張率(60℃)=89.2μM/m℃、引張降伏応力=55MPa、ノッチIzod衝撃強さ=5.7KJ/m
【実施例12】
【0037】
純度93%のDCPDにシクロペンタジエンオリゴマーのトリマーおよびテトラマー混合物の形での添加(65重量%)を用いること以外は実施例1と同様に処理した。臭気のないポリジシクロペンタジエン(PDCPD)の硬い透明サンプルを得た。ガラス転移温度Tg=133℃、曲げ弾性率=2.04GPa。
【実施例13】
【0038】
DCPD26.44g中に触媒N1を1.25mgおよびペンタエリスリトールテトラキス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシーシンナメート)0.66g(2.5重量%)の溶液(DCPD:触媒モル比=100000:1)を型に入れ、30℃まで加熱し、その後温度を100℃に上げた。臭気のないポリジシクロペンタジエン(PDCPD)の硬い透明サンプルを得た。ガラス転移温度Tg=162℃、曲げ弾性率=1.72GPa、引張強さ:降伏歪=58.3MPa、極限引張強さ=50.5MPa、破断点伸び=105%、ノッチIzod衝撃強さ=4.7KJ/m、ショアー硬度D84。
【実施例14】
【0039】
4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチル−フェノール)(DCPDの5重量%)を用いる以外は、実施例13と同様に処理した。臭気のないPDCPDの硬い透明サンプルを得た。ガラス転移温度Tg=152℃、破断点伸び=90%。
【実施例15】
【0040】
オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(DCPDの1重量%)を用いる以外は、実施例13と同様に処理した。臭気のないPDCPDの硬い透明サンプルを得た。ガラス転移温度Tg=158℃、破断点伸び=60%。
【実施例16】
【0041】
ジオクチルフタレートの添加剤(DCPDの15重量%)を用いる以外は、実施例13と同様に処理した。臭気のないPDCPDの硬い透明サンプルを得た。光学特性:光透過性=93.6%、黄色度指数=10.3%。
【実施例17】
【0042】
ジオクチルフタレートの添加剤(DCPDの7重量%)を用いる以外は、実施例13と同様に処理した。臭気のないPDCPDの硬い透明な無色のサンプルを得た。光学特性:光透過性=93.1%、黄色度指数=12.0%。
【実施例18】
【0043】
ジブチルフタレートの添加剤(DCPDの25重量%)を用いる以外は、実施例17と同様に処理した。臭気のないPDCPDの硬い透明な無色のサンプルを得た。光学特性:光透過性=92.3%、黄色度指数=8.5%。
【実施例19】
【0044】
ジシクロペンテンの添加剤(DCPDの5重量%)を用いる以外は、実施例13と同様に処理した。臭気のないPDCPDの硬い透明なサンプルを得た。ガラス転移温度Tg=128℃、曲げ弾性率=2.25GPa。
【実施例20】
【0045】
シクロオクタンの添加剤(DCPDの5重量%)をアルキルフェノール不存在下に用いる以外は、実施例13と同様に処理した。臭気のないPDCPDの硬い透明なサンプルを得た。ガラス転移温度Tg=121℃、曲げ弾性率=2.13GPa、極限引張強さ=53.2MPa。
【実施例21】
【0046】
ノルボルネンの添加剤(DCPDの25重量%)を用いる以外は、実施例13と同様に処理した。臭気のないPDCPDの硬い透明なサンプルを得た。ガラス転移温度Tg=133℃、曲げ弾性率=1.71GPa、極限引張強さ=55.0MPa、破断点伸び=133%。
【実施例22】
【0047】
シクロオクタジエンの添加剤(DCPDの20重量%)を用いる以外は、実施例13と同様に処理した。臭気のないPDCPDの硬い透明なサンプルを得た。剪断弾性率=1.13GPa、破断点伸び=205%、ショアー硬度=A61。
【実施例23】
【0048】
ノルボルナジエンの添加剤(DCPDの20重量%)を用いる以外は、実施例13と同様に処理した。臭気のないPDCPDの硬い透明なサンプルを得た。ガラス転移温度Tg=135℃、極限引張強さ=51.6MPa。
【実施例24】
【0049】
シクロオクタジエンおよびシクロオクタンの添加剤(DCPDの20重量%)を用いる以外は、実施例13と同様に処理した。臭気のないPDCPDの透明なサンプルを得た。ノッチIzod衝撃強さ=7.1KJ/m、ショアー硬度=D70、伸び率%に対する破断のない伸び=250%。
【実施例25】
【0050】
シクロオクタジエンおよびシクロオクタンの添加剤(DCPDの50重量%)を用いる以外は、実施例13と同様に処理した。PDCPDの透明なサンプルを得た。ショアー硬度=A29。
【実施例26】
【0051】
ノルボルナジエンおよびシクロオクタンの添加剤(DCPDの重量%)を用いる以外は、実施例13と同様に処理した。PDCPDの透明なサンプルを得た。ガラス転移温度Tg=111℃、曲げ弾性率=1.58GPa、引張降伏応力=50.9MPa、破断点伸び=150%、ショアー硬度=D79。
【実施例27】
【0052】
ノルボルネンおよびジオクチルフタレートの添加剤(各々DCPDの20および10重量%)を用いる以外は、実施例13と同様に処理した。PDCPDの透明なサンプルを得た。ガラス転移温度Tg=86℃、曲げ弾性率=1.75GPa、引張降伏応力=48.8MPa、伸び率=150%、ショアー硬度=D81.5。
【0053】
上記実施例に示したように、ポリジシクロペンタジエンおよび上記製法で調製された種々のポリマー材料は、従来の製法で得られた同様の材料の特性よりも優れた物理的および機械的特性を有している。
【0054】
新しい製法によって調製されたPDCPDに基づく材料の特性は機械的特性−高い硬度、および同時にこれらの材料を耐衝撃性にする高い衝撃強さの独特な組合せを有している。臭気の無い点、高い光学的純粋性および改善された機械的特性はこれらの材料の用途の範囲を大きく拡大する。本発明のコンプレックス形態の大きな物品を製造する可能性は魅力的である。燃焼時にダイオキシンや他の毒性材料を生成しないこと(燃焼時には二酸化炭素と水を生成する)は重要で、優れた官能的特性と共にこれらの材料は環境に安全である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジシクロペンタジエン中に触媒を含む溶液および反応混合物の重合を包含するポリジシクロペンタジエンの調製方法であって、触媒Nとして下記一般式:
【化1】

[式中、Lは以下の基:
【化2】

から選択された置換基である。]
を有する化合物を用い、該触媒をジシクロペンタジエンと触媒/ジシクロペンタジエンのモル比1:70000〜1:1000000で混合し、重合が反応混合物を30〜200℃に加熱することにより行われることを特徴とするポリジシクロペンタジエンの調製方法。
【請求項2】
触媒Nの置換基としてジメチルアミノ基:
【化3】

を用いる請求項1記載の方法。
【請求項3】
ジシクロペンタジエン中に触媒を含む溶液、該溶液中に変性添加剤を導入することおよび反応混合物の重合を包含するポリジシクロペンタジエンに基づくポリマー材料の調製方法であって、触媒Nとして下記一般式:
【化4】

[式中、Lは以下の基:
【化5】

から選択された置換基である。]
を有する化合物を用い、該触媒をジシクロペンタジエンと触媒/ジシクロペンタジエンのモル比1:70000〜1:1000000で混合し、重合が反応混合物を30〜200℃に加熱することにより行われ、変性剤がシクロペンテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエンの群から選択された数種のシクロオレフィンコモノマーの1つまたは組合せであり、1または混合物をシクロペンタジエンに対して5〜50重量%の量であることを特徴とする調製方法。
【請求項4】
触媒Nの置換基としてジメチルアミノ基:
【化6】

を用いる請求項3記載の方法。
【請求項5】
ジシクロペンタジエン中に触媒を含む溶液、該溶液中に変性添加剤を導入することおよび反応混合物の重合を包含するポリジシクロペンタジエンに基づくポリマー材料の調製方法であって、触媒Nとして下記一般式:
【化7】

[式中、Lは以下の基:
【化8】

から選択された置換基である。]
を有する化合物を用い、シクロペンタジエンオリゴマー添加剤をトリマーおよびテトラマー混合物の形態でジシクロペンタジエンと触媒の混合物に対して5〜65重量%の量で含み、該触媒を触媒/ジシクロペンタジエンのモル比1:70000〜1:1000000で混合し、重合が反応混合物を30〜200℃に加熱することにより行われることを特徴とする調製方法。
【請求項6】
触媒Nの置換基としてジメチルアミノ基:
【化9】

を用いる請求項5記載の方法。
【請求項7】
ジシクロペンタジエン中に触媒を含む溶液、該溶液中に変性添加剤を導入することおよび反応混合物の重合を包含するジシクロペンタジエンに基づくポリマー材料の調製方法であって、触媒Nとして下記一般式:
【化10】

[式中、Lは以下の基:
【化11】

から選択された置換基である。]
を有する化合物を用い、該触媒をジシクロペンタジエンと触媒/ジシクロペンタジエンのモル比1:70000〜1:1000000で混合し、重合が反応混合物を30〜200℃に加熱することにより行われ、前記変性添加剤が2塩基カルボン酸のエステル、主として、ジブチルフタレートおよびジオクチルフタレートでジシクロペンタジエンの5〜25重量%であることを特徴とする調製方法。
【請求項8】
触媒Nの置換基としてジメチルアミノ基:
【化12】

を用いる請求項7記載の方法。
【請求項9】
ジシクロペンタジエン中に触媒を含む溶液、該溶液中に変性添加剤を導入することおよび反応混合物の重合を包含するジシクロペンタジエンに基づくポリマー材料の調製方法であって、触媒Nとして下記一般式:
【化13】

[式中、Lは以下の基:
【化14】


から選択された置換基である。]
を有する化合物を用い、該触媒をジシクロペンタジエンと触媒/ジシクロペンタジエンのモル比1:70000〜1:1000000で混合し、重合が反応混合物を30〜200℃に加熱することにより行われ、前記変性添加剤がペンタエリスリトールテトラキス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−シンナメート、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネートの群から選択されるアルキルフェノールであり、ジシクロペンタジエンの1〜5重量%の量であることを特徴とする調製方法。
【請求項10】
触媒Nの置換基としてジメチルアミノ基:
【化15】

を用いる請求項9記載の方法。
【請求項11】
ジシクロペンタジエン中に触媒を含む溶液、該溶液中に変性添加剤を導入することおよび反応混合物の重合を包含するジシクロペンタジエンに基づくポリマー材料の調製方法であって、触媒Nとして下記一般式:
【化16】

[式中、Lは以下の基:
【化17】

から選択された置換基である。]
を有する化合物を用い、該触媒をジシクロペンタジエンと触媒/ジシクロペンタジエンのモル比1:70000〜1:1000000で混合し、重合が反応混合物を30〜200℃に加熱することにより行われ、前記変性添加剤がシクロ−オレフィンおよび/またはシクロ−オレフィン類とアルキル−フェノール、シクロ−オレフィンと2塩基カルボン酸のエステルとアルキル−フェノール、2塩基カルボン酸のエステルとアルキル−フェノールのグループから選択された組合せで、シクロ−オレフィンはシクロ−ペンタン、シクロ−オクテン、シクロ−オクタジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエンでジシクロペンタジエンの5〜50重量%の量であり、アルキル−フェノールはペンタエリスリトールテトラキス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−シンナメート、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチル−フェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネートであり、ジシクロペンタジエンの1〜5重量%の量であり、2塩基カルボン酸のエステルとアルキルフェノールはジブチルフタレートおよびジオクチルフタレートの群から選択され、ジシクロペンタジエンの5〜25重量%であることを特徴とするポリジシクロペンタジエンの調製方法。
【請求項12】
触媒Nの置換基としてジメチルアミノ基:
【化18】

を用いる請求項11記載の方法。

【公表番号】特表2012−532954(P2012−532954A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519495(P2012−519495)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【国際出願番号】PCT/RU2009/000453
【国際公開番号】WO2011/005136
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(510230229)リミテッド・ライアビリティ・カンパニー・”ユナイテッド・リサーチ・アンド・デベロップメント・センター” (2)
【Fターム(参考)】