説明

ポリヌクレオチドをライゲーションするための、方法、反応混合物およびキット

本教示は、ポリヌクレオチドをライゲーションする方法、反応混合物およびキットに関する。幾つかの実施形態において、熱活性化可能なライゲーション剤、リン酸化剤および夾雑物除去剤が、少なくとも1組のプローブセット、少なくとも1組のリンカーセット、および少なくとも1種の標的ポリヌクレオチドと共に、同じ反応混合物中に含まれる。第1温度での反応は、標的へのプローブのハイブリダイゼーション、プローブのリン酸化、および不要な反応成分の除去をもたらす。第2温度での反応は、これらのプローブのライゲーションをもたらす。幾つかの実施形態において、本教示は、高度に多重なライゲーション反応に適用され、この高度に多重なライゲーションにおいて、複数の標的ポリヌクレオチドにおける複数の1ヌクレオチド多形が調べられ、最終的に移動度依存的分析技術を用いて検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本教示は、一般に、ポリヌクレオチドをライゲーションするための方法、キット、および反応混合物に関する。この教示はまた、ポリヌクレオチド配列を決定する(高度に多重化された反応において1ヌクレオチド多形を決定することを含む)ための、ライゲーションベースの方法、キットおよび組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
1以上の標的配列を含むサンプル中の1以上の標的ポリヌクレオチドの存在もしくは非存在(またはその量)の検出が通常実施される。例えば、ガンおよび多くの感染性疾患(例えば、AIDSおよび肝炎)の検出は、診断の核酸配列の存在もしくは非存在について生物学的サンプルをスクリーニングする工程を慣用的に包含する。また、核酸配列の存在もしくは非存在を検出する工程は、法医学、親子鑑定、遺伝子カウンセリングおよび器官移植においてしばしば使用される。
【0003】
生物の遺伝子構造は、その生物のゲノム内に含まれる遺伝子によって決定される。遺伝子は、タンパク質を生成するために必要な情報をコードする長鎖すなわちデオキシリボ核酸(DNA)ポリマーからなる。生物の特性、能力および形質は、多くの場合、その生物によって産生されているかまたは産生されていない、タンパク質の型および量に関連する。
【0004】
タンパク質は、遺伝子から以下のように産生され得る。まず、タンパク質(例えば、タンパク質「X」)をコードするこの遺伝子のDNAを表す情報は、「転写」として知られるプロセスによって、リボ核酸(RNA)に変換される。転写の間、この遺伝子の一本鎖相補的RNAコピーが生成される。次に、このRNAコピー(タンパク質XメッセンジャーRNA(mRNA)と呼ばれる)は、タンパク質Xを生成する細胞の生化学的機構(「翻訳」と呼ばれるプロセス)によって使用される。基本的に、細胞のタンパク質製造機構は、このmRNAに結合し、RNAのコードを「読み取り」、そしてそれをタンパク質Xのアミノ酸配列に「翻訳」する。まとめると、DNAは、転写されてmRNAを生成し、このmRNAは翻訳されてタンパク質を生成する。
【0005】
細胞によって生成されるタンパク質Xの量は、多くの場合、この細胞中に存在するタンパク質X mRNAの量に大きく依存する。細胞内のタンパク質X mRNAの量は、少なくとも部分的に、遺伝子Xが発現される程度に起因する。特定の遺伝子もしくは遺伝子改変体が存在するか否か、および存在する場合にいくつのコピー数が存在するかは、生物に大きな影響を有し得る。特定の遺伝子もしくは遺伝子改変体が発現されるか否か、および発現される場合にはどのレベルで発現されるかは、生物に大きな影響を有し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
遺伝子標的の存在を、迅速に経済的な様式で、高処理かつ高い精度で測定し得る技術が、当該分野で必要とされる。迅速性は、多くの手段によって達成され得る。この手段としては、例えば、異なるサンプル操作工程の数を減らすこと、ならびに1より多い操作を同じ反応混合物中で実施することが挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要旨)
幾つかの実施形態において、本教示は、ライゲーション反応におけるワークフロー工程の数を減らすための方法を提供し、この方法は、標的ポリヌクレオチド配列、熱活性化可能リガーゼ、第1プローブ、第2プローブ、リン酸化剤および夾雑物除去剤(decontamination agent)を提供し、それによって反応混合物を形成する工程を包含する。次に、上記リン酸化剤を第1温度で含むリン酸化反応を実施する工程、ならびに上記夾雑物除去剤をこの第1温度で含む夾雑物除去反応(decontamination reaction)を実施する工程であって、ここで、上記リガーゼはこの第1温度で実質的に不活性である工程を包含する。次に、反応温度を第2温度まで上昇させ、それによってこのリガーゼの活性を上昇させる工程、ならびに、上記第1プローブが上記第2プローブにライゲーションするライゲーション反応を実施する工程であって、それにより、リン酸化反応および夾雑物質除去反応がライゲーション反応とは別個の反応において実施されるライゲーション反応と比較して、ライゲーション反応における処理工程の数を減らす工程を包含する。
【0008】
本教示の幾つかの実施形態は、熱活性化可能リガーゼ、リン酸化剤、夾雑物除去剤、標的ポリヌクレオチド、第1プローブおよび第2プローブを含む反応混合物を提供する。
【0009】
本教示の幾つかの実施形態は、ライゲーションマスター混合物および少なくとも1組のプローブセットを含むキットを提供し、ここで、このライゲーションマスター混合物は、少なくとも1種の熱活性化可能リガーゼ、少なくとも1種のリン酸化剤、少なくとも1種の夾雑物除去剤、および少なくとも1種の緩衝剤を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(例示的な実施形態の説明)
本明細書中で使用される節の表題は、構成目的のみのためであり、記載される内容をいかなるようにも限定すると解釈されるべきではない。本出願において引用される全ての文献および同様の資料(特許、特許出願、記事、書籍、論文およびインターネットウェブページが挙げられるが、これらに限定されない)は、明白にその全体が任意の目的のために参考として援用される。参考文献に援用される用語の定義が本教示において提供される定義と異なると考えられる場合、本教示において提供される定義が支配する。
【0011】
上述の概説および以下の詳細な説明の両方は、例示および説明でしかなく、本発明を限定しないことが理解されるべきである。本出願において、単数形の使用は、文脈が特に他の指示をしない限り、複数形を含む。例えば、「プローブ(a probe)」は、1より多いプローブ(例えば、特定のプローブ種の1以上のコピー、ならびに特定のプローブ型の1種以上の種類)が存在し得ることを意味する。また、「または」の使用は、そうでないことを記載しない限り、「および/または」を意味する。同様に、「含む(comprise,comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(include,includes)」および「含んでいる(including)」は、限定を意味しない。
【0012】
(定義)
本明細書中で使用される場合、用語「熱活性化可能リガーゼ」は、低温で実質的に不活性であり、活性化のためにより高い温度を必要とするリガーゼをいう。代表的に、熱活性化可能リガーゼは、およそ室温(25℃)で実質的に不活性であり、より高い温度で活性化され得る。
【0013】
本明細書中で使用される場合、用語「第1プローブ」は、ライゲーション反応におけるプローブをいい、この第1プローブは、連続してハイブリダイズされる第2プローブの5’末端にライゲーションされる遊離した3’末端を提供する。
【0014】
本明細書中で使用される場合、用語「第2プローブ」は、ライゲーション反応におけるプローブをいい、この第2プローブは、連続してハイブリダイズされる第1プローブの3’末端にライゲーションされる遊離した5’末端を提供する。
【0015】
本明細書中で使用される場合、用語「リン酸化剤」は、リン酸基をプローブに付加し得る薬剤をいう。代表的に、リン酸化剤は、ポリヌクレオチドキナーゼである。
【0016】
本明細書中で使用される場合、用語「夾雑物除去剤」は、夾雑反応成分を反応物から除去し得る薬剤をいう。代表的に、夾雑物除去剤は、ウラシル−N−グリコシラーゼ(UNG)またはウラシル−DNAグリコシラーゼ(UDG)である。夾雑反応成分は、ウラシルを含むため、従って、夾雑反応成分をUNGまたはUDGによる分解を受けやすくする。
【0017】
本明細書中で使用される場合、用語「ライゲーション剤」は、2つのプローブをライゲーション反応において一緒にし得る薬剤をいう。代表的に、ライゲーション剤はリガーゼ酵素であるが、本教示に従って、任意の数の酵素的試薬または酵素でない試薬を含み得る。例えば、リガーゼは、酵素的ライゲーション試薬であり、適切な条件下で、DNA分子、RNA分子、またはハイブリッドにおける近接したヌクレオチドの3’−OHと5’−リン酸との間にホスホジエステル結合を形成する。温度感受性リガーゼとしては、バクテリオファージT4リガーゼ、E.coliのリガーゼが挙げられるが、これらに限定されない。熱安定性リガーゼとしては、Afuリガーゼ、Taqリガーゼ、Tflリガーゼ、Tthリガーゼ、Tth HB8リガーゼ、Thermus種のAK16DリガーゼおよびPfuリガーゼが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、国際出願公開第WO00/26381号、Wuら,Gene,76(2):245−254,(1989),Luoら,Nucleic Acids Research,24(15):3071−3078(1996)を参照。当業者は、任意の数の熱安定性リガーゼ(DNAリガーゼおよびRNAリガーゼを含む)が、好熱性生物もしくは超好熱性生物(例えば、真性細菌および古細菌の特定の種)から得られ得、そしてこのようなリガーゼは、本開示の方法およびキットにおいて使用され得ることを、理解する。
【0018】
本明細書中で使用される場合、用語「プローブセット」は、少なくとも1種の第2プローブおよび少なくとも1種の第2プローブをいい、このプローブセットは、標的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズし得、そしてこれを調べることができる。多重反応において、複数の標的ポリヌクレオチドを調べるために、複数のプローブセットが使用される。
【0019】
本明細書中で使用される場合、用語「リンカーセット」は、プローブセット中のプローブにライゲーション可能であり、そしてスペーサーおよびその後検出され得る配列情報を導入し得る、ポリヌクレオチドをいう。
【0020】
本明細書中で使用される場合、用語「標的ポリヌクレオチド」は、調べられ得る核酸の領域もしくは部分配列をいう。
【0021】
本明細書中で使用される場合、用語「核酸」は、天然に存在する分子(例えば、DNAおよびRNA)、ならびに種々の誘導体およびアナログの両方をいう。一般に、本教示のプローブ、リンカーおよび標的ポリヌクレオチドは、核酸であり、代表的にDNAを含む。当業者に理解されるように、さらなる誘導体およびアナログが、使用され得る。例えば、ユニバーサルヌクレオチドとしては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない:デオキシ−7−アザインドール三リン酸(d7AITP)、デオキシイソカルボスチリル三リン酸(dlCSTP)、デオキシプロピニルイソカルボスチリル三リン酸(dPICSTP)、デオキシメチル−7−アザインドール三リン酸(dM7AITP)、デオキシlmPy三リン酸(dlmPyTP)、デオキシPP三リン酸(dPPTP)、またはデオキシプロピニル−7−アザインドール三リン酸(dP7AITP)。さらなる例は、ユニバーサル塩基に関して、Loakes,N.A.R.2001,vol 29:2437−2447、Seela N.A.R.2000,vol 28:3224−3232、米国特許出願公開第10/290672号および米国特許第6,433,134号において見出され得る。ロックされた(locked)核酸に関する教示の例は、国際出願公開第WO98/22489号;国際出願公開第WO98/39352号;および国際出願公開第WO99/14226号において見出され得る。さらに、糖類は、2’−位もしくは3’−位において修飾を含み得る(例えば、メトキシ、エトキシ、アリルオキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、メトキシエチル、アルコキシ、フェノキシ、アジド、アミド、アルキルアミノ、フルオロ、クロロおよびブロモ)。ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、天然のD立体配置異性体(D型)ならびにL立体配置異性体(L型)を含み得る(Beigelman,米国特許第6,251,666号;Chu,米国特許第5,753,789号;Shudo,EP0540742;Garbesi(1993)Nucl.Acids Res.21:4159−65;Fujimori(1990)J.Amer.Chem.Soc.112:7435;Urata(1993)Nucleic Acids Symposium Ser.No.29:69−70)。幾つかの実施形態において、リン酸エステルアナログの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アルキルホスホネート、メチルホスホネート、ホスホラミダイト、ホスホトリエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニオチオエート、ホスホロアニリデート、ホスホロアミデート、ブロモホスフェートなど、ならびに、関連の対イオンを含み得る。他の核酸アナログおよび塩基としては、例えば、介在核酸(INA、ChristensenおよびPedersen,2002に記載される)ならびにAEGIS塩基(Eragen,米国特許第5,432,272号)。種々の核酸アナログのさらなる記載はまた、例えば、以下においても見出され得る(Beaucageら,Tetrahedron 49(10):1925(1993)およびその中の参考文献;Letsinger,J.Org.Chem.35:3800(1970);Sprinzlら,Eur.J.Biochem.81:579(1977);Letsingerら,Nucl.Acids Res.14:3487(1986);Sawaiら,Chem.Lett.805(1984),Letsingerら,J.Am.Chem.Soc.110:4470(1988);ならびにPauwelsら,Chemica Scripta 26:141 91986))、ホスホロチオエート(Magら,Nucleic Acids Res.19:1437(1991);および米国特許第5,644,048号。他の核酸アナログとしては、以下が挙げられる:ホスホロジチオエート(Briuら,J.Am.Chem.Soc.11 1:2321(1989)、O−メチルホスホロアミダイト結合物(Eckstein,Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,Oxford University Press参照)、正(positive)の骨格を有するもの(Denpcyら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6097(1995);非イオン性骨格(米国特許第5,386,023号、同第5,386,023号、同第5,637,684号、同第5,602,240号、同第5,216,141号、および同第4,469,863号,Kiedrowshiら,Angew.Chem.Intl.Ed.English 30:423(1991);Letsingerら,J.Am.Chem.Soc.110:4470(1988);Letsingerら,Nucleoside & Nucleotide 13:1597(1 9 4):ASC Symposium Series 580、第2章および第3章,「Carbohydrate Modifications in Antisense Research」,Y.S.SanghuiおよびP.Dan Cook編;Mesmaekerら,Bioorganic & Medicinal Chem.Lett.4:395(1994);Jeffsら,J.Biomolecular NMR 34:17(1994);Tetrahedron Lett.37:743(1996))および非リボース骨格(米国特許第5,235,033号および第5,034,506号、ならびにASC Symposium Series 580、第6章および第7章,「Carbohydrate Modifications in Antisense Research」,Y.S.SanghuiおよびP.Dan Cook編に記載されるものが挙げられる)。1以上の環状炭素糖類を含む核酸もまた、核酸の定義内に含まれ得る(Jenkinsら,Chem.Soc.Rev.(1995)ppl69−176を参照)。ある種の核酸およびアナログもまた、Rawls,C & E News(1997年6月2日)35ページに記載される。そうでないと記載されない限り、核酸配列が表される場合はいつでも、5’から3’への順番は左から右へであり、そうでないと記載されない限り、「A」はデオキシアデノシンを示し、「C」はデオキシシトシンを示し、「G」はデオキシグアノシンを示し、そして「T」はチミジンを示すことが、理解される。さらに、本教示の「核酸」はまた、「ペプチド核酸」すなわち「PNA」を含み得る。PNAとしては、米国特許第5,539,082号、同第5,527,675号、同第5,623,049号、同第5,714,331号、同第5,718,262号、同第5,736,336号、同第5,773,571号、同第5,766,855号、同第5,786,461号、同第5,837,459号、同第5,891,625号、同第5,972,610号、同第5,986,053号および同第6,107,470号においてペプチド核酸と呼ばれるか、またはペプチド核酸として特許請求される、任意のオリゴマーセグメントまたはポリマーセグメントが挙げられるが、これらに限定されない。用語「PNA」はまた、以下の刊行物に記載されるような核酸模倣物の2以上のサブ単位を含む任意のオリゴマーセグメントまたはポリマーセグメントにも適用される:Lagriffoulら,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,4:1081−1082(1994);Petersenら,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,6:793−796(1996);Diderichsenら,Tett Lett.37:475−478(1996);Fujiiら,Bioorg.Med.Chem.Lett.7:637−627(1997);Jordanら,Bioorg.Med.Chem.Lett.7:687−690(1997);Krotzら,Tett.Lett.36:6941−6944(1995);Lagriffoulら,Bioorg.Med.Chem.Lett.4:1081−1082(1994);Diederichsen,U.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,7:1743−1746(1997);Loweら,J.Chem.Soc.Perkin Trans.1,(1997)1:539−546;Loweら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.11:547−554(1997);Loweら,J.Chem.Soc.Perkin Trans.11:555−560(1997);Howarthら,J.Org.Chem.62:5441−5450(1997);Altmann,K−Hら,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,7:1119−1122(1997);Diederichsen,U.,Bioorganic & Med.Chem.Lett,8:165−168(1998);Diederichsenら,Angew.Chem.Int.Ed.,37:302−305(1998);Cantinら,Tett.Lett,38:4211−4214(1997);Ciapettiら,Tetrahedron,53:1167−1176(1997);Lagriffouleら,Chem.Eur.J.,3:912−919(1997);Kumarら,Organic Letters 3(9):1269−1272(2001);および、WO96/04000に記載されるShahらのペプチドベースの核酸模倣物(PENAM)。PNAはまた、米国特許出願第2003/0077608A1号のパラグラフ76において見出される、式の2以上の共有結合したサブ単位を含むオリゴマーセグメントまたはポリマーセグメントであり得る。
【0022】
本明細書中で使用される場合、「増幅」は、少なくとも1種の標的ポリヌクレオチド、ライゲーション産物、少なくとも1種のライゲーション産物代替物もしくはこれらの組み合わせの少なくとも一部分が、代表的にはテンプレート依存性様式で複製される任意の手段をいう。これらの手段は、限定されないが、核酸配列を(一次的にかもしくは指数関数的に)増幅するための、広い範囲の技術を含む。増幅工程を実施するための例示的な手段としては、リガーゼ連鎖反応(LCR)、リガーゼ検出反応(LDR)、ライゲーションの後に行うQ−レプリカーゼ増幅、PCR、プライマー伸長、鎖置換増幅(SDA)、超分枝鎖(hyperbranched strand)置換増幅、多重置換増幅(MDA)、核酸鎖ベースの増幅(NASBA)、2工程多重増幅、ローリングサイクル増幅(RCA)などが挙げられ、これらの多重バージョンおよびこれらの組み合わせ(例えば、以下に限定されないが、OLA/PCR、PCR/OLA、LDR/PCR、PCR/PCR/LDR、PCR/LDR、LCR/PCR、PCR/LCR(複合連鎖反応、CCRとしても知られる)など)を含む。このような技術の記載は、他でも見られるが、以下に見出され得る:SambrookおよびRussell;Sambrookら;Ausbelら;PCR Primer:A Laboratory Manual,Diffenbach編,Cold Spring Harbor Press(1995);The Electronic Protocol Book,Chang Bioscience(2002)(「The Electronic Protocol Book」);Msuihら,J.Clin.Micro.34:501−07(1996);The Nucleic Acid Protocols Handbook,R.Rapley編,Humana Press,Totowa,NJ(2002)(「Rapley」);Abramsonら,Curr Opin Biotechnol.1993 Feb;4(1):41−7,米国特許第6,027,998号;米国特許第6,605,451号,Baranyら,国際公開第WO97/31256号;Wenzら,国際公開第WO01/92579号;Dayら,Genomics,29(1):152−162(1995),Ehrlichら,Science 252:1643−50(1991);Innisら,PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press(1990);Favisら,Nature Biotechnology 18:561−64(2000);およびRabenauら,Infection 28:97−102(2000);Belgrader,Barany,およびLubin,Development of a Multiplex Ligation Detection Reaction DNA Typing Assay,Sixth International Symposium on Human Identification,1995(www.promega.com/geneticidproc/ussymp6proc/blegrad.htmlにおいて利用可能);LCR Kit Instruction Manual,Cat.#200520,Rev.#050002,Stratagene,2002;Barany,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:188−93(1991);BiおよびSambrook,Nucl.Acids Res.25:2924−2951(1997);Zirviら,Nucl.Acid Res.27:e40i−viii(1999);Deanら,Proc Natl Acad Sci USA 99:5261−66(2002);BaranyおよびGelfand,Gene 109:1−11(1991);Walkerら,Nucl.Acid Res.20:1691−96(1992);Polstraら,BMC Inf.Dis.2:18−(2002);Lageら,Genome Res.2003 Feb;13(2):294−307,ならびにLandegrenら,Science 241:1077−80(1988),Demidov,V.,Expert Rev Mol Diagn.2002 Nov;2(6):542−8.,Cookら,J Microbiol Methods.2003 May;53(2):165−74,Schweitzerら,Curr Opin Biotechnol.2001 2月;12(1):21−7、米国特許第5,830,711号、米国特許第6,027,889号、米国特許第5,686,243号,国際出願公開第WO0056927A3号,および国際出願公開第WO9803673A1号。
【0023】
幾つかの実施形態において、増幅は、少なくとも1サイクルの、以下の連続手順を包含する:少なくとも1つのライゲーション産物、少なくとも1つのライゲーション産物代替物もしくはこれらの組み合わせにおいて、少なくとも1つのプライマーと相補的配列もしくは実質的に相補的な配列とをハイブリダイズさせる工程;ポリメラーゼを用いて、少なくとも1本のヌクレオチド鎖をテンプレート依存的様式で合成する工程;ならびに、新しく形成された核酸二本鎖を変性させ、鎖を分離させる工程。このサイクルは、繰り返されても繰り返されなくてもよい。増幅は、熱サイクリングを含み得るか、もしくは等温的に実施され得る。幾つかの実施形態において、新しく形成された核酸二本鎖は、最初は変性されていないが、その後の1以上の工程において、二本鎖形態で使用され得る。
【0024】
プライマー伸長は、増幅手段であり、5’から3’の方向でテンプレートにアニーリングされた少なくとも1つのプローブもしくは少なくとも1つのプライマーを、例えばポリメラーゼのような増幅手段を用いて伸長させる工程を包含する。幾つかの実施形態に従い、適切な緩衝剤、塩、pH、温度およびヌクレオチド三リン酸(そのアナログを含む)を用い、すなわち適切な条件下で、ポリメラーゼは、アニーリングしたプローブもしくはプライマーの3’末端から開始してテンプレート鎖に相補的なヌクレオチドを組み込み、相補鎖を生成する。幾つかの実施形態において、プライマー伸長は、少なくとも1つの標的核酸配列の標的配列にハイブリダイズしたプローブセットの2つのプローブの間のギャップを埋めるために使用され得る。従って、2つのプローブは、互いにライゲーションされ得る。幾つかの実施形態において、プライマー伸長に使用されるポリメラーゼは、5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くか、実質的に欠く。
【0025】
本教示の幾つかの実施形態において、従来的でないヌクレオチド塩基が増幅反応産物内に組み込まれ得、そしてこの産物は、この産物をその後の増幅のテンプレートとして作用することができなくさせるために、酵素的手段(例えば、グリコシラーゼ)および/または物理化学的手段によって処理され得る。幾つかの実施形態において、ウラシルは、反応混合物中に核酸塩基として含まれ得、それによって、その後の反応のために、ウラシル−N−グリコシラーゼの使用により上記ウラシル含有産物のキャリーオーバーを除去する(decontaminate)ことができる(例えば、国際出願公開第WO9201814A2号を参照)。本教示の幾つかの実施形態において、種々の技術のうちのいずれかが、増幅の成功を促進するために増幅前に使用され得る(例えば、Radstromら,Mol Biotechnol.2004 2月;26(2):133−46に記載される)。幾つかの実施形態において、増幅は、サンプル調製および検出を包含する自己含有組み込みアプローチ(self−contained integrated approach)において達成され得る(例えば、米国特許第6,153,425号および同第6,649,378号において記載される)。
【0026】
(検出)
ライゲーション産物もしくはライゲーション産物代替物の検出は、存在するにせよ本教示の限定ではないことが理解される。検出は、ドナー部分およびシグナル部分を用いることによって、幾つかの実施形態において達成され得、このライゲーション産物の検出のために、特定のエネルギー移動蛍光色素を使用することができる。ドナー(ドナー部分)およびアクセプター(シグナル部分)の対の特定の非限定例は、例えば、米国特許第5,863,727号;同第5,800,996号;および同第5,945,526号において説明される。このようなドナーとアクセプターとの幾つかの組み合わせの使用は、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescent Resonance Energy Transfer))とも呼ばれている。幾つかの実施形態において、シグナリングプローブとして使用され得るフルオロフォアとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ローダミン、シアニン3(Cy3)、シアニン5(Cy5)、フルオレセイン、VicTM、LizTM、TamraTM、5−FamTM、6−FamTM、およびTexas Red(Molecular Probes)。(VicTM、LizTM、TamraTM、5−FamTM、および6−FamTMは、全てApplied Biosystems,Foster City,CAから入手可能)。幾つかの実施形態において、励起光に反応して蛍光シグナルを生じるシグナリングプローブの量は、代表的に、増幅反応において産生される核酸の量に関連する。従って、幾つかの実施形態において、蛍光シグナルの量は、増幅反応において生成される産物の量に関連する。このような実施形態において、従って、蛍光指示薬からの蛍光シグナルの強度を測定することによって、増幅産物の量を、測定することができる。幾つかの実施形態に従い、蛍光シグナルによって示される増幅産物を定量するために、内部標準を使用することができる。例えば、米国特許第5,736,333号を参照。
【0027】
幾つかの実施形態において、増幅されたライゲーション産物は、SYBRグリーン1色素の臭化エチジウムのような、DNA結合色素によって測定され得る。
【0028】
蛍光指示薬を含む組成物を用いて熱サイクリング反応を実施し、特定の波長のビームを放出させ、蛍光色素の強度を読み取り、そして各サイクルの後に蛍光の強度を表示し得るデバイスが、開発されている。サーマルサイクラー、ビーム光放出器、および蛍光シグナル検出器を備えるデバイスが、例えば、米国特許第5,928,907号;同第6,015,674号;および同第6,174,670号に記載され、これらのデバイスとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ABI Prism(登録商標)7700 Sequence Detection System(Applied Biosystems,Foster City,California)、ABI GeneAmp(登録商標)5700 Sequence Detection System(Applied Biosystems,Foster City,California)、ABI GeneAmp(登録商標)7300 Sequence Detection System(Applied Biosystems,Foster City,California)ならびにABI GeneAmp(登録商標)7500 Sequence Detection System(Applied Biosystems,Foster City,California)。
【0029】
幾つかの実施形態において、これらの機能の各々は、別々のデバイスによって実施され得る。例えば、増幅のためにQ−βレプリカーゼ反応を行う場合、この反応は、サーマルサイクラー内で起こらなくてもよいが、特定の波長でのビーム光放出、蛍光シグナルの検出および増幅産物量の計算および表示が含まれ得る。
【0030】
幾つかの実施形態において、熱サイクリングと蛍光検出とを合わせたデバイスが、サンプル中の標的核酸の正確な定量のために使用され得る。幾つかの実施形態において、1以上の熱サイクルの間および/もしくは1以上の熱サイクルの後に、蛍光シグナルが検出されて表示され得、これによって反応が起こる「実時間」で増幅産物のモニタリングを可能にする。幾つかの実施形態において、増幅産物の量および増幅サイクルの数を使用して、増幅前のサンプル中に標的核酸配列がどのくらいの量で存在したかを計算できる。
【0031】
幾つかの実施形態に従い、サンプル中の標的核酸配列の存在を示すために十分な所定のサイクル数の後に、増幅産物の量を単純にモニタリングすることができる。当業者は、任意の所定のサンプル、プライマー配列および反応条件について、所定の標的ポリヌクレオチドの存在を決定するために何回のサイクルが十分であるかを、容易に決定することができる。
【0032】
幾つかの実施形態に従い、増幅産物は、所定のサイクル数が完了したらすぐに、ポジティブもしくはネガティブとしてスコア付けされ得る。幾つかの実施形態において、結果は、電子的に直接データベースに伝達され得、作表され得る。従って、幾つかの実施形態において、多数のサンプルが、より短い時間およびより少ない労力しか要さずに、処理されそして分析され得る。
【0033】
幾つかの実施形態に従い、異なるシグナリングプローブは、異なる標的核酸配列間を識別し得る。このようなプローブの非限定の例は、5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブ(例えば、TaqMan(登録商標)プローブ分子)であり、このプローブにおいて、蛍光分子は、オリゴヌクレオチド連結エレメントを介して、蛍光クエンチング(fluorescence−quenching)分子に結合される。幾つかの実施形態において、5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブのオリゴヌクレオチド連結エレメントは、同定部分の特定の配列もしくはその相補鎖に結合する。幾つかの実施形態において、異なる5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブ(各々異なる波長の蛍光を発する)は、同じ増幅反応物中の異なる増幅産物間を識別し得る。例えば、幾つかの実施形態において、2つの異なるライゲーション産物(それぞれA’およびB’)の異なる2つの同定部位に特異的な、2つの異なる波長(WLおよびWL)の蛍光を発する2つの異なる5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブを使用することができる。ライゲーション産物A’は、標的化核酸Aがサンプル中に存在する場合に形成され、そしてライゲーション産物B’は、標的化核酸Bがサンプル中に存在する場合に形成される。幾つかの実施形態において、ライゲーション産物A’および/またはB’は、
適切な標的核酸がサンプル中に存在しない場合でさえも形成され得るが、このようなライゲーションは、適切な標的核酸配列がサンプル中に存在する場合よりも測定可能に少ない程度に起こる。増幅後、どの特定の標的核酸配列がサンプル中に存在するかを、検出されたシグナルの波長に基づいて決定することができる。従って、波長WLのみの適切な検出可能シグナル値が検出される場合、このサンプルは、標的核酸配列Aを含むが、標的核酸配列Bは含まないことが分かる。WLおよびWLの両波長の適切な検出可能シグナル値が検出される場合、このサンプルは、標的核酸配列Aおよび標的核酸配列Bの両方を含むことが分かる。
【0034】
幾つかの実施形態において、融解曲線分析が、異なる標的核酸配列間を識別するために使用され得る。
【0035】
幾つかの実施形態において、ライゲーション産物もしくはライゲーション産物代替物は、移動度依存的分析技術によって検出され得る。この技術としては、異なる分析物種の間で異なる移動速度に基づく分析技術が挙げられる。例示的な移動度依存的分析技術としては、電気泳動、クロマトグラフィー、質量分析、沈降度(sedimantation)(例えば、勾配遠心分離)、フィールドフロー(field−flow)分画、多段階抽出技術などが挙げられる。
【0036】
幾つかの実施形態において、ライゲーション産物の検出は、キャピラリー電気泳動によって達成され得る。例えば、ライゲーション反応物中のプローブは、同定部分を含み得、そして増幅後、この同定部分に相補的な配列を含む移動度プローブが増幅産物にハイブリダイズし得る。ハイブリダイズしなかった移動度プローブの除去後、結合した移動度プローブは、溶出されて、そして移動度依存的分析技術(例えば、キャピラリー電気泳動)によって検出され得る。キャピラリー電気泳動の検出および移動度プローブにおける技術の例については、例えば、米国特許第5,777,096号、同第6,624,800号、同第5,470,705号、同第5,514,543号および同第6,395,486号を参照のこと。
【0037】
本教示の局面は、以下の実施例を踏まえてさらに理解され得る。これらの実施例は、本教示の範囲をいかなるようにも限定しないと解釈されるべきである。
【0038】
(例示的実施形態)
本教示は、種々の状況において、用途を見出し得る。例えば、本教示は、複数の標的ポリヌクレオチドを調べるために設計されたプローブを含む非常に多重のライゲーション反応において適用され得る。いくつかの実施形態において、複数の多重反応がマイクロタイタープレートにおいて実施され得る。マイクロタイタープレートを用いる研究の場合、多数の別個の多重反応の構成が、非常に時間集約的であり得る。例えば、反応成分(酵素、プローブ、緩衝剤など)を96ウェルマイクロタイターディッシュの各ウェルに入れることは、時間集約的であり得る。複数のマクロタイターディッシュを含む状況において、これはより時間集約的であり得る。384ウェルマイクロタイタープレートが含まれる場合は、この状況が悪化し得ることが理解される。種々の化学的操作(例えば、リン酸化、不要な反応夾雑物の分解、ポリメラーゼ伸長およびライゲーション)を含む複合反応において、この状況が悪化し得ることが、さらに理解される。
【0039】
従来のアプローチにおいて、このような時間集約的反応構成は、中途半端な、多くの場合非特異的なプローブライゲーションを生じ得る。本教示の幾つかの実施形態は、多重ライゲーション反応において、非特異的ライゲーションの量を減らすための方法を提供する。幾つかの実施形態において、非特異的ライゲーションの減少は、リン酸化されない(ライゲーション不能な)プローブを用いること、または熱活性化可能リガーゼを提供することによって達成され得る。熱活性化可能リガーゼは、低い温度において実質的に不活性であるという特性を有し得、実質的な活性を提供するために温度の上昇を要し得る。幾つかの実施形態において、多重反応構成は、低温(例えば、室温もしくは氷上)で起こり得る。構成後、反応温度は、リガーゼの実質的な活性を提供するために上昇され得る。幾つかの実施形態において、処理工程の減少は、下でさらに説明されるように、ライゲーション反応混合物へのさらなる酵素の提供によって達成され得る。幾つかの実施形態において、熱活性化可能酵素(例えば、熱活性化可能リガーゼ)は、以下でより明らかにされるように、さらなる酵素と共に使用され得る。
【0040】
例えば、本教示の幾つかの実施形態は、熱活性化可能リガーゼおよび少なくとも1種のさらなる酵素を含むライゲーション反応物を提供する。本教示の幾つかの実施形態は、1つの反応混合物中で一緒にポリヌクレオチドをライゲーションする方法を提供する。この方法は、不要な夾雑物を夾雑物除去剤(例えば、ウラシル−N−グリコシラーゼ)によって除去する工程、リン酸化剤(例えば、キナーゼ)によってプローブをリン酸化する工程、およびライゲーション剤(例えば、リガーゼ)を用いて一緒にプローブをライゲーションする工程を包含し、ここで、このリガーゼは、第1の温度(リン酸化剤および夾雑物除去剤が活性である間)で実質的に不活性であり、そしてこのリガーゼは、第2の温度で実質的に活性である。幾つかの実施形態において、リン酸化剤および/または夾雑物除去剤は、第2の温度で不活性である。幾つかの実施形態において、反応は、熱活性化可能ライゲーション剤およびリン酸化剤を含み得るが、夾雑物除去剤を含まなくていよい。幾つかの実施形態において、反応は、熱活性化可能ライゲーション剤、夾雑物除去剤を含み得るが、リン酸化剤を含まなくてよい。
【0041】
種々の熱活性化可能戦略が、本教示の状況において使用され得ることが理解される。例えば、熱活性化可能リン酸化剤は、ライゲーション剤および夾雑物除去剤をさらに含むライゲーション反応において使用され得る。このようなシナリオにおいて、プローブは、最初は5’リン酸基を欠く。結果として、リン酸化剤の活性化を可能にする(従ってプローブのリン酸化を可能にする)温度に達するまでライゲーションは起こり得ない。
【0042】
また、種々の戦略が、酵素を熱活性化可能にするために使用され得ることが、理解される。このような手順は、最近の分子生物学研究室において慣用的であり、その実行は、過度の実験を全く必要としない。熱活性化可能酵素を作製するための種々のアプローチの代表的な教示が利用可能であり、そして以下が挙げられる:抗体アプローチ(例えば、米国特許第5,338,671号を参照)、例えば無水シトラコン酸を含む化学的アプローチ(例えば、米国特許第5,773,258号および米国特許第5,677,152号を参照)、ホルムアルデヒドのようなアルデヒドを含む化学的アプローチ(例えば、米国特許第6,183,998号を参照)、ならびにアプタマーベースのアプローチ(例えば、米国特許第6,183,967号を参照)。熱活性化可能酵素を作製するためのさらなる方法は、沈殿物(例えば、米国特許出願公開第20030082567A1号を参照)を含む無機物熱活性化可能アプローチ、ならびに蝋(Sambrookら,Molecular Cloning,第3版を参照)を含む無機物熱活性化可能アプローチが挙げられる。薬剤(例えば、酵素)が熱活性化可能特性を満たすように改変する様式は、本教示の限定ではないことが理解される。
【0043】
本教示の幾つかの実施形態は、ライゲーション反応における異なる試薬処理工程の数を減らすための方法を提供し、ここで、リガーゼは、熱活性化可能リガーゼではない。例えば、本教示の幾つかの実施形態は、1つの反応混合物中で一緒にポリヌクレオチドをライゲーションする工程を包含し、この工程は、ウラシル−N−グリコシラーゼのような夾雑物除去剤によって不要な夾雑物を除去する工程、キナーゼのようなリン酸化剤によってプローブをリン酸化する工程、ならびに熱活性化可能でないリガーゼのようなライゲーション剤を用いて一緒にプローブをライゲーションする工程を、包含する。幾つかの実施形態において、反応は、ライゲーション剤およびリン酸化剤を含み得るが、夾雑物除去剤を含まなくてよい。幾つかの実施形態において、反応は、ライゲーション剤および夾雑物除去剤を含むが、リン酸化剤を含まなくてよい。
【0044】
種々の夾雑物除去剤のどれもが本教示の文脈において使用され得ることが理解されるが、代表的には、ウラシル−N−グリコシラーゼが使用される。多くのウラシル−N−グリコシラーゼ(例えば、アルトロバクター属またはミクロコッカス属のようなグラム陽性微生物から収集されたウラシル−N−グリコシラーゼ)が、利用可能である(例えば、米国特許第6,187,575号に記載されそしてRocheからAmpEraseとして購入可能である)。本教示において使用され得るグリコシラーゼの他の例としては、E.Coliから単離され、New England BiolabsからUDGとして市販されるウラシル−DNAグリコシラーゼが挙げられる(例えば、Lindahl,T.ら(1977)J.Biol.Chem.,252,3286−3294を参照)。一般に、ウラシル−N−グリコシラーゼまたは夾雑物除去剤の種類は、本教示を限定しないことが理解される。
【0045】
幾つかの実施形態において、夾雑反応成分は、前に実施されたライゲーション反応由来の産物であり、ここで、U含有プローブは、ライゲーション前、UNGに対する基質ではない。
【0046】
幾つかの実施形態において、熱活性化可能UNGもしくは熱活性化可UDGが、企図される。例えば、熱活性化可能でないリガーゼは、熱活性化可能UNGと共に反応混合物中に存在し得る。適切な位置にウラシルを含むプローブを用いる場合、UNGを活性化するための反応温度の上昇は、ウラシルの切断をもたらし得、それにより、リガーゼが作用し得るプローブ上の遊離リン酸基を遊離させる。例えば、ウラシルは、第1プローブの5’末端に存在し得、そしてその切断は、ライゲーション能力のある(ligation−competent)複合体を生じる。また、ウラシルを含むフラップ(flap)は、切断されて、ライゲーション能力のある複合体を生じ得る。
【0047】
種々のリン酸化剤のどれもが本教示の文脈において使用され得ることが理解されるが、代表的に、ポリヌクレオチドキナーゼが使用される。例えば、ポリヌクレオチドキナーゼは、種々の供給源から購入可能であり、この供給原としては、New England BiolabsおよびAmershamが挙げられる。さらに、5’末端の塩基に依存しないオリゴヌクレオチドの改善された均一なリン酸化を有するポリヌクレオチドキナーゼ、ならびにより高い標識化を提供するポリヌクレオチドキナーゼ(例えば、Amersham BiosciencesからのOptiKinaseを参照)もまた、本教示に従って使用され得る。一般に、ポリヌクレオチドキナーゼもしくはリン酸化剤の種類は、一般に本教示の限定ではないことが理解される。また、本教示に従い、リン酸化は、ポリヌクレオチドの5’末端へのリン酸基の付加をもたらす生化学的反応であり、これによって、このポリヌクレオチドを対応するポリヌクレオチドの3’OH基へのライゲーションに適するようにすることが理解される。
【0048】
本教示は、標的ポリヌクレオチド配列の同一性を調べるためにライゲーション反応が使用される種々の状況において適用され得ることが理解される。例えば、種々のOLA戦略(例えば、Whiteleyら,米国特許第6,054,266号、米国特許第5,962,222号、米国特許第5,521,065号、米国特許第5,242,794号、米国特許第4,883,750号を参照)、FEN−LCR(例えば、Biら,米国特許第6,511,810号を参照)、南京錠(padlock)プローブ(例えば、Landegrenら,米国特許第5,871,921号を参照)、ライゲーションと増幅とを合わせた方法(例えば、Eggerdingら,米国特許第6,130,073号および米国特許第5,912,148号を参照)、OLA、LDR、LCRのギャップバージョン、ならびに当業者に一般に公知のこのような戦略は、最新の総説から、当業者に公知である(Caoら,2004,Trends in Biotechnology,Vol.22,No.1を参照のこと)。
【0049】
本教示は、第1プローブおよび第2プローブのみが異なる分子である実施形態を企図するのではなく、第1プローブおよび第2プローブが同じ分子の一部分である実施形態もまた企図する(例えば、ParAlleleから購入可能である分子インバージョンプローブ(Molecular Inversion Probe)、および米国特許第5,871,921号)。
【0050】
本教示は、種々のリンカーライゲーション戦略の状況において使用され得ることが理解される(例えば、米国非仮特許出願第10/982,619号、およびApplied Biosystemsから購入可能であるSNPlexTMSystem使用者マニュアルにおいて考察される)。このような戦略は、標的ポリヌクレオチド配列上での幾つかのプローブのコンカテマーライゲーションを使用し得る。これらおよび他の戦略(例えば、米国特許第6,027,889号を参照)もまた、ヌクレアーゼ媒介性消化により、組み込まれなかった反応成分を除去するための種々のアプローチを可能にし得るために使用され得る。
【0051】
本教示は、種々のポジティブコントロールライゲーション反応およびネガティブライゲーション反応(既知の単一形の標的ポリヌクレオチドを含み、それによってライゲーション効率を決定することを可能にする)の状況において使用され得ることが理解される(例えば、Wenzらに対する米国仮特許出願第60/584,873号、およびその優先権を主張する同時出願された非仮特許出願公開において記載される)。
【0052】
幾つかの実施形態において、ライゲーション反応のためのマスター混合物は、以下を含む。
【0053】
20mM Tris−HCl 25℃でpH7.6
7mM MgCl
20mM KCl
0.10% Triton X−100
1mM DTT
1mM NAD
2.5単位/μl 熱活性化可能リガーゼ
2単位/μl T4ポリヌクレオチドキナーゼ
0.01単位/μl ウラシル−N−グリコシラーゼ
0.05mM Desferal
1mM dATP
5% PEG8000。
【0054】
幾つかの実施形態において、DTTが使用され得る。DTTは、本来、酵素の安定のための(スルフヒドリル)還元剤である。幾つかの実施形態において、TCEP Tris(2−カルボキシエチル)ホスフィンHClが、還元剤として使用され得(0.1〜2mM)、これはより効果的であり得、そしてより安定であり得る。
【0055】
(本教示の幾つかの実施形態に従う例示的キット)
特定の実施形態において、本教示はまた、特定の方法の実施を促進するために設計されたキットを提供する。幾つかの実施形態において、キットは、方法の実施において使用される2以上の成分を組合わせることによって、目的の方法の性能を高めるのに役立つ。幾つかの実施形態において、キットは、エンドユーザーによる測定の必要を最小限にするために、事前に測定された単位量の成分を含み得る。幾つかの実施形態において、キットは、1以上の本教示の方法を実施するための指示書を含み得る。幾つかの実施形態において、キット成分は、互いに協同して操作するために最適化される。
【0056】
幾つかの実施形態において、ポリヌクレオチドをライゲーションするためのキットを提供する。本教示によって企図される例示的なキット構成について、Applied Biosystemsから購入可能であるSNPlexTMSystem使用者マニュアルを調べることを読み手に奨励する。
【0057】
本教示の幾つかの実施形態は、ライゲーションマスター混合物および少なくとも1組のプローブセットを含むキットを提供する。ここで、このライゲーションマスター混合物は、少なくとも1種の熱活性化可能リガーゼ、少なくとも1種のリン酸化剤、少なくとも1種の夾雑物除去剤、および少なくとも1種の緩衝剤を含む。幾つかの実施形態において、キットは、少なくとも1組のリンカーセットをさらに含む。幾つかの実施形態において、リン酸化剤は、キナーゼである。幾つかの実施形態において、このキナーゼは、T4ポリヌクレオチドキナーゼである。幾つかの実施形態において、夾雑物除去剤は、ウラシル−N−グリコシラーゼである。幾つかの実施形態において、ウラシル−N−グリコシラーゼは、アルトロバクター属、ミクロコッカス属、E.coli、およびこれらの組み合わせの少なくとも1つである。幾つかの実施形態において、熱活性化可能リガーゼは、Afu、T4リガーゼ、E.coliリガーゼ、AK16Dリガーゼ、Pfuリガーゼ、およびこれらの組み合わせの少なくとも1つである。幾つかの実施形態において、このリガーゼは熱活性化可能リガーゼではない。幾つかの実施形態において、リン酸化剤および/または夾雑物除去剤は、熱活性化可能である。
【0058】
幾つかの実施形態において、このキットは、例えばParAlleleから購入可能である分子インバージョンプローブにおいて説明されるように、例えば、ミスマッチ修復において使用されるポリメラーゼを含み得る(米国特許第5,871,921号もまた参照)。幾つかの実施形態において、このポリメラーゼは、熱活性化可能ポリメラーゼである。
【実施例】
【0059】
(実施例1)
実施例1は、熱活性化可能リガーゼ、ウラシル−NグリコシラーゼおよびT4ポリヌクレオチドキナーゼを含むライゲーション反応混合物によって多重ライゲーション反応が実施される、本教示の説明を提供する。この実験のワークフローを、図3に図示する。1ヌクレオチド多形の収集のためのホモ接合性対立遺伝子およびヘテロ接合性対立遺伝子の首尾よい決定を、夾雑物除去剤を含む反応について、夾雑物除去剤を欠く反応と比較して見出した。
【0060】
プロトコールは、基本的に、以下である:
ゲノムDNAを、煮沸によって断片化し、定量し、そして384ウェル光学プレート中に37ng/ウェルを分配し、そして乾燥させた。
【0061】
室温で、マスター混合物をピペッティングした。この混合物は、以下を含んだ:
20mM Tris−HCl 25℃でph7.6
7mM MgCl
0.10% Triton X−100
1mM DTT
1mM NAD
5単位/μl 熱活性化可能リガーゼ
0.1単位/μl T4ポリヌクレオチドキナーゼ
0.01単位/μl ウラシル−N−グリコシラーゼ(また、UNGを含まないコントロール反応を実施した)
0.05mM Desferal
1.25mM dATP
5% PEG8000。
【0062】
室温において、5μlのプローブ(各100nM)およびリンカー(各50nMのASO(対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド)リンカーおよび各85nMのLSO(遺伝子座特異的オリゴヌクレオチド)リンカー)を、Hydra II Plus Oneロボットを使用して384ウェル光学プレートの各ウェルにピペット分配した。
【0063】
マスター混合物(1つの反応につき4.5μl)を、Hydra II Plus Oneロボットを使用して384ウェル光学プレートの各ウェルにピペット分配した。
【0064】
ライゲーション反応を、Applied Biosystems GeneAmp PCR system 9700(ファームウェア3.05)上で、以下のサイクリング条件で実施した:
工程 工程型 温度(℃) 時間
1 維持 37 60分間
2 維持 85 30分間
2 30サイクル 90 15秒間
60 30秒間
51(2%傾斜で) 30秒間
3 維持 99 10分間
4 維持 4 無期限維持。
【0065】
次いで、エキソヌクレアーゼ浄化を実施した。これは、以下を含んだ:
各反応につき:
4.2μl ヌクレアーゼ非含有水
0.5μl SNPlexTM エキソヌクレアーゼ緩衝剤
0.2μl SNPlexTM λエキソヌクレアーゼ
0.1μl SNPlexTM エキソヌクレアーゼ 1
5μl ライゲーション反応物、
37℃で90分間、その後80℃で10分間。
【0066】
エキソヌクレアーゼ浄化の後、10μlの水を各反応物に添加し、そしてライゲーション反応のPCR増幅を実施した。PCRを、MicroAmp 384−ウェル反応プレート(Applied Biosystems 製品番号4309849)中で、ABI Optical Adhesive Cover(製品番号4311971)を用いて実施した。
【0067】
まず、以下を含む20×ユニバーサルオリゴヌクレオチドプライマー混合物を作製した:
10μM ユニバーサル順方向プライマー(UF 19)
10μM ビオチン化ユニバーサル逆方向プライマー(UR 19)
10mM Tris HCl,25℃でpH8.0
1mM EDTA。
【0068】
次いで、複数の10μlのPCR反応物を、以下のように構成した:
5.0μl 2×SNPlexTM PCR混合物
0.5μl ユニバーサルオリゴヌクレオチドプライマー混合物(上記から)
2.5μl H
2.0μl ヌクレアーゼ処理済みライゲーション反応物。
【0069】
PCR反応を、Applied Biosystems GeneAmp PCR system 9700上で、以下のサイクリング条件で実施した:
工程 工程型 温度(℃) 時間
1 維持 95 10分間
2 30サイクル 95 15秒間
70 60秒間
3 維持 4 無期限維持
PCR後、ビオチン化鎖を捕捉して分離し、そして移動度プローブを、固定化した鎖にハイブリダイズした。次いで、溶離した移動度プローブを、Applied Biosystems 3730上のキャピラリー電気泳動を介して検出した。
【0070】
記載のように実施した47重実験から得られたデータを表すクラスタープロットは、本方法の有効性を実証した(プロットは示さず)。
【0071】
本教示は、これらの例示的な実施形態に関して記載されているが、当業者は、これらの例示的実施形態の多くの変更および改変が、過度の実験なしで可能であることを、容易に理解する。全てのこのような変更および改変は、本教示の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本教示に従う幾つかのワークフロー特性の図解を提供する。ここで、複数の異なる反応は、別個の反応容器中で実施される。
【図2】図2は、本教示に従う幾つかのワークフロー特性の図解を提供する。ここで、複数の異なる反応は、同じ反応容器中で実施される。
【図3−1】図3は、本教示の実施例1に従う反応工程の図解を提供する。ここで、1ヌクレオチド多形の同一性が、調べられる。第1プローブ1および第1プローブ2は、ASOa1およびASOa2(対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド1および対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド2)として示され、第2プローブは、LSO(遺伝子座特異的オリゴ)として示され、そして移動度プローブは、Zipchuteプローブと称される。
【図3−2】(図3−1の続き)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリヌクレオチドをライゲーションする方法であって、該方法は、以下の工程:
標的ポリヌクレオチド配列、熱活性化可能リガーゼ、第1プローブ、第2プローブおよび夾雑物除去剤を提供し、それによって反応混合物を形成する工程、
夾雑物除去反応を実施する工程であって、ここで該夾雑物除去剤は第1温度で実質的に活性であり、ここで該リガーゼは該第1温度で実質的に不活性である工程、
該反応温度を第2温度まで上昇させ、それによって該リガーゼの活性を上昇させる工程、ならびに
該第1プローブを該第2プローブにライゲーションする工程、
を包含する方法。
【請求項2】
前記夾雑物除去剤は、ウラシル−N−グリコシラーゼであり、そして前記夾雑物除去反応は、夾雑反応成分の除去をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウラシル−N−グリコシラーゼは、アルトロバクター属、ミクロコッカス属、E.coli、およびこれらの組み合わせの少なくとも1つである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記夾雑反応成分は、前に実施された増幅反応に由来するキャリーオーバー産物である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
多重ライゲーション反応を包含する、請求項1に記載の方法であって、ここで、2〜24の標的ポリヌクレオチド配列が、対応する第1プローブおよび第2プローブによって調べられる、方法。
【請求項6】
多重ライゲーション反応を包含する、請求項1に記載の方法であって、ここで、24〜96の標的ポリヌクレオチド配列が、対応する第1プローブおよび第2プローブによって調べられる、方法。
【請求項7】
多重ライゲーション反応を包含する、請求項1に記載の方法であって、ここでプローブセットが1ヌクレオチド多形を調べ、ここで該プローブセットは第1プローブ1および第1プローブ2を含み、ここで該第1プローブ1および該第1プローブ2は、該1ヌクレオチド多形について互いの対立遺伝子間を識別する、方法。
【請求項8】
前記熱活性化可能リガーゼは、Afu、T4リガーゼ、E.coliリガーゼ、AK16Dリガーゼ、Pfuリガーゼ、およびこれらの組み合わせの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記熱活性化可能リガーゼは、前記第1温度で実質的に不活性になるように化学的に改変される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記熱活性化可能リガーゼは、前記第1温度で実質的に不活性になるように抗体と複合体化される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記熱活性化可能リガーゼは、前記第1温度で実質的に不活性になるようにアプタマーと複合体化される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
Desferal、PEG 8000、DTT、NADおよびこれらの組み合わせの少なくとも1つの有効量を含有する緩衝液をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
リン酸化剤をさらに含む請求項1に記載の方法であって、ここで、該リン酸化剤はキナーゼであり、そしてリン酸化反応はプローブのリン酸化をもたらし、ここで、前記夾雑物除去剤はウラシル−N−グリコシラーゼであり、そして前記夾雑物除去反応は夾雑反応成分の除去をもたらす、方法。
【請求項14】
ポリヌクレオチドをライゲーションする方法であって、該方法は、以下の工程:
標的ポリヌクレオチド配列、熱活性化可能リガーゼ、第1プローブ、第2プローブおよびリン酸化剤を提供し、それによって反応混合物を形成する工程、
リン酸化反応を実施する工程であって、ここで該リン酸化剤は第1温度で実質的に活性であり、ここで該リガーゼは該第1温度で実質的に不活性である工程、
反応温度を第2温度まで上昇させ、それによって該リガーゼの活性を上昇させる工程、ならびに
該第1プローブを該第2プローブにライゲーションする工程、
を包含する方法。
【請求項15】
前記リン酸化剤はポリヌクレオチドキナーゼであり、そして前記リン酸化反応はプローブのリン酸化をもたらす、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリヌクレオチドキナーゼはT4ポリヌクレオチドキナーゼである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記リン酸化されたプローブは、後のライゲーション産物の5’末端を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
多重ライゲーション反応を包含する、請求項14に記載の方法であって、ここで、2〜24の標的ポリヌクレオチド配列が、対応する第1プローブおよび第2プローブによって調べられる、方法。
【請求項19】
多重ライゲーション反応を包含する、請求項14に記載の方法であって、ここで、24〜96の標的ポリヌクレオチド配列が、対応する第1プローブおよび第2プローブによって調べられる、方法。
【請求項20】
多重ライゲーション反応を包含する、請求項14に記載の方法であって、ここでプローブセットが1ヌクレオチド多形を調べ、ここで該プローブセットは第1プローブ1および第1プローブ2を含み、ここで該第1プローブ1および該第1プローブ2は、該1ヌクレオチド多形について互いの対立遺伝子間を識別する、方法。
【請求項21】
前記熱活性化可能リガーゼは、Afu、T4リガーゼ、E.coliリガーゼ、AK16Dリガーゼ、Pfuリガーゼ、およびこれらの組み合わせの少なくとも1つである、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記熱活性化可能リガーゼは、前記第1温度で実質的に不活性になるように化学的に改変される、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記熱活性化可能リガーゼは、前記第1温度で実質的に不活性になるように抗体と複合体化される、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記熱活性化可能リガーゼは、前記第1温度で実質的に不活性になるようにアプタマーと複合体化される、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
Desferal、PEG 8000、DTT、NADおよびこれらの組み合わせの少なくとも1つの有効量を含有する緩衝液をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
熱活性化可能リガーゼ、リン酸化剤、夾雑物除去剤、標的ポリヌクレオチド、第1プローブ、および第2プローブを含有する、反応混合物。
【請求項27】
前記リン酸化剤はキナーゼである、請求項26に記載の反応混合物。
【請求項28】
前記キナーゼはT4ポリヌクレオチドキナーゼである、請求項27に記載の反応混合物。
【請求項29】
前記夾雑物除去剤はウラシル−N−グリコシラーゼである、請求項26に記載の反応混合物。
【請求項30】
前記ウラシル−N−グリコシラーゼは、アルトロバクター属、ミクロコッカス属、E.coli、およびこれらの組み合わせの少なくとも1つである、請求項29に記載の反応混合物。
【請求項31】
前記熱活性化可能リガーゼは、Afu、T4リガーゼ、E.coliリガーゼ、AK16Dリガーゼ、Pfuリガーゼ、およびこれらの組み合わせの少なくとも1つである、請求項26に記載の反応混合物。
【請求項32】
ライゲーションマスター混合物および少なくとも1組のプローブセットを含むキットであって、ここで、該ライゲーションマスター混合物は、少なくとも1種の熱活性化可能リガーゼ、少なくとも1種のリン酸化剤、少なくとも1種の夾雑物除去剤、および少なくとも1種の緩衝液を含む、キット。
【請求項33】
少なくとも1組のリンカーセットをさらに含む、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
前記リン酸化剤はキナーゼである、請求項32に記載のキット。
【請求項35】
前記キナーゼはT4ポリヌクレオチドキナーゼである、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
前記夾雑物除去剤はウラシル−N−グリコシラーゼである、請求項32に記載のキット。
【請求項37】
前記ウラシル−N−グリコシラーゼは、アルトロバクター属、ミクロコッカス属、E.coli、およびこれらの組み合わせの少なくとも1つである、請求項36に記載のキット。
【請求項38】
前記熱活性化可能リガーゼは、Afu、T4リガーゼ、E.coliリガーゼ、AK16Dリガーゼ、Pfuリガーゼ、およびこれらの組み合わせの少なくとも1つである、請求項32に記載のキット。
【請求項39】
ライゲーション反応におけるワークフロー工程の数を減らすための方法であって、該方法は、以下の工程:
標的ポリヌクレオチド配列、熱活性化可能リガーゼ、第1プローブ、第2プローブ、リン酸化剤および夾雑物除去剤を提供し、それによって反応混合物を形成する工程、
該リン酸化剤を含むリン酸化反応を第1温度で実施する工程、ならびに該夾雑物除去剤を含む夾雑物除去反応を該第1温度で実施する工程であって、ここで、該リガーゼは該第1温度で実質的に不活性である工程、
反応温度を第2温度まで上昇させ、それによって該リガーゼの活性を上昇させる工程、ならびに
該第1プローブが該第2プローブにライゲーションするライゲーション反応を実施する工程であって、それにより、該リン酸化反応および該夾雑物質除去反応がライゲーション反応とは別個の反応において実施されるライゲーション反応と比較して、ライゲーション反応における処理工程の数を減らす工程、
を包含する方法。
【請求項40】
ポリヌクレオチドをライゲーションするための方法であって、該方法は、以下の工程:
標的ポリヌクレオチド配列、リガーゼ、第1プローブ、第2プローブ、夾雑物除去剤、およびリン酸化剤を提供し、それによって反応混合物を形成する工程、ならびに、
該反応混合物中で、夾雑物除去、リン酸化、およびライゲーションを同時に行う工程、
を包含する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【公表番号】特表2008−502352(P2008−502352A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516858(P2007−516858)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/023737
【国際公開番号】WO2006/005055
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】