説明

ポリチオール化合物とポリイソ(チオ)シアナート化合物からなる重合性組成物

【課題】高い紫外線カット率と無色透明性が要求される光学材料分野に好適に使用される光学材料用ポリウレタン系樹脂を得る重合性組成物。
【解決手段】特定のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有するポリチオールとポリイソ(チオ)シアナート化合物からなる重合性組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な光学物性を与えるポリウレタン系樹脂に使用されるポリチオールとポリイソ(チオ)シアナート化合物からなる重合性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックレンズは、無機レンズに比べ軽量で割れ難く、染色が可能なため近年、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきている。
【0003】
プラスチックレンズ用樹脂には、さらなる高性能化が要求されてきており、高屈折率化、高アッベ数化、低比重化、高耐熱性化等が求められてきた。これまでにも様々なレンズ用樹脂素材が開発され使用されている。
【0004】
その中でも、ポリウレタン系樹脂に関する提案が盛んに行われてきており、本発明者らも、このポリウレタン系樹脂を用いたプラスチックレンズに関する提案を種々に行っている。
【0005】
ポリウレタン系樹脂の中で、最も代表的な樹脂としてポリチオールとポリイソ(チオ)シアナート化合物とを反応させて得られる樹脂は、無色透明で高屈折率低分散であり、光学歪みが小さく、衝撃性、染色性、加工性等に優れたプラスチックレンズに最適な樹脂の一つである。
さらに、このようなプラスチックレンズに紫外線吸収剤を添加し、紫外線による障害から目等を保護するものが提案されている。特に400nm以下の波長の紫外線は、角膜や水晶体に悪影響を及ぼすことが知られており、高い光線カット率が求められている。(特許文献1、2、3参照)
【特許文献1】特開平11−231102号公報
【特許文献2】特開平11−295502号公報
【特許文献3】特開平10−186219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紫外線カット率を高めるために紫外線吸収剤の添加量を増加させた場合には、プラスチックレンズの黄色化等の問題が発生することがあり、レンズ性能に影響を与える場合があった。これらの発明によって得られる樹脂は、レンズ用途の場合、透明性が高いことが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、波長400nmの光線カット率を大きくするために、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の添加量を多く添加する必要があり、それに伴い、樹脂の黄色度の悪化が起こるだけでなく、光学物性の低下、特にアッベ数の低下が起こることが明らかとなった。さらに鋭意検討を継続した結果、特定のベンゾトリゾール系紫外線吸収剤を選択することで、少量の添加量でも波長400nmにおけるカット率が大きくでき、樹脂の黄色度を悪化させることがなく、さらに添加量を少量にできるため、光学物性、特にアッベ数の低下を抑制することが可能であることを見出した。つまり、ポリウレタン系樹脂原料であるイソ(チオ)シアナート、ポリチオールに特定のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加し、ポリウレタン系樹脂を製造することにより、上記問題は解決され、光学物性低下のない無色透明で高い紫外線カット率を有する高性能のポリウレタン系樹脂が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、
1)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−[2−ヒドロキシ−3−(ジメチルベンジル)−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、イソオクチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、のいずれか1つ以上を含有し、厚み9mmの樹脂板の波長400nmにおける光線カット率が99.5%以上であり、紫外線吸収剤を含有させることによりアッベ数の低下を起こさないことを特徴とする、ポリチオールとポリイソ(チオ)シアナート化合物を含有するレンズ用重合性組成物
に関する。
さらに、下記2)から6)は、それぞれ本発明の好ましい実施態様の1つである。
【0009】
2)ポリチオール化合物が1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンから選ばれた1種または、2種以上を含み、ポリイソ(チオ)シアナート化合物が、m−キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナートから選ばれる1種または2種以上を含むことを特徴とする1)記載のレンズ用重合性組成物。
3)上記1)または2)いずれかに記載のレンズ用重合性組成物を硬化させる樹脂の製造方法。
4)上記1)または2)いずれかに記載のレンズ用重合性組成物を硬化させて得られる樹脂。
5)上記4)記載の樹脂からなる光学素子。
6)上記4)記載の樹脂からなるレンズ。
上記5)および6)において、「樹脂からなる」とは、当該光学素子または当該レンズの全部が当該樹脂で構成されている場合、および、当該光学素子または当該レンズの一部が当該樹脂で構成されている場合、の双方を含む趣旨である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、色収差が低く透明で高い紫外線カット率を有する高性能なポリウレタン系レンズを提供し、当該分野の発展に貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、ベンソトリゾール系紫外線吸収剤の種類を選択することによって特定され、少量の添加量でも波長400nmにおける光線カット率が99.5%以上にすることができ、さらに添加量を少量にできるため、光学物性、特にアッベ数の低下を抑制することを特徴とする重合性組成物である。
波長400nmにおける光線カット率が99.5%以上で紫外線吸収剤を含有させることによりアッベ数の低下を起こさせないことを特徴とする重合性組成物であれば、色収差が低く透明で高い紫外線カット率を有する高性能なポリウレタン系樹脂を得る事ができる。
【0012】
本発明において使用される紫外線吸収剤としては、2−[2−ヒドロキシ−3−(ジメチルベンジル)−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、イソオクチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0013】
さらに好ましくは、2−[2−ヒドロキシ−3−(ジメチルベンジル)−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、イソオクチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート、2−(3,5−ジ−t−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、
【0014】
特に好ましくは2−[2−ヒドロキシ−3−(ジメチルベンジル)−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、イソオクチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールからなる群から少なくとも1種を選択することである。
【0015】
本発明における紫外線吸収剤の添加量は、重合性組成物に対し0.03〜1.5wt%が好ましく、0.05〜0.5wt%でさらに好ましい結果を与える。
本発明のポリウレタン系レンズはポリチオールと、ポリイソ(チオ)シアネート化合物を反応させて得られる。
【0016】
本発明で使用できるポリイソ(チオ)シアナート化合物は、一分子中に少なくとも2個以上のイソ(チオ)シアナート基を有する化合物で、特に制限はないが、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアナート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアナート、ブテンジイソシアナート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、1,6,11−ウンデカントリイソシアナート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアナート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート等の脂肪族ポリイソシアナート化合物;
【0017】
1,2−ジイソシアナトベンゼン、1,3−ジイソシアナトベンゼン、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、エチルフェニレンジイソシアナート、イソプロピルフェニレンジイソシアナート、ジメチルフェニレンジイソシアナート、ジエチルフェニレンジイソシアナート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアナート、トリメチルベンゼントリイソシアナート、ベンゼントリイソシアナート、ビフェニルジイソシアナート、トルイジンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(2−メチルフェニルイソシアナート)、ビベンジル−4,4’−ジイソシアナート、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、ビス(イソシアナトメチルフェニル)エーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、2,6−ジ(イソシアナトメチル)フラン、o−キシリレンジイソシアナートの芳香環化合物を有するポリイソシアナート化合物;
【0018】
ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)スルフィド、ビス(イソシアナトヘキシル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)スルホン、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、1,5−ジイソシアナト−2−イソシアナトメチル−3−チアペンタン、1,2,3−トリス(イソシアナトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(イソシアナトエチルチオ)プロパン、3,5−ジチア−1,2,6,7−ヘプタンテトライソシアナート、2,6−ジイソシアナトメチル−3,5−ジチア−1,7−ヘプタンジイソシアナート、2,5−ジイソシアナートメチルチオフェン、4−イソシアナトエチルチオ−2,6−ジチア−1,8−オクタンジイソシアナート等の含硫脂肪族ポリイソシアナート化合物;
【0019】
2−イソシアナトフェニル−4−イソシアナトフェニルスルフィド、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルフィド、ビス(4−イソシアナトメチルフェニル)スルフィドなどの芳香族スルフィド系ポリイソシアナート化合物;
【0020】
ビス(4−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(2−メチル−5−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3−メチル−5−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3−メチル−6−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(4−メチル−5−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(4−メトキシ−3−イソシアナトフェニル)ジスルフィド等の芳香族ジスルフィド系ポリイソシアナート化合物;
【0021】
2,5−ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソシアナトメチルテトラヒドロチオフェン、3,4−ジイソシナトメチルテトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ジイソシアナトメチル−1,4−ジチアン、4,5−ジイソシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,3−ジチオラン、4,5−ジイソシアナトメチル−2−メチル−1,3−ジチオラン等の含硫脂環族ポリイソシアナート化合物;
【0022】
1,2−ジイソチオシアナトエタン、1,6−ジイソチオシアナトヘキサン等の脂肪族ポリイソチオシアナート化合物、シクロヘキサンジイソチオシアナート等の脂環族ポリイソチオシアナート化合物、1,2−ジイソチオシアナトベンゼン、1,3−ジイソチオシアナトベンゼン、1,4−ジイソチオシアナトベンゼン、2,4−ジイソチオシアナトトルエン、2,5−ジイソチオシアナト−m−キシレン、4,4’−メチレンビス(フェニルイソチオシアナート)、4,4’−メチレンビス(2−メチルフェニルイソチオシアナート)、4,4’−メチレンビス(3−メチルフェニルイソチオシアナート)、4,4’−ジイソチオシアナトベンゾフェノン、4,4’−ジイソチオシアナト−3,3’−ジメチルベンゾフェノン、ビス(4−イソチオシアナトフェニル)エーテル等の芳香族ポリイソチオシアナート化合物;
【0023】
さらには、1,3−ベンゼンジカルボニルジイソチオシアナート、1,4−ベンゼンジカルボニルジイソチオシアナート、(2,2−ピリジン)−4,4−ジカルボニルジイソチオシアナート等のカルボニルイソチオシアナート化合物、チオビス(3−イソチオシアナトプロパン)、チオビス(2−イソチオシアナトエタン)、ジチオビス(2−イソチオシアナトエタン)等の含硫脂肪族イソチオシアナート化合物;
【0024】
1−イソチオシアナト−4−[(2−イソチオシアナト)スルホニル]ベンゼン、チオビス(4−イソチオシアナトベンゼン)、スルホニル(4−イソチオシアナトベンゼン)、ジチオビス(4−イソチオシアナトベンゼン)等の含硫芳香族ポリイソチオシアナート化合物、2,5−ジイソチオシアナトチオフェン、2,5−ジイソチオシアナト−1,4−ジチアン等の含硫脂環族化合物;
【0025】
1−イソシアナト−6−イソチオシアナトヘキサン、1−イソシアナト−4−イソチオシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−4−イソチオシアナトベンゼン、4−メチル−3−イソシアナト−1−イソチオシアナトベンゼン、2−イソシアナト−4,6−ジイソチオシアナト−1,3,5−トリアジン、4−イソシアナトフェニル−4−イソチオシアナトフェニルスルフィド、2−イソシアナトエチル−2−イソチオシアナトエチルジスルフィド等のイソシアナト基とイソチオシアナト基を有する化合物等が挙げられるが、これら例示化合物に限定されるものではない。
【0026】
さらに、これらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体や多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物等も使用できる。これらの化合物は単独でも2種以上を混合してもよい。 さらに好ましくは、m−キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、特に好ましくは、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナンが挙げられる。
【0027】
本発明で使用できるポリチオール化合物は、一分子中に少なくとも2個以上のチオール基を有する化合物で、特に制限はないが、具体的には、例えば、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラキス(メルカプトメチル)メタン等の脂肪族ポリチオール化合物;
【0028】
1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等の芳香族ポリチオール;
【0029】
1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等、及びこれらの核アルキル化物等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオール化合物;
【0030】
ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、ビス(1,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール化合物、及びこれらのチオグリコール酸及びメルカプトプロピオン酸のエステル;
【0031】
ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)等のその他のメルカプト基以外に硫黄原子とエステル結合を含有する脂肪族ポリチオール化合物;
【0032】
3,4−チオフェンジチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環化合物、
2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2,4−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、3,4−ジメルカプト−2−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン等のメルカプト基以外にヒドロキシ基を含有する化合物;
【0033】
1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアシクロヘキサン、1,1,5,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−3−チアペンタン、1,1,6,6−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−3,4−ジチアヘキサン、2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタンチオール、2−(4,5−ジメルカプト−2−チアペンチル)−1,3−ジチアシクロペンタン、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−ジチアシクロペンタン、2,5−ビス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアブチル)−1,4−ジチアン、2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−プロパンジチオール、3−メルカプトメチルチオ−1,7−ジメルカプト−2,6−ジチアヘプタン、3,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、3−メルカプトメチルチオ−1,6−ジメルカプト−2,5−ジチアヘキサン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン、1,1,9,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−5−(3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)−1−チアプロピル)3,7−ジチアノナン、トリス(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)メタン、トリス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアブチル)メタン、テトラキス(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)メタン、テトラキス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアブチル)メタン、3,5,9,11−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,13−ジメルカプト−2,6,8,12−テトラチアトリデカン、3,5,9,11,15,17−ヘキサキス(メルカプトメチルチオ)−1,19−ジメルカプト−2,6,8,12,14,18−ヘキサチアノナデカン、9−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−3,5,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト−2,6,8,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3,4,8,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,11−ジメルカプト−2,5,7,10−テトラチアウンデカン、3,4,8,9,13,14−ヘキサキス(メルカプトメチルチオ)−1,16−ジメルカプト−2,5,7,10,12,15−ヘキサチアヘキサデカン、8−{ビス(メルカプトメチルチオ)メチル}−3,4,12,13−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,15−ジメルカプト−2,5,7,9,11,14−ヘキサチアペンタデカン、4,6−ビス{3,5−ビス(メルカプトメチルチオ)−7−メルカプト−2,6−ジチアヘプチルチオ}−1,3−ジチアン、4−{3,5−ビス(メルカプトメチルチオ)−7−メルカプト−2,6−ジチアヘプチルチオ}−6−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチアン、1,1−ビス{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1−{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3−{2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル}−7,9−ビス(メルカプトメチルチオ)−2,4,6,10−テトラチアウンデカン、1−{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−7,9−ビス(メルカプトメチルチオ)−2,4,6,10−テトラチアウンデカン、1,5−ビス{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−2,4−ジチアペンタン、4,6−ビス[3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−5−メルカプト−2,4−ジチアペンチルチオ]−1,3−ジチアン、4,6−ビス{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−1,3−ジチアン、4−{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−6−{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−1,3−ジチアン、3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−7,9−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,11−ジメルカプト−2,4,6,10−テトラチアウンデカン、9−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−3,5,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト−2,6,8,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−7,9,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト−2,4,6,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3,7−ビス{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−1,9−ジメルカプト−2,4,6,8−テトラチアノナン、4−{3,4,8,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−11−メルカプト−2,5,7,10−テトラチアウンデシル}−5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラン、4,5−ビス{3,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ}−1,3−ジチオラン、4−{3,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ}−5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラン、4−{3−ビス(メルカプトメチルチオ)メチル−5,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−8−メルカプト−2,4,7−トリチアオクチル}−5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラン、2−[ビス{3,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ}メチル]−1,3−ジチエタン、2−{3,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ}メルカプトメチルチオメチル−1,3−ジチエタン、2−{3,4,8,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−11−メルカプト−2,5,7,10−テトラチアウンデシルチオ}メルカプトメチルチオメチル−1,3−ジチエタン、2−{3−ビス(メルカプトメチルチオ)メチル−5,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−8−メルカプト−2,4,7−トリチアオクチル}メルカプトメチルチオメチル−1,3−ジチエタン、4,5−ビス[1−{2−(1,3−ジチエタニル)}−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ]−1,3−ジチオラン、4−[1−{2−(1,3−ジチエタニル)}−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ]−5−{1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)−4−メルカプト−3−チアブチルチオ}−1,3−ジチオラン、2−[ビス{4−(5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラニル)チオ}]メチル−1、3−ジチエタン、4−{4−(5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラニル)チオ}−5−[1−{2−(1,3−ジチエタニル)}−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ]−1,3−ジチオラン、更にこれらのオリゴマー等のジチオアセタールもしくはジチオケタール骨格を有する化合物;
【0034】
トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(メルカプトエチルチオ)メタン、1,1,5,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−2,4−ジチアペンタン、ビス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアブチル)(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアブチル)メタン、2,4,6−トリス(メルカプトメチルチオ)−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、2,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロパン、ビス(メルカプトメチル)メチルチオ−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、トリス((4−メルカプトメチル−2,5−ジチアシクロヘキシル−1−イル)メチルチオ)メタン、2,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、2−メルカプトエチルチオ−4−メルカプトメチル−1,3−ジチアシクロペンタン、2−(2,3−ジメルカプトプロピルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、4−メルカプトメチル−2−(2,3−ジメルカプトプロピルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、4−メルカプトメチル−2−(1,3−ジメルカプト−2−プロピルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、トリス(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)−1−チアエチル)メタン、トリス(3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロピル)メタン、トリス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−3−チアブチル)メタン、2,4,6−トリス(3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロピル)−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、テトラキス(3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロピル)メタン等、さらにこれらのオリゴマー等のオルトトリチオ蟻酸エステル骨格を有する化合物;
【0035】
3,3’−ジ(メルカプトメチルチオ)−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン、2,2’−ジ(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、2,7−ジ(メルカプトメチル)−1,4,5,9−テトラチアスピロ[4,4]ノナン、3,9−ジメルカプト−1,5,7,11−テトラチアスピロ[5,5]ウンデカン、更にこれらのオリゴマー等オルトテトラチオ炭酸エステル骨格を有する化合物等が挙げられるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。これら例示化合物は、単独でも2種類以上混合して使用しても良い。さらに好ましくは、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、特に好ましくは、1,2−ビス[(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオールが挙げられる。
【0036】
本発明におけるポリチオールとポリイソ(チオ)シアナート化合物の使用割合は、通常、SH基/NCO基=0.5〜3.0の範囲内、好ましくは0.6〜2.0、さらに好ましくは0.8〜1.3の範囲内である。
【0037】
本発明のポリウレタン系樹脂の諸物性、操作性、及び重合反応性等を改良する目的で、ウレタン樹脂を形成するポリチオール化合物とポリイソ(チオ)シアナート化合物の他に、アミン等に代表される活性水素化合物、エポキシ化合物、オレフィン化合物、カーボネート化合物、エステル化合物、金属、金属酸化物、有機金属化合物、無機物等のウレタン形成原料以外の1種又は2種以上を加えても良い。
【0038】
また、目的に応じて公知の成形法におけると同様に、本発明の紫外線吸収剤の他、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、酸化防止剤、油溶染料、充填剤、離型剤、ブルーイング剤などの種々の物質を添加してもよい。所望の反応速度に調整するために、チオカルバミン酸S−アルキルエステル或いは、ポリウレタンの製造において用いられる公知の反応触媒を適宜に添加することもできる。
本発明のポリウレタン系樹脂、およびレンズは通常、注型重合により得られる。
【0039】
イソシアナート類とチオール類および紫外線吸収剤、その他触媒等の添加剤を混合して重合性組成物を調製する場合の温度は通常25℃以下で行われる。組成物のポットライフの観点から、さらに低温にすると好ましい場合がある。ただし、紫外線吸収剤や触媒、添加剤のモノマーへの溶解性が良好でない場合は、あらかじめ加温して、モノマーであるイソシアナート類またはチオール類、あるいはモノマー混合物に溶解させることも可能である。
【0040】
本発明のポリチオウレタン樹脂の製造方法としては、注型重合が挙げられる。即ち、ガスケットまたはテープ等で保持された成型モールド間に、本発明に関わる重合性組成物を注入する。この時、得られるプラスチックレンズに要求される物性によっては、必要に応じて、減圧下での脱泡処理や加圧、減圧等の濾過処理等を行うことが好ましい場合が多い。
【0041】
重合条件については、重合性組成物、触媒の種類と使用量、モールドの形状等によって大きく条件が異なるため限定されるものではないが、およそ、−50〜150℃の温度で1〜50時間かけて行われる。場合によっては、10〜150℃の温度範囲で保持または徐々に昇温して、1〜25時間で硬化させることが好ましい。
得られたポリチオウレタン樹脂については、必要に応じて、アニール等の処理を行ってもよい。処理温度は通常50〜150℃の間で行われるが、90〜140℃で行うことが好ましく、100〜130℃で行うことがより好ましい。
【0042】
このようにして得られる本発明のポリウレタン系樹脂は、高屈折率で低分散であり、耐熱性、耐久性に優れ、軽量で耐衝撃性に優れた特徴を有しており、さらには色相が良好で、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子素材として好適である。
注型重合時のモールドを変えることにより種々の形状の成形体として得ることができ、眼鏡レンズ、カメラレンズ、発光ダイオード(LED)等の光学用樹脂としての各種用途に使用することが可能である。特に、眼鏡レンズ、カメラレンズ、発光ダイオード等の光学材料、光学素子として好適である。
【0043】
本発明のポリチオウレタン樹脂を用いたプラスチックレンズは、必要に応じて、反射防止、高硬度付与、耐摩耗性向上、耐薬品性向上、防曇性付与、あるいはファッション性やフォトクロミック性の付与などを目的として、表面研磨、帯電防止処理、片面又は両面へのコート処理、染色処理、調光処理等の物理的あるいは化学的処理を施すことができる。
コート処理で施すコーティング層としては、プライマー層、ハードコート層、反射防止膜層、防曇コート膜層、防汚染層、撥水層等が挙げられる。これらのコーティング層はそれぞれ単独で用いることも複数のコーティング層を多層化して使用してもよい。両面にコーティング層を施す場合、それぞれの面に同様なコーティング層を施しても、異なるコーティング層を施してもよい。
【0044】
これらのコーティング層はそれぞれ、紫外線からレンズや目を守る目的で紫外線吸収剤、赤外線から目を守る目的で赤外線吸収剤、レンズの耐候性の向上を目的で光安定剤や酸化防止剤、レンズのファッション性を高める目的で染料や顔料、さらにフォトクロミック染料やフォトクロミック顔料、帯電防止剤、その他、レンズの性能を高めるための公知の添加剤を併用してもよい。塗布によるコーティングを行う層に関しては塗布性の改善を目的とした各種レベリング剤を使用してもよい。
【0045】
プライマー層は通常、後述するハードコート層と光学レンズとの間に形成される。プライマー層は、その上に形成するハードコート層とレンズとの密着性を向上させることを目的とするコーティング層であり、場合により耐衝撃性を向上させることも可能である。
【0046】
プライマー層には得られた光学レンズに対する密着性の高いものであればいかなる素材でも使用できるが、通常、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラニン系樹脂、ポリビニルアセタールを主成分とするプライマー組成物などが使用される。プライマー組成物は組成物の粘度を調整する目的でレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよい。無論、無溶剤で使用してもよい。
【0047】
プライマー組成物は塗布法、乾式法のいずれの方法によっても形成させることができる。塗布法を用いる場合、レンズへスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布された後、固化させることによりプライマー層が形成される。乾式法で行う場合は、CVD法や真空蒸着法などの公知の乾式法で形成される。プライマー層を形成するに際し、密着性の向上を目的として、必要に応じてレンズの表面は、アルカリ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの前処理を行っておいてもよい。
【0048】
ハードコート層は、レンズ表面に耐擦傷性、耐摩耗性、耐湿性、耐温水性、耐熱性、耐候性等機能を与えることを目的としたコーティング層である。
【0049】
ハードコート層は、一般的には硬化性を有する有機ケイ素化合物とSi,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,InおよびTiの元素群から選ばれる元素の酸化物微粒子の1種以上および/またはこれら元素群から選ばれた2種以上の元素の複合酸化物から構成される微粒子の1種以上を含むハードコート組成物が使用される。ハードコート組成物には前記成分以外にアミン類、アミノ酸類、金属アセチルアセトネート錯体、有機酸金属塩、過塩素酸類、過塩素酸類の塩、酸類、金属塩化物および多官能性エポキシ化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましい。ハードコート組成物にはレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよい。無論、無溶剤で使用してもよい。
【0050】
ハードコート層は、通常、ハードコート組成物をスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布した後、硬化して形成される。硬化方法としては、熱硬化、紫外線や可視光線などのエネルギー線照射による硬化方法等が挙げられる。干渉縞の発生を抑制するため、ハードコート層の屈折率は、レンズとの屈折率の差が±0.1の範囲にあるのが好ましい。
【0051】
反射防止層は、通常、必要に応じて前記ハードコート層の上に形成される。反射防止層には無機系および有機系があり、無機系の場合、SiO、TiO等の無機酸化物を用い、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、CVD法などの乾式法により形成される。有機系の場合、有機ケイ素化合物と、内部空洞を有するシリカ系微粒子とを含む組成物を用い、湿式により形成される。
【0052】
反射防止層は単層および多層があり、単層で用いる場合はハードコート層の屈折率よりも屈折率が少なくとも0.1以上低くなることが好ましい。効果的に反射防止機能を発現するには多層膜反射防止膜とすることが好ましく、その場合、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層する。この場合も低屈折率膜と高屈折率膜との屈折胃率差は0.1以上であることが好ましい。高屈折率膜としては、ZnO、TiO、CeO、Sb、SnO、ZrO、Ta等の膜があり、低屈折率膜としては、SiO膜等が挙げられる。
【0053】
反射防止膜層の上には、必要に応じて防曇コート膜層、防汚染層、撥水層を形成させてもよい。防曇コート層、防汚染層、撥水層を形成する方法としては、反射防止機能に悪影響をもたらすものでなければ、その処理方法、処理材料等については特に限定されずに、公知の防曇コート処理方法、防汚染処理方法、撥水処理方法、材料を使用することができる。例えば、防曇コート、防汚染処理方法では、表面を界面活性剤で覆う方法、表面に親水性の膜を付加して吸水性にする方法、表面を微細な凹凸で覆い吸水性を高める方法、光触媒活性を利用して吸水性にする方法、超撥水性処理を施して水滴の付着を防ぐ方法などが挙げられる。また、撥水処理方法では、フッ素含有シラン化合物等を蒸着やスパッタによって撥水処理層を形成する方法や、フッ素含有シラン化合物を溶媒に溶解したあと、コーティングして撥水処理層を形成する方法等が挙げられる。
【0054】
レンズの染色は公知の染色方法で実施可能であるが、通常、以下に示す方法で実施される。
(1)レンズを染色液に浸漬する方法、(2) 色素を含有するコーティング剤を用いてコーティングする方法、又は染色可能なコーティング層を設け、そのコーティング層を染色する方法、(3) 原料モノマーに染色可能な材料を含有させて重合する方法、及び(4) 昇華性色素を加熱して昇華させる方法。
【0055】
(1)の方法は、一般的には、使用する色素を溶解または均一に分散させた染色液中に所定の光学面に仕上げられたレンズ生地を浸漬(染色工程)した後、必要に応じてレンズを加熱して色素を固定化(染色後アニール工程)する方法である。染色工程に用いられる色素は公知の色素であれば特に限定されないが、通常は油溶染料もしくは分散染料が使用される。染色工程で使用される溶剤は用いる色素が溶解可能もしくは均一に分散可能なものであれば特に限定されない。この染色工程では、必要に応じて染色液に色素を分散させるための界面活性剤や、染着を促進するキャリアを添加してもよい。染色工程は、色素及び必要に応じて添加される界面活性剤を水又は水と有機溶媒との混合物中に分散させて染色浴を調製し、この染色浴中に光学レンズを浸漬し、所定温度で所定時間染色を行う。染色温度及び時間は、所望の着色濃度により変動するが、通常、120℃以下で数分〜数十時間程度でよく、染色浴の染料濃度は0.01〜10重量%で実施される。また、染色が困難な場合は加圧下で行ってもよい。必要に応じて実施される染色後アニール工程は、染色されたレンズ生地に加熱処理を行う工程である。加熱処理は、染色工程で染色されたレンズ生地の表面に残る水を溶剤等で除去したり、溶媒を風乾したりした後に、例えば大気雰囲気の赤外線加熱炉、あるいは抵抗加熱炉等の炉中に所定時間滞留させる。染色後アニール工程は、染色されたレンズ生地の色抜けを防止する(色抜け防止処理)と共に、染色時にレンズ生地の内部に浸透した水分の除去が行われる。
【0056】
(2)の方法は、プラスチックレンズ素材に直接染色するのではなく、色素を分散又は溶解した有機コーティング液をプラスチックレンズに塗布した後、硬化処理することにより、染色されたコーティング層をレンズ表面に形成する方法、もしくはプラスチックレンズ表面に染色可能なコーティング層を形成してから(1)の方法を採る、すなわち、染色液中にプラスチックレンズを浸漬し、加熱することにより染色する方法である。
【0057】
(3)の方法は、プラスチックレンズの原料モノマーに予め染料を溶解してから重合する方法である。使用する色素は原料モノマーに均一に溶解または光学的性質を損なわない程度に分散できるものであれば特に限定されない。
【0058】
(4)の方法には、(イ) 固形昇華性色素を昇華させてプラスチックレンズを染色する方法、(ロ) 昇華性色素を含む溶液を塗布してなる基体をプラスチックレンズに非接触状態で対向させ、基体及びレンズを加熱することにより染色する方法、(ハ) 昇華性色素を含有する着色層と、粘着層とからなる転写層をプラスチックレンズに転写した後、加熱することにより染色する方法があり、本発明の光学レンズはいずれの方法で染色してもよい。使用する色素は昇華性を有している色素であれば特に限定されない。
【実施例】
【0059】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。プラスチックレンズの光線カット率、アッベ数、Y.I値は以下の方法で評価した。
・光線カット率:厚さ9mm平板樹脂を分光光度計により分析し、400nmでの光線カット率を測定した。
・アッベ数:プルヒリッヒ屈折計を用い、20℃で測定した。
・Y.I値:本発明におけるY.I値とは、色相評価におけるイエローインデックスのことであり、色彩色差計にて測定できる。ミノルタ社製色彩色差計(CR−200、CT−210)を用いて、厚さ9mm、φ75mmの円形平板を注型重合により作成し、測定した。
【0060】
[実施例1]
(プラスチックレンズの製造)
ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン50.6重量部、硬化触媒としてジブチル錫ジクロライド0.06重量部、Stepan社製ゼレックUN(商品名、酸性リン酸エステル)0.12重量部、チバスペシャリティケミカルズ社製Tinuvin327(商品名、紫外線吸収剤)2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール0.05重量部を、15〜20℃にて混合溶解させた。1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパンを主成分とするポリチオール25.6重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)を主成分とするポリチオール23.9重量部を装入混合し、混合均一液とした。この均一液を600Paにて1時間脱泡後、1μmPTFEフィルターにて濾過を行った後、直径75mm、9mm厚のガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入し、レンズを作成した。このモールド型をオーブンへ投入し、20℃〜120℃まで徐々に昇温し、20時間で重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して樹脂を得た。得られた樹脂を更に130℃で4時間アニールを行った。得られた樹脂の400nmにおける光線カット率:99.7%、アッベ数:40.6、Y.I値:6.4であった。結果を表1に示す。
【0061】
[実施例2]
実施例1で用いた紫外線吸収剤に代えて、チバスペシャリティケミカルズ社製Tinuvin384(商品名、紫外線吸収剤)イソオクチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート0.50重量部を用いた他は、実施例1と同様に行った。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
【0062】
[実施例3]
実施例1で用いた紫外線吸収剤に代えて、チバスペシャリティケミカルズ社製Tinuvin234(商品名、紫外線吸収剤)2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール0.25重量部を用いた他は、実施例1と同様に行った。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
【0063】
[実施例4]
実施例1で用いた紫外線吸収剤に代えて、チバスペシャリティケミカルズ社製Tinuvin928(商品名、紫外線吸収剤)2−[2−ヒドロキシ−3−(ジメチルベンジル)−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール0.20重量部を用いた他は、実施例1と同様に行った。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
【0064】
[比較例1]
実施例1で用いた紫外線吸収剤に代えて、共同薬品社製Viosorb583(商品名、紫外線吸収剤)2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール2.50重量部を用いた他は、実施例1と同様に行った。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
【0065】
[比較例2]
実施例1で用いた紫外線吸収剤に代えて、チバスペシャリティケミカルズ社製Tinuvin320(商品名、紫外線吸収剤)2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール0.65重量部を用いた他は、実施例1と同様に行った。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
【0066】
[比較例3]
実施例1で用いた紫外線吸収剤に代えて、シプロ化成社製Seesorb707(商品名、紫外線吸収剤)2−(4−オクチルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール1.22重量部を用いた他は、実施例1と同様に行った。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
【0067】
[参考例]
実施例1で用いた紫外線吸収剤を全く添加しないで、実施例1と同様に樹脂の作製を行った。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
紫外線吸収剤を添加しない系では、400nmにおける光線カット率は13.2%で、アッベ数は40.5であった。
【0068】
【表1】

【0069】
比較例1にてViosorb583を2.5%添加したポリウレタン樹脂では、400nmにおける光線カット率は99.9%と非常に高いが、アッベ数が38.7となり、参考例のアッベ数40.5と比較して著しい低下が見られた。さらに比較例3にてSeesorb707を1.22%添加したポリウレタン樹脂でも、400nmにおける光線カット率は99.9%と非常に高いが、アッベ数が39.4となり、参考例のアッベ数40.5と比較して、アッベ数の低下が見られた。また、比較例2では、Tinuvin320を0.65%添加したポリウレタン樹脂では光線カット率は99.9%と非常に高くアッベ数の低下も見られないが、Y.I値が8.3に上昇し、黄色度の悪化が確認された。実施例1〜4では、紫外線吸収剤の種類・添加量を適正に選択することで、高い光線カット率、高アッベ数を有し、黄色度も6.5以下に抑制することができた
。つまり、特定のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加した重合性組成物を使用することで、色収差が低く、かつ透明性の高いポリウレタン系樹脂を提供できることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0070】
ポリチオールとポリイソ(チオ)シアナート化合物とを反応させて得られるポリウレタン系樹脂は、無色透明で高屈折率低分散であり、衝撃性、染色性、加工性等に優れたプラスチックレンズに最適な樹脂の一つである。本発明は、色収差が低く透明で高い紫外線カット率を有する高性能なポリウレタン系レンズを提供し、当該分野の発展に貢献する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−[2−ヒドロキシ−3−(ジメチルベンジル)−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、イソオクチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールのいずれか1つ以上を含有し、厚み9mmの樹脂板の波長400nmにおける光線カット率が99.5%以上であり、紫外線吸収剤を含有させることによりアッベ数の低下を起こさないことを特徴とする、ポリチオールとポリイソ(チオ)シアナート化合物を含有するレンズ用重合性組成物。
【請求項2】
ポリチオール化合物が、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンから選ばれる1種または、2種以上を含み、ポリイソ(チオ)シアナート化合物が、m−キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナートから選ばれる1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1または2記載のレンズ用重合性組成物。
【請求項3】
請求項1または2いずれかに記載のレンズ用重合性組成物を硬化させる樹脂の製造方法。
【請求項4】
請求項1または2いずれかに記載のレンズ用重合性組成物を硬化させて得られる樹脂。
【請求項5】
請求項4記載の樹脂からなる光学素子。
【請求項6】
請求項4記載の樹脂からなるレンズ。

【公開番号】特開2008−56854(P2008−56854A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−237934(P2006−237934)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】