説明

ポリヒドロキシアルカノエートに基づいた新規持続性バイオベースプラスチック類、それらを製造する方法およびそれらの使用

【課題】ポリヒドロキシアルカノエートに基づいた新規持続性バイオベースプラスチック類、それらを製造する方法およびそれらの使用を提供する。
【解決手段】本発明は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)に基づいた新規持続性かつ加水分解安定性のバイオベースプラスチック類、それらを製造する方法およびそれらの使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)に基づいた新規持続性で対加水分解安定性のバイオベースプラスチック類、それらを製造する方法およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオポリマーとして知られているバイオベースプラスチック類は、使用されるバイオベース原料を考慮すると、石油化学に基づいたプラスチック類よりも環境に優しい材料である。特に、環境保護と地球温暖化発現の観点で、バイオベースプラスチック類は、包装分野のみならず、持続的で工業技術的なプラスチック製品の製造においても重要性が増している。しかし、ポリヒドロキシアルカノエートに基づいたバイオベース材料を従来から認められている材料と競合的にするためには、これらの材料の製造および処理には、多くの場合、最適化が依然として必要である。
【0003】
バイオベースプラスチック類は、例えば、脂肪族ポリエステル樹脂から構成され、これは、澱粉、砂糖、炭水化物、植物油または脂肪から、直接発酵処理によって製造される。
【0004】
バイオベースプラスチック類は、きわめて環境に優しいという大きな利点を有する。特に、バイオポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート類の群からの工業的用途の分野において、例えば、ポリ乳酸(PLA)に比較して、より大きな耐熱変形性を有するという利点を有する。このことから、軟化点が低いという理由でポリ乳酸から作製されたものを使用することができない持続性製品、例えば、やかんやヘアドライヤーなどの製造が可能になる。さらに、ポリヒドロキシアルカノエート類は、製造した製品における収縮が極めて少なく、それにより、従来のポリマーでは実現できない製品の幾何学的形状が可能になる。ポリ乳酸に比較して、ポリヒドロキシアルカノエート類の製品クラスは、加水分解に対してはるかに感受性が低い。しかしながら、ポリヒドロキシアルカノエート類は、持続性および工業的用途については、加水分解に対するそれらの安定性は不十分であり、さらに、それらの加工性が不良であるという不利益を有する。
【0005】
ポリ乳酸とポリヒドロキシアルカノエート類は、双方とも脂肪族ポリエステルのクラスに属しており、双方とも、加工中、および適用過程においてポリマー分解し易い。ポリ乳酸の場合の分解機序は、エステル加水分解の古典的経路に沿って生じ、ここで、水存在下での酸または塩基の作用は、ポリ乳酸におけるエステル結合の開裂によって達成され、これによって、新しくヒドロキシル基とカルボキシル基が生じる。
−COO− + HO → −COOH + HO−
【0006】
新たなカルボキシル基は、ポリ乳酸ポリマーにおけるさらなるエステル基の加水分解をもたらす。すなわち、この過程は自己触媒的に進行する。ポリ乳酸におけるエステル開裂は、結果的にポリマー分解に至り、したがって、ポリ乳酸の寿命の減少、および不安定性な操作形態に至る。
【0007】
しかし、ポリ乳酸に比較して、ポリヒドロキシアルカノエートの製品クラスは、加水分解に対して、極めて感受性が低い。加水分解に対するこの感受性の違いは、異なる分解機序の結果である。ポリヒドロキシアルカノエート類の場合、ポリ乳酸とは対照的に、異なる分解機序であるβ脱離が優先的である。このβ脱離によって、不飽和ポリマー断片の形成を伴うポリヒドロキシアルカノエートポリマー鎖の開裂がもたらされる。非特許文献1を参照されたい。
【化1】

【0008】
ポリ乳酸に比較して、ポリヒドロキシアルカノエート類の加水分解的な分解が行われるのはより少ない部分ではあるが、PHA類もまた脂肪族ポリエステルであるため、同様に生じ得る。異なった分解機序にも関わらず、ポリヒドロキシアルカノエート類は、持続的で工業的な用途に関しては、溶融容積率(MVR)の急激な下降に表れているように、加水分解に対して十分な安定性を有さず、さらに、加工性が不良であるという不利益を有する。したがって、主に優先的なβ脱離とそれでも同様に生じる加水分解との組み合わせにも関わらず、加工時ならびに適用時にPHAの安定化を達成する可能性を探索することが求められている。
【0009】
多種多様な添加物を添加することによってこの問題を解決する試みがなされてきた。例えば、(特許文献1)の要約には、ポリヒドロキシアルカノエート類における0.5重量%の高分子カルボジイミドの使用が記載されている。しかし、加水分解に対する安定性に関して、ここでは満足すべき結果は得られていない。ポリブチレンスクシネートの混合物から、ならびにポリブチレンスクシネートと他の共成分の中でもポリヒドロキシアルカノエート類との混合物からのポリカルボジイミドの使用を挙げている(特許文献2)の要約でも同じ適用がなされている。しかし、ここでもやはり十分な耐加水分解性は得られない。
【0010】
(特許文献3)には、脂肪族ポリエステル樹脂における加水分解阻害剤としてジイソプロピルフェニルカルボジイミドの使用が記載されている。しかし、加工性に関しては、満足できる成果は得られていない。
【0011】
(特許文献4)で追加として用いられる抗酸化剤は黄色化は減少させるが、安定性を増加させることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−303286号公報
【特許文献2】国際公開第2009−119512号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第A1627894号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第A1354917号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Yoshio Aoyagiら、Polymer Degradation and Stability 76、2002年、53−59頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、先行技術の不利益を有さず、加水分解に対する高い安定性と良好な加工性を有する、ポリヒドロキシアルカノエート類に基づいた新規の持続性バイオベースプラスチック類を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、少なくとも1種のモノマーカルボジイミドと少なくとも1種のオリゴマーカルボジイミドおよび/またはポリマーカルボジイミドとの組み合わせを含むポリヒドロキシアルカノエート類のクラスからの本発明のバイオベースプラスチック類がこの目的を達成することが分かった。
【0016】
したがって本発明は、少なくとも1種のポリヒドロキシアルカノエートと少なくとも1種の芳香族モノマーカルボジイミドと1種の芳香族オリゴマーカルボジイミドおよび/または芳香族ポリマーカルボジイミドとの組み合わせを含むバイオベースプラスチック類を提供する。
【0017】
本発明の趣意におけるバイオベースプラスチック類は、澱粉、砂糖、炭水化物、植物油または脂肪からの直接的発酵調製によって製造できるポリヒドロキシアルカノエートが好ましい。さらに、例えば、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンスクシネートテレフタレート(PBST)のような脂肪族―芳香族ポリエステル樹脂を用いることが可能である。同様に、バイオベースプラスチックとの混合物、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート、澱粉、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)との混合物もここに含まれる。
【0018】
ポリヒドロキシアルカノエート類は、構造式(1)
【化2】

の化合物であり、
式中、Rは、C〜C14−アルキルである。ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリヒドロキシブチレートバレレート(PHBV)、ポリヒドロキシヘキサノエート(PHH)、ポリヒドロキシオクタノエート(PHO)、ポリヒドロキシブチレートヘキサノエート(PHBH)およびそれらの混合物が特に好ましい。
【0019】
バイオベースプラスチック類として特に好ましいポリヒドロキシアルカノエート類は、例えば、Telles社からMirelの名称で、またはTianan社からEnmatとして、市販品が入手できるか、または例えば、発酵など、当業者によく知られている方法によって調製することができる。
【0020】
モノマー、オリゴマーおよび/またはポリマーのカルボジイミドとしては、公知の全ての芳香族カルボジイミドを使用し得る。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ポリマーカルボジイミドおよび/またはオリゴマーカルボジイミドは、一般式(II)
−(−N=C=N−R’−)−R (II)
の化合物であることが好ましく、
式中
R’は、芳香族基および/または芳香脂肪族基であり、分子内のR’は、同一であるか、または異なっており、異なった組み合わせの場合、前述の基の各々は、互いに任意に組み合わせることができ、芳香族オリゴマーカルボジイミドまたは芳香族ポリマーカルボジイミドの場合のR’は、少なくとも1個の炭素原子を有する脂肪族置換基および/または脂環式置換基および/または芳香族置換基を担持しなくてもよく、これらの置換基が、ヘテロ原子を担持することも可能であり、またはカルボジイミド基を担持する芳香族炭素原子の少なくとも1つのオルト位にこのような置換基を担持してもよく、
は、C〜C18−アルキル、C〜C18−シクロアルキル、アリール、C〜C18−アラルキル、−R’−NH−COS−R、−R’COOR、−R’−OR、−R’−N(R、−R’−SR、−R’−OH、R’−NH、−R’−NHR、−R’−エポキシ、R’−NCO、−R’−NHCONHR、−R’−NHCONRまたは−R’−NHCOORであり、
は、−N=C=N−アリール、−N=C=N−アルキル、−N=C=N−シクロアルキル、−N=C=N−アラルキル、−NCO、−NHCONHR、−NHCONHR、−NHCOOR、−NHCOS−R、−COOR、−OR、エポキシ、−N(R、−SR、−OH、−NH、−NHRであり、
およびRにおいて、互いに独立して、RおよびRは同一であるか、または異なっており、C〜C20−アルキル基、C〜C20−シクロアルキル基、C〜C18−アラルキル基、オリゴ/ポリエチレングリコール類および/またはオリゴ/ポリプロピレングリコール類であり、Rは、Rの定義の1つを有するか、またはポリエステル基もしくはポリアミド基であり、
オリゴマーカルボジイミドの場合、mは、1〜5の整数に相当し、
ポリマーカルボジイミドの場合、mは、5より大きい整数に相当する。
【0022】
オリゴマーカルボジイミドおよび/またはポリマーカルボジイミドの場合、R’は、1,3−置換2,4,6−トリイソプロピルフェニルおよび/または4,4’−置換ジシクロヘキシルメタン誘導体および/またはイソホロン誘導体および/または1,3−ビス(1−メチル−1−イソシアナトエチル)ベンゼンおよび/またはテトラメチルキシリレン誘導体および/または2,4−置換トリレンおよび/または2,6−置換トリレンおよび/または2,4−置換トリレンもしくは2,6−置換トリレンの混合物であることが特に好ましい。
【0023】
本発明の別の好ましい実施形態において、バイオベースプラスチックは、芳香族カルボジイミドをさらに含み、立体障害の芳香族カルボジイミドが極めて好ましい。
【0024】
本発明の別の好ましい実施形態において、モノマーカルボジイミドは、式(III)
R’’―N=C=N−R’’’ (III)
の化合物であり、
式中
R’’およびR’’’は、同一であるか、または異なっており、アリール、C〜C18−アラルキルに相当し、芳香族基の場合のR’’およびR’’’は、少なくとも1個の炭素原子を有する脂肪族置換基および/または脂環式置換基および/または芳香族置換基を担持しなくてもよく、これらの置換基は、ヘテロ原子を担持することも可能であり、またはカルボジイミド基を担持する芳香族炭素原子の少なくとも1つのオルト位にこのような置換基を担持してもよい。
【0025】
芳香族モノマーカルボジイミドは、一般式(IV)
【化3】

の立体障害の芳香族カルボジイミドであり、
式中
からR10は、互いに独立してH、C〜C20−アルキル基、C〜C20−シクロアルキル基、C〜C15−アリール基またはC〜C15−アラルキル基であり、これらは場合によりヘテロ原子を含有することもできる。
【0026】
本発明の好ましい一実施形態において、芳香族モノマーカルボジイミドと芳香族オリゴマーカルボジイミドおよび/または芳香族ポリマーカルボジイミドとの組み合わせを用いることが可能である。
【0027】
同様に本発明のさらに好ましい一実施形態において、使用されるモノマーカルボジイミドと少なくとも一種のオリゴマーカルボジイミドおよび/またはポリマーカルボジイミドは、立体障害がある。
【0028】
前述のモノマーカルボジイミドおよびオリゴマーカルボジイミド/ポリマーカルボジイミドは、式(II)〜(IV)の化合物の場合、市販品として入手できる化合物であり、例えば、Rhein Chemie Rheinau GmbHから入手できる。
【0029】
米国特許第2,941,956号明細書に記載された方法、例えば、触媒存在下、高温、例えば、40℃〜200℃で二酸化炭素の除去を伴うジイソシアネート類の縮合によるカルボジイミド類の調製も同様に可能である。好適な方法は、独国特許出願公開第A1130594号明細書および独国特許出願公開第B11305−94号明細書に記載されている。適切であることが判明している触媒の例としては、強塩基またはリン化合物が挙げられる。ホスホレンオキシド類、ホスホリジン類またはホスホリンオキシド類、および対応するスルフィド類を用いることが好ましい。触媒として、第三級アミン類、塩基性金属化合物、カルボン酸の金属塩類、および非塩基性有機金属化合物を使用することがさらに可能である。
【0030】
使用されるカルボジイミド類および/またはポリカルボジイミド類を調製するために、全てのイソシアネート類が好適であり、例えば、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニル1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリエチルフェニル1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリメチルフェニル1,3−ジイソシアネート、2,4’− ジイソシアナトジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’− ジイソシアナトジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’− ジイソシアナトジフェニルメタン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタン ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタン ジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニレンイソシアネートおよび1,3,5−トリイソプロピルベンゼン2,4−ジイソシアネートまたはそれらの混合物など、C〜C−アルキルにより置換された芳香族イソシアネート類に基づいているか、または1,3−ビス(1−メチル−1−イソシアナトエチル)ベンゼンなど、置換アラルキル類に基づいたカルボジイミド類および/またはポリカルボジイミド類の使用が、本発明の文脈において好ましい。カルボジイミド類および/またはポリカルボジイミド類が、2,4,6−トリイソプロピルフェニル1,3−ジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニレンイソシアネート、1,3−ビス(1−メチル−1−イソシアナトエチル)ベンゼン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートおよび/または2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物に基づく場合が特に好ましい。
【0031】
ポリヒドロキシアルカノエート中のカルボジイミドの割合は、0.1%〜5%であることが好ましい。
【0032】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、プラスチックを基準にしてカルボジイミドの総量は、少なくとも0.5重量%、より好ましくは、0.9重量%以上である。
【0033】
さらに、好ましい一実施形態において、オリゴマーカルボジイミドおよび/またはポリマーカルボジイミドに対するモノマーカルボジイミドの比率は、10:1〜1:10であり、3:1〜1:3の比率が特に好ましい。
【0034】
さらに、バイオベースプラスチック中のポリヒドロキシアルカノエートの比率は、5%〜99.5%が好ましく、20%〜99%がさらに好ましい。
【0035】
本発明は、混合集合体中、少なくとも1種のポリヒドロキシアルカノエートが、少なくとも1種のモノマー芳香族カルボジイミドおよび少なくとも1種のオリゴマー芳香族カルボジイミドおよび/またはポリマー芳香族カルボジイミドと混合する、本発明のバイオベースプラスチック類の製造方法をさらに提供する。ここでカルボジイミド類は、予備混合してから混合物として添加してもよい。
【0036】
カルボジイミドを混合する順序は自由に選択できる。さらに、カルボジイミドの添加は、バイオベースプラスチックの製造後になされてもよい。
【0037】
本発明の目的のための混合装置は、例えば、押出し機または混練機である。
【0038】
本発明はさらに、電子工学、自動車、建築、輸送、家庭用品、例えば、浴室用品、または事務用品などでの持続的用途での、または「苛酷条件」下、例えば、医療における滅菌条件下での用途のために、本発明によるバイオベースプラスチックの使用を提供する。
【0039】
下記の実施例は、本発明を説明するためのものであるが、何ら限定する意図はない。
【実施例】
【0040】
操作例:
使用化学物質:
CDI I:Rhein Chemie Rheinau GmbHからの少なくとも10.0%のNCN含量を有する立体障害芳香族カルボジイミド(Stabaxol(登録商標)I LF)。
【0041】
CDI II:Rhein Chemie Rheinau GmbHからの13.5%のNCN含量を有する立体障害芳香族ポリマーカルボジイミド(Stabaxol(登録商標)P)。
【0042】
Carbodilite(登録商標)LA−1(H12MDI−PCDI):日清紡ケミカルからの15.8%のNCN含量を有するポリマー脂肪族カルボジイミド。
【0043】
Joncryl ADR 4368:BASFからのオリゴマー鎖延長剤。
【0044】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA):Mirel P 1003
【0045】
使用機器
Werner and PfleidererからのZSK 25実験室用二軸スクリュー押出し機を用いて、ポリヒドロキシアルカノエートにカルボジイミド類を組み込んだ。
【0046】
使用した添加物の量および使用した添加物の性質は表1から明らかである。
【0047】
Arburg Allrounder 320 S 150−500射出成形機において、標準F3試験試料を製造した。
【0048】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の加水分解試験のために、標準F3試験試料を85℃の温度で水中に保存し、引張り強度を確認するために、種々の期間後に引張り試験を実施した。加水分解防止時間は試験試料の寿命:すなわち、試験条件下、引張り強度が5MPa未満の値となったのは何日後か、を表す。
【0049】
溶融容積率(MVR)は、GoettfertからのMI4型を用いて測定した。測定温度:175℃。試験重量:2.16kg。溶融時間:5分。ポリマーペレットの残留水分含量は、100ppm以下である。
【0050】
【表1】

【0051】
少なくとも1種のモノマー芳香族カルボジイミド(CDI I)と少なくとも1種のオリゴマー芳香族カルボジイミドおよび/またはポリマー芳香族カルボジイミド(CDI II)との混合物の本発明の有利な効果は明白である。安定性は、特に芳香族カルボジイミドと芳香族ポリマーカルボジイミドとの混合物の場合に著しく増大する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリヒドロキシアルカノエートと少なくとも1種の芳香族モノマーカルボジイミドと少なくとも1種の芳香族オリゴマーカルボジイミドおよび/または芳香族ポリマーカルボジイミドとの組み合わせを含むバイオベースプラスチック類。
【請求項2】
前記ポリマーカルボジイミドおよび/またはオリゴマーカルボジイミドが、一般式(II)
−(−N=C=N−R’−)−R (II)
の化合物であり、
式中
R’は、芳香族基および/または芳香脂肪族基であり、前記分子内のR’は、同一であるか、または異なっており、異なった組み合わせの場合、前述の基の各々は、互いに任意に組み合わせることができ、芳香族オリゴマーカルボジイミドまたは芳香族ポリマーカルボジイミドの場合のR’は、少なくとも1個の炭素原子を有する脂肪族置換基および/または脂環式置換基および/または芳香族置換基を担持しなくてもよく、これらの置換基が、ヘテロ原子を担持することも可能であり、または前記カルボジイミド基を担持する芳香族炭素原子の少なくとも1つのオルト位にこのような置換基を担持してもよく、
は、C〜C18−アルキル、C〜C18−シクロアルキル、アリール、C〜C18−アラルキル、−R’−NH−COS−R、−R’COOR、−R’−OR、−R’−N(R、−R’−SR、−R’−OH、R’−NH、−R’−NHR、−R’−エポキシ、R’−NCO、−R’−NHCONHR、−R’−NHCONRまたは−R’−NHCOORであり、
は、−N=C=N−アリール、−N=C=N−アルキル、−N=C=N−シクロアルキル、−N=C=N−アラルキル、−NCO、−NHCONHR、−NHCONHR、−NHCOOR、−NHCOS−R、−COOR、−OR、エポキシ、−N(R、−SR、−OH、−NH、−NHRであり、
およびRにおいて、互いに独立して、RおよびRは同一であるか、または異なっており、C〜C20−アルキル基、C〜C20−シクロアルキル基、C〜C18−アラルキル基、オリゴ/ポリエチレングリコール類および/またはオリゴ/ポリプロピレングリコール類であり、Rは、Rの前記定義の1つを有するか、またはポリエステル基もしくはポリアミド基であり、
オリゴマーカルボジイミドの場合、mは、1〜5の整数に相当し、
ポリマーカルボジイミドの場合、mは、5より大きい整数に相当する、ことを特徴とする、請求項1に記載のバイオベースプラスチック類。
【請求項3】
前記ポリマーカルボジイミドおよび/またはオリゴマーカルボジイミドが、前記式(1)の化合物を含み、式中、R’は、1,3−置換2,4,6−トリイソプロピルフェニルおよび/または4,4’−置換ジシクロヘキシルメタン−4,4’誘導体および/またはイソホロン誘導体および/または1,3−ビス(1−メチル−1−イソシアナトエチル)ベンゼンおよび/またはテトラメチルキシリレン誘導体および/または2,4−置換トリレンおよび/または2,6−置換トリレンおよび/または2,4−置換トリレンもしくは2,6−置換トリレンの混合物に等しく相当することを特徴とする、請求項1または2に記載のバイオベースプラスチック類。
【請求項4】
前記モノマーカルボジイミドが、立体障害のあることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のバイオベースプラスチック類。
【請求項5】
前記モノマーカルボジイミドが、式(III)
R’’―N=C=N−R’’’ (III)
の化合物であり、
式中
R’’およびR’’’は、同一であるか、または異なっており、アリール、C〜C18−アラルキルに相当し、
芳香族基の場合のR’’およびR’’’は、少なくとも1個の炭素原子を有する脂肪族置換基および/または脂環式置換基および/または芳香族置換基を担持しなくてもよく、これらの置換基が、ヘテロ原子を担持することも可能であり、または前記カルボジイミド基を担持する芳香族炭素原子の少なくとも1つのオルト位にこのような置換基を担持してもよいことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバイオベースプラスチック類。
【請求項6】
前記芳香族モノマーカルボジイミドは、一般式(IV)
【化1】

の立体障害芳香族カルボジイミドであり、
式中
からR10は、互いに独立してH、C〜C20−アルキル基、C〜C20−シクロアルキル基、C〜C15−アリール基またはC〜C15−アラルキル基であり、これらは場合によりヘテロ原子を含有することもできることを特徴とする、請求項5に記載のバイオベースプラスチック類。
【請求項7】
前記ポリヒドロキシアルカノエートが、式(I)
【化2】

の化合物であり、
式中
は、C〜C14−アルキル基に相当することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のバイオベースプラスチック類。
【請求項8】
混合集合体において少なくとも1種のポリヒドロキシアルカノエートが、少なくとも1種のモノマー芳香族カルボジイミドと少なくとも1種のオリゴマー芳香族カルボジイミドおよび/またはポリマー芳香族カルボジイミドとを混合することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の、バイオベースプラスチック類を製造する方法。
【請求項9】
電子工学、自動車、建築、輸送、家庭用品、事務用品での持続的用途、または「苛酷条件」下の用途における請求項1〜7のいずれか一項に記載のバイオベースプラスチック類の使用。

【公開番号】特開2012−36392(P2012−36392A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−174692(P2011−174692)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(509286422)ライン・ケミー・ライノー・ゲーエムベーハー (13)
【Fターム(参考)】